全241件 (241件中 1-50件目)
午後から音楽院のレッスンの日。今日のタクシーの運転手さんは、中高と野球部で今はマフィア、みたいな人だった。礼儀正しくマジメなんだけど、体格よくて目が冷静、みたいな。おかげで、渋滞ポイントに出没する物売りも、(渋滞している車内の人に、花束や時計、おみやげ、ドリンクなどを売り歩く)コワモテ運転手さんの私たちの車には誰一人寄ってこなかった。レッスンが終わってから、来年度も先生の授業を受けるよう勧められる。普通に習うのとは違って、進度も選曲も先生主導でグイグイ進むので、すべては担当教授との相性次第なのだ。今の担当教授に受けられないのでなければ、他の楽器に浮気しちゃおっかなーとも思っていた。私としてはこの上ない申し出だったので、ありがたくお受けする。今年はマサヨちゃんという後ろ盾がいたおかげで、音楽用語のロシア語も分からないことは訳してもらえたけど、来年は自力で理解しないとならない。曲想に関するさまざまな形容詞はもちろん、音楽専門用語になると????な言葉が多い。ロシア語の子ども向け楽典テキストで勉強したほうがいいかも。夜は「白い巨塔」を見た。「これでもか」を連続する、人間関係のいやらしさ、あざとさ。日本での高視聴率が分かる気がする。今週は、財前助教授が黒木瞳とまったりしているところにかかってきた電話で終わった。「だから、どっちだったんじゃー」、このドラマ、いつもいいトコで終わるよね。すでに日本で見終えた人にとっては「そんなとこ、まだまだ序盤戦よ」という感じだろうか。衛星放送だと、従来日本で放送されているCMがカットされるので、45分間息つく間もなく「白い巨塔」の世界にどっぷりハマります。だから、本腰入れて見たい番組の時は、事前にトイレに行くのは鉄則(笑)。ちなみに、ヨーロッパ向けJSTVはUK時間に合わせてプログラミングされているので、モスクワではプラス3時間の時差で観ることになる。つまり、ゴールデンタイムが3時間後ろにずれているのだ。夜8時台におジャ魔女ドレミとかアンパンマンをオンエアしてるのは、そのため。大人向け番組は、夜更かししないと観れないの。でも、唐沢寿明って、どうしても「トイストーリー」のウッディとかぶっちゃうんだけど。そう思うのは私だけ?あの白衣が、いつかカウボーイ姿になりそうで、落ち着かない(笑)
2004年04月06日
コメント(9)
「少林サッカー」を観たら無性に食べたくなって、皮から作りましたよ、水餃子を。日本食材屋に行けば、国内なら98円で買えそうな庶民的なギョーザの皮が4~5倍の値段で売ってる。でも、今食べたいのはああいう薄っぺらい市販の皮じゃなくて、モチモチ、しこしこっとした水餃子らしい皮。お菓子同様、やはり「作る」しかない…。今夜なら挽肉がある、と実行に移した。多少時間はかかるけど、けっこうカンタンにできるのね。しかも、挽肉さえあれば、他はすべて家にある材料で間に合う。こねこね、ねちょねちょ(具を混ぜる音)。こねこね、ぐいぐい(麺棒で皮を薄くのばす音)。具を詰めて、皮の淵に水つけたりはしないで閉じていく。市販の皮のように打ち粉もないから、手が粉だらけになることもない。ぐつぐつ煮立った鍋の中に放り込み、待つこと数分。粉っぽさが抜け、表面がうっすら透き通った水餃子の出来上がり。たまに茹でてるうちに中身が出ちゃうのはご愛嬌さ。茹でたての水餃子に、私の愛すべき調味料「かけぽん」をたらーり。うーん、もちもちの皮だー。おいしいー。プチプチを巻き、重たい思いをしてまで、日本から「かけぽん」持ってきてヨカッター。久々の手作り風(っつーか、手作りなんだが)水餃子に、皆の箸もすすむ。飽きないのはいいが、思った以上におなかにたまる(笑)。おいしい黒豚挽肉(荒挽きなら尚可)が買える日本なら豚肉がベターかもしれないが、今日使った豚挽肉は挽き方も細かく、コクが少ない。確かにおいしかったんだけど、厳しく自己採点すると努力した割に物足りないというか…(笑)後日その話を友人マサヨちゃんにすると、ロシアだと鶏挽肉で作るとおいしいよ、とのこと。そういえばそうかも。鶏皮も軟骨も一緒に挽いてるから、鶏挽肉で肉団子スープを作ると、ものすごくいいダシがでるんだった。日本食店のメニューにある餃子は、「本当にこれで金取るの?」というお粗末な味。具がダメなのね。ホントに挽肉使った?みたいな感じで。それならば、とエビ餃子を頼んだりしたこともあったんだけど、こちらはエビ風味の練り物のような具で、ますます落ち込んだ。唯一、中国料理店「上海」の焼き餃子はおいしけど、お値段も抜群によろしい。モスクワに来て街中によくある日本食チェ-ン店で餃子を注文するなら、ジャプロ(日本食材店)で売ってる1パック1000円超の日本の冷凍餃子のほうが間違いなく美味しいだろう。ああ、こうやってまた「やむを得ず手作り」なレパートリーが増えていくのね……。日本の皆さん、ラーメン屋のカウンターでラーメン+餃子を注文ができるシアワセを再認識してくださいませ。
2004年04月05日
コメント(3)
天気がよかったので、夫の仕事の合間に公園へ行った。春休みで体力を持て余しているコドモの希望で、野球をするんだと。父親と二人だと、ピッチャーとバッターで守備がいない。忙しいから内野やって、と出動要請が。男の子の親は、ホント体力勝負。走らされるワケじゃないし、いいか、と野球に参加。モスクワ川にかかる橋の袂の、小さな空き地。日当たりも見晴らしもいい。対岸には、ルイジニキのスケートアリーナや外務省のスターリン建築が見える。きっと小腹がすくから、と、おやつ持参。ロシア人っぽい。トイレに行きたくなると困るから、飲み物は持たないの。公園などの屋外トイレ、これに入るぐらいならもらしたほうがマシかも。ペーパーがないとか、そういう次元じゃないですから、ホント。そのうち、左のページに赤裸々にアップしますね。小一時間ぐらい、役割を交代しながら遊んでた。そろそろ帰ろうか、と思った矢先、コドモの打ったゴロが、堤防を越えて、軟球がモスクワ川に落ちてしまった。プカプカ浮かぶ軟球。実は、このボール、モスクワでは硬球しか売ってなくて、留学生の男の子が一時帰国した時に頼んで買ってきてもらった貴重な軟球だったのだ。コドモは涙目になっている。「……虫取り網、どっかで買ってくる?」「お父さんが飛び込んでみるとか」コドモの表情があまりに気の毒で、とっさに言ってみた。夫は言葉を失っていた(アタリマエ)。プカプカとモスクワ川に浮かぶ、大切な軟球。拾った人はありがたく使ってくださいまし。見た目の割りにいいお値段、モノは日本製でございます。あんまりにショックが大きかったのか、以来言葉少ないコドモ。でも神様は助け舟を出してくださった。ここ数日探し回っていた「少林サッカー」のビデオを、通りすがりのビデオ屋で発見したのだ。正規のビデオ屋だったけど、あの値段は間違いなく海賊版だな(笑)昔あった「Mr.BOO」シリーズを彷彿させる、陳腐なアクションや事件の連続。評判どおり、おもしろいー。でも、ホンモノの少林寺拳法はこんなんじゃないよーん。一応「拳士」のアタシでした。
2004年04月04日
コメント(2)
モスクワに住んで1年たったが、実はまだチャイコフスキーホールに足を運んだことがない。昨秋ピアノコンチェルトのチケットを買ったものの、コドモが発熱して友人に譲ってしまった。(これは、結局一時帰国するほどの一大事になったんだけど)以来、何となくここだけは来ていなかった。でも、この間何気なく街中の横断幕で見つけた「ゲルギエフ指揮のコンサート」の文字。えーっ、知らなかったよー。家に帰って、すぐさまあれこれ調べて見つけたさ。モスクワでは、市内の劇場やコンサートホールの演目がすべて網羅されている「催し物予定表」が売られている。20ルーブル(80円)。チケットを扱う店で売られていることがほとんどで、売り切れたらおしまい。印刷ミスもしばしばだが、モスクワの余暇を楽しむための必需品。私は月下旬になると、急いで箱店に買いに出掛ける。今が旬のゲルギエフの、モスクワでのコンサート。ちなみに私の両親は昨秋日本でゲルギエフ率いるオペラを経験済み。11月、ちょうどコドモの入院で一時帰国していた時期だった。消灯時間まで病院でコドモに付き添い、帰りがてらひとり夕食を食べた私が乗ったバスには、プログラム片手に興奮気味に語る、NHKホールからの帰路客でいっぱいだったっけ。モスクワに来てから、日本で発売されたゲルギエフのCD(プロコフィエフのこれまた好きな「スキタイ組曲」)をわざわざ送ってもらったほどとなれば、今すぐチャイコフスキーホールにチケットを買いに行くしかないでしょ、と。チケットは街中の小さなチケット専門の箱店で購入できるが、手数料を取られることが多い。(当日券だと正価で買えたりする。確実に売りたいのね)会場の窓口なら正規購入になるので、当然取り扱いチケット数も多いし、正価。電話で取り置きしてくれる劇場もあるが、以前目の前でダブルブッキングを目撃して以来、あまり信用していない。なので、面倒だが会場まで足を運んで事前購入するのが、一番確実に手に入る方法なのだ。パルテール(1階席)で1300ルーブル。モスクワに来てジバラ購入したチケットでポール・マッカートニーのコンサートに次ぐ高値。でもいい。モスクワでゲルギエフだもん。払いましょう。ついでに、気になってたラフマニノフのコンサートの演目を確認。ピアノコンチェルトの2番っすか? 超好きなんですが。そっちも2枚ください、と購入。ラフマニノフのピアノ協奏曲第二番は、以前書いたハマりマンガ「のだめカンタービレ」でも出てくる曲目。カラダとココロの主治医・コンドウ先生の鍼灸院でもよく流れていた(笑)昔々、期待をせずに足を運んだ演奏会で聴いて、涙が出るほど感動した曲。「泣かせどころが多くてイヤらしい」と言うクロウトもいるが、しょせん私はシロート。貴重なお金と時間を費やすのなら、泣かされる曲を聴きたいさ。モスクワに来て十数年ぶりにピアノを弾き始めてからは、2台のピアノ用に書き下ろした楽譜を購入して、弾けるとこだけ拾って練習。誰もいないときにCDと合わせて弾くのが、密かな楽しみなのだ。ゲルギエフにラフマニノフ。夏時間になり、急激に日が長くなって調子狂いっぱなし(午後8時で明るいの)の今日この頃、とってもいい励み&ご褒美になりそうでふ♪マンガ「のだめ…」もダマされたと思って、ぜひ読んでね。
2004年04月03日
コメント(2)
プーシキン美術館に行った。過去に一度、自力で行ったことがあるが、ロシア語がプアーだった私は間違えて「プーシキン博物館」のほうに行っちゃったんだな。どうりで絵画が少なかったわけだ(笑)今回はコドモと一緒。トベルスカヤ通り(モスクワの銀座みたいなとこか)で寄り道してからトロリーバスで行ってきた。昔のように、車窓を緊張しながら見ていなくても(降りる場所は「このへん」って、目で確認して乗ってたからね)停留所や広告など、バスのアナウンスが聞いてて分かるんだわ。あー、1年間で成長したものだ。クレムリンの周囲には、ロシアローカルのテレビ中継車が何台か。この週末、海外の要人が続々とプーチンに会いに来る。警官の数もいつもより増えている気がする。美術館に着き、カッサ(券売所)で料金を払う。モスクワ(ロシア全体?)だと、美術館などの入場料に観光客向けの「外国人料金」が設定されている。しかし、モスクワに住んでいる証明(身分証明書)を持っていれば、市民料金でオッケーなのだ。コドモと二人で35ルーブル(約140円)。外国人料金なら、その10倍はしたんじゃないだろうか。ロシアの学校は昨日(4月1日)から学校が始まっているので、「あら、何年生? 休みはいつまでなの? どこの学校に行ってるの?」と、コドモはカッサのおばちゃんから質問攻め。でも、おばちゃんパワーにひるむことなく、ちゃんと会話している。ロシア語のロの字も知らずにモスクワに来たコドモも、確実に成長した。プーシキン美術館は、海外の有名作品が多く収蔵されている。ミケランジェロの彫刻類に始まり、マティス、ピカソ、ルノワール、カンディンスキー、シャガール…。「出稼ぎ」で海外に出る収蔵品が多いのも、うなづける。ロシアの美術館や博物館でいつも感心するのが、作品そのもののだけでなく、作品を展示する室内とその調和の美しさだ。味も素っ気もない日本の美術館、さらには百貨店催事場に美術作品を置くなんて、貸主から見ればなんと配慮の欠けた行為だったことか。「セキュリティが安全で、湿度調節がきちんとできればいい」と思ってた自分が恥ずかしい。(昔、そーいう仕事もしてたんですね。実は)各展示室の隅に座っているおばちゃん。ただのバイトのおばちゃんではない。立派な学芸員である。しかもものすごく博学。聞くと、どんなことでもいやな顔せず教えてくれる。日本の美術館や博物館にも、これぐらい学芸員が常駐していたらいいのに。博物館学芸員として就職するのは、新卒の求人件数があるかないかの難関なんだけど、受入れ側が肩書きやキャリアにこだわらずに若手学芸員を育成していけば、いい意味で敷居が低くなって、美術館や博物館への認識や価値観が変わると思うんだけどなー。2時間近く、コドモは飽きずに見ていました。中でも、彫刻作品はことのほか丁寧に。なんのことない、男性のシンボルをチェックしてたのだ。「ついてる」「もげてる」「大きい」「小さい」「毛もある」さらには、馬の銅像までチェック。馬にもついていたらしいです、じゃなくて、ついてました、ハイ。
2004年04月02日
コメント(6)
昨日トロリーバスに乗ったときに見つけた、「敬愛する乗客の皆様へ」の張り紙。4月1日をもって、モスクワ市内のアフトーバス・トロリーバス・トランバイ共通の料金が一斉値上げするというのだ。アフトーバス…日本のフツーのバスと同じ。トロリーバス…路面電車のように線路と吊り上げバーのついているバス。外側車線を走る。トランバイ……いわゆる路面電車。交通量や車線の多い市内中心部主要道路にはない。今までは、1回10ルーブル(車内で運転手に料金を払う場合)、または事前購入の回数券や気まぐれに乗っている車掌さんへの支払なら7ルーブルだった。1ルーブル約4円で計算しても、日本のバス料金とは雲泥の差だ。それが、1回15ルーブル(回数券or車掌さんは10ルーブル)に値上げしたのだ。正直言って、片道200円のバス代に慣れている私には、40円が60円になるのは大したことではない。でも、一気に50%値上げ、とは、ものすごい値上げ幅だ。日本だったら、社長退任・首相退陣並みの騒ぎになるんじゃないかな。夕方家に来た英語カテキョーのイリーナにその話をすると、「そうなのー。定期代やマルシェルートの料金まで上がってたー」とブツブツ。モスクワ市内にはメトロ・バス・トランバイ共通の1ヶ月定期もあり、多くの人が利用している。定期といっても、日本円で1200円前後だったはず。日本だったら、家族3人で駅までバスで往復しておしまい、に近い額だ。おそらく、メトロの料金も値上げされているのだろう。かれこれ半年以上メトロには乗ってないけど、市内共通料金で一律20円、というのは破格だったもんね。「東京メトロ」(今日から名称が変わったそうで)と同じぐらいの範囲は網羅する規模なのに。そして夕方。急に出掛けることになり、タクシーが間に合わず、マルシェルートタクシー(昨日の日記参照)に乗った。ほんとだ。2ルーブル値上げで料金が12ルーブルになっていた。でも、この2ルーブルが面倒だ。今までなら10ル-ブル札1枚で済んだのに、硬貨を足さないとならない。しかもお釣りが欲しいときもでてくるだろう。マルシェの料金を出納してるのは、運転手さん本人。運転しながらつり銭を数える光景は、何度見ても「ヤメテクレー」である。それが、これからは硬貨交じりになるなんて…。案の定、値上げを知らなかった&小銭を持ち合わせていない客があれこれ言っている。「私は20ルーブルで8ルーブルのおつり」「二人分の料金を50ルーブル札で払ったからな」さらに、ルーブルより細かい単位のカペイカ(100カペイカ=1ルーブル)まで混ぜて払ってる人まで。当然、運転手さんは大混乱。値上げ初日に難しいコトするなよー。物価がじりじり上がっているモスクワ。ドルも弱く、現地企業によっては給与をドル払いからルーブル払いに変えているところも多いとか。外国人向けの高級飲食店やスーパーでは、ドル建てだった値段表示をルーブルに切り替えたところも。これでタクシーが便乗値上げとかしたらたまらない。ただでさえ需要の急増で運転手の質が落ちたと評判なのに…。
2004年04月01日
コメント(0)
ここ数日、春のポカポカ陽気が続いていたモスクワ。根雪が解けたぬかるみの乾き方も異様に早いし、地面からは日に日に草花の新芽が芽吹いている。この時期の植物の生育速度は、不気味なほど速い。土が見えた→草が生えた→つぼみがついて→花が満開。日本だと3~4ヶ月分の成育経過を早回しで見るような感じだ。さすが半年近く、雪の中でじっと耐えてきただけ生命体だけある。そして、今日。天気予報で、確かに雪マークはでていた。実際に外に出ると相変わらず暖かく陽射しも強いのに。しかし予報どおり雪が降った。それも、ひょうのような硬い粒。しかもものすごく大量。バラエティ番組の罰ゲームで、発泡スチロールの粒が振ってくるような感じだ。アスファルトの上を雪がパチパチはねるのを初めて見た。友達の家でお昼をゴチになった私たち母子は、タクシーのガラスが割れるんじゃないかとヒヤヒヤしながら帰宅した。車の窓越しの陽射しは相変わらず強く、日焼け止めを塗らなかったことを後悔するほど。この抜けるような青空のどこから、どうすればこれだけ大量の雪が降るんだろう、と思いながら。家に帰って、コドモの買い物で近くに出掛けた。マルシェルートと呼ばれる、相乗り制のワゴンタクシーに乗る。「渋谷ハチ公前~代官山」といった規定のルート上ならどこからでも乗降できる。料金は1回10ルーブル(約40円)。頻繁に走っているので、たまたま家のすぐ近くの大通りにルートがある私には、急いでいるなどとても便利だ。買い物を終え、マルシェを待っていると、一度やんだはずの雪が降り始めた。夕方だったせいか、気温は昼と比べ物にならないほど低い。つないだ手がかじかんできた。「次来たマルシェに絶対乗り込もうね」じりじりと増える待ち人を背に、コドモは言った。そして、一台のマルシェルートタクシーが到着。途中乗車が可能なのは、基本的に空席がある時だけ。背後からロシア人恒例の割り込み乗車の気配。「私たちや他の人が先でしょ?」ババアじゃなかった、妙齢のオバサマにご遠慮いただく。割り込みに正々堂々と文句を言うのも、もう慣れた。このタクシー、ホントに乗れるの?と躊躇する私に、「コドモ連れのアナタ、早く乗りなさい」先に入ったコドモを見てか、中の乗客から声がかかる。言われるがままに乗り込むが席はない。タクシーに立ち乗り状態ではないか。こわっ。「あんなとこで待ってたら寒いでしょ。乗らなきゃ」自分のかばんをずらして、私たち母子を立ちやすくしてくれたおばさん。つかまるところを探す私に「私の腕につかまりなさい」隣りで立ち乗りしていた別のオバサンが自分の腕を差し出した。「ほら、ここ座れるわよ」若い女の子たちが3人掛けの席を詰めて、コドモをちょこんと座らせてくれた。凍えそうな寒さも、時には悪くないな。たった10ルーブル、所要時間数分の車内。そんなことを思いながら、家路についた。15人定員のところを5人オーバー。重そうに走るのに、相変わらず運転は荒いところがロシアである。
2004年03月31日
コメント(6)
って、今は亡き淡谷大先生のことじゃないっす。念のためね(誰も間違えないっつーの)。ボリショイの新館に「くるみ割り」を観に行ったときのこと。春休みということもあり、ロビーにいても英語をはじめロシア語以外の言葉が大いに飛び交っていた。客入りもほぼ満席。舞台が始まった。場面が移り背景が変わるたびに、感嘆のため息がもれる。始まって十数分たったころだろうか。絶賛する拍手が入るのはよくあることだが、まったく関係のないところで拍手が入るのに気がついた。初めは、バレエ初心者の観光客の単なる間違い?と好意的に受け止めてたのだけど、その数があまりに頻繁で、舞台に集中できなくなってきたのだ。ゆっくりと大きな音で、パン、パン、パン、パン。まるで嘲笑しているかのような合いの手の入れ方。酔っ払い? でも、酔っ払いなら声が出てもおかしくないのに。耳障りな拍手に怒りを超えて、一種の恐怖を感じ始めた。テロの二文字が脳裏をかすめたのだ。自爆テロを引き起こすテロリストたちが、業務遂行の高揚感とその裏側の恐怖とで、ヤク中のように挙動不審になることがあることは、みんな知っている。舞台どころではない、という目に見えない緊張感が、客席をびっしりと被い始めた。しかも、観客だけでなく、オケや舞台上の団員たちにも伝わったようだった。彼らはプロだからミスをすることはなくても集中力に欠けていくのは雰囲気で分かる。しばらくして、座席案内のおばちゃんがその観客のもとへ向かった。なにやら注意をしたようだが、おばちゃんが退席して数分後、また拍手が入った。舞台上のくるみ割りのシーンと音楽が、世界で指折りの美しいホールで完全に空回りしている。観客は目は舞台に向いていても、気持ちはどっかに飛んでいる状態が続いた。その時、体格のいい警備員がはいってきた。ロビーに引っ張り出すのか、と思いきや、警備員は迷惑客の隣に座った。(よかった、たまたま空席があって)その後、何があったのかはわからない。ただ、それを最後に、あの不気味な拍手が聞こえることはなかった。あの迷惑客は、大の男が説教すればおとなしくなる相手だったのだろうか。警備員が隣で拳銃や警察手帳で脅した?それとも、いつぞやの議会みたいに、プシューっと麻酔だか睡眠薬入りの注射を打ってしまったとか?ひょえーっ……。静かになったのに、えらく恐ろしい妄想が膨らんでしまって、ますます舞台に集中できないじゃん(笑)。幕間でシャンパンをあおり、気分を入れ直して2幕を鑑賞。もちろんよかったよ。岩田さんの中国の踊りも絶賛されてたし。でも、舞台上のダンサー達に何の罪もないんだけど……。「ヒンシュク客めチケット代返せー!」という気分の夜でした。
2004年03月30日
コメント(6)
暖かくなってきたせいか、街角では露天商の姿が増えてきた。昔日本にいたような、平たい板の上に商品を広げるパターン。駅前や歩道、地下道など、平面があれば所狭しと並びます。売ってるものも多種多様。野菜や果物、文房具、海賊版ビデオ(安くてお勧め←笑)、セクシーパンティ…、ピンからキリまで、ありとあらゆる品揃え。どうせつまらないものしかないんだろうなーと思いつつ、ついつい見たくなるのが人の常。私がよく利用するのは、花売りさん。どこから仕入れてきた(摘んできた?)のか、小さなバケツに数種類の切花を並べて座っている。立派な花やブーケはないけど、お隣の庭から分けてもらったような小ぶりで素朴な花が買える。あまり裕福そうには見えないおばあちゃんが丁寧に売っていることが多い。もちろん、高くない。寄付みたいな買い物かもしれない。この間ルイノックに行ったときは、入り口でビニール袋(ブティックでもらうような、しっかりしたタイプ)を売っているおばあちゃんがいた。ロシアでは基本的にマイバッグ方式。入れてもらったとしても日本のスーパー袋には程遠いヤワな袋で、しかも有料だったりする。ルイノックであれこれ買った人は丈夫な袋が欲しくなる。そういう客を見込んでの商売だろう。売っていたのは、清潔な身なりだけど顔が凍傷だらけだったおばあさん。どんな苦労をして、こんな顔になったのだろう。大した手荷物を持っていないのに袋を買うのもいやらしい気がして、そのまま通り過ぎてしまった。もっと気候のいい季節になったら、去年のように「マイ漬物を売るバーブシュカ(おばちゃん)」「自宅周辺の盆栽の小株を売るバーブシュカ」「手作りケーキを売るバーブシュカ」そして「産めよ育てよで増えたネコやウサギを売るバーブシュカ」らが、冬眠から覚めた雌クマのごとく(失礼)いっぱい出てきて、モスクワの街中はにぎやかになるだろう。ちょっと、いや、かなり、楽しみ!
