デフレの正体 0
原発 0
体罰 0
糖質制限食 0
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私:以前、ブログで書いたが、その後、ますます、Wiiにはまっている。 俺はテレビゲームはやったことはなかったんだが、このWiiはリモコン操作が簡単ですぐにできる。 だから、孫など来ると家族で楽しめる。 だから、だんだん、はまってきたね。 今までのテレビゲームと全く違った市場を開拓しつつあるね。 それに「日経ビジネス」は着目して、今週の特集となったようだね。A氏:俺も君に言われて、最近、バランスのWii Fitというのを買おうと思ったが、品切れでいつ再入荷するかわからないという。私:俺もそうだね。 孫と量販店に買いに行ったが、品切れだよ。 手ぶらで帰るのもシャクだから「Wiiでやわらかあたま塾」と「北京オリンピック」というのを買ってきたよ。 これで合計5本になったね。 毎週のように新しいのが出ているようだね。 しかし、値段が高くて手が容易に出ないね。 まぁ、それだけ制作に手間をかけているのは確かだがね。 そのうちに中古が出回るだろう。A氏:君は一人では何をやっているの?私:「はじめてのWii」では「タンク」だね。 相手のタンクを左手で戦車を動かし、右手で方向をきめて弾丸を発射して当てて撃破するんだが、台数がだんだん増えてくる。 それをだんだん潰していくと、今度はロケット砲を撃つタンクが出てくる。 うまく逃げないとやられる。 そのうちに、速度が速い小さなタンクが出てきて、爆弾を仕掛ける。 気をつけないとこの爆弾に引っ掛かってやられる。 別なタンクは速射砲を持っている。 1日、1時間くらいは夢中でやっているよ。 今のところ、52台まで破壊して来たので銀メダルだが、なかなか金をくれない。 だんだん、むずかしくなってレベルが上がっていき先が見えないので、はまってしまうんだね。 新しい日課ができてしまったね。A氏:疲れないかね。私:1時間くらいだと疲れないね。 面白いのは、相手のタンクがいろいろ変わった動きをすることだね。 その動きを読みながらタンクと射撃を指で操作する。 敵の裏をかくこともあるし、裏をかかれることもある。 頭で予測し決断し、即、指の正確な動きにかえないといけない。A氏:頭を使うね。 私:後、テニスも一人でよくやる。 これは個人の記録をとっていて、だんだん、相手が強くなるようにプログラムしてあるようだ。 だから、絶対勝ちたいときは、記録をとらない別な新人キャラクターを作っておき、そのキャラクターでやると勝ちやすい。A氏:反射神経の訓練になるのではないの?私:こないだ、運転免許の高齢者講習にいってきたよ。 6150円の講習料だよ。 動体視力と夜間視力の検査と実技の数分の運転だね。A氏:俺はもう先月受けたが、テレビゲームのように画面を見ながら、ハンドルを動かし、アクセルとブレーキペダルを踏むのがあっただろう?私:あったね。 俺はそのゲームは高得点だったね。 Wiiの訓練のおかげだね。 公安委員会も任天堂とタイアップして交通安全キャンペーンをしたらどうかね。 「たかが娯楽」の産業創出力だよ。 そう言えば、後部座席のシートベルトも義務化になるらしいね。 新聞に出ていた75歳以上の者に対する認知機能に関する検査の義務付けだが、まだ、内容は全く未定だと言っていた。 それから、もみじ標識も義務化になるらしい。 交通安全も高齢化社会対策が進むね。
2007.12.21
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私:録画しておいたのを今日見たよ。 5000万件の宙に浮いた年金記録の照合作業を神奈川の社会保険庁の現場にカメラを据えて半年近く取材しているね。 実際のパソコンの画面を出して、具体的に取材していて、分かりやすい。 もっと、途中経過でもいいから早く放映してもらいたかったね。A氏:俺も見たが、一人の人の行方不明になった記録を追いかけるのに、何時間もかかっていたね。私:刑事が推理を働かして、犯人を追いつめていくのと同じだね。 大変な集中力が必要な作業だね。A氏:コンピュータに氏名を入力していないものを元の年金番号台帳で追いかける。 作業を最初、1件12分ぐらいと計算して、人員をかけてやりだすが、そのうちに、1件で探すのに半日かかるものも出始め、ついには手書きの原簿まで辿っても分からないというも出てくるね。 社会保険庁の若い職員も唖然として「これほど、ひどいとは思わなかった」とつぶやいていたね。私:それを升添大臣が、「社会保険庁の担当者も驚いていたくらいにひどいものだった」と強調していたが、ちょっと、センスのない言い方だね。 担当者以上に、危機感を持って先を見ているのが大臣としての資質なんだがね。 危機感、責任感が甘いね。 この人には、自己宣伝のスローガンと人の尻を叩くだけのセンスしかないね。 今の若い人はITが進んだ時代に育ったから、昭和40年から50年代のコンピュータの不正確な怖さを知らないだろうね。A氏:君は、昭和50年頃、ある問屋のオンラインの在庫管理を撤退し、電卓に戻すようにアドバイスしたことがあるそうだね。私:その中堅の問屋の社長は、業界に先駆けて、日本全国の20くらいある営業所と関東と関西にある大倉庫の在庫をオンラインでつなげたシステムを導入した。 これが失敗し、コンピュータ画面に出る在庫数は当てにならず、コンピュータから出る小売店宛てに出る請求書は合わず、財務計算も不正確になった。 在庫があるといって約束して、後で現物がないと分かる。 客が怒る。 売上げが減ってきた。 請求書がおかいしいので、支払いが請求書通りに行われない。 売掛金は見かけ上多いが、「宙に浮いた売掛金」だから現金にならない。 在庫が合わないのに、減ってくるとコンピュータで自動発注するので、在庫がまだ、十分にあるのに、また、入庫する。 逆に、現物がない品物がコンピュータ上はあるから、発注されないで品切れを起す。 ムダな在庫が増加し、必要な在庫がない。 客はライバルに取られる。A氏:それでは問屋業は破綻だね。私:すでに経営はおかしくなっていた。 社員の士気も低下していたから、不正行為も多発。 直接の原因はすべてコンピュータ入力ミス。 そして、コンピュータ神話による管理者のオペレーターまかせの管理。 いかにコンピュータが怖いかを俺は知っていたので、とりあえず撤退をアドバイスしたよ。 当時は、今のようなバーコードがないからね。 10桁くらいの商品コードは手入力。 俺のコンピュータ撤退提案に対して、公認会計士は反対。 反対理由はコンピュータは正確だからだという。 当時は、コンピュータは花形だから、現場を知らない人は怖さに鈍感だったね。 その会社は社長の英断でオンラインから撤退して危機を脱したね。 しかし、この痛手から完全に回復するまで撤退後、5年くらいかかっていたね。A氏:社会保険庁もコンピュータ化で正確になると思っていたんだろうね。 だから、入力ミスの怖さを知った管理をしていなかったね。 システムも怖さを知った念入りな入力管理システムでなかったしね。私:だから、俺は安倍前首相が3月までに照合を完了すると宣言したとき、「若いな」と思ったね。 コンピュータ化した当時の入力ミスの怖さを知らないと思ったね。 それも最初は5月まで照合完了といっていたのに、くりあげて3月にしている。 でたらめなハッタリだね。A氏:君のこのブログの年金シリーズもこれで13回目(1、2,3,4、5,6,7、8,9,10)と続いたね。 3月末には照合は無理なことは明らかになったし、それが分かって、予想された政治家たちの資質を問われる幼い言い訳が始まるという結末となったね。 福田内閣はこれで支持率を大きく下げたね。私:升添大臣が言った発言で唯一、正しい発言は、入力ミスの問題解決は「エンドレス」だということだね。
2007.12.19
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捨てられるホワイトカラーA氏:昨日のブログによると、この本では、アメリカのホワイトカラー失業者に、求職活動の効果的な方法を有料でコーチするコンサルタントの例をあげていたね。私:著者は、複数のコーチを雇ったね。 これらのコーチはコネで就職先を紹介するのでなく、いかに売り込むために「自己改造」のためのコーチだね。 履歴書の書き方、面接のときのスピーチの仕方などだね。 エグゼクティブの就職研修にも参加する。A氏:それに各地で求職者同士のネットワークがあり交流会があるんだね。私:その各地の集まりに著者は出席するが、これも就職先の情報交換よりも、いかに売り込むかの情報交換だね。 著者はイメージチェンジ、まぁ、ルックスの改善にも挑戦する。 「好感をもたれる」「チームプレーヤーらしいソフト化」「負けていても勝者のふるまいをする」という自己改革だね。 教会も失職者に「心の安定」を売り物にする。 失業者のための就職情報交換会と称しながら実は改宗のチャンスを狙う、教会主催の集会もある。A氏:信ずる者は救われる、いや、職を得ることができるのかね。 アメリカでは最近、企業内でも宗教集会が広がっている。 職場で宗教集会をする団体は1990年に50あったのが今では何千にもふくれているという。私:求職を仕事にしているクリスチャンにすれば、すべての責任は神にあるのだが、皆、自己責任だね。 マルクスが宗教を麻薬だとして目の敵にしたのが分かる気がするね。A氏:イメージチェンジについてアメリカでの異常な美容整形ブームが「アメリカのベジタリアンはなぜ太っているのか?」で描かれているのと関係するね。私:具体的な求職活動の中心は、インターネットの検索とメールだね。 長時間、コンピュータに取りついていたり、電話をかけまくったりする。 オンライン求職掲示板に履歴書を載せたりもする。 面接までなかなかいかない。 著者はネットワーキングや面接や自己売込みに関する12冊のハウツー本を読破する。 しかし、成功しない。 これは著者だけでなく、かって、ホワイトカラーとして業績をあげた有能な人も同様だという。A氏:しかたなく、ブルーカラーの臨時雇用の低賃金で生活をしのぐようになるのか。 ワーキングプアとなるともう這い上がれないということだね。私:すでに「一生懸命働けば、報われる」という考えは崩壊していていることはアメリカでも日本でも同じだね。 それが企業の上層部を支える高学歴者にも当てはまるようになってきたことだね。 着々とキャリアを積んでいるその最中に解雇通告を受けた人、業績を評価された結果として高収入を受けたていたのに、その高額の賃金を理由に解雇された人、支店の業績を社長からほめられた直後にクビになった支店長。 こういう人々は、「転職産業」のおかげでネットワーキングで情報交換をするが、「政府が悪い」と言って、横の連帯をする話は一切出ないという。A氏:「巧妙に人を操る文化」に引き込まれるのかね。私:従業員を資産と見て長い目で成長させていた組織が、人をコストと見るようになった。 経営コンサルタントの中にはコスト削減の必要性と「企業は人なり」と矛盾をしたことを言う人がいるという。 だから、俺は「こうすればもうかる」というコンサルタントや評論家の本は読まないね。A氏:本屋に行くと、この本を読むと儲かるとか、きれいになるとか、結婚ができるとか、何かエゲツないタイトルの本が並んでいるね。 これも一種のオカルトかね。 「納豆はダイエットによい」で見事にだまされた多くの人がいたね。 「巧妙に人を操る文化」に引き込まれているのかね。私:著者は体験した1年の求職活動で多くの求職者と会うが、一度も耳にしなかった言葉は、「たとえ圧倒的な敵を前にしても、互いに手をたずさえて変革に向かって行動する、勇気」であると最後に言っているね。 アメリカが現在直面している民主主義の基本的な問題点でもあろうね。 日本も同じかもしれないがね。
2007.12.18
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捨てられるホワイトカラー 私:著者は1941年生まれのアメリカ屈指の女性コラムニストにして社会評論家。 原書の題名は「BAIT AND SWITCH」だから意訳だね。 2002年に「ニッケル・アンド・ダイムド」という本で、自らアメリカの最下層の仕事であるウェートレス、掃除代行業、スーパー(ウォールマート)の店員の体験を書いて、ベストセラーになったという。 俺はこの「ニッケル・アンド・ダイムド」を読んではいないが、たまたま、ある書評で著者がホワイトカラーの体験を描いた「捨てられるホワイトカラー」を出しているというのを読んだので、図書館から借りたよ。A氏:自ら体験してその体験を書くという方法は、「搾取される若者たち・バイク便ライダーは見た!」の著者の社会学でいうところの「参与観察」だね。 アメリカのワーキングプアの知的街道では「ワーキングプア:アメリカの下層社会」があり、この街道は「アメリカの没落」、「超・格差社会 アメリカの真実」、「働きすぎのアメリカ人」、「アメリカの非正規雇用」、「窒息するオフィス:仕事に強迫されるアメリカ人」と続いてきているね。私:この本はアメリカの大学卒業者や中堅のホワイトカラーの職についていた人たちが、一旦、職を失うと貧困に落ちていく姿を体験しようというものだね。 正規雇用を得ることが難しくなり、会社の上層部や中堅の社員がその地位から引きずり下ろされ、ビジネススーツを脱いで、スターバックスのカウンターの内側で働かざるをえなくなってきたことだね。 ブルーカラーの低賃金問題が、ホワイトカラーに拡大してきたのかね。A氏:こないだの「高学歴ワーキングプア・『フリーター生産工場』としての大学院」で描いている日本の博士取得者の姿に似ているね。私:アメリカのこの種の本は、だらだらといろいろな例が続いているのが欠点だね。 この本も著者が1年にわたり、ホワイカラーの職、企業のPRを担当する職を探す体験をいろいろ書いているが、ダラダラした感じだね。A氏:結局、就職するの?私:1年かけて求職活動をするが失敗する。 しかし、その求職の過程で、求職中のホワイトカラー層に接することにより、その実態を具体的に描いているね。 この本を読んで、驚いたことは、ホワイカラーの求職を支援するためのビジネス、すなわち、「就職ビジネス」が盛んなことだね。 これはちょっと、日本にはなじまないタイプのビジネスかもしれないね。 困っている求職者に目をつけて、カネをもうける人たちがいるというのは、いかにもアメリカらしいね。 カネにがめついね。A氏:日本でもリクルートのようなビジネスもあるのではないの?私:この本でいう「就職ビジネス」とは求人案内業ではない。 求職者同士のネットワークがあり、これに参加すると、同じホワイトカラーの求職者が集まり、これに対して、履歴書の書き方や企業の売り込み方法の個人指導をするコンサルタントがからむ。 性格診断や適性検査などを行う。 自分を売り込むセミナーまである。 女性なら、化粧の仕方まで指導する。 もちろん、有料だ。 結局、著者は総額で数十万円をかけているね。 そして空振りだね。 こういうコンサルタント業は別に企業紹介するわけでなく、求職はあくまで求職者の個人的な努力だね。A氏:自己責任の国だから、そういうビジネスが盛んになる素地があるんだね。私:著者は、ホワイトカラーの求職は、ブルーカラーの求職と異なるというようなことを言っているね。 それは、ホワイトカラーは求職活動を通じて、人格的に会社側の発想に同化するようになるからだね。私:ブルーカラーはある意味、肉体労働で終わるから、精神的な忠誠心はあまり重要ではないからだろうかね。 心まで売らないのかね。 この300頁近い本で考えさせられたのは、アメリカの失業者の考え方だね。 これについて明日、さらに考えてみようと思う。
2007.12.17
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老いてゆくアジアA氏:現在、生きている人は確実に年をとっていく。 考えてみると、人口問題が怖いのは、人口構造の未来を正確に予測できることだね。 しかし、その人口構造の変化はゆっくりしているので、手を打つのが遅れやすいね。私:高齢化問題の解決は政府の仕事ではあるが、先進国のいずれの政府も高齢化問題に対する抜本的な解決策を見出していないという。 むしろ、財政負担の急増から福祉国家の危機が叫ばれ、福祉制度の見直しが進められている。A氏:日本でも財政難で高齢者切捨てが問題になっているね。私:低所得水準で高齢化を迎えるアジアの開発途上国ではさらに深刻だね。 20世紀は「揺りかごから墓場まで」というように、先進国では福祉への政府の役割が強調された世紀だった。 しかし、20世紀末頃、財政負担が増大し、「福祉国家」の見直しが議論されるようになって、各国は、国家、市場、家族を組み合わせた福祉制度を考えるようになる。A氏:家族崩壊もあるから、市民社会や住民組織(コミュニティ)の役割も加わるね。私:この「福祉国家」から「福祉社会」の流れの中で、開発途上国は、高齢期の生活を自ら賄う個人の経済能力は低い。 だから、「福祉国家」としての整備が不十分なまま、やむを得ず、「福祉社会」の方向に向かうことになる。 この本では、中国やタイでの居住地域で住民同士が相互扶助する組織としてのコミュニティの存在が注目されるようになった例を紹介している。A氏:国際的な動きもあるのではないの?私:この本では、国家という視点から離れて、2つの視点から高齢化問題を捉えなおそうとしているね。 第1は、それぞれが住む地域で生じる身近な問題であるという視点。 第2は、アジア各国が協力して取り組むべき国際問題であるという視点。A氏:第1の視点から居住地域での相互扶助が問題になるのか。 しかし、開発途上国では伝統的な家族や居住地域の相互補助は都市化で崩壊しつつあるね。私:日本のことを考えると、経済発展とともに農村の過疎化と都市の過密化が進み、農村と都市の双方において伝統的なコミュニティが崩壊している。A氏:都会では「隣は何をするものぞ」だからね。 老人の孤独死も多い。私:この本では、いろいろな日本政府の地域福祉推進の動きを紹介している。 そして、これらの日本の豊富な経験と教訓は開発途上国の高齢化の社会対策支援に参考になるだろうとしている。A氏:12月9日のサンデープロジェクトで地方都市の老齢者の問題をとりあげていたね。 ある過疎の地域では、バス路線も廃止され、残された老齢者は車も運転できなくなるので、移動にタクシーを使うことになる。 ますます、老齢者の負担増となる。 富山市の成功例は、路面電車を効果的に生かし、老齢者の移動を助ける手を打っていたね。 このような交通インフラ整備には政府や自治体の影響は大きいね。私:第2の視点のアジア同士の国際的な協力を著者は特に強調している。 アジアが安定した老齢者社会を迎えるために、アジアが共同体として対応することが重要だとしているね。A氏:ASEAN+3(日中韓)を軸に、貿易、投資だけでなく、政治、安全保障などを含む多分野での地域統合を形成するために「東アジア共同体」という考えがあるね。 2005年に「東アジアサミット」が開催されたしね。私:ヨーロッパと違い、アジアは多様だね。 だから、EUのように統合は容易ではないが、多様な努力が必要だろうね。 それは相互の経済繁栄にも必要だね。 細かい地域的な相互援助のノウハウを交換するネットワーク作りにもふれている。 アジアは、日本を先頭を、確実にジリジリ「老いていく」。 人口構成は確実に経済繁栄の大きな障害となる。 アジアの人々とともに「共に考え共に歩む」重要性を著者は提唱している。
2007.12.16
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老いてゆくアジア 私:国際協力銀行のアンケート調査では、中期的に有望な事業地域として、中国が1位、インドが2位、ベトナムが3位だという。 人口という視点からみると、インドはまだ、「人口爆発型の国」のようだが、合計出生率は急速に低下しつつある。 しかし、「生産年齢人口」は2035年頃まで上昇が続くので人口構成上、「人口ボーナス」の最中であるといえる。 A氏:インドの特徴は、IT産業が経済成長を牽引していることだね。私:ベトナムの人口構成の変化は急速で、合計出生率の低下速度は中国より速く、高齢化率も高い。 したがって、長期的な視点に立つと、低所得水準の中で出生率が低下し、「人口ボーナス」が遅れてスタートしたので、深刻な課題を抱えているという。 ベトナムでは都市部に失業者が多く存在するため、地方からの出稼ぎは今のところ、社会問題になっていないという。A氏:この本の題名になっている「老いてゆくアジア」では、「人口ボーナス」で経済成長を果たした多くの「生産年齢人口」が年をとって、高齢者となったときの社会保障が問題になるだろうね。 これを養う次の世代は「少産少死」で減っているしね。私:先進国でも、自らかの貯蓄や家族の支援だけで高齢者の生活維持は困難で、現役世代からの所得移転が不可欠だ。 アジアでもすでに高い所得水準にあるNIES(韓国、台湾、シンガポール、香港)の高齢化は「先進国における高齢化」型として捉えることができる。 しかし、中国やASEAN4では、高齢者の負担を支える財源が乏しいので「開発途上国における高齢化」型という新しい問題として捉えるべきだという。A氏:アジアは伝統的に家族や地域が社会保障機能を持っていたが、それが経済発展とともに崩壊していくね。 これはカバーするために国よっていろいろな社会保障制度があるのだろうね。私:3つのグループに分かれるという。 第1グループは、経済発展の度合いが高く、少子化が進み、高齢者社会にあるか移行直前の国で、日本とNIESがこれに相当する。 社会保障制度としては全国民を対象とした医療保険、年金制度がほぼ整備されている。 第2グループは経済発展の段階は工業化の途上にある国で、中国とASEAN4がこれに相当する。 全国民を対象とした社会保障制度がなく、今後の課題。 第1グループより所得水準が低いため、社会保障制度構築の拡充は困難。 第3グループは、工業化が初期段階で、人口動態はまだ、人口増加の「多産少死」に悩まされる国で、ベトナムとインドがこれに相当する。 社会保障制度は公的部門の人々だけが対象である。A氏:第2グループや第3グループは貧困の救済や予防が主な目的となるね。私:高齢者の医療負担を考えてみよう。 65歳以上の医療費が他の年齢層に比較して高くなるだろう。 そうすると、人口構成で老齢化が進む韓国、中国、タイの医療費は加速度的に増加するだろうね。 日本はもう高水準にあるので、横ばいだね。A氏:年金負担はどうなるだろうね。私:これは想定が困難だが、著者は一応、高齢者給付を1日1人5ドルとして試算。 それによると、2020年には、2005年のASEAN4の名目GDPの合計に匹敵する巨額な数字になるという。A氏:もう、後、十年そこそこで、「急速に増加するアジアの高齢者を誰が養うのか」という問題に直面することになるね。私:この本では、タイの年金制度が成功していない例をあげており、「多数の高齢者を誰が養うのか」の問題解決は単純にいかないようだね。 明日は、これに対する著者の提言に話を移そう。
2007.12.15
