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昨日は、「西口」(新宿高速バスターミナル)バイト時代の仲間たちと、1000円キャンペーン中の新宿-沼津線で1往復。「西口」から高速バスで出発するのも懐かしくて感慨深いが、バスが一般道に降りた後、沿道の商店のウィンドーやカーブミラーにスマートな京王カラーの車体が映りこんでいるのがふと目に飛び込んできたりすると、ちょっとハッとする。仲間との会話でも、つい「ウチのバス」というような表現が喉元まで出掛かって慌てる。子供のころ草野球をした実家近くの公園とか、楽しい数年間を過ごした大学のキャンパス(というより周辺の飲み屋?)とか、正社員として10年働いたホテルのロビーとか、懐かしいと思うところはたくさんあるけれども、「西口」と京王の高速バスはやはり別格。今回は沼津線ということで中央道ではないとはいえ、間違いなく私の高速バスビジネスにおける「本籍地」は西口であり、また大都市の大手事業者と地方の事業者との共同運行により高頻度で運行される昼行路線だ。私のサイトはいまは長距離夜行、それも高速ツアーバス業態中心だが、一刻も早くこのような高頻度昼行路線の販売(特に大都市側での需要喚起)をお手伝いさせてもらいたいと強く感じた。さて話は変わるが、雑誌『鉄道ジャーナル』は、鈴木文彦先生が担当なさっている「バスコーナー」のページだけ(実は立ち読みで)目を通させていただいているが、最新号(2010年 4月号)の別のページに掲載されている鈴木先生のコラム「鉄道の周辺でいま起こっていること」が面白いよ、と薦められそちらも読ませていただいた(鈴木先生がこのコラムも担当なさっていると実は知らなかった)。内容は地方の公共交通維持と「1000円高速」の問題について、主に西鉄の路線撤退問題を事例に考えているものだ。引用すると<ここからは私見で西鉄に本意を確かめたわけではないが、(中略)合理化計画を明らかにした背景には、こうした公共交通が直面している課題や、放置すれば公共交通網が崩壊しかねないという危機的状況を、地域や自治体に本気で考えてもらいたいという、戦略的な意味も含まれていたのではないか><(地域や自治体は)路線廃止などの現実を突きつけられると、あたかも事業者が公共的な義務を放棄するかのような言い方で、責任を事業者に押し付けがちである>まったく同感である。そしてその後に多くの現場を回っている鈴木先生らしいエピソードが続く。<富士急行線の取材のために現地を訪れた際、鉄道担当者が「沿線に鉄道事業の厳しさや利用が減っている実態を説明してもなかなかわかってもらえない」と嘆いていたので、沿線でいろいろ聞いてみると、どうも「富士急ほどの会社が倒れるわけがない」「ほかで儲けているのだから利用が減っても富士急の鉄道が廃止になるわけがない」といった楽観的な思い込みが蔓延しており、危機感が全く感じられなかった>。別の県では<県はもちろんその県内の市町村も、それまでバスに補助金を出した経験もなく、バス路線がやっていけなくなるかもしれないという発想も、そうしたことへの対応策も(当時)全くなかった>のだそうだ。目に浮かぶようなシーンである。まず、全くもって同感である。同時に、なぜそうなってしまったのかは考える必要があるとも思う。鈴木先生は大人だから(あるいはお立場上か)あえて書いておられないのかな、と(勝手に)感じたことが3点ある。まず1点目は、「○○バスほどの会社が倒れるはずがない」と思い込んでいる人はたしかに地域にも多いが、同時に当のバス事業者の社員にも多いのではないか。さらに最近、事実上倒産に追い込まれた事業者が、産業再生や民事再生などの手法で事業を継続していることが(そのこと自体はいいことには違いないが)「バス事業者は潰れない」という誤った誤解を社内にも与えていないか。事業継続とはいえ、多額の借金を「許してもらった」ことに違いなく、社会に迷惑をかけていることは事実としてバスにたずさわるものは認識をしないといけない。2点目は、バスが赤字でもなんとかしようとする事業者の努力が、結果として上記事態を引き起こしているのではないかという点だ。例えば私個人はいたって健康だが、明朝起きたらどうも胃の調子が悪いとする。だが「まあ、会社にいけないほどじゃないし」と我慢して生活し、そのうち取り返しのつかない胃の病気が進行していたとすれば、私がある日突然いなくなれば家族や会社はもっと困るだろう。悪いなら悪いでちゃんとそれを周囲にアピールしなければ、家族もお医者さんも何もできないのだ。3点目は、周りからそう思われるほど、ちょっと前まで路線バスは「儲かる」事業だったということだ。路線バスが余りに満員で窓ガラスが割れたとか、乗客の重みで車体が沈んで路面と接触して火花が散ったとか、そんな思い出話は既存事業者の古株社員からいくらでも出てくる。あるいは地元の名士企業としての地位が確立しており、「○○さんの息子さん、△△バスに就職したんだってねえ。昔からよくできたもんね」などという会話が地域で交わされたことだろう。それがいま、急激な環境変化にあえいでいる。路線バス事業を投げ出せ、と言っているのではない。路線バス事業を継続させるためには、本来それが「公共」が担うべき分野であることを社会に説明しより多くの公的なお金を入れてもらうしかない。しかしいまのままの制度では補助金垂れ流しが増えるだけで逆に社会から「税金泥棒呼ばわり」されるリスクがある(現実に北海道中央バスの路線廃止問題ではバス事業者2社がかなり悪者扱いされた)。だから自分たちも身を切る姿勢を示し、公共交通網を維持しつつも独占から生まれる非効率さを招かないよう新しい制度をみなで考えるべきだ、と言っているのだ。鈴木先生は<何もせずに流れに任せていたら、バスや鉄道はなくなってしまいかねないという危機意識を、地域に持ってもらうことは大切だ。そして地域の公共交通のあり方を自治体も住民も、本気で議論すべき時がすでに来ている>とまとめておられる。繰り返すが、心底同意した上でなお、付け加えずにいられない。バスがなくなってしまう危機意識を持つべきなのは、そしてその上で地域を議論の場に引っ張り出す役割を担うべきなのは、他でもない、バスでメシを食っている張本人たちである。
