デフレの正体 0
原発 0
体罰 0
糖質制限食 0
全551件 (551件中 451-500件目)
私:雑誌を整理しているとき、先月の日経ビジネスで短期集中連載で団塊世代の特集をやっているのが目に付いた。 A氏:もう、団塊の世代の定年退職問題が目の前なので、いろいろ騒がれているね。 俺たち世代の一回り下になるのかね。 そのせいか、どうもピンとこない点があるね。私:この日経ビジネスで手島龍一氏57才が「私には団塊世代の共通体験がないんです」という2頁ほどの談話記事があった。 これが面白かったね。A氏:手島氏と言えば、「ウルトラ・ダラー」の著者だね。 今、問題になっている北朝鮮の偽ドルが関係した本だね。 俺は読んでないが、テレビでよく見たね。私:手島氏は、団塊世代の共通体験として「高度成長」「受験戦争」「戦後民主主義」の3つをあげているが、これはわれわれ一回り上の世代には分かりやすい説明だね。A氏:俺たちは、この3つの入口からの社会も体験しているね。私:しかし、手島氏はこの3つを実感した経験がないのだという。 氏の父親が中規模炭鉱の山主だから、世間が高度成長のとき、石炭は衰退産業だったから、高度成長に伴って、次第に豊かになるという実感がないという。A氏:なるほど、「高度成長」以前のわれわれはひどい貧乏だったが、手島氏は逆だったんだね。私:それに氏は、北海道の受験競争のない高校を選んだ。 豊かな自然に恵まれた自由な学生生活を送ったようだね。A氏:俺たちの高校生活は、激しい受験戦争が始まる直前だったが、比較的にのんびりしていたね。私:戦後民主主義の幻想を手島氏は、炭鉱を経営している父親から知ったという。 戦後、金のある炭鉱主の父親に政治家、官僚、軍人が群がる。 その裏が見える。 組合の左翼も昼の団体交渉で偉そうなことをいっても、夜の経営者との宴席では札束の詰まった菓子箱をもって喜んで帰っていく姿を見る。 右も左も、真実は二重底、三重底だ。 むしろ、父親に学ぶ。 父親はどんな偉い人が来てもなかなか上座にあげなかった。 しかし、炭鉱の最前線で働いている真っ黒な顔と手をした従業員が来ると、すぐに上座に通して、自らお酌をしたという。A氏:日本経営には、第一線労働者が稼いでいるという意識があり、現場は殿様という言葉があったね。 今は、なつかしい言葉だね。私:俺なんか、新入社員で工場事務に配属されて、ちょっと暇なときに専門書を読んでいると、工場長が来て、本は家で読め。 お前たち、間接部門は一銭でも稼いでいないのだから、ヒマなら、現場を手伝え、と言われたよ。A氏:団塊の世代と人括りしているけれど、手島氏の例は特殊な例外でなく、それぞれ違った人生はあるのではないかね。私:イギリスの有名な作家のサマセット・モームは医学生だった頃解剖実習で学んだのは、教科書通りの構造をした人が少ないということだったという。 すなわち、一般の人は、教科書のモデルから、どこか偏っているという。 彼は、その経験をもとに小説のストーリーを考えているから、どんでん返しが多いね。 例えば、真面目な典型的な牧師が不倫をするとかね。 団塊世代と一色に考えないで、今まで、たどって来た個性ある生き方に視点をうつしてほしいね。 それにしても、手島氏の自由な生き方は羨ましいね。
2007.03.26
コメント(0)
私:一昨年9月頃、面白い英語のメールが来たよ。 「今日、ビンラディンがパキスタンで逮捕された。今日の夕方のBBCで緊急放送されるが、その前にこのメールに添付した画像でその情報を早く見ることができる」 アンチィ・ウイルスが働いて別ファイルに隔離された。A氏:その画像にウイルスが入っている危険性があるんだろうね。私:もちろん、夕方まで待てば、デマであることがわかることだが、せっかちな新しいもの好きの人はひっかかりやすそうだね。 別の話だが2ヶ月ほど前、次のような趣旨のメールが英語で来た。 「私はパリにいる銀行家です。 たまたま、何年か前に死亡した外国人の請求のないいくつかのファンドを知ることになりました。 彼は、親戚はありません。 金額の合計は、1100万USドルです。 このファンドはまだ、請求はないので、私は貴方を遠い親戚として提供したいと思います。 もう、6年以上たちますが、誰も請求してきていません。 ファンドはこの外国人が死亡する前は、石油商人であることからして、合法的なものです。 私は銀行に勤務しているので、必要な書類の作成について貴方の力になれます。 申し込みだけしてください。私の取り分を半分として、貴方は半分の金額を取得できます。 ファンドは貴方に送られるので、私の半額とともに、私は貴方が100パーセント信用できることが必要です。 私は貴方を信用できますか? すべては最高の秘密のうちに行われなくてはなりません。誰も介入させてはなりません。 第三者の介入も不要です。100パーセントの信頼です。 分からないことがあったなら、私の個人メールに問い合わせてください。 そうすれば、すぐに手続きを開始します。 すべての手続きは、3、4日で終わります。 私はフランス語を第一言語として使っているので、英語の間違いがあったらご容赦ください。 貴方のよいご返事を待っています。」 確かに、英語は得意でないらしく、主語のiは、小文字だったね。A氏:ウイースルの問題はなかったの?私:通常のメールだね。A氏:100パーセントの信頼というけれど、送信者のほうの信頼が問題なのにね。 ある意味で愉快だね。私:また、これも別の話だが、2月には、あるセキュリティの会社と称するところから次のようなメールが来たね。 「われわれは、2月7日から新しいオンラインの支払いシステムがスタートすることを貴方にお知らせすることを喜びに思います。 システム名称は○○です。 これはナショナル都市安全局の最近のプロジェクトの1つです。 これは安全な装置でオンラインの送金を実施するためのオンラインアクセスコードを発生するものです。 この装置を入手するには、申込用紙に登録して記入することが必要です。 申込用紙に記入すると、その住所に2週間以内に、この装置が送られます。 このシステムは効果的だけでなく、すべて無料です。 注意してください。 もし、申込用紙の記入が72時間以内に行わなければ、アクセスは一時的に安全のためにブロックされます。 したがって、登録を速やかに行われることを薦めます。 登録は下の下線部分をクリックして指示にしたがってください。 記入は2、3分で終わります。」A氏:下線部分とは何かね?私:クリックはしなかったが、アドレス番号からしてホームページだよ。 おそらく、クリックしたら申込用紙の様式が出るんだろうね。 そして、個人情報の漏洩となる。 詐欺に使われることは明らかだね。
2007.03.25
コメント(1)
私:前に官舎が土地の高い国会の近くにないと不便だという理由に、国会答弁資料作成のためだということを言っていたが、変なことを言うなと思っていたんだよ。 資料作成のため徹夜することもあるからだという。 早めに議員が質問を用意すればいいことではないのではないか。 なんでマスコミも疑問を持たないのかと思っていた。 だから、日本のホワイトカラーの生産性は低いんだね。 民間なら、当然、ムダなコストダウンのため、そうしているね。 もっとも、民間でも社長や上司のわがままから、徹夜で資料を作る会社もあるそうだね。 そういう会社は大抵残業代ゼロだからイージーな人の使い方をしているんだろうがね。 そうしたら、今週の日経ビジネス(3月26日号)の「終わらない話」欄で伊藤忠商事丹羽会長が、ズバリ、この問題を指摘していて痛快だったね。A氏:俺も君言われて読んだが、考えてみればおかしいね。 国会での一人の質問者に対して、待機している官僚はなんと2000人だという。 英国では前々日まで質問の骨子を通告するのがルールであり、前日に、官僚が徹夜するというバカなことはないという。私:だから、それは英国の話だと思っていたら、日本でも同じルールがあるという。 守らないだけだという。 日本の議員様は「御偉い」のだね。 官僚を奴隷のようにこき使うのに快感を覚えるのかね。A氏:大体、北朝鮮からミサイルが飛んでくるというなら前日に質問内容が決るが、通常の質問は、前日でなく、十分に事前に計画できるはずだよ。 計画性がなく、思いつきで質問するのは議員の本業怠慢だよ。私:議員が怠慢な活動をしているために、これを支えるために膨大な官僚の残業コスト、官舎コスト、官僚のやる気の消失コストをかけていることになる。 マスコミも、そのコスト計算をしてムダの追及をしていないようだね。 みのもんたのTBSの「朝ズバッ!」で追及してもらいたいテーマだね。 2日前に質問骨子を出さない議員は誰か、何故かとかね。 今まで放置していたのはマスコミの怠慢でもあるね。 なにか、都合の悪いことでもあるのかね。A氏:丹羽氏はそういう怠慢な議員は公務員改革を主張する資格はないとしているね。私:そうだね。 まず、なんでも「隗より初めよ」だよ。 竹中平蔵氏は、「大事は些事に宿る」と言っているね。 口先だけではダメだよ。 第一、日本では公務員改革というが、民間のほうがリストラなどで先行している。 サッチャーの市場原理の展開は官庁から始めたイギリスとは逆だね。 ホワイトカラーのムダは、大抵、上の人の思い付きからきていることが多い。 ホワイトカラー・エグゼンプションだって、このように、議員の怠慢によるムダをなくすことからテスト実施すべきだよ。
2007.03.24
コメント(4)
私:朝日新聞の夕刊の一面の左側に「ニッポン人脈記」という連載があるね。 今は、「安倍政権の空気」というシリーズで一昨日の20日はその12回目だったね。 この日の記事は豊臣秀吉の軍師・竹中半兵衛にもじって小泉純一郎には竹中平蔵がいたという記事でスタートして、その関連の人脈を上げているね。A氏:竹中人脈は、国際基督教大教授八代尚宏氏、産業再生機構の富山和彦氏、慶応大学教授の跡田直澄氏、北大教授の宮脇淳氏、政策研究大学院大教授の大田弘子氏などだね。私:矢代氏はホワイトカラー・エグゼンプションの提案者で、徹底した市場原理主義者だね。 今月の文藝春秋4月号でも「闘論 格差社会の犯人は誰だ」で森永卓郎氏と激論を戦わしているね。 これを読むと氏はまさに典型的な市場原理主義者だね。 大田弘子氏は、今、経済財政担当大臣となっている。A氏:しかし、20日のこの欄の記事のタイトルは「危うし、軍師の置き土産」としているように、竹中氏は自分の置き土産が次第に危なくなっていることを懸念しているようだね。 最近は、大田大臣の批判を公然としているという。私:ホワイトカラー・エグゼンプションも宙に浮いた。 竹中氏が総務相のときに推薦していた宮脇氏の委員会人事が差し替えられた。A氏:安倍カラーが強く打ち出されるとともに、小泉カラーは薄まるようだね。私:興味あるのは朝刊の連載との関連だね。 朝刊の一面左の連載欄は、今週から新連載の「分裂にっぽん」だが、最初は「海外からの警告」として、市場主義で格差拡大などの問題を起こしている海外の状況を実に詳細に報じている。 21日のこの欄の記事は「新自由主義の先行国が次々に立ち止まる。 周回遅れで進める日本に潮目の変化はあるのか」で終わっている。A氏:なるほど、竹中平蔵氏が進めた日本の市場主義は、危なくなっているという夕刊の記事。 それと、世界の市場原理主義が立ち止まり出したという記事は、注意してリンクさせると密接な関係にあるね。私:おそらく、日本の潮目は今年、7月の参議院選挙かもしれないね。 周回遅れの市場原理主義のマラソンランナーとして進むか、それとも立ち止まって第三の道をさぐるか。 それで日本の今後、二、三十年の「国のかたち」は決るかもね。
2007.03.22
コメント(0)
A氏:このところ、連続して各地の原発のデータ改ざんやトラブル隠しが報じられているね。私:こういうときに、いつも話題になるのがハインリッヒの法則だね。A氏:災害で、重大災害を1とすると、軽傷の事故が29、そして無傷災害は300になるというもので、これをもとに「1件の重大災害(死亡・重傷)が発生する背景に、29件の軽傷事故と300件のヒヤリ・ハットがある」という法則だね。私:この法則は、災害予防に応用される。 重大事故を防止するためには、ヒヤリ・ハットの段階でつぶせということになるんだね。 病院でも、医療事故を防止するため、第一線の看護師のヒヤリ・ハッとの情報収集を重要視する。 大阪の八尾病院は1997年からハット・ヒヤリ報告書をスタートして一時テレビでもとりあげられたね。 驚いたことに、今度の原発のデータ改ざんやトラブル隠しのニュースには、原子力委員会にはそういう基礎的な発想がないみたいだね。A氏:大きな事故しか中央に報告されない仕組みだね。 各原子力発電所のヒヤリ・ハット情報を集め、これを各発電所に流せば、予防につながるはずだがね。 病院よりはるかにリスクの大きい原子力発電所の安全管理にハインリッヒの法則の積極的な応用がないとはね。私:昨日の朝刊を見ると原子力委員会はやっと事故情報の共有化を原子力白書にまとめ、閣議に報告したとあるね。 それから、もう一つ重要な問題がある。 人間は通常は悪いことは隠す。 自分にとって良いニュースは流す。 それではトラブルが根本的になくならない。 だから、トヨタは不良品発生を予防するには、「悪いニュースを優先する」という発想が社員に根付いていることが必要だとして、訓練したり、システム化したりする。 トヨタがアメリカでトヨタ生産システムをアメリカ人に教えるときに、まず、「Bad news first 悪いニュースを優先」を徹底して訓練するという。 悪いことは隠さない、オープンにしたらほめる。A氏:ヒヤリ・ハットを成功裡に導入するには、根底にそのような考えが徹底化されていることが必要だね。 ミスしても怒ってはいけない。私:原子力のトラブル隠しの原因には、周囲がトラブルに異常に神経質になっている背景があるかもしれないね。A氏:原子力に反対や賛成する人でも、うるさい人達は、ちょっと、トラブルと大きく騒ぐ。 これも一因かもしれないね。 ちょっとしたことで騒がれると、原子力を扱う人達は、コンプレックスをもつようになり、隠すようなムードになって、結果的にはかえって住民にも悪い方向に行く。 もっと、オープンな雰囲気なら平気で「悪いニュースを優先する」というムードになり、かえってより安全になるかもしれないね。私:そういう「悪いニュースを優先する」というムードにならないかぎり、また、データ改ざんやトラブル隠しは再発し、大きな事故になる要因をはらんでいることになる恐れがあるね。A氏:八尾病院のホームページを見たら、次のような記事があったね。 責任の重大さ,プロに失敗はないとのプライド。 失敗を認めたくない意識等のために,状況を正確に捉え,生じた突発事故から患者さんへの被害を最小となるように行なわねばならない状況にありながら,患者さんが抱えている病気だけに向かう医療を日頃から行う習慣が根付いていると,隠したり,嘘を言ったり,報告し,説明するのが遅くなる。 患者と同じ側に立ち,患者の闘病をとともに戦い,援助する医療が毎日行えていると,緊急事故発生の報告と,最も良い治療を、責任を持って行える人への連絡を含めて,組織的な緊急事態への対応がスムースになされやすい。 隠す,うそを言うなどの間違った行為をなすことは少なくなるだろう。 私:こういうムードを原子力の安全について、どのように作り出すかだね。 それも原子力委員会で提言してもらいたいね。 そう言えば、昨日の新聞では、別の記事だが幼児のシュレッダーによる指切断事故の対応の遅れを反省して、「あなたの身の回りの『ヒヤリ・ハット情報』を集めます」と内閣府がデータバンクを創設することをきめたそうだね。 安全管理では基本的なことだが、遅ればせながら、基本に戻ったね。 原子力のほうはどうなるかね。
2007.03.21
コメント(4)
私:ホリエモンが実刑判決を受けた日の夜にTBSかなんかのインタビューがあったそうだ。 しかし、俺は、一応、18日・日曜日のサンディプロジェクトのほうを録画しておいたよ。 当日もちらちら見ていたが、今日、じっくり見た。 が、どうも疑問が湧いてきて、ピンと来ない。 松岡農林大臣の事務所費の答弁を聞いているようで、事実がますますわからない薄気味悪さが残ったね。A氏:俺は録画をしなかったがじっくり見たよ。 俺もなんだか、しっくりこなかったね。 新しい疑問が湧くばかり。 第一、検察はホリエモンが主役で計画的に粉飾決算をしたというが、判決は主役は宮内になっている。 ホリエモンはそれを知っていたはずだという共同罪だね。 ガラッと検察のストーリーが変わっている。 あれだけイー・メールを確保したのに、ホリエモンが明らかに知っていたという客観的な事実がないのかね?私:こないだの宮崎かどこかの十何人のか選挙違反の無罪事件のような自白だけの証拠みたいな感じだね。 それに、同時に大粉飾をしたコーディアル証券の上場廃止がなくなり、処罰も軽い罰金程度ですんだ。 これとの比較で、ホリエモンの処罰はフェアでないという疑問が湧いているね。 これは、おかしいな、何か裏があるのではないかという疑いが当然湧くね。A氏:主任弁護士も画面で参加していたが、検察は宮内がダミーファンドを計画的につくり、粉飾したというが、当時の会計基準では違法でないという。私:裁判官はダミーファンドと言わず、脱法行為を目的として作ったファンドだといっているそうだが、宮内氏も当時は脱法行為とは思っていなかったという。 熊谷氏は現在も脱法行為と思っておらず、二人の公認会計士も脱法でなという。A氏:それにもかかわらず、宮内氏が罪を認めたのは、検察との司法取引があったのではという。 というのは、宮内氏は、すでに自殺か他殺かわからないが死んだ野口氏とともに背任行為をしており、検察はこれをチャラにするから、粉飾はホリエモンが主役で計画した違法行為として認めて証言せよとなったという推測ができるね。私:今回の問題は、ホリエモンはどうも蚊帳の外だし、熊谷氏も蚊帳の境をウロウロしている程度だったらように思うね。 これは橘玲氏が「マネーロンダリング入門」で、ライブドアの金の流れは複雑なようで、個々の流れは単純で違法性は少ない。 だから、検察はマネーロンダリングでなく粉飾決算にもっていった。 この複雑な金の動きは宮内氏が中心でやったようで、ホリエモンは宮内氏の差し出す書類を読みもせず、サインだけしていた。。 ホリエモンは、創業時はともかく、最後は事業に対する興味をほとんど失っていたようだと述べたのが事実のようだねA氏:株主に迷惑をかけたというが、コメンティターの高野氏の言うように、日興コーディアル証券同様、金融庁の注意程度で進めていたら、株価低下の大騒動にならなかっただろうね。 検察も金曜日に捜査開始しないで、週明けに捜査開始したから投資家も打つ手が遅れたようだね。 何かわざわざ株価をさげるように動いた感じだね。 それに株主の被害というが、日本にはアメリカと違い、証券詐欺法がないので法的な被害者がないし、投資者の保護というのも、生身の被害者と違い抽象的な概念だという。私:検察も日興コーディアル問題をホリエモンのようにハードランニングをすると、株価の混乱が桁違いに大きいし、それで今回はソフトランディングしたんだろうという。 検察も金融庁もホリエモン事件の騒動で学んだだろね。A氏:しかし、日興コーディアルは1年以上前から問題がわかっていたのに、検察も入らないし、金融庁も介入しないで来た。 コメンティターの財部氏は、日興コーディアルの常務が成蹊大学出で、安倍首相と同じ大学出であるのと関係があるのではないかという。 1年ほどの間に官邸に大いに働きかけたのではないかというね。私:このへんは深い暗闇部分だね。A氏:それにしても、裁判官はホリエモンに反省の色がないということをすごく問題にしていたというが、無罪を主張しているホリエモンが反省するのは矛盾だね。私:しかし、経営者として彼を見ると、若くして大金を手にしたが、真に事業を助け合う同志を手にすることに失敗したね。 宮内、野口という重要な幹部に裏切られる。 急成長したから、内部管理がおいつかない。 どうしても放任になる。A氏:彼は40才になって十分金を稼いだら、仕事をやめるというようなことを言っていたようだ。 今回の騒動がなくても、経営はそう長続きしなかったのではないかと思うね。 まさに、虚業だったと思うね。私:小泉・竹中旋風に乗って自由に駆け回り、先輩のエスタブリシュメントを嘲笑し、あっという間に大金を儲け、最後にエスタブリッシュメントの壊滅的な反撃を受けたという波乱の一幕かね。
2007.03.20
コメント(2)
A氏:事故が起きたのが13日午前。 原因がボルトの脱落だったと発表したのが14日夜。 ところが、14日昼には全日空グループの同型機は、作動確認だけで運行を再開したという。 だが、原因がわかったので14日夜から15日朝にかけ、日本航空も含めボルト部分の点検を行い、全機ボルトに問題はなかったという。 なんで、14日の夜の原因を待ってから、ボルトを確認をしないで14日昼に飛行開始したのか。 これが問題だね。私:新聞報道によると「機体に根本的な欠陥が見つかったわけでなく、点検で安全が確保できれば問題ない」ということだそうだ。 しかし、後から、わかった原因では、ボルト脱落だから、格納扉を開け、ボルトのカバー部分を外して点検しないと、安全は確保できなかったわけだ。 おかしな言い訳だね。 取材側もその点の突込み記事がないね。A氏:ボルト部分の定期点検は4千飛行時間ごとの目視点検にルール上はなっているというが、事故機は3千時間程度だから、点検はまだしていなかったという。 冬柴国土交通相は、この点検の4千時間が長すぎると考えたのか、4百時間に短縮すべきとする考えを表明したという。私:日本の高度成長を支えた品質管理は、点検で品質を保証しようとしなかったがね。 なんで、こんな重要な箇所のボルト脱落や部品破損があったかが重要問題だね。A氏:それになんで4百時間が出たのか、科学的根拠が必要だね。 原因によっては399飛行時間でボルトが外れるかもしれないからね。 定期点検で発見する異常ではないと思うね。 根本対策になっていない。私:異常が出たら、即、分かるシステムが必要だね。A氏:この格納扉の開閉機構がどういう異常検知になっているかが問題だね。 緊急処理も働かない機構であったようだね。私:設計上の問題までさかのぼるべきではないかね。 今朝の新聞は北海道電力の原発事故隠しで一色で、こっちの胴体着陸事故は忘れられそうだが、そういう観点からの報道を今後期待したいね。 それは原発事故隠しの報道がまた同じレベルになることを恐れるからだよ。
2007.03.16
コメント(0)
