2025
2024
2023
2022
2021
2020
2019
全27件 (27件中 1-27件目)
1
『ポーラーエクスプレス』誰もが一度は乗ったことがあるパパやママがいない夜転校したばかりで周りに誰もいなかった時大人になっておそろしく落ち込んだ時その列車に乗ると誰もが子どもに戻りそして見えないものを信じ始める見えないもの愛友情信頼サンタクロースしあわせじぶん(自分の目で自分は見えないよね)でも一番最初に見るのは夢から覚めて朝起きた時の鏡の前の自分―――
2004年11月30日

がきれいだった・・・
2004年11月29日
とりあえずとりあえず~仕事の待ち時間でなんか書いて見ました~「検温のお時間です。」気がつくと横に細身の白衣を着た女性がいて、お体は大丈夫ですかと言ったように顔をかしげてみせた。「ここは…?」「病院ですわ。」「え?何も思い出せない、ちょっと頭が…」「あまり無理をなさらないで、後ほど先生が来ますから。」どうやら記憶がなくなってしまったようだ。自分がどこのだれかも思い出せない。家庭があったのか、子供がいたのかさえ―――体には外傷がなく、手足を恐る恐る動かしてみた、よかった、ちゃんと動く。まぁ、いいや。しばらく病院で落ち着くのも悪くはない。そのうちなにか思い出すだろう。病室の窓からは葉っぱがきれいに刈り取られた茶畑や、白いものを乗せた富士山が見える。ふと、ベッドの頭の方の壁をみると誰かの名前が書いてある。これが自分の名前か?多分、免許証かなにかでわかったのだろう。ということは自分の住所もわかったようなものだ。白衣の女性は一通りの検温、血圧のチェックの後、おもむろにテレビのスイッチを入れる。すると窓の景色が変わった。漆黒の闇に星がまたたいていて、窓の外、遠くを囲むようにゆっくり回っている円筒形の――「!?」質問する間もなく、白衣の女性は音もなく消えていた。記憶だけでなく、神経もいかれたようだ。しばらくして、先生らしき人が来た。「気分はどうですか?」「ぜんぜん思い出せなくて…」「無理をしなくていいですよ。記憶を取り戻すまでじっくり養生していってください。」「あの、初歩的な質問ですが、ここはどこですか?」「病院ということの他に?」「はい。」医者はちょっと考えた様子で言った。「まだ、あなたの精神状態が安定してないようです、でもご安心ください。安全な場所ですから。」「この名前は?」と振り返って見ると壁につけてあった自分らしき名前が消えている。「ここに名前があったんです!いったいここはどこなんですか!」言い終わるや否や、白衣をまとった男は注射ガンで腕にプシューと。夢を見ていたようだ。「あなた、朝よ―」快活な声で起こされ、朝の儀式を彼女にされた。「へんな夢を見たようだ――」「二日酔いじゃないの―?」「今日は何曜日だっけ?」「日曜日よ―」彼女はキッチンで朝食の用意をしている。テレビには記憶をなくした男を拾った女と前の妻らしき女との映像が映っていた。「ここは地球だよな―?」「なに言ってるのよ、まだ仕事の疲れが残ってるのね。」「今日、なにか予定があったかな?」「どうして?」夢の後遺症かもしれない、まだ現実と夢の境にいるようだった。いや、眠り足りないのかもしれない。「そう、二日酔いみたいだ。もう少しだけ寝させてもらうよ。」「いいわよ。」と言って、彼女は洗濯物をもって庭に出て行った。眠りについた。コンピューターソフトのロード音。ジージー。ときおりガガーピーと鳴っている。広いホールで何人かの白衣を着た人が大スクリーンを見ている。「どうかな?安定はしているようだが――」「自己認識ソフトのロード状況は?」「100%できているようです。」「やはりウィルス対策も強化しなければいけんな。」「そうですね、いちいち初期化してギガバイト級のソフトを脳にいれるんじゃ、負担が大きすぎますよ。」「その度に細胞から培養してたんじゃ、たいへんだしな。」N氏が見た夢はそのホールの中央で、陳列ケースのように、カプセルに入れられていた「脳」だった。
2004年11月28日

心は翼があるから飛んで行く
2004年11月27日
今日は22時まで○○でした…中年さん陣中見舞いに…見舞いされる方なのにね…月末は滅茶苦茶ハードに仕事をこなしますよって日記は一行…見えるところでは…
2004年11月26日
優良中年さん,癌宣告,無事でありますように『中年』今日電話があった…『Papa』え?『中年』明日病院に行くことになった…楽天に公開するという中年氏、顔はにこやかにしているが心中はたいへんだと思う。切腹もんだよ、お腹を立てに割るように手刀を流した。二人の脳裏にギター侍のフレーズで、「拙者、癌ですから…!!(-∀-`; )切腹ゥ!!」とよぎった。『Papa』しゃれにならないね…こういうシンクロは本当に洒落にならない。お大事にと彼の後姿に声を掛けた。これからしばらく彼のためにプロフの写真に気を送ってあげようと思った。――――そしてお酒も少し控えよう――――
2004年11月25日
90歳にされたソフィーもかわいかった・・・
2004年11月24日
20日21日の二日間で歴代トップの売り上げだそうで~おめでとうございます~^^微弱ながら売り上げに貢献してきました~^^月曜の夜20時代でしたが~学校帰りの制服の男の子やら会社帰りのビジネスマンも~全席指定扱いでほとんど満席状態でした~^^毎月お客様に『ハウルの動く城』が表紙に描いてある冊子を届けてますから~ww見ないわけにもいきません~^^前評判どおりよかったです~公式HPはこちらです~^^映像もきれいでしょう~公式HPでも見れますが~青い空、たなびく雲、草原の草花、小川、遠くの山々――日本人、いいえ世界の人の原風景なのではないでしょうか~そしてハウルの声はキムタクだったんだ~と途中でやっと気がつく次第~主題歌の「世界の約束」は木村弓さんの曲に、谷川俊太郎さんが詩をつけた「曲先」手法だったそうです~映像にあっていて曲の方もよかったです~皆さん「おわり」の字幕が出るまで席についてました~宮崎アニメは見る人の心をやさしくする魔法ですじょ~とにかくよかったです~^^☆☆☆☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~ニュース番組の後半で見ちゃいました~^^ギター侍♪ジャガジャーン~♪私 小泉純一郎~日本の総理大臣~♪「私は日本の事を考えてます、JAPANを愛してます!」…ッテ(。´Д`。)ユゥジャナァィ…?でも小泉さん、あなたの愛してるのは(〃゚Д゚)σXJAPANですから~!!!!残念━━p(●`Д´●)q━━━!!!!(〃゚Д゚)ノ ○○斬り!!!♪、冫、)_σァ '`,、'`,、'`,、'`,、(´▽`) '`,、'`,、'`,、'`,、大笑いしちゃいました~^^小泉首相!あなたも『ハウルの動く城』を見て「感動」してください!
