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映画 マケドニア、ボスニア・ヘルツェゴヴィナ、クロアチア、スロベニアの監督 5
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キム・ソンス「ソウルの春」109シネマズハット 夏の映画三昧が続いています。今日は109シネマズハット、キム・サンス監督の「ソウルの春」でした。原題が「12.12」、あるいは「The Day」、だそうで、おそらく韓国の人たちにはピン!とくる日付? なのでしょうね。 1979年、12月12日、お隣の韓国で何があったのか、みなさんご存知でしたか?ボクは知りませんでした。ただ、「ソウルの春?パク・チョンヒ暗殺映画か?」 という程度の思い付きで見に行きました。ところが、どっこい、独裁者が死んで「春」だと思っていたら新たな独裁者が登場していたというトンデモ実録映画でした。 ボクには文句なしに面白い実録エンターテインメント映画でした。まあ、それにしても、スゴイというか、面白いというか、目が離せない映画を韓国の監督は撮りますねえ。 ちょっと振り返ると、朴 正煕(パク・チョンヒ)暗殺事件が1979年10月26日です。で、映画の題名は「12、12」です。この日は何の日なのか?ですよね。 パク・チョンヒの後に大統領になったのは全 斗煥(チョン・ドゥファン)で、その後なったのは盧 泰愚(ノ・テウ)ですよね。そのあたりの経緯については、ボクはあまり知らなかったのですが「12、12」というのは、全 斗煥(チョン・ドゥファン)が大統領の座を、まあ、いってしまえば強奪した日なのですね。で、その仲間が彼と士官学校同期の盧 泰愚(ノ・テウ)とかだったんですね。 この日から、ほぼ、10年間、やるだけやって、後に死刑判決まで受けた全 斗煥(チョン・ドゥファン)と10年後の、彼の失脚に乗じて、ちょっと民主派の顔で大統領の座をものにした盧 泰愚(ノ・テウ)、なんと彼らがパク・チョンヒ暗殺事件というドタバタに乗じて軍事クーデターをやった日なのだそうです。 韓国のリベラルな人たちから見れば「あの一味」の「あの所業」というところなのでしょうが、海のこちらからボンヤリ眺めていたボクにとっては「えー、そんなことがあったの!?」 で、もう、それだけでコーフン!でした。 主要な登場人物は全員軍人と政治家、もう、それだけでお堅いイメージですが、これが、面白いのなんのって。上のチラシでにらみ合っている、一人はどう見ても全 斗煥ことチョン・ドゥグァンを演じるファン・ジョンミン。で、もう一人が首都ソウル警備隊司令長官イ・テシンを演じているチョン・ウソンです。 半ハゲで、やたら喋りたおすチョン・ドゥグァン(ファン・ジョンミン)に対して、「おー、男前や!」で、筋を通し続ける首都ソウル警備隊司令長官イ・テシン(チョン・ウソン)ですが、勝つのはファン・ジョンミン扮するチョン・ドゥグァンという歴史の皮肉! 実録映画ですから見ているこっちも結論はわかっているにもかかわらず、なおかつ、日ごろは「男前ギライ!」を標榜しているシマクマ君までもが、「なんで、こんな男前が負けるんや!?ああ、負けてもカッコええなあ!」 という結末で、どう考えてもひどい話の映画であるにもかかわらず、心躍る面白さでした。 理由は、はっきりしていて、今、映画を作っている人には、このクーデターで勝った軍人、勝たせた政治家が「悪」で、負けた方こそが「正義」であるという評価に揺らぎがないからですね。負ける正義のカッコよさに拍手できる社会が今あるのでしょうね。 見ていて、盧 泰愚(ノ・テウ)っていう人については、やっぱりこういうやつだったのか程度でしたが、チョン・ドゥグァンについては、大統領失脚後の裁判での振舞いも、かなり、たちの悪い人の印象しかありませんが、映画では、これでもかとばかりに「大ワルぶり」が炸裂! していましたね。 考えてみれば、話題にした二人をはじめ、登場人物の多くが、もう、この世の人ではないからこその作品かもしれませんが、やっぱり、本当の歴史を語ろうという意志を感じる作品でした。拍手!監督・脚本 キム・ソンス脚本 ホン・ウォンチャン イ・ヨンジュン キャストファン・ジョンミン(チョン・ドゥグァン)チョン・ウソン(イ・テシン)イ・ソンミン(チョン・サンホ)パク・ヘジュン(ノ・テゴン)キム・ソンギュン(キム・ジュニョプ)2023年・142分・G・韓国原題「12.12」「The Day」2024・08・25・no112・109シネマズハットno50追記 ところで、このブログをご覧いただいた皆様で楽天IDをお持ちの方は、まあ、なくても大丈夫かもですが、ページの一番下の、多分、楽天のイイネボタンを押してみてくださいね。ポイントがたまるんだそうです(笑)(
2024.09.02
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デビッド・リーチ「フォールガイ THE FALL GUY」109シネマズハット 暑い、暑い、夏のあいだ、ナシのつぶてだった、愉快な仲間のピーチ姫からラインが入りました。「今年もドタバタアクション映画の季節がやってきたよ。フォールガイ観てね!」 というわけで、109ハットで見ました。デビッド・リーチ監督の最新作「フォールガイ」です。 はい、紹介してくれてありがとう! でした(笑)。 映画製作現場ネタの作品で、主人公がスタントマンです。だから、映画の裏の世界ですが、当然、それでは面白くないので、裏の裏の裏くらいまで全部見せます! という作品でした。 スジはこびが、少々面倒でしたが、大丈夫でした。きっとこの人とこの人はうまくいって、この人は悪者やって、 と、適当に予測していると、苦心惨憺、危機一髪、ではありますが、その通りというか、期待通りというかに展開して、とどのつまりは、スタント映画の、スタント場面まで、だから、ライアン・ゴズリング君演じるスタントシーンの、実際のというか、当然、本物のスタントマンの活躍があるわけですが、そのシーンまで見せてくれたようで、いや、ほんとニコニコ、大満足! でした(笑)。 歩いているだけで汗だくになる酷暑の日盛りから、お客さんがほとんどいない、で、チョー涼しい映画館に紛れ込んで、持参したサンドイッチかなんか、何の遠慮もなく頬ばりながら(だって、周りに人いないし)、キッスかなんかのBGMが派手に流れたり、エミリー・ブラントさんのラブソング熱唱のカラオケシーンまで一曲全部あったりして、当然のことながら、あっと驚くスタントシーン連発 で、ドキドキ、ハラハラ、映画を見るのは、日ごろの悩みも(ありませんが)、暑さも忘れて極楽ですね(笑)。いやホント、拍手!拍手!でした。 ああ、それから、この方を忘れてはいけませんね(笑)。フランス語しか理解しないらしいスタント(?)ワンちゃんです。名前は忘れましたが、彼(多分)の大活躍も、なかなか愛嬌があって楽しい作品でした。拍手!監督 デビッド・リーチ原案 グレン・アルバート・ラーソン脚本 ドリュー・ピアース撮影 ジョナサン・セラ編集 エリザベット・ロナルズドッティル音楽 ドミニク・ルイスキャストライアン・ゴズリング(コルト・シーバース:スタントマン)エミリー・ブラント(ジョディ・モレノ:映画監督)ウィンストン・デューク(ダン・タッカー:スタントコーディネーター)アーロン・テイラー=ジョンソン(トム・ライダー:映画俳優)ハンナ・ワディンガム(ゲイル・メイヤー:プロデューサー)テリーサ・パーマー(イギー・スター)ステファニー・スー(アルマ・ミラン:トムのアシスタント)2024年・127分・G・アメリカ原題「The Fall Guy」2024・08・21・no109・109シネマズハットno49追記 ところで、このブログをご覧いただいた皆様で楽天IDをお持ちの方は、まあ、なくても大丈夫かもですが、ページの一番下の、多分、楽天のイイネボタンを押してみてくださいね。ポイントがたまるんだそうです(笑)
2024.08.22
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萩原健太郎「ブルー・ピリオド」109シネマズハット トラキチクンのマンガ便で読んでいて、ちょっと気に入っていた人気漫画が映画化されたということで、さっそく見てきました。 萩原健太郎という方が監督している「ブルー・ピリオド」です。 ここのところ「キングダム」とか、「ゴールデンカムイ」とか、ああ、そういえば「メタモルフォーゼの縁側」、「違国日記」とかもそうでしたね。人気漫画の実写映画版を見て、結構よろこんでいます。 「違国日記」は原作を読んでいないので、ちょっとわかりませんが、ほかの作品は「原作」→「映画」 という順番で見て、案外、シラケないのが不思議です。たぶん逆だったらマンガも読まない気もしますが、そうはいいながらも、「違国日記」とか原作が気になっていますから、そういうわけでもなさそうです。マンガである! まあ、その納得が、実写の映画で、普段ならシラケる所を素通りできるわけですね。見ていて、熱演している眞栄田郷敦君とか、ファイト! とか何とか、声をかけたくなってしまうのが楽しい作品で拍手!でした。 というわけで、原作のマンガの方で気に入っていて佐伯先生が薬師丸ひろ子さんだったりして、チョットずっこけそうになりましたが、彼女だって、いつの間にか、還暦だったりするわけで、まあ、こういう役どころなのですよね(笑)。 いつまでも機関銃をぶっ放すセーラー服の少女しか思い浮かばないボクの方が失礼なのであって、だって、あの映画って1981年ですからね、40年間、セラー服を着せたまま彼女を思い浮かべていた! こっちがどうかしているわけですが、でも、まあ、やっぱり、そういうことってありますよね(笑)。 まあ、そういうわけで、結構楽しい映画でした。監督 萩原健太郎原作 山口つばさ脚本 吉田玲子撮影 光岡兵庫編集 平井健一音楽 小島裕規“Yaffle”主題歌 WurtSキャスト眞栄田郷敦(矢口八虎:芸大受験生)高橋文哉(鮎川龍二:女装のユカチャン)板垣李光人(高橋世田介:ライバル)桜田ひより(森まる:美術部の先輩)やす(矢口行信:父)石田ひかり(矢口真理恵:母)薬師丸ひろ子(佐伯昌子:美術部顧問)2024年・115分・G・日本2024・08・10・no103・109シネマズハットno4追記 ところで、このブログをご覧いただいた皆様で楽天IDをお持ちの方は、まあ、なくても大丈夫かもですが、ページの一番下の、多分、楽天のイイネボタンを押してみてくださいね。ポイントがたまるんだそうです(笑)
2024.08.14
