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【送料無料】ついてくるもの [ 三津田信三 ]三津田信三講談社ノベルス☆☆☆☆☆ 短編集。ほとんどが一人称の聞き書き形式をとっている。淡々とした文体に意図的に余計な説明を省いて、読者には怖さが増幅される。かつての新耳袋のような、それをさらにしつこく引き伸ばして怖さを倍増させたような感じがする。最後の短編のみ、タイトルが示す通り、刀城言耶シリーズで、多少ホラー色が薄まっている。どの作品も結構怖いのだが、私が特に怖かったのは「八幡の藪知らず」だ。実際の「八幡の藪知らず」は千葉県市川市の市川市役所のはす向かいにあって、今となっては20メートル四方くらいのにぎやかな街中の藪となっている。が、この作品の藪は怖い。この著者の常連読者にはお久しぶりのあの名前も登場するし、結末までじわじわと怖さが募ってくる。しかも、最後もホラーらしく十分に余韻を残した終わり方だ。あと、ひな人形が登場する話もあるのだが、これも怖い。真夜中に一人きりでは読みたくないかも。でもやめられないのだった。
October 29, 2012
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【送料無料】王朝まやかし草紙 [ 諸田玲子 ]諸田玲子新潮文庫☆☆☆☆☆ 初めて読んだ著者。平安時代を舞台にしているが、壬生帝、東三条家、堀川家などなど、具体的には架空の人物が活躍する。 母親を幼い時に亡くしたヒロイン、弥生は宮仕えに憧れ、都に出てくる。しかし、そこで彼女は母親がとんでもない事件の関係者であったことを思い知らされることになるのだ。著者の初期の作品だそうだが、他の感想サイトでも指摘されていたが、平安時代の貴族の女がこんなに活動的だったか、というのはちょっと疑問。だが、次から次へと出てくる謎はかなりのページターナーだ。それに、男女入り乱れた権力事情と恋愛事情は、混乱するが面白い。登場人物では、特に物知りの爺さん達がいい味を出している。東宮の設定は女性作家ならではかな。込み入った人間模様と謎に加え、最後になってさらに因縁話が現れてくる。多少盛りこみ過ぎのような気もしないでもないが、読後感はいい。物知り爺さん達がいい味を出していると同時に若いカップルも読んでいてそれぞれに爽快だ。 この著者の江戸時代の時代小説にはあまり興味がないが、他にも平安時代を舞台にした小説があり、そちらは面白そうなので読んでみたい。
October 27, 2012
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【送料無料】BT ’63(上) [ 池井戸潤 ]BT '63 下 講談社文庫 / 池井戸潤 イケイドジュン 【文庫】池井戸潤講談社文庫☆☆☆☆☆ この人の小説には失業経験が出てくることが多いのだが、どうもそのあたりが身につまされる。この小説も精神を患い、失業・離婚した主人公がひょんなことから父の記憶を覗いてしまうことから始まる。主人公、大間木琢磨が見たのは、父史郎が彼の母と結婚する前のことだ。東京オリンピックを翌年に控えた、昭和38年の大田区の工業地帯。父はそこで斜陽の運送会社に総務課長として勤めていた。 総務とはいっても経理も見ているし、彼が銀行に融資を依頼する銀行の担当者もストーリーの中で重要な役割を果たすのは、この人の小説らしい。しかし、この時代、まだ戦後の闇も残っている。終戦から18年、終戦時20歳だった人間はまだ38歳の働き盛りなのだ。そして、まだあちこちに、街灯もない「闇」が残っている。そんな時代を背景に、琢磨が見た父史郎は、その頃には先駆けとなく事業を起こそうとする。だが、彼の勤めている相馬運送には、とんでもない人物が紛れ込んでいたのだ。彼らに足を引っ張られるような形で新事業は頓挫。しかも、いい感じになっていた女性もとんでもない過去を背負っていた。ストーリーの後半は本当に坂道を転げ落ちるようで、読んでいてハラハラした。この史郎が恋心を抱く女性は幼い娘と暴力亭主を逃れてきたのだが、彼女の身の上は悲劇としかいいようがない。他の人物トラックの運転手達、に関しては自業自得の面が沢山あるのだが。さらにクライマックスになってくると、その幼い娘も重病になっているのではないか、ということが読者には暗示されているのだ。そして、琢磨の周囲でも元妻が事件に巻き込まれていることが判明する。 さまざまな事件が織り込まれ、特に昭和38年の方は陰惨なものが多く描写もかなり血腥い。でも、最後に琢磨は上記の幼い娘を探し当てる。さらに、このストーリーの中で重要な役割を果たすトラックも見つけ出すのだ。このあたりは結構感動的だった。だが、ちょっと思ったのは、この時代のトラックってパワステでもないし、ATでもないし、ものすごく運転が難しそうなのだが、琢磨が結構何とか運転していること。そんなにいきなり運転できるものなんだろうか?それに、琢磨は母に気を遣って自分で色々調べているが、彼の母親に話を訊いていたら、もっと早く分かったことも多かったような気がする。 とはいえ、登場人物の描写も細かく、かなり読み応えがあり、琢磨と史郎の間で視点が入れ替わるのもさほど読みにくくなかった。長期のドラマ化なんかしたら面白そうな内容だ。あ、でもちょっと残酷なシーンが多いか。
October 26, 2012
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【送料無料】火神被殺新装版 [ 松本清張 ]松本清張文春文庫☆☆☆☆☆ 短編集5作。日本古代史の薀蓄を生かした2作の他、一般的な題材(?)を扱った3作。どれも面白かった! 日本神話や古代史の薀蓄の中で私もうすぼんやりと疑問を感じていた点があるのだが、そこがこの著者お得意の「火の路」と同じようなつながりになっていて、ちょっとニヤリとしてしまった。個人的にその考えに賛同できるわけではないが、ちょっとなるほどーと思えるところがあった。 また、他の作品にもいえることだが、周囲の情景描写がとても詳細で、しかも、事件の謎解きに関してストレートにアプローチしているのではなく、藪から蛇が出てきたかのように思わぬ脇から解決の糸口、あるいは結末へとつながるきっかけが生じるのが読んでいて爽快だった。最近の文庫の割に活字が細かいせいもあると思うのだが、結構読み応えもあった。
October 18, 2012
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【送料無料】天使は清しき家に舞い降りる [ カレン・ロ-ガン ]カレン・ローガン集英社 四六並製☆☆☆☆ 初版は1998年。道理で、巻末の材料入手先にウェブアドレスがないはずだ。この当時は手に入りにくかった精油も今は通販で簡単に入手できる。そして、わざわざアメリカのショップに問い合わせなくても日本で手に入る材料も増えている。それでも、掃除の手法はあまり古い感じがしない。この本の中でもちょっと触れられているが、この本の中の掃除法は結構戦前にはポピュラーだったりもするのだろう。この本のレシピをもっと今の日本で使いやすくアレンジした本もかなり出回っている。 でも、この本、市販の洗剤などに含まれる化学物質の恐怖をちょっと感情的に書きすぎているような気がしないでもないし、米国の話だろうが、漂白剤と洗剤混ぜて有毒ガスが発生して気管などに大怪我をしたという話が結構載っているのだが、アメリカの洗剤ってそんな注意書きも書いてないのかな?と疑問に思ってしまった。それに長い訳者の後書きも子供がどう汚すのか、もう少し簡潔に書いて欲しいと思ってしまった。 確かに内容はためになるのだが、どうも書き方がまどろっこしくて、主婦の井戸端会議の文章を読んでいるような気分になってしまった。とはいえ、簡単そうなレシピから試してみたい。
October 10, 2012
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