2004年11月23日
『S氏の幸せ』S氏は幸せな朝を迎えていた。ヤフオクで安値で買った旧式のヒューマロイド。「あなた、朝よ。ごはんの支度ができているわ。」「ありがとう。」そう言いながらS氏はエミのおでこにキスをした。人工知能をもつエミは,ほとんど人間に代わらない能力を持っている。ヒューマロイドの普及は人間の職場をなくすのではと危惧されたのは過去のこと。3D立体ホログラファーは日常の物となり、いまや、どこのアパートに入居しても昔懐かしい「藤原紀香」が映し出される時代となっていた。部屋の中もその季節を満喫できる環境も映し出される。「十和田の紅葉」は人気のソフトだ。気温環境だけではなく、匂いや想定マイナスイオンも装置で出されている。S氏はエミをカスタマイズして、その容姿も好みのものにした。安物の人工皮膚の樹脂ラバーも3D投写で肌がつるつるに見える。旧式なロボットも外見は人とほとんど変わらない状態に見えた。ついでに電気がいつ途絶えてもいいように、自家発電はソーラーでエミ自らエネルギーも注入できる。S氏の部屋には鉄腕アトム、ガンダム、エヴァンゲリオン、スターウォーズの人間大のフィギャーがならび、それぞれが今にも動き出しそうだった。朝食は二人分テーブルの上に並んでいた。もちろんエミのはホロスコープなのだが、幸せのあまりS氏もホロスコープの食事だけで満足してしてしまうのだ。「あなた、私のためにも召し上がって。」と、優しく言われると食べないわけにもいかない。「愛してるわ、あなた―気を付けていってらっしゃーい」と言われるとその息遣い、仕草もS氏はエミがロボットであることを忘れてしまい、幸せな気分にひたれるのだった。仕事から帰り一日の用事をすべて済ませ、エミとベッドに一緒に入るのも心地よかった。まるで血の通っているような体温に人工知能はあわせてくれるのだから。お休みのキスをすると2人は寝息を立てる。S氏の家の電気は自動で省力化した。エミのメモリーチップの分だけを残して。空調の音も止まり、シーンと静まり返った寝室。二人寝ていたはずのベッドは今は一人しかいない。「あなた、ありがとう。あなたのこと、今でも愛してるわ。」人類が一人もいなくなって久しい。新型ヒューマロイドもウィルスに弱く、旧型で残ったのもエミ一人。色あせた旧式のヒューマロイドのお腹が膨らんでいた。
2004年11月22日
せき(クシュン)・ラララ~^^な日記~^^今日は何してたの?そうそう、前かごに新聞を積んで走るのですが、A新聞が足りなくなってしまい、思わずコンビにで仕入れる始末~汗”地方紙が余ったからそうとしか考えられず~誤配のテル待ちのような形で~ネカフェで待機~と言っても、DVD見てましたが~^^3時間コースで約1000円とお手ごろ価格のお店も出来ました。うわ!DVDのタイトル忘れちゃいました~^^電話ボックスで受話器をとったらそこから告白をしなければ殺すぞーと言った感じの映画でしたが~うつらうつらしててちょっと覚えてません~2本目はチャリーズエンジェルズの最新作でした~こっちの方が面白かった~^^さて家にもどろうかな~と思いつつちょこっとあるところでバイトしてそして冬物の衣類を買う事が出来まして~すっかり誤配のことは記憶の最果てに飛んでました~自宅に着いて~A新聞、前かごにありました~奥のほうに~ヤレヤレ~『みんなのためのルールブック』ロン・クラーク著草思社のルール17『整理整頓をしよう』が出来てないPapaなのでした~汗”今回から読みきりにしました~長編にするとどうも辻褄があわなくなり~まだまだ修行不足ですが~これからもがんばりまする~^^でははじまりはじまり~^^~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~『超能力学級 謎の潜水艦の巻』悠久の母なる海の底は果てしなく紺色の狭間に深海生物が浮遊しその底をうごめいているまるで地球の中に一つの宇宙があるようにその触覚を未知なる物に触れるように真理が見たものは陰陽のそれにも似て儚くももあり生命の根源のようでもあった―――青木真理はイルカになっていた。そして巨大な岩のように存在するその塊は、中から叫んでいるようにも思えた。慎重にイルカに意識を重ねて、それを見ていると、大きな鉄の塊は、心臓を持って胎動している、悪魔の赤ん坊にも感じられた。その中には地球の生命も左右する邪悪なものが、潜むというのか。しかし様子がおかしい。生命反応がない。その間にも邪悪な波動は容赦なく、付近のありとあらゆる生物に、恐怖と気だるさを放射している。その波動を真理も受けていたのだ。陸上の千春や香澄に気を送っていた、すこしは気が紛れるとも思った。(千春!香澄!真理だけど今、海の底にいるの!)日曜日の昼下がり千春と香澄はそれぞれの休みだった。千春は友達とミスドでたむろっていて、香澄は騒音の中の静けさといった趣でゲーセンでバーチャルクエストに夢中だった。突然の送信に二人は何が起きているか分からないでいる。携帯の着信が鳴るわけでなく、それは突然に脳裏に入ってくるのだから。(真理!海の底ってあんたー!泳げたの?)この場において適切な質問ではないが、気が動転してそんな言葉しか思い出せない二人。落ち着いた千春と香澄は真理から、その波動つきイメージを送られる。(うっ、なに、コーラのぬるま湯にたっぷりとつかったような、この気分、チョーきもいじゃん!)事実、吐き気をもよおす気だるさや恐怖感が付いて来た。まもなく加藤から千春の携帯に電話があった。「なにか悪い予感がしてテレビをつけたら、原子力潜水艦の事故らしい。」「加藤君!そこに真理が行ってるの!」「?!」「正確にはイルカになってその界隈にいるのよー!」「とにかく、真理だけじゃなく、日本中危険だよ、なんとかしないと!」「そんな粗大ゴミみたいなのは作った国に返しましょうよ、やだよ何かあったら―」原水爆の恐ろしさ放射能のこわさは学校で勉強していた。被爆体験の人が描いた絵も毎年のように見ていた。冷静に加藤は言った。「待って、僕らだけの力ではどうしようもない。沢村先生に頼んでみよう。」連絡を受け取った沢村は外国籍の潜水艦と察しがついた。海上自衛隊に連絡するとやはりレーダーに移っていたとの事。国籍不明の潜水艦をP3Cもチェックしていた。スクリュウ音でやはり中国だという事が判明した。10数年前にもあったからだ。しかし、今回の事故は並大抵ではないと感じていた。放射能漏れが起きるほどの事故なのか?恐怖と不安が錯綜し、原爆の爆風にさらされている広島、長崎の犠牲者がふっとイメージに映し出された。海底でもし事が起きたら海嶺火山帯にも影響が出る。これ以上の地獄はない、きっと白隠禅師が幼少のころ見た地獄は広島・長崎の予知夢のようなものだったのかもしれないと、へんな確信も出てきた。早急な対応が沢村を通して各人に伝えられた。潜水艦に誰も生存していないとすれば、外から動かすしかなかった。念力を送って潜水艦から一滴のバラストも、排水させないようにすること、そして潜水艦を中国側に念動力で返すことだった。海に底の意識の真理にはイルカの念を集めさせた。これにより安全航路で返せると判断した。そして国内はもとより海外の超能力者にもテレパシーをおくった。各自の念を集めて、潜水艦を保護するシールドにするためだった。間断なき祈りのような思いでそれぞれは作業をおこなった。それは慎重に行われ、外から見ただけでは何も異常も感じられないほどだった。そうして3日後、原子力潜水艦は帰港させることが出来たのだった。恐怖の発信源がなくなり静かな海底が戻った。そして母なる海に平和が訪れたのだった。その海底のゆらめく水流の中、楽しそうに泳ぐイルカの群れがあった。ツートンカラーのその子達にお礼を言って真理は自分にもどっていく。あるさわやかな秋晴れの日、沢村が加藤、渡辺、飯田、千春、香澄を連れて自宅で静養している真理に会いに来た。「まりー!はやく元気になろうぜー!回転寿司でまぐろや、ちゅうとろ買ってきたからー」と千春、香澄。それを見て、思い出したようにゲッと吐きそうになる真理。(やばい、お見舞いの品を間違えたー)と皆思った。<この巻終わり>
2004年11月21日
