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2025.08.12
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カテゴリ: 気になる本
予約していた『スタジオジブリの想像力』という本を待つこと7ヵ月ほどでゲットしたのです♪
スタジオジブリを語るとなれば、宮崎駿や高畑勲がつくり出すシナリオやコンセプトボード になるように思っていたが・・・
実存主義的マルクス主義、サルトル、カミュ、大江、林光(はやしひかる)とやたら思想関連のことば、名前が溢れていて興味深いのです。

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三浦雅士著、講談社 、2021年刊

<「BOOK」データベース>より
西洋ルネサンス絵画と日本アニメは視覚芸術における空前の事件である!なぜ宮崎駿の作中人物は空を飛び、火と接吻するのか?スタジオジブリを人類史のなかに位置づける、壮大にして野心的な試み。『熱風』の連載、待望の書籍化!

<読む前の大使寸評>
スタジオジブリを語るとなれば、宮崎駿や高畑勲がつくり出すシナリオやコンセプトボード になるように思っていたが・・・
実存主義的マルクス主義、サルトル、カミュ、大江、林光(はやしひかる)とやたら思想関連のことば、名前が溢れていて興味深いのです。

<図書館予約:(12/03予約、7/20受取)>

rakuten スタジオジブリの想像力



 後先になったが「第一章 絵より先にアニメがあった」で「エイリアン」や「ブレードランナー」が語られているので、見てみましょう。
p7~13
<アニメ・ルネサンス>
 スタジオジブリの作品が人々の心に残るのはなぜか。
 もちろん第一にそれがアニメーションだからということがあります。そのアニメーションの魅力を全面的に開花させたのが、高畑勲さん、宮崎駿さんといった人々によって担われたスタジオジブリの作品群であったと、私は考えています。高畑や宮崎といった作り手の仕事の素晴らしさについて私はこれからお話ししたいと思っているわけですが、そのためにはまずアニメーションそのものの魅力について語る必要があります。

 アニメーションとは何か。その魅力はどこにあるのか。 
 そんなことは分かり切ったことだと、アニメーション批評の専門家たちに叱られるかもしれません。私はアニメーション批評の専門家ではありませんし、熱心なファンというわけでさえありません。高畑の作品も、宮崎の作品も、同時代的には見ていません。テレビでも映画でも見ていない。1970年代、私は詩や思想の雑誌の編集に熱中していて、いまから考えるととても残念なことなのですが、美術、音楽、映画やそれらの歴史には強い関心があったにもかかわらず、アニメーションまでは視野に入っていなかったのです。

 ですから、いわば、アニメーションについて語るだけの資格を持っていないのですが、それでも私なりにお話しすることがあると考えているのは、いまのアニメーションの世界で起こっていることは、アニメーションの世界でとどまらない重要性を持っていると思われるからです。
 それは1970年代当時、いやそれ以前においてさえ明らかなことだったのですが、60年代、70年代、つまり10代、20代だった頃の私には、そういうものとして理解するだけの能力がありませんでした。「ミッキーマウス」や「鉄腕アトム」の背景を熟慮するだけの余裕がなかったのです。

 「ミッキーマウス」や「鉄腕アトム」の例を引くまでもなく、20世紀はアニメーションの世紀といっていいほど素晴らしい作品をたくさん生み出しました。いまや21世紀も5分の1が過ぎてしまったわけですが、20世紀に生み出された作品が、その生命力を立証するようにさらに新しい作品を生み出すというかたちで、21世紀のアニメーションもまたたいへんな勢いで発展しています。いわば、アニメーションはその進化(という言葉を気楽に使ってはいけないのですが)のさなかにあって、誰もがそれを目撃しているようなものなのです。
(中略)
 20世紀末に爆発的なかたちでおきたパーソナル・コンピュータの普及、インターネットの一般化、いわゆるソーシャル・メディアの浸透は、人類の文化、とりわけ文学や芸術などの表現活動の基盤を根底から変えました。

<「エイリアン」「ブレードランナー」はアニメ>
 現在ただいま進行中の情報技術革命によって、人類の自己認識の著しい深化が惹き起こされているのだ、と私は考えているのだ、と私は考えているわけです。ネットの普及にせよ、それを基盤に発生したソーシャル・メディアの驚異的な発展にせよ、ほんとうはおそらく、現生人類に内在していた可能性が外在化し、可能性のすべてが目に見えるかたちに対象化されたために、みんなで開発できるようになったということにすぎません。

 このことについては先へ行ってもっと詳しくお話ししますが、とはいえいずれにせよ、少なくとも理論的には、全人類が、瞬時に、世界の全領域と全歴史という、いま流行していて、もはや後戻りできない時空の捉え方が、じつはアニメーションという表現領域の確率と拡張に深く関わっているとも思えます。
(中略)
 個人的な体験になりますが、リドリー・スコットの「エイリアン」(1979)、「ブレードランナー」(1982)を見た段階で、私は「これは映画ではない、昔の映画はもう終ってしまったのだ」と思いました。それまではトリュフォーからゴダールへいたるフランス映画やフェリーニ、アントニオーニ、パゾリーニといったイタリア映画が好きで、よく見ていたのですが、「エイリアン」や「ブレードランナー」はそれらとはまったく違っていました。というか、より近しい感じがしたのは、そこでは、人間って何だ? 僕は人間か? といった子供の頃にしばしば襲われた問いが真正面から問われていたからです。子供はSFが好きですが、それは、原理的な考えを無制限にいくらでも展開できるからです。

「エイリアン」や「ブレードランナー」を見て「これは映画ではない」と思ったのは、もちろん否定的な感情からではありません。そのあまりの制約のなさ、いわば自由奔放さに驚嘆したからです。キューブリック「2001年宇宙の旅」(1968)はSF映画ということになっていますが、そこにはこの種制約のなさ、自由奔放さはありません。タルコフスキーの「惑星ソラリス」(1972)もそうです。
 それらはいわゆる文芸映画であって、「エイリアン」や「ブレードランナー」とは、何か決定的に違っているのです。映画を大きく広げてしまったといえば近いかもしれません。萌芽はスピルバーグの一連の作品にあったのですが、リドリー・スコットが明確化したのだと思います。

 いまやきわめて明瞭に思えるんですが、それは映画ではなくアニメーションだったということです。面白さの本質がそこにあるのです。押井守の「アヴァロン」(2001)を見ると、そのことがよく分かります。
 実写フィルムもセル画も素材としては同じ。映画俳優の縁起が重要であるとはいっても、それは二の次なのです。ある観念、ある概念を具現する存在が視覚化されていることこそ第一。そしてその視覚化にあたっては、あらゆる映像技術が可能なかぎり駆使されなければならない。


『スタジオジブリの想像力』1 : 高畑勲の同業者たち





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Last updated  2025.08.12 00:19:34
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