2010.02.28
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昨日は、ある既存事業者の課長さんとお打ち合わせ(提案営業)、その後遅くまで食事をご一緒した。明けて今日、その課長さんから「成定さんの話は、腹が立つけど勉強になるなあ」と厳しいメールをいただいた。単に「腹が立つ」としなかった分、やっぱり大人だと、課長さんのお人柄にあらためて納得。このブログでもそうだし、実際に営業に伺っても、なにせ口が悪い方なので既存事業者の皆様には失礼なことをたくさん申し上げていることはよくよく承知している。もちろん、社長さんもご出席のプレゼンテーションのような場なら「よい子」に徹するが、本当に高速バスの最前線を切り盛りしている課長さんや若手社員が相手の場合は、思ったことをズバズバ言うようにしている。私のことをよくご存知の方はわかると思うが、ぱっとした見た目は大人しい印象(のはず)なので、私がずけずけ厳しいことを申し上げると皆さん驚くようだ。最近はもう、私の会社はあくまでマーケットプレイスであって高速ツアーバスのみをお取扱するつもりはないことや、自分たちの販路だけでは届かない客層にまで販売力を提供できるので新規の送客を期待できること、こういった内容はおおむね皆さん既にご理解くださっている(コストとして発生する手数料をどう考えるかや、様々な「政治的な」問題など考慮しなければならないことはたくさんあるとしても)。昨日も、同席いただいていた紹介者の方から「成定さんの話は、“メリット”は極めてはっきりしてるんですよね。後は、その先に何が待ち構えているのかわからず、なんとなく不気味な感じで事業者さんは本能的な恐怖を感じるんでしょうね。そこを払拭しないと」とアドバイスというか、見事な「行事役」のコメントをいただいた。まあ、感覚的にはわかる気がするし、少なくとも先方にそういう印象を与えているのなら、それを払拭するのは営業パーソンとして当然の役割だ。その原因を見つけ出さないとならない。その上で、冒頭に挙げたように私がどうしても黙っていられなくなるシチュエーションというのがいくつかある。最も黙っていられないのが、「地方の事業者は高速バスの黒字で平場の路線バスの赤字を…」という内部補助理論が出てくる時だ。このブログでは何度も繰り返しているが、国の方針は既に内部補助ではない。国交省や日本バス協会がそのように言っているにもかかわらず現場の事業者から未だ錦の御旗のようにこの理論が登場するのが理解できない。「本当は違うんだけど、過去の経緯から言って内部補助っていうのがあって…」という文脈なら私は気にしない。内部補助自体が絶対的に悪だとは思わないからだ。私が怒っているのは、地域独占認可による免許秩序とちょうど背と腹の関係にあるこの内部補助理論は、ある時期において日本の路線バスや高速バスの維持発展に大きな役割を果たしたが、今後、それでは公共交通のネットワーク維持が困難になることは明白だから国も大きく方向転換したにもかかわらず、各事業者がそれを認識していない、あるいはあえて認識しようとしていないことだ。昨日も書いたように、長期的な環境変化の中、本当に少しでも長い期間バスが市民の役に立ち続けようと考えるならば、「よかった頃」の考え方そのままでは通用しない。「悪くなった後」の実情に合わせたバス事業のあり方が求められているのだ。繰り返すが内部補助自体が悪とは思わないが、結局は「変化を拒絶し現状を維持するための錦の御旗」として使われる内部補助理論は、「気がついたら危機に陥っていた」今日のバス産業の象徴に思えて仕方がない。「50年後のバス産業のあり方を考え、本当にバスの将来を憂え、そして本当にバスが大切なら、気軽に内部補助理論を持ち出すはずがない」などと酔っ払って大上段に構え、業界経験豊富な「行事役」から、「成定さん、バスにたずさわって何年? 50年後なんて見えるの?」とたしなめられた。もちろん50年というのは根拠があって挙げた数字ではないが、少なくとも私自身はあと20年30年、そして今バス業界に就職した若い人たちがリタイアするまでバスでメシを食っていくためにはバス産業はどのような変革をしなければならないか、誰かが考えないといけないはずだ。私が今後の人生の中でどのようなスタンスでバスに向かい合うことになるのかは未だ全く見えないが、高速バスに販売サイドからかかわる今の仕事においても、将来たずさわるかも知れない別の仕事においても、バス産業についてのロングスパンのビジョンは忘れないようにしたい。合わせて、既存事業者たちにとって「口に苦い」コメントを続けていきたいと思う(私のコメントが本当に「良薬」なのかどうかは歴史の判断を待つとして、だ)。