ハーバード大学が光子を実験で止めて以来N氏はテレポーテーションの実験に勤しんでいた。エンタングルメント状態で0.5m秒ではまだまだと思っては気分を落ち着かすために瞑想をしていた。ある時、気がついたら眼下に自分が座っている。これは生体離脱かなと半信半疑ながら、素粒子解析で必要だった太陽に向かった。自分の実態はなんだろう?いや、今検証する必要はない、あくまでも科学の進歩のためだと自分に言い聞かせて。雲を摺り抜け、上空まで来た。ちょうど、衛星画像の半球が一望できた。宇宙には99%のプラズマか、このねずみみたいに動き回ってる奴か。固体・液体・気体の次にプラズマが来る。荷電粒子の世界だ。いや、なんで俺は見えたのか?ということを省みず光へ向かった。そうだ太陽に向かおう、ニュートリノの発生するところを見てみよう。あくまでも科学者のN氏。太陽から放射状に飛び散るニュートリノ、それは地球も突き抜け、プラズマの電子たちと絡み合い、光の線と粒の共演にも見えたのだが、N氏はわき目もふらず、光源に向かい泳ぐように泳ぐように飛んでいった。光へ光へ。そして光源からのニュートリノの発生個数をチェックしていたら、あんなミスはしなかったろう―――『パチン』気がつくとN氏の体は妻の手の中で朽ち果てていた。「まだ、蚊が多いのよねー、寒くなったけどー。」
2004年11月20日
小説ばかりで飽きてきました。本人もです。きときとさんのかきこでちょっと筆休み出来ました。元来筆不精な私が長編など書いた経験もなく、ましてや準備などしているわけがありません。『備えあればチャンスあり』とは暴走特急の中で武器商人と化したもとCIAの職員が言った言葉ですが、『Good Luck』と言う本の中にも書かれていました。運と幸運の違いは、ちゃんと準備を行って、計画して物事を遂行しているか、行き当たりばったりだとノットのように得目の前にある現象に気がつかず、はてまたは情報提供者に文句まで言ってしまうのです。シドのように目標目的を常に持って、イメージする。なんにもなんにもないところに四葉のクローバーは咲かない、そういう現実とじゃぁ咲かせるためにどうしたらいいの?と言った創造的分析、それに基づく対外交渉術など次世代の成功哲学ともふれこみがあるのも頷けます。私が「白隠」を意識したのは「竹取公園」に塚があったから。「夜船閑話」を読んだのもつい最近でした。彼の伝記の中で、小さい頃ある住職に『地獄』の話を聞かされそのイメージが一生ついてまわったとのことです。それが証拠に松蔭寺には『南無地獄大菩薩』と自筆の書が置かれています。『幻魔大戦』にも似たような記述があったと思いました。すなわち、『地獄』は想像の産物なのかってというところ。映画で言う『スターウォーズ』のダーズベイダーのように宇宙のすべての邪悪さのようです。それを『奇蹟の輝き』では本人の死後、生前の心理状態がイメージ化されたものとしています。しかし『デビルマン』のように物質化してしまう事もあるという説もあります。人が米粒の先程でも思ったことは集積されゴミ問題のように大きくなってしまうと言う説。その『デビルマン』で一番怖かったのは暴徒と化した人間でしたが---。『ゴーストバスターズ』でマシュマロマンを見た人は多いと思いますがあれも想像の物質化でした。「なにも考えるな!」と言った矢先にひとりマシュマロマンを想像してしまったから。瞑想の手法に似ています。その時気をつけなければいけないのはいろんな想像が頭をよぎる事、それはそのままでいいのよ、と言う人もいれば逆に意識を持って払拭するんだ、さもなければ人間は受信機だからどんな想念のエネルギーを受信してしまうかわからない、と言う人もいます。それが白隠の陥った「禅病」(一種ノイローゼ)なのかはどうかさておき、万が一、物質化してしまいそうな人は「マシュマロマン」をイメージしましょう。そしてもっと能力を持っている人は『いま あいにいきます』のように愛の力で消し去っちゃいましょう。時空を超えて。
2004年11月19日

渡辺茂の場合。昨日飯田の家でゲームをした帰り誰かに声を掛けられた。バーチャルリアリティ3Dゲームの後遺症か?ステレオスコープを装着すると突然部屋中がゲームの世界になってしまう。体感アクションロープレゲームだ。自分自身が勇者になって例の剣を持つと(それは本当に質感重量感があるんだけど)時も経つのも忘れてしまう、ただ僕の家で出来ないのは最低6畳のスペースがないと出来ないから・・・飯田のおっかぁにいい加減にしなさいって怒られるまでやってしまった。ゲーム中はやたらといろんな物に声を掛けないと情報が探し出せないだから――現実に戻ってもそいつに声をかけちまったらしい――『そいつ』ようよう、にいさん~?『俺』え?見回しても誰もいない。背筋がぞっとした。そりゃそうだそいつは猫で普通なら『にゃぉー』とかいうやつだから。『そいつ』今夜寝るところを探してるんだ一宿一飯の恩義に預かりたい『俺』だ、だめだ。第一、かぁーちゃんが反対だし、それに団地だから周りがうるさい『そいつ』そう、ありがとよ。久しぶりに話が分かるやつに会えたと思ったのに。あばよ。 それ以来、何かと猫や犬の鳴き声が頭の中では声に聞こえてしまっている。こんなこと言ったら精神科へ連れていかれそうだから誰にも言えなかった。だけど、超能力学級ってのができるらしく、俺のほかにもへんな能力を持ったやつがいたらしい。胸をなでおろしたよ。「聞き耳ずきん」の話のように少しはいいこともあるかもしれないしね。<続く>
2004年11月18日
『超能力学級 10』「飯田の楽天日記より」『2016年○月○日なぁ、なんだーって中学校に突然、偉い人が二人来て特別編成のクラスだってーまじかよー半信半疑で聞いてたけどなにやら説法みたいで悪い話じゃないだけどやっぱよくわかりませーん週に2回超能力の授業があるらしいけどーESPカードを使うとかーダイスを使うとかじゃなくてーなんか坊さんの書いた本を読んだりあとは急遽こしらえた瞑想教室で座禅~汗”するらしいー(なんだこりゃー)普通は4時間から6時間やるところ50分に負けとくってーおーいこれじゃー髪の毛そったらクラス全員、寺の小坊主~(激笑しゃれになんねーでもー実際に初めてやってみてー頭をからっぽにして座ってるだけでなんだか気分がすーっと落ち着いてちょっと集中力がついたかもーま、いっかーこれで能力があがるだったらーでもちょっとくせになりそーww』掲示板にはこんなコメントがあった『そうそう、内の中学でも一クラスがそうなってたーなんかわけありー?』『内の学校じゃ、サバイバルクラスなんて出来たよ。やっぱ、一週間に2時間主に野外実習だけど自然に育っている植物をみて食べれるもの、食べれないものの見分け方や、実際に調理して食べてるんだけど、プチ林間学校って感じー。なんか楽しそうー。』『こっちは重装で摩周湖湖畔テント泊―、あの水面の高さが変わらない湖がここのところ変化してるらしいー、朝晩の冷え込みが厳しいけど、なんとか乗り切ってるよー』決まりきった回答をだすように教えられた指導要綱から、その問題自体を考え出す指導要綱になって、数年。地域に特性がある学級が生み出されていた。あるところでは「忍者学級」が出来たりしていた。探せばどこかに「魔女学級」というのも出来ていたかもしれないが―――。<続く>
2004年11月17日
『超能力学級 始まり』晴れ渡ったある日、学校の正面玄関に黒塗りの車が2台連なってきた。校長や教頭、学年主任らが出迎える。車から出てきたのは20代後半のビジネススーツを着こなした垢抜けた感じの男性、もう一人は少し年上の感じの男性、こちらもスーツを着こなしている。二人とも歩き方は颯爽としていて、早い話が偉そうなのだ。各教室の窓からちらほら様子を伺うものもいたが、スーツの二人らが校舎の中に入ると席へ戻った。カラーン~コローン~カラーン~コローン~(たまに、こうした鐘の音で始まる時もある。各階段を走ってそれぞれの教室に鐘の音を響き渡す事は、一種爽快感があるとは誰かの弁―――。)「ガラッ!」勢いよく開けるドアに教室の生徒は緊張した。しかし次の瞬間、安堵に変わった。よくみると二人とも笑顔でこちらを見ていた。後から入ってきた沢村が加藤に目をやる。加藤は教壇の中央に集まった3人の方へ向かって言った。「起立!」「礼!」「着席――、」ちょっと声が上ずっていた。先ず若い方の偉そうな人が言い出した。「こんにちは、私とこの方の紹介をします。文部科学省初等中等教育参事官補佐の秋山隆です。よろしく。こちらの方は――、」「私は経済産業省産業技術環境局技術振興課課長の風間です。