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老いてゆくアジア私:韓国と台湾両国の「人口ボーナス」は1960年代がスタートで、その頃は農業国で農村に余剰労働力をかかえていた。 そこで両国とも国内の工業化に重点が置かれた。 そのために、工業製品を輸入に頼らず、自国で作るという「輸入代替工業化政策」をとった。 そして高い関税や数量制限などの保護政策を行った。 国内の貯蓄率は低かったので、外資を導入した。 しかし、「輸入代替工業化政策」では「人口ボーナス」の雇用吸収が不十分であった。 そこで、政策を「輸出志向工業化」に転換して雇用を吸収した。 韓国は1970年から80年の10年間で輸出が約20倍伸び、国内の雇用を拡大した。 台湾は「輸出加工区」政策などで輸出を伸ばし、「人口ボーナス」の雇用を吸収した。A氏:それで両国とも、この労働集約型産業で蓄えた貯蓄を資本として1970年代から資本集約型の産業に移行していくんだね。私:1990年代に入ると両国とも第2次産業から第3次産業にシフトしていくね。 両国とも「人口ボーナス」をうまく利用してきたといえる。A氏:両国とも所得水準は日本に追いついてきたね。 追い越すかね。私:しかし、両国とも「人口ボーナス」という視点からみると2015年に終わるという。 すでに、日本同様に高齢化の影響が徐々に出始めている。 経済成長率も減速している。 近年、両国では高齢化負担をどのように回避し、経済成長を持続していくかが大きな課題になっている。A氏:韓国と台湾は「人口ボーナス」効果をうまく使ったが、大国中国はどうかね。私:中国とタイは、「人口ボーナス」の半ばで高度成長をスタートしたという遅れがあるね。 それと労働集約型産業と資本集約型産業が同時に成長したことだね。 外国企業の進出効果も大きい。 ところで、高齢化は、国の経済にどのようなマイナスの影響を与えると思うかね。A氏:「労働力人口の減少」「国内貯蓄率の低下」「医療費の増大」「年金負担の増大」で、これが財政・家計を圧迫して、経済成長を抑制すると考えられるね。私:ところが、アジア全体で高齢化による成長鈍化が危惧される中で、中国やASEAN4(マレイシア、タイ、インドネシア、フィリピン)は高い成長を示している。 その成長とこれらの国の人口構成との関係を著者は分析しているね。 一言で言えば、これらの諸国の都市と農村との関係だね。A氏:中国の民工の問題だね。私:中国やタイでは、高齢化率が高いのに日本や韓国、台湾にみられる「人出不足」の兆候はみられなく、むしろ労働力は過剰で、雇用創出が重要な政策課題となっている。 これは、農村に過剰労働が存在するためで、農村から都市に所得格差があるときは都市に労働者が移動する。 人口の半分が農民であるASEAN4も同様の問題を抱えているという。 このように農村に存在する失業者を「偽装失業者」という。A氏:ということは、「偽装失業者」である農村住民の若い層が都市部に移動すると、都市部の人口構造は若年労働者の割合が高い構造に変化するね。私:これを著者は「都市部の人口ボーナス」と言っている。 都市部はこのボーナス効果で成長する。 逆に農村では出稼ぎが多いので残るのは年少者と高齢者だ。 これが「都市部と農村の格差」を拡大する。A氏:日本の地方格差と同じ現象だね。私:都市部は貯蓄でも消費でも活発となるね。 巨大な消費市場ができる。 その意味で、中国やASEAN4はこの「都市部の人口ボーナス」で、高齢化が進むのにかかわらず、しばらく高度成長を維持するだろうという。 明日は、最近、注目されてきたベトナムとインドについての人口問題と経済の関係にふれよう。
2007.12.14
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老いてゆくアジア私:「少子化」はすぐに「高齢化」にならない。 そこにタイムラグがあるね。A氏:アジアでは「多産少死」で生まれた子どもが成長して働き出した頃、「少産少死」が始まるから、子供は少ないが、働き手が多いという人口構成となるね。 人口構成図を描くと、ピラミッド型でなくて、真ん中がふくらむ形になる。私:著者は、アジアの経済発展をその人口構成から分析を試みているね。 新しい視点だね。 経済の観点から人口構成を分けると、人口は「年少人口」「生産年齢人口」「高齢人口」の3つに分けられる。 「多産少死」の後に「少産少死」となると生まれる子どもは少ない(「年少人口」の減少)が、「多産少死」時代の子どもが成長して労働力、すなわち、「生産年齢人口」の増加となって膨張し、この層にすべて雇用がみつかると「労働力の膨張」となり、経済発展の基礎となる。 他方、開発途上国では、高齢者は「多産多死」時代の影響でその割合は少ない。 この大量の「生産年齢人口」を「人口ボーナス」といって、経済の発展の基礎になるという考えがある。 すなわち、この大量の「生産年齢人口」うまく使う政策があると経済成長という「ボーナス」が出る。A氏:日本でも「生産年齢人口」が最高のときは1960年から65年で高度成長期だね。私:団塊の世代は農業から工業へ移動し、都市への移動が進み、工業化が促進される。 子どもが少ないので貯蓄率は向上し、国内に投資される。 1970年代からアジア諸国の国内貯蓄率も向上し、投資率は他の南米やアフリカの諸国よりははるかに高い。 出生率の低下で子ども一人が受ける教育資源を増加させ、これも経済発展の基礎になる。 これはアジア諸国の就学率の向上で分かるね。A氏:日本は団塊世代の定年退職など、「人口ボーナス」は終わっているのではないの?私:日本の「人口ボーナス」の終点は1990年から95年。 しかし、日本を除くアジア諸国は「人口ボーナス」を享受できる真っ只中。 問題は、中国、タイでは所得水準が低い段階で「人口ボーナス」期間が終わると予想されることだね。A氏:「人口ボーナス」と政策とはどういう関係にあるのかね?私:「人口ボーナス」と対応した産業構造とは3つの段階が考えられる。 「人口ボーナス」前半の労働集約的産業時。 「人口ボーナス」後半の資本集約型産業期。 「人口ボーナス」後の知識集約型産業期。 この考えで、日本をみると、「人口ボーナス」のスタートは1930年から35年でアジアで最も早い。A氏:明治時代から工業化・近代化に取り組んでいたので1935年では鉱工業のGDPに占める割合は3割くらいだったが、敗戦で壊滅した。 このため、「人口ボーナス」の実質的な効果は、ベビーブーム世代(団塊の世代)で高度成長という形で現われたことになるね。私:日本が他のアジア諸国と違うのは、大正時代にすでに「人口ボーナス」前半の労働集約型産業が発展したことで、団塊の世代の頃は産業の主体が資本集約型産業に変わる頃だったことだね。 貯蓄率も高かったので投資が活発化したし、団塊の世代の教育水準も高かった。 1980年代に再度「生産年齢人口」が増加して、サービス業が伸びてきた。 日本の「人口ボーナス」は1990年から1995年に終了。 国内貯蓄率も低下し、高齢者の医療・年金問題が大きな課題として登場する。A氏:その後を追うのが韓国と台湾だね。私:明日はその韓国と台湾の「人口ボーナス」から検討してみよう。
2007.12.13
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A氏:今日は、予定していた「老いゆくアジア」をちょっとお休みだ。 君が問題にしていた「宙に浮いた年金照合の公約」と「プーチンの次の大統領」について、昨日の新聞で2つとも一面で興味あるニュースを報じていたので今日は話題をそちらにしよう。 「宙に浮いた年金照合を3月末までに完了」は相手が手強いことが明らかになり、公約の3月末までに持ち主が分かるのは最大で約1000万件にとどまるというね。 5000万件の解決はほど遠いことが明らかになってきたね。私:升添大臣は「3月末まで一人一円まで」と言ったがハッタリか、こういう作業に対する無知を露呈したね。 「敵を知り己を知れば百戦あやふからず」という常識の欠如だね。 「敵」を調べないでアドバルーンをあげるからそうなる。 太平洋戦争に突入した軍部と似ているね。 毛沢東だって「調査なくして発言権なし」と言っているよ。 年金照合の新兵器みたいに言っていた、11月にできるというソフトの話はどうなったのかね。 A氏:選挙目当てのアドバルーンではないの?私:いや、升添大臣の発言は選挙後だから、大臣になり権力を握ったので何でも出来ると思った新人大臣の思い上がりだろうね。 権力を握ろうが、技術的に1+1=2のものは3にはできないからね。 これは民主党に突っ込まれるだろうね。 問題は民主党の突っ込み方だね。 辞任と謝罪要求は芸がないように思うね。 「いいかげんなアドバルーンを国民受けにあげるな。官僚の真似でなくもっと真面目にやれ」と言うべきだね。 まぁ、この人の性格からして「そんな意味ではない」と苦しい言い訳だけで、居座って謝らないだろうね。A氏:ロシアの次期大統領のほうは、3人の候補のうち、メドベージェフ氏がプーチンが推薦したね。 天然ガス独占企業のガスブロムの会長でもあり、42歳と若いね。私:候補の3人とは、メドベージェフ氏以外にイワノフ氏とズブコフ氏だ。 「アジアに接近するロシア」の編者の袴田氏はイワノフ氏はカリスマのある人物なので、プーチンがかすむ可能性があり、ズブコフ氏は強硬派で市場経済より国家統制を好み、プーチンがコントロールしにくくなる。 メドベージェフ氏だと市場経済的な発想を理解しており、プーチンのコントロールもきく。 だから、彼を選んだと解説しているね。A氏:プーチンはレニングラード生まれだね。 レニングラードは、今はサンクトペテルブルクといわれているね。 トヨタが工場を作ったね。 俺たちは、第2次大戦のレニングラード戦でこのほうの名前をよく覚えているがね。 この市政に関係していた頃から、メドベージェフ氏はプーチンの腹心だ。 17年の付き合いになるという。私:しかし、メドベージェフ氏はKGBの勤務経験もない。 「主権民主主義」の考えには批判的。 過度の国家統制にも反対だという。 欧米を意識したプーチンのバランス感覚かね。 それとも、欧米世界との統合を欲しながら、他方でロシアの特殊的な地位に固執するという矛盾調整の一つかね。A氏:野党共産党委員長のジュガノフ氏は、ロシアとベルラーシ共和国が来年に本格的な統合国家の創設に合意すれば、その大統領にプーチン氏がつく可能性を指摘したという。 しかし、昨日のTVニュースと今朝の新聞では、メドベージェフ氏は大統領になったらプーチンを首相にすると言っているね。 TVで見るとプーチンに比較すると「お坊ちゃん」的な印象だね。私:ベルラーシの問題はエリツイン大統領時代にすでに統合の話が進んでいたが、プーチン大統領になってちょっと停滞していたね。A氏:ロシアも流動的だね。私:袴田氏は、今の政権は腐敗と汚職にまみれ、いろいろな利権グループが激烈な闘争を繰り広げているのでロシア政治は簡単に安定しないと厳しいね。 それは、裏返しすると、だから、ロシアは強いカリスマを持ったリーダーを必要とするのだろうね。
2007.12.12
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老いてゆくアジア私:両親が子をもうける場合、3つのメリットと2つのデメリットを考えるという。 アジアで出生率が低下したのは、簡単に言えば、メリットが低下し、デメリットが上昇しているからだという。A氏:3つのメリット?私:「子ども持つ充足感」、「子どもの労働から得られる所得」、「子どもが老後の面倒をみてくれるという所得保障効果」の3つだ。 子どもの死亡率が減れば、希望する子どもの数に対して出産する子どもの数を減らすね。 農業から工業への社会構造の変化、農業の機械化などは「子どもの労働から得られる所得」の価値を減少させただろうね。 アジアの典型としての大家族が経済発展とともに都市化が進んで崩れてくると「子どもが老後の面倒をみてくれるという所得保障効果」は減るだろうね。A氏:なるほど、では子どもをもうける2つのデメリットとは?私:「子どもの養育費」、「子どもの養育に時間をとられることにより両親の就業・所得機会の犠牲」の2つだね。 経済発展とともに、収入は学歴と関係するから、教育コストは上昇する。 女性の労働参加率は向上し、晩婚化や非婚化が進む。 そして、確かに、韓国、タイ、中国、フィリピンの出生率を20年前と最近で比較すると大きく減少しているね。A氏:インドネシアでは出生は神の意思というイスラム教徒が多数を占めるのであまり減らないのではないの?私:それも大きく減少しているし、人口増加を国策としているマレーシャも減少している。 このように、アジア諸国は「多産少死」から「少産少死」に先進国より早く移行したため、子どもは少ないが、「多産少死」時期に生まれ育った働き手が多いという「ベビーブーム世代」を共通して現在もっている。 これが経済発展を支えている。A氏:日本の「団塊の世代」と同じ現象だね。私:アジアの少子化の原因の研究はまだ、進んでいるというが、その中で著者は統計的なデータを4つあげている。 第1は、大家族から核家族化、親子の同居形態も崩壊。 第2は、女性の高学歴と晩婚化。 第3は、子どもの養育コストの増大。 タイは農村部も子どもに教育コストをかけるため、出生率は低いという。 第4は、メディア普及によるライフスタイルの変化で、都市部の先進国化、農村の都市化。A氏:高齢化のほうはどうなの?私:アジア全体で平均寿命が大幅に伸びているね。 この50年間にタイは51歳から69歳、インドネシアは38歳から69歳、中国では41歳から72歳と急速に伸びている。 この傾向は続くとみられている。A氏:アジアではアフリカのような「人口爆発」ではなく「高齢人口爆発の時代」に入ったというわけか。私:日本社会の高齢化が先進国に比較して異常なスピードで進んだことが問題になっているが、アジア諸国では日本と同等か、それより速いスピードで高齢化が進んでいる。 日本より速いスピードで高齢化が予想される国には、韓国、シンガポール、タイ、インドネシア、ベトナムがある。 地域的にみると高齢化率の上昇はアジアで顕著であり、将来、世界で最も高齢者が多く住む社会となり、高齢人口では2030年には欧州の2.5倍になるという。 これは老人の社会保障で大きな政治問題になるね。A氏:少子化、高齢化は先進国固有の問題でもないし、アジアの中でも日本固有の問題でもないんだね。私:かって、大東亜共栄圏といったが、日本は高齢化先進国だという観点から、アジア諸国を支援し、お互いに協力するということが必要だろうね。 それには今の日本の「老人いじめのシステム」では模範になれないね。 明日は、東アジアの経済発展とこの人口問題の関係を勉強してみよう。
2007.12.11
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老いてゆくアジア 私:この新書本は大いに知的興味を引いたね。 最初、格差問題街道から「少子社会日本・もうひとつの格差のゆくえ」ときて少子化問題のサブ街道からこの本にたどりついたが、これは中国をはじめとするアジアの経済発展の問題もからんできて新書版にしては壮大な視野の本だね。 A氏:少子化ということはいい面もあるのではないの?私:この本が指摘しているように、少子化は「人口規模の視点」でなくて、「人口構成の視点」からみないと問題点が正確に分からないね。 「人口減少」が問題でなく「少子高齢化」が問題なんだね。A氏:人口は少なくてもいいことはあるだろうが、その人口構成がほとんど老人ではね。私:日本は今、少子化を問題にしているが、これを世界的、歴史的な視点で見るといろいろな問題があるんだね。 20世紀は世界の人口は17億人から60億人と4倍に増えた「人口爆発の世紀」だった。 しかし、人口増加のスピードは鈍化しており、今世紀末には100億人に達することなく「人口減少の世紀」に転化するという。A氏:グローバルな視点からすると21世紀はその過度期ということになるかね。私:原因は合計出生率の世界レベルでの急速な低下だね。A氏:日本を含めて先進国の合計出生率の低下が問題になっているが、開発途上国は少子化は問題になっていないのではないの?私:注意しないといけないのは同じ開発途上国でも、増加率が低下している国とそうでない国とに2分化していることなんだね。 国連統計は、開発途上国をアフリカ中心の50ヶ国の「低所得国」と「その他の開発途上国」とに分けて統計をとっているが、「低所得国」はいまだに「人口爆発」が続いている。 しかし、「その他の開発途上国」の人口増加率は低下傾向にある。A氏:先進国は少子化、開発途上国は人口爆発という先入観は間違っているんだね。私:地域的にみると欧州、北米、アジアの人口割合が低下し、南米、オセアニアは現状維持、アフリカだけが増加となっている。 アジアは、日本に次いで韓国と台湾が2020年頃、シンガポール、中国、タイが2030年から35年頃、それぞれ人口減少社会に移行し、少子化が進んでいる。A氏:大体、所得水準の高い国から順次、出生率が低下しているね。 何故だろうね。私:その前に、人口がどのようにして変わっていくのか、出生率と死亡率の両面で考えてみよう。 「多産多死」「多産少死」「少産少死」「死亡率と出生率が低位で安定する人口均衡」の4つの段階が考えられる。 日本では戦前は「多産多死」だったが、戦後、医療や衛生環境の改善などで死亡率は低下する。 アジアではその医療や衛生環境の改善効果が1970年頃から出てきて、「多産少死」段階になり、人口は増加。A氏:次に「少産少死」の段階になるのかね。私:人口増は食糧難を予想されるなど、マイナスのイメージがあるね。 このため、この段階では政策的に人口抑制策が出てくる。 日本でも例外ではなく、政府が主導して「家族計画」の普及に努力するが、それは政府の間接的なものであった。 しかし、中国はこの段階で有名な「一人っ子政策」を展開する。 中国が異常なのは、1960年頃、一時的に人口増加率がマイナスになったことだ。A氏:当時の「大躍進運動」という農工政策の失敗により、2千万人ほどの餓死者を出した影響だね。私:その反動で出生率が高まり、同じ頃、世界的に開発途上国の人口爆発が問題視されたことが「一人っ子政策」の動機にあり、その後、出生率は1970年代になって急速に低下。 これは「一人っ子政策」によって出生率が低下したというより、正確には出生率の低下を加速させたというべきだという。 それはこういう政治的な強制をしていない他のアジア諸国でも出生率の低下が等しく低下しているからだ。 明日は、アジア全体で起こっている出生率低下の原因をさぐろう。
2007.12.10
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私:現在、大学院博士を終了したり、博士をもっていたりする1万2千人以上の人がフリーターなどの非正規雇用者として働いているという。 学歴構造のトップまで到達したといってよい若い博士がワーキングプアになって、コンビニのアルバイトをしているという。 そして、この少子化の時代に大学院生は26万人を突破。 わずか20年前には7万人だったというのにーーー。 A氏:大学院に行って博士をとるなんて、俺たちの時代には珍しかったのにね。 大抵、大学を出ると就職だったね。 なんでそんなに増えたのかね。私:別に日本の若者が急に勉強熱心になったわけでなく、国の政策によってできあがったものだという。 平成3(1991)年に文部省が「世界をリードするような研究を推進するとともに、優れた研究者や高度の専門能力を持った職業人を養成するための拠点として、大学院を充実強化する」という目的で、大学院増産計画を立てた。 そして単純化していえば「大学院の教育課程や教育条件の改善・改革を行った大学には、予算を25パーセント増加する」という文部省のお達しだね。A氏:カネでつられて、大学院が増えたのか。 俺たちが大学時代には、大学院は大学の「付属的なもの」だったがね。私:それが、本丸が大学から大学院にシフトした。 東大法学部の例では、大学の学部の全教官が大学院の強化へとシフト化し、逆に大学院の教官が大学の学部の教官を兼任するという形式になったという。 私立大学も大学のイメージアップで、大学院を設置し出した。 平成16(2004)年で、私立大学544校中、大学院設置校は392校で72パーセントだという。A氏:少子化で大学生も少なくなると予想されたが、大学院生が増加すれば、それが大学経営の不安を穴埋めしてくれるね。私:問題は、大学院生の就職先は大学教員だから、それだけの増加した大学院生を吸収できる教員市場があるかどうかだね。 ところが、昭和60年頃から、博士浪人が話題になっており、この頃でも博士過剰は問題になっていたんだね。 少子化が確実に来るとわかっているときに意図的に大学院の増産が行われ、少子化が大学経営に影響が現実に出始めた頃に、大学院からの研究者が大量に生まれるという悲劇だね。A氏:大学院から博士をとると30才近くなっているだろうね。 その時点で正式の大学講師になっていないと、年齢的に他の就職先はみつからないだろうね。私:正規教員の就職率は50パーセント台だという。 だから、大学の非常勤講師などで研究を続けてポストがあくのを待つ。 非常勤だからパート並みの給与で、年金も保険もない。 契約も2、3年の短期だ。A氏:民間企業の正社員と非正社員の関係と全く同じだね。 高学歴ワーキングプアの発生だね。 非常勤講師のかせぎでは食えないので、コンビニのアルバイトもしなくてはならないわけか。私:大学によっては、非常勤講師の人数のほうが多いという。 三流大学を出て、一流大学の大学院に行くことができるが、そこの大学院で博士をとってもやはり、出身大学が問題になるという。A氏:一流大学の大学院生の「天下り」として二流、三流の大学院や大学があるのかね。私:著者は人間環境学博士を持っているが、同志社大学の非常勤講師で、来年春で任期が切れ、それ以降は未定だという。A氏:アメリカではドクターというと社会的にも認められているが、日本ではまだだね。私:アメリカでは社会に出てから、大学院でさらに知識を深めるという使い方をしているようだが、日本でもそういう方向に使われることが望ましいね。 それにしても、今の状態だとこの大学院政策は失敗だね。 今の大学生は、積極的に大学院に行かないだろうね。 博士を一人生み出すのに一億円の税金を使っているそうだから改善が望まれるね。
2007.12.09