既存事業者に厳しいコメントをする理由はただ一つ。今後においても彼らがバス産業に対し果たせる役割は大きいと信ずるからだ。高速バスを巡る制度のあるべき姿(端的に言うと、高速路線バスと高速ツアーバス双方の長所短所を比較し、なるだけ長所ばかりを集めた新しい高速バスの制度)が近い将来できあがればいいね、という私の意見に「えらく理想主義的というか、大掛かりな話だね」という反応をいただくことも多いが、高速ツアーバスが生まれた10年前に、やがて行政が高速ツアーバスの存在を追認し公的に認められた業界団体(高速ツアーバス連絡協議会)まで設立されることなどその時点で誰が予想しただろうか。いや、共同運行を前提とした免許秩序が生まれ各地域の路線バス事業者が高速バスに自ら高速バスに参入するようになってわずか30年、ダブルトラックが認められ始めて20年。「業界の常識」だと思われることでもその程度の歴史しかない。あるべき姿は追いかけ続けるものである。今後、お取引先としてお付き合いさせていただく既存事業者はどんどん増えていくだろうが、私たちは、馴れ合いというか、居心地はいいがお互いの成長を促さない関係性を彼らと築くつもりはない。あくまで販売というパートのさらに一部分をお手伝いするだけの関係だが、もしも相手が進化をあきらめ立ち止まってしまえば「もっとがんばれ」とお互いに言える関係を作ることを、いつも心がけていこうと考えている。
2010.02.24
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事業者に営業でお邪魔した際、初対面の方から「ブログ読んでますよ」と声をかけていただくことが続いた。突然のことで聞きそびれてしまったが、どうやってこのブログを知ったのかお聞きしたいところだ(お心当たりの方、また今度教えてください)。やはり『バス経営情報』からリンクを貼っていただいているのが大きいのかな。このブログを読んでいただいている事業者の経営者、担当者の方はけっこうな数いらっしゃるはずだが、私の方から「適当なことばかり書いていますが、よかったら」とURLをお渡ししたか、または私のことをよくご存知の方が私の名前を検索してたどり着いたかのどちらか(あとは、いま現在の仲間たち、つまり高速ツアーバスの関係者)だと思っていたので、あまりいい加減なことは書けないなとあらためて背筋が伸びる感じ。さていま既存事業者にお邪魔すると、とにかく「いいお話」を聞かない。足元のバスの数字も悪いようだし、それ以上に流通・レジャー・不動産など「副業」の数字が悪いとのこと(もっとも鉄道やバスなど運輸業を「本業」とするならそれらたしかには「副業」だが、前に西日本鉄道を例に書いたように、むしろそっちこそ「本業」といってもいいくらいだ)。世の中的に「景気が悪い」のは間違いがないし、さらに「ツアーバス問題」「1000円高速」「補助金削減」……いったい何なんだよ! なんでこんなにバスを取り巻く環境はどんどん悪くなるんだ! (「どうせウチの会社は安泰だから」と親方日の丸気分でタカをくくっている人以外は)本音を言うと大声で叫びたい気持ちだろうしかし、ではなぜバスを取り巻く環境がここまで悪くなったのかについて、きちんと把握する努力を皆さんしているだろうかと問いたい。 よく「経済を考えるにあたって、短期的な『サイクル』と長期的な『トレンド』に分解して理解する必要がある」と言われる。一口に「数字が悪い」という上で、どの部分が短期的(表層的)で、どの部分が長期的(構造的)な問題なのか、分けて考える必要がある。2008年ごろから、いわゆる「リーマンショック」に代表されるように世界的に経済不順が続いている。その結果我が国でも消費全体が小さくなる、バスにかかわる部分では人の移動全体の量が減る。その結果として「平場」の路線バスや高速バスの乗客が前年度より減る。円高によるインバウンド減少も加わり、貸切バスの仕業はさらに減る。それは明らかに短期的な「サイクル」の中で起こっていることだ。ウェブマーケティングをうまく活用した高速ツアーバスが急成長し既存の高速路線バスの乗客まで奪っていったというのも短期的な話で、既存側もウェブマーケティングを活用してパイをもっと大きくすればいいし、制度的に「アンフェア」というならより適した制度に変えていけばいい(現実にそういう流れにある)。だがしかし、もっと「歴史」の視点で俯瞰してみた場合、そのような短期的な変化、つまり「景気が回復したり何か手を打ったりすればやがては元に戻る」悪さではない、長期的構造的な悪さが見えてくるはずだ。まずもってわかりやすいのがモータリゼーションの進展である。1960年代のエネルギー革命によって国内のエネルギー需要が急激に石油にシフトしたことで大いにすたれてしまった石炭産業や、家庭に風呂があるのが当たり前になったことで縮小を余儀なくされた銭湯のように、クルマという便利な移動手段を一般市民が手に入れたこと(その裏側には、所得水準が上がったとか乗用車の価格が下がったとかAT車の普及でお年寄りでも運転しやすくなったとか様々な背景があろう)によって、それまで路線バスを必要としていた人たちがバスを必要としなくなっているという構造的な変化がある。貸切バスにおいては、団体旅行から個人旅行へという旅行形態の大きな変化もある。不動産や流通といった「副業」分野では、駅前一等地に土地や店舗を持っていることの価値は、中心市街地の空洞化とともに相対的に低下し続けている。