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11-24.ランナウェイズ■原題:The Runaways■製作年・国:2010年、アメリカ■上映時間:107分■字幕:小寺陽子■鑑賞日:3月19日、シネクイント(渋谷)■料金:1,000円スタッフ・キャスト(役名)□監督・脚本:フローリア・シジスモンディ□原作:シェリー・カーリー□製作総指揮:ジョーン・ジェット、ケニー・ラグナ、ブライアン・ヤング□撮影監督:ブノワ・デビー□衣装デザイン:キャロル・ビードル◆ダコタ・ファニング(シェリー・カーリー)◆クリステン・スチュワート(ジョーン・ジェット)◆マイケル・シャノン(キム・フォウリー)◆ステラ・メイヴ(サンディ・ウェスト)◆スカウト・テイラー=コンプトン(リタ・フォード)◆アリア・ショウカット(ロビン)◆ライリー・キーオ(マリー・カーリー)◆ジョニー・ルイス(スコット)◆テイタム・オニール(シェリーの母)◆ブレット・カレン(シェリーの父)【この映画について】『トワイライト』シリーズのクリステン・スチュワートと、同シリーズ最後の2章に出演しているダコタ・ファニング共演の青春音楽映画。1970年代の音楽シーンにすい星のように登場した実在のガールズバンド、ランナウェイズの内幕に迫る。当時のバンドのギタリストで、今も現役で音楽活動を続けるジョーン・ジェットが本作の製作総指揮を担当。ギタリスト役とボーカル役で圧巻のパフォーマンスを見せる2人の若手女優の熱演も見どころだ。(この項、シネマトゥデイより転載しました)【ストーリー&感想】(ネタバレあり)1975年、ロサンゼルスで暮らす15歳のジョーンの夢はロックスターになること。ロックは男のものと相場が決まっていた時代、彼女は周りから変人扱いされていた。ギター教室に通い弾き方を習いに行くが、教師からは「女にエレキは教えない」と言われ教えられたのは退屈なカントリーソング(「On Top Of Old Smokey」)だった。一方のシェリーはデヴィッド・ボウイに憧れ学校のコンテストに出場しボウイを演じたのだが、変人扱いされる。双子の姉妹マリーと父と暮らすが母は愛人を作り家出してしまった。ジョーンは地元のクラブで偶然、音楽プロデューサーのキムと出会い自らを売り込む。キムはその時、クラブにたむろしているサンディ・ウェストを紹介しガールズ・バンドを組むように勧める。バンド結成を考えていたジョーンは、早速、サンディと共におんぼろトレーラーの中でリハーサルを繰り返す。キムはジョーンのヴォーカルに物足りなさを感じ、バンドの顔となれる存在が無いと切り捨てる。その時、偶然手にした雑誌に女優ブリジット・バルドーの姿を見て「まさにこれだ」と言わんばかりに運命の相手を探すのだった。キムが出入りしているクラブのカウンターの隅っこで一人佇む少女を目にし、ピンと来たキムは少女にバンドをやらないかと誘う。キムが名前は?と尋ねると「シェリー・カーリー」と少女は答え、キムは「本名か?」と再度尋ね、うなずいた瞬間にバンドの顔が誕生した。キムはオーディションを受けるにあたり、シェリーをリード・ヴォーカルに据えて受ける覚悟を決めたが、ミュージシャンで無いシェリーが歌える曲を急遽作ることになった。トレーラーの中でキムとジョーンが歌詞の無いリフを繰り返しているうちに、シェリーの名前から「チチチチチチチチ、チェリー~ボム!」というフレーズを思いつき、後は、ジョーンが一気にメロディを完成させた。この「チェリー・ボム」を引っ提げ、キムの勧めで前座としてライヴで各地を回るうちにマーキュリー・レコードとの契約が決まった。バンドは一気に上り詰めて行くが、シェリーには母が去ったあとで父が病に倒れマリー一人に看病させていることが気になっていた。そして、バンドの日本公演が決まったが、マリーからは父の看病をするために日本行きを断念するように言われるが、振り切って日本へと旅立つ。日本では本国以上に人気が沸騰していたが、バンドはシェリーのルックスにばかり注目が集まることで、人間関係に緊張感が生じていた。バンドは日本公演後、シェリーが父の病状を心配しバンド活動との両立に難色をしめしレコーディングもシェリーの気まぐれで進まない。意を決しジョーンはシェリーに家庭とバンドのどちらが大切なのか迫るが、シェリーはバンドを去ってしまう。バンドはその後崩壊し、シェリーは地元のお店でアルバイトをする生活に。ある日、シェリーはラジオに生出演しているジョーンの声を聴いて、ラジオ局に電話をする。DJは驚いたが、電話口で二人は会話にならない言葉を交わすのだった。最後は、リハビリ施設にジョーンが訪ねて来ておしまい。原作はシェリー自身の著書だが、ジョーンが監修として参加しているだけに、映画としてはジョーンとシェリーの関係が主体で、ベースのロビンは何故か架空の人物だ。ランナウェイズはベーシストが目まぐるしく短期間で交替していたが、日本公演時はジャッキー・フォックスだった。どのベーシストに許可を取るのか難しかったのか、それともシェリーの人気に嫉妬して脱退したジャッキーのOKが出なかったのかは定かではない。ジョーンを演じたクリステン・スチュワートは映画出演に際してギター特訓をしたそうだ。しかも服装の着こなしや雰囲気まで本人にそっくりで、特に、ラストのラジオ局に出演した時の姿は本人と見間違えるほど似ていた。ジョーンというよりミュージシャンになりきっていたのが良かった。シェリーを演じたのは天才子役少女の名前を欲しいままにしたダコタ・ファニングちゃん。「ランナウェイズのシェリー・カーリー」を「演じた」だけでは、当時を知るファンは納得しないだろう。金髪に染め、ドギツイ化粧を施し、ローディーと舞台裏のトイレでH行為に耽ったり、股を広げて歌っても、撮影時は16歳だったダコタちゃんはまだまだ少女体型で「胸も小さく、雰囲気も少女のまま」では、ジョーンになりきっていたクリステン・スチュワートの方がインパクトが強かった。天才子役少女としてはハリウッド映画史上に残るダコタちゃんだが、少女から大人の女への変遷期にあたる15~18歳位の時期って難しいですね(アンナソフィア・ロブはどうかな?)。登場シーンは数カットしかなかったけど、シェリーとマリーの双子の母役はテイタム・オニールだった。エンドロールで始めて気が付いたけど、ダコタちゃんの遥か前に「天才子役」として「ペーパー・ムーン」に出ていた女優ですが、今では単なる脇役なんですね。ストーリー的にはジョーンとシェリーの関係がメインだが、やはり、ランナウェイズは日本での活躍は外せない。だが、日本へ行く飛行機内での薬物使用シーンは本当かな?それと、日本に着いてからのシーンも、明らかに撮影スタジオにセットを組んでの撮影が見え見えで、バンドが接待で日本食を食べるシーンや変なインタビューに違和感を覚えた。更に、細かい点を言えば、日本公演前にシェリーを撮影する日本人カメラマンだがあれは篠山紀信氏だろうがヘアスタイルが違った。日本での熱狂的なライヴの様子も再現されていたが、観客の顔が何度かアップになるが、明らかに中国系のエキストラが居てロス辺りのスタジオで撮影したのがバレバレですね。監督はイタリア出身のミュージック・ビデオ製作畑出身の女性だが、日本のことは詳しくないのかな?
2011.03.25
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10-83.バーレスク■原題:Burlesque■製作年・国:2010年、アメリカ■上映時間:118分■字幕:栗原とみ子■鑑賞日:12月24日、新宿ミラノ(歌舞伎町)■料金:1,800円スタッフ・キャスト(役名)□監督・脚本:スティーヴン・アンティン□撮影監督:ボジャン・バゼリ□衣装:マイケル・カプラン□音楽:クリストフ・ベック◆シェール(テス)◆クリスティーナ・アギレラ(アリ)◆エリック・デイン(マーカス)◆カム・ジガンデー(ジャック)◆スタンリー・トゥッチ(ショーン)◆クリスティン・ベル(ニッキ)◆ピーター・ギャラガー(ヴィンス)◆アラン・カミング(アレクシス)◆ジュリアン・ハフ(ジョージア)【この映画について】(ネタバレあり)クリスティーナ・アギレラ&シェールというグラミー賞に輝き、世界中を魅了する新旧歌姫の共演によるミュージカル・ドラマ。歌手になる夢を胸に、LAにやってきた女性と、老舗クラブの女性経営者との物語がつづられる。女優として映画初出演のクリスティーナ・アギレラの歌唱力とダンスが観る者を圧倒する。(この項、MovieWalkerより転載しました)【ストーリー&感想】歌手になる夢を追いかけている田舎娘のアリは、ダンサーになる夢を追い求めてロサンゼルスに出てオーディションを片っ端に受けるがどれも落ちていた。そんなある日、バーレスク・クラブに押しかけ同然でウェートレスとして働き始める。そこは、セクシーなダンサーが毎夜ゴージャスなショーを繰り広げる、大人のためのエンターテインメント・クラブである。女性オーナーのテスの経営するクラブは、かつての盛況さは失われ経営的にもギリギリの状態が続いていた。クラブのトップダンサーであるニッキは我儘で遅刻も多くテスを悩ませていた。密かに舞台に立ちたいと思っていたアリは、クラブで行われたオーディション終了後にテスに強引に自分の踊りを見てもらいたいと直訴する。オーディションで抜群の歌唱力と踊りが認められ、ついに才能を開花させたアリは、サボり癖のあるニッキに替わってクラブの主役の座を奪い人気を博し、クラブも大盛況を極めていく。一気に才能が開花したアリのダンスは好評で、クラブの経営も好転しかけたが相変わらず借金返済に追われるテスは、元夫のショーンの勧めも頑として受け付けず売却を拒み続ける。一方のアリはクラブのバーテンダーで恋人のジャックと同棲を始めるが、ジャックにはNYに遠距離恋愛中の恋人もいる。ストーリー的にはアリが田舎からLAに出て来て成長してクラブのトップダンサーに上り詰めるのが中心。クラブの経営を巡ってアリ自身が引き抜かれそうになるが、アリのアイデアでクラブの売却は免れクラブの経営も安定して終わる。ジャックとアリを巡る三角関係やショーンとテスの元夫婦の関係も間に入ってくるが、この作品の中心は、あくまでもクリスティーナ・アギレラのダンスと歌です。クリスティーナ・アギレラのファンなら彼女の映画初出演作である本作は必見ですね。私も彼女のアルバムは3枚持っていますが熱烈なファンではありません。でも、この映画の中心はやはり「音楽」であり、ミュージカル映画ではないけど音楽中心で進行します。クリスティーナ・アギレラは、映画初出演とは言えないほど入れ込んでいるようですが、音楽以外のシーンでは「初心者」であります。従って、この映画のヒットに気を良くしても、決して「女優」としてよりミュージシャンとしての「本職」も忘れないでもらいたいですね。最初から最後まで時間が立つのを忘れて楽しめた映画でした。【サントラ盤】映画観賞後、早速サントラ盤も購入しました。クリスティーナ・アギレラの新譜としても楽しめる内容になっています。2,7以外は全てクリスティーナ・アギレラが歌っています。劇中ではマドンナの「Ray Of Light」なども重要なシーンで挿入されていますが、サントラ盤ではクリスティーナ・アギレラとシェールの歌で占められています。サントラ盤は30分少々と多少物足りないけど、映画を観た後でも充分に堪能出来る一枚です。中でもお勧めは劇中でも印象的なシーンとして頭に焼き付いている7です。実はこれはシェールが舞台で一人でしんみりと歌うのですが、スポットライトがあたってのシーンはクリスティーナ・アギレラより良かったです。何といってもこの曲はヒットメイカーのダイアン・ウォーレンの作品ですから悪い訳がありませんよ!シェールはグラミー賞とアカデミー賞の双方で受賞歴のある大ベテランですが、やはり貫録がありました。1 Something s Got a Hold On Me2 Welcome to Burlesque(Cher)3 Tough Lover4 But I Am a Good Girl5 Guy What Takes His Time6 Express7 You Haven't Seen the Last of Me(Cher)8 Bound to You 9 Show Me How You Burlesque 10 Beautiful People (from Burlesque)
2010.12.24
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9-56.マイケル・ジャクソン This Is It■原題:This Is It■製作年・国:2009年、アメリカ■上映時間:111分■鑑賞日:10月31日、渋谷シネパレス(渋谷)■公式HP:ここをクリックしてください□監督:ケニー・オルテガ □振付け:トラビス・ペイン □音楽監督:マイケル・ビアーデン □制作:ランディ・フィリップス キャスト◆マイケル・ジャクソン【この映画について】2009年6月に急逝したマイケル・ジャクソンによって、死の数日前まで行われていたコンサート・リハーサルを収録したドキュメンタリー。何百時間にも及ぶリハーサルを一本の映画にまとめあげたのは、『ハイスクール・ミュージカル/ザ・ムービー』の監督兼振付師で、予定されていたロンドン公演のクリエーティブ・パートナーでもあったケニー・オルテガ。コンサートを創り上げる過程では、偉大なスターであり才能あふれるアーティストでもありながらなおも進化を続けたマイケル・ジャクソンの素顔が垣間見える。(シネマトゥデイより)【ストーリー&感想】2009年6月、1か月後に迫ったロンドンでのコンサートを控え、突然この世を去った「音楽界で最も優れたエンターテイナー」マイケル・ジャクソン。照明、美術、ステージ上で流れるビデオ映像にまでこだわり自らスタッフに指示を出し、唯一無二のアーティストとしての才能を復帰ステージに賭けながら、歌やダンスの猛特訓は死の直前まで繰り返されていた。その妥協を許さないマイケルの姿勢はスタッフにも浸透し、彼のアイデア出すを次々に形にしていくスタッフもプロ中のプロだった。オーディションでは、マイケルと同じステージに立つことで自分をアピールしチャンスをものにしようと世界中から駆けつけた若者達。ダンサーやミュージシャン達も彼の高いレベルの要求に応えるだけの才能を見出されて契約しただけに必死だった。ステージの様子はロスでのリハーサル風景を中心に構成されていて、映画をみているとこれがリハーサルとは思えないほどの熱の入れようだ。マイケルはステージでは細部に渡ってスタッフと共に妥協を許さず、パフォーマーとしてのステータスを守っているようだった。彼が亡くなったことでロンドン公演は幻となったのは残念だが、この映画を通して改めて現在のポピュラー音楽界でパフォーマーとして彼を超える存在は無いと確信した。[セット・リスト]1. Wanna Be Startin' Somethin' 2. Jam 3. They Don't Care About Us 4. Human Nature 5. Smooth Criminal 6. The Way You Make Me Feel 7. Shake Your Body (Down To The Ground) 8. I Just Can't Stop Loving You 9. Thriller 10. Beat It 11. Black Or White 12. Earth Song 13. Billie Jean 14. Man In The Mirror 15. This Is It 16. This Is It (Orchestra Version) 映画の中で紹介されている曲は誰もが知っているヒット曲ばかり。タイトル曲となった「This Is It」ポール・アンカとの共作で未発表曲とのふれこみだった。しかし、実際にエンドロールでは「作詞作曲:マイケル・ジャクソン」とクレディットされたことで、ポール・アンカ側からクレームがきているそうだ。個人的には大好きなアルバム「オフ・ザ・ウォール」から1曲も紹介されていないのが不満な選曲。それでも初心者にもマイケル入門として買っても損では無いと思います。【自己採点】(100点満点)89点。映画としてもドキュメンタリーとしても観ることが出来て満足する仕上げになっていた。
2009.11.06
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9-9.ザ・ローリング・ストーンズ シャイン・ア・ライト■原題:Shine A Light■製作年・国:2008年、アメリカ■上映時間:122分■鑑賞日:2月1日、新宿武蔵野館(新宿)■公式HP:ここをクリックしてください□監督:マーティン・スコセッシ□製作:ヴィクトリア・ピアマン、マイケル・コール、ゼイン・ワイナー、スティーヴ・ビング□製作総指揮:ミック・ジャガー、キース・リチャーズ、チャーリー・ワッツ、ロニー・ウッド□撮影監督:ロバート・リチャードソン□編集:デヴィッド・テデスキ□コンサート・セット・デザイナー:マーク・フィッシャー□照明デザイン:パトリック・ウッドローフキャスト◆ザ・ローリング・ストーンズミック・ジャガー:ヴォーカル、ギターキース・リチャーズ:ヴォーカル、ギターロニー・ウッド:バック・ヴォーカル、ギターチャーリー・ワッツ:ドラムス◆バディ・ガイ◆クリスティーナ・アギレラ◆ジャック・ホワイト【この映画について】アカデミー賞受賞歴のあるマーティン・スコセッシが、ザ・ローリング・ストーンズのライヴ・ドキュメンタリーを撮影した。スコセッシはNYのビーコン・シアターでのバンドのライヴを収めることになるが、バンド側と撮影チームとの間では開演直前までセット・リストが決まらずやきもきさせられる。バンドは通常のスタジアム・ツアーで使用するのとは遥かに小さい規模の会場での演奏となるが、熱の篭ったライヴをゲストを招いて展開する。【ストーリー&感想】ストーンズがこの時期にライヴを映画用に収録した意図は知らないがやるからには半端な映画にはしなかったのは流石だ。何といっても名監督マーティン・スコセッシを起用するのだから。名監督スコセッシにしてもライヴを映画収録するにあたって、全てが自分のコントロール下には置けなかった。通常映画制作は監督が撮影スタッフなどを通じて自分の考えを浸透させてスタートするが、今回は、バンドのリハーサルを入念にチェックするところから始まった。ストーンズはライヴのセットリストをマメに替えるバンドであり、セットリストは開演直前に主にミックに最終決定権がある。ミックは映画撮影にあたってビーコン・シアターという小規模の劇場でのライヴに向いている曲を膨大な曲目から苦心しながらリストアップする。撮影スタッフは曲によってカメラのアングルを前もって考えないといけないので、セットリストが前もって分からないのでは困る。しかし、スコセッシとしてもバンド側に探りを入れるがあくまでも主導権はバンド側にある。こうして生じるバンド側と撮影側のそれぞれの焦りや苛立ちをカメラはしっかりと捉えているので、単なるライヴ映画ではないドキュメンタリーとしての一面も持ち合わせている。セットリストがバンド側から届くと、そこから先はスコセッシの独壇場だ。リハーサルなどを通じて事前に想定していた曲の絵コンテにあわせてカメラの位置や照明やステージセットをテキパキと決める。バンドはその間に次々と訪れるVIP級のゲストと余裕の表情で対応する。VIP級ゲストにはクリントン元大統領夫妻も含まれていた。そしてコンサートは異常な熱気で溢れる中、クリントン元大統領の紹介でバンドがステージに登場した。[セット・リスト]1. Jumping Jack Flash 2. Shattered 3. She Was Hot 4. All Down the Line 5. Loving Cup (Feat. Jack White III) 6. As Tears Go By 7. Some Girls 8. Just My Imagination 9. Faraway Eyes 10. Champagne & Reefer (Feat. Buddy Guy) 11. Tumbling Dice 12. Band introductions 13. You Got the Silver 14. Connection 15. Sympathy for the Devil 16. Live With Me (Feat. Christina Aguilera) 17. Start Me Up 18. Brown Sugar 19. (I Can't Get No) Satisfaction曲はストーンズお馴染みのナンバーと共に3組のゲストが華を添えた。以外だったのはクリスティーナ・アギレラが登場したことか。彼女はそれでもミックと堂々と「Live With Me」を熱唱して劇場に詰め掛けたファンも盛り上がっていた。 メンバーとバックアップ陣の息も合っていてファンと一体化したビーコン・シアターでのライヴはこうして幕を閉じた。セットリストはストーンズのコアなファンやそうでないファンなど広い層にアピールできた内容になっていると思う。ステージでの演奏シーンも含めてカメラワークの良さも光っていたし、60歳を過ぎても衰えないエネルギーをスクリーンからも感じ取れた。ミックのパワフルな声、キースのしゃがれ声のヴォーカルにギター、ロンとキースのギターバトル?、チャーリーのシンプルなドラムセットから刻まれるドラム、ストーンズを支えるコーラス隊、ベースやキーボード、ホーンセクションらのプレイヤー達の一糸乱れぬ演奏にも拍手を送りたい。【自己採点】(100点満点)82点。次の日本公演はいつかな?
