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特殊防諜班標的反撃今野敏講談社文庫☆☆☆☆☆ 第三作目。文庫化されているのはここまでだが、図書館を探してみたら、全巻所蔵しているところがあったので、次からは借りようかな。 今回は、ユダヤ10氏族の血を引き、特殊能力を持つ女子高生芳賀恵理が中年男からのセクハラその他で一時戦意喪失する。実直…というより殆ど「融通の利かない筋肉」な真田は心配するやら戸惑うやらで読んでいて面白かったが、彼の上司、早乙女のつめた~い対応も笑ってしまった。このおっさん、(42歳という設定)もしかして女に恨みでもあるとか、離婚歴があるとか想像を逞しくしてしまった。真田みたいな兄や父親はいいが、早乙女みたいなのは、女にもうざがられるだろうなぁ…。ちなみにおばさん視点だと、セクハラ。の一言で終わり。そして、女子高生が失恋をしたからって、そんなもん一晩寝りゃ忘れるだろうと思うのもおばさん視点。 その女子高生に目的を絞って(つまり色仕掛けという)メンタルな攻撃を仕掛けてくる一匹狼の経済フィクサーというかブローカー、今でいうM&Aの裏のプロフェッショナルがソ連のエージェントでもあるコワルスキー。この男も経済の専門家でありながら腕っ節も強い。ソ連解体後、こういう男がマフィアになったような気がする。この男も次作以降出てくるんだろうか?
June 21, 2009
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特殊防諜班組織報復今野敏講談社文庫☆☆☆☆☆ 「特殊防諜班 連続誘拐」の続編。今回は世界の超能力者のネットワークを作り、世界平和に役立てようとするラマ僧たちが登場する。そこに、いよいよ日本に残る失われたユダヤ10氏族の血脈を絶とうとする新人類委員会もその牙をむき出しにする。 前作で飛行機ごと海に沈んだと思った新人類委員会の総帥は不気味な姿で復活する。そして、元米国軍人の武器ブローカーも登場。私はこのオッサンがちょっと気に入っていたりする、というより彼が出てくるときに繰り広げられる武器の薀蓄が気に入っているのだ。ただ、この作品は20年前に書かれたものなので、この時最新鋭だったグレネードランチャーが今では英字新聞の漫画にも登場するようになっているが。 どうでもいいが、あまり直接会ってコミュニケーションする場面も少ないのに、主人公真田とその上司早乙女、掛け合い漫才をしてみたり妙にソリが合っているような気がする。
June 21, 2009
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QED河童伝説高田崇史講談社ノベルス☆☆☆☆☆ この作品の前にあたる小説があるのだが、そちらは次の機会。平将門が俎上らしいので、実はこっちの方が興味があったのだが…。 相馬野馬追い祭りを背景に製薬会社の新薬開発、得意先のシェア争いが盛り込まれる。さらに、今回は毒草師御名形史紋とタタルの毒薬特定のシーンも短いが面白かった。しかし、事件の謎解きシーンを除けば、御名形の登場でいよいよどっかのラブコメ風味になっている。 河童はやはりこの作品では鬼と同様中央権力によって力を奪われた人々の暗示として解釈されている。河童の指が三本しかないのは何故か…。鬼は権力の敵だったが、河童はそれより入り組んだ事情があったようだ。水辺の漂泊民についてもちょっと言及されているが、そういえば、遊芸民ってスパイにも使われるんだっけ。冷戦時代でもオペラなんかの海外公演にスパイが紛れ込んでる、国際的芸術家がスパイもしてる…なんて設定もよくあった。そして、使用済みになったスパイの末路は今回の河童にちょっと似ているかもしれない。
June 21, 2009