よろしく――-。」肩書きが長くて覚えられないが、ただ中央の偉い人だなと一目してわかった。沢村は二人にお辞儀し後はよろしくと言ったふうに教室から出る。「このクラスは特別に編成されたクラスと言うことで、二人で視察に来ました。」あくまでも口調はさわやかで笑顔である。そしておもむろに黒板に、『超能力で出来る事』と、書いて―――。「ここからは、みんなで考えることにしよう、先ず端っこの君から。」いきなり指された右端の加藤だが、「空を飛ぶ」と答えた。「そうそう、そんな感じで自由に発想していいよ。」気がつくともう一人の偉そうな人は黒板に生徒が言ったことを書き出している。「じゃ、後ろの人――。」「おかぁさんの腰痛を治してあげる。」女子の望月が答えた。「やさしいね――、いいよ―、そんな感じで。」一通りクラスの全員の全員に行き渡ったところで、黒板には空を飛ぶ、母の腰痛を治す、早く走る、スポーツの上達が早くなる、クラブでレギュラーになる、記憶力がよくなる、集中力が強まる、テストで100点取れる、志望校に合格できる、楽器の上達が早い、会社を起業して社長になる、勉強で分からない事がなくなる、友達が増える、彼女(彼氏)ができる、どもらずに人前で話せる、けんかに勝つ、クラブを県大会まで持っていく、野球で5割打者になれる、交通事故を起さない、人災を未然に防ぐ、犯罪を撲滅する、犯人を捕まえる、宝くじが当たる、新発見・新発明ができる、未来予知、スプーン曲げ、テレパシーが使える、電池がなくても写真が撮れる、月の裏側を写真で撮る、重たいものを運べる、病気の人を治す、無病息災に恵まれる、憑依した霊を浄化する、動植物との会話ができる、山や石との会話ができる、占いが当たる、悪い占いは外れる、など、書かれていた。「そう―、超能力で出来る事ってたくさんあるね。先ず、目標だね、その力で何をしたいか。目標や夢が原動力――、欲求ともいうけどあるアメリカの心理学者は5段階にそれらを分けました。生理的欲求,安全の欲求,親和の欲求,自我の欲求,自己実現の欲求です。そして大事なのは自己重要感です。皆さんだけでなく、ほとんどの人は自分が重要だと思われたいのです。人間としての本能と言えますね。でも本能も度が過ぎるとどうでしょう?生理的欲求が度を過ぎるとどうでしょうか?ちょっと怖いですね。安全の欲求も度が過ぎると、疑心暗鬼――最後は皆敵になってしまいますね。親和の欲求、親友が悪い事をしていても注意できなくなりますね、自我の欲求、自分だけよければいい一人勝ちの状態です。自己実現、誰でもなりたいものになれるのですが、独裁者は困りますね。そのように度が過ぎると心がにごり、「ほんのう」の「ほ」がにごって「煩悩(ぼんのう)」になってしまいます。どうか、皆さんその能力を伸ばして、将来日本をもっとすばらしい国にできるよう頑張ってください。そして君たちの能力を伸ばすお手伝いを陰乍ら支援させてください。今日は楽しい授業ありがとうございました。」最初、偉そうに見えた二人だがとてもさわやかでいい人たちだったとクラスの皆がそう思った。<続く>
2004年11月16日
『超能力学級 9』昼食後の職員室。アメリカ帰国子女でこの学校で英語教師を担当している牧野、「地球と人との関係っていったいなんなのでしょうね?」コーヒーを片手に沢村に話しかける。「それに、今のアメリカと中国、EUだろ?」「それは話が飛びすぎてますわ、たしかにアメリカはその開拓思想を世界へそのまま通してるという感もなきにしもあらずだけど。一部のキリスト教原理主義の方が牽引しているようだし、ニューエイジ派の人たちは今でも陰乍ら支援をしているのは事実よ。でもポジテブに考えてアメリカの精神で、世界をまとめあげようというのではだめなの?」「日本にしてみれば、第2次世界大戦でアメリカに喧嘩を売って、その後、日本独自では変革できないいろんなことがお陰様で出来た。結果的に物質的に恵まれすぎるくらいによくなった。ただ大切な日本の心をどこかに置き忘れてきたんじゃないかなって、」「あら、そうかしら。日本の文化はいまや世界中を回ってるわ。いいえ、世界中のあらゆる文化が各国を流通しているといったところかしら、」「象徴的な文化はそうだろうが、一人一人の文化はどうなんだろう?万が一、この先日本と言う島国がなくなったとき、それぞれはそれぞれの場所でどうやって日本で生きてきた事の証をたてていくのだろう?」「地球規模の異常気象が21世紀から激しすぎるのは、物質至上主義の資本経済が悪いとでも?」「さっきの地球と人間の関係なんだけど、個人的には、僕らは地球に何らかの目的があって、生まれてきたと思うんだ。」「輪廻転生って、こと?」「そう、あちら側の世界は完璧な世界。人を恨むこともなければ、何かを所有するという事もなくて、想えば必要なものはすべてまかなえる。みんな魂のレベルでは同等で、愛に満ち溢れている。人生に思い悩む事もないし、ただ神の懐にいだたかれている―――、」「そういう考えが大戦の『カミカゼ』、イスラム教原理主義の一部の人の自爆テロのように、アメリカを恐れさせているのかもしれないわ、それにネットでの集団自殺は理解できないわ。」「つまり、あちらの世界で魂の研鑽ができないから地球に降り立ってきたんだと想うんだ。物が豊富にあるこの国のようにね、なくなって始めてそのありがたさに気づく。それに、僕らが今生で地球に出てきたというのは目的がある。今一度、地球や人間について考える時期に来てるんじゃないかって。」「もし、そうだとしたら、沢村先生はどういう役どころなの?」「子どもたちにもっと真実を見てほしい――かな?」「それを超能力開発で?」「無謀かな?」「ただ、世界基準で物事を計るとどうしても、民族がもつ宗教や過去の諍いのトラウマに巻き込まれるわよ。こと国内の政界にしても―――、」「単純だよ、地球基準にすれば―――、前に『もし地球が100人の村だったら』というメールがインターネットを通して世界中に流れた事があるよね、そして、地球を一つの村として考えている団体もある。なにかそのあたりにヒントがあるんじゃないかな?」「超能力は関係ないのではなくて?」「なくて実現できるに越した事はないよ。縛られるものがなくて自由に表現でき、創造できるに越した事はないと思う。」「それが可能だと?」「最近、クラスの生徒たちに楽天日記をさせてるんだw。」「へぇ、楽天イーグルスって今年の日本シリーズで巨人を破ってますます破竹の勢いだわね。」「いまじゃ、全世界から1000万人の登録者数がいるようだしね、」「こんど詳しくおしえてくださいね、あら、そろそろ午後の授業だわ、じゃ。」<続く>
2004年11月14日
『超能力学級 8』数学の田中教諭が雷を落とした瞬間、青木はフッと意識が飛んでその場に崩れた。「きゃー!真理―!」教室内が悲鳴で包まれる。駆け寄る田中、「おぃ!だいじょうぶか!」青木真理は薄れる意識の中で、(青木―――!)と呼ぶ声に戻れそうな気もした。あの人の声―――。気がつくと、緑色に覆われた大海の中でもう一人の友達と泳いでいた。いや、妹?(そうだよ、おねえさん。)(???)流線型の体にグレーの皮膚の色、そして息も苦しくなく海の中を泳いでいる。(青木!しっかりしろ!)ふっと気がつくと保健室のベッドで寝ていた。「青木さん、気がついたのね、だいじょうぶ?」「はい、すいません、」保健室の先生が起きようとするのを制し「今、あたたかいココアを持ってくるから、横になってて、」担任の沢村と一緒に入ってくる、「いやぁ、僕もよく意識が飛ぶんですよ―――、この間も朗読をさせていたら―――、よっ、青木だいじょうぶか?」「はい、すいませんでした。」「あのあと、たいへんだったんだ、数学の田中先生が校長に呼ばれて、あまり大きな声を出したからだとか―――言われて、」「ちがうんです、その前からなんかこう、」「いいのよ、無理して思い出さなくて、」「心配しなくていいから、清水や望月が青木の心をちょっと見ていて、ちゃんと校長にも説明してくれた。校長もこのクラスは扱いにくいって―――ま、あと何か悩み事があったら鈴木先生になんでも相談して―――、じゃ、僕はこれで、」と、沢村は部屋を出る。「鈴木先生、」ココアを差し出しながら鈴木ゆうこは答えた、「何?」「先生はテレパシーとか使えるんですか?」「いいえ―――、でも職業柄相手の顔色や目の動きでなにか悩んでるかな―くらいなら分かるわ、それにヘタに相手の考えてる事が分かっちゃうといいことばかりじゃないと思うの―――、」「なんでですか?」「そうね―――、大人にならないとわからないかしら―――、」(はっ、)青木は鈴木ゆうこの心から一抹の寂しさを感じた。恋をして、お互いに理解して、愛し合っても、結婚して長い間夫婦ともなるといろいろあるのよ、と世間の女性の想いが一瞬垣間見られた――――。二人はココアをすすりしばらくして真理がたずねた。「あの、人を好きになるってどういう気持ちですか?」「そうねー、心の中にその人がいるって気持ち、そばにいなくても暖かく感じられる―――、ただ想っているだけでもねww」「こう―――、視線を感じたんです、心に届いたんです、私を呼ぶ声が―――、それでなんだか胸がキュッとして、――――、でもあたたかくて――――、なつかしくて――」「うん、うん、純粋だよね―――、」「え、おかしいですか?」「いや、青木さん、私のほうこそ、なにか忘れかけていたものを、思い出させてくれたみたいで、」そっと部屋をでる鈴木ゆうこ。青木はゆうこの心を観なかった。<続く>