2009.02.16
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9-8.マンマ・ミーア■原題:Mamma Mia■製作年・国:2008年、アメリカ■上映時間:108分■字幕:石田泰子■鑑賞日:1月31日、吉祥寺スカラ座(吉祥寺)■鑑賞日:3月7日、新宿ピカデリー(新宿)■公式HP:ここをクリックしてください□監督:フィリダ・ロイド□脚本:キャサリン・ジョンソン□製作:ジュディ・クレーマー、ゲイリー・ゴーツマン□製作総指揮:ベニー・アンダーソン、ビョルン・ウルヴァース、リタ・ウィルソン、トム・ハンクス、マーク・ハッファム□撮影監督:ハリス・ザンバーラウコス□編集:レスリー・ウォーカー□美術:マリア・ジャーコヴィク□衣装デザイン:アン・ロス□振付:アンソニー・ヴァン・ラースト□音楽監督:マーティン・ロウ□原曲:ABBAキャスト◆メリル・ストリープ(ドナ)エーゲ海の孤島で一人娘ソフィと二人で民宿を営む◆アマンダ・セイフライド(ソフィ)父の顔を知らずに母ドナに育てられ結婚を間近に控える◆ドミニク・クーパー(スカイ)ソフィの婚約者◆ピアース・ブロスナン(サム)ドナの独身時代の恋人◆コリン・ファース(ハリー)ドナの独身時代の恋人◆ステラン・スカルスガルド(ビル)ドナの独身時代の恋人◆ジュリー・ウォルターズ(ロージー)ドナの親友で独身主義を貫く◆クリスティーン・バランスキー(ターニャ)ドナの親友で4人目の夫を物色中【この映画について】1999年のロンドンでの初演以来、全世界で3000万人以上を動員してきた大ヒットミュージカルの映画化。その名の通りこの作品は全てがアバの曲で構成されていて、しかもアバサウンドを生み出した当の本人であるベニー・アンダーソンとビョルン・ウルヴァースが全面的に関わっているので原曲に忠実に再現された。主役ドナ役を演じるのはハリウッド映画史上最多14回のアカデミー賞ノミネート歴(受賞2回)を誇るメリル・ストリープで、彼女は舞台版が大ヒットして以来自らこの役を演じたくて映画会社に売り込んだそうだ。エーゲ海の美しい風景をバックに、アバの曲をセリフに上手に取り入れ最初からエンドロールまで退屈することなく老若男女全てが楽しめる。【ストーリー&感想】エーゲ海の孤島でこじんまりとしたホテル「Villa Donna」を営むドナは一人娘ソフィと二人暮し。そのソフィは婚約者スカイとの結婚式を前日に控えてソワソワして落ち着かない。ソフィは自分の父の顔を知らずに育ち、結婚式では父とバージンロードを腕を組んで歩くのが夢で、スカイと母には内緒で母の日記から父親候補三人へ招待状を送っていた。何も知らずに島にやってきた三人は偶然同じ船で上陸した。建築家のサムはNYから、銀行マンのハリーはロンドンから予定より遅れてギリシャに到着し、スウェーデン人の冒険家ビルのヨットに便乗し目的地であるカロカイリ島へと到着。その頃、ドナの大親友ロージーとターニャは久し振りの再会を喜んでいる。父親候補三人は結婚式当日まで存在を誰にも知らせない為に、ホテルの納屋へと案内しそこで初めてソフィから真意を告げられ驚く。こうして結婚式までの間に数々のドタバタ劇が展開され、秘密の筈だった父親候補三人の存在もドナにばれてしまい、遂には婚約者のスカイまでもが不機嫌になる。ソフィは三人に会えば自分の父親が誰だか分かると思い込んでいたのだが、会って見ると益々分からなくなりドナでさえソフィの父親が誰だか同時期に三人と付き合っていたので分からない有様。まあ、ミュージカルですから大体のストーリーはこんな感じで進み、最後には感動的?なラストシーンが用意されていましたが、その結末だけは映画館で観て頂戴!その映画館での客層は「アバ世代」ともいえる40代後半から50代までで大部分が占められていた。アバの音楽を同時進行で聴いていた私も映画を観て大感激しました。それにしても「これでもか!」とばかりにアバの曲で畳み込まれ、しかもストーリーと何の違和感も無く溶け込んでいてその見事な脚本と振付にも感動しました。キャスト達は吹き替え無しで歌うことを要求され、主演のメリル・ストリープも見事な歌声?を披露していました。ただ、元ジェームズ・ボンド役のピアース・ブロスナンは歌声も演技も、もしこれが意図的な演技でなければ「大根役者」の汚名を着せられそうですね。最後に、劇中のどこかにアバ男性メンバー2人(ベニー・アンダーソン、ビョルン・ウルヴァース)の演奏シーンが映りましたが分かりましたか?【サウンドトラック盤について】1. Honey, Honey 2. Money, Money, Money 3. Mamma Mia 4. Dancing Queen 5. Our Last Summer 6. Lay All Your Love On Me 7. Super Trouper 8. Gimme, Gimme, Gimme 9. The name of the Game 10. Voulez-Vous 11. SOS 12. Does Your Mother Know 13. Slipping Through My Fingers 14. Ther Winner Takes It All 15. When All is Said and Done 16. Take A Chance On Me 17. I have a Dream/Thank You For The Music サントラ盤には残念ながらエンドロールで流れる「Waterloo」が収録されていないのは残念でした。それでもCDを聴いていると映画の中のワンシーンが蘇ってきます。選曲としてはアバの全ての活動期を満遍なく網羅しているのが特徴で、原曲のイメージは損なわれること無く再現されています。これはやはりベニーとビョルンが全面的にバックアップしていることと無関係ではないのと、もう一点見逃せないのは曲を演奏しているのは当時のアバのバックメンバー達がほぼ勢揃いしている点。出演者の俳優達が素晴らしいアバサウンドを楽しそうに歌い演じていることが、この映画の素晴らしさに繋がっている。サントラ盤は映画を観終わって改めて聴くのも良し、アバのカバー集として聴いて良しです。【自己採点】(100点満点)91点。何度観ても楽しめる映画です。ついでにエーゲ海のロケ映像も素晴らしい!ブログランキング参加中です。ぜひ、1票を投じて下さい。(又は、見出しをクリックして下さい)
2009.02.12
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72.アクロス・ザ・ユニバース■原題:Across The Universe■製作年・国:2007年、アメリカ■上映時間:131分■字幕:藤澤睦実、鈴木吉昭■鑑賞日:8月16日、新宿バルト9(新宿三丁目)■公式HP:予告編をご覧下さい□監督・原案:ジュリー・テイモア□製作:スザンヌ・トッド、ジェニファー・トッド□撮影監督:ブリュノ・デルボネル□編集:フランソワーズ・ボノ□美術:マーク・フリードバーグ□衣装デザイン:アルバート・ウォルスキー□音楽:ロケ・バニョス□振付:ダニエル・エズラローキャスト(役名)◆エヴァン・レイチェル・ウッド(ルーシー)◆ジム・スタージェス(ジュード)◆ジョー・アンダーソン(マックス)◆デイナ・ヒュークス(セディ)◆マーティン・ルーサー・マッコイ(ジョジョ)◆T.V.カーピオ(プルーデンス)【この映画について】ザ・ビートルズの名曲の数々をモチーフにしたミュージカル映画という、今までありそうでなかったのが実現した。彼らの名曲を繋げてストーリー性と娯楽性の双方を見事に追及し、彼らの曲が大好きな人にもそうで無い人(そんな人が居るのか知りませんが)にも楽しめる作品のアイデアを出し監督を務めているのは女性のジュリー・テイモア。テイモア監督はキャストの新鮮さを追い求める為に有名スターは使わず、登場人物のイメージにある若手俳優を多く起用している。また、キャストは全て吹き替えを使わず、ライヴ録音でセリフ同様に唄を歌っているのも特徴。そうした俳優に混じって音楽界のスーパースターであるU2のボノやジョー・コッカーも目立たないが出演しビートルズ・ナンバーを歌っている。一体、どのシーンに登場しているかは見てのお楽しみだ。【ストーリー&感想】1960年代。リバプールからアメリカへ、ジュードが父親を捜しにやってきた。彼は父親との再会には失望したものの、新しい友人マックスやその妹ルーシーと出会う。やがてジュードはマックスとNYに向かい、歌手のセディが住むアパートの間借り人に。ギタリストのジョジョ、同性愛者のプルーデンスらと出会いい自由な時を満喫していた。兄を訪ねてやってきたルーシーとの恋に落ちるジュード。しかしマックスは徴兵されベトナムへ…。兄を慕うルーシーは反戦運動に共鳴し、そんなルーシーに違和感を感じるジュードはアパートから出て行ったルーシーに怒りを爆発させる。一方、セディはレコード会社からの契約条件がジョジョたちバンド仲間と別れることから悩む。そんな頃、学生達の反戦活動はエスカレートし、街中でジュードは偶然にもルーシーを発見するも混乱の中警察に連行され、不法滞在の嫌疑でリバプールへと送還されることになり、遂にアパートの仲間達はバラバラになってしまう。とストーリー的にはこんな感じなのだが、ミュージカルなので明確なストーリーはあるようでない。何しろビートルズの曲と言うより歌詞に合わせてストーリーが構成されセリフにもなっているから、曲間の会話部分がオリジナル脚本とも言える。だが、テイモア監督はそんな会話部分にもさり気無く?ビートルズの歌詞からセリフを拝借するなどのユーモアがある。彼らの曲をそういう部分まで知っている私のようなファンは思わずニンマリしてしまった。映画で使用されている曲目は下記のサントラ盤の収録曲を見てもらいたい。各年代から満遍なく偏ることなく選曲されているのが分かるだろうか?それぞれの曲は出演者が歌っているのだが、曲によってはオリジナルとは異なるアレンジのも存在するが決して原曲の魅力を損なうようなアレンジではない。因みに役名の「プルーデンス」「ルーシー」「ジョジョ」「ジュード」「セディ」とかも、全て曲のタイトルや曲中に登場する名前が付けられている。[サントラ盤収録曲一覧]ディスク:11. Girl 2. Hold Me Tight 3. All My Loving 4. I Want to Hold Your Hand 5. With a Little Help from My Friends 6. It Won't Be Long 7. I've Just Seen a Face 8. Let It Be 9. Come Together 10. If I Fell 11. Dear Prudence 12. Flying [Instrumental] 13. Blue Jay Way ディスク:2 1. I Am the Walrus 2. Being for the Benefit of Mr. Kite 3. Because 4. Something 5. Oh! Darling 6. Strawberry Fields Forever 7. Revolution 8. While My Guitar Gently Weeps 9. Across the Universe 10. Helter Skelter 11. Happiness Is a Warm Gun 12. Blackbird 13. Hey Jude 14. Don't Let Me Down 15. All You Need Is Love 16. Lucy in the Sky with Diamonds サントラ盤は1枚組と2枚組の2種類が存在しますが、私が買ったのは2枚組です。サントラ盤は映画を観た人が楽しむものですが、このサントラ盤は映画を観れなかった人にも「ザ・ビートルズのカバー集」としても楽しめます。話はそれますが、「アイ・アム・サム」という映画でもビートルズの曲がふんだんに使われサントラ盤も出ていますが、そちらはミュージカルではありませんし、歌っているのもプロのミュージシャン達です。【自己採点】(100点満点)85点。音楽とストーリーが見事に融合した娯楽性の高い映画でした。ブログランキング参加中です。ぜひ、1票を投じて下さい。(又は、見出しをクリックして下さい)
2008.09.09
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48.ラフマニノフ ある愛の調べ■原題:Lilacs■製作年・国:2007年、ロシア■上映時間:96分■字幕:太田直子■鑑賞日:5月10日、ル・シネマ(渋谷)■公式HP:ここをクリックしてください□監督:パーヴェル・ルンギン□脚本・製作:ミハエル・ドゥナエフ□脚本:ルシンダ・コクソン、ハーヴェル・フィン□製作:ジミー・ド・ブラバン、ミハエル・シュリフト、セルゲイ・シュマコフ、イラン・ジラール□撮影監督:アンドレイ・ジェガロフ□編集:ポール・カーリン□美術:ウラジーミル・スヴェトザロフ□衣装デザイン:タチアナ・パトラハリツェヴァ□メイクアップ:ヴァレーリア・ニクリナ□音楽:ダン・ジョーンズキャスト◆エフゲニー・ツィガノフ(セルゲイ・ラフマニノフ)ロシアを代表する天才作曲家だが心はいつも孤独◆ヴィクトリア・トルストガノヴァ(ナターシャ)ラフマニノフの妻◆アレクセイ・コルトネフ(フレッド・スタインウェイ)自社のピアノを提供し全米ツアーを企画する◆イーゴリ・チェルニェヴィチ(ダール)従妹ナターシャの婚約者で高名な医者◆ミリアム・セホン(マリアンア)ラフマニノフイがピアノを教える女生徒で革命を夢見る◆ヴィクトリア・イサコヴァ(アンナ)ラフマニノフが憧れた年上の女性で曲を捧げるが...◆アレクセイ・ペトレンコ(ズヴェレフ)12才のラフマニノフを自宅に寄宿させピアノを指導する【この映画について】帝政ロシアに生まれ育ちアメリカで生涯を終えた20世紀を代表する作曲家セルゲイ・ラフマニノフの半生を描いた。生家の没落から、恩師との決別、年上女性との失恋、世間からの批判、心の病を経験し、さらには1917年のロシア革命を逃れてアメリカに移住し、望郷の念を抱きながら生涯を閉じた。そんな彼の新天地アメリカでの成功の裏で本人が抱えていた焦燥と葛藤を描き、そこにロシア時代の3人の女性との愛も含めてこの作曲家の生き方を描いたロシア映画だ。ラフマニノフを演じるエフゲニー・ツィガノフは、どこか心を閉ざし遠くを見つめるような眼差しでこの世紀の天才作曲家を見事に演じている。【ストーリー】(一部ネタばれあり)1920年代のアメリカ。ロシア革命を機に亡命した天才音楽家セルゲイ・ラフマニノフは演奏旅行で全米を回り各地で成功を収めるが、その心は鬱々としていた。カーネギー・ホールでは、ラフマニノフが初めてその神業を披露するので会場は興奮に包まれていた。その観衆の中には、ソ連大使が臨席していたがラフマニノフはこの人物をある理由で毛嫌いしていたことから、この人物の退席を要求し興行主は対応に苦慮したが大使は自発的に退席し事なきを得た。幼くして一家離散の憂き目に遭いながらも、モスクワ音楽院の厳格な名教授スヴェレフの指導で頭角を現し、ピアノと作曲の才能を開花させた彼は今、望郷の念と多忙さから作曲に集中できずに苦しんだ挙げ句、これまで支え続けてくれた妻ナターシャにすら背を向けてしまう。ラフマニノフは年上の女性アンナに自らが作曲した初めての交響曲を捧げる。しかし、初演は大失敗に終り、アンナとの関係も終りとなり一夜にして名声とアンナを失う。そんなある日、郷愁を誘うライラックの花束が届く。彼は、その後、ダール医師による催眠療法で心が開放され、革命思想にのめり込むピアノ教師を務めた縁で女子生徒のマリアンナと恋に落ちる。マリアンナの明るい性格と肉体に溺れていった彼は、再び輝きを与えられ旋律を世に出していく。やがて、ロシア革命の嵐が吹き荒れて、ラフマニノフ一家は米国への亡命を図る。列車に乗り込もうとしていたその時、乗車出来ずに足止めを食っていた一家に救いの手を差し伸べたのは、今では革命軍の司令官となっていたあの女性だった。そして、米国での亡命生活が始まるが故郷への想いは募るばかりだった。ライラックの花束に導かれた、愛の記憶を辿る旅は終りに近付いていたのだった。贈り主の正体は果たして...【鑑賞後の感想】クラシック音楽を全く聴かない私でも「ラフマニノフ」の名前位は知っていますが、どんな人生を送りどんな名曲を作った方なのかの知識はゼロの状態で観た映画です。この映画の原題は「ライラック」とシンプルで、邦題は原題とは全く関係の無いタイトルとなっているが映画ではこういうパターンが多いので驚くことはない。ラフマニノフの人生が起伏に満ちていて、その影には常に支える女性がいたこともこの映画では描かれている。身近なはずの妻の存在、年上の女性、ピアノを教えた生徒とその彼女に助けられる話などがストーリーの中心であった。名作曲家でありピアニストだった彼が自分の作曲能力に限界を感じ始め苦悩する様子や、ロシア革命から逃れアメリカへ亡命するときの様子をラフマニノフを演じたエフゲニー・ツィガノフはそのナイーヴな表情が良かった。ただこの映画はラフマニノフの「音楽家」としての軌跡を追ったものではなく、彼の「内面」にスポットライトが当たっているので演奏シーンは多くない。その辺を理解した上で、この映画を観れば彼のロシア出身の作曲家としての一面を知る事が出来るし、「ライラック」の意味も理解出来る。個人的にはこれで彼の音楽が好きになる訳ではないですが、偉大な作曲家はその期待や国の名誉までも背負うので凡人には知り得ない重圧が私生活までも変えていったことでしょう。【自己採点】(100点満点)77点。ロケ映像も綺麗で楽しめました。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━自己PRコーナー:今度、「旅行ブログ」を開設しました。徐々に旅行記を増やしていきますので、宜しければご覧下さい。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━人気blogランキングへ←映画の話題がザクザク
2008.05.19
