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断片 ウルトラセブン第一話のシナリオ書き込みについて

 これは川端氏の論に大いに触発された部分だが、セブン第一話のシナリオには次のような書き込みがあった。

「人類の“平和”について良く語られる“完全平和”それはもし……という仮設(ママ)故に現実性のないものだが、宇宙人の侵略がもしそのドラマをつらぬくことによってそれ故に地球の平和が乱されるとすれば、仮定の“もし”が現実に与える力がないかしら」(池田憲章『ファンタスティック・コレクション ウルトラセブン』)

 まず重要な点は、虚構が現実に何らかの力を与えられるかもしれない、という発想は、金城にとってはこの場かぎりのものではなく、信念に近いものだった、と考えられるという点である。
 帰沖後の金城は、沖縄芝居第一作の「佐敷のあばれん坊」脚本中に次のような走り書きをしている。

「芝居とは現実から別世界に遊ぶ、感情的な美の表現である。また、もう一つの芝居は現実改革の手段としての演劇である」(『金城哲夫の世界』p.57)

 金城は佐々木守のように、社会問題に対する見やすく直截的な批判はしなかったが、エンターテーメントを閉じた世界とせず、現実に開かれたものと考えていたのである。

 最初の書き込みに戻って、この書き込みから受け取れるのは、まず金城があらゆる戦争、紛争が無い「完全平和」というものに、現状では懐疑的だった、という点である。しかし「宇宙人の侵略」をうける架空の地球では、「完全平和」が成り立つ。
 ただ、この部分だけでは「内乱を鎮めるには、戦争に限る」というロジックと同様であり、現実に歴史上、国内矛盾を解消するために行われた戦争は数多いのである。従ってそれは現実そのものの写し絵に過ぎず、「仮定の“もし”が現実に与える力」は存在しない。


 その一つは、1958年ガガーリンの「地球は青かった」という言葉によってもたらされた、地球主義ともいえる考え方である。侵略ものでもっともポピュラーな侵略理由はなんといっても「美しい地球」に対する、宇宙人の欲望であり、この地球の美しさにおいては国家や民族は対立しない。

 これは私が見過ごしていてシリカゲルさんに教えてもらったのだが、セブン第一話の放映時カットは、ラスト部分だけではない。
http://homepage3.nifty.com/umt/bbs.htm

アンヌ、ダンを案内して入ってくる。
アンヌ「ここが私の部屋、メディカル・センターよ・・・ウルトラ警備隊のために、キズまで負って闘ってくれたお礼に、何かプレゼントしたいわ。あなたが一番好きなものは、なぁに?」
ダン「地球!」
アンヌ「(びっくりして)地球?」
ダン「そうです。僕が闘ったのは、ウルトラ警備隊のためだけではない。この美しい地球のためだ」
アンヌ「さすがは風来坊さんね。スケールがあっていいわ。お望み通り、青く美しいこの地球を心をこめてあなたに差し上げるわ」
アンヌ、笑う。
ダン「ありがとう。宇宙広しといえども、こんなすばらしい星はないからね。僕はいのちをかけて地球を守るよ。悪魔のようなヒレツな手段で地球を盗もうとする宇宙人がウヨウヨしているからね」
(『ノンマルトの使者』p.69)

 広い宇宙を知っているウルトラセブンに、地球はお墨付きをいただいている。地球人はそのような幸運にもっと感謝すべきなのである。
 さらに地球のすばらしさは、美しさばかりではない。第8話「狙われた街」では、宇宙人が目をつけるほど相互に信頼し合う「人類」が描かれている(既に述べたとおり、このテーマは実相寺監督によって逆転された)。また第11話「魔の山へ飛べ」では、若い生命力を持った地球が狙われてしまう。侵略理由のバリエーションとは、地球のすばらしさの再確認なのである。そしてこのようにすばらしい地球は人類に大切にされるべきである。

 もちろん以上の記述は、大きな欺瞞を抱えている。侵略によって確認される地球の価値が、たとえ視聴者に実感し得たとしても、虚構世界の中では血なまぐさい戦闘が続いているのである。虚構内部の侵略戦争によって、現実世界の「完全平和」をめざすという、ごまかしに過ぎないとも言える。