2004年11月13日
『超能力学級 7』青葉台中学校2年A組は雷の話で盛り上がっていた。「朝、6時までごろごろ鳴ってたし――――、」「そうそう―――、」「え―――っ!ぜんぜーん、爆睡かも~、」「なんか――、興奮して朝の読書タイムどころじゃないや~、」一時限目までの10分、いつもなら静かなクラスも賑やかだった。(渡辺~、俺らっていつから雨男になったぁ~?)(俺らっていうな――、飯田――、今朝の雨は県内にふってたんだ、)(それにしても今朝の雷観測はびびった―――、)(そうだな――、放電の際に起こる荷電粒子の加速度現象―――、すごかった――、)(加藤、意味わかんね―から、)(私、なにか見えたかも―――、)(なに―真理っぺ―、何が見えただよ―、)(昨日はごめん、急に写真とっちゃって、)(ほんと、びっくりしたよ―、)(ううん、なんにもなくてよかったねw 清水さん――)私ね雷の時、トイレにたったら、見えたの、)(何が?)(窓から、雷の光の度にUFOとか、歩く人とか見えたの、)(ごめん、真理っペ―、私のせいで―、)と、清水は望月のおでこを診る。(私の熱をはかってどうすんだよ――!)(wwww―――、)と、瞳で笑う3人。(ほんと、近くにどどーんと落ちた時は火柱が赤く見えたっけ――、)(男子はたいへんだね、雷のたんびに観測だものね―w)(いや、昨日はもっと、たいへんだった―、職員室がみずびたし―、)(飯田!)渡辺の視線が走った。(になるくらい、おそうじ手伝ったね~汗)(もうとっくにわかっちゃってるから――、)(これだもん、テレパシーって厄介な事もあるよな―、)(あのあと、沢村も来て一緒に掃除してったんだよ、机のパソも濡れちゃったし、書類もほとんど、)(でも、お咎めなかったんでしょ、)(それが唯一の救いかな―、)(人の意識に入りこむ、そのエネルギーって一体なんなの?)(それ自体が一種の意識なんじゃないかな?)(良い事とか悪い事って本来、宇宙の科学にはない物差しでしょ?そう思い込んでるしている人々の思いの結合かもしれないし――、)(そっか――?)(でも、地球自体が生命体であるって考えではどうなの?)(物差しは地球基準ってが――、)(環境にいいガソリンをつかいましょう~ww)(おまえは環境にいいおならを出せ――!)(wwwww―――、)チャイムが鳴った。青木は小さい頃、テレビで見たイルカの兄弟を思い出していた。(たいへんなんだ、海がたいへんなんだ!)一生懸命人間に伝えようとしているのに、回りの大人は分からないでいる。しかし、赤ちゃん語しか話せなかった青木にはなすすべもなかった。水族館から逃げ出したというイルカだと後々聞いたのだが、それ以来近所の犬や猫の会話が時々聞こえてくる。でも今朝は皆静まり返っていて、相当怖かったんだ。(海がたいへんって、イルカは何を伝えたかったのか―、あ、そうだ、昨日の稲光で見えたあれはいったいなんだったろう?円盤のようなもの、そしてゆらゆら動いている人、人?あ、また意識が飛びそう―――、)どどーん!「こらぁー青木!!授業に集中しろー!」数学の田中の雷が落ちた。<続く>
2004年11月12日
『超能力学級 6』内閣危機管理室の隣にできた情報解析室。世間を騒がせたオカルトブームに反対をしている大塚教授、サラリーマン霊能者として一世を風靡した高槻光が分析班の情報を解析している。「もっと、精度の高い予知はないのか――――。」困惑の首相。西暦2012年に始まった世界各地の同時群発地震に日本ももれはなかった。予知連の研究者は群発の部分エネルギーが分散されると言い切っていた。サンアンドレア断層の異常で西海岸が沈み始め、中東では10数年前からのイラク戦争は泥沼化。一部の国とイスラム圏の争いを呈していた。それでも、世界的な規模の不況にならないのはEUに大きな被害がでていないこと、東アジアでも異常気象はひどくはなっているが、台風によるものばかりだった。中国の食料事情は台風などで不自由な分、アメリカからかなりの部分穀物を輸入し備蓄。中国はアメリカのいいお得意さんになった。結果、環太平洋で日本はアメリカや中国に見放された孤児状態。国内のおもだった資産家はオーストラリアに安住の地を求め移動さえしていた。加えて、国会での民自党の岡川代表に追及されている「超能力法案」への是非は、日本の将来の明暗を分ける悪法と―――――。「今、世界で起きている超状現象を分析するに、政府は研究機関へのなんらかの明確な指示や国民への情報開示をしているのですか?超能力法案は単に国民にこれから国を挙げて取り組みますと言っているにすぎない。すでに持っている大国から重要な情報を解析し、国民に開示したほうが安心なのではないですか?安易に能力者の名簿が作られると、その人たちをめぐる拉致やテロ活動も懸念されますが、総理のお考えを聞いておきたいと思います。」「2012年以降の諸現象についてはいろんな機関と連携し、分析している状態でまだ確固とした結論には至っておりません。政府としては国民に安易に結論を出さず、正確な情報を今分析しいろんな角度から安心で未来に夢がある国土の再生を目指しています。また超能力を持っている人たちが仮に登録されたとしても、国によって保護されるし、また自らをそういった危険から身を守れる方たちをもって基準選考する予定です。」「次に、10数年来続いているイラク戦争への――――――、」アメリカの偵察衛星によると、日本本土のずれは顕著になってきているという。「MRIの大きなもので、日本各地の断層や火山地帯の磁場の流れで判断できないか?」と大塚教授。「そんなことをしたら逆にパワーポイントを刺激するのではないですか?そういう地学的なことだけじゃなく、人間の感情の集積との関連性も視野に入れないと―――。」と、高槻光。「なにかい、君は人間の感情もひとつには原因があると――――?」と大塚。「ひとつの可能性としてです。ガイア理論、地球が生命体とすれば当然、陸上のすべての生物とも感応するはずです。」「でも、それは素粒子、光量子でもまだ未決の部分でしょう。」係官が分析結果を持ってくる。「青葉台中学校―――、富士山に近すぎるがここで沢村に頑張ってもらわないことには。」と、二人は言った。かつて、超状現象の類は一部の民間が研究をしていたが、12年以降、すべて危機管理室の管理下24時間体制で観測体制にはいっていた。いかなる兆候も見逃さないという構えだ。民間に任せていては企業の宣伝に終始し、客観的に国民に情報を提供できないと踏んだからでもある。「大塚教授、ここのところはどう解析しますか?」映像は牧村が沢村のエネルギーを吸い取っているようなイメージだった。「このデータだけではわからんな―――、」「それじゃ、人間がくしゃみをしたら地球がふるえる、そんな直結的なデータがいいのですか!」と、興奮気味の高槻。その瞬間に室内が揺れる。「いや――――、」黙りこんでしまう大塚。<続く>
2004年11月11日