2004年03月29日
コメント(0)
先週の水曜日にのりちゃん宅でいただいた「チーズフォンデュ」。いやー、ホントにおいしかった。で、昨日、フォンデュ鍋一式を衝動買いしてしまった。今日は、来月はじめにあるピアノの公開試験(発表会形式で弾いて、成績つくのだそうです)のために、モスクワでのもう一人の名教師・マサヨ女史が手綱を締めに来てくれる(ウソ)というので、レッスンを夕方にし、そのまま「フォンデュ鍋夕食」に流れる設定にした。彼女のピアノの教え方は、本当に上手だ。当たり前なんだけど、生徒をよく見、聴いている。苦手な箇所を克服する手立てを、あらゆるパターンで展開できる。さらに彼女のすごいところは「今まで以上にピアノを好きにさせてくれること」だ。しかも、いつも平常心でおだやか。教わるほうが言うのも生意気だが、生徒にとって、これはとても重要なことなのだ。中学生の時に替わった新しいピアノの先生は、音大志望の子のレッスンに慣れてはいたが、人柄も紡ぎ出す音もどこか冷たくて、音楽を愛しているようには思えなかった。だから、マサヨちゃんが教えた音大受験生で第一志望校に合格しなかったのがたった一人(第一志望、だよ)というのも納得できる。受験のためのレッスンで、ピアノをもっと好きになったんだろうな、と。で、チーズフォンデュ。3種のチーズを買うのが面倒で、フォンデュ用の出来合いのチーズを利用。でもスーパーで十分買い揃えることも分かった。忘れていたが、もともとロシアは乳製品の充実した国だったのだ。国産・輸入品合わせて、モスクワで買えるチーズの種類はとても多いことに改めて気付いた。ブロッコリー、カリフラワー、パプリカ、じゃがいも、マッシュルーム、ウインナー、海老などを下茹で。フランスパンを一口サイズに切る。あとは、前もって作っておけるメニューをいくつか用意して、おしまい。下ごしらえはひたすら切って茹でるだけ。お招きする側も、けっこうラクではないか。しかも、家庭用フォンデュ鍋だとある程度の定員もある(笑)。これはいい。私も十分食べて飲んで話せるではないの。野菜中心だし、と油断してダラダラ食べていたら、けっこうおなかいっぱい。締めは彼女が持ってきてくれた「はちみつケーキ」と冷たい麦茶。「はちみつケーキ」はロシア人にはとてもメジャーなケーキらしい。名前と裏腹に、意外と甘みは控えめ。日本人好みの味だ。コドモの友達のロシア人ママもとても上手だった。今度レシピを教えてもらおうっと。次回の改善点。少々面倒だが、次回は自力でフォンデュ用チーズを用意しよう。今日買ったキットでは白ワインがきつく、チーズや食材の味がカンペキに負けていた。(途中からエダムチーズだけ足してみたにもかかわらず)酒蒸しした鶏ささみも用意してみよう。さらに、いいアンチョビが手に入ったら、今度はオイルフォンデュに挑戦。神楽坂のイタ飯屋で食べたオイルフォンデュの美味しさが忘れられないの。その他、フォンデュ鍋の美味しい使い方をご存知のかたがいたら、ぜひぜひ教えてくださいー♪
2004年03月28日
コメント(1)
春休みにパワーを持て余しているコドモが生まれて始めて取り組んだジグシーパズル。幼児期の「知育おもちゃ」系以来かも。うっかり無謀にも500ピースの大作を買ってしまったのだが。あっけなく、コドモは一人で作り終えてしまった。以来、ロード・オブ・ザ・リングの登場人物たちが、コドモ部屋の床いっぱいに広がっている。タテ100センチ、横60センチぐらいだったか。日本の家だと、飾れる壁が限られてくるような大きさである。完成して数日は、掃除の際に玄関ロビーの床に移動したのをいいことに、お客さんの目に付く位置に置き、なにげにご披露している。私のロシア語の先生は「すばらしいわ…」とえらく感心し、コドモの英語の先生は「想像力が豊かな子は頭の中で絵が出来上がってるのよね」と教育専攻らしい分析。お手伝いさんは「マラディエーツ(なんていい子!)」とコドモが折れんばかりに抱きしめていた。得意気だったコドモも、皆がひとしきり感心してくれたあとは必ず「どれぐらいかかったの?」「全部一人でやったの?」「どうやると早く組みあがるの?」「これは何の絵?誰?」(「ロード…」を知らないお年寄り世代)等々、質問攻めにあうことに閉口し、そろそろしまいたくなったようだ。「額縁に入れて、自分の部屋に飾りたいんだけど」ほら、よく新宿の東急ハンズで売ってるようなフツーの額でいいんだ。って、そういう買い物がここでは一番難しいんだってば。先週IKEA(イケア)に行ってジャストサイズがなく、ジグソーパズルを扱う大きなおもちゃ屋に行ってもない。今日は家庭用品店で絵画用の額を見たが、使いたいようなものはなし。写真屋で扱う額は、あくまで写真仕様の厚さでパズルには不向き。「そういうのって、どこで売ってるでしょう?」お店の人にそう聞いて教えてもらったのは、なんと自宅から近い場所。画家や画家のタマゴたちが自作品を展示販売する「美術品ヤルマルカ(展示場、でも市場に限りなく近い)」だった。小さなスペースの壁位一面に貼り付けられた(額の一部にマジックテープをつけている)額縁見本。額1メーターあたりの値段+制作費でオーダーに応じるという。たいていはお客さんが手持ちの絵や写真を持ち込んで、それに合わせて選んでくれるようだ。しかも、台紙も色や紙質を選んでくれたり、カッティングを変えたりと、凝った加工もオッケーらしい。しかも、彼のセンスがいい。クロス刺繍やビーズ刺繍をした布を持ち込んだら、すごーくステキな額ができる…。思わず本来の目的を忘れそうになる私。数え切れないほどの額から気に入ったものを選び、サイズを申告。明日明後日には出来上がるという。すごい。しかも安い。出来上がりが楽しみー。
2004年03月27日
コメント(4)
今日は前から約束していた「チーズフォンデュ」の日。夫の会社も、業種も、コドモたちの年齢も違う3人。でも、一緒にいて疲れない。いわゆる自然体でオッケー、ってやつですね。狭い狭い邦人社会、こういう友達はとても貴重だと思う。行きがてら、お役目の「フランスパン調達」に、メトロの駅近くにある大きなショッピングセンターに。チェーン店のスーパーマーケット内にあるパン屋(店舗内で焼いている)が、とてもおいしいのだ。しかも激安。いわゆる「ロシア価格」なのだ。一番好きな、炒めタマネギを生地に織り込んで焼いたフランスパンは朝11時台で売り切れ。30センチはある細身のラグビーボールのような大きさで何と9рубちょっと(約40円)。デパ地下でたいして美味しくもないブランドパンを高いお金出して買うのが、ホントにバカらしくなる。それにしても、チーズフォンデュなんて何年ぶりだろう。OL時代に、大手町ビル地下街で職場の先輩たちと食べたのが最後?となると、まさに十数年ぶりかも。隣りに、今や少年の域に達する我が子がいるんだもん。私も年を取ったわけだ。子育て真っ只中の女子3人がそれぞれしみじみしながらフォンデュ鍋をつつく。コドモたちも、それにならう。一人の膝の上には、1歳前のチビちゃんもいる。おやつ時間を過ぎた頃からは、幼稚園から戻ってきた子も合流。上は9歳から下はゼロちゃんまで年も性別もバラバラな4人が、違和感なくフツーに遊んでいる。お世話好きの自覚が全くないのに小さい子と一緒に遊べるのは、うちのコドモの数少ない特技である。持って生まれた性格もあるが、私は6年間の保育園生活の賜物だと思っている。みんなで集まれば、一人一人が違っててアタリマエ。大きい子には大きい子にしかできないことがあって、小さい子にも小さい子なりにしたいこととできることがある。自分だって大きい人たちに助けてもらうときがいっぱいあるんだから、小さい子のお世話をするのは決してソンでも大変なことでもない。それぞれのできることをして助け合うから、みんなが楽しくなるわけで。いい塩梅での持ちつ持たれつの関係。大人になっても、そこんとこ分かってない人がたま~にいます。へんに頑張ったり、気を使いすぎたりしなくていい付き合いのできる空間。人間的に信頼できて、一緒にいて気持ちがラク~になれる人たち。こういう時間がたまーにあって、張り詰めた空気をすっと抜くだけで、子育て、海外生活等々のストレスはかなり軽くなる気がする。え、私のどこがストレス感じてるいるのかって?ふふふ、いろいろあるんですよん、それなりに。げらげらげら(←まついなつきさん風に流してみた)夕方から夫たちも合流することに。もともと、夫たちが留学時代に一緒→たまたま同時期にモスクワ在住で家族ぐるみの付き合いになった私たち。なので、夫たちのノリも仕事絡みではない、フツーの飲み会。そして、必ずといっていいほど、たまたまの出張者である当時の留学仲間が加わるのが宴会のお約束。今回も、日本から来ていた出張者が一緒。彼と飲むのは2度目。モスクワに住んでるのかと思う……。いつもながら、彼の話は大変おもしろかったです。延々半日近くご一緒して、解散。帰りのタクシーの中までおもしろかった。まさに「げらげらげら」な夜でした。
2004年03月26日
コメント(2)
遅い昼食をコドモと二人で外で食べた。行ったのは、自宅近くのこじゃれたカフェ。店内は広く、エリアによっては夜はDJバーになるらしい。お昼は常に3種類のロシアン・ランチと2種類の和食弁当ランチが選べる。ロシアン・ランチならサラダ・パン・スープ・メインディッシュ・デザート・ドリンク、のコース。いわゆるロシアの家庭料理風メニュー。日本でポピュラーなボルシチやビースストロガノフは出てこない。メインはいまいちだが、サラダとスープはおいしい。ドリンクの選択肢には、当然ウォッカも入ってる。実際、ウォッカを頼んでいるロシア人多いです。まっ昼間だっつーのに、すごいなー。デザートはモスクワにしては珍しく、当たりはずれが少ない。見ての通りボリュームはあるし、かなりお値打ちだと思う。一方、和食弁当は幕の内風のたいそう立派な器で登場。刺身、鶏(またはサーモン)照り焼き、サラダにかっぱ巻き寿司。弁当の前に出る味噌汁が、陶器に入れられレンゲで飲むのがご愛嬌。しかも、スープと同格なのか、味噌汁を飲み終えない限り弁当箱は出てこない。「弁当ランチ」、メニューに堂々とロシア語で書かれてるこのメニュー。今やモスクワの街中で立派に通用するんだなあ、「弁当」という言葉は。コドモは、照り焼き好きのコドモ心をつかむ弁当ランチを迷わず注文。私はいつものようにロシアンランチ3種類からセレクト。3種類とも、サラダからデザートまですべて違う組み合わせなので、メニューを見るだけでも楽しめる。二人でメニューに目を通していたその時だった。それなりにロシア語を読めるようになっているコドモが遠慮がちに尋ねた。「お母さん、『乳首のスープ』って、どんなの?」乳首のスープって、ねえ、ナンなのってば、おかあさーん。コドモはしつこく繰り返す。日本だったら、周囲からものすごくキツい視線を浴びていたかも。乳首・チクビ、発音的にはチィクビのほうが近いのだけど、何のことない、これはカボチャのこと。(単数形:ティクバ、複数形:ティクビ)カボチャといっても、日本のほっくりした栗カボチャとは全然違って、ふかしたり煮たりすると異常にまずくなる、ただのカボチャもどき。しかも、クセのないウリのような野菜もティクビと呼ばれている。なので、同じティクビのスープでも、店によってはウリ(キュウリ)スープっぽかったり、浮き身のようにカボチャもどきが刻まれてたりするのだ。お母さん、ティクビのスープは遠慮したいわ、と、他のランチセットを選択。ウハー(魚のスープ)と、鶏ささ身とパイナップル+じゃがいものサラダ(これは美味だった。真似しよっと)に、テリャーリナ(仔牛)のステーキがメインのセット。昨今の物価高騰に対処したのか、デザートがセットからはずされてた。美味しかったのになー。しくしく。その分、ボリュームアップを図っていたのか。今日はいつも以上にヤマトナデシコには余りある量だった。ロシアンランチは、私のボギャブラリーでは相変わらず読んでもワケ分からないメニューもあるが、イチカバチカの勝負と思えば、それはそれで面白い。はずれてもアタリマエ。まさにロシアンルーレット、だ。
2004年03月25日
コメント(6)
3月に入ってからの怒涛のような日々に、ようやく一段落つきそうです。その間に雪はすっかり溶け、見た目ちょっと前の東京の季節感と変わらない感じです。花壇の球根から次々芽が出てたり、すっかり春。気持ち的にも、春。というわけで、今日はバレエを観に行ったさ。お子ちゃま・学生向けにマチネの本数が増える春休み期間。「死んでもボリショイ!」でなければ、いいバレエを破格値で観る機会がぐっと増えます。クレムリン大宮殿ホールでの「ロミオとジュリエット」。「アホートヌィ・リャト」という数年前に無差別テロで爆破されたショッピングモールを通り、雪のないマネージ広場を数ヶ月ぶりに歩き、大統領選挙翌朝の不審火で燃え朽ちた建物を横目に見ながら会場に向かった。(アブナい場所ハシゴしてどうする、という感じですね)ここのホールはとにかくキャパが大きい。何千人単位で入っていると思う。そのホールが今日はほぼ満席。グループ交際みたいな10代の子も多くて、不思議な雰囲気だった。「ロメジュリ」はバレエ以上に音楽が好き。ただでさえ難度が高いプロコフィエフの曲はオケピの楽団にとっては難曲のひとつだと思うけど、私にとってはまさに「一粒で二度おいしい」演目。不協和音、変則拍……、フツーのクラシック音楽に耳が慣れた人には「んんん?」だろうが、それにハマると危なげな感じがいい。美しいのだ。今日のジュリエッタはキレイだったな。しなやかで柔らかいのに、細い体の線。芸術品のようだった。ホールに行ってのコドモの楽しみといえば、幕間のビュッフェ。ここは一番上(多分5階!)にあるのだが、その広さは尋常ではない。「ここは幕張メッセ?」と思いたくなるほど、たくさんの椅子とテーブル、売店が設置されている。休憩に入った途端、数千人の観客がビュッフェ目掛けて走り出す。けっこうコワい光景です。コドモのお目当ては「ジュリアン」と呼ばれる、マカロニのないミニグラタンのようなメニュー。店や値段によって、具が鶏肉だったり、カニだったりする。私は、シャンパン(昼間から酒飲むなよ!)と、薄く切ったフランスパンに数枚のサラミを乗せたロシア風サンドイッチ。(カタカナで書くと「ブッテルブロッド ス カルバッソイ」になるのかな)でも、オーチャードホールとかのビュッフェでシャンパンとサンドイッチ(箱入りのみ)を注文したら、夏目漱石さんが確実に二人は吹っ飛びそうですね。ちなみに、ここだと400円ちょいです。シャンパンは比較的高いアルコールだけど、1杯3~400円のゼイタクならカワイイものじゃないかと。今日のチケット代が一人400円。シャンパン+ブロッドと合わせても7~800円いきません。帰りに、ボリショイのチケットを購入。今までは街中のチケットボックスで扱っているもので気に入ったのがあれば購入、という感じだったのだが、今回は初めて劇場の窓口で買った。演目、値段、席番確認などなど、正規窓口が欲しい席を買える確率が高い。ロシア語が話せるようになってヨカッターと思う私だった。購入したのは月末の「くるみ割り人形」。「くるみ…」は年を取っても、何回観ても飽きない。岩田さんの「中国の踊り」、楽しみだなー。
2004年03月22日
コメント(4)
モスクワ市街地に雪を見なくなって数日。冬はほとんどの店が屋内に入っていたルイノックも、今日は(ショバ代の安い)屋外で所狭しと開店していた。野菜も果物も、毎週来るたびに種類が豊富になっていく。春なんだなあ、すっかり。今日は摘みたてのイチゴがあった。1キロ150руб(600円弱)。1キロったって、イチゴだとスーパーのビニール袋に満杯になる。半分の500gでも家族三人では多過ぎるぐらい。適当な量を自分で選ばせてもらい、購入。日本で買うイチゴのパック2個分ぐらいの量で、280円なり。「おおっ、安い!」と思った私。でも、ロシア人のおばあちゃん達は違った。おいしそうなイチゴに引きつけられても値段を聞いて購入せずに帰っていた人がたくさんいた。日本の、改良を重ねた青くささがなく糖度の高い粒よりは野性的な味。ショートケーキに使うにはイマイチかもしれないけど、摘みたてのイチゴの雰囲気を十分味わえた。ハーブや香菜、葉物野菜を多く扱う、いつも立ち寄るお店がある。店主のおばさんとはすっかり顔見知り。「今日はご主人とコドモはどうしたの?病気?」買い物というとイヤーな顔をする男性陣を置いて、さっさと車を予約して来た私。ったく、私だって好きで買い出しに来るワケじゃないのにさ。そのへんの事情をうまく話せそうにないので、とりあえず病気ということにした。そしたら、おばさんは「元気になるように」と丸々としたニンニクをおまけしてくれた。おばさん、ウソついてごめん。ニンニクは、近頃お疲れ気味の私がありがたくいただきます。新鮮そうなスビョークラ(日本名:ビーツ)を買ったので、久々にボルシチでも作ろうかな。でも、サラダに使ってもおいしいんだわ、これが。彩りもいいし、赤キャベツやブドウ同様、おもてなし料理のサラダに使うと華になる。家に帰って冷凍用の下ごしらえをし終えたら疲れてしまい、ソファで惰眠。本当は夜からチャイコフスキーホールでのオルガンリサイタルに行くつもりだったが、やめる。疲れているときの夜の外出は、ちょっとこわい。家で笑点見ながら、夕食を食べた。木久蔵大丈夫だろうか、とか思いながら。
