友人のM子が彼氏のことでこぼしに来た。
喧嘩をしたわけではないようだが、彼女は怒っている。
ことの発端は些細なことなのだが、結婚を考えている女性としては不安材料であるらしい。
M子は一度失敗を経験しているので、学習している。
早速と言うわけではないが、翌日彼氏であるQ君と話しをする機会があったので説教することに。
「あのなあ、彼女が何かを主張したとするだろ、あるいは感情を出したとする、そん時はな、まず、同調しろよ」
「同調?ですか」
「彼女が何かに対し、怒っていたら、とりあえずいっしょに怒るの。まあまあなんて収めなくていいの」
「ああ、解りました、言ってること。あれはですね・・・」
「いいんだよ、問題がどうでも。社会的常識とか、まして正義がどちらにあるかなんてどうでもいいの。二人がこれから長い人生、どうやっていくかってことなんだから、まず、パートナーと同じ方向を見ることが大切なの」
「はぁ」
「何か彼女が言ったら、まず『そうだよね~』って言うの。とりあえず『そうだよね~』って言ってから後を考えればいい。大事なのは、俺はお前の味方だぞって、意思表示を常にすることなんだよ。二人が力を合わせて生きていくんだから、気持ちはいっしょだよってことを伝えることがまず重要なんだな。なだめるんじゃなくて、いっしょに怒るくらいでいいの。向こうが逆になだめるぐらい怒ったっていい」
「はぃ」
「大事なのは、同調すること。そのためには、まず『そうだよね~』って言えば伝わるでしょ。ちょっと違うぞと思っても、『そうだよね~』って言ってから、『でも、こういうこともあるかもね』っていえばいいわけでしょ」
「はい」
「どうしても賛成できないことはね、『なるほどね~』って言うんだ。『なるほど、そういう意見もあるのか』って意味でね。とにかく一旦は相手を受け入れる、理解を示す。自分の意見はどうでもいい。世の中の大体のことはどうでもいいことなんだから。それより二人の関係の方がよっぽど大事。言っただろ、君の魅力は"包容力"なんだから、わがままでも何でも受け止めろ」
「まず、『そうだよね~』って言ってから、ですね」
「そうそう、ちっちゃいことで感情こじらしたら、修復するのにえらい苦労することになるだろ。それを考えれば『そうだよね~』と言うぐらい安いもんだ。
いつも二人が同調する心構えでいれば、それだけで一生うまくやっていける。二人の波長が合わせる努力をしないで、自分を主張しあえば、ぶつかって、心の糸が切れ、夫婦は破綻する。俺は2ヶ月で終わってしまった・・・。いったん切れるともう修復はできなくなっちゃうんだよ」
「はい解りました。勉強になりました。」
Q君は素直な人物なので、うまくやっていけるだろう。
我ながらうまくアドバイスできた気がしたがしたが、よく考えたら『そうだよね~』には出典があった。
嘗て、"成功哲学"本に溺れていた頃、ナポレオン・ヒル、ロバート・シュラー、デール・カーネギー、スティーブン・R・コヴィー、ロバート・キヨサキなどといっしょに斉藤一人の本もよく読んでいた。
たしか、そのなかに「そうだよね~」があったと思う。
成功哲学系の本は机の下にまとめて放り込んでしまったので、もぐりこんで探してみるとやっぱりあった。
斉藤一人は、漢方による化粧品や健康食品をあつかう「銀座まるかん」の創業者で、1993年から事業所得だけで10年連続、全国高額納税者番付10位以内という、まごうことなき成功者だ。
「困ったことはおこらない」という楽観姿勢で成功し続けている。
『変な人の書いたツイてる話 パート2』
「そうだよね、わかるよ」。
これは何かというと、商人というのは争いごとを起こしてはいけないということです。もちろん、商人でない人もそうです。
世の中には、自分とずいぶん違う意見をいう人がいますが、「違う」と言ってはいけないんです。
「そうだよね、わかるよ」
という。
ここで言う「そうだよね、わかるよ」はどういう意味かというと、「あんたの言っていることがわかった」ということであって、その人の意見に賛同しているわけではないんです。
「そうだよね、わかるよ」と、まずこれを言うんです。そこではじめて
「こいつは俺の仲間なんだ」
と思ってくれる。すると、人の心はふぁっと開くのです。
私がいくら「ツイてるって言うとツイてくるんだよ」と言っても、なかには、
「そんなことで世の中うまくいくわけないから、『ツイてる』なんて言わないよ」
という人がいるんです。でも、そんなときに、
「そうなんだね、わかるよ」
と、相手をいったん受け入れておいてから、
「俺もそうだったけどさ、やっぱりツイてるって言っておいたほうがいいかもしれないよね」
というと、仲間の言うことは聞こうかという気になるんです。
「そうだよね、わかるよ」
を口ぐせにしないと、なかなかこの技は使いこなせません。だから、ひまなときに、話し相手が誰もいないときでも、
「そうだよね、わかるよ」
と、シャドーボクシングのようにね、これを繰り返し言ってみてください。
これをやっていると、相手が少しぐらい違うことを言ったときに
「それは違う」と言いそうなところでも、
「そうだよね、わかるよ」とうなずけば、二人は手を取り合えます。
斉藤一人の成功哲学で金持ちにはならなかったけど、心の豊かさは得られたと思う。
若い頃は、自分を主張することに汲々としていたから、相手のことなんて考えていなかったかもしれない。
相手に賛同するのは、自分を曲げる事ぐらいに思っていた。
自分で壁を造って、生き辛くしていた。
本を読んで、頭で理解しているだけではたいした役には立たず、実践して体験して初めて身につく。
「そうだよね~」は確かに身になった。
会話がバリアフリーになって通じ合うさまを実感した。
ありがたいことだ。
近藤誠著『「健康不安」に殺されるな』 2023年04月15日
ダニエル社長著『コロナと金』 2022年09月27日
ジェフリー・ケイン著『AI監獄ウイグル』 2022年02月05日
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