デフレの正体 0
原発 0
体罰 0
糖質制限食 0
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私:これは週刊日経ビジネスで筆者が週替りする一頁のコメントコラムだ。 日経ビジネスの新春合併号では、堺屋太一氏が表題のテーマで、意見を述べている。A氏:俺も読んだよ。 敗戦後の日本には明確な2つのコンセプトがあったという。 1つは外交で日米同盟を基軸とするもの。 2つ目は規格大量生産の近代工業社会を築くというもの。私:2つ目は明らかに、太平洋戦争がアメリカの圧倒的な戦力、それも工業力に敗れたコンプレックスから来ているね。 そして、1980年台、日本は人類史上最も完璧な近代工業社会が実現したと堺屋氏はいう。A氏:この頃には、日本の工業製品は世界を制覇していたと言えるね。私:しかし、その後、冷戦構造がなくなり、世界は1つの経済圏となってきた。 技術もITなどを中心にハードからソフトになってきた。 堺屋氏がよくいう知価社会の到来だね。 経済も物から金融中心になってきた。 日本は新しいコンセプトが必要になってきた。A氏:特に、バブル崩壊後は日本はバタバタし出すね。 よく言われたことだが、小泉改革は古いものを打ち壊すといいながら、その後の青図が見えないと言われていたね。私:堺屋氏は、2つのコンセプトを示しているね。A氏:一つは格差の拡大を罪悪視して官僚の規制と助成の強化を求めるもの。 もう一つは、世界的な知価革命を受け入れて「自由+セーフティーネット」を志向するもの。私:堺屋氏は、後者を推奨しているね。A氏:しかし、今更、社会主義国家に近いコンセプトはなじまないのは当然で、何か単純な比較だね。 この人らしくないなぁ。 それに、「自由+セーフティーネット」というのは一種のグローバル化した市場原理主義ではないの? 違いはあるのかね。私:堺屋氏は右か、左かの2つのコンセプトを列挙しているが、内橋氏の言うように、その間を行く、発想を変えた3つ目の道があるのではないの? その点にふれていないのが専門家のこの人の評論としては残念だったね。 それに安部首相はせっかく「美しい国」というコンセプトを出しているんだからそのコメントがほしかったね。 もっとも安部首相の経済政策は、企業減税で景気を回復したと言われるアメリカのレーガン大統領時代のレーガノミックスの真似と言われていて、アベノミックスと言われているがね。 これはアメリカの格差拡大を促進したね。 美しい国は「自由+セーフティーネット」型かね。
2006.12.26
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私:朝日新聞の土曜日に出るbeの逆風満帆コラムに3週連載で、日本ハムGMの高田繁氏の記事が載っていた。A氏:君の10月29日の日記によると、君は日本ハムの優勝を球団マネジメントの特徴という視点から興味があるといっていたね。私:この日記でも書いていたんだが、当時の朝日新聞の社説では、「親会社の出向組が幅を利かせがちな球界で、現場のユニフォーム組と背広組の責任を明確にして分担を進めた成果だ」と言っていたが、その詳細にふれていなかった。 それで知的な欲求不満が残ったんだ。 それをこの3週連載が解消してくれたね。 背広組とは高田GMのことだね。A氏:ヒルマン監督の力の裏にGMの高田氏の力があったということか。 高田氏というと、巨人の外野手として有名だね。 野球選手としてはエリートコースを歩いてきたね。 しかし、日ハムの監督を最年少の監督ということで4年やっているが、優勝なしで終わっているね。私:その後、巨人のコーチ、2軍監督を経て04年秋から日本ハムのGMになるね。 今年は11月21日にドラフトがあったが、ヒルマンは帰国で不在。 高田氏が王、落合、原などの監督とともに出席。 ここにすでにGMと監督の分業の姿が現れているね。 すなわち、チームの選手編成・強化はGM、ペナントレースの指揮は監督が責任を持つという分業が明確だね。 GMというのは広岡氏などの先例はあるが、高田氏は初の優勝GMだね。A氏:そういえば、04年のドラフト会議で他球団が見送ったダルビッシュを一位単独指名しているね。 ダルビッシュの今季の活躍は、優勝に大きく貢献しているね。 巨人からの岡島のトレードも成功しているね。私:高田氏の選手の目利きには定評があるというね。 星野前阪神監督は「天才肌というか、野球センスの固まりみたいな人」と評する。A氏:そういう彼を日ハムは何故、GMに招いたのかね。私:04年秋に日ハムの球団社長(現オーナー)から「自前で選手を育てて長期に強いチームを作りたい」とGMの要請があったという。 こうして高田氏の札幌での単身赴任となる。A氏:高田氏は今年の日ハムの優勝を確信していたのかね。私:彼も監督も「シンジラレナーイ」だったらしいが、本当に評価されるのは若手が育つ四、五年後だという。 理想は一つのポジションを争って複数の選手がしのぎを削る状況だという。 それは彼自身の体験によるという。 高田氏が張本選手の巨人入団のとき、左翼のポジションが重なり、三塁にコンバートされた。 そのときには、人相が変わるほどの練習をしたという。 天才的な選手だったので、練習量が少なかったが、このときには必死だったらしい。 それで選手生活も延び、コーチもできるようになったという。A氏:中日の落合監督も選手のポジション争いによる自発的な練習の重要性を言っているね。私:星野前阪神監督は「日本はドラフトからトレードまで監督の責任になりがちだが、高田さんの実績がその体質を変えるのではないか」という。 巨人のように監督が毎年結果を求められると、実績のある大型選手をとりたがる。 それが中長期的なチーム編成を妨げる。 それを防ぐのもGMの役目と高田氏はいう。 日本は、スター選手が監督になってすべてを仕切る。 これではダメだ。 高田氏はヒルマン監督と手を携えてそれを近代化しつつあるという。A氏:監督が代わるたびにコーチが総入れ替えでは長期的な強化は不可能だね。 それにヒルマン監督は、スター選手ではなかったが、アメリカで監督としての経験は長いね。私:今まで、球団のフロント幹部は、親会社から野球を全然知らないで来た人が多かったが、高田氏が優勝させた意味は大きいというね。A氏:そうなると日ハムの今後の活躍には目を離せないね。私:来年は小笠原が巨人に、岡島は米大リーグに移籍したが、これらも考慮済みだという。A氏:日本のプロ野球はアメリカの金で植民地されたプロ野球となり、アメリカの大リーグの2軍化していると批判されているね。 君が知的街道でとりあげていたアメリカの市場原理主義は、ついに日本の野球市場をも吹きまくっているのだろうかね。 その後は荒廃が残るだけかね。 「国家の堕落」だけでなく「プロ野球の堕落」となるのかね。私:それを防止するにはプロ野球が地元ファンに根付き、そして、近代化することが重要だね。 その意味でも高田氏の活躍が期待されるね。
2006.12.25
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私:タウンミーティング調査会の報告とそれを受けて処分が決まったが、原因追求が相変わらず浅いね。 すみませんで、一件落着か。 イベント化したのが原因だというが、それは表面的な一次原因で、何故、イベント化したのか、さらなる追及がない。 個人に任せたということも原因の1つに挙げているが、何故、個人に任せたのかそのまた、原因追求がないね。 知的に浅いね。 こないだから、問題になっている政府税調会長の本間氏の問題も「なんでそういうことをしたのか?誰が入居を許可したのかか?本人は何故、それを受け入れたのか?」の原因が明確でないね。A氏:驚いたのは、タウンミーティングは01年から始まっているので5年間続いていたんだね。 こんなことは意味がないという内部の疑問がなかったのかね。 ただ、ダラダラと5年も続けていて、共産党が告発して初めて気がつくというだらしなさだね。私:時系列で見ると最初は、かなり討議が盛んだったらしいね。 しかし、次第にだれてくる。 そのまた原因がわからない。 俺は、先週の水曜日は用事で日中は国会中継を見られなかったので、報道ステーションでのニュースを録画しておいた。 これを今日、録画を整理しがら、ちょっと国会の質疑の場面を見たが、驚いたよ。A氏:何が?私:9億円の請求書に日付記入がないという議員の追及に対して、内閣府山本官房長が答えた日本語だよ。 これが正常な日本語かね。 「原則として請求書に日付が明記されることが必要ですが、日付を記入してもらうところが、なかったと認識しています。」A氏:「日付のない請求書を受け取っていました。これはいけないことです。」で終わりなのにね。 日付なしの請求書を見るのは「認識する」ものなのかね。私:そして「すみません」も絶対に言わないね。 さらに議員が「いつその請求書が来たのか把握しているか?」という質問に対して、例の如く、また、長々と無意味な言葉が続く。 「現時点でいろいろ調べていますが、いつ届けられたがハッキリしません」A氏:要するに「わかりません。」だね。 「いろいろ調べた」というが、「いろいろ」とはどういう「いろいろ」かね。 9億円を請求するほうは、大金だから大体の月くらいはわかっているよ。 聞いてみたのかね。 請求するほうがわからないなら、脱税のうたがいがあるよ。 請求によって支払っているなら、銀行振り込みなら振込日から推定できるよ。 どうも、日付なしは意図的ではないの?私:臭うね。 しかし、もう、追及は終わりだ。 考えてみると、ある意味で質問者をバカにしているね。 慇懃無礼というやつだね。 聞く議員のほうもバカらしくて諦めているんだろうね。A氏:これでこのタウンミーティングの税金の無駄使いの真の原因はわからず、一巻の終わりだね。私:安部首相お気に入りの本間税調会長のスキャンダルも出るしね。A氏:いずれにせよ、こうスッキリしないゴタゴタが続くと安部内閣は来年の参議院選挙で大丈夫かね。
2006.12.19
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私:先日、ニュースステーションに出たゲスト・コメンティターの経済評論家の寺島氏が、松坂投手のボストン・レッドソックスの入団で興味あるコメントをしていたね。 今日、録画しておいたのを見た。A氏:松坂投手は6年契約で約60億円だから、年収最低で約10億円だね。 そのコメント?私:いや、違うんだね。 寺島氏はこのニュースをちょっと一歩下がって全体の視点から見ると、日本のワーキングプアとの対比が見えるという。 すなわち、格差がグローバルになってきたと言うことだ。A氏:なるほど、松坂投手のニュースはそういう見方もできるわけか。 ワーキングプアの人は、年収200万円くらいだね。 ワーキングプアの500人分を松坂投手は一人で稼ぐことになる。私:寺島氏は、強い人は国際的な水準で報酬を受けるが、弱い人は中国やインドなどの低賃金と競争されるという。A氏:しかし、おかしなものだね。 こないだふれた本の「超・格差社会 アメリカの真実」では、アメリカを「特権階級」「プロフェッショナル階級」「貧困層」「落ちこぼれ」と4つに分けている。 アメリカで松坂を見に来る観衆の大部分は、ここでいうところの「貧困層」「落ちこぼれ」ではないの?私:この本の「落ちこぼれ」がアメリカのワーキングプアにあたるようだね。 「特権階級」「プロフェッショナル階級」の合計でアメリカの全世帯の5%だが、それがアメリカの冨の60%を占める。 残り95%が「貧困層」と「落ちこぼれ」で、「落ちこぼれ」が人口の25%から30%を占めているという。 格差は日本よりはるかにひどいね。 10年後に日本もそうなるのだろうか。A氏:松坂投手はいわゆるアメリカの「プロフェッショナル階級」だね。 だから、アメリカでは松坂投手が期待したプロフェッショナルの働きをしないと厳しいだろうね。 観衆の多くは「貧困層」と「落ちこぼれ」だろうから。私:君はどのように思うね。A氏:イチローなみの活躍をするか、リスクを高く見ると五分五分かもね。私:今年の1つの楽しみだね。 これで日本のテレビ局から放映権料がレッドソックスに入るのは確実だね。 逆に、日本のプロ野球は苦しくなるかね。A氏:いや、両方見ることも考えられるね。
2006.12.18
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私:12月10日発売の文芸春秋新年特別号で、昨年ベストセラートップの「国家の品格」の著者藤原正彦氏が「国家の堕落」と題して、特別寄稿しているね。 市場原理主義の徹底的な批判と、バブル崩壊後、それを日本に導入した小泉改革の徹底的な批判だね。A氏:俺も読んだが、君の格差街道のおかげで、この内容が内橋氏の「悪夢のサイクル」とまったく同じように、市場原理主義によるいろいろな格差を指摘しているね。 市場原理主義は必然的にいろいろな格差を生んできたという。私:そして小泉内閣を支援した市場原理主義の学者、エコノミスト、財界人のグループの責任を追及しているね。 内橋氏が「悪夢のサイクル」でシカゴボーイズとしたグループが含まれるね。 そして経済的な格差は一過性だが、教育の格差は次世代までつながるから見逃せないという。 安部首相の唱える教育の場に市場原理を持ち込む「教育バウチャー」制度はイギリスでは、教育格差を拡大させ、大失敗だという。A氏:なんで安部さんは教育バウチャーに熱心なのかね?私:経済諮問会議の民間委員の一人である御手洗キャノン会長は「労働ビッグバン」でますます労働市場の市場原理の徹底化を推進しようとしているね。A氏:御手洗氏は君の日記にときどき登場するが、なんでもレーガン時代にアメリカにいてレーガンのいわゆる企業減税で経済を活性化した影響が大きいとしているね。 レーガノミックスというやつだね。私:レーガノミックスの複雑なからくりは昨日の日記の「超・格差社会 アメリカの真実」で解明しているね。 簡単に言うと、ワーキングクラスからの徴税を増やして、投資収入で生きるトップクラスの税負担を減らすという「減税策」だったという。 格差拡大を推進した。 だから、レーガノミックスみたいに、御手洗氏は、企業減税に熱心だが、一方で消費税の導入、社会保障の抑制を提言しているね。A氏:庶民には厳しい。 富者の経済はよくなるが格差はますます拡大するという結果が予測できるね。 そういえば、同じ文藝春秋の「新聞エンマ帖」で道路財源のことで御手洗氏が矛盾したことを言っているが、新聞の追及の詰めが甘いというようなことを指摘していたね。私:月曜のTVタックルをみていると、野党は格差で賃金が下がっていることを強調し、与党や藤原氏が言う「市場原理主義のエコノミスト」は景気が回復した良い点をいう。 先日、チリーのピノチェット元大統領がなくなったが、彼はチリーに市場原理主義を導入して、経済に奇跡を起こしたといわれている。 しかし、内橋氏は正確に調べると事実は違い、そんなに経済は拡大していないし、むしろ、格差が拡大して、規制を戻し出し、ついには左派政権に変わった結果になったと解説しているね。A氏:藤原氏も改革で良くなった点があることは認めているが、「市場原理」がイデオロギーになって、失ったほうが大きいとしている。 特に、教育まで市場原理を適用するのは許しがたいとしているね。 全部市場原理、全部市場原理否定の議論でなく、あるものは市場原理、教育のようなものは規制するとか、内橋氏がいうようにバランスのとれた第三の道が必要だね。 イデオロギー化すると全部市場原理で動かそうとなる。 そうなると、むき出しの弱肉強食の世界が展開することになるね。私:とにかく藤原氏は、市場原理の行く先は、アメリカのような弁護士が人口あたり日本の20倍、精神カウンセラーが日本の60倍という世界が待っているという。A氏:「美しい国」はどんどん消えそうだね。 藤原氏は、今、進んでいる市場原理主義の道は「堕落した国」への転落だとしているね。私:これで本当に俺の格差街道は終わりかね。A氏:いや、まだ、あるよ。 同じ文藝春秋に「成果主義がソニーを破壊した」があるよ。 これは正社員も「仕事の市場原理主義」で悩んでいる姿だよ。 市場原理主義社会では正社員も楽でないね。明日、とりあげようよ。
2006.12.12
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私:格差街道で「悪夢のサイクル」と「労働ビッグバン」まで来たが、ここでふれているように、アメリカは、日本に先立って、すでに1980年から1990年にかけて格差問題が発生し、いわゆる中流階層が崩壊する。 この「アメリカの没落」は1992年にアメリカで発刊されている。 著者はピューリツァー賞受賞記者だという。 日本訳は1993年だ。A氏:この本は「悪夢のサイクル」でも紹介されているね。 内橋氏が10年前に規制撤廃から現在の日本の格差問題を予測できたのも、このようなアメリカの実態があったからだといっているね。 日本の現在は、今、アメリカの十数年後を追いかけていることになるね。 私:その意味でアメリカの現在の正確な実態に知的興味が湧いた。 それで、新刊の小林由美著「超・格差社会 アメリカの真実」(日経BP刊) を読みたいと思い購入したよ。 帯には「アメリカの豊かな中流家庭は、なぜ貧困層へと転落したのか。日本の明日がここにある?」とあるね。 こういうクエスションマークがある宣伝文句は危ないがね。 例によってちょっと迂回して、十数年前のアメリカを先に知っておこうと思い、それでこの「アメリカの没落」を先に読むことにした。A氏:十数年前の本だと本屋にはないね。私:図書館にあったので借りたよ。 400頁近いね。 読み応えがあったね。 しかし、図表入りでわかりやすいし、いろいろな事例が豊富だね。 しかし、事例を読んでいるうちに、今の日本の正規社員の減少、派遣社員や偽装下請の問題と錯覚してきたよ。 中流層がどんどん貧民層に没落していくんだね。特にメーカーの例が多いね。A氏:所得の二極化が進むんだね。私:所得税率も1950年代に最高91パーセントとあったのが、1991年には31パーセントになる。 メキシコへ仕事が流出する。 企業家は利益を得るが、アメリカの労働者は職を失い、別な低賃金労働に移る。 メキシコの低賃金の影響を受ける。A氏:日本でも中国への工場移転は労働力としてどのくらい移動したのかね。 相当な移動だろうね。私:企業の節税も個人の所得税が穴埋めしている構造だね。 A氏:それからM&Aの急増で企業の破産も増加したのではないの。私:60年代に比較すると破産が80年代に一挙に4倍となる。 M&Aで企業を売り飛ばした経営者は膨大な個人利益を得る。 従業員は職を失うだけでなく、保険と年金も失う場合が多い。 そして長年正規従業員として働いた職場を去って、低賃金の労働につくようになる。 こうしてまた、所得の二極化が進む。 だから、教育も修士は、1950年代には理工学系が経営学系(MBA)より多かったのが、1970年頃から逆転し、1990年代ではMBAは理工学系の3倍を超えるという。 A氏:日本でも今、理工学系の大学は学生を集めるのに大変らしいね。私:規制の自由化は結果的に労働者と消費者にとって高くついた。 自由化した業界もその労働者の生活も崩壊したという。 航空業の自由化で、結果的に多くの業者が参入したが、ほとんどが破産し、フィラデルフィアからピッツバーグ間の往復運賃は自由化前の1978年の86ドルから自由化後の1992年では460ドルだという。 運送業も自由化による乱立で上位30社が1979年以降、20社ほど倒産している。 ここでも労働者が低賃金に追われている。A氏:日本では、その約10年後のタクシー業界の規制撤廃による運転手の低所得問題が今深刻になっているね。私:日本では健康保険は国民皆保険だが、アメリカは大変だね。 アメリカでは産業界は健康管理の費用を労働者に転嫁しているという。A氏:日本でも健康保険の本人負担率は上がってきているね。 特に老齢者には厳しくなっているね。 しかし、多数決のアメリカで貧しい人が多数なら、その解決は政治に反映するのではないの?私:その政治もロビーストの活動などで、変わってきているようだね。 予想した通りの内容だが、ここから十数年、アメリカはこの問題にどのように対応してきたのだろうか。 この間、9.11の同時多発テロ、アフガンとイラク戦争があったね。 現在の姿はどうか?この街道は、次は小林由美著「超・格差社会 アメリカの真実」(日経BP刊)の宿に向うとしよう。
2006.12.10
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私:先週、テレビの国会中継を見ていたら、例の教育タウンミーティングのやらせ関連の質疑をやっていた。A氏:俺も見た。 答弁は内閣府がやっていたね。 例のぬらりくらりの典型的な官僚答弁だ。 だから、事実の本質がよくわからない。私:特に静岡のタウンミーティングが問題になっていたが、その通知がインターネットに出ていたよ。 平成17年6月11日(土)で10:00~12:00の2時間、300人の募集とね。 場所は静岡県男女共同参画センター あざれあ大ホール 静岡市駿河区馬渕1-17-1とあるね。 出席者は、文部科学大臣中山 成彬氏、中央教育審議会会長 鳥居 泰彦氏、明海大学学長高倉 翔氏の3名。A氏:この出席者の3名は当日、家から来たのかね。 新幹線かね。 前泊ならホテルでタクシーは予約できるよ。 おそらく日帰りだろうね。私: 重要な集まりの場合、当日の交通事故などのリスクを配慮して、午前の集まりの場合は現地に前泊することが多いがね。 新幹線で直行の場合、ハイヤーに乗り換えるなら、スタッフの誰かが迎えに駅に出るのだから、その人がついてタクシー乗り場にいけばよいのだよ。 それとも3人とも家からスタッフ同伴かね。A氏:会場の「あざれあ大ホール」というのは静岡駅から歩いて5分というじゃないの?私:俺も用事で静岡駅に降りるときがあるが、正確にはもうちょっとかかるらしいね。 はじめてだと、歩くか、タクシーか迷う距離かもね。 それに今、駅は耐震工事中だしね。 しかし、どうもお役人は金のムダな使い方がうまいね。 巧妙な悪知恵を出しているね。 こういう知恵をもっと国のために出してくれるとありがたいんだが無理な期待かね。 20年位前に行政改革を推進した土光臨調の土光さんは、IHI(石川島播磨重工業)から当時、破滅に瀕していた東芝の再建に社長で乗り込んだ。 それまでの社長は社用車で秘書つきで10頃出社していた。 土光さんは社用車をタクシーに変え、秘書なしで、自分で書類かばんをもって、8時には出社したという。 それまで本社は9時始まりだった。 工場は8時半だ。 そこで本社を工場にあわせ、8時半始業にした。 社長室は8時から8時半まで誰にでも開放したというね。A氏:タウンミーティングなら、もっとタウンの人々に生で接する雰囲気作りが必要だね。私:それと国会答弁で驚いたのは業者とは単価契約なんだね。 だから、ハイヤーも人も後で実績数をかけるから、予算はメチャメチャ。 また、その数がいいかげんだから、いくら単価契約が厳密でもシリヌケだよ。 それに単価にはすでに多少の利益分も含まれているはずだよ。A氏:イベントを計画するときに、全部、数は決められるはずだね。 分担が決まっているんだからね。 しかも、土曜日だから、スタッフの人数はあらかじめ予約しておかないと集まらないよ。 通行人を任意に呼び込むわけでないからね。 数の計画のないイベント計画なんて考えられないよ。 私:質問する議員も計画をどう作って、誰の計画承認で動いたのか突っ込んでいないようだね。 どうもおかしいのは、野党は実績の明細書は細かく調査しているが、計画書の明細を調べてないことだよ。 だから、計画と実績が比較できないから、真の問題点が見えてこないね。 静岡のタウンミーティングは平成17年6月11日(土)で10:00~12:00の2時間、300人で、あざれあ大ホールで、3名の人を呼んでやるという計画書がまず、ある。 静岡タウンミーティングの映画を作るとすれば、その俳優を選びシナリオ作成がある。 映画の構成を計画したディレクターは誰かね。 脚本家は誰かね。 A氏:そうだね。 実際に活動した人数も固有名を持った人の集まりだよ。 数ではないね。 問題になったハイヤー台数の運転手も個々の生活がある個人だよ。 おかしな請求書をでっち上げたのも個人だよ。私:内閣府の個人は教育を受け、先輩に教えられて仕事をしてきているはずだ。 どういう教育を受けてきたのかね。 個人が出ないおかしな仕組みだね。 だから個人の責任も明確でない。 巧妙な仕組みかもしれないね。 その追及がないね。A氏:内閣府の職員の教育はどうなっているんだろうね。 管理の無教育だね。 だから無管理状態か。 君は頭をすぐ下げてすみませんというのが問題だというが、この問題では、すぐに頭を下げて謝る人すら出てこない。 もっと最低だね。 そういう内閣府教育再生のタウンミーティングを先に開いたらどうかね。私:――――
2006.12.09