2004年03月21日
コメント(0)
日本より一足早い春休みだろうか。今日が3学期の終業式。同時に今年度で帰任する先生方の離任式。たまたま保護者会関係の所用があり、私は学校に行った。いつもと変わらない雰囲気。ただひとつ違っていたのは、新しく着任された教頭先生がいらしていたこと。職員室の隅に腰かけ、先生と生徒のやりとりをニコニコしながら見つめていた。講堂からは、校歌合唱が聞こえてくる。生徒数があんなに少ないのに、大きくのびやかな声。どんなに著名な歌手の歌声よりも、心に響く。離任式を終えて数日後には、任期を終える先生方は家族全員で帰国するという。お子さん達も、同じ学校に同じ期間生徒として通っていた。小さな学校ゆえ、お母さん達と学校とのかかわりも深い。私たち以上に、ご家族それぞれにとって思い出深い学校になるんだろうな。所用を終え、下校バスに私も一緒に乗車して帰る。下校バスの見送りは、毎日職員全員で行うのが決まりである。バスへの乗り込み時はもちろん、窓から見える生徒達の顔を何度も確認する先生方。明日も元気に登校できますように。事故や事件に巻き込まれることなく、無事全員が自宅へ着きますように……。そんな先生方の声が、いつも聞こえてきそうだ。でも今日は違う。先生方に見送られながら、私たちも数人の先生を見送る。「ばいばーい」「先生さようならー」背伸びしながら、窓の外を覗き込む低学年の子ども達。「先生も元気でねー」「日本でまた会おうねー」大きな声で叫びながら手を振る中学生。もちろん、子ども達の中にも、今日が最後の下校バスになる子がたくさんいる。ただただ無言でうなづく先生。涙をポロポロこぼしながら、それでも目をこらして見送ってくれる先生、歯を食いしばって、男泣きをこらえる先生。本当にありがとうございました。春は、別れの季節。私たち家族は、モスクワのどんな季節を最後に見て、日本へ戻るのだろう。
2004年03月18日
コメント(0)
今日は放課後、コドモの同学年の男の子5人が遊びに来た。お母さん3人+妹弟もひとりづつ。小学生のいる家でよくある「お遊び会」だ。年度末で帰国する友達が二人。もともとの人数が少ないので、二人の転出は大きい。大きすぎ。転出入の多いのは、在外校の運命。頭では分かっていても、何度繰り返しても寂しいものだ。「お遊び会」とは、何も特別な行事ではない。学校から帰ってくるとランドセルを放り投げてどっかに遊びに行くという、日本ならごくフツーの放課後生活がモスクワでは体験できない。放課後自由に外遊びができるスペース(もちろん敷地内)があるのは、日本人が多く住むドーム群に住む人たちぐらいだ。児童館とかもないから、屋内で遊ぶなら誰かの家。いい意味で遊び慣れているので、同じ屋根の下に親(大人)がいても、実にのびのび遊んでいる。通学バスの中ですっかりハイテンションになっているであろう6人の小学生男子。元気いっぱい、ワラワラと降りてくるはず。カルガモの親子のように一人で連れ帰るのは大変だろうと、早めに来てくれたお母さんと一緒に、三人でバス停へと急ぐ。この「急いだ」のがいけなかったのかもしれない。また、警察の尋問にひっかかってしまったのだ。東洋人3人、たいした荷物も持たず、集団で小走り。(こう書くと、確かに十分怪しげではある)体格のいい警察官3人が行く手を阻んだ。「そこの三人、パスポートと住民カードを見せなさい」バスの到着時間が気になりながら、言われるがままにパスポートと身分証明カードを探す私たち。通りすがりの人たちの「あの人たち、ナンなのかしら」という視線。運の悪いことに、私は今ヴィザ書き換えの手続き中。関係機関にパスポートを提出していて手元にはないのだ。そんな混み入った事情をロシア語で説明する自信はない。「おまえら外国人か?どこから来た?中国人か?」外国人か、って、そんなの見ればわかるべさ。しかも、お得意の「中国人か?」ときた。どういう理由かは分からないが、どうもロシア人は中国人を好きではないらしい。案の定、日本人だと答えて一人がパスポートを差し出すと、「なーんだ、日本人ならいいや」と言わんばかりに、私たちは即解放された。でも、週末にルイノックに行った時に分かった。「おまえら外国人か?」と警察官が尋ねたワケが。一連のテロで指名手配されている犯人たちのうち、女性テロリストのモンタージュ写真が公開されたのだ。予測どおり、カフカス系民族と言われる顔かたちの数人の女性達。イメージとしては、イスラム系と中央アジア系の入り混じった、黒髪の人たち。肌の色、顔かたちなど、実に日本人によく似ているのだ……!しかも、日本人女性の多くは、黒やグレー、茶色など、暗い色のコート類を着る傾向がある。それがまた、疑わしさに輪をかけているらしい。ロシア人みたいに、自己主張の異常に強い色やデザインの服、着ないしね。ま、こうやって尋問してくれるのを、逆に感謝すべきなのかも。大型店舗や劇場、公共施設では、本当にセキュリティチェックが厳しくなっている。イラクの無法地帯を思えば、多少の窮屈さに文句を言ってる場合じゃない。日本はどうだろう。自衛隊派遣した時は大騒ぎしたけど、それだけで終わってはいないだろうか。
2004年03月17日
コメント(0)
久々に日記更新です。更新できなくとも訪問してくださる皆さんに、心から感謝。m( )m ←アタマ下げすぎて目がありません。ここ1~2週間は、時間が飛ぶように過ぎていきそう。一保護者としての私。うちのコドモの保護者としての私。仕事人としての私。ここに住む一日本人としての私。ピアノの生徒としての私。ロシア語の生徒としての私。夫のツマ(刺身じゃなく、妻のほうね)としての私。ロコツな表現でナンですが、まさにケツにチャッカしています。忙しくて無駄なエネルギー使いたくない時に限って、小さなトラブルも起こる。近頃私の周囲でも多発している、タクシー絡みのトラブル。今日もブッキングミスに加えて会社本位に勝手に予定を変更させられ、友人宅のドーム前で運転手と言い争う始末。また今日も? いい加減うんざりである。ダブルブッキングやブッキングミス、ドタキャンが続きすぎ。聞けば、他の人たちはその他にも不当な値上げ(運転手が勝手に料金を釣り上げる)などの経験があるらしい。さまざまな治安上の問題もあって、タクシー需要が増えているのはわかる。会社が儲けモードになりたくなるのも分かなくはない。でも、とりあえず運転手の質は悪くても車の台数を揃えようでは困る。さらに、モスクワ市内の渋滞事情を熟知しながら、ビッチビチの分刻みで運転手にアポを入れてくのもいかがなものか。今日の運転手さんも、私の後車予定時間と後車予定場所を聞いていなかったらしく(もちろん私は予約の段階で先方に伝えている)、「ここから15分で次の目的地へ行けるだろうか……」と困っていた。正直言って、タクシーの運転手とケンカするのはこわいのです。一対一だし、密室だし、ほとんどが男だし。日本と違って、タクシー会社に所属してて本業は別にある人も多いみたいだし。(そのせいかプロ意識に欠けている人もいる)相手が日本人(外国人)だと思うと、ロシア語でまくしたてれば引っ込む(金を払う)と思っているような人もいる。なので、私は納得がいくまで説明してもらう。こりゃあラチがあかないと思ったら「会社に電話して尋ねる」とその場でケータイでかけるようにしている。運転手ではなく会社が悪いのならそれはそれで解決させたいし。「会社に電話」の一言は、運転手も怖いのだ。姑息なことをしてるのがバレて会社に首切られたらオシマイだもんね。でも、本当にすごかったのは、モメたその後。友人宅について、ひとしきり事の顛末を話していると、そこへ「○○さん(私)が来ていないか」と電話が。もちろん、例のタクシー会社。しかも、本来私が予約した時間に、一台車を回すという。さっきはその時間帯に車が一台もないといったのにー。しかも、誠実で大変評判のいい運転手が来てくれるという。戸数の多い巨大ドーム、しかも私は誰の家を訪れるかまでは伝えていない。思わず、友人宅に盗聴器でもついてるのかと思いました。笑えないけどね、ロシアで盗聴器に関しては。ははは……。
2004年03月15日
コメント(6)
日本が「ホワイトデー」としてアイを確認し合うであろうこの日、ロシアでは今後の情勢(っつーか治安というか)を左右する出来事が起きてました。それは「ロシア大統領選挙」。99.9%「プーチン続投」を誰もが疑わないという、戦う前から勝負が見えたものではあるが。でも、プーチンの政策を良しと思わない国民、とくに旧ソ連の国々の人々もいるわけで、何らかのアクシデントやテロを警戒する声も高かった。「選挙当日は大型スーパーでの買い物や市内中心部へは行かないほうが無難」これは友人たちと共通した意見だった。我が家も一日中家にこもってましょう、と決めていたのだが、どうしてもシャバの空気が吸いたい(笑)というコドモの強い要望もあり、とりあえず軽く散歩程度ならと、近くの店に遅い朝食を食べに出掛けた。街中のあらゆるところに警官の姿。政府関連機関の近くには、軍隊までいる。幸か不幸か、建物自体だけはやたらでかい我が家のあるドームは、建物に入っている国立施設が投票所に指定されていた。ロシアのこと、どんなにか味気ない投票所に違いない。しかし、そう思っていた私が甘かった。「この文化祭のようなお祭り騒ぎはナニ?」投票所の周辺には、ロシア国旗の三色をあしらった露天が何軒も臨時開店。同じくロシア国旗三色の風船で作ったバルーンアートたち。しかめっ面の警備員に似つかわしくない、流行のポップス。おいおい、これが大統領選の投票所なの?なんだか、気が抜ける感じなのだ。選挙権はない私達も、思わず足を向けてしまう。露天で売られていたもの。1)チョコを中心としたお菓子。 それも贈り物系。ここで買って、一体誰に贈るんだ?2)ロシアの土産物屋。 投票しにきたロシア人にマトリョーシカ柄のエプロンは即買アイテムなんだろうか。3)子どもの絵本。 投票所に連れられてきたお子ちゃま狙い?かわいいので、思わず私も手にとる(乗せられる消費者)。4)スリッパ、タオルなどの家庭用品。 しかも割高で意味不明。5)お花屋さん。 ロシアでは花束は本当に身近なアイテム。でもなぜ投票所に…。6)大人向け衣類。 ロシアは道端で洋服屋が店を広げるパターンが多い。ものすごーく挑発的な下着もフツーに並んでる。驚いたのは、それらで買い物している人たちが実際にいるということ。家族で、夫婦で、のーんびり品定め。投票所といえば近所の中学校、しか経験していない私達には、なんだか不思議な光景だった。でも、そんなのどかな空気を遠くから見守っているのは、厳しい目つきの軍隊と警察なのだが。車の量も極端に少なく、空気がとてもきれい。まさに散歩日和じゃないか(笑)、とてくてく。コドモは歩道に張り巡らされた氷をバリバリ割りながら歩く。春を思わせるここ数日の暖かさで根雪が溶け、水溜りができては朝方に凍結して、の繰り返しなのだ。都会育ちだったコドモが、天然雪遊びの達人になっていく姿は感慨無量である。「ロシアなんて行きたくない」「ロシア語なんて分かる訳けない」とあれだけ泣いてたのにね。そんなわけでほのぼのとした日曜日になって、ホッ。夜は選挙開票状況を伝えるローカルニュースを観る。CGを駆使するなど、日本のそれよりずっとエンターティメント色が強いのも意外だった。広い国ゆえ、開票結果の出る時間に数時間も時差がある。日本へ向かう飛行機の眼下に広がる、針葉樹海と河川と道しか見えないシベリア地域。やはり投票所に行くのも遠かろう寒かろうなんだろうかなどと思いを馳せながら、4年に1度のキンチョーの一日は幕を閉じるのであった。
2004年03月14日
コメント(2)
今日はコドモの通う日本人学校の卒業式。小中学校合同なので、小学6年生・中学3年生を送り出す。卒業生の父兄は、両親はもちろん、日本人学校に通わない兄弟姉妹も足を運ぶ。小さな学校に、いろんな気持ちの入り混じった空気が流れている。父親達の駐在期間が平均3年間。この学校に通っていても卒業証書を受け取る子どもはごくわずか。たまたまこの時期に在学した子ども達が卒業生になるのだが、心の中では今年1年間で転校していった何人もの同級生たちと一緒に卒業しているのだろう。小学部の子ども達が「世界にひとつだけの花」を合唱している。堂々と、のびのびと。SMAPよりずっといいぞ。でも「中学生の歌のほうが超カッコいい」とか何とか言って、コドモは中学部の歌う「さくら」(ナオタロ-のね)を真似してよく歌ってたっけ。コドモは日本にいた頃、どういうきっかけかは教えてくれないが「自分は歌がヘタ」と思い込み、人前で歌うことを頑なに拒否していた。多分、声域(少し声が低い)上、小学1~2年生の男女一緒の合唱音域がキツかったのだろう。「ママも絶対にオンチ、って言うもん。絶対に歌わないからね」そうか、誰かにオンチだって言われたんだ。歌の練習が宿題に出ると、私の前でも歌うのを嫌がった。友達とカラオケに行っても、絶対にマイクの近くには行かない。でも、モスクワに来て、堂々と歌えるようになった。ロシア語で習った「チェブラーシカ」の歌も、「ハモりがカッコイイ」と自画自賛な二部合唱も、何度も何度も、本当によく聴かされた。特別上手いわけでもないが、オンチでもない。その程度のことだったのに、コドモは一生「オンチ」の烙印を自分で押し続けるところだった。そんなことを思い出しながら、子ども達の歌声を聴いていた。中学生は3学年あわせても十数人しかいない。でも、こんなに美しくて力強い2部合唱ができるんだ。ナオタローのファルセットの「さくら」は聴きすぎて食傷気味だったが、ストレートに歌うと、こんなにいい曲なんだな、と。私たちの時代は「贈る言葉」とか思い切りベタな歌だったな。でも当時は卒業式で歌謡曲を歌うこと自体、画期的だったんだけど。「こんなきれいな合唱聴かせないでよー」涙腺がゆるんじゃうー、と言いながら、同じく所用で来ていた在校生のお母さんと裏方作業にいそしんだ。多分、うちのコドモが卒業証書を受け取るまでモスクワに駐在することはないだろう。うちのコドモだけではない。今いるクラスメートたちも、おそらく全員が卒業を待たずに帰国または次の赴任地に行くはずだ。卒業生と同じく、今年度で帰任される美術担当の先生が描いてくださった、卒業生ひとりひとりの顔のデッサン画が式場に飾られていた。すましていたり、くしゃくしゃになって笑っていたり、その子どもらしい表情を的確にとらえた絵が並んでいた。生徒ひとりひとりとしっかり向き合っていないと見逃しそうないい顔。こんな学校を卒業できる生徒は、シアワセだなーと思った。
2004年03月13日
コメント(1)
コドモたちは通学バスで帰って来る。ロケバスのような小型バスが方面別に運行され、我が家が利用している便に乗るのは10人前後。中学2年生から小学1年生まで男女混合。メンツのキャラなのか、終始のんびりほんわかした雰囲気。世界中の日本人学校ではどの国や地域でも親(大人)の送迎が不可欠だそうだ。場所によっては満席の大型観光バスが十数台の大規模校だったり、送迎車で周囲が渋滞したりするらしい。車の通らない遊歩道をてくてく歩くだけ、の日本での通学路に慣れていたので最初は窮屈そうに思ったりもしたが、今では通学バス車内も大切な交流空間になっているようだ。上級生が本当によく面倒を見てくれるし、小さい子たちはそんな上級生が大好き。狭い狭い日本人社会だが、子ども達の世界は狭いからこそ縦横に広がった健全な人間関係を築いている。今日は同じバス停を利用する子ども達が我が家になだれ込む。全部で4人。男女混合、学年もバラバラ。「おじゃましまーす」と玄関でスノーシューズを脱ぎ、スキーウエア上下を脱ぎ。タマネギの皮をむくように身軽になった子ども達は、最終的にはTシャツ1枚になる。冷たい麦茶とおやつを口にしながら、ボードゲームをしたりマンガの話で盛り上がったり。日本語の活字に飢えているのは子ども達も同じ。たまたま新しいマンガ本が日本から届いていたりすると、子犬のように皆で顔を寄せ合って読んでいる。皆目をキラキラさせていて、すっごくかわいい。自分が読んだことのない本やマンガ本の貸し借りも、わざわざ日本から送ってもらった(持ってきた)ものだと分かっているので、とても大事に扱う。自分で読んで面白かったものや相手の好きなものは、すすんで友達に貸し合っている。大人のように「シェアする」なんて大仰な言い方をしなくても、子ども達は本来、楽しさを分け合う気持ちを自然に持ち合わせているのだ。1学年1クラスの小さな学校。分からないことは上級生に教えてもらう。自分より小さい子を優先し、自分にできる範囲で手助けする。わざわざ大人が言い聞かせなくても、子ども達は協力しあわないと何もできないことを日々の学校生活で痛感している。同じ学年・性別の子だけでもなく、ましては好きな子とだけでもなく。これってまさに、今の大人に欠けている、大切な社会勉強なんじゃないかなー。この子たちが大人になった時、誰かの部屋で皆で盛り上がった放課後は、モスクワの雪景色とともに子ども時代の大切な思い出になるのだろう。年度末になって、友達が一人また一人と帰任する時期となり、ちょっとセンチメンタル入ってる私でした。