私:最近の新聞記事を読むと、なんだか、ポイントがまったく分からないね。 新聞の取材レベルが問題なのか、社会が問題なのか分からないが、本当のことがピンとこないね。A氏:例えば? 私:例の死刑囚の判決が2対1で決り、その反対1の判事が何十年もたった今、無罪を言い出す。 多数決で決るのが民主主義なら、多数決の本質的な問題ではないのかね。 この3人の議論の場が分からない。 公開するなら、その議論も公開すべきだね。 それとも墓場まで持っていくルールになっているのかね。 それがピンとこないね。 かって、薬害エイズ問題で、例の安倍ワンマン教授の議論の場が録音されていたが、謙虚な科学者の議論の場でなく、権力の場だったね。 同じように多数決で気になったのは、自民党の衛藤氏の復党だ。A氏:異例の投票で10対7で復党が決ったという。 危ないところだったね。 阿部首相としては憂慮すべき状態なのに「多数決ではっきり決ってよかったですね」とコメントする有様。私:その前日に安倍首相は「誰も復党に反対する人はいません。 誰がいます? いないでしょう?」と言っていたんだがね。 7人反対する人がいたじゃないかね。 開いた口がふさがらなかったね。A氏:松岡農水省と同じだね。 従軍慰安婦も問題になってきたね。私:これもよくわからないね。 大体、何で今頃、アメリカでまた騒ぐのかね。 なんか、裏があるようだが、その解説がないのでピンとこない。 狭義の強制とかいう言葉を発明しているようだが、これは軍や政府の直接のシステムとしてやったのか、個人レベルでやったのかの違いではないの。 当時は従軍慰安婦と言う言葉はなかったというからね。 日本でも朝日新聞と産経新聞では言うことがまったく違うね。 太平洋戦争で負けたとき、占領軍がくると女性は強姦されるだろうと予測して、その対策として占領軍の「慰安施設」を作るね。 大蔵省は金を出すが表に出ないで業者にまかせた。 このとき、後に総理大臣になる当時大蔵若手官僚の池田勇人は「一億円で純潔が守れるなら安いものだ」と言ったというね。A氏:今、新聞では例の西武のスカウトの裏金が問題になっているね。私:これも、そもそも、誰が言い出して自由枠を社会人と大学生に設けたのかだよ。 そうすれば、裏金が出ることは予測されたはずだよ。 ところが重い罰則がない。 大の男がその心理を読んで処罰の対応を考えず自由枠を設定した根拠は別にあるはずだね。 それが報じられていないからピンとこないんだ。A氏:そういえば、田中康夫前長野知事が警察から事情聴取を受けたというニュースが朝日新聞に載ったが、あれは後でデマだったんだね。 日曜のサンディプロジェクトに田中氏が出席して、彼の説明で初めて知ったよ。私:俺もあのTVで知ったよ。 地方紙はウソだったことを報じているが、事情聴取を受けたというニュースを大きく報じた朝日新聞にはなかったようだね。 松岡農水相同様、黙殺かね。 読売新聞も黙殺らしいね。 なんで黙殺したのかピンと来ないね。A氏:それにだいたい、田中氏に対する事情聴取を大きく取り上げたのは何故かね。 本音は都知事選がらみなのかね。 それに何故、長野県庁の部長がそんなウソをつき、今頃、なんで真実を自白したのかね。私:胴体着陸機の前輪扉ボルト脱落も、何故、脱落したかは今後の追及だが、他のメーカーの航空機は同じ構造なのかのニュースがないね。 この航空機の設計上、どういう考え方なのか知りたいところだね。 どうも、いろいろ、こちらの知的関心が満足できない報道が多いね。 もっと、ジャーナリズムがフェアな深い追及をしてもらいたいね。
2007.03.15
コメント(0)
私:松岡農水相の事務所の光熱費問題が出たとき、やっぱりと思ったね。 この人が農水相に任命されたときから、何か不吉な感じがしていたんがね。A氏:ベテランの農水族だけに従来から業界との癒着を疑われていたからね。 俺も金のことが出るとやばいのではと思っていたんだがね。 安倍さんはなんでこの人を選んだのかと思ったけれどもね。私:それに気になったのは衆議院の予算委員会での亀井静香氏の長演説だ。 この演説の中で、「実務能力中心の組閣であるので、ベテランの松岡大臣もしっかりやってくれ」というようなことを言っていたことなんだね。 何で、松岡大臣だけ、名指しで激励したのか。 皮肉で言ったのかね。 もう、すでに、事務所費用の問題で多田大臣は辞めたあとだからね。 亀井氏は何かを知っていたのかね。A氏:君のいうように、この長演説で、亀井氏は、大分の自民党復党問題を公明党の介入があったと意地悪く質問をしていた。 直後、急に安倍首相が、亀井氏が指摘した大分の衛藤議員の復党を公明党に遠慮せず、強引に押し切ったからね。私:それに俺は、今週、月曜日に、参院予算委員会のNHKの国会中継を途中から見たんだが、偶然、野党がこの光熱費問題で松岡大臣に質問していた場面が出たんだね。A氏:例の浄水器問題のはなしだね。私:大臣は浄水器とははっきり言っておらず、「なんとか還元水とか」というような説明だったね。 そして、野党議員がさらに追及すると「こんな細かい議論で時間をつぶすより、もっと天下国家を論ずるべきだ」というようなことを言ってけつをまくった感じだね。 窮鼠ネコを噛むという感じかね。 しかし、竹中元大臣のいうように、「大事は些事に宿る」とも言えるね。 他の経費も疑われることになりかねない。A氏:質問する野党ももうゴマカシであることを知っている。 そして、松岡氏も合理的な逃げようがない。 言い訳を言うほど、ウソにウソを重ねることになる。 今朝の朝日新聞では朝日の記者が事務所を見ているが、浄水器も見当たらなかったという。 議員会館の部屋は狭いらしいから、すぐわかるらしいね。私:それに浄水器や加湿器は光熱費でなく備品費だね。 いずれにせよ、光熱費ゼロなのに、ここ数年、毎年数百万円の光熱費を計上しているが、新聞では、議員会館だけを事務所にしているのに光熱費を計上しているのは松岡議員だけだという。A氏:柳沢大臣のように徹底的にあやまったらどうかね。私:最初から事務員の経費計上ミスならそれであやまることもできるが、月曜日の国会で「自分も確認して報告している」と言い切って答弁しているので、ウソの上塗りになってしまうね。 あやまっても、金の行く方が又、問題になる。 たちの悪い問題になってきたね。 落としどころはどこにするのかね。
2007.03.08
コメント(0)
私:昨日のNHKの国会中継を途中から見たよ。 予算委員会だね。 3時頃からだから民主党の質問の後半になっていた。 討議された問題はTVニュースや新聞でも分かるが、生放送の場合は、ノーカットだから、細かいやりとりも見られるのがよいね。 実際、今日の朝刊では、予算委員会の記事はなかったね。A氏:俺も午後は時間が空いていたので見たよ。私:格差問題は、安部首相が「格差があるのは自然」「格差に問題があるとすれば」といろいろ言いぬけてきた。 これに対して、民主党は、なんとか、「格差問題がある」と言わせたい。 だから、民主党議員から「この数ヶ月、安部首相の格差問題に対する表現が微妙に変わってきている」ということを細かく突き、2、3回、しつこく、質問があったね。 安部首相は逃げるが、そのたびにいろいろな非論理的な言葉が出る。 ついに「是正すべき格差」という新語が出たね。 小泉さんのように逃げ切れなかった。 これは民主党議員のほうに軍配が上がった感じだね。 「首相のいう『是正すべき格差』というのは、民主党のいう格差問題の内容と同じである」として、この問題を締め切ったね。 しかし、こんな抽象論議で安部内閣は貧困で苦しんでいる人々への対策を半年も遅らせてきたと、痛烈な皮肉を言っていた。 格差問題は安部さんが一本取られた感じ。A氏:別の問題で、安部首相が予算はつかないとしたことについて、民主党議員が「そんなはずがない」として柳沢厚労相に質問をふる。 最初の柳沢厚労相の返事はあいまいなまま、席に帰えった。 そこで、「予算を取るのですか、取らないのですか」という再度の追及で、柳沢氏は席についたまま、頷いた。私:これも安部首相は一本取られた形だね。 俺はそのほうに興味が行ってしまい、何の討議をしていたのか忘れたよ。 たしか、「ジョブカード」の話ではなかったかね?A氏:また、英語か。 「美しい日本」はカタカナ英語に満ちた社会なのかね。 どこからこの英語が出てきたのかね?私:要するに公的に認められた「職業能力証」みたいなものらしい。 ワーキングプアの対策らしいね。 本来の英語は、俺が製造現場にいた頃、アメリカでは日本の「作業指示書」のことをそう言っていたね。 それから、民主党議員が「雇用形態が変わってきたので、経済成長がそのまま、労働者の賃金増に反映していない。本当に、経済成長が底上げになるのか?」と質問した。 首相は「失業率が良くなった」とか「求人倍率が1を超えている」のは、経済成長のせいだということを言っていて、「もうけを配分し賃金が向上した」とはいっていなかったね。A氏:これも後で「私は経済成長が労働賃金を『直接的』に向上したと言っていません」という準備かね。私:アメリカでは10年来の1998年に最大のリストラがあったのに、失業率が減少していない。 それはパートなどの労働が増加して、雇用構造が大きく変化したからで、日本も同じだね。 求人率も正社員と非正社員と分けて比較しないと、格差が拡大しているから、データも今までと読み方が変わってくる。 この後かどうかはよくわからないが、甘利通商産業大臣が財界トップ100人くらいを集め、派遣社員の正社員化を要請している。 この中には例の偽装請負のキャノン会長の御手洗会長もいた。 氏は「偽装請負は犯すほうが悪いのでなく、法令がよくない」と言っていくくらいだから、素直に政府要求に従うのかね。 しかし、この会議をやったというのは、史上最高の大手企業の利益が労働者に回っていない、すなわち、経済が向上しても、低い賃金の底上げになっていないことを安部首相が気にしている証拠だね。 A氏:ここ2、3日、大分の郵政造反落選議員の復党を安部総理は、幹事長の反対を説得し、かなり強引に決定したね。 旧知の人らしいね。私:この理由はいろいろ各マスコミで書いているが、俺は先週の予算委員会での亀井静香氏の追及がきいたのではと思うね。A氏:どういう追及?私:亀井静香氏は大分の議員の自民党復党問題は公明党からの介入があってやめており、天下の政党が他党の介入を許していると質問した。 首相は「そのようなことはない」と答え、閣僚席にいた冬柴国交大臣が「私はたまたま閣僚席にいるが、公明党員でもあるので、そのようなことはないということを言いたい」と答弁していたね。 俺はよく事情を知らないので、気にもとめないで聞いていたが、今週になって驚いた。 なるほど、こういう裏があって、復党問題も次の参議院選挙をにらんでの戦略だなと分かった。A氏:テレビでは大分の公明党県連の長が、大分の自民党の県連の長を訪れ、復党を撤回するように安部総理に言ってもらいたいと申し込んでいるシーンがあったね。 予算委員会での冬柴氏のメンツ丸つぶれだね。 だいたい、復党問題は首相了解の上で、昨年末には決着がついていたんだろう?私:亀井氏の批判に内心ではかちんときたんではないの? 首相のでんぐり返したね。 首相の言い方はゆれているようだが、案外、内心は勝気で、裏ではいろいろ手を打ってはいるようだね。 参議院選挙前に安部カラーを鮮明に出せるか、これからが本命からかもね。
2007.03.02
コメント(2)
私:ILO(国際労働機関)が1969年にノーベル平和賞を受賞した。 それを記念して隔年に記念講演を行うことになった。 2003年にはドーア氏が、「ますますグローバル化する世界における労働の新しい形、新しい意味」と題して記念講演をした。 この本はその訳である。 2005年の出版で、新刊ではないから、図書館で借りた。 新書版だが、奥の深い本だね。 有名な経済学者ケインズは、1930年、「われわれの孫たちにとっての経済的可能性」という論文を書いている。 その中で彼は「百年後には技術進歩などで、われわれは週15時間程度だけ働くようになっており、暇つぶしに大変だ」と予言したという。 この予言はだから、格差も拡大しないと考えていることになるね。 氏は1946年に63才で没している。 氏が予言した百年後は2030年だが、ドーア氏は、現状は予言と逆の傾向を示しており、2030年になってもケインズの予言は当たらないだろうという。A氏:週15時間だと週5日制として、毎日3時間だから、いわゆる半ドンで仕事は終わりという予言になるね。 何故、ケインズの予言は当たらなかったのだろうか。私:人間の競争本能だというね。 アメリカ人のように消費がどんどん進んでそのために働く。 一方で、企業は利益競争、国家間は経済成長競争に勝つために労働強化をする。 労働の質もIT化などで家庭と仕事場の境をなくす変化がある。 それが急速な環境破壊へとつながっているのは皮肉だね。 興味があるのは、先進国の多くの労働時間が、1980年台から増加傾向になってきたことだね。A氏:アメリカではレーガン大統領、イギリスではサッチャー首相が政権についたときだね。 市場原理主義の徹底化だね。私:著者は、その観点から、小泉内閣は「改善」を思わせる「改革」でなく「変化」あるいは「変革」のほうが正確だと言う。 そして、「マラソン的歴史観」をということを言う。A氏:「マラソン的歴史観」?私:先頭を走る選手が必ずいるのと同様に、ある国は先進国として走り、ある国は遅れているが、すべての国は同じ歴史的コースを走っているという比喩だね。 だから、著者は、現在、日本で起こっていることの多くは、アングロ・サクソン経済で20年前に起こったことの繰返しに過ぎないという。 市場原理主義者に言わせると日本はノロマなマラソン選手ということになるね。A氏:イギリスはサッチャーで息を吹き返したのではないの?私:この本で知って驚いたのだが、サッチャーの市場原理の導入は、民間よりもまず、官庁に徹底して導入したことだね。 それから、民間だね。 これは日本と全く違うね。 日本はお役人は別天国だね。A氏:いずれにせよ、皆、マラソンをするのだろうかね。私:著者は、これとは別に「公平」という人間の価値観がどう変化するかを扱っているね。 労働者保護と社会保障の混合は、1960年代、1970年代初頭の先進国では当然な体制としてのコンセンサスがあった。 しかし、30年間に及ぶ議論の末、「自助自立」「自己責任」「依存排撃」「選択の自由」「結果の平等でなく機会の平等」「自主性」「企業心」という考えとなり、労働者保護立法の必要性が根本的に否定されてきているね。 経営者側でも、従来からあった倫理的な自己規制が消滅してきた。A氏:強欲の無秩序状態になるのかね。私:しかし、市場個人主義の見直しは、環境を含め、ヨーロッパがアメリカとは違った考えを持っているね。 「マラソン的歴史観」からの脱却だね。 日本はさらにアメリカのマラソン選手を追いかけていくのだろうか。 経済成長に熱中している世界が待っている先は、急速に進む地球環境の悪化だね。 この本は労働問題を日本の例をあげながら、幅広く展開している好著だね。ただ、日本人の伝統的に持っている「勤勉を徳とする」という独特の勤労観と地球環境問題の関連にももっとふれてほしかったね。
2007.02.25
コメント(2)
私:この本は、昨日に続き、アメリカ人の雇用市場の変化の知的街道の本だね。 1990年代半ばから、著者がアメリカのホワイトカラーの仕事が大きく変化してきたのを実際に、多くの男女のホワイトカラーのインタビューを4年にわたり行い、実態を明らかにしたものだね。 当時、この本は最初、経済の好況にかくれていたが、2000年になってITバブルがはじけてから、有名になったらしいね。A氏:この本は俺も読んだが、大手企業の実名が出ていて、迫力があるね。 アメリカ経済が好況だった90年代に、すでに仕事がきつくなり、給料や手当てが下がり、休暇が減りという状態になってきた。 労働時間が延びてきたね。 一方、役員や大手投資家は莫大な利益を得ているという状態となる。私:ホワイトカラーは、家にパソコンがあり、携帯電話があれば、仕事ができるようになったから、仕事と私生活の境目がなくなってきた。 家に帰っても家族とゆっくり過ごす時間も減る。 この点、機械などを扱うブルーカラーと違って、家でも仕事ができるから、仕事がきつくなるね。A氏:大手企業でも、就業規則を変えて有給休暇を短くするようになる。 今まで、週末の休暇は遠出をしたが、次第に日帰りで出かけるようになる。 昼休みも今までレストランでゆっくり食事したのが、ファーストフッドでサンドウイッチで早く済ます。私:今まで、活発だった地域社会の活動への参加も減る。 一方、職場は個人間の競争でギスギスしてくる。 会社の合併がウワサされると、誰がクビになるかとおびえる。 会社には忠誠心がなくなる。 著者は、この行き過ぎた市場原理主義は、逆に会社の体質を弱くすると批判的だね。A氏:著者は、1980年代から1990年代にかけて、ホワイトカラー「搾取職場」的手法がまたたく間に広がった一つの理由は、大手の企業経営者が彼ら自身の仕事に多くの時間を注いでおり、彼らの従業員が同じようにしても不都合なことはないと考えたからだという。 外国の競争相手や電子商取引ベンチャーからの市場の脅威などのような新たな企業の挑戦があったときに、それへの対処策として実行可能なのは一つしかないと思われた。 より懸命に、より長く働くことである。 利益は時間に比例すると彼らは考えたというね。A氏:その点は、日本の企業戦士の長時間労働が先輩だね。 著者は時間短縮で逆に成功した企業例を具体名であげているが、まだ、少数だと言う。私:日本では、このアメリカの後を追うように、ホワイトカラーには成果主義などのアメリカ方式がとりいれられ、ついにホワイトカラー・エグゼンプション制というアメリカの雇用システムがまたまた導入されようとしているね。 この本の十年くらい前のアメリカの事例を読んでいると、今の日本のオフィスが抱え出したサラリーマンの生活とだぶる。 見事にアメリカ型の後を追っているね。A氏:ところで、朝日新聞社の月刊誌「論座」1月号は「現代の貧困」を特集しているが、コンビニで週3日働く31才のフリーターの赤木氏が「『丸山真男』をひっぱたきたい」というタイトルで論文を寄稿して問題になっているという。 年収100万円程度というから、親元で暮らしている。 両親が働けなくなれば、生活の保証はない「家族依存型」だ。私:彼は、格差に対する「自己責任」は欺瞞に満ちているとして、「国民全員が苦しみ続ける平等を望み、それは戦争だ」という。 論文の副題は「31歳、フリーター。希望は戦争。」とある。 丸山真男氏は思想犯として逮捕歴があるため、戦争中、陸軍二等兵として従軍させられ、学歴のない一等兵になぐられる。A氏:要するに、階級閉塞を揺るがすものは戦争しかないというわけだね。私:こないだキャノンの派遣社員の人の国会での証言があったが、2,3ヶ月ごとに契約を更新し、昇給もボーナスもない、いつ、解雇されるか分からない。 それで10年くらい働いているらしい。 仕事はかなり重要な仕事らしいがね。 この明日に希望が持てない閉塞感はとんでもない拡がりを見せるかもしれないね。 キャノン会長の御手洗氏が「希望の国」を提唱しているが、自分の会社から示してもらいたいものだね。
2007.02.24
コメント(1)
私:ついに、国会で、キャノンで長い間、偽装請負の扱いを受けて差別されている人の証言があったね。 朝日新聞で熱心に一面で連続取り上げていたのが昨年8月末あたりからだね。 この格差知的街道の小道に約10年前のアメリカの雇用変化に関する街道があるね。 日本は今、アメリカの後を追いかけているからこれからの日本を予測できるね。 この小道街道は、「アメリカの没落」、「超・格差社会 アメリカの真実」、「働きすぎのアメリカ人」と続いたね。 この本は、2000年に発行された本で、1980年代に始まったアメリカの雇用構造の大変化をまとめた専門書だね。A氏:2000年の春に小渕総理が急逝するが、その頃、アメリカは好景気なのに、一方、小渕内閣は経済の停滞に悩んでいた。私:そこで、労働規制の緩和など、アメリカのやり方をまねようとしていたね。 その結果が、今になって、日本では非正社員が3人に1人になって騒いでいるが、それはすでにアメリカでは10年ほど前に発生していたことなんだね。 この本を読むとよくわかる。 今の日本のワーキングプアだとか、非正社員、派遣社員の問題、偽装請負など、すでにアメリカでは10年程前には当り前になっていたんだね。 日本はその後を追っていることになる。A氏:アメリカの市場原理主義による経済回復の影の部分だね。私:1998年にはアメリカは過去10年で最大のリストラをしているが、失業率は減少していない。 アメリカの失業率は1週間のうちに1時間でも働くと失業者とみなされないという。A氏:それじゃ、リストラで人が余っても、チョコチョコとパートで仕事ができる雇用形態に変わっていると、失業率は実態を示していないことになるね。私:例えば、この本でスティーブの例をあげている。 彼は、週給千ドルで20年働いていた銀行マンだ。 三度の企業合併で生き延びたが、家族休暇から戻ると突然リストラされた。 その後、ガソリンスタンドの給油係や、新薬実験のモルモットや、セールスマンの代行運転などを経て、現在、51才で旅行案内業になるが、月千ドルで以前の4分の1になる。 また、重役でもうかうかしていれらない。 ゼロックスの財務担当重役のアーサーは、年収20万ドルだったが、彼の部門は閉鎖され、彼はリストラされる。 2年間、正規雇用の職がなく、ある時期には3つのパートタイム仕事をこなした。 配車サービスの運転手、百貨店のカメラ販売店員、食品会社の信用調査担当で労働時間は週80時間となる、等々。A氏:アメリカで日本とかなり違うような気がするのが、副業だね。 いわゆるムーンライターだね。私:しかし、これも日本でも増えているようだね。 社会保障水準の引き下げも日米似ているね。 ちょっと日本と異なるのは、労働組合攻撃がアメリカでは激化したことだね。A氏:雇用形態はどう変わったの?私:従来通り、採用や訓練は企業が行うが、籍だけ人材派遣業へ移籍する方法。 次に人材派遣業の増大。 それから個人請負業の増大。 個人請負には、事業主になるのがあるね。 一人社長だ。 リストラされたその日から同じ仕事を以前と違ってくらべものにならないほど安い賃金で個人請負として契約させられた例もあるという。 これらの非正規雇用者は健康保険、企業年金、有給休暇などの付加給付は法令上、強制でないので、労使の交渉できまることになる。A氏:なんだ、日本も似てきているね。私:日本はまだ、労働基準法があるので、厳しい規制がある。 だから、偽装請負などの違法が出るね。 だから、今、経団連では、これらが違法にならないように、もっと規制緩和する要請が出ているね。 派遣社員は3年で正社員になることを希望できるというのも廃止したいという。A氏:だんだん、アメリカ式だね。私:それから、オン・コール・ワーカーというのがあり、企業に氏名は登録されているが、ある期間だけしか雇用されないという。 期間は、短期、有期、非常用といろいろだそうだ。 今年は、労働問題は大きな焦点だから、皆、注意して政治の動きを見る必要があるね。
2007.02.23
コメント(0)
