デフレの正体 0
原発 0
体罰 0
糖質制限食 0
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私:この本は文藝春秋誌に連載したものを大幅加筆して単行本にしたものだという。 図書館で借りた。 「大地の慟哭・中国民工調査」の知的街道とつながるね。 この著書「中国という大難」は、水資源危機、汚職拡大、13億の市場の幻想、解放軍の闇、日中外交問題、台湾危機という6つの章からなっているが、特に俺が知的興味をひいたのは中国の水資源危機、絶えない政府高官の汚職、リストラされる解放軍兵士の問題点の3つだね。A氏:中国は黄河、長江など、水が豊かな国ではないのかね。私:逆だね。 降水量は日本よりはるかに少なく、今、黄河が涸れつつある。 さらに、経済開発で水を使う量が急激に増大して、水資源の問題は中国経済成長の阻害の最大の要因になっているという。A氏:鉄や石油は足りなければ外から輸入すればいいが、水はそうはいかないからね。私:三峡ダムも観光コースになっていて、キレイなダムの水が見られるらしいが、上流で一生懸命にゴミを拾っているのだというね。 中国の川は開発で汚染され、ゴミ問題もバカにできない。A氏:中国の汚職は有名だね。私:始皇帝の時代から官僚の汚職との戦いがあるというから数千年の歴史があるという。 毛沢東も全国で10万人を超える汚職官僚を捕まえたという。 そして、改革・開放政策でまた、汚職は拡大し、政府の必死の防止策にかかわらず、蔓延しているという。 汚職する方も知恵を出す。 莫大なカネを得て、海外に逃げる官僚が激増しているという。 急激な経済成長は中国に大きな富をもたらしたが、その代償に環境と汚職の蔓延という二重の汚染に苦しめられているというね。A氏:その点、日本人の官僚や政治家のカネ問題はちまちましていて金額的に少ないね。私:しかし、司馬遼太郎が亡くなる前に、戦後の官僚や政治家が次第に東アジア的になってきているのを憂いていたね。 日本人はその点、官吏の清潔という伝統があったのが「戦後レジーム」で消滅しつつあるんだね。A氏:社会保険庁の保険金横領がいい例だね。私:大臣のカネの問題は安倍首相の体に大きなストレスになっただろうが、この問題も「小さい問題だ」とバカにせず、中国並みの政治とカネの問題にならないうちに手を打たないと拡大したら日本も大変な問題になるね。 中国を見ると怖いね。 中国はソ連共産主義の崩壊の大きな原因も官僚の汚職が大きな原因として学んでいるから、その危機感は大きいだろうね。A氏:中国の軍事力の増加は問題になっているね。私:中国では軍の近代化を進めているが、これが兵隊のリストラにつながる。 そして退役する兵隊の失業が社会的な問題になっているという。 凶悪犯罪の多くはこれらの退役兵によるという。 リストラを断行するか、軍のハイテク化の放棄かという選択を政府は迫られているという。 丁度、今、NHKTV番組で「関口知宏の中国鉄道大旅行」の続編が始まったが、彼が意外に思ったのは地元の人からの熱烈な歓迎だと言うね。 「よく来たね。でも昔みたいに銃剣持って悪さをしたら堪忍しないよ」とウインクしながら冗談を言うおばあさん---。 関口知宏は「反日感情」について抱いて先入観は、行く先々でどんどん崩れていったと言う。 大抵の街で夜暗いのは省エネのためだというが、製品の品質問題も水の汚染も現実にまのあたりに存在を確認する。 「中国の勝手ぶりがどこにあるのか、わからなくなってきた」と言う。 この本の著者も中国の現場をよく歩いていて「中国は---」という一般論でなく、もっと複雑な動きを知るべきとしているね。 大きな国だけに、その動きも複雑で、かつ、スケールが違うね。
2007.09.20
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A氏:昨日の夕刊で神戸市須磨市の私立高校の3年の男子生徒が飛び降り自殺した事件の続報を報じていたね。 5人の仲間で「いじめ」をしていたらしい。私:自殺した少年の遺書に数人の名前があり、警察は任意での事情聴取をしたという。 事情聴取段階では、全員が「遊びのつもりで、現金を取る意図は無かった」と容疑を否認していたという。 その後、事情聴取を受けたボス的な少年が別の同級生らと「警察の調べにうそをついてもばれない。なまちょろいもんや」との内容のメールを携帯電話で回覧していたと言う。 どうも、警察のその後の捜査でこれがバレて、その後の逮捕の動機になったらしいね。 