2004年03月09日
コメント(10)
3月8日は「国際婦人デー」。ロシアでは祝日。街中全体で雰囲気盛り上がってます。お店はクリスマス時期のように甘い雰囲気でデコレーションしてるし、あちらこちらで花束を売る人(花屋さんだけでなく)たちがいる。ドームの守衛おやぢーズの皆さん、エレベーターで乗り合わせた男性等々、会う人会う人口々に「おめでとう」と言ってくれる。でも、結局肝心の身内からは何にもないんだよね。言葉も、モノも。ま、いいんですけど。× × ×昼間はとても天気がよかったので、コドモを連れてゴーリキー公園へスケートへ出掛ける。この公園は、東京で言えば代々木公園+明治神宮の敷地内に「浅草花やしき」がある、という感じか。モスクワ川沿いで、広々としていてとてもきれい。市民の憩いの場である。冬は公園全体がスケートリンクになる。ロシア人の多くはマイスケート靴を持っているのだが、なくても貸し靴(1時間50ルーブル)がある。2年前に神宮スケートリンクで滑って以来。このところ運動不足だったし、けっこういい運動になるかも…!…と思っていた私が甘かった。すっかり滑れなくなっていたのだ。ちょっと滑っただけで、足が痛くなってしまう。足に気をとられると、足元がふらつき不安定になる。周りは、軽やかにスイスイ滑るロシア人ばっかり。しかも、神宮みたいに端っこに逃げても手すりないし。ちょっと滑っては屋外カフェのベンチで休み、また滑っては休み。そんな私とは裏腹に学校の授業や休み時間にスケートやホッケーを経験しているコドモは、ものすごく上達している。動きが自由自在。バック滑りや回転までしている(驚)先週コドモに付き合った夫が感嘆していたのもうなづける。競争をしたい、と無謀な事を言うコドモに「つまんなーい」を連発されるが、ここで無理して骨折でもしたら困るので、手つなぎ滑りでカンベンしてもらう。それにしても、ロシア人は本当にスケートがうまい。老若男女問わず、みんなマイシューズ持参でスイスイである。年配の夫婦が二人並んで滑っていたり、3歳ぐらいの小さい子が前方の親に向かってツツーっと滑ったり。幼稚園児ぐらいの男の子にホッケーを教えているお父さんも何人もいた。もちろん、ホッケーの上手なマリチク(少年)たちも(←目の保養)。いやー、とてもいい光景だ。と同時に、休んでばかりいたおかげで、いろいろと驚く光景を目にすることができた。その1★おなかの大きい妊婦さんがスケートをしている。 (3人目らしく、チビちゃんを二人連れていた家族スケート。それも薄着で)その2★ベビーカーを押しながら滑る。 (しかもこのパパ、坂道も滑り降りてた。ちなみにA型ベビーカーね)その3★バラの花を両手いっぱいに持ちながら滑る。 (彼氏からの婦人デーのプレゼントで幸せイッパイなのは分かるけどさ)こんな感じで「何でもありーの」なスケートリンク@ゴーリキー公園。めちゃくちゃ疲れたので甘いものが食べたくなり、公園入り口脇にあるカフェに入る。紅茶のほかに、コドモはリンゴが丸まま入ったケーキを、私は4種類のジャム+はちみつののったブリヌイ(クレープ)を頼む。思いのほかに美味しくて、思わずとろけそうになってしまった。
2004年03月08日
コメント(8)
今日はモスクワで一番味もいい(と私は思う)がお値段のほうも相当いい中国料理店で送別会。やったー、ラッキー♪立食形式なので、普段自分が頼んだことのないメニューも出る。どれもオイシイ…。子ども抜きの席でヨカッタ(合掌)。送別会の後、先週から出張滞在している夫の後輩fromワシントンDCの彼女と会う。明日の便で帰国するので、おみやげ等の買い物を案内することに。私のつたないロシア語でご案内も何もないのだが(笑)女二人でスタールィアルバート周辺で買い物に興じる。あそこならマクドナルドもあるので、トイレの心配もいらない。そう、冬の長時間の外出では、きれいなトイレの有無は大事な問題。世にも恐ろしい街中の簡易トイレに入ることになったら大変…。しかも着太りしている冬。パ○ツを下ろしにくい冬、と言うべきか。コートがトイレの床や壁につこうものなら、ガクガクブルブルものである。マクドナルドのトイレはさすがに清掃が徹底している。へたなショッピングモールのトイレよりハズレる確率が少ない。昨年末に一時帰国する際にあちこち回ったおみやげ探し。人へのおみやげを探すはずが、自分の気に入ったくだらないおもちゃばかり購入した私。(もちろん、おみやげとして渡すには勇気のいるようなモノばかり…)ロシアみやげの代表格・マトリョーシカ。ちなみに、これは値段が現地でもピンキリ。一つ一つがハンドペイントだったり、凝った図柄のものだとかなりいい値段で売っている。ただ、日本でよく見かけるタイプは、現地ではとても安価で買えるものだけど。私も、いろんな種類のマトリョーシカを見てきて、どういうのが高くて然るべきか少し解ってきた気がする。そんな中、ものすごくヘタウマな絵のチェブラーシカ柄のマトリョーシカを発見。こんなヘタなチェブのイラストでモノ売っちゃいけないよ、と言いたくなるほどのドヘタ加減。思わず、一目で欲しくなってしまった。しかし値段は550ルーブル。ちと高いかも。「高いからやめとく」と言う私に、「いくらなら買うの?」とお姉さん。私「150ル-ブルぐらいかと思った(←ものすごい値切り方)」姉「それはダメ。安すぎ。200ル-ブルならいいけど」私「じゃあ200で買う」やっほー。半額以下。お姉さんもイヤそうな顔してないし、きっと200ルーブルが妥協価格に違いない。白地に藍色の美しいグジェリの陶器や見るからにロシアっぽいホフロマ塗りの食器など、彼女がまっとうなおみやげ品選びに興じている脇で、私は怪しげなおもちゃ類に目を凝らしている。他にはヘタウマな動物の紙粘土細工を購入。なぜこれがロシアみやげなんだ、と言いたくなるシロモノだが、なんせキッチュでバカ安い(100円台)。でも、一応手の込んだ粘土人形で、ハンドペインティングなのよ。クマとヤギを、それぞれ夫婦ペアで速攻購入。でも、彼女も昔の顔(眉毛がまっすぐで全然化粧っ気がない。今風のはケバい顔してる)のマトリョーシカの木のおもちゃを購入していた。しかも、以前インド暮らしの経験がある彼女は店員さんに英語で「これは何ルピーですか?」と聞くなど、とてもおちゃめだった。「ちょっとだけ」「割れ物はやめときます」と言ってたはずの彼女も、しっかりグジェリ陶器を数点お買い上げ。「もっと買いたいけど、アブないですよね…」何度も何度もそう言いながら、葛藤の末、気に入った食器を念入りに絞り込んでいた。無事ワシントンDCに到着することを心から祈ってます♪私がグジェリの中で欲しい一つが、ネコの形のティーポット。えらく底意地の悪そうな顔のネコが見つかるまでもう少し探してみようっと。
2004年03月06日
コメント(3)
以前日記にも書いたモスクワの100円ショップの話。ここだと諸経費込み(笑)で50руб(約200円)ショップになるのだが、今日久々に行って衝撃の事実が。55рубショップになっていたのだ。(全然衝撃の事実じゃないってか)しかも、POPは明日にも剥がれそうな紙製。「こんなチャチな看板じゃ、60рубショップになるのは時間の問題だね」と友人。あー、なんでこんなものが55рубなのーとボヤきつつ、痒いところに手が届く日本製品の誘惑に負ける私たち。さらにインスタントラーメン類がまったくなかった。前回来た時は種類も豊富でよりどりみどりだったのに。単身者の人たちが買い占めたのだろうか(←濡れ衣)。日本の価格より高いとはいえ、日本全国から集めた商品ゆえ「ご当地ラーメン」に遭遇することもある。「寿が○屋」のご当地うどんとか、けっこう楽しみにしてたのにぃ。しかも欲しかった「お酢」も「薄切り豚肉」も「冷凍しめさば」もない(涙)ある人は「みりん」がなく「みりん風調味料」で妥協し、またある人は各メーカのカレールーが辛口しか残ってないことに落胆していた。もうじき帰任する友人は、例のバカ高い納豆を見て「あと2~3週間のことだし、ガマンしようっと♪」と通り過ぎた。いいなあ、日本に帰任するってことは、おかめ納豆を3パック100円で買えることを意味するのだ。確かに、モスクワではじりじりとドルが下がっている。昨年春来た当時で、1ドル34руб台だったのが、今は28руб前半。ドル払いの給与をルーブル建てに替えたところも多いと聞くし、価格が数少ないドル建て表示だった高級スーパー・ストックマンですら(ドル建て表示:価格は「10ドル」だが、支払はルーブル換算してルーブルで支払うシステム)店舗中の商品をすべてルーブル価格表示に変わったらしい。そのへんの主な両替所でルーブル換金ができるのはUSDとユーロ。ユーロはここでも手堅いのだが、ユーロのレートを表示しながら両替はニェット(ダメ)なところが多い。理由はよく分からない。ニセ札なら、元々がおもちゃのお札のようなUSDのほうが簡単に出回りそうなものだが。なので、出張や旅行で手にしたユーロは持ち腐れる確率が高い。イギリスのポンドなど、ほぼ記念品状態である。当然、トルコのやたらゼロの並んだお札(単位忘れました)は、「バーチャル大金持ち気分」を味わうだけのものになってしまった。トルコの買い物、今思えばおもしろかったな。ちょろっと食料品を買って、「87万○×です」と言われ、100万○×札を出す。レシートもすごい。大富豪の買い物かと思うケタ数の多さ。端数のはしょり方も大胆で、あんなんじゃ日本の1円単位の家計管理はどれだけ神経質に見えることか。
2004年03月05日
コメント(6)
今年に入って、木曜日は「一日お勉強日」になっている。昼間、ロシア語。授業はもちろん、その直前まで予習しないとならない。コツコツ準備できない私は、授業の前は大抵夜中の2時3時まで宿題やってる。三十路後半、こういう生活は体力的にしんどすぎる。とりわけモスクワに来てから、夜更かしが基本的にできなくなってしまった。同じような症状を訴える友人知人は実に多い。「日本にいるときはバリバリ仕事までしてたのに、この体力のなさはナンなの?」とグチをこぼしあったときの結論は『活動時間帯に日本とは違う緊張感とストレスを抱えているからだろう』というもの。秋から冬は日照時間の短いことも大いに影響している気がする。ロシア語の授業が終わり、そのまま宿題や復習をする気になれないほど脳ミソを酷使した状況でところで、コドモのお迎え。木曜日はだいたいここで初めてシャバの空気を吸う。外気にふれるって気持ちイイぞ~。で、空腹でグッタリなコドモにおやつ代わりにご飯を1膳与える。クッキーやおせんべい類では、さすがに男の子のおやつはまかなえないくなってきた。私もここで遅すぎる昼食を食べることが多い。今日は「ゆず茶漬け」(あまりの美味しさに我が家では「18禁」扱い)。このままベッドで眠れたらイイのに…と思う頃に、コドモの英語のカテキョ-・イリーナ嬢がやってくる。「今日は疲れたー」とこぼすコドモを叱咤激励している私自身が、この時間は一番萎えてる、ってか。イリーナ嬢のレッスンは、英語とロシア語のみ。彼女の英語が分からないとコドモはすぐにロシア語で聞き返すので、「ロシア語は禁止!」とよく言われている。モスクワに来て初めて本格的に習い始めた英語。親の私がひいき目に見ても、本当にノロノロ歩みだった。相変わらずローマ字とロシア語がミックスしたような創作英単語を平気で書いている。とはいえ、聞き取りの力だけはビックリすることがある。今日は「何もない部屋の絵に英語でヒアリングした通りの位置にいろいろな家具や物を置いて行く」というアクティビティだったが、ホゲーッとしながらも(それは生まれつき)、長い長い説明文をすんなり聞き取っていた。相変わらず「○○ってロシア語の××のこと?」とコッソリ聞いていて、怒られていたけど。英語の歌も、きれいな発音で留学やホームスティにせよ、家庭の事情にせよ、海外暮らしがあると間違いなく外国語(それも「英語」)をラクに習得して帰って来ると思う人は、実に多い。自分自身、似たような思い込みがあった。帰国子女ならネイティヴスピーカーで「当然」みたいな誤解。滞在地がどこであれ、帰国子女の人達は「英語」をマスターしていると思い込んでたのは、実はとても失礼だったのだ。場所によって公用語や日常使用言語が違うなんてフツーに考えればごく当たり前のことを、どうして間違っていたのだろう。でも、初めて海外で暮らして分かった、とても簡単なこと。帰国子女と呼ばれる子ども達が難なく現地語をマスターしているわけではない、ということ。大人も子どもも、みんな苦労し努力しているのだ。年齢が上がれば上がる分、必要になるボギャブラリーもレベルが高くなる。日本語だけに慣れた時間の長さが仇になることもあるだろう。小さい子どもは訳が分からないかもしれない。とはいえ、若い頃のほうが吸収力もいいに違いない。でも、めげずに懲りずに、それぞれの生活の中で勉強をする。なぜなら、言葉がしゃべれないと豊かな気持ちで生活できないことを痛感させられるから。相手の言いたいことを理解したいのにできない悲しさ。自分の言いたいことを言えない不満。理解できない言葉だけが目の前を飛び交う不安。他人とのコミュニケーションが何だか分からないうちにすべて終わっていく虚しさ。この言いようのない閉塞感を打ち破りたいがために、机の上で、または生活の中で勉強しようと思うのだろう。また、異文化の中での生活に関しても「子どもだから新しい環境にすぐ慣れるよ」と簡単に片付けるのも間違い。新しい環境に慣れるために、子どもには子どもなりの葛藤がある。苦労など知らないように見える幼稚園児(ロシア現地の幼稚園に入ることが多い)たちも、社交的で明るく人付き合いが上手に見える子どもたちでも、それぞれの世界で頑張っているのだ。ロシア語で優しく話しかける通りすがりのおばあさんをじっと見つめて、「おばあさんのお話ししてることが全然分からない」と、涙をいっぱいためて言う幼い日本人の子。こんな小さい子でも、一生懸命話しかける人の言いたいことを理解できない自分へのもどかしさを痛感するのだ。帰国子女でも「英語」を話さない(話せない)人がいる。必要に迫られなかったがゆえに現地語を知らずに過ごす人も。ちなみに、受験に関しても、今や首都圏(東京)ではメリットがほとんどないらしいです(涙)がんばれ、帰国子女!
2004年03月04日
コメント(5)
前夜の夜更かしが響いて、ダルダルな午前中。22時40分から始まる「白い巨塔」「プロジェクトX」、個人的に観ないわけにはいかない(笑)。「白い…」は昨今のドラマ俳優女優大集合みたいな濃さ。それにしても黒木瞳の艶っぽいこと…。江口洋介と矢田亜希子は不倫しちゃうんでしょうか。いよいよ年度末になり、モスクワも転出入が続々と始まろうとしている。日本に帰る家庭、次の赴任地に行く家庭、単身赴任になる家庭…ホント、いろいろです。日本人学校が中学部までしかないモスクワでは、高校へ進学するには・インターナショナルスクールへ入学する・日本へ帰国・欧州の私立日本校(全寮制)へ行く、というのが主な選択肢になる。ロシアの現地私立校へ入学するには、さすがにロシア語がきついという話(学力もかなり高いらしい)。そんなこんなで、今月は送別会&内輪のランチ・お茶会の頻度が増す。今週送別会があるので、往復でタクシーを予約した時のこと。予約するのは、いつも利用している会社。ところが、行きはいいが帰りに回せる車がないという。近くの日本食材店でちょろっと買い物してから帰りたかったしどうしよう…と思いあぐねていたところ、再びタクシー会社から電話が。「あなたと同じ時間の同じ場所に○○さんがタクシーを予約しているので、一緒に乗せてもらって帰ってきたらどうか」おいおい、一緒に乗せてもらえないか、って、そんなコト私に言われても…。○○さんとは、まさに同じ送別会へ行くコドモのクラスメートのお母さん。たまたま友人だったからいいものの、たまたま同じ場所に予約していた見知らぬ人だったらどうするんだろ?しかも、私たちの住まいが近所というわけでもない。(私の家が彼女の帰路の通り道にあると言えなくもないが)しかも彼女の都合も考えずにそんな勝手にコーディネイトしちゃってるし。日本だったら速攻「個人情報の漏洩」とクレームが来るぞ、きっと。機転が利くというか何と言うか、ヘンなところで利便性を図られても、こっちはどうしていいんだか。「とりあえず私から彼女に聞いてみます」それも何だかな、と思いつつ電話を切り、彼女に相談。幸い彼女も私と同じく買い物時間を見込んでタクシーを予約していたので、円満解決。でも、これで苦手な人とカップリングされたりしたあかつきには、どうするんでしょ?
