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「勇者のみ」(1951) ONLY THE VALIANT
監督 ゴードン・ダグラス
製作 ウィリアム・キャグニー
脚本 エドマンド・H・ノース
ハリー・ブラウン
音楽 フランツ・ワックスマン
出演 グレゴリー・ペック、バーバラ・ペイトン
ウォード・ボンド、ギグ・ヤング、ロン・チェイニー・Jr
マイケル・アンサラ、ネヴィル・ブランド、ジェフ・コーリイ
本編106分 モノクロ スタンダードサイズ
コスミック出版から出ている「西部劇パーフェクトコレクション 復讐の二連銃」の中の「勇者のみ」を鑑賞しました。 このシリーズは1930年代から40年代、50年代前半にかけての古く珍しい西部劇映画が各ボックスに10作品(DVD10枚)収録されていて、定価が税抜1500円で、実売価格1400数十円(税込)。西部劇の好きな方にお薦めです。
40数年前にテレビ洋画劇場で見て以来、ずっともう一度見たいと思っていた「勇者のみ」。 昨日の「ブラボー砦の脱出」(53)と同じく騎兵隊西部劇ですが、段違いにこちらのほうが面白かったです。
南北戦争直後のニュー・メキシコ。ウィンストン砦のランス大尉(グレゴリー・ペック)は、融通の利かない指揮官として部下から敬遠されていた。蜂起したアパッチ族を抑える要地にある「不落の砦」が襲われて全滅。ランス大尉は砦を襲ったアパッチ族の酋長を捕虜にしてウィンストン砦に帰った。
砦の隊長ドラム大佐はアパッチが酋長を奪還に来るのを恐れ、酋長をもっと堅固なグランド砦へ移そうとする。その護送任務をランス大尉は自分がやるつもりだったが、大佐の命令でハロウェイ中尉(ギグ・ヤング)に変更した。 案の定、護送隊はアパッチに襲われて酋長を奪われ、ハロウェイ中尉は戦死。ハロウェイ中尉はランス大尉と、同僚の娘キャシー(バーバラ・ペイトン)を争うライバルだったことで、キャシーはわざと恋敵を死なせるために彼を任命した卑怯者だと邪推する。
酋長を取り戻したアパッチが大挙して近日中に砦を襲って来ることは必至。
ランス大尉は援軍が到着するまで「不落の砦」の廃墟に拠ってアパッチを食い止めることを進言し、志願する。8名の部下と共に出発した大尉だが、部下たちは大尉を憎み、しかも水や食料も乏しく、彼らはインディアンの襲撃に持ちこたえられるのか?
「ブラボー砦の脱出」につづいて本作でも男女の三角関係が描かれています。 自分を愛している男が2人いて、男の一人がもう一人を危険な任務に就かせた結果、死なせてしまう。女は邪魔な恋のライバルを始末したのだと邪推する。男にはそんな気持ちなど少しもないのに、この女、いい気なもんだ、自信過剰ではないか?と見ていてヤな感じがして、こんな女はこっちから願い下げだ。ヒロインとして魅力が感じられない。
そんな恋愛描写よりも、この映画は「ならず者部隊もの」の走りではないかと。
グレゴリー・ペック演じるランス大尉は、女に邪推されたように、部下からも疑われ、信頼を得ていない。
汚名返上のためか、彼は8人の部下を選抜して、やがて襲来するだろうアパッチ族を迎え撃つために廃墟の砦跡へ向かう。そこに立て籠もって援軍が来るまで時間稼ぎをする計画。
この部下たちを選んだ基準は、部隊にとって必要のない者たち、ということです。
働かないで不平ばかり言っている者。臆病者。脱走者。病弱。飲んだくれ。組織の調和を乱すような者ばかりを選んで、自分が率いて死地へとおもむく指揮官です。
部下との関係は最悪。隙があれば隊長を撃ち殺して逃げようと考えているような、部下たちは隊長を憎んでいる。そういう状況で、彼は自分が先頭に立って襲って来るインディアンと戦い、部下の憎しみを敵を撃退する方向へ向ける。
指揮官と部下のあいだに信頼関係がないなかで、指揮官は「 率先垂範
」をしめすことで、関係を修復してゆきます。
「ならず者部隊もの」は戦争映画のテーマだと思うのですが、どの作品も、この「率先垂範」の部分で共通しているのではないでしょうか。