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リー・アイザック・チョン「ツイスターズ」109シネマズハット 毎日暑いので、なんかパーッと楽しい映画はないか?なに?竜巻か? まあ、そういう気分でやってきた109ハットです。 珍しく、映画館の広告ページをネットで覗いていると、リー・アイザック・チョンという監督の映画のようです。その名前に聞き覚えがありました。「たしか、ミナリという、韓国からアメリカへの移民の話を撮った、韓国系のアメリカ人?だったような???」 「ミナリ」は、2年ほど前に見て、おもしろかった記憶があります。「へぇー、今度はパニック映画か?」 まあ、そんなことを思い浮かべながら見たのはリー・アイザック・チョン監督の「ツイスターズ」でした。竜巻といえば、オクラホマ! ですよね。もちろん行ったことがあるわけではありませんが、なんとなくな風景は浮かんだりします(笑)。 で、そのオクラホマを舞台にした、今ふう(笑)、竜巻パニック映画でした。まあ、やたらと人が飛んでゆくパニックシーンも、登場人物たちが繰り広げる「人間ドラマ」も、なかなか豪快、かつ、ナイーブで面白かったですね。今ふう! と最初に書きましたが、そう思った理由は単純です。アメリカには、竜巻を追いかける「ストームチェイサーstorm chaser」と呼ばれている、本来は気象観測が目的の専門家がいるそうなのです。で、この映画の、主要な登場人物たちは、みなさん、そのストームチェイサーなのですが、プロの気象学者はケイト一人で、あとはユーチューバーとか、災害便乗投資家とか、竜巻に挑むというか、対決する目的というか、理由というかが、まあ、いかにも、今ふうやなあ! というわけでした。 この、くそ暑い夏に、ピッタリかどうか、まあ、そのあたりは怪しいですが(笑)、映画館は涼しいし、見終えて、すっきり! 炎暑の帰り道もなんのそのでした(笑)。 主役のケイト(デイジー・エドガー=ジョーンズ)とタイラー(グレン・パウエル)、それからドローンを飛ばすリリー(サッシャ・レイン)が、かっこよくて拍手!でした。 制作に,あのスピルバーグの名があるのも、何がナルホドなのかわからないままに、なるほどなあ・・・ でした(笑)。監督 リー・アイザック・チョン製作総指揮 スティーブン・スピルバーグ他原案 ジョセフ・コジンスキー脚本 マーク・L・スミス撮影 ダン・ミンデル編集 テリリン・A・シュロプシャー音楽 ベンジャミン・ウォルフィッシュキャストデイジー・エドガー=ジョーンズ(ケイト・クーパー:気象学者)モーラ・ティアニー(キャシー・カーター:ケイトの母)グレン・パウエル(タイラー・オーウェンズ:ユーチューブで有名なストームチェイサー)アンソニー・ラモス(ハビ:竜巻リサーチ会社のCEO)ブランドン・ペレア(ブーン:タイラーチームのビデオ・グラファー)サッシャ・レイン(リリー:タイラーのチームのドローンの操縦士)2024年・122分・G・アメリカ原題「Twisters」2024・08・01・no097・109シネマズハットno47追記 ところで、このブログをご覧いただいた皆様で楽天IDをお持ちの方は、まあ、なくても大丈夫かもですが、ページの一番下の、多分、楽天のイイネボタンを押してみてくださいね。ポイントがたまるんだそうです(笑)
2024.08.05
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マイケル・マン「フェラーリ」キノシネマ神戸国際 フェラーリとか、ポルシェとか、全く興味ありません。見わけもつきません。F1って何ですか? 男です。スポーツカーどころか、普通の乗用車のことも知りません。40年間、普通免許を持っていましたが、自動車を運転したのは、まあ、せいぜい数時間です。 まあ、そういうじーさんが「フェラーリとか、ちょっとカッコ良さそうやし、覗いて見たろ!」 と調子に乗って、まあ、さほど期待もせずに見た映画でしたが、圧倒されました(笑)。納得のいく作品でした。面白かったですね(笑)。 舞台は1950年代のイタリアでした。で、まず、エンツォ・フェラーリと、その妻ラウラ、死んだ息子ディーノ、愛人リナ、愛人との間の子どもピエロという、一人一人の人物の描き方の、何というのでしょう、ド迫力! 中でも、エンツォ・フェラーリの身勝手というか、自己中というか、けた外れの存在感、ラウラの愛憎相半ばする鬼気迫る表情、この夫婦は見ものでしたね。もう、それだけで、納得でした(笑)。 二つ目が、公道レースが行われるイタリアの景色の素晴らしさ。で、ものすごく美しい風景、で、そこを疾走する自動車の迫力! 見物人が手を振る公道レースで起こる事故の映像のド迫力! 映画で走らせているのは、フェラーリや、ほかのスポーツカーの、その時代の本物のレプリカというのでしょうか、まあ、プラモデルにしか見えないボクには猫に小判(笑) だったのですが、自動車好きにはこたえられないリアル! だったでしょうね。 で、見終えてようやく気付いて唖然! だったのが、フェラーリを演じていたのが、あの、アダム・ドライバーだったことですね。チラシを見たときも、もちろん、映画を見ている間も全く気付かなかったボクも、まあ、大したものですが、彼のシブイ演技力、別人化するメーキャップも一見の価値ありの迫力でした。ボクは、この俳優の主演映画を、ここのところ片手以上見ているのですが、今回が、一番納得でしたね(笑)。 まあ、いってしまえば、ありがちともいえる創業者伝説なのですが、ボクはシラケることなく見終えました。この手の伝記物、歴史物が好きなんだなあ!!! ということが、自分でよくわかりましたが、スポーツ・カーになんて何の興味もない人がご覧になっても、充分納得がいく作品だったと思いました。監督 マイケル・マン原作 ブロック・イェーツ脚本 トロイ・ケネディ・マーティン撮影 エリック・メッサーシュミット編集 ピエトロ・スカリア音楽 ダニエル・ペンバートンキャストアダム・ドライバー(エンツォ・フェラーリ)ペネロペ・クルス(ラウラ・フェラーリ)シャイリーン・ウッドリー(リナ・ラルディ)サラ・ガドン(リンダ・クリスチャン)ガブリエル・レオーネ(アルフォンソ・デ・ポルターゴ)ジャック・オコンネル(ピーター・コリンズ)パトリック・デンプシー(ピエロ・タルッフィ)2023年・130分・PG12・アメリカ・イギリス・イタリア・サウジアラビア合作原題「Ferrari」2024・07・31・no096・キノシネマ神戸国際no12追記 ところで、このブログをご覧いただいた皆様で楽天IDをお持ちの方は、まあ、なくても大丈夫かもですが、ページの一番下の、多分、楽天のイイネボタンを押してみてくださいね。ポイントがたまるんだそうです(笑)
2024.08.03
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リュ・スンワン「密輸 1970」キノシネマ神戸国際 神戸のシネリーブルに置いてある他の映画館のチラシで知ってやって来ました。見たのは、キノシネマ神戸国際の朝一番のプログラム、リュ・スンワン監督の「密輸 1970」でした。 ボクが映画を見始めたのが1970年代の中盤、大学生になってからなのですが、あの当時の、いわゆるB 級・犯罪・アクション映画の空気感を満喫できた上に、ジョーズですからね。イヤー、納得して、大笑いでした(笑) チラシのコピーはこうです。平凡な海女×カリスマ密輸王×野心家のチンピラ×鬼の税関&サメ! で、ボクが、まあ、大喜びしたのは&サメ! でしたね(笑)。 平凡な海女の手を食いちぎるサメ、まさに、あのジョーズの再来! ですが、最後はチンピラを丸呑みですからね(笑)。 ついでに、もう一つ、カリスマ密輸王であるクォン軍曹は、ベトナム帰り、70年代ですねえ! で、演じているチョ・インソンという俳優さんは、登場人物の中で、ただ一人の、ちょっと男前なのですが、最初、冷酷無情、ニヒルなワルとして登場して、ふーん? と感心していたのも、つかの間、目立ちたがりのチンピラくんにあっけなくやられて、なんや、こいつ?顔だけかよ! とガッカリしていると、とどのつまりには生き延びていて、ダイヤの海苔巻きかなんか食べさせてもらっているんですよね。いや、ホント、笑えますよ。 サメくんと、5人だか、6人だか出てくる、これが70年代という懐かしきスタイルの海女さんたちに、まず、拍手!でした。 ああ、それから、韓国歌謡なんて全く知らないのですが、都はるみを思わせる、だから、まあ、演歌ですよね、それが、BGMとして次々に流れるのもよかったですね。 原題は「Smugglers」ですから、ただの「密輸」なのですが、邦題では1970がついているのは何故なのでしょうね。 まあ、ボクなんかは20代の、懐かしさいっぱいの雰囲気が満ちていて、たとえば、密輸品の電化製品のメーカーの名前を見て笑いながらも、思わず50年の年月を感じながら、仕込まれている笑いネタのしたたかさ! のようなものを感じたのですが、日本の若い人にはわからないということなのでしょうね。だって、ジョーズって、70年代そのものでしょ! ウーン、そんなふうに思うのは、ジジーだけか?監督 リュ・スンワン脚本 リュ・スンワン キム・ジョンヨン チェ・チャウォン撮影 チェ・ヨンファンキャストキム・ヘス(チュンジャ)ヨム・ジョンア(ジンスク)チョ・インソン(クォン軍曹)パク・ジョンミン(ドリ)キム・ジョンス(ジャンチュン)コ・ミンシ(オップン)2023年・129分・G・韓国原題「Smugglers」2024・07・22・no091・キノシネマ神戸国際no11追記 ところで、このブログをご覧いただいた皆様で楽天IDをお持ちの方は、まあ、なくても大丈夫かもですが、ページの一番下の、多分、楽天のイイネボタンを押してみてくださいね。ポイントがたまるんだそうです(笑)
2024.07.23
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グレッグ・バーランティ「フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン Fly Me to the Moon 」109シネマズハット 題名に惹かれてやって来ました。フランク・シナトラが歌っていたジャズの名曲です。 で、映画は、アポロ11にまつわるフェイク・ネタの謎解きで、真実はいかに? と、まあ、ハラハラドキドキの展開なのですが、実は希代のウソつき女と頭のてっぺんからつま先まで真実の塊のような実直男のラブ・ストーリー(笑) で、これが、なかなかよかったのでした(笑)。 映画が描いている時代は1969年、舞台はNASAのケネディ宇宙センターです。ボクの記憶では「ケープ・ケネディ」でしたが、フロリダあたりのあっこです。まず、J・F・ケネディがWe choose to go to the Moon! と演説する実写フィルムが画面に流れるところから始まりました。 そのなつかしいシーンを見て、オー! でした。 ボクはこの演説の1961年の実況は知りませんが、1960年代の後半から、アポロ11の月面着陸時の1969年あたりまでの数年間、天体望遠鏡に夢中の中学生で、当然のことながらアメリカのアポロ計画にも夢中でした。 だからでしょうね、この映画を見ていて、妙な既視感がつきまとって、サターン・ロケットの発射台での雄姿と、発射の瞬間の実写フィルムには、まあ、なんというか、ワクワクを越えた感動が湧き上がってきたのでした!(笑) で、映画では月面活動のフェイクネタで展開するわけですから、「おいおい、それはないやろ!」 だったわけですが、ラストシーンを見て、なんというか心底「ホ!」 でしたね。(笑) 人類初の月面踏破を35億人相手に、アメリカの広告フィルム化しようという嘘つき女ケリーを操るのが、時の大統領、あのニクソンの子分モー・ブルクスという秘密エージェント、まあ、謎の男ですが、演じているのがこの写真の方、ウッディ・ハレルソンでした。「スリー・ビルボード」という映画で町の警察署長だった人です。