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44.アイム・ノット・ゼア■原題:I'm Not There■製作年・国:2007年、アメリカ■上映時間:136分■字幕:石田素子■鑑賞日:5月1日、シネマライズ(渋谷)■公式HP:ここをクリックしてください□監督・脚本:トッド・へインズ□脚本:オーレン・ムヴァーマン□製作:クリスティーン・ヴァション、ジェームズ・D・スターン、ジョン・スロス、ジョン・ゴールドウィン□音楽スーパーヴァイザー:ランダル・ポスター、ジム・ダンバー□撮影監督:エドワード・ラックマン□編集:ジェイ・ラビノウィッツ□美術:ジュディ・ベッカー□衣装デザイン:ジョン・ダン□ヘアメイク:ピーター・ソード・キング、リック・フィンドレーター□音楽:レスリー・シャッツ、パトリック・ルソーキャスト◆クリスチャン・ベイル(ジャック/ジョン牧師)フォーク時代のディランと聖書の世界に没頭していた頃のディラン◆ベン・ウィショー(アルチュール)ディランに詩の面で大きな影響を与えたフランスの象徴派詩人◆マーカス・カール・フランクリン(ウディ・ガスリー)デビュー前のディランに影響を与えたフォーク・シンガー◆ケイト・ブランシェット(ジュード)60年代中盤にフォークからロックへと転身を図った頃のディラン◆ヒース・レジャー(ロビー)ディランの歌詞のモデルになった女性◆リチャード・ギア(ビリー)'66年のバイク事故を境に隠遁生活を送っていた頃のディラン◆ジュリアン・ムーア(アリス・ファビアン)女性シンガー・ソングライターでジョーン・バエズがモデル◆シャルロット・ゲンズブール(クレア)抽象画家を目指すフランス人の美大生◆ミシェル・ウィリアムズ(ココ・リヴィングトン)NYの人気モデル◆デヴィッド・クロス(アレン・ギンズバーグ)【この映画について】1962年のデビュー以来多くのミュージシャン達に影響を与え66歳にして現役であるボブ・ディランを豪華6人が演じる。劇中でディランを演じるのは本年度のアカデミー賞で「エリザベス:ゴールデン・エイジ」で主演女優賞にノミネートされ、本作での演技では助演女優賞にノミネートされたケイト・ブランシェット。女優が演じるディランを観客はどう評価するのだろうか?ディラン・ファンには複雑な思いがあるかも知れない。他には「バットマン・ビギンズ」のクリスチャン・ベイル、1月にNYで急死した若手俳優ヒース・レジャー、「パフューム」での演技が印象的なベン・ウィショー、「シカゴ」での見事な演技が印象に残っているリチャード・ギア。更に、共演の女優陣もジュリアン・ムーア、舌足らずの英語がおかしいシャルロット・ゲンズブール、ミシェル・ウィリアムズとどの出演者も主役クラスで豪華だ。【ストーリー】(一部ネタばれあり)1959年、ギターを抱えたウディと名乗る黒人少年が貨物列車に飛び乗り、病床の本物のウディに会いに行く。或る日、白人夫婦の家に招かれ親しくされるが...ウディは鑑別所からの脱走者であることが分かり親切にしてくれた白人夫婦とも別れる。社会派フォーク歌手として人気が出たジャックだが、シーンから消えた20年後、牧師としてキリスト教の布教にいそしんでいた。音楽シーンからは離れて牧師として、信者の前で歌うことはあるが生活の中心は聖書である。伝記映画の主役を演じ成功したロビーは、9年に及ぶ結婚生活に終止符を打とうとしている。音楽性をフォークからロックへ転向したジュードは、スターとしての生活を送る中、ドラッグに蝕まれていた…。ビリーは開拓時代の西部の町リドルの人里はなれた一軒の小屋で犬のヘンリーと共に隠遁生活を送っていた。或る日、久し振りに町に出たビリーは、町がハイウェイ建設の為に爆破され住民達に立退き命令が出ている事を知る。そしてその黒幕が宿敵でも有るギャレット長官だと知り、彼の悪行を暴こうと立ち上がるが...。脱走した彼はギターを抱え貨物列車に飛び乗る。【鑑賞後の感想】(一部ネタばれあり)ボブ・ディランという歌手は日本では信者的なリスナーはいるが、同時代に影響を一時期与えたザ・ビートルズ(影響されたのはジョン・レノンだけだけど)に比べると知名度は劣るのは事実。管理人はディランの音楽(トラベリング・ウィルベリーズとしては知っていますが!)は全く知らないが、この映画を観ることで少しでも彼の人間性とか音楽について身近に感じることが出来ればと期待してみた。ディランを扱う映画が今まで出来なかったのは、ディランからの「OK」が出なかったからだそうだ。ところがこの映画はトッド・へインズ監督の熱意もありディラン・サイドからのOKを取り付けたことで、「ディラン公認」の伝記映画との見方が出来る。しかし、ディランの音楽性とか背景を理解していない映画ファンが、その豪華なキャストに目が眩み鑑賞したとしたら退屈なシーンも多かったのではないだろうか?ディランを6人の俳優・女優たちが其々別々のキャラクターに扮するというアイデアは悪くないが、どちらかと言えば初心者よりマニア向けの企画のような気がする。この映画ではケイト・ブランシェットがディランに扮するのだが、有名女優が扮するとは驚いたがこの演技がアカデミー賞助演女優賞候補に上がったのだから彼女のキャリアの中で演技の幅が広がったことは間違いない。それと1月に急死した(自殺とほぼ断定された)オーストラリア出身(ケイト・ブランシェットもそうだ)のヒース・レジャーも出演している。彼の作品はこれと今後公開される「バット・マン」シリーズでの出演が予定されている。なお、劇中で使用されている38曲中、ディラン自身の歌声は21曲で他のアーティストによるのが17曲。タイトルの「I'm Not There」はファンの間では「有名な未発表曲」だそうで今回初登場となった曲とのことだ。ウ~ン...やはりマニア向けの企画なのだろうか?【鑑賞後の感想】(一部ネタばれあり)68点。俳優達の違った側面を感じるなら得点はもう少し高い。ディランを理解出来たか?という点で観たのでこの点数です。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━自己PRコーナー:今度、「旅行ブログ」を開設しました。徐々に旅行記を増やしていきますので、宜しければご覧下さい。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━←映画「アイム・ノット・ゼア」関係のブログ満載!←西武ライオンズのことならここ←「プロ野球、メジャーリーグ」の情報満載人気blogランキングへ←映画の話題がザクザク
2008.05.10
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93.Onceダブリンの街角で■原題:Once■製作年・国:2006年、アイルランド■上映時間:87分■日本語字幕:税田春介■鑑賞日:11月23日、シネ・アミューズEAST(渋谷)■公式HP:ここをクリックしてください□監督・脚本:ジョン・カーニー□製作:マルチナ・ニーランド□製作総指揮:デヴィッド・コリンズ□撮影:ティム・フレミング□衣装:ティチアナ・コルヴィシエリ□編集:ポール・ミューレン□音響:ロバート・フラナガン□美術:タマラ・コンボイキャスト◆グレン・ハンサード(男)父の経営する掃除機修理屋で働きながら路上ライヴで生活する◆マルケタ・イルグロヴァ(女)チェコ移民で街で花を売りながら幼い子と母とひっそりと生活する◆ビル・ホドネット(男の父)掃除機修理で生計を立て息子と二人暮し◆ダヌシェ・クトレストヴァ(女の母)チェコから娘と孫と共に引っ越してくる【この映画について】ダブリンの街角で今日も一人の男がギターを抱えながら誰が聞いているとも知らずに演奏を続け、そこに偶然通りかかったチェコ移民の女性との心のふれあいを描いた作品。お互いの共通点は「音楽」で、それを媒介にして男女の仲を超越した「友情」で結ばれる。映画全体はこの「魂の音楽」で語られるので、決して出演者のセリフや演技力で成り立っていない点に注目してもらいたい。当初はアメリカでも単館公開に近かった(2館)作品が、徐々にその素晴らしさが口コミで伝播し140館までの拡大公開されるに至った。主演の二人はプロのミュージシャン。さらに監督は、グレン・ハンサードと同じバンド(アイルランドの人気バンド、The Flames)でプレイしていたという生粋の“音楽映画”だ。この映画は第80回アカデミー賞で見事に「最優秀歌曲賞」を受賞した。【ストーリー】(ネタばれなし)アイルランド、ダブリン。多くの人が行き交うグラフトン・ストリートでオンボロのギターをかき鳴らし自作の歌を唄う男がいる。そこに一人の女がやってきた。10セントのチップを出し、あれやこれやと男に質問する。挙句、掃除機の修理の約束をさせられてしまう。翌日、壊れた掃除機を持って女が現れた。途中、ピアノを弾かせてもらえるという楽器店に立ち寄った。彼女の腕前に感心した彼は、一緒に演奏することを提案するのだった。彼女は楽器店の店主と顔馴染みで、彼女がピアノを弾きたくなったら売却済みの楽器でなければ快くOKしてくれる。彼女のピアノと彼のギターでのセッションでミュージシャンとして意気投合し、彼は彼女を気に入り彼女が依頼した掃除機の修理を父に任せ2階の自室に招く。そこで音楽の話をするが、彼が「泊まっていていかないか?」と誘ってきたことで動揺し家を出て行ってしまう。翌日街角で花を売り歩く彼女を見つけて昨日のことを詫びるが素っ気無い。そこで彼は自作曲のCDとプレイヤーを渡すと、意外にも自宅へ招かれたがそこで見たのは移民としての厳しい生活の現状だった。それでも彼女は彼の提案を受け入れ、拙い英語の歌詞を付ける喜びを感じていたのだった。彼女は花売りの仕事と家政婦の仕事の追われ、彼は父の掃除機修理の手伝いをしながらも街角で演奏し別れた彼女を思い出しながら曲作りに精を出しロンドンへ行き成功することを夢見ていた。ある日、彼が父が大事にしているヴィンテージ・バイクを無断で拝借し、彼女をダブリン郊外の風光明媚な海岸へと誘った。お互いに心を和ませ、始めて心を開いた彼女は自らのチェコでの生活やまだ彼に告げていなかった自らのことを話し始めたのだった。彼はそれから数日経ってから、彼女に、自分がロンドンへ渡る決心を告げ一緒にこないかと誘う。そして最後の週末を一緒にレコーディングしたいと提案し、彼女も申し出を快諾し積極的にスタジオと交渉するなどしたサポートする。彼もミュージシャン探しに街中でストリート・ミュージシャンに声を掛けてついに念願のレコーディングに漕ぎ付けたのだった。本番前には集まったメンバーとともに地元のバーで伝統音楽を歌い大いに盛り上がった。そして遂に、レコーディングの日を迎えた。そこで彼女は突然泣き崩れるのだったが、その真相は...。さて、ここから先は核心に迫って来るのでポイントだけを書く。1.彼女がダブリンへ移住してきた本当の理由とは?2.彼女が彼に海岸で告げた重大なこととは?それを伝えたときの言葉とは?3.彼が「ロンドンへ行こう」と誘って来た事に対し彼女はなんと答えたのか?4.レコーディング・スタジオで彼女が流した涙の意味とは?5.彼がロンドンへ旅立つ空港で、胸に去来したものとは?果たして彼女は来るのか?などを中心に公開館は少ないので観にいくことが出来る人は「映画館」で、遠隔地の方はDVDで是非是非ご覧下さい。きっと感動しますよ!【鑑賞後の感想】この映画はアイルランド出身のミュージシャンであるジョン・カーニー監督と、監督と同じロック・グループのメンバーであるグレン・ハンサードの体験が元になっているそうだ。相手役のチェコ出身のマルケタ・イルグロヴァとグレン・ハンサードはミュージシャン同士としても交流があり、一緒にアルバムも出すなど息はあっている。映画全体と通して言えるのは、二人が俳優として「演技」をしている訳では決して無い。大部分が音楽であり、所謂「セリフ」と呼べるものは無いに等しい。それでもこの映画がこれだけの評判をアメリカで呼び、私が観にいった映画館もミニシアターながらも幅広い年齢層の人たちで満席だった。この映画は基本的には「音楽映画」であるが厳密に言えば「ミュージカル」ではない。音楽の歌詞と旋律が映画のワンシーンを物語っているので、俳優でないミュージシャンが本職の二人が出演していても違和感がないのはそのためだ。アイルランド出身の音楽家と言えばロック界でも「U2」「エンヤ」などを含めてそのジャンルも多彩である。この映画では主演のグレン・ハンサードが音楽を全面的に担当し、そこにマルケタ・イルグロヴァが絡んでくるのが基本。そのサウンドはどこかアイルランドのトラッド色を感じさせながらも、ロックやフォーク的なサウンドになっていて映像とすんなりと溶け込んでいたのは見事でした。サントラ盤はアメリカでも大ヒットとなったとのことでそれも納得しますね。私はまだサントラ盤は買っていませんが、買おうかな...。【自己採点】(100点満点)91点。音楽を通じた「男女の友情」を描いたそんな作品でした。低予算でもこんなに印象的な映画が作れる見本のような作品でした。人気blogランキングへ←映画の話題がザクザク
2007.12.15
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87.ヘアスプレー■原題:Hairspray■製作年・国:2007年、アメリカ■上映時間:116分■日本語字幕:戸田奈津子■鑑賞日:11月09日、バウスシアター(吉祥寺)■公式HP:ここをクリックしてください□監督・製作総指揮・振付:アダム・シャンクマン□脚本:レスリー・ディクソン□製作:クレイグ・ゼイダン、二ール・メロン□製作総指揮:ジェニファー・ギブゴット、ギャレット・グラント□作曲・作詞・製作総指揮:マーク・シェイマン□作詞・製作総指揮:スコット・ウィットマン□撮影監督:ボジャン・バゼリ□衣装:リタ・アイラック□編集:マイケル・トロニック□美術:デヴィッド・グロップマンキャスト◆ニッキー・ブロンスキー(トレーシー・ターンブラッド)ダンスとおしゃれに夢中なBIGな女子高校生◆ジョン・トラヴォルタ(エドナ・ターンブラッド)ランドリー店を営むトレーシーの母◆クリストファー・ウォーケン(ウィルバー・ターンブラッド)「イタズラ・オモチャ」店を営むトレーシーの父◆ザック・エフロン(リンク・ラーキン)トレーシーが憧れるTVのダンス番組のアイドル◆ミシェル・ファイファー(ヴェルマ・フォン・タッスル)TV局のオーナーで元ミス・ボルティモア。看板番組の制作に介入し娘を優勝させようと画策する◆ブリタニー・スノウ(アンバー・フォン・タッスル)ヴェルマの娘でリンクとは元恋人の関係◆クィーン・ラティファ(モーターマウス・メイベル)人気TV番組「コーニー・コリンズ・ショー」のDJ◆イライジャ・ケリー(シーウィード)人気TV番組「コーニー・コリンズ・ショー」の黒人出演者でペニーの恋人◆ジェームズ・マースデン(コーニー・コリンズ)人気TV番組「コーニー・コリンズ・ショー」のホスト◆アマンダ・バインズ(ペニー・ピングルトン)トレーシーの大親友【この映画について】名作ミュージカル『シカゴ』の製作陣が贈る、ノンストップ・ハッピーミュージカル。ヒロインを演じるのは、1000人以上の中から大抜擢されたシンデレラ・ガール、ニッキー・ブロンスキー。さらにエドナ役(母親役)には、『シカゴ』への出演を3度断ったジョン・トラヴォルタを、約1年かけて口説き落とした。この母娘2人の息が、不思議なほどピッタリ! 特にニッキーの発散する“幸せ”オーラは強烈で、人種差別というシリアスな問題が顔を出しても、ハッピーな作品の雰囲気はまったく色あせないのがスゴイ。ミシェル・ファイファー、クリストファー・ウォーケン、クィーン・ラティファ(彼女は「シカゴ」にも出演していました)ら、豪華な脇役陣の芸達者ぶりや音楽の良さにも注目したい。【ストーリー】(ネタばれなし)ヘアスプレー企業が贈る、ボルチモアで最高にホットなTV番組1「コーニー・コリンズ・ショー」を親友のペニー・ピングルトンと一緒に見るのが日課で夢は憧れのリック・ラーキンと踊ることを夢見る16歳のトレーシー。ダンスだってオシャレだって申し分ない彼女には、ひとつだけ問題が…。それは、彼女のBIGすぎるサイズ! でもそんなことは一向に気にせず、明るく前向きに生きるトレーシーは、TVショーのメンバーのオーディションに参加。反対する母エドナだったが父ウィルバーは励ましてくれてくれた。番組は中心メンバーのアンバー・フォン・タッスルの母ベルマが実権を握り一度は追い払われた。しかし高校のダンス・パーティーでショウのホストを務めるコーニー・コリンズの目に留まりなんとレギュラーの座を射止め一躍スター街道を驀進することになった。トレーシー一家の幸せに嫉妬したベルマー母娘はその幸せを妨害しようと工作してくる。トレーシーはダンスを通じて親しくなったシーウィードやモーターマウス・メイベルらと共に人種差別反対デモに参加したことを、ベルマに知られて警察に追われる身となった。一方番組では人気投票による「ミス・ヘアスプレー」が行われていた。トレーシーが警察の追われている間に、ベルマの策略でアンバーの票が伸びる。そして会場にはベルマが警察に手を回して入場できない。ピンチのトレーシーだったが...。さて、ここから先は核心に迫って来るのでポイントだけを書く。1.一躍スターの座を射止めたトレーシーが最も喜んだ家族の変化とは何?2.デモ参加で彼女は何故警察に追われる身となったのか?そして潜伏先は?3.ベルマがアンバー票を伸ばす為に画策した作戦とは?4.会場にも入場出来ずに焦るトレーシーが入場の為に施した作戦とは?5.人気投票の結果は果たしてどうなったのか?などを中心に音楽も素晴らしいこの映画は映画館でお楽しみ下さい。【鑑賞後の感想】この映画のスタッフはあの名作ミュージカル「シカゴ」の製作陣と知って納得した。「シカゴ」はミュージカルというカテゴリーを越えた名作であり、「ヘアスプレー」にもいくつか共通点を見出せる。どちらもミュージカルの基本である「音楽の良さ」が第一に挙げられる。「シカゴ」はジャズ・スタンダード風のサウンドが基本であるが、「ヘアスプレー」はモータウン風味のポップスナンバーにミュージカルのスパイスを振りかけたような(この表現で適当でしょうか?)音楽だ。第二に「出演者」たちの普段は見ることの出来ない個性が発揮されている点だ。ジョン・トラヴォルタが母親役で悪役としても名高いクリストファー・ウォーケンと夫婦役を演じるとは想像も付かなかった。クィーン・ラティファは「シカゴ」での女看守役で出演していたが、ここでは少しスリム?になって出演していた。舞台はワシントン郊外とも言えるボルティモア(大リーグ、オリオールズの本拠地)で、太目の女子高校生が人気ダンス番組でスターになるまでの話。ミュージカルは複雑なストーリーより、こうした分かりやすいテーマでアピールするのが一番である。この女子高校生を演じたニッキー・ブロンスキーはオーディションで選ばれたそうだが、こういうキャラなのでこれからの出演作がどうなるかは分からない。それでも明るい性格を前面に出した演技ははまっていた。【自己採点】(100点満点)87点。音楽も良かったのでサントラ盤も買いました。←映画「ヘアスプレー」のブログ満載!←西武ライオンズのことならここ←「プロ野球、メジャーリーグ」の情報満載人気blogランキングへ←映画の話題がザクザク
2007.11.29