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私:この本はプーチン以来のロシアの大国的な動きについての知的街道に位置づけられる本だね。 「ロシア世界を読む」、「プーチンは"皇帝"になるか」、「プーチン圧勝」と続いてきたね。 この本は、専門家の研究グループが研究した結果を12名のメンバーがそれぞれ分担して提出した論文をまとめたものだね。 プーチン政権は2000年に発足するが、2001年に9.11事件が発生。 国際テロという共通の敵を前にアメリカとの親密な関係構築に乗り出す。 中央アジア諸国への米軍駐留の容認をして、プーチンはブッシュ大統領との個人的信頼関係を確立するね。A氏:それなのに、それが何故、崩壊していくのかね。私:アメリカはロシアを対等の相手とみなさなかったのが原因で、ロシア国内ではプーチンの屈辱的な外交とみなされたし、中央アジアへの米軍基地の容認は中国との関係も悪化した。 メンツを潰されたプーチンは2002年以降、対米政策の軌道を修正する。 2003年のイラク戦争には国際法、国連憲章に違反する暴挙と批判する。 一方、エネルギーの国際価格の上昇がロシアの国際的な比重を大きく変え、ロシア人の自信回復と大国主義の復活へとつながる。 すなわち、03年のイラク戦争から05年にかけてロシアと西側の間には不信感が一気に強まる。A氏:西側はロシアの民主的な改革が進んでいないことや腐敗、汚職構造や利権争奪のために投資が効果的でないこと、エネルギーの利益が国内の生産に投資されていないなどで不信感をもっているね。私:一方、ロシア側としては、西側がロシアを大国として扱わないことや、欧米的な民主主義をロシアやロシアの周辺諸国に押し付けること、NATOは解消されず、アメリカは今ではイランのミサイル対策として迎撃ミサイルをロシア周辺諸国に配置をしようとしている。 そして、近年、中国経済が大きく発展した。 対外路線をめぐる欧米との対立に反比例して、ロシアと中国は近年急速に接近しているという。A氏:ロシアと中国は同じ大陸にあるので、石油や天然ガスはパイプで送ることができるので効果的ではないのかね。私:ロシアも中国に安定したエネルギーを売ることができる。 しかし、パイプラインの設置はなかなか進んでいないようだね。 基本的に中国は、エネルギーは欲しいが、あまりロシアに依存したくはない。 ロシアに弱みを握られるからだね。A氏:ロシアは、ウクライナが親米化したとき、一時、天然ガス供給をストップしようとしたね。 そういう信用できない大国的な無法行動をするからね。私:日本との関係では、プーチンは日本企業をロシア市場へ進出させることには熱心であるという。 2005年6月にサンクトペテルブルク郊外にトヨタが工場進出を決定したとき、プーチン大統領はその起工式に自ら駆けつける熱意を示したという。 しかし、ロシアは外国からの進出企業がロシア市場で業績を上げると、ロシア側のパートナーや企業から買収オファーをもちかけられる。 断わると有形無形の嫌がらせにあって、なにかと税金をかけられ、撤退せざるを得なくなるというから、これからは分からないね。A氏:北方領土問題はどうなるかね。私:プーチン大統領は北方四島の主権については議論するつもりは全くないと述べているというね。 この本では、プーチンの対日政策の「行動様式」を4点あげているね。 第一は「言動不一致」 第二は「首尾一貫性の欠如」 第三は「理屈よりも力の尊重」 第四は「翼賛型の政策施行キャンペーン」A氏:要するにやりたい放題ということかね。私:プーチンは欧米世界との統合を欲する。 他方でロシアの特殊的な地位に固執する。 その矛盾は同政権の一般的な性格だね。 それが対日政策にも現れているということかもしれないね。 この本は、細かい分析が多いが、一言で言えば、まだ、ロシアの動きは不安定で、今後の動きには目が離せないとうことだね。
2007.12.08
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私:「地球帝国」の知的街道は、アメリカの金融資本が推し進める市場原理主義に対抗する勢力への関心へと知的サブ街道が生まれたね。 その一つに大国として復活したロシアの動きがあるね。 それもプーチン個人の動きだね。 12月2日にロシア下院選挙があって、プーチン大統領を比例名簿のトップに据えた与党「統一ロシア」が三分の二以上の議席を確保したという。A氏:今朝の朝日新聞は2面の時時刻刻欄で大きく「強権『プーチン党』」という見出しで報じているね。 得票率では64パーセントだが、議席が三分の二以上の議席というのは、日本と同じで、比例と選挙区別とに分かれているのかね。 国際欄でも大きく取り上げているね。私:社説でも「『プーチン王朝』への予感」とあるね。 まだ、50歳台のプーチンはこれでとどまらないことは明らかだね。 社説は「いかにロシア流とはいえ、民主主義にほど遠い」とその独裁ぶりには批判的だね。 まぁ、基本的には、石油や天然ガスなどの天然資源の価格高騰によるロシアの大国への復活の功績と、国内のいろいろな勢力の争いを統治するプーチンの力が国民的なムードとして必要とされているのだろうね。 ロシアの大国主義によるロシアの統一は、欧米などの対外批判と一体だね。 新聞でも「欧米敵視あおり求心力」とあるね。 これを「冷戦」でなく「冷たい平和」と言う。A氏:江沢民の中国で、国をまとめるために反日運動が盛んになったのと似ているね。 若者の排他主義の拡大につながるね。 対日関係でも北方領土問題の解決は影が薄くなるかね。私:学校教育でも、エリツイン時代の「国家よりも個人重視」が、プーチン時代には、転換し、国家プログラムとして「ロシア市民の愛国心教育」が推進され、教科書も政府の検定制度になっているというね。 安倍前首相は「美しい国」だったが、プーチンは「強い国」だね。A氏:欧米の選挙に関する国際機関では「今度の選挙は公正でない」と批判しているという。 これがまた、ロシアの欧米離れを促進するという逆効果になっているようだね。私:そこで、ロシアはアジアと仲良くしようということになる。 特に中国との提携は大きな問題だね。 中国はエネルギーがほしい。 ロシアはエネルギー資源大国だしね。 ロシアがプーチン王朝なら、中国は共産党独裁政権だしね。 合い通じるものがあるのかね。 ロシアの武器輸出は中国とインドが主要輸出相手国であるという。 これはロシア国家予算の重要な財源になっているという。 残念ながら、アメリカに比較して兵器は古いようだが。A氏:考えてみれば、ロシア周辺の各国は地続きだね。 「ユーラシア」という見方だね。私:プーチンはアメリカに対抗してそこまで力を拡大する構想だろうかね。 来年、5月、大統領退任後にどのような形でプーチン王朝が生まれるか、興味があるね。 ところで、今日の新聞で、ベネズエラのチャベス大統領の「終身大統領」を軸とする憲法改訂の国民投票で敗北したことを報じているね。 チャベス大統領は「21世紀の社会主義」を掲げ、アメリカ批判の急先鋒でブッシュを悪魔と批判しているね。A氏:この国も石油が出て、これが強い発言のもとになっているね。私:一方、アメリカはイラク、イラン問題を抱え、国内ではサブプライムローン問題を抱え、内憂外患だね。 来年はブッシュ政権の最後の1年だしね。 「地球帝国」は「地球多極化帝国」になろうとしているのかね。
2007.12.04
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中国の不良債権問題 私:どこかの書評を読んで図書館で借りた。 専門的な本だね。 経済学の基本的な知識がないとスラスラ読めないね。 新書版で「大丈夫か、中国経済」など受けを狙って題名をつけるというレベルの本ではないね。 著者は中国人で中国の大学を出てから、日本の大学で経済を学び、現在は富士通総研経済研究所上席主任研究員だという。A氏:高度成長の中国に不良債権問題などあるのかね?私:著者は、高い成長のおかげで隠れているだけだというね。 驚いたことに、中国の投資もとの多くは、高い貯蓄率でそれが設備投資を支えて経済成長の元になっているということだね。A氏:日本の高度成長時代と似ているね。 今は、逆に日本の貯蓄率は低下しているのではないの?私:中国人の貯蓄率が高いのは、社会保障が不十分なので、健康や老後を考えての貯蓄だという。 北京オリンピックや上海万博などから高成長が当分続く、とみているね。 これは一般的に言われていることだね。 問題は、経済成長の中身で、これが北京オリンピックや上海万博後に問題として顕在化するのではないかという。A氏:中国は社会主義国家だから、貯蓄はどこにするの?私:基本的に国営銀行に預金する。 国営銀行が投資する。 その投資にムダが多いと著者は指摘しているね。 政策当局の関心は雇用の創出だが、投資は製造業に集中している。 雇用の創出には労働集約型のサービス業への投資の促進も重要だという。A氏:日本の郵貯が財政投融資に使われて、ムダな投資が多かったのと似ているね。私:中国の農村人口は7億6千万人で約2億が民工で都市部で出稼ぎをしている。 残りの6億ほどの残っている農民の改善が必要で、それへの金融制度が必要だという。A氏:農村の地方格差問題は日本以上らしいね。私:温家宝首相は中国の金融制度の問題点をよく知っており、その改善策を打ち出しているが、近年、金融不祥事と金融犯罪が多発しており、金額も年々増加傾向にあるという。 金融の中心である国営銀行がムダな投資、回収できない投資などのリスク防止の管理が不十分でかなりの不良債権を抱えているという。 これは国内の商業銀行も同様。 不動産バブルでさらに不良債権は増加するだろうという。A氏:日本のバブル景気後の不良債権問題と似ているね。 本当に中国の動きは鏡のように日本と似ているね。私:しかし、著者は、経済成長の資金調達が国内で行われているので、金融制度改革がうまくいけば、経済の持続的成長を期待できるとしているね。 特に国有銀行の改革を徹底することだとしている。A氏:ということは、完全な市場経済への移行かね。私:著者は、社会主義的特徴のある市場経済という中途半端な制度で満足するのでなく、完全な市場経済への制度移行を達成すべきと最後に主張しているね。 しかし、一方でロシアが独裁国家的な「主権民主主義」を言い出して、アメリカと対抗しているように、グローバル化している経済の動きとどのように対応するのかね。 中国にはかなりの外資も流入しているはずだしね。 一方で、アメリカ一国主義に対抗しての中ソの連携が言われているからね。 この本は、どうもグローバル経済のとの関係が明確でないような気がした。 視野をもっと国際的に拡大している「中国金融システムの不良債権分析」という本があるようなので借りてみようと思う。 とにかく、中国の金融制度改革の動きと北京オリンピックや上海万博後の経済の動きは要注意だね。
2007.12.03
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A氏:今朝の朝日新聞に「年金記録 公約尻すぼみ」とあり、「升添氏『最後の一人まで』」→『意気込み』」とサブ見出しがあったね。 例の「5千万件の照合を来年3月末までに終える」という国民との「契約」である「公約」が揺れているという。 5千万件の難しい中身が次第に分かるにつれて、「公約違反」になりそうだね。 来年3月後には総選挙できないね。私:敵をよく知らないで、「何時までに勝つ」というようなもんだったからね。 「敵(彼)を知り、己を知れば百戦あやうからず」だよ。 敵が次第に強敵だと分かってきて、慌てているのは子供の喧嘩だね。 いや、子供だって強い相手とは簡単に勝つとは言わないよ。A氏:これは安倍前首相の選挙向けのハッタリなので、安倍退陣が修正のチャンスだったのが、升添氏が「最後の一人まで、一円まで」とまたハッタリで言いきったので、そのままになったようだね。私:すでに、政府の言い訳が始まっているね。 分かりきったことなのにね。 本当に幼稚だね。 升添氏の政治家としてのレベルが分かるね。A氏:厳しいね。 でも、何らかの照合の納期を約束しないとまずかったのではないの?私:契約には大きくアウトプット契約とインプット契約と2つある。 アウトプット契約は、商品を買うような場合のように、提供する内容がかなり分かっている場合だね。 われわれが買い物をするのと同じだね。 納期も明確に決められる。 ところが、インプット契約というのは、「これだけの数量の労力を投入するので、目的としたものは達成できるでしょう」というもので、契約の焦点が「投入する努力量」になる。A氏:5000万件の年金記録の照合にそれをあてはめれば、この特別の作業にソフト開発を含め、また、外注を含め何人、何時間で予算がいくらで、という「数字の契約」だね。 「これだけの具体的な努力を投入するので了解してください」だね。私:ところが、ハッタリだけで、そのプロジェクトが編成されたことも、そのリーダーの任命も、特別に追加した照合時間や追加人員の話は一切出てこない。 具体的な動きが明確に説明されていない。 新ソフトが11月に開発されると言っていたが、11月末になっても新ソフト稼動開始が強調されていない。 柳沢前厚労省のとき、財界が応援を出そうかと言ったら「3人でいい」と言われて、財界も唖然としたというね。 だから、民主党が社保庁は全然、動いていないと批判しているのも分かるね。A氏:なるほど、3月納期は守れなくても、「意気込みだけを景気よく言って、何をこの1年近くをダラダラ過ごしていたのか」と言われるほうが政治能力を問われるね。 町村官房長官も言い訳でなく、具体的な照合の進行状況を説明すべきだね。私:「あいつは政治家だね」というのは「景気がいいアドバルーンをあげるが中身がない」という意味に使うことがあるが、つくづくそう思うね。 これは英語のpolitician(政治家)もそうだね。 辞書をひくとアメリカでは「政治屋」という悪い意味で使われるとあるね。 政治家と政治屋を区別して、政治屋をpoliticoともいうとあるが、これはイタリア、スペイン語からきているようだね。A氏:アメリカの民主党の大統領候補のオバマ氏は「16ヶ月以内でイラクから米軍を撤退させる」と言っているが、これも明確な数字のアウトプット契約でハッタリ的な感じ。 イラク情勢のようにイランを含め、不安定な状態が常識なのに、このような確定的な数字を示すのは人気取りのためかね。 それとも、これも「意気込み」を強調するための数字かね。私:今朝の新聞では、そのイラク問題で「イラク駐留部隊の段階的な撤退」を「公約」にしたオーストラリアの労働党政権が11年ぶりに政権交代をしたとあるね。 しかし、イラクに駐留しているオーストラリア軍は1500人だというが、とりあえず550人を撤退するが、後、1000人についてはあいまいだという。 全面撤退だと思って労働党に投票した人は裏切られた感じを持つだろうね。A氏:新聞では見出しに「対米『追随』から『配慮』」へ」とあるね。私:日本の民主党も政権をとると「現実」が待っているね。 興味あるのは、今度、オーストラリア首相になるラッド氏は先進国指導者の中で唯一、中国語を話すので、米中両大国との間で、今後のオーストラリアがどう距離をとるのか、大きな変化が予測されるね。
2007.12.01
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私:「新帝国主義論」で世界経済の動きでロシアが登場していたので、その知的街道のつながりで図書館で借りたね。 この本はやたらに日本経済新聞の引用が多いね。 そのせいか、新書版なのに、あちこち話題がとんで分かりにくいね。 大体の流れは分かるがね。A氏:来年、3月にロシアで大統領選挙があるんだね。私:現行憲法では、プーチン大統領は退陣しなくてはならない。 プーチン大統領の動きが問題になっているが、彼が権力の座を降りないためにいろいろな手を打っていることは大体新聞が報じているので分かるね。 それより、驚いたことが2つある。 1つは、石油や天然ガスがロシアに豊富で、これで国として繁栄を回復して維持しているのは分かるが、これが「ガスプロム」という巨大な独占企業に握られていることだね。 プーチンは、大統領を辞めたら、「ガスプロム」の会長になるのではないかとも言われているくらいだ。A氏:ロシアは大分国際資本が入ったんだが、石油や天然ガスはできるだけ独占化しておきたいんだね。私:2つめに驚いたのは、ロシアを囲む東欧やバルカン諸国など、十数カ国が群がっていて、ソ連崩壊以降、独立し、市場経済をめぐってそれぞれ複雑な動きをしていることだね。 西側寄り、になるのか、ロシア側になるのか、そして、ロシアも最近、大国化というか、帝国化した動きを示すようになっている。 俺たちが世界史や地理をきちんと習ったのは高校だが、そのときは、ソ連は大国で一国だという印象だった。 その後のソ連崩壊後のことは正式に勉強していないから弱いね。 もう一度、高校の教科書を読まないといけないと感じたよ。A氏:いや、それは中学の問題かもしれないよ。 君のブログの「頭のよい子が育つ家」では、筑波大付属駒場中学に入学したF君が居間のテーブルの地球儀を引き寄せ、父親に「昔のソ連は今いくつの国に分かれたか」と質問しているシーンの記事がある。 父親は正確に答えられない。 子どもは国の名前をあげ15だと正解を言うということが紹介されていたよ。私:中学校で優秀な子はもう知っているのかね。 これらの15の国のソ連時代からの関係と、ソ連崩壊後のロシアとの市場経済をめぐる関係は複雑だね。 この本の「ロシア世界」という言い方は分かる気がするね。 その関係はソ連時代だけでなく、もっと、歴史的にさかのぼるかもしれないね。A氏:これらの分散した国が、EUに加盟するかが大きな問題となっているね。 EUへの加盟はロシア離れだね。私:NATOへの参加もあるね。 今、イランからのミサイル防衛で、アメリカはこれらの諸国の一部にミサイルを配置しようとしているね。 これがロシアを刺激しているようだね。A氏:ロシアは港が少ないので石油や天然ガスをパイプラインで送っているが、これが周辺諸国を通過することが多いね。私:その点でも隣接する国との関係は深いね。 そして、インド、中国という大国との関係も微妙だね。 しかし、かなりの武器がこの両大国にロシアから輸出されている。 ロシアは、今、「ガスプロム」を先頭とする資源産業に過度に依存しており、そのインフラ、人材不足が指摘されている。A氏:「新帝国主義論」で「KGBの伝統を色濃く残すロシア」と言われているが、今後、プーチンはどうロシアを運営していくのだろうかね。私:ロシアと西側の対立は「冷戦」にもどるほどのことはないが、「冷たい平和」と言われているという。 最近、プーチンを「国家の父」としようという動きで、ロシアの世論調査があったが、半数近くは反対だそうだ。 ロシアも一種の独裁的な国家だから、不安定要素が多いね。 これも「地球帝国」の不安定要素の一つだね。
2007.11.28
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私:録画したのを見た。 昨日のブログの榊原氏が登場していたね。 この「中央公論」も同氏の寄稿を読んでいたので、話は分かりやすかったね。 それに金融担当大臣の渡辺善美氏と司会の田原総一郎氏との鼎談となったね。A氏:俺は当日見たね。 渡辺担当大臣は今回のサブプライムローンによる日本株価の暴落の説明をしていたね。 日本株の6割は外人投資家が買っているので、今度のニューヨークでの株暴落の影響を受けやすいと言っていたね。私:俺はこの鼎談で面白いと思ったのは2点あるね。 1つ目は田原総一郎氏が渡辺大臣に聞いた次の質問だね。 「30年前くらいに日米関係に貿易摩擦があったが、今、何故、米中に貿易摩擦がないのか?」 そして田原氏は、その理由は、この十数年で中国は物の生産、アメリカは金融商品の生産に「棲み分け」をしたからではないか、だから衝突が起きていないのではと、今度はそれを榊原氏にふっているね。 この「棲み分け」は「地球帝国」の国際分業として、「新帝国主義論」でも指摘しているね。A氏:榊原氏は、アメリカの金融重視の政策転換が十年位前から起きていることを説明していたね。私:すなわち、アメリカは金融工学などを使って、債券など新しい「金融商品」を生産し、これで世界中からドルを集め出したんだね。 「金融商品」の生産はハーバート大学を出たような秀才が金融工学とIT技術を使って売り出す。 「金融商品」のメリットは、銀行に預金するよりも高い金利を貰えることだね。 だから、良い「金融商品」は銀行なども買う。 今回の金利の高いサブプライムローンを織り込んだ債券は、実に複雑なテクニックを使って作り出した「金融商品」らしいね。A氏:2つ目に君が興味が持ったのはなんだい?私:渡辺大臣が実に分かりやすく、今回のサブプライムローン問題を、うまい比喩で説明したことだよ。A氏:あぁ、ハンバーグの例だね。 今回、ビーフ100パーセントのハンバーグということで安心だ思っていた債券が、そこに豚肉が混入されていたことが発覚し、売れに売れなくなって、不良在庫を多量に抱えたという説明だね。 豚肉とは、いわゆるアメリカの低所得者などに対する利子が高いサブプライムローンのことだね。 利子は高いが、リスクは大きいから、他の安定したものと混ぜるんだな。 このサブプライムローンが焦げ付き出したが、どこにどのように混入したのか複雑な混入「金融商品」なんで、トレースがすぐにできない。私:「金融商品」の偽装問題だというわけだね。 ただし、ミートホープのハンバーグ偽装問題と違って、悪意のある意図的な混合ではないんだろうね。 設計者は、最初は、いい「金融商品」を作り出したという自信はあったんだろうね。 格付け機関まで優良債券だとしていたからね。 だから、銀行などはバンバン買った。 今、格付け機関の責任問題まで出ているという。A氏:ハンバーグだけでなくいろいろなところにこの豚肉が使われているらしい。 問題は、この売れもしないハンバーグなどの不良在庫処分だね。 これがもろに金融機関の損失となるんだが、今のところ、欧米銀行で何十兆円になるらしい。私:日本の銀行も被害はあるが、一桁下の総額1.3兆円の損失で済む予想だという。 日本の銀行の予想利益が6兆円なのでこれが少し減るくらいで済みそうだという。 問題は、これにより、アメリカのドルの信用が低下して円高になったことだが、100円を割る予想も出ている。 しかし、これはアメリカの実体経済の悪化でなくて、金融危機なので、大きな問題にはならないだろうと言うのが、大体の一致した意見だね。 ただ、不安材料が増えたので渡辺大臣のいうように、油断大敵、要注意であることは確かだね。 これで余ったマネーは、原油、金の地金、穀物などの商品や国債などに動いている。A氏:北海道ではすでに今年の冬の灯油は1リットル17円値上がりだという。私:怖いのは、サブプライムローンでこりたマネーが、アメリカだけでなく、日本、中国、インドなどの経済好調の国の実体経済に悪影響を与えることだね。 特に「地球帝国」の繁栄の基礎になっている、中国、インドからの膨大な超過利潤が大きく減るとマネーの元が減っていくので、帝国崩壊のきっかけとなるかもしれない。 アジアの実体経済への影響がないといいがね。
2007.11.27