A氏:君の昨日の「製造業崩壊」で若い人の定着率がよくない、2、3年で辞めていくというのがあったね。 その原因に若者が豊かな親世代に依存してあくせく働かない、だから、就職しても定着率がよくないという見方を紹介していたようだね。 ところが、一昨日の朝日新聞の時流自論欄でこれに関連あるテーマをとりあげていたんで知的アンテナにひっかかったんだよ。 ここでは、そういう個人単位・家族単位のミクロレベルを超えた規模で事態は進行していないとして、マクロ的な見方を論じているね。私:君に言われて俺も読んだ。 筆者は東大助教授で教育社会学の専門とのことだ。 今、新規学卒の求人率はよいが「製造崩壊」同様、今後の若年層雇用に楽観していない点は共通しているね。 A氏:労働政策研究・研修機構が都内の18才から29才の若者の労働調査を01年と06年の2時点で比較したデータが示されているね。 それによると、若年正社員の労働時間は増加しているが逆に年収は減少。 非正社員のほうは時間当たり収入は変化なく、年収平均約174万円。私:この年収では、親から独立して家庭は持てない。 だから、アルバイト・パート男性の4人に3人は親元に住み、配偶率は1.5%で正規社員と比較すると大きな差があるという。 少子化の問題の一因がここにもあるね。A氏:正社員になっても厳しい労働が待っているし、そうかといって非正社員になれば、さらに低い賃金と不安定な雇用が続く。私:若者の3人の1人が非正社員である事態があまり大きな社会問題にならないで今も続いているのか。 それを筆者は親世代の依存をあげているね。A氏:これをマクロの視点で見ると、個々の若者が親に依存しているのでなく、経済システムが家族システムの含み資産(親世代の収入、住居など)に依存しているのだとみる。私:これをミクロ的な説明である「若者の甘え」ということで若者の自己責任にすると、マクロの問題が見えないという。 これほどの大量の低賃金労働者が暴動に走らず、社会内で存在するのは、彼らを支える家族というものがあるからだという。A氏:「企業は『家族に依存』」して低賃金労働を安心して使い、利益を出していることになるね。 例えば、キャノンの好業績は50%近いという非正社員の家族に依存しているということかね。 しかし、親世代は過去の高度成長期から蓄えた資産や年金があるが、今後、数十年でこの社会から去る。私:その後に待っているのは、低賃金労働者の群れとなるのかね。 「希望の国」とは、そういう国かね。 そのつけは「製造業崩壊」のように、日本経済の弱体化になるおそれがある。 20日の朝日新聞の一面トップは安部内閣の不支持が逆転したと報じている。 その中で、格差問題で首相の取り組みを評価しないが54%だという。 この数字が、政府の会議ばかりで、具体的な出口が見えない国民の雇用不安を示しているね。 憲法問題よりも大きな国民の関心となってきたようだね。
2007.02.21
コメント(4)
私:著者は、愛知県に住みオーナー企業を対象にした賃金、人事コンサルタントをしているという。 今までの格差知的街道は、学者や研究者の著作や意見をたどってきたが、今回は、現場を多く経験し、かつ、製造業に絞った実態をデータで知ってみたいと思い、この本を図書館で選んだ。 著者は、コンサルタントとして相談相手の多くの企業の実態をデータとして把握し、また、経営者たちとの話を紹介して論じているね。A氏:愛知県は景気がいい県で、有効求人倍率も1.8を超え、恵まれているのではないの?私:その「愛知の製造業」が危機に瀕していると指摘しているね。 原因は、今まで、格差知的街道で繰返し出てきた雇用の不安定が背景にあるようだね。 ただ、有効求人倍率がよいせいか、「仕事が自分に適していないから」と言って安易に転職する例が多いという。 有効十人倍率はいいから転職先はいくらでもある。 ところが、転職すると賃金は低下する。 これを繰り返すと30才代になって年収ダウンとなり、未婚化が進むという。 ワーキングプアの温床となる。A氏:身についた職がなくなるんだね。 「若者はなぜ3年で辞めるのか」という新書が売れているそうだが、事実なんだね。私:「内側から見た富士通『成果主義』の崩壊」の著者の城氏がこの新書を書いているね。 俺は読んでいないが、いろんな書評を見て推察すると、希望を胸に入社しても、待っているのは年功序列賃金体系か、おかしな成果主義の現実にぶつかることになり、幻滅することが原因のようだね。 しかし、親元に同居しているとあまり深刻に考えないのではないの?A氏:しかし、「自分に適した職探し」というのは、そういう教育をしたのが間違いだと養老孟司氏はどこかで書いていたね。 職は、探し当てるものでなく、作り出すものだという。 「自分に適した職探し」でなく、「楽をして稼いで、それなりに生きて行ける金さえあればいい」というだけではないの? だから、3K(汚い、危険、きつい)の仕事は避ける。私:派遣労働法などは、まさに、「雇用の多様化」「労働ビッグバン」という規制緩和で、労働者が自由に職を選べるというメリットが宣伝される。 これによって、労働者のほうも「楽をして稼いで、それなりに生きて行ける金さえあればいい」という職を選択する自由があるというのは皮肉だね。 これでは自己責任でワーキングプアを選んだということになるね。A氏:求人倍率が高いといっても、非正社員の求人倍率が高いのだから、転職するといい職はないだろうね。私:正社員でも定着率が悪いと、製造業は経験が必要だから、品質低下、生産性ダウンとなる。 日本の製造業の基礎をなす中小企業が崩壊していくという。A氏:定着率が悪い原因はなんだろうね?私:著者はその多くの具体的な経験から次のような7つの原因をあげている。 データでは、ほとんどが自己都合退職だという。 1つ目は、親が子どもを甘やかしていること。 それに子どもは30才代になっても親に頼ればとりあえず、今は生きていける。 2つ目は、下請けに値下げを強要する大手メーカー。 値下げしないと中国に仕事を持っていくと脅される。 3つ目は、取引先に無理な要求をする大手小売業。 フェアトレードなどという発想はない。 会社を解散したあるオーナー社長もいるという。 その社員は転職となるが、非正社員、ワーキングプアのルートを走る運命となる。 4つ目は、初代目の泥臭さ、人間臭さをなくした2代目の合理主義社長の冷たさ。 初代は、2代目をアメリカにやり、MBAでも取得させ、その2代目は成果主義、市場原理主義を押し通す。 5つ目は、「何でも法律論でしか考えない愚か者」が幅をきかせる。 ホリエモンや村上ファンドのような法律すれすれの狡猾者が幅をきかせる。 6つ目は、上司の人使いの問題。 ホーソン効果の問題かもしれないね。 7つ目は、詰め込み教育偏重の学校教育。 要するに知識でなく、生き方、考え方の教育が必要だという。A氏:ということは日本社会全体に関わる問題だね。私:7つ目の教育も学校教育だけの問題でなく、親、地域の問題もからんでいるね。 30才代の定着率が悪いというのは、第2次ベビーブームの世代だから、今の段階の世代の子育てが問題なのかね。 デューイの教育論をベースとした戦後民主主義教育の問題かね。
2007.02.20
コメント(0)
私:最近の雇用問題をめぐる知的街道も活発化してきたね。 「働きすぎの時代」、「格差社会:何が問題なのか」、「格差論争に具体案を」、「労働問題 争点の年 年金・最低賃金見直し、恵まれた層も痛みを」、「安部総理前言撤回」とね。 この新書は、昨年10月刊行だから、この中で新しいほうだね。A氏:この知的街道をたどると雇用の労働規制緩和は、その底に弱者として規制で保護される労働者でなく、自己決定できる労働者へというタテマエがあるが、実際は、労使は対等ではないという市場に労働者が規制緩和で放り出された結果となったようだね。 結果は、社会保障が不十分なために、賃金と労働条件のダンピングによるこれらの格差の発生と拡大だ。私:この前の日記で日本の残業時間が世界トップであることにふれたが、このデータは世界17カ国の1987年と2000年の残業状況が示されていて、この本でも引用されている。 2位はどの国か知っているかね?A氏:たしか、アメリカでなくニュージーランドだと思うが---。私:そうだよ。 市場原理主義の本場のアメリカは3位だね。 興味あることに、この本ではニュージーランドの労働ダンピングの経験についてふれている。 1991年までニュージーランドは「アウォード・システム」によって世界でも比類のない良好な雇用と労働条件を労働者に保障していた。 しかし、国際競争力を向上するため、経営者にとって人件費削減にはこのシステムは障害であった。 1991年に雇用契約法が制定され、「アウォード・システム」は否定された。 結果は、労働ダンピングとなり格差の拡大と長時間労働など雇用の質の低下をもたらした。A氏:市民はどうしたのだろうか?私:1990年代後半、ニュージーランドの世論は規制緩和政策を否定する方向に強く流れる。 1999年11月の選挙では「改革」を推進してきた国民党を中心とする連立政権が敗れ、労働党と連合党による連立政権が登場し、これ以上の民営化をやめ、雇用契約法に代わる新しい雇用関係法を成立させ、最低賃金もアップした。A氏:日本は1986年に労働者派遣法が施行されたが、最初は規制が強かったね。 それが1999年に派遣法の規制が緩和されると、一気に労働者派遣への需要が高まり、偽装請負などの違法派遣が拡大し、それとともに賃金と労働条件のダンピング競争が激化する。 ニュージーランドと国情は違うが、構造改革で労働現場と市民生活にもたらされた変化は、日本が10年くらい遅れているが酷似しているね。 ニュージーランドでは、改革に限界を感じた市民の選択がこの流れを変えたわけだね。私:だから、参議院選挙がこわいので、安部総理は格差があると言いたくないのだろうかね。A氏:労働法というのは、憲法が保障する人として、最低、必要な健康、安心などを働く国民に保障するものだね。私:まず、長時間労働は健康によくない。 余暇もなくなるので、人らしい文化的な生活も送れない。 家庭があれば、子どもとの正常な家庭生活を侵害する。 少子化の一因ともなる。 だから、ヨーロッパでは規制があるんだね。A氏:ヨーロッパ型は、規制型だね。 アメリカ型は、規制なし型だね。 日本国民は、今度の選挙でどちらを選ぶのかね。私:人を商品のように市場競争にまかせると、経済だけでなく、国民の市民生活全体に悪影響を与えるね。 じわじわとボディブローのように、国民の生活に効いてくる。 こわいね。 われわれ、教科書に墨を塗った世代としては、日本が「希望ある大東亜共栄圏」「神国日本」と言って、太平洋戦争に次第に突入するときのような大変な社会的な動きを直感するね。 「希望の国」「美しい国」と言っていられないような気がする。
2007.02.19
コメント(0)
私:この本は村上ファンドの活動を村上氏個人の生い立ちからかなり詳細に描いているね。 題名の「トリックスター:trick-ster」とは手品師、ペテン師、詐欺師という意味だから、かなり村上氏には手厳しい本だね。 この本を読むと村上氏は、かなり、法すれすれのグレーゾーンを巧みに利用している感じだね。A氏:村上氏は、小学生のときに華僑だった父親から百万円をもらい、株をやってもうけたそうではないの?私:この本では、村上氏の小学校時代の遊び友達に取材したそうだが、そんなことは感じられなかったという。 当時、人生ゲームがはやっていたので、当然、そんな話は出るはずだというんだね。 それがまったく話にも出ていなかったという。A氏:自己宣伝の作り話かね。私:村上ファンドを作って、株主尊重への日本企業の近代化を促進しようという大義名分はあったと思うが、次第に影で株価をあげるための操作をして、売りぬくということで利益をあげることに集中するようになったようだね。A氏:村上ファンド設立にはオリックスがだいぶ力を貸したのではないの?私:そうだね。 村上氏は、一浪したが東大に入り、その学生時代や通産時代などの人脈から、次第に財界にも人脈ができるね。 そして、オリックスの支援とそういう人脈からの拠出を得てファンドを作る。 例の日銀の福井総裁もそうだね。A氏:福井総裁の儲けをみるとかなり村上ファンドの業績はよかったようだね。私:ちょっと、落ち込んだ時期もあったが、基本的に好調だね。 ほとんどが株を安いときに買って高いときに売るということで大きく儲けていたようだね。A氏:今度、日本放送株のインサイダー取引で逮捕されたようだが、これも株価操作をして高くなると売っているね。私:この本では、かなりの株がホリエモンの時間外取引で売られたのではとしているね。A氏:阪神株を一挙に買ったのはすごかったね。私:これもいろいろな株のルールの網の隙間をうまく使って、休日の多い週をねらって一挙に買い付けているという。A氏:そうすると報告が遅れてもいいようになるから、阪神側で気がついて対応するのが遅くなるというわけか。私:今はこういうことを防止するために報告ルールを変えているというね。 ホリエモンの日本放送株を取得した時間外取引も当時は違法でない、いわゆるグレーゾーンだが、これも改正されたね。A氏:なんだか、金儲け一心で、法の不備をついてすれすれの悪知恵を働かしている感じがするね。 狡猾さを感ずるね。 君の日記で、企業リスクは結果が幸運と世の人々を喜ばそうとする努力で決まる場合、投機リスクは結果が幸運と狡猾さだけで決まる場合とあったが、これを混同してしまったのが現在の金儲けだね。私:朝日新聞の夕刊トップに連載で「ニッポン人脈記」があるが、2月15日から新シリーズで「拝啓 渋沢栄一様」がはじまったね。 冒頭は次のように村上氏のことから始まる。 「村上ファンドの村上氏は逮捕直前、『金もうけ、悪いことですか』と問いかけた。 渋沢栄一ならこう答えだろう。 『悪くはないが、ルールや倫理に背かないこと』 当り前だと、私たちは胸を張っていえるだろうか」A氏:今日の朝日新聞の朝刊でキャノンが派遣・請負の正社員化を後回しにして、新人採用優先の方針に転換し、流れに逆行するものだという記事が載っているね。 キャノンは偽装請負でルールを守らないで利益を出している、村上ファンド型だね。私:キャノンらしいね。 この日の社説ではよい例としてワールドの例をあげて、パート約6千人のうち、5千人ほどを正社員にしたという。 このため、年間22億円のコスト増だが、「一生の仕事として取り組む人材を確保する」という将来をにらんだ戦略だという。 経営姿勢はキャノンも見習うべきだね。 自民党の中川幹事長は「法人税減税のメリットを非正社員の賃金アップに使えないか」と言っているという。私:俺の日記でふれた草野教授の正社員への障害などないではないか。 経営者のやる気だけだろうね。 今朝のTBSの時事放談で民主党の岡田氏が「アメリカは人を選ぶ経営だが、日本は人を育てる経営だ」としているが、どうもそういう経営者の伝統が崩壊しつつあるのかね。 渋沢栄一にもどれるかね。 経営者のほうが教育再生が必要なようだね。
2007.02.18
コメント(0)
私:今週火曜日のNHKTVの衆院予算委員会の中継を見たかったんだが、午後から用事があったんで、録画しておいた。 4時間にわたる録画なんで、逆に見る時間がなかったが、昨日、ざっと見たよ。 午後は野党が中心の質問だったが、かなり、大体、言っていることは、今までいろいろなところで聞いていることなんでとばして見たね。 しかし、野党も健闘しているね。A氏:俺は全部見ず、ところどころ見た程度だね。私:一番、興味があったのは、最後の国民新党を代表して行った亀井静香氏の質問だね。A氏:これは俺も見た。 国民新党に割り当てられた質問は50分だね。私:その時間をフルに亀井静香氏が質問したが、質問らしい質問はほとんどなかったね。 亀井静香氏の演説だね。 しかも、50分間、原稿なしだ。 前半は、オヤッと思ったね。 いいことを言うと思った。A氏:今の日本を嘆いて、人心の乱れ、企業は儲かるが労働者への分配は低いというようなことを言っていたね。 偽装請負で問題になっている企業の会長が経団連の会長になり、経済諮問会議の委員にもなっていると言ったね。 これはキャノンの御手洗氏のことだね。私:郵政民営化はアメリカの押付けで、しかも、アメリカは郵便は国営だと言っていたね。 小泉政権でも借金が増えたことを追及していたが、亀井氏はもともと、もっと借金して、公共事業を増やすということで総裁選にのぞんだのではないかね。 それに、談合をいきなり厳しく廃止したら、大手ゼネコンだけが値段を下げて受注を獲得するだけで、地方の業者はつぶれるだけだという。 今、岩波新書の「労働ダンピング」という本を読み出したんだが、1994年に航空業界の規制緩和で「アルバイト・スチュワーデス」を業界が導入しようとしたが、当時の運輸大臣の亀井静香氏が待遇の異なる「時給制スチュワーデス」の導入は、チームワークを乱し、安全上、問題があるとして反対したという。 その結果、妥協案で1年契約で2回限りの更新で3年後には正社員化を加えて導入されたという。 しかし、1994年の導入時、契約社員は4%だったのが、97年上期では、36%と激増しているというね。 A氏:亀井氏もいいところがあるんだね。私:しかし、最後、公明党との関係では、ちょっと、今までの格調がトーンダウンしたような感じだね。A氏:選挙協力はおかしいというし、大分県では自民党の復党問題で公明党からちょっかいが出たとか、安部総理が池田創価学会会長と会ったのは事実とか、何でこだわるのかという感じだね。私:池田会長に会ったというのは、ほとんどの大手の新聞が書いているそうで、それが事実でないなら、訴えるべきだという。 俺はこの新聞記事は読んだ記憶がないがね。 塩崎官房長官は答弁に立ったが、安部総理が総理になる前の話だろうから関知しないといっていたね。 では総理になる前には会っていたのかね。 あいまいなまま、時間切れとなったね。 これをその後、マスコミがとりあげていないのを見ると誤報かね。 それなら、新聞のほうが誤報だと訂正記事を出すべきだね。 まぁ、途中まで久しぶりに原稿なしの迫力ある亀井節を聞いたよ。
2007.02.17
コメント(0)
A氏:先日の日曜日の田原総一郎のサンディプロジェクトを見ていて気になったことがあった。 派遣社員で長い間いると給与も上がるので、その人が正規雇用になると正規雇用の賃金体系が適用される。 そうすると給与が下がり、これが正規雇用になるときの最大の障害になっていると、コメンテーターの草野教授が発言していた。 これがどうもピンとこないんだね。 通常、派遣社員は同レベルの正規社員の半分、悪いときは3分の1だという。 だから、正規雇用になって多少賃金が下がってもそんなに違いはないのではないの? 第一、 ボーナスも出るし、福利厚生の給付も手厚くなるだろね。 定年まで安心して働けるのではないの?私:連続テレビドラマの「ハケンの品格」では社員食堂のカレーを派遣が食べると正社員の倍の値段をとられるというシーンがあるという。A氏:どうも草野教授の発言はデータがなく、特異例を声高にいっているような気がするね。 大体、高度成長時代のときでも、日本では、会社を移るとスカウトされないかぎり、給与は下がっていたよ。私:俺もこの発言は「おゃっ」と思ったね。 学者の発言なのに、データがない。 針小棒大になるおそれがあるね。 そんなに派遣社員で優遇されているなら、そのまま、正規社員にならなくてもよいのではないの? 派遣社員制度のタテマエは労働の多様化を労働者が自主的に条件の良いほうを選択できるのだから。A氏:質問を受けた民主党の前原氏は、これにストレートに答えず、求人倍率について非正規雇用が1.5だとか、正規雇用は0.6とか言っていたね。 企業は、経済が回復したといっても、まだ、正規雇用には消極的だね。私:求人倍率が1を超えたと騒いでいるが、格差の2極化があるから、平均すると実態が分からないんだね。A氏:君の日記の「だまされない6つのヒント」の平均値の問題かね。私:アメリカでも1998年に過去10年で最大のリストラをしているのに、失業率が低下するという現象が出たそうだ。 これはパート、派遣、請負などの雇用構造が大きく変わっているので、従来の失業率の計算方法では実態を反映しなくなったためだという。 それにしても安部総理は格差という言葉を嫌うね。 予算委員会でも野党が格差はあるのかないのかと質問しているのに「格差があればこれに断固として解決する」というようなはぐらかしの回答だね。 「今、格差はない」とも言わない。 その前の参議院では自民党の青木氏が「格差はある」と演説していたのにも、「結果の格差ではなく、機会の格差が問題だ」とというように明快に答えていないね。A氏:親の結果の格差が、子の機会の格差になることもあるよ。 私:せっかくの国会の格差討議も、こういうはぐらかしの抽象論ばかりやっていたのでは、成果があがらないね。 事実をしっかり危機感を持って認めるということから、格差対策の迫力が出るのだが、期待できそうもないね。 野党もデータで攻めていない。 これからかもしれないが。
2007.02.15
コメント(2)
A氏:2月6日にNHK衛星で「インド 綿花地帯からの告発」としてデンマークで作られたテレビ番組でやっていたのを録画して今日、見たんだが、すごいね。私:俺は「あなたのTシャツはどこから来たのか?」を読んでいる途中だった。 同じ綿花を扱っているので興味をひかれてちょっと見たよ。A氏:要するに先進国が安い衣料品を得るために、インドの開発途上国の人間らしい生活を犠牲にしているとうことだね。私:TVの映像では綿花を手で摘んでいるが、アメリカではすでに機械化しているね。 これはアメリカの綿花畑が広大なことが関係しているようだね。 それに相手が植物だから機械の使い方のノウハウにコツがあるらしい。A氏:綿畑の虫は致命的な損害を与えるので、殺虫剤を畑に撒く。 この薬品はヨーロッパの薬品メーカーのものだが、人体に有毒でガンの原因になるらしく、すでに多くのがん患者を出しているという。 殺虫剤の散布を撮影していたが、噴霧器を背負って、殺虫剤を歩いて散布する。 マスクも、手袋もしていない。 しかも、年、20回から30回も撒くという。 撒きすぎではないかという。 かえって、害虫が耐性をつけるという。 薬品には使用上の注意も書いてあるが、労働者は読めない。 その薬漬けの綿畑で、女性が綿の花を手で摘み取る。私:「あなたのTシャツはどこから来たのか?」では、アメリカの殺虫剤散布のことは書いていないが、アメリカでは除草剤は、年2回で、トラックターの後から撒く。 それから、綿花の摘み機を有効に使うため、天候に心配しないですむように、計画的に綿の木を枯らす。 この薬を撒くのもトラックターの後部から撒くか、飛行機を使う。A氏:それから、インド独特の柄の繊維製品を扱っているデンマークの会社が「環境に優しい」を会社ポリシーにしているんだが、染色の工程はインドだね。 カメラはそのインドの会社の工場の下請けになる染色作業を撮影する。 おどろくべきことに、硫酸や硝酸などが含まれる液の槽に、裸足でマスクも手袋もしないで若い男たちが働いている。私:この人たちを診察してもらったら、全員肺を侵されていたね。 この工場では若いうちに働けなくなるという。 それに、どんどん有害な廃液を周囲に流し、地下水を汚染し周辺住民が健康被害をこうむっているという。 要するに環境機器を設置する費用も節約している。 働く人や住民の健康被害という犠牲を伴って、製品が安くできている。A氏:オランダの会社にこの事実を知らせたら、驚き、そのインドのメーカーと取引をやめたという。 しかし、それは同時に彼らの職を奪うことになるかもしれない。私:あるオランダの学者が、「製品があまりに安い場合は、なんらかのインド人の人間としての犠牲を伴っていると考えるべきだ」と言っていたね。 グローバル経済だから、市場原理からすると安いほうが有利だということになるんだが、健康という市場原理とは別な原理が介入せざるを得ないね。 デンマークは人としての公平さを市場原理の上に持ってこようとする意図があるので、このカメラ取材に反応したんだろうね。A氏:2月8日の朝日新聞の夕刊トップにフェアトレードの例としてチョコレートが掲載されていた。 フェアトレードとは市場原理でなく、現地の人々が安定した生活を続けられることに配慮して買い取り価格を設定する取引きだね。 このチョコレートの記事は、アンデス山脈のサリスナという村で作られたチョコレートが、バレンタインディーをねらった東京の百貨店のコーナーで売られているという報道だね。 普通のチョコよりちょっと高いが、作った住民のプラスになる。 よく売れているという。 これも市場原理一本やりの考えを否定するものだね。私:話は変わるが朝日新聞の、去年12月2日の土曜版b3にジャーナリストの莫邦冨(モーハンフ)氏の「『美しい国』の女工哀史」というエッセイが掲載されていたね。 トヨタの下請け企業で女性のベトナム人研修生が法定の最低賃金よりはるかに低い金額で働かされていたことがわかったという記事だね。A氏:君の日記の「トヨタ絶好調」で田原氏のインタビューの詰めが甘いといっていたが、2兆円を超える利益の裏にこういう問題があるんだね。私:俺もこの記事を見て驚いたよ。 勤務中にトイレ行くと、1分あたり15円引かれたというね。 1年目は時給350円、2年目400円、3年目は450円でここから引かれる。A氏:繊維関係の工場で働かされている中国人の女性もそうだと言うね。 歴史的なことになっていた女工哀史がこの「美しい日本」でまだあり、昔と違うのは女工たちの国籍だけだと痛切な皮肉を書いているね。 従来から、こういう研修生と称して、安い賃金労働と奴隷みたいな労働条件による扱いが多いが、こういう外国人は別の意味の反日となるのではないの?私:その中国人の実家は農村でもっとひどい生活をしているかもしれないから、反日になるかは分からないが、市場原理でカネだけの日本は「美しい国」とは思わないだろうね。