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53.魔笛■原題:The Magic Flute■製作年・国:2006年、イギリス■上映時間:139分■鑑賞日:7月21日、シャンテシネ(日比谷)■公式HP:ここをクリックして下さい□監督・脚本:ケネス・ブラナー□製作:ピエール=オリヴィエ・バルデ□製作総指揮:スティーヴン・ライト□脚色:スティーヴン・フライ□音楽:ウォルフガング・アマデウス・モーツァルト□音楽監督・指揮:ジェイムズ・コンロン□演奏:ヨーロッパ室内管弦楽団キャスト◆ジョセフ・カイザー(タミーノ)第一大戦下の塹壕戦を戦い抜く一人の戦士◆リューボフ・ペトロヴァ(夜の女王)気絶したタミーノを救った女王だがその裏にはある意図が◆ベン・デイヴィス(パパゲーノ)毒ガスの危険を知らせるカナリアを大事に飼う兵士◆エイミー・カーソン(パミーナ)夜の女王の娘で、女王である母は結婚相手を探している◆ルネ・パーぺ(ザラストロ)暗黒卿ザラストロと恐れられパミーナを嫁にと夜の女王から奪う◆トム・ランドル(モノスタトス)ザラストロの部下で隙を見てパミーナに乱暴を働こうとするが◆シルヴィア・モイ(パパゲーナ)パパゲーノが恋した相手で自分の妻へと思いを語る【この映画について】「魔笛」はモーツァルトが生涯の最後に完成させたオペラであり、また彼の最高傑作とも言われていて庶民が楽しめるようにと作られた「歌芝居」しても知られる。今回の映画化は、『ヘンリー五世』『ハムレット』などシェークスピア作品の映画化の第一人者である英国の巨匠ケネス・ブラナーが演出を担当。舞台を中世のファンタジックな世界から第一次世界大戦下のヨーロッパに移し、平和への祈りをテーマにした9.11以降の今日的な作品に脚色。所々で大胆なカメラワークが見られるが、そうした楽しみと同時にやはりオペラとしての音楽の良さと出演者の歌唱力もじっくりと堪能したい。【ストーリー】(ネタバレなし)第一次世界大戦下の塹壕で、若い兵士タミーノは毒ガスに命を狙われ気絶する。それを救ったのは夜の女王の侍女を務める三人の従軍看護婦だった。ところが気の弱い兵士パパゲーノが毒ガス対策にカナリアを飼っていたことからタミーノは、パパゲーノが命を救ってくれたと勘違いしパパゲーノも調子に乗ってタミーノの命を救ったと自慢する。そこに現れた三人の従軍看護士がパパゲーノをたしなめて、逆にお喋りが出来ないようにガスマスクを被されてしまう。タミーノの前に現れた夜の女王は、さらわれた娘パミーナの救出を依頼し、彼に魔法の笛を託す。タミーノは兵士パパゲーノと共にザラストロの城砦へと向かい、そこでパミーナを見つけた。二人はすぐに恋に落ちるが、タミーノは愛を成就するため、困難な試練に立ち向かうことになる。城の中には独裁者ザラストロが支配し民衆も兵士も彼のカリスマ性に酔っていた。タミーノは城砦内に侵入するが、そこで見たのは夜の女王から聞かされていた姿とは全く異なる、群集の歓呼に応えている様子だった。一方、風車小屋に幽閉されたパミーナを見張るモノスタトスはパミーナへの愛情をむき出しにして迫る。そこに現れたザラストロにモノスタトスはパミーナが彼に対し復讐心を持っていると告げるが、ザラストロはモノスタトスを追放する。「沈黙の試練」を課せられているタミーノとパパゲーノだが、タミーノは数々の試練を乗り越えて沈黙を守った。それに反してパパゲーノは誘惑に負けて監獄にぶち込まれ老婆と一緒になる。老婆から愛の誓いを迫られたパパゲーノだったが、老婆は若きパパゲーナへ変身しまんまと脱獄に成功するのだったが...。タミーノはザラストロから試練に勝ったことを認められパミーナと束の間の再開を果たすが、今度は戦場へ赴く事になり悲しみにくれるパミーナは悲しみに悲嘆して...。その頃、夜の女王は三人の従軍看護士と裏切ったモノスタトスを率いて反撃を試みる。さて、ここから先は核心に迫って来るのでポイントだけを書く。1.夜の女王がザラストロを敵対視するようになったきっかけとは?2.試練に負けたパパゲーノだが、果たしてパパゲーナとの関係はどうなる?3.束の間の再開を果たしたパミーナだったがタミーノと分かれてから取ろうとした行為とは?4.戦場の赴いたタミーノとザラストロと夜の女王との戦いはどうなる?などを中心に映画館でご覧下さい。【鑑賞後の感想】普段はオペラには関心のない私ですが、「魔笛」はそんな私でも観てみたいと思い観た。当初はこの映画を見た前週に新宿の高島屋の大画面で観たかったけど、着いたときはすでに前席の端っこしかなく断念。やむを得ず翌週の今回はシャンシネで鑑賞したけどこちらも朝のショウなのに年配者を中心に満席状態。シャンテシネは頻繁に行くけど座席の角度がほとんどないので、前席の非常識な人の頭が気になるんだよね。この日はタマタマ大丈夫だったけど、それでも1席隣りだったら間違いなく頭で画面の下が見えなかったから際どかった。オペラというよりミュージカルだと思いながら観ていたけど、やはりオペラだけあって俳優たちも本職のオペラ歌手が演じているだけあって本格的だった。これが有名どころの俳優を使い吹き替えにするのではなく、あくまでも本格的なオペラ映画を作りたいというケネス・ブラナー監督の意欲だろう。オリジナルのオペラとは時代設定が異なるようだが、映画版では第一次大戦下のヨーロッパに変えていることでかえって時代が身近に感じられる。映画ならではのカメラワークやCGで舞台版とは異なる個性が出ていたのではないだろうか。時に、大胆なアップでドキッとさせられるカットが数箇所あったが、こうした遊びの心を挿入することで見ているほうも楽しめた。ストーリー展開も分かりやすく変に込み入ったサイドストーリーを入れなかったので、ストーリーを余裕をもって追う事が出来た。ただ一つ疑問に感じたのがザラストロが共同墓地で平和への祈りを胸に強く刻むシーンで、戦死者の墓碑がアップになるシーン。ここで石に刻まれた大勢の戦死者に日本人の名前がしかも漢字でたくさん出てきた。第一次大戦のヨーロッパという設定で何で日本人の名前がたくさん出てきたのだろうか?それとも映画の出資者に日本人がいたのかな...そうした疑問もあるが映画で慣れ親しんで、今度は何時の日か舞台版も観てみたいと思った。私のようなオペラ初心者でも充分にこの作品の良さは理会出来た。【自己採点】(100点満点)81点。出演者の歌唱力の素晴らしさとそれに伴なう演技力も評価出来る。←最新映画の話題やオペラのブログで一杯!←西武ライオンズやプロ野球のことならここ←プロ野球、メジャーリーグの情報満載人気blogランキングへ←映画の話題がザクザク
2007.07.26
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23.今宵、フィッツジェラルド劇場で■原題:A Prairie Home Companion■製作年・国:2006年、アメリカ■上映時間:105分■鑑賞日:3月17日、ル・シネマ(渋谷)■公式HP:ここをクリックして下さい□監督・製作:ロバート・アルトマン□脚本・原案:ギャリソン・キーラー□原案:ケン・ラズブニク□製作:デヴィッド・レヴィ、トニー・ジャッジ、ジョシュア・アストラカン、レン・アーサー□音楽:リチャード・ドゥウォースキーキャスト◆メリル・ストリープ(ヨランダ・ジョンソン)カントリー音楽デュオのメインヴォーカル◆リリー・トムソン(ロンダ・ジョンソン)ヨランダの姉でデュオのバックヴォーカル担当◆リンジー・ローハン(ローラ・ジョンソン)自作の不吉な詩を書くヨランダの娘◆ギャリソン・キーラー(本人)名物公開ラジオ番組の人気司会者で時には歌うことも◆ケヴィン・クライン(ガイ・ノワール)公開ラジオ番組の会場の保安係。私立探偵を気取るのが好き◆ウディ・ハレルソン(ダスティ)下ネタ大好きのデュオ、ダスティ&レフティの一人◆ジョン・C・ライリー(レフティ)ダスティとデュオを組むカントリー歌手◆トミー・リー・ジョーンズ(アックスマン)名物ラジオ番組を放送する会社を買収した男◆ヴァージニア・マドセン(デンジェラス・ウーマン)純白のトレンチコートで現れる謎の女◆マヤ・ルドルフ(モリー)臨月の妊婦で番組の進行役をステージ裏でこなす◆L・Q・ジョーンズ(チャック・エイカーズ)ベテラン歌手で最終回にゲストとして出演◆メアリー・ルイーズ・バーク(ランチレディ)チャックに恋心を寄せる配膳掛の老女【この映画について】実際に現在も放送されているアメリカの名物ラジオ公開番組「プレイリー・ホーム・コンパニオン」の舞台裏の人間模様を描く。本物の番組で30年以上にわたり司会を務め、作家でもあるギャリソン・キーラーが原案・脚本を手がけ、本人役で出演も果たしている。姉妹デュオに扮したメリル・ストリープとリリー・トムリン、ストリープの娘役のリンジー・ローハン、猥歌を歌うデュオを演じたウディ・ハレルソンとジョン・C・ライリーなど、豪華なキャスト陣が見事な歌声を披露しているのも見どころ。本作は、名匠ロバート・アルトマンの遺作となったが、アルトマン監督はこの作品を通じて「生」と「死」と「再生」をテーマにこの素敵な作品を完成させ我々に届けてくれた。【ストーリー(ネタバレなし)】ミネソタ州セントポールのフィッツジェラルド劇場で、長年親しまれてきたラジオショウ「プレイリー・ホーム・コンパニオン」の、最後の公開生放送が始まろうとしていた。テキサスの大企業がその町のラジオ局を買収したため、今夜の公開放送が最後になるはずだった。中でも私立探偵気取りの保安係ガイ・ノワールは感慨に浸っていた。私立探偵を気取った用心棒ノワール、名司会者キーラー、カントリーシンガーのヨランダとロンダのジョンソン姉妹、カウボーイソングデュオのダスティとレフティらが、次々と楽屋入りする。臨月のステージ・マネージャー助手のモリーが司会者のギャリソン・キーラーに合図を送りやがてショウが始まる。ステージ裏では出番を待ち受ける歌手達が落ち着かない様子でスタンバイする。保安係のガイは何処からともなく出現する白いトレンチコートを纏った美女のことを口にしていた。楽屋口にいたガイのもとに噂のトレンチコートの女が現れ謎めいた言葉を残す。ギャリソンの軽妙ないつも通りの司会でショウ会場は今日も盛り上がりを見せる。ジョンソン・ガールズのステージ、ダスティ&レフティのシモネタも全開。そんな盛り上がるステージの裏では、臨月のモリーが産気づいたり、ラジオ局を買収したアックスマンが密かに会場を訪れたり、そんな中でチャックがステージで歌い終わり一旦楽屋に戻ると異変が...盛況の中で進んで行ったショウも徐々に終りに近付いてきたそのとき、予定より早く進行していた事に気付いたスタッフがギャリソンにその旨を伝える。そして一人の歌手が誕生する。白いトレンチコートの女性も静かに立ち去り、アックスマンも去ろうとしたそのとき...さて、ここから先は核心に迫って来るのでポイントだけを書く。1.謎の白いトレンチコートの女は何を言い残して立ち去ったのか?2.チャックの楽屋での異変とは?3.ラジオ局を買収したアックスマンは何をしに来場し、そして立ち去った後の運命とは?4.フィッツジェラルド劇場のその後は?番組が終わったあとの出演者達はどうなった?などを中心に巨匠最後の作品は是非映画館でご覧下さい。【鑑賞後の感想】巨匠アルトマン監督の作品を実は今まで観た経験はなく今回が最初で最後となった。フィッツジェラルド劇場というステージで繰り広げられる、名物ラジオ番組を通してアルトマン監督は人間の「生と死」「再生」を彼なりの解釈で表現した。ストーリー的に見れば白いトレンチコートの女性が何かを暗示するかのような思わせぶりな発言がハラハラさせられる。ステージ上でのパフォーマンスが「生」を表現する手段だとすれば、ステージ裏や楽屋裏は「死」「別れ」が主題の様に感じた。「再生」はフィッツジェラルド劇場を去った人たちが一同に会するラストはまさにそれだ。こうしたテーマを内包しながらもそれを常に全面に押出す事をせずに、エンターテインメント性も追求したアルトマン監督のスタイルは素晴らしいの一言に尽きる。メリル・ストリープの滅多に聴けない歌声や、缶コーヒー「ボス」のCMでお馴染みのトミー・リー・ジョーンズの渋い演技力、リンジー・ローハンの瑞々しさ、ウディ・ハレルソンとジョン・C・ライリーの芸達者な歌声など見どころ満載の作品を堪能できた。【自己採点】(100点満点)83点。ステージ上の出来事と、出演者を巡るサイド・ストーリーの絡みは絶妙だった。 人気blogランキングへ←是非クリックして下さい
2007.03.21
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18.ドリームガールズ■原題:Dreamgirls■製作年・国:2006年、アメリカ■上映時間:130分■鑑賞日:2月24日 渋東シネタワー(渋谷)■公式HP:ここをクリックして下さい□監督・脚本:ビル・コンドン□製作:ローレンス・マーク□製作総指揮:パトリシア・ウィッチャー□音楽:ヘンリー・クリーガーキャスト◆ジェイミー・フォックス(カーティス・テイラー)中古車セールスマンから音楽界のマネジャーへ転身した野心家◆ビヨンセ・ノウルズ(ディーナ・ジョーンズ)3人組「ドリームガールズ」のヴォーカリスト◆ジェニファー・ハドソン(エフィー・ホワイト)「ドリームガールズ」のヴォーカリストの座をディーナに奪われる◆シャロン・リール(ミシェル・モリス)「ドリームガールズ」のコーラス担当で事務員から抜擢された◆エディ・マーフィー(ジェームズ・サンダー・アーリー)地元の人気黒人歌手で「ドリームガールズ」をバックコーラス隊に加える。通称ジミー。◆アニカ・ノニ・ローズ(ローレル・ロビンソン)「ドリームガールズ」のコーラス担当。◆キース・ロビンソン(C.C.ホワイト)エフィーの兄でソングライターとして支える◆ダニー・グローヴァー(マーティー・マディソン)ジミーのマネージャーだったが、マネージメント権をカーティスに奪われる【この映画について】R&Bの魅力を余すところなく詰め込んだミュージカル映画。『シカゴ』の脚本家、ビル・コンドンが監督をした。主演には、ビヨンセ(元デスティニーズ・チャイルド)、エディ・マーフィ、ジェイミー・フォックスと、音楽達者な人選でミュージカルを作るにはこの上ない豪華なキャストが勢ぞろい。共演者からの影響でか、エンターティナー、エディー・マーフィが、「これでもか」というくらい熱い歌と演技を魅せつけており、逆に「レイ」ではレイ・チャールズになりきっていたジェイミー・フォックスは中古車セールスマンから芸能界に転身し、数々のアイデアで「ドリームガールズ」を超売れっ子にする役どころだ。アカデミー賞ではミュージカルらしく音楽関係部門での授賞が期待されたが「録音賞」と「助演女優賞」の2部門に留まったがジェニファー・ハドソンの筆舌に尽くしがたいド迫力の歌唱力は「助演女優賞授賞」の名に相応しい!是非、劇場の大スピーカーで堪能して下さい。【ストーリー(ネタバレなし)】1962年デトロイト。エフィー、ローレル、ディーナのコーラストリオは、歌で成功しようと毎夜オーディションなどに「ドリーメッツ」というグループ名で出場していた。そしてこの日もデトロイトで新人オーディションを受けていて会場からの喝采を浴びていたが、裏では「ドリーメッツ」に優勝させたくない勢力が手を廻し「予定通り」ジミー・アーリーが優勝をさらった。そんな彼女たちを、カーティス・テイラーという中古車セールスマンの男が目を付けた。やがて、デトロイトで抜群の人気を誇るスター、ジミー・アーリーがバックコーラスを探しているとの情報を得ていた。当初は渋っていたエフィーだがディーナとローレルの喜ぶ姿をみてエフィーも決断した。そんな3人はカーティスをプロデューサーに、ドリームガールとしてデビューを飾る。更にカーティスはジミーのマネージメント権をベテラン・マネージャーのマーティーから半ば強引に奪い、経営していた中古車販売会社の車をセールで全て売って元手を作りレコード会社を創設した。カーティスはジミーとドリーメッツでツアーバスを仕立てて各地を廻って行くうちに熱心なファンを獲得していった。このツアーを通じてカーティスとエフィー、妻帯者のジミーと独身のローレルも仲を深めていった。ジミーとのステージで徐々にスポットがドリーメッツにあたり始めていることに感じていたカーティスは、ドリーメッツを「ドリームガールズ」として売り出す事を決める際に、男性ファンの受けが良いディーナとエフィ-のリードヴォーカルを交代させることを決める。これに猛反発したエフィーは徐々にグループ内で孤立し、1966年の暮れのラスヴェガスでのショウのリハーサルに姿を見せず本番ギリギリに姿を見せたときにたカーティスは断腸の思いでエフィーに解雇を告げた。代役には事務員のミシェルを立てて辛うじて興行主からの要求を満たしたのだった。ディーナをリード・ヴォーカリストとして全面に出した「ドリームガールズ」は次々にヒット曲を放ち、トップスターの仲間入りを果たす。ディーナはカーティスと結婚し豪邸に住み今やスーパースターとしての地位を築いていた。一方のエフィーは...さて、ここから先は核心に迫って来るのでポイントだけを書く。1.カーティスとディーナの結婚生活は順調だったが、あることを巡り隙間風が吹いてきたがそれは?2.流行サウンドに敏感なカーティスがエフィーの兄でありソングライターのC.C.との間でイケの相違があったがそれは何か?3.ジミーとローレルの不倫関係はどうなったか?4.カーティスに見捨てられたエフィーはその後どうなったのか?等を中心にアカデミー賞授賞したジェニファー・ハドソンの抜群の歌唱力と比例するかのような物凄い巨乳とビヨンセに注目しながら、是非、映画館でご覧下さい。【鑑賞後の感想】このミュージカル映画は私としては非常に注目していた。「ドリームガールズ」は架空のグループであるが、ストーリーを追っているとデトロイトが舞台となるとこれは「モータウン・レコード」のことであると容易に特定できる。更に、「ドリームガールズ」はリード・ヴォーカリストが交代してから人気を博したことになっているが、これは「シュープリームズ」を想像させる上にディーナはシュープリームズの「ダイアナ・ロス」であろう。映画では黒人兄弟グループで声の高い子供が歌うシーンがあるが、これは「ジャクソン5」時代の幼きマイケル・ジャクソンそっくりである。このようにこの映画は時代背景も含めてまさに「モータウン・レコード」をミュージカル化したのは間違いなく、事実ダイアナ・ロスは脚本に不快感をしめしていてブロードウェイ版をみていないそうだ。黒人女性グループが如何にして白人層に食い込んでいけるかと、カーティスはあれやこれやとアイデアを出す。そうした内幕や米国芸能界のドロドロした部分なども所々出てくるので飽きる事無く観れた。期待されたアカデミー賞は主題歌部門で3曲がノミネートされ授賞が確実視されていたのだが、結果として票が割れたのか「不都合な真実」のメリサ・エスリッジに授賞をさらわれてしまったのは残念。メリサ・エスリッジのこの曲も印象的なのだが、個人的には「ドリームガールズ」に上げたかった。それでも助演女優賞で大本命だったジェニファー・ハドソンが授賞したのは菊地凛子には悪いけど当然の結果だと思う。【自己採点】(100点満点)88点。ジェニファー・ハドソンの歌唱力には脱帽!人気blogランキングへ
2007.02.28