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A氏:また、責任者がずらり並んで「すみません」 だね。私:なんだい?A氏:東京都羽村市の小学校の教諭が今年6月に著作権違反で家宅捜索を受けていたのに、その後、半年間も教壇に立っていたというね。 そして市教育委員会で事情を聞くように校長に指示したが、「処分するほどのことではない」として放置だね。私:それが11月下旬、マスコミから取材を受けた都の教育委員会からの連絡で、はじめてHPが問題だと知り、12月1日から自宅待機となったという。 半年近い放置だね。 結局、また、責任者がずらり並んで「すみません」というわけか。A氏:驚いたことに、直接、事情を聞いた校長も市の教育委員会も、問題となっているHPを見ていないことだね。 判断するときのイロハのイの字ではないの。私:製造業ではトラぶったときには、三現主義というのがあるね。 当事者は「現物」を見て、「現場」で、「現実的」に考えるというのが鉄則だね。 人の意見ではダメだ。 客観的な事実把握が先だよ。 そうしないとトラブルを正確に知らないので判断を間違って、トラブルが長引くね。 民間企業では、企業生命にも関わることもあるね。 最近ではパロマやシュレッダー事故があったね。 5W2Hでまず、事実を把握してから議論が始まる。 しかし、ちょっと、最近、日本の製造業もトラブルが多いね。 今日の朝刊はドコモ携帯の電池破裂を報じている。A氏:いろいろ議論する前に、まず、事実を確認するということは、常識だ。 こういう常識は先生自ら生徒に教える立場ではないのかね。 ましてや、上に立つ校長や市の教育委員会の人もその常識がないのかね。 今、教育再生会議で教員の資格を問題にしているが、その前に、校長と教育委員会の適性資格を問題にしたほうが早いのではないの?私:どのくらい量のホームページから知らないが、チェックするに1時間もかからないだろうね。 俺の知人で以前、ビジネスマンだった奴が田舎の村の教育委員を頼まれたが、つくづく、先生というのは世の中の常識がないとこぼしていたね。A氏:もっとも、うがった見方をする人は、本当はホームページを見ているのだが、うやむやにした責任を追及されるといけないので、見ていないことにしたのではないか言っているね。私:いや、警察が入ったので、すでにHPはなかったものとして解釈していたらしいね。 それも「思い込み」だね。 自分の都合のいいような思い込みで、 「もしかしたら」という危機感がないね。 自分の「目」での「念押し」の確認をしていない。 「念押し」がないのは、あまり、ことの重要性を認識していないせいだろうかね。 いずれにしても言い訳は多いが行動はいいかげんだね。 まぁ、すみませんといったのだから、その点は理解したのだろうが、高い授業料だね。A氏:「百聞は一見にしかず」もしていないし、「百見は一行にしかず」もしていないね。
2006.12.08
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A氏:植草教授は、9月に京浜急行の品川駅で痴漢行為でまた捕まったね。 だけど、今週、今度も裁判で 「天地神明に誓って無罪だ」 と言ったというね。私:2年前に駅のエスカレーターの登り階段で、女子学生の後にくっついて手鏡でのぞいたという事件のときも、記者会見で確か「天地神明に誓って無罪だ」といったと言っていたね。 これも同じ品川駅だが、JRのほうだったね。 結果は有罪で罰金刑。A氏:今回もどうも理屈にあわないね。 なんで、家に帰る方向と逆の電車に乗ったのか。 時刻的にラッシュでないのに、何故、女子学生にピッタリくっついたのか。私:泥酔したので分からないうちに社内の痴漢騒動に巻き込まれたというが、泥酔して立っていたのかね。A氏:それに両手にかばんと傘を持っていたので手がふさがっていたという。私:それじゃ、つり革をつかむことができないのではないの? 泥酔状態なのにね。A氏:どうやら、今度は手鏡のような簡単な事件とならないね。 迷惑行為防止条例とかの違反だという。私:2年前の手鏡のときは、ずいぶん、社会問題になったね。 当時、俺は地方都市に用事に行ったことがあるが、夜、たまたま、落語の寄席がその地方の同好会であったんで誘われた。 2人くらい前座があり、最後に出た年配の落語家が、この手鏡問題をとりあげていたよ。A氏:どんな風に?私:実は都内の駅のエスカレーターの登り階段のスロープの傾斜は決まっているから、女子学生のスカートの長さはそれに合わせて、のぞきがすれすれのところでできないような寸法になっているんだという。 ところが、そうなっていない危険な駅の階段が都内に一つあるという。 女子学生はこの階段では要注意。 男はこの階段を狙え。A氏:どこの駅の階段?私:品川駅ではないよ。A氏:----私:四谷駅だよ。A氏:四谷駅? その階段? あぁ、よつやかいだん。 私:お後がよろしいようで。
2006.12.07
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A氏:12月3日のサンディー・プロジェクトでホリエモンが出たね。 田原総一郎氏がインタビューしていたね。私:俺は録画でみたよ。A氏:例の粉飾についは知らないということだね。 第一、粉飾ではないと言っていたね。私:公認会計士は違法でないと言っていたという。 違法ならそういう情報は事前にあったはずだという。 宮内氏にも当時そういう罪の意識はなかったようだと言っているね。A氏:君の日記の「粉飾の論理」では 「ライブドアはノリで新しいゲームをやっている感じだった。 彼らは専門家の意見を聞いてハイ、ハイという感じで、あまり考えもせず、その場その場でやっていた。 だから、これらのネットワークが持つ違法性について、ホリエモンや宮内らの理解度は低かったのではないか。」 とあったね。 まさに、事実はそういう感じだね。私:田原総一郎が、ホリエモンに「知らなくても粉飾は貴方の責任だろう」というような戦争責任みたいな変な責任論を言い出したので、もっと聞いてもらいたかったことが聞き出せなかったね。A氏:例えば?私:口座があったというクレディ・スイス香港銀行は知っていたか? 村上氏にはニッポン放送株を買うことを直接言ったのか? 彼の行動はインサイダー取引と思うか? とかね。A氏:それから、彼は拘置所で3百冊の本を読んだそうだが、大体、どういう本を読んで、それらの本を選んだ理由とかね。 まあ、今日、週刊朝日でもインタビュー記事が出るし、そのうちにマスコミでも盛んに報道されるだろうがね。 まだ、まだ、真相はどうなるかね。
2006.12.05
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私:労働市場の規制撤廃として「労働ビッグバン」が始まったね。 労働市場の「市場原理主義」の徹底だね。 公的教育への「市場原理主義」の適用と並行しているね。A氏:俺も君の「悪夢のサイクル」でアンテナが張られたのか、新聞記事が気になるね。 12月1日の朝日の朝刊トップに派遣労働者の直接雇用義務の規制撤廃検討とあるね。 経済財政諮問会議で民間議員4人の提言があり、この中にこの撤廃検討がある。 君の格差問題で登場する派遣社員の扱いについての改訂だね。私:今、3年の派遣期間を過ぎると正社員として直接雇用の申し込み義務が企業側にある。 しかし、企業側はできるだけ、正規雇用を増やすのを避けたい。 そこで3年たたないうちに派遣を打ち切る。A氏:ある大手自動車会社は、派遣社員の雇用期間が1年に近づくと、「クリーンオフ」と称して一旦、名目上は期間工に切り換え、3ヵ月後に再雇用するという。 永久に正規雇用にならない。 違法だね。私:そうだね。 この直接雇用の申し込みの義務という規制ために、かえって、長期に安定した派遣ができないというデメリットがあるというわけだ。 しかし、正社員になりたいのに、一生、低賃金の派遣社員で終わるという格差の固定にもつながるね。A氏:新聞によると「労働ビッグバン」は終身雇用などの「既得権益」に切り込み、正社員を解雇しやすくする規制緩和も狙うというね。 いよいよ、規制緩和の「悪夢のサイクル」が追い込みに入ったのかね。私:民間議員の御手洗キャノン会長は「派遣期間の規制は撤廃すべきで、労働市場は自然な需要と供給に任せたほうがいい」といっているね。「市場原理主義」による「規制撤廃」が見事にあらわれているね。A氏:キャノンは松下とともに非正社員が半分くらいだというので8月から朝日新聞がトップで派遣労働や偽装請負で報じているが、御手洗会長は規制のほうが悪いから撤廃すべきだと言っていると報じられているね。私:たしか、御手洗会長はアメリカ暮らしが長かったが、「アメリカはすごい国だが、学ぶべきことはなかった」と言って、日本の終身雇用は守るようなことを言っていたんだがね。 「市場原理主義」でアメリカ型の「唯金論」になってしまったんかね。A氏:労働社会学の木下昭和女子大教授は「経済界は『長期非正社員』という階層を作り低賃金を手厚くプールしたいのだろう。 企業の取り分が多すぎる。 子どもも養えないカップルが続出すれば、国の基盤すら危うくしかねない」 とコメントしているね。 これは格差の拡大を意味しているね。 「悪夢のサイクル」の「共同体の破壊」段階に入るのかね。 ジワジワと包囲されて来ている感じだね。 昨日の南米の話のようなよその国の問題でなくて、俺たちの日常の問題だよ。 怖いね。私:国際的な低賃金競争に勝たなければならないというのは、大義名分かね。 しかし、「労働ビッグバン」の検討会議に労働者代表がいないというのも不思議だね。 12月2日の朝日新聞の「私の視点・ウイークエンド」欄では全国ユニオンの鴨会長が「『非正規』増やせば社会破壊」として、非正規をさらに増やそうとする「労働ビッグバン」には断固反対としているね。A氏:朝日新聞の12月2日の土曜版b3にジャーナリストの莫邦冨(モーハンフ)氏の「『美しい国』の女工哀史」のエッセイが掲載されていたね。 トヨタの下請け企業で女性のベトナム人研修生が法定の最低賃金よりはるかに低い金額で働かされていたことがわかったという記事だね。 君が「トヨタ絶好調」の日記で田原氏のインタビューの詰めが甘いといっていたが、2兆円を超える利益の裏にこういう問題があるんだね。 これもコストをさげるための一種の格差だね。私:俺もこの記事を見て驚いたよ。 勤務中にトイレ行くと、1分あたり15円引かれたというね。 1年目は時給350円、2年目400円、3年目は450円でここから引かれる。A氏:繊維関係の工場で働かされている中国人の女性もそうだと言うね。 日本が移民を多くしていたら、この格差も大きな問題となるね。 歴史的なこと過去になっていた女工哀史がこの「美しい日本」でまだあり、昔と違うのは女工たちの国籍だけだと筆者は痛切な皮肉を書いているね。 従来から、研修生と称して、安い賃金労働と奴隷みたいな労働条件による扱いが多いが、こういう外国人は別の意味の反日となるのではないの? こういう「悪魔のサイクル」問題を民主党など積極的に取り上げれば政権交替のチャンスになるんじゃないの?
2006.12.04
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A氏:君の「悪夢のサイクル」の日記でアンテナを張っていたせいか、南米の大統領選挙のニュースが気になったね。 28日の朝日新聞では12月3日のベネズエラ大統領選で再選を目指すチャべス大統領に対して独裁を恐れるデモがあったとある。 チャべス大統領は「21世紀の社会主義」を掲げ、原油の利潤による社会事業で貧困層に根強い人気を持っているという。 しかし、人気が高いせいか、一方で独裁化する心配もあるようだね。 反米だね。私:その人気の強さに逆に独裁化を恐れる人が出てきているようだね。A氏:彼は98年の大統領選で「貧者救済」を掲げ、低所得層の圧倒的な支持を集めて大勝したという。 格差解消だね。 そのために大きな政府の政策をとったことになるね。 そして、さらに29日の夕刊を見たら、小さな記事だがエクアドル大統領選に親米派のノボア氏に対し左派のコレア氏が大差で当選したとあるね。 これも所得格差の不満による民衆の左派に対する支援があるらしいね。 コレア新大統領は、チャスベ大統領と協調路線をとるようだね。 これらの南米の国は市場原理主義から脱却しようとしているのかね。私:南米は市場原理主義の実験場となっていたんだね。 「悪夢のサイクル」ではチリーとアルゼンチンの例をあげている。 チリーは1970年代にクーデターで軍事政権ができるが、経済政策は市場原理主義をとる。 規制撤廃だね。 しかし、1980年前半に対外債務危機となる。 格差も拡大する。 そこで1980年代に規制をもどしだすが、1990年代に政権が変わり社会主義的な政策に転換する。 これによって格差が大きく減少し経済も改善してきたという。A氏:アルゼンチンのほうはどうなったの?私:アルゼンチンも1970年代にクーデターで軍事政権ができる。 やはり、当時、はやりの市場原理主義を導入し規制を緩和する。 しかし、1980年代はインフレとなる。 しかし、アルゼンチンはチリーと違い、さらに規制緩和、民営化を促進した。 通貨をドルにする。 結局、2000年代は対外債務危機に見舞われる。 チリーと違った結果になる。 そういう意味で南米のこの約30年は市場原理主義の実験となっているんだね。 そして、むしろ、格差解消には社会主義的な政策の復活となっているようだね。A氏:さて、今日のベネズエラ大統領選はどうなるか? 民主党も政権をとるなら、もっとダイナミックな政策を打ち出したらどうかね。私:格差問題の知的街道は身近な問題としてまだまだ続くね。
2006.12.03
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A氏:もう1週間近くなるが、26日のテレビのサンディプロジェクトで田原総一郎がトヨタの張会長にインタビューしていたね。 君は製造業にいたからこの日記でも トヨタの「人財」主義、「ゴール」との関係、10郵政公社での問題などでふれているね。私:このテレビ番組は俺は家にいなかったので録画で見たよ。 自民党の復帰問題もやっていたが、升添議員の意見はダメだね。 ところでトヨタは売上げは20兆を超え、利益も2兆円を超えるというね。 小さな国の国家予算なみだね。 インタビューではトヨタの「人財」(トヨタは「人材」と言わない)でふれたトヨタ生産方式の生みの親大野耐一氏語録の「百見は一行にしかず」が出てきたね。A氏:田原氏がソニーや松下はリストなどあり、業績のアップダウンが大きいが、トヨタはずっと上昇で来た理由を聞いていたね。私:電気関係と比較するのは、田原氏も不勉強だね。 同じ自動車業界のなかの比較なら分かるがね。 エレクトロニクスの業界は技術革新で、どんどん新製品が出る。 基本技術がものすごいスピードでどんどん変わっている。 比較にならないよ。A氏:なるほど。 音響でもレコードからCD、画像もビデオからレーザー、そしてDVD、HDDとどんどん変わる。 ウオークマン、MD、iPODと変わる。 テレビもブラウン管から液晶やプラズマとなる。私:コンピュータもパソコンへとどんどん変わる。 ワープロなんてもうなくなっているね。 製品そのものがなくなっていくものもある。 そういう業界と比較するのはムリだね。A氏:君の正社員の問題からすると、トヨタは正社員主義のようだね。 人の育成が重要だから、人の移動は避けたい問題だね。 そのためにできるだけ不要な人員の採用は抑えているという。 君の言う機能集団と共同体集団の一致だね。私:これもインタビューの突込みが甘いね。 それは、おそらく組立の作業が中心ではないかね。 テレビでも「カイゼン」の例は組立ラインだね。 この職場は複雑な手作業ラインだからね。 品質も厳しい。 エンジンラインなどの単純化したラインなどは、以前は季節労働者がやっていたね。 今はどうなっているか知らないがね。 その点、田原氏は聞くべきだね。 それと膨大な1次外注、2次外注、3次外注と、逐次展開していくピラミッドがあるね。 下のほうでは苦労しているようだよ。 十数人くらいの部品会社で、半分が違法滞在の外国人だったが、それがこないだ逮捕され、仕事が止まってしまったという事件を聞いたよ。 外注の努力もトヨタの膨大な利益に貢献しているんじゃないの。 田原氏は格差解消のために、なんらかのキックバックをしてはどうですかと聞くべきだったね。A氏:トヨタの売り上げも世界戦略があったので途中から伸びているようだね。 カローラもかっては、日本モデルを海外に売っていたのが、今では、現地に合ったモデルにしているので、何車種もあるという。私:テキサス工場の立上げは張会長が若いときにやったらしいが、最初、アメリカは個人主義の文化だからトヨタ生産方式の導入は心配だったというね。 ところがむしろ歓迎された。 それは会社で教育してくれるからだという。A氏:アメリカでは教育は普通は自己負担なんだね。 自己責任だね。 それをトヨタでは会社が無料でやってくれるし、雇用も安定している。 だから、歓迎されるのは当然だね。私:トヨタは11月17日にアメリカのテキサスにさらに世界一の新工場を開設したという。 そして大型ピックアップトラック「タンドラ」の生産に乗り出すらしい。 ここはアメリカのビッグスリーの独壇場だ。 しかも儲かる車だという。 トヨタのシェアはわずか5%。 トヨタはいよいよこのビッグスリーの聖域に乗り出すことになったが、ビッグスリーとの摩擦が想定されるね。 しかし、世界一になるのは時間の問題だろうな。
2006.12.01
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A氏:昨日(29日)の新聞で「公害防止 惜しむ投資・相次ぐ環境不祥事」という記事が大きく掲載されていた。 次の5つの企業が載っていたが、いずれも大手だね。・神戸製作所加古川製鉄所・JFEスチール東日本製鉄所千葉地区・昭和電工千葉営業所・不二サッシ千葉工場・出光興産愛知製作所 いずれも規制値以上の汚染物を排出していたのに、データを意図的にごまかしていた。 これに対して梅田麗沢大教授のコメントがあり、環境認証のISO14001を取得しているのに、これに対する背信行為ということが書いてあった。 このISO14001とは何かね?私:これは例のパロマでISO9001が話題になったね。 ISO(アイエスオー)というのは、国際標準化機構の略からきているが、ISO9001は、企業の品質に関する管理のやり方を決めた規格だね。 ISO9001は品質だが、ISO14001は、企業の環境についての管理の仕組みを決めた規格だ。 この5つの事業所はみなISO14001の認証を得ているね。 だから、問題なんだね。A氏:そうするとISO14001の認証を取得しているということは、環境に関する管理の仕組みが規格の要求通りだということが認められたということかね。私:そういうことだね。 公的に登録された第三者審査機関によって、審査を受け、それで認められる。 マネジメントシステムの審査だから、施設の点検をしたりするのでなく、書類のチェックが中心だがね。 この点、誤解されやすい。 2000年に、荏原製作所藤沢工場のダイオキシンの工場外河川に垂れ流し問題があったね。 原因はダイオキシンの排出パイプを通常の工場の雨水の排水パイプに接続間違いをしたミスが原因だったらしい。 荏原製作所はISO14001を取得しており、かつ、審査機関が審査していた。 だから、審査機関にも責任があると追及する誤解もあったようだね。 「審査員が配水管の接続をきちんと審査していなかったのか」とかね。 マネジメントシステム審査はそういう審査はしない。A氏:今、問題になっている5つの事業所はいずれもデータをごまかしていて、汚染物の排出は決められた範囲以下であるとしている点がバクロされた点が共通しているね。 これは技術的な問題でなく、管理、すなわち、マネジメントの問題だね。私:その通りだね。 ISO14001のマネジメントシステム要求では、法令などの順守を管理するため、定期的に社内で評価を行うように要求している。 それにシステムが決められた通り動いているかを内部の人が客観的に監査する内部監査も定期的にするように義務づけているね。 そのようなシステムがあることを審査されパスしているはずだよ。A氏:ところがそれがやっていなかったことになるね。 これでは、ISO14001の認証は意味があったのかになるね。私:これは例のパロマの事故でもふれたが、ISO9001をとっていても品質のスキャンダルが絶えないと同様に、ISO14001も認証してもこの新聞記事のようにスキャンダルが絶えない。A氏:新聞はこのスキャンダルの原因はコストダウン要求が厳しいので環境投資を惜しむからだと書いているね。 神戸製鋼加古川製鉄所やJFE千葉地区の水質検査も担当者は一人だけと言っているね。私:俺は違うと思うね。 担当者が多忙だからデータをごまかしていたわけではないね。 測定はちゃんとやっていたのに、わざわざ手間をかけてデータを書くのだから多忙は理由にならないね。 管理するほうも生産するほうも関心がないだけだよ。 ISO14001を認証するにはコンサルタント料や審査費用にかなり金がかかっている。 そうやって、ISO14001を認証しているのだから、トップが環境方針を出してマネジメントをしっかりやっているはずなんだよ。 トップが環境設備に投資を惜しむというのはおかしいね。 多忙と同様に言い訳だね。 JR西日本の尼崎事故では安全投資を怠っていたが、利益は十分あり、金はあったよ。 同じだよ。 新聞の取材が言い訳にまるめこまれているようだね。A氏:それにしても、26日の朝日の夕刊のトップニュースは東電のダムの計測データが意図的に虚偽報告されていたことだ。 こんな報道が連日だね。 よくこうもあちこち虚偽報告が出るね。 例の耐震偽装もそうだしね。 社会保険庁も民間も同じだね。私:タウンミーティングの「やらせ」も一種のごまかしだよ。 いじめによる自殺の報告だって各教育委員会でゼロとしていたのも意図的な虚偽報告だよ。 県の裏金だってカラ出張など虚偽の出費で作ったものだね。A氏:日本全国、ゴマカシがまかり通る。 ゴマカシがばれると「忙しい」「返せばいいだろう」「すみません」で終わりだね。 どんどん「美しい日本」から離れていくようだね。 安部首相もたいへんだね。私:格差問題同様、日本はこの十年で大きく変わってきたのかね。 人心の荒廃は市場原理主義の副作用として一般に指摘されているが、そのせいかね。 根が深いようだね。
2006.11.30
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私:昨日(28日)の朝日新聞で編集委員の星浩氏が「政態拝見」欄で、「『やらせ』で露呈・深刻な劣化」として官僚の質の低下問題としてコメントしているね。 しかし、ヤラセは民間企業でもよくあることだよ。A氏:君のいう「民でできることは官へ」だね。私:ちょっと、ケースが違うかもしれないが、以前は、大手の株主総会には会社の部課長 連中が委任状をもらった形で出席していたと思うよ。 一株でも持っている社員はもちろん出席だね。 そして議長賛成の発言と拍手をする役だね。 しかし、そこに総会屋が登場する。 それを避けるために、裏取引にまで発展する。 あるいは、各社、総会を同じ日時にあわせるようにするとかね。A氏:法律がきびしくなったから、裏取引を断わると総会でもめるね。 例のソニーは大賀社長のとき、大変な株式総会となって有名だったね。 しかし、社長は堂々と対応した。 しかし、いまだに時々、総会屋との裏取引で捕まる例が後を絶たないね。私:一体、タウンミーティングという発想はどこからきたのかね。 大体、カタカナ語は危ないね。 小泉さんのときは174回やったというが、金をかけてどういう効果があったのかね。 参考になる意見があったのかね。 そっちのほうが問題だよ。 どのくらい金をかけて、ねらい通りの効果があったのか評価すべきだよ。 税金を使っているんだからね。 企画力があったのかね。 マスコミもそれをあまり追及していないね。 非難しているだけだね。A氏:なんだか、事前の根回しなしでやったら、労組員らが大勢押しかけ、政府批判ばかりが噴出したことがあったからだという。私:だって、それは簡単に企画段階で予想されることだろう? そういう反対意見を聞き、大臣がそれを説得することにタウンミーティングの意味があるのじゃないの? 別に株主総会のように多数決で採決する場でないのだから、ラフでもいいミーティングなはずだよ。 独裁国家は満場一致だが、民主国家は反対意見に寛容なはずだよ。 しかし、出席する大臣も大臣だね。 「今日は反対意見が少ないね。やらせではないの?」くらい言える大臣でないとタウンミーティングに出席する資格はないね。A氏:俺がいた会社では大きな工場が地方に5つあったが、社長がときどき、現場視察に来るんだ。 最初、社長が来るときは前日に掃除していたんだよ。 当日、きれいな工場を見て社長が「昨日、掃除したな。」と笑いながら工場を歩いていたよ。 そして、とんでもない工場の裏をのぞきこんで乱雑になっている場所を見つけたりして喜んでいたね。 結局、そういうバタバタした掃除は意味がないんで、日常活動にすべきだということでやめたがね。私:企業だと経営は必死だからね。 そういうセンスがトップに求められるね。 大臣が官僚の心理を読めないのは大人のセンスがないとしかいいようがないね。 社会保険庁のごまかしだって、民間出身の長官が官僚のごまかしを予測できなかったのは問題だよ。 民間だって、社員はデータをごまかすんだからね。 そういう社員を扱ってきたんだからね。 結局、タウンミーティング問題で明快な原因がマスコミでは不明だね。 官僚だけでなく、マスコミも取材の質が劣化しているのではないの?