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私:「中央公論」のこの寄稿文は「新帝国主義論」がらみで読んだね。 サブタイトルは「サブプライムローン問題が暗示する世界経済の不安定化・世界経済の重心はアメリカから離れ続けていて現在の市場はその一端にすぎない」と長いね。A氏:榊原英資氏はかって財務省で活躍した人だね。 アジアに「円通貨圏」を考えてアメリカに潰された人ではないの?私:氏は1998年のタイを発端に、インドネシア、韓国、ロシア、ブラジルなどを襲った経済危機は、それ以前のものと性格が違ってきたという。 実体経済の貿易収支や経常収支の不均衡が引き金となっておらず、資本の動きそのものが経済危機の引き金となって来たという。 氏は「サイバー資本主義」と言っているね。A氏:「新帝国主義論」のいう「地球帝国」の金融資本の支配的な動きだね。私:水野和夫氏の「人はなぜグローバル経済の本質を見誤るのか」という本を引用している。 この本ではグローバル化時代は「金融という尻尾が世界をふりまわす時代」だという。 そして、グローバル化の3つの特徴として「帝国化」「金融化」「二極化」をあげているという。 この本をすぐ図書館のインターネットで検索したが、50人待ちだね。 入手に2,3ヶ月はかかりそうだ。A氏:サブプライムローン問題もこの「サイバー資本主義」が原因かね。私:その一連の問題だね。 ただ、1998年との違いは、今度は危機はアメリカが発端でヨーロッパの被害が大きかったことだね。 日本も影響を受けている。 中国、インドは内需拡大で影響が少なかったらしいね。A氏:カネは一瞬にして世界をかけめぐるが、実体の人や物の動きはそうはいかないから、無理があるのではないの。私:榊原氏は「帝国」という言葉は問題だと言っているね。 別に明確な権力体が支配しているわけでないからだ。A氏:それは「新帝国主義論」でも、無政府状態で動く点で指摘しているね。 旧「帝国主義」時代でも、世界的には無政府状態だった。 その点、「帝国」という言葉を使ってもいいのではないの。私:今、金融資本はドルを基準通貨としているので、アメリカが強力な力を持っているが、榊原氏は世界的にドルからの離脱の動きが起きているという。 アラブ諸国のカネはかなりユーロに移っているという。A氏:「新帝国主義論」ではまだ、ドルの繁栄は続くとしているがね。 「地球帝国」は無政府状態で動いているので、予測がつかないだろうね。私:榊原氏も米ドルの暴落はまだ先だろうという。 しかし、アメリカ中心の金融資本の崩壊は次第に始まっていると予測しているね。 どこで、どのように膨大なカネが動いているのか、分からないね。 先週のサンディーモーニングをちらと見たが、コメンテーターの田中秀政氏が、「これらのカネには檻が必要だ」と言っていた。 まさにそうだね。A氏:だから、帝国主義的なんだね。私:今後、ますます、加速していく世界的なマネーの動きは、われわれの日常生活と直結しきているだけに要注意だね。
2007.11.26
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私:例の沖縄の集団自決問題では、朝日新聞と産経新聞は対立しているね。 「正論」は産経新聞社の発行だから、朝日新聞批判だね。 藤岡氏は「新しい歴史教科書をつくる会」設立者だから、自虐史観には批判的だね。 たまたま、図書館に行って雑誌コーナーで取り出して読んだよ。 曽根綾子氏の2007.10.18「沖縄戦・渡嘉敷島・集団自決の真実・日本軍の住民自決命令はなかった!」を読んでいたので、この「正論」12月号の藤岡氏の記事に興味を持って読んだね。 副題は「抗議集会11万人を作り上げたマスコミ・翼賛体制こそ、"いつか来た道"ではないか」とあるね。A氏:11万人という数字が出ると、根拠が問題になるね。 東京ドームが約5万人を収容するから、その倍以上だね。 沖縄県民集会ではどのくらいの広さの広場に集まったのかね。私:藤岡氏によると1平方メートルに6人になる数字だという。A氏:それが本当ならギネスブック入りではないの。私:琉球新報がこの集会を強調するために、県民集会の全景写真を新聞に掲載した。 それが裏目に出た。A氏:何故?私:写真が大きいため、熊本大学の学生グループが1週間かけて全員を数えたという。 結果は1万3千37人だという。 警備会社の携帯で別のカラーの航空写真で数えたら、1万8千178人だという。 まぁ、ざっと2万人くらいということだね。A氏:なるほどね。 これではちょっと、11万人は問題で、大本営発表と同じになってしまう。 警察の発表はないの?私:警察は4万人程度としていたらしいが、この11万人ムードで発表を控えているという。A氏:たしか、教科書改訂前の記事は「日本軍は、日本軍の配った手榴弾で集団自殺と殺し合いをさせた」とあったのを「日本軍の配った手榴弾で集団自決と殺し合いがおこった」と改訂したのがけしからんとなったらしいね。 改訂前は「軍の命令」が明確だが、改訂後は「命令」はあいまいだね。 改訂は曽野綾子氏の渡嘉敷島の現地取材などで、「命令」はなかったということをふまえたのかね。私:日本軍が配った手榴弾というのも、日本軍でなく現地で緊急に採用した「防衛隊」が配った手榴弾だという。 当時、沖縄は、日本軍、防衛隊、一般市民と3つに区分されていたという。A氏:たしか、曽野綾子氏も渡嘉敷島の日本軍である赤松隊(実は海上の特攻隊)だが、その人たちに取材したとき、集団自決に手榴弾が使われたことを話すね。 それを聞いた旧隊員は、「防衛隊」に手榴弾を渡すべきではなかったと反省しているインタビューがあるね。 しかし、いまだに沖縄の集団自決問題は曽野綾子氏の「沖縄戦・渡嘉敷島・集団自決の真実・日本軍の住民自決命令はなかった!」の取材レベルを出ていないね。 日本軍のいない島でも集団自決があったというしね。私:満州でも、軍がいなくても集団自決はあったようだね。A氏:しかし、ムードは怖いね。 言論が自由で民主主義のご本家のように言われているアメリカでも、イラク戦争前はそれに反対しようものなら非愛国者と言われたくらいだからね。私:わからないのは、どうして11万人というすぐに正しいかどうかわかる数字を使ったんだろうね。 南京虐殺30万人、連行された従軍慰安婦20万人などと同じの白髪三千丈かね。 例の日本刀による中国兵百人斬り事件というのもある。 これは当時朝日新聞の本多記者と山本七平氏の論争で問題なった数字だね。 山本七平氏は「日本刀はそんなにズバズバ斬れるものではない」と技術的に批判しているね。A氏:われわれ、一般庶民は数字にだまされやすいからね。 ところで、藤岡氏は敗戦のときは2歳くらいだね。 軍国少年の経験はないね。 曽根綾子氏は軍国少女で「昭和の魔法」にかかっていた体験がある。私:その点で、藤岡氏は「昭和の魔法」の体験がないのが残念だね。 そのせいか、集団自決の突込みが甘い、ように思うね。
2007.11.25
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私:「地球帝国」の繁栄は当分、続くだろうと著者は予測している。 そして、その繁栄の終わりは「地球帝国」の基礎となっている中国やインドなどの辺境での労働予備軍がなくなり、賃金が先進国水準まで到達することと、そのため先進国の超過利潤が減るときに起こるというね。 辺境の喪失、いわゆる植民地の喪失だね。A氏:最近、中国でも沿岸部の賃金は上がっているそうだね。私:著者は、それは年率十数パーセントで賃金インフレを起こすレベルではないと見ているね。 辺境の喪失は、中国の場合、人民元の大幅切り上げだね。 それによりドル下落、先進国でのインフレ、実質所得の減少、金利の上昇が起きるね。A氏:アメリカ政府が貿易収支の改善で人民元の切り上げにあまり熱心でないのは分かるような気がするね。私:市場の発展の余地がなくなれば、アメリカの強みが弱みになるかもしれない。 市場原理的な動きに問題が出るだろう。 地球温暖化などの環境問題、少子化などの人口問題、資源問題、宗教・民族問題など、市場原理で処理できない問題が大きくなっているね。A氏:逆に、市場原理で環境や少子化問題、それに「トウモロコシ」「大豆」のような食料、資源問題が悪化している面もあるね。私:それは社会・政治要因だね。 すでに日本政治では、小泉時代の市場原理主義的な動きに反省の動きが出ているね。 世界的には、反ブッシュ、反グローバルへの抵抗の強まりが考えられるね。A氏:それに格差問題が大きいのではないの?私:格差問題は「地球帝国」の恥部だね。 先進国内での格差問題、中国やインドなどの途上国での格差拡大、これによる社会不安も「地球帝国」を内部から脅かすものだね。 それに日本の地方格差のように、世界的に見ると「持たざる国対持てる国(ロシアなどの資源国、先進国、資本蓄積国)、グローバル化の波に乗った途上国と乗り遅れた中南米諸国との格差があるね。A氏:すでに、中南米諸国の中には社会主義的な政府が生まれているところもあるね。私:それに資源、環境という自然要因があるね。 これらが経済の発展の深刻な阻害要因として高まる前に、十分なコストをかけて解消するか抑制しないと問題だね。 これは長期的視野の国際共同政治の問題だね。 「バイオエタノール」みたいに目先のカネばかり追いかけている姿勢だと失敗するだろうね。A氏:しかし、やはり、中国の今後が大きなカギを握るようだね。 君は、中国の動きをこの知的街道の一つとして追いかけているね。 「アジア冷戦史」、「大地の慟哭・中国民工調査」、「中国という大難」、「中国の食の不安」、「関口知宏中国鉄道大紀行・春編・西安まで」、「関口知宏中国鉄道大旅行・山西省」、「鏡の中の日本と中国」、「本の借り出し予約と竹内好のこと」と続いてきたね。私:中国の問題は汚職問題、環境問題だが、格差の問題も大きいね。 それに資本の動きが商人型で日本の高度成長期における国内分業型でないことだね。 カネがたまると国内投資でなく海外投資に行くかもしれない。A氏:「地球帝国」の繁栄は、低賃金労働の提供を共産党主導強権政治の側面を持つ中国に依存し、石油・エネルギーは専制王国のサウジアラビアと、KGBの伝統を色濃く残すロシアに依存するという矛盾の存在に突き当たるね。私:著者もそうまとめているね。 そこで中国ももっと知りたいが、知的興味はロシアにも向いたね。
2007.11.24
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私:どうも、21世紀になって、従来の理屈では説明できないような世界の動きが現れているようだね。 その知的街道から「帝国論」を読んだが、難解でお手上げ。 この本が難解と感じた人はこの経済アナリストの武者氏の「新帝国主義論」を読むとよいとあったので、図書館から借りた。 経済中心の解説だが、経済学のシロートの俺でもなんとかわかるね。 ただ、繰り返し同じことを説明しているので、くどい感じがして、まとまりがつきにくかったね。 とにかく、ここ十年くらいの間に経済論者が理論的に予想したことはほとんど事実で否定されてきているね。 著者も過去、アメリカの赤字垂れ流しを批判したが、予想が外れていたことを反省しているね。A氏:昨日の「とうもろこし」へのファンドの投資のように、今の世界経済はカネを通じて一体で動いているね。 カネが国境を越えて動き回るから、今は地球は一つの国家のように動いているようなのは分かるが、何故、「帝国」という言葉が使われるのかね。私:それは過去の帝国主義支配のような権力が支配し、一種の収奪があるからだね。A氏:君が「コーヒーの真実」でふれているように、われわれが飲むコーヒー一杯ごとにブラジルなどの栽培農家に落ちるカネは1円だというね。 Tシャツも「あなたのTシャツはどこから来たの?」にあったようにカネをめぐって収奪は世界中をめぐっているね。 その間の超過利潤が先進国の多国籍企業に蓄積され、あまったマネーが世界を動き回るのだね。私:今世紀に中国とインドという膨大な低賃金労働力の活用ができるようになって、同じように膨大な超過利潤が先進国の多国籍企業にもたらされてきたと著者は言う。 それはかっての帝国主義のような収奪構造をなしているね。 これは世界的な分業体制ができていることを示していて、ここからなかなか抜け出せない。A氏:日本も大企業は中国の低賃金を利用して利益を出しているね。 一方、日本の労働者は中国とインドとの競争で賃金は上昇しないから、企業の人件費は安く抑えることができ、大企業の利益はますます上がり、労働分配率は低下する。私:アメリカも労働分配率は低下していて、企業の利益向上に貢献している。A氏:それにどんな隙間にでも入ってくるね。 昨日のトウモロコシ、大豆にもカネが動くなど、そのカネの膨張性、侵略性は帝国主義と似ているね。私:旧帝国主義には、中枢、辺境、未開という地位があったが、現在の「地球帝国」も中枢としてのアメリカ・欧州・日本、辺境としてアジア・東欧・ラテンアメリカなどがある。A氏:欧米の資本は北朝鮮にまで今、虎視眈々として投資の機会を探っているね。 日本と違った目、すなわち、資源など、カネになるネタがあるかどうかで鎖国の北朝鮮を見ているね。私:旧帝国主義と類似しているのは、一段の集中化と独占の進展だね。 インターネット革命により、企業に革命的な変化が起こり、脱国籍、脱越境が進展して規模の経済が一段とスケールアップしてきているね。 独禁法なども無意味になりつつあるね。A氏:そして、金融支配は市場原理主義を各国に押し付ける。 私:国際金融資本がリスクをとった結果として儲けが出れば、自分の成果となり、損失が発生すれば当局が尻拭いしてくれ、国際金融資本は先進国の当局に大きく保護されているという。 もう一つの旧帝国主義との類似点は、国際的な無政府状態、無法状態だという。 「地球帝国」は資本の意思以外、「地球帝国」を代表する意思も政府もなく、著者は「神の意思」だとしているね。 現実に存在しているのは資本の利害が形成する市場のIT中心のネットワークだけだ。 アメリカが国連無視、単独主義で「地球帝国」の意思を代弁する姿勢を強めているが、それは強い金融資本がアメリカに集中しているのに過ぎないからだと思うね。 領土の略奪などの無法はないにせよ、強者の正義がまかり通る。A氏:なるほど、まさに帝国主義だね。私:明日は、その未来を考えてみよう。
2007.11.23
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私:19日月曜日の夜にNHKスペシャルでやっていたのを録画で見たよ。A氏:俺は「たけしのTVタックル」の後なんで続けて見たよ。 ファンド・マネーが穀物相場に乗り出したんだね。私:「とうもろこし」は今年はアメリカでは大豊作だというので、値下がりを期待していたのに逆に値があがったね。 従来は、供給と需要の関係で値段がきまっていたのが、異常な価格上昇を呈することになったね。 「とうもろこし」が「バイオエタノール」の原料になるという影響で品薄になるのを見越して、ファンドが買いに走ったんだね。 「バイオエタノール」はアメリカ政府の石油依存の脱却という戦略で政治的なバックアップもある。 この「バイオエタノール」の設備投資にもファンドが動いているね。A氏:株式投資に限界を感じたのか、世界中のあまったカネが商品投機に向けて走り出したんだね。 これをコモデティ・ファンドと言っている。 すでに、石油がそうだろう。 金もそうだね。 それにサブプライムローンに引っ掛かったファンドが元を取ろうとあせって投資するね。私:「とうもろこし」の値上がりで、逆に農家は「大豆」を作る土地に「とうもろこし」を作るだろう、そうすると「大豆」が品薄となるだろう、とファンド側は予測して、今度は、「大豆」の買いに走る。 「大豆」の値段が上がる。A氏:アメリカの農家は限られた土地にどのように作物を配分すれば、利益が最大になるかを考えなくてはならない。 作物の生産が不安定になるね。私:農作物は、1年単位のものだし、地力を考えると長期的なサイクルで動くものだね。 それが瞬時にして世界を動き回るインターネットビジネスに合うのかね。 何か自然の摂理を無視した無理があるね。 環境問題にも関係するのではないのかね。A氏:アメリカが「バイオエタノール」で「とうもろこし」を日本に輸出しなくなると、日本の家畜の飼育は危機的な状況になるね。 「大豆」も日本の食品の大きな部分を占める。 「食育」といって、人間は一生をかけて安定してきている食生活文化が存在する。 それが、世界中をインターネットで瞬時に駆け回るマネーの変化でかきまわされるのは、違和感を感ずるね。私:俺は株は買わないから、今まで、ファンドの動きによる実害がなかったが、いよいよ、ガソリン、食品に関連してくると、庶民の日常生活にまで関係してくるね。 横浜市では給食費が値上りとなるそうだ。 食品などは食文化の根底まで破壊されるのではないの。 石油もついに100ドルに後一歩まで迫ったね。A氏:まさに、君が「帝国」的現象と言っていたカネの権力支配が、アメリカ中心に国際的に発生しているんだね。私:21世紀は、「国民国家」の帝国でなく、規制のない地球を回るマネーが支配する「地球帝国」時代に入ったということかね。A氏:市場原理主義が次第に拡大して帝国主義的な圧力が生まれつつあるね。 君の市場原理知的街道の「グローバリゼーション新自由主義批判事典」、「悪夢のサイクル」につながるね。私:地球が一つの帝国のように動いているという認識が、何かを考えるときに、根底に持っていないと判断を間違えるね。A氏:今朝の新聞では「円高、株安、原油高 暮らしを直撃」とあるね。私:世界をめぐる巨額のマネーが、サブプライムローンでアメリカに嫌気がさし、ドルを売り円を買うので円高。 株にメリットを見出さず、商品相場にそのカネが移るので株安と原油高が連動する。 皆、底でつながっているね。
2007.11.22
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私:大体、俺の本の図書館予約は新聞、雑誌の書評を読んで興味を持ったときだね。 昨日の朝日新聞の日曜版の読書欄では、「最近のロシアの動きに関する本」を4冊紹介していたので、これを予約した。A氏:これは最近のグローバル化の動きで各国の「帝国的な動き」が気になっている知的興味街道の流れからだね。私:もう1冊は「老いゆくアジア・繁栄の構図が変わるとき」だ。 福祉が調わぬまま加速する少産化という書評タイトルだね。 すでに韓国、中国、インドなどをはじめ、アジアの少子化現象は、合計特殊出生率で日本を下回っている国もあり、高齢化に対して福祉が調わぬまま、高齢化社会に突入するという。A氏:これはこのブログでとりあげた、山田昌弘著「少子社会日本・もうひとつの格差のゆくえ」(岩波新書)でも問題にしているね。 ここでは、現在、韓国、台湾、東南アジア諸国で進む極端な少子化の要因にもパラサイト・シングル現象があると指摘していたが、この本は日本に焦点を絞っていたね。私:「老いゆくアジア」では、著者は解決策としてローカルな共同体の福祉機能の活性化を、他方でアジア規模の福祉ネットワークの構築を提唱しているという。 しかし、「少子社会日本」の本では、少子化の原因であるパラサイト・シングル現象は東南アジアの家族共同体の一種の福祉機能になっていることを指摘しているね。 しかし、若者が親に寄生している状態は、親の死亡で崩壊する。 これをアジアの伝統であるローカルな共同体がどのようにカバーできるだろうか。A氏:その伝統的な共同体文化がグローバル経済・市場競争原理で崩壊しつつあるのにね。私:その点に興味を持って借りて読んでみたい。 もう、先に予約している人がいるので、入手に時間がかかるがね。A氏:ところで、アジアの伝統の放棄という点で、同じ日曜の朝日新聞の文化欄で、「竹内好は終わらない」というタイトルの記事が大きく載っていたね。 竹内氏の書斎での写真が大きく掲載されていた。 君が「鏡の中の日本と中国・中国学とコ・ビヘイリズムの視座」加々美光行著でふれていたね。私:俺もブログでとりあげた関係でこの記事は読んだね。 西洋の黒船で伝統文化との対立を自覚したのは日本だけでなく、アジア諸国だね。 日本は明治維新で自国文化を「抵抗」なしに放棄して、「素直に」欧米式モデルに移行した。A氏:竹内氏は中国作家・魯迅の翻訳が多いという。 魯迅は戦前の中国で西欧文学・思想や中国の伝統文学・思想との間でもがき苦しみながら、新たな中国を切り開こうとしたという。私:竹内氏は西欧的なものにアジアが「抵抗」する過程にしかアジアが足場として立つ思想や文化が生まれないと考えたという。 しかし、竹内氏は昭和53年(1977年)に亡くなっているね。A氏:その後の中国の市場原理主義・拝金主義による欧米式モデル化の浸透を竹内氏はあの世でどう評価しているだろうかね。 この朝日新聞の記事では竹内氏が毛沢東の文化大革命を賞賛したことをなぜか避けているね。私:毛沢東はトウ小平のような欧米式モデル化は反対で、中国独自のモデルで欧米を追い越そうとして文化大革命を起こした。 竹内氏は、それに新しいアジアモデルを期待したんだが、裏切られたね。 しかし、紅衛兵が文化遺跡を破壊したりしたのは行きすぎだね。 それは自己の文化の伝統の否定ではないかね。 これに対して「帝国論」で紹介されたモンゴルはチンギスハーンを復活させ、かつ、グローバル経済を受け入れるという「二枚舌」を使っているね。A氏:日本はすでに伝統的な共同体的な助け合いシステを高度成長時代に次第に喪失したね。 そして高齢者社会に突入する。 韓国、中国をはじめてとするアジアも伝統的な共同体的なシステムを持っていたが、グローバル経済化で崩壊しつつあるね。私:そこに少子化と高齢者社会への突入、そして国よる福祉制度の遅れと続く。 日本も年金制度は立て直しだね。 この前、升添厚生労働大臣がテレビで年金は掛け金の7倍でもどってくる、だから若者は年金を払うべきだというようなことを言っていたが、ダメだね。 この点で日本はアジアの良きモデルになるべきなんだろうがね。
2007.11.19
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私:俺の行っているスポーツクラブは、もうできてからが10年くらいになるが、最近、人が急激に減ってきたね。A氏:何かトラブルがあったのかね。私:歩いて15分くらいのところに、同じ規模の新しいスポーツクラブができたからだよ。A氏:競争だね。 新しいほうにメリットがあるのだろうね。私:今のところ、戦略なのか会費が2割くらい安い。 ロッカーなどきれいらしい。 駅からもすぐだ。 プールの殺菌も強い塩素でないので、皮膚にやさしいらしい。 俺の今、行っているクラブのプールは塩素が強いので、皮膚の弱い人は赤くなるね。A氏:そうなると会員はその新しいほうに流れるね。 競争は厳しいね。 君はどうするの?私:俺はヨガが主なので、問題はインストラクターの質だね。 今は、75分ヨガだが、新しいほうは45分ヨガらしい。 しかし、回数が多いらしいね。A氏:そうなるとヨガのインストラクターは売れっ子ではないの?私:そうでもないらしいね。 今、俺がいるクラブのインストラクターは、ヨガ専門の研修所みたいなところから派遣されてくるのだが、これが結構、費用が高いらしい。 だから、ほうぼうでスポーツクラブが新しくできても、経営側ではクラブ所属のスタッフに勉強させて、それでこなす傾向にあるようだね。A氏:そうなるとコストは下がるが質が低下するのではないの?私:それはあり得るね。 あるいは、インストラクターが職員となるかだね。 賃金がダウンするかもしれないがね。 今のところ、空いてきたので、ゆっくり運動できるので、移るかは様子見だね。 しかし、経営者は大変だね。 儲けに走ってインチキなことをしないといいがね。 食品の賞味期限のゴマカシや、耐火建材の偽装のようにね。A氏:スポーツクラブが増えるということは、それだけ需要が増加するということかね。 健康ブームで運動の重要性が宣伝されているからね。 今の人は、運動不足になりやすいからね。私:でも、スポーツクラブにきている人を見るとかなり「おばさん層」が多いみたいだね。 それらのスポーツクラブ人口が増えるだろか、ちょっと、行く先、不透明だね。A氏:昨日の君のブログでニューヨークのタクシーの話をとりあげていたが、昨日の朝刊の経済欄では、日本のタクシー業界をとりあげ「値下げ 国に挑む」という記事があったね。 福岡県の遠賀タクシーという保有台数約40台の会社で、05年に思い切って運賃を半額にすることを申請したが、却下されたという。私:国は、タクシー会社の経営を維持するように配慮してつぶれる恐れがないように運賃規制をするからね。 本来、競争とは、つぶれるタクシー会社が出ても仕方がないということなんだがね。 だから、結局、値上げになって消費者のプラスにならない。A氏:そこで遠賀タクシーでは昨年6月奇策に出て、時間と距離の併用運賃を勝手に始めた。 40キロ走ると900円安くなるという。 流し営業から電話予約中心に切り替えたようだね。 最終的に黒字経営になり運転手の給与も上がったという。 しかし、運輸局は認可申請を求め、これを突っぱねたら、運転停止の処分が出たという。私:遠賀タクシーの木原社長は「台数規制は大幅緩和されたが、運賃規制はまだ強い。 運賃が安くならないと利用者は増えない。 今は台数ばかり増え、少ないパイを奪い合っている。 運転手の労働環境が悪くなるのは当然で、それを値上げでカバーするのは業界の都合で本末転倒だ」 という。 規制緩和が中途半端な失政だね。
