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狐官女澤田ふじ子☆☆☆☆☆ 江戸時代の京都が舞台で、安部清明の末裔である土御門家に仕える占いをする公務員(これ、昔のオタク仲間の言葉だが言いえて妙)陰陽師であり、その中で安倍清明が使役した十二式神の子孫で触頭と呼ばれる笠松平九郎が主人公だが、この本では、教養ある(座右の書は徒然草、閑吟集、沙石集だ)浪人で暮らしに困窮して時折辻占いなどをやる小藤佐兵衛がもう一人の主人公で、何かと平九郎を助ける。因業な髪、闇の言葉、奇瑞の鞠、狐官女、吉凶九十一段、畜生塚の女、浄衣のあだ討ちからなる連作短編集。 初めて読んだ著者。江戸時代の時代小説もあまり読まないので新鮮だった。手に取った理由は、登場人物の京都弁が気に入ったから。(が、読んでみると結構読みにくいかも…) 陰陽師は上に書いたようにこの時代はすっかり公務員化していて、庶民の相談役になっている。著者の解釈では厳罰で犯罪を抑止する奉行所、社会福祉の感覚で貧しい人々に住むところなどを援助する大店の裕福な商人たち、そして庶民のささやかな相談事に応じる陰陽師という仕組みで社会の秩序が保たれていたという。 市井の人々の細やかな生活でストーリーは展開していく。土御門家の当主泰栄はあまり出てこなかったが、その家司頭赤沼頼兼は結構狸親父っぽい。主人公の平九郎は実直でちょっと上に何かつくかも…。そして平九郎に兄事され、赤沼からも一目置かれる佐兵衛も老成した知恵者だが、仇討ちに放浪している男の娘を未婚で預かっているなど、ちょっと不器用な生き方をしている男だ。あまり派手な場面はなく、仇討ちといっても、結局相手も報いを受けているため、実行には移されず和解…という平穏な展開。まあでもあまり絶対的にいい・悪いというのは意外に存在しないものだと思うが。 京都弁を(ちょっと読むのに時間がかかっても)読みたいので前巻も読んでみたいし、今後佐兵衛がレギュラー化しているなら、もっと平九郎と実懇になって欲しいかも…。また、解説に仄めかしてあったことも面白い。シリーズ作を探してみようと思う。
October 14, 2009
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北川歩実創元推理文庫☆☆☆☆ 前に先端技術をネタにしたミステリを読んで面白かったので読んでみた。連作短編集。 が、正直入り組んだ親子関係がテーマなのはわかるが、一晩で読んだせいか、入り組んだどんでん返しにはピンとこなかったし、短編集なのにいたずらにストーリーが入り組んで分かりにくくなっているような気がしないでもない。そのせいで、緊迫感が薄れちょっと冗漫な感じがする。また、連作ではあるが共通の探偵が登場するだけで、一つのストーリーが潜んでいるわけでもないようだ。ただ、表題作の小説は面白かった。ただ、長編で読んだほうが私は好みの内容かも。
October 7, 2009
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ひたひたと野沢尚講談社文庫☆☆☆☆☆ 数年前に突然亡くなった著者の遺作。 合計5部の連作になる予定だったうちの短編2編と執筆間近だった長編のプロット。 短編2作は倒錯したエロチックさの中でどこか戦慄するような怖さがあるが、ちょっと男目線であまり好みではなかった。これが完結していたらきっと何か別の物語が浮かび上がって別の感想を抱いたんじゃないかと思うのだが…。 が、予想外に面白かったのは執筆予定だった長編作品「群生」のプロット。正直プロットなんて、ファン以外には面白くないじゃん、と高を括っていたが、テレビドラマであれだけ緊迫感のある脚本を書いた著者の作品だけあって、これだけでも十分面白かったし、感動的だった。舞台に流人の島「笛島」が出てくるのだが、ここは隠岐諸島の島前、中之島がモデル。私も数年前、台風が来るときにこの島に旅行に行って、一泊しただけで、台風でフェリーが欠航するから、と追い出された記憶がある。この本でも台風が迫るときであり、親近感を感じた。 この作品、ちゃんとした長編小説で読みたかったな~。ただ、この著者の作品は多分他には2作くらいしか読んだことがないので、他のミステリ小説も読んでみよう。 やっぱり、今も作品を発表していて欲しかった…。ご冥福をお祈りします。
October 7, 2009
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