日経の記事によると、先日閉店が決まった百貨店の売上高は、ピークだった20年前に比べて半減しているが、それを年率に直すと毎年3%減にすぎないのだという。「暖冬だから冬物が売れない」などと言い訳を繰り返すうちに売上が20年で半分となってしまったのである。いやそもそも、バスに限らず、この国のあり方自体が岐路を迎えつつあるのだ。この国を「市場」としてみた場合、従来は一貫して人口が増加するとともに一人当たりの所得水準も向上していたので、その「掛け算」で市場規模は拡大を続けていた。しかしいま、人口の増加も一人当たりの所得水準の向上も、両方が停止している。そしてもっとも大切なことは、多くの既存事業者(いや、多くの日本企業)が、右肩上がりだった時代にその経営が形作られ、いまでもその時代の環境を前提に事業を続けていることだ。具体的には、以前『既存事業者と言う名のビジネスモデル』の項で書いたとおり、今後何十年も事業規模が順調に拡大し続けることを前提にした終身雇用・年功序列のシステムや、土地の価値が今後も上昇し続けることを前提とした企業経営である。そして国は、あるいは大学の先生方は、このような状況の中で既存バス事業者が従来どおりの経営を続けることの困難さに既に気付き(既存事業者が従来どおりの経営を続けられなければ地域におけるバスサービスも従来どおり提供できなくなり、非難が行政に向くのは明らかだ)、バス事業者の自発的な内部補助に頼った従来の路線バス事業のあり方を転換するよう、制度の変更も含め既存事業者に働きかけを懸命に行っているのである。全国の既存事業者について、失礼ながら私がもっとも危惧するのは、そのような国の「親心」にも気付かず、そもそも上記のような長期的構造的(あるいは「歴史的」)な変化にも気付かず、足元における短期的な変化にだけ目が行きがちな姿である。いやむしろ、『「花見酒」から「マッチ売りの少女」へ』の項で書いたように変化に目を背け「よかった頃の思い出」に引きこもろうとする姿さえ目に付く。いま国では、交通基本法制定への準備や「バスネットワークの将来像に関する研究会」など複数の取り組みが並行して続いているが、バス事業者(特に若手社員)はこのような動きについてもっと真剣に情報を集め、それに対し自分自身の確固たる意見を持つべきである。少なくとも、20年か30年のちに経営者の立場に立つであろう優秀な若手は、そのための訓練としての意義も含め、「バス事業の(遠い)将来」について真剣に考える始めるべきだ。このままだと、バスでメシを食えない時代が、本当にやって来るかも知れないのである。
2010.02.23
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私が既存事業者に営業に伺って申し上げている内容を端的に言うと「高速路線バスを私たちのサイトでも取扱させてください」ということだ。今現在は、彼らの基幹システム(「発車オーライネット」など)と私たちのシステムは連動していないから、座席の一部を基幹システム上でブロックし、その席を私たちのシステムに投入してもらうことになる。ホテルや航空会社や高速ツアーバス各社なら販路毎に在庫を分けるというのはごく普通だが、高速路線バスには従来なかったオペレーションなのでその部分は運用面で新たにご負担をおかけすることになる(ただ、ホテル・航空・高速ツアーバスは、予約時点では全ての座席・部屋番号を確定させない運用なので「在庫数(ぶっこみ)」で管理できる。日本の鉄道と高速路線バスは予約時点で座席番号を確定させる運用なのでより細かい対応をせねばならず、そこは確かにお手数だと思う)。ただ運用でワンクッション置くことで、対象座席数を事業者側がリアルタイムにコントロールできる強みがある。週末など、黙っていても満席になる便までわざわざ手数料を払って販売する必要はないので登録座席数を減らせばいいし、それでも続行便が設定されればまた増やす必要が出てこよう。事業者自身が細かくその見極めをやるようになって(高速ツアーバス各社は専任の在庫・料金コントローラーを置いている場合が多い)初めて、各事業者に「自分たちで席を売る」という姿勢が強まるのを期待している。この件は、私がお目にかかる既存事業者の皆様にはおおむねご理解をいただいた印象がある。まあ、既存バス事業者というのは「立派な」会社が多く意思決定に時間がかかるのは仕方なく、今のところご契約いただいている会社は多くないが、少なくともご担当者レベルではおおむねご理解いただいたようだ。で、「では具体的にどの路線から」というような話になると、そこで私たちの感覚と未だ齟齬が出る印象である。私のサイトに登録すれば必ず乗客が増える、と感じてくださるのは光栄だし、私も営業マンとしてはそういう言い方をするわけだが、登録すればさえ予約が勝手に空から降ってくるわけではない。私たちが「インターネットは自動販売機ではない」と主張するゆえんだ。例えば高速バスというのは習慣性が非常に高いので(私たちのサイトでも8割がリピータだ)一人の利用者が同じ区間を何度も繰り返し利用する。先月は青森に行った利用者が今月は秋田、という例は極めて少ない。だから「路線を大事に育てる」という考え方は、既存事業者がこれまでやって来られた道と何ら変わらない。ウェブの場合その速度が異常に速いだけだ。したがって、足元から数字を上げようとするなら、私のサイトで既に十分な実績がある路線ということになる。