2006.11.29
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A氏:最近、銀行がうるさいね。私:何かあったのかね。A氏:俺は10年ほど前に定年でやめてから個人会社を作った。 そのとき法人名で口座を作ったんだよ。 ところが、途中で銀行を変えたんだ。 最初の銀行は保険だけの出金だけだったせいか、休眠会社だと疑われたみたいだね。 営業活動をしている証明、例えば法人税の納付証明を出せとかいう。私:粉飾決算やマネーロンダリングにペイパー・カンパニーが登場するけれど、最近、銀行も厳しくなっている。そのせいかね。A氏:郵貯も限度額を超えるとすぐに訂正を求めにくる。 最近、個人だって架空口座は厳しいので、過去の口座だって再チェックするだろうね。 俺にはそれほどの金はないから問題ないがね。私:この本は格差街道とマネーロンダリング街道に並行している本だね。 カネボウ、一時ITの花形企業といわれたメディア・リンクス、そして少しだけれどライブドアの粉飾決算の詳細なテクニックにふれているね。 いずれも崩壊の運命をたどったね。 ペイパー・カンパニーはよく登場するね。 すさまじいね。 株の操作も恐ろしいね。 裏を知ると下手に株に手を出せないね。A氏:これらの企業は上場企業だから、粉飾決算には公認会計士が関係するね。私:この本では会計事務所の問題もあげているね。 3つの例とも、会計事務所とのなれあいがあったからね。 カネボウでは大手の監査法人の中央青山の業務停止2ヶ月があったね。A氏:アメリカのエンロン事件では、老舗で有名なアンダーセン会計事務所が崩壊するね。 約八万五千人の会計士がいたという。私:ライブドアでは例の粉飾のために作ったと言われる投資事業組合に関連していた外国 名の会社を取材するが、香港の会社はカンバンだけ。 スイスの出資者は所在不明。 タックスヘイブンで有名なイギリス領バージン諸島まで登場するね。 ある人関係者は、 「ライブドアはノリで新しいゲームをやっている感じだった。 彼らは専門家の意見を聞いてハイ、ハイという感じで、あまり考えもせず、その場その場でやっていた」 という。 だから、これらのネットワークが持つ違法性について、ホリエモンや宮内らの理解度は低かったのではないかというね。 それに反してカネボウ事件の関係者で起訴された2人の保釈金は500万円と、800万円とつつましいね。A氏:社長や重役であったにせよ、平凡な一サラリーマンなんだね。私:メディア・リンクスの場合は、IT産業の特徴か、実に粉飾決算が複雑怪奇だね。 同業者間の架空循環取引が粉飾のもとになる。A氏:IT業というのは、製造業と違って実体の物がないから監査も難しいだろうね。私:それにこのメディア・リンクスの場合は、あやしげな地下人脈が動いている。 それはいろいろな企業を食い物にしてすさまじいね。 株式市場にはこういう地下水のような世界もあるんだね。 著者が言っているが粉飾決算はほとんどの場合、損益計算書の期間損益を実態よりよく見せることだという。 しかし、それはどこかで埋め合わせないといけいない。A氏:それは銀行だろう?私:そうだね。 「粉飾の原資」でカネボウもメディア・リンクスも銀行からだった。 ところがライブドアだけ違う。 借入金でなく一般株主から広く集めた小口資金だ。 自社株の売却代金だ。 ライブドア株を購入していたのは何も知らない個人投資家だ。 株式市場を食い物にした犯罪だという点で新しい粉飾だと言えるね。A氏:「悪魔のサイクル」は止まらないのだろうかね。私:著者は、資本主義は少しずつ修正しながら進むしかないと言っているようだ。
2006.11.24
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私:内橋氏の最新刊「悪魔のサイクル」を読む前に、迂回して3年前に発刊したこの本を図書館から借りて読んだよ。A氏:この知的街道は格差街道だね。 偽装請負からはじまったね。 最近、テレビでも、筑紫哲哉NEWS23での三分の一は非正社員特集とか、報道ステーションの携帯電話での日雇い(デジタル日雇い)特集とか、クローズアップ現代での派遣社員の労災隠し、など集中的に扱い出したね。 この数年で労働形態が変わってきたね。私:この本の題名から、内橋氏が俺の日記でふれたフランスのATTACやトービン税のことを念頭において書いたのではないかと思ったんだが、読んだらずばり的中したね。 この本の最初からそれにふれていて、日本でも今のような市場万能主義による日本でなく、「もうひとつの日本は可能だ」としているね。A氏:3年前だと、まだ、日本は不良債権問題や株価低迷で経済がまだ回復基調でない頃だね。私:既得権の創造的な破壊だというが、政官一体の既得権は破壊すべきだが、重要なことは「環境」という既得権や「労働基本権」「社会保障」という既得権まで破壊したことだろいう。 その破壊の上に強者が支配でき、弱者が増加するという。A氏:そこで3年後には大企業や金融業には利益が出て経済は回復するようにみえるが、一方、賃金格差の拡大、低賃金化、労働条件の悪化、中小企業の経営悪化が出現することになる。 いざなぎ景気を超える景気だというが、いざなぎ景気と基本的に違うのは賃金が低下していることだね。 格差拡大景気、リストラ景気だという。私:この徹底的な市場主義の教祖はアメリカのフリードマン教授だが、面白いエピソードが紹介されているね。 1965年にイギリスのポンドを空売りしたいと教授はある銀行に行った。 巨大な投機利益が期待できるからだ。 ところが銀行のデスクは「われわれは紳士(ジェントルマン)だからそういうことはやらない」と断わった。 フリードマンは怒って帰ってきて「資本主義の世界では儲かるときに儲けるのがジェントルマンだ」と言ったという。 アメリカの銀行には銀行法の規制があって、投機という反社会的な行動やプロジェクトに貸し付けてはならないという条項があるのだという。 フリードマンが主張する規制撤廃というのは、そういう規制撤廃のほうが狙いだったわけだね。A氏:そのフリードマン氏は、先日の11月16日、94才で亡くなったね。 ところで、今月号(12月号)の文藝春秋で有名なヘッジフアンドの帝王・ジョージ・ソロスの対談があるが、ブッシュ大統領の「民でできることは民へ」という政策は間違いだと言っているね。 あらゆるものを民でできるからといって民に委譲すれば、格差は広がる一方となり、社会の不安定は増すばかりだという。 アメリカでは利益を上げるためであれば、あらゆる手段が認められるという過剰なまでの利益優先、株主重視の心理が蔓延。 その結果、金融スキャンダルの発生、市場の信頼喪失という事態が起きているという。 ソロス氏はホリエモンや村上氏を手元に置き、本当の意味の慈善事業家として育てれば、大いに活躍できる投資家として期待できるとしているね。私:エンロンは電力の自由化がきっかけだね。 日本でもオリックスがエンロンと提携するが、その同盟軍が日本電力市場に参入することなくエンロンの崩壊とともに消える。 2002年には、金融市場スキャンダルはエンロン、ワールドコムと続出するね。 これで例の企業に悪評のSOX法の登場だね。 俺は、これは意味がないと思っているね。 俺の現場経験から失敗は明らかだと思うね。 特にその内部統制のやり方だね。 企業で働く人々を奴隷のように監視する方法だと思うね。 「もうひとつの道」である人間尊重への解決ではないね。A氏:アメリカではその後「もう一つの道」での成功例はあるの?私:アイスクリームで成功したバーモント州のベン&ジェリー社の物語をあげている。 今、日本ではセブン・イレブンでも販売されているという。 利益追求を最優先していない。 原料は大企業の利益追求型大規模農業のパワーになぎ倒されていく零細な地域農民を守るためにそこから調達する。A氏:日本でももっと地域を活性化する方向でその行くべき道をさぐるべきだね。私:この本では、批判ばかりでなく、いくつかの期待できる日本の事例を示しているね。それが今度、「悪魔のサイクル」で内橋氏はどのように論じているか、知的興味が湧くね。
2006.11.23
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私:このNHKのビデオを今、6巻まで続けてみたよ。 半分まできた。 今までで知的興味をひかれたのは、教育勅語と軍人勅諭だね。A氏:戦時中、学校には奉安殿があったが、あの中には天皇・皇后の写真と教育勅語があったんだね。私:俺のうちの4畳半の居間の欄間には戦時中、天皇・皇后の写真が額縁に入れてかざってあったよ。 明治憲法は明治22年発布だが、その精神的な柱として教育勅語が翌明治23年に発布されるんだね。 これを書いたのは元田永孚という人でもとは朱子学の学者だね。A氏:朱子学は君の小島慶三著「戊辰戦争から西南戦争へ」の日記にあるように、王政復古のイデオロギーになるんだね。私:憲法を作った伊藤博文はあまり朱子学的な内容を好まなかったようだがね。 朱子学は徳川幕府が儒学としてとりいれるが、日本ではあまりイデオロギー化しなかったようだね。 しかし、韓国は国が狭いから朱子学は徹底されたようだ。A氏:こないだスポーツ選手のバラエティ番組を見ていたら、韓国の選手が年長者に対して礼儀正しいということをいろいろなスポーツで日本選手が体験したことを述べていたが、その伝統が未だに定着しているんだね。私:逆に、問題もあるね。 俺は製造業の仕事で韓国にいったが、仕事の改善になると話が抽象化するんだね。 いわゆる神学論争的になるんだね。 風が吹くと桶屋がもうかるような議論になる。 5W2Hの技術論にならない。 司馬氏が言っていたが、朱子学はものすごく理屈っぽいそうだね。 韓国人が一神教のキリスト教信者が多いとか、デモで他国の国旗を焼くとかいう日本と異なる性格は朱子学からきているのかね。 今の北朝鮮の体質も日本の軍国主義同様、朱子学の伝統と将軍様崇拝の習合かね。A氏:その点、一般の日本人はおとなしいね。私:軍国主義は司馬氏は「昭和の悪夢」と言っているが、山本七平氏は「呪縛」といっているね。 山本氏は、この呪縛のもとである尊王思想は、朱子学と日本の伝統とが習合してできた日本史上の一時的な一つの思想にすぎないとして、そう考えれば「呪縛」は解けるといっている。 今の北朝鮮も朝鮮の歴史では悪夢の一時代かもしれないね。 興味があるのは、司馬氏は中国の朱子学は「孝」が中心の家族主義で「公」がないとしている。 天皇がない。 だから、役人の汚職が絶えない。 清のときはひどくて、官吏をやると3代は食えると言われたという。 これはある意味でアジア的な特徴だという。A氏:中国政府は今も役人の汚職には悩んでいるね。 朱子学からくる伝統なんだね。私:司馬氏は、多少皮肉っぽく、戦後の日本人は、天皇の押さえがなくなったのかアジア的になったと言っているね。 この司馬さんの予言は当たったね。 司馬さんがなくなってから、日本の役人の裏金、天下り、官製談合など、中国の清の時代にもどったように役人の道義の退廃だらけだね。A氏:ところで、明治憲法より軍人勅諭のほうが早く発布されているのではないの?私:明治15年だね。 西南戦争の後なんだね。 最初は軍国主義的な意味はまったくなかった。 そこに深い意味があるんだね。 明治維新は革命だが、歓迎されたものでなかった。 大名や武士は特に版籍奉還、廃藩置県、士族の廃止などで反対がすさまじかった。 商人たちは大名への債権は棒引きされて恨んでいる。 だから、下級武士の大久保利通は天皇を大義名分でかつぎだすしかなかった。 第一、大久保と西郷は薩摩藩主の島津久光からも裏切り者と言われていたんだからね。A氏:しかし、同志である西郷が士族にかつがれ、明治10年に西南戦争になるね。私:大久保は西南戦争には勝ったが、また、いつ、反乱があるかもしれない。 まだ、明治政府は不安定だったんだね。 そこで、軍隊は天皇の軍隊であるということを明らかにしたのが軍人勅諭なんだね。 ところが、憲法が後から出るので、軍人勅諭が先だから格が上だとなる。 大正、昭和と一人歩きし出す。A氏:統制権につながるんだね。 近衛公も嘆いていたね。私:軍人勅諭には、軍人は政治に関係してならないとあるんだが、軍部は都合のいいところだけとるんだね。 後でわかるんだが、統帥権には陸軍では立派な裏マニュアルがあり、幹部は皆持っていたという。 これには、戦時は参謀本部が国民の統治権を持つと書いてあるという。 天皇より上なんだ。 終戦時、このマニュアルは占領前に軍部があわてて焼却したというが、まぎれて残ったのがあり、それを司馬氏はテレビで示していたよ。A氏:国家として異常状態だったんだね。 北朝鮮にそれを見るような気がするね。私:司馬氏は、日本の帝国主義はなんだったのかと疑問を持つね。 イギリスの帝国主義とまったく違う。 イギリスがよいというわけではないが、イギリスの帝国主義は産業革命で拡大した商品の販路としてアジアにくる。 一応、国家的な損得勘定はある。 ところが日本の帝国主義はただ、拡大するだけの単細胞思考だ。 売る製品などない。 日韓併合など、韓国人の恨みを買うだけで、なんの国益にならない行動だったと司馬氏はいう。 ものごとには、反発があるという戦略的な発想が皆無だという。A氏:戦えば必ず勝つという単細胞発想だからね。私:それが満州、中国と拡大する。 日本軍人は上に行くほど、そういう世界的なものの見方が昭和になってからなくなったと司馬氏はいう。A氏:近衛公が手を焼いたのも分かるね。私:だから、あの本では東条はサイパン島玉砕で意気消沈すると、夜、一人で夜道を徘徊したとあるね。 負け方を知らない。 うろつくだけだ。 司馬氏の昭和への道はまだ続く。 後、6巻ある。 昭和の悪夢の謎は解けるだろうか。 しかし、司馬氏がなくなって今年で10年。 今、日本は司馬氏が予見した役人の退廃の氾濫のほうが悪夢だね。
2006.11.22
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私:君がこの前言っていた「すみません。今後はしっかりやります」で終わりだという儀式の例がまた出たね。 一昨日の16日、例の流れるプールの死亡事故を出した、ふじみ野市長と幹部が例の儀式の通り頭を下げている写真が出ていたね。 事故からもう半年近くたつが市職員が書類送検されたからだね。A氏:埼玉県警が市職員と管理業者計6人を業務上過失致死容疑で書類送検されたんだね。 そのお詫びだね。 一方、ふじみ野市は事故調査委員会の調査報告書を出しているね。 インターネットでざっと読んだよ。私:どういう内容だった?A氏:君のこないだの日記での「対策型」「原因追及型」をいう考えが頭にあったのでそういう見方で読んだよ。 だめだね。 対策型だね。私:何故だろうね?A氏:このプールの管理を直接していた業者の協力を得られなかったので、アルバイトな どの従業員などの聞き込み調査もできなかったという。 関係書類も警察に提出したので調査不十分なようだね。私:なんで、請負した管理会社は原因追及に非協力的だったのかね。 非協力的だったですまさないで、非協力の原因追及もすべきだよ。A氏:この報告書では理由は分からないね。 管理会社は警察の捜査で不利になると思ったのかね。 できるだけ自分の罪を軽くしようとして、真実の追及を犠牲にしていたのかね。 君の言う「免責」が必要だったのかもね。私:対策は?A氏:要するに、「今後、安全管理をしっかりやります」だね。 君の言う典型的な「対策型」だよ。私:書類送検の理由は次の3つくらいかね。 市は指導要綱に沿ってプールを管理する義務があるのに委託業者の指導を怠った。 最終的に請け負った「京明」は、ふたが外れた時点で遊泳を中止させるなどの事故回避策を取らなかった。 元請の「太陽」は「京明」に対する安全管理の指導を怠った。 いずれも警察は容疑事実を証明するが、それだけだね。 なんで指導を怠ったのか。 なんで遊泳を中止させなかったのか。 なんで「太陽」は「京明」に安全管理の指導を怠ったのか。 その徹底的な根本原因の追及はなしかね。 再現テレビドラマのようにね。 しかし、マスコミもあまり関心がないようだね。 これもたけしの言う儀式パターンで流れて終わりかね。
2006.11.18
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A氏:昨日、君と話題になった11月11日(土)の「たけしの日本教育白書」で俺も後で気になったことを一点思い出したよ。 石原慎太郎、久米宏が出ていた箇所だよ。私:なんだね?A氏:たけしが言っていたことなんだが、いろいろな企業や官庁のスキャンダルで、会見があるんだが、お偉い人が並んで頭を下げるシーンのことだよ。 これが共通していて、その儀式が終わるとそれですべて終わるというような流れがあるということなんだよ。 企業も違うし、官庁も違うし、トラブルの内容も違うんだが、謝り方とそれで終わりの流れが見事に一致しているんだね。 最近では学校もそうだね。 あれって、本当の問題点はかくすやり方ではないの?私:そういう傾向はあるだろうね。 マスコミも後はあまりおっかけない。 俺の製造業の体験でもそうだね。 昔、現場にいた頃、製品不良がお客で発見される。 クレームとなる。 お客に謝りに行くとき今後の対策を示し、二度とこのような不良品は出しませんという。 俺は、それはいいとして、何故、その不良品を出したかの原因を徹底的に追及すべだと言っていたね。 それをある部長が「君の考えは原因追及型で、われわれは対策型だ」と言っていたことがある。A氏:しかし、原因があるから不良品が出るんじゃないの? 対策はその原因をつぶすことではないの?私:単純に言えばそうだね。 ところがいい大人が「過去はごめんなさい。これからしっかりやります。」というパターンが多いんだね。 先の部長の「対策型」とはそういう意味だね。 ところが「対策型」で進むとまた不良が出てクレームとなるケースが多いんだ。 対策になっていない。 要するに、徹底的に原因を追及していないので、本当の原因がつぶれていないか、対策が形式的な精神論になっていることが多いんだね。A氏:そういえば、今、思い出したんだが、JR西日本の尼崎事故だって、いまだに真の原因はわからない部分が多いね。私:「日勤教育」などいう一種の「大人のいじめ」が安全を守る運転手に対して堂々とまかり通っていたんだからね。 何故「大人のいじめ」をしたのか原因追及もあいまいだね。 まずいと言われるとすぐにやめるだけだ。 信念を持ってやっていないせいだろうね。 笠原運転手は「日勤教育」で20通の反省文を書いているが、一体、反省文の量と運転技術の向上とどういう関係にあったのかね。 彼は反省文で「起きた事象は包み隠さず、ありのままを報告する」「速度が速いと感じたら早めの追加ブレーキで停止位置の確保に努めます」と書いている。 しかし、事故当日はオーバーランを隠すように車掌に頼んでいるし、スピードは出すだね。 反省文との因果関係は追及したのかね。A氏:なるほどね。 「日勤教育」は今ないそうだが、やめるのも早いが同時に過去の責任は消えるね。 そして、徹底的に遺族に謝るが、原因追及の徹底はないね。 そして慰霊祭はきちんとやっている。 例の社会保険庁の納入率のごまかし問題もすみませんだね。 県庁の裏金もすみませんだろうね。 返済するか戒告処分などで終わりだね。A氏:社会保険庁は何故、ウソの報告をしたのか? おそらく「民間から来た長官は気がつかないだろうから、ごまかしておこう」という連中が悪知恵を考えたんだろうね。 長官はそれが誰かを把握したのかね。 そして、なんでそういう悪知恵を考え出したのかという原因も把握したのかね。 民間から官庁に来たとき、そういう官庁の裏の抵抗を予想して、戦地に乗り込む戦略を持っていたのかね。 予想した戦略がないとするとその原因は何なのかね。私:カラ出張、カラ残業、サクラなどは民間では昔からやっているが、公共機関である官庁も民間のマネをしているのかね。 「民でできることは民で」ではなく「官でも民でやっているごまかしは官で」だね。 まさに、官の民営化だね。 昨日の日記ではないが、建前もくずれ、人間のギラギラした金銭欲だけが当り前というケツをまくった本音が建前になってしまったのが原因かね。 「金がすべてだ」という新自由主義的グローバリズムの建前と本音に真因があるのかね。わからんね。 「金がすべてではない」というほうがかえって恥ずかしくなっているのかね。A氏:それにしても履修問題やいじめ問題で校長が自殺して例があるが、相当、追い詰められた事情は分かるが、真の原因がわからなくなるね。私:だから、アメリカでは免責があって、罰は加えないから本当の事実を言えとなるんだね。 しかし、日本では免責しても謝れだからムリかね。 やっぱり原因をきちんと過去にさかのぼって明らかにすることが必要だよ。 そうでないといつまでたっても繰り返すよ。 テレビで御偉方がすみませんと頭を下げ、これからしっかりやりますといったら、これは危険だと感ずることがまず第一だね。
2006.11.16
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私:11月11日(土)の「たけしの日本教育白書」は長くて、チョコチョコ見るだけだったが、面白い点が2点、知的興味を引いたよ。A氏:俺も全部ではないがつい見ていたが、特に気になったことはなかったね。私:二点のうち一点は、イギリスの合宿のパブリックスクールで行っているエリート教育を紹介していたときのたけしのコメントだね。A氏:パブリックスクールの教育は、ジェントルマン育成教育だね。 ここではいじめは考えられないだろうね。私:これに対して、たけしが「彼らジェントルマンは東洋を植民地化し、中国にアヘンを流し、残虐な行為を密かにした。」というようなことを例の毒舌で言っていたね。 生放送だから、モロに出たね。A氏:なるほど、彼らしい毒舌だね。 君の日記でもイギリス人のいやらしさはふれているね。 本音だね。私:「父親たちの星条旗」の原作になっている「硫黄島の星条旗」では日本兵はヨーロッパの戦場では考えられないような卑怯な戦い方をしたとある。 欧州での戦争と違うという。 例えば、衛生兵は赤十字マークをしているから敵でも撃たないというルールがある。 それを日本兵は守らない。 勝つためにはあらゆる手段が正当化されると批判的だ。A氏:訳者はあとがきでそれは原爆を落としたりしたアメリカでもあったことだと書いているね。 君の日記でも残虐行為はどっちもどっちだとあるね。 もっとも日露戦争では、戦闘途中で休戦があり、その間、戦死した死体を引き取るという紳士協定があったようだがね。私:もう一点は、爆笑問題の大田が言ったことで、たけしの毒舌漫才のすごさは建前の裏にある本音を表に出したことだという。 それを、建前を基本にして育った大田世代は新鮮に映ったという。 問題は、今はその建前すらなくなって育った世代ではないかという指摘だ。A氏:なるほど、鋭い指摘だね。 金の余裕はあるのに、給食費すら払わない親がいて、ぼかしでテレビの取材にも応じていたが、建前からくる「恥」すらなくなったね。 ギラギラした自己中心の損得だね。私:その親が「義務教育だから給食費はただでいいんだ」という一見論理的な説明をしていたが、義務教育の義務は親の義務でもあるのにね。 無知を恥としない。 わめいているだけだね。 こういう論理で生きている親はどうして生まれ育ったのかね。 知的興味が湧くよ。 マスコミはインタビューするだけでなく、それを突っ込むべきだよ。 取材するほうも浅いね。A氏:ある人がこういう人は自分の5メートル範囲の世界の損得だけで動いていると言ったが、名言だね。 歴史も地理も社会のひろがりの意識もない。 幼児を衝動的に殺すのも同じだね。私:どうして日本はこういう国のかたちになったのかね。 どうも美しくないね。