『超能力教室 5』青木真理が手際よく7枚のカードをテーブルの上に置く。一番上に『力』右下に『悪魔』左下に『魔術師』真下に『節制』右上に『太陽』左上に『月(逆さ)』真ん中に『死神』が来ていた。「なに、香澄――!」と望月。「携帯で写真なんか撮っちゃだめ!」と真理も言ったが―――――。「カシャ」と乾いた音が残った。牧野は腰掛けていた椅子で長い足を組み替えた。タイトスカートの端がつりあがる。沢村は一瞬、虚をつかれる。とたん牧野の髪の毛がふわぁーっと舞い上がった。部屋全体にひろがる髪の毛。それが大蛇のような太さの束になる。次の瞬間、沢村の首、手足にまとわりつく。まるで生きているようにきつく縛りこむ。あえぐ沢村。牧野の目は赤くつりあがり裂けた口が近寄った。ジリジリジリジリ―――――――!!!!大音響と共に天井のスプリンクラーから水があふれ出る。牧野の上にもふりそそぎ、髪の毛が緩んだ瞬間、沢村はやっと印を切った。「臨、兵、闘、者、皆、陣、烈、在、前」崩れ落ちる牧野、そして元の姿に。「だいじょうぶですか―――!」「な、なんだ!飯田!」「いやー、先生の身になにかあったと察して―――――、」「違うよ、ネットハッキングでモニタリング。」と、渡辺も来る。通産省と文科省で設置されたモニターは、校内の主要ポイントで熱差映像、キルリアン映像をネットで本省へ送っている。渡辺は火災報知器を強制始動させたのだった。「う、うーん、」「牧野先生!」頭からつま先までぬれた牧野に沢村は上着をかける。「しばらく他言はするな、心霊的には憑依とよばれる現象だろう、マイナス波動のエネルギーの物質化、それが当人の意識に乗ってきた可能性も大。」「つまり過失割合、0対10ではないということ?」と渡辺が聞く、沢村、濡れた顔を拭きながら、「それにパワーポイントはプラス・マイナス関係なくエネルギーを増幅するんだ。」「渡辺――!俺、意味わかんね――。」と、飯田。「とにかく、このままじゃまずいから、牧村先生を保健室まで連れて行くよ。」「一応、僕らもついてってあげるか?牧野せ、いや沢村先生になにかあったら、」「下心なんかないわぃ!へっくしゅ!職員室の机の上がびしょびしょだ、たのむぞ、渡辺、飯田、」「頼むぞって――――、」バケツと雑巾を両手に見送る二人。後から、来た職員、光景に呆然。<続く>
2004年11月10日
『超能力教室 4』青木真理は最近までタロットカードに夢中だった。以前は学校から帰ってすぐ自分の部屋にこもり、占いに興じて夕飯も忘れるときも。学校には一度カバンの中にしのばせていったが、沢村に感づかれて没収され、放課後まで、気の抜けた思いをしたのだった。がそれ以来手にしていない。「真理んち、結構ひろいね――、」庭先の石畳を数えながら望月と清水が着いてくる。「私の部屋へは玄関はこっちだから――――、」庭木の山茶花がちらほら咲いている、手入れが行き届いている庭園を眺めて、木戸から真理の部屋へ向かう。正面玄関とは違ってサッシの開きドア。「棟続きだけど、お客さん用の玄関と分けてあるの。今日はこっちからごめんね。」「いいよー、そんなの気を使わなくて―――、」「そうそう、」「こっちこそ、なんか手ぶらできちゃって、」「ささ、こちらへどうぞ。」6畳くらいの部屋、3方が襖になっている。南面に向かって平机。本棚。たたみ部屋のほぼ真ん中にテーブルが置いてある。「とりあえず、待ってて。」しばらくして、お盆に三つの茶碗ときれいな色の和菓子が3個乗っている。「なんか、落ち着いちゃうね。」「こんなところと、タロットなんてすごくミスマッチだよ。」「あはは、」「クラス内で真理のタロットがいつも当たるって評判で――――、」「自分でも不思議なくらい、だから今じゃ頼まれないとやらないの。」「そーなんだ、ますます興味津々だねー、」「って言うか―――、なんでも当てちゃうの?」「気持ち悪いくらいねww。」「そうだー、沢村の恋占いってできるかな―――?」「いまだに独身で――、そろそろ身を固めさせてやろうと思わない?」「やってみるわねー。」手馴れた手つきで真理はカードをきる。その優雅なカードさばきに望月と清水は見とれている。教室の戸締りをして職員室に向かう、沢村。明かりは付いているが人気がいない廊下は薄暗くも見える。「!」気を感じた沢村、いきなり両肩から白い手が伸びる。その手の一方をとったと同時に半身になり、跳ね飛ばす。ちらばる日誌、書類。相手も飛ばされながら両足で着地、ふわっと長い髪が落ち着く。「だいぶ、上達したわね。」ポンポンと上着をはたく女性。一緒に散らばった紙を拾う、「【夜船閑話の音象(音を聞いての印象)、思ったイメージなど書く。】聞いていて不思議な手法のイメージかなぁ。」次のも読み上げる。「最初はたどたどしい加藤も最後のほうは上手になった、なせばなる!加藤!君はえらい!」「意訳を勉強した後でまた聞いて見ると、また一層迫力が感じられる?今一、理解不足~修行不足なり~。」「なかなか、面白そうですね。」「どうも、」「お茶でもどうですか?」「はいはい、牧野先生のお誘いなら――――。」「と言っても職員室のお茶ですけどww。」沢村、湯飲み茶碗に注がれたお茶をすする。「お茶って温かいのがやっぱいいな――――。」「そうね――――、でも今の若い人たちも冷たいお茶を飲んでいるようだけど、それはそれで。」「お茶は暖かくして飲むのが一番。もともとは沈静効果、熱を冷ます効果があるのに、寒に冷だと、冷えすぎちゃうかもね。」「お詳しいですね、お茶といえば栄西のまえにも、最澄や空海もお茶をもってきたんでしょ?」「餅茶といわれるもので、当時は上流社会でだけ使用されていたらしい、煎餅のようにうすく固めてそれを食したり、粉にして飲んだり、面白いのが宋の時代に一時はやった抹茶、日本で生きつづけて中国ではその文化が続かなかった。」「縁というのは不思議ですね――――、」牧村教師の視線が絡みついた。<続く>
2004年11月09日
『超能力学級 3』「山野初め参学の日、誓って勇猛の信心を憤発し、」加藤が『夜船閑話』をたどたどしく読んでいる間、沢村は保護者会とのやり取りを思い出していた。保護者40名を前にして、正面のテーブルには校長、教頭、教育委員会の担当、沢村が座っている。レジ目を配布し終わると、教育委員会の秋山が口火を切った。「なぜ、当校にそういう特殊クラスができたか説明しておきます。いままで現場ではそういう能力に取り扱いが難しく、逃げ腰で腫れ物に触らないようにしてきました。あまりにも最近の出来事には科学的に不可解なことが多くなってきました。10数年前、さかんに世間を賑わした『おれおれ詐欺』も、声紋認識機能の搭載により沈静化できたようですが、それ以上に巧妙な手口が増えてきたのは一例です。つまり、心理的に暗示をかけることによって証拠もなく第3者から特定の口座に、現金を振り込ませるような手口まできています。防犯意識があるかたでも、この手口にかかってしまっています。」質問する保護者。「それがつまり超能力者の仕業としているわけですか?」「当局とも慎重に操作をすすめていますが、一つの可能性としてとらえてください。」「それと、ここで学校特殊クラスができるというのに関係があるわけですか?」教頭が続けた。「実はいままで、くさいものに蓋をするように学校現場では手を出さなかった超状現象の類、実はデータとして残していたのです。テレビ等ではやった超能力ブーム以来、学校内でスプーンを曲げたり、壊れた時計を動かしたり、後者のほうはうれしい限りでしたが、」「そうそう、内の子もできたのよーww」「あら、そう。」「あとはこの辺りに特別なパワーポイントが点在し、能力開発がしやすいというデータです。実はそういうわけで出身小学校とも連携をとり、皆さんの大切なお子様たちを特別クラスで更に才能を伸ばしていこうとしたのです。」教頭が沢村を紹介する。「クラスを受け持つ沢村です。そういう能力は本来どなたでも持っている能力です。例えば、手を合掌するようにしてこすってみてください、それを少しずつ広げると冷たい風が通り抜けるようになりますね。こんどは、おにぎりをつくるように丸めてください。そうです、なにか感じられると思います。実は大気中の“気”がそれになります。」思い思いに各自がやってみる。「そうねー、そう言われればそういう感じもするかしら・・・。」「普通の勉強がおろそかになったりしないかしら、クラブ活動とかにも。」「そうですね、普通の中学生と同じような授業をするつもりです。ただ一週間に2時間だけ、そういう授業を持たせていただく。超一流のスポーツ選手とかは、一種のスーパー能力とも考えられますよ。心身のコントロールができて始めて結果をだせるように、もちろん不断のトレーニングを積んだ上ですが。」