2007.11.17
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私:この本は書評からでなく、「アメリカのベジタリアンはなぜ太っているのか?」で紹介されていたもので、同じ著者の本で図書館から借りて読んだ。 この知的街道には「ホワイトハウスから徒歩5分」という日誌があるね。 この日誌の2002年11月16日にこの本の筆者がジョン・ダワーが「戦前の日本の国家総動員体制とアメリカの準戦時体制の酷似」をあげ、「神州日本」と「GOD BLESS AMERICA」、「大東亜共栄圏」と「グローバリズム」、「鬼畜米英」と「悪の枢軸」とを置き換えて、当時のアメリカのムードを描いていたというね。 本来、イラク戦争で不人気なはずのブッシュ大統領が何故再選されたのかという点で同じ意見を述べているね。A氏:9.11テロ以来のアメリカ人の恐怖感は「強い大統領」を望んだのだね。私:同時にそれは、自由なアメリカを失う結果となっているね。 政府批判は国家への反逆行為だと見なされ出している。 マスコミにも遠慮が見られる。 独裁国家と同じような様相を呈して来ているという。A氏:昨日の君のブログで中国が「欧米近代化モデル」を推進していると書いていたが、しかし、中国は共産独裁国家で、国家に反対するものは反逆者だね。 自由と人権が問題になっているが、9.11テロ以来、アメリカも似てきたようだね。私:そして、ブッシュ大統領の強気の発言は恐怖におびえるアメリカ人に安心感を与えるのだろうね。A氏:来年のアメリカの大統領選は民主党が勝つだろうかね。 ヒラリー女史が優勢だが、昨日の新聞で「やらせ質問」がニュースに出ていたね。 競り合っているエドワーズ元上院議員は「やらせ質問はブッシュ大統領のやり方だ」と批判しているが、ここでもブッシュ大統領は悪者として登場だね。 日本でもタウンミーティングで「やらせ質問」が問題になったね。私:この「見えない恐怖におびえるアメリカ人」でも「アホでマヌケのアメリカ人」でもブッシュの大統領選挙の投票集計のいいかげんさをえぐり出しているね。 200年のブッシュとゴアの大統領選で、フロリダの投票集計がもめるね。 フロリダ州の知事はブッシュの弟だ。 2004年のブッシュとケリーの投票集計も疑問点が多かったという。A氏:民主主義の最先端を行くべき国がこんなでは困ったことだね。私:そう言えば、昨日の朝刊の「国際」面では「NYタクシーストの秋」とうことで、ニューヨークのタクシー(イエローキャブ)の運転手のストを報じていたね。 カードで支払いができるようにカード読み取り装置とGPSを義務付けることに反対だという。A氏:こういう装置の費用は運転手の負担だという。 カード支払いでは5パーセントの手数料が運転手にかかるという。 GPSは「自由」を奪うと運転手は嫌う。私:白人女性ドライバー・プラウトさんのインタビューが載っているが、彼女は広告会社のコピーライターをしていたのだが、リストラされて、ドライバーになった、という。A氏:日本でタクシードライバーが増加したのと似ているね。 しかし、驚いたね。 ニューヨークでは、運転手の多くは車両の所有者から1日単位で車両を借り、ガソリン代も払っているんだね。 アメリカのほうが厳しいのか、それとも有利なのか。私:インタビューを受けたプラウトさんは 「保険も年金もない。 世界で最も洗練された都市に、第三世界のような労働環境が残っている」 と答えている。 日本のタクシーも低賃金化するのはグローバル化現象かね。 プラウトさんはブログで日々の生活を書いており、本も出版されたという。A氏:ニューヨークの運転手の8割は外国移民だというね。私:皆、自由の国アメリカを夢に描いて来るのだろうが、9.11以来、移民が厳しくなり、「自由」も消えつつあるようだね。 来年、アメリカの大統領選挙でアメリカはどういう選択をするのだろうか。
2007.11.16
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私:今日、録画しておいたのをみたよ。 力作だね。A氏:俺は日曜日当日に見たね。 君の知的街道シリーズでは、「マネーロンダリング」、「マネーロンダリング」、「マネーロンダリング入門」、「近代ヤクザ肯定論・山口組の90年」、昨日の「反転・闇社会の守護神と呼ばれて」に次ぐものだね。私:「近代ヤクザ肯定論」では著者は1991年に施行された暴対法で、暴力団はマフィア化すると言っていたが、投資の裏で活動し、その利益を得ているという方向に走り出しているね。 これは株式投資とベンチャーの規制緩和が引き金になっている。 カネのもとは覚せい剤や賭博などの不正行為で稼いだ金で、そのカネは年間1兆円と言われる。 それが、株式投資やベンチャー企業の規制緩和で株式市場や投資市場に流れ、ここでまた、大きな利益を得ているという。A氏:暴力団の構造も変わってきているね。 かって、警察の取締まりが厳しくなったとき、暴力団は団員を組から形式的に外に出し、経済活動をさせ、そこからカネを得ていた。 いわゆる、「企業舎弟」だね。 ところがこれも取り締まり対象になったので、投資活動は一般人の金融ブローカー、投資家や証券マンにカネを出して儲けてもらうという。私:こういう一般人を「共生者」というんだそうだね。 ある証券マンはヤクザマネー1億円を5倍にしたことがあるという。 こういうカネが、また暴力団にもどり、資金力を強化していく。A氏:居酒屋チェーン「ゼクー」がベンチャーで進出して全国90店舗、年間50億円まで成長するが、わずか2年で膨大な会社資金の流出で倒産する。 急成長するための資金が必要になり、投資家から24億円のカネを借りるがこれがヤクザマネーだった。 会社は倒産するが暴力団はカネを得るという構造だね。 会社を叩き売られたわけだね。私:一時、株は7700円だったものが最終的に2円になる。 もちろん、暴力団のほうが高いときに市場で売っている。 損したのは、一般投資家だね。 破産して従業員も路頭に迷う。私:「ゼクー」の監査役がインタビューに出るが、そのカネの裏の実態を知り、底の知れない恐怖感を感じたという。 あるヤクザはバブル時代に地上げなどで儲けた資金80億円をもとに80社ほどのベンチャーに投資しているという。 ベンチャーがこういうヤクザマネーに走るのは、銀行の貸し出しの際の審査の厳しさとその審査の長さだという。 何ヶ月もかかるからチャンスを逸する。 ヤクザマネーなら、2、3日でかなりの金額を借りられる。 政府は規制緩和しておきながら、銀行は旧態依然たる姿勢に放置だね。A氏:だから、ベンチャーは問題と知りつつ、借りる。 ヤクザは担保に株や白紙委任状をとる。 ヤクザが事実上のオーナーだ。私:国も放置するわけにはいかない。 特に、海外フアンドに資金が流れるときは、投資家として直接ヤクザは登場せず、二重、三重のペーパーカンパニーを通じて資金が流れるので、追跡が難しいという。 今月、証券取引等監視委員会とヤクザに詳しい警察庁が連携を取り出した。A氏:このNHKスペシャルは、最後に、このヤクザマネーは、逆に、日本国民の拝金主義を問われている問題だとくくっているね。私:今月の「文藝春秋」で、例の「国家の品格」の藤原正彦氏が「経済至上主義では人心乱れ国滅ぶ」として「教養立国ニッポン」を提言しているね。 ヤクザマネーは、その「人心乱れ、国滅ぶ」という日本の実態を反映している現象だね。 それにしても派遣社員の規制緩和、タクシーの規制緩和、株式市場の規制緩和、ベンチャーの規制緩和はマイナス面が多いね。 藤原正彦氏の提言のように、もう一度、見直すべきだろうね。
2007.11.13
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私:この本は400頁もあるが、検事のときと弁護士になったときと大体、半々だね。 後半は弁護士になったときの話だね。 1988年、著者は大阪に弁護士事務所を開く。A氏:バブル経済がピークを迎える直前だね。私:ところが事務所開きの祝儀が6千万円だったという。 顧問料だけで月一千万円になったという。A氏:ところで、著者は、なんで山口組と関係するのかね。私:著者の友人のヤメ検弁護士が山口組の五代目の渡辺芳則組長に著者に一度会っておいたほうがいいと推薦してくれたのが縁だという。 しかし、バブルでカネの動きはものすごいね。 著者は、節税のためヘリを7億円で購入する。 しかし、ゴルフに誘われると先方のヘリつきなので使ったことはほとんどなかったという。 著者はバブルに染まってしまう。A氏:安倍晋太郎の清和会との関係はどうしてできたの?私:著者が大阪地検のとき、例の「五えんやチェーン」を築いた中岡信栄に七年間に350億円という巨額の使途不明金があるのを目をつけ、捜査を始めた。 しかし、著者が東京地検に転勤になったため沙汰やみとなる。 弁護士になったとき、中岡は著者に会いに来て、「わしを狙っていた男をみたかった」といったと言う。 その中岡の紹介で安倍晋太郎を紹介され、彼の派閥の清和会の顧問弁護士になる。 そこでリクルート事件に関係して、農水大臣まで務めた加藤六月の弁護をする。A氏:リクルート事件というと例の未公開株譲渡の事件かね。私:未公開株の問題だけではないんだね。 リクルート事件は、株以外にリゾート開発に関係して保安林指定の解除がからんでいる。 リクルートの江副浩正氏はスキーが趣味でリゾート開発を進めていた。 そのためには、農水省が管轄する保安林の解除が必要だ。 安倍派は自民党農水族の牙城だという。 東京地検特捜部は、安倍派の農水族と保安林の関係を洗い出そうとしていた。 ターゲットが加藤六月だというわけだ。A氏:結果はどうなったの?私:安倍と加藤の秘書による政治資金規正法違反で落ち着く。 このように弁護士として検察と対峙するケースが増えてきて次第に検察に疎んじられる。 第二次中曽根内閣で労働大臣まで務めた山口敏夫代議士の話は面白いね。 選挙区の埼玉県でゴルフ場開発したが、オープンできない。 彼が裏書していた手形が山口組の関係者に渡り、山口は追い込まれていた。 彼は命の危険を感じて著者の事務所に逃げ込む。 著者が山口組組長と親しくしているのを知っていたからではないかという。A氏:しかし、現職検事と対抗すると反撃を受けるね。 今、高裁で石橋産業手形詐欺で許永中とともに実刑判決を受けた。私:最高裁に控訴中だというが本人は無実だとしているが諦めているね。 検察が狙いをつけたらだめだということだ。 本人が検事時代にやってきたことだからね。 ともかく、この本で検事と弁護人という両面で政界、裏社会をよく知ることができたね。A氏:そういえば、今月号の「文藝春秋」の対談で、著者は今、目を離せないでいるのは守屋前防衛長次官と山田洋行との関係だという。 政治家も出てくるだろうという。 民主党の小沢代表のゴタゴタの裏には、それが絡んでいるという説もあるらしいね。私:小沢氏は山田洋行からの政治献金を返しているそうだからね。 特捜がどこまで切り込めるか。 「天の声」が出るか。 しかし、著者は、特捜は世論の動向を気にしていると言う。 だから、「国策捜査」は国民が行わせているとも言えるという。 その国民もいろいろあるがね。 今後を見守りたいね。
2007.11.12
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私:1978年、著者が高知地検にきたとき、県内の宿毛市長の選挙で高知きっての名家の生まれである林遉という人が勝利した。 高知地検でこの林陣営の選挙違反を摘発しようとした。 ところが、最高検の総務部長が高知地検の次席検事に止めにはいる。 総務部長の甥が林の選挙参謀だという。A氏:それで著者は摘発を諦めたのかね。私:逆に、抵抗して逮捕に踏み切り、林市長は辞任。 ところが、林市長は逮捕されず、辞任後に行われた市長選でまた当選し、1978年から2003年まで20年以上にわたり市長の座に居坐り続けたという。A氏:政治家の圧力も多いだろうね。私:多いそうだね。 1983年、「金屏風事件」と言って、平和相互銀行が「八重洲画廊」真部俊生社長から「金蒔絵時代行列」という8千万円相当の金屏風を40億円で買う。 真鍋は大蔵省など霞ヶ関の中央官庁出入りの画商で大蔵大臣経験者の竹下登らと非常に近い人物だという。 この絵画取引に関与したのが竹下の秘書青木伊平で捜査の途上に、金屏風の取引で「竹下登へ5億円渡した」とされる走り書きがある「青木メモ」が登場する。 青木はその後、謎の死を遂げる。 ところが捜査が詰めに入ったところで、上から「青木メモ」を忘れろという話が出たという。 最初から政界には踏み込まないという捜査方針があったようなものだったという。A氏:確か、平和相互銀行はその後、住友銀行に吸収されるね。私:1986年、三菱重工の転換社債が総会屋や政治家に100億円にのぼる金額がながれたという。 これも検察の上層部から妨害されて捜査は進まなかったという。 1987年、北九州の苅田町で裏帳簿があり、住民税1億1千万円がネコババされていた。 著者が東京地検で前市長の尾形智矩が当時の安倍派から衆院選に出馬していたが、このネコババのカネから5千万円が安倍派の森喜朗事務局長へ派閥の選挙公認料として渡ったようだということが分かる。 ところが、逮捕直前で担当を福岡地検を替えるという事態になった。 これには著者は激怒する。 「天の声」である。 後に著者が安倍派の顧問弁護士になったとき、ある大物代議士から北九州の片田舎でまだ検挙もされていない事件が中央政界では評判になっていたということを聞く。 結局、この事件はうやむやになる。 当時の中曽根首相は清和会の安倍晋太郎と経世会の竹下登を後継者として競い合わせながら政権を維持していた。 だから、安倍派の重鎮である森喜朗にネコババした税金が渡ったということになって失脚すれば、中曽根にとっては政権基盤のパワーバランスが崩れる、検察上層部はそれを憂慮したのではないかと著者は推測しているね。 この事件がつぶされた2ヵ月後の1987年8月に著者は東京地検に辞表を出す。 同年12月に退職した。 検事生活17年目のことだという。A氏:昨日発売された「文藝春秋」12月号には、11月号に続いて著者と立花隆の対談第二弾が「特捜検察の正義と病巣」というタイトルで載っているね。 11月号は弁護士になったときの話題が中心だったが、今月号は、特捜検事時代の話がメインだね。私:この対談では国策捜査の話が出ているね。 著者はここで、東京地検特捜部の手がける事件はつねに国策捜査だと言っているね。 政官界をまきこんだスキャンダルを扱えば、国の根幹にかかわる部分に配慮するし、事件として扱うかも「国策」だという。 その特捜の思惑を通すには、事実をねじ曲げることも厭わないという。A氏:立花氏は、この対談で、90年代後半のバブルの時代の終わりから、特捜部のあり方が経済事件に力を入れるようになるという。 特に04年に松尾邦弘氏が検事総長になって以降、顕著になったというね。 コクドの堤義明、ライブドアの堀江貴文、村上ファンドの村上世彰は、10年前だったら見逃されていただろうという。私:これも無罪無き国策捜査かね。 明日は、著者の弁護士時代の話をして終わろう。
2007.11.11
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私:著者は1943年(昭和18年)長崎県平戸島の貧しい猟師の長男として生まれる。 長男だから漁師を継ぐために、小さいときから父親にしごかれ、小学校に入る前には伝馬船の櫓をこげるようになったという。 後で検事や弁護士になったときの氏の猛烈な働きようは、この少年時代の訓練の賜物かもしれないね。A氏:それで思い出すのは、プロ野球の稲尾投手だね。 足の裏を全て地面につけず、爪先で立つように投げるフォームは、漁師であった父の仕事の手伝いで、小船で櫓を漕ぎ続けていたことによって得たものだといわれているね。 最近の投手と鍛え方が違うね。私:著者は高校に行くのを父親が反対したが、10年くれということで許してもらい、夜間の高校に通った。 母親は理解があったという。 学費は親から出ないので、小学校から得意だったソロバン塾を始め、その月謝でまかなった。 大学を目指すが受けた大学は不合格で、その前に手紙を出していた和歌山英数学館校長の笹岡氏のもとにころがりこむ。 こうして予備校の清掃のアルバイトをしながら、昼の授業を受けさせてもらった。 当時、国立大学で理数科のテストの少ない岡山大学法学部を受けて合格する。 奨学金とアルバイト、そしてもう働いている姉妹からの仕送りで大学生活を送る。A氏:法学部は司法試験という難局があるね。私:氏にとっては、司法試験は一発勝負で、もし、不合格なら父との約束の十年になるので平戸に帰って漁師をしないといけない。 漁で鍛えた体力のせいかもしれないが猛勉強をする。 そして、一発で合格する。 この貧しい漁師の長男から苦労して這い上がってくるハングリー精神は、後に氏が検事や弁護士活動で貧しい者に同情する心情のもとになっているようだね。A氏:司法試験は何回も受けて合格しない人が多そうだが、たいしたもんだね。私:大学卒業の頃、東大安田講堂占拠に象徴される学生運動で、多くの大学が卒業式が行われなかった。 そんなゴタゴタで、最初、希望した裁判官を諦め、検事の道を選ぶことになった。 こうして1971年に27才で、東京地検で新米検事として働き出す。 東京地検で1年間見習いをして、地方の検察庁に一人前の検事として赴任する。A氏:検察庁は検事総長の最高検察庁を頂点としたピラミッド組織で、最高検の下に各地方の高等検察庁、そしてその下に地方検察庁があるね。 警察はこれと異なり、最高峰は警察庁で国家公安委員会の下に置かれる。 各都道府県の警察は自治体の傘下組織だね。 だから、警察庁の職員の多くは国家公務員、警視庁、道警、府県警、警察官は地方公務員だね。 そして警察が現場を捜査して検挙し、その捜査を受けて起訴にするかを検察庁が決める。私:著者は検事の仕事に没頭し、1ヶ月の残業はだいたい230時間で平日も休日も深夜まで働いたという。 残業手当なしだね。A氏:検察庁にはキャリア、ノンキャリアの違いがあるのかね?私:検事は赤レンガ派と現場捜査派にわかれるという。 赤レンガ派は法務省旧館の赤レンガの建物からきており、法務省の経験が長い法務官僚で、東大法学部卒のエリート官僚や閨閥を後ろ盾にしている検事などだという。 彼らは検事になったときから出世が約束されているが、現場経験が少ないという。 かたや、現場捜査派から検事総長にまで昇り詰めるのは容易でないという。 しかし、著者は35才で、地検の三席検事となる。検事正、次席に続くナンバースリーの地位だという。A氏:捜査での裏金もあるのかね?私:裏金の話も生々しく出てくるね。 しかし、罪悪感はなく、大儲けしている悪人をやっつけることで頭が一杯だったという。 著者の正義感は、検察官に対する上からの圧力にも抵抗するようになる。 ダーティ・ハリー症候群かな。 明日は、上からの圧力の具体的な話と著者がやめるきっかけとなった事件に話を移そう。
2007.11.10
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私:最近、あまり本を買っていない。 図書館で借りる本が増えたからだね。 今も、図書館に予約してある本は13冊。 中には、30人待ちというのもあるね。A氏:横浜市図書館は予約も貸し出しも一人6冊までという制限があるのではないの?私:家族のカードを3枚持っているから、最大、18冊の予約や貸し出しが可能なんだ。 もっとも、そんなに読めないから、フルに使うことはないがね。 この「反転」は興味が湧いて、図書館に予約したら、なんと待ちが700人を超えていた。 横浜市図書館は17あって、この本は70冊くらい買っているらしいが、それでもかなり待つことになる。 いまだに、予約の多い本のベストテンに入っている。 そんなに待てないので買うことにした。 1500円を越えるので送料無料のアマゾンで9月頃、購入した。 しかし、図書館で借りた本のほうが貸し出し期間の制約があるので、そちらが優先になってしまい、ついつい、「積読」になっていた。 ようやく読めるタイミングになったね。A氏:特捜のエース検事が、「裏」社会の弁護人に転向したという生々しい半生の自叙伝だそうだね。 先月号(11月号)の「文藝春秋」に著者と立花隆との10時間インタビューといのがあって、これを俺は読んだよ。 このインタビューは立花氏が「反転」を読んであまりに面白いので、文藝春秋の編集部に電話して、「著者とインタビューしたら面白いものができる」と売り込んだものだというね。 文藝春秋のタイトルは「逮捕された特捜の鬼検事 全告白 私が見た闇社会の怪物たち」と仰々しいね。私:11月号は著者が検事をやめて弁護士になった頃の話で、バブル全盛時代のはなしだね。 大体、本に書いてある話が多いね。 このインタビューで出てきた本にない新しい話は、「週刊現代」が報じた安倍晋三の3億円脱税事件で、立花氏がその話題を出しておて、著者がそれに答えているね。A氏:著者は安倍晋太郎氏と親しくなり、その派閥の清和会の顧問弁護士となるね。 当時、富ヶ谷の安倍家に伺うと自宅には10億は入る金庫が3つあると言われていたという。 晋太郎氏はそこから、自由にカネを出し、野党の議員にも国会対策で300万、500万を渡したという。 だから、当時、社会党議員が国会で偉そうなことを言うと、ハマコーが「そしたら、お前。あれ言うぞ」と脅かしていたという。私:そういう秘密資金だから息子の晋三氏はオープンに国税に届けるわけにいかなかったのかと立花氏は納得しているね。A氏:その金のもとの多くは中岡信栄という大阪の焼き鳥屋チェーン「五えんや」グループの創業者だね。 漢字も読めないようなおっさんだったというね。 東京に行くときはホテルオークラ最上階にある100坪以上のスイートルームを借りる。 そこへ政界、官界の大物がひっきりなしに来たという。 著者は、安倍晋太郎をはじめ、竹下登、玉置和郎を見かけたと言うね。 野党の民社党の春日井一幸、公明党の矢野絢也らともつき合いがあったというね。 後にバブル崩壊で「拓銀をつぶした男」と言われるね。 今は、スッカラカランだというね。私:この本に出てくる政治家や経済人やヤクザなどはみんな実名だから、迫力があるね。 ところで、この闇社会や検察など知的街道は、昨年から続いているね。 「銀座の怪人」、「マネーロンダリング」、「マネーロンダリング」、「マネーロンダリング入門」、「トリックスター」、「徴税権力:国税庁の研究」、「正義の罠・リクルート事件と自民党-20年目の真実」、「国家の罠・外務省のラスプーチンと呼ばれて」、「近代ヤクザ肯定論・山口組の90年」などだね。A氏:この本はヤクザも関係するね。私:弁護士になってから、山口組5代目渡辺芳則、その若頭宅見勝との関係が深くなるね。 それと政界の大物とヤクザの関係も生々しく実名で描かれているね。 明日は、彼が検事となり活躍するまでの後を追うことにしよう。
