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「オールタイム」だけだと「終日」という意味で使われているようですが、英語では「前代未聞の」「空前の」ということらしいです。
「オールタイムベスト」。日本では、過去から現在までの全期間において最高の作品、という意味で使われています。映画誌などで、よく「著名人が選んだオールタイムベスト10」というような企画があったりします。
そういうのを見ていると、「2001年宇宙の旅」「ウエスト・サイド物語」「サウンド・オブ・ミュージック」「ローマの休日」「戦場にかける橋」「アラビアのロレンス」「俺たちに明日はない」。「駅馬車」「荒野の決闘」「風と共に去りぬ」「第三の男」「市民ケーン」「自転車泥棒」などの有名作品のタイトルが上げられていると、なんだこれは?と良識を疑ってしまいます。
こういう、誰が見ても映画史に残る名作・傑作のタイトルをあげて「私のオールタイムベスト」ですといわれても、読んでいる人にはぜんぜん面白くない。なぜ自分なりの、自分にとって最高に大切な映画のタイトルをいうことができないのだろう?
自分の好きなものを語るということは、自分自身を語ることです。 「私は、これこれのものが好きです」と。それは、それぞれの人の偏った嗜好がうかがえるものであり、その偏った嗜好を他人に知られるのを嫌うのでしょうか。
誰でも、その人にとって忘れがたい映画があるでしょう。
作品そのものは傑作でなくても、それを見た時の思い出とセットになって懐かしい記憶になっている。
初めてのデートで見に行った、子供の時に親につれていってもらった、落ち込んでいる時に見てはげまされた、とか。
思い出とセットになっているという意味で、自分にとってのオールタイムベスト作品をあげるとすれば、どうしても若い時に見た古い映画ばかりになってしまいます。
「映画は1980年代を最後に出尽くしてしまった」といわれるのですが、それは現代の映画がリメイクや続編ばかりだということで裏付けられている。新しい作品が生まれない、映画は語り尽くされ、出尽くしてしまった。ネタ切れとスター不在で、映画が衰退したということです。そういうことからも、私のオールタイムベストは昔の作品ばかりになるのは当然のことかもしれません。
昨日書いたセルジオ・レオーネ監督の集大成的西部劇「ウエスタン」(68)は私のオールタイムベスト10に入る作品です。
「ウエスタン」(68) 監督セルジオ・レオーネ 主演クラウディア・カルディナーレ
「個人教授」(68) 監督ミシェル・ボワロン 主演ルノー・ヴェルレー
「荒鷲の要塞」(68) 監督ブライアン・G・ハットン 主演リチャード・バートン
「ヘルファイター」(68) 監督アンドリュー・V・マクラグレン 主演ジョン・ウェイン
「さらば友よ」(68) 監督ジャン・エルマン 出演アラン・ドロン
「女王陛下の007」(69) 監督ピーター・ハント 出演ジョージ・レーゼンビー
「雨の訪問者」(70) 監督ルネ・クレマン 出演チャールズ・ブロンソン
「レッド・サン」(71) 監督テレンス・ヤング 出演アラン・ドロン、三船敏郎
これで8本になり、あと2本ですが、こういうのはその時々によって変化するもので、気分次第で入れ替わったりします。
マカロニ西部劇が好きになったきっかけが高校1年の時に見た「星空の用心棒」なので、ジュリアーノ・ジェンマ主演作を入れたいな、ということで「星空の用心棒」(67)か「バスタード」(70)「ゴールデン・ボーイ危機また危機」(73)のどれかを。
上の写真はアラン・ドロン、ミレーユ・ダルク主演の「ジェフ」(69)。これは現時点でDVDが出ていないので見ることができない幻の作品になっています。劇場公開時(北国第一劇場。同時上映「白銀のレーサー」)に見たきりで、「バスタード」もそうですが、もう一度見てみたいと思っています。
アラン・ドロン主演の犯罪映画では「シシリアン」(69)や「太陽が知っている」(68)。 ミレーユ・ダルクさんの「牝猫と現金(げんなま)」(67)も小品ながら捨てがたく、好きな作品。
「007シリーズ」では「女王陛下の007」(69)を上に書きましたが、初めて見た007映画ということで思い入れがあり、月刊誌「ボーイズライフ」で連載していた劇画「女王陛下の007号」(さいとう・たかを)とセットになっての懐かしい記憶でもある。007では「ゴールドフィンガー」(64)は71年頃のリバイバル上映での鑑賞ですが、これもシリーズ屈指の作品。
先日、44年ぶりに500円DVDで見ることができた「色情日記」(1971)。 さすがにこれをオールタイムベストとはいわないけれども、監督マックス・ペカス。主演サンドラ・ジュリアン。再見すると、サンドラ・ジュリアンさんの可憐な演技は、当時日本で人気を得たのが納得できます。
アラン・ドロンさんの訃報 2024年08月21日
近衛十四郎さん 2024年07月10日