2006.11.15
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私:今、朝日新聞夕刊で「私の教育再生」という連載記事が月曜日からはじまっているね。 2回目の夕刊ではあのハンガリー人で大道芸人のピ-ター・フランクルさんの意見が載っているね。 ここで小学生の英語問題にふれている。A氏:俺も読んだ。 ピーター・フランクルさんは数学で有名だが、言葉も11ヶ国語できるというではないの。 日本語もうまい。私:その彼が「小学生からの英語教育については、そんなに急ぐ必要はない」と言っているね。A氏:日本人の英語ができない最大の理由は、日本語ができないことだと言っているね。私:自分の考えを相手にわかりやすく、簡単な言葉で説明する能力があれば、どの外国語もある程度短期間でかなりのレベルまでできるようになると言っているね。 日本人は日本語でも人前で話すのが苦手だから、英語ができないのは当り前だという。A氏:これは君のI am appleの日記でのマイク・ピーターセン氏の意見と同じだね。 彼は日本の大学で英作文の授業をしているが、学生の書く英文を読むと日本語の文章力さえも確立していないように思えるというのがあったね。 どうも、ネイティブの人は日本人の英語問題を日本語表現力と結びつけているケースが多いようだね。私:大体、日本語の表現は、自分の主張をあまり表に出さないようにできているからね。 欧米人が日本人に「君個人の意見はどうなの?」とよく聞くというが、彼らには、それが不思議に思えるんだね。 そうなるとI am appleでもいいのかもね。 I(アイ)を先に持ってこようとする意識があるからね。A氏:顔は同じ東洋人だが、韓国や中国人は英語の習得は早いのではないの?だって、自己主張が激しいようだから。私:それが反日デモの日本国旗や小泉さんの人形を焼くような激しさに通ずるのかね。 日本人がおとなしいのは、国民性かね。A氏:でも、最近は皆、自己を主張しているのではないの?私:ただ、ここでいう自己主張は論理的な主張を意味するね。 相手にわかりやすく口に出して言え、かつ、内容がフェアでないと本当の自己主張とは言わないのではないかね。 ただ、どなったり、愚痴ったりの八つ当たり調ではピーター・フランクルさんの言う自己主張にならないのかもしれないね。
2006.11.12
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A氏:君が知的興味を持って9月14日の日記に書いていた非正社員の増加問題がマスコミで次第にクローズアップしてきたね。私:偽装請負の問題は、朝日新聞が8月末に連日トップで扱っていたね。 これで知的興味を持ったんだがね。 それが所得格差問題に拡大してきたようだね。 俺のほうは、格差街道が新自由主義的グローバリゼーションまで拡大した。A氏:今週、ついに、NHKのクローズアップ現代でもマクナルドの例でとりあげていたね。 実は正社員のほうも大変で残業の増大というシワヨセされているという。私:俺も見たよ。 個人で参加できる組合が交渉している場面も出たね。 翌日の朝日新聞では、こういう非正社員の組合結成に関する記事が載っていたね。A氏:NHKの放送でも、解決策は賃金格差の減少などをあげているが、これは経営側としては、コストアップになるのではないの?私:計算上はね。 この偽装請負が問題になった松下、キャノンなどの電気業界の利益は好調だが、それは一部、このような犠牲の上に立っているから、この利益が給与にまわって、利益が減るかもね。A氏:政府は大企業が経済を回復し、これから中小企業がその恩恵を受けるという説明をしていたように思うが、中小企業の犠牲の上に立っているとすると、その格差をなくすようにすると、大企業の利益が減るのではないのかね。 そうすると景気後退となるのでないの? 矛盾するように思うよ。私:それに大企業は低賃金の外国との競争に備えなければならないから、ただ、利益の一部を賃金に回せばよいというものでもないしね。A氏:昔、労働分配率というのがよく言われたが、これは利益の分配を言っているのではないの。私:利益でなく、売上から外部に払う購買費を引いたもうけ、いわゆる、付加価値のうち、人件費に回る率だね。 高いほど、労働者への分配が多いことになる。 昔、ラッカー・プランというのがあって、組合で賞与の要求を出すときに使っていた例があったね。これは労働分配率を一定にしようというものだね。A氏:最近、労働分配率が日本では低下していると言われているのではないの? 偽装請負の増加と関係があるの?私:請負費用は外注費用だから、従来の社内の人件費が減って、外注費用が増加することになるね。減る金額が増える金額が多いと利益は増える。 その利益が残った正社員にいくらか回らないと分配率は低下するかもね。 問題は、正社員も成果制度で人件費の総額が減っているかもしれないことだね。A氏:成果制度も失敗例が多いようだね。私:問題は格差問題だけでなく、今週の日経ビジネスの特集のように「管理職が壊れる」問題のように正社員問題にもつながっていることだね。 いずれにせよ、ビジネス経営はこれから多角的な配慮が必要で知恵の勝負だね。 稲盛さんの「アメーバ経営」やコンサルタントの中静夫氏の「『突破』の戦略、『志』の経営」では、戦略も重要だが、それ以前に経営者自身の哲学や倫理観、志が必要なことを指摘している。 経営も政治経済も難しくなってきたね。
2006.11.04
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私:ようやく政治的な配慮で超法規的な暫定措置が決まったようだね。A氏:大岡裁きかね。 要するに4年前から5日制にしても、カリキュラムは同じで、その中で受験勉強を優先したための問題だね。私:誰の責任でそれを決定したかという責任問題もあるね。 それで、校長が自殺した事件までになった。A氏:責任は教育委員会か、校長かとなるね。私:直接的には校長ではないの? 秋の叙勲で元校長がこの問題で3人辞退するそうだね。A氏:きちんとやっている県とそうでない県とがあるんだね。 問題になったのは全体で1割だが、進学校はもっと率は高いというね。 君のところの神奈川県は公立の履修漏れゼロだということだね。 大阪府もゼロだね。私:新聞だと俺の近くの県立高校の教師は「受験のためだけに高校の勉強があるわけでない」と話しているとあるね。 ここは有名な進学校だがね。A氏:受験に関係ない地理歴史を必修にした指導要領が問題だという専門家の意見もあるね。私:一方で高校が受験予備校になってしまったと大臣がいうように受験偏重を批判する声もあるね。A氏:しかし、地理歴史などは、大学では専門で専攻しないかぎりやらないから、高校レベルでは常識として知るべき内容ではないの?私:俺もそう思うね。 俺は大学では理工系だけれど、地理歴史を高校で体系的に履修したので大いに役立っているよ。 経済や文化など専門外の読書をするにもね。 人生論の本を読むときにもね。 テレビや映画を見るのにもね。 やはり理解度が全く違うね。A氏:俺もそう思うね。 国語を勉強しているときに、「ローマは一日にしてならず」と出てきたときに、どうするのかね。 ローマの体系的な深い意味も理解しないで、自己流で解釈するのかね。 地歴の知識は国語、英語の正確な理解にも関係するよ。 自分自身を知るにも必須の知識だよ。 現在、身近になっている地球温暖化などの環境問題だって、北朝鮮問題だって、テロ問題だって、バラバラの知識ではダメだね。私:石原慎太郎都知事が、戦争中の名戦闘機乗りから聞いた話をしているね。 その戦闘気乗りが最近、電車で二人の若い男が、「日本はアメリカと戦争したそうだよ」「そんなことはないだろう」という会話をしているのを聞いて唖然としたという話だ。 作家の阿川氏は「若い女の子が、『太平洋戦争の知識なんか私たちの生活と関係ないわ』というが本土戦争になっていたら、彼女らの親は死んでいただろうから、彼女らの人生はなかってであろう」と言っているね。 人間は本質的に地理的、歴史的な存在だからね。A氏:理系だって、ガリレオがローマ教会から破門されたなんて知っておいたほうがいいかもしれないね。 科学史のための基礎知識になるね。 俺の友人で高校の世界史の授業で興味を持ち、大学は史学を選んだのもいるよ。 まだ、頭が柔軟なうちに広い知識を持って知的興味を展開していくことは重要だよ。 中国や韓国の反日の歴史教育は小学校からすごいではないの。私:ちょっとそれは目的が違うね。 実は俺は、大学を卒業するとき、技術関係のジャーナリストになりたいと思い、新聞社の試験も受けたよ。 筆記試験の難関を突破したが、高校時代の地歴の知識で十分対応できたよ。A氏:何故、そっちの道に行かなかったの?私:やはり、その当時は、技術系のほうが給与がよかったからね。 それにしても、最近のタレントのバカバカしいクイズ番組を見るとつくづく高校時代の勉強の重要性を感ずるよ。
2006.11.03
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私:俺はマスコミで話題になっているイジメの扱い方が全く、ピンボケで理解できないんだよ。A氏:どういう点?私:俺は先生の経験はないが、生徒の経験はある。 昔からイジメという現象はあったね。 俺はいじめもしなかったし、いじめられもしなかったが、小学生のとき、他のクラスだがイジメの現場を目撃したことがあるね。 いじめの親分も知っていたし、取り巻きも知っていた。 いつもいじめられている子も知っていた。A氏:いじめは多かれ少なかれ、集団の本質的な特質だね。私:それを俺たちは幼稚園から小学校で学んできているんだ。 クラスでいじめそうな奴は大体わかっている。 大抵、親分見たいのが一人か二人いる。 それに取り巻きが数人いる。 これもみな大体分かる。A氏:俺はそういう奴らは感覚的に避けるね。 幼くても生きる知恵を出してね。私:避けるのが不器用な奴がいて、つかまる。 これも大体決まっている。 そういう人間関係があるのが普通の学校集団だよ。 普通の先生なら、そうみているよ。 それが出てこないから不思議だよ。A氏:クラスの担任になったら、いじめそうな奴、いじめられそうな奴をまず、観察するだろうね。「人は見た目が9割」なんだから。 一種の裏社会だからね。 そうしないとクラスの生徒の動きの本質を把握できないことになるね。 むかし、企業でもグループダイナミックスという考えがあって、集団の人間関係の分析をしたことがあるね。 君のいう、グループのマネジメントのためにね。私:経営の神様と言われた松下幸之助氏は、よく自社のいろいろな工場を回った。 工場に行くと現場を回る。 あるとき、現場を回った後、工場長室で、工場長に「あそこの現場の係長は顔色が良くない。何を悩んでいるのか。」と聞いたという。 ちゃんと人の顔色をさりげなく見ているんだね。 それがマネジメントの原点だよ。 大人のカンだよ。 先生がそういうアンテナを張ると、保健室の情報、休み時間の情報がわずかであろうと集まる。 担任だけでなく、いじめのおきやすい部活動でも同様だ。 もちろん、子供や親からの情報もすぐに反応する。 親もこどもがいじめるほうか、いじめられるほうかよくみることだね。 俺だって、観察力はたいしたことはないが、幼稚園の孫の反応を常にみているよ。 孫の幼稚園の若い先生がときどき手紙を親に出しているが、実によく孫と友達関係を観察しているよ。A氏:松下幸之助は、その顔色の悪い係長に「お前、何か悩んでいるか。」など直接聞かないんだね。 周りから聞いていく。私:ところが、問題になっているイジメでは、本人に「何か困っていないか」と聞いて、「問題ない」と言われて安心したという話が多いね。 いじめられている子はコンプレックスがあるから、かくすことが多いんだよ。 その当り前の心理が読めないんかね。A氏:いじめの定義をいろいろ言っている校長がいたね。私:自殺した事件で、テレビで校長がいろいろ発言を変えているのをみると、校長自体が誰からかいじめにあっているのがありありだね。 教育委員会か文部省からか、あるいは、組合からか。 高校履修問題で自殺した校長もいる。 これも大人のいじめだね。 校長にいじめられて自殺した先生もいる。A氏:週刊朝日で連載コラムを書いている内館牧子氏はいじめ対策には転校が一番いいという。 属している集団を変えるのだね。 もっともその子がいじめられやすいものを持っていると移った集団にうまく適応するかは疑問だがね。私:これは、加害者であるいじめの親分は温存され、被害者が逃げるという日本式が根本的にあるのが原因のようだね。 今朝の朝日新聞朝刊の社説もそういう立場だね。 これがおかしいね。 アメリカのゼロトレランスは逆で、いじめの親分を隔離するか個別指導するね。 だから、親は子供がいじめの加害者になっていないかと心配する。 いじめると一種の刑務所送り扱いになるからね。A氏:日本は子供が加害者になっていないかという親の相談はほとんどなく、被害者の親の相談が圧倒的だという。 アメリカと逆だね。 日本では加害者は保護され、かくされる。 校長もかくす。私:今回の女子の自殺では遺書にいじめをした4名の実名があった。 新聞には出ないけれど、あの地域では皆知っているんだね。 だから、その親が謝罪に来た。 それをもっとマスコミは知らすべきだよ。 これを機会に、「うちの子はいじめをしていないか」という加害者側からの親の相談が増えることを期待したいね。 自殺した子の親に謝りに行かないようにね。 最近、話題になっている「心にナイフをしのばせて」の著者である奥野氏は、1969年高校1年生が同級生を殺害、首を切り落とすという事件のその後をとりあげている。 被害者家族の崩壊は現在もさんたんたるものだ。 ところが、少年は更生して弁護士になるが、慰謝料も払わず、謝罪もしない。 これが更正かと著者は考える。 奥野氏は犯罪加害者の更生にかける国の予算は466億円、加害者のための予算はわずか11億円という。 著者は「今の少年法には被害者の視点が欠けている。いちばん救われなければならないのは被害者とその家族である」と言っているね。 戦後民主主義の欠点かね。A氏:俺たちが子供の頃、教えられた「強きをくじき、弱きを助ける」でなく、今の教育は「強きを助け、弱きを自殺させる」かね。 マネジメントの観点からすると、自殺してから驚いているけれど、一体、学校の集団活動の日常の生徒のマネジメントで何をやっていたのかとなるね。 ましてや、先生自らいじめ的行動を生徒個人にするというのは、犯罪を自ら教えていると同じだね。 教師を辞めて、闇金業者の取立てをしたら稼げるのではないかね。 取立ての相手を自殺させてね。 イッソプ童話で、蛙に石を投げる子に蛙が「君たちには遊びでもわれわれには死である」という話があるが、そのくらいの話を授業でしてやれよだね。私:例のJR西日本の尼崎大事故を起こしてから、安全が重要だと騒ぎ出すのと同じで、日常の安全マネジメントや危機管理ができていないのじゃないの。 それをマスコミは何も追求していない。 先生は、担任の生徒をよく観察し、情報を集め「いじめマップ」を作るべきだね。 そして、いじめをしたら直ちにゼロトレランスでその子供に何らかの罰を与えるべきだね。 教室で加害者をクローズアップすべきだよ。 そういう毅然とした態度を学校側は団結してとるべきだね。A氏:教室内に金日成を作ってはいけないね。 兆候が出たら、ワントレランスでなく、ゼロトレランスで対応だね。
2006.11.02
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私:昨日の朝日の朝刊の一面で「郵政公社トヨタ式に混乱」という記事がのっているね。A氏:俺も読んだが、年賀状遅配が懸念されるということだが、よく理解できなかったよ。 君は、製造業にいたからトヨタ方式はよく知っているだろう?私:トヨタ生産方式は型に決まった手法があるので、実行しやすいように見えるのだね。 それでいきなり型を強制して失敗したり、反感を持たれたりする例は製造業でも多いね。 指導が難しいね。 例えば、「立ち作業」という「型」があるね。A氏:いすで作業をやると立ったり座ったりで余計な動作があるからだね。 その動きのムダ取りだね。私:新聞記事ではいすが撤去されると腰痛やひざの痛みを訴える人が続出し、遅配の原因になっているというが、これは誤解を招きやすいね。 製造業では、ここ20年位の間に立ち作業が常識になっているからね。 記者はそれらの比較した情報がほしいところだね。 ある研究では、肉体的に苦痛を訴えるのは、1週間から2週間くらいでその後は、別に苦痛は感じないというがね。A氏:健康のためには立つことを進めている人もいるくらいだからね。私:まだ、立ち作業が一般的でなかった頃、地方の工業団地の中小企業があるラインに立ち作業を導入した。 そのラインの作業者は一斉に退職したね。 地方だからそのウワサが広まり、求人しても応募して来ないんだね。A氏:それでどうした?私:結局、立ち作業を諦め、もとにもどした。 今では立ち作業になっているがね。 周りの工場も立ち作業だからね。A氏:心理的要因もあるようだね。 考えてみれば、店員などは立ち作業だね。私:こないだ、自動車関連のある中小企業に行き、ちょっとパソコンを借りに、事務所に行ったら、驚いたね。 パソコンも立ち作業になっていたよ。 立ちながらやったよ。A氏:どうだった?私:いや、別に違和感はなかったね。 短い時間だったせいもあるかもね。 ただ、入力する内容を考えるにはいすがいるだろうね。A氏:郵政公社の高橋副総裁は元トヨタ常務というから、その縁でのトヨタ式の導入かね。私:俺の遠い知人に郵政公社につとめている人がいるんだが、数年前、トヨタ方式が入ったとき、その考え方が今までの官庁の考え方と全く違うので驚いたと言っていたよ。 最近、風の便りだが、残業がかなり増えているという。 販売のほうの部門らしいが、年賀はがきの販売もノルマがあり、ウソか本当か知らないが、ノルマを達成できないとその分の切手を購入しなくてはならないという。A氏:この新聞記事によると、トヨタ方式を導入したにもかかわらず、人件費も残業代も増加しているという。私:製造業でよくある失敗例かもしれないね。 昔、トヨタ方式が製造業でブームになり始めた頃、あるコンサルト団体が「6ヶ月かんばん」というコンサルティング・パッケージを売り出した。 どんな会社でもトヨタのように6ヶ月でカンバン方式になれるというわけだ。 それに引っ掛かって、ある中小企業でコンサルを受けた。A氏:どうだった?私:6ヶ月たってもうまくいかない。 そうしたら、コンサルタントは「あなたの会社はレベルが低いので6ヶ月ではムリだ」と言って終わりだった。 経営者は「最初からそれを言うべきでないか」と怒っていたね。A氏:詐欺ではないの?私:そういえるね。 医者と同じで患者はいろいろあるから、処方箋は患者の個性にあわせなくてはならない。 きわめて当り前の理屈なんだがね。 俺はその経営者に、「引っ掛かったあなたも問題だ」と言ったよ。 特に、サービス業の応用では気をつけないとね。 JR西日本も利益優先をトップにもってきた経営をしていたが、あれもトヨタの形だけの真似で、形の底にある考え方は全くトヨタ方式でないね。 第一、トヨタは悪いにユースは早く流すだが、JRは国鉄時代から、悪いニュースはかくすだからね。 その伝統に形ばかりのトヨタ式を入れたからあんな事故になったと思うよ。 大体、日勤教育などは、トヨタ式では考えられないよ。 とにかく、郵政公社の導入が失敗とするとこれは大きな失敗例となるね。
2006.10.30
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私:昨日、福島市に用事があって、一泊してきたよ。A氏:あそこは、今、県知事関連の問題で全国紙に毎日のように登場だね。私:会った人はかっての中小企業の経営者だけれど、早速のその話だよ。 知らなかったとはいえ県民の恥だといっていたね。A氏:公共事業は税金がからむからね。私:県のお偉方が「塀が少し崩れているかな」ともらすと、建設業者がさっといつの間にか直してくれるという。 「庭が荒れてきたな」とつぶやくと、土建業者がいつの間にか来て、きれいにしてくれるという。A氏:これらは、直接、金は関係しないが、将来の金を得るためのサービス提供だね。 お歳暮やお中元がどっさりくるのではないの。私:建設・土木は商売のために必死だからね。A氏:かっては、選挙で下働きに人を出すそうだが、これは今もやっているのかね。私:今度問題になった福島県知事は、5期連続だというから、もう、20年近くやってきているわけだ。A氏:一時、長野県知事がそうだったね。 皆、知事なると長かった。 それを田中知事がぶっ壊した。私:それが反対勢力にやられ、また、旧に復したようだね。A氏:君の中田横浜市長は40才で、若い革新派ではないの?私:けっこう、うまくやっているようだね。 今年、再選された。 そういえば、今年初め、自治会の回覧で、ゴミについて説明したビデオが回覧でまわってきたよ。 A氏:ビデオの回覧とは珍しいね。私:20分くらいのものだ。 早速、見た。 最初に中田市長が、ネクタイなしの開襟のワイシャッツ姿のラフなスタイルで出てきた。 語りかけるように前かがみの姿勢で、5分くらい語り始めたよ。A氏:何のビデオ?私;まず、三年ほど前からはじめた分別処理によるリサイクルの効果と分別への市民の協力に対する感謝だ。 そして、分別処理の後、どのようにしてリサイクルされているかのいろいろなリサイクル工程の撮影だ。A氏:なるほど。 分別した手間がどういう効果になっているかは、家庭の主婦は見えないものね。 ビデオとは考えたね。私:確かに、分別処理の後のリサイクルまでの工程は、ビデオであるとよく分かる。A氏:横浜市はどういうリサイクル効果があったの?私:今まで、焼却炉で焼却していた家庭ゴミは、約三割減ったという。 その結果、そろそろ建て替えをしなくてはならなかった二つの焼却炉が不要になり、一千百億円の建て替え費用が浮いたという。 そして、焼却炉は閉鎖されるので、その運用費用約三十億円は減った。、 その上、焼却による炭酸ガスの発生がなくなり、それは横浜市の現在の森林量と同じ効果で、横浜市全体に杉を数千本植えたに等しいという。A氏:でも新しくリサイクル費用が増えるだろう?私:リサイクルにかかる費用は二十億円程度であるというから、十分、お釣りはくるね。A氏:効果は大きいね。私:なくなる二つの焼却炉は、俺の住んでいる区と隣の区にある。 1つの焼却炉は俺がこの地区に住みだしてからだから、三十年くらいたつね。 たしかに、最初、ゴミのうるさい分別はなく、どんどん捨てていた。 皆、この焼却炉に放り込まれていたのであろう。 すごい能力の焼却炉であると思ったくらいだ。A氏:それが中田市長のリードでリサイクルの向上になったわけか私:この大焼却場がなくなるのであるから、たいしたもんだ。 この分別処理は、俺の住んでいる区など、いくつかの区でテスト的にはじめ、逐次拡大してきたものだよ。 最初は面倒な気がしたがね。 なれると関心が高まりたいしたことはない。A氏:やはり、市民の主体的な意識が重要だね。