2007.11.09
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A氏:新聞の一面は連日、例の壊し屋さんの小沢問題だが、それにかくれたように、東洋ゴムの耐火偽装が新聞で報じられていたね。私:15年前から偽装をしていたようだね。 例のニチアスの耐火偽装のニュースで建材の技術部長から「ニチアスと同様の問題がある」と役員に伝えられたのがきっかけだという。 それまでは、部長どまりでそこから上にあげず握りつぶしていたようだね。A氏:この問題もマネジメントの問題だが、君がよくいう国際的なマネジメントシステム規格のISO(アイ・エス・オー)を東洋ゴムは認証されていたのかね。私:東洋ゴムは品質も環境もISOの認定を得ており、かつ、立派な社内の憲章があるようだね。 これが空文化していたのだね。 書類やスローガンを華々しく掲げ、従業員の尻を引っぱたくとマネジメントがうまくいっていると錯覚している会社の典型だね。 社保庁の民間導入の村瀬型もそうだね。A氏:だから、経営陣は雲の上でごまかされる。。私:やはり、トップをはじめ、経営陣が部下を「目で見」「肌で感じる」力がなかったのだろうね。 数字や文書だけを追いかけ、スローガンだけ掲げている経営タイプだね。A氏:「カイゼン」タイプではないようだね。私:それに、こういう耐火試験は外部の専門試験機関がやることが多いのだが、その試験も形式的なものになっているという批判もあるね。A氏:以前の耐震偽装の時の検査機関が偽装を見抜けなかったことで批判されていたのと同じだね。私:耐震偽装のときは、検査機関はまさか意図的に偽装していると思わないから、書類の不備のチェックが中心で、もう一度、耐震計算をダブってやるというムダを省いていたらね。 政府のほうもそういう姿勢だった。 最近は、ダブって計算をしているようだね。 ムダだね。 日本の高度成長時代の品質管理では「品質は検査でなく、工程で作られる」という原則が徹底していて、検査主義を否定していたのに、その伝統は崩壊したね。A氏:耐火試験も、こういう不正を防止するには、試験体制を強化することが必要なんかね。 試験の強化でなく、元の企業の倫理やマネジメントを強化するほうが社会的なコストが安く済むのではないかね。私:企業の自由競争は結構だが、最近は偽装で利益を出そうとしているね。 技術力を高めて、正々堂々の勝負ではないね。 「ケチリ」のコストダウンだね。 技術屋のプライドによる新製品やコストダウンではないね。 最近、「カイゼン」のコストダウンが減って、「ケチリ」のコストダウンによる利益追求が増えているようだ。 この原因は、日本の「ものつくり」の技術力の低下が原因かね。A氏:競争に打ち勝つ技術力の向上がないために、技術のプライドを傷つける「反則技」で新製品を宣伝しコストを下げようとしたわけか。 ボクシングの亀田大樹が試合中に負けとみると大反則に出たのと似ているね。私:いや、あの反則は公衆の面前でやったんだが、この耐火の反則はかくれてやっていたのでもっとたちが悪いね。 国土交通省もまだ、問題を起こしていいない他の耐火建材メーカーも疑ってチェックするそうだが、偽装だらけになるね。 監視コストが増えるばかりで、ちっとも「小さい政府」にならないではないかね。 同じように「小さい政府」を目指し、規制緩和した「タクシー」が逆に値上げになることが決ったね。 「規制を緩和して競争させることが消費者の利益になる」という政府の最初のスローガンは「大いなる偽装」だね。 この「偽装」の責任は誰にあるのかね。 マスコミも規制緩和の偽装責任の追及をしていないね。
2007.11.08
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私:どこかの書評で読んで図書館で予約してようやく順番が来た。 俺の後、25人が待っている。 この場合は、2週間の貸し出し期間を延長できない。 しかし、この本は220頁ほどで、ジャーナリストが書いた本なので、2日もかからず読んだよ。 著者は、1954年生まれのジャーナリストで、20才で渡米し、15年以上の滞在歴を持つという。A氏:題名からすると、アメリカ人の肥満の話しかね。 アメリカ人は成人の65パーセントが「太りすぎ」、そのうち31パーセントが「肥満」だという、食いすぎの肥満大国だね。 子供にも肥満が多いそうだね。 糖尿病、肺疾患、高血圧、がんなど肥満を主な原因とする病気では、年間40万人が死亡しており、肥満に関連する医療費は1170億ドルで、CIAの年間予算の約40倍だそうだね。私:この本は、ダイエットが盛んなアメリカの状態も描いているが、話はそれに止まらず、アメリカ人の性格の本質を日常生活から、政治、経済、宗教にまでふれているね。 ベジタリアンを目指して食事を改善するが、三日坊主で終わるか、効果が一時的に出ても、リバウンドするか、栄養のバランスを崩すか、という現象が一般的。 しかし、ここに書かれているアメリカ社会の多様な姿は、もう、おなじみのものだね。A氏:有名な超格差社会、カネが人の価値を決める社会、銃社会などなど。 2億数千万丁の銃があふれ、毎年約3万人が命を失い、20数万人が負傷している。 銃社会として先輩のイギリスは1921年に拳銃所持を禁止し、銃犯罪防止に効果をあげているが、アメリカにはそれができないいろいろな事情がある。 人種差別は表面的には消えたように見えるが、底辺で根強く残っている。 機会も平等ではない。 今度、ヒラリーがアメリカ初の女性大統領になるのではと言われているが、女性の地位もヨーロッパと比べると遅れている。私:著者は、アメリカの「建前」と「本音」の使い分けを強調しているね。 自由だとか正義だとか言いながら、勝手にイラク戦争を始める。 ところで、この本で興味を引かれたのは、美容整形ブームだ。 アメリカ人は能力主義だというが、「見た目」がよい人が好まれる、という。 日本では「人は見た目が9割」という本が出たが、この本の「非言語コミュニケーション」と違った意味、すなわち、ルックス上で「アメリカ人は見た目が9割以上」で、女性だけではなく、男性もルックスがビジネスの上で重要なポイントになるという。 就職の面接でも有利だという。 このために、美容整形が盛んで、米国美容整形手術協会の05年の記録によると、アメリカ人が美容整形(治療・手術も含む)に費やした総額は125億ドル(約1兆4千億円)に上り、総件数は1150万件に達した。 件数は過去5年間で4.65倍も増えているという。A氏;いろいろなダイエット方法が開発され、日本に来るのもあるね。 しかし、食って、また、運動して、サプリメントを飲んで、美容整形をしてという積極性はものすごいね。私:何か消費していないと不安なのだろうか。 強大な大量消費社会だ。 このためにアメリカに輸出するアジアの経済は潤っているのだがね。 しかし、考えてみると環境問題では、アメリカのエネルギー消費は桁外れだね。 南部の暑いところでも冷房は寒いくらいにかけているという。A氏:ゴア元大統領が、映画「不都合な真実」で環境問題の重要性を訴え、ノーベル賞までもらったが、養老孟司氏がどこかの雑誌で、ゴア氏は足元の「アメリカの不都合な真実」を描くべきだと言っていたようだね。私:養老孟司氏は、アメリカの異常なエネルギー消費にあきれていて、いつかはそれでこの国は崩壊すると言っている人だからね。A氏:「不都合な真実」に出てくるゴア氏は、以前の副大統領の頃より太った感じだね。 御本人の体からエネルギーを節約すべきかね。 映画は見ていないが、部分的に紹介されているシーンを見ると、画面はエネルギッシュでエネルギー過剰映画のような印象を持ったよ。 ある雑誌で、ゴア氏の邸宅は広大でそのエネルギー消費はすごいものだという。 ブッシュ大統領のほうがまだ、質素だそうだ。私:とにかく、アメリカ人は活力があると言うけれど、この膨大なエネルギー浪費の生活習慣は、どうなっていくのかね。 この本を読みながら、つくづく、それを感じたよ。
2007.11.07
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A氏:湾岸戦争、ユーゴ内戦、9.11テロ以来のアフガニスタン及びイラン侵攻など、アメリカが冷戦体制崩壊後の世界で果たしてきた役割が「帝国」的であるといわれてから、この言葉が国際関係に使われることが多いね。 それにグローバル化がからむ。 グローバル化はアメリカ化かという問題もあるね。 一方、アメリカに対抗するロシア、EU、中国などの帝国的な動きもあるね。私:9月末ごろ、朝日新聞で、新しい国際秩序について、「帝国」という考えが生まれており、それとの関係でこの「帝国論」という本が紹介されていた。 そこで図書館で借りて読んだ。 この「帝国」というのは、2000年に発行されたアントニオ・ネグリとマイケル・ハートの「<帝国>」というのがもとになっているという。 図書館でこのネグリとハートの「<帝国>」を見てびっくり。 500頁を超える大著でビッシリ活字が埋まっている。 引用文献リストだけで50頁もある。A氏:学者の専門書だね。私:ネグリとハートの「<帝国>」という「帝国」はアメリカが「帝国」だという意味の「帝国」でないんだね。 冷戦後、急速にグローバル化している今日の世界において現れつつある、新たな世界秩序の様式を意味しているという。 だから、区別するために<>で囲んで<帝国>としている。A氏:植民地時代の「国民国家」同志の抗争と形が変わりつつあるというわけだ。 領土問題で騒いでいるのは日本の周辺くらいで、従来の植民地争いと違うね。私:俺が借りた、この「帝国論」のほうは200頁くらいの薄い本だ。 7人の国際政治経済学や文化の学者が書いた7つの論文からなっている しかし、内容が専門的で具体的な話がないんで、読みにくい。 唯一、モンゴル国の土地私有化政策の例をのべたのが具体的でわかりやすかった。 他は頭が痛くなるので読むのをやめた。A氏:モンゴルは3つの時代を経ているね。 チンギス・ハーン時代など封建時代、ソ連の支配下の社会主義時代、ソ連崩壊後の民主化時代だね。私:ソ連支配下時代は、ソ連の経済援助があったが、ソ連崩壊後の民主化で他の社会主義国同様に、経済的な混乱に陥る。 そこでアジア開発銀行(ADB)をはじめ他の機関や先進国の経済援助を受けるようになる。 そして、2003年に「土地所有法」が施行され、モンゴル国民は国有の土地の分配を無償で受け、土地を売買する権利を有することになる。 この土地の私有化などの政策はADBなどの国際機関の助言がグローバル的な視点で推進されてきた。 特に土地私有化の遅れが放牧地の砂漠化を促進しており、環境問題となっていると指摘された。 しかし、遊牧システムの研究家の意見は、社会主義以前の土地利用が一番効率的であったとして、対立するね。A氏:それは放牧国家の土地利用という伝統の重みだね。私:そこで、この伝統の論理と対立するグローバルの論理を「土地所有法」施行で矛盾なく説明するために、この「土地所有法」を施行したときの大統領は「二枚舌」を使った。 それは「放牧地」はチンギス・ハーン以来の母国の地であり、今の国土はモンゴル国という国家の領土が歴史を通じて同一であり、その国家を守ってきた「国民」も同一であったというものだ。A氏:二度の体制転換を経た20世紀どころか、チンギス・ハーンの時より変わらぬまま現在に至るというわけか。 モンゴル国民が「土地の主」になることは、チンギス・ハーン以来続けられてきた「国家」の独立維持の戦いの延長線上にあり、また、20世紀以来の「発展」の新たなステージに立つことだとしてまとめられたことになるね。 グローバル化で伝統と「国家の品格」を失い、アメリカ化が進む日本は見習いたいね。私:これは、一方で土地売買の自由化というグローバル化の要求を受けいれながら、一方でチンギス・ハーンを持ち出し、モンゴルのローカル化を促進するという「同質化と異質化の同時推進」する一つの国際秩序の<帝国>の姿だというわけだね。 アメリカ化だけの国際秩序ではないと言うことかね。 この問題は新しい知的街道のスタートだね。
2007.11.03
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A氏:カレンダーをめくるともう今年も11月だね。 今年は、夏の後、すぐに冬が来るような気がするね。 昨日、いよいよ、新聞の一面トップで年金記録問題検証委員会の最終報告が出たことが報じられているね。 例の「宙に浮いた5000万件の照合」を3月までに終わるという安倍前首相の約束した期日が次第に近づいてきたが、その実現が次第に危ぶまれてきているね。 君のブログの年金シリーズも1、2,3,4、5,6,7、8,9,10と続いたね。 しつこいね。私:俺が年金問題に知的興味をもっているのは、2つだね。 1つは、このものすごいコンピュータエラーにどのように政府と官僚が戦うか。 2つには、安倍前首相の3月までに「5000万件の宙に浮いた年金記録の照合」を終わるという公約が本当に守れる自信があって言ったのかの事実が分かることだね。A氏:君は、製造業の経験で、納期は希望的なもので、日程は確定的なものだといったね。 日程を決定するには、負荷と能力を把握して、その対比で決まると言っていたね。私:100の負荷にたいして、1日10の能力しかなければ、日程は10日かかかるというわけだ。 安倍前首相はこれをやっていないで来年3月と言い切った。 これは約束できる日程でなく、希望的な納期だ。 正確な裏づけがない。A氏:社会保険庁が開発した照合ソフトでは、生年月日が前後1日異なっていても捜し出せるという。 ところが、検証委員会の8000件のサンプル調査では生年月日の入力ミスのうち、「年」の間違いが15パーセント、「月」の間違いが4パーセントなどと、3割が日単位の間違いでなく、年月単位のミスだという。 こんな間違いをこのソフトが処理できるか疑問だね。 昨日の夕刊では、舛添大臣も「(入力ミスの大きな記録は)来年3月までに間に合わない可能性が出てくる」と弱気の発言になったね。私:最初からコンピュータ入力ミスの怖さを知らないね。 俺が現場にいた頃は、コンピュータ化で泣かされたから、その怖さを痛いほど知っているよ。 しかも、年金記録のデータはすでに20年くらいの積み重ねだから、その最後に残った5000万件の膿は悪質なものばかりだろうね。 予想されたことだし、軽かるしく約束できないことだよ。A氏:そういうときはどうするの?私:問屋でコンピュータ在庫が間違っているとする。 その状態でコンピュータデータに在庫があるとあるので、客に明日、納品すると約束する。 倉庫に出荷依頼をしたら、そんな在庫がないと回答が来る。 翌日、納入できないから客が怒る。 商売を失う。 当時、コンピュータのミスで、つぶれそうになった問屋があったんだよ。 この場合、倉庫の在庫を原点に戻って、現物棚卸しをして、そのデータで全部、コンピュータ在庫を修正しないと解決しない。 それも棚卸しカウントミスがあるから、十分にチェックしないとダブルミスとなる。 コンピュータは正確にミスをするから怖いよ。 だから、その後、商品のバーコード化が進んで、人の入力を不要にしたね。A氏:ところが、この年金記録は、現物在庫に当たる「原簿」がないんだね。私:市町村ではとっているところがあるから、それとの照合が一番効果的だね。A氏:民主党の長妻議員がそれを提唱しているね。私:安倍前首相が「私の内閣で全部処理します」と言ったが、引き継いだ福田内閣は大変だね。 しかし、コンピュータデータをコンピュータ内でいじくりまわしていても、時間をとるだけだね。 年金受給者の「棚卸し」だよ。 原点にもどれだよ。 俺の年金問題の知的興味の1つである「3月まで」を守れるかはすでに、守れないことが明らかになったようだね。 後は、コンピュータ入力ミスによってたまった不正確なデータとの戦いにはどういう方法が効果的であるかだね。
2007.11.02
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A氏:この問題は、TVで一時、毎日のように登場していたね。 最近は、落ち着いたようだね。 この問題に冷ややかだった朝日新聞も数日前に扱っていたね。 さんざん、持ち上げて、問題を起こすとたちまち、非難するというTVをはじめとするマスコミの無責任さを批判していたね。私:単純に言えば、タイトル戦で挑戦者が負けたというだけなんだがね。 その試合で挑戦者側に反則があったというだけだ。 それも珍しい反則だという程度だね。 マイク・タイソンだって、試合中に相手の耳を噛み切ったという反則があるからね。A氏:当然、ひどい反則を犯したボクサーには処罰は下る。 だから、処罰は覚悟で反則をしたんだろう? 自分で意図的にやっておいてなんで大毅はあんなに落ち込むのかね。 18歳だからというのは関係ないね。私:大学野球の斉藤選手も連勝してきたのが一度、打たれて負けたことがあったね。 彼も18,9才だろうが、別に落ち込まないで、「よいことばかりでなく、こういうこともあるでしょう」と耐えていたね。 そして、こないだ早慶戦で15奪三振ということで優勝に貢献しているよ。A氏:亀田一家の異常なトレーニングぶりという前宣伝がTBS・TVで長々とあったので、話が大きくなったんだね。私:この試合は挑戦者の亀田大毅が勝っていたら、TBSの担当ディレクターの計画は大成功だったろうね。 18才でチャンピオンだということになる。 しかし、勝負は絶対勝つことはない。 TBSの担当ディレクターは負けた場合のセーフティネットをどのように考えていたのかね。 さんざん持ち上げているので、負けたら大変だという危機感はなかったのかね。A氏:それがおかしいんだね。 専門家の間では負ける確率のほうが高かったようなんだね。 当日の試合は客が意外に少なく、ボクシングファンもさめていたようだね。 タイソンみたいに、マナーが悪くても強いと客は期待するがね。 どうも、このタイトル戦は亀田側にとっては企画ミスだったのではないかね。 もっと、弱い相手をさがすべきだったのかもね。 もう、そういう弱い相手もいなくなったのかしれないがね。A氏:俺はボクシングは詳しく知らないので、試合中継をチラチラ見ている程度だったが、内藤選手との力の差が歴然としていた感じだね。 トレーニングも精神的なものが多く、テクニックが少なかったようだね。私:それに途中で判定の中間結果が発表されるので、試合の後半になるに従い、亀田側が不利であることが歴然としてくると、あせりが出るね。 あせるとますます、不利になるね。 それが破れかぶれの反則の原因となったのかね。 美空ひばりの「柔」ではないが、「勝つと思うな。思えば負けよ」だね。A氏:兄の興毅が一人で亀田家代表として会見したが、かっての悪いマナーはどこかにふきとんだね。私:強くてマナーも紳士的だというボクサー。 強くてもマナーが悪いというボクサー。 弱くてもマナーがいいというボクサー。 弱くてマナーも悪いというボクサー。 ボクサーにもいろいろあるが、亀田大毅は結果的にどのタイプのボクサーになりたかったのかね。A氏:それは、強くてもマナーが悪いというボクサーだろうよ。私:しかし、結果的には反則の多い弱くてマナーが悪いというボクサーになってしまったね。 スポーツ選手というのは自己責任は厳しいね。
2007.11.01
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A氏:君のブログで「『まずい!!』学・組織はこうしてウソをつく」の本を扱っていたが、最近、食品偽装が連日のように報じられていたと思ったら、ついに、工業製品にまで発生したね。 今朝の朝日新聞の朝刊トップは「ニチアス 耐火材偽装」だよ。 01年から「ウソ」の耐火試験をして国土交通省の大臣認定をパスして出荷していたという。私:これは大問題だね。 ニチアスは建材メーカーの大手だからね。 01年からだから、供給先の大手住宅メーカーの被害は甚大だね。 一連の食品の賞味期限の偽造も内部告発によるものだったが、これも内部告発的な投書が発端のようだね。A氏:管理をきちんとやっていないのかね。私:この会社もISOというマネジメントシステムの国際規格の認証をとっていたようだね。 これは不二家の問題ですでにふれたね。 ISOのマネジメントシステム規格には、品質と環境があるのだが、不二家はこの2つを取得していた。 ニチアスも両方の認証を取得しているようだね。A氏:06年9月に内部調査で不正がわかり、その情報が社長まであがっていたのに、1年以上も公表せず、出荷を続けた。 それが公表に踏み切ったきっかけは、今月16日に届いた匿名の投書だというね。 「公表しなければ報道機関に知らせる」というので、17日に国土交通省に届け、18日に納入先に報告を始めたという。私:「ウソ」をついていた原因は近視的な利益確保だね。 結局、これから、取替えで高いものについたね。 大手住宅メーカーからの賠償要求は相当なものになるだろうね。A氏:「ウソ」と言えば、防衛省の例のインド洋沖での給油で80万ガロンが20万ガロンと入力ミスしたという言い訳は「ウソ」ではないのかね。 それに航海日誌を4年保管というルールなのに、4年にならないものを破棄したというのも「ウソ」ではないのかね。私:まず、分からないのは、80万を20万と入力したというキータッチの動作の問題だよ。 俺のパソコンでも数字の2と8のキーは隣り同志ではないね。 誰が、もとのどういうデータ用紙を見たのか。 その用紙はどういうことを書いてあったのか。 20と80とがその用紙に並んで書いてあったのか。 どのパソコンに、どのように転記入力したのか。 こまかく、動作レベルまで聞かないと俺は「単純なミス」では納得しないね。 「ミスしてごめんなさい」だけでは「ウソ」と疑われても仕方がないね。 そんなキーを間違えるような人間がいる防衛省が戦争をしたら、電子化した現代戦の場合、味方にミサイルを撃ち込むかもしれないよ。 それを「入力ミスでした」ではすまいないね。 第一、 この油は民間から買っているのだから、出費でもわかるはずだよ。A氏:航海日誌は4年保管だから、4年たつと破棄するというけれど、これもおかしいね。 日誌というのは毎日書いているのだから、毎日、4年たった日誌が発生する。そうなると、毎日4年前の日記を捨てていなくてはならない。私:それがまとめて捨てているね。 半年毎に半年分まとめて捨てているなら、ファイルは半年毎に束ねておき、4年たったら半年分のファイルを捨てることになるね。 一体、月単位に束ねていたのか、半年単位なのか。 捨てるのは、どういうタイミングで捨てるルールになっていたのか。 ルールがないのか、ルールを守っていなかったのか。 その説明がないと納得できないから「ウソ」と疑うね。A氏:アメリカ海軍の航海日誌は永久保管だそうだね。私:それだって、年単位とか、ある単位でにダンボール箱などに入れるとか、基本的なファイル方法はあるはずだよ。 誤って捨てたということは、ファイルがきちんとされていなかったせいだろうね。 厚労省の例の肝炎の患者の記録が書類倉庫で発見されたというのと似ているね。
