まいかのあーだこーだ

まいかのあーだこーだ

2024.12.09
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雷鳴に女湯の声くぐもりて 壁越しのドライヤーの音君待つ冬 凍る朝湯の中にあり人の知恵 湯冷めしておばにおこられこたつみかん 体育の日ビリになってもせんとうだ 5巻がない除夜のコインランドリー 「蛍の光」掛け湯忙しき湯屋柚子湯 常連に借りるシャンプー雪の湯屋
12月5日のプレバト俳句。
お題は「銭湯」。




中田喜子。
「蛍の光」掛け湯忙 せわ しき湯屋柚子湯


季語は「柚子湯」で冬。
4箇所の「yu」が韻を踏んでます。

下五の「湯屋柚子湯」は、
助詞を省いた「湯屋の柚子湯」の意味かもしれませんが…

わたしには、
/ 掛け湯忙しき湯屋 / 柚子湯》
という三段切れに見えます。
しかし、それがかえって、
《初蝶来 / 何色と問ふ / 黄と答ふ》
のような3カットの動画っぽい面白さを生んでる。

つまり、
1.蛍の光が流れてて
2.湯屋の客たちは慌ただしく掛け湯をしてて
3.湯舟には柚子が浮いてる

…という3場面からなるってこと。

これは、

時系列に沿った一連の動画と見ることも出来ます。

なので、
わたしは三段切れが悪いとは思わないけど、
むしろ、難点があるとすれば、
同じ瞬間にせよ、時系列の動画にせよ、

という因果関係が含まれることですね。

さらに細かいツッコミどころをいえば、
3拍子の「別れのワルツ」を4拍子の「蛍の光」と混同してる、
…というトリビア的なネタもあります。


なお、作者の話によれば、
1.ゆっくり柚子湯に浸かっていたら
2.蛍の光が流れてきて
3.急いで風呂を上がった

…とのこと。

そう考えたら、
この句の時系列はちょっとバラバラしてるし、
せわしいのは「掛け湯」じゃなく「上がり湯」ですね。
まあ、作者の話は聞かなかったことにしますw



蓮見翔。
5巻がない 除夜のコインランドリー


これは面白い句でした。
後段のシチュエーションから察して、
上五の「5巻」がマンガであるのも伝わる。

この作風こそが彼らしさなのでしょうね。
技術的にはまだ不安があるものの、
句材に作者ならではの独創性を感じさせる。

強いて難点をいえば、
形容詞「ない」が終止形か連体形か不明瞭なこと。
かりに終止形だと明示するなら、
文語で「五巻無し」と書く方法もありますが、
そうすると、
上6字余りの口語体にした効果が失われます。

カギ括弧で括ったり、
句点や感嘆符で区切ることも出来ますが、
5巻がない…除夜のコインランドリー
のように書く手もあるかもしれません。



清水アナ。
常連に借りるシャンプー 雪の湯屋


一句一章で、
常連にシャンプー借りる雪の湯屋

という語順にも出来ますが、

場面が屋内と屋外に分かれてるので、
これは二句一章が正解なのでしょう。





西岡徳馬。
雷鳴に女湯の声くぐもりて
雷鳴や 女湯の声くぐもりて
(添削後)

夏の季語の「雷鳴」は季節はずれ。

接続助詞「て」で終わるのは、
動詞や形容詞などの省略を意味しますが、
梅沢がお茶を濁すときの手法みたいだし、
個人的にはあまり好きじゃない。

とはいえ、
添削のように上五を「や」で切れば、
下五からもういちど最初に戻って、
「くぐもって…雷鳴に溶ける」
のようなニュアンスが生まれるかもしれません。

冬の句に直して終止形で締めるなら、
冬の雷 らい 女湯の声くぐもれり

のようになるかと思います。



池田鉄洋。
壁越しのドライヤーの音 おと 君待つ冬
君を待つ冬 かべ越しのドライヤー
(添削後)

風呂屋で待たされた…という、
かぐや姫の「神田川」みたいな内容です。

状況を描写するなら、
「壁越し」などと謎めいた表現でなく、
明瞭に「女湯」と書くべきだろうと思う。

屋内で待ってるなら、
女湯のドライヤーの音待つ暖炉

屋外で待ってるなら、
女湯のドライヤーの音待つ寒夜

のように書けるし、
あえて「君」と書く必要はありません。

なお、
前にも書きましたが、
繊細で心地よい音は「ね」と読み、
大きな騒音などは「おと」と読むべきなので、
たんなる音数合わせで使い分けるのは避けるべき。
かりに音数を合わせるなら「ドライヤー音 おん 」と読ませる手もある。




エグザイルMATSU。
凍る朝 湯の中にあり人の知恵
湯に入 れば人の知恵湧く冬の朝
(添削後)

原句はちょっと意味不明。
中七と下五は倒置法になってますが、
リズムが三段切れになってしまうよね。

なお、
原句も、添削句も、
まるで一般論みたいに「人の知恵」と書いてますが、
あくまで作者の体験なのだから、
湯に入れば名案の湧く冬の朝

のように描写するのが俳句でしょ。



村重杏奈。
湯冷めしておばにおこられこたつみかん
銭湯や 湯冷めするなとおばあちゃん
(添削後)

原句は3つの季重なりで、
「湯冷め」「炬燵」「蜜柑」はすべて冬です。
作者によれば銭湯から帰宅した後の場面らしい。

祖母を「おば」と呼んでるそうですが、
せめて「お婆」にフリガナでもふらないと、
読み手には伝わりません。

作者の意図に沿うならば、
湯冷めして婆に叱られ家籠り

のように直せますが、
句材そのものが因果関係からなるので、
どうしても散文的にならざるをえません。



トータルテンボス藤田。
体育の日 ビリになってもせんとうだ
ビリもまた良し 体育の日の銭湯
(添削後)

季節外れの10月の句です。
下五は「銭湯」と「先頭」のダジャレ。

原句は上6の字余りですが、
もしや「タイクノヒ」の5音のつもりでは?
実際、そう発音する場合も多いので、
いっそフリガナをふるのも手かもしれません。

先生の添削は句またがりですが、
ビリも良し 体育の日の男風呂

のような定型に出来なくもありません。


▽過去の記事はこちら
https://plaza.rakuten.co.jp/maika888/diary/ctgylist/?ctgy=12



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最終更新日  2024.12.09 08:40:09


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