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原題:Copying Beethoven(イギリス・ハンガリー)公式HP上映時間:104分鑑賞日:12月24日 バウスシアター(吉祥寺)監督:アニエスカ・ホランド出演:エド・ハリス(ベートーヴェン)、ダイアン・クルーガー(アンナ・ホルツ)、マシュー・グード(マルティン・バウアー)、ラルフ・ライアック(シュレンマー)、ジョー・アンダーソン(カール・ヴァン・ベートーヴェン)、ビル・スチュワート(ルディー)【この映画について】怒れる風貌の肖像画、クラシック界の楽聖べートーヴェン“エリーゼのために”から“第九”といった世紀を超えて愛される作品群。しかしベートーヴェンの人となりがどうであったかはあまり知られていない。本作はアンナ・ホルツという架空の女性コピスト(写譜師)の目を通し、晩年のベートーヴェンが描いた意欲作だ。人の才能をけなし、音楽の才能が無いと自覚しながらも多大な期待を甥のカールに掛け、傲慢な態度をとるベートーヴェン。しかしその裏には、不幸な少年時代、体力の衰えから来る創造に残された時間はわずかなのに思うようにいかない苛立ちがあった。それを受けとめてくれる23歳の女性アンナ・ホルツは、彼にとっては恋愛の対象というよりも、母性的な存在だ。ベートーヴェンを演じるのは、名優エド・ハリス。若手の頃の『アビス』、『ポロック/2人だけのアトリエ』ではポロックに成りきった演技力などは高く評価出来る。最近では『ヒストリー・オブ・バイオレンス』の殺し屋など、出演する作品によってまったく違う面を見せる演技派で、今回もベートーヴェンを熱演している。写譜師アンナ・ホルツを演じるのはドイツ出身でモデルから女優へ転身したダイアン・クルーガーで『トロイ』での美しい王妃役、『ナショナル・トレジャー』での研究員、『戦場のアリア』ではソプラノ歌手を演じるなど、その美貌だけではなく最近では演技力も向上しこれからも注目される女優だ。【ストーリー(ネタバレなし)】“第九”の初演を4日後に控えた1824年のウィーン、合唱パートの楽譜が完成しない中、ベートーヴェンのもとに音楽出版者シュレンマーは音楽学校に依頼し一番優秀な学生として、アンナ・ホルツを写譜師として送ってきた。女性に困惑するシュレンマーは送り返そうとするが、彼女の強い意志を汲んでベートーヴェンに派遣した。ベートーヴェンはアンナを冷たくあしらうが、アンナは楽聖のミスを指摘し「修正」することで彼女の才能を知り、翌日から仕事を任せることになり宿泊先の修道院から彼のアパートに通う事に。尊大で傲慢なベートーヴェンだが、ただ一人の肉親である甥のカールだけは溺愛しピアニストにさせようとしていた。しかしカールは賭け事にのめり込みその一方的な愛を疎ましく感じていることに気づかない。一方にアンナには建築家を目指す交際相手がいるものの、アンナが写譜の仕事にのめり込み交際相手のマルティンは彼女の仕事に理解を示そうとしない関係が続いていた上に、紹介したベートーヴェンもマルティンの仕事を歯牙にもかけなかった。やがて初演の日がきた。アンナはマルティンが用意した席にドレスを纏い座ろうとしたところ、シュレンマーが現れ楽屋のベートーヴェンと対面する。そこには難聴から指揮を怖れるベートーヴェンがいた。アンナはベートーヴェンに演奏席の中で彼にテンポの合図を送る役目を頼み、彼女も承諾し励ますのだった。アンナはバイオリン席の後でベートーヴェンに指示を送り、彼もそれを頼りに指揮を滞りなく進め甥のカールも途中で合流しその様子をみて涙するのだった。劇場にこだまする大歓声を理解出来ない彼に対し、アンナは即座に客席に振り向かせることで歓声を理解しアンナに賞賛の言葉を贈った。興奮冷めやらぬ翌日、アンナは何時もの様にアパートを訪ね彼はアンナへの感謝の印として彼の署名と感謝の言葉をその場でしたためた「第九」の楽譜を捧げた。そこでアンナは自らが作曲した楽譜を持参し見せた。だが、その時のマエストロがアンナに取った態度とは彼女を大いに傷つけた...そして、涙ながらに修道院へ足早に引き返しそこで掛けられた言葉は...さて、ここから先は核心に迫って来るのでポイントだけを書く。1.アンナを傷つけたベートーヴェンの態度とは何?2.修道院に戻りそこで掛けられた慰めの言葉とは?3.アンナの後を追ってきたベートーヴェンは彼女にその後どう接したのか?4.ベートーヴェンはアンナの曲を完成させる為に果してどういう役割を果たしたのか?5.第九に次いで完成した「大フーガ」の演奏会での評判は?6.アンナとマーティンの関係はそのごどうなる?などを中心に迫力のある音楽とともに映画館で是非ご覧下さい。【鑑賞後の感想】この映画の邦題と原題ではそのニュアンスが微妙に違う。原題は「Copying Beethoven」なので「ベートーヴェンの写譜師」であるので邦題は映画の中身を表しているかのようにも感じる。クラシック音楽には全く素養が無い私なので「写譜師」という仕事があることさえ知らなかった。その上、映画ではその存在が女性であるという設定は良かった。ストーリーの展開としては、アンナが両親の元を離れて修道院で寝泊りしながら学校で作曲を学び、ベートーヴェンの写譜師としての仕事をするまでの様子と聴力障害に悩まされながらもアンナの助力で第九の初演を成功させるまでの流れは見事。第九の指揮の場面で自信に揺らぎがあったマエストロを影で支え、見事に指揮者としての役目を果たしたシーンはこの映画のハイライトだ。しかしそのハイライトを中盤に持ってきたために、その後のベートーヴェンの作曲家としての一面とアンナの作曲家への道のりへのシーンのインパクトが弱く感じたがこれは監督の意図するところだったようだ。第九での大成功と「大フーガ」作曲における自己満足と世間の評価の差に悩むマエストロの姿は、ある意味でこの楽聖の頂点とどん底を描いた。恋人と決別し自分の信じる道を極めることを生きがいとしたアンナの姿は、19世紀当時の女性の生き方としては画期的だったのではないだろうか?そしてそんなアンナをベートーヴェンは時には妻として、母として、パートナーとして彼女を見ていたと思う。この映画の主人公はそうした点からもベートーヴェンよりアンナ・ホルツであるとも言える。【自己採点】(10点満点)7.8点。ダイアン・クルーガーの指揮を助けるシーンと、それに助けられて精一杯の指揮を取るベートーヴェンを演じたエド・ハリスの成りきり振りには感心した。この演技でダイアン・クルーガーの演技の幅がひとつ広がり今後の出演作が楽しみになってきた。人気blogランキングへ[今日の主なBGM](最終回)━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━1.James Brown/Love Power Peace-Live At Olympia,Paris,1971このコーナーは1月1日にスタートし大晦日の今日が365回目の「最終回」とします。元々は音楽の話題が少ないブログだったので、毎日何を聴いたかを書くことでその足しにしていた。最初はI-PODを買った直後だったので毎日ダウンロードし聴いていた。そこで今日は何を聴いたかを書き出しているうちに、段々と欲が沸いてきて、可能な限り自分のCDをダウンロードして行きどこまで続くか試して行った。最初のうちは、3月位までかなと思いながらも日々3~5枚程度をダウンロードして行ったらあっという間に終わりそうだったので、途中から2枚、そして遂に「1日1枚」を目標に今度はどこまで続くかとりあえず頑張った。実際にはここに書いてあるアルバムは一枚でも毎日平均して4~5枚、曲数では50~70曲は聴いていました。そして半年が過ぎ、まだまだ自分のライブラリーに余力があり途中で新譜を購入したりで終わる気配はなし。結局、秋を過ぎてから何とか「年内まで毎日続行」させることを近い遂に最終回を迎えて完遂した。と言っても自分のCDライブラリーはまだまだ残っているので、本当は続けたいのだが1年間このコーナーが続いたのを機会にこのコーナーはお仕舞い。それでも当面はダウンロードは続行しI-PODへの収録曲が7799曲なので、これを気長に増やして行こうと計画中です。自分でも何枚CDを所持しているか分からないので、いずれ整理してみる積りです。
2006.12.31
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原題:Stoned(イギリス)公式HP上映時間:103分鑑賞日:8月11日 バウス・シアター(吉祥寺)監督:スティーヴン・ウーリー出演:レオ・グレゴリー(ブライアン・ジョーンズ)、パディ・コンシダイン(フランク・ソログッド)、デヴィッド・モリッシー(トム・キーロック)、ベン・ウィショー(キース・リチャーズ)、ルーク・デ・ウールフソン(ミック・ジャガー)、ツヴァ・ノヴォトニー(アンナ・ウォーリン)、アメリア・ワーナー(ジャネット)、モネット・メイザー(アニタ・パレンバーグ)【この映画について】ザ・ビートルズと並んでロック界のスーパー・バンド「ローリング・ストーンズ」の創始者でもあったブライアン・ジョーンズの脱退直後の謎の死は未だにその死因がはっきりとしていない。今ではバンドのそうした影の部分は語られることはないが、この映画では綿密な調査の結果を映画として纏めた。バンドに取っては触れられたくないタブーでもあるが、ブライアン・ジョーンズというロック・スターの私生活を描くだけでなく当時の世相やバンドを取り巻く環境も描いている。俳優陣には本人に良く似た人物を配し主役のブライアン・ジョーンズを含め、ミックやキースも良く似ているのには驚く。ストーンズのファンで無い人でも一人のロック・スターの暗部を描いた作品としても観れます。【ストーリー(ネタバレなし)】10代のブライアンは音楽と女に夢中で厳格な父との衝突が絶えなかった。或る日、14歳の少女と交際していた彼は交際相手を妊娠させてしまい相手の父に叩き出される失態を演じる。19歳でロンドンに移りミック・ジャガーやキース・リチャーズらと「ザ・ローリング・ストーンズ」を結成し、自らがマネージャーに成りすましTV出演を勝ち取っていた。ストーンズはTV出演をきっかけに小会場でのライヴを繰り返し徐々にその人気も出始めてきた。スターダムに乗り始めてきたバンドは欧州ツアーに出かけるが、この頃からブライアンはドラッグに染まり始める。そのきっかけはドイツ公演中に知り合ったアニタ・バレンバーグと恋に落ち、公演中にも関わらずパリに行ってしまいライヴに穴を開ける。アニタはブライアンにLSDを教え彼はドラッグに夢中になり、バンド活動も徐々に疎かになってきはじめた。人気を二分していた「ザ・ビートルズ」にも対抗心を燃やす中、ブライアンは「俺たちはビートルズになる気は無い」と宣言していた。彼は本物のR&Bを追及していたが、彼の志向する音楽と本格的にソングライティングを始めるようになったミックとキースがバンドの中心になるとその方向性の違いがメンバー間の軋轢を生むようになる。ソングライティングに関わらないブライアンだが、ギターのみならず多種多様の楽器を操り自分の音楽性をストーンズに持ち込もうとするがドラッグとアルコールに溺れるブライアンはバンド活動から遠ざかりはじめる。生活が荒れ始め浪費癖も目に付くブライアンに対し、事務所もそんな彼をもてあますようになる。バンドはモロッコへ休暇を過ごすが、そこでメンバーの不和が一気に噴出しメンバーは逃げるように彼を避けて帰国した。ブライアンとアニタの関係も一端は終り、ロンドン郊外の農場で気ままで堕落した生活を送りレコーディングにも顔を出さなくなる。事務所はマネージャーのトム・キーロックの計らいで建築家のソログッドを監視役兼世話役として派遣した。だが、元来は建築家のフランクはロック・スターのエゴをむき出しにするブライアンに振り回される。アニタと分かれた彼はアンナ・ウォーリンとフランクと生活をするが、彼はフランクを良いように使いフランクもそんな役割に不満をもちトムに実情を訴えるが取り合わなかった。そんなフランクの不満をよそに、バンドの連中がブライアンに会いに来たのだった。さて、ここから先は核心に迫って来るのでポイントだけを書く。1.バンドのメンバーはブライアンに何を伝えに来たのか?2.フランクがブライアンに振り回されたのは何故?3.ブライアンの浪費癖に悩む事務所の取った行動とは?4.フランクのブライアンへの不満は爆発寸前となり遂に...この先は映画館か今後発売されるであろうDVDでどうぞ。【鑑賞後の感想】 ブライアンの事故死?に関しては未だにその真相は解明されていないが、この映画ではフランク真犯人説?に基づいて制作されている。と言うのも当のフランクが死ぬ間際にブライアン殺害をほのめかしたそうだが、私はそこまでのストーンズ・フリークではないので良く知らない。この映画を通してはストーンズがブライアンを中心に結成されながらも、ミックとキースが徐々にバンドの中心となってからのブライアンの荒れた生活を描くのが主となっている気がする。当時の模様も多少は描かれているが、この映画の主人公はあくまでもブライアン自身なので彼の郊外の農場での凄まじいばかりの我侭ぶりに振り回されるフランクも気の毒だった。そうした我侭のし放題に呆れてしまうフランクの不満が最後に爆発し、例のプールでの事件へと繋がったとこの映画では訴えている。ストーンズ・フリークでなくてもこの事件については多少は知っているが、折角長い年月を掛けてリサーチしたのだから関係者のインタビューを挿入するとか「新事実」を盛り込むとかが無かったのは残念。【コラム・Column、ブライアンとザ・ビートルズの関係】ザ・ビートルズとは違うとブライアンが豪語したことに対する、例えばジョンやポールからの反応のコメントがあれば紹介するなどしても良かった。因みに、彼は1967年のSgt.Pepper'sのセッションのなかでの「You Know My Name」でサックス・ソロを披露している。しかしこのお遊び的な曲は一度はボツとなり1970年に「Let It Be」のシングル発売時にB面として収録されたが、当時としては長い曲だったので中間部は大幅にカットされていてブライアンのサックス・ソロもかなりカットされた。それでもアンソロジー・シリーズで始めてノーカット盤が陽の目を見たので、両方とも知っている方は比較して聴いてみて欲しい。【自己採点】(10点満点)7.7点。前述したように「目玉になる」エピソードが欲しかった。それにしてもブライアン、ミック、キースを演じる俳優は何故だか本物にそっくりだ。人気blogランキングへ[今日の主なBGM]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━1.Spyro Gyra/Freetime
2006.08.18
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原題:Rent(アメリカ)公式HP上映時間:135分監督:クリス・コロンバス出演:ロザリオ・ドーソン(ミミ)、アダム・パスカル(ロジャー)、アンソニー・ラップ(マーク)、ジェシー・L・マーティン(コリンズ)、ウィルソン・ジャーメイン・ヘレディア(エンジェル)、テイ・ディグス(ベニー)、トレイシー・トムス(ジョアンヌ)、イディナ・メンゼル(モーリーン)【この映画について】ブロードウェイ・ミュージカルの映画化であるが、この作品は「シカゴ」や「オペラ座の怪人」などのヒット作とはまた違った面がある。ミュージカルを語る上で欠かせない「音楽」面では、従来型のミュージカルはジャズ風やオペラ風やクラシック風の音楽を独自にアレンジしていた。だが「レント」ではそうした殻を破りロック、タンゴ、ゴスペル、R&Bなどの要素を場面によって使い分けている点が斬新だ。NYを舞台に若手芸術家たちが奔放に生きる姿と音楽が見事に融合しているのを堪能してもらいたい。 【ストーリー(ネタバレなし)】1989年12月24日、X'Masイブの日のNYのイースト・ヴィレッジは若手芸術家が自分達の未来を夢見て住んでいる場所だ。イースト・ヴィレッジの古ぼけたアパートにはかつては人気を博したロックバンドのメンバーだったロジャーとマークは家賃(レント)を払えずに電気も暖房も止められた。ロジャーはかつての恋人がドラッグ中毒からエイズを患い自殺してしまったショックから部屋に篭る日々が続く。自身もエイズ感染者であり発症する前に何とか素晴らしい曲を書きたいとの思いで、暗い部屋でギターをかき鳴らす。マークはドキュメンタリー映像作家を目指し街中で印象的なショットを撮る日々。そのマークは恋人だったパフォーマンス・アーティストのモーリーンにふられた。そのモーリーンはマークをふってから、ジョアンヌという女性弁護士と付き合っていることで二重のショックを受けている。その二人のもとにかつてのルームメートで哲学教授トム・コリンズが電話をかけてきて戻るという。アパートの真下まで来たトムだったが、直後に強盗に襲われる。数人の男に襲われたコリンズは、ストリート・ドラマーでドラッグの常習者エンジェルに助けられ運命的な恋の陥った。家賃を滞納している二人はかつてはルームメートだったが、今では資産家の娘と結婚しアパートの大家となったベニーから再開発の名の下に退去を迫られる。ベニーはモーリーンが再開発中止の抗議ライヴを行うのを中止するか、立ち退くかの二者択一を迫ってきた。ベニーに嫌な選択を迫られたその夜、一人で部屋にいたロジャーは階下の住人ミミがろうそくの火を借りに来る。ミミに惹かれるが彼女もドラッグ中毒と感じた彼は嫌悪感を露にする。モーリーンの元恋人のマークはX'masの日に抗議ライヴの音響の具合を見て欲しいとの電話を受けて、渋々ながら現場へと向う。しかしそこで待ちうけていたのは、モーリーンではなくジョアンヌだった。結局、二人とも奔放なモーリーンに振り回された形になる。その翌日の抗議ライヴはベニーが呼んだ警官隊のせいで大混乱に陥る。その後、むしゃくしゃした気持を発散するため、行きつけのカフェに集まったのはロジャー、マーク、コリンズ、エンジェル、モーリーン、ジョアンヌ、ミミ。このグループ達はベニーの姿を見つけるや、思いのたけを歌い上げるのだった。その場でミミとロジャーの二人はお互いがHIV感染者だと知る事になり、心の中に隠していたお互いへの思いを打ち明けるのだった。大晦日の夜、マークとロジャーは仲間とともにタイムズ・スクエアに繰り出し大騒ぎをし新年をそこで迎えた。だが、二人がアパートに帰ると家財道具は全て持ち出されて空っぽの空間だけが二人の眼の前に虚しく漂う。それは明らかにベニーが仕掛けたのは明白だった。これから仲間達の将来はどうなるのだろうか?さて、ここから先は核心に迫って来るのでポイントだけを書く。1.ベニーの再開発の目的とは?2.モーリーンとジョアンヌの関係はどうなる?3.ミミのドラッグ癖を嫌うロジャーが取った行動とは?4.仲間達に次々と襲うHIVの恐怖?一体誰が犠牲になったのか?5.仲間達の志や目的や将来は開けるのか?それらは達成できるのか?6.マークが追っていた映像とは?などを中心に映画館でご覧下さい。【鑑賞後の感想】ミュージカルと言うと何だか構えてしまって「どうせジャズ風の音楽」が鳴り響くだけだろう。そう思っている人も少なくないはずだ(私もそうだった)。だがこの映画では音楽は大事な「セリフ」でもあるのだが、その音楽はロック調やゴスペル調やタンゴ風のもあったりとバラエティに富んでいるので違和感無く聴ける点は大いに評価したい。ストーリーの展開は、時代設定が1989年から1990年の一年間を描いており広がりを見せ始めたエイズへの恐怖が全体を支配している点も他のミュージカルとは一線を画している。同性愛、ドラッグ中毒、貧富の差、人種差別などアメリカ社会が抱える共通の悩みや問題をミュージカルという括りの中で描いている点にも注目したい。例えば「プロデューサーズ」はブロードウェイのプロデューサーを目指す会計士の話だが、そこには社会的背景は多く描かれていない。「ミュージカル」というジャンルの映画ではあるが、それを強く意識せずに観ることでこの映画が描いていることが浮き出てくるのではと思った。【自己採点】(10点満点)9.2点。この映画を観た渋谷の映画館は2館で一つの施設なのだが、好評とみえ両館で時間をずらしながら上映する盛況ぶりだった。私が観た時も満席だった。全国拡大公開されないのが不思議な位の良い作品で、今秋の日本公演も既に決まっているのでそちらも楽しみだ。映画鑑賞後は早速CDショップでサントラ盤を購入しました。人気blogランキングへ[今日の主なBGM]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━1.Elvis Presley/Elvis 30 No.1 Hits2.The Beatles/Help!