2006.10.28
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私:10月13日の朝日新聞は大手メーカーの偽装請負を「三者三論」欄で特集していたね。A氏:こないだ問題になった製造請負業の大手の「コラボレート」の事業停止命令事件でクローズアップしたね。私:実体は正規従業員と仕事は同じなのに、偽装請負になると、労働者はボーナス、昇給、社会保険の加入などを受けられず、企業側の人件費削減の犠牲になりやすい。 全国コミュニティ・ユニオン連合会会長の鴨さんは労働相談で、広い意味の偽装請負が増加しているという。A氏:パートや正社員として働いている人が、仕事は同じなのに、個人事業種扱いとなる。 そうなると会社側は雇用保険や健康保険の費用の一部を会社負担しなくてよくなる。私:偽装請負増加の原因は、グローバル経済で海外の低賃金との競争の中で利益を上げるため、人件費の面でコストダウンと需要にあわせた雇用調整が容易することが必要となっている背景があると鴨さんは言っている。A氏:その通りだね。 それはアメリカのほうが先輩だろうね。私:佐野俊樹東大教授は、バブル崩壊後、人件費を抑えるための成果主義を大きな原因としてあげている。 それが現在30代前半から半ばの特定世代に不利益が集中しているとしているのが問題だとしている。A氏:アメリカではレイ・オフ制度というのがあるが、解雇の順位が勤続年数の短い者からするという先任権制度(セニオリティ)があるね。 同じではないの?私:しかし、佐野教授は日本では、中高年などの先輩社員が若い人を育てるよりも自分が 成果をあげるために精いっぱいで、従来の運命共同体という考えも薄れた。 共同体の機能集団への移行だね。 「自分が退職するまでに逃げ切れればよい」という無責任な態度がはびこるようになったという。 アメリカ流の成果主義を上手にまねできなかった。 アメリカ流はもっとドライで平等だという。A氏:アメリカでもシニオリティ制度はなくなったのかね?私:どうかね。 いずれにせよ、正社員の給与を減らすことになるね。 しかし、それは消費の停滞を招くリスクはあるね。 小嶌大阪大学教授は派遣と請負の厳密な硬直した条件の規制を緩和すべきだとしている。 これにより、請負の独立性だけでなく、もっと、企業側の指導も可能なようにして技術、技能を向上させ、それによって賃金や処遇を良くすることができるとしている。A氏:しかし、若年労働者が低賃金で正社員になれないのは問題だが、偽装請負をなくすだけでは解決しないのではないの?私:だから、小嶌教授も正社員の既得権の見直しが必要だという。A氏:ワークシアリング的な発想かね。私:この問題は、グローバル経済に対応して、構造的な問題になっているから、簡単な処方箋が出せないということだろうか。 しかし、「唯金論」にあったように、日本では今まで日本経営のよかったことを安易に放り出し、あまりにも「唯金論」に走 ったことが問題だったと思うね。 そのしっぺ返しを受けているような感じだね。 3人とも「唯金論」でふれていた経営者の経営の考え方について無関心なのは意外だね。 それに残った正社員も仕事が増えて、残業や休日出勤が増えるなど、労働条件の悪化というしわ寄せがきていることもふれるべきだね。A氏:それについては、10月15日の朝日新聞の社説が「受け入れ側の責任も問え」と強烈な論説を展開しているね。 厚労省は、偽装請負で指導した企業名については口を閉ざしたままだという。 社説では、冒頭に正社員と違い、給料は半分以下、昇給もボーナスもほとんどなく、社会保険のへの加入も徹底されず、簡単にクビを切れるという格差が明記されているね。 こういう偽装請負は要求する企業があるから発生するのだから、当然、要求側の責任が大きいがこれについては、名前も責任も追及されるべきとしているね。私:残念ながら、論説では責任追及は厳しいがトップの企業姿勢までの追求がないね。 また、背景になっている中国などの低賃金と競争するグローバルな視点による具体的な対応策の提言もない。 同じ紙面でパートのサービス残業が3割という調査が発表されているね。 本当に、経済は力強く回復したのかね。 現場の感覚と遊離している感じだね。 とにかく、目指すべき「美しい日本」の姿ではないようだね。
2006.10.16
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私:三国陽夫氏が10月2日の朝日新聞の朝刊の「私の視点」欄で米国の住宅バブルが崩壊に向い始めたようだとして、日本経済に大きな影響を与えるので日本の対応が必要としている。A氏:三国氏と言えば、「黒字亡国:対米黒字が日本経済を殺す」の著者だろう? この本の話題でフジテレビの報道2001に出演したこともあるね。私:そうだね。 日本(円)はアメリカ(ドル)に冨を収奪される通貨植民地だという見方だね。 米国住宅バブルの崩壊で米国消費が低下すると、ドルが余って価値が下がり円高になる。A氏:そうすると、リストラなど「円高不況」が想像されるわけだね。私:外資はいくら稼いでも、ドルを買うとその円資金は国内で集められたものだ。 米国人は日本人の財布で買い物をしている。 日本は物があるが金がない。A氏:そうすると、また、デフレ圧力になりかねない。私:今、輸出を担う製造業の大企業の労働者が日本の労働者に占める割合は5%にすぎない。A氏:格差とも関係しているわけだね:私:アジアの安い労働力と競争させられている。 例えば、偽装請負がある。 輸出依存の経済で日本人の多くが豊かさを感じられる時代ではない。 ドルを買う代わりに、その資金を国内に回して経済を活性化するしかない。A氏:日本の住まいは欧米より悪い。 これらの需要も多いはずだね。私:氏は日本は内需中心の経済へ構造改革を急ぐべきであるという。A氏:「黒字亡国」では、インドがイギリスに植民地化されていたとき、ポンドに支配されて黒字に見合った冨を宗主国イギリスに吸い上げられていたという説明があるね。 同様に、今の日本は植民地で、ドルに支配された黒字にあった冨を宗主国アメリカに吸い上げられている構造だというね。私:この本は昨年末、読んだんだが、よく読みこなしていなかった。 最近、格差問題がからんでいることに気がついた。 また、再読の必要を感じたね。 それと今週の日経ビジネスで「グローバリゼーション新自由主義批判事典」という翻訳書の解説があって、そこに次のような引用があった。 「グローバリゼーションは、国を征服するよりも、市場を征服しようとするものである。 この近代的権力の狙いは、大々的な侵略が行われた植民地時代のような領土の征服ではなく、冨の所有権の奪取である。 この新たな征服には圧倒的な破壊がともなう」 「この地球上の全人口のうち、最も豊かな5分の1が80% の資源を所有し、もっとも貧しい5分の1は、0.5% 以下の資源しか所有していない」A氏:格差問題の背景にもなっているのだね。私:「黒字亡国」は手元にあるから、「グローバリゼーション新自由主義批判事典」は図書館に予約したよ。 リンクして読んでみたいね。 郵政民営化だって、竹中大臣はアメリカの手先だとか、僻地の郵便が不便になるとか、本質を離れた議論ばかりだったね。 新しい植民地戦争が始まっているのにね。 また、太平洋戦争の二の舞をするのかね。 知的興味が湧いてきたよ。A氏:格差問題の知的街道のスケールが大きくなってきたね。
2006.10.15
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私:今週の週間朝日で江夏氏が日本のプロ野球12球団中、4球団の監督が外国人監督になることを反対している記事がのっているね。A氏:しかし、日本ハムのヒルマン監督は今季パリーグ一位、昨年は日本一のロッテのバレンタイン監督など、成績も最高だね。私:江夏氏の見方では、外国人監督はチームの成績が悪いと簡単に変えられるので、フロントにとっても監督にとっても楽だからという。A氏:サッカーの日本代表監督みたいだね。 ジーコはあっさり退場だね。私:この問題に昨日の共同体と機能集団という山本氏の理論を適用すると分かりやすいね。A氏:本来、プロ野球は機能集団だね。 だから、別に外国人でなくても落合監督のように勝利を得れば問題ないはずだね。私:ところが、日本的な組織というのは共同体的なしがらみがついてまわるようだね。 落合監督は「おれ流」でやっているがね。 しかし、今年は、さすがの落合監督も阪神の追い上げには、肝を冷やしたようで、涙を流していたね。 本来、勝つために合理性を一貫すれば、外国人でなくても強くなるはずなのにね。A氏:どういう共同体的なしがらみがあるんだろうね。私:阪神が一時万年Bクラスを低迷したのは、阪神OBなどのしがらみがあったといわれるね。 それが外部からの導入とも言える星野監督の支配でスッキリしてから、成績が良くなったようだね。 しかし、江夏氏によると岡田監督は阪神育ちだから、まだ、しがらみがあるらしいね。A氏:最近、日本ハムの金村投手がヒルマン監督の投手交替を批判して、球団側から処分されたね。私:外国人の監督は、勝負の責任がかかっているから、その権限は独裁者のように使うようだね。 江夏氏はこの週刊誌の記事で、日本人の気質、義理、人情、意地を考えず、ただ、勝つための野球は面白くないのではといっているね。A氏:一種の共同体的なものの導入かね。 しかし、勝負はやはり勝たないとだめだし、勝つためのいろいろな手練手管が面白いのじゃないかね。私:外国人監督だって、あまり、個人の感情に走った采配は、選手の気分を害してチームワークに影響するので、うまく、その点は配慮しているのではないかと思うね。 監督と選手の感情の対立として有名な「江夏の21球」というのがある。 たしか、NHKでドキュメントでやっていたことがあり、録画してあるよ。A氏:俺も録画してあるよ。 79年の日本シリーズで近鉄、広島の3勝3敗の最終戦。 このとき、江夏が投げていた広島は近鉄に9回裏1点リードだが無死満塁とされる。 江夏は瀬戸際に立つ。 当然、監督は投手交代の手を打つ。 プルペンで投手が練習を始める。私:江夏氏は「なんでおれに任せてくれないのか」とカーッとなる。 一塁の衣笠が慰める。 これで落ち着き、ピンチをしのぎ胴上げ投手になるね。A氏:この場合、古葉監督の勝ち負けの判断の立場もあるね。私:江夏氏は、煮え切らない指揮・采配が日本球界に目立ち始めたから、外国人監督がもてはやされてという。A氏:それは学校の先生が、教育の現場で生徒をもてあましているのと似ているね。 星野型の先生はいないのかね。私:まぁ、これは日本プロ野球のことだが、経営だって日産のリバイバルのように、ゴー ンという外国人監督だからこそできたのかもしれないね。 やはり、日本人社長では過去の日産共同体仲間のしがらみを断ち切れなかったのかね。 談合のように、なかなか共同体の癖は消えないのかね。
2006.10.12
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私:先週、製造請負業の大手の「コラボレート」が偽装請負で事業停止命令を厚生労働省大阪労働局から受けたね。A氏:偽装請負は一種の非正社員化の問題として、格差の原因として君が問題にしていたね。私:朝日新聞は8月末ごろ、連日トップで派遣労働者や社内下請の非正社員の関連記事をかかげていたが、ここで具体的な政府の動きが出たね。A氏:新聞ではあまり格差と関連づけていないようだったね。私:だから、「コラボレート」でも最近ではメーカーのコストダウンや同業者の競争で利益が大きく減少しているという。 これは従業員の賃金低下に影響するね。A氏:格差拡大になるかもね。私:「コラボレート」の業務停止を報じた翌日、朝日新聞で「コラボレート」の偽装請負を内部告発した矢部さんのインタビュー記事が載っていたね。 声をあげ始めてから2年以上たっての行政の行動で遅いね。 矢部さんは「人を使う企業には最低限守るべきルールがある。労働者は『人材』でなく、『人財』、企業の財産として大切にすべきだ」と強調したとある。 矢部さんは現在、トヨタ系部品メーカーに勤めているので、トヨタ用語の『人財』を遣っているが皮肉に聞こえるね。A氏:俺もその記事は読んだが、松下の工場の偽装請負を内部告発した吉岡さんのインタビュー記事もあるね。 処分された会社だけが悪者のようだが、問題は偽装請負を利用して利益を出しているメーカー側の責任が問われないと現場の労働者は救われないとしているね。私:法規をかいくぐっても利益を出そうとする「唯金論」企業の問題が問われないのだね。 従来、日本の会社の95%は中小企業、労働者の85%は中小企業と言われていたが、それが、95%が中小タイプ、大企業の正社員タイプが5% とも言われているね。 そうだとすると、それが格差の大きな背景ではないかね。 たまたま、10月2日の日経ビジネスが「人材沈没:育てず伸びずのデフレスパイラル」という特集を組んでいるね。 残念だが、こういう偽装下請けのような問題と「人財」の問題はは扱っていないね。A氏:俺も読んだよ。 人への継続的な投資が好業績を生むという特集だね。私:まさに「人材」でなく「人財」だね。 バブル崩壊で、非正社員の増大、成果主義の導入、自己責任によるキャリア開発などが結局、長い目で見ると企業の継続的な成長を阻害することが分かってきたようだね。 「唯金論」は続かないね。 同じ日経ビジネスで、稲盛和夫氏が哲学なき起業は去るのみというのも同じ考えだね。 明治の渋沢栄一氏は、『論語と算盤』を著し、「道徳経済合一説」という理念を打ち出した。 『論語』を拠り所に倫理と利益の両立を掲げ、経済を発展させ、利益を独占するのではなく、国全体を豊かにするために、富は全体で共有するものとして社会に還元することを説くと同時に自身にも心がけたというね。
2006.10.09
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私:昨日(25日)の朝日新聞朝刊の「小林慶一郎のディベート経済欄」で「『脱デフレ』と残る課題」で「賃金と雇用のゆがみ」を正さないと、デフレの再来防止に問題ありとしているね。A氏:おれも格差問題に賃金と雇用問題がからんでいるという君の日記で、アンテナを張っていたので読んだよ。私:物価以外の面で景気回復が続いているのに、物価の下落は止まらない。 景気回復が続いていても実感が乏しい。 こうした景気回復の弱さの背景にある問題は、賃金が上がらないことだと指摘しているね。A氏:賃金が上がらないから消費が思ったほど伸びない。 自動車も格差の2極化を示しているのか、軽自動車と高級車が良く売れ普通車は売れない。 景気回復が力強さに欠ける。私:大企業の収益が向上しているのに、賃金が上がらないということは格差の原因にもなっているね。 小林氏は、バブル崩壊以降、「労働投入のゆがみ」を示す指標が増え続けていることがわかってきたというが、ちょっと具体的な説明がないね。A氏:後半で非正規社員の問題など、様々なゆがみが出てきていると述べていて、正社員の利益を守るだけでは、このゆがみは構造的に続くかもしれないとしているね。私:そうだね。 俺の日記のようにバブル崩壊以降、リストラなどを通じて、派遣社員の増大、社内外注(偽装請負)の増大、外人労働者の増大などが急速に進んだ。 すべてコストダウン、利益捻出のためだ。 それが「労働投入のゆがみ」の主な具体的な内容だろうね。A氏:そう言われるとよくわかるね。私:小林氏は景気の回復をもっと力強くし、デフレ再来を防ぐには、市場の回復をさらに進めて、「労働投入のゆがみ」を解消することが必要だと言っているね。A氏:それは格差拡大の解決にもつながると言っているね。私:とにかく、電気関係の松下、キャノン、シャープなどの大手企業の非正社員が半分近いというし、自動車も部品メーカーなど底辺企業になるとその問題が多いね。A氏:君は、前の日記で製造業の経験から「労働投入のゆがみ」は単に景気回復、格差問題だけでなく、仕事の質の低下、品質・サービスの低下、安全の低下、「物づくり」の能力の低下にもつながると指摘しているね。私:「会社は誰のために」(文藝春秋社)でキャノンの御手洗会長との対談している伊藤忠商事丹羽宇一郎会長は、9月11日号の日経ビジネスで「『唯金論』に侵された日本」というエッセイを載せているね。 経営者の関心が利益を出すための効率に向きすぎた結果、正社員の雇用を最小限に抑え、パート・アルバイト、派遣などの非正社員を増やす企業が増えていると批判している。A氏:しかも、十分な教育をしないで正社員なみの仕事をさせる。 仕事の質が悪くなる。私:サービス業ではサービス低下につながる。 流れるプール事故なんかの下請け丸投げなどの背景にはそれがあるかもね。 丹羽氏は、さらに「唯金論」から脱するための教育の重要性を説いているね。 バブル崩壊から15年。 「唯金論」に振れすぎたブランコを元に戻すには、それと同等以上の期間が必要だろうと氏は言う。 本当の景気回復までそれくらいかかるのかね。A氏:そうなると「労働投入のゆがみ」の修正にもそれだけ時間がかかるのかね。 それでは一世代を犠牲にするから遅いのではないかね。私:「会社は誰のために」の本でのキャノンの御手洗会長との対談は、企業の成功者としての対談だね。 しかし、キャノンが、正社員が少ないという構造で利益を出したとすると、丹羽氏の言う「唯金論」の成功ではないのかね。 大局で見て成功といえないのじゃないかね。A氏:なるほど、「会社は誰のために」でそれを論じて欲しかったということか。私:「会社は正社員のため」だけでなく、「労働投入のゆがみ」のない状態で利益を出すことで良き経営者が評価されるべきではないかね。 丹羽氏も日経ビジネスのエッセイでは「だからこそ、経営者の仕事は重いのだ」と言っているがね。 早稲田大学大学院教授野口悠紀雄氏は「日本経済は本当に復活したのか」(ダイヤモンド社)で経済の基本構造において将来に明るい兆しはないとしているね。A氏:大企業の収益は回復しているのではないの?私:教授によると利益が回復したのは自動車や家電を中心とする旧来型企業で、それも国民の家計の多大な犠牲があったからだという。 独自の分析をしている。A氏:これらの業種は、君がいう正社員の比率が極端に少ないね。 非正社員の増大は賃金格差となり、彼らの家計を犠牲にして利益を出していることになるのかね。私:小泉構造改革は、旧来型の仕組みの延命処置に過ぎないという厳しい批判だね。「唯金論」を脱していないのかもね。 丹羽会長の言うように経営者のさらなる努力を期待したいし、阿部内閣も格差をいうなら、この観点からしてもらいたいね。
2006.09.26
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私:昔から「英雄、色を好む」と言われるが、教師、警官、検事、役人、裁判官などというお堅い商売の人ほど、意外に裏では色を好む行為が多いと言われているね。 ストレスが高い上に、はけ口が少ないからかね。 若いときから真面目なタイプほど免疫性がなく弱いようだ。 俺が若い頃、知っていた有名大学教授はもう故人だが、ブルーフィルム、今でいう裏ビデオの収集で有名だったね。 不思議なことにお坊さんは「生臭坊主」と言われるように、大目に見られているようだね。 クリントン大統領もあれだけのスキャンダルだったが、問題にされたのは偽証問題だったらしいね。 ケネディ大統領の女癖の悪かったのも有名だね。A氏:以前、フランスのミッテラン大統領に愛人がいたことも公然の事実だね。 例のベストセラー「ダ・ヴィンチ・コード」でフランス国民から“スフインクス”とあだ名をつけられた大統領だ。 ヨーロッパは歴史的に神父だって性的スキャンダルがあり、僧院の男色は歴史的に有名だね。私:日本では1989年(平成元)に竹下内閣がリクルート問題で首相を降り、生まれた宇野宗佑首相が女性スキャンダルでゆれ、参議院選挙で敗北。 総理在任期間は僅か69日でつぶれ、海部内閣となるね。 日本では政治家の女性スキャンダルは厳しくなったね。A氏:昨日の日記ように、欧米は「良心」と「良識」を使い分ける「二段構え」なんだろうね。 欧米は「政治家だって男なら女性のあやまちは仕方ないだろう」と現実的な人間性悪説的な「良識」が働くのかね。 しかし、「良心」だけの「一段構え」の日本では、人間性善説的に裁かれるのかね。A氏:この宇野内閣登場のときは、竹下氏の後継としては阿部晋太郎、宮沢喜一、渡辺美智雄らの有力者がいたんだが、皆、リクルートに多少関係があったために、突然、リクルートに関係が薄かった予想外の宇野氏になったのだね。 阿部晋三新総理のお父上の貴重な総理へのチャンスだったのにね。 親子総理になったかもしれなかったね。私:話は変わるけど、昨日、本を整理していたら、植草氏の「日本の総決算」という本が出てきたのだよ。 1999年の発行だね。 彼は、東大を出て野村総研上級エコノミスト。 当時、まだ40才にならないのに、日経の人気エコノミストランキングでは第1位だね。 こういう秀才型で真面目タイプほど、女性問題に溺れやすいね。 当時、小渕内閣だから、景気回復で公共投資が積極的に行われる。 植草氏は積極投資のほうだ。A氏:例の手鏡事件で逮捕されたときは、2004年で、小泉内閣のときだから、植草氏の考えと合わなくなっている。 だから、この事件は小泉、竹中の陰謀だという説まで流れたね。私:その小泉首相が去り、竹中氏も去るときに、偶然とはいえ、また、植草氏の痴漢逮捕だね。 実は、かなりまえだけど、京都大学に人気教授で矢野暢という人がいた。 この人もセックススキャンダルでやられた。 このことを連想で思い出したんだよ。 日曜日に「題名の無い音楽会」という長寿番組があって、これは、亡くなった作曲家の黛一郎氏が、日本系の石油会社のスポンサーを得て作った番組で、クラシック音楽を大衆に親しんでもらおうという趣旨のものであったように思う。 これに矢野氏が出たことがあるA氏:たしか、黛氏の奥さんは、確か、女優の桂木洋子であったんだろう。 清楚な美人である。われわれ世代は、あこがれたものだよ。私:矢野教授の専門は文化人類学だと思うが、タイの村落に研究で2年ほどいたという。 しかし、音楽にも造詣が深く、指揮もできる。 このテレビでは、最初、舞台の一角に、バーのスタンドがあり、ここで矢野氏がワインかなんかを飲んでいるところからスタートした。 そして、カラオケを歌出だす。 演歌だったね。 曲名は忘れたが、カラオケもうまい。 そして、最後にオーケストラの指揮までやったように思う。 別のNHKの番組で、経営のことで座談会に出席していた。 当時、QCサークルが盛んであった。 しかし、氏はその活動を何故かよく知っていて、「あれは、日本人の後進性の象徴である。」と批判的であった。 日本人として初めてスウェーデン王立科学アカデミー会員となった。A氏:多芸多才の人だったんだね。 そういえば、当時、よくテレビで見たよ。私:このように、才能豊かな人であったが、十年位前に秘書とセクハラ問題を起こし、京 都大学を去る。 セクハラを受けた女性秘書の方が「悔やむことも恥じることもなく」という本を出しているね。 また、裁判記録の「京大・矢野事件」という本も出ているね。 教授は、一時、隠遁生活をするが、ウィーン大学の客員教授として招かれたという。 ウィーン大学は「良識」があったんだろうね。 数年前に63才でウィーンでなくなったという。 学者としては若い死だね。 しかし、最近は、アメリカなどもセクハラ問題はこわいね。 優秀な頭脳を失うことになりかねないね。 こういうのは阿部内閣の再チャレンジの対象にはならないかね。 なお、ウィキペディアによると、お笑いコンビくりぃむしちゅーの有田哲平は矢野教授の甥であるという。 セクハラがネタとして使われている(「親戚にいる大学教授のオジサンを見習えと言われていたが、その人セクハラで訴えられた」)。