となると、昨日書いたように、「大都市>地方都市」「長距離>短距離」「夜行>昼行」という傾向だ。高速ツアーバスは、首都圏~京阪神のような主要路線でこそ3列シートなど「特車」比率が上がったものの、その次に位置する首都圏~地方都市の長距離夜行路線ではまだまだで、利用者から「なぜ3列シートがないのか」というお小言を頂戴することも多い。だから、既に高速ツアーバスが一定の規模まで育った区間に高速路線バスが登場すると足元の数字で十分な貢献ができる。現に、弘南バスの「津輕号」は(価格施策も同時に打ったこともあり)順調な滑り出しだ。それとともに、観光地(特に温泉)に向かう路線なら、旅館を予約しようとしている利用者に対し、合わせてバスも勧めることがウェブでは簡単である。九州産交バスの「九州横断バス」については足元の数字は弘南バスほど大きくないが、宿泊予約部門との連携により黒川や由布院への宿泊客の送客を集中的に増加させることで、結果としてバスへの送客も大きく育つことが期待できる路線だ。東京空港交通のリムジンバスは、海外旅行予約部門との相互送客の形が早々に確立しており、まずはテスト的に4路線のみお取扱させていただいているものの、今後、取扱路線数が増えればさらに数字に貢献できるだろう。一方、特に観光要素が強くなく地元で十分に定着しているタイプの地方都市向け昼行路線について「最近数字が悪いから、なんとかしてくれるかなあ」と言われてもちょっと戸惑う。もちろん何度も繰り返しているように大都市側の需要喚起に努めるものの、それはすぐに結果を出せるものではなくじっくりと時間をかけて育てていくものである。この種の路線が足元で数字が悪いのは認知度不足に問題があるのではなく、「1000円高速」との競合や経済不順による移動人口全体の減少が要因だ。つまり、長期的には大都市側の需要喚起という「攻め」が必要だとしても、目先の数字を維持するためには「守りを固める」ことを優先しないといけない。まず必要なのはバットではなくグローブなのだ。商品自体(運賃、車両、ダイヤ)や現状の予約受付方法に改善の余地がないか、事業者が自ら精査することが第一である。もちろんその上で、利用者の裾野を拡大するために私たちのサイトの活用をぜひご検討いただきたい。もっとも、その路線に新規参入(業態が高速路線バスか高速ツアーバスかにかかわらず)が見込まれる場合はそんなことは言っていられないわけだが。駅前に百貨店が一軒しかなかった頃はのんびり営業できたのに、駅の向こうに安くてほどほどお洒落なヨーカドーやイオンが進出することがわかったとたん店舗を改装し広告も積極的に打つようになり……どの世界でもあることだ。商品そのもの、競合の状況、消費者の志向の変化…そういったものを全体的に把握しながら1路線ごとに「処方箋」を書いていく……普通の企業なら普通にやっていることだが、もしかしたら、バスという産業全体に欠けている要素かも知れない。
2010.02.16
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高速路線バスの共同運行事業者どうしで「ツアーバスの攻勢に立ち向かうにはどうすればいいのか」という話題になることが多くなったようだ。様々な地域でそういう話を最近よく聞く。単に私の耳に入るケースが増えたということでもないようで、既存事業者の理解ある担当者によると「ようやくそういう議論が始まったよ」とのこと。私が全国の既存事業者にお出ししている資料が紹介されたりして、「高速ツアーバスの成長は、ウェブによる販売力をうまく活用したからで…」という議論となり、「じゃあ我々もウェブの販売力を手に入れるにはどうすればいいんだ?」というような話になっているということだ。そのこと自体は、私としてはもちろん喜ばしいことである。少なくとも、当初の「違法だから行政を使って締め出せ」、その後の「価格が安いから伸びているんだ(だから我々には戦いようもないんだ)」という高速ツアーバスへの一面的な認識よりは何倍も理解が深まったということだろう。そのような議論が始まること自体は大きな進歩だとした上で、より多面的なアプローチをお願いしたい。そもそも、「ウェブでの販売力」とはいったい何なのか? もちろん、「プッシュ施策とプル施策があって…」というような話は私は彼らに何度も繰り返している。高速バスに関心がない一般的な消費者に対し高速バスの魅力を伝え次回の移動を高速バスに誘導するのが「プッシュ施策」。これは言うまでもなく私たちの独壇場だ。会員組織(6000万人)が高速バス予約以外のサービスと共通なので、メールマガジンを配信するとか、関連性の高い他サービス(例:顧客層が重なる大学生向け就職活動情報サービス)の画面上でバスの情報を露出するといった取り組みだ。一方で、今まさに高速バスを予約しようとしていて、どうすれば予約できるのか迷っている人を自分たちのサイトに誘導するのが「プル施策」。代表例が検索エンジン対策だ。YAHOO!やGoogleなどの検索エンジンで「高速バス」「夜行バス」などと検索された場合になるだけ上位に表示されるよう工夫するのだ。しかし、このような手法で開拓した高速ツアーバスの路線網が「大都市発着」「長距離」「夜行」に大きく偏っていることは偶然ではない。私たちの取扱高の実に76%を「首都圏~京阪神・名古屋・仙台」の3路線が占める(ちなみに高速路線バスでみると3路線合わせて全国の3%しかない)。なぜそうなのか。その点を客観的に把握し、論理的に分析しなければ正しい打ち手は出てこない。