 それゆえ金城は、虚構内部においても「完全平和」を試みようとしている。第7話「宇宙囚人303」である。この作品では宇宙普遍の「正義」が語られている。303号は例外的な犯罪者であり、しかもセブンが手を出す必要もなく、「自業自得」のもと自滅していく。この作品でセブンが手をださないという点は、相当に意図的だと思われる。なぜならセブンがやっつけてしまうと、それは善悪の問題ではなく、結局セブンの方が強かった、ということに過ぎなくなってしまうからだ(注)。悪は滅びるという普遍的な原則によって303号は自ずから滅びてゆく。そしてキュラソ星と地球は友好関係を築くのである。
 この作品はシリーズにおいては、おそらく一回しか使えない手法である。そもそもウルトラの見せ場は、ヒーローと敵との戦闘であり、毎回のように勝手に敵が滅びたり、話し合いによって決着がついたりしては番組自体が成り立たなくなる。話し合い決着型はウルトラマンで一回使ってしまったため(第33話「禁じられた言葉」金城)、ウルトラセブンでは避けられたのかもしれない。まさに「禁じられた手法」であって、第14、15話「ウルトラ警備隊西へ」は、娯楽番組としての「ウルトラセブン」の限界を示す作品と言えるかもしれない。


 チーフライターという立場の中で、唯一自己の築き上げた世界に異議を唱えた作品が、第42話「ノンマルトの使者」であると思われる。これは同時に、沖縄と本土の架け橋になる、といって沖縄を飛び出した、金城哲夫という「使者」の苦悩を示す作品であった。

(注)「ウルトラマンコスモス」は「完全平和」を前面に押し出した作品である。劇場版第一作では、敵わないとわかったバルタン星人が自爆するという手法でこの問題を切り抜けている。第二作で「結局強さが正義なのだ」と主張するサンドロスとそれを否定するコスモスとの対立は、なんとサンドロスを力で倒すことによって決着する。サンドロスは、自らの死をもって自説の正しさを証明したのである。





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Last updated  Jul 1, 2003 07:59:54 PM
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設定の難しさ・・  
紫藻 さん


 これは、重要なキーポイントをこれから考えねばならないという、あえて言うと見切り発車的な状況に“迷い”をしておられた印象を受けます。じっと止まって考える状況がないような慌しさも感じます。
 以前、「驚きももの木20世紀」というテレビ番組で、金城哲夫さんの特集があり、市川森一さんが出演されていました。録画を持っていますが、それによると、「ウルトラマンで、正義が曖昧になるジレンマが出てきたので、ウルトラセブンではいっそのこと宇宙からの侵略者を登場させて、最初から白黒をはっきりさせる設定にした。ところが、当時、ベトナム戦争が始まり、正義が益々曖昧になり、金城さんらと飲みに行くと、いったいどうすればいいのか?と、その話ばかりであった。最初の設定が完全に裏目に出てしまった。」とおっしゃっていました。
この問題は「ノンマルトの使者」で、かろうじて救われたと思いますが、金城さんは、マンの後に、実はスペースオペラ的な企画を作っておられましたね(「ウルトラマン島唄」上原正三著)。これは、マンの後だけに、かなり「本気度」の高いものだったと思うのです。
その設定は、地球と火星の間に宇宙母船「ステーション“マザー”」が建設され、そこで宇宙の警察活動を行うのが、「ウルトラ警備隊」であるというもの。マザーの役割は、惑星へ行くロケットの中継基地、航路計算、管制、観測、救助、紛争の調停などですが、その救助と紛争の調停が警備隊の役割。
これは、地球が本土で、惑星が世界、そして、マザーは沖縄という位置関係であると思うのです。(マザーという命名も、金城さんが学んだ、柳田國男の沖縄伝来論からして意味深長だと思います)
金城さんは、万国津梁たる沖縄の素晴らしい将来像を描きたかったのではないでしょうか? そこには、アンドロイド「ジョン」(金城の城の語感に思えますが)君が超秘密兵器となっていますが、こちらの設定なら、何とか問… (Jul 6, 2003 07:07:13 PM)

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