2007.02.13
コメント(3)
私:俺の日記でふれた「国家の堕落」(文藝春秋1月号)で藤原氏が経済人を非難しているね。 これに対し昨日出版された文藝春秋3月号で、伊藤忠商事会長の丹羽氏が、「経済人を単純に一括りにして非難されるのは残念」として、私見を述べているね。A氏:大体、丹羽氏は経済人でも、唯金論を廃せよというように市場原理主義には批判的な立場のようだね。私:だから、経団連会長の御手洗氏との対談本を出すのはおかしいと思っていたんだよ。 丹羽氏は、日本社会を「市場原理」に委ねた結果、「格差社会」が深刻化しているという。 自殺者がこの十年で3万人台になったのも経済的な理由があるとしているね。 もたもたすると事態は米国より深刻になるというね。A氏:そうすると、フィンランド方式かね。私:氏は、その意見には反対だね。 江戸時代のような自給自足時代ならともかく、食料やエネルギーといった資源の大半を海外に依存する今日では現実的でないという。A氏:商事会社のトップらしい視点だね。私:そして、3つの提言をしているね。 第一が労働力不足をカバーする少子化対策と七十才現役制。 第二が中小企業対策。 第三がこないだ新聞のニュースになった最低賃金の引き上げだね。 消費税も弱者に影響があるから歳出削減が先決という考えだね。A氏:丹羽氏は、ホワイトカラー・エグゼンプションには賛成しているのではないの?私:残業代ゼロで誤解を招いたとしているね。 「自由労働時間制」とすべきだとしているね。 要するに労働者が自由に労働時間を選択できるようにする。 休日の出勤も社員の判断に任されるということだね。 働く側の選択も広がると言うわけだね。A氏:悪用して過重労働や過労死を増加させるのではないの?私:丹羽氏は、そのような悪質な経営者は、禁固刑も含む厳罰に処せられるように法整備をするとしている。A氏:やはり、影の部分を予想しているね。 御手洗氏と違うね。私:さすがだね。 これは興味あることに、1週間ほど前に発売された「世界」3月号に「ホワイトカラー・エグゼンプションの虚構と真実」(濱口政策研究大学院大学教授)というのがあり、これが同様の問題を指摘しているね。 ここでは、厚生労働局事務局が提示した案では「自由度の高い働き方」という経営側のタテマエに対して、「週40時間を超える在社時間が月80時間を超えた場合、医師の面接指導をする」ことが明記されていたという。A氏:要するに、長時間労働を規制することがホワイトカラー・エグゼンプション制度に含まれていないと、管理職になる前のホワイトカラーは競争のためや経営側の強制のため、労働時間を延長しやすい。 これは労働者の生命や健康に関係する。 「自由度の高い働き方」の影の部分だね。私:過労死拡大の恐れがある。 濱口氏は「自由度の高い働き方」などという虚構に踊らされて、労働時間管理を放任してしまったら過労死訴訟の山に直面するという。 サービス残業の悪い点は、法令違反だけでなく、社員の健康管理を管理側が放棄するからだね。 ホワイトカラー・エグゼンプションは時間管理の放任でなく、安全配慮の義務から結局、経営側は時間は管理せざるを得ないという。A氏:そうか、丹羽氏はそれを配慮しつつ、ホワイトカラー・エグゼンプション制度を提唱しているのかね。私:日本の長時間労働は世界一だ。 1年前に発表されたビジネス・レイバー・トレンド誌の国際比較データは有名だね。 2位は市場原理主義が徹底しているニュージーランドだ。 2月8日の朝日新聞の国際比較表はそれの引用だね。 新聞としてはデータの発表後、1年たっているから遅いね。 異常なまでの長時間労働は、健康まで犠牲にして、欧米人には考えられない過労死・カロウシはkaroshiとして国際語になり、市場原理導入で労働時間が長くなったサッチャー時代に、労働者の健康が問題になった頃、オックスフォード辞典にも追加されたというからね。A氏:そういえば、「世界」3月号は、「労働破壊-再生への道を求めて」特集だね。私:「大企業が人間破壊を行っている」というタイトルで内橋克人氏へのインタビューがあるが、痛烈な批判をしているね。 ここで興味あることは、12年前に規制緩和の効果を財界が予測した文書を内橋氏が引用していることだ。 それによると構造調整・規制緩和で934万人が失業するが、一方で1064万人の雇用が創出されるので、差し引き130万人の雇用増加が期待できるという文書だ。 これで規制緩和を進めてきた。 影の不安ゼロだね。A氏:12年たつと本当にマンガだね。 国民が太平洋戦争にだまされて、戦い、惨敗したのと似ているね。私:今年は労働問題が大きな争点になるが、この12年前にだまされたように、「自由度の高い働き方」というようなきれいなタテマエにまた、だまされないことだね。 丹羽氏は、この文で、最初、孔子の言葉を引用しているが、孔子と経済人と言えば、明治の銀行家渋沢栄一が有名だね。 彼は、ビジネスを「実業」という漢字に訳した。 「虚業」をする商人と一線を画したね。 そして孔子の「論語」をもとに強調した一つは企業家リスクと投機的なリスクの道徳的な違いだったという。 企業家リスクは、結果が幸運と顧客を喜ばそうとする努力で決まる場合。 投機的なリスクは、結果が幸運と狡猾さだけで決まる場合。A氏:なるほど、金融業が経済覇者として活動する最近では、この区別はなくなったね。 竹中平蔵氏のいうハイリスク・ハイリターンだけだね。 市場原理主義のフリードマンが「資本主義の世界では儲かるときに儲けるのがジェントルマンだ」と言ったのは有名だね。 狡猾に稼ごうともジェントルマンだね。私:丹羽氏は書いているが、アメリカの経営者と平均労働者との年収格差は一千倍にまで広がったという。 それは市場原理で公平に決まった格差なのであろうか。 役員報酬は自分自身で報酬を決められる市場だからではないのか。 経営者が貪欲になればもっと格差は意図的に拡大できる。 丹羽氏は、現状の日本は「強きを助け、弱きを挫く」になっているという声が多いとしている。 日本の経営者も丹羽氏が警告する「唯金論者」が多いとすると、この格差も拡大するね。 事実、この10年で役員報酬は増えているが、一般の賃金は減っている。 丹羽氏のような経営者が多数を占めることはないのだろうか。
2007.02.11
コメント(2)
A氏:昨日の朝日新聞の社説で東電の77年からのデータ改ざん24件、延べ199回について述べていたね。 これによると、今回の東電の調査は、従来のやり方と変えたとあるね。私:02年だと思うが、やはりデータ偽装問題が出たとき、テレビのニュースを見ていたら、会議室みたいなところで、本部の人間が机の上できれいに書かれた点検リストをチェックしているのには驚いたね。 パソコンでプリントした清書しているデータを見ているんだね。 生データや、自身で現場を回るとか、実際にやった点検者に現場で聞くとかではなかった。A氏:それではウソを見抜けないのは当然ではないの?私:今度は東電はチェックのやり方を変えたという。 まず、検査の経験が豊かな社員へのアンケートで問題の起こりやすい項目を拾い上げた。 見る人が見れば、大体偽データを書きそうな項目は分かるんだね。A氏:そして技術系社員をグループに分けて討議。 OBを含む検査経験者からの聞き取りもした。 このとき「正直に話してくれたら、斟酌する」と安心させて聞き出したという。 君の日記の日本航空のミスの追及と同じだね。 臭いものにフタでなく、あえて表に出すように仕向けたというわけだ。 そうしたら、改ざんの事実がボロボロ出てきたわけだ。私:社説は、「免責」でなく「斟酌」だから、よく深刻な改ざんが隠されているかもしれないと言っているね。 しかし、問題は、改ざんがかなり明らかになったにせよ、なんで、致命的でもない簡単なデータをごまかすのかね。 意味のない修理が発生するので、それを避けるためなのかね。 その辺の原因がハッキリしないと再発するね。A氏:要するに点検者は、記録することをいやいや、やっているかも知れないんだね。 何故、いやなんかね。 誰も見ないし、意味がないと知っているのかね。 これもコスト切り詰めで無理が点検者にかかっているのかね。 市場原理か自己責任かね。私:まぁ、現場検査の記録がきれいにパソコンで清書されていたら、俺は疑うね。 公認会計士は、棚卸しデータの清書したものの信用性を疑うはずだよ。 現場で汚れた記録を信用するね。 よく記録にはボールペンがいいというが、データ改ざんの確信犯は鉛筆を使わないね。 記録を見るほうもしっかりと見ていれば、問題は防止できたはずだね。 どういう管理をしていたのかね。 それが少しも出てこないね。 ジャーナリズムも追及しない。
2007.02.10
コメント(0)
A氏:昨日の朝日新聞朝刊で「少子化とWE(ホワイトカラー・エグゼンプション)は無関係・首相が見解修整」とあったね。 前言をひるがえしたね。 君は前言については、まったくおかしなことを言うとコメントしていたね。私:見解の修正とは2月7日の衆院予算委員会で「WEが少子化対策にいいと言ったことは一回もない」と言ったことだね。A氏:首相は先月5日にWEについての記者団の質問に「家で過ごす時間はですね、例えば少子化にとっても必要」と言っていたね。 俺はテレビのニュースで安部首相が言っているのを見た記憶があるよ。私:確かに、少子化対策に効果的だとは、明言していないが、WEで家に早く帰れるというのは明言しているね。 これは労働時間について深刻な理解不足を示す安部総理の失言だね。 それが撤回されていない。 むしろ、WEは労働時間を増加させる側面があるよ。 家には早く帰れる制度ではないね。 それがまだ理解されていないね。 サービス残業の公認になりかねない。 柳沢さんの失言と同じだよ。 柳沢さんは金融の専門だろうが、今回、慣れない厚生労働の役割を担ったので、勝手が違うのではないの? 少子化の失言でそちらに目が言っているが、WEの問題だって、柳沢さんは説明不十分で法案提出を引っ込めざるを得なくなっているようだね。 今、労働問題はグローバル化して複雑なのに、柳沢さんはなれない問題で大変だね。 個人的にはいい人らしいが、それを言えば、極端な例だが、ヒットラーだって身近の子どもなんかには優しかったと言われるからね。 柳沢さんには同情するよ。A氏:昨日の朝日新聞は、オピニオン欄で「残業時間どう減らす・先進国で飛び抜けた『大国』」と大きく扱っているが、2000年の国際比較データでは、週50時間以上働く人は、日本が28.1パーセント、仏独は5パーセント台だという。 極端な世界一の残業大国だね。 「美しい国」「希望の国」とほど遠いね。私:日本はサービス残業が多いから、実際には統計よりもっと多いのではないの。 それから、今度、残業代の割増率を上げるそうだが、それは国際的に低いからだね。 しかし、割増率を上げるから残業が減るというのは、これもナンセンスだね。 仕事のやり方を変えないかぎり今と同じだね。A氏:新聞では、割増率をあげると経営側は残業代目当てに長く残業する人が増えると心配しているという。 これには自民党議員から、残業は管理職の指示だから、だらだら残業は労務管理の問題だとの批判が出ている。私:その通りだね。 管理を放任していることを理由にするのは、自分の管理無能力を示しているようでまことにナンセンスな理由だね。 そのセンスでよく経営ができると思うよ。 不二家の経営と同じだよ。 むしろ、今でも残業不払いがあるから、割増率増加でサービス残業が増加するだろうね。 WE導入でも、背景に自己責任による競争激化があるから労働時間はさらに増大するね。 一方で少子化対策のために労働時間短縮が必要だという。 その一方で市場原理の自己責任で、労働時間延長の圧力がかかる。 日本の残業大国の汚名はなかなか消えそうもないね。 そのため、少子化の歯止めもダイナミックにできない。 矛盾だね。
2007.02.09
コメント(2)
私:俺の家から歩いて10分くらいのところに、公営の研修センター兼展示場みたいのがあるんだ。 バブル時代に作った馬鹿でかい、贅沢な箱物だね。 償却費を含めた維持費では赤字ではないかな。 ここに小さな図書室と10ぐらいの囲みがされたDVD視聴席があるんだ。 いつか、DVDを視聴してみようと思っている。 ここでは雑誌も読めるようになっているんだ。「正論」3月号をこの図書室で拾い読みをしたよ。そこに「国家の品格」でおなじみの藤原国彦氏の「日本のために小泉さんを裏切りなさい」という記事があったので、全文読んだね。A氏:それは安部首相にあてたものだね。私:そうだ。 要するに、小泉さんとは性格も違うから、小泉流を踏襲するのは損だと言うわけだね。 例のように、ズバズバと提言しているが、しっかりやれという安部総理応援論だね。A氏:教育問題についてはどう?私:小泉さんは米百俵といいながら、教育改革に手をつけなかったので、安部さんには期待したいと言っているね。A氏:氏は教育に市場原理主義を導入するのは、反対していたのではないの?私:そうだね。 教育バウチャー制のような外国の真似でなく日本の伝統を生かすべきとしているね。 それには今の教育再生会議のメンバーではダメだと言っている。 それに70才以下はだめだといっている。A氏:何故?私:敗戦後のGHQや日教組の影響で育った世代だからだという。 氏の意味する再生は、GHQや日教組の以前の日本教育の再生だね。 それに委員に有名な科学者や学者や経済人などの専門家は不適切だという。 教育を論ずるには、もっと教養の深い人が適切であるという。 俺も塾反対を発言したというノーベル賞受賞者の野依氏は、何故、「ゆとり教育」が問題だったのか、何故、塾教育が増加したのか、という問題に対して、広い視野で深い分析をして発言していないようなんで適切と思っていないね。 真の科学的な教養が身についていれば、専門外の小学校の教育でも深い分析から生まれた発言ができるはずだよ。A氏:君はバウチャー制を主張する経済人の渡辺氏はあまり適任とは思っていないようだね。私:じゃぁー、具体的に誰がよいかというと藤原氏も指名していないね。 なかなか適任者は難しいかもね。 選ぶ文科省のほうも70才以下だしね。A氏:2月3日の朝日新聞夕刊の「窓」という囲み記事欄で「もう一つの教育再生会議」というのがあったね。 よく似た名前で「教育再生民間会議」と「民間」がつく。 メンバーは次の4人だ。 テレビドラマ「3年B組金八先生」の脚本を担当、海外での難民支援、教育支援などで知られる小山内美江子さん。 公立小学校教員、文部省調査官などを経て大学教授のかたわら日本生活科・総合的学習教育学会会長などで子どもの多様な体験による成長を支援する嶋野道弘氏。 俳優出身でボランティア活動、子どもたちの心の救済に取り組む牟田悌三氏。 さわやか福祉財団の元検事の堀田力氏。 政府の再生会議の第一次報告書に対して別の視点の提言をしているね。私:これを俺は、さわやか福祉財団のホームページでみたよ。 小人数でまとめたせいか、全体的な広い視野でよくまとまっていると思うね。 偶然か、嶋野道弘氏以外は、70才以上だね。 両方の会議では、いずれも親の子ども教育を重視しているが、ホワイトカラー・エグゼンプション制のように労働時間が増大するアメリカ型を目指しているかぎり、子どもと過ごす時間が減り、矛盾した状況が生まれる恐れもあるね。 安部総理の教育再生は昨日とりあげた労働法制とのからみで、政府自体、文科省と厚生労働省の間で矛盾してくる内容になるかもしれないね。 文科省は「親はもっと子どもの面倒を見よ」という。 厚生労働省は「親は競争市場でもっと働け」という。 縦割りの弊害だね。 国民の生活は1つなのにね。
2007.02.08
コメント(0)
A氏:昨日の朝日新聞の夕刊で、君が日記でとりあげた「格差社会:何が問題なのか」(岩波新書)の著者の橘木俊詔氏が、今年は労働問題や働き方に関することが政策論争として大きな話題になるとしているね。 今朝の朝日新聞のトップも労働法制視界不良というタイトルだね。私:俺も読んだが、経営側は労務費の削減を一層確実なものとして、アメリカ型の労使関係を根付かせたいと希望が本音だという。 確かに、ドイツ、フランスなどはアメリカと違い組合が強いからね。A氏:議論を4つにまとめているね。 第1はホワイトカラー・エゼンプションだね。 経営側の意図は、残業代の節約と当局の基準法違反のサービス残業の摘発を逃れたいためであるという。 しかし、それを言ってはダメになるから、労働の選択幅を拡大するとか、明暗の明だけ経営側は強調するだろうね。私:これは撤回されたが参議院選挙後に蒸し返すだろうね。 第2は正規労働者と非正規労働者の格差問題だね。 これは同一労働、同一賃金の導入となるね。 しかし、これは終身雇用制と矛盾する点があるね。A氏:第3は、非正規労働者の社会保険加入だね。 これはパート労働者も経営側も負担増となるので、政治がどう動くかだね。私:第4が最低賃金制問題だね。 日本の最低賃金の額は、世界では最低レベルである上に、それで働く人が多いこと、それとその最低賃金すら守らないという企業が多いことではないかね。A氏:欧米では最低賃金は重要な公共政策の一つとされているが、日本の関心は低かった。 これが、君の日記のように、経済諮問会議の丹羽伊藤忠会長が積極的発言をしているね。私:橘木俊詔氏は、安部総理や大田弘子経済財政担当大臣も積極的だという。A氏:しかし、安部総理は代表質問では「最低賃金の抜本的な引き上げは経営を圧迫するので、非現実的だ」とも言っているね。私:道路特定財源のように、アドバルーンをあげるけれど、反対の声があがると、あいまいになるね。A氏:昨日の朝日新聞は朝刊でも労働法制を扱っていて、アメリカでは昨年の中間選挙で民主党が勝って、最低賃金を引き上げる法案が可決の見通しだという。 アメリカでは、日本のように組合が弱いから市民運動がこれを推進しているようだね。私:最低賃金の考えが日本と異なるようだね。 欧米では市民団体や労組は「生活賃金」という考えで、1日8時間働けば1人親が家族を養える程度の賃金を得られるように要求してきたという。 ニューヨークでは約1272円だという。 日本は東京で719円だね。 日本の最低賃金が低いのは、18才単身者の初任給を基準としたためというね。 考えが基本的違うようだね。A氏:いろいろな労働問題を解決するには、一部の恵まれた経営者、株主、高い賃金の労働層のいくばくの犠牲を伴うことも必要だと橘木氏は言っているね。 それに税金を食って、いい生活をしている特殊法人への天下りも犠牲を払ってもらう必要があるね。私:しかし、「唯金論」になっている経営者が増えているから前途多難だね。 かっての経営者のように、弱者救済という発想はなくなっているのではないかね。 これは日米に共通している現象らしい。 まぁ、今年はまさに、労働という問題を真剣に考える年になりそうだね。
2007.02.07
コメント(0)
A氏:君の日記で御手洗富士夫「希望の国へ--私の日本再生計画」のコメントがあったが、2週間ほどたった2月3日の朝日新聞の土曜版be「読み・解く:経済」欄で、朝日新聞の編集委員の山田厚夫氏がこれにコメントしているね。私:俺も読んだね。 短い記事だが、内容は厳しいね。A氏:山田氏は御手洗氏が「希望の国へ」というのは、安部総理の「美しい国」と調子を合わせたようだが、経済界の足元は崩壊状態ではないかという。私:福島、和歌山、宮崎の官製談合の片棒は民間企業だ。 一昨年の鋼鉄製橋梁工事の談合では三菱重工、新日鉄が摘発され、これからは法令を守りますと鉄鋼、重機大手15社はトップが宣誓書を出したし、大手ゼネコンは「談合訣別」をした。A氏:ところが、今度、名古屋の地下鉄では大手ゼネコンの大林組が談合の仕切り役をしていた事が発覚した。私:山田氏は10年先の国家を雄弁に語るより、今ある談合を無くすだけで御手洗さんの名は経団連史上に残るだろうと言っているね。 題名の「隗より始める」というのは、中国の故事に基づく言葉だが、「遠大の事をなすときには、まず卑近なことから始める」ということから「物事は、まず言い出した者が着手すべきである」という意味だ。 だから、山田氏のこの題名は皮肉が混じっているね。A氏:山田氏は、建設業界の例しかあげていないが、最近では東京電力の原子力発電所のデータ改ざん、不二家の不祥事、フジテレビの「あるある大事典」騒動、大手企業の環境の法令違反、日興の不正など、「美しい国」「希望の国」はどこへ行ったのかね。 「希望の国」にするには、こういう問題を経団連は厳しくとりあげるべきだね。私:法令を守ることを、わざわざ、英語を使ってコンプライアンスという言葉をよく使うが、英語を使うときは、何か裏に後ろめたさがあるような気がするね。A氏:君の日記のように御手洗さんは何か、ものごとの明暗をバランスよく考えられないという特徴があるようだ。私:御手洗さんはレーガン大統領時代のアメリカにいて、アメリカが経済停滞から脱却した活力を参考にして、日本を活力ある姿にしようとしているらしい。A氏:しかし、レーガノミックスの裏面はリストラ、企業合併により、中間層が壊滅し、格差が拡大したという暗の部分をよく理解していないようだね。 この10年の日本の不況脱出が、労働者の格差拡大という暗の部分があったのと同じようにね。私:今週の「日経ビジネス」の「時流超流欄」では、今回の名古屋の談合問題をとりあげているね。 この欄の名称も「潮流」と「超流」をもじっているね。 談合では「今回はウチがもらうが、次の分はそちらがとれ」という「やり取り」というのがある。 これが土木の場合は数年間の「やり取り」となるときがある。 それをトップがいきなり「談合訣別宣言」をして、それに応じて担当の「談合仕切り屋」がそこで談合を打ち切ると、「取り逃げ」が起きる。A氏:取り逃げ?私:先に仕事を取った会社はいいけれど次の番を待っている会社は、「はい、これで終わり」なると文句を言う。 名古屋は従来の貸し借りをスパッと仕切り屋ができなかったのではないかというね。 この「時流超流欄」で竹島公正取引委員会委員長の談話が載っていたが、すごい決意だね。A氏:かって経団連の前任者の奥田トヨタ自動車会長(当時)は談合を「全国津々浦々に行き渡っている慣習のようなもの」と言って物議をかもしたね。私:しかし、竹島委員長は「『談合を絶対になくならない』と言っている人は遠くない日にいなくなるだろう。甘いと言われるかもしれないが、向こう1、2年で欧米に近い状況に日本もなっていくと思う」として、懲りない面々とはバトルを続けると強い決意を表明しているね。 検察の姿勢も積極的になっているという。 氏は、トップが本当に談合をやめる気なら、号令だけでなく談合を犯せば退職金をもらえないようにするなどの人事や仕事の仕方を変えていく必要があるとしているね。A氏:一方で、談合をやめるとダンピングが起き、品質低下が懸念されるね。 大手ゼネコンは安値受注のしわ寄せを下請け、孫請け、ひ孫請けにすると手抜きが出る懸念がある。 そして、現場職人の賃金低下や労働時間延長になりかねない。 土木建設の職人、技能労働者がいなくなる。私:そういう予測される問題点に並行して手を打つという点が、政府や自治体は後手だね。 規制緩和に伴う格差対策が遅れたようにね。 だから、多数のワーキングプアが発生してしまった。 今問題になっている少子化対策も後手だね。