「そうねー、内の子―お勉強がもし駄目でも一億円プレーヤーになればそれはそれでいいわよねー。」「そうねーwww」「ただお願いがあるのですが、学校での出来事をなるべく家族で聞いてあげてください。どう感じたかを聞いてみてください、そして感情表現が上手くなると自分が見えてきて、心身ともにコントロールしやすくなります。あとは、過度に期待しないように、重荷になっていろんな重圧からストレス過多に陥ったりもしますから。授業ではいろんな事を実験したり、過去のいろんな本を読んで研究したりしますが中には『夜船閑話』の本も使います。これは長寿健康を保つ手法が書いてある本ですが、この近くの松蔭寺を建立されたご住職さんのものです。基本は呼吸法と瞑想法ですが、人間本来もっている自然治癒力のすばらしさに感動です。仰向けになって、手足をのばしリラックスしてゆーっくり数を数えながら息をすって、またゆーっくりかぞえながら息を吐いたりします、心気が臍下炭田に下りていき、気持ちが集中されていきます。あとは、普通に座禅をしながら頭の上にバターを置いているイメージで瞑想する方法。体温で温まり溶けて伝わっていき体の中から足先までほどよくあたたまり、心の悩みも体の病も溶かしきっていくように気持ちがよくなります。是非ご父兄の皆様も一読され実践されればと――――、」「何が故ぞ、馬こきを咬んで午枕にかまびすし。読み終わりました・・・。」(先生!先生――――――!!)読み終わった加藤、目の前で顔を両手でビローンと広げていた。そのイメージに椅子からこける沢村教師。ゴーンと遠くで鐘の音。教室には誰もいなかった。<続く>
2004年11月08日
『超能力教室 2』青葉台中学校の職員室からは富士市が一望でき、未だに作りかけの第2東名高速道路の橋げたや富士山の頂上付近が見えた。山々の深い緑に赤いのや黄色いのが所々に見え隠れしている。沢村に呼び出された生徒は5人、加藤公昭、渡辺 茂、飯田一義、望月千春、清水香澄。傍から見ていると教師と5人の生徒は、一緒になって景色を見ているようにしか見えなかった。振り向いて教師は5人を見つめていた。(さっきな、教室では言わなかったけど、超能力学級を受け持つくらいの担任だ。君たちの会話なんかとっくに、聞こえていたよ。ただ言うと、まだテレパシー会話が出来ない人が変に思ったりするだろ。)(・・・)(それに、私は人前で注意をしたり叱ったりはしたくないんだ。なぜ大切なのか、分かるように話せば理解できる年頃だと君たちを思っているからね。)(すいませんでした。先生の授業中に、なんか、話の腰を折っちゃうようにテレパシーでおしゃべりをしてしまって。)(こんど、授業でテレパシーといえども、おしゃべりしたら「喝―!」だぞ!)顔が大きくなって、今にも天井に届きそうないきおいに5人は気圧された。しかし職員室の他の教師たちには認知できない心象、チャイムがなった。教壇に立つ沢村はおもむろに『言霊』と黒板に書く。「昔の人は言葉には魂が宿っていると信じていました。私たちは大気に充満する気をすってはいて呼吸しています。その気が私たちの体を通過するとき、つまり口から先に出たときに私たちの想いも実は出ていたのです。それが言葉にするともっと顕著です。「祈り、祝う、呪う」同じ口から吐かれた息と言葉で時に人は人を傷つけたり、また癒したり、お互いに楽しんだり出来るのです。このクラスは超能力学級と言われ、これからすべての人々が持ち始める、いや、その潜在に気づき使い始める。先ず君たちには先駆者になっていてほしいのです。さっき、私が話していたこと覚えているかな?」はいと手を挙げる女子に「はい、青木さん。」「超能力を一つの道具として捉え、依存症になってはいけない。一種麻薬のようなもので、使う手段を間違えば廃人になりかねない。心身ともにスポーツ選手のように鍛錬し、その利用は人様のお役にたつように。」「という事だったね。言葉も同じです。使い方によっては人を不幸にしたり、幸せにできたりするものです。そして口から出た言葉は、想いの集まりとなって大気に気を宿します。言葉自体が持つ波動で水の結晶が変化したのを覚えてますね。」うなずく生徒たち。「一度発した言葉は良い悪いに関わらず、大気に溜まります。もし、悪い言葉が大気に蔓延したらどうなるでしょう。」「どうなるんですか?」「悪い波動とくっついたりします。そしてなんらかの力で物質化、現象化したりするときがあるのです。いわゆる地獄界や、そこからイメージされる悪魔や餓鬼たち。」ここまで言うと教師は胸の前で軽く印を切った。「その言葉自体を言うと、波長で近くまで来てしまうからねw。」身震いをする生徒、若干。「さて、授業再開。『夜船閑話』の1ページから、加藤君読んでみてください。」(そっかー、言葉が持つ不思議な波動かー。)(そうだね、きれいな美しい日本の言葉ってあるよね。)(うぜってーよ、っていうかさー、道具だったら使う本人の勝ってじゃんか!)(香澄―!お前の後ろになんかへんなものが~!)(きゃっ、やめてよー。マジびびったじゃんか!)(喝―!!!)テレパシーでおしゃべりをしている4人に教室の天井までおおきくなった教師の顔。(いい加減にしろー!)<続く>
2004年11月07日

久しぶりに面白い番組に出会いました~^^☆今日の番組では『チーム北島』の平井伯昌さんも登場~映像分析の結果、平泳ぎで1スクロール後に止まりやすい泳法を短縮できることに成功したのでした~^^一般の人にも使えるわざとして~『映像分析』『感情を言葉で表す』事など~もりだくさんな授業でした~^^『世界一受けたい授業』そうそう、今日はきときとさんにもお話しちゃいましたが~昨日登場したカマキリさんにまた会っちゃいました~^^ 「ショートショート」のお話は今日はお休み~^^☆おやすみなさい~^^
2004年11月06日

『ハードボイルドなエッグ』朝、俺はいつものように携帯の目覚ましで起きる。そう、そばで起してくれる相棒がいない。そして、いつものように指令に添って活動を始める。生と死のぎりぎりの狭間で俺の命が躍動する。獲物を狙うようなするどい牙長く伸ばした触手のようなこの腕、時に大いなる力は生きるために非常な指令を下す、食うために生きる事。そう、歌の文句じゃないが「それが一番大事」なんだ。ある時は体の倍以上のやつとも戦った。そして勝ち残った。しかし、食うためだけじゃない、俺が生きていたという証も立てなきゃいけない。それが、俺のプライドだ。それさえ出来れば俺はミッション中に殺されても、本望だ。俺はいつものように、軽く朝飯を平らげると黒サングラスと長いコートを羽織って外へでる。このところ朝晩の冷え込みは一層厳しくなった。その寒さのなかの朝の日差しが俺の二日酔いの体をさすようにまぶしい。俺は気づくとこんなところにいた。フフ。俺も焼きがまわったようだぜ。
2004年11月05日
『超能力学級』「いっかー、みんなー。注目ー。」と言って、沢村は黒板に『道具』と書き込む。「なまじ、超能力を持ってるからと言ってそれを私利私欲に使ってはいけませ―ん。」「なんで、なんでー」クラスの中がどよめく。その中の一人、メガネをかけている加藤が手を挙げる。「はい、加藤。」「先生、全国で初めての学級という事で開設にあたり産業経済省の偉い方や、文部科学省の偉い方も来て話をしたじゃないですか。保護者会のレジメでも、僕ら超能力を持ってる子の素質を自由に伸ばしてあげるそんな風土を作ってあげるって。そしてそのレジメにも、書いてありましたよ。超能力は誰にでももてる能力だって。」「いや、加藤。私は自分がいろいろためしてその能力がまだ開花してないから言うんじゃないんだ。ま、半分は嫉妬はあるかもしれませんが、持ってる人、もってない人の差別が生まれても困るし、だいたい世間では未だにうさんくさいと思ってる人も、多いことは事実でなんだ。」「でも、先生。」女子の望月が手を挙げる。「アメリカや旧ソ連でも、軍による超能力開発は進められていましたよ。軍事的利用でなければ、普通に私たちがテストの山をはるように答えを透視したり、友達に相談された時『あの子はやめておきなさい。』とか、いじめられてる子の心の叫びとか聞くくらいならいいんじゃないですか?」「おぉー望月!」クラスの男子がもりあがる。「このクラスの男子じゃないよなー、『あの子』ってー。」制するように、先生は続けた。「はいはい、いいですかー、君たち。今年中に国会で超能力法案が通るみこみです。