2004年03月03日
コメント(4)
今日はピアノのレッスン日。今月末に発表会があることを先週知る。もちろん、後期試験は別にある。新曲は4曲練習していたので、その中から2曲に絞る。メンデルスゾーンとプロコフィエフの、メロディーのとても美しい曲。先生が弾く分には、ね(涙)先生に時間があったのか、レッスンが1時間半近く続く。さすがにぐったりである。バリバリに暖房がきいているので、喉も渇く。マサヨちゃんと二人、迷わず構内の学食へ向かう。学食といってもメニューも少なく、学食というより食べる場所のある購買部といった感じ。同じ敷地内に音楽高校があるので、高校生たちも侵略してくる。将来のムジカント(音楽家)だからか、アブない感じの子はほとんどいなくて、男の子なんて見とれるほどかわいい&カッコいい子が多い。女の子達も…日本のおやぢが見たら鼻血が出るんじゃないかな。ぴちぴちと透き通るように美しすぎて。ブリックパックの100%オレンジジュース一つに、キャベツ入りのピロシキ、デニッシュパン2種×2個、計5個。これだけ買って50руб(約200円)でお釣りが来る。しかもそのへんで売ってるパンより、ずっとおいしい。どのパンを売るかも作り手の気まぐれらしく(ニチェボーなのだ)、いつのぞいても並んでるパンの種類が違う。密かにコドモもファンなので、パンはおやつ用のお持ち帰りなのだ。さすがに私も、菓子パン5個は食べない。ペリメニ(ロシア風水餃子)、チャーハン(米は立派な主食)、パスタ(きしめんみたいでコワい)、ハンバーグ(冷凍食品?でも「手ごね」はもっとイヤかも)…、日本の学食に近いメニューも多少はある。同じモスクワの音大でもコンセルヴァトーリーのほうがメニューが豊富だという話も。ちなみにグネーシンではどれも使い捨て皿に盛られて、高校の文化祭のようだ。しかも、なぜか値段は書いていない(買いたければ聞けってか)。間違いなくパン類よりは割高だろうけど、それでも激安には違いない。ほとんどの学生達は迷わずパン+飲み物のセット。腰を落ち着けて食べる時間もないらしく、ビニールに入れたパンを持って立ち去る人も多い。お願いだからレッスン室で食べないでほしい…。ミートパイやピロシキの匂いがこもるんだもん(涙)。腐っても鯛、じゃないけど、今でもロシアは世界有数の芸術家輩出国。近い将来世界にはばたく音楽家達も、こうやって質素な学食でパンをくわえて楽譜とにらめっこしてるのね。その楽譜も買うのではなく、学校にある楽譜を実費コピーして使う。だから、コピー室はいつ行っても満員御礼。楽譜も高いものじゃないし買ってもいいや、と最初は思っていたんだけど、在庫確認もできない「お宝探し」のような店ばかりなので、必要な楽譜をすべて買い揃える手間暇が惜しいのだ。(反面、お宝が出てくることもあるけどね)もちろん、私もコピーをとってもらい、文房具屋で10枚12рубで買った厚紙に貼って使ってる。思わず、高校のブラスバンド部時代に戻った気分でございます。
2004年03月02日
コメント(2)
タイトルだけだと、江國香織の小説みたいだ。(それをイメージして来てくれた人、すみません)今日は午前中から友人が来ることもあり、朝食を作りながらお茶菓子作りを並行する。モスクワに来るまでは「手作りお菓子? ゲゲ…」と思っていたのだが(実際日本では作ったことなし)今は負担になることもなく、自分の楽しみのために作るようなもの。第一、手の込んだものは作らない(作れない)ので無理はしないし、何より「日本人の口に合うお菓子が食べたいっ!」というストレスの解消になる。プリンなんかも「何とかシェフのプリン」もいいけど、ハウスの「プリンの素」で作ったのも意外といける。プリンの素なんて、まさに100円ショップにありそう。小学生たちは、手間暇かかった焼きプリンより、こっちのほうがお好みらしい。食べる本人達に作らせたら、それこそ手間もかからない(笑)今日は1)しっとり系の「ベイクドチーズケーキ」(オーブン入れるまでが10分!)2)ライムの絞り汁を入れたシロップの「ライム白玉」 の2種を用意。どちらも、慣れてしまえば計量もラクで本当にカンタン。微妙な火加減とか不要なので、失敗知らず。ボールひとつでできるので、洗い物も少ない。事件は白玉のシロップ作りの最中に起きた。グラニュー糖と水を火にかけ、沸騰したらすぐに火から下ろす。これだけで透明なシロップができるはず、だった。ところが、そこで電話がかかってきたり何やらが続いてしまった。「すぐ戻ればいいや」と思いながら「電気調理台だから」という油断が出てしまったのだろう。すっかりシロップ作りをしていたことを忘れてしまった。時間にして、数十分。こういう時に限って電話が立て続けにかかってきてしまう。やれやれ、と思いながら、FAXのある寝室を出た瞬間「なんか、やたらこうばしい匂いがする…」透明なシロップは、黒く焼け焦げたべっこうあめの塊と化していた。しかも、火は出ないまでも、焦げた物体からかすかな煙が…。ちょうど廊下の掃除をする時間だったデジュールナヤ(管理人さんのような人で各階段に常駐している)が、怪しげな煙を察知して、ベルを鳴らした。玄関からキッチンが近い我が家、玄関の隙間から、かすかに煙が廊下に漏れていたらしい。(全然「かすかな煙」じゃないっつーの)ドアを開けた瞬間、デジュールナヤ二人は険しい顔を見合わせ「この家だわ」。「煙が出ているけど、どうかしましたか?」シロップが焦げてしまって…なんて事細かにロシア語で説明できないじゃん!困った私は、コネコネしていた「白玉粉」のボールと粉だらけの右手を見せ、「今料理中だったんですよぉ。だから大丈夫ですぅ」とひきつりながら笑顔を作る。それを聞いた途端、二人は「…ハラショー!」。なんだ、料理してただけなの、じゃいいわ、と態度が急変。しまいには「何作ってるんだ」「それは日本料理か」などと質問攻め。(ロシア人の間で日本料理はブームだし)今も白玉を茹でるお湯が沸騰しまくりなんですけど…と心の中で思いつつ、質問にお答えする。騒ぎを起こしておきながら、ちょい丁寧に料理を説明しただけで、ニコニコ御礼を言われている私。おかげで、我が家に来る人来る人「べっこう飴?」「カラメル?」「パウンドケーキ?」「りんご飴?」…と謎の「こうばしい匂い」の原因を追究。思いの他なかなか匂いは消えず、それだけでおなかいっぱい状態に。お菓子の香りで嗅覚を覚醒させるダイエット対策、意外と効果あるかも…。(でも反省してます。もうこんな失敗はしません…)
2004年03月01日
コメント(6)
夕方から夫とコドモはプールで一泳ぎ。モスクワ暮らしにおける運動不足&体力低下は本当に切実な悩み。だって、一年の半分近く雪の季節なんだよ。運動どころか、ウオーキングするのもままならないのだ。私も行きたいと思いつつ気が乗らないのは、十中八九日本人に会ってしまうこと。どうせ泳ぐなら、マイペースで人目を気にせず泳ぎたい。水泳は、一人で水に漂うからこそ気持ちいい、という部分もある。それが「あ、あれはどこそこ社の誰々さんだ」「××くんのお父さんだ」連発じゃ、リラックスにはならない。もし私が独身で20代、しかもナイスバディだったら? うーん、ためらわず行くかも(笑)。その後は近所の日本料理屋で合流して夕食。ここのところ来客も多かったので、今日の夕食ぐらいラクしようよ、と夫。いつも注文するベルギー産の生ビール、今日もよく冷えている。寒い冬場は室内は暖房がガンガン効いているので、ビールはひときわ美味しいのだよん。モスクワでは日本料理店といっても大抵は寿司屋である。ネタの品数が少ない店もあれば、斬新なネタで握っちゃう店も。サーモン、イカ、イクラはとても美味しいと思うけど、マグロや白身魚ははっきり言ってまずい。日本のほうが格段に美味しい。斬新なところでは、ナメコ、キャビア、しいたけ(の含め煮)、海草。ちなみにいずれも軍艦巻きだ。この店には寿司以外にもたくさんの日本食メニューがある。鳥肉照り焼き(テリヤキは海外で完全に市民権を得てますね。「テリヤキソース」のないスーパーはないんじゃないかな)、冷やっこ、う巻きタマゴ。味噌汁もお吸い物ももちろんあるし。ところが、今日は新メニューがいくつか紹介されていた。その中にあったのが、これ。「スイサカナ」メニューは日本の発音をキリル文字であてて書かれている。写真にあるのは、小さな鍋型の容器に入った、白身魚と豆腐。スープの色は無色。お吸い物は別にあるから、お吸い物でもない。なんだろう、スイって。答えは「水(すい)」だった。水餃子のギョーザが白身魚に変わったようなもの。そんな料理、日本にないんですけど。今にスイニクとかスイダンゴといったメニューが流行るんだろうか。見よう見真似で他店が追随…モスクワならありそうだ。スイサカナが市民権を得る日が来たりして…。
2004年02月29日
コメント(10)
モスクワにはたくさんの劇場がある。その中でも個性的なのが「ククラチョフの猫劇場」だ。ボリショイ劇場で演出?の経験があるククラチョフ氏が設立した(らしい)、ネコが主役の舞台。ここ数年は、夏休みに日本で出稼ぎ公演もしている。ネコ好きな日本人のハートをつかんで、連日満員御礼だったとか。世界各地での出稼ぎを終え、秋から始まった本拠地での公演。なかなか行く機会がなかったが、先日ようやくチケットをゲット!週末3日間、一日2回の公演なのに、売り切れていることが多い人気演目なのだ。家族3人で行くはずが、いきなり六カ国協議が一日延びたおかげで、夫は土曜出勤に。空席を作るのはもったいないし、と考えあぐねる私に夫が一言。「そういえば、オレのゼミの後輩が今モスクワに来てるんだった…」というわけで、ワシントンDCから出張で来ていた彼女を巻き込んで、猫劇場へ出掛けたのだった。劇場があるのは、雅子妃殿下が子ども時代に過ごした街・クツゾフスキー。猫劇場と呼ぶだけあって、劇場内の木製のドアにネコの模様が彫られている。性格悪そうな顔が、ネコ好きにはたまらない。こういうところに手をかけるところが、ロシアなんだな。会場には、両親や祖父母に連れられた子ども達でいっぱい。ワンピースやドレスを着てる女の子。ブレザーを羽織る男の子。まさに「ピアノの発表会」状態である。しかも鼻にピエロのようなダンゴをつけたり、触角に似たヘアバンドつけたり(会場で売ってる)。異様にテンションが高い…。このテンションの高さは、公演が始まってさらにヒートアップした。そんな観客(子ども達)の伸び伸びとした反応を見てるほうが、公演以上に面白かったりして。休憩時間にビュッフェに行き、ブリックパックのジュースを購入。1つ15рубで45руб。100руб札で支払おうとすると、店のおばちゃんが「5руб持ってない?」。ちょっと待って、と財布を見た私…しかし、時すでに遅し。おばちゃんは5руб相当と思われるチョコパイ1つを取り、それと合わせて、おつりの50руб札をよこした。私の手の中にある、買ってもいないチョコパイ。あっという間の出来事に、夫の後輩は唖然としていた。あっという間に2時間近い公演は終了。子連れで行く場合は「舞台に近い席」を選ぶといいです。チケットを購入する時に箱店のおばちゃんが「ここは舞台がよく見えるいい席」と勧めたのだが、(実際、かなり前方の舞台真正面の席。舞台を見るだけなら文句なし)コドモと見に行く旨伝えると「それは少し残念だ」と言った意味が判った。その後は庶民の生活を見たいという彼女と一緒に、いつものルイノックへ行って買い物。市場で馴染みのおばちゃんに抱きしめられたりする私の後ろで「ロシア人のおばあちゃんは、よくああやってハグするの」と彼女に解説するコドモ。さらに「買い物はすべてスーパーで」という、ごくフツーの海外生活をしている彼女に、コドモはご丁寧に精肉売場で肉のパーツ解説を始めた。「これは豚の頭、で、これはウサギ。これが牛のキン○マで…」最初はカンペキに腰が引けていた彼女も、最後はフツーに見ていた。さすが世界各地で暮らしてきただけある。粗末なビニール袋を手に、売り物にならない商品や客の小銭を集めているジプシーの子どもがいた。モスクワにも、数は少ないが物乞いをする人たちがいる。大抵は道の片隅に静かに立っているのだが、子ども達は違う。無邪気なのか遠慮がないのか、とにかく強引に物乞いをする。こんな小銭程度でいいのなら…確かに普通はそう思う。しかし怖いのは「この人はお金を渡す」と思われること。軽い気持ちでコイン1枚を渡したがために、今までどこに隠れていたんだというほどの大勢のジプシーの子ども達にたかられた人もいる。なので、無視するしかない。自分ができる人助けは他にある、と割り切って。夜は改めて彼女が我が家に来訪し、一緒に夕食を食べていった。英語が堪能な彼女は、首都でありながらホテル以外は英語が全く通じないモスクワに驚いていた。仕事ですら通訳が入ることがあるそうだ。多国籍の人間が暮らし、彼らがそこで学んだり仕事をすることを比較的躊躇なく受け入れるアメリカ。そこで生まれ育ったアメリカ人は、外国人が自分達の母国語である英語を話せて当然だと思うんだろうな。まあ、それがアメリカの本質的な欠点にもなるんだけどね。出張とはいえ、異次元なモスクワ滞在、あれこれ楽しんでいってね。お土産のうなぎパイ(号泣)ありがとうございましたー。
2004年02月28日
コメント(2)
一昨夜の無謀な夜更かしにもかかわらず、昨夜は夜10時45分からのドラマ「GOOD LUCK」を観る。これはまだ私が日本にいた1年前ぐらいにオンエアしていた気が。当時のキムタクが苦手で(笑)リアルタイムでは観ていない。ラ・テ(ラジオテレビ)欄でさかんにキムタクカッコイイと書かれていた気がするのだが、掘ちえみの「スチュワーデス物語」のリメイク的雰囲気を感じるのは私だけ?TBSのドラマだから? これがCXなら月9っぽくなったとか。キムタクのハマり役は、やっぱりロンバケじゃないかと思う。少女マンガに出てくる少年っぽさがあった頃が一番良かった。今はどうしても「オレさまオーラ」と工藤静香の顔がちらついちゃって。モスクワで日本語放送が観れるのは、衛星放送「JSTV」のおかげ。24時間放送、ニュースも一日数回NHKニュースがリアルタイムで入る。ドラマなどの娯楽番組もNHK中心だが何本か放送している。ただひとつ難点があるとしたら、時差。ヨーロッパ向けにはUK時間を基準にプログラミングされているので3時間の時差があるモスクワではゴールデンタイムも3時間遅れ。従って、夕食後の家族の団欒タイムに「アンパンマン」や「おじゃ魔女ドレミ」なのね(涙)今夜は金曜、「ポチたま」の日か。夜更かしできずに録画した回の「プロジェクトX」でも観るかな。時差のおかげで夜中12時前から始まるのだが、つい毎回見てしまう。おもしろい。あっという間に終わってしまう。しかも見終わった後は、ついあの語り口になったりして。ちなみに来月から「白い巨塔」が始まりますー。2連続クールでの構成、「これでもか」的なキャスティング(大河「新選組」と比較するとおもしろい)…。日本だとこれから終盤に入るのかな。一回観ておもしろいとくやしいので(笑)、年末の一時帰国で一度も見なかったこのドラマ。さかんに流れる短い番宣が、おおいに期待をあおります。ね、ヨーロッパ在住の皆さん!× × ×オウム真理教・松本被告の判決が出た。松本サリン事件の直後に生まれたうちのコドモは、今年10歳になる。我が家にとっても無関係とはいえない一連の事件。死刑判決を当時は信者の多かったロシアで聞くことになろうとは、当時は想像もつかなかった。ロシアのローカルニュースでも、トップで扱ってた。選挙運動でのミョーなかぶりものショーの映像、久々に見た。モスクワでも、赤の広場や「カラフル玉ねぎ」こと聖ヴァシリー寺院前でパフォーマンスしてた。紫一色の服装で異様な雰囲気。どう見ても教祖というよりは新宿中央公園在住のおじさんに近い。あぁぁぁぁ、日本の恥。六カ国協議、ハイチ無政府状態、イラク復興。チェチェン紛争を抱えるロシアの大統領選挙(2週間後!)、そして、アメリカ大統領選挙。2004年、これ以上恐ろしいことが起きないといいなと思う。
2004年02月27日
コメント(7)
確か、先週の水曜夜もリビングのソファで仮眠した気がする。ロシア語の授業の前夜。前もって少しずつやっとけばいいのに、結局はおおかたの宿題をためてしまう悪いクセ。ところがその宿題、問題文を読むところから辞書引きっぱなし。一つの練習問題を解くのに、えらく時間がかかる。ちなみに今苦労してるのが、名詞の格変化。あの幾種類ものパターンが覚えられないのだ。主格・生格・与格・対格・造格・前置格。例えば同じ「エレーナ」という女性の名前でも、エレーナの、エレーナへ、エレーナを…と格が変わるのに合わせて、エレーナ、エレーニ、エレーニェ、エレーヌ、エレノイ…と変化するのだ。単数・複数はもちろん、名詞が男性・女性・中性で規則は異なって、しかも例外もたくさんある。生活会話なら語尾をグジュグジュッとごまかしちゃえばバレないじゃん!(笑)と思ったりもするのだが、ロシア語の先生には聞き捨てならないことらしい(当たり前だっつーの)今日は、前回の授業で文法の問題集が1冊終わったので、新しいテキストを持ってきてくれた。先生の私物の貸し出し。94年版。一部、本の背中の部分がバラバラになっている。「古いけど気にしないで。新しい教材も出ているけど、これが一番いいのよ」外国人へロシア語で(←ここがミソ)ロシア語を教えるプロとしての自負。このテキストを使って、今までに何人の外国人にロシア語を教えてきたのだろう。この先生は今までも教材類を生徒側で買いなさい、とは言わない。基本は私物や大学所有の教材の貸し出し。どうしても手に入らない副読本などは、とても申し訳なさそうに実費負担を申し出る。普段の生活で「外国人ならお金を出す」とボラれることが多いのに、そういうことは一切ない。ノートも、後で書き込むかもしれないし、と私が2行開きで書いたりすると「もったいない。つめて書きなさい」。この先生は、1回目のロシア語の宿題をすべてゴシック体で書いた私に(というか、当時は筆記体自体が意味不明だった)「今日からすべて筆記体で読み書きしなさい」とのたまった。ロシア語は、ゴシック体と筆記体で全然形が違ったりするので、覚えるだけでタイヘン。それからしばらくは、一単語書くのに数分かかったっけ。今はゴシック体は、読めても正確に書くことができないと思う。当時はよくあんなビミョーな形の文字書いてたなーと、ヘンな所で感心したりして。2時間半ノンストップ、オールロシア語。しかも私のロシア語学習は前夜22時半から始まっている(笑)午後1時半。ようやく授業が終わったあとで、遅い昼食。家で弁当の残り物でもと思ってたら、今日は16時までお湯も水も出ないことを忘れていた。ゆっくり食べたいし、お茶もたっぷり飲みたい。でも、そうしたら絶対に16時までにトイレに行きたくなるじゃん(笑)!ということで、家の近くのカフェでひとりランチ。もちろん、ハローシー(きれい)なトイレであることは確認済み。広いソファー。適当な客の入り。おなかもいっぱいになり、念願のお茶もまったりと。あまりの心地よさに、爆睡するかと思った。