1つの大きな理由が、いつも書いているように「“地上戦”を得意とする既存事業者は、“空中戦”を求められる大都市マーケットで掘り起しが不十分だった」という事実である。逆に言うと地方都市では高速ツアーバスの入る余地が既に小さい。2つめが、「短距離・多頻度路線ほど当日発券など気軽な利用形態が好まれるが、煩雑な手続き(事前予約・決済、旅行条件書の手交)を必須とする高速ツアーバス業態はデメリットが大きい」という点で、3つめは「短距離・多頻度路線ほど習慣的利用が多く、“浮気利用”を誘発しにくい(スイッチングコストが高い)」という点である。ちなみに1点目と3点目は、必ずしもツアー業態に限らず、高速路線バス業態であっても短距離路線で新規参入が余り成功しない理由でもある。ちなみに高速ツアーバス側が徹底した“地上戦”を行なった宮崎~福岡では、市場全体が小さくかつ高速バスへの関心が非常に大きいという市場の特性からスイッチングコストは低く、高速ツアーバスが一定の成功を実現している。つまり高速バスにおけるウェブマーケティングは、大都市側で市場を拡大する「攻め」には非常に有効で、全国の高速路線バス事業者にはぜひ「新規需要の開拓」に活用いただきたいものの、冒頭で挙げたような「守り」においては必ずしも有効とは言いがたいのだ。しかし、ではウェブ(あるいはIT)が「守り」に役に立たないかと言うとそうではない。例えば繁閑や座席タイプに応じ価格差を設定できるという点は、もともと高速ツアーバスの方が高速路線バスより事業上で有利な点だったが、最近では高速路線バスの制度もこの点に関してかなり柔軟になった(まもなくさらに柔軟さが増す)。しかし高速路線バス各社が使っている基幹システムで、その柔軟さを十分に使いこなせる機能を持ったものは少ない。ほとんどの基幹システムが、制度が柔軟になる前に基本設計されたものだからだ。「ツアーバスの攻勢に対する守り」を考える上で最も致命的なのが、基幹システムが「レガシー(前時代の遺産)化」していることだ。次に自社サイトでのウェブ予約も課題が多い。各事業者の自社サイト(静的ページ)では高速バスの時刻や運賃を確認できる。だが「いざ予約しよう」という際、また「発車オーライネット」や「楽バス」のトップページへ誘導され動的に路線を再度検索しなおすという動線はストレスが大きく、「ウェブ屋の常識」ではまず考えられない。商店で言えば、せっかくショーケースにはきれいに商品を並べているのにレジの場所がわからず購買をあきらめさせるような作りだ。動的エンジンの改修が必要な場合もあるものの、静的ページの対応だけでクリアする例も多いのだが…もっともIT以外の「商品そのもの」(車両、ダイヤなど)についても書きたいことは山ほどある。あえて1点に絞るとすれば、昼行便の場合、大都市側の出張客・観光客が利用する時間帯(朝大都市発→夕方地方発)と、地方側の地元客を大都市側へ送りこむ時間帯(早朝地方発→夜大都市発)で、地方側の経由地(停留所)が同一でいいはずがない。大都市からの出張客が訪れるのは地方都市の都心であるが、地方側の地元客は郊外の自宅近くや駐車場から乗りたいのだから(なお、大都市側での乗降はどの時間帯も都心ターミナル駅にニーズが集中する。大都市側利用者は郊外の自宅から高速バス停留所まで公共交通機関を利用するからである)。すなわち今既存事業者に求められていることは、大都市側での需要開拓と既存固定客の離反防止という「攻め」「守り」両方であり、それぞれにさらに多くの要素が含まれる。「ツアーバス対策」などという一言で、例えばシステム提供会社やウェブ制作業者などに丸投げできる単純な問題ではない。もう一度、利用者の目線に立って自分たちの商品(と、ライバルに当たる高速ツアーバスや鉄道や自家用車)の強み弱みを客観的に分析する……第一歩として求められているのはその点に尽きる。そしてそれは、全ての企業が当然に求められていることでもある。単に「黒船が来た。追い返せ」で埒が明くはずはないのである。
2010.02.15
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日本企業を取り巻く大きなニュースが相次いだ。キリンとサントリーが経営統合を断念し、トヨタは大量リコールを決めた。その傍から、トヨタと関係が深い座席メーカーによる航空座席に関する不正がニュースになり、その航空業界では、日本航空が現在の提携関係を維持することを決定した。対するANAも基本労働時間の延長を労組に提案するのだという。その意味では、既存バス事業者では数年前から、分社化などの手法による労働条件の見直しが行なわれている。今の労働条件や給与水準を恵まれているとみるかどうかは主観の問題かつ相対的な問題ではあるが、全体では事業として赤字を出している中ちゃんとメシを食わせてもらっていることには、バスにたずさわる誰もが真摯に感謝しないといけないだろう。さて航空に話を戻すと、国土交通省による「成長戦略会議」では、航空分野における提言案が発表された。『トラベルジャーナル・オンライン』の該当記事によると<00年の航空法の改正で国内空港への撤退・参入が自由化されたものの運用上は規制が続いているとし、地域の事情も勘案しつつ、法改正の本来の意義に基づく自由化を推進するべきだとした>とある。法改正により参入が自由化されたはずなのに運用面であまり実現されていないのは乗合バスも同じである(高速バス分野に限っては、高速ツアーバスというまったく別のルールが生まれたことで事実上その壁を突破したわけだが)……話は変わって、私のサイトで高速路線バスの取扱を始めたことで、私の提案営業活動には大きく二つの変化があった。