インチキないい味! は相変わらずでしたね(笑)拍手! まあ、でも、この映画はケリーを演じているスカーレット・ヨハンソンの演技というか、存在感につきますね。拍手! あれから、半世紀以上の年月が流れましたが、J・F・ケネディはもちろんですが、R・ニクソンも90年代の終わりに亡くなりました。アームストロング船長のThat's one small step for a man,one giant leap for mankind. という言葉で始まった月世界探検ですが、どうなったんでしょうね(笑)。ああ、アームストロング船長も10年ほど前になくったそうです。 ところで、月面に立ったことのある人類は12人! みんなアメリカの宇宙飛行士です。ご存知でしたか? 1969年当時、宇宙少年だった中学生は、やがて、米ソのICBM競争が、あそこから始まっていたことに気付いて宇宙への関心を失いました。にもかかわらず、映画の中でカウントダウンの声が聴こえてきてロケットが強大な火炎を噴射しながら、徐々に浮き上がっていくシーンに釘付けになるのは、いったいどうしてでしょうね。監督 グレッグ・バーランティ原案 ビル・カースタイン キーナン・フリン脚本 ローズ・ギルロイ撮影 ダリウス・ウォルスキー衣装 メアリー・ゾフレス編集 ハリー・ジエルジャン音楽 ダニエル・ペンバートンキャストスカーレット・ヨハンソン(ケリー・ジョーンズ:嘘つき女)チャニング・テイタム(コール・デイヴィス:実直男)ウッディ・ハレルソン(モー・ブルクス:嘘つき男)ジム・ラッシュ(ランス・ヴェスパータイン:実直男2)アンナ・ガルシア(ルビー:ケリーの秘書)ドナルド・エリース・ワトキンズノア・ロビンズコリン・ウッデルクリスチャン・ズーバーニック・ディレンバーグレイ・ロマノ2024年・132分・G・アメリカ原題「Fly Me to the Moon」2024・07・19・no088・109シネマズハットno46追記 ところで、このブログをご覧いただいた皆様で楽天IDをお持ちの方は、まあ、なくても大丈夫かもですが、ページの一番下の、多分、楽天のイイネボタンを押してみてくださいね。ポイントがたまるんだそうです(笑)
2024.07.22
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佐藤信介「キングダム 大将軍の帰還」109シネマズハット ハハハハハ、「キングダム」シリーズ第4作「キングダム 大将軍の帰還」、見ちゃいました(笑)。ご機嫌です(笑)。 今回は、やっぱりこのポスターでしょうね。主役は大沢たかおくんが怪演する王騎でした。おしゃべりすると、みんなネタバレになってしまいそうなので黙ろうと思いますが、後の李信こと信と、始皇帝こと若き秦王嬴政との出会いで始まったキングダムシリーズですが、今回で、第4作です。 秦の六大将軍のエース王騎と、趙の三大天、武神と呼び越えの高い龐煖(ほうけん)の決戦が今回の見どころだったというべきでしょうか。 王騎を演じる大沢たかおの、このシリーズでお顔を憶えて以来、その、まあ、なんというか、現実離れした、だから、リアリティのかけらもない演技が大好きになっていたのですが、好敵手、龐煖を演じる吉川晃司も、負けず劣らずの怪演で笑えました(笑)。贔屓の長澤まさみ演じる、山の民の首領楊端和も相変わらずの、これまた怪演ですが、趙の新たなる三大天として登場した(まあ、前作からちょっと出ていますが)李牧役の小栗旬君は、まだまだ、場違いの感が否めませんね。「あんた、一人、何こ気取っとんねん!?」 まあ、そんな感じですね(笑)。 70歳を迎えた徘徊老人も、この、荒唐無稽ともいえる時代劇に、本格的にはまっているらしく、李信隊のの面々や、信を演じる山崎賢人くんに、思わず、ガンバレ! といいそうですし、羌瘣役の清野菜名ちゃんなんて、画面に登場するだけでうれしい。すっかりファンです。 いったい、どこまで続ける気なのか、ちょっと見当がつきませんが、佐藤信介さん、がんばってね(笑)。拍手!監督 佐藤信介原作 原泰久脚本 黒岩勉 原泰久撮影 佐光朗編集 今井剛音楽 やまだ豊主題歌 ONE OK ROCKキャスト山崎賢人(李信)大沢たかお(王騎)吉川晃司(龐煖)吉沢亮(秦王嬴政)橋本環奈(河了貂)清野菜名(羌瘣)山田裕貴(万極)岡山天音(尾平)三浦貴大(尾到)新木優子(摎)髙嶋政宏(昌文君)平山祐介(蒙武)山本耕史(趙荘)草刈正雄(昭王)長澤まさみ(楊端和)玉木宏(昌平君)佐藤浩市(呂不韋)小栗旬(李牧)2024年・145分・G・日本2024・07・12・no086・109シネマズハットno45追記 ところで、このブログをご覧いただいた皆様で楽天IDをお持ちの方は、まあ、なくても大丈夫かもですが、ページの一番下の、多分、楽天のイイネボタンを押してみてくださいね。ポイントがたまるんだそうです(笑)
2024.07.16
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ジェームズ・ホーズ「ONE LIFE」キノシネマ神戸国際 70歳の誕生日を過ぎて、まあ、「年齢なんてものは生きていれば誰にでもやってくるものだ。」 といってしまえばそれまでのことなのですが、そうはいっても、ただでさえ宵っ張りで、夜中の2時とか3時とかに寝床に入ってみると、誰彼なしに、とはいいながら親とか親族とかは、何故か出てこないのですが、ここ二十年ほどの間に亡くなった知人の方々の顔が浮かんできて、ボンヤリ、夢のような記憶のようなものの相手をしていると、カーテンの外が白んできたりしていることに気付いたりするわけで、そのあたりで、ようやく寝付くようで、結局、朝寝して9時とか10時とかに起きだす6月でした。 映画を見るとかと何の関係もないことを、ウダついていますが、要するに、問題は、老いと死ですね。 今日見たのはアンソニー・ホプキンスの新作「ONE LIFE」でした。監督はジェームズ・ホーズという人で、まあ、見る人が見れば「すでに、シンドラーのリストがあるじゃないか!」 ということかもしれませんが、イギリス版シンドラー、ニコラス・ウィントンという人の老いを演じた86歳のアンソニー・ホプキンスに釘付けでした。 時は、1980年ころのイギリスです。いまだに募金活動とかがやめられないニッキーという老人がいて、厳しい妻から散らかし放題の書斎の片づけを迫られています。いわゆる終活ということのようですが、机の引き出しにしまわれていた書類カバンと、その中にしまわれていた1冊のスクラップブックが、老人の記憶を揺さぶり始めます。 古びたスクラップブックには、何人ものこどもの顔写真が貼られていて、×マークのチェックが付いたものと、何の印もついていないものがあります。女の子も男の子もいます。 子どもたちの顔が、分厚い老眼鏡越しに写真に見入る老人を、50年近く昔の、あの日の、あの街へ連れて行って、物語が始まりました。 ナチスの侵略を目の間にしたチェコスロバキアから、子供たちだけでもイギリスに避難させようと思いついた、若き日のニッキーに対して、子供たちをはじめ、地区のユダヤ人の動向を把握しているユダヤ教のラビと思しき老人が「あなたのような、普通の人が、なぜ、こんなことをしようと思いついたのか?」 と尋ねるシーンで、無鉄砲で、いかにも世間知らずな青年が答えた言葉が応えました。「ぼくは、普通の人間だからです。」 で、思いつきのように飛び出して行った息子からの旅先のチェコからの電話で、子供たちのビザの発給の手続きを依頼された母親が、彼女を門前払いする、移民局の役人に対して「私は、先の大戦の時にドイツからイギリスへ逃れてきた人間です。子どもはイギリスで育てました。その子供が、今、チェコで困っている子供をイギリスに匿いたいと活動しています。これこそイギリスが誇るべきことではありませんか?この子供たちのイギリス入国のビザ発給に協力してください。」 という、見事な論陣を張り、説得に成功するのですが、この母ありて、この子あり! の感動もさることながら、20世紀初頭のヨーロッパの「国境」の意味というのでしょうか、ナショナリズムとインターナショナルのせめぎ合いの、まあ、正か負かの判断はともかくも、その一面を如実に見せられた気がして「これがヨーロッパか?!」 と改めて思い知る気がしました。 映画は「普通に生きて来た」一人の老人と、彼を支える厳しい?(笑)配偶者という老夫婦が、「普通に生きてきてよかったですね!」 拍手!、拍手!というべき過去からのプレゼントに囲まれるというハッピィー・エンディングでしたが、まあ、ただの普通ではないところが、ただのワン・ライフではないという物語なのでした。 なにはともあれ、人として「普通」であること の意味を、正面から突き付ける作品で、胸に残りました。何番煎じでもいいじゃないですか、やっぱり、何度でも考え続けないとね、まあ、そういう気持ちになりましたね(笑)。 老人を演じる老優、アンソニー・ホプキンスがプールで泳ぐのですが、その胸の厚さに仰天した作品でもありましたよ(笑)。 主演の彼はもちろんですが、出てくるみなさんに拍手!でした。監督 ジェームズ・ホーズ脚本 ルシンダ・コクソン ニック・ドレイク撮影 ザック・ニコルソン美術 クリスティーナ・ムーア衣装 ジョアンナ・イートウェル編集 ルシア・ズケッティ音楽 フォルカー・ベルテルマンキャストアンソニー・ホプキンス(ニコラス・ウィントン)ジョニー・フリン(青年時代のニコラス)レナ・オリン(母・グレーテ・ウィントン)ロモーラ・ガライ(ドリーン・ワリナー)アレックス・シャープ(トレヴァー・チャドウィック)マルト・ケラー(ベティ・マクスウェル)2023年・110分・G・イギリス原題「One Life」2024・06・25・no080・キノシネマ神戸国際no10
2024.06.30