2004年02月26日
コメント(13)
ケータイもしくはパソコンで。今の日本は、相手とメール送受信ができて当たり前。バイク便や「お使いさん」を頼ってやりとりした画像やイラスト、レイアウトもメールで送受信。しかも距離を問わず国内外へ。本当に便利になった。でも、よく考えたら、ここまで広くネット環境が整ってきたのはここ数年のことなのだ。夫が留学していた数年前のロシア。大都市ですらネット環境が不安定で、手っ取り早く確実なのがFAXだった。当時はコドモが上手におしゃべりを始めたばかり。「パパとモシモシしたい」というコドモに、その時だけは電話代に目をつぶり、せかさずにおしゃべりさせたこともあったっけ。見よう見まねで書いた象形文字のようなコドモの名前だけが書かれたハガキを送ったことも。そのハガキは、今でも夫が大切に保管している。海外在住の日本人にとって、メールは何にも代えがたいコミュニケーションツールである。でも、その便利さを十二分に享受すればするほど、手書き文字の良さ・郵便の有難さもはっきり見えてくる。今日、7777番のキリ番を踏んでくれたHN・コーリャさんに送った「あるもの」が届いたとメールをいただいた。郵便局で切手を貼らずに窓口に出すと、局員さんが料金分の切手を貼ってくれる。この封筒に貼られた切手の何と芸術的なこと。切手がじゃなく、貼り方がね。お手数かけて申し訳ない、と思ったのは最初の1回目だけ。位置といい、水のつけかたといい、切手の貼り方に全く配慮がないのだ。前なんて、ハガキの宛名が全部にじんで消えそうになるぐらい水つけたからね。貼り方にしたって、幼稚園児でももうちょっと上手に貼れそうな気がする。曲がって、離れて、ちぎれて。見事真っ二つになった切手、平気で貼ってましたよね、コーリャさん。と同時に、楽天日記の子育てカテゴリでは有名なHN・マドレボニータことマコさんからも、厚ぼったい封筒に入った手紙もろもろが届いた。うーん、ありがたい。手紙はもちろん、わざわざ送ってくれた(しかも自発的に)その気持ちが、何よりもうれしくて。ワケ分からないキリル文字見て宛名書いてくれて、重たくなった分、郵便局の窓口で送料を確認してくれて。たった1通でも、手間隙かけて投函された手紙なのだ。ハガキ一枚でも、たとえ短い文章でも。手紙はいろんなものを運んできてくれる気がする。つい先日、友人がメールのやりとりで生じたニュアンスの行き違いをこぼしていた。いつものフォントと行間でしか伝えられない、微妙な思い。会話や手紙なら何となく伝わりそうな気持ち。メールだからこそ、意識して「文章」で伝えなければならなかったことを、彼女は悔やんでいた。確かに、そういうことはある気がする。「開封通知付きメール」が来るときのある種の緊張感も、ちょっと似てるかな。アナログな文通相手大募集しよっかなー(笑)。唯一の条件は、ロシアのニチェボーな郵便事情に理解のある人、ということで。
2004年02月25日
コメント(14)
今日は朝から出掛けっぱなし。無差別テロがあったり、もうすぐ大統領選挙があったり(そういえば今日いきなりプーチンが現職首相解任しちゃうし)さらには在留邦人がトラブルに巻き込まれるケースが増えていて、モスクワ、ちょっと用心しろよ、てな感じです。なので、外出はもっぱらタクシーか同行者などの私有車両になっている。これは、お金持ちっぽいことでも何でもない。身の安全を守るための必要手段。現在は大使館からも注意情報が出ている。ロシア人ですら、公共交通機関での外出を懸念しているような現状なのだ。『「こわい」「なんかいやだ」と思ったら乗らない・行かない』これだけでも立派な危機管理だ。こういうことって、表面だけとらえると「すごいゼイタク」と誤解されそうだが、外国人(日本人)というだけで見知らぬ人から狙われる海外から見たら、好きなときに一人でバスや電車で買い物に行ける日本のほうが、ずーっとゼイタクなんだけどな。今日はランチでおいしいイタ飯を食べる。何度も来ている店なのだが、リゾットも美味しいことが判明!リゾット、パスタ、ピザをシェアし、炭酸水に食後のカプチーノ。どれも大満足の味でワリカンしても1000円いかない…。モスクワでは珍しい、コストパフォーマンスのよいお店。ピーク時は混んでいるのが唯一の欠点。なので、いっつも席を予約してから出かけてる。そして、午後はピアノのレッスン。後期授業が始まったばかりだからか、やたら人口密度の高い音楽院校内。狭い廊下をいろいろな楽器を抱えて往来する生徒達。叶姉妹のような胸開きドレスを着て歩く声楽科のお姉さんもいれば、廊下の隅でオーボエのリードを削ってる人がいたり。左右の眉毛がくっついた(!)ちょっとおちゃめなお兄ちゃんは、年季の入ったタクト(指揮棒)ケースとフルスコアを持ってボーッ…。彼の指揮だと思わず笑っちゃったりしそう…。高校生の頃は特に、ささいなことで笑い転げて合奏練習止める人必ずいたもんなー。今日は新曲を3つ。メンデルスゾーン2曲とプロコフィエフが1曲。どれも美しい曲で(うまく弾ければの話)自分の好み。教授は、今後大好きなベートーヴェンソナタも考えてくれているようだ。なんか楽しみー。難しいけどさ。ここ数日、気分はすっかり『のだめ』(カンペキにハマっている…)マンガに出てきたラフマニノフの2番、モスクワにいる間に弾けるようになりたいな…。でも、指が届かない&回せないところ多すぎ。ラフマニノフの手が大きかったという話は、譜読みすればするほど痛感。でも、音楽院でも大学寮内のドロボーは日常茶飯事なんだって。ピアノは盗まれることはないだろうけど(ロシアならありそうだが)持ち運べる楽器の人はコワいよねー。もっと治安よく安心して練習に打ち込める環境が整って、才能ある生徒や教授陣が活躍できる場がもっと増えたなら、芸術に関してはロシアは世界に敵なしなんじゃないかと思う。
2004年02月24日
コメント(4)
ロシアの3連休最終日。日本は平日ゆえとりあえず仕事、の夫を見送り、『のだめ』(数日前の日記参照)6~7巻をベッドで読み返す。余韻にふけるのもつかの間、明日はピアノのレッスンという現実を思い出し、ピアノに向かう。後期は課題曲が倍増している(涙)ヘタウマな肖像画が表紙に描かれたプロコフィエフのエチュードを練習する。この曲、指があっちゃこっちゃに飛ぶので、気分は山下洋輔である。午後になり夫が一旦帰宅したので、小一時間外出することに。以前は近所で安全な場所になら、私一人でも問題なくバスで行き来していたが、最近は移動はすべてタクシーに変えている。外国人はもちろん、ロシア人でもメトロの利用を躊躇する人が増えたと聞く。しかも、今日はロシアの祝日。大使館情報で指摘されるいわゆるいわくつきの場所へは行かないなど、外出先も限定される。ドーム近くの大きな通りにバス停があるので、そこでタクシーを拾おうとする。流しのタクシー(見るからにタクシーっぽい、白タクとは違うほうね)も、ロシアでは乗る前に料金交渉が必要。これを忘れて乗ると、目的地に着いて法外な料金を請求されても文句は言えないのだ。以前、メトロで行けば2駅4分の距離を交渉せずにタクシーに乗った出張者が、1500руб(約6000円)を請求されたことがあった。タクシー代1500руб。ちなみにメトロだと5рубで済んだ。割高な予約タクシーでも、これだけ払ったら7~8時間貸切で乗れるはず。そんなこともあって、流しのタクシーの交渉はもっぱら夫(男性)に任せている。バス停近くの路上に出て、タクシーを待つ夫。遅れて後を着いてきた私とコドモに、なぜか夫は「あっちを見るな」とジェスチャー。あっち、とは、バス停のあたり。マズいものを見るようなしぐさに、てっきり酔っ払いが店を広げている(笑)のかと思う私。しかし、それは甘かった。そこにあったのは、明らかに息をしていない男性の死体だった。作業着のような服装の、がっちりした体格の男性。袖口からのぞく、汚れではなくどす黒く変色した手の甲。見るに見かねて誰かがかけたのだろう、顔には所帯じみたタオルが。周囲に血痕があるわけでもなく、ただその場に倒れている。よく見ると警察もいるのだが、現場検証をするわけでもなく、若い警官が「どうしたもんかねー」とでも言いたげに、指示待ち状態。確かにそこはバス停。驚いたことに、死体の転がっている脇で、フツーにバスを待つ人がいる。「冬場に生き倒れて凍死した人を見慣れてマヒしてるんだろ」こいつら信じられねー、と言いたげな表情で夫が答える。あまりに何気なく倒れていらっしゃるので、コドモも状況をつかめない。乗ったタクシーの車内で、ようやく状況を把握。「殺人事件のドラマみたい…」と気味悪そうに言う。重苦しい気分で買い物(しかも楽しいイベントのチケット…)を済ませ、約30分後に戻ってくる。なんと驚いたことに、まだ死体が転がったままである。しかも、さっきまであったパトカーもない。相変わらずバス停にはバス待ちの人(さすがに死体を遠巻きにしてはいたが)。ガクガクブルブル…。何とも言い表せない重く暗い気分。フツフツした気持ちを、近所でのソリ遊びで忘れることに(笑)。子連れのロシア生活では、MYソリを持つのはお約束だ。ソリ滑りに最適な坂のある空き地には、子ども達が作るソリコースがいくつもできている。ほっぺたを真っ赤にしながら歓声を上げて滑走するコドモの姿に、ちょっとホッとする。
2004年02月23日
コメント(9)
夜、友人家族4人が遊びに来た。親公認で男の子3人が夜遊び(しかも親もゆるゆるになる…)。放課後、自由に遊べる時間や環境が少ないコドモたちには何よりの楽しみだ。親の私たちもそれは同じ。お店の人やコドモを気にせず、ゆっくり食べて飲んで話せるわけで。「これ、どうぞ-」手土産にと持ってきてくれた高級スーパーの丈夫な袋。う、重い。中を見てビックリ。チョコが何十種類も袋に詰まってるー。しかも美味しいと評判のウォッカ「プーチンカ」やワインまで。うれぴい。ありがとう。「ここまでいろんな種類のチョコ、まだ食べてないでしょ?」私たちよりずーっとモスクワ暮らしの長い家族。物をくださったこと以上に、いろいろ考えて選んでくれたその気持ちがうれしい。ロシアでは、おうちにお呼ばれした際に手土産持参、はお決まりだ。ロシア人の間では、花束やチョコなど甘いお菓子などが一般的と聞いている。大げさなものでも、高価なものでなくてもいい。我が家も、今までに数え切れないぐらい手土産をいただいたり持っていったりした。いただいた手土産で印象に残っているものもいっぱいある。こんなのよく持ってきてくれたなーといった、重いテッポウ百合の鉢植え、路上で売っていたもぎたてのフルーツ、日本に一時帰国した人からのコンビニで売ってるような期間限定お菓子、もちろん、手土産の王道・手作りお菓子やお惣菜も…。日本みたいに、ちょっとそのへんのお店で気の利いたものが揃わない分、「今評判のシェフの何とか」や「有名店のアレ」でなくとも、その人にとってうれしい手土産がいっぱいあることに気付く。最初はテレビゲームをかじったコドモたちは、そのうちコマ回しに興じている。コドモの保育園時代の先生(つっちー)が、「ロシア人のお友達と遊べるといいね」とくださったコマ。皆で使えるようにね、と、色違いで4つくださった。まだモスクワに引っ越す実感のわかない、保育園仲間とのお別れ飲み会の時のことだ。保育園では毎年冬になると、先生もコドモ達もコマ回しに熱中していた。その甲斐あって、コドモはコマのひもの上をツツーッと走ったり手に乗せて回したり、といった、コマおんちな私から見ると染ノ助染太郎ワザのような芸まで習得している。「すげー」「オレもやってみる」コドモたちは、あっという間にコマのとりこになる。日本だったらできないな、家の中でコマ練習、しかも夜間だし。さらに、そのうち「どれどれ」とちょい指導に入ったはずのお父さんたちのほうが熱中している。しまいには、コマをカンペキに取り上げる(涙byコドモたち)。そのうち昔のカンを取り戻すと、次は「ケンカ(ゴマ)する?」。観葉植物を置いている木製の台を土俵代わりに(涙by私&ハッパ)びゅんびゅんコマを飛ばしている。あまりの盛り上がりぶりに「よかったらコマお貸ししましょうか」と言うことも。ちなみにお母さんたちがコドモから取り上げるのは、「太鼓の達人」のタタコンだ。コドモのお迎えに来たはずが、しっかり自分がハマってしまう。まさに「ミイラとりがミイラになる」状態だ。「いやー、けっこう難しいよねー」と難曲を極める自分に感動し、「でもゲーセンの『太鼓の達人』のほうが叩き甲斐があるわー」と日本に思いをはせる。ちなみに、「太鼓の達人」はロシア人のお客さんにも人気。面白いだけでなく、あのミョーな日本っぽさがたまらないんだろうな。というわけで、つっちーがくれた色鮮やかなコマたちは、ロシア人のコドモではなく日本人のおやぢたちに人気沸騰中なのでした。おしまい。
2004年02月22日
コメント(2)
今日からロシアは3連休(月曜が祝日)。本当ならスキーや小旅行でも行きたいところだが、(当初、夫は「コドモと二人でサンクト(ペテルブルグ)でも行って来たら?」と投げやってた)行きたかった例のプールも崩壊したし、自宅周辺で過ごすことに。で、いつものように朝から買い物に行く。夫は仕事で手が離せず、コドモと二人、予約したタクシーでまずはルイノックへ。いつものように、ここで買うのは野菜と果物だけ。だけ、といっても、現在の食生活における野菜消費量はかなりのもの。3食(私の昼食は朝の残りだったりするけど)自炊して、コドモに弁当持たせて、しかも肉魚が不足する分を豆料理などで補給するとなると、必然的に野菜や乾物が大活躍することになる。日本に帰ったら、もう「らでぃっしゅぼーや」の野菜を持て余すことはないな(笑)、と。で、同じような品揃えの店がいくつも並ぶ中で、品物を物色。まとめて買うと値引きしてくれることも多いし、パッパッと終えたい。「この間マンダリンを買ってくれた人ね!」売り子のお姉さんが声をかけてきた。あ、ほんとだ。私は彼女から先週おいしいミカンを買っていた(しかも試食させてもらってから)。「今日はこのトマトがとても新鮮。フルーツみたいに美味しいから試してみて」このところ毎週買っている小粒のトマト。普通のトマトより値段ははるが、身がしまってて確かにとても美味しい。それじゃあ、と、他にキュウリやブドウ1房、イチゴ1パックなどなどを購入して、お会計。「今回もありがとう。これはおまけね」とレモンを3つ入れてくれる。日本人に限らず、外国人はロシア人なら高くて手を出さない品物でも、自国の食習慣から購入することが多い。例えば、ホウレンソウ。青菜の中では高値で、大きな1束でだいたい40руб、約160円で買う。だが「日本人(東洋人)はホウレンソウ好き」という認識があるのか、ルイノックでも「ホウレンソウあるよ」と声をかけられるのは日常茶飯事。続いて、土の中系の野菜を買う。じゃがいも、にんじん、ビーツ(ボルシチの赤い色を出すアレね)…。キャベツやニンニクも一緒に。そこでも、お姉さんが「ニンニク倍量」サービス。「来週もうちで買って」と熱い視線。さらに次の店では、1つ40рубのホウレンソウを3つ100рубに値切った(笑)にもかかわらず、サラダ菜を1株おまけ。「この間はご主人がいたのに今日はどうしたの?具合でも悪いのか?」げ、そんなとこまで見てるか、このバアちゃんは。「来週もこのかわいいチビちゃんを連れていらっしゃいねー」コドモは熱い抱擁を受け、見送られる。最初は小さな親切に感謝していた私たちだったが、あまりの連続に「もしかして、私っていいカモになってる?」と不安に(笑)。でも、続いて買い物するロシア人との値段のやりとりを聞き耳立ててみても、私がボラレてるってワケじゃないんだよなー。似たような店が濫立してる分、やはり競争が激しいのだろう。帰りに郵便局へ寄る。絵本作家(挿絵画家?)の生誕125周年切手、というのを購入。ロシア人は記念切手に執着がないようで、記念切手にこだわる私が珍しいらしい。いつも所用のついでにその日売っている記念切手を買う私に窓口のオバちゃんは「今日はいい切手入ってるわよ」と教えてくれるようになった。忙しいとプチギレするし愛想も悪いが、そう悪い人ではないらしい(笑)。
2004年02月21日
コメント(2)
もともと料理本&番組が好き。料理やグルメ系企画の取材や執筆もしてたし、上手下手は別として、料理するのも好き。うちメシだけでなく外食も大好き。美味しいと評判の店へ行っては、味やレシピをお持ち帰りさせてもらった。ちなみに、昨年の一時帰国でハマってたのは、「キヨズキッチン」(代々木上原)のランチ。8ヶ月のモスクワ暮らしで、ホンモノの味のする野菜や和風食材に飢えていた私に、キヨズのメニューはまさに「つかみはオッケー」的存在だった。人気が出た今はデパ地下などでテイクアウトこそできるけど、キヨズは本店で調理したてを食べるのがイチバンだよ。余談だが、小手先勝負で「美味しい」を演出しているお店は固定客がつかない。開店当時は宣伝費つぎ込んであちこち露出しても、客入りが先細りし、いつの日か消滅する。本当に美味しい店は、分かる人達に愛され、細く長く続くよね。ちなみに、キヨズのある界隈は、目立たないが美味しい店の多い場所。月並みだが、吉田シェフの中華「Jeeten(ジーテン)」のランチも好き。必ずカウンターに座って、料理の食材と手際を凝視してる(笑)かなり怪しいかも。で、今モスクワで唯一見ることができる日本の料理番組は「きょうの料理」古臭い月刊誌(スミマセン)のイメージが強くて、扱うレシピや講師陣も万人好みだろう、なんて思ってた私が間違ってた。さすが日本放送協会。派手な宣伝こそ打たなくとも、旬の人をしっかり使っている。これは趣味系の番組でも言えることだが。旬かどうかの判断は個々にお任せするとして、私がチェックしてるのは、グッチ裕三の「時間限定料理」。3品作って15~20分だったかな(←いい加減な視聴者1名)その手際よさはもちろん、私がいいと思うのは、簡素化できるところはとことん省く「作り手としての生活感」。実生活の中で腕を振るっているのは、彼の選ぶ食材を見ても分かる。よく、料理本で「急なお客様の時のお助けメニュー」などと銘打って、「んなモン普段買ってないよ」的な食材や調味料を使うものもあるでしょ。グッチ裕三のレシピには、そういうのがない。至極シンプル&庶民的な調味料と保存食品を駆使する。つまり、日本の旬の生鮮食料品が手に入らない私のような海外生活者でも真似できるレシピが多いのだ。数日前の放送で見たのが、『ゆず胡椒ペペロンチーノ』詳しいレシピは諸問題でひっかかると面倒なので書かないが(笑)「ゆず胡椒」さえ日本から持参していれば、海外で味わえない和風パスタが堪能できる。おぉ、うちでもできるじゃん!!ここ数年「ゆず胡椒」を愛好、当然モスクワにも持ち込んでる我が家。他に使うのは、常備食材のニンニク、パスタ、オリーブオイル、中華だし。しかも、気抜けするほどレシピはカンタン。火曜日の夕食、昨日のコドモのおやつ(コドモもハマってる)と、すでに2回も作ってしまった。ちょっとしたコツもつかんだ。パスタは芯が残るぐらいで上げること。ニンニクは低温でホクホクするぐらい丁寧に炒めること。本当は九州の某地方婦人部が作っている「ゆず胡椒」(瓶入り)が一番のお気に入りなのだが、今はチューブ入りの他社製品を持ってきている。香り高い前者と比較すると物足りないが、保存のしやすさと輸送し易さを考慮すれば、今はこれで納得。今抱えている目先の仕事がひと段落ついたら、ずっと見出しだけになっている『お取り寄せ』ページを開設しよう。一時期、単行本化する動きもあった某誌での2年間の連載。しかも、うち1年半は週刊。自分で撮影して、記事書いて。忙しかったけどおもしろかったなー。しかも、ネタは過去の自分のお取り寄せ歴から選ぶだけ。趣味と実績が直結した、文字通り美味しい(笑)仕事だったなー。