2007.02.06
コメント(2)
私:日曜のテレ朝のサンデープロジェクトで田原総一郎氏が、当日の読売新聞の朝刊の「一筆経上」欄に伊藤忠商事会長の丹羽宇一郎氏の言葉があるのを紹介していたね。 この人は「唯金論」の弊害を指摘していたね。 この欄は本来「一筆啓上」とすべきところを「経済欄」なので「啓」を「経」としゃれているね。 俺のところは朝日新聞だから、早速、出掛けついでに近くの駅のスタンドで読売新聞を買ったよ。A氏:俺はテレビは見たが、新聞は見ていない。 テレビでは、丹羽氏が日本の最低賃金が10年間に時給で7%しか上がっていないのに、アメリカ、イギリス、フランスは37%から52%あがっていると指摘し、最低賃金の見直しを考えるべきでないかと、経済財政諮問会議で主張したということを引用していた。私:その通りだね。 さらに雇用主が最低賃金法に違反した場合の罰則を強化すべきだと主張したともあるね。 氏は、格差の底上げを考えているね。 この考えは、「格差社会:何が問題なのか」(岩波新書)の著者橘木俊詔氏の考えとほぼ同じだね。 橘木氏は、格差の縮小よりも、階層の固定化を防止するとともに、下層の底上げをすべきとしているね。 昨年10月に改訂された地域別最低賃金は、東京都が最高で719円、青森、岩手、秋田、沖縄が最低で610円、全国加重平均は673円だという。A氏:673円で1日8時間、月22日働いて、月11万8448円だね。 ワーキングプアとなってしまう。私:このコラムは格差問題についてよい点をついているね。 極端な市場原理主義対社会主義的な抽象的な論争を避けるべきだとしている。 そして、格差ができることは認めるが同時に貧困層の底上げを図り、格差の固定化を防ぐべきだという中庸的な考えが国民の多くの考え方でないかという。A氏:俺もそう思うね。私:そして、哲学論争よりも、具体的な改善を地道に取り組まないかぎり解消されないという。 内閣府のデータによると、1997年度の雇用報酬は279兆円、2005年は259兆円、 20兆円減っている。A氏:その減少分が大手企業の利益向上に貢献し、株主を潤し資本は生きを吹き返したわけだ。私:経営者はここで従業員のことを考えるべきときが来たね。 しかし、一方でグローバル経済の競争があるね。 賃下げ圧力は続いている。 日本は、その点でグローバル経済への対応が遅かったね。 ビジネスモデルの転換が遅いと言えるね。
2007.02.05
コメント(4)
A氏:君の日記で「教育再生会議」は「教育商品化会議」だと言っていたし、そうなると先生は「営業マン」になると言っていたね。 それが頭に引っ掛かっていたせいか、この2月1日の朝日新聞夕刊の文化欄の「学校・教師を信じよう」を読んでいてピンと来たね。 この新聞記事に「(学校や教師は)学校選択性のもとでは、パンフレットを作って『営業』に出かける必要も生まれてきた」という箇所があるからだ。 教育市場では先生は「営業マン」だということだね。私:最近、朝日の夕刊は、いい評論が続くね。 俺も読んだが、筆者は日本大教授で教育社会学・社会史の専門だという。A氏:マスコミではダメ教師をクローズアップしてとりあげるために、多くの教師が真面目に取り組んでいることが世間で見えなくなっているとしているね。 むしろ、1980年代以降、「改善」「改革」で新しい試みが上から降ってくるようになり、教師は振り回されるようになったという。私:教育改革の前提が、今の学校や教員はダメだというマスコミ的な発想で始まっている点が問題だ、と筆者は言っているね。 要するに、今の学校や教員は信じることができないから、競争させてその質を高めようというものだね。 学校・教員が営業し、親子が選択するという今まで日本国家になかった競争市場が教育現場で生まれる。A氏:その結果、教師の仕事が多忙になり、すでに不安定になってきたという。 会議、研修や書類作りや評価資料作成や評価のための時間も増加したという。 もう、心理的に不安定な教師が増えているという。 「国家の堕落」の藤原氏がいうように、市場原理主義の行く先は、アメリカのような弁護士が人口あたり日本の20倍、精神カウンセラーが日本の60倍という世界が待っているのだろうかね。 君の日記で言っているように「健康番組」「オカルト番組」ブームがすでに精神カウンセラー的役割になっているのと似ているね。私:今、改革として考えられている学校選択制度、学校の外部評価、教員免許更新制、バウチャー制などは、個々の学校や個々の教員を評価し、チェックするから、市場の競争原理のもとで学校や教師に不安を持たせて効率をあげようとする。 勝ち組の学校と教師、負け組みの学校と教師が生まれる。A氏:そうすると、再生会議というけれど、日本の学校教育でこのような制度は過去なかったのではないの?私:だから、再生はウソだよ。 俺たちの高校時代は、公立校が優秀で、私立はお金持ちの坊ちゃん学校だったよ。 だから、その再生でなく、アメリカ型の市場原理主義の教育の徹底的な導入という、わが国教育史上始めての教育制度の導入だよ。A氏:「国家の堕落」で藤原氏が怒るのも分かるね。 君は教育バウチャー制も問題だと言っていたね。私:教育バウチャーとは国が親子に与える教育の商品券みたいなものだと俺は思うね。 こないだテレビで再生会議の委員のワタミ社長の渡辺氏がバウチャー制の必要性をちょっと説明していたが、俺が気になったのは渡辺氏の話し方や表情が株のセールスマンを連想させたことだね。A氏:われわれ、教科書に墨を塗った世代は、なかなか疑い深いね。私:渡辺氏は、給食費も払わない今の親も過去の学校教育の産物だという。 これはまったく矛盾だね。 そのような親が自己責任で「教育商品券」で学校を選ぶとはゾッとするね。 レベルがこの一言で分かったよ。A氏:堺屋太一氏が「団塊の世代は子どもの教育に失敗している」と言ったが、学校でなく戦後の社会全体の問題ではないのかね。私:筆者の広田氏がもっと現在の学校や教員の置かれている問題をデータで語ってくれると説得性があったと思うね。 教員の労働時間の延長時間数、増加した中味のうち「営業活動に必要な時間」の比率、精神疾患の内容と増加数と原因などだね。 とにかく、安部首相は教育再生には熱心なようだし、その必要性は感ずるが、だんだん、中味がおかしくなってきたと俺は感ずるね。 ホワイトカラー・エゼンプション、教育バウチャーなどの英語は多いのは、日本再生や「美しい国へ」という日本語を大事にする雰囲気とまったく矛盾するね。
2007.02.03
コメント(2)
A氏:昨日2月1日の朝日新聞朝刊の経済欄で「不二家 品質認証達せず:再審査、7項目で指摘」とあるが、これが君の言うISO(アイエスオー)の審査のことかね?私:そうだね。 俺も記事は読んだ。 不二家は品質管理のISOであるISO9001というのを取得している。 その審査をしたSGSという外資系審査機関が婉曲に国のほうから「なんでこのような会社を認証したのか」と言われたので、再審査したらしいね。A氏:君の日記によると、間接的に経通省の北畑事務次官の要請があったらしいね。私:新聞によると審査の結果、審査機関が次の7項目を指摘したとあるね。1.内部管理責任者の権限が不明確。従業員と意志疎通が図られていない。2.不良品が適切に処理されていない。3.品質マニュアルを含む文書管理、記録に不備がある。4.従業員の教育訓練が不十分。5.取引先の選定基準があいまい。6.製造工程の検査体勢が不適切。7.内部監査が徹底されていない。A氏:最初の1.の内部管理責任者というのはなんだい?私:ISOの要求で、会社トップは品質管理の担当責任者を任命して、明確な責任を持たすように要求している。 そして、トップはその責任者に従業員に顧客の要求品質の認識を高めるように責任と権限を与えることを要求している。A氏:それをしていなかったわけ?私:そういうことだね。 最初、認証を取るとき、審査機関は内部管理責任者とはインタビューしているから、任命はされていたはずだ。 内部管理責任者というのは大抵、品質保証部長とか管理職がなるんだが、その人がやるべきことをしていなかったということかね。 2.の不良品の処理というのは、不良品はきちんと区分けし処理して出荷できないようにするというのがISOの要求にあるんだ。 マニュアルの作成要求まであるね。A氏:マニュアル通りやっていなかったせいかね。私:それはちょっと分からないね。 最初の審査のときにマニュアルをチェックしているはずだから、マニュアルはあるんだろう。 これはISOの欠点でもあるんだが、現場がよく理解したり、納得したりしていないマニュアルをスタッフが形式的に作ってしまうことが多いんだ。 だから、マニュアルは存在するが、現実は違ったやり方をしていたのかもしれないね。A氏:3.の文書管理というのは、どういうことなんかね。私:こないだ不二家の幹部が記者会見しているテレビを見ていたら、品質保証部長が出ていた。 そして、マニュアルのブドウ菌の基準が会社の規格の10倍甘かったという原因は、マニュアル改訂のとき、パソコン入力でゼロを1つ多く打ち込んだミスだと平気で言っていた。 これには驚いたね。 ISOの文書管理とは、そういう問題のないように、変更の場合は専門的な審査者と承認者を定め、その印がないと発行できないように要求している。 パソコン入力ミスが問題なのでなく、その書類にハンコを押して発行した審査者、承認者の問題なんだが、その意識がまったくないのに驚いたね。 品質管理の専門家であるべき品質保証部長がそうだから、他は推して知るべしだね。 皆、下に押し付けているんだろうね。 放任、無管理だね。A氏:4.の従業員の教育不備というのは?私:これもISOでは品質に関係する従業員の教育・訓練を重視して、要求しているね。 しかし、これも形ばかりのシステムをつくると維持できなくて、失敗することがある。 その失敗も考えられるね。 要するに、ISOの認証を取るとき、無理して形式的なシステムを作ると維持できなくて、かえって、システムが混乱するんだね。 そういうときは、従業員のモラル低下を起こす。A氏:5.の取引先の選定基準があいまいとあるけれど、取引先は選定するの?私:安定した品質のものを提供する取引先を選定せよ、その基準を明確にせよ、というISOの要求だね。 これは最初、ISOを取るときに十分審査して認証を与えるはずだから、審査機関もいい加減な審査をしていたのかもしれないね。 あるいは、無理して形式的なシステムを作り、認証してから維持できなかったことも考えられるね。A氏:6.製造工程の検査体勢の不適切というのは、検査をしていないということかね?私:これだけでは分からないね。 検査をするルールになっているのにしていないのか、ルールが形式的なものなのか、検査はしているが明確な方法がないのか、いろいろ可能性があるね。A氏:7.の内部監査というのは何をするの?私:外部の審査だけでなく、会社の中で相互に審査をするんだね。 これがISOでは定期的に行うことが義務づけられているね。 これをやっていなかったということになるね。 この内部監査は通常は、内部管理責任者がリーダーでやるんだが、放任していたんだろうね。A氏:今までのことを聞くとずいぶんひどい会社だね。私:ところが、この品質のISOは今回、消費期間オーバーで問題になった生菓子事業部や埼玉工場では認証を取っていないんだね。 これらの工場は環境のISO(ISO14001)をとっているが、今回の不祥事は環境ではないね。 しかも、環境のほうの審査機関はJACOという別の日本系の審査機関だね。 だから、何か生菓子事業部の審査の新聞記事のようだが、新聞をよく読むと「卸売り菓子の3工場」とあるね。A氏:なぁーんだ、生菓子の工場審査ではなかったのか。 またまた、八つ当たりか、魔女狩りだね。 新聞もいい加減だね。 それにしても、卸売り菓子のほうはトラブルにはなっていないが管理上は問題だね。 ISOの基本すらできていないことになる。私:いや、一般にISOをとっているから安心ということは言えないね。 木村建設、パロマも品質のISOをとっていた。 環境ではISOを取得しながら、法令違反を記録でごまかしていた大手が多い。 うまくいっている会社のほうが少ないといえそうだね。 ムダな書類だけ増えてね。 不二家はその氷山の一角だね。 膨大な書類に埋もれる日本版SOX法もそうなるだろうね。 組織の人と人のコミュニケーションの基本がフェース・ツー・フェースでなく、書類やメールや携帯のIT機器などが中心になると問題が起きるようだね。
2007.02.02
コメント(2)
私:昨日の朝日新聞の夕刊で社会技術研究開発センターの神里氏が「関西テレビ『あるある』問題の根の深さ」として「不安な社会の健康番組」というメインタイトルで、例の納豆騒動をちょっと異なった視点から論じているね。 その視点はサブタイトルの「自己責任強いる日常が背景に」とあるように、新自由主義が自己責任を要求する社会的な背景が関係しているというものだね。A氏:新自由主義というのは、君の知的街道で言うところの新市場主義だね。私:氏は、われわれの社会における科学的・論理的思考の衰退傾向とともに、自己決定・自己責任を強いられ続ける「厳しい日常」が関係しているのではないかという。A氏:そういえば、20年くらい前かね。 アメリカでは、管理職になるには太っていてはダメだと言われていたことがあったね。 ダイエットなど、自己管理ができない人間に、他人の管理をする資格がないというわけだ。 これは日常生活にとって、太らないようにという一種の心理的な強迫になるね。私:生活習慣病という言い方も「あなたの生活態度が悪いから病気になるのだ」という意味にもとれるというわけだ。A氏:先進国は、一方で食品の種類は山のようにあり、誘惑する飽食の社会だ。 選択の自由があるが、逆に、自己責任となると、権威などの「強い他者」に責任を委ねようという逃げの心理になりやすいね。私:そこで「前世」や「オーラ」などの「オカルト番組」も根強い人気となる。 「オカルト番組」と「健康番組」は不安心理をカバーするという点で地続きというわけだ。A氏:人は納豆に走るように、人はオカルトにも走る。 知的に疑うわずらわしさから逃れようとする。私:筆者は最後に「当座の問題にレッテルを貼って安心してしまうのではない、真の内省的な知性こそが、今求められている」と結んでいるね。 しかし、新市場原理主義、悪夢のサイクル、国家の堕落、成果主義がここまで関係するとはねぇ。 強い自己責任の不安があるかぎり、人は孤独となりだまされ続けるのだろうか。 だます人も絶えないだろう。 「不安」という心理が「商品」となって、市場に出て、知的に弱い人はだまされて敗者となるのかね。 勝ち組は誰だろうか?
2007.02.01
コメント(0)
私:ニュースで、JALが小さな事故に対して、あくまで原因を追及することに重点を置き、個人責任を追及した懲戒はしない、ということにしたというね。A氏:これはある意味で常識的なことではないの?私:1988年に「死角・巨大事故の現場」という本を柳田邦男氏が出しているが、次のようなことを言っている。 「小事故こそ、有効な情報を引き出すことのできる宝庫なのである。問題はいかにして小事故を報告させるかである。人は誰しも責任を負いたくない。ミスをあげつらわれたくないという気持ちを抱いている。 かって国鉄の職場には『マルにする』という隠語があった。 小事故は現場で修復して知らん顔をしてしまう(マル秘にする)、という意味である。 それを黙認し、あるいは積極的に隠蔽に加担する運転区長や機関区長は、人望が厚くなる。これでは、全職場に生かすべき『危険要因』の情報が、埋葬されてしまい、どこかで同じような事故が再発することになる。(中略) 日本のように、刑罰や処分を優先する国柄では、どうしても『誰がやったのだ』という発想が、司法当局から行政機関、企業、ジャーナリズム、一般の人々に至るまで、あらゆる階層にしみついている。 そういう中で(中略)科学的・合理的な要因分類の視点は、なかなか受容されにくい。(中略) 高度技術社会におけるリスク・マネジメントはこのような発想の転換をベースにしなければ、前進を期待できないというべきであろう。」A氏:1988年と言えば、もう、20年近くなるね。 その頃から、こういう考えはあるのに、どうしてJALのような大企業が勉強していないのかね。 その原因のほうが問題ではないかね。私:そういう点の原因追求も下手だね。 最近、起きた政治家の事務所の金の問題も、大臣を辞めたり、副議長を辞めたりするとうやむやになるのと似ているね。 個人を責め、その個人が「すみません」と謝ると、それで終わりだ。 そして形式的な対策でお茶を濁すから、本当の原因がつぶれない。 再発をくりかえす。 5万円以上は領収書が必要だと決めたら、全部、5万円未満に分割してあった人もいるそうだね。 公共工事の一般入札もある金額以上だけに適用すると、こまぎれにしてほとんど、一般入札にしないのと似ているね。A氏:逆に、正直に事実を言ったら、大臣、副議長を辞職しなくてよいとしたらどうだね。私:これがアメリカでよくある免責という考えだね。 本当のことを言う代わりに、罪を免ずる。 これで真実を明らかにして確実な再発につなげる。そういう考えだね。A氏:教育再生会議で「ゆとり教育」の見直しと言いながら、どうして数年かけた「ゆとり教育」が問題だったのかの事実の把握が明確でないね。 そして、それによる原因追及なしで、いろいろな案が出ているのも、発想は同じだね。私:「再生」という日本語は、死にかかったものが生き返ること、再びこの世に生まれることなどと辞書にあるが、以前にあって死にかかったものとか、再びこの世に生まれさせることとは何なのかね。 どういう教育を復活させるのかスター時に明らかにすべきなのに、それが全くないね。 今の教育に問題があるから、なんとなく賛成しているようで、その問がないね。A氏:そうだね。 例えば「ふるさと再生」と言えば、「昭和の初期」の再生というようにね。 そうしないと具体的な町や村のデザインができないね。私:ところでJALは航空産業だから、以前から事故の専門家がいるはずだよ。 それが、柳田氏が言うような常識的なことをなんで気がつかなかったのかね。 そのほうが、大きな問題だね。 その真相はまた、ヤミのままだね。 日本型は変わらないね。 まぁ、対応が遅かったけれど今後のJALの無事故の健闘を祈る。
2007.01.29
コメント(4)
私:今週月曜日のテレビ朝日のたけしのTVタックルは用事があったので録画しておいた。 今日、見たよ。 A氏:俺は当日見たね。私:教育再生会議の民間委員であるワタミ社長が出ていたね。 それと「ゆとり教育」を進めた頃の文部科学省の担当であった寺脇氏も出ていたね。 例の通りのワイワイガヤガヤだったが、面白かったね。 ここで俺が知的興味をひいたのは、2つある。 1つは、寺脇氏の「ゆとり教育」を推進したときの考えだね。 もう一つは、ワタミ氏の発言だ。A氏:寺脇氏は、学校にだけ子どもの教育を押しつけるのでなく、親や地域がもっと子どもの教育に関心を持つように週5日制にしたりして「ゆとり教育」を進めたと言っていたね。 その考えの方向は今でも正しいとね。私:それに対して、三宅氏が子どもは詰め込みでもいいから、必要な基礎は教えるべきだといったら、寺脇氏が「では、なんで『ゆとり教育』を計画しているときに、意見を言ってくれなかったのか」と三宅氏らに反論していたね。 精神科医の和田氏は、必要な最低カリキュラムを決めて、それから授業時間、週5日制とすべきだったのが逆であったと批判していたね。A氏:三宅氏やコラムストの勝谷氏は、当時からさかんに反論していたと言ったが、これは「反論してくれたら『ゆとり教育』は企画しなかった」というように聞こえたね。 要するに、企画段階で基本的な欠陥を持っていたわけだ。私:寺脇氏は理想論を言っていたんだが、現実に「ゆとり教育」の失敗は本人も認めているんだね。 問題は、何故、失敗したのかの原因追求がまた甘いね。 なんでこんないいかげんな企画が通ってしまったのかだね。 これが再生会議でも議論されていないようだね。 また、過去は忘れて心機一転かね。 ワタミ社長が今の教育は崩壊したから、再生だというが、何故、崩壊し、誰の責任かを明確にしないかぎり本当の再生はないのではないの? 人を責めるという意味でなく、失敗から学ぶという姿勢がまったくないね。 このとき、勝谷氏がいいことを言っていたね。A氏:どういうこと?私:「ゆとり教育」の趣旨が親や地域社会がもっと教育に関心を持つようにという趣旨なら、同時にそういうシステムを作ってから「ゆとり教育」をすべきで、親や地域社会に子供は放置されてしまったというわけだ。 金はあっても給食費は払わなかったり、子どもは虐待するという親のもとにね。A氏:子どもに悪影響を与えるとそれはその家庭の自己責任かね。 国家の運命を決める教育が、個々の自己責任論で放置される。 だから、ここで親の意識が高く、地域社会が対応できるところの子どもは対応できるがそうでないところは、学力は低下して格差になる。 要するに、「ゆとり教育」は不公平な押付けシステムだったんだね。 それが国家的な問題になってしまった。 日本では掛け算は九九でやるが、インドは二桁どうしの掛け算まで小学生がすらすらできる。 それはインドの親の個々の選択ではないはずだ。 だから、インドの数学力が今、国力になっているね。私:それでもう一つ、知的興味をひいたのはワタミ社長の発言だね。 彼は詰め込み教育がよいか、ゆとり教育がいいかは学校が教育の特色を打ち出せばいいので、それを親が選択すればいいという。A氏:教育の市場化だね。 教育の商品化だね。 また、商品を選ぶ親の自己責任という点は「ゆとり教育」と同じ発想だね。 それに気がついていない。私:市場の公平とは、売るほうも買うほうも同じレベルの知識をもっているということだよ。 問題は買うほうだよ。 買うほうの親に格差があるとき、その市場は公平でないね。 公正取引委員会では反対するだろうね。 ワタミ社長は、教育の市場化に賛成だから、教育バウチャー制で親が学校を選べば、ダメな学校は良くしようと努力する。 あるいは、ダメな学校は淘汰されると考える。A氏:問題はダメな学校に残るしかない子どもはどうするんだね。私:大竹まことがいいことを言っていたよ。 そういう学校の子供は切れる子どもばかりになる。A氏:暴力学校になるかもね。私:たけしが最後にうまいことを言っていたね。 たけしが子ども時代には、できる子どももできない子どもも同じクラスで勉強するから、自然にできる子とできない子が生まれる。 そうすると、自然に子どもはできる子を認めるし、自分の位置を覚る。 それで力の差を納得する。 ところがその場をなくすと、「あいつらなんだ」となるだろうという。A氏:社会不安の問題となるね。 これは君が所得格差問題で扱っているのと、状況が似ているね。 労働力が市場での商品となる。 労働者と経営者が市場で労働力を売買する。 労働者は自分な好きな働き方を選択できるはずだ。 経営者は自分の好きな労働者を選択できる。 だめな労働者や経営者は淘汰される。 それは個人の自己責任だ。 だから、努力せねばならない。 それによって社会的な効率は上がる。 今度は労働力でなく、教育が市場で売買される。私:しかし、実は市場での労働者と経営者は同じ力関係にない。 だから、政府が労働者保護として経営者を規制して公平を保とうとする。 労働基準法と基準監督署の設置だね。 この規制を緩和して、市場を自由化する話は前提からして不公平だね。 教育も商品化し市場化して、親の自己責任で選択できるという考えも似ているね。 教育の失敗も自己責任だね。 しかし、買い手は正しい選択をする力も経済力も公平に持っていない。 しかも、教育の選択に失敗したら親の問題でなく、責任のない子どもの一生に影響与える。 それどころか国家のレベルにまで影響を与える。 国全体としてレベルが低下する。 藤原国彦氏が「国家の堕落」で教育の商品化に反対していることも理解できるね。 ワタミ社長という人はよく知らないが、このテレビでの発言を聞いていてガッカリしたね。 教育再生会議は、教育商品化会議なのかね。 どうしても教育バウチャー制をやりたいのかね。 これもホワイトカラー・エグゼンプション同様、なれない英語が使われているね。 とにかく親や地域の自己責任にするというのは「ゆとり教育」と同じだね。「ゆとり教育」同様、失敗は明らかだね。