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ジョージ・ミラー「マッドマックス フュリオサ」109ハットno44 なんか、パーッと面白い映画! を見たいなと思って、2カ月ぶりにやって来た109ハットです。見たのはジョージ・ミラー監督の「マッドマックス」の最新版「フュリオサ」でした。原題が「Furiosa A Mad Max Saga」となっていて、こっちの方が、初めて、まあ、メル・ギブソンのマッドマックスは、はるか昔に見たことがあるような気はしますが、ほぼ、初めてこのシリーズを見るボクには、映画の外枠というかがわかりやすいと思いましたが、まあ、こだわるほどのことではありませんね(笑)。 で、見終えてですが、ナルホド、人気が出るはずやなあ! と、ズット引っ張り続けるかの展開には納得したものの、少々草臥れました。 多分、これまでのシリーズで、すでに登場しているのであろうフュリオサという女性の、少女の頃に人さらいにあった始まりからの成長譚だったわけですが、とどのつまりのディメンタスとの対決と最終決着のあたりは、ちょっとめんどくさかったですネ(笑)。 でも、フュリオサという、この主人公は、なかなかよかったわい! とか思いだしながら帰り道に、劇場前のポスターを見ると、上の写真ですが、なんだか猿の惑星みたいな様子で映っていて、えっ?こんな顔やったか? と驚いてしまいました(笑)。 1980年代くらいだったと思いますが、はじめの頃の、このシリーズを見た記憶では、まあ、確たる根拠があるわけではありませんが、オーストラリア映画! という印象が強かったのですが、今回も似たような印象を受けました。まあ、この映画が、実際のオーストラリアの風景を撮っているのかどうか、定かではありませんが、要するに、背景の自然がいいんですよね。砂漠とか荒野の感じが、アメリカ大陸の感じでもないし、中国の砂漠とかでもない感じでよかったですね(笑)。 とか、何とかいってますが、前作の「怒りのデス・ロード」とか、どこかでやっていたら、ちょっと見てみたいなと思ったわけで、やっぱり、初体験、面白かったんでしょうね(笑)。 なにはともあれ、フュリオサ役のアニヤ・テイラー=ジョイ、アリーラ・ブラウン(少女フュリオサ)に拍手!でした。監督 ジョージ・ミラー製作 ジョージ・ミラー ダグ・ミッチェル脚本 ジョージ・ミラー ニック・ラザウリス撮影 サイモン・ダガン美術 コリン・ギブソン衣装 ジェニー・ビーバン編集 エリオット・ナップマン マーガレット・シクセル音楽 トム・ホルケンボルフ視覚効果監修 アンドリュー・ジャクソンキャストアニヤ・テイラー=ジョイ(フュリオサ)アリーラ・ブラウン(少女フュリオサ)クリス・ヘムズワース(ディメンタス)トム・バーク(警護隊長ジャック)チャーリー・フレイザー(メリー・ジャバサ)ラッキー・ヒューム(リズデール・ペル/イモータン・ジョー)ジョン・ハワード(人食い男爵)リー・ペリー(武器将軍))アンガス・サンプソン(オーガニック・メカニック)2024年・148分・PG12・アメリカ原題「Furiosa A Mad Max Saga」2024・06・08・no076・109ハットno44追記 ところで、このブログをご覧いただいた皆様で楽天IDをお持ちの方は、まあ、なくても大丈夫かもですが、ページの一番下の、多分、楽天のイイネボタンを押してみてくださいね。ポイントがたまるんだそうです(笑)
2024.06.08
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イ・ハン「マイ・スイート・ハニー」キノシネマ神戸国際 昨日はトニー・レオン見たさに中国製スパイ・ノワール「無名」でしたが、今日はユ・へジン見たさで、韓国製ラブ・コメ映画でした。見たのはイ・ハン監督の「マイ・スイート・ハニー」で、同居人と同伴鑑賞でした。 見ながら、思わず声を出して笑いました。ユ・へジンさん、さすがですね。たぶん、実年齢は50歳を超えていらっしゃると思いますが、この映画で演じていらっしゃるのはチャ・チホさんといって、45歳、お菓子会社の研究員だそうで、豆腐チップを開発していて、お菓子ばっかり食べていて、栄養失調状態だという中年男でした。 目覚まし時計が山ほどある部屋で目覚めて、時計の指示する時刻どおり行動するという、まあ、ちょっとアブナイ人物を演じていらっしゃるのですが、あのお顔の唐変木が45歳にして、初めて恋に落ちるのですね。トンチンカンをいかに演じるか勝負だったと思うのですが、さすがの演技でしたね。 で、その唐変木のお相手は、大学生の娘さんと「私たち」で暮らしていらっしゃるイ・イルヨンさんというシングル・マザーで、演じていらっしゃるのがキム・ヒソンさんとおっしゃる女優さんでしたが、可愛らしいお顔立ちなのですが、この方も、脱・世俗というか、かなりぶっ飛んでいらっしゃるキャラなのですが、なかなかの熱演で、笑えました。 チラシにある通り、ちょっと変な二人の「最初の恋」と「最後の恋」の激突! で、ベタといえばベタ、アンマリといえば、あまりにアンマリな展開ですが、まったくシラケさせないのは、主役のお二人の熱演ももちろんですが、韓国映画の実力! という気がしました。 例えば、チン・ソンギュさんという男前の俳優さんが演じるビョンフンさんという、チャ・チホさんの上役の室長さんとかが登場するのですが、その彼が部下を相手にこんな演説をするシーンがあります。「僕がなんで出世が早いか分かるか?」「お父さんが社長だから」「違う」「祖父が創業者だから」「違う」「母親が理事だから」「違う。」「???」「愛だ」 要するに、自分はモテるということを言いたいだけのおバカ演説なのですが、笑えるんですね。 他にも、大学生のお嬢さんの、これでもか! と言わんばかりのチョー甘いマスクの恋人が、なんと、軽トラックを家の前に横付けして、二階のベランダに向かって「ロミオ」じゃあるまいし! の告白・熱唱シーンといい、薬屋さんのおねーさんとの人生相談といい、うまいものです。 まあ、なにはともあれ、カップルのお二人に拍手!ですね。監督 イ・ハン脚本 イ・ビョンホン撮影 イ・テユン音楽 チョ・ヨンウク美術 キム・ヒョノク編集 ナム・ナヨンキャストユ・ヘジン(チャ・チホ)キム・ヒソン(イ・イルヨン)チャ・インピョ(兄ソクホ)チン・ソンギュ(上役ビョンフン)ハン・ソナ(ウンスク)2023年・118分・G・韓国原題「Honey Sweet」2024・05・14・no068・キノシネマ神戸国際no09追記 ところで、このブログをご覧いただいた皆様で楽天IDをお持ちの方は、まあ、なくても大丈夫かもですが、ページの一番下の、多分、楽天のイイネボタンを押してみてくださいね。ポイントがたまるんだそうです(笑)
2024.05.16
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クリストファー・ノーラン「オッペンハイマー」109ハット 今日は2024年3月30日、土曜日です。その上、春休みです。普段は出かけません(笑)。 しかし、しかし、ですよひょっとしたら、今、一番騒がれている映画じゃないか? が封切られているのです。180分の大作ですが、2024年のアカデミー賞、作品賞、監督賞(クリストファー・ノーラン)、主演男優賞(キリアン・マーフィ)、助演男優賞(ロバート・ダウニー・Jr.)、編集賞、撮影賞、作曲賞と、7部門、まあ、総舐めという作品で、おっちょこちょいの徘徊老人としてあっこならすいているんじゃないか? とやって来た109ハットでしたが、やっぱり空いていました(笑) 見たのは、もちろん、クリストファー・ノーラン監督の「オッペンハイマー」です。 実は、評判になり始めてひっかかっていたことがあります。なんで、今、オッペンハイマーやねん? で、見終えました。若い人はご存知ないかもしれませんが、1940年代、第二次大戦中ですが、マンハッタン計画という、アメリカの原爆開発プロジェクトの科学技術的な責任者であったJ・ロバート・オッペンハイマーJulius Robert Oppenheimerの、いわば伝記映画でした。 いかにも、ノーラン監督らしい映像的工夫に満ちた作品でしたが、果たして、効果的だったのかどうか、ボクには、少々めんどくさかったですね(笑)。 面白かったのは、まず、登場するアインシュタインが、ボクが思い浮かべるイメージの姿と、実に、ピッタリ同じというか、そっくりで笑えました。ついでにいえば、見ながら気付いたわけではありませんが、オッペンハイマーもそっくりです。似た人というのはいるのですねえ(笑)。 で、その、オッペンハイマーとアインシュタインが出会うシーンが一回だけあるのですが、そこで何が語り合われたのかが、おそらく、この映画の底に流れている大事なポイントだと思いました。古典力学が描いた世界を根底から刷新したアインシュタインですが、彼がたどり着いたのは量子力学という新しい未知の発見、ひょっとしたら、「絶望」の発見だったわけで、そこから未知の世界へ足を踏み入れて、世界を滅ぼす可能性のある殺戮兵器の道を歩もうとしているオッペンハイマーの「不安」が出会ったシーンとして、まあ、この映画の鍵となるシーンだったと思うのですが、ボクには印象深かったのですね。 ただ、この二人とか、ハイゼンベルグとか、ボーアとか、無茶苦茶なつかしい名前でしたが、彼らには見えているらしい「量子的世界」について、実は、ボクレベルの科学的世界認識では歯が立たないのですね(笑)。 映画の制作者は、おそらく、そこのところを何とかしようとお考えになったんでしょうね、数式の抽象化なのか自然現象の描写なのか、まあ、ちょっとハッタリ的な映像が繰り返されて、「なんや、あんたもわかってへんのやろ」 という感じで、笑えました。 で、映画は「原爆を作ってしまった科学者」オッペンハイマーの伝記的事実をなぞろうとしているようですから、原爆開発と、その軍事的使用に対して、罪というべきなのかどうかはわかりませんが、彼自身の、一人の人間としての「存在論的な苦悩」 が、本線として、まず、あるわけですね。 で、映画は、そこを主軸としながら、戦後、水爆開発に反対したことが理由でしょう、1950年代の、所謂、「赤狩り」のターゲットにされて公聴会で尋問されるという、反共を煽るアメリカという国における、国民としての資格の剥奪の脅しに対する「怒りと戸惑い」 加えて、彼の性的、精神的な志向によるのでしょうね、いわば、内面に渦巻く欲動の自己矛盾に対する怯え を抱えている人間という、重層的な存在のありさまを、多分、三通りの、時制ではなくて、映像の主体、だから、誰が見ているシーンかという映像的な差異によって、錯綜させて描くという、ノーラン監督の得意技が駆使されていて、面白い人には面白いのでしょうが、ボクにはかなりややこしい という印象でしたが、とどのつまりに、妻の口から発せられた「公聴会で許されたからといって、あなたがやったことが許されたとは限らない」 という(はっきり覚えていませんが)セリフの、「あなたがやったこと」 が実に多義的で、かつ、静かではあるのですが、激しい否定のセリフには、やはり、ギョッとするというか、印象に残ったのですが、なんだか、消化不良な感じも残りましたね(笑)。 まあ、なんとなく、不満を書き連ねていますが、ボク自身にとっては、かなり衝撃的な体験 をさせられた映画でもありました。 上に貼ったのは映画ではなくて、公式記録の写真らしいですが、映画の前半、最後の山場は、この写真が写している最初の原爆の実験の現場を描いた映像でした。ボクは普通の映画館で見ましたから、椅子が揺れたりしたわけではありませんが、最初に光と火炎の塊がスクリーンに広がり、しばらくの沈黙の後、強烈な爆音が響き、まさに「ピカドン」 が映しだされたのですが、その映像を見ながら、椅子にすくみこむような気分に落ち込みながら、涙がとまらなくなってしまったのでした。不思議な経験でしたね。なんだったのしょうね、あの、身体反応は? ここ数年、何本か見たことのある監督ですが、ややこしさはいつものことですが、あのシーンは衝撃でしたね。拍手! 余談ですが、始まりは、アインシュタインの「物理学はいかに創られたか上・下」 (岩波新書)、そこから、ハイゼンベルグの『部分と全体』(みすず書房)とかシュレーディンガーの『生命とは何か』(岩波文庫)とかに、それぞれ、まったくワカラナイにもかかわらず、熱中したことがあったのですが、懐かしく思い出しました。映画を見ながら懐かしい名前といったのは、この映画にも登場する物理学者たちの多くが、10代の終わりころのボクには、あこがれのスターだったんですよね。あの頃から50年、本だけでも、と思って、何度も、あれこれチャレンジしましたが、結局、諦めましたね。面白がれたのはファインマンさんの冗談だけでしたね(笑)。 ああ、それから、なぜ、今、オッペンハイマーなのか? は、結局、わかりませんでしたね。