2004年02月20日
コメント(4)
数日前の私の日記のタイトルから発展して、友人と、不朽の名作・マンガ『いつもポケットにショパン』話でメールで盛り上がった。「ドラマ化するなら、きしんちゃん(主人公の音大生)はキムタクしかいない」「この頃のくらもちふさこ(作者)はすごすぎる!」「『麻子はシチューが得意です』by麻子の母(超内輪話)」とか…。あまりに盛り上がりすぎて、彼女は速攻アマゾン経由でたんまりマンガを買い揃えてしまった。(いいなあ、日本…)その後日談。「『いつも…』が好きだったら、気に入ると思う」そう彼女が断言して、わざわざモスクワくんだりまで送ってくれたマンガがあった。それが、『のだめカンタービレ』(二ノ宮知子・講談社)ありがとうタカノさん、『のだめ』7巻、検閲されることなく、無事届いたよー。しかし。次のロシア語の宿題と復習が死ぬほどある上、そういう時に限って締め切り前の原稿まで複数ある…。理性ある私(どこに?)、『のだめ』を手に取るのをやめておいた。そして夕食。「のだめ、おもしろい。今3巻でさ…」とコドモ。うぅ、私より先に読んでるし。楽しみが減るから、それから先は言うなっつーの。でも、寝る直前、誘惑に負けてベッドで読んでしまいました。……おもしろい!!!このマンガの感覚を私が気に入る、と踏んだ彼女の読みはあまりに正しかった(涙)ベッドサイドのライトが明るくて眠れないと嘆く夫の意見も速攻却下。とりあえず、と持ってきた2巻、一気に読破。というわけで、続巻、お言葉に甘えてお願いします。(ちゃっかり)『のだめ』の内容は書かないでおこう(笑)ちなみに、単行本の帯が言い得ている。青春クラシック音楽コメディ!!~変態だけど、ピアノを弾いたらすごいデスヨ。~日本ではすでに超有名作品なのかも知れないけど、まだの人、ぜひぜひ読んでみましょう。海外在住の活字とマンガに飢えた日本人の皆さんも、高い送料かけてまで送ってもらう価値は大いにアリです。個人的には、銀座勤めのマリコさん、あなたに一番に勧めたい(笑)社会人的にはコドモの学校の授業参観&保護者会があったりして、貞淑な保護者らしいこともした一日なのでありました。
2004年02月18日
コメント(2)
近頃、コドモに口うるさく注意していることがある。「ドーム(日本でいうマンション)の壁際を歩かない」こと。それはなぜか。建物やドームの屋根や軒下にできた見事なつらら(氷柱)がまっさかさまに落ちてくる可能性があるからだ。モスクワのつららは、手でポキッと折れるようなヤワなもんじゃない。まさに文字通り「氷柱(←つらら)」なのだ。長さはゆうに4~50センチを超える。いや、それ以上あるに違いない。しかも硬くて太い。(←なんかエッチくさいぞ)自動車のボンネット下に出来る小さなつららですら、カチカチに凍り付いていて手で折れないことがある。そんなつららが軒下にジャラジャラ下がっているのだ。漬物用の大根を干したような、鍾乳洞状態というか、巨大人食いザメの歯というか。とにかく、圧巻。あんなつらら、見たことない。管理のいいドームは、屋根上やバルコニーの雪を定期的に落としているようだ。何回か、高所恐怖症の私には傍で見るのも恐ろしい「屋上の雪落とし」を見かけたことがある。しかし、そうでない建物や手に負えない場所は、好き放題つららが成長している。あれが頭上に落ちてこようものなら…想像しただけでガクガクブルブルである。絶対、毎年何人かは「つらら直撃」で死んでると思うぞ。殺人事件の凶器に「つらら」。ロシアならこれもアリかもしれない。しかもアリバイは溶けて消える。好都合だ(何に?)そんなわけで、ロシアの冬の必需品「帽子」は、春先は「つらら」から身を守るプロテクター代わりになるかもしれない。
2004年02月17日
コメント(4)
日本のニュースでも継続報道されているらしい、室内プールの屋根陥落事故。日中、友人たちと会った際もその話で持ちきりだった。奇しくも、この週末に行くはずだった(!)という人もいれば、我が家のように近々行こうと思っていた人がほとんど。新しくできた施設で、比較的近い場所にある。街中や新聞雑誌で広告がバンバン出ていた、まさに旬のレジャー施設。恒常的に運動不足に悩まされているモスクワ生活だけに、「冬季に運動できる施設」は外国人にもロシア人にも救世主のような存在だったのだ。ニュースで「被害者の中に日本人がいるかは不明です」というお決まりのフレーズがなかったのは、入場の際にパスポート提示を求められるから、という話。フロント部分は潰れなかったから、入場者人数や国籍内訳が把握できたからじゃないか、と言っていた。なるほどー。でも、あの事故が日中起きていれば、事故に巻き込まれた日本人がいても不思議じゃない。「命がいくつあっても足りないよー」ただでさえ紛争を抱えテロの危険と背中合わせな国だけに、ほーんとシャレにならない。そこから始まったのが、ロシアの建築物のモロさの話。実は今、中心部を離れた至る所で、超高層マンション建設のラッシュなのだ。ただでさえ天井の高い建築様式なのに、数十階建て。しかも、メゾネット・トリネットありーの、建物内に駐車場や温水プール、フィットネスクラブありーの、といった高級マンションも多い。当然上層階はペントハウス並みのだだっ広い部屋(つまり柱が少ない)。その建築ペースが気持ち悪いくらい速いのだ。あんなに仕事が非効率的で緩慢(笑)なのに!シロート目で見ても、日本のように鉄骨をガンガン立てて…という建築方法ではないようだ。しいていえば…そう、レゴで塔を作る感じに似ている!自宅近くで改築中の外国人専用(というのだから設備はいいはず)医療施設建設場所も、毎日見るたびに煉瓦の壁が高く重なっていく。まるで「3匹のこぶた」の煉瓦のおうちのようだ。地震のない国ではあるが、爆発事故や火事が起こったら、あっけなく崩壊しそうだ…。私の場合、エレベーターが止まった時点で、自力で1階にたどりつく前に足腰が崩壊しそうだが(笑)さらに、去年、市内のどこだかの橋が陥落した、という話でも盛り上がった。日本なら神田川にかかった歩道橋が落ちただけで大ニュースになるだろうに。地震もないのに、どうしていきなり崩れるかなー(涙)
2004年02月16日
コメント(6)
昨夜モスクワからほど近い大型室内プールで屋根陥落事故。昔あった「ワイルドブルーヨコハマ」(懐かしすぎ…)みたいな複合施設。しかも、そこって「今度遊びに行こう」と話していたところ…。臨時ニュースを見ながら「またひとつ娯楽が減った…」と思ってしまった私。不謹慎でした。すみません。地下鉄テロといい、今回の事故といい。日本でニュースが流れるや否や、電話やメールをくれる親や友人知人の皆さん。ありがとうございます。うれしいっす。本当は、もっと明るいニュースでモスクワの近況を知ってもらいたいなと思いつつ。× × ×コドモの宿題のひとつに「日記」がある。毎日ではないが、平均すると週に2~3日分は書いているはず。週末のイベント報告のような日記から、日々の雑記や心の声のような日記まで、いろいろ。ひとつひとつ丁寧に見て赤ペンで一言書いてくださる担任の先生には頭が下がる。さらに、毎週末発行する学級通信に、必ず数人の日記が掲載されている。学校の様子はもちろん、各家庭の様子も赤裸々に見えてきて、楽しみにしている保護者は多い。普段顔を合わすだけでは計り知れない、お父さんお母さんたちの知られざる一面がのぞけること数知れず。まだまだ子どもらしさが多分に残る年ゆえ、「これを書いたら恥ずかしい」意識も薄く、実にのびのび書く子ども達。それが面白くもあり、コワくもあり(笑)。先日、コドモはこんな日記を書いていた。正確には「らしい」。我が家では学校に提出する前の日記検閲は行わないのだ。・・・・・・・・・・・・・・・・・今日、お母さんが何かを飲んでいました。「何を飲んでいるの?」と聞くと、お母さんは「○○くんのお母さんにもらった『ゆずジュース』よ」と言いました。ゆずジュースを少しコップに入れて水に薄めて飲んだら、とてもおいしかったです。すると、お母さんは、「お父さんには言わないでね。教えるとガバガバ飲んじゃうから」と言いました。ぼくは、なるほどな、と思いました。(終)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・学級通信に、このゆずジュース日記は掲載された。コドモは帰宅するな否や、自分の日記が掲載されたのを大喜びで知らせてくれた。良かったねーあははは…あはは…って、私のことじゃん!ここでは書き控えるが(笑)、先生のコメントもナイスだった。職員室やご自宅に持ち帰って日記を添削されているんだろうか。笑いをこらえるの、必死なんだろうなー。× × × ×先週から続く模様替えも落ち着き、すっきりした我が家。今夜は東京からお客さんが来るので、楽しみだー。
2004年02月15日
コメント(2)
1月に出した寒中見舞いが日本国内でじわじわと届いているらしく(笑)、受け取った友人知人から、メールが届くことが多い。普段連絡を取り合っている人はもちろん、年賀状だけのやりとりだった懐かしい人たちまで。普段がメール頼りのコミュニケーション一辺倒な分、手書きのよさを改めて感じてる。今年は出しますよー、アナログな手紙も。ただ、手紙は所要日数平均で2週間、いつ届くかわかんないのが玉にキズ。私が出した手紙が届いたら、ぜひ到着メールください(笑)× × ×そんな懐かしい人たちからのメールで多いのが、「一体ナニを食べて暮らしているの?」という質問。物のない社会主義時代のイメージがまだまだ強いんだわね、モスクワは。例えば、主食。黒パンばかり食べてないです。多分、多くのロシア人も。 米、食べてますよー。むしろ、日本にいるとき以上に。スーパーでも、ものすごくたくさんの種類の米が売られている。生産国、米の種類、香り米…寿司用の米、というのもある。日本米も日本食材店で扱っているが、個人的においしいと思えない(すみません…)。日本のように精米したてや精米日から日が浅い新米を食べるのに慣れてしまうと、古米(古々米?)特有のぬか臭さが気になって仕方ない。いくら銘柄米と言われても、うげげ、みたいな。なので、数ある外国米の中でも「これなら」と勧める日本人の多いイタリア米(新米)を食べることが多い。淡白な味と粘りのなさが物足りないが、ちょっと工夫して炊けば、十分おいしく食べられる。しかも、ものすごく安い。近頃値上がりしているとはいえ、それでも1キロ200円以下。おかずに合わせて日本から持ってきた玄米を加えたり、各種雑穀、胚芽押麦、黒米、アマランサスなどを混ぜたり。味噌汁も欠かさないし、野菜中心の副食は日本と同じ。肉や野菜の出番が減って豆類を使うおかずが増えたり、出来合いの惣菜が買えない分、古き良き時代の日本の食卓に近かったりします。パスタも、メーカー・種類ともに豊富。有名メーカーの輸入品も多い。私は使いこなせそうにないので、つい決まったパスタやマカロニを選びがちだが、チャレンジする楽しみも大きい。コイル状のマカロニは味がよく絡んで美味しいし、リゾット用の米粒パスタはサラダなどクスクスと同じように使えたり。ただ、外で食べるパスタは異様にまずい。麺が柔らかすぎ。離乳食にもなりそう(笑)奇跡的に美味しいお店は数少ないが、さすがに繁盛している。意外なことに、パンはおいしくない。パン好きにはつらいだろう。うちも、数少ない美味しいパンを買える時に買って食べるか、自分で焼く。凝った事さえしなければ、今は時間も手間もかからない手作りパンレシピもいっぱいあるし。そんなわけで、期待に添えないぐらいフツーモ-ドな我が家の食卓。今日もルイノックでたんまり野菜と果物を買い込んできた。「極小いよかん」のようなみかん(マンダリン)も。身がしまってるのにすっごく糖度が高くて、オイシイ…。来週も1週間、うまいものをバリバリ食べるぞー。○追伸○ルイノックの精肉売り場で「三匹のこぶた」発見。皮はきれいにはがされて、血の気もなく真っ白。まつげがついたまま、目を閉じて3匹眠るように並んでました。合掌。
2004年02月14日
コメント(16)
久々に雲ひとつない晴天。太陽も出ている。うれぴい。しかし、素直に喜んでもいられない。なぜなら、こういう日こそ外気が冷たく温度が低いから。案の定、氷点下12度。これだよ。世界の天気予報で見た「ホノルル 最高気温29度&最低気温22度」が恨めしい。午後から近くの食器屋にちょろっと買い物へ行く。テロ以来初めて乗るマルシェルートタクシー(相乗りタクシー)。定員も少ないので、挙動不審な人が乗るかどうか、チェックしやすい。距離に関係なく、料金は定額制。運転手さんがきちんとチェックしてるので、バスのように(笑)キセルが不可能。バスやトランバイ(路面電車)には平然とキセルするロシア人が本当に多いのだ。ところが、メトロやトロリーバスを乗り控えてマルシェを利用する人が多いのだろうか、利用者そのものはもちろん、今までには少なかった「近距離で乗り降りする人」が多かった。私と同時に、4~5歳の男の子を連れたお母さんが乗車した。小さい子は座席に座らない(大人の膝の上など)場合は無料らしく、お母さんは一人分の料金を支払っている。しかし、子どもの目の前に、ぽっかりと席がひとつ空いていた。「ママ、座りたい~」子どもが言う。「ダメ。立ってなさい」とお母さんがたしなめると、「Почему…(パチェムゥー、和訳:どうして~)」子どもは映画のチェブラーシカのような舌足らずな声ですねている。「Нет(ニェット:だめなのよ)」とお母さんが首を振るたびに「パチェムゥー、ヤー、ニハチュー(立っていたくないよぉ)」とまさにチェブラーシカ状態。近くにいたおばあちゃんが、すかさず「座らせちゃいなさいよ」と声をかける。ロシア人のお年寄りは、本当に子どもたちを可愛がってくれる。もちろん他人の子をね。性別も人種も関係ない。ありがたいことだ。× × ×今日は学校で社会科見学があったコドモは、博物館見学で得た知識を披露したくて仕方ないらしい。「ご飯のときに聞くから」と言うものの待ちきれず、キッチンで、夕食を作る私の後ろでウロウロしながらウンチク三昧。小学生は、こういうところが本当にカワイイ。途中帰宅した夫も「へぇー、ってことはさ…」と話を突っ込んでくるものだから、キッチンはにわか「もの知り一夜漬け・ロシア編」的雰囲気に。途中から、日本史選択だった私は、話についていけなくなる(涙)× × ×夕食も済み、お決まりの「おしん」を見る。昨春からJSTVで再放送、いまだに続いている。しかし、なぜ橋田脚本はいつも嫁姑がもめてるのか。たった15分の番組なのに、見終わると暗い気持ちになる。夕飯の洗い物を夫に頼み、私は乾燥防止に子ども部屋に洗濯物を干す。さっきまでトロトロとパジャマに着替えていたコドモは、すでにベッドで爆睡。洗い物を終え、寝室に戻った夫も、同じく爆睡。一般的には「慣れない海外生活で不眠を訴える人が多い」と言われているが、我が家は全く逆。モスクワに来て以来、「不眠」で困ったことが全くといっていいほどないのだ。ベッドに入った途端に深い眠りに落ちる。本当にあっという間。催眠術並み。「ベッドで読書」など、ほぼ不可能だ。しかも、よほどのことがない限り、朝目覚ましが鳴るまで眠りが浅くなることもない。あまりの気持ちよさに、私たち一家は、毎朝泣く泣く布団から抜け出している。「この寝心地のよさは、日照時間だけの問題じゃない。気圧とか緯度とかも関係あるんじゃないの」夫は本気で言っているが、実のところはどうなのか。誰か教えてくださーい。
2004年02月13日
コメント(7)
ちょっと風邪気味だったコドモが、朝起きて喉元が痛いと訴える。物を飲み込むのは大丈夫。でも押すと少し痛むらしい。学校で風邪流行ってるみたいだし、早めに休んで養生するか。近所の友達に連絡帳をお願いして、欠席することに。さっそく、病院に予約を入れる。「午前中は混んでいるので、午後1時ならお待たせしません」とのこと。予約時間に間に合うよう、12時にタクシーも予約。面倒くさいので、往復でお願いしちゃえ。時間余りそうだったら(1時間単位で支払うので)買い物してくればいいし。ところが、時間になってもタクシーが来ない。ドームの守衛さんも、敷地内にタクシーの出入りはなかった、と言う。連絡ナシの遅刻はいまだかつてないタクシー会社だけに、確認の電話を入れる。「確かに予約受けてますよ。今日の20時で」20時ぃぃい???? ……もしかして……そうなのだ。ロシア語で12時は「двенадцать часов(ドゥヴェナーッツァッチ チッソーフ)」20時は「двадцать часов(ドゥヴァッツァッチ チッソーフ)」ただでさえ聞き取り違いやすい両単語。私の発音も悪いから(笑)間違えられたに違いない。あーん、やっちまいました。なにもこんな非常事態時にボケかまさなくても…。いつもは、名前も住所も覚えてくれている電話予約のおばちゃんが電話に出るけど、今朝は違う人だった。予約手順もまどろっこしくて、なーんか、ヤな予感はしてたんだ。それにしたって「20時から3時間タクシーとって乗り回す」って、一体どんな奥さんだっつーの。せめて「20時、つまり夜の8時ですね?」と聞き返してくれたらよかったのにぃー(と他人のせいにしてみたり)てなわけで、タクシーは来ない。流しの無線タクシーも繁忙&渋滞必至の時間帯で全滅。たとえ治安が良かったとしても、公共交通機関だけでは行きにくい場所。夫に泣きついて、たまたま手が空いていた会社の運転手さんにお願いする。幸い渋滞にはまることもなく、時間通りに病院に到着。今までは自由に建物内に出入りできたのが、門を閉めて敷地内への出入り口を一本化し、予約の有無とパスポートの提示を求めてきた。これもテロの影響だろうか。この病院には日本語と英語の堪能な女性通訳さんがいる。キャリア系ロシア人女性に多いタカビシャなところがこれっぽっちもなく、日本女性以上にしとやかで控えめで可愛らしいのだ。もちろん、ルックスもスタイルもいい。単身で赴任している男性で、彼女のファンは多いと思うよ、きっと(笑)。今日は薬を処方してもらう際に流暢な日本語で説明してくれた。肝心のコドモの病状も大したことはないようで、抗生物質も解熱鎮痛剤もなく、炎症を抑える「のど飴」のみ。欧米系の病院は、本当に必要最小限の薬(特に抗生物質)しか処方しない。「明日は金曜だし、疲れているようだったら休んだほうがいいかも」というドクターに、コドモは、「社会科見学で博物館に行くから学校へ行きたい」と、つたないロシア語で直訴。普通の子どもは学校が休めると喜ぶのに、とドクターはケラケラ笑いながら、「見学中も休み時間もおとなしくするならいいわよ」と釘を刺していた。いやいや、何回病院に行っても、英語の医学用語や病状の細かい表現は覚え切れない。でも、今回の一時帰国で買ってきた本がかなり役に立った。「英語で話す医療ハンドブック」(講談社バイリンガルブックス・1300円)単なる病状だけでなく、保険手続きとか診断書の詳細に関する項目もあって、手元に1冊あると安心。オススメです。