2007.01.24
コメント(0)
私:昨年の朝日新聞で、07年の年賀状は郵政公社の合理化で遅配が予想されるとしていたが、そう大きな問題にならなかったようだね。 しかし、こないだ朝日新聞の報道では12月ギリギリに出した賀状は1月になってかなり遅れたらしいね。A氏:俺は同じ市内にいる友人に年賀状を12月31日に出したが、着いたのは1月9日だったね。 郵政公社はトヨタ生産方式で合理化を強化しているというが、そのせいかね。私:今週の週刊現代でもとりあげているね。 今年は合理化でアルバイトを中心に処理したらしいね。 大体、トヨタ生産方式には平準化といって、できるだけ、仕事の波をなくすことを基本にしている。 今日は残業、明日は昼間はヒマというのは効率が低下する。 平準化がいちばんいい。 こういう年末年始に集中する業務には弱いのかもね。 年賀状は1日2億枚の処理能力だということだね。 これを超えるとパンクして遅配となるらしい。A氏:それだけ、コストをかけて郵政公社はペイするのかね。私:利益は出ているのじゃないの?A氏:しかし、年々、年賀状は減っているのではないの?私:そうかもしれないね。 俺の同期会では年賀状廃止を3、4年前に決めたよ。 それ以来、Eメールだね。 最近の年賀状はパソコンでプリントするから、味気はないね。 昔のような手書きの味はない。 形式化、大量生産化してきたね。A氏:2億枚のはがきを無意味に使っているような気がするね。 環境にもよくないし、何かムダな気がするね。私:まあ、年賀状を正確に受け取るという欲望に対して、正月なのに休まないで2億枚の処理に追われている時給のアルバイトの姿を同時に考える必要があるね。 我々の便利さの裏に常に労働の変則化があるね。A氏:コンビニで便利だが、深夜のアルバイトかパート労働が裏にあるね。 そして、24時間、電灯は煌々と点灯している。 環境にもよくないね。 そういう犠牲の上に便利さがあるんだね。私:我々の便利さの欲望は、残業なしで早く家に帰って、子どもと遊ぶという方向と逆のものを、それを供給する労働側に要求しているような気がするね。 環境にもやさしくない方向だと思うね。
2007.01.23
コメント(0)
私:昨日だと思うがBSデジタルだと思うが、「無印良品」の会社の社長インタビューをやっているのを見たよ。 今、景気は回復したというが、消費の伸びがよくない。 その中で健闘しているのが「無印良品」だというのでテレビで放映していた。 興味があったのは、残業は確か夜7時までで、7時になるとオフィスの電灯は消える。 その真っ暗なオフィスのシーンを放映していたね。 その理由を社長は皆元気がなさそうな顔色をしていたので、元気を出すように強制的に残業を制限したという。A氏:残業問題は経営者の考え方が大きく影響するね。私:俺も工場にいたときは、よく水曜日は定時の日だとして、残業をなくしていたことがあったね。 それから、今日はよくテレビを見たが、まず、TBSの朝6時からの時事放談を見た。 カーティスさんと前宮城県知事の浅野さんが出ていたね。 興味があった発言は、浅野さんは正社員と非正社員が同じような労働で、給与が違うのは格差でなく不公正だと言っていたね。A氏:不公平が結果的に格差になっているのではないの?私:そうだね。 それからテレビ朝日のサンディープロジェクトは出だしに田原総一郎氏がフジテレビの「あるある大事典」の納豆がダイエットに効果があるのはインチキだったという番組捏造をとりあげていたね。 このとき、不二家の例にもふれていたね。A氏:サンディープロジェクトは俺も見た。 レギュラーコメンティターの財部氏が「不二家に対するマスコミのバッシングは異常だ。十年前の問題までとりあげ、まるで雪印の二の舞で会社がつぶれるのを面白がって期待するような報道だ」というようなコメントを言っていたね。私:俺もそう思うね。 食中毒は10年くらい前のことらしいね。 ところで、このサンディープロジェクトでは田原氏が与野党からの出席者の討議で、盛んに格差問題をとりあげ、先送りになったホワイトカラー・エゼンプション制度に対する政府の動きを批判していたね。A氏:日本人は働きすぎだから、この法案で残業を減らして、家に早く帰り、家庭生活を楽しむべきだと言う安部総理の発言が見当違いであることはますます明らかだね。 労働形態の多様化して、働く人の選択肢を増やしたいというが、世界的な労働市場の格差の圧力で労働者の選択肢として使われるよりも、経営者の人件費の抑制に都合よく使われるが落ちだろうね。私:今、2005年に刊行された岩波新書の「働きすぎの時代」を読み出したんだが、実は、アメリカでは1980年代から日本はじめ他の国々との競争の激化に直面し、乗っ取りや大型合併が続く。 そして、猛烈経営がひろがってきた。 1990年代になるとパソコン、携帯電話、Eメールが仕事を楽にするよりむしろストレスを増大させ、私生活への仕事の進入をもたらした。 俺たちも新幹線ができてから大阪出張は日帰りになって、かえって労働強化になったね。A氏:そういえば、数年前から外国に行く人は、よく言うね。 欧米のビジネスマンが飛行機を待つ間に携帯電話をよくしていたり、飛行機内でパソコンをやっていたり、書類を広げたりしているという。 「日本人は働きすぎだ」というのは昔話だという。私:そうなんだね。 日本の風土病のように言われている働きすぎがアメリカでは1990年代からひどくなっている。 この頃、「働きすぎのアメリカ人」という本や、「窒息するオフィス 仕事に強迫されるアメリカ人」(原題は「ホワイトカラー・スウェットショップ:搾取工場」)という本が出ているね。 先進国では、1980年代初めを境に、それまでの緩やかながら着実な時短の流れが止まり、再び働きすぎにへと向う流れが強まってきた。 新市場原理主義のせいかね。A氏:この討議で田原氏がこの1時間ほど前のNHKの9時からの放映を見たらしく、それについてふれていたね。私:俺はNHKのほうはちょっと見た程度だけど、中曽根さんがフリードマンの新市場原理主義に批判的だそうだね。 藤原さんの「国家の堕落」の影響かね。 この本で分かったんだが、ホワイトカラー・エゼンプション制度は、2003年5月の政府の規制改革会議の基本方針にすでに載っていたんだね。A氏:底流はあったのか。私:知らないうちにいろいろな変化がアメリカ化に向って進んでいるんだね。A氏:それを考えると敗戦後のアメリカ文化の到来はたいしたことはなかったね。まさに、戦後60年たって本当の敗戦である「国家の堕落」となったのかね。
2007.01.21
コメント(2)
私:これは文藝春秋の「日本の論点」編集部がまとめたものだね。 下記の表のように11種類の格差をとりあげている。番号格差名内容1雇用格差正社員か非正社員か2会社間格差大企業と中小企業3所得格差ワーキングプア4資産格差億万長者と借金地獄5教育格差金が子どもの偏差値を決める6自治体格差住民サービスの優劣7治安格差犯罪多発地域の増加8対災害格差耐震安全地帯と危険地滞9医療格差金で購う命と健康10結婚・出産格差生みたくても生めない人たち11老後格差介護付老人ホームか孤独死かA氏:俺もこの「格差の予測」は読んだよ。 しかし、もともと、俺がこの2月号を買ったのは例の「硫黄島の栗林中将の衝撃の最後」というのを読みたくてね。 しかし、ネタばらしになるのでこの話題は避けよう。私:まず、「1.雇用格差」だね。 非正社員の増加が社会的危機としてあまり認識されていないのは、彼らの多くは経済的に余裕がある親と暮らしているからで、10年後にその親の経済的な余裕がなくなるときに破綻するという。A氏:しかし、2も3も所得格差になるのではないの?私:そうだね。 ちょっと、違うのは「4.資産格差」だね。 これは、「超・格差社会 アメリカの真実」では資産格差はアメリカの特徴で、日本ではあまり格差がないという。 しかし、現実には内閣府の調査によれば日本の資産格差は所得格差よりも拡大しているという。A氏:日本もアメリカ同様に親代々からの資産階級が生まれつつあるのかね。 両極化だね。私:5.も所得格差が原因だね。 教育バウチャー制度になれば、学校を選択できる自由は、金のある者ほど優位だね。 教育格差を拡大するね。 6.も夕張市のような状態に陥ったら、金があれば逃げ出せばいいということになる。A氏:7.8.9も背景に所得格差があるね。私:少子化で問題になっている10の問題も生みたくても生めないという所得の問題があるね。A氏:最後の11.も所得か資産格差だね。私:まとめると大きく資産格差と所得格差になるね。 今後の日本社会がどうなるか。 恐ろしいのは、これら格差が拡大し、知らない間に階層が固定化することだという。 「十年後、あなたはどの階層に属しているか。その選択肢は、今、目の前にある」でこの特集は終わっているが、君の十年後はどうだね。A氏:介護付老人ホームにはいるほどの資産はないから孤独死か。 選択できるほどの金はないね。 宝くじでも当てるかね。 昔から地獄の沙汰も金次第と言っているね。私:選択の自由も金次第か。 金がものをいう市場では、金があるほど、選択肢が増えるね。 機会の平等ではないね。
2007.01.18
コメント(6)
私:御手洗日本経団連会長は経済成長がなければ日本は「絶望の国」になるとして「希望の国へ」として日本の再生計画を提言しているね。 ここで、アメリカと違って日本人は団結心が強く、組織内のコミュニケーションがとても良い、教育投資が蓄積されやすい。 だから終身雇用は維持するが年功序列は廃止するという。 A氏:しかし、君が格差問題に知的興味を持ったきっかけは松下やキャノンの非正社員の比率が50パーセントを超えそうだということにあったのではないの?私:だから、大きな矛盾があるので、言っている意味がよく分からないね。 非正社員が半分くらいなら、団結心が弱く、組織内のコミュニケーションが悪く、教育投資が蓄積されにくいのではないの? ホワイトカラー・エゼンプション法を推進する同氏の意見だって、意味が分からないしね。 ものごとの明暗を見抜ける相対的な思考がないような気がする。A氏:キャノンは年功序列を廃止して職務給の導入はしているようだね。私:それに分からないのは、経済発展のために企業のイノベーションが必要だと言っているが、どういうイノベーションがあるのかね。 これもまたカタカナ英語だね。 今、並行して野口悠紀雄著「日本経済は本当に復活したのか・根拠なき楽観論を斬る」を読んでいるんだが、野口氏は、経済が回復したのは認めるが、新しいビジネスモデルの展開による経済回復でないという。 だから、本当の回復でないというわけだ。 この新しいビジネスモデルの一つが御手洗氏のイノベーションなんだろうね。 野口氏は経済回復の内容を製造業で見ると一部の業種(自動車、鉄鋼、石油・石炭)に偏っており、これからの産業である情報通信機械、電気機械は減少している。 そして、原油価格と素材の高騰を製品価格に転嫁できたのが鉄鋼、石油・石炭の利益増加の原因で構造的な利益増加でないという。 最近、この製品への転嫁がきかず、経済成長は下がっているようだ。 A氏:御手洗氏はどういうビジネスモデルを描いているんだろうかね。私:具体的なものはないね。 それから、道州制にすることを強調しているね。 その例として宮崎県では投資額が限られているが、九州という道州制にすれば、いろいろ大きなことが宮崎県にできるという。A氏:でも、では夕張市は北海道という道州制みたいな組織の枠内なのになぜ、援助できないのかね。 暗い部分を直視していないね。 大きいほどいいなら、国の補助金制度のほうがもっと金は出るのではないの?私:「日本経済は本当に復活したのか」では野口悠紀雄氏は逆に、新しい産業構造では組織が小さいほど効率的だと言っているから逆だね。 野口氏は人口400万人のアイルランドの例をあげている。 以前は、アイルランドは貧乏な国で有名だった。 「アイルランドの主要輸出品はアイルランド人だ」と言われたほどであったという。A氏:クリント・イーストウッドもアイルランド移民の血を引いているね。私:そのアイルランドの一人当たりの国内総生産が、最近日本を抜いたという。 現在、一人当たり国内総生産が日本より高い国としては、ノルウエー、スウェーデン、デンマーク、スイス、ルクセンブルグ、アイスランドなどがあるという。 日本がイギリスに抜かれるのも時間の問題だという。 イギリスはブレア政権で福祉もよくなった。 一方、ドイツ、フランス、イタリアなどの産業国家の地位も下がったという。A氏:何故?私:産業構造の変化だね。 90年代になってITが経済活動をリードするようになった。 伝統的な製造業は、中国や東アジア諸国に移る。 会社側は儲かるが、日本国内の労働市場は厳しくなる。 だから、大企業の役員の給与は上がるが、労働者の給与は下がる。 市場原理主義のグローバリゼーションだね。 こうなるとITを先取りした「小さな国」が有利だという実態となるね。A氏:日本は森内閣のとき、ITで大分、騒いだがどうなったんかね。私:あまりパッとした効果は出ていないようだね。 経団連はどういう評価をしているのかね。 それにしても、法人税を下げること、消費税を上げること、賃金を下げることについては明確な具体提案はあるが、将来への希望を託す新しいビジネスモデルによるイノベーションについては抽象的だね。 そこに野口氏が指摘する問題があるね。 グーグルみたいな新しいビジネスモデルがあるのかね。 経営者はけちけちして庶民をしめあげる節約で自分の報酬をあげるよりも、新しいビジネスモデルの構築のほうに力を注いで欲しいね。 そのほうが「再生日本--希望ある日本」の期待がもてると思うね。
2007.01.17
コメント(6)
私:この小説は、短編でスラスラ読めたね。A氏:小林氏と言えば映画化もされた「博士の愛した数式」で有名だね。私:海外に翻訳されている作品も多いという。 この小説の主題はある標本を作る会社の話だ。A氏:標本って、昆虫かなんかの?私:それが変わった標本で楽譜に書かれた音、愛鳥の骨、火傷のキズ跡など思い出を残すもので再び会うこともないものだね。 その標本技術士の男と主人公の若い女性の2人が中心の小説だね。 例によって、外部の社会的な話はほとんど出てこない。 不思議な世界に入った感じだね。 唯一、社会的な場面は、最初、主人公の女性がサイダーの工場に勤めているところだ。 ここで主人公の女性がサイダーを溜めたタンクとベルトコンベヤーの接続部分に指を挟まれる。 左手の薬指の先の肉片がサイダーのタンクに入ってしまったというシーンがあるね。 血がタンクに入りサイダーを桃色に染める。A氏:ちょっと、考えられない事故だね。 それにすぐに監督官庁に届けないといけないね。 たしか法律でそういう事故は防止できるようになっているはずだがね。私:タンクとベルトコンベヤーの接続部分にカバーをかぶせ、カバーを外すと機械が停止するか、停止していないとカバーが外せないようになっているとかね。 そのほうに話を持っていくと、会社が赤字でそういう安全装置に金を惜しみ、管理が不備であったとかいうような社会小説に発展するね。 この小説は、その方向にいかない。 この指先の切れた薬指は別な象徴的な標本の話に展開する。A氏:食品加工と言えば、会社が赤字の食品メーカーの不二家が品質管理で問題になっているね。私:おっと、話題を変えたね。 新聞報道ではまだよく原因がわからないね。 これもきっかけは、内部告発のようだね。A氏:品質管理が問題だということかね。 しかし、今日の読売新聞では、経済産業省の北畑隆生次官は15日の記者会見で、不二家が品質・環境管理の国際規格「ISO(アイエスオー)」の認証を受けていたことについて、「非常に問題がある」と述べ、さらに、企業などにISOを付与する民間の認証機関を認定する団体である「日本適合性認定協会(JAB)」に対し、どこに問題があるのか調べるよう要請したことを正式に明らかにしたとある。 君の日記では、以前、パロマやシュレッダーでISO(アイエスオー)が登場していたね。私:不二家でも金をかけてISO(アイエスオー)を取得しているのに、なんでこういう結果になったのかの説明がないね。 これは環境問題でもISO(アイエスオー)を取得しても法令に違反して環境汚染をしていたのと同じだね。 原因は、おそらくISO(アイエスオー)のシステムが膨大な書類の形式化で終わっていたことだろうね。 それから、核兵器の開発に転用可能な三次元測定器を無許可で輸出したいたというミツトヨも品質・環境のISO(アイエスオー)をもっていたが、認証を辞退したね。 エンロンの粉飾決算の対策として膨大な書類作成で内部統制という対策を考えたSOX法も、同じ運命をたどるだろうね。
2007.01.16
コメント(0)
私:昨日の午前中のテレビを見ると、フジの報道2001とテレ朝のサンディープロジェクトでホワイトカラー・エゼンプションをとりあげたのを見たよ。 このブログでもホワイトカラー・エゼンプションは12.30、01.08、01.12と、一つの街道になってしまったね。 ようやくマスコミでとりあげるようになり、国民の関心が高まるだろうが、まだ、正確な説明ではないようだね。 A氏:俺も見たよ。 報道2001では、竹村健一氏が、この法律の実施を機に、仕事のムダを省いて残業をなくし、生活の質を高めるべきだとさかんに主張していたね。 日本人は仕事のムダが多いから、残業が多いのだという主張だね。私:そういう話は、製造業にいた俺たちの若い頃にあったね。 当時からアメリカの現場は5時になると作業者はさっと仕事をやめて帰るという話が一般的だったね。 仕事が途中でも放り出して帰るという。 日本の現場は切りのいいところまではやる。 ところが、当時、アメリカに行ってきた社長が、「確かに現場はそうだが、技術部門などは夜遅くまで電気がついていて遅くまで残業をしていた」と言っていたね。 竹村氏は、当時のアメリカの現場の中間層をイメージしているのではないのかね。 定時で帰って、家族と余暇を楽しむという姿だね。 その中間層が格差拡大で崩壊したのはその後だね。A氏:欧米人は労働を苦痛だと考えるから、早く定年になって、年金で悠々と自分で好きなことをやることを好む。 労働観が違うね。 日本人は勤勉だという世界的な評価を得るね。 それが日本企業をこれだけ成長させた面もあるね。 もっとも、トヨタは「動いているが働いていない」と区別する。私:入社して10年くらいたった頃かね。 あるとき、アメリカ人が工場に来た。 定時後のラインを案内したら、2、3人、ラインリーダーが残業で明日の準備みたいな仕事をしていた。 早速そのアメリカ人はその残業はムダだと指摘していたね。 当時、ITが進んでいなかったのでCADなどなく、設計はまだ、ドラフターというので手書きで図面を描いていた。 ところが当時からアメリカの設計者はスケッチ図だけ描く。 ドラフターで清書するのは図面工というブルーカラーの仕事だったね。 日本の設計者のほうが貴重な時間をブルーカラーの仕事に費やしていたことになる。 だから、当時、ドラフターに向って夜遅くまで図面を描いているのを見ると、高い図面コストだと思っていたよ。 竹村氏の言う意味なら「ホワイトカラー生産性向上促進法」とすべきだよ。 順序が逆だよ。 その強調が一切出てこない。 もっともこの図面描きがIT化してCADになってから中国でも安い賃金で描けるようになっているね。A氏:しかし、今でも労働基準法に新技術の研究・開発、デザイナー、ソフト開発、企画立案業務などにはすでに裁量労働制があり時間に縛られずに働くことができるようになっているね。 その手続きが面倒なら、簡素化した改訂で済むのではないかと思うね。 なんで英語を持ち出すのかね。私:実は、裁量労働制では深夜労働には割増賃金が必要なんだ。 本音は、この割増賃金をカットしたいのではないかと言う話だね。 こういう裁量労働制と関連した議論がきちとと出ていないな。A氏:サンディープロジェクトではなんとか大臣は残業割り増し率とセットでホワイトカラー・エグゼンプション法案を考えているという。 なんでセットだと問題ないのかね。 ますます、残業ゼロの人は損するではないの。 その大臣の説明をレギュラーコメンティターの草野氏はそれでわかったと言っている。 何がわかったかね。 残業代の賃率があがって、従来の残業が続くなら、サービス残業はますます増えるほうに圧力がかかるだけだね。私:新聞で御手洗日本経団連会長が「多様な働き方の一つとして、ぜひ採り入れたいので承認してもらいたい」とあったが、すでに裁量労働制はキャノンでも行っているのではないかね。 それに第一、何か多様な働き方の一つと言って、労働側に選択の自由が拡大するようなことを言っているが、本来、雇うほうが強者だよ。 だから、雇用保護の基準法の規制がある。 それに今はグローバル化で労働市場は買い手市場だよ。 労働の選択の自由はむしろ強者である企業側にあり、労働者側にない。 企業側は鬼に金棒だね。 経営側の押付けとなりやすいね。 本人の合意が必要だと言っても、買い手市場だと押付け合意になりやすい。 説明にそういう配慮やバランス感覚がないね。 御手洗氏の話でも「ホワイトカラー生産性向上促進法」的な話も家に早く帰るという話も一切出てこない。 安部総理と説明が違うね。A氏:今朝の朝日新聞で資生堂では店頭販売のビューティコンサルタントの売り上げノルマ廃止についてふれているね。 前田社長による目標管理の見直しだね。 一時的な売り上げ減は覚悟だと言う。私:「多様な働き方」というのは本来、従業員を働きやすくし、知恵を出さすようにして、生産性があがるように経営者が提供すべき問題ではないの? 労働者の賃金が減っているのに、役員報酬は上がっているのだから。 役員は報酬に合った知恵を出すべきだよ。 例の「成果主義がソニーを崩壊した」の記事を受けて、今月の文藝春秋は「ソニー神話を壊したのは誰だ」として立花隆とソニー中鉢社長の対談を取り上げている。 結局、経営者として社内カンパニー制をやめたという。 成果主義そのものは廃止しないが、一定期間に少ない投資でどれだけ利益をだしたかという経済付加価値の成果評価はやめたという。A氏:長期的な研究投資はしなくなるものね。 GEの真似をして導入した有名なソニーの従業員向けのシックスシグマも見直しをしているようだね。私:資生堂やソニーのように経営者が多様な経営をしてもらいたいね。