ついでにいえば、この映画が大騒ぎになっている理由もよくわからなかったですね。嫌いじゃないし、面白かったのですが・・・(笑)。監督・脚本 クリストファー・ノーラン原作 カイ・バード マーティン・J・シャーウィン撮影 ホイテ・バン・ホイテマ美術 ルース・デ・ヨンク衣装 エレン・マイロニック編集 ジェニファー・レイム音楽 ルドウィグ・ゴランソン視覚効果監修 アンドリュー・ジャクソンキャストキリアン・マーフィ(J・ロバート・オッペンハイマー)エミリー・ブラント(キャサリン(キティ)・オッペンハイマー)マット・デイモン(レスリー・グローヴス)ロバート・ダウニー・Jr.(ルイス・ストローズ)フローレンス・ピュー(ジーン・タトロック)ジョシュ・ハートネット(アーネスト・ローレンス)ケイシー・アフレック(ボリス・パッシュ)ラミ・マレック(デヴィッド・L・ヒル)ケネス・ブラナー(ニールス・ボーア)ケネス・ブラナーディラン・アーノルド(フランク・オッペンハイマー)デビッド・クラムホルツ(イジドール・ラビ)マシュー・モディーン(ヴァネヴァー・ブッシュ)ジェファーソン・ホール(ハーコン・シュヴァリエ)ベニー・サフディ(エドワード・テラーデ)デビッド・ダストマルチャン(ウィリアム・ボーデン)トム・コンティ(アルベルト・アインシュタイン)グスタフ・スカルスガルド(ハンス・ベーテグス)マイケル・アンガラノデイン・デハーンオールデン・エアエンライク2023年・180分・R15+・アメリカ原題「Oppenheimer」2024・03・30・no052・109ハットno43追記2024・04・02 「オッペンハイマー」というこの映画の感想を書くのに、ちょっと苦労して、なんとか書き終えて、寝ていて、「うん???」 と思い浮かんだことがありました。2023年に見た「アステロイド・シティ」という、アニメのようでアニメでない、という雰囲気のけったいな映画のことです。「あれって、ロスアラモスか?」 という、なんというか、ひらめきというか、思いつきでした。 そういえば、あの映画は少年科学者大会とかいっていたと思いますが、マンハッタン計画は全米の秀才高校生まで動員した、国民的行事だったですよね。ボクは、あの映画の舞台がネバダということもあって、広瀬隆の「ジョン・ウェインはなぜ死んだか」(文春文庫)とかを思い出して、なんとなく「原爆実験かあ・・・」 とか思っていたのですが、ひょっとしたら、この映画と同じ関心で、あの映画は作られていたのではないかという思い付きですね。 そうだとすれば、才能とセンスの塊のようなウェス・アンダーソンとクリストファー・ノーランという二人のアメリカの監督が同じように、今、「ロスアラモス」を振り返ろうとしているんじゃないか。それは、何故かなのか?ですね。 日本の戦後でいえば、「夏の花」、「黒い雨」から「父と暮らせば」や「祭りの場」、近いところでは「爆心」まで、他にもいっぱいありますが、繰り返し描かれ、映画化もされた原爆ですが、作って、使ったアメリカではどうだったのか。なぜ、今、オッペンハイマーなのか? なんだか、いよいよ、引っかかってきましたね(笑)。追記 ところで、このブログをご覧いただいた皆様で楽天IDをお持ちの方は、まあ、なくても大丈夫かもですが、ページの一番下の、多分、楽天のイイネボタンを押してみてくださいね。ポイントがたまるんだそうです(笑)
2024.04.02
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ドゥニ・ビルヌーブ「デューン 砂の惑星 PART2」109ハット 3年ほど前に、パート1を見ました。まあ、そういうわけで、やっぱり、見なきゃ! と思いたって、なんと,春分を過ぎたというのに小雪のチラつく中、意を決して原付に乗り、灘駅からは小雨に変わった道をとぼとぼ歩いて、ドゥニ・ビルヌーブ「デューン 砂の惑星 PART2」に駆け付けました。 劇場には、こんなのに始まって、こんなのとか、 ちょっと、強面ですが、なんかドラゴンボールを思い出しましたが(笑)、こんなのとか、こんな悪人面とか、あっ、上の男の人ね(笑) こちらは、主人公のポールくんかな、と、まあ、いろんな登場人物のキャラクター写真があったりして、有名な人気俳優集合映画であることがよくわかりましたが、まあ、写真の人物のだれ一人知らないわけですから、「まあ、ちょっと写真撮っとこか。」 程度のインパクトしかありません。知らないというのはしようがありませんね(笑)。 で、始まって見ると2時間30分、まあ、結構長い作品だったので、それで、どうなるのと期待に期待を重ねていたのですが、まあ、こんなことを言うのは申し訳ないのですが、なんというか、ボクの中で、新たに「ワクワクをかきたてるもの」 の発見は、結局、なかったですね。ザンネン! あの砂虫の全貌は?という期待も(やっぱり、わからないままでしたが)、お母さんのお腹の赤んぼうの行く末も(まだ、お腹にいるままでしたし)、ポールくん自身の復活も、「なんだかなあ???」 でしたね。 ちょっと、いかにも、薹の立った老人の戯言をいいますが、物語の運びが、小道具も、大筋も、古いんですよね。 予言を持ち出して、話を進めるのも、戦闘シーンや、最後の決闘シーンも説得力がないですね。最後のポールくんの決断でチャニさんが去っていく結末もパート3のためのやりくりにしか見えないわけですし、砂虫くんだって、ボクでさえ二度目なのですから、もう少し何とかしてほしいわけです。 結局、寝ることはなかったですが、欠伸ばっかりしていました(笑)。 音響とか、結構、大変なのですが、体がそう反応してしまうのだから仕方がないですね。 砂漠の香辛料とかの争奪戦あたりからの発想でしょうか、現実の世界を暗示する予言性とかを指摘する批評家もいらっしゃるようですが、現実の権力や資本の論旨が古いからそう見えるにすぎないわけで、古い物語を反復すれば、予見的になるという型は、ボクが映画を見始めた50年前から変わらないし、この作品を持ち上げる理由になるとは思えませんね。 とか、なんとかいいながら、パート3が出来たら、また見に来そうな、ハイ、今回は怠かったのですが、ほんとはこの手の話、好きなのですよね(笑)、というわけで、まあ、いい加減な話でした(笑)。監督 ドゥニ・ビルヌーブ原作 フランク・ハーバート脚本 ドゥニ・ビルヌーブ ジョン・スパイツ撮影 グレイグ・フレイザー美術 パトリス・バーメット衣装 ジャクリーン・ウェスト編集 ジョー・ウォーカー音楽 ハンス・ジマー視覚効果監修 ポール・ランバートキャストティモシー・シャラメ(ポール・アトレイデス)ゼンデイヤ(チャニ)レベッカ・ファーガソン(レディ・ジェシカ)ジョシュ・ブローリン(ガーニイ・ハレック)オースティン・バトラー(フェイド=ラウサ・ハルコンネン)フローレンス・ピュー(皇女イルーラン)デイブ・バウティスタ(ラッバーン・ハルコンネン)クリストファー・ウォーケン(パーディシャー皇帝シャッダム4世)レア・セドゥ(レディ・マーゴット・フェンリング)スエイラ・ヤクーブ(シシャクリ)ステラン・スカルスガルド(ウラディミール・ハルコンネン男爵)シャーロット・ランプリング(教母ガイウス・ヘレネ・モヒアム)ハビエル・バルデム(スティルガー)アニヤ・テイラー=ジョイ2024年・166分・G・アメリカ原題「Dune Part Two」2024・03・21・no047・109ハットno42追記 ところで、このブログをご覧いただいた皆様で楽天IDをお持ちの方は、まあ、なくても大丈夫かもですが、ページの一番下の、多分、楽天のイイネボタンを押してみてくださいね。ポイントがたまるんだそうです(笑)
2024.03.23
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マシュー・ボーン「アーガイル」109ハット 先々週は、個人的には、なつかしのアカデミー賞鑑賞週間で、見終えた感想が、「ああ、そうですね!」 と、まあ、すっきりする作品を立て続けに見ていたこともあって、その上「裏切りのサーカス」といううシブイスパイ映画を見たこともあって、予告編を見ながら「おっ!スパイ映画!」 というノリで、封切りしたばかりの、この作品に食指が動くという感じでやって来たのがマシュー・ボーンという、初めて見るイギリスの監督さんですが、作品は「アーガイル」、映画館は109ハットでした。 エリー・コンウェイ(ブライス・ダラス・ハワード)という人気の女流作家が「全き空想!」 として描かれたはずの「アーガイル」というスパイ小説が、実は現実を描いているらしいというのが、お話の発端です。アーガイルは、小説に登場する、男前のエージェントのお名前です。 マア、どっちかというと、とぼけたキャラの女流小説が、何故、現実世界の闇の奥、スパイ対スパイの戦いの「真実」を描くことができたのか? という謎が物語のキモで、銃撃戦、空から急降下、カーチェイス、あれやこれやの超絶アクション、それからお色気、ああ、そうそう、なかなか愛嬌のあるネコのアルフィー君まで登場して、お客さんが喜びそうなネタが、これでもかと用意されています。 上のポスターのネコ・リュックの窓から覗いているのが、主人公とともに苦労するアルフィー君ですね(笑)。 まあ、好き、嫌い、イイ、ワルイはともかく、見始めると画面から目が離せないうえに、現実と小説的空想が、きわどく重なっていて、「えっ?なんで?」「ああ、そうか!」 の繰り返しでラストシーンまで引っ張ってもらえます。 まあ、ここまで読んで、そこから先に興味を感じた方は、どうぞご覧になってください。007系のエンタメ・スパイもののお好きな方にもいいかもしれません(笑)。 ボクが笑ったのは、主人公エリー・コンウェイの前にホンモノのスパイとして登場して、まあ、彼女とコンビを組むことになる怪しげな男がサム・ロックウェルだったことですね。 数年前に見た「スリー・ビルボード」という映画で、インチキな警官役をやっていて記憶に残っている人で、「ああ、また、インチキ野郎ちゃうの(笑)。」 と、まあ、いかにも、そういう風情で登場したのですが、なんと、結構、シリアスな役どころで大活躍だったので、笑ってしまいました。「裏切りのサーカス」に触発されて見ましたが、まあ、あの映画とは180度、いや360度?別世界のスパイたちでした(笑)。監督 マシュー・ボーン脚本 ジェイソン・フックス撮影 ジョージ・リッチモンド美術 ダニエル・テイラー ラッセル・デ・ロザリオ衣装 ステファニー・コーリー編集 リー・スミス トム・ハリソン=リード コル・グーディー音楽 ローン・バルフェキャストブライス・ダラス・ハワード(エリー・コンウェイ:人気作家)サム・ロックウェル(エイデン:スパイ)ブライアン・クランストン(リッター)キャサリン・オハラ(ルース:エリーの母)ヘンリー・カビル(アーガイル:小説の主人公)デュア・リパ(ルグランジェ)ジョン・シナ(ワイアット)サミュエル・L・ジャクソン(アルフレッド・ソロモン)アリアナ・デボーズ(キーラ)ソフィア・ブテラ(サバ・アル=バドル)リチャード・E・グラント(ファウラー)2024年・139分・G・イギリス・アメリカ合作原題「Argylle」2024・03・09・no039・109ハットno41 追記 ところで、このブログをご覧いただいた皆様で楽天IDをお持ちの方は、まあ、なくても大丈夫かもですが、ページの一番下の、多分、楽天のイイネボタンを押してみてくださいね。ポイントがたまるんだそうです(笑)