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特殊防諜班連続誘拐今野敏講談社文庫☆☆☆☆☆○ 初出は1986年。だがあまり古臭い感じはしないものの、西ドイツ、六本木の自衛隊駐屯地、そして盗聴を恐れ公衆電話を探す登場人物…そのあたりに時代は感じる。 毛皮に包まれて山中に捨てられていた真田武男は、協調性に欠けるがたった一人で戦車態を壊滅させるほどの猛者。優秀な成績ながら自衛隊に入隊するも少々上司を戸惑わせていた。しかし、そんな彼の戦士としての素質を見込んだ、警察庁から自衛隊に出向している警視、早乙女は自分が新しく組織(というほどの規模じゃないが…)の直属の部下に彼を選ぶ。そして、真田を自衛隊を除隊後、彼直属の部下として、総理大臣の代理人としての権限を与えられ、調査を行うことになる。 最初の任務は相次ぐ新興宗教教祖の誘拐。しかし、これまでの被害者は特に危害を加えられず解放されている。だが、彼が調査を開始した宗教団体の教祖は殺害されてしまった。そして、そこには失われたユダヤ王国の子孫を探す組織の影がちらつくのだ。 まあ、ユダヤ人が日本に来ていた、とかキリストは日本で死んだ、とかよくあるハナシをベースにした内容だが、登場人物の設定が面白く、結構楽しく読めた。融通の利かない男だが、戦士としての腕は超一級の真田は、自分の考えで行動し、早乙女にも詳しいことを報告しない。それを心配しつつも容認し協力する早乙女も寛容な上司だと思うが、何だかんだと早乙女を信用してる真田も素直というか、防諜ものの主人公にしては猜疑心が少ないような気がしないでもない…。 だが、この作品今はなき大陸ノベルズでシリーズ化されている。真田の出生も意味ありげだし、続巻も読んでみよう。
June 8, 2009
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イスタンブールの毒蛇ジェイソン・グッドウィン作 和爾桃子訳早川文庫(トールサイズ:158mmx112mm)☆☆☆☆☆ シリーズ第二作目。今度もなかなか死体損壊が激しい…。今度は1830年代のイスタンブールの様々な顔が現れる。冒頭でイスタンブールは美女にたとえられているが、それは花の盛りの頃の話で、この時代ではもうすでに中年以上の、昔の美しさが…といったところだろう。だが、彼女は波乱万丈な人生経験を持ち、昔日の美貌を偲ばせる華やかさの裏に様々な「病」を隠している…。 今回、英主マフムート二世は死の床にいる。作中「ユダヤ人の金貸し」が出てくるが、この人はセファルディ。1492年、スペインのユダヤ人追放令で故郷を追い出された人々の子孫だ。彼らは貧しい暮らしの中、アンダルシア地方に残してきた家の鍵を持っているという。日常会話の言葉もそのままなのだ。主人公ヤシムも彼らの話し言葉は分からない、と書いてあった。読むまで失念していたが、お気に入りCDのセファルディの歌の採譜地にはこの周囲の地名が随分書いてあったっけ。彼らも当時の大都会(今でもじゃないかな?)のイスタンブールにいて当然だった。それだけではない。この作品には更にこの都市が動脈としてその身の内に孕むある集団が現れる。彼らのような組織って日本の小説にも出てくるが、海外の小説にも良く出てくる。というより、人の移動の激しい西欧なんて、確かにこういった組織・集団の設定がしやすいかもね。 面白かったのは、冒頭でしょーもない学者、ルフェーブルはちょっとトロイアの遺跡発掘のことに触れている。今、ウィキペディアのシュリーマンの項をちょっと読んできたが、実際にトロイア遺跡が発見されたのはこの本が扱っている時代より30年以上後のことだ。で、シュリーマンは荒唐無稽なことを実現させた、みたいな印象があったが、当時でもトロイアの発見はさほど荒唐無稽でもなかったようだ。とはいえ、シュリーマンもルフェーブルとあんまりやること変わってないんじゃないかなぁ。そんなことが仄めかしてあるぞ。 今回は、ヤシムの友人で有名無実なポーランド大使(ポーランドは当時ロシアの一部である)ザレフスキーとのやりとりがなかなか楽しい。この二人、どうやって親しくなったんだろう? そして、前作で優秀な文書館司書から後宮の黒人宦官長に出世したイブウもちょっとだけ出てくる。も少し活躍してくれたら楽しかったのに。 今回もヤシムは結構大変な目にあって、読んでいると結構痛そうだった。今後もこのシリーズ、出版されるといいな。
June 8, 2009
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