2006.09.24
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A氏:松本被告の死刑が確定したね。サリン事件以来、十年以上になるね。私:サリン事件は1995年の3月20日だね。 月曜日の都心の地下鉄のラッシュアワーで起きた。 俺の日記によると、午後1時にJR浜松町駅に近いある会社のビルで打ち合せのため、横浜の家を午前11時に出たとある。 家を出る前にすでにテレビで盛んに報道されていたことを覚えている。 午後1時から打合せしていたが、何か外が救急車のサイレンの音とか騒然とした雰囲気であったように記憶している。A氏:浜松町なら、多くの被害者が聖路加病院を中心に収容されたようだから、近くだったんだろうね。私:最初は、そんなに大事件でないと思っていたので、打ち合わせ中でも話題にならず、1時間ほどで打ち合わせを終り、すぐに帰途についている。 帰宅したのが午後4時。 どのテレビもサリン報道で一色だと書いてあるね。 もし、午前中の打合せだったらやばいことになっている確率はあったね。A氏:どこにどういう危険があるのか、分からないね。 オウム真理教がサリン事件を起こしたというのが分かるのもかなり時間がかかったのだろう?私:このサリン事件の突破口は、林郁夫被告の自供がもとだね。 彼の自供がなかったなら、まだ、多くの真相は闇であったかもしれない。 一昨年(2004年)の3月6日の日記によるとTBSの特集番組は、この自白をめぐるドラマを2時間半ほどの長時間ドラマにして放映しているね。 確か、西田敏行が警部補役、平田満が林郁夫役だったね。 力作だったと日記に書いてある。 確か録画してあるはずだ。A氏:林郁夫はまじめで、評判のよい医者だったのだろう?私:林郁夫は実に理想的な医者の道を40才台まで歩んでいた。 このTVドラマによると、父は開業医であったので、子供のときの林郁夫は、毎月、保険の請求書にハンコを押すのが楽しみであったという。 ハンコを押すたびに、父がこの人を救ったと思っていたという。A氏:そして、実際、名医として、自らも多くの人の命を救うんだろう?私:しかし、現代医療の限界に疑問を持ち、真面目に悩むに従い、宗教に向かう。 そこにオウム真理教があった。 真面目な医師にとって不幸な出会いと言うべきか。 真面目なだけに、マインドコントロールが解けると、オウム真理教の 真の姿も真面目に語ったことになるね。 その点で、この人がオウム真理教にいたこと自体に大きな意味があったことになる。 その真面目さを考え、自白にまで持っていった人間味ある警部補も、この歴史的な事件のドラマには欠かせない要素だろうね。 林被告は、この自白のため死刑を免れ、無期となるが、毎日、被害者の慰霊を礼拝しているという。A氏: 「バカの壁」の著者の養老孟司氏の母親は、開業医だそうだね。 その母親は「一人前の医者になるには、何人か患者を殺さないといけない。」と言っていたという。 教授が大学の同級生のほとんどが医者になったのに、解剖学で大学に残った1つの原因としてこれがあったようだね。私: 両者とも、医者を親に持ち、その影響か、医学の道に進んだのだが、どこかの岐路で、大きく分かれているんだね。 結果論だが、どうも、林被告のほうがきれいな理想追求型でありすぎたような気がする。 純粋培養型だね。 養老氏のほうがさめていたようだ。 それはやはり、養老氏が敗戦後、教科書に墨を塗った教授の敗戦トラウマのせいであろうかね。 容易に理想主義者になれない心理だろうからね。A氏:養老氏が東大医学部で教えていたとき、オウムの学生から「オウムでインドから行者をよんで、水中に1時間いる行をやるから見に行かないか」と誘われたという。 人体は水中に5分ともたないことは医学の常識だから、養老氏はバカらしくて行かなかったが、その学生は当然医学常識を持ちながら、そういう非合理を信ずることが不思議だといっていたね。私:有名な話だね。 現実と理屈が分離するんだね。 純粋培養型なんだな。A氏:イプセンの「女の一生」にあった言葉だろうか。「人生は思ったほどよくもなく、悪くもない。」のだろうね。私:ところで、松本被告本人の釈明もなしで、裁判が終わるというので、また、議論がもめているね。 しかし、裁判を延ばしても、もう、松本被告からは何も期待できないのではないのかね。 後は、われわれの思考力に委ねられているのだろうね。 それにしても、まだ、解けない謎は、オウム真理教の村井氏刺殺の意味と国松警察庁長官銃撃事件の犯人だね。 このミステリィは解明されずこのまま忘れられる運命かね。
2006.09.17
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私:先月末頃だとおもうが、で朝日新聞が数日間連続一面トップで、たしか松下、キャノン、シャープなどの派遣社員や社内下請けなど、いわゆる非正社員の扱いを報じていたね。A氏:工場によっては、半分近くが、非正社員のところもあるんだね。 俺たちの時代ではせいぜい1割程度だから、考えられない比率だね。 キャノンは終身雇用制だというが、こういう裏のしくみで維持されているのだろうかね。 キャノンの御手洗会長は伊藤中商事の丹羽会長と対談「会社は誰のために」という本を出しているがね。 会社は正社員のためだけなのかね。私:これらの報道は、従業員管理と派遣法などの法的な問題が中心だったが、企業がどうしてこういう方法を取り出したかの取材が十分でないと思ったね。A氏:要するに利益追求のためのコストダウンだろう。 派遣や社内下請けのほうが人件費が安い。 販売がよくないと容易に人を削減できる。 バブル崩壊のときの解雇でこりているからね。 製造業は賃金の安い中国への移転もある。 経営側は外国から金が入るから利益に貢献するが、末端は仕事を失うか、賃金の安い仕事に移るしかない 今、貿易黒字で対外投資の黒字のほうが多いんだね。私:これらの企業はいずれも自社の史上初くらいの好業績をあげてきているが、その要因の1つに、人件費の削減があったんだろうね。A氏:しかし、これは逆に賃金格差が拡大していることを物語っているね。私:非正社員の問題は、外国人の労働者にも拡大しているね。 これは今週の「日経ビジネス」が「こんな国では働けない:外国人労働者使い捨ての果て」を特集しているが、製造業では外国人労働者が増加しているね。 いわゆる汚い、キツイ、危険の3K職場に多い。 しかも、賃金が安いし、残業も積極的にするから、コストダウンにはなるね。 しかし、不法滞在の日系人を一斉摘発したら、自動車部品メーカーの仕事が打撃を受けるので、トラック一台作れなくなるという。 そうなると「物づくり日本」なんて「幻影」だね。 そして、使い捨ては外国人だけではないのではないの。A氏:都会の深夜のコンビニも外国人労働者や外国人アルバイトがいないと成り立たないというね。私:格差問題は、個人格差と地方格差とに分かれるといっているが、そういうのは何かピントがぼけているような気がするね。 こないだある地方の中小企業に行ったんだ。 20人くらいの製造業だ。 ところが近くに大企業が進出して2000人くらいの工場ができるという。A氏:それは、地方の雇用促進となって、いいニュースではないの?私:そうはいかないんだね。 中小企業の人がそっちのほうに流れる恐れがあるんだ。A氏:何故?私:賃金が違うんだよ。 その地方では、賃金が中小企業で年間300万円くらいの層が、進出してくる大手では600万円くらいになるだろうという。 もう、すでに大きな賃金格差があるんだ。 だから、そちらに人が流れやすい。 数人やめただけで、人が技術的なノウハウを持っているから、会社は従来通りの経営はできないね。 そうかといって賃金を上げたら、中小企業にとっては命取りだ。 今、石油の値上がりなどで、材料費、諸経費もあがっているが、売値はおさえられているからなお苦しいね。A氏:企業間賃金格差が大きくなっているんだね。私:大企業が短期的な利益追求に走ると、国という観点から見ると危険だね。 トヨタだって、本当の底辺の小企業の育成を図らないと、あっという間に転落するリスクを抱えているね。 最近、トヨタの品質問題が多発しているのも、予想されたことかもしれない。 底辺の人や小企業が育たなくなったね。 使い捨てになっているのではないかね。 それが賃金格差に反映しているね。 それは「物づくり」日本の消滅を同時に反映しているとも言えるね。 格差問題にその視点がないようだね。
2006.09.14
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私:今日の朝刊で、シュレッダー事故でさらに7件が過去にあったことが新たに報告されたね。 富士ゼロックスの場合は自宅兼事務所で幼児が伝い歩きしてスイッチに触れ巻き込まれたらしいから業務用だね。 松下、リコー製品でも起きているが、親が会社に幼児を連れてきて目を離したすきに起きた事故が多いとしているね。 ということはこれも業務用だね。A氏:君が日記でふれていた、大阪のナカバヤシ製のものも2件出てきたね。 中国製の「NSE-501CN」という機種だそうだね。 1件は保護者が不在のときにスイッチを入れたらしい。 もう1件は親が目を離したすきに起きたという。私:家庭専用は普通5千円くらいなんだが、このナカバヤシの「NSE-501CN」は2万円くらいの機種で、かなりの量が処理できるらしいから業務用兼用型みたいだね。 その点の報道がない。A氏:ナカバヤシのホームページによると「パーソナルシュレッダ、オフィスシュレッダの安全基準は、玩具安全(ST)基準((社)日本玩具協会)、 IEC(国際電気標準会議)規格のチャイルドテストフィンガー(直径5.6mm/0~3歳、直径8.6mm/3~14歳)を参考に、3歳未満の幼児の指を「直径5.6mm×長さ44mmの丸棒」に見立てて 1 投入口に無負荷で入れた時に直径5.6mm丸棒が入らない 2 もしくは直径5.6×長さ44mmの丸棒が刃に届かない の自主基準を設け、企画開発の段階で安全性を重視し、商品に反映しております。 今後も取り扱い説明書の「安全上の注意事項」、投入口付近にある「注意表示シール」等を参考に、適切にお使いいただきますようお願い申し上げます。」 とあるね。 この基準が正しいとすると事故はおきないはずだがね。 だから、新聞の取材でナカバヤシは「当社の過失でない」と言っているね。 もし、チャイルドテストフィンガーでテストしているのに指を挿入できたのなら、この安全基準がおかしいということになるね。私:これも日記で言ったように5W2Hがないからよく分からないね。 俺のところは2mmだから、5.6mmは広いような気はするがね。 ところで、このホームページで言っているのは、「設計品質」というものだ。 こういうもの作りたいという品質だ。 これに対して、個々の品物はばらつく。 それを「製造品質」というんだがね。 だから、設計通りできているかを確認するため、個々の製品を検査をする。A氏:そうすると、まず、この問題の2台の「製造品質」が「設計品質」通りかだね。私:ただ、気になるのは、5.6×長さ44mmの寸法に公差がないことだ。A氏:公差?私:そうだね。5.6mmといっても品物はバラツクから、例えば5.55mmから5.65mmまでいいという許容できる幅をいうんだ。 長さも44mmから45mmまで許容できるとかね。 測定の余裕をどのくらいみているかだ。 5.6×長さ44mmをどういう幼児の指のデータできめたかが、細かくいうとこれがはっきりしないね。 それなりの専門家がきめたんだろうが。A氏:新聞では、現物の「製造品質」は投入口の幅5.5mm、刃までの距離が40mmだとある。私:これも5W2Hで言ったように「どうやって測ったのか」がわからないがね。 信用できる測定結果とすると幅は合格だね。 しかし、40mmでは、5mm危険側に近寄っている。 公差がもし、40mmから45mmまでなら合格だが、45.0mmから45.5mmまだだとすると、刃までの距離が不合格ということになるね。 不良品ということになるね。 新聞報道はそれをふれていない。A氏:しかし、幅は狭いのだから、指は刃まで入らないはずだがね。私:そうね。投入口は広くとも刃に到達するまで、傾斜して狭くなっている構造だと、指は刃には到達しないかもね。A氏:こういう事故を分析し、すぐ対応を立てるシステムはメーカーにもあるだろうね。私:まず、安全基準が正しいとすると、チャイルドテストフィンガーが正確だったのか、適切だったのかがあるね。 人の指は「物」と違い、柔軟で収縮するからね。 後は、それを管理するシステムだね。それがISO9001だね ナカバヤシのこのシステムがうまく動いていれば、適切な処置が期待できるがね。NSE-501CN
2006.09.13
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私:シュレッダー事故の新聞報道の件で、後で気になったんだが、開口寸法の報道のことで、家庭の主婦は、どうやってその寸法を測定したんだろうということなんだ。A氏:例の8ミリとか3ミリとかの問題だね。 たしか、君の家庭用シュレッダーは2ミリだと言ったね。私:実は、これを測定するときに、ちょっと苦労したんだよ。 製造業では、スキマをはかるゲージがある。 平らな金具を隙間に差し込むんだ。 1ミリの厚さのゲージ、1.1ミリの厚さのゲージなど、厚さによっていろいろある。A氏:それを使ってはかったの?私:いや、そんなものは家にはないよ。A氏:どうやってはかったの?私:スキマゲージの考えで、適当な厚さの金具を探したよ。 固くないといけないからね。 そこで到達したのは、キーだね。ドアのキー、自動車のキーなどをシュレッダーの開口部に挿入してみた。 そして、ギリギリのところで止まるキーの厚さをはかったんだ。A氏:製造業では、ミリ単位の測定というとノギスを使うんだろ。私:そんなものは家庭にないよ。 だから、文房具のミリ目盛りのある定規だよ。A氏:それで君は何を疑問に思ったの?私:いや新聞などで報道していた開口部の寸法は、家庭用の場合、どうやって測ったのかと思ったんだ。 メーカーが発言する場合は専門家だから理解できるが、一般家庭で、「開口部は何ミリですか」と新聞記者に聞かれたとき、家庭の主婦はどうやって測定して返事をしたのかね。A氏:目測ではないの?私:ミリ単位の勝負の話だから、目測では問題だよ。 俺のように測定しなくては正確にはわからないはずだ。 それに俺のシュレッダーは開口部が少し湾曲している。 おそらく安全のためだろうね。 だから、シュレッダーによっては開口部の形が測定しにくいものもあるだろうね。A氏:そうすると、新聞記者にせよ、テレビにせよ、クレームを受ける窓口にせよ「どのようにしてはかりましたか?」と聞かないと正確ではないということになるね。私:製造業では、まず、問題が発生したとき、正確な情報を得て対策しないと、的はずれの対策となり、再発の原因となるね。 それは常識だよ。 もっとも製造会社も、常識でない、危ない会社が最近増えているようだがね。A氏:例の報道の原則の5W2Hというやつだね。 What 何が、When 何時、Whereどこで、Who誰が、Why何故、How toどのように、How muchどのくらい、だね。私:起きた場所は事務所(Where)で業務用シュレッダー(What)という確認だけで対策は大分違うね。A氏:それがないためか、話が業務用の話でなく、家庭用シュレッダーに拡大し、さらに情報保護法まで拡大する。 家庭用シュレッダーの開口部の寸法測定もどのように(How to)がなくて、どのくらい(How much)がないから、空転しかねない。私:風が吹くと桶屋が儲かるみたいな的外れの話になるね。 議論としては格好がいいのかもしれないが、上滑りの感じだね。 本命の安全管理は全く出てこないという現象になるね。 そうしないと、今度はトリマー、パンチャー、ホチキスなどで再発するかもね。 俺は、シュレッダーの電源を入れ放しにしておいて、何故、幼児が近づいたのか状況が分からないね。 大人だって危ないよ。 そしてまた規制強化という見当はずれの話となる。 官庁の仕事が増える。 税金、業界天下りが増える。 東京健康安全研究センターで開発している疾病動向予測システムSAGEによると、幼児・児童の溺死,鉄道事故,労働災害などによる死亡が、開放水面の管理、道路や踏切の構造の改善、職場環境の安全管理などが的確に実施されるようになり、統計的には、著しく減少しているという。 しかし、決め手がない最たるものが窒息で、幼児と高齢者に集中し、幼児は異物の、高齢者は食物の誤嚥が多く、非常に個人的な性格をもつ事故であり、たやすく根絶できるとは考えにくいという。 墜落や火災・火傷も個人的な性格をもつが,家屋を含めた建造物一般の構造と機能を工夫することで、ある程度改善することはできるのではとあるね。
2006.09.02
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私:今年3月、静岡で3才児が、シュレッダーで指9本切断という事故があったね。 これでマスコミが騒ぎ出したね。A氏:あれは業務用のもので危険性が高いのに、業務用も個人用もゴチャゴチャにして報道していたね。 業務用は数万円、個人用は数千円の商品なのにね。 なんで幼児が、そんな業務用のものに近づいたかのきちんとした報道が皆無だね。 シュレッダーを使った経験のない現場を知らない人の報道だというのはすぐわかるね。私:問題を起こしたアイリスオーヤマ株式会社のシュレッダーは開口部が8ミリあったそうだね。 業務用は大量に処理するから、処理能力をあげるために大きくしている。 業務用なので、まさか、幼児が事務所に入り、シュレッダーをいじるということは想像をしていなかったようだね。 だから、特殊な事情と解釈していたようで、このため対応が遅れていたようだ。 対策は8ミリを幼児の指が入らない家庭用の3ミリにするというものだね。A氏:これで事務所の効率は多少低下するね。 しかし、ヒステリックになった大衆に迎合してか、大手の電気量販店はアイリスとカール事務器の製品を店頭から引き上げたという。私:俺のうちは家庭用があるんだ。 もう10年くらい使っているかね。 たしか、数千円くらいで量販店でディスカウントで買ったんだが、GBCというブランドで外資系らしい。 今度のトラブルで、開口部を計ったら2ミリだったね。がっちりしている。 そして、デカデカと開口部に指を入れる絵(手を入れるな)と、幼児の絵(子どもの使用禁止)があって、バツマークを大きくつけて警告表示をしている。 注意表示としては、ネックレス、髪、ネクタイなどを引き込まれないようにと書いてあるね。 これは大人が気をつけないとね。 これはPL法からみだね。 安全マークのSマークもついている。A氏: 8月1日に栃木県で業務用でないシュレッダーで1才9ヶ月の男児が指2本怪我をしたというニュースがあった。 軽傷であったというが、開口部が2、3ミリのものだという。私:この栃木のトラブルの機種の会社はツインバード株式会社というんだが、5千円台の家庭用だ。 ISO9001:2000をとっている会社だがね。 インターネットで検索したらA4用紙5枚を一度に処理できるらしい。 これはいまだに販売しているよ。 しかし、開口部2ミリでは俺のところのシュレッダーと同じで物理的に指は入らないと思うね。 別な要因があるね。A氏:どうも開口部の幅について、マスコミは感情的で冷静に報じていないので、事実がきちんとわからないね。私:カール事務器のほうは東京で2歳4ヶ月の幼児が指を2本切断するという事故が発生した。 この場合、開口部が4ミリという報道があるが、これも明確でない。 同社では、幼児の指が入ることのないよう紙挿入部の開口幅を狭くする対策するとともに市場に出ているものは開口部の狭い部品に交換するという。 何ミリにするのか明確でない。 同時に、幼児がいる家庭では特に安全管理を十分にしていただきたいと要望しているね。 ナカバヤシという大阪の会社は今回問題がなかったのだけれど、こういう問題を予測してか、「チャイルド・テスト・フィンガー」という幅5.6mm、長さ44mmのもので開口部をチェックしているという(下に同社シュレッダー写真例示)。 これを報じていた読売新聞の記者は鋭い感覚を持っていると思うね。 この会社はISO9001をとっている。 開口部は幅だけでなく、開口部がたわまない固い材質でできていることと、歯が奥にあるという3つがポイントだ。 その点、このフィンガーによるテストは理想的だね。A氏:カール事務器という会社をインターネットで検索して商品カタログを見たんだけれど、業務用の事務器というと、危険なものはシュレッダーだけでなく、トリマーといって紙の端を揃えるため、十枚くらいの紙厚を切れる鋭利な包丁のような刃物があるね。 それに穴あけパンチ。 これも業務用は何枚も穴を一挙にあけられる。 ホチキスも業務用は十枚くらいの書類は簡単に突き通して綴じることができる。 これらも危険だね。私:前に、小さな製本屋さんにいったことがあるが、普通の住宅の一部を改造して3人くらいの人が机上でコピーしたものを裁断したり、穴をあけたり、ホチキスで綴じたりしていた。 お客の依頼で見積書など、何冊も作るので、コピーミスは簡単に捨てられない。 シュレッダー行きだね。 だから、棟続きの家族の人にとっては、危険物だらけだから厳密に管理していたね。 そういう面で、仕事場と住居をかねている場合の仕切りなど、安全管理という面からどうだったのか、今回の事故の原因をより全体の見地からの議論がほしかったね。A氏:そうしないと、今度はトリマーやホチキスで指を怪我するかもしれない。 ところで君のところはどういう書類をシュレッダーにかけているの?私:思いついたままあげると、定期預金などの利子の報告はがき。利子より郵便代の方が高いやつだ。いらないといっても規則だから送るとなる。 それからクレジットカードの支払い状況。電話料金の通知。保険に関する通知もある。 ダイレクトメールの住所のあるやつ。買うつもりはないが、全部商品名や住所がプリントしてあるね。 医者にかかってもらう薬の薬局でもらう服用方法。同じ薬でも毎回くれる。 税金などの公的な資料で古いもの。 まだ、まだ、あるね。結構ある。 シュレッダーがあると処理が簡単だが、普段は、コンセントを抜いてコードを巻いておくね。 2、3枚のためにコンセントを入れたり、抜いたりが面倒なので、1週間から10日分をまとめ、子供がいないときに一挙に20分か30分集中的にやるね。 A氏:まあ、業務用のシュレッダーで幼児が指を落とす予想外の時代だ。 個人情報だってどのように予想外の悪用をされるかわからないね。 用心に越したことはないかな。 人によるけれどね。私:伊丹十三の映画で「マルサの女」というのがあって家庭ごみから破った領収証を拾い出し、脱税を追及する国税の調査があるね。 あれが悪用されるかもしれないね。 もっともテレビのCSI(科学捜査班)を見ていると、シュレッダーにかけた書類を再現するシーンがあるがね。 そんな手間をかけて見合うほど価値ある情報は当家にはないがね。