2024.03.14
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アリ・アスター「ボーはおそれている」109ハット 一月ほど前のことです。上に貼ったチラシを一目見て同居人のチッチキ夫人が言いました。「私、これは行くわ。(キッパリ!)」「なんで?」「なんか、情けない顔してはるやん。この人。」「ホアキン・フェニクスやん、ほら、こないだ、ナポレオンになってた、あんたは要ってへんけど。マザコンのナポレオンいうて騒いでたやろ、ボクが。」「ふーん、そうやったっけ。」 で、劇場公開が始まって二人で出かけました。 109ハットの小さめのホールでしたが二人以外には学生風の若い男性が二人だけでした。見たのはアリ・アスター監督の「ボーはおそれている」でした。 見終えて、二つ向うの席のチッチキ夫人を振り返ると、彼女は、それぞれ席を立って出て行く青年たちを目で追いながら、声をひそめて言いました。「あの子ら、面白かったんやろか?」「あんたはどうやねん。」「わたしは、最初のシーンから、もういい、出て行きたい、の繰り返しやんか。なんなん、この映画。」「ふーん、ボクは、それでどうなるの?やったで(笑)ホアキン・フェニクス、ずっと情けない顔してたやん。それが見たかったんちゃうの?」「あんな母親出てくる思わへんやん。」 見てすぐはかなりお怒りでしたが、家に帰ると質問攻めでした。「最初、さあ、子供産んだばっかりの女の人が叫んでるこえきこえてくるやん。アンナン、できへんと思うねん。産んですぐやでぇ。」「夢やからできるねん。」「誰の?」「主人公。」「どういうこと?」「ボクはな、はじめから終わりまで、みんな、ボーいう男の人の夢や思うねん。まあ、当てずっぽうやけど、きっと。」「みんな、夢やったん?」「ほら、この前からホサカがおもろいこというてるって騒いどったやろ。夢で起こることって、あり得へん事でも見てて疑わへんって、そういえばそうや、おもろいなぁって。」「そやから、起こること、全部、どこか変やったん?」「そうやん、ボクらには夢ちゃうもん。」「ボーにはホンマのこと?」「まあ、そういいたいんやろうな。ボク、見始めて、すぐ、ホサカの話思い出したから、ふーん、ソウナン?!って見てた。」「ずっと?」「うん。」「最後、爆発すんのは?」「夢の終わり。目覚めたら、また、あの情けない顔。」「おかーさんは?」「映画の今、実在やとしたら、生きてる。知らんけど。ほんでな、ボーのマザコンの様子の描き方は、アメリカの人が好きらしい精神分析の発想の、まあ、映像化に見えた。」「どいうこと?」「あんな、人間ってな、大人になって、自分は、とか、私とか、主体とか、自己とか、思ってるけどな、それって、小さいころに母親とか父親の喜んだり怒ったりすること、まあそれを他者の欲望っていうねんけど、それを見て、それに合わせて自分って出来ていくいう理論。で、ボーのおかんってシングル・マザーやろ。そやから、父親は、人格のないチンチンのバケモンでしかないいうことになるわけ。なんか、そんなシーンもあったやん。」「天井裏?」「うん、父親がそれやったら、男の自分はなんや?ってなるやろ。無意識を占拠してるのは全部母親の欲望で、なおかつ自分は男やで。困るやろ。」「なんなん、それ。」「途中、子ども部屋で目覚めるやろ。ボーって、見るからにもう中年すぎてるやん、なんか、不気味やろ。」「あの年になっても、始まりに支配されてるいううわけ?あかんわ、そんな話。あの子らどう思って見てたんかな?ちょっと、感想聞きたいわ。」「さあなあ、若い人、どうなんかなあ。ボクのは当てずっぽうやか、あてにならんけど、そんな、フロイトとかについて知らんやろうからなあ。わけわからんホラーなんちゃう?ただ、ボクは、なんか、醒めて見てたいうことやん。この監督さん、たぶんそういうのン好きやねんきっと。」 と、まあ、あれこれ盛り上がったのですが、どうなんでしょうね。文字通り素っ裸で走り回ったホアキン・フェニクスさんに、ご苦労様でしたの拍手!ですね。いやはや、俳優というのも大変ですね(笑)。 ところで、上の会話の中でホサカと呼んでいるのは、作家の保坂和志です。で、引用は「世界を肯定する哲学」という新書の次の箇所です。「夢は無意識の発露である」というのがフロイト以降の定説となった定義だけれど、夢には忘れられがちなもっとずっと大きな特徴がある。それは「夢の中では何歳になっても与えられた状況を真に受ける」ということだ。(「世界を肯定する哲学」ちくま新書)(P152) それから、ジャック・ラカンについての話は、まったく偶然だったのですが、ここのところ読んでいた竹田青嗣という批評家の「新・哲学入門」という新書の次のような記述を頭に浮かべています。 ラカンは、フロイトの去勢複合の仮説を精神分析理論の核心として受け取り、疎外された自己統合としての人間主体、という独自の像を提示する。その力点を「反―主体の形而上学」と呼ぶことができる。 《主体は、もともとは欲望のバラバラの寄せ集めです。これこそ「寸断された身体」という表現の本当の意味です。そして、「エゴ」の最初の統合は、本質的に「他我(アルター・エゴ)」であり、それは疎外されているのです。欲望する人間主体は、主体にまとまりを与えるものとしての他者を中心として、その周りに構成されます。そして、主体が最初に対象に接近するのは、他者の欲望の対象として体験された対象なのです》(「精神病の問いへの序論」ジャック・ラカン「精神病」岩波書店) 幼児は、鏡像段階以前(自我が統合される以前)では、自己身体を寸断された像としてもつため、このバラバラの身体としての自己を統一された「主体」として形成する上で、「他我」、つまり「他者の欲望」を必要とする。人間は、自分の欲望を自分で構成することはできず、他者の欲望によって自分の欲望を形成する。この意味で、人間の「主体」は本質的に「疎外」されたもの、いわば他我によって想像的に”騙り取られたもの“であるとされる。(竹田青嗣「新・哲学入門」現代新書)(P147) ゴシック体は、ボクなりです。論の真偽はともかくとしてですが、最近、面白がって読んでいる1冊です。映画にかぎらず、小説、詩歌とか絵画、写真とか、ボク自身が何を見て、何に反応しているのか? を考え込むことが、最近よくあるのですが、そういうときの参考になります。ラカン、ポンティ以降の人間理解は、よくわからないなりにスリリングです(笑)。 で、最後になりましたが、この「Beau Is Afraid」という作品で、あの年齢まで、ボーが怖れ続けているという考え方が、ある意味でホラーだと思うのでした。アリ・アスター監督が採用しているとボクが考えている人間理解の考え方が、でたらめだとは思いませんが、なんだか、図式的だよなあ?! という感じなのでした。監督・原案・脚本 アリ・アスター撮影 パベウ・ポゴジェルスキ美術 フィオナ・クロンビー衣装 アリス・バビッジ編集 ルシアン・ジョンストンキャストホアキン・フェニックス(ボー・ワッセルマン)ネイサン・レイン(ロジャー)エイミー・ライアン(グレース)スティーブン・マッキンリー・ヘンダーソン(セラピスト)ヘイリー・スクワイアーズ(ペネロペ)ドゥニ・メノーシェ(ジーヴス)カイリー・ロジャーズ(トニ)アルメン・ナハペシャン(少年時代のボー)ゾーイ・リスター=ジョーンズ(若き日の母親)パーカー・ポージー(エレーヌ)パティ・ルポーン(モナ・ワッセルマン)2023年・179分・R15+・アメリカ原題「Beau Is Afraid」2024・02・29・no034・109ハットno40 追記 ところで、このブログをご覧いただいた皆様で楽天IDをお持ちの方は、まあ、なくても大丈夫かもですが、ページの一番下の、多分、楽天のイイネボタンを押してみてくださいね。ポイントがたまるんだそうです(笑)
2024.03.10
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ブリッツ・バザウーレ「カラー・パープル」109ハット なんというか、何はともあれ、機嫌のいい映画が見たいと思って、三連休の最後の日に109ハットにやって来ました。 見たのはブリッツ・バザウーレという監督のミュージカル「カラーパープル」です。 スピルバーグが1985年に公開して、原作ともども話題になった「カラーパープル」のリメイクだそうです。まあ、その、元ネタ映画を見たことがあるから、今回の鑑賞になったのですが、何にも覚えていないことが幸いして、なかなか楽しい2時間でした。 もともとがアリス・ウォーカーの、当時、ピューリッツァー賞をとったノンフィクション小説が原作で、今回も同じですから、話の筋は変わりません。ボクぐらいのお年の方には、原作をお読みになった方も多いのではないでしょうか。読みでのあるいい作品だった記憶だけありますが、要するに、物語の展開を歌とダンスでやるということで、まあ、歌もダンスもわからない老人ですが、飽きずに最後まで見終えました。 こういう、趣向を変えたリメイクというのは、演劇なんかでやられることも多いようで、この作品もブロードウェイでの当たり狂言の映画化のようで、まあ、だから、ダブル・リメイク(笑)というわけのようですね。 元の映画にあった、歴史的な分厚さは感じませんでしたが、これはこれで、見てよかったですね。 主人公のセリー(ファンテイジア・バリーノ)とか、友達の歌手シュグ・エイブリー(タラジ・P・ヘンソン)とか、歌を歌ったり、踊ったりの出演者の方たちは、たぶん、かなりな実力でしょうね。拍手!でした。 監督 ブリッツ・バザウーレ原作 アリス・ウォーカー原作ミュージカル マーシャ・ノーマン脚本 マーカス・ガードリー撮影 ダン・ローストセン編集 ジョン・ポール音楽 クリス・バワーズ音楽監修 ジョーダン・キャロル モーガン・ローズ楽曲 ブレンダ・ラッセル アリー・ウィルス スティーブン・ブレイ振付 ファティマ・ロビンソンキャストファンテイジア・バリーノ(セリー)フィリシア・パール・エムパーシ(若き日のセリー)シアラ(妹ネティ)ハリー・ベイリー(若き日のネティ)タラジ・P・ヘンソン(シュグ・エイブリー)ダニエル・ブルックス(ソフィア)コールマン・ドミンゴ(ミスター夫)ハリー・ホーキンス(ハーポ義理の息子)H.E.R.(スクイーク)アーンジャニュー・エリス(セリーとネティの母親)デビッド・アラン・グリア(エイブリー牧師・シュグの父)デオン・コール(アルフォンソ)ジョン・バティステ(グレイディ)ルイス・ゴセット・Jr.(ミスターの父親)タメラ・マン(ファーストレディ)エリザベス・マーベル(ミス・ミリー)2023年・141分・G・アメリカ原題「The Color Purple」配給 ワーナー・ブラザース2024・02・12・no019・109ハットno39
2024.02.13