一つは、私がお会いしている各事業者の経営者・担当者の皆様はこれまで、私と会っていることは他の事業者には秘密にしたがっておられたので「横のつながり」が広がらないようなるだけ注意していたが、その必要がなくなったことだ。少なくとも(まだ3社だが)既存事業者が既に私のサイトを活用している事実がある以上、私が他の事業者に営業に伺うこと事態はなんら不思議なことではない。複雑な共同運行関係が張り巡らされている狭い業界だけに、「○○交通の△△課長さんのところには既にご挨拶には伺っています」と言える意義は大きい。もちろん、△△課長さんのご了解が必要だが、その了解がこれまでなかなかいただけなかった。それが最近では、既存事業者にお邪魔すると、「いやあ、先日共同運行各社の会議があって、その後△△課長と飲みにいったら成定さんの話で盛り上がっちゃってさあ」というような挨拶に出迎えられることが多くなった。実際に契約をいただけるかどうかは会社としての判断ということになるが、そのようにおっしゃっていただけるのは営業としては冥利に尽きる。まあ、私も一生いまの会社にいるわけではないだろうから、そのように言っていただく方が業界内に多くいるのは、これからの人生で様々な形で役に立つだろう。もう一つの変化は、これまでは提案営業に回る事業者の順番にも気を使っていたが、今ではその必要がなくなったことだ。例えば、仮に私のサイトで最初に乗合商品の販売を始めたのが、地方部の事業者である九州産交バスと弘南バスの2社(あるいはそのうちの1社)だけだったら……その2社は、業界で微妙な立場になった可能性がある。ましてや、既存事業者の高速バスより先に、新規参入事業者の高速路線バスを取扱うことなど、全国の既存事業者をさらに敵に回す結果になってしまう。だから私にとって「一番乗り」は、首都圏や関西などの「大手私鉄系」事業者の高速路線バスか、または東京空港交通など厳密には高速バスと言えないものの大手私鉄系各社と共同運行を行なっている大規模事業者でなくてはならなかった。しかも「リムジンバスだけ」「定期観光バスだけ」なら、「あれは高速バスじゃない」ということになってしまうので、今回の組み合わせ3社は、私の中では最低限越えなければならないと自らに課したハードルであり、なんとかぎりぎりそのハードルを越えることができたのである。今はようやくフリーハンドを得て、もう少し幅広い事業者にお邪魔することができるようになった。逆に今ぶち当たっている壁と言えば、日本の古い、かつ大きい会社特有の社内政治というか、誰から先に会ってどんな段取りで最終的に誰と会うか、というような話だ。こればっかりは本当に難しい(特に既存バス事業者は!)が、自分が選んだ道である。ある方に「同じ内容でも、別の会社からの提案だったら契約してるんだけどなあ」と言われたこともあるが、いや、高速ツアーバスをここまで育て上げる力(販売力・集客力、という意味でもそうだし、単にシステムを提供するのではなくウェブでの売り方を本気でコンサルテーションする姿勢など)を持つ会社だからこそ、今の会社が高速路線バスを取扱うことに意味があるのだ。他の会社で私が同じ仕事をやっても、あるいは独立して自分の会社を作って同じことに取り組んでも、私が思い描く高速バスの将来像の半分も実現しないだろう。私が望んでいるのは、単に「多くの高速路線バスをウェブで取扱う」ということではなく(それなら既にやっている会社がある)、「ウェブを通して高速路線バスに(そして高速ツアーバスにも)新しい乗客をどんどん送り込む」ことであり、さらにその成功体験を通して既存事業者が「平場」の路線バスのあり方などにも、よりアグレッシブな動きを始めてくれることである。一方、足元では高速ツアーバスに新しく参入したいというご相談も続いているし、現在の取引先も干上がらせるわけにはいかないから、がんばって集客しないとならない。長期的には旅行形態の変化(団体旅行の減少や少子化による教育旅行市場の縮小)、短期的には昨今の経済不順にさらにインバウンド(訪日客)の減少が加わり、貸切バス業界はジリ貧の状態だ。貸切バス業界の皆さんは、今では老舗も新免も関係なく、藁をもすがるように高速ツアーバスに期待をしてくださっている。気がついたら、私たちのマーケティングの成否が、多くの人たちの生活に影響するようになってしまった。気を抜かず、将来像は将来像とし、それを助けてくれる方々に感謝をしながらも、足元の数字はしっかり固めていかないと。
2010.02.09