2007.01.15
コメント(4)
私:昨日夜9時前頃、なんとなくBSチャンネルを回していたら、BS日テレで財部ビジネス研究所の番組の最後のほうが眼に止まった。 吉野家の安部社長のインタビューの最後のほうだった。 アレッと思ったよ。 A氏:何故?私:日研ビジネスの吉野家の安部社長とブックオフの橋本社長の対談を読んだ直後だったからだよ。 偶然のタイミングだね。 この二人とも、それぞれの会社のアルバイト、パート出身だね。 日経ビジネスがこの対談を企画した趣旨は、格差問題で「正社員でないと将来を展望できない」という悲観論に対して、出口をさぐるためだという。A氏:二人がアルバイト、パートから抜け出してきた共通点があるのかね?私:二人とも名を成そうと張り切って、アルバイト、パートになったわけではないんだね。 安部社長は音楽で生活できればハッピーという、要するに能天気な若者だったという。 実家が事業をやっていたから、漠然と家業を継ぐことを考えていたという。 橋本社長は、専業主婦が三食昼寝付きという夢の世界に飽きたのがきっかけという。A氏:どこが出口だったんだろうね。私:橋本氏がパートのとき、「ここの棚を1つだけ変えておけば、明日売れるのにな」と思うが、それをやると「橋本さん、パートなのに、なぜ遅くまで働くの?」と言われる。 しかし、「パートだから、何もやっても一緒」とは思えなかったと言う。A氏:安部社長のほうは?私:これはBS日テレのインタビューのほうが明快に言っていたが、自分の好みを優先にするのでなく、とりあえず、与えられた目先の仕事に全力を尽くす。 そうすると結果として自分の本当の長所、短所が見えてくるという。 お二人ともとりあえず目の前の仕事に積極的に立ち向かったんだろうね。 脳が積極的に働くかどうかだね。A氏:養老孟司氏もいっていたね。 自分のやりたいこと、個性にあったことを探すというのはおかしいとね。 それはみつけていくもので最初からあるんだというのは錯覚だとね。 つくっていく部分があるものなんだね。私:吉野家も肌があう人はいろいろ研究し、勉強している。 とてもついていけないと思う人は短期間でやめているという。 両極だという。 安部社長は、アルバイトのときに吉野家の雰囲気に肌が合ったというね。 ブックオフでもアルバイトが本当に店舗をよくしようと考えているのと、早く帰って遊ぼうと思っているでは店内の雰囲気がまったく異なるという。A氏:リーダーと店員の考えがいかに一体化しているかが、ポイントだね。 好業績のダスキン清掃の小山社長も同じことを言っているね。 しかし、二人の成功談は、ワーキングプアなどの人たちの出口になるだろうか。私:成功談というのは、一般性がないことが多いからね。 政治・経済の大きな時の流れには個人はどうしようもないときがあるからね。 それに、あまり貧すると鈍するからこわいね。A氏:しかし、まったく出口がないわけではないかもしれない。 とりあえず、目先の仕事に前向きに集中するしかないかね。私:それから、お二人に共通しているのは、店舗で働く人材育成が最優先だということだね。 特にコミュニケーションだね。 それから経営者としては危機感を常に持っていることだね。 安部社長はBSのインタビューの最後に座右銘として「人間万事塞翁が馬」を色紙に書いていた。 失敗の原因を過去にさかのぼると、いいときの驕りが原因になっているという。A氏:しかし、こういうカリスマ的な経営者が会社を引っ張っているとき、次の経営者が同じカリスマで引っ張っていけるかだね。私:その人材育成も今の経営者の役割だろうね。
2007.01.14
コメント(2)
私:3年位前からかね。 細君が郵便配達夫の配達順序が変わったというんだね。 俺の家の前は4メートルくらいの道路があり、これをはさんで両側に住宅が並んでいるんだが、以前はこの道路をギザギザにバイクを走らせて配達していた。 それが、一旦、向かい側の家並みをずっと配り、それからまたユーターンして俺のうちのほうの家並みを配達するようになったというんだね。 A氏:なるほど、ギザギザより、直線的に配達し、ユーターンするほうが、運転距離が短くなるからかな。私:そうかもしれないね。 チリも積もれば山になるで、配達時間が短くなるし、運転時間も短縮、ガソリン代も浮く。 郵政公社がトヨタ生産方式を導入し出した頃からだから、その影響ではないかとおもったね。A氏:いわゆるカイゼンだね。私:それから俺の近所のポストの集配が一日4、5回だったのが2回になった。A氏:それではサービス低下ではないの?私:ところが娘がいる大きなマンションの玄関にはポストが新設されたね。 まあ、俺の家の近くのポストは近所に郵便局があるし、住宅街だから投函数は多くないと思っていたがね。 何かムダをなくすことを考えて、小さな積み重ねだが実施しているようだね。 こういうように仕事のやり方を改善すると、同じサービスをしても時間が減るので、従来の残業が減る。 さっきの集配を減らしたのだって、夕方の集配がなくなっているから、残業をなくすには効果的だね。A氏:そういえば、先日(1月8日)の朝日新聞の天声人語で、お役所仕事だった開票作業を速くするというカイゼンを紹介していたね。 長野県小諸市は昨年の知事選で開票所のレイアウトを一新し、作業台も10センチ高くし前回の半分以下の34分で終わったという。 福島県知事選では、開票作業を相馬市が職員を2割減らしながら前回の61分を25分に短縮した。 新開発の技術などなく、集票容器の色分けなど小さなカイゼンの積み重ねだという。私:投票は夜やるからどうしても残業になるね。 だから、仕事のやり方を変えない限り、残業時間は同じだね。 同様に残業代をカットするといっても仕事のやり方を変えないかぎり、時間は同じだね。 家に早くは帰れないのは同じだよ。 残業代カットはサービス残業の強制となるだけだ。 フェアではないね。A氏:ところで昨日の新聞によるとホワイトカラー・エグゼンプション案(残業代ゼロ法案)を政府は通常国家に出すという。 年収条件は900万円以上だという。 そして、すでに管理職など年俸制になっている人など除くと、実際に制度ができて企業が適用するのは2万人程度と見ていると報じている。私:ますます、なんでこの英語システムを急ぐ必要性があるのかわからなくなったね。 アメリカの圧力だというが、また、市場原理の押付けかね。 アメリカでは残業は増大しているらしいね。 少子化対策でないことは明らかだが----。 労働側は全面的に反対だしね。A氏:与党内でも将来の年収低下の不安、対象者のイメージがわかないという批判も出ていると言う。私:日本が遅れているというホワイトカラーの生産性向上のためではないようだね。 トヨタは成果主義をとっていないが、それは部下の仕事の問題の原因の半分は上司の問題だと言っているからだね。 それにカイゼンマニアのDNAを持つ会社だしね。 残業代をカットする前に、その残業をなくすカイゼンをしてしまうだろうね。 だから、トヨタは、今、競争に強いのだろうね。A氏:今朝の新聞では、厚労省の幹部は「ホワイトカラー休日確保法」とか「休日家族サービス法」とかすればよかったと言っているというね。私:カイゼンを先にして残業を減らすのが先なのが全然分かっていないのは、総理と同じだね。 残業代カットと関係ないね。
2007.01.12
コメント(2)
私:7日の日曜日にテレビ東京の「日高義樹のワシントンリポート」というのがあり、そこで日本の核武装化のテーマがあるのを新聞の番組欄で見た。 先日、核問題でアンテナを張っていたので、引っ掛かったよ。 知的街道では武侠都市につながるね。 当日、時間がとれないので、録画して今日見たよ。A氏:俺は見逃がしたね。私:例によって日高氏によるキッシンジャーのインタビューだね。 最近、キッシンジャーはイラク問題でブッシュ大統領の相談も受けたようだね。 まだ影響力があるようだ。A氏:キッシンジャーは日本の核武装は反対なのかね。私:日本は重要で、歴史もあるし、伝統もある国家だから、いつまでも安全保障を他国に頼ってはいないだろうという。 だから、ここ十年くらい軍備を増強し、核拡散防止の国際情勢のいかんによっては核武装をするようになるだろうと言っているね。 ただし、これはキッシンジャー個人の意見で、アメリカ政府の考えではないと言う。 日本の核武装にとって国際的な核拡散防止がやはり厳しい壁だね。A氏:防衛庁も防衛省になったし、軍備強化の動きはキッシンジャーの指摘通りかね。私:キッシンジャーは、核開発は、もう、すでに密かに準備していてもおかしくないと言っている。 しかし、北朝鮮問題で日本の政治家が核保有を言い出したのについては、キッシンジャーは見たくはないが驚きはしないと言っていたね。 この字幕の「見たくはない」という訳語がピンとこなくて、英語を再三聞きなおしたが、例のドイツなまりのせいか、英語が分からなかった。 あまり日本の核化には積極的な賛成をしていないようだね。 まぁ、特に新しい情報はなかったように思うね。A氏:そういえば、先日の日曜は、午前中はテレビを見ていたが、中曽根さんが出て核問題について言っていたね。 彼の考えは、日本はアメリカの核の傘の下に入るという考えだね。 だから、非核三原則でなく、「持ち込まない」を除く非核二原則が妥当だという。私:キッシンジャーは北朝鮮の核武装はあまりたいしたことがないとしているようだね。 しかし、北朝鮮の核問題や中国の軍事力の急速な拡大で、日本の長期的な安全保障の展望が迫られているようだね。
2007.01.10
コメント(2)
私:先週だと思うが、塩崎官房長官が記者会見で「センスティブ」という言葉を使ったら、記者から、「日本語ではどういうか」と聞かれて、窮していたね。 俺はこの英語は日本語の会話では使わないね。 念のために広辞苑をひくと「センスティブ」が載っているから、日本語的に使うこともあるのだろかね。 広辞苑では2つの意味がある。 「感じやすい・鋭敏」という意味と、「慎重に扱う」という意味だ。 塩崎長官がどういう話題のときに使ったかは忘れたが、後で「配慮して」と日本語で言い換えていたから、「慎重に」という意味だったようだね。A氏:わざわざ、英語で言うほどのデリケートな話題でないようだね。 私:君のそのデリケートも英語だね。 しかし、これはよく使うね。 広辞苑にもあるが、「デリケート」にも2つ意味があり「センスティブ」とまったく同じ意味だね。A氏:俺も「センスティブ」は使ったことがないね。私:世代的に違うのかね。 「デリケートなお肌」と言うかわりに「センスティブなお肌」というと現代的なんかね。 しかし、気をつけないといけないのは、「センスティブ」と「センシブル」の違いだね。 「センシブル」は広辞苑では「感受性が強い。敏感。鋭敏。」と「センスティブ」の最初の意味とほとんど同じだが英語では違うようだね。 「センシブルsensible」は「思慮分別がある」、「センスティブsensitive」は「敏感。感受性」という意味だから、まったく違うね。 注意が必要な英語だ。A氏:いずれにせよ、「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛する」という教育基本法改訂を推進した内閣だから、できるだけ、専門的な用語以外は伝統的な日本語を使ってもらいたいね。 政府のスポークスマンである官房長官は「美しい日本語」の模範を示してほしいものだね。 安部総理の新英語のホワイトカラー・エグゼンプション、教育バウチャーも同様だね。 こんな国民生活に重要な制度を英語で言うのは政治的「センスティブ」に欠けるね。 その点、明治維新で郵便制度を外国から導入したとき、「スタンプstamp」を「切手」と見事に訳した前島密は偉いね。
2007.01.09
コメント(3)
私:ホワイトカラー・エグゼンプションについての安部総理のコメントにはがっかりしたね。A氏:俺も知ったよ。 ぶら下がり記者からのホワイトカラー・エグゼンプションの質問についてのコメントしたものらしいね。私:俺はテレビで文字にまとめたのを見たよ。 新聞にはなかったと思うがね。 要するに、その論理はこうだ。 日本人は残業が多い。 このホワイトカラー・エグゼンプションで残業代がなくなれば残業がへる。 残業がへれば、家庭に旦那が早く帰れて、家族との時間がもて、子どもの面倒も見られるので少子化対策にもなる。 この論理には俺は唖然としたよ。 最初、ジョークかと思ったよ。 しかし、真面目な発言だね。 この論理でわかることは、何故、残業が発生するのか、ビジネスのイロハを知らない。 この人のレベルを俺の体験から判断して初めて明確に把握できたよ。 今まで、若いから多少の問題はガマンして応援する気持ちがあったがこれで吹き飛んでしまったね。 企業は市場の変動に備え、正社員の数を最小に抑える。 だから、仕事が増加すると、正社員の残業でまかなう。 人を増加するより安く済むからだ。 ホワイトカラー・エグゼンプションが適用されても、企業は収益確保のため、残業はゼロにしない。 経営側と労働側は対等でないから、ホワイトカラー・エグゼンプションは鬼に金棒だ。 経営側は残業を要求しても人件費はゼロだし、基準法の規制はないから、遠慮なく、残業を要求できる。 ホワイトカラーの成果主義など、事実上崩壊しているから、残業時間は延長方向に圧力がかかる。 今まで支払っていた残業代はなくなり、労働者の収入は減り、その分、企業の懐にはいる。 人員を増加しても、賃金の安い派遣社員の増加だ。 それらの未熟な派遣社員に対して、正社員は仕事を指示し、フォローし、管理しなくてはならない。 その面倒を見るための負荷で残業がまた増える。 残業をしたくなくても、せざるを得ない。 ホワイトカラー・エグゼンプションだといって残業をやめたら、会社業務はストップする。 そんなに企業競争は甘くない。 それでも抵抗して残業をやめ、家に帰って家庭サービスするホワイトカラーは、会社はクビにするね。A氏:ファーストフッドなどでは、店長は長時間労働で大変だそうだね。 店員はアルバイト中心だから、欠勤者がでるとカバーしないといけない。 それが残業になるね。 アメリカでは店長のホワイトカラー・エグゼンプションが問題になっているそうだね。私:すでにサービス残業という、一種の違法的なホワイトカラー・エグゼンプションが発生している。 これは労使が対等でないことを示している。 だから、放置すると長時間労働や違法な賃金不払いとなるので、労働基準法で規制されたのだ。 労働ビッグバンによるこの規制緩和は、その違法性を復活させる危険性もある。 安部総理は国民に対して説明が足りないというが、それは間違いで、国民の心配を直感的に感じていないだけだよ。 説明の必要を感じる感性がないだけだよ。 感じていれば、ホワイトカラー・エグゼンプションのコメントは、少子化対策の方向でなく、賃金カットや過労死防止のほうの説明にいくはずだよ。A氏:日曜の午前のテレビは時局ものをやるのでよく見るのだが、慶応大学にもどった竹中氏が登場したね。 そこで、規制緩和と格差は関係がないと言っているが、派遣労働の規制緩和は関係があると思うね。 その竹中氏すら、正社員と非正社員の賃金格差を修正すべきで、同一労働、同一賃金を急ぐべきだと言っている。私:竹中氏の自論に反して、規制強化の意見だね。 経営側は反対だろうね。A氏:そして、安部政権にはその対策の緊迫感がないと批判的なようだったね。 それに竹中氏は貧困層の対応も急ぐとしているね。 貧困層とはワーキングプアのことなのかね。私:それとサンディーモーニングのコメンティターがデータをもとに述べていたが、この数年で正社員の賃金も低下しているという。 成果主義の導入の成果かね。 しかし、逆に大企業の役員の給与は大きく上昇しているという。 そして、興味あるのは中小企業では、経営者の給与はダウンしており、それは従業員の給与のダウンより大きいという。A氏:中小企業では、経営者は自己の給与を削っても、従業員の給与を確保しないと経営自体ができない厳しさだということだね。私:俺の現場感覚でもそれはピンと来るよ。A氏:君が格差問題について知的街道で集中的に興味を持ったのは、キャノン、松下の非正社員が半分以上を占めるという異常さに敏感に感じたのがきっかけとなったのと同じだね。私:俺は安部総理の「再チャレンジ」と言う言葉に、一縷の望みを託していたんだが、このホワイトカラー・エグゼンプションのコメントで完全に望みを絶たれたね。 やたらに英語を使うセンスはやはり、教養の浅さを示すのかね。
2007.01.08
コメント(4)
私:北朝鮮の核実験問題で、日本の核武装が問題になっているね。 「持たず、作らず、持ち込ませず」の非核三原則が、何か最近「話せず」が追加になって四原則になったそうだね。A氏:それは国民への情報公開の原則に反するのではないかね?。 封建国家のように「知らしむべからず、よらしむべし」だよ。私:そこで、核武装や原子力開発の問題について、俺は専門的な知識はないが常識的なレベルでの知的興味が生じたね。 この本の筆者は肯定派、反対派のどちらにも安易にくみすることなく、ジャーナリストとして中間的な見地から論じていると言われているので、この文庫本を図書館で選んだよ。A氏:考えてみると日本は地球上ただ一つの被爆国だというが、その被害の後、60年の間に、すぐにでも原子爆弾を開発できる技術力を蓄積してきたというのは矛盾とも言えるね。私:原子力発電と原子爆弾の技術とは、まったく別物でなく、その境目は技術的に灰色なんだね。 だから、日本はその気になれば、すぐ核武装ができるという考えが出てきて当然なんだろうね。 敗戦後、早くも8年後の1953年に「原子炉築造予算2億3500万円」が国会で可決されているよ。 そして、アメリカの原子力発電の売り込みが背景に絡んでいるね。 アメリカの巧妙なシナリオがあったことをこの本は示唆しているね。A氏:なんで原爆反対派はやすやすと原子力開発を認めてしまったのだろうね?私:この本では初代原子力委員長になった正力松太郎氏の宣伝力を高く評価しているね。 正力氏は読売新聞の社主でもあるから新聞もキャンペーンに使うことができた。 力道山の街頭テレビ放送で有名な読売新聞系の日本テレビも活躍しただろうね。 日本テレビとCIAの関係はまた「日本テレビとCIA」という本があるね。 これには知的興味があるので、いつかは読みたいね。 話を「核」論に戻そう。 著者によれば、原子力平和利用を原子力の「光」とし、軍事利用を「影」とする二分法を採用し、自らがかぶった「影」の深さゆえに「光」を享受する特別の権利と義務を持つとする姿勢が一般的だったという。 だから、原子力開発への抵抗はなかったという。 当時、作家の大江健三郎氏も核兵器は否定しながら、核開発は賛成しているね。A氏:ところで原子力開発はアメリカの強力な支援があったのだね。私:もう、30年位前かな。 俺は一人で常磐沿線のある会社に仕事で出張したことがある。 特急列車の普通車が混んでいたのでグリーン車に乗ったら、ここもアメリカ人のグループ客で混んでいた。 隣りにその一人がいた。 片言の英語で聞いたら、十人くらいのGE社のグループで東海村の原子力発電のメンテナンスに行くのだと言う。 彼はそのチーフらしかった。 俺は、原子力ことは知らないから、「GE社では新人の教育に、現場実習をやらせるのか」と聞いたら、やはり、日本と同じようにいろいろな現場を実習させるということを言っていたね。 どっさり、マニュアルらしい書類を持っていた。A氏:当時はまだ、日本の原子力はアメリカ頼りだったんだね。私:驚いたのは清水幾多郎氏が1980年に核武装を提案していたことだね。 この本で知ったよ。A氏:彼は安保反対に学生とデモをしたんではないの?私:この人は転向が多いというが、きれいごとを言って、結局、弱者を助けられない多くの「戦後民主主義者」よりも彼のほうがよほど心優しい人間臭さを感ずると著者は言う。A氏:仕方なく「踏み絵」を踏む人だね。私:日本の原子力開発技術も独立性が高まった頃だと思うが、1999年に東海村のJCOの臨界事故が起きる。 地球上ただ一つの被爆国でありながら、一方で高濃度の核燃料を下請けのなれない作業者がバケツとヒシャクで扱わっていたというこの落差。 さらに、問題は、この事故でできた放射能に汚染された水の水抜き作業を誰がやるかだった。 危険な作業だね。 その決定は「会社が世間に迷惑をかけたのだから社員がそれを償う」という自主性のない「滅私奉公」だという。A氏:硫黄島の戦い、だね。私:原子炉の安全の改善向上も、それを言うと「それでは今までは安全ではなかったのか」という変な議論になりそうだというね。 日本陸軍が「言葉を奪った」のと似ているね。 ここでも、また、冷静な相対性思考ができないので、「話さず」を強制されてしまうのかね。 だから、憲法と同じで9条を守るといっているうちに強大な軍隊ができてしまった。 似ているね。 自衛と攻撃との境はグレーゾーンなのにね。 一筋縄でいかない深い問題を抱えているなぁ。 まぁ、日本の核武装は、技術的な問題よりも政治的な国際協定があるので、容易ではないだろうがね。A氏:いずれにせよ、君が今話してくれたような、そういう共通の事実認識くらいは、議論はしておくべきではないの?私:俺はそう思うがね。 しかし、それを言い出すと「それはダメ」と大声を出す大人がいるからなぁ。 人生いろいろだね。
2007.01.06
コメント(2)
