「耳かき店員ら殺人 裁判員判決」に、デヴィ夫人がブログで怒っている。
http://ameblo.jp/dewisukarno/entry-10694089236.html
僕の感想も概ねいっしょだ。
死刑判決が出なかったことに違和感を覚える。
素人の裁判員では、死刑判決が出せないと言うことなのか。
テレビを一緒に見ていた義母も不満だったようだ。
「なんで死刑じゃないの。無期懲役たってすぐ出てこれるって言うじゃない」
「通常、落ち度のない人を、二人殺せば死刑のはずなんだけどなあ」
「落ち度って、あのおばあちゃん何も悪くないじゃないの」
義母の感情移入は、いっしょに殺された耳かき店員の祖母にあったらしい。
もちろんおばあちゃんには落ち度はない。
問題は、耳かき店員の女性に落ち度があったのでは、と言う疑問を裁判員が抱いたことである。
女性にも落ち度があると思われれば(-α)の情状が働き、2人-αで二人でなくなる。
内心死刑判決は出したくないと思っている裁判員は、被告の落ち度を探したくなる。
デヴィ夫人のブログにつけられたコメントは、ほとんど夫人の意見に賛成というものだったが、一通だけ違う意見を持つ人もいた。
「はじめまして。いつも拝見させて頂いています。
今回の判決についてですが、個人的には妥当な判決なのではないかと思います。
前科がないということもありますが、私は被害者側にも落ち度があると思います。
指名制で膝枕で耳かきをするという内容は一般的な仕事と比べると疑問があります。
このような店に通う人はオタクや女性経験が乏しい人や思い込みが激しい人が集まりやすいのではないかと思うからです。
社交辞令で『また来てください』などの発言は勘違いする人がいると思いますし、膝枕で耳かき、と恋人同士でやるような行為だから余計に勘違いする人はいるのではないかと思います。
女性の目線から見ると、時給や給料が良くなければそのような微妙な仕事するとは思えません...なので私は『ストーカー行為を受けやすい環境を被害者自身も作った』と思いました。」
そして冷静な考え方で、確かにこのように考える人も多いと思う。
高い給料は"危険手当"という認識なのだろう。
そして、裁判員の多数もそう思ったのなら、弁護側の作戦勝ちである。
裁判とは、検察側の陳述と、弁護側の反論のどちらに軍配が上がるかを競うもので、決して正しさを争っているわけではない。
今回は、弁護側の勝ちであった。
しかし、そうだろうか。
荒木創造著『ストーカーの心理』によると、ストーカーの定義が決まっているらしい。
2000年国会成立のストーカー規正法「特定の人に対する恋愛・好意の感情やそれに派生する怨恨の感情を満たす目的で、つきまといや待ち伏せをしたり、面会や交際を要求したり、無言電話をしたり、著しく乱暴な言動を働いたり、汚物を送付したり、名誉を害することを告げたり、性的いやがらせを反復しておこなうこと」
目に付くのは「恋愛・好意の感情やそれに派生する怨恨の感情」というくだりだ。
ほとんどの場合が、恋愛感情のもつれに起因するのだと言う。
荒木創造の分析によるとストーカー事件は二つに分けられる。
「恋人同士、または夫婦であったものが、一方が関係を切ろうとしたところ、もう一方がそれを許さずに、ストーカー行為に及んだもの=別れ話のもつれ型」と、
「単なる知り合い程度か、ほとんど知らない同士なのに、一方が勝手に熱を上げて近寄り、相手が断るとストーカー行為に及んだもの=片思い型」の二つに分けられる。
『桶川事件(高崎線桶川駅前で、女子大生が元交際相手とその兄の友人に殺害された事件。被害者はストーカー行為に対し再三警察に助けを求めていたが、桶川署は取り合わず放置していたことが問題となり、ストーカー規正法制定のきっかけとなった)』は前者であり、今回の事件は後者になるのではと思う。
つまり、被害者の女性は、仕事として被告に耳かきサービスをしていたのであって、恋愛関係が誕生するはずもない状況だった。
