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2019年06月29日
家族の木 THE SECOND STORY 俊也と真梨 <41 進展>
進展
絵梨は家から出る話は撤回したし真梨との会話もいつも通りだった。ただ食後お茶を飲みながら笑い話をするようなことは無くなった。とにかく、いつも明るく元気だが自室から出てくつろぐ姿を見ることがない。子供たちのバカ話を止めなければならなかった日々が懐かしかった。
大阪の隆君と純一は結婚に向けて話し合いをしていた。隆君が言うには養子と実子の結婚は法的には問題ないという話だ。特別養子の場合には戸籍上は違和感があるが、法的には問題ないらしい。僕たちは、こんなにも心の葛藤をしているというのに、法律はにべもないほど単純な答えだった。
純一は大阪の明るいおめでたムードの影響を受けて考え方がずいぶん前向きになっていた。僕たちも心が決まって本来めでたいことだということが呑み込めてきた。
純一は自分でプロポーズしたいといった。僕もそれが最も順当だろうと思った。親から言う話ではないだろう。
ただ、絵梨は純一が養子だということを知らない。混乱するだろう。簡単に、ありがとうとはいかないだろう。それでも、どう考えても、この方向へ進むのが一番幸福なことだと思った。
僕の母は、もう86歳になるが、まだかくしゃくとしたものだった。話の顛末を聡一から聞いていて純一と絵梨の結婚を心から願ってくれていた。早く進めたほうがいいと思った。
純一は度々家に戻ってくるようになった。家でくつろぐ姿を見て真梨や絵梨も嬉しそうだった。真梨も、この話がまとまれば結局は二人とも自分の手元に残るということが分かってきたのだ。話は前向きに進んだ。
ある日、僕たち夫婦が買い物に出ている間に純一が帰ってきていた。リビングで純一はコーヒーを飲みながら、絵梨は紅茶を飲みながら、ぼんやりテレビをながめていた。刑事ものだった。
普段2人ともテレビを見るときには、お笑い番組で馬鹿笑いをするかDVDを見ている。刑事ものを見ている姿は今が初めてだった。というよりも2人はテレビを見ていない。見ているふりをしているのだ。
何とはなしに何かあったと感じた。昔、自分がわざと無表情を作ってテレビを見た日を思い出した。叔父と叔母の留守中に真梨と関係ができた日だった。まあ、大人同士のことに、つべこべ言うまいと思った。
純一は帰り際に僕に向けてピースサインをした。真梨と絵梨は純一を玄関まで送った。真梨もこちらをみて笑った。絵梨が寝室へ引き上げた後、真梨が「絵梨、今日は玄関まで送って出たわね。」といった。僕は「婚約成立だ。さっき純一のやつピースサインしやがった。」といった。
翌週の土曜日の朝、朝食が終わった直後に「僕たち結婚しようと思います。」と純一がきりだした。絵梨は下を向いて、はにかんでいた。まるで、初デート中の乙女のようだった。「あの、私もそうできたらいいなと思っています。」といった。その日は家族でホテルのレストランを予約して夕食をした。
続く
絵梨は家から出る話は撤回したし真梨との会話もいつも通りだった。ただ食後お茶を飲みながら笑い話をするようなことは無くなった。とにかく、いつも明るく元気だが自室から出てくつろぐ姿を見ることがない。子供たちのバカ話を止めなければならなかった日々が懐かしかった。
大阪の隆君と純一は結婚に向けて話し合いをしていた。隆君が言うには養子と実子の結婚は法的には問題ないという話だ。特別養子の場合には戸籍上は違和感があるが、法的には問題ないらしい。僕たちは、こんなにも心の葛藤をしているというのに、法律はにべもないほど単純な答えだった。
純一は大阪の明るいおめでたムードの影響を受けて考え方がずいぶん前向きになっていた。僕たちも心が決まって本来めでたいことだということが呑み込めてきた。
純一は自分でプロポーズしたいといった。僕もそれが最も順当だろうと思った。親から言う話ではないだろう。
ただ、絵梨は純一が養子だということを知らない。混乱するだろう。簡単に、ありがとうとはいかないだろう。それでも、どう考えても、この方向へ進むのが一番幸福なことだと思った。
僕の母は、もう86歳になるが、まだかくしゃくとしたものだった。話の顛末を聡一から聞いていて純一と絵梨の結婚を心から願ってくれていた。早く進めたほうがいいと思った。
純一は度々家に戻ってくるようになった。家でくつろぐ姿を見て真梨や絵梨も嬉しそうだった。真梨も、この話がまとまれば結局は二人とも自分の手元に残るということが分かってきたのだ。話は前向きに進んだ。
ある日、僕たち夫婦が買い物に出ている間に純一が帰ってきていた。リビングで純一はコーヒーを飲みながら、絵梨は紅茶を飲みながら、ぼんやりテレビをながめていた。刑事ものだった。
普段2人ともテレビを見るときには、お笑い番組で馬鹿笑いをするかDVDを見ている。刑事ものを見ている姿は今が初めてだった。というよりも2人はテレビを見ていない。見ているふりをしているのだ。
何とはなしに何かあったと感じた。昔、自分がわざと無表情を作ってテレビを見た日を思い出した。叔父と叔母の留守中に真梨と関係ができた日だった。まあ、大人同士のことに、つべこべ言うまいと思った。
純一は帰り際に僕に向けてピースサインをした。真梨と絵梨は純一を玄関まで送った。真梨もこちらをみて笑った。絵梨が寝室へ引き上げた後、真梨が「絵梨、今日は玄関まで送って出たわね。」といった。僕は「婚約成立だ。さっき純一のやつピースサインしやがった。」といった。
翌週の土曜日の朝、朝食が終わった直後に「僕たち結婚しようと思います。」と純一がきりだした。絵梨は下を向いて、はにかんでいた。まるで、初デート中の乙女のようだった。「あの、私もそうできたらいいなと思っています。」といった。その日は家族でホテルのレストランを予約して夕食をした。
続く