2004年02月12日
コメント(4)
いやいや、今日は雪がすごかった。吹雪いてはいないものの、昨夜から長時間断続的に降り続いたせいで、朝起きた時点で道路が真っ白になっている。車道に雪が積もって(残って)いるのは、実は珍しいこと。というのは、東京だと雪が降ると車道も歩道もグッチャグチャというイメージがあるが、さすが雪の多い地域だけあって、市内中心部の主な車道は常にほぼカンペキに除雪されているのだ。車道は、パワフル除雪車が縦横無尽に走って除雪。歩道も、ドームの敷地内は守衛さんたちが除雪。公共の歩道やスペースも「除雪おじさん」たちが大活躍。朝早くから、本当にありがたいことだ。10時半に予約していたタクシーも、雪+交通渋滞で45分遅れる。律儀な日本人を多数お得意様としているタクシー会社なので、遅れる旨もきちんと連絡をくれる。(ロシア的にはかなりレベルの高い顧客サービスと思われ)ただ「あとどれぐらいでタクシーが来ますかね」という当然の質問には「ヤ ニズナーユ(私には分かりませんねー)」の繰り返し。確かにそうだろうけどさー、と思いつつ、ま、いっか、と電話を切る。雪景色を眺めながら着いた場所は、市内南西部の巨大ショッピングモール。ロシア人にも大人気の、安くて商品豊富な巨大スーパーマーケット、アパレルブランドショップも多い専門店街、小さいが常に大人気のカトーク(スケートリンク)、いつの間にか完成していたシネマコンプレックス、シンプルビューティー&お手軽価格な北欧家具&雑貨のIKEA、たまに掘り出し物が見つかる電化製品専門店etc.etc…。敷地も駐車場も気が遠くなりそうなほど広い。ロシア人は巨大カートから溢れんばかりの品物を買い込んでいく。「ロシアは物がない国」「ビンボーな国民」という社会主義時代のイメージが一気に払拭されますよー。しかも、4月には日本の紀伊国屋や麻布ナショナル的存在の北欧系高級スーパー「ストックマン」が加わるらしい。フレッシュミルク、チーズケーキ必需品「フィラデルフィア」のクリームチーズ、美味しい輸入お菓子やチーズ…、ここでしか買えない物も多く、そのためだけに市内中心部・ロシア外務省に近いストックマンに出掛ける日本人は多い。店内は英語表記も多く、店員さんも英語ができるので、引っ越してきた当時は本当に助かった。ひととおり必要なものを購入し、IKEA2階のカフェでひとりランチ。大きな窓から見える雪景色。陽射しが明るい。この雰囲気、何かに似ている…と、あれこれ思い出す。そうだ、GALA湯沢のレストランハウスから見るゲレンデだ。大きなサーモンステーキに温野菜、シャンピニオンクリームスープ、フランスパン1切れ、ワインゼリー。合計500円強。IKEAのカフェは利益度外視なのか、とにかく安い。1階のホットドッグ屋など、ホットドッグ1本50円しない。ペプシなどの炭酸飲料とのセットで、確か80円だったはず。500mlのミネラルウォーターが48円。スーパーでもその4~5倍はしたロンドンの物価高を思い出すと、モスクワが住みやすい街に見えるから不思議(笑)。ロンドン、パリ…、同じ首都でも全然違うよなー(笑)隣の芝生は青く見えるだけ?モスクワに限っては、本当にお隣が青々としている場合も多いんだけど、ま、いっか、という気になってしまう。「世の中、自分で思い描いていた通りにすべて事が運ぶとは限らんのだよ」モスクワ暮らしは、そんな「お勉強」の繰り返し。日本人の考える常識が通用しない、効率化という概念がない、予定を立てるという計画性がない…。でも、本当は世の中って実はそんなもので、うまく行き過ぎていた日本が特別だったのかもしれない。多少のことに目をつぶっても、同じ方向を向き続ける根気をつけるには、「ま、いっか」と気持ちを立て直す訓練は、なかなか有効なのかもしれない。急いで家に戻り、コドモをバス停まで迎えに行く。しかし、案の定、交通渋滞で30分遅れて到着。寒くて、顔がひび割れるかと思ったよーん(涙)誠実な運転手さんだけに、何度も申し訳なさそうに謝っている。でも、あの渋滞に巻き込まれたら、スクールバスがデロリアンに変身でもしでない限り、定刻につくわけがない。ま、いっか。
2004年02月11日
コメント(2)
延び延びになっていた、ピアノの前期実技試験。出かける前に2時間弱、最後のおさらい。なんでもないところで指がもつれたりして、あぁぁぁぁ…。私は、本番直前の練習が、一番キンチョーするのだ。でも、一番キンチョーしているのは、私を指導していたマサヨちゃん本人である。私の実技で、前期の単位取得が決まるのだから。「厳しい試験教官も多くて半分落とされる単位だから、気にしないでいいですよぉ」いや、気にする気にする。私のせいで単位落としちゃったら、もう一緒に遊べないし(笑)指定された試験前のレッスン室には先客あり。あんまり上手とはいえないテノールの男性(「多分高校生」マサヨちゃん談)の歌声と、そのフラフラ音程に完全につられている教官のピアノ伴奏。摩訶不思議な音楽にフラフラしてきた。「この旋律、頭に残っちゃう。耳ふさいでたほうがいいかも」マサヨちゃんは本気で言っている。そして、試験本番。小編成オケの練習に使えそうな教室にグランドピアノと指揮台。そして、ロシア版「ゆばーば」のような試験官が一人。課題曲は全部で4曲なのが、「弾くのは2曲だけになるかも…」と私の担当教官。ん? なぜじゃ?後で聞けば、この試験官はこの道50年(!!!)の大御所。厳しいことで知られ、学部長でも太刀打ちできない、まさに「ゆばーば」的存在らしい。後で聞いたら、全曲弾き終わるまでに「試験終了(単位なし)」と宣告されることが珍しくないんだそうだ。そんな事情も分からず(分からなくてヨカッタ)とりあえず、2曲弾く。弾き終えた途端、ゆばーばは担当教官に向かってアレコレ言い始めた。ゆばーばのロシア語、あまりに早口で理解できず。でも、私の演奏方法(解釈)に対して指摘しているのは分かる。ゆばーばのあまりの口撃に、こりゃオシマイか、と思いかけたその時。「次の2曲を弾きなさい」。あぁ、クビがつながった…。試験の結果は「大変よい」。担当教官も「よく頑張ったわね」と声をかけてくれる。「コドモと一緒に食べなさい」とチョコレートまでもらってしまった(笑)あーやれやれ、と、帰り際にビュッフェで一息つく。ビュッフェといっても、高校の文化祭の喫茶店のような雰囲気。メニューもそれはそれは簡素なものばかりなのだが、懐かしい雰囲気にすっかりなごんでしまった。外は大雪。車で急いで家に戻り、コドモを迎えに行く。ほどほどに冷えた空気が心地いい。でも、疲れた。ぐったりじゃ。夕飯の準備まで、一眠りするぞー(笑)。
2004年02月10日
コメント(6)
週に一度、コドモは英語を家庭教師に習っている。学校の授業で英語とロシア語が一気に入り、しかも身の回りにあふれているのはロシア語。「ロシア語より英語のほうが難しい」と言い出した。頭の中がアルファベットとキリル文字で大混乱状態になったコドモを軌道修正するために、遊び感覚でいいから英語を教えてくれる「教え上手」な学生さんを探していた。ロシア人の友人のお兄さんに紹介してもらったのが、大学4年生のイリーナ。明るくてまじめで、茶目っ気があって。愛情いっぱいに育てられたのが随所からにじみ出ている、とてもすてきな女子大生。スペイン語もできるトリリンガル。会話、ゲーム、ボディランゲージ…、ワークブック上の勉強だけではない、いろいろなアプローチを心得ている。さすが外国語教育専攻で、しかも子どもへ教えたいだけある、といつも感心してしまう。勉強中はすべて英語で、分からないところは私が通訳、のはずだった。しかし、私を間に介するのが面倒らしく、かなり前からコドモは「ロシア語で教えてー」と彼女に直談判するようになった。名詞に始まり、動詞や時制の説明も英語が分からないと「ロシア語だと何と言うの?」。学校での出来事など、よもやま話もロシア語。会話がはずんで彼女もついロシア語で答えながら、「これじゃあロシア人の子どもに英語教えてるみたい」とケラケラ笑っている。ところが。勉強が始まった途端、コドモは言葉が出なくなってしまった。特定の言葉が出なくなる…カブール陥落、イラク攻撃といった、治安の不安定な場所へ夫が出張するたびに、今までもこういう形でストレスが現れていた。国語の音読ができない。友達とスム-スにしゃべれない。一過性なのだが、本人はとても気にしている。「答えは分かってるんだけど言えない、ってイリーナに説明して」今にも泣きそうなコドモ。彼女はコドモがQ&Aを答えるのを待っていたのだ。「話したいけど上手に発音できなくなるときがある」かなり内容をはしょってしまい、私の説明が言葉足らずで、コドモが発音に自信がないから話せない、と伝わってしまった。「心配することないよ。私はちゃんと言ってることを理解できるもん。いい英語だよ」彼女は全然気にする素振りをせず、励ましてくれる。「ごめん、そうじゃなくて」と、これまでの経緯を話した。しゃべりたいのに、言葉が出なくなること。相手が信頼できる人であっても、うまく話せないこと。連日、日本の自衛隊派遣のニュースが続き、戦争を思い起こしす中で、自分の住んでる街でテロが起きてしまった。「怖い」と言う代わりに、違う形で気持ちが現れているかもしれないこと。今答えるべきことも、イリーナの気持ちもよく分かっている。けど、声が出なくて泣きそうなんだ、と。彼女は言葉を失って、コドモを抱きしめた。そして、慎重に言葉を選んで、優しく優しくコドモに語りかけていた。何にも心配することはないんだよ。何か心配なことがあっても、今ここは大丈夫。心から安心できる自由な場所なんだもん。恐れることや恥ずかしいことなんて何にもない。みんな、○○(コドモ)のことが大好き。少しぐらい間違えていても、ちゃんと言いたいことは分かるよ。いつもみたいに、安心しておしゃべりしていいんだよ。「………分かった」コドモは気持ちを立て直し、彼女が勧めた「発音を要さないレッスン」を始めた。終わり間際には、いつものように会話ができるようになっていた。JSTVのNHKニュースでは連日自衛隊派遣を報じているが、その家族や周囲の人たちの気持ちを考えると胸が痛む。「自衛官の妻(家族)」として、揺れる本心を無理に抑えて暮らしているかもしれない。もちろん、全員元気に帰ると信じている。でも、その確証が持てない不安と日々闘っているんだろうな、と。
2004年02月09日
コメント(2)
雪もやみ、真っ白で静かな日曜日。朝から「食料品をどこに買い出しに行くか」夫と話す。本当は1箇所で買い物も昼食も済む大型スーパーに行く予定だった。しかし、○膨大な数の車を有する駐車場○セキュリティチェックができるはずのない混雑。○大型施設ほど、停電したらパニックは必至。○わざわざ、週末の一番混雑する時間に行くことはないだろう。…ってなわけで、逃げ道あり、半分オープンエアで人出もたかが知れているルイノックへ行くことにした。いちいち神経質になってたら生活していけない、という人もいるだろうが、神経を払うことと神経質になることは、ちょっと違うように思う。でも、これはあくまで、私たち夫婦間での判断。正式なお達しでもオススメでも押し付け(笑)でもないので、そう踏まえた上で受け止めてくださいますよう。我が家から一番近いルイノックは、近くに肉や乳製品など生鮮食料品が買えるスーパーもあって便利。敷地内には、ショバ代を払って店を出す屋内売場と、屋外売場がある。スーパーでは絶対に並ばない、数多くの新鮮な野菜や果物が見た目も美しく所狭しと積まれている。何軒か回るうち、日本のフルーツトマトのような、小さく身のしっかり詰まったトマトを発見。店のおじさんに聞くとアゼルバイジャン産、だという。「ものすごく新鮮だ」と私の手に乗せたトマトは、摘み口がみずみずしく、見た目よりずっと重い。「普通のトマトは1キロ50руб、値段は倍するけど、こっちのほうがずっとおいしいから」金はあるがロシア語が分からない外国人客が適当に買おうとすると、相手は見くびっていい加減な品物をよこそうとする。実際、私もカスをつかまされたことがある。値段にすれば小さな損失でも、気分のいいものではない。「自分で(トマトを)選んでいい?」と聞くと、「もちろん」とおじさんは自信を持って答えている。近くにあった、トゲトゲが鋭く黄色い花がついたままのキュウリ500gと、おじさん自ら勧めてきた、香りが強く葉の厚く新鮮なバジルも一緒に購入。外国人についでに売りつけるには、バジルより高い商品はいくらでもあった。でも「トマトに合うから」と質のいい40円のバジル一束だけを勧めてくれたおじさんに、誠意を感じた。じゃがいも(メークインタイプ)1キロタマネギ 2キロにんじん 1キロほうれんそう 2束青葱(九条葱そっくり) 2束バジル 1束白菜 1個キャベツ 1個赤キャベツ 1個フルーツトマト 1キロキュウリ 500グラムグレープフルーツ 2個キーウィ 10数個バナナ 一房レモン 5個以上で300руб(約1200円)は払っていないはず。一番高くて、トマト1キロ分の100руб。満足満足。その間、夫とコドモは、精肉売場をウロウロ。皮をはがされた豚の頭、生々しい牛タン、靴下のように足元の毛を残したウサギ1匹、皮をはぐのもタイヘンそうな小さなウズラご一行様…。さまざまな殺生に支えられて、人間は生きているんだなーと思う。品質的に信頼できるのであれば、料理好きにはたまらない食材の宝庫である。でも、さすがに私は肉魚・乳製品類はルイノックでは買う自信ないなー。ルイノックを出ようとすると、ドアには金曜日の指名手配犯のモンタージュ写真が貼られていた。その隣りには、12月のホテル・ナツィオナーリ爆破犯人のものも。ルイノックで買えないものをスーパーで調達し、おやつに、とチーズケーキを買って帰る。いつも密かに混んでいる、このスーパーのケーキ売場。スポンジ系は見るからにブブーなのだが、チーズケーキは日本の味とほとんど変わらず、レベル良好。家に戻り、我が家の秘宝・加賀棒茶を入れてチーズケーキを食べる。このチーズケーキが呼び水となり、遅い昼ご飯にと、お好み焼きを焼く。(週末だって、ハハは休むヒマがないのさ)リビングではサザンのDVDが流れ、男性陣はカラオケボックス状態。思えば、サザンってすごいバンドだ。小学生(!)のころから現在に至るまで、曲とその当時の思い出が重なる。どんなに年を重ねても、色褪せない。いいなあ。ますますビールが美味しいぞ。酔いが回らない程度にビールを切り上げ、夫とコドモの髪の毛もカット。あら上出来。お二人ともいい感じのモンチッチカット。不自由な生活は、ヒトの隠れた才能をこうまで目覚めさせるのだ(笑)夜はお決まりの「笑点」を観る。なぜか「UNO」(コドモのマイブーム)が始まる。とりたててイベントもない、フツーの日曜日。穏やかな気持ちで眠りにつける今日に感謝。
2004年02月08日
コメント(6)
地下鉄爆破テロから明けて土曜日。静かな週末。道路もすいている。夫が私に今朝のロシアの各新聞を見せる。無残な事故現場の地下鉄車内写真が大きく掲載されていた。「お前の判断で、○○(コドモ)に見せて」コドモは見た。冷静だった。誰かが持ち込んだ爆弾ひとつで、人が人とは思えないような姿になってしまうテロの恐怖。バーチャルの世界で見る爆発とは全く違うことを、正しく知って欲しいという気持ちもあった。犯人と思われるカフカス系中年男性のモンタージュ画像。スラブ系との違いは一目瞭然の風貌。人によっては、アラブ・アジア系にも似て見える。鋭く冷たく絡み付いてくるような視線が、とても不気味である。ロシアのローカルニュースでは、日本だと絶対に放送しないような生々しい報道映像が出るが、今回は見ていない。あまりのむごさに放映を自粛しているのかもしれない。おそらく街中の検問もいっそう厳しくなるだろう。来週の買い出しに行く予定も、何となく気乗りがせず中止。気持ち的に疲れてしまい、週末の大型スーパーの雑踏に飛び込む気力がないのだ。家の中では退屈で体力を持て余したコドモがコマ回しに熱中。(日本だと家の中でコマ回しなんて考えられないが…)次第に動きが激しくなってきたので(笑)、すぐ近くの郵便局へ行くついでに敷地内で遊ばせる。敷地内なら、警備員さん達や番犬の老婆・ジュナ(通称ジュナ子)もいて安心。アスファルトの凍った小さく長いスペースでスケートもどき。普通の雪靴でも十分滑るので、飽きずに滑りまくっている。見ているほうも楽しい。でも、ちょっと悲しい。朝、出勤前の夫と今後の過ごし方について話す。絶対してはいけないこと、必ず心がけること、自粛すべきこと。「お前はカンがいいんだから、イヤな予感がしたら絶対に外出するな」夫いわく、この「イヤな感じ」というのはまんざらデタラメではない、と。私も、昨秋コドモが緊急帰国する直前のざわざわした胸騒ぎを思い出した。あの時の「イヤな感じ」も、理屈では説明しがたい「カン」だったのだ。つい1時間前から、外は細かい細かい粉雪が舞っている。遠くの建物が白くかすんできた。雪の粒が大きくなったのだろう。今日は久々に新雪が積もるのかな。昨日あったことが嘘のように、静かに日が暮れていく。大したことしなかったはずなのに、やたら神経を使った気がする。今晩はゆっくり入浴剤入りのお風呂につかって、心も体もふにゃふにゃになろう。うん。
2004年02月07日
コメント(12)
全241件 (241件中 1-50件目)


![]()