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久保茂昭「ゴールデンカムイ」109ハット 野田サトル君の原作「ゴールデンカムイ」(全31巻)のファンです。全巻、週刊マンガ便でご案内しようという野望は挫折していますが、まあ、そのうちなんとかと思っています。 で、その作品が、なんと実写映画になったというのですから、まあ、これは行くしかないな。というわけで、やって来たのは109シネマズ・ハットです。 もちろん見たのは久保茂昭監督の「ゴールデンカムイ」です。 最初に目に飛び込んできたのは、草も木もはえていない(ほんとは草は?)丘のような、山のような、そこを蟻のような、人間!が・・・「なんだ???」 二〇三高地でした。1904年から1905年、明治37年2月から38年9月に戦われた日露戦争の、あの激戦地です。要するに、主人公不死身の杉元の登場シーンなのですが、ボクは、この、戦場のシーンにいたく胸打たれたのでした。 原作漫画の舞台設定も日露戦争の戦後社会なのですが、実写にするときに、おそらく、主人公の不死身さと北海道あたりをやさぐれているリアリティーを支えるのは、あの日露戦争の二百三高地を生き延びた猛者であり、だからこそ、徹底したニヒリストであることだという発想が必要だったんでしょうね。いきなり、一本取られたというか、やるやん! という納得で映画が始まりました。 で、ノンビリ見ていて次にモヤモヤ感が浮かんできました。「なんか、ヘンやな??? こいつ、どこかで見たぞ!」 主人公に見覚えがあるのです。そうです、不死身の杉元を演じているのは山崎賢人君、あの、実写版キングダムの主人公李信なのです(笑)。「なんでやねん!?」 山崎君、2000年の間、戦い続けやんか(笑)。これでアシリパちゃんが橋本環奈ちゃんだったりしたらずっこけるしかないのですが、山田杏奈ちゃんということで、はいはい、なかなか、マンガのキャラにピッタリの女優さん、よく探しましたねという展開でした(笑)。 まあ、どうでもいいことですが、ほかのキャストで面白かったのは土方歳三の舘ひろし君ですね。かっこいい役なのですが、まったく舘ひろしに見えない舘ひろしに笑いました。 で、一番最後の締めのセリフがこうです。「オソマ、ヒンナ!ヒンナ!」 拍手!ですね(笑)。 原作マンガを読んでいる人には笑う所だとすぐわかりますが、アイヌの少女アシリパちゃんの山田杏奈ちゃんが「オソマ汁」を食べながらヒンナ!ヒンナ!、「おいしい!おいしい!」です。 で、オソマ汁って何かって?それはまあ、原作を読むなり映画を見るなりしていただくほかないですね(笑)。ハハハハハハ。 三部作なのだそうで、第二部、第三部、見るしかないですね。ということで、もう一度、拍手!です。監督 久保茂昭原作 野田サトル脚本 黒岩勉撮影 相馬大輔編集 和田剛音楽 やまだ豊主題歌 ACIDMANナレーション 津田健次郎キャスト山崎賢人(杉元佐一)山田杏奈(アシリパ)矢本悠馬(白石由竹)井浦新(アチャ)玉木宏(鶴見篤四郎)舘ひろし(土方歳三)木場勝己(永倉新八)眞栄田郷敦(尾形百之助)工藤阿須加(月島基)柳俊太郎(二階堂浩平/二階堂洋平)泉澤祐希(寅次)大谷亮平(谷垣源次郎)勝矢(牛山辰馬)高畑充希(梅子)2024年・128分・PG12・日本配給「東宝」2024・01・24・no009 ・109ハットno37
2024.01.27
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リドリー・スコット「ナポレオン」109ハット 御年86歳のリドリー・スコット監督の新作「ナポレオン」を見ました。 先日、御年76歳の北野武監督の新作「首」を見て、ボク的には「中世的世界最後の大タワケ」だと思っている信長をどうなさるのかと興味津々だったのですが、まあ、なんだかなあ??? という具合で、首を傾げたわけなのですが、こちらは、もう10歳、年上の方なわけで、ご老体、さて、「馬上の世界精神」(ヘーゲル)をどうなさるのだろうと興味津々でやってきました。で、納得! でした(笑)。ボクは、このタイプの歴史映画、やっぱり好きですね(笑)。 映画としての興味の一つは、まあ、ナポレオンといえば、の「アウステルリッツ」、「ワーテルロー」の二大会戦のスペクタクル・シーンを大スクリーンで! と期待していたのですが、大劇場での上映時間を勘違いして109ハットの中では、小劇場上映の鑑賞になってしまったので、チケット購入時点では、ちょっとがっかり! だったのですが、実際は、たった一人の客のための特別上映会(ウソですよ。)で、小なりと言えど、劇場のど真ん中で社長試写会状態での鑑賞で大満足でした(笑)。 二つ目の興味は年上の妻ジョセフィーヌをどうするのだろう?だったのですが、おばさんが出ていらっしゃると思いきや、結構、お若い女優(バネッサ・カービー)さんで、あれ?そうなの? だったのですが、この映画のナポレオンには、まあ、あれはあれでよかったんだろうね(笑) という感想でした。 で、三つめはナポレオンご当人です。映画は「ジョーカー」のホアキン・フェニックスの一人芝居でした。これが、すごかったですね(笑) コルシカ出身の、だから、まあ、田舎者で、大砲を撃つことしか知らない砲兵大尉ナポレオン・ボナパルトがマリー・アントワネットの首が、断頭台ギロチンから転がり落ちるシーンを狂喜する民衆の中を歩いているシーンから始まります。ああ、また、首ですか?! まあ、そんな気分で見ていたのですが、刑場を通りかかったナポレオンは何の反応も見せません。マリー・アントワネットが斬首されたのは1793年です。ナポレオンがその広場に、実際にいたかどうかは、ちょっと怪しい気がしましたが、王妃の首がギロチンから転がり落ちた、まさに、その時、大騒ぎする民衆の中に、一介の砲兵大尉ナポレオンを無感動な「時代精神」として登場させた演出はなかなかな見ごたえでしたね。 で、彼は、ここから、無感動に「大砲」をブッ放し続けます。ピラミッドを破壊し、敵前逃亡を疑われたパリでは民衆相手にブッ放し、アウステルリッツでは氷上の三帝会戦を制し、冬のモスクワを焼き払いますが、要するに「旧世界」に向けてブッ放し続けるわけです。 で、エルバ島への最初の幽閉があって、復活するも、ワーテルローで、ナポレオンのおかげ(?)でナショナリズムに目覚めたウィーン会議の連合軍に敗れ、戦いに付き従ったフランス国民兵の10万を越える命とともにすべてを失い、大西洋の果ての島、セント・ヘレナ島で崩れ落ちる影として最後を迎えます。映画はホアキン・フェニクスの後ろ姿が画面から消えて終わりました。 大砲をブッ放しつづけることで、王妃の首に大騒ぎする民衆に「フランス」をあたえ、「オレたちの国フランス」=国民国家=ナショナリズムを作り出した「英雄」(ベートーヴェン)ナポレオンが、故郷と母親を恋しがる、ただのマザコンであり、ただの砲兵大尉でしかなかったという「空虚」を、何を考えているのかわからない存在として演じたホアキン・フェニックスの、あの眼に拍手!でした。 長いといえば長い映画ですが、ボクには面白かったですね。老いたりといえども、リドリー・スコット、さすがですね。拍手! ああ、それから、ボク一人のために映写してくれた技師さんに拍手!アリガトウ、ご苦労様でした! でしたね(笑)。 ハハハ、ボクは、まあ子どものころから好きですが、それにしても、ナポレオンなんて、今時はやらないんでしょうかね(笑)。監督 リドリー・スコット製作 ケビン・J・ウォルシュ マーク・ハフマン ホアキン・フェニックス リドリー・スコット脚本 デビッド・スカルパ撮影 ダリウス・ウォルスキー美術 アーサー・マックス衣装 ジャンティ・イェーツ デビッド・クロスマンキャストホアキン・フェニックス(ナポレオン)バネッサ・カービー(ジョゼフィーヌ)タハール・ラヒム(ポール・バラス)マーク・ボナールパート・エベレットユーセフ・カーコア2023年・158分・PG12アメリカ原題「Napoleon」2023・12・06・149 ・109ハットno36 !
2023.12.13
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相米慎二「台風クラブ」 烏丸・御池アップリンク 若くして亡くなった相米慎二監督の懐かしい作品が、11月の末から12月にかけて2本、「台風クラブ」がシネリーブル神戸で、「ションベンライダー」がパルシネマでかかっていて、ちょうど同じ時期に鈴木清順の「ツィゴイネルワイゼン」「陽炎座」「夢二」の3本が元町映画館で特集されていて、どれから見るのかはともかく、80年代へんてこ邦画特集の趣で、まあ、何はともあれ、とりあえず、みんな見るか! とか思っていたら、シネリーブル神戸の「台風クラブ」が終わっていて出鼻をくじかれました💦 あれ、あれ、と思って調べると、京都ではまだやっているらしいことを発見して、なんだか費用ばかりかかる映画鑑賞を思いつく自分に、我ながら呆れながら、烏丸御池アップリンクという映画館にやって来ました。 声をかけると、ちょうどお休みだとおっしゃる愉快な仲間ピーチ姫と同伴鑑賞でした。相米慎二「台風クラブ」です。「どう?なつかしかった?」「いや、なつかしない。バービーボーイズとか、ダサいなあ。あれで、踊ったんやね。当時の人は(笑)。それで、なんか、とっちらかった映画やったな(笑)」「やっぱり、そう思う?」「そう思うやろ。で、お帰り、ただ今、のあの子って、何?」「ウーン、アブナイなあ、いう感じかな?シャイニングみたいやったやん。」「シャイニングは覗くだけやろ。だいたい、この町どこ?何で、信越本線土砂崩れやのに、東京から昼には帰ってこれんの?で、窓からとんだ男の子、あれ、死んだん?」「いや、動いてたやん、突き刺さったまま。」「もう、八墓村やん?」「イヤ、あっちは死んでる。こっちは、ぴくぴくしてた(笑)。そこがこの映画のええとこかもな。なんか、起こりそうで、起こらへんねん。そやから、撮りたいシーン撮ったになったんちゃうの(笑)」「そういえば、友情出演とかに名前あったけど、佐藤浩市おった?」「わからん。佐藤允はおったけど。」「わからんといえば、最後、グラウンドが池になってはいたけど、水浸しの校舎を見て金閣寺みたいって、何、あれ?」 まあ、中学生のガキたちの「台風!」 なんですけど、そういうと、身もふたもない気もするのですが、ボクの目には、出来事はみんな未遂! なのですよね。だから、とっちらかっちゃってるんですね。 で、まあ、そこが、今時とちがうんでしょうね。いろいろ起こって、なんか、すごそうで、実は、すごくない。で、それを、スゴイ!と言ってた時代があったことが、今となってはスゴイ! まあ、何といっていいかのかわからないので、ことば遊びしてますが、相米慎二という監督の中にわだかまっているものは、素直に共感はできないけれど、わかる気はするというわけです。 というわけで、やっぱり「ションベンライダー」も見ておこうかな、でした(笑)。監督 相米慎二脚本 加藤祐司撮影 伊藤昭裕美術 池谷仙克音楽 三枝成彰編集 冨田功キャスト三上祐一(三上恭一・優等生)紅林茂(清水健「おかえり・ただいま」)松永敏行(山田明・プールで溺れる)工藤夕貴(高見理恵・三上君の近所)大西結花(大町美智子・優等生)会沢朋子(宮田泰子・演劇部)天童龍子(毛利由美・演劇部)渕崎ゆり子(森崎みどり・演劇部)佐藤允(英夫・順子のおじ)寺田農(清水留造・清水健の家の人)伊達三郎(岡部・用務員)小林かおり(八木沢順子・梅宮の彼女)きたむらあきこ(保健室)石井トミコ(八木沢勝江・順子の母)鶴見辰吾(三上敬士・兄)尾美としのり(小林・大学生)三浦友和(梅宮安・数学の教員)1985年・115分・日本1985年8月31日(日本初公開)2023・12・01・no146・烏丸御池アップリンクno1!