私:12月29日の朝日新聞のオピニオン欄で「幸せを呼ぶ?労働ビッグバン」ということで、経済財政諮問会議の民間議員である八代国際基督教大学教授と労働側の立場に立った中野弁護士の討論が載っていたね。 A氏:俺も読んだが、真っ向から対立しているね。 矢代氏は労働市場がグローバル化で変化しているから、経済成長のため労働市場も変化しなくてはならない、だから改革が必要という前提だね。私:中野氏は労働側に立った改革になっているかが問題としているね。A氏:八代氏は、経済を活性化するために、労働市場の規制をどんどん、撤廃しようという考えで、正規社員の解雇規制の緩和、ホワイトカラー・エグゼンプションの導入、派遣社員の3年後の直接雇用義務の撤廃など、だね。私:要するに、中野氏が言うように、労働力を商品のように徹底的に市場原理で買うようになると、労働者の生活不安定や、労働の質の低下を起こすことになるという心配だ。 要するに労働という商品の質の低下だね。 経営側は労働者より優位の立場にあるから、労働という商品は自由に買い換えて、利益を追求できるというわけだ。 矢代氏は、企業が利益が出れば、労働者にも分配があるという。 しかし、そうはなっていないね。 キャノンの利益の増大は非正社員が5割を超えているというのと無縁ではない。 利益の一部はワーキングプアに象徴される非正社員の犠牲によるね。A氏:それに対して矢代氏は、労働者も市場で戦えとなるね。 正社員も安住できない。 だから、自分の労働力を市場の変化に対応して魅力ある商品として研鑽すべきであるとしている。 自己責任の登場だね。 その方向に政府は支援すべきで多様な生き方を選択できるようにすべきだという。 アメリカ型の市場原理主義のイデオロギーが明確だね。私:タクシーの運転手はどのような技能を獲得して、もっと売れる市場に自分を売り出すのかね。 どういう自己責任があるのかね。 技能というのは、そのようにころころ変わるものなのかね。 それに最近では、チーム活動で仕事が進むことが多いが、徹底的な個人ベースになるとその良さはなくなるのではないの?A氏:労働力は単純な商品でなく、生きた人間じゃないのかね。 仕事を通じて成長するし、人の潜在能力は大きい。 ノーベル賞をもらって田中さんだって、会社のチームの協力ガあったからだと言っている。 それを活用できない経営側の能力も問われるのではないのかね。私:当時の運輸省と喧嘩して、宅配便の労働市場を生み出したヤマト運輸の当時の小倉昌男社長の例もあるね。 運転手も大口配送から慣れないない小口配送に変わるので抵抗があったらしいが、会社の経営危機もあり説得に成功した。 「従業員の採用は学歴・経験不問の定着順」「賃金は年齢序列」「定年なし」を貫く中小企業が愛知県下にあるという。 世界的に競争力がある会社だという。 社長は「リストラで業績回復とは"粉飾決算"と同じ」と言い、「会社は株主のもの」論を笑い飛ばし「なら、株主だけで会社をやってみろ!」と言う。 労働力を商品としてみていないんだね。A氏:「強い会社をつくりなさい」の小山社長の基本発想も労働は商品としてみていないね。 社長自らの人づくりを経営の基本においているね。 トヨタは「人材」と言わず「人財」という。 人は市場から調達する出来合いの材料ではない。 そういう世界のグローバル化に対して勇ましい日本的な経営者が増えないものかね。私:「超・格差社会 アメリカの真実」を書いた小林由美氏は、この本をアメリカで書くためにデータを集めていたら、アメリカ人の同僚が「なんでそんな役に立たない調査に時間をかけているのか」と不思議に思っていたとあるね。 徹底的な自己を高度の商品にする効率化だね。 ムダな努力はしない。 自己を商品として高く売るための努力に絞る。 徹底的な個人主義で金ばかりで味気ないね。A氏:「超・格差社会 アメリカの真実」に描かれた「超・格差社会」に向かうのかね。 同じ市場原理主義が地方格差にも出ているね。 地方経済がうまくないのは、地方の知恵がないからでその自己責任だというわけだ。 経済財政諮問会議の動きを見ると「美しい国」はそちらに行くような気がするね。私:今年の大きなテーマになりそうだね。
2007.01.03
コメント(3)
私:昨日は遠藤周作氏の講演をCDで聴いたが、今日は、小野田寛郎氏の講演を聴いたよ。 少年時代からの話だが、負けん気の腕白坊主だったのだね。A氏:例のフィリピンのルバング島で30年敗戦を知らず、生きていた人だね。私:遠藤氏と一年違いの生まれで、同世代の人だが、未だに元気で活躍されているね。 講演の題名は、当たり間のことなんだが、30年にわたるサバイバル生活をした人の体験だけに、重みがあるね。 服はボロボロになるが、それを繕う針が錆びて穴が欠けてしまう。 そこで鉄の材料や手持ちの道具でなんとか2日くらいかかって失敗しながら作り出す。 しかし、鉄の材料や手持ちの道具は、皆、他人が作ったものだ。A氏:他人に依存しているわけだね。私:小野田氏が30年もいたのは、彼は普通の兵士と違い、敵が攻めてきても生き残り、背後で情報収集を行い、反撃に備えるという役割を持っていたせいだね。 それとアメリカ軍の直接の投降勧誘が何か謀略のように感じたという。 本来、日本の司令官が来て、軍隊の解散を指示していたら、そんなに長くルバング島にこもっていなかっただろうという。A氏:若い冒険家の鈴木紀夫氏と遭遇したことが帰国のきっかけとなったね。私:日本に帰って、あまりにも個人主義的な風潮になっていたことを嘆くね。 そして、左翼からは軍国主義の象徴のように言われ、右翼からは勇敢さをほめられ、迷惑する。A氏:それで、そういう喧騒から離れたブラジルに行くんだね。私:若いときから事業家のセンスがあったようだね。 しかし、ブラジルに行くときも、恩知らずというような非難を受けたそうだね。A氏:確かブラジルでは牧場経営だね。私:数年かかって成功する。 そして日本への恩返しとして日本で小野田自然塾を始める。 現在もお元気のようだが、ここまでやってきたのは夫婦ともに健康だったせいだとその重要性を強調しているね。A氏:ルバング島で若いとときに、飲まず食わずのような生活を30年もしたのに、健康なんだね。私:いや、逆ではないかね。 その生活があったからサバイバルできる基礎的な体力ができたような気がするね。 以前、インドのインパール作戦の生き残りだという80才台の人に会ったけれど、実にしゃんしゃんしていた。 ものすごい飢餓との戦いで生き残った人だがね。 原始的な生活体験を若いときした人は強いのではないかね。A氏:昨日の朝日新聞の「生活欄」で「この手にこめて」というシリーズが始まったようだが、最初は「ぬか床」だね。 これを伝える宮下さん(31)は「手間をかけるものの素晴らしさは教えないと伝わらない。便利なもの、不便なもの。その両方を使い分けて豊かに生きて欲しい」という。私:同じコラムで、子どもの生活科学研究会代表の谷田氏が「子どもの手の機能はあきらかに衰えている」という。 簡単、便利、迅速な生活を追い求めて、達成するごとに、身の回りでどんどん手を使わなくなっている。 子どもは家事を手伝わないから、火や刃物など危ないものから遠ざけられる。 人は手を使うことで脳を進化させてきた。A氏:以前、養老孟司氏が東大で解剖を教えていたとき、学生が解剖ナイフをペンのように持つのでなく、突き刺すように持つので驚いたという。 いつのまにかそういう学生が生まれてくるようになったんだね。私:俺の孫は4才だが、できるだけ料理の手伝いをさせているね。 なんでも効率的な生活をして便利だけを追求していると、本質的な「人中心」の重要な生活を失うのではないかね。 なんでも市場原理主義のイデオロギーで効率を追求して、逆に人間らしい生活を失うのと似ているような気がするね。 この講演の題名とちょっと違うかもしれないが、小野田さんの自然塾もそれを子どもに教えているのだろうね。
2007.01.02
コメント(2)
私:格差知的街道の一つだが、この本はいろいろな右、左の考えを掲載して論争の全体像を知るために編纂された。 今年、最後の読書にふさわしいかもね。A氏:相対性思考だね。私:言われているような格差はないとか、あるとか、格差はあっても悪いことでないとか、17人のいろいろな意見が出ているが、対談と鼎談があるから、テーマは12だね。 このうち「ニート」について4テーマがあるが、これは労働していないのだから俺の知的関心がある所得格差問題とちがうね。 この本で小谷野氏が「不平等社会論とか『下流社会』とかそれを広めたのは新書版である。 ニート論争なるものは単に新書戦争の副産物に過ぎないのかもしれない」と言っている。 けだし名言だね。 この本では所得格差は拡大しているという認識は皆同じようだが、その原因で意見が分かれている。A氏:以前、所得格差を示すジニ係数というのがあって、それが1980年度くらいから上昇している、すなわち、格差が拡大しているという国会での野党の指摘があったね。 それに対して、それは人口の老齢化が原因という政府答弁があったようだね。私:それは、この本にもあるが大阪大学の大竹教授の意見によるようだ。 ただし、教授は同時に30才未満の層で以前に比べ所得格差が拡大しており、これは若年層のなかで失業やフリーターが増えたためと考えられるとしているね。 これがあまりクローズアップされていない。A氏:今年はバブル以来の企業の学生争奪戦だというが、「失われた10年」当時の新卒者の就職難、リストラや企業倒産による失職はすごかったね。これらの層は、その後、正社員になかなかなれない層だね。 ワーキングプァとなる一因ともなっている。私:ところが、これが人口の老齢化による格差拡大という理屈にかくれてしまっている。 だから、大竹教授は一時的な貧困に対し、そこから脱出する意欲を持ち続けることが可能な制度の設計が必要としている。 再チャレンジだね。 生活保護はもう這い上がれない人のためのものだという。A氏:タクシーの運転手を選んだ人はどうするというのかね。私:白波東大助教授の「みえる格差」と「みえない格差」は何を言っているかわからない。 仲正昌樹金沢大教授の「『規制緩和』と『格差拡大』は無関係だ」というのは、ホリエモン騒動に八つ当たりしたりして、左翼への攻撃だね。 灰色のものを左翼はクロだといい、右翼はシロの部分もあるという。 不毛の議論だね。A氏:右翼系の人が左翼を攻撃するときに、その言い方が左翼と似ているのはどういうことかね。 ちょっと、品がないときがあるね。私:「格差批判に答える---日本人よ、『格差』を恐れるな」は竹中平蔵氏に宮崎哲弥氏が聞き手となっている対談だ。A氏:竹中氏は市場原理主義で、シカゴボーイズと内橋氏から言われているではないの?私:竹中氏は否定しているが、どこがどう違っているかを聞いていないのであいまいだね。 それに格差の原因をITなどの技術進歩をあげているが、中国、インドなどの低賃金国との競争が日本では最大の格差原因ではないのかね。 竹中氏は「失われた10年」で賃金があまりさがっていないという。 それがここ数年、賃金は上がらなくなった反面、企業の利益は増えたのは、その調整だと言う。A氏:賃金は逆に低下しているのではないの? 格差拡大が竹中氏のいう調整だろうかね。私:機会の平等というけれど、タクシーの規制緩和で、失業しないでタクシーの運転手になれたという点はあるが、タクシーの運転手しか選択の余地がないとなると、機会の平等ではないだろうね。 しかし、対策は容易ではないね。 森永卓郎氏と二神能基氏の対談「一揆か、逃散か---格差社会と『希望なき時代の希望』」は多少、格差解消にあきらめムードだね。 スローライフや田舎に帰れとなる。 「『勝ち負け』の欲望に取り憑かれた日本」として佐藤俊樹東大助教授が不平等について述べているが、これは派遣社員などの問題の格差と論点が違うようだ。A氏:格差肯定論はあるの?私:一番、はっきり言っているのは、渡部昇一氏と日下公人氏の「二極化社会も悪くない---『金持ちは悪』という発想を捨てよう」だね。 格差は昔からあったというような観点なんで、今、問題になっているワーキングプァのような特異な現象の話ではないね。A氏:お二人とも保守的な考えの代表だね。私:最後の作家日垣隆氏の「『格差社会』なんか怖くない---サバイバルのための子育て術」があるが、具体的に自分自身の子育てを例に説明しているね。 しかし、今の経済の流れは個人レベルの抵抗では弱いような気がするね。 太平洋戦争で、世の中の流れがずるずると戦争に流れていったように。A氏:全般に登場している人は大学の先生が多いね。 生活は安定しているし、給与も良いね。 企業現場をあまり知らない人が多いように思うね。 現場感覚が問題なような気がするね。私:中堅、中小企業でもいいから経営者や人事担当の本音も欲しかったね。 国際競争に生き残るのは大変だからね。 しかし、一方では、仕事をしてくれる従業員のことも考えないといけないしね。 株主でなく、彼らが仕事をしてくれるのだから。 逆にリストラされた人、ワーキングプァの人の意見も欲しかったね。A氏:一方で企業活動の合理化、機械化で単純労働の増加があるね。 一方で、競争に勝つために知恵のいる高度の仕事も要求される。 労働の質の格差も急速に変化しているしね。私:そういう現場の声もほしかったね。 その点でこの本の相対性は不十分だと思ったね。 新書版ではムリかな。 しかし、この問題は教育問題とともに、来年の大きな問題になるかもね。 来年は、安部内閣を占う参議院選挙もあるし、多難な年だね。 本当に「美しい国」になるのか、「金と競争にまみれた堕落した国」になるのかの分岐点となる年になりそうだね。 とりあえず、いい年を迎えてくれよ。A氏:君もな。
2006.12.31
コメント(2)
A氏:君が派遣社員、偽装請負から知的興味をもってきた格差街道とその背景にある市場原理主義は、労働ビッグバンの一環として、いよいよ正社員の給与引き下げまで降りてきたね。 成果主義もその一種だね。 私:今回、何が登場したの?A氏:ホワイトカラー・エグゼンプションだよ。私:俺たちの若い頃、似たようなことを残業代の節減で企業側がよくやったね。 俺が工場に新人で入った頃、現場の班長たちは、百時間くらいの残業が当り前だったね。 当時は、高度成長の始まりだから、仕事は忙しく、残業は必要悪だし、残業が多い人は英雄視されていたね。 当時、入社早々だから、まだ、独身で独身寮にいたから、給料日前は金がなくなる。 そこで班長らに「何か3時間くらいの残業がないか」というと、すぐに探してきてくれた。 3時間残業なら、会社の費用で夕食は好きな店屋物をとれるからだ。 俺はいつも当時100円の「カツ丼」だったよ。 出前の若いのが、「あなたはいつもカツ丼だね」と言っていた。 それがあるとき、会社から「管理職手当て」をだすから、残業代は出さないとなった。 残業は悪となった。A氏:管理職手当て?私:課長などの組合に属さない人以外でも、班長など、長がつくものには、残業代を払わず、手当てで固定するというものだよ。 会社は増加しつつあった残業代を削減するために考えついたわけだ。 手当ては大体、30時間分くらいの残業に匹敵したから、総体では残業代は減ったね。 しかし、班長たちはむくれて「俺たちは残業代が欲しいために働いているのではない」といって、あいかわらず、残業していた。A氏:一種のホワイトカラー・エグゼンプションだね。 しかし、現場の管理的な職種だから適切でないね。私:だから、もし、こういう職種にホワイトカラー・エグゼンプションを適用するなら、今、もらっている平均的な残業代を基本給に組み込まないと、あくどい制度になるね。 しかし、当時、残業が悪だという目で見ると、当時は昼間から無駄が多いことに気がついたね。 無駄を省くと、定時間でも同じ仕事ができるようになった。 生産性はあがったね。 現場向けはそういう効果はあったね。 しかし、1年でこの制度は終わった。A氏:何故?私:労働基準監督署から、基準法違反で指摘されたんだ。 だから、ホワイトカラー・エグゼンプションをやるには、今の基準法が障害だ。 また、規制緩和だね。 労働者保護のね。 しかし、慢性的な残業をなくす効果はあったね。 しかも、当時は高度成長でベースアップがぼんぼんあったから、管理職手当てはベースアップで吸収されて収入減にならなかった。 しかし、これは製造業などの現場的な職種のことだね。 君のように、一時やていた研究的な仕事とは大きく違うね。A氏:俺は一時、研究所にいたことがあるが、残業代ゼロだったね。 出張をしても宿先で寝ながら考えているし、新幹線の移動中も考えている。 あるとき、総務部長が「君の労働時間が明確でない」と言ったから「24時間だ」と言ったよ。 夜、夢にアイデアが出ることもあるからね。 打ち合わせがなく、研究所にわざわざ行かなくてもよい場合は、自宅調査といって、家で本を読んでいることもあったね。 残業時間管理になじまないね。 この場合、問題になるのは研究成果だね。 しかし、こういう仕事は一般的ではないのではないの? なんで、法改正だと騒ぐのかね。私:君の研究は、個人でできるが、技術研究など、チームでやるときは場合によっては徹夜になることもあるね。 職種を明確に決めて適用しないと弊害もあるね。 俺たちの時代と違うのは、ホワイトカラーといってもリストラで雑用的な部分の人が減り、そのために正社員のホワイトカラーに雑用がしわよせされていることだろうね。 仕事の段取りや後片付け的な仕事だね。 雑用ホワイトカラーだよ。 それが長時間のサービス残業となっているケースが多いようだね。 これらは、ホワイトカラーというけれど、成果で測れるような創造的な仕事ではない。 それで仕方なく残業しているのに、残業代を削減するために、ホワイトカラー・エグゼンプションだとして、残業代をカットされたり、法的にお墨付きを与えたら、奴隷社会だよ。 偽装請負の蔓延のように企業は法の目をくぐる癖があるから、必ず悪用は発生するだろね。 こういう小手先の手を使ってまでしても、市場競争に勝つために人件費を節減したいのかね。 「美しい日本」が泣くね。A氏:たしかに、俺の研究所時代のようなホワイトカラー・エグゼンプションを適用したほうがいいが、それは現行の基準法でも問題なかった。 もし、明確にするなら、法律全部を変えるのでなく、例外として認めるだけでいいのではないの。 ホワイトカラー・エグゼンプションを適用する職種、年収の下限(年収1500万円以上とか)など、適用範囲を明確にして、違反は摘発するなど労働側のことも配慮しないと、不公正な労働環境や格差問題の拡大につながるね。 経済は栄えても社会はギスギスして衰退するね。
2006.12.30
コメント(2)
A氏:12月27日の夕刊の論壇時評コラムで政治学者の杉田氏がいじめについて、最近の雑誌に載ったいろいろな意見をまとめて論評しているね。 相対的な思考だね。 中味が濃い。 切り抜きを持って来たよ。私:なるほど、まず、安易なマスコミの自殺報道は「群発自殺」の原因になるとしているね。A氏:自殺という事実があったのだから、報道は避けられないが、自殺の方法とか自殺をロマンチックに報道するとかは避け、同じ悩みを持った人が他の方法で解決した具体例をあげることが望ましいというね。私:ただ、「頑張って死ぬな」というのはかえって自殺を煽ることになる。A氏:いじめの蔓延について、その原因は日本人のDNAに染み込んでいるとすら思われる「みんな一緒主義」にこそ背景にあると言う考えもある。 学校では給食も一緒、掃除も一緒という集団行動を強要され、それからはみ出す者ははじかれる。 こうした協調性の欠如を非難する態度からいじめは生ずるという。私:なるほど、いじめの傍観者、暗黙の加担者が多いのは、今の若者は「たえず場の空気を読みながら、友人との間に争点をつくらないように心がける」とあるのが原因とあるね。 友だちとの対立のない「優しい関係」を維持したい人々にとっては、いじめられっ子の存在は好都合だという。 国外に敵を設定して国内の格差を隠す大人のナショナリズムにも似ているという。 村八分もそうだね。A氏:江戸時代にも士農工商の階層を維持するために、さらにその下に部落民を作ったね。私:自殺者の心理には、自殺を悲しむ周囲の人々をメディアで見て、ここに究極の自己承認があると誤解してしまうという。 俺の11月25日の日記でふれたように、それは、死はすべての終わりでなく、何か別な世界が始まるという期待心理だね。 死の肯定には、死が無駄でないという説得が必要だからね。A氏:俺たちのように小学生時代、軍国主義で育った者は、死の美化カルトが盛んだったね。 天皇陛下のために死ぬのは名誉だという。 楠木正成のように、七度、生まれかわって、国に尽くすという「七生報国」を教えられる。 「硫黄島の戦い」などの日本軍の精神主義の背景にそれがあるね。私:昨日、夕方のテレビニュースで、大阪のほうのある中学校で、生徒が「朝、おはようと言おう」「授業の開始とともに自主的に机に座ろう」などのルールを自主的に決め、生徒がいじめをなくすように自主的に協力しているという。 しかし、これも先の論理によると、自主性の美名のもとに「皆一緒カルト」のルールを作って押し付けていると考えられるね。 別ないじめをつくるのではないの?A氏:結局、多様性を認めないという絶対思考との関係があるのかね。 いじめ問題の解決に多様性を認めるという相対思考が必要なのかね。私:そうかといって、集団として守らないといけない規制ルールがあるね。 他人の自由も尊重するという原則だね。 自由と放縦はまったく異なるからだ。 どうもその点が基本的にボタンのつけ違いがあるね。 だから、規制はむしろ、生徒の自主性オンリーでなく、大人が中心になって、責任をもって教える問題ではないのかね。 生徒個人が、その規制が嫌なら、多様性を生かして、学校という団体から離れる選択もありえるのだからね。 エジソンの母親はそうやってエジソンを育てた。A氏:俺なんか、中学時代、授業中に内職といって国語の時間に英語をやっていたり、小説を読んだりしていたこともあるよ。私:生徒の間にそのくらいのユーモア的な余裕は欲しいね。 先生が決めたルールの真の意味を侵さない程度の反抗だね。 思考の多様性、相対性は尊重したいね。 しかし、それは「優しい関係」と衝突するかもしれないがね。 結局、日本人のDNAは「和」なのかね。 江戸時代は多様性があったというのにね。
2006.12.29
コメント(2)
私:原油の高騰によるガソリンの急速な値上げは、専門家も予測していなかっただろうね。 俺が知的興味を持ったのは、これは何かまた、世界を走り回る市場原理のグローバルフアンドの投機のせいかということだ。 そこで図書館で借りて読んだ。A氏:やはり、投機のせいかね?私:この本では先物取引での投機資金の存在は認めているが、それが急速に増加しているわけではないので、直接の影響はないとしているね。A氏:では急速な高騰は何が原因?私:基本的に需要と供給の関係で、需要が増加して、供給がおいつかないのでないかという不安からだという。A氏:謎と言うほどのことではないね。私:もっとも、実際の需要増加はそれほどでないという。 やはり今後の供給不安予測が原因だろうね。 中国のエネルギーも石炭が中心で、今のところ、石油はそれほど多くはないようだね。A氏:1950年頃の石油価格の高騰で倍くらいガソリンが上がったと思うが、あれも需給のアンバランスかね。 確か、ガソリンがリッター50円くらいだったのが一時、100円くらいになったと思うね。私:あれはOPECの一方的なものでかなり政治的なものだろうね。 これでかなり日本では省エネが進んだがね。 最近の需要増は、アメリカの自動車、それも燃費の悪いSUVのブームが続いたことや中国、インドなどの経済発展が大きな要因になっているとのことだ。 やはり、アメリカの消費はすごいね。A氏:まだ、あがるのかね。私:石油というのは、値段があがったから需要が急に下がるわけではないね。 ガソリンの値段が上がったから、すぐに車に乗らなくなるというわけではない。 一方、値段が下がったから、急速に減産できるものでもない。 そういう意味で市場性が硬直的な商品だね。A氏:でも1950年のように政治的な値上げがあるのではないの?私:著者は、現在は市場性が高くなり、ある意味で需給を正確に反映していると見ているね。 そして需要と供給コストからのバランスで、現時点で原油価格が取り得る範囲は10ドル台半ばから90ドル台前半と見ている。 そして天然ガスとの関係から、50ドル台前半から80ドル半ばがその中心とみているね。A氏:当分の間、高止まりかね。私:著者は石油の増産は時間がかかるし、イラン、ナイジェリア、ベネズエラは政治的に不安で供給に問題も残る。 一方、世界経済は拡大基調だから、需要はまだ伸びるだろう。 だから、短期的には高止まりという見方だね。 いずれにせよ、この本で石油問題の全体像については、短時間で勉強できるね。
2006.12.27
コメント(2)
全551件 (551件中 451-500件目)