各メディアもいままで認めていなかった超能力について、認め始めてさえ来ています。さっき、望月さんが言った軍事利用、確かに研究されてきたかもしれませんが、私たちの持つもの、『道具』それは人を傷つけるためや地球、この母なる地球を汚したり破壊するためのものではありませんね。」「いじめっこを『気』でころばしたりも出来ないんですか?」「万が一、打ち所が悪くて後遺症が残ってみろー、誰が責任をとるんだ?」先生は顔はにこやかにでも口は尖らせて言った。「そんなの誰か分からないよ、僕ら以外には。」「そう、そこなんです。世の中は責任の所在が明確にならないといけません。君たちを中世ヨーロッパの魔女狩りのように、狩られるような存在にしてはいけないし、君たち自信そうなってはいけないんです。また、その能力を持って人を煽動したり、あい争わせるようなことをしてもいけません。経験のない君達には物事をどういう目で見て行くか、物差しの基準が必要なんです。もう一昔前になりますが有名な先生で『夜回り先生』と、呼ばれる先生がいました。夜、その先生は繁華街を見回って中高校生を見かけると話を聞いてあげたんです。」「子どもたちが出していた信号を大人たちは見逃していたという話ね。」「そうです、ある時。今じゃ影も形もなくなった、麻薬というもの。これを使用するのが若年層にも及んできたのです。その先生は中毒の子を見つけると親御さんに連絡して、一緒に連れ帰りました。禁断症状を出す子どもの悲痛さ、そしてそのまま帰らぬ人となった子ども。親御さんが『これでこの子は楽になりました。』といった時、その先生は愕然としたそうです。その後、その先生は各地の点々と回り講演活動に入りました、そして」(先生の話長引きそうだね。)(一種、カタルシス状態?)(そうそう、僕らが力を持ち始めたのもそのころだったね。)(最初、ある先輩が植物と感応できるようになって。)(それをとっかかりに、警察関係者で力を持ってる人に怪しいと睨んだ人のリストを送ったんだ。)(先生の言いたい事は分かるんだよ。)「つまり、私がいいたいのは、『道具』は人を幸せにする物でなければいけないし、」(でも力を持てば使いたくなってしまう。)(いじめっこの論理と言われちゃえばそれまでだけど。)(体に自身のある子はスポーツで開花できたよね。)「むかし、アメリカで活躍したイチロー選手は体格では無理だとも言われていた大リーガーで、」(そうでない子はいじいじしてたね、ww)(法案ってそんなに厳しいものなのかな?)(いや、今、閲覧してきたけど、世界的に僕らのような存在が増える中、ある程度情報公開を余儀なくされるようです。)(それって、なんにでも使ってくださいじゃん。)(人探しや、失せもの探し。)(たつやのおやじなんか、的中馬券を教えろなんて言ってきたww)(それで?)(もちろん、当たった。)(だよね。)(謝礼は?)(普通、一割らしい。)(それってやばくない?大人にいいように利用されちゃうじゃん。)「法案によれば、この後超能力の平和利用に向けて、」(でも、結局。大いなる力はそれでも押さえこもうとする。)(いや、先輩たちのように、実験動物状態でいろいろ検査されて日の目も見えなくなってしまうのも考え物だよ。)(つまり、国の機関で僕らを保護してくれると考えてもいいわけだ。)(だからー、いきなり力を出さずにちょっとずつ出して、世間にもなじませてあげないとね。)(そうそう、その内、僕らの時代が来るしね。)(でも大人になっても、変わらずにいたいよ。)(だいじょうぶだよ。僕らは。)教師の話の間、ここのクラスの生徒はテレパシーで話をしている。まなざしは熱く語る教師を見ながら。教室には秋の日差しが長く延び、モニターを見ている関係者、それぞれの場所でうつらうつらしていた。まだ、そう遠くない未来の一コマ。
2004年11月04日
『銀河の午後』すーっと天海の上、床にばら撒かれた宝石のように今日も星々がまばたく。少しスピードを上げて入り込むと目の前を通り過ぎる小惑星や宇宙塵、金属で覆われた衛星。「わー、良く寝たー。」両手を重たく上に伸ばして少女は言った。個室からコックピットへ行って見る。ドアが開くと無数のコンピューターが動いている。まるで、専属のスタッフが何人もいてもおかしくないような造り。中央の大きな液晶パネルには、今にもぶつかるそうに岩石や惑星が通り過ぎる。無人の操縦室。少女には、生まれてからずっとこの船にいたような記憶がある。そしてこれからどこへ行くのかも、あらかじめ知っているような気もする。記憶を手がかりに、中央のドーム状の物を触ってみる。自分の背丈よりやや小さいドームに、顔が写った。その瞳は海よりも深く、輝きは星よりもきらめく。髪の色はシダの緑よりも濃かった。「これが、わたし?」その前で2-3回、回ってみる。ドームのガラス面に回る少女が写っている。突然、ドームから煙が出て人の形になる。きょとんとする少女。「???」「おはよう、お目覚めかな?」「あなたは?」「この船の船長とでも言っておこうかな。」「なんとなく記憶が曖昧なんだけど、この船にはもっと人がいなかったかしら?」「はっ、はっ、はっ。今のところ姫とわしの二人しかおらんかな。」「なにか特別な使命を持って来てるような気がするんだけど、まだ思い出せなくて。」「いや、無理はしないほうがよいよい。時間はたっぷり、余るほどあるから。」「この船の向かっているところはどこですか?」「あらかじめ、コンピューターにセットしてあるんじゃ。だから目的地に着くまで、大半の乗組員は冬眠してるんじゃ。わしか?わしも今は冬眠中じゃ。これはコンピューターの作成画像じゃよ。」「なぁーんだ、それで皆寝ているところはどこなの?」「その場所はな、今パネルに表示した、黄色のところじゃ。睡眠中には起さんくれよ。負荷がかかって10歳も老けてしまうからな、ははは。」「わかりました。当座の間、学習映像で勉強したり、工作室で物質化したりして遊べるのね。」「そうそう、冬眠中にも学習プログラムを取り込んでいるから、あえて必要はないかもしれんがね。あと肉体運動のプログラムや物体化、物質化のトレーニングは覚醒中のほうがよいよい。」「わかりました、ありがとうございます。」すっと消えたドーム状の煙の向こうの船内表示のパネル、冬眠室の各個室は赤く表示されていた。船内を駆けて冬眠室の個室に向かう少女。約20個のカプセルが並べられておりその上の赤色等がくるくる回っている。その冬眠カプセルの表示に赤く、『処理済』と。「???(どういうこと)」「おや?なにか質問かな?」いきせきかけて操縦室にもどった少女は、血相を変えていた。「そうか、おそらく、なにか未知の宇宙ウィルスで艦内が感染されたのだ。という事は姫はカプセルで寝ていないな。」「どういうことなの?」「保存していたDNAをコンピューターが、細胞レベルから培養し、かなりの精度で人間にしたようじゃな。しかし、姫には我々クルーの経験値やメインコンピューターのすべての知識が入力されているようじゃ。」「と、いうことはこの船には私しかいない。」「うむ、どうやらわれわれの恐れていた事が起きたらしい。それに対応してシステムが作動したようじゃ。」「このあとどうなるの?」「第2プログラムがすでに開始されている。姫の好きな星を目指し、そこで好きなように物体化、物質化して楽しんでよいのじゃ。あらかじめ、アミノ酸とか素材が豊富な星がよいぞ。」「そっかー、好きな星を選んで物を作り自分で営みを見ることができるわけね。たぶん、一生飽きないだろうな。」「まれに他の星で作られた生物が外来して、いろんな副産物が出来る時もあるが、それはそれでバランスがとれてくるものじゃ。」「了解。とにかく、楽しんでやってみるわね。」宇宙船は銀河の奥深く、太陽系に向かってすすんでいた。銀河の午後、軽くフィットネスで体を動かす少女。遠く離れる宇宙船の窓。青く時には黄色に光る太陽・・・そこには出来たばかりの星が幾つか浮遊していた。宇宙船は、その中の一つに到達した。火の山が活動し、海が未だ赤黒い砂に覆われた大地。でも何かが起こりそうな未開の星。「ここにするわ」少女は一人つぶやくと自分の実体消して空気と一体化していった。やがて、悠久の年月が過ぎその星は緑の草や木覆われ、青い海が何処までも広がり生物が出現していった。太陽から三番目の青いきれいな星だった。
2004年11月03日
全27件 (27件中 1-27件目)
1