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本日より、弘南バスの高速路線バス「津輕号 ~TSUGARU EXPRESS~」の取扱が始まった。「津輕号」……まだしっくり来ないが、青森-東京線「ラ・フォーレ1号、4号」からの改称といえばピンと来る方も多いはずだ。3月1日からの弘南バス単独運行化(共同運行会社である羽田京急バスが撤退)に伴い、多少の車両リニューアルと路線愛称の改称、そして曜日別割引運賃の設定(3月中は毎日キャンペーン割引適用)など弘南バスがテコ入れを行ない、これを機に私のサイトでも取扱を開始した。九州産交バスの「トワイライト神戸号」に次ぐ、いわゆる4条の夜行高速バス取扱の第2号だ。この件は、日本経済新聞の首都圏版やウェブ版でも報じられているが、特に東北版ではバスの写真入りで地方面のトップに大きく掲載いただいた。高速道路料金の件や<地方都市と東京を低料金で結ぶ「ツアーバス」も相次いでいる>ことを受け<東北の高速路線バスを取り巻く環境は一段と厳しくなることが予想される>上に、東北新幹線の青森延伸の影響も危惧されるため、<弘南バスはネット予約の導入で若年層などの需要を掘り起こしたい考えだ>。私の会社についても<東北をはじめ各地の路線バスの取り扱いを模索しており、他の路線バスでも広がる可能性がある>とまとめられている。さて、旧「ラ・フォーレ号」と言えば、以前にも書いた通りかなりの紆余曲折を経てきた路線だ。弘前-東京線「ノクターン号」の大成功を踏まえ弘南バスと京浜急行電鉄(当時)が共同運行で青森-東京線の路線開設を申請した際JR系と競願となり、当時のルールではダブルトラックは認可されなかったので4社で2往復の共同運行となった。なお、その後国際興業系が同区間を申請した際にはダブルトラックが一般的となっており、その「ブルースター号」とは競合関係になっている(結局「ブルースター」が撤退)。一方で昨年7月、4社中1社、JRバス関東が撤退を表明したことを機に、1往復は弘南バス/羽田京急バスの共同運行、1往復はJRバス東北の単独運行として、起終点と愛称こそ共通であるものの、予約方法や発券窓口は別々となるなど営業上は別の路線となっていた。その「別系統化」の際、隠れた大きなエポックがあった。別系統化以前は「マルス」による座席管理を原則としJR駅の「みどりの窓口」を中心に販売されてきたのだが、別系統化に当たって「マルス」による座席管理はJRバス東北が運行する「2号、3号」のみとなり、弘南らが運行する「1号、4号」は「みどりの窓口」での発券を行なわなくなった(代わりに「発車オーライネット」などのウェブ予約を多少充実)。それ以降、「1号、4号」の苦戦が伝えられている。この一件は何かを象徴している。「高速路線バスは既に地域に定着している」などと私自身もよく言うが、定着しているのは路線そのものではなく予約受付方法や発券窓口なのである。「ラ・フォーレ号」のリピータは、とりあえず習慣的に「みどりの窓口」に行く。そこで2往復の候補を示されれば「(出発時刻が)早い方」か「遅い方」かを選んでいたかも知れないが、一方しか示されなければそちらに乗る、ということなのだ。もちろん「東京駅21:30発(早く出発する方)」や「弘南/京急が運行する便」をあえて好んで、弘南/京急が用意した新しい予約方法(電話、ウェブ、弘南の窓口)に移った乗客もいるだろうが、その乗客だけでは席を埋め切れなかったということだ。逆に、「発車オーライネット」などでウェブ予約を開始したからといって、それ自体は集客能力を持たないから新規客の開拓も進まない。単純にウェブ予約に対応すればさえ乗客が増えるわけではないのだ。そして京急側は撤退という選択をし、単独運行化を機に弘南は私のサイトでの取扱を決めた。半年の間、弘南と京急の間でどのようなやり取りがあったのかは知る由もないが、あくまで結果から見れば、京急側は、数字が悪いことに対し何ら有効なテを打たないまま撤退を決めたということであり、ちょっと物足りない。大都市側事業者が撤退し単独運行に追い込まれる夜行路線は多く、「トワイライト神戸号」「津輕号」ともにそのパターンであり、たしかに私のサイトとしてお手伝いしがいがあるとはいうものの、私たちは何も「大都市側事業者の販売力の肩代わり」を生業とするつもりはない。大都市側事業者が自ら共同運行を続ける路線であっても販売力の上乗せに活用していただきたいし、できるなら京急側が撤退を決断する前に、数ヶ月でもいいので販売をお手伝いさせていただき、京急側の採算ラインを上回る乗車率に導けるかどうか、私たちが本当に有効かどうか試していただきたかった…一方で弘南バスに目をやると、業界内での評価は多少ぶれる。誰しもが採算を疑問視する中、帰省バスの実績と「地元ならではの直感」で「ノクターン号」を開設し全国に「高速バスブーム」を巻き起こしたのが1986年。その後、同路線に女性専用車や超高級スーパーシートを矢継ぎ早に投入する一方、上記「ラ・フォーレ号」など路線新設を重ね「地方既存事業者の鏡」とも言われる。反面、最近では、自社の高速路線バスに併走する形で4列シート車を使った廉価版高速バス「パンダ号」、そしてとうとう自社の旅行・貸切バス部門による高速ツアーバス「弘南バスツアーズ」を企画・運行するなどし、業界の秩序を乱しているという人もいる。しかし弘南バス自身からすれば、「ノクターン号」から今回の「津輕号」まで、地元の乗客のニーズ応え、かつ彼ら自身も成長するという意味で一連の流れの上にあるだけである。どこまでが「鏡」でどこからが「出る杭」なのか、それを判断するのはマーケット(乗客)であるべきで、決して「業界の秩序」であってはならない。私たちとすれば、とりあえず高速路線バス2社目(東京空港交通のリムジンバスを含めれば3社目)。いずれも単独運行路線ばかりだというのはもちろん偶然ではない。既存事業者にとって私のサイトで販売するというのは難しい意思決定に違いなく、共同運行会社との調整は大変だからだ。さあ、次の取扱路線からは、なんとか共同運行路線も取扱させていただきたいと考えているのだが。
2010.02.02
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