2006.08.28
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A氏:昨日の朝日新聞の夕刊のトップは株式会社ミツトヨの社長逮捕だね。 核兵器の開発に転用可能な三次元測定器を無許可で輸出したいたという容疑だね。私:この会社は、1934年に三豊製作所として設立されたが、この名前は3つの豊からとったといわれる。智・仁・勇の3つらしいね。 後にカタカナのミツトヨになるね。A氏:企業名がカタカナになるのがはやった頃からかね。私:今の人は、カタカナで知るから、会社名の由来がわからないだろうね。 東芝なんかも、もともと東京芝浦電気で、東京電気と芝浦製作所が合併した歴史があるが、それがピンと来ないね。 ローマ字のToshibaになるとますます分からないね。A氏:ミツトヨというと精密計測器のトップメーカーとして有名で、君のような製造業で働いた経験者にはなじみのある会社ではないの?私:よくミツトヨ製を使ったね。 ところで、創業者は沼田恵範という人で東広島市にある浄蓮寺の生まれだという。1897年生まれだという。 ところが、この人が計測器をやろうとしたのは、全然、変わった目的だったのだよ。A氏:どんな目的だね?私:金を得るためだ。A氏:何のための金?私:ホテルに仏教の聖典を無料配布するためだという目的だね。A氏:ホテルにとまると、部屋に一冊新約聖書が置いてあることが多いね。私:それにならって、仏教の聖典を無料配布しようとして、その金を得るために、とりあえず、計測器に取り組んだというわけだ。A氏:そして、計測器のほうでもトップメーカーにまで成功するね。私:この話は、三、四十年位前に聞いている。 そして、その頃、出張で泊まるホテルで聖書と一緒に仏教聖典をよくみかけたので、これがそうかと思ったよ。 まぁ、聖書もこの聖典も読むことはなかったがね。 そう言えば、あるビジネスホテルでは、モンゴル教の経典もあり、三冊あったね。A氏:ところで、ホテルにはなぜ、昔から新約聖書があるのかね。私:クリスチャンは夜、寝るときに読む習慣があるのかね。A氏:新聞によると、北朝鮮の核開発問題で、輸出規制が強化されたことと、同社の赤字経営が続いていることが原因ではないかと報じている。私:今朝の朝日新聞の3面でもこの記事があり、経営幹部の会見の写真が出ていたが、会長は沼田という名前の人だ。 2代目なのかね。 創業72年ともなると、創業者のDNAは消えるもののなかね。 人のDNAと違い、企業や国家の文化の良きDNAは継続努力が欠かせないね。
2006.08.26
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A氏:パロマ事故についての日記で、ISO(アイ・エス・オー)9001についてふれていたけれど、その弊害はどこにあるのだろう? 流れるプールの管理会社もISO9001をとっていたとの話だが。私:一般的に言われるのは、ムダな書類、ウソの記録の増加とそれによる社員のモラル低下だね。 それが、本当の品質を見失わせることになる。A氏:なんで、そんなものをムリにわざわざ、取得するの?私:長い話になるので、簡単に言うね。 最初、EU(ヨーロッパ連合)で始まった。 EU国間の商取引で、ISO9001を取得して、かつ、製品がEUの製品規格にあったものにCEマークをつけることになった。 このマークないとEU市場で売れない。 だから、日本企業ではヨーロッパに輸出するときは、製品の品質だけでなくISO9001をとっていないと輸出できなくなった。 市場からの強制だ。 トヨタ生産方式のような世界的に実績が出てからのルールの強制ではないね。 そのうちに、日本国内の取引などに使われだした。A氏:日本のJISマークと似ているねが、製品の審査はないから、管理のやり方だけのお墨付きだね。私:問題は、このISO9001の規格の基本発想だ。 文書主義といって、まず、マニュアルがあって、次にそのマニュアル通りの行動がある。その文書統制で品質が保証される。 極端な場合、審査員が「朝礼をやっていますね。では、そのやり方の文書を見せてください。」となる。 さらに「その通り、やったという証拠の記録を見せてください。」となる。 こんなことは真面目にできないから、コスト増になるし、ウソの記録の温床となるので、大分、改善はされてきているがね。 その底に流れる、書類が品質を保証するという考えはなかなかしつこいね。A氏:死んだ書類の山となるね。 品質で世界を制覇しだした日本に対抗するヨーロッパの陰謀ではないの?私:日本に対抗する意図は、多少はあったが、ご本家のヨーロッパでも書類増加に悩んで いたんだ。 イギリスでは、むしろ、競争力は低下するというマイナスの現象すら出た。 これは、翻訳書「こんなISO9000はいらない」(近代文芸社発売)(http://bookweb.kinokuniya.co.jp/htm/4823106601.htm)にイギリスの実状が示されているよ。 むしろ、ISO9000に代わるものとして、世界的に実証されたトヨタ生産方式を推奨しているね。 ところで、審査は、年1、2回、永久にある。 審査の日が近づくと、品質の関係者がウソの記録を作るために多忙になる。 年中行事になる。 そのコストや意味のないことを嫌々やるためのモラル低下は、真の品質を見失う怖い結果となる。A氏:三菱ふそうやパロマ現象だね。 ISO9001は品質関係だが、環境のISOであるISO14001をとっている大企業が、環境の法令を守らないで、偽記録をとっていた例が時々新聞に出るね。私:もう一つのISO9001問題の大きな原因は、審査員の質の問題だ。 企業は審査員の指摘を神の声のように従う癖が抜けない。 その審査員の指摘が適切でないどころか、ムダな書類の増加を促進させる。 審査員は、アルバイトでコンサルティングもやる。A氏:審査員は資格があるのではないの?私:資格制度はあるが、比較的簡単に取得できる。 その資格と審査の高いレベルがバランスしていないね。 本来、公認会計士よりむずかいし仕事だよ。 そして、これらの審査員やコンサルタントは、大手企業のモデルで育ったか、それしか知らなかったので、中堅、中小企業のISO9001で大きな問題を起こしてきた。A氏:何故?私:大手企業はムダな書類でも吸収できる人や金はなんとかできるが、中堅、中小企業はそんな余裕はない。 ISO9001の序文には、企業の業種、規模などによってシステムが異なると書いてあるのに、審査員やコンサルタントは、企業の個性にあったシステムを開発できない。 大手型を押し付ける。A氏:そういうコンサルタントは、診察無しで処方する医者と同じだね。 処方が決まっていて、企業の体質をそれにあわせるという奇妙なことになるね。 ところで、これらの問題と日本版SOX法とはどういう関係にあるの?私:SOX法の中心となる考えは、膨大な業務の手順を書類にすることだ。 これで業務がオープンになって内部統制の証拠になり、粉飾決算はしないであろうという考えだ。 株式市場で株主も安心するという発想だ。 ISO9001の考えと似ているね。 ISO9001の最初の考えも仕事の手順を文書化し、その通りに実行すれば、品質は保証されるという発想だった。しかし、事実はそうでなかった。 SOX法が同じ轍を踏まないことを望みたいね。A氏:アメリカのSOX法に対応したリコーの例では書類つくりは業務の帳票の流れを書いたフローチャート作成が中心で、大きなフローチャートが約7千枚、費用は8億円かかったということが、この日記にあったね。私:それで、本当に膨大な書類で粉飾決算が防止できるのかね。 その考えに疑問を持つのでなく、ムダな文書を効率よく電子化しようとして、今、IT業界がこの市場開拓に乗り出しているね。 マニュアル主義、書類主義はますますIT化とともに進み、新しい社会問題が生まれつつあるね。A氏:ムダなものはなくすることが最上の方法だが、ムダをそのままにして、それをIT化するという考えは、経営戦略的に見たらムダ保存の先延ばしに過ぎないように思うね。 それよりも社員のモラル向上のほうが重要に思えるがね。
2006.08.17
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A氏:日本人として、戦争に負けた責任、特にムダな戦死者を多く出した軍部の責任というのはあるね。 だからといって、東京裁判のA級戦犯イコール日本の戦争責任者にするのは無理があるようだね。私:「中央公論」の9月号「『あの戦争』とリーダーの責任」特集の「戦争拡大へと駆り立てた陸軍の“下克上”連鎖」を読むと、日中戦争は大佐あたりの独断専行色が強い。 政府のいうことを聞かない。 いわゆる下克上ドライブだ。A氏:だから、形式的には責任ある立場の人よりずっと下の地位の者やグループが実際に事態を動かしているので、欧米型の発想で正当な責任を追及しにくいね。私:ドイツのヒットラーや北朝鮮の金日成のように、権限と責任が一体化していると失敗したときの責任は明確だがね。A氏:何故、佐官級、尉官級が下克上したのだろうね。私:その背景に、第一次大戦の後の世界的な軍縮で、軍人が失業するおそれがあったこともあろうね。それに軍人だけでなく、世界恐慌による国民の不安もあった。A氏:それが軍人も民間人も「満州に」「大陸に」「南方に」と向く。 一方、軍国主義も治安維持法で徹底的に反対者をたたく。 北朝鮮のような軍事独裁だ。私:新聞も戦争をあおらないといけない。A氏:14日の朝日新聞の社説に戦時中の新聞も戦争責任があるといっていたね。私:ではそのときの編集長は誰かとなると、その編集長がご存命なら「おかしいと思っていたけれど、時代の流れや空気でしかたがなかった」というだろうね。 それを社説は言っていない。「銀座の怪人」が指摘している当事者意識欠如だね。A氏:責任は時代の流れや空気かね。私:それは今も続いているね。「赤信号みんなでわたればこわくない」A氏:今もそうだ。 社会保険庁のごまかし報告も全部そうだね。 こないだ問題になった地方自治体の裏金もそうだね。 みんなやっている。 それを疑問視すると逆に「かたいことをいう」と仲間はずれされる。 談合もそうだね。私:日本のシステムでは、本当に責任と権限が明確なマネジメントはあるのかね。 権限だけで責任はないのかも。 日産のゴーン社長は「日本にないのはマネジメントだけだ」と言ったがね。A氏:以前、日本製品がアメリカを追い越したときに、アメリカ人は日本に学ぼうとしたが、日本に調査に来て偉い人にポイントになる点を聞くと「担当者に聞いてくれ」と言われることが多いので驚いたという。 タントウシャという日本語が一時、アメリカビジネス界ではやったそうだ。私:そのころ、視察でアメリカに行ったが、同時通訳の日本人が、ある高いビルを指し、「汚職やスキャンダルであの上から飛び降りた大統領が4人いる。日本では皆無だ。自殺するのは課長か、秘書だ」と言っていたのを思い出したよ。A氏:日本の伝統かね。私:大仏次郎の「天皇の世紀」に、井伊大老の下で外国御用掛の老中だった間部下総守の話がある。 間部はイギリス公使と対談中、金銀貨幣の品位量目について質問されて、何と答えてよいかわからず、「拙者は日本にて大名と申すものなり。かかる金銭のことは、御勘定奉行、外国奉行に聞いてほしい」と、堂々と自分の無能を告白して平然としていられた。 英国公使オールコックは思わず嘆息して、「日本は羨ましいお国柄である。それで責任がすむとは結構なことだ」と皮肉った。A氏:担当任せだね。私:もちろん、下の実務をやっている者たちはその問題点をよくしっているから、外国局で同僚が議論して言い詰まると「拙者は大名でござる。左様なことは存じませぬ」と冗談に言って笑ったという。 オールコックは指摘している。 幕府の高官が交渉の内容に自分の意見を持たず、向き合っているが、返事をするときになると、老中の後の方に一列に座っている部下の中から誰か一、二人が、いざり寄ってこう返事するようにと耳もとで低い声でささやく。A氏:国会の答弁風景でよく見るね。 責任権限が明確な欧米型の発想としては理解できなかったのだろうね。私:無責任は今もごろごろしているね。 現在の無責任を追及することが、敗戦責任を追及することになりそうだね。 まずは、社会保険庁など公金が関係する官庁のスキャンダルからはじめるべきかもね。 それができるくらいの根性がなかったら、戦争責任追求はスローガンで終わりだね。
2006.08.16
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生まれて育って住んでいた家は山の中の地方都市だから、空襲はなかった。 8月15日は学校の夏休みの真ん中だから、山奥の母の実家に泊まりに行っていた。 当日は、叔父と谷川に投網に行っていたと思う。 途中、昼食で谷川から近くの部落にあがったら、敗戦の放送があったことを聞いた。 私は戦争を直接知らないが、兄貴は夏休みでも勤労動員で工場で働いていて、8月13日頃、艦載機の襲撃を受けて逃げ惑ったという。 母も同じ日に艦載機の襲撃で命からがら私が泊まっている実家にもどってきた。 その夜、母と同じ部屋で寝たら母は「これで日本はもう終わりだね」と言った。 小学生の私は軍国教育の成果で「そんなことはない。神風が吹く」と反論したことをいまだに覚えている。 父は商売をしていたが、数ヶ月前に店をたたみ、徴用工として単身赴任で軍需工場に行っていた。 だから、8月15日は市街地の自宅は兄貴だけだったはずだ。 驚いたのはすぐに家族が全員そろったとき、父が「これからはアメリカとソ連の戦いになるな」とポツリと言ったことだ。 当時の私には理解できなかった。 青春を大正時代に送った大人の感覚だろう。 今日の朝日新聞の朝刊は終戦記念日とあった。 それにしても、降伏した日を敗戦日と言わず、終戦日というのは「やせ我慢」からか。 勝利を記念するということは多いが、敗戦の記念とは戦死者の慰霊という意味か。 アメリカでも第2次大戦は勝利であったが、ベトナム戦争は敗戦したので記念日となっているのだろうか。 8月15日より2週間降伏が早かったら、原爆もソ連参戦もなく、もう、2週間遅れていたら、さらなる原爆投下と北海道のソ連占領があったかもしれない。 トップの意思決定というのはこわいものである。責任が思い。 61回目の敗戦記念日で小泉首相の靖国参拝は、61年間あいまいにした敗戦責任を原点にもどした。
2006.08.15
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A氏:最近になってパロマもやっとテレビを使い出したね。 そういえば、似たような事故で、昨年、松下電器の温風機事故があったね。 パロマに比較すると、最初からものすごい費用をかけていたね。松下電器のブランドが失墜しかねない最大の危機だったからかね。私:俺の家にもチラシが来たように思う。 ところで、先々週の日経ビジネスで松下電器の中村社長が会長になり、新社長に大坪社長になったことに伴う「松下 未完の改革」という特集があった。 その特集では、当時、社長の中村氏は、この事故の記者会見には出席しなかったが、この事故以外にもう1件事故が出たら、辞めるつもりでいたという。 そして、社運を賭してやれることはどんなことでも社員を総動員してやったという。 パロマ問題は、家族型の企業の問題という意見もあるが、三菱自動車、三菱ふそうのような大企業も同様なマネジメントの弱さがあるんだね。A氏:中村氏は、経営の神様の松下幸之助氏の残した松下電器の経営のやり方を変えて、大改革をしたんだね。私:中村氏が数年前に社長になったとき、米国で調査された「企業が衰退する時の社風」という4つの条件に松下がピッタリだったという。A氏:4つの条件?私:「傲慢」「自己満足」「摩擦を好まない」「会議ばっかりやっている」の4つだ。 「傲慢」とは、「自分が作ったものに問題はない。お客様が悪いんだ」という意識。 これはパロマのような家族型の企業でも陥りやすいことだね。A氏:松下電器を回復させた中村氏は、何故、社長から会長に退いたのかね。私:「会社の業績がだんだん良くなってくると、悪い話が耳に入らなくなってきた」ということだ。 中村社長の言ったことが全部通ってしまう。 こういう雰囲気は自分から早く断ち切らないと会社がよどんでしまうからだという。 先手を打ったようだ。 経営者は引き際が重要だね。 この点がパロマの同族的な経営と大きく違う点かもしれない。
2006.08.08
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私:今日の朝日新聞の「私の視点」コラムで神奈川県児童医療福祉財団理事長の飯田進氏の「靖国参拝」につていの寄稿がある。 内容は別に飯田氏の肩書きと関係がない。 氏は1923年生まれというから、敗戦の1945年のときは、22才だ。 氏は、海軍民生部の要員として、西部ニューギニアにいた。 そこではほとんどの兵士は、戦争末期に中国戦線から転用されが、上陸とともに補給路を断たれ、ジャングルの中で飢え死にし、祖国に帰国できたものは一割に過ぎないという。A氏:君の日記の「戦争とは人が死ぬこと」にもあるように、第2次大戦の日本兵の戦死者陸海約200万人は、戦争の後半に集中し、7割が餓死であるというね。私:氏は、これらの野垂れ死にした兵士を「英霊」という言葉の中にあいまいにしてしまうことを問題にしている。A氏:この日記の「靖国問題」の若い西村教授の視点と似ているね。私:飯田氏は 「7割を占める餓死した兵士たちはずさんきわまりない作戦を強いた軍中枢を恨んで、息を引き取った。その遺骨の多くはいまだに密林に埋もれたままになっている。私たちがありったけの涙を注がなければならないのは、そのような無駄死に対してではないか」 と言われる。A氏:確かに、日本はこの問題をきちんとしないで、形ばかりの慰霊式でごまかしてきたね。 西村教授はそれを原爆の慰霊式についても違和感を持っている。 それはA級戦犯を分祀するとか、別の斎場を設けるとかという問題以前に、日本の現代史をしっかり整理すべきだね。 それをしないでは、英霊は英霊とならないだろう。私:俺の親戚では、戦死者も戦争経験者もいないので、靖国問題は個人的に直接関係ないが、国としての問題があるね。 今年は、昭和天皇の分祀問題、ポスト小泉問題で靖国問題が戦後60年余で火がついた感じだが、こういう視点が中心で整理されることを望みたいね。
2006.08.03
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A氏:今、パロマが瞬間湯沸器による中毒死のトラブルで大問題になっているね。私: ISO(アイ・エス・オー)9001関係者は当然、その認証との関係が非常に気になるね。A氏:ISO9001とは?私:2004年の5月30日の読売新聞は、次のように報じている。「ISOは1947年に設立された国際標準化機構(本部スイス)の略。ネジや歯車など工業製品の形、寸法から環境管理まで、世界共通の標準規格を定めている。品質管理分野の9001は、優れた製品やサービスを顧客に提供しているか、顧客の要望を吸い上げる仕組みがあるか――などを実地と書類で審査し、認証する。認証を受けると、企業は製品や店舗、パンフレットなどに表示できる。」 厳密にいうと店舗、パンフレットなどにマークは表示できるが、製品にはできない。 ISO9001というのは、品質マネジメントシステムの要求事項を定めており、製品の審査はしないからだ。製品検査をして製品につけるJISマークと違う。A氏:この読売新聞のニュースは2年前で古いね。パロマとどういう関係があるの?私:この読売新聞のニュースの見出しは「なぜISO継続…三菱大型車欠陥問題は」というものだ。A氏:あぁ、例の三菱ふそうのトラックで車輪が脱落し、人まで死んだ問題だね。 あのとき、会社側は最初、車の整備不良で逃げていたが、設計上の問題も出てきたね。今回のパロマの経過と似ているね。それがISO9001とどういう関係があるの?私:ISO9001はマネジメントシステムの規格だから、顧客のクレームをきちんと把握し、社内のマネジメントシステムが迅速に対応することを要求している。 そのシステムがあることを、外部の審査機関が審査して、お墨付きを与えるのだ。 ところが三菱ふそうのときも今回のパロマのときもマネジメントの対応が最悪だから、当然、ISO9001のお墨付きの権威が問われることになる。A氏:なるほど。そうするとお墨付きを与えた審査機関はどうするの?お墨付きを取り消すの?私:この三菱ふそうのときの読売新聞の報道によると、三菱ふそうのISO9001の審査をした日本ガス機器検査協会QAセンターに対し、JABがその認証登録を抹消すべきではないかという強い要請があり、審査機関が困惑している状況を報道していた。 三菱側は市場の信頼を維持するために、認証を失いたくないから取り消しに抵抗する。 JABというのはISOの国内最上級組織である日本適合性認定協会の略称で、民間である審査機関に営業許可を与える権限がある。A氏:あの問題は、ハブの設計不良や試作の不備など、設計が主な原因ではなかったの?私:ところが、どうも三菱ふそうのISO9001は、設計部門が含まれておらず、工場だけで認証を取得したようだ。 これもおかしな取得だよ。 ISO9001は、最初、そういう抜け道があったので、2000年の改訂で設計活動があるときは、適用範囲として除外できないはずなんだ。 どうも、設計や営業がある本社を顧客扱いにしていたようだ。 真の顧客を顧客とするというのがISO9001の2000年版改訂の趣旨なんだがね。当り前のことだけれどもね。 その点の深い突っ込みがこの新聞報道にはなかったのが残念。A氏:そういえば、パロマも事故処理の遅れというマネジメントシステムの問題が中心なのに、ISO9001に関連した報道がないようだね。私:この企業は、販売が主なパロマ本社と製造中心の子会社のパロマ工業と分かれていて、パロマ工業がISO9001をとっている。 だから、この場合も顧客は本社だ。 真の消費者を顧客としたシステムでないようだ。 会社の規模は異なるが、三菱ふそうと似ている。 しかも、審査機関が三菱ふそうと同じ日本ガス機器検査協会QAセンターだ。 このセンターはガス器具の審査でなく、マネジメントシステムのほうの審査をする。A氏:審査機関はいくつくらいあるの?私:40を超えているかね。日本ガス機器検査協会QAセンターは、その一つだ。A氏:なんのために企業はISO9001に金をかけているのかね。 マネジメントシステムの悪さで死亡事故まで出しておきながらーーー。私:例の耐震偽装の問題で登場した木村建設がISO9001を取得していたが、あの事件に関係している建設関係の会社は皆、ISO9001を取得していたという話だ。 このISO問題は、もう十年を越える。お墨付きをもらった企業も数万とある。しかし、問題も多い。 日本の戦後の輝かしい品質管理の歴史を築いた先輩たちに対して汚点を残さないように祈りたいね。