2006.05.28
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原題:The Producers(アメリカ)公式HP上映時間:134分監督・振付:スーザン・ストローマン出演:ネイサン・レイン(マックス・ビアリストック)、レオ・ブルーム(マシュー・ブロデリック)、ユマ・サーマン(ウーラ)、ウィル・フェレル(フランツ・リープキン)、ゲイリー・ビーチ(ロジャー・デブリー)、ロジャー・バート(カルメン・ギア)【この映画について】「オペラ座の怪人」「シカゴ」を凌ぐトニー賞12部門史上最多賞のブロードウェイ・ミュージカルが遂に映画化されたことで注目を浴びた。ミュージカル映画は「シカゴ」の大ヒットとアカデミー賞授賞で再び脚光を浴びることになり、名作「オペラ座の怪人」までリメイクされたのは記憶に新しいところだ。そこでブロードウェイ・ミュージカル最多賞授賞を誇るこの映画が遂にスクリーンにその姿を現した。オリジナル舞台版でも同じ役を演じたネイサン・レインとレオ・ブルームのコンビに、ウーラ役では「キル・ビル」シリーズでの活躍で有名なユマ・サーマン、「奥様は魔女」でダーリン役を演じたウィル・フェレルなどがどう絡んで来るのかを楽しみに観てもらいたい。【ストーリー(ネタバレなし)】1959年、ニューヨーク。ミュージカルの大物プロデューサーだったマックス・ビアリストックの新作「ファニー・ボーイ」は初演日に酷評され一日だけの上映で「楽日」となる有様だ。かつての栄光も地に落ち、今では出資者である老婦人等の機嫌を取り小切手をせびって生活を支える。或る日、マックスのオフィスに会計士のレオ・ブルームが帳簿を調べに来た。レオは帳簿をチェックしている最中にふとした一言を漏らした。それは「出資者から募金を募り、結果としてショウがこけると配当を払う必要がないので、プロデューサーは儲かる」という図式だ。それを聞いたマックスは頭の中で何かが弾けたのを感じた。早速マックスはレオの口封じとともに彼を自分の見方に付けて一緒に「史上最低のミュージカル」を作って儲けようと持ちかける。だが何事にも積極的なマックスとは正反対のレオは、マックスが必死に口説くものの決意しない。レオは元々マックスのミュージカルのファンで何時かはブロードウェイでプロデューサーになりたいとの願望を持ち続けていた。ワンマンなオーナーの経営する会計事務所での仕事に嫌気がさしていたレオも遂に弾けた。マックスの説得を受け入れて、遂にマックスと組むことで自分の夢を実現する道を選ぶのだった。マックスの事務所で二人は「史上最低の脚本」を捜し「史上最低のショウ」の準備にかかる。山ほど送られてくる脚本の中からマックスが選んだのは、フランツ・リープキン脚本の「春の日のヒトラー」だ。早速契約を獲得するために契約書を用意しフランツが鳩と住むアパートの屋上に向う。二人はフランツのおかしな要求をその場で呑み、何とか契約に漕ぎ着ける。次は「史上最低の演出家」と見込んだロジャー・デブリーとその助手のカルメンと面会に。一度は断られかけるがマックスの熱意で引き受けてもらうことに成功する。こうして着々と二人の計画は進み、事務所に戻るとスウェーデン娘のウーラという女性が現れショウに出して欲しいと売り込む。その場でダンスと歌を披露したウーラを気に入った二人は、事務所勤務ということで雇うことに。スタッフを集めることに成功した二人が次に着手したのは目標の200万ドルの資金を得ること。資金は老婦人たちを言葉巧みに誘惑し目標額を達成する。後は、ウーラとともに出演するヒトラー役をオーディションで決めるだけだが、これは想像外に難航したのだった...。さて、ここから先はポイントだけを。二転三転するヒトラー役は結局誰が演じることに?果たしてショウは思惑通りこけるのか?初演日のドキドキの観客の反応は?ウーラに恋したレオと二人の関係は?ショウの結果で左右される帳簿の扱いはどうなる?マックスとレオの関係はこの先どうなる?などを中心に映画館でご覧下さい。【鑑賞後の感想】「シカゴ」を超えるミュージカル映画ということで大いに注目したのだが、ストーリーの展開とか細かい点ではシカゴの方が上と個人的には思う。だがこちらの方はシカゴとは違った意味での「娯楽性」が溢れているとも感じたのだった。両者に言えるのはどちたも人を騙した上で個人的な欲望や思惑を操ろうとする点である。シカゴでは夫殺しの女がしたたかに生きてスター街道を歩もうとするのに対し、こちらは出資者の老婦人等を騙して資金を着服しようという下心が全面に出ている。何れも現代に生きる人間の「欲望」がテーマであることは間違いない。ミュージカル映画の最大の見どころ(聴き所?)はやはり「音楽」の良さに尽きる。劇のセリフを音楽が代行するだけあって、音楽の果たす役割は大きい。ここでは主にレオの夢であった「プロデューサー」への道を歌った「I Wanna Be Producer」の派手な演出が楽しかった。ストーリーはきっちりと起承転結があり、最後は、大体想像の範囲で終わるのだが134分の上映時間は長く感じなかった。ミュージカル俳優ではないウィル・フェレルのコミカルな演技、ダイナマイト・ボディがやたらに強調されるユマ・サーマンの評価は?まあまあかな?この映画はエンド・ロールにも楽しい仕掛けや映像が続くので、エンド・ロールと同時に席を立つ(映画はエンド・ロールも観るのが真の愛好者)のではなく映画館の灯りがつくまで観ることを強くお薦めします。【自己採点】(10点満点)9.0点。音楽の良さではシカゴに叶わないが、楽しめる映画であるのは良い映画の証拠だ。人気blogランキングへ満開の桜の写真はこちらでご覧下さい[今日の主なBGM]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━1.Fourplay/Elixir2.Sting/Mercury Falling
2006.04.28
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原題:Walk The Line(アメリカ)公式HP上映時間:136分監督:ジェームズ・マンゴールド出演:ホアキン・フェニックス(ジョニー・キャッシュ)、(ジューン・カーター)、ジニファー・グッドウィン(ヴィヴィアン・リベルト)、ロバート・パトリック(レイ・キャッシュ)、シェルビー・リン(キャリー・キャッシュ)【この映画について】1950年代に一世を風靡したロカビリー歌手ジョニー・キャッシュの生涯を描いた作品。この作品ではキャッシュと二度目の妻であり、長年憧れていた歌手でもあるジューン・カーターとの間を主に描いている。ジューン・カーターを演じたリーズ・ウィザースプーンはアカデミー賞主演女優賞、ゴールデン・グローヴ賞など多くの賞を総なめにした。一方、キャッシュを演じたのはホアキン・フェニックスで劇中でも見事な歌声を披露しているので注目してもらいたい。ここ数年ハリウッドではこうした伝説のミュージシャンの伝記映画が作られる傾向にあり、どの作品も質が高いがこの作品も同様なのでキャッシュを知らない人にも(私もそうだった)観ていただきたい。【ストーリー(ネタバレなし)】1944年、12歳だったキャッシュ一家は父のレイ、母のキャリー、兄のジャックとともにアーカンソー州の失業救済局所有の綿花畑の小作で細々と生計を立てていた。ジョニーは兄ジャックとともに父の仕事を手伝う日々だったが、一家の家計は何時まで経っても好転せず酒に溺れる父の暴力も度々だった。ジャックは牧師を目指し、ジョニーはラジオから流れてくるカントリー音楽に夢中になっていた。中でもジョニーの憧れは、音楽一家のカーター家の次女ジューンの歌声だった。そんな或る日、キャッシュ家に悲劇が訪れた。兄ジャックが電動ノコギリの事故で急死してしまう。優秀だった兄の死はキャッシュ家に暗い影を落とした。父はジョニーに面と向って「悪魔は、良い子のほうを奪った」と言い放ち、彼はこれがトラウマとなりショックを受ける。1954年、ジョニーは2年前に入隊した空軍を除隊し初恋のヴィヴィアンと結婚し、テネシー州メンフィスで新婚生活をスタートさせる。生活の為になれないセールスをするものの、口下手な彼は上手くいかない。そんな彼の息抜きは地元の親しい連中とゴスペルをバンドで歌うことだった。しかしヴィヴィアンは生活が苦しいなかで、夫のそうしたバンド活動には理解を示さなかったので、夫婦間では徐々に心に溝が出来始める。早急に家賃を払う必然性に追い込まれたジョニーは、街角でサン・レコードのスタジオを発見し「誰でもレコードを作れる」との広告を見つけて強引にレコーディングの約束をプロデューサーのサム・フィリップに取り付ける。そこで彼は得意のゴスペルを披露したが「時代遅れ」と酷評され、空軍時代の自作曲を熱唱しこれが認められて契約する。早速、エルビス・プレスリー、カール・パーキンス、ジェリー・リー・ルイス(凄いメンバーだ!!)らとツアーに出る。ツアーの最中、彼は憧れだったジューン・カーターと出会い共演し意気投合する。お互い妻子の居る身であるために、一線を越えることが出来ないでいた。特に、ジョニーは妻ヴィヴィアンとの不和からドラッグに溺れるようになる。そしてステージでジューンと共演の際に、彼女の前夫とのデュエット曲を強要したことでジューンからも嫌われてしまいますます塞ぎこむジョニー。ジューンとの関係もこれを機に失ったが、6年後に再び二人でツアーに出ることになった。だがやはり二人の関係は上手くいかず、それを悩むジョニーはまたもやドラッグにのめり込み、遂にステージ上で意識を失い挙句の果てにメキシコから覚醒剤をギターケースに隠し密輸した罪で逮捕され音楽界かも妻ヴィヴィアンからも見放される羽目に。ジョニーがドラッグから抜け出せない状態に手を差し伸べたのもジューンだった。ジューンはジョニーが買った湖畔の小屋に両親と移り住み、ジョニーが麻薬との関係を断てるように、売人が近づけないようにした。こうして禁断症状に苦しむジョニーをジューンは立ち直らせた。そしてジョニーの元に、一風変ったファンレターが舞い込むようになった。そのファンレターはジョニーを勇気付けるものだったが、一体それは...。さて、ここから先はポイントだけを。ジューンの献身的な介護で麻薬から抜け出したジョニーとジューンの関係はこの先どうなる?ファンレターの中身とは?ジョニーと父の関係は改善されるのか?ジョニーは音楽界の最前線に復帰できるか?などを中心にご覧ください。【鑑賞後の感想】ジョニー・キャッシュのレコードを一枚ももっていない上に、彼の音楽に対しても殆ど予備知識(勿論名前位は知っています)が無い状態でこの映画を観た。伝説のミュージシャンの映画と言えば最近ではレイ・チャールズの生涯を描いた「レイ」が有名だ。今回の作品でも言える事は、レイ・チャールズもジョニー・キャッシュも決して裕福な恵まれた家庭に育った居ない点。幼少時代から音楽には興味があり、それが貧困から抜け出す手段であったのも共通点。だが、音楽家として有名になってからは、家庭内の不和や麻薬に溺れるあたりは両者ともに共通し、最後には見事に?カムバックする。そのミュージシャンを良く知るファンがこうした伝記映画を如何に評価したいるのかは知らない。しかし、今回の映画の様にミュージシャン仲間にも評価されるジョニー・キャッシュの人生が波乱に満ちていた(だから映画の題材になるのだが...)ものであったことが理解出来た。ジョニーを演じたホアキン・フェニックス、ジューンを演じたリーズ・ウィザースプーンの演技も素晴らしかった。ホアキンはアカデミー賞を授賞した訳では無いが、彼のジョニーになりきった演技にも拍手を送りたい。【自己採点(10点満点)】8.8点。J・フェニックスの熱唱に敬意を表した点数。人気blogランキングへ[今日の主なBGM]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━1.U2/Rattle And Hum2.Basia/Basia On Broadway
2006.03.27
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原題:George Michael A Different Story(イギリス)公式HP上映時間:100分監督:サザン・モリス出演:ジョージ・マイケル、アンドリュー・リッジリー、エルトン・ジョン、スティング、ボーイ・ジョージ、ぺプシ&シャーリー、マライヤ・キャリー、ケリー・ゴス【この映画について】1980年代前半から半ばにかけてワム!のヴォーカリスト兼ソングライターとして、その後は、ソロ・シンガーとして人気を博していた英国出身のジョージ・マイケルのこれまでの人生について語ったドキュメンタリー映画である。彼はこの映画の日本での公開に合わせてワム!以来の来日を果たしたが、そこには同性の恋人ケリー・ゴス氏も同行していた。前半はワムとしてアンドリューと共に成功するまで、後半は一転して同性愛を認めてからの話が中心となる。マライア・キャリーが彼に対する熱い思いを語っている点にも注目。【ストーリー(ドキュメンタリー)】音楽ドキュメンタリー作品なので、「ネタバレ」とは関係ないのでありのままを書きます。ジョージ・マイケル(本名:ジョルジオス・キリアコス・パナイオトゥー)はギリシャ移民の父を持ち、英国ノース・ロンドンに1963年6月25日に生まれた。二人の姉を持つ家族で育ち11~12歳の頃に、後にワム!でパートナーとなるアンドリュー・リッジリーと出会う。映画では当時住んでいた家にマイケルが向い懐かしそうに級友と語っていた。17~18歳の頃には当時流行だったスカに感化されてスカ・バンドをアンドリューらと組みデモ・テープ制作に励みレコード契約を得るべくテープを送るが相手にされない。この頃のメンバーで幼馴染のデヴィッド・オースティンもインタビューで当時を振り返っていた。映画ではアンドリューとジョージが、学校時代からワム!として成功するまでの頃を楽しそうに一緒に語り合っている。不遇を囲っていた頃に、あるテレビ番組で出演者がキャンセルしたのを機にワム!が出演することに急遽決まった。マイケルはこの日の出来事を今でも鮮明に覚えていると、インタビューでも熱っぽく語っていた。ワム!の出演が好評を博し二人の周辺は一気に騒がしくなる。この時にあるレコード会社が半ば強制的に契約書にサインをさせて、二人のレコードデビューが正式に決まった。だがこの時の契約を巡ってその後裁判になった。ここからワム!は一気にスターダムにのし上がり、その勢いはアメリカにも上陸しナンバーワン・ヒットを連発するスタートなる。この間には日本のCMにも出演した時のエピソードが二人から語られるシーンも挿入されていた。このワム!時代のインタビューには二人以外にも、バックダンサーだったぺプシ&シャーリーのインタビューでも詳しく語られる。その他にはボーイ・ジョージのインタビューも挿入される。だがワム!は人気絶頂だった時代の1986年6月28日にロンドンでサヨナラ・コンサートを一夜だけ開催し正式にファンに別れを告げた。当時は私もそうだがワム!の突然の解散発表は驚かされた。この辺の事情は当時の発表内容と今回のインタビューでは内容が違っていたようだ。今回のインタビューでは、アンドリューが休みもなく楽しめなかったと告白している様子を聞いているマイケルも驚いていた。マイケルはアンドリューへの辛らつな記事や批判に心を痛めていたと語り、アンドリューへの気遣いを見せていた。ワム!解散後マイケルは直ちにソロ・アルバム制作へ着手する合間にも、アレサ・フランクリンとのデュエット、サントラ盤への参加など忙しいかった。そしてアルバム「フェイス」からは次々とヒット・シングルを連発する。この辺のことはエルトン・ジョンやマライヤ・キャリーが語っている。このアルバムの好調なセールスで莫大な稼ぎと名誉を得たマイケルだが、徐々に彼はそうした活動に疲れていく。だがレコード会社は新しいアルバムの制作とそれに伴なうプロモーション活動を求めてくる。1990年代に入りレコード会社(SONY)との間に生じた溝は、時間と共に修復不可能となり裁判へと発展する。この裁判劇の長期化はマイケルの音楽活動にも影響を与え、コンサート活動以外の音楽活動は出来なくなった。その中でブラジルのリオで開催された一大ロック・イベントで彼は運命的な出会いをする。それはアンセルモという一人の男性でマイケルはこの男性に恋する。ここからマイケルとアンセルモの話が延々と続く。だがアンセルモはエイズ検査で陽性となり、養生生活も虚しく亡くなってしまう。アンセルモの死以降にSONYとの裁判で和解が成立したマイケルは、レコード活動を再開させる。そして例のロスのトイレでの逮捕騒動へと繋がる。ケニー・ゴスとの出会いを経て現在のマイケルへとなる。【鑑賞後の感想】ストーリーでは最後のほうはさらりと書いて済ませたが、実際には前半のワム!時代のインタビューや映像よりは後半の方に重点を置いていたようだ。日本のファンにはワム!時代の印象が強い(私もそうだけど)ので、ソロになってからの裁判と同性愛のことが延々と続くのにはチョッとうんざりだった。だが彼がシャイで本当はプロモーション活動が嫌いで、家のソファに座っていてCDが売れるならそれが一番と語っているのは興味深かった。スターとして常にファンの眼に晒されている辛さが出ていた。現在のアンドリューと二人でのインタビュー映像では、楽しそうに語っているのだがアンドリューがワム!以降パッとしなかったことへも触れていたが気を遣っている様子も伺えた。それでも子供時代からの親友アンドリューとは気が合うのか、リラックスした表情はアンセルモや今の恋人ケリー・ゴスとの事を語るときとは明らかに別の表情になっている。まあ、それでもワム!時代の映像や音楽に再び触れることが出来たのは楽しかった。アンドリューの音楽的才能の欠如も改めて感じた。【自己採点】(10点満点)7.7点ワム!時代のエピソードや活動についてもっと語って欲しかった。アンセルモやケリー・ゴス関係の話が多すぎるので、これを減らしてワム!とソロ時代の音楽の話題を増やせば点数はもっともっと上がった。人気blogランキングへ[今日の主なBGM]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━1.David Spinozza/Spinozza2.Dane Donohue/Dane Donohue3.Frankie Bleu/Who's Foolin' Who?4.David Pack/The Secret Of Movin' On5.Paul McCartney/Pipes Of Peace
2006.01.22
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人気blogランキングへ【この映画について】この映画は純粋に、一つのストーリーがあって展開する映画ではない。だから厳密に言えばストーリーはありません。更に言えば、映画のメインはニューヨークの有名なホールである「ラジオシティ・ミュージック・ホール」で行われたコンサートの模様を編集したものです。2003年2月7日にジャンルと世代と国籍を超えたミュージシャンが集まった。そのアーティスト達は「ブルース生誕100周年」を記念して集合した。集合したアーティストは誰もが知っているような名前の人(上をクリックすると詳細が見れます)たちで、聴衆達は始まる前から興奮が頂点に達していた。コンサートのオープニングの前に、このプロジェクトを仕切っている名映画監督のマーティン・スコセッシ氏(アビエーターの監督です)の挨拶があってから始まる。オープニングは西アフリカのベニン(旧仏領の為ベナンと表記する場合あり)出身のアンジェリーク・キジョーだ。彼女は元々はアフリカの民族音楽と西洋のポップスを融合させた音楽を披露する人だそうだ。今回歌った曲のオリジナルは、ジミヘン(ジミ・ヘンドリックスのことです)の曲らしいが私はそれは知らない。だが彼女の歌い方は正に、ブルースそのものであった。コンサートはその後も、著名アーティストのパフォーマンスが次々と披露される。映画では、楽屋でのショットや昔の映像やエピソードも語られるがこのエピソードは聞いていて楽しい。まあ、私は正直言ってブルースはそれほど詳しくはない。今回、この映画でも歌っていたB.B.キングのステージは東京でU2のコンサートが有った際に前座で歌っていたのをはっきりと憶えている程度である。【鑑賞後の感想】この映画を最後まで見て気が付いたのは、ブルース音楽のルーツは西アフリカからやって来た黒人奴隷たちが持ち込んだ音楽であるということだ。故にこのコンサートの最初に登場したアンジェリーク・キジョーを起用した製作者の意図が分かった。それがこの映画を見て自分なりに得た一つのブルースへの見方であった。
2005.04.02