2007.10.31
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私:題名が面白いね。 しかし、内容はかなり専門的だが、平易に書かれているのでとっつきやすかったね。 これも書評で興味がわき、図書館で借りたよ。 最近は、図書館で借りることが多く、本をあまり買わなくなったね。 おかげで「積読」が減って、返却期間2週間に追われて読んでしまうよ。A氏:君はあまり、IQ(知能指数)というのに知的興味を持っていなかったのではないの?私:IQの意味をよく知っていなかったからね。 しかし、孫との関係で子供の教育面ではいろいろな知的興味は持ってきたね。 この本でIQは「知能指数」だが、一体、「知能」とは何か、なんで数字で「測定」できるのか、ということを基礎的に理解していないと、その意味が正確に分からないんだね。 だから、著者が「私の知能指数は150だ」などと自慢する人がまれにいるが、「知能指数を自慢する人は本当に馬鹿な人だ」とこの本の出だし書いているのが、最初、よくわからなかったよ。A氏:だって、IQ・150というとすごいのではないの?私:実は知能指数は知能テストの点数でもとめられるんだが、その知能テストがいろいろあって、逐次、改善されているのでどのテストで知能指数が求められたかが問題らしいね。 知能テストの器材は1セット20万円ほどするので、買い替えをしないことが多く、古い知能テストを使っていることがあるという。 古い知能テストでは、150点くらい出ても不思議でないという。 知能テストが最新のものであれば、150点はそのテストというゲームでの最高得点者であるというのに過ぎないという。 拡大解釈して、人生の勝者であるかのように自慢することではないという。A氏:広辞苑では知能指数は次のような式で求める説明になっているね。 IQ=(精神年齢÷暦年齢)×100私:著者は、この式は古くて間違っていると言う。 例えば、3歳の子供が5歳の子供の問題までできたとする。 すると IQ=(5÷3)×100=167 となり、天才になってしまう。 逆に、30歳の人が精神年齢20歳だと IQ=20÷30×100=67 となり、精神遅滞になってしまう。A氏:現在ではどうなの?私:IQ=(テスト得点-所定の年齢で期待される平均得点)÷(所定の年齢の標準偏差)×15+100 だそうだ。 後は、知りたかったら、この本で勉強してよ。A氏:知能テストの問題というのはどういうものなんだろうね?私:いろいろ改善されているが、根本的に小学校、中学校での常識的な問題集で、知能テストでの高得点は初歩的な常識問題を非常にすばやく解く能力に恵まれていることを意味するだけだという。A氏:問題が変われば、得意、不得意があるだろうからね。私:最初の知能テストは1905年に開発された30問のピネ・シモン検査だという。 こうして「知能」を「測定」し、数値化したので、ここ百年の間に心理学者が科学としていろいろ研究していることが、この本で紹介されている。 日本ではあまり専門家がいないらしい。 そのためか、著者は日本の「知能研究」の遅れと誤解を嘆いているようだね。A氏:知能テストの内容はどんなものがあるんだろうね。私:いろいろあるね。 運動感覚、手の器用さ、読み書き、数学の知識、動作速度、反応速度、読書速度、連想記憶、地理の知識、一般的な科学情報、推理など多面にわたるね。 確かに、知能テスト問題を作るのは大変だね。 明日は、この本で著者が示した簡単なテスト問題をやって考えてみよう。
2007.10.29
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私:社会保険庁のカネにまつわる不祥事はかなり前から出ていた。 そこで社会保険庁の改革が叫ばれ、平成16年7月に損害保険ジャパンの代表取締役副社長であった村瀬清司氏が、民間人としてはじめて社会保険庁長官に就任したね。 A氏:一種の民間化だね。私:著者は、「何でも民間化がよいとは限らない」として、村瀬長官が就任して活動して出た、国民保険料の免除処理の例をあげているね。A氏:それにしても、今度、社会保険庁を民営化するというときに、村瀬長官の約3年にわたる「民間化」の評価をきちんとしないまま、民営化を先走っているね。私:村瀬長官は就任してから、民間の感覚で改革を始める。 その中に、「国民年金保険料の納付率向上」があるね。 これは、本来、支払うべき人が納付していないのを電話したり、訪問したりして説得して納付してもらおうというものだね。A氏:民間会社なら、保険加入の勧誘と同じだね。私:そこで悪知恵が出たね。 国民年金保険料の支払能力のない低所得者に対しては、その申請に基づいて保険料の納付を免除できるので、「ウソ」の申請をした。 そして分母を減らし、納付率を見かけ上あげるという方法をとった者が出てきた。 この「ウソ」が集中的に出てきたのは、後からわかるが平成17年11月から12月だね。A氏:村瀬長官就任から1年半くらいたっているね。 「民間化」の失敗かね。私:村瀬長官は損害保険ジャパンで使っていたと思われる成果主義を導入する。 目標達成度を給与や昇任にリンクさせる新人事評価制度が本格実施される矢先のできごとだね。 この「ウソ」が多発した平成17年11月から12月を「緊急対策月間」として「納付率目標必達」のキャンペーンを行う。 このときに、村瀬長官が地方機関に向けて発した緊急メッセージには「言い訳は無用」「結果を出すことのみ」という役所らしからぬ表現が並んでいたという。A氏:「民間化」だから、「役所らしからぬ」表現がでるのは当然だね。 しかし、民間でもそんな叱咤、激励で目標が達成できるのかね。私:実は、村瀬長官の出身母体の損害保険ジャパンは、平成18年5月に金融庁から行政処分を受けている。 その原因は代理店などの実際の販売力とかけ離れた過大な目標額を設定して、社長自ら強いプレッシャーを現場にかけていたことが原因だという。A氏:村瀬長官の方法と似ているね。 民間だろうとやり方が間違っていると同じ結果になるね。 君も前から言っていたように「民営化」が万能薬ではないのだね。私:社会保険庁は「緊急対策月間」に納付率をあげるのに電話勧奨、自宅訪問の目標件数を大幅に引き揚げたそうだ。 その目標は達成したが、納付率の向上には直結しなかった。 電話勧奨、自宅訪問を増やせば、納付率が大いに向上するという考えが、本当の「民間発想」か疑問だね。 甘いね。 太平洋戦争に突入した心理と似ているね。 A氏:それは民間でも同じではないの。私:でも、こないだ大学同期の同窓会があったが、参加人員が過去最高だった。 理由は、今年の幹事は参加するようにジャンジャン電話していたせいだと思うね。A氏:シロート発想だね。 結局、高い目標を押し付けられ、それに対応する新兵器がないと「ウソ」をつくようになるということかね。 「敵を知り、己を知れば、百戦あやふからず」というが、「敵」が押し付けられた目標で「己」が対応する兵器、戦力だね。 その能力を知らず、目標を押し付けるから戦いに負けるのは古今東西の真理だね。私:そうなると、食品でも顧客や市場から安さを強要され、それに対して、堂々と対応できる力がないと、偽装してなんとか利益だけは確保しようということになるのかね。 そうなると「ウソの構造」は似ているのかもしれないね。 背景に、技術力という新兵器で安くて良いものを作ってきた「ものづくり日本」の「カイゼン能力」の低下があるね。
2007.10.28
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私:どこかの書評で紹介されたのを見て、図書館から借りた。 「パロマ湯沸し器事故」、「ふじみ野市プール事故」、「あるある大事典」「社会保険庁支払い免除不正処理」、「みずほ銀行システム障害」など具体例をあげて解説しているね。 このうちで、「ウソ」が中心になるのは「あるある大事典」と「社会保険庁の問題」だけで、ちょっと他のケースは「ウソ」とは違うね。 それに、事実情報は新聞報道レベルであまり参考にならなかった。 「ウソ」と関係のない日本軍の「統帥権」についても大分頁を割いている。 「沖縄の集団自決の軍命令問題」も登場する。 題名と中味が一致していないというよく新書版にある典型例だね。A氏:酷評だね。 沖縄の集団自決についてはこの著者は軍の命令は「ウソ」だと言っているのかね。私:例の大江健三郎の「沖縄ノート」を批判しているね。 集団自決は、それをリードして生き残った人が責任を追及されたとき、責任逃れで「軍の命令のせい」にするために言い出したという。 また、命令で死んだということになると、「軍属扱い」となり、昭和27年に施行された戦傷病者戦没者遺族等援護法で年金や弔慰金が遺族に支給される。 そこで命令が偽造されたという。A氏:しかし、この「ウソ」は最近、盛んに報道されている「不二家」、「白い恋人」、「ミートホープ」、「赤福」、「比内地鳥」などの一連の「食品の表示偽装のウソ」とは性格が違うようだね。 昔、食品工場でアドバイスしていたという君はこれらの偽装はどう思うね。私:やはり、コストと品質のかねあいだろうね。 食品業はコストのうちに占める材料費が高い。 だから、できるだけ材料費を下げたい。A氏:最初、逃げていた「比内地鳥」の社長が記者会見でそれを言っていたね。私:一方、品質のほうである「味」は、テレビなどの家電商品と違って、厳密に測定されるものではないから、お客にはわからないことが多い。 「赤福」の再度加工したものを味で分かる客はいるだろうか。A氏:でも賞味期限というのが数字で示してあるのではないの。私:これも仮に決めているのに過ぎないからね。 お客が手がかりになる唯一の客観的な「品質」表示は、賞味期限の表示だが、これを過ぎても別に腐っているわけではないしね。 以前、食品工場でアドバイスしていたとき、その工場で新製品の生産を開始したことの話だが、新製品の最初のロットは、その配合レシピを決めた研究所の専門家が味をテストするが、当然、合格だった。 ところが、製造初日が終わった後、残った材料を計量したら、残るべき計算量と合わないことを発見した。 原因を調べたら、何種類かの原料の配合をミスしていたんだね。 開発した研究所のレシピと違った配合だったわけだ。A氏:その専門家の味のテストで発見できなかったのかね。私:ミックスする機械の自動計量のほうが精度が高くなっているんだが、味のほうはその意味で人がやるので大雑把だね。 昔のベテランに聞いたら、自動計量器を使っていなかった頃は、味を見ながら手で計量してミックスを加減していたという。 そして1日の作業が終わってみたら、残ってはいけない材料が残っていたことがよくあったということだね。 問題になっていなかったのは、ベテランがある頻度で必ず、味チェックしているからだね。 「味」という品質のあいまいさと、厳しいコストダウン要求が「ウソ」が生み出しやすい構造だね。A氏:結局、そのレシピ通りでない初日の1日分の製品は捨てたの?私:「味」に問題ないということで出荷したね。 その専門家はかなり、上司から怒られたがね。 それにその会社では、伝統的に研究所から工場に来るレシピには数年たっても「暫定」という印を押してあったね。A氏:「赤福」では「ウソ」を表示した動機として、捨てるのはムダで「もったいない」からという言葉を使ったそうだ。私:朝日新聞のどこかで、「もったいない」には「神仏・貴人に対して不都合である。不届きである」という意味もあって、顧客に対して「不届きである」という意味もあると、この動機には批判的だね。 明日は、この本にある社会保険庁の例の国民年金保険料の免除処理の「ウソ」について考えよう。
2007.10.27
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私:例のNHK・TVでときどきやっている「関口知宏中国鉄道大旅行」をまたなんとなく見ているうちに、オヤッと思う風景が出てきた。 汽車が大きな河の岸を走っている。 岸は川底から十数メートルの高さにあるだろうか。 対岸は数十メートルくらい向こうだね。A氏:大きな河だね。 黄河かね。私:どうも違うらしいね。 しかし、この大きな河は前に見た南中国の長江のような水を満々と湛えて流れる河と全く違うね。 川底を少し流れている程度だね。 オヤッと思ったのは、対岸のダンプの気が遠くなるほど長く続く渋滞だね。 延々と続くダンプの停滞とは桁の違う中国を感ずるね。A氏:何のダンプなんだね。私:石炭だよ。 それを聞いて途端に山西省だと直感したね。 石炭の大産地だ。A氏:「蟻の兵隊」の舞台だね。私:渋滞に我慢できないで、何台かのダンプがこの水の少ない大きな川底を多少流れている水を蹴散らしながら走っているシーンが出たね。 列車は走りながらそれを映している。 列車の反対車線には百両連結だという石炭車がすれ違いに走っている。 気が遠くなるような石炭の量だね。A氏:日中戦争前後、山西省には閻錫山(エンシャクザン)という「山西皇帝」と呼ばれた軍閥がいたということと、日本軍が山西省に目をつけたわけが分かるね。私:ナレーションでここの石炭は日本にも輸出しているという。 しかし、関口知宏は「蟻の兵隊」という映画を見ていないのか、その話はしていないね。 歴史の深みがないね。 ところで、山西省というのは蒙古に近い中国の北の奥地だね。 地図で見ると黄河より北だね。 やはり、水が少ないのが分かるね。 南の中国を鉄道で走っているときに車窓から見えた河は水が満々だったのに比較すると極端に涸れているね。A氏:まさに中国北部は水が問題なようだね。私:関口知宏は蒙古に近い都市の大同で降りる。 ここに有名な大石窟がある。 俺も十数年位前にツアーで行ったことがあるね。 その石窟で問題になっているのが表面の黒い汚れだという。A氏:何の汚れ?私:石炭の粉塵だという。 石炭の採掘や運搬で出る粉塵が飛んでくるんだろうね。 関口知宏が指で黒い部分をこすったら、指が黒くなったね。 今、この汚れを落すことを検討しているとのことだね。 これも中国の大きな悩みの種の環境問題の1つだね。
2007.10.17
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職場砂漠私:この本の最後でふれているように、死んでから労災認定したり、解雇されてから補償をされたりしても、それでは解決として遅いね。A氏;学校の「いじめ」も同じだね。 いくら「いじめた子」を厳罰にしても、死んだ生徒は帰ってこない。 そして、依然として自殺する子供は絶えない。 やはり、ゼロにはならいまでも、予防という視点が必要なのでないかね。私:著者は予防的な解決には、社会的なセーフティネットと企業側のセーフティネットが必要だというね。A氏:社会的なセーフティネットとは?私:企業外の相談所みたいなものだね。 著者は例として「働く『うつの人』のための弁護団」を例としてあげているね。 裁判でシロクロをつける方法でなく、相談を受けたら、弁護士が会社の上司などと連絡をとり、仲介して問題を解決するという方法だね。A氏:企業側のセーフティネットとは?私:産業医の診察とか、カウンセラーの導入だね。 しかし、この方法は俺たち若い頃にすでに導入されていたね。 だが、俺は本当の解決は企業側での失われた人間中心のマネジメントの回復だと思うね。 養老孟司氏がいうように、「戦後、個性を内在化したのが間違いで、本来、他人の目にどう映るかということのはずだ」というのはその通りだね。 戦後、その「個性」が主張されたら上役がサボり、教師がサボるようになったという。鋭い指摘だね。 相撲協会も「親方の責任だ」と最初からサボっているね。 小学生時代に教科書に墨を塗った世代の戦後批判発想だね。A氏:これこそ、脱却すべき「戦後レジーム」だね。 それに個人もしっかり対応しておかないと、「うつ病」は、いつ、自分の身に降りかかるかもしれないね。私:10年位前かな。 以前、ある会社に打ち合わせにいったことがあるんだ。 そのとき、相手の会社の2人の課長とよく相談した結論をきかせてほしいということで、来週また来るといって帰った。 たいした問題でないので、翌週、結論が出ていると思って訪問したが、結論が出ていないで放置されていた。 二人の課長にも来てもらったら、俺の目の前で「言った、言わない」と二人で言い合いが始まった。 一人の課長が「メールしてあるではないか」というんだね。 俺は「あなた方、二人の机はどれくらい離れているんですか?」と聞いたら、隣だという。A氏: 隣同士で1週間、話もしていなかったの?!! 「メール砂漠」だね。私:この課長のうち一人は、結局、リーダーシップ不足で、会社を引っ張っていく力がなく、数年後に退職してしまったがね。 「うつ病」になったのかもしれないね。A氏:「うつ病」に対応する個人の自衛も必要だろうね。私:個人的な対応としては会社の「いじめ」から立ち直った経験者は次の4つをアドバイスしているという。 1.信頼する人に相談すること 2.「おかしい」と思ったら専門医にかかること 3.会社を辞める勇気を持つこと 4.散歩やスポーツなど、できるだけ身体を動かすこと この1番目と3番目が難しいね。 1番目は「職場砂漠」になると相談する友人が得にくいだろうからね。 3番目は、過労死弁護団の岡村弁護士によると、会社を辞める決断を下せるかどうかは、事態に直面した個々人が「自分の人生」を持っているかどうかにかかっているという。 欧米あたりはどんどん転職していくんだろうがね。 一時、日本では「社畜」という言葉があったが、それではだめだということだね。 やはり、「過労死」は欧米人には理解できない日本的な特徴かね。 明日は、参考までにトヨタとGMの合弁工場の一つの「職場砂漠解消ドラマ」を話そう。
2007.10.15
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職場砂漠私:この本の筆者は次のように書いている。 「16年前に読売新聞社を退社して以来、私は組織に属したことがない。 そのせいか、最近のオフィスでは派遣社員や契約社員、請負労働者などさまざまな『身分』の人たちが一つの職場のなかに混在して働いているのが特徴とよく聞くが、その『実感』がいま一つピンとこない」 俺も昨年の8月末あたりから毎日、朝日新聞がトップで扱ったキャノンなどの偽装請負の記事で派遣社員などの非正社員が職場の50パーセントいう数字を知って愕然としたね。 そういう職場を想像できなかったからね。 まさに「実感」が湧かなかった。 製造職場が大きく変わっていると直感して、これが「格差」の知的街道のスタートになったね。A氏:俺も定年で会社を辞めるときの職場はまだ、そんなに派遣社員はいなかったね。 だから、同じ「実感」だね。私:そして、どうも従業員を人と見なくなったような気がするね。 コストで見るんだね。 かって、松下幸之助という経営の神様がいたが、よく現場をまわったそうだね。 そして、「あの職場の係長は顔色がよくない。何か悩みがあるのではないか」と現場をまわってから工場長室で工場長に注意するように言ったというね。A氏:「人は見た目」でちゃんと「人」として見ているんだね。 それがマネジメントの原点かもしれないね。私:その原点がなくなってきたね。 だから、教師も生徒を見る余裕がなく、生徒を見る目が鍛えられない。 だから「いじめ」のちょっとした兆候も見逃す。A氏:10月9日の朝日新聞の夕刊では、精神科医に「うつ病」と診断される小中学生の割合は1.5パーセントで、中学1年生では4.1パーセントで「大人並みの割合」だという。私:先生も「うつ」になるし、生徒も「うつ」になる。 「学校砂漠」で、「いじめ」も放置される。 教育委員会も校長もバタバタしているが教師の長時間労働を放置しているマネジメントの欠如だね。 もっとも、藤原和田中学校校長のようなマネジメントをしっかりやっている人もいるがね。A氏:相撲部屋も本来は厳しいがもっと人間的だったんだろうね。 尻を叩くというのはよくやるが、これはあまり体に害を与えないためで、西洋ではこどもを叩くときに尻を叩くね。 それに叩くものは竹などで衝撃を和らげる道具を使っていたね。 剣道などは竹刀を使い防護具までする。 柔道も最初は受身を徹底的に練習する。私:それが時津風部屋の金属バットだとかビール瓶とかとなると「愛情のかけら」もない「近代的な」道具の選択だね。 金属バットなどは昔はなかったけれど、これを使ったというのは、相撲部屋の人間関係が砂漠化しているせいだね。 手頃な「近代的ないじめ道具」があったといって使ったのかね。 これも親方が毎日の現場の個人を見ていないマネジメントの欠落だね。 それか、弟子をカネを産む卵としてみて、人間として見る力がなかったのかね。A氏:ちょっと話が飛ぶが、最近、京都市役所のウソの理由で休暇をとっていた職員が大量に出たね。 これなんかも、上司はおかしいと思っていなかったのかね。 マネジメントの欠落かね。 マネジメント不在という意味での「役所砂漠」かね。私:俺たち現役時代は、若い部下の欠勤が多いと家庭まで訪問したことがあったがね。 今では、「自己責任」で介入を嫌がるのかね。 「うつ病」と関係があるような気がするね。A氏:根本的にはどうすべきかね。私:今日は、「役所砂漠」が登場したね。 根本問題は明日話そう。
2007.10.14
