第4回はダスティン・ホフマン主演、アーサー・ペン監督の「小さな巨人」です。
「明日の向かって撃て!」を見に行って、抱き合わせで見たのだけど、完全に勝ってしまった作品です。
といってもこの作品、一般的な評価はあまり高くはありません。
このブログを書く時には、傍らに『大アンケートによる洋画ベスト150』という文庫本をおいて細かい所は一応チェックしているのですが、150位に入っていません。
それどころかアンケートに答えている映画通366人の誰もポイント入れてません。
不思議です。
僕は始めてみた時からベストテンに必ず入る傑作だと思ってましたが。
もっとも、僕のベストテンで他の人が評価しない作品はまだまだあるので、映画の評価は受けてのそれぞれの事情により大いに変わるものだということが良くわかります(それとも僕が変?)
後に、ケビン・コスナーが同じようなネタ(白人がインディアン社会に入って白人社会を見るというモチーフ)で「ダンス・ウィズ・ウルヴズ」という作品を取りますが、だんぜん「小さな巨人」方がいいです。
評価がもう一つ高くないのは、当時の世相として『ベトナム戦争』を離れて物事を考えられなかったということがあります。
被征服者側から撮った映画、すなわち反戦色の濃い映画、そういう色のついた映画、ということになります。
そのころの僕のスタンスは、もちろん‘ベトナム戦争反対派’、深い考えはまるでなく、ただ時代を体現する若者の資格として、何の疑いもなく反戦の立場にいました。
だけどそれだけ。
デモに行くわけでなく、署名するでなく、ボブ・デュランがそういうからってだけ。
中国のスパイがどれだけ日本に暗躍してたかはわかりませんが、あの時はマスコミもこぞってベトナム戦争反対、それも反米の立場で。
後にアメリカが撤退し、ベトナムに平和な暮らしが来るのかと思っていたら、共産軍の大狼藉。
騙された!と思いましたね、違うじゃないみんなが言ってたことと。
ま、そんな話は今度にして、とにかく形は反戦、中身はノンポリの僕でした。
だから、この作品を見ているときも‘ベトナム’なんてこれっぽっちも思いつかなかったですもん。
また、『カスター将軍』というのは、アメリカ(当時の)にとって‘いじっちゃ’いけない存在だったのかもね。
日本で言えば、誰かなあ、乃木将軍?山本五十六?
でもまあ評価されない理由はどうでもいいことでした。
僕にとっては最高に近い素晴らしい映画です。
スケールの大きさ、ストーリーの展開の面白さ、人間性が良く現れたエピソード。
そしてすべてがクライマックスに繋がって行く緻密なプロット構成の巧みさ。
さらに、作品を通じて、視点を変えて物事を見るということの大切さ、正しい価値観は立ち位置によって変わるんだということを学べました。
そして役者です。
ダスティン・ホフマンについて、その時点でどれくらい僕は知っていたのだろう。
芝居がうまいって言うのはこういうことなのかと初めて感心しました。
10才から121才まで演じ分けるのも凄いですが、僕が一番しびれたのは、クライマックスの手前の、カスターとの対話シーン。
この先の谷へ軍を進めるべきかどうかカスターがダスティンに尋ねます。
彼は谷にインディアンが待ち伏せをしているのを知っています、しかもカスターを恨んでいる。
どう返事をすれば自分の思いどおりになるか、また、自分の思いとは何か。
一瞬の間、迷い…。
このセリフのない一瞬の芝居が素晴らしかったですねー。
僕はこの頃小説家に憧れていて、自分の文体をどのような形にするべきかなんて考えてたのですが、このダスティンの芝居、文章にしたら身もふたもないですよね。
‘小説’という自己満足の世界から(同人誌を作ってたりしたもんで)新たな世界に憧れが生まれた僕にとって記念すべき作品でした。
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