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殺・風景太田蘭三光文社文庫☆☆☆☆☆ 北多摩署の名物刑事の一人、相馬刑事は、ある日ひょんなことから変な男に追われていた女性を助けたところ、妙な事件に巻き込まれる。まず、この女性の母親が身の回りの世話をしている(ついでに内縁関係にもある)有名な画家に「仁王さまのよう」と言われる肉体美を見込まれて、パンツ一枚でモデルを頼まれた。その一方で男を追い払ったときに、その男の拳を掴んで止めただけで、男の小指を骨折させてしまい、この男の父親が有名代議士の金庫番秘書だったので、父親に呼び出されてしまう。さらに、その画家の他殺体を発見し、事件の捜査を開始する。その中で、忍び込み(ノビ)が専門でひょんなこと(「夕焼け小焼けで殺されて」参照)から、友人づきあいのようなことになっている八島大二郎にこの画家と、画商の繋がりなどを教えられたり、捜査に協力してもらったりする。つか、かなり妙なものを他人の家に忍び込んで持ってきてもらったりしている。 しかし、身長180センチ、馬面で温和な顔立ちだが、飲食その他が「馬並み」でマッチョな相馬とノビだけあって細身で身の軽いちょっと芸術家風にも見える大二郎の取り合わせが気に入って、このシリーズを読み始めた。この大二郎の相馬への懐きっぷりが実にツボだったのだ。細かいことを書いていけば「それはないだろう」という描写も多いのだが、あまり気にしていない。 また、この小説では山の風景(相馬の趣味は山登り)の描写も知っている人なら楽しめるのだろうが、残念ながら私は全く知らない風景だった。でも、こんな描写の山の中をドライブするのは面白そうだ。空気も綺麗そうだし。 この著者の小説はメインの登場人物が他の作品で主役をやっていたりしていて、作品世界が繋がっている。個人的には相馬と大二郎の取り合わせが好きなのだが、他も読んでみよう。
February 18, 2009
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平台がおまちかね大崎梢東京創元社 四六並製☆☆☆☆☆ 中堅どころの出版社の営業、井辻クンを主人公にして、彼が営業で回る書店を中心に、北村薫さんのような日常の謎を解いていく短編集。 しかし、井辻君は自社の人間より他社の営業とつるんでいる場面の方が多い。特に真柴という男は暑苦しく絡んでくる。井辻の前(前)任者で今は編集に異動になっている吉野には「あいつは今、君で遊んでいるのか」みたいな台詞を言われている。と言いつつ吉野は、真柴に「借りを返す」と言って知り合いの可愛らしい書店員さんをパーティーの席上で紹介なんぞしているのだ。なんだかんだと井辻の世話を焼く真柴と吉野の関係が個人的には気になっている。どちらかというと、真柴が吉野にやりこめられていたような印象を受けるのだが。 謎解きは基本的にほのぼのとしたハッピーエンドで、本と書店への愛情も一杯で、本屋に入ると出てこられなくなる人は、きっと読めば幸せな気分になれる。それに彼の日常のような日々なら出版社の営業って面白そうな仕事に見える。ま、世の中いいことばかりではないだろうけど。シリーズのようなので、続きも読んでみよう。
February 17, 2009
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小袖日記柴田よしき文藝春秋 四六上製☆☆☆☆☆◎ 現代女性が雷に打たれて異次元空間に迷い込んだ。そこは、彼女が知る平安時代とはちょっと違うが、並行宇宙のような平安時代で、香子と呼ばれる女性が源氏物語を執筆する物語のネタを仕入れる役目を果たしていた女性の体に入ってしまう…。そして、そこで源氏物語の背景になっているような女性たちのドラマに巡りあう。 例えば夕顔の君に似た女性の死因は糖尿病に似ていたりとか、葵の上と六条御息所の牛車の小競り合いについてとか…。たしかにあの源氏物語の背後にこんな話があると想像してみるのも楽しい。また、迷い込んだ女性の視点を通じて、作者の平安時代の男たちへの辛い視点も仄見えて、ただの王朝女流の華やかな世界になっていないので、読んでいても楽しい。 最後に、自分と同じ境遇の女性とも知り合うのだが、彼女もどうなったのか書いてあるともう少し嬉しかったかな。 前から気になっていた小説だが読んでみてよかった。
February 2, 2009
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