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A氏:数日前だけど、10月8日の朝日新聞で上記のタイトルで経営再建中の日航がコスト削減でトヨタに学ぶという記事が経済欄に載っていたね。私:JALが小さな事故に対して、あくまで原因を追及することに重点を置き、個人責任を追及した懲戒はしないという方法をすでに導入していたね。 これなど、トヨタ方式の考えだね。 「カイゼン」は今年4月からぽつぽつ始めたらしいね。 6月に専門家のアドバイスで作業のビデオ撮りをしたら、1時間の作業のうち、40分近くが準備と後片付けだったという。A氏:57台ある自動販売機の電灯をすべて取り外して節電を訴え、ゴミ箱も21個から7個に減らしてゴミの減量を求め、「今月のムダなお金は2万4920円」と貼り出したという。 これに対して「勝手なことをするな」「こんなころでどれだけの効果があるのか」などの不満も寄せられているという。私:トヨタの「カイゼン」で重要なのは、仕事のやり方を「ムダ、ムラ、ムリ」のないような方法に変えることだね。 この3つの「ム」をとって「ダラリ」を無くすことだね。 「ケチル」のと違うね。A氏:どう違うの? 私:30年位前かね。 ある工場に「カイゼン」を専門にする組織ができた。 そこの会社の重役が、その組織の初仕事として「早出出勤者」と「遅出出勤者」を分けて人件費を下げるようことをした。 その工場は、トップ工程に投入された材料は、その日のうちに最終工程まで行う必要があったので、最初の工程は午前中多忙だが、午後3時頃からはヒマになってくる。 逆に、後の工程は、朝はヒマだが、次第に多忙になり、午後5時には多忙の極となる。 ころが、全工程同じ時間拘束され、同じ給与を払っていたんだね。 特に最初の工程の人たちには早出出勤手当てを出していた。 そこで、その重役は、早出した人は早く帰る体制にして、早出手当てを廃止した。 そしてコストダウンしたと自慢していた。 君はこれは「カイゼン」と思うかね?A氏:コストが減ったから「カイゼン」ではないの?私:俺はそれは「カイゼン」と言わないと重役に言った。 「人件費をケチっただけだ」と言ったよ。 何故なら、現場の作業が今までと同じで、技術的にムダや、ムラや、ムリがなくなったわけではないからだ。 それによるコストダウンでないからだ。 「カイゼン屋のプライド」が許さないと言ったね。 そういう「啓蒙」がないと、組合は「労働強化」だと反対するだけだね。 「カイゼン」は嫌われるね。 それに「カイゼン」しても、細かくて一人分の仕事が減らないと、遊び時間が増えるだけだね。 「カイゼン」に説得性がないね。 だから、トヨタ方式では「省力化」と「少人化」は別だね。A氏:そういえば、日航は今まで、乗務員の非正社員化や低賃金の外国人の導入などの「ケチリのコストダウン」が中心のようだね。 ある幹部は「赤字続きの現状打破には空前の収益を続けるトヨタに頼るしかない」という。 7年前にシンガポールなどの下請工場を訪ねたら、「日本からなぜ聞きにくるんだ」と笑われたという。 彼らの多くは「カイゼン」を導入していたからだという。 翌年、専門家に工場を診断してもらい、2年後に納期は4割短くなり、計60億円を削減できたという。私:この記事の視点欄で、トヨタ出身の中部国際空港会社平野会長が空港経営にトヨタ方式を導入し、開港初年度から黒字を達成したとあるね。 それには、平野会長自身が毎日、職場に顔を出し、カイゼンチームを激励し、時には若手職員と一緒に悩んでいたという。 しかし、日航では、幹部が現場に顔を出すことが少ないというね。A氏:「カイゼン」による「啓蒙運動」だけでなく、国鉄民営化のように「宮廷革命」が必要ではないの?私:国鉄は幹線を独占しているので完全な市場原理による民営化ではないが、航空機は本来は市場原理が働く業界だね。 その意味では、まさに「啓蒙運動」と「宮廷革命」は車の両輪だね。
2007.10.12
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私:パソコンのソフトエラーで毎日の会話が中断してしまったね。 今日、13日、何とか回復したが、完全ではないね。 君のとの会話は記録をとっていたので、もどって記録するよ。 A氏:ところで、10月10日の朝日新聞の「メディア・タイムズ」の欄で、上記の見出しの記事があった。 安倍前首相―菅前総務相の協議で人選を進めたとする古森NHK委員長の「剛腕」ぶりに警戒感も出てきたとあるね。 ほぼ、半頁ちかい特集だね。 私:9月27日の社説では、「NHKの経営委員会もなかなかやるじゃないか」とNHK会長が経営委員会にやられているのを喜んでいたのにね。 民間経営者の古森委員長をべたぼめしていた。 俺は、この論説はNHKに政治的な介入を嫌う朝日らしくないと思い、9月30日のブログに書いたんだが、やはり、結局、古森委員長の批判が登場してきたね。 この10月10日の「メディア・タイムズ」の欄ではもともと古森氏は安倍前首相を囲む経済人の会のメンバーで、NHKへの政府の影響力が増す恐れが指摘されていたとあるよ。 やはり、9月27日の社説は「軽く浮いた」社説だったね。 A氏:「メディア・タイムズ」によると、9月11日の経営委員会で、古森委員長は「選挙期間中の放送は、歴史ものなど微妙な政治問題に結びつく可能性もあるため、いつも以上にご注意願いたい」と向かい合った橋本会長ら執行部に注文をつけたという。 私:放送内容に踏み込む異例の発言に、橋本会長がどの番組のことかと尋ねると、古森氏は「一般論だ」と応じたというね。 橋本会長は 「委員長発言は心外だ。 経営委と執行部は役割が違う。 番組は執行部がしっかり立案する」 と不快感をあらわにしたという。 A氏:たしかに、一般論でもわざわざ言うのは介入だね。 私:古森氏は歴史番組をあげた理由については「太平洋戦争など史実が定まっていないデリケートな問題もある」と説明したという。 A氏:そうなると、問題は絞られてくるのではないの? 南京虐殺とか、慰安婦問題とか、沖縄の集団自決とか―――。 私:橋本NHK会長の任期は来年1月下旬で切れる。 会長人事はどうなるかね。 安倍―菅路線では、会長人事も考えていたのではないの? A氏:しかし、参議院の与党敗北と安倍内閣の崩壊で、このNHKの改革論議は一休みになったらしいね。 放送評論家の松田氏のコメントが載っているが「経営委員会の見解は『官制改革』だ」と手厳しいね。 私:増田総務相は様子見らしいね。 ここでも安倍カラーが薄れているね。 経営委員会の権限強化を盛り込んだ放送法改正案は国会で継続審議中だという。 どうなるかね。
2007.10.11
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私:俺のブログでNHK問題をとりあげてから、それ以来、NHKの経営委員会の動きに対する知的なアンテナが変わったね。 そのためか、NHKが出した来年度の5ヵ年経営計画案をNHK経営委員会が「突っ返し」たというのが気になったね。 値下げ幅がNHK側が7.4%案であるのに対して、委員会側は10%程度だというのが主な対立問題となっているらしいね。 A氏:9月27日の朝日新聞で「NHK改革・とんと晴れぬ橋本会長」という社説があって、「NHKの経営委員会もなかなかやるじゃないか」という出だしだね。 経営委員会の委員長に古森氏という民間の現職社長が務めている点を指摘しているね。私:ところが、この社説では俺のブログで指摘した今年の放送法の改訂にはふれていないね。 この改訂で経営委員会の役割が、従来のNHKの経営企画案の形式的な「承認機関」からNHKの監査・統制権にまで広がったはずだね。 要するにNHK経営委員会の権限強化だね。 背景にNHKの不祥事の多発も関係しているね。 そしてその委員長は実質的に総理大臣がきめる。 だから、経営委員会の権限強化は、NHKの歴史的な中立性が問われるという懸念もあるね。A氏:古森氏は富士フィルムホールディング社長だね。 社説では、写真フィルからの転換を大胆に推し進めた人だとほめていて、だから、NHKの生ぬるさが我慢できなかったのだろうとしているね。私:実は、古森人事は安倍前首相-菅前総務相ラインで内々に決められた人選だそうだ。 このように経営委員会というのはどうしても政治色が濃くなるから、経営委員会の権限強化は政府の影響力が増す恐れがあるという背景があるんだね。 それを左派的な朝日新聞の論説がふれないのはおかいしいね。 例の慰安婦のNHK放送問題で、政治の介入があったかどうかというNHKとの紛争の恨みのせいかね。A氏:君のブログレベルの歴史を論説委員は知っているのかね。私:6月頃の新聞では、経営委員会の権限強化に対して、あるNHK幹部はこの人事に警戒しつつ、「経営委員長が代わったぐらいでは(報道や製作の)の現場はガタガタしない」と話していたと報じているね。 政治的な変化と関係なく、今まで通りに日業務は進めていくと言っているというがね。 ところが、今回の新しい経営委員長の厳しさに驚いたのだろうね。 NHK側は心理的に反発があるだろうね。A氏:そのせいか、この経営委員会の「突っ返し」に対して、NHK側があくまで経営計画案を変えないとして、古森委員長とNHK橋本会長の対立を報じているね。私:橋本会長はどんでん返しのような「突っ返し」に無念の弁を述べているというが、増田総務相は「今回は経営委員会が従来とは違う立場に立って見識を示した」と経営委員会の判断を支持しているという。 今まで、形式的な承認機関であった経営委員会がその権限をはじめて行使するわけだが、歴史的な視野に立って見るとNHKの言論統制につながらないといいがね。 いずれにせよ、これはNHK体質と古森氏の民間体質のぶつかり合いはどうなるか、予断を許さないね。 それにしても、2年位前かね。 例の慰安婦のNHK放送問題で、政治の介入があったとする朝日新聞とNHKとの紛争の結果はどうなったのかね。
2007.09.30
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A氏:君の「教室の悪魔」とそれに続く「神戸の高校生のいじめによる自殺」のブログで興味を持ったね。 そのせいか、先日、近くのコンビに寄ったとき、今週の「週刊新潮」のこの記事をペラペラめくって読んで、愕然としたね。 よくこれだけ考えたと思うくらい悪質な「いじめ」をしていたね。 まさに「教室の悪魔」だね。 最初は警察の調べに「遊びだ」とシラを切っていたらしいが、メールで脅迫記録が残っていたので逮捕となったようだね。私:俺も週刊誌を読んだよ。 「教室の悪魔」の本でも高学年になるほど「いじめ」は悪質になると書いてあったが、本当だね。A氏:性的になってくるね。 裸にさせて、射精させ、写真を撮り、インターネットで流す。 被害者の弁当に射精する。 被害者は弁当を食べられないので、昼食は抜きで帰宅途中で捨てる。 とにかく、「いじめ」の極致だね。私:買い食いをするとき、仲間のカネを払わされる。 親に言えないから、隠れてバイトしていたのではないかというね。A氏:今、逮捕されている生徒たちは、手下らしく、他にボスがいるらしいが、これはまだ、逮捕されていないようだね。 自首する勇気もないのかね。 しかし、これだけの大掛かりの「いじめ」が何故、先生や親は気がつかなかったのかね。 周辺の生徒は知っていたようだがね。 本人は先生や親にも言えない。私:それが「いじめ」の特質なんだね。 しかし、今回は、紙粘土が被害者の机にあったのを先生が、たまたま目撃し、おかしいと思って本人に聞いている。 先生にも分かる兆候があった。 しかし、「問題ない」と本人が言ったのでそのままにしたという。A氏:本人に「いじめられているのか」と聞いて、本人が「そうです」と答えるバカはいないよ。 「いじめ」に無知な学校だね。 「教室の悪魔」くらい読んでいないのかね。 読んでいれば、バカな質問などせず、密かに生徒を観察し、周囲の情報を集めるね。 しかも、自殺前日にわざわざ教員室まで来たというが、追い返されている。私:新聞ではこの学校名を書いていないが、「週刊新潮」は書いているね。 創立90年を迎える名門私立校だという。 学校の名誉を汚したくないのかね。 だから、新聞は学校名を公表しないのかね。 学校は最初、「いじめ」を否定し、警察の逮捕であわてて「いじめ」を認めても「『いじめ』は自殺の一因だ」と記者会見で言っていたね。 できるだけ「いじめ」を矮小化しようとしているね。A氏:これだけの悪質な「いじめ」なら、自殺の「すべての原因」であることは明らかだね。 「一因」ではないね。私:刑事罰を加えて「いじめ」を防止するなら、「『いじめ』殺人罪」か「『いじめ』自殺教唆罪」とかすべきだね。 脅迫未遂では軽すぎるよ。
2007.09.29
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私:アメリカは歴史的に公益的な仕事もかなり民間企業がやってきたためか、国有企業の民営化はという例はなく、他国に要求するだけだね。 だから、アメリカの新自由主義は、規制緩和中心だね。 著者は40年前にサンフランシスコにいた頃、救急車も民間委託となっていて乗ると法外な乗車賃をとられるという経験をしているという。 郵便が民営化されていないのは、IT化に伴なう採算問題、広大な国土でのユニバーサル・サービスの維持が民営では困難、郵便は労働集約的な産業なので労組の抵抗が強大、民営化は破産もあること、郵便テロもあることなどの理由によるという。 アメリカの国鉄も実質国営だが、他国には民営化を押し付けているというお得意のダブルスタンダードだという。 A氏:フランスは、あまり民営化は積極的でなかったが、21世紀から活発になったようだね。 フランスは伝統的に上下水道や清掃事業は民間委託であるが、フランスの水道は水質が悪くレストランではエビアンを注文しなければならないという。 水道受諾業者とエビアンの会社が裏でつるんでいるのではないかとの説があるという。 水質を良くする技術はあるのだが、水道は競争がないからね。 民営化の意味があるのだろうかね。私:イタリアは国の累積債務の償還が動機で政府保有株の売却が盛んに行われているという。 その他、ロシアなどの社会主義国から資本主義国に移行する場合の国有企業の民営化、ラテンアメリカのようにアメリカから要求されて行った民営化など、世界ではバラエティがあるね。A氏:民営化の動機で、各国共通しているのは、89年のベルリンの壁崩壊が分水嶺であること、政府の財政事情がよくないことが民営化推進の一番の動機になっているという。私:理念よりもカネの事情だね。 21世紀になって、民営化の評価の段階になっているようだ。 特に政府の所有を移転する完全な民営化は、後遺症も出てきている。 ロシアやラテンアメリカの一部では国有化へのゆり戻し現象が出ているという。A氏:そして、雇用増加の例はなく、リストラ例が圧倒的に多いというね。 本来、民営化は、競争をさせ、無駄を省いてコストを下げるという考えは、本当にうまくいくのかね。私:創造力が高まり、アイデアが出てることが不可欠だね。 それによって、新しい製品やサービスを生み出して、新しい市場を開発して雇用を増加させ、経済を活性化するというねらいもあるね。 規制緩和の目的も同じだね。A氏:民営化、規制緩和などで自動的に新しいものが生まれるのかね。 創造力とかアイデア力が自然に向上するのかね。 私:規制緩和や競争で生み出されるアイデアにはいろいろあるね。 介護事業のコムソンなどは、保険料のゴマカシという悪知恵を創造したね。 自由は不正の自由と裏腹だよ。 自由にしたから、ビジネスの良いアイデアが出るかは賭けみたいなものだね。 期待もしてもよいが、期待はずれもあるのが真実だろうね。 期待はずれの場合は、弊害を残すね。 タクシーの規制緩和では宅配便のような新しいアイデアはでなかったね。 だから、失敗している。A氏:日本も冷静になって民営化や規制緩和をチェックするときにきているのだろうね。私:地方分権も同じだね。 地方にあった産業を生み出し、活性化するには地方の人の新しい技術、製品、サービスを創造する知恵がカギを握るね。 そういう創造力から出るアイデアはかなり偶発的に生まれる。 分権したら、すぐに自動的に生まれるものではないね。 江戸時代は誤解されているが、藩と言わず、地方は「国」として分権して運営されていたから、歴史的に独自の産業が発達した。A氏:そういえば、地方の名物などは江戸時代からのものが多いね。私:しかし、明治時代に日本という一つの国に統一して、中央集権化して官僚国家となった。 戦後も温存され、地方交付税制度で地方は独自の創造力を失ったようだね。 まあ、民営化、規制緩和、地方分権など何をしても、結局は成功のカギは人々の自立的な創造力によるアイデアが出るかどうかがカギを握るようだね。 当たり前のことだが、そういう人は育てるには時間がかかるだろうし、アイデアは「賭け」みたいなもんだから、出るかどうかも分からないね。 その「賭け」に勝つかどうかで民営化、規制緩和、地方分権の成否は決まるのではないかね。
2007.09.23
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私:昨日の夜は福島市にとまり、今日、用事を済ませ、夕方帰って来たよ。 ところで話は、郵政民営化だね。A氏:郵政民営化はムードで決まったみたいだね。 ムダな財投に使っている郵貯・簡保は、入り口を押さえれば問題ないはずだしね。 問題になのは、郵便事業の改革が本当にできるのかということだね。私:ITが拡大しているのでアメリカでは郵政民営化はしていないね。 ITの進歩で郵便事業は先の需要増を期待できないので採算がとれないから民営化に向かないというわけだね。 アメリカは他の国に民営化を要求するが、自国はあまりしていない。 ダブルスタンダードだね。 アメリカの狙いは340兆円の郵貯、簡保の国家保証をはずした解放にあるのだろうね。 事実、海外流出がはじまっているという。 確かに、郵政の民営化というのは誰の利益になるのかわからないね。A氏:民にできるものは民に、それが構造改革だ。 構造改革に反対するのは非国民だという幻想に走っているような気がするね。私:新自由主義を民営化中心に実践したのが英国のサッチャー元首相、規制緩和中心に実践したのがアメリカのレーガン大統領。 イギリスは戦後、労働党政権で多くの中核企業が国有化されていたが、その非効率が問題となり、財政が悪化した。 1979年にサッチャーがまず、英国石油会社の政府保有株を売却し、政府債務を減らそうとした。 労組の弱体化をはかるために、この株の売却の際、従業員に株を分け与えた。 同時に労働立法の改正で労組の弱体化も図られたという。 国鉄の分割民営化と似ているね。A氏:1983年の第2次サッチャー内閣から、本格的な民営化がはじまる。 電話の英国テレコムが民営化するときも従業員に株取得の優先枠をもうけている。 これが日本と異なる点だね。私:公共性の高い水道の民営化では、利益第一で水道料金を引き上げたりしないように上限を設定した。A氏:民営化と規制緩和とは車の両輪だというが、イギリスは規制強化とうまく組みあせている。 失敗例は、ボリビアのコチャバ市が世界銀行の要請で上水道を民営化し、アメリカ資本のベクテル社が委託契約方式で落札した例だね。 この結果、たちまち、水道料金が3倍となり、全国的なデモに発展して、同社は撤退したという。 イギリスの場合は料金の上限に規制を設けているのでこういう問題は発生しなかった。 適切な規制は必要だろうね。私:サッチャーは国鉄の民営化には慎重で、次のメイジャー政権で、合計100社に分割して、入札により民間に売却した。 この複雑な分割民営化は事故の多発につながったようだね。 日本でもJR西日本の宝塚線の大事故があったね。A氏:1997年に労働党のブレア政権に代わる。 ブレアは民営化した企業を国有化にもどすことはしなかったが、ロンドン地下鉄、公的年金の民営化にはストップがかかった。 イギリスは郵政市場を自由化し、外国の企業も入ったが、国有企業のロイヤルメールは民営化していない。私:ニュージーランドの郵政民営化は模範とされるが、1970年代の経済事情と財政事情の悪化に押されたもので高い理念によるものでないという。 しかし、民営化の結果、失業者も増え、地方郵便局から銀行が消えたので不便になった。 1999年に総選挙の結果、左派政権となり、国営銀行を復活。 小泉首相がこの国を訪問したときは、民営化熱が冷め、揺れ戻しがきていた頃だという。A氏:ドイツの郵政の民営化には、東西ドイツの統一で東ドイツの過剰な郵政職員を引き継いだという背景があるね。 全体で約40パーセントの人員を削減したという。 しかし、郵便と郵貯を切り離したことがもめたため、再び郵便が郵貯を吸収した。私:このイギリス、ニュージーランド、ドイツの3つの国の郵政民営化は、日本のお手本になったが、その後、試行錯誤があり、失敗も成功もある。 わが国は失敗例に学ぶ必要があるようだね。 明日は、世界の民営化にふれよう。
2007.09.22
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私:10月1日から郵政の民営化がはじまるね。 そういえば、瀬島龍三氏が亡くなったね。 商社で活躍の後、当時、赤字の垂れ流しだった国鉄民営化で努力したようだね。 この本では、三公社の民営化もとりあげているね。 A氏:この本は俺も読んだが、著者は当時の首相の中曽根氏の最近の談話を引用して国鉄民営化の大きな目的は、国鉄の労組潰しと最大野党潰しであったというね。 そこで国鉄分割民営化が選択された。 その後の歴史的な経過がその目的を達成したことを示しているね。私:その目的が達成されたのだから、効率化で企業合併が流行している現在、JRの分割民営化は逆行と言えるね。 本州3社は株を売却して完全に民営化したが、三島3社と貨物は業績がよくなく、上場のめどはたっていないという。 地方格差の影響かね。 著者がいうように、今度は、むしろ、合体した方がより効率がよくなるのではないかね。A氏:三公社のうち、専売公社の民営化は当然だね。 それに対して国鉄と電電公社は公益性が高いね。 アメリカからの民営化の圧力があったのは、専売公社と電電公社だね。私:この本は、日本の民営化だけでなく、世界の主要国の民営化を扱っているね。A氏:日本では郵政の民営化の前に、道路公団の民営化が行なわれるね。 動機は、構想日本代表の加藤氏が小泉さんに「民営化すれば道路公団の株式を売却するから、政府にカネが入る」と言ったので小泉さんは喜んで「そうか、お金が入るのか。財政再建に役立つな。それならやはり民営化だ」となってしまったということだそうだね。 日本の財政は800兆の借金だからね。私:高速道路は先進国ではフリーウエイというように無料だね。 やはり、歴史の重みが違うね。 日本は高速道路では後進国で、借金で作ったためにその返済のために有料とした。 国が貧しかった1956年に道路公団を作り、世界銀行から借りて作った。 その後、郵便貯金、簡易保険などのいわゆる財政投融資が主な借入先となる。 こうして作った道路の借金は40兆円にもなった。A氏:それを解決するために、民営化してムダを省き借金を返し、最終的には無料にするするというのが我々に与えられたイメージだったがね。私:結局、公団は株式会社になったが、道路は別に競争相手があるわけでなく、鉄道と違って使用するのは個々のドライバーだから、合理化も限界があるね。 しかも、45年後には40兆の借金を返した後、国のものになり、無料となるので、そういう会社の株が高く売れるかだね。A氏:所有移転型という民営化は、国有財産の売却だね。 国有財産というのは、国民全体の財産であり、日本の公社・公団は国民の税金や郵貯、簡保、年金を原資として形成され、育成され、運営されてきたものだね。 その国営企業を株式化して、政府保有株として売る。 買うのは国民だね。 国民からまたカネを巻き上げて国の借金返済にあてるのかね。私:著者はこれを構造改革というのは一種のペテンだと言っているね。 政府保有株の市場売却にはせめて国民に1株くらいは無償または特別割引で交付すべきだという。 しかし、現在の政府保有株をうまく売却しても、売却収入は8兆4千億円だという。 政府負債800兆円には焼け石に水だね。A氏:驚いたのはタバコ特別税は、旧国鉄の残債務20兆円の返済にあてていることだね。私:JR、NTT、郵政にせよ、民営化で確かに接客態度は改善されたね。 しかし、JRの値下げはなかったね。 競合する私鉄と比較すると、高いのではないかね。 郵便料金も国際比較では高いね。 コスト面ではなんで民営化したんだろうという疑問がわくね。 明日は本命の郵政民営化問題に移ろう。
2007.09.21
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