2006.08.01
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私:昨日、都心に行ってきたのは、日本版SOX法施行に伴うITの無料セミナーを聞くためだよ。システムの宣伝を兼ねたもの。 多くの人が参加していた。外は暑かったが、会場内は寒いくらい冷えていた。また、夏かぜをこじらせるか心配だった。A氏:気候不順みたいだから、用心してよ。ところで日本版SOX法?私:SOX法はエンロン事件やワールドコム事件など1990年代末から2000年代初頭にかけて頻発したアメリカの不正会計問題に対処するため、アメリカで2002年から施行された。 当然、日本企業で、アメリカで株を公開している企業も制約を受ける。正式には「上場企業会計改革および投資家保護法」と言われるそうだが、案を作ったポール・サーベンス(Paul Sarbanes)上院議員、マイケル・G・オクスリー(Michael G.Oxley)下院議員の名にちなんで、「サーベンス・オクスリー法」と呼ばれ、略してSOX法というらしい。A氏:君は金融の専門でも、ITの専門家でもないのに、なんでくちばしをつっこむの?私:この法では、上場会社会計監視審議会の設置、監査人の独立性、財務ディスクロージャーの拡張、内部統制の義務化、経営者による不正行為に対する罰則強化、証券アナリストなどに対する規制、内部告発者の保護などが規定されているんだが、俺の興味があるのは内部統制の部分だ。多くのIT企業もこれに目をつけている。 要するに、内部統制のために、日常業務に不正がないかチェックするために膨大な書類を作成しなくてはならない。そこが引っ掛かったのだ。A氏:なるほど、財務報告の透明性を確保するためには、その基礎となる企業内の各データ、業務プロセスの信頼が問題になるね。私:それらの業務プロセスの明確化、文書化することも義務付けられている。これは管理用のコンピュータシステムや会計システムなどの情報システムそのものや、システムの開発・保守・運用といった業務プロセス、システムへのアクセス権限のルールや管理、外部ITベンダへの委託契約方法など、公正で明確な手続きによって遂行され、それが証明できるようになっている必要があるわけだ。A氏:日本はいつからなの?私:日本版SOX法の正式名は「金融商品取引法」だ。カネボウやライブドアの粉飾決算の影響を受け、6月に決まり、適用は2008会計年度で、一般には2009年3月期の決算時に、従来の財務諸表監査と合わせて内部統制監査を受けることになる。 だから、少なくとも2008年4月の時点で運用を開始している必要がある。のんびりできない。A氏:では、それは経理部門の仕事だろう。私:ところが、内部統制というのは、財務会計、販売、購買、在庫、給与等のいわゆる基幹業務に組み込まれた統制のことだから、企業活動の日常活動全部が含まれるんだ。 一般に業務処理統制と呼ばれる。取引や入出金のプロセスに不正やミスが入り込む余地を減らすように、権限の適切な分離、承認、照合などにがチェックされる。財務報告はこうした業務プロセスによって作られた情報の集積であり、プロセス・レベルで統制がかかっていれば、そのまとめとしての財務諸表の適正性も自然に保証されるという考えだ。 A氏:なるほど、そこにITを利用する余地が大いにあるということか。仕訳転記の誤りや意図的な会計操作の防止など、日常業務をやる人々にも関係があるわけだ。私:ただ、問題になっているのは、そのコストだ。 昨年の7月上旬のNHKの「クローズアップ現代」で、アメリカのSOX法に対応したリコーの例が紹介されていた。 それは、業務の帳票の流れを書いたフローチャート作成が中心で、大きなフローチャートが約7千枚、費用は8億円かかったという。 これは一時的な費用と言っているが、これに追加して改訂管理の費用も大きいだろうね。 楽天の三木谷社長は、この金融庁の日本版SOX法検討委員会のメンバーらしかったが、NHKのインタビューに答え、このようなコスト負担を企業が負うことは、企業の利益を圧迫し、結局、株主の得にはならないのではないかと言っていたよ。A氏:そこで、企業内の無駄を省いてきた君の知的刺激になったというわけか。私:すでに、アメリカでは、このコスト増のために、株式市場にあまり積極的に参加しない企業が増えているという。特に中小企業はね。そこで、もう、改正の機運があるらしい。 俺のもう一つの疑問は、詳細で膨大な業務フローチャートが企業の実体の情報公開になると本気に信じているのかという点だよ。 三菱自動車、カネボー、橋梁工事会社、JEKスチール、石原産業、建設設計の耐震データの虚偽などなど、枚挙に暇がない不祥事は、多くの書類がごまかしの温床であることを示しているじゃないか。 それに対して「もっと多くのチェック用の書類を作れ」というのは、どうもおかしいね。 問題の真因は別なところにあると思うね。A氏:なるほど、7千枚のフローチャートは誰が見るのか、株主なのか、7千枚のフローチャートを見て株を買うのか、外部の人間が7千枚のフローチャートを本当のことを書いているのか見てわかるのか、業務フローが改善などで変更した場合その改訂管理がきちんと行われると信じているのか、フローチャート通りに実際に行われていると誰がどのように管理するのか、ムダな業務もフローチャートに立派に書かれていても問題としないのか、そのムダは誰が判定できるのか。社長はそこまで責任をもって見ることはできるのか。私:どうも本質からずれている気がしたが、誰も言わないようだ。それで知的興味をひかれたというわけだよ。
2006.07.15
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A氏:昨日の朝日の夕刊の、連続インタビュー・歴史認識の靖国編1を読んだかね。私:読んだよ。靖国問題に今までと違った見方をしているね。A氏:インタビューを受けた人は鹿児島大学助教授の西村明氏だ。近現代日本の民族宗教が専門という。その博士論文で靖国問題と向き合うようになったというね。私:氏は今、33才だ。氏は長崎生まれだから、氏の靖国問題は長崎の原爆慰霊の式典についての違和感からだという。 直接の戦争経験でなく、新しい世代の見方だね。A氏:首相の参拝の是非、政教分離の憲法問題、近隣国との外交問題よりも、その前に考えるべきは、死んだ人はどのような人で、どのように生きたかを問うべきだというわけだね。 個々の死者への想像力を戦後社会は欠いていたとしている。式典がそれをあいまいにしているというわけだ。年内にそれについて本を出すそうだ。 君の6月5日の日記のように、戦死者の7割が戦陣での餓死であるという死に方をもっと考えるべきかもね。私:実は、氏と同じ考えで、戦死者を書いた本があるんだ。フィリピンで戦い、捕虜になった大岡昇平氏だ。兵士の死に方を書いている。戦死者というひとくくりの考えを捨て、個に徹している。これが「レイテ戦記」だ。A氏:レイテ戦は、日本兵八万四千、アメリカ兵四千人という多くの戦死者を出したというね。私:大岡昇平氏の「レイテ戦記」はそれらの兵士に対して書かれたもので、単なる戦史とかドキュメンタリーではない。戦闘で戦うのは一兵士であるという立場だ。「山本五十六提督が真珠湾を攻撃したとか、山下将軍がレイテ島を防衛した、という文章はナンセンスである。」とある。 普通の人が戦い、普通の人間が死んでいったことが、この戦記の基礎をなしている。だからこの本は記録賞でなく、文学賞をもらっている。A氏:これはかなりボリュームのある本だが、読んだの?私:今年、初め読み出した。しかし、膨大な戦記で、遅々として進んでいない。 この本を読もうと思ったのは文芸評論家の加藤典洋氏の「敗戦後論」を読んでからだ。 ここに大岡昇平氏の戦死者に対する考え方が紹介され、論じられていたからだ。 大岡昇平氏によると、この戦場は旧軍人にとっては恥多き戦場なので、責任ある者の報告書がなかなか出なかった。 やっと戦後25年たって発行されるが、多くの遺族が知りたいのは戦闘の実状である。 自分の父や兄はどういうところで、どういう風に死んだかである。大岡昇平氏は書き進めるうちに、戦死した兵士の一人一人について、どこでどういう風に死んだか、を数え上げることになって来たという。A氏:大岡昇平氏は芸術院会員になることを「私は、国の命令である戦陣訓を守らず、捕虜になった恥がある」といって断わったそうだね。私:加藤氏は、「大岡と彼以外の私たちの違いは、私たちの多くがいつか敗者であることを忘れた後も、ひとり大岡が『敗者』の位置を動こうとしなかったことである。」と書いている。 また、加藤氏は、三百万の自国の死者を日陰者にして、二千万人のアジアの死者を切り離して問題にするのは、明らかにごまかしだとしているね。両者はつながっているという。A氏:大岡昇平氏は1909年生まれ。この鹿児島大学の西村氏は1973年生まれ。数十年という長い時がたっているが、遅ればせながら、本当に戦死者が浮かばれるように靖国問題が正しく評価されることを期待したいね。
2006.07.11
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私:養老孟司氏モデルは、「五感→脳での処理→筋肉の伸縮活動」だ。アウトプットは筋肉活動だけだ。 次にその身体行動で得た外部の反応を、五感で得て、また、上の順序を繰り返す。要するに、一種のフィードバックだ。 話す、書く、表情を作る、動作するは文化活動の基本だからね。すべて具体的な身体活動だ。A氏:だから、ある国で子供が生まれると、幼児は五感で感じて行動し、それを親とかモノで修正され、五感にフィードバックされる。その繰返しで、次第に脳の回路がその国らしく作られ、無意識のうちに自然に行動するようになる。これがシツケだ。伝統文化の基礎になる。私:俺の子供時代は、食事は畳だ。当然座る。きちんと座らないと親に注意される。ご飯と味噌汁が基本で後はおかずだ。 ご飯は左、味噌汁は右、箸の先端は最初、味噌汁に軽くつけて濡らし、味噌汁を軽くそそり、それからご飯を一口食べる。ご飯はもったいないから、米一粒でも残してはいけない。 これは、全部、母親からシツケられた。 そのうちに無意識で体が動く。これが文化の原点だよ。 当然、母親の俺の祖母から教わってきたわけだ。それが伝統の原点でもある。A氏:ところが、戦後は、次第に食堂は椅子となった。ご飯だけでなく、パンもある。シツケ方も変わらざるを得ない。いろいろな教育評論家も増える。シツケをやる親もとまどうことになった。 俺たちの若い頃、ベストセラーで、パン食は頭を良くするという本が出た。著者は有名な大学教授だ。パンを食う欧米人は頭が良く、コメを食っている日本人は頭が弱く、だから戦争に負けたというわけだ。 今は、逆に、コメが見直されているし、食の自給率からしても問題を抱えているね。この大学教授は本当の愛国心をどう思っていたのかね。 敗戦直後だから、愛国心など頭の片隅にさえもなかっただろうね。だから、コメよりパンがいいと平気で言えた。私:ところが、その結果、子供の身体活動が変化し、親を殺す、簡単にキレル、学校崩壊、若者の地べたへの座り込み、読み・書き・計算の能力低下、食育の問題などなど、養老氏のいう筋肉活動の変化の結果、過去と違った身体活動を起こし出した。環境問題同様、バランスが崩れだした。 社会からフィードバックがかかる。要するに、これらの社会的なフィードバックで、過去の身体文化のかなりの部分が消失していることに気がつく。その原因が、社会的なシツケの変化ではないかとなる。 愛国心問題ではない。良い悪い以前に、われわれが意図しないうちに、体の動きが理屈に合わなくなっているのだよ。A氏:社会的なシツケをとりもどそうというと、国の独特の文化を取り戻すこととなる。国の良い文化は守っていこうとすることになる。そこで「愛国心」が登場する。私:今までの愛国心論議は、どうも抽象的だね。国体を愛するのか、生まれた郷土を愛するのかとかね。身体文化という視点が弱い。 戦後、団地や住宅などを椅子生活にするとき、座る日本の伝統文化をなくすことで、いろいろ伝統的な身体的な損失を考えて、やっぱり、座るのはやめようとしたのかね。それとも併用することも検討したのかね。 結局、椅子がすべて良く、座ることはすべて悪いという幼い行動をとったのではないのかね(2006.07.07の日記参照)。 その具体的な反省抜きに抽象的に愛国心を議論している。私:愛国心も、脳化した抽象論でなく、養老孟司氏がいう筋肉論でやって欲しいね。 サッカーの国際試合で、日の丸をあげて国家を歌うとき、日本サッカーの筋肉活動の文化性を頭に描いて歌って欲しいね。 作家井上ひさし氏が東京裁判の演劇を企画しているそうだが、主人公が責任をとらない偉い軍人から次第に日本語の文法になってしまったそうだ。A氏:何故?私:日本語の文法は主語があいまい。それは、主語を明確にする筋肉の動きを脳の回路が遮断するからだろうね。伝統的にね。 なんとなく皆で話し合いをしているうちに、誰の責任でもなく、全体の行動が決まる。そういう言葉や表情の筋肉活動に文化として固定されている。 これなど、日本語の文法を変えるの?それとも守るの?愛国心問題としてはどうするの? これは今となっては、国体でもなく、風土でもないね。 インドは、掛け算の暗記を子供のときからやっていて、その伝統は守られ、今の経済発展のもとになっているという。 日本は何故ソロバンを捨てたの?座位を取り入れた日本式の椅子でなく、西洋式の椅子を何故そのまま導入したの?井上ひさし氏ではないが、「なんとなく、無責任できまった」の? インドは掛け算の暗記を何故捨てなかったの? 愛国心の有無だろうか?
2006.07.08
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私:長雨で、どうもウオーキングの機会が減ったが、晴れ間が出たので昨日、近所を散歩したよ。汗ビッショリだ。結構、リハウスしているところが多かった。 俺の家は、大手不動産が開発した一戸建ての建売住宅の1つだが、開発したのが、オイルショック前のブームの頃だった。畑で何もない丘陵地に住宅ができたが、俺には高くて手が出なかった。 それが出来上がって少したって、オイルショックによる不況が来た。値段が下がった。そこで、それまで住んでいた分譲マンションを売って、それを頭金にして買ったんだ。A氏:オイルショックと言うと、1975年頃だね。三十年ほどたつか。私:建売団地には同じ四十才台の世代が入居してきた。標準的には子供が二人だ。小学校が一時的に込んだね。だから、今、三十年くらいたつと皆もう年だね。家も建て直すところが多い。 左隣りでは、奥さんが最近ガンでなくなって、旦那が一人暮らしになった。子供たちは一人前で独立して外に出ている。 その向かいの家は、逆に旦那が十年位前にガンで急死し、長いあいだ、奥さんが一人暮らしていたが、年になり、子供の家に移ることになった。家を手放して、今、不動産屋がリハウスして売り出し中だ。 俺の真向かいの家は、数年前に、百歳を超えるおじいさんが息子夫婦と住んでいたが、そのおじいさがなくなり、リハウスして息子夫婦だけで住んでいる。子供は独立していない。 その隣の家は、子供は息子一人だが、つとめのためか、独立していない。夫婦二人だけだ。 右隣も老夫婦二名で住んでいる。息子はやはり独立して、別に住んでいる。 裏隣も子供二人いたが、すでに独立していて、これも老夫婦二人だ。A氏:そうすると、旦那のいる家では旦那は定年で家にいることになるね。私:そうだ。だから、このあたりは、この変な過疎化がはじまっているね。 もっとも、これを予測して、近所の小学校は最初から変な建物で、将来は老人用だといっていた。当時からそういう予測をしていたのだから、今更、少子化と騒ぐのはおかしいね。 ところで、向かいの家の百歳をこえてなくなった老人は、早く奥さんをなくした。しかし、元気で九十八才のとき、自費出版で俳句集を出した。俺は俳句をやらないが、贈呈を受けたよ。 東京商科大学(今の一橋大学)の出だそうだが、俳句は大正九年の処女作とあるから大正、昭和、平成と生きてきた生涯の俳句集だね。俳句集の最後のほうは、九十八才のときのものらしく、次の句がある。 白寿まで遠くて近し我の春 白寿まで近くて遠し我の春 この句の数年後になくなった。 昔から、十年一昔というけれど、三十年もたつと大きく変わるものだ。「般若心経」ではないが、色即是空だ。
2006.07.02
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A氏:君の6月17日の日記では、「シートン動物記」に関連して、ゼロトレランスが登場しているね。私:「シートン動物記」で知的アンテナがはられていたので、新聞を見てひっかかったね。アメリカの学校教育というと、教室は立ち歩き、私語などひどいという先入観があったが、それは間違っていたようだ。ゼロトレランスというシステムで建て直しをしてきたんだね。A氏:ゼロトレランス(zero tolerance)というのは品質管理からきた言葉だというけれど、製造業にいた君はよく知っているのではないの?私:日本の製造業の優秀さを参考にしたらしいが、どうもピンとこないね。トレランスとは、製造業では日本語で「公差」というのだが、量産工場では公差にゼロはないからね。 それより、「テン・トレランス」というのがあり、何か違反しても十回までガマンして、これを超えたら、懲罰を与えるという意味がある。ワン・トレランスは、1回ガマンだ。だから、ゼロトレランスは、違反したら、ガマンしないで最初からなんらかの懲罰だ。そのほうが分かりやすい。A氏:文部省はゼロトレランス導入を検討しているらしいね。私:17日の朝日新聞の朝刊で書いていた加藤氏には「学校再生の決めて」というゼロトレランスを紹介した本がある。2000年の発行だから、もう6年前だ。ゼロトレランスの古典だね。すでに、アメリカは、70年代のリベラルな教育理念の結果、学校教育現場の完全な崩壊を経験して、その建て直しを90年代からゼロトレランスで始めた。 この本では日本はその逆を進んでいると批判していたが、6年たって、ようやく最近の文部省の考えは、それを認めるような結果になっているね。先見の明があった本だね。A氏:要するに、校則を詳細に決め、小さなことでも違反したら、すぐ罰則を科するという方法だね。そのほうが拡大しない。ニューヨークの犯罪を減らすのに、徹底した地下鉄の落書きの禁止、無賃乗車の禁止という簡単なことを徹底したやり方で成功したのと似ているね(2006.04.28と2006.05.13の日記参照)。私:加藤氏の本にもあるが、「自由(freedom)」「やりたい放題(license)」「完全な自由(liberty)」の3つは異なるとしている。すべての者の「自由(freedom)」を守るためには、お互いに制限が設定され、その枠内の選択が「自由(freedom)」という意味だ。他人の権利や感情を無視して行動する「やりたい放題(license)」「完全な自由(liberty)」とは異なる。日本ではそれが、戦後混乱しているわけだ。A氏:戦争に負けて、一挙に過去の学校教育は悪いとした反動かね。私:皮肉なことに1983年にレーガン大統領は、学校崩壊でどうしようもなくなり、日本に教育を学べと視察団を派遣しているんだ。そのアメリカに今度、日本が学ぶということになりそうだ。A氏:また、逆輸入の舶来崇拝かね(2006.06.10の日記参照) 。日本人は自信がなくなったのかね。私:「シートン動物記」を読んで思うのだが、日本では親が子どもに対して「自由(freedom)」「やりたい放題(license)」「完全な自由(liberty)」との違いを教えているのかね。 「やりたい放題(license)」「完全な自由(liberty)」がいいことだと思っているのでは。A氏:野生動物の場合、「やりたい放題(license)」「完全な自由(liberty)」をしたら、待っているのは天敵からの攻撃であり、餌の欠乏だ。それは直ちに死を意味する。私:そうだよ。あくまで自然のバランスのとれた規制の枠内の選択の自由だ。野生動物はそのようにしてルールを親が徹底的にしつけ、それを守りながら自由を楽しむ方法を教えている。「シートン動物記」はそれを描いている。 だから、良い教訓になる。A氏:問題は、日本では「やりたい放題(license)」「完全な自由(liberty)」が良いことだと洗脳されている親やマスコミが多いかもしれないから、文部省の規律優先にどのように反応するかだね。私:アメリカのやり方で注意すべきは、授業をする人と生徒指導をする人との分業だ。管理者と授業の専門家の分離だ。授業をしない管理者がゼロトレランスでは増加している。A氏:日本では、すべて担任に任せられている。そのため、カウンセリング研修を全教師が受けないといけないが、一人の生徒のために、担任が長時間、医者並みのカウンセリングをするのは、合理的でないね。 第2次大戦同様にアメリカはシステムで来るからね。私:製造業だと、管理側と第一線とは分業になっているのにね。 その点、マネジメントの国であるアメリカは、分業になっていて、担任が手におえない生徒は専門の管理側に任す。これによって、他の多くの生徒の授業を受ける権利を尊重している。 この点、日本人はシステムは得意でないかもね。製造業では当り前だが、教育界はマネジメントが弱いからね。今後、どう展開するかは、日本の今後の教育の分岐点になるね。 これは、戦後、戦前の日本文化はすべて悪として、愛国心や靖国問題など、先送りした問題ともからんでいる。「国家の品格」(2006.06.03の日記参照) として表面化した問題の一つだね。 われわれ、一人一人の自覚を問われているのかもしれない。A氏:まさに、日本にとって百年に一度の曲がり角だ(2006.06.04の日記の立花隆氏の言葉)。小泉首相のいう米百俵になるか。
2006.06.21
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