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人気blogランキングへ【この映画について】この映画は1950年代の後半から’60年代の半ばにかけて活躍したエンターテイナーのの生涯を描いた作品だ。ボビーを演じるのは監督、制作も手がけるケヴィン・スペイシーだ。ケヴィンの妻サンドラ・ディー役にはケイト・ボスワース、「母」ポリー役にはブレンダ・ブレッシン、「姉」ニーナ役にはキャロライン・アーロンが演じる。素晴らしいのは、ボビー役のケヴィン・スペイシーは全ての歌で吹き替え無しで歌っている点だ。昨年末に観たコール・ポーターの生涯を描いた映画では、一流のj歌手達が歌っていたのとは正反対だ。【ストーリー(ネタバレなし)】ウォルデン・ロバート・カソットことボビー・ダーリンは、ニューヨークのブロンクスで育った。だが幼少時代のボビーはリュウマチ熱に冒されて、医師からは15歳までしか生きられないとの絶望的な宣告を受けた。そんな幼い頃のボビーは、母の音楽好きの影響もあって音楽にのめりこんでいった。そしてボビーは高校時代にバンドを結成しドラムス、ギター、ピアノをマスターする。ボビーは当時人気絶頂のフランク・シナトラが出演していた、クラブ・コパカバーナへの出演を夢見ていてクラブを廻って経験を積んでいた。そんなボビーは当時はまだ本名で出演していた。そして中華街を歩いている時にふと一つの看板を眼にした。その看板は「Mandarin」という中国ではありふれた名前だが、それにヒントを得て「ボビー・ダーリン」と改名した。そしてついに’56年に念願のレコード契約を得るが暫くはヒットに恵まれなかった。その2年後に別のレコード会社から出した曲がヒットし、彼は一躍ティーン・アイドルとして騒がれた。レコード会社は彼をその路線を押し進めたかったが、ボビーは大人のスターとしての路線を進みたかった。ティーン向けのロックを要求する会社側に背を向けて、シナトラのようなタイプを目指す。1959年にはグラミー賞を授賞し、ついに念願のクラブ・コパカバーナ出演を果たしたのもこの時だった。クラブ歌手としてトップクラスの地位を確立したボビーは、1960年代に入ると映画界への進出を果たす。1960年に出演した映画の共演者だった当時16歳だった、サンドラ・ディーと出会い電撃婚約を発表した。だがまだサンドラは結婚するには若すぎると、サンドラの母は大反対する。ボビーはそんな母を説得して結婚するが、ボビーの生活スタイルとサンドラが願う生活スタイルとは違いがあった。その違いは何かは映画館でか今後のDVD発売の際に観てください。その後も順調に映画活動に打ち込むボビーはアカデミー賞の候補にも挙げられたが、授賞を逸し暫くはショックで荒れていた。’60年代も中頃になると彼の活動範囲や、周りを取り囲む環境にも徐々に変化が現れてきた。’50年代に活躍したエルビスもそうだが、ボビーの主な活動の場だったクラブ出演も減ってきた。それにはロックの台頭で、音楽家の活動の場としてのクラブの価値が替わってきていた。当時のアメリカはベトナム戦争の影響が音楽界にも現れ始めて、フォークソング歌手達の反戦歌が幅を利かせていた。ボビーのようなスタンダード・ジャズを得意とする歌手達の活躍の場は減る一方だった。その頃のボビーは家庭内でも妻のサンドラとの関係にも亀裂が生じていた。ボビーは家を飛び出すと、トレイラーハウスを引っ張って気ままなドライブ旅行へと旅立った。そこで彼は音楽のスタイルを変える決心をし、フォークソングへの世界へ挑戦する。更に、ベトナム戦争に触発されて政治活動にも感心を持ち始めるようになる。政治活動への時間を割いていくうちに、ボビーは選挙への立候補にも色気をもつ。政治活動に興味を抱いたボビーに危惧していたのは、歳の離れている姉のニーナだった。そのニーナはボビーに、その生誕にまつわるボビーさえ知らない事実を告白してボビーは混乱する。その衝撃的な事実とは何か?これも映画館かDVD発売の際に観て驚いて下さい。再びクラブ・コパカバーナに今度はフォーク歌手として戻ってきたボビーだった。だが観衆はまばらで、誰もボビーの新境地を受け入れる者はいなくそれはスタッフも同じだった。失意に打ちひしがれるボビーだが、あるとき妻がふと呟いた一言をヒントに自信を取り戻す。フォーク歌手として観衆に受け入れられなかったボビーだが、今度は同じ曲のアレンジを工夫して披露して見た。その時の観衆の反応は?ドキドキのボビーは?もったいぶる訳では無いが、この時の聴衆の反応はボビーが期待していた通りのものだった。一体、ボビーはどういう風に期待していたのか?こうして人生を突き進んできたボビーだが、彼は幼少時代に医師に宣告された15年の命だが徐々に彼の肉体を蝕んできた。果たしてボビーの命はこの先どうなる?【鑑賞後の感想】昨年公開されたコール・ポーターの伝記映画もとてもよかったが、この映画も負けず劣らず良かった。その2作に加えて「レイ」とあわせて3作品は、単に音楽映画との括りではなくてストーリーも音楽もしっかりとしていたのには好感がもてた。この作品では、歌手生活10周年を迎えたボビーがステージで少年時代からの自分を振り返るというユニークな設定だった。中でもそのステージに登場する少年時代のボビーと、現在のボビーが語り合うとの設定はケヴィン・スペイシーのアイデアだろうが楽しめた。
2005.03.24
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人気blogランキングへ【この映画について】今更何の説明も必要としないミュージカルの名作「オペラ座の怪人」は、過去にも何度も映画化されている。だが今回の作品は現在世界の舞台で上映されている、英国の作曲家アンドリュー・ロイド=ウェッバーのバージョンだ。映画化にあたってもウェッバーが製作、作曲、脚本を手がけている。監督は「バットマン・シリーズ」や最近では「フォーン・ブース」を手がけたジョエル・シュマッカーが担当する。主役のファントム(怪人)役には「タイムライン」のジェラルド・バトラー、語り役でもあり恋人(後に一緒に結婚するが)役ラウルにはパトリック・ウィルソン、ラウルとファントムの双方から好意を寄せられるクリスティーヌ役には、「デイ・アフター・トゥモロー」で主人公の息子の恋人を演じたり、「ミスティック・リバー」でショーン・ペンの娘役を演じたエミー・ロッサムが美声を聞かせる。アカデミー賞では、「技術」「美術」「主題歌」の3部門でノミネートされている。【ストーリー(ネタバレなし)】私は舞台版の方は観ていないので比較は出来ないので、あくまでも映画の進行について記す。映画では冒頭が1919年の設定で、そこでは朽ち果てたオペラ座で縁の品物のオークションが開かれていた。そこには年老いたラウルの姿とマダム・ジリー(ミランダ・リチャードソン)の姿もあった。二人はオペラ座が華やかだった時代を知る人物だった。そのラウルの回想という形で映画は進行する。回想は1870年代のパリのオペラ座でこれらのシーンはカラーで、現在の1919年はモノクロで描かれている。ミュージカル作品なので細かいストーリーの描写があるわけではない。オペラ座では「ファントム(怪人)」と呼ばれる人物が地下に住んでいて、度々公衆の面前に現れては劇団員に難題を突きつけて困らせる。そんな時に座の支配人が代わる。怪人はショーの最中に白いマスクを半分被り現れて、劇団員を殺害したり気に入らないプリマドンナを妨害したりしていた。そんな劇場に嫌気が指したカルロッタ(ミニー・ドライヴァー)は自ら降板を告げる。幾ら落ち目のプリマのカルロッタと言えども公演に穴を開けるのは出来ない。そこで急遽申し出てきたクリスティーヌを起用したところこれが大当たり。これはファントムが仕掛けた罠で、カルロッタの落ち目の人気に嫌気がしていたので以前からクリスティーヌと交代せよと脅迫していた。一方のクリスティーヌは生前の父が死の床で、「音楽の天使を」必ず送り届けると誓っていたのを想いだした。彼女はファントムこそが「音楽の天使」と信じるが、ファントムの素顔を彼女は知る事になる。そんな彼女に思いを寄せるのはファントムだけではなかった。彼女は醜い顔をしたファントムではなくて、ラウルに恋心を抱いていた。ここからは、起承転結の「転」に相当する部分でファントムの生い立ちが明かされる。ここからはラストまでラウルとファントムの戦いが随所に散りばめられて進んでいく。ファントムは度々脅迫状と共に自ら書いた劇の脚本を送り、上演するように迫る。ここから先は映画の中のハイライトに突入するので、是非映画館で観てください。【鑑賞後の感想】最近では2002年に公開されたミュージカルの名作「シカゴ」が話題をさらった。「シカゴ」はアカデミー賞6部門を授賞するなど、とても作品としても良く出来ていた。今回の「オペラ座の怪人」もミュージカルの名作だ。音楽も衣装の豪華さも甲乙付けがたい。セットの派手さでは本作の方が華やかだろうが、俳優の歌唱力では若手女優のエミー・ロッサムの美声には驚かされた。彼女がこれほどまでの美声の持ち主とは知らなかった。彼女の今後の活躍に期待したいところだ。
2005.02.20
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人気blogランキングへ【この映画について】この映画は昨年死去した米国の偉大な国民的R&Bシンガーのレイ・チャールズの生涯を描いた映画である。映画の企画や撮影は既に彼が存命中に進行していて、レイ自身も映画の撮影にあたり助言を行ったそうだ。レイを演じるのは「コラテラル」で巻き添えになるタクシー・ドライバー役でアカデミー賞の助演男優賞候補にもなっているジェイミー・フォックスだ。今回のレイ・チャールズを演じるにあたって、彼はレイの過去の作品を片端から聴いて役作りに臨んだそうだ。それは彼の独特の仕草も話し方も全て完璧にこなして見せた。アカデミー賞ではこの作品が6部門で候補にあがり、ジェイミー・フォックスは主演男優賞でも候補に入った。予断だが彼は助演男優とのW授賞の可能性も秘めている。結果的に6部門中『主演男優賞』のジェイミー・フォックスと『音響賞』の2部門で授賞した。【ストーリー(ネタバレなし)】レイ・チャールズはジョージア州の貧しい農家に生まれた。父は他にも家庭を持っていて現代風に言えば不倫の末の私生児として二人兄弟の兄として生まれた。母や貧しい一家の家計を支える為に一日中忙しく働く日々だ。そんな貧しい一家であったがレイは母の厳しい躾けの下に元気に育ったが、ある日ちょっとした不注意で弟が眼の前で死んでしまう。それが少年レイにはショックで毎日泣き続けていたが、そんな彼の眼は涙を止めるために付けた薬を母の言うことを聞かずにこすり続けていた為に徐々に視力を失っていく。そして何れ訪れるであろう全盲の生活に耐えられる様に、母はレイに一人で生きていけるように厳しく生活習慣を身に付けさせた。そんなレイは盲学校に入学する為に泣く泣く母と離れ離れになった。レイは少年時代から近所の雑貨屋さんの大人が弾くピアノに惹かれていた。レイは音楽で身を立てるために、長距離バスでシアトルへと移動する。シアトルで彼はクラブで知り合いの伝を頼りにプレーをすることになっていたが、バス到着時に彼は偶然にも未成年だったクインシー・ジョーンズ(ラレンツ・テイト)と意気投合する。そしてクラブで腕を磨き始めたレイとバンドは地元で人気者となり連日大盛況だったが、全盲の彼はギャラを誤魔化されていた。そんな事態に嫌気を感じたレイはバンドを止める。今度はバスで各地をドサ周りに出かけるが、彼はそこでバンド仲間から麻薬(ヘロイン)を買い徐々にのめりこんで行きそれがやがて彼の身を一時的に滅ぼすことになる。名声を徐々に得てきた彼の元にはレコード会社からの契約の話が舞い込む。当時はまだ新興レコード会社だったアトランティックと契約して、早速録音スタジオに入る。だが長年のツアーでスタンダード・ナンバーを演奏してきた彼は、そのクセが抜けずに契約の橋渡しをしたアーメット・アーティガン(カーティス・アームストロング)をガッカリさせる。そこで一計を案じたアーメットは自作の曲を聴かせたところ、レイは即座にリズムを取って周囲をあっと言わせた。この瞬間R&Bシンガー、レイ・チャールズが誕生した。ここからレイの快進撃が始まる。徐々に浸透していったレイの名前はシングルを発表する度にヒットを飛ばす売れっ子になった。そんなレイは今では自分のバンドをボスとして思いのままに操る大物になっていた。そんな彼に今度はレコード契約が切れる前にABCレコードが破格の待遇で引抜を図り、彼を育てたアトランティックを後にした。新会社で自分の思うままの音楽を録音する権利を得たレイは、前の会社時代とは違ったスタンスで曲を録音しその中には「我が心のジョージア」があった。人気も絶頂の彼は、相変わらずステージを離れればヘロイン漬けの日々を過ごしていた。そして遂に彼は滞在中のホテルに警官が踏み込んで逮捕された。だがレコード会社の計らいで一度は釈放されたが、今度はカナダ公演の帰りにボストン空港で逮捕された。レイは更生施設に入所して麻薬漬けの体から麻薬を引き離す治療を受けるが、そこには壮絶な戦いが待っていた。長年の麻薬漬けで中々麻薬は彼の体から離れなかった。彼はこの麻薬漬けの体から何とか麻薬を抜いて二度と麻薬に手を出すことはなかった。レイはこれからは歌手としての生活を取り戻していった。そして彼の音楽はR&Bだけではなくて、多くのジャンルを内包しながらアメリカの国民に浸透していくのだった。彼は黒人だけではなく、白人にも受け入れられて尊敬を集めていく。そんな中にはかつて彼をジョージア州の会場から永久追放した、ジョージア州議会から1979年に彼は正式な謝罪をから受けるまでになった。【鑑賞後の感想】この映画はこの時点で恐らく今年のベスト映画に入るであろう素晴らしい内容の映画だった。特に主演のジェイミー・フォックスは、まるで彼がレイ・チャールズと思うほどの熱演だった。映画の構成も彼の生い立ちから有名になるまでを克明に丁寧に描いていた。中には当時の黒人の置かれていた立場も包み隠さず描いていた。その一方で売れっ子になってきたレイには、多くの側近が群がってきた。全盲の彼の稼ぎや名声を傘にして裏切ったものもいるが、レイはそんな人達を決して許さなかった。また多くの女性にもてるレイは、バンドの女性メンバーとの間に子供をもうけたりするが、幾らレイに結婚を迫っても例は決して家族を捨てなかったが養育費は払っていた。私はレイ・チャールズのCDは一枚も持っていないが、この映画を観た直後にCDショップに直行してサントラ盤と最新作の2枚を早速買った。彼の音楽や声には魂がこもっているのを感じた。
2005.02.15
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人気blogランキングへ【この映画について】この作品はミュージカル作品を過去に多く配してきた、MGMがそのミュージカルに多くの曲を提供してきた名作曲家のコール・ポーターの生涯を描いたものである。コール・ポーターを演じるのはケヴィン・クラインで、その吹き替え無しのピアノ演奏や歌は見事である。ポーターの妻のリンダ役には、最近では『ツイステッド』での婦警役を演じたアシュレー・ジャッド。この夫婦の衣装の数々を手がけたのは、ジョルジオ・アルマーニだ。そして最大の見所は、ミュージカルのシーンでポーターの曲を歌う現役の大物アーティストだ。エルヴィス・コステロ、ダイアナ・クラール(コステロ夫人)、アラニス・モリセット、ロビー・ウイリマムス、ミッキー・ハックネル(シンプリー・レッド)、シェリル・クロウ、ナタリー・コールなど。ジャンルを超えた歌手達たちがポーターの曲を歌うのは圧巻だ。【ストーリー(ネタバレなし)】数々の名曲をミュージカルや映画に提供してきた名作曲家コール・ポーター。この作品ではそのポーターの生涯を、ポーターとその妻リンダとの出会いから別れまでを描いている。更に、ポーターは同性愛者であったが、リンダはそのことを承知で結婚した。リンダと結婚したことでポーターの才能も一気に開花した。名声とお金を手にしたポーターは、徐々にハングリーさをなくしてパーティーにのめりこむ。そんな生活はリンダが望んでいたものではなかった。そしてリンダは一度彼の元を去って、ポーターと出会ったパリへ行った。リンダが去ったポーターは相変わらず自宅で、パートナーの男性と享楽にふけっていた。そんなある日、ポーターは乗馬中に落馬して大怪我を負った。落馬した後に動揺した馬がポーターの足の上にかぶさり、その影響でポーターは足に致命傷を負った。事故を知ったリンダは直ぐに帰国して、医師の両足切断の宣告を受け入れなかった。足を切断するとポーターはだめになり、魂を失うと判断した結果だ。度重なる手術で下半身の弱ったポーターは車椅子中心の生活になった。そしてポーターの名声も徐々に衰えが見え、評論家にも酷評された中で「Kiss Me,Kate」を世に出した。これで再びポーターは名声を取り戻したが、その影でリンダ夫人は体調を崩していた。そしてリンダ夫人はポーターより先に亡くなってしまう。ポーター最大の理解者でマネージャーでもあった、リンダ夫人の死はポーターにもショックだった。果してポーターはこの後どういう人生を歩んだのかは、映画館で観てください。ただしこの映画は、東京では日比谷一箇所での単館公開だけど、興味のある方は観にいって損しません。【鑑賞後の感想】この作品の構成がとてもよかった。冒頭から妻を亡くし年老いたポーターの生涯を、演出家のゲイブが本人を前にリハーサルを見せるという趣向だ。そのリハを見ながらポーターが、過去を思い出したり注文を付けたりするのだ。ただ単に映画全体をミュージカルにするのではなくて、観客が気が付いたらミュージカルを観ていた雰囲気にさせてくれるそんな映画だった。冒頭に書いたが、やはり最大の見所は大物歌手が唄うポーターの名曲である。今度CDショップに行ったらサントラ盤を買おうと思う。
2004.12.30
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人気blogランキングへ【この映画について】この映画は「ウォーターボーイズ」を監督した矢口史靖がそれ以来の監督作品として、現在全国で好評を博している。今回取り上げたテーマは、全くの楽器の素人の高校生がビッグバンド・ジャズに挑戦するという考えも及ばないテーマだ。それに取り組むことになったきっかけも、全く予期せぬ出来事が発端になっている。映画としての意外性と音楽が上手く重なって出来た映画である。【ストーリー(ネタバレなし)】時期は夏休みの補習中の山形の高校が舞台で、補習の数学の先生の小澤(竹中直人)も生徒たちもだれぎみでやる気が出ない。校庭には大型バスでこれから高校野球の予選の応援に行くブラスバンド部員等がいた。ブラス部は大多数が女生徒で部長とシンバル役の中村(平岡祐太)だけで、中村は退部届けを懐に収めているが言い出すタイミングを逸していた。バスは球場に向かうが呼んでおいた弁当屋が表れずにいたが、出発直後に到着した。それを見ていた生徒の一人の鈴木(上野樹里)は機転を利かせて、補習をさぼる口実に球場に届けることを願い出て小澤も渋々認めて電車で向かうことに。だが車中ではしゃいだ生徒達がその中の一つの弁当を皆で食べてしまい、挙句の果てに駅を乗り過ごす羽目に。結局球場に大幅に遅れて到着した弁当を食べた、ブラス部員達は弁当を食べた直後に食中毒に集団でかかり病院にいく羽目に。唯一免れたのは弁当を食べられてしまった中村だけだった。野球部は試合には勝ったもののブラス部が集団食中毒では次の試合の応援に影響がでる。そこで弁当を届けた連中が中心になって補修組がブラス部に代わり演奏できるメンバーを募る。だがメンバーは何とか集まったものの殆どの生徒は楽器をこなせない。唯一残っているブラス部の中村の指導の下で、17人で練習を開始するものの、幾ら練習を積んでも全く上手くならない。折角音が出始めた頃、食中毒の連中が回復して役割は終わってしまう。だが折角楽器の面白さが分かり始めた時の解散で17人は、解放されたもののどこか物足りなさも感じ始めていた。そんな中で5人の生徒達が中古楽器購入費用の為にアルバイトを始める事になるが、スーパーのレジ打ちもマツタケ狩りも上手く行かない。だがマツタケ狩りの最中に凶暴なイノシシに出会い、偶然ながらも退治したことで市から10万円の金一封を得て楽器を購入した。オンボロ楽器ではあるが何とかメンバーの伝で修理をして形が整う。腕を挙げるべくあちこちで生演奏を披露して見るものの、周囲の評価は芳しくなかった。そこで救済に乗り出したのが数学教師の小澤だった。楽器の演奏は出来ないがジャズマニアの小澤は、メンバー達にジャズの乗りについて話をした。そして遂に地元で行われる大会に応募する為の、演奏シーンを学校の屋上で収録して指揮者として出演することを承諾した。だがそのテープを預かった生徒の投函が遅れて、エントリーは到着順となり落選する。だがそのことを皆に言い出せないでいる生徒は責任を感じているが、遂に当日列車の中で言うことになる。さてその時のメンバー達の反応は。外では雪が降っていて列車は緊急停車をしてしまう。絶望のそこに落とされたメンバー達が次に取った行動とは何だったのか?今まで練習を積んだ成果は一体披露出来るのか?映画はどんでん返しが起こりそうな気配が漂うが、果してどんなラストが待っているのだろうか?映画は既に都内では池袋の一箇所だけだが、私が観た日もまだ混んでいた。今後春頃にはDVDでの発売も期待出来るのだろう。是非、その際にラストの感動的シーンを観て欲しい。【鑑賞後の感想】この映画は当初は全く観る予定には入っていなかったが、その評判の良さを聞いて一度観てみたいと思い始めた。映画館内の予告編は何度も観ていたので何となく映画の雰囲気は掴んでいた。この映画は青春ドラマ風でもあり、そこに素人の高校生がビッグバンド・ジャズを演奏するまでの過程を描くのが大まかな筋だ。最初は自分達のミスの尻拭いと補習をサボる為に演奏していたが、徐々に生徒達が演奏の楽しさを理解するまでが面白かった。何度も何度も困難な場面に出くわしながらも、その都度やり遂げていき最後に感動的なシーンで終わる。演奏を憶えるシーンもさることながら、彼女達の飽きやすい心が徐々に変化していく様子も上手く描かれていた。