2023.12.06
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北野武「首」109シネマズハット 一月ぶりのSCC、シマクマ・シネマ・クラブの例会は世界の北野武が、まあ、ボクにはビート・タケシですが、監督、脚本、原作で、満を持して作った(?)らしい、作品「首」でした。 本能寺の変を描いた時代劇でしたが、まあ、北野映画ですから、殺伐としたグロテクス・リアリズムだと予想して見ましたが、さほどグロテスクというわけでもありませんでした。 SCCでご一緒するM氏の提案された作品の一つだったのですが、北野映画は見たことがないとおっしゃっていたので、そのあたりのことを少し心配しながら見終えました。「いかがでしたか?」「いや、結構、面白かったですよ。」「残酷シーン、非人間シーンがありましたが、そのあたりは?」「いや、様式化しての繰り返しですから、気にならなかったですよ。」 というわけで、心配は杞憂に終わったのですが、ボク自身は、M氏がおっしゃる様式化というか、残酷シーンのパターン化と、登場人物たちのキャラクター設定、信長にだけ方言(尾張弁?)をデフォルメして喋らせながら、ほかの登場人物たちに、音声的なアクセントとしても、少し不自然な標準語(?)を喋らせるセリフ構成、浅薄とでもいうしかない男色描写、どれ一つとっても、今までに見た北野映画を越える要素どころか、ある種の衰弱を感じるばかりで、ダレてしまいました(笑)。 グロテスク・コメディーというジャンルがあるのかないのか知りませんが、暴力的なグロテスクが、同じパターンで繰り返される中で、見ているボクに弛緩現象をおこしたからでしょうか、本来、あっけにとられるべきドタバタ喜劇的シーンも緩んでしまい、笑えない笑いが宙に浮いて、出来の悪いというか、描線の粗雑な劇画マンガを読まされていう感じでしたね。 信長、秀吉、光秀、家康という、本能寺の変を構成する4人の登場人物の性格描写のデフォルメ化に、現代社会の人間類型を重ねた社会批評性を読み取るような見方もあるのかもしれませんが、そういう、社会観、大衆性とは切れたところに北野映画の徹底した暴力性の魅力を感じていたシマクマ君には、チョット、トホホな作品でしたね。 というわけで、SCC第13回は主宰者がずっこけて終わりでした(笑)。いや、ホント、二人して拍手!の映画って、ホントないものですね(笑)。監督・脚本・原作 北野武撮影監督 浜田毅編集 北野武 太田義則音楽 岩代太郎キャストビートたけし(羽柴秀吉)西島秀俊(明智光秀)加瀬亮(織田信長)中村獅童(難波茂助)木村祐一(曽呂利新左衛門)遠藤憲一(荒木村重)勝村政信(斎藤利三)寺島進(般若の佐兵衛)桐谷健太(服部半蔵)浅野忠信(黒田官兵衛)大森南朋(羽柴秀長)六平直政(安国寺恵瓊)大竹まこと(間宮無聊)津田寛治(為三)小林薫(徳川家康)岸部一徳(千利休)2023年・131分・R15+・日本配給 東宝・KADOKAWA2023・11・27・no145・109シネマズハットno35・SCCno⒔!
2023.11.29
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マーティン・スコセッシ「キラーズ・オブ・ザ・フラワー・ムーン」109シネマズハット マーティン・スコセッシという監督は、1942年生まれで、今年、80歳だそうです。まだ30代だった1970年代に「ミーン・ストリート」(1973年)、「アリスの恋」(1974年)、「タクシー・ドライバー」(1976年)という3作で、但馬の田舎から神戸に出てきて、大学には入ったものの、することがなくてボーっとしていた20歳になったばかりの青年を映画狂いの落第生に変貌させた監督、まあ、複数いますがその一人です。 あれから、50年ほどたちました。スコセッシは80歳、映画狂いで身を持ち崩しそうだった青年は69歳、監督が映画の世界に連れてきて、今や、世界的大スターになった名優ロバート・デ・二―ロは79歳です。で、69歳の老人はあのころ目を瞠った二人が映画を撮ったというわけですから、見に行かないわけにはいきません。三連休の初日ですが、109ハットの朝一番のプログラム(まあ、10時45分でしたが)(笑)をものともせず出かけましたよ。マーティン・スコセッシ監督の3時間を超える大作(?)「キラーズ・オブ・ザ・フラワー・ムーン」です。 2人は5年前だったかに「アイリッシュマン」という、アル・パチーノとデ・ニーロの老優共演で、なかなか渋い作品が公開されましたが、今回はアル・パチーノではなくて、レオナルド・ディカプリオが主役で、大根デカプリオと芸達者ロバート・デ・ニーロの演技合戦でした。 ことに、デカプリオ君は、汚名返上の百面相演技ともいうべき、気合の入り方で、こういう演技のお好きな方には見逃せないシーン満載ですし、齢79歳とは、とても思えないデ・ニーロは、期待通り、正体不明のお芝居が炸裂しているデニーロでした。というわけで、206分という長尺映画、なんのその! といいたいところですが、ちょっと空振りでしたね(笑)。見ながら、普段は決して見ない腕時計の灯りをこっそりつけて、3度も見ました。 1920年代のアメリカ西部です。ゴールド・ラッシュとか、インディアンとの戦いとかいう話の時代から、100年ほどたっています。第1次世界大戦が終わった直後、新しく降って湧いたように起こったオイル・ダラー騒ぎのオクラホマが舞台でした。 大雑把に言えば、偶然、棲んでいた土地から石油が湧き出して、大金持ちになったネイティヴ・アメリカンたちをいかに毟るか! と陰謀をめぐらす白人男と、渦中にあって、陰謀にも加担しながら、どこまでも「善き人」でしかありえない、もう一人の白人男の戦い(?)でしたが、長い映画の終盤に至って、映画が語ってきた、一連の迷宮入り殺人事件の解明が、あの、悪名高いフーヴァーのFBIの誕生秘話のテレビ番組として語られるという、まあ、1920年という時代、歴史を背景にした入れ子型の物語だったことが明かされるわけですが、そういう映画の構成も登場人物たちの演技も、面白いといえば面白いのですが、古いといば古いわけで、ボクの頭にわいてきた感想はただ一言「ああ、スコセッシも年をとったなあ・・・・。」 でした(笑)。 映画がFBIの手柄噺の宣伝のための映像だったということは、さすがにわかりませんでしたが、デ・ニーロとデカプリオの出会いのシーンから始まる物語の結末に至るまで、プロット、プロットで、次に何が起こるのか、なんとなく予想できてしまうという不思議な展開でした。だから、ギョッとしてすくむというか、アッと驚きの声を上げるというかがないのですよね。善人を演じているデ・ニーロなんて、はなから信用しない目で見ているからかもしれません。ひょっとすると、デ・ニーロがそういう演技をしていたんじゃないかとも思ったりもしながらなわけですからそうなったのかもしれませんが。 「タクシー・ドライバー」でギョッとしたあの時から、50年ですね。ますます年の功を感じさせるデ・ニーロを見ながら、なんとなくあきたらなく思うのはないものネダリなのでしょうかね(笑)。 でも、まあ、デカプリオ君とデ・ニーロさんには拍手!ですね。マーティン・スコセッシ監督も、これでオシマイとかいわず撮り続けてほしい気持ちを込めて拍手!でした(笑)。監督 マーティン・スコセッシ原作 デビッド・グラン脚本 エリック・ロス マーティン・スコセッシ撮影 ロドリゴ・プリエト美術 ジャック・フィスク衣装 ジャクリーン・ウェスト編集 セルマ・スクーンメイカー音楽 ロビー・ロバートソンキャストレオナルド・ディカプリオ(アーネスト・バークハート)リリー・グラッドストーン(モーリー・カイル)ジェシー・プレモンス(トム・ホワイト)ロバート・デ・ニーロ(ウィリアム・“キング”・ヘイル)タントゥー・カーディナル(リジー)カーラ・ジェイド・マイヤーズ(アンナ)ジャネー・コリンズ(レタ)ジリアン・ディオン(ミニー)2023年・206分・PG12・アメリカ原題「Killers of the Flower Moon」2023・11・03-no134・109シネマズハット34!
2023.11.04
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クリストファー・マッカリー「ミッション・インポッシブル デッドレコニング PART ONE」 109シネマズ・ハットno31ハハハハ、ミチャイマシタヨ! クリストファー・マッカリー監督の「ミッション:インポッシブル デッドレコニング PART ONE」です。なんだか、長い題名ですが、要するに60歳を超えたトム・クルーズ君の「ミッション・インポッシブル」最新作です。テレビでは、何本か見ていると思いますが、劇場で見るのは初めてです。今年のはじめだったか、昨年だったか「トップ・ガン:マーベリック」を見て以来、男前には敵意しか感じなかったはずのシマクマ君は男前のトム・クルーズ君のファンです。「なあ、ミッション・インポッシブル見に行けへん?」「わたし、トム・クルーズとかファンちゃうし。」「ハリソン・フォードはええけど、トム・クルーズはあかんの?」「ハリソン・フォードは80歳やし、長い付き合いやん。最後まで見たげなあかんやん。」「トム・クルーズも60歳越えたらしいで。」「そんなン、わたしより若いやん。そんなことより、トム・クルーズって森山未來に似てへん?」「はあー????」「ピーチ姫に言うたら、ハアー?って言うとったけど(笑)」「ホンナラ、まあ、それ確かめに行くいうことで、一緒に行こ。」 というわけで、同伴鑑賞です。トム・クルーズは誰に似ているのか? これが今回の鑑賞のテーマです(笑)。まあ、そんなことを確かめるために、この映画を見にやってきたアベックは、世界中で、きっと一組だけでしょうね(笑)。 で、結論はこうでした。「やっぱり、森山未來くんとは違うわ。あれはスグルちゃんやん。」「誰やねん、スグルちゃんて?」「何いうてんの、岩崎優ちゃんやん。毎晩、見てるやないの。」「ヒエーッ?、阪神キャッツの抑えの切り札のか?トム・クルーズって二重ちゃうの?」「でも、まあ、わたし、パート・ツーは、もう、ええわ。なんか、めんどくさい。」「そうなん、でも、オートバイで空飛んだり、頑張ってたやん。ところで、この映画ってスパイ大作戦なん?」「そうやで、子どものころよう見たやん、テープレコーダが煙を上げて、若山弦蔵いう人ちゃった?声が消えるんやんか。知らんかったん?」「うん。初めて見たんやもん。まあ、ボクは、パート・ツーも見るで。そん時、また誘うわ(笑)。」 というわけで、結論は「岩崎優投手」でした(笑)。もちろん、シマクマ君はパート・ツーも見ますが、チッチキ夫人の結論も、まあ、アリかなという気分でした(笑) 老骨に鞭打って空を飛んだり、列車の屋上走り回ったり、まあ、ご苦労様なこと限りなしだったトム・クルーズくんに拍手!でした。監督 クリストファー・マッカリー原作 ブルース・ゲラー脚本 クリストファー・マッカリー エリック・ジェンドレセン撮影 フレイザー・タガート美術 ゲイリー・フリーマン衣装 ジル・テイラー編集 エディ・ハミルトン音楽 ローン・バルフェテーマ曲 ラロ・シフリンキャストトム・クルーズ(イーサン・ハント)ヘイリー・アトウェル(グレース)ビング・レイム(スルーサー・スティッケル)サイモン・ペッグ(ベンジー・ダン)レベッカ・ファーガソン(イルサ・ファウスト)バネッサ・カービー(ホワイト・ウィドウ)イーサイ・モラレス(ガブリエル)ポム・クレメンティエフ(パリス)マリエラ・ガリガヘンリー・ツェーニー(ユージーン・キットリッジ)シェー・ウィガムグレッグ・ターザン・デイビスチャールズ・パーネルフレデリック・シュミットケイリー・エルウィズマーク・ゲイティスインディラ・バルマロブ・ディレイニー2023年・164分・G・アメリカ原題:Mission: Impossible - Dead Reckoning Part One2023・07・25・no94・109シネマズ・ハットno31
2023.07.30
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