21歳の女性と42歳の中年おたく風男に恋愛感情が生まれる可能性はきわめて低い。
被告自身も「恋愛感情はなかった」と公判で述べている。
なかったのは被害者の感情を代弁したもので、被告の方は“妄想の恋愛感情”を持っていたはずだ。
男は簡単に妄想の世界に埋没する。
『耳かき』は男の欲望を利用した商売で、バーチャルな空間の遊びであった。
しかしここに、商売という境界線が判別できない男もいるのである。
コメントの主もそこを指摘している。
これが、風俗店であれば、男は性射してしまえば性欲は満たされるので完結できる。
酒の店であれば、アルコールが快楽を造成するので、欲望は収まる。
然るに、『耳かき』はというと、雰囲気のある個室で、若く美しい女性が膝枕で、耳かきをしてくれる。
癒しの台詞などもマニュアルとして存在していたかもしれない。
夢のようなひと時である。
本来ならばその時間を楽しみ、代金の分だけくつろいで帰ればよかったのだが、それで片付けられない男もいる。
性格欠陥者である。
程度の差はあるが、この手の人間は世の中にはかなり多く存在する。
性格欠陥者は自分の行動に歯止めが掛けられない。
そしてストーカー行為を、自分勝手な理由付けで繰り返す。
ストーカー資質を持つものはおしなべて一見真面目で、気弱でやさしく、几帳面に見える。
しかしその仮面の裏には、あきれるばかりの幼児性、妄想癖、自己愛、劣等感が潜んでいる。
ストーカー被害に遭った女性のサイトがあったので、参考に見て欲しい。
http://tantei.web.infoseek.co.jp/stalker/
この女性にはまったく落ち度はない。
然るにこれだけ嫌な思いをすることになる。
殺されなかっただけまし、というのでは冷たい言い方だが、実際危なかったといえる。
ストーカーは自分を傷つけた相手に対し、猛烈な復讐心を抱く。
脅す、社会的に苦しめる、金銭を要求する、暴力をふるう、そして殺意を持つ。
女性に落ち度があったと断じてしまうには、彼女達は弱すぎる。
性格欠陥者の魔の手からは、無条件に守ってあげるべきだと思う。
『ストーカーの心理』にはターゲットになりやすい人(女性)の特徴が述べてある。
1・ 特別に美人というよりも、きれいでかわいいというタイプ。大部分の男と同じように、ストーカーはまずこのような女性に好意を持つ。
2・ 笑顔や声や身体の動きに清潔な色気や甘さがある・・・性的にひきつけられる。
3・ 明るくて社交的・・・声をかけやすいし、話しやすいと感じる。
4・ 強烈な個性は感じられない。一部の女性の持つ女の怖さが感じられない。
5・ やさしく、おもいやりがあり、心が広そう・・・自分を理解して、よく話をきいてくれそう。
6・ 服装や髪型なども適当に流行を追っておしゃれしているが、過激な感じはなく、素直で自然な雰囲気。一部の女性が持つ奇異な感じや幻滅感をあたえない。
7・ 社交的なわりにはどこか寂しげで孤独。ストーカーは孤独な人間を見ると、自分の世界に引き込めるかもしれないと思うのである。
8・ 気が弱そう。強く要求したり、脅したりすればなんでも言うことを聞いてくれそう。
9・ 怒ったり、ヒステリーを起こしたりはしない・・・ストーカーにとってはすぐに怒り狂い、ヒステリーを起こす女性ほど苦手なものはないだろう。自分がそうなのだから。
10・ 男も含めて人間を信用していて、新しい男とも恋愛関係に入るのにあまりちゅうちょしない。
もし女性が恋愛関係に入るのを恐れていたら、ストーカーに襲われるということもほとんどなくなるだろう。
ごく当たり前の一般的女性像が浮かぶ。
ストーカーが好むのは普通の女性ということならば、“普通”と言うことが危険な条件いうことになる。
もしあなたが、この範疇に入ってしまう人なら、今すぐ周りに気をつけたほうがいい。
ストーカーはあなたのすぐそばまで迫ってきているかもしれない。
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