2004.12.06
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人気blogランキングへ【この映画について】この映画はエルヴィス・プレスリーのラス・ヴェガスでのショウーとそのリハーサル風景を収めたものだ。と言っても日本では既に'71年に日本で公開されたが、当時は編集でカットされたシーンを一部追加し音質も向上して今回登場した。【ストーリー、挿入歌】音楽記録映画なので文字通りストーリーはない。だがその代わりに全体の構成はざっとこんな感じだ。最初はロスのスタジオでバックバンドとリハーサルを重ねる。何時ものメンバーを相手にリラックスした様子が伺えるし、エリヴィスのおふざけも映されている。ここでのシーンは歌はそれぞれ完奏されずに一部が紹介されているのが多い。ロスでのリハが終わると今度は、舞台になるヴェガスのホテルの宴会場を使ってのリハ。今度はバックコーラス隊も交えるが、エルヴィスがコーラスの付け方を指示する。スタジオでのリハとは違い多少緊張感が出てきた。そしてリハの舞台はいよいよホテルのステージへと移る。今度はバンドとバックコーラス隊も含めた、本番と同様のスタイルでのリハ。そして遂にエルヴィスがステージに登場する。時は1970年8月10日から9月7日までのステージの中から選ばれた映像が映画となって残された。エルヴィスが登場すると主に女性ファンからの黄色い声援が物凄い。勿論男性ファンもいるのだが女性ファンの興奮度は桁違いだ。ある曲ではステージに女性が殺到してエルヴィスにキスを迫る。一人また一人と次から次へと殺到して流石のエルヴィスもヘトヘトみたい。途中で男性のファンがいたことに気付くと、おどけた表情で会場の笑いを取っていた。エルヴィスは流石、アメリカを代表するエンターテイナーとあってサービス精神も旺盛だ。こういった所がアメリカ人の心を揺さぶったのだろう。1.MYSTERY TRAIN~TIGER MAN2.THE NEXT STEP IS LOVE(恋へもう一歩)3.BRIDGE OVER TORUBLED WATER(明日へ架ける橋)4.YOU DON'T HAVE TO SAY YOU LOVE ME(この胸のときめきを)5.THAT'S ALL RIGHT6.POLK SALAD ANNIE7.HOW THE WEB WAS WOVEN(恋のはた織り)8.LITTLE SISTER~GET BACK9.WORDS10.MY BABY LEFT ME11.CRYING TIME12.LOVE ME13.TWENTY DAYS AND TWENTY NIGHTS(20昼夜)14.SANTA CLAUS IS BACK TO TOWN(サンタが町に来る)15.MARY IN THE MORNING16.I JUST CAN'T HELP BELIEVIN'(君を信じたい)17.I GOT A WOMAN18.HOUND DOG19.HEARTBREAK HOTEL20.TOREADOR(闘牛士の歌)21.LOVE ME TENDER22.I CAN'T STOP LOVING YOU(愛さずにはいられない)23.JUST PRETEND24.THE WONDER OF YOU25.IN THE GHETTO26.PATCH IT UP27.YOU'VE LOST THAT LOVIN' FEELING(ふられた気持ち)28.ONE NIGHT29.DON'T BE CRUEL(冷たくしないで)30.BLUE SUEDE SHOES31.ALL SHOOK UP(恋にしびれて)32.SUSPICIOUS MINDS33.CAN'T HELP FALLING IN LOVE(好きにならずにいられない)【鑑賞後の感想】この映画を観たのが8月1日の日曜日で、前の日には今回観た劇場に小泉首相も観にきた。小泉首相は大のエルヴィス・ファンなので堪能したそうだ。この日は映画の日で入場料が安い日で、尚且つ日曜日とあって銀座のこの映画館も満席だった。自分はここに来る前に別のところで映画を観てから来たのだが、早めに着いていて良かった。客席は50代後半から60代半ば位の女性が一番多くて、後はそれらの女性と旦那との組み合わせだったり親子連れもいた。自分なんかかなり若い部類だった。映画の半ば位まではリハーサルのシーンだが、ヴェガスでのステージなると場内の雰囲気も変わった。エルヴィスが歌い終わると、客席からも拍手をする客が多いのには驚いた。まるで映画館がコンサート会場のようだった。拍手しているのもそうした当時を知るであろう年輩のご婦人方が多かった。私がエルヴィスを知るきっかけはビートルズだった。それは彼らは人気絶頂だったエルヴィスに憧れて音楽の道に進んだ。デビュー前にはジョンもポールも好んでエルヴィスのレパートリーを歌っていた。そうしてビートルズが好きだったエルヴィスを「研究」しようと思ったのがきっかけだ。残念ながらエルヴィスは大の飛行機嫌いで海外公演は実現せずに日本にも来なかった。今回の映画はビートルズが解散した後のショーで、これを機会に再びエルヴィスが活動を本格化してきた。現在のロック界はビートルズが作ってきたが、そのルーツは間違いなくエルヴィスである。そんなエルヴィスの生の映像を始めて観ることが出来てとても満足できた。
2004.08.06
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人気blogランキングへこの映画について【この映画について】この映画にはストーリーという名のものは存在しない。というよりもこのタイトルを観てピンと来る人も多いだろう。そう、映画ファンよりは音楽ファンが観るのに相応しい作品だ。1960年代のデトロイトを本拠地としたレコード会社のモータウンについてのドキュメンタリー映画だ。モータウンの代表的なアーティストといえばシュープリームズ、テンプテーションズ、スモーキー・ロビンソン、スティーヴィー・ワンダー、ジャクソン5、マーヴィン・ゲイらがいた。'70年代に入りロスに移転してからはその輝かしい歴史にも翳りが見えてきた。映画ではその輝いていた'60年代にスポット・ライトをあてている。この映画の原題は【STANDING IN THE SHADOWS OF MOTOWN】でこれは、モータウンのヒット曲をもじって付けている。直訳すれば『モータウンの影を見つめて、モータウンの影に立って』となる。モータウン・サウンドと呼ばれる音楽ファンなら理解できるあの独特のサウンドの秘密は?。単に歌手、作詞作曲者の力だけではない、それらのサウンドを紡ぎだすスタジオ・ミュージシャンがいるのを忘れてはならない。彼等は「FUNK BROTHERS」と呼ばれてスターを陰で支えていたが、当時はレコードにバック・ミュージシャンの名前が印刷される事は無かった。今では、バック・ミュージシャンの名前が載るのは当たり前で、そこにもスポット・ライトがあたる。当時はモータウンのヒット曲を知っていても、誰が演奏しているか知っている人は皆無に近い。映画ではそんな既に死んでしまったメンバーも多い、「FUNK BROTHERS」やその周辺の人物に当時の映像やニュース映像を交えて紹介している。メンバーたちは元々ジャズ、クラシックの素養のある腕利きのミュージシャンだった。自分もモータウン・サウンドは大好きだが、彼らの存在はこの映画を観て始めて知った。【音楽について】サントラの曲目について当然音楽ドキュメンタリーだから、当時の証言映像と共にモータウン・サウンドがスクリーンを通して堪能できる。中でも再結成された「FUNK BROTHERS」とチャカ・カーン、ジョーン・オズボーン、モンテル・ジョーダン、ベン・ハーパーたちとの共演も見所だ。モータウン・サウンドは黒人のみならず白人にも影響を与えてきた。ビートルズもモータウン・ソングを初期の頃に取り上げていたのは有名だ。最近ではワム!、フィル・コリンズらもそのサウンドに影響が感じられる。全国でこの映画を上映しているのは渋谷で1ヶ所のみなので、全国のファン全てが観れる状況には無い。しかし、東京在住の方なら充分観るチャンスはあるはずだから興味がある方には是非お薦めしたい。残念ながら都内まで足を運べない方は、CDショップのサントラ・コーナーで手に入れてせめて「音」だけでも楽しんでもらいたい。私も早速買いましたよ。【授賞】これだけ素晴らしい音楽を内包した映画だから、当然ここではアカデミー賞ではなくてグラミー賞を受賞した。2003年『最優秀コンピレーション・サウンドトラック』2003年『最優秀トラディショナルR&Bヴォーカル・パフォーマンス』2004年『功労賞』(ファンク・ブラザーズ)
2004.05.21
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人気blogランキングへ10月25日付けの日記に一部加筆して再録。第75回アカデミー賞受賞作品/最優秀作品賞、最優秀助演女優賞、最優秀美術賞、最優秀衣装デザイン賞、最優秀編集賞、最優秀音響賞受賞作品:『シカゴ』,受賞者:キャサリン・ゼダ=ジョーンズ(最優秀助演女優賞)CATEGORY/BEST PICTURE,ACTRESS IN A SUPPORTING ROLE,ART DIRECTION,COSTUME DESIGN,EDITING,SOUND MOVIE/CHICAGO(監督:ロブ・マーシャル)★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★『シカゴ』は2003年のアカデミー賞を最優秀作品賞、助演女優賞、美術賞、衣装デザイン賞、編集賞、音響賞の6部門で受賞し話題をさらった。70年代にブロードウエイのミュージカルとして爆発的なヒットを記録した作品の映画化。舞台は1920年代の文字通りシカゴで、スキャンダルを逆手にとりスターダムを鮮やかに駆け上がる二人の歌姫ロキシー(レニー・ゼルウィガー)とヴェルマ(キャサリン・ゼダ=ジョーンズ)と彼女達の運命を操る敏腕弁護士ビリー(リチャード・ギア)の絡みが見所の映画。舞台スターを夢見るロキシーとその彼女の憧れのヴェルマ。その彼女のステージを見ながらいつかは自分がそのステージで脚光を浴びるのを思い浮かべる。そんなロキシーは浮気相手の男を自分を騙したとなじって、弾みで射殺して収監されてしまう。驚いた事にその収監先には何と脚光を浴びていたヴェルマも、浮気をした夫と妹を殺した罪で収監されていたのだった。何とかこの状況を打開したいヴェルマは、女看守長を買収して美味しい事件にはすぐ飛びついて名声を上げようとする弁護士のビリーを雇う事に成功した。ビリーはマスコミを巧みに利用して、この二人こそ被害者だと主張して脚光を浴びさせる事にした。そして事件はこの弁護士の巧みなマスコミ操作が功を奏し市民の同情を買う。ヴェルマのこの作戦を見ていて魅力を感じていたロキシーは、夫を通じてビリーを雇う事に成功。そして、法廷をミュージカルのステージに見立てて見事に裁判の心象を良くする作戦は成功。涙を誘う生い立ちを作りそれを演じきるロキシーの最初の舞台は被告席の上で幕を挙げた。この様子を伝えたシカゴの新聞を通してすっかり同情をえたロキシーは世間の耳目を集めた。まさにビリーの作戦が当たったのだ。この状況を見て焦ったのがヴェルマだった。元々スターだった彼女が立てた作戦は二人が舞台で共演して稼ぎまくる、そんなアイデアだった。そんな二人が脚光を浴びる事に不満を持つ者も当然現れる。裁判での演技は事実ではない事を嗅ぎ取った人物も登場する。最後まで時間を忘れてストーリーは展開するのであった。この映画の見所はやはり二人の当時を髣髴とさせる踊りと、リチャード・ギア演じる弁護士のずる賢さと上昇志向が画面を通しても感じる事が出来る。この三人以外では女看守長を演じるクイーン・ラティファはラッパーとしても有名だけど、彼女の演技も中々味がある。他にはチャーリーズ・エンジェルズや注目作キル・ビルへも出演している今売れっ子のルーシー・リュウなどの出演シーンも観ものだ。全編を通して当時の時代を感じさせる時代考証がよく出来ているし、隙がない出来上がりは素晴らしいの一言に尽きる。この映画を観ているだけでも、その当時を自然にイメージ出来る。音楽面では、この映画はミュージカルなのでこの音楽の歌詞イコール科白になる所が面白い。ミュージカル作品に余り馴染みがない自分としてはユニークな方法に写った。音楽はビッグバンド・ジャズ風が主体だが、中にはラップ風のものや、しっとりとした告白風の科白を巧みに音楽に取り入れたり、タンゴまで飛び出す。中でも自分は<透明人間>と多少おどけて歌うはスクリーンで見ていても何だかその歌い方と演技が見事で笑ってしまう。他に歌うのは主演の二人の女性に、リチャード・ギアまでもが劇中で見事なタップを披露しながら法廷内で歌う所ももう一つの見所だ。このタップのシーンも上手くストーリーに溶け込んでいた。すべての出演者の科白が巧みに音楽化されて、誰もが時間を忘れて楽しめるこんなに劇場で観ていて楽しめたのはいつ以来だったかな。ミュージカルと聞くとどうしても一歩引いてしまうところが有る自分としては、今回の作品は時間を忘れてスクリーンにのめりこんだ。映画を観終えた後にその足でCDショップに行って観たばかりのこの映画のサントラを買ったのは言うまでもない。この前もこのサントラを車中で聴いていたら再び音楽を通して映画のシーンが頭に蘇ってきた。映画よりは音楽への興味が深い自分としては、サントラだけを音楽が気に入って買う事は有る。だが今回は映画が気に入って同時に音楽も気に入った初のケースかな。他の人がどんな評価をしようが自分はこの映画の虜になった。DVDでも発売されたけどやはりWOWOWで放送しないかな?。少なくとも地上波で吹き替えで放送したらこの映画の価値が落ちるから、ぜひWOWOWで放送してほしい。■曲目■1.OVERTURE/AND ALL THAT JAZZ2.FUNNY HONEY3.WHEN YOU’RE GOOD TO MAMA4.CELL BLOCK TANGO6.WE BOTH REACHED FOR THE GUN7.ROXIE8.I CAN’T DO IT ALONE9.MISTER CELLOPHANE10.RAZZLE DAZZLE11.CLASS12.NOWADAYS(ROXIE)13.NOWADAYS/HOT HONEY RAG14.I MOVE ON15.AFTER MIDNIGHT16.ROXY SUITE17.CELL BLOCK TANGO(HE HAD IT COMIN’)18.LOVE IS A CRIME
2003.11.26
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人気blogランキングへ第57回アカデミー賞受賞作品/最優秀主題歌賞、受賞作品(映画):『ウーマン・イン・レッド』心の愛,原題:I JUST CALLED TO SAY I LOVE YOU,受賞者:スティ-ビー・ワンダー(最優秀主題歌賞)CATEGORY/ORIGINAL SONG,MOVIE/THE WOMAN IN RED(監督:ジーン・ワイルダー)★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★映画『ウーマン・イン・レッド』の挿入歌『心の愛』は1984年のアカデミー賞をスティービー・ワンダーが最優秀主題歌賞で受賞した。残念ながら映画の方は一切観ていないので中身は論評できない。しかし、この映画は監督のジーン・ワイルダーが主演もしているコメディー映画である。この賞を受賞したスティービー・ワンダーは映画では1983年の『OUTSIDER』でも『STAY GOLD』という印象的な曲を歌っている。スティービー・ワンダーに関しては今更何の説明も必要としないだろう。だが、映画には関心があるけど洋楽には全く興味が無い人達の為に若干説明をする。スティービー・ワンダーは早熟の天才盲目シンガーとして、モータウン・レコードからデビューした。60年代は主にレコード会社専属のライター達の曲を歌っていた。70年代に入ってからは自作の曲を歌って制作にも関わるようになった。楽器は主にキーボード類を操りシンセサイザーの導入にも積極的だったし、ドラムスも演奏出来る。この70年代は彼のキャリアの中で最も華やかにそして積極的に活動していた時代でもあった。この時代に発売したアルバム全てが70年代の代表作と言っても過言ではない。特に1976年発売の大作『SONGS IN THE KEY OF LIFE』はその中でも代表的なものだろう。ここからは、『I WISH』『SIR DUKE』の2曲が1位を獲得している。80年代に入ってからは徐々にその活動のインターバルが長くなってきた。そんな中で発表されたこのサントラ盤は当初ディオンヌ・ウォーウィックの作品として話が進んでいて、彼女の監督への推薦でスティービーの起用が決まったそうだ。レコード会社は当初は既に完成間際の新作の発表を控えていたので、乗り気ではなかったらしい。それでも彼は長い付き合いのディオンヌの依頼を断らずに引き受けたのだった。サントラ盤には受賞作品の『I JUST CALLED TO SAY I LOVE YOU(邦題:心の愛)』を始めソロ作品が4曲、インストが1曲、ディオンヌとのデュエットが2曲、ディオンヌのソロが1曲の合計8曲の構成だ。心の愛は1984年の8月にチャート・インしてからは10月13日付けから3週間1位を走った。彼のキャリアの中でもこの曲は唯一のアカデミー賞受賞作品であい、ゴールデン・グローブ賞も受賞した。今でも彼のコンサートでは必ず披露される、レパートリーの中でも重要な位置を占める曲だ。内容は、直訳すれば<貴方に電話してI LOVE YOUと言いたいんだ>という内容の曲だ。例え、どんな困難にぶつかっても君に僕の心の底から愛していると伝えたいと歌っている。この曲が映画の中でどういう場面で使われているかは観ていないので分からない。しかし、彼の今までの曲調の中では多少異色のそして優しさに溢れる歌でもある。今では、多くの彼のファンに愛される歌で彼の代表作といえばこの曲と言われる様にもなった。ただしアルバム単位で観ればこのアルバムはサントラだし、純粋にスティービーのアルバムとしては微妙な位置にあると思う。90年代に入ると益々彼の創作活動のインターバルは長くなるが、映画関係では1991年にスパイク・リー監督の『JUNGLE FEVER』のサントラ・アルバムの制作。更に1996年にはピノキオのサントラに『KISS LONELY GOOD-BYE』を提供している。間もなく彼の新譜の発売も噂されているし年末には、さいたまスーパーアリーナでの来日コンサートも開かれる。彼の音楽は時代を超えて一つのジャンルとして成立している数少ない音楽家だ。そんな、彼が21世紀に入ってどんな活動をするのか楽しみである。そして新譜を望みたい。SOUNDTRACK SONG LIST1.THE WOMAN IN RED/STEVIE WONDER2.IT’S YOU/DIONNE WARWICK&STEVIE WONDER3.IT’S MORE THAN YOU(INSTRUMENTAL)/STEVIE WONDER4.I JUST CALLED TO SAY I LOVE YOU/STEVIE WONDER5.LOVE LIGHT IN FLIGHT/STEVIE WONDER6.MOMENTS AREN’T MOMENTS/DIONNE WARWICK7.WEAKNESS/DIONNE WARWICK&STEVIE WONDER8.DON’T DRIVE DRUNK/STEVIE WONDER*アルバム中の全曲の作詞作曲制作はスティービー自身が担当。6はDIONNE WARWICKのアルバム『FRIENDS』にも収録。
2003.11.03
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