このメールを発見しなかったら、無罪放免だったね。A氏:悪質だね。 まさに昨日のブログの「教室の悪魔」だね。私:「教室の悪魔」の例でも恐喝の例がある。 ゲームセンター代を出すようにおどして、1万円くらいのカネを出させ、ゲームをする。 しかし、被害者を同行させるが、遊ばせない。 タテマエは一緒にやったことにするためだね。 一緒にいないと恐喝になるからだ。 被害者は親の財布からカネを掠めるようになる。A氏:最後は自殺か。私:新聞では伊吹文科相が「いじめというより恐喝で、完全な犯罪だと思う」と言っているが、呑気だね。 もし、犯罪を適用するなら、殺人罪だよ。 恐喝した5人はカネが目的ではないね。 自殺に追い込んだという目的を達成した快感を得ただろうね。 「いじめ」の最大の収穫をーーー。 大臣は「いじめ」がわかっていないようだね。 一般の恐喝で簡単に自殺するかね。 恐喝は、被害者が何か「負い目」があって、それを帳消しにするという条件で行われる。 ところが、この場合は「いじめの拡大」が被害者の「負い目」になっているんだよ。 「いじめ」をなんとか軽減するために恐喝に従うんだよ。 恐喝する加害者の方もその被害者の「負い目」を知っていて心理的に追い込むことを楽しむんだね。 一般の恐喝と同列に論じられないね。A氏:今回の事件は、実際の金品の受け渡しは無かったから「恐喝未遂容疑」だね。私:別に暴力などで脅したわけではないね。 新聞によると「罰ゲーム」というゲームでウソを言ったら1万円を払うというものらしい。 これは「いじめ」を意図したものは明らかだ。 加害者の少年らは、被害者の少年のささいな言葉尻をとらえて「いまのはうそや」「もう数万円たまったぞ」と繰り返し現金を要求していたという。 明らかな「いじめ」だね。「教室の悪魔」では「万引き」を強要させる「いじめ」例もあげている。 被害者は捕まると親にあやまるが強要した「いじめ」の親分の名は出さない。 名を出すともっといじめられると恐喝されているからだ。 親は困った子供だと悲しむだけだ。 結果として犯罪がからむことになるが、原因は一般の犯罪とまったく異なるね。 異質な犯罪だね。 その認識が「いじめ」を理解するときに不可欠だね。
2007.09.19
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A氏:今朝の新聞で、今年7月の神戸市須磨の高3の男子生徒の自殺が、現金を数人の同級生から「いじめ」で恐喝されていたことが遺書から分かり、警察が同級生を恐喝未遂で逮捕したという。 金額は40万円から50万円にのぼるという。 私:最近、一時のような「いじめ」論議が消えたようだが、なかなか消えないね。 昨年の今頃は、「いじめ」論議が盛んで、この本も「いじめ」を現場的感覚で扱った本として人気があったらしく、図書館で予約して半年くらい待ったかな。 「いじめ」論議が消えた頃、読むことになったね。 130頁のパンフレット的な本なので、3時間程度で読んだよ。 改めて「いじめ」の実態をよく理解できたね。 今まで、いじめには毅然として立ち向かえとか、大人は何をやっているのか、転校は逃げだとか、怪我をさせるのは犯罪だとかというのは「いじめ」の実態を知らないためだということがよく分かったよ。A氏:「いじめ」というと暴力を振るうことではないのだね。私:先生や親に覚られないように、巧妙にやるのが「いじめ」だ、と著者は言う。 ある意味で大人のマネをちゃんとしているんだね。A氏:政治とカネでTVで大臣が「法律を守っています」とシラをきっている姿をちゃんと見ているんだね。私:蹴ったりしても、ケガが分からない程度にする。 しかも、間を空けてやる。 加害者はクラス全員のときもある。 被害者が大人に訴えないように、脅かしたりして、心理的に追い込むから、自殺までいくんだね。 そのやり口を見ていると、俺たちの子供時代の「いじめ」と違って知能犯的だね。 携帯メールを使って発信者を特定できない「いじめ」もある。 ある日、「誰々さんは援助交際している」というメールが多数に流れる。A氏:裏メールがあるらしいね。私:この本の最初では、著者が「いじめ」を解決した例をあげている。 小学5年生の男の子Y君が、毎朝のように頭痛や腹痛を訴えるが、学校にはきちんと行く。 後で分かったのだが、休むとまたいじめの原因になるのを恐れているからだという。 また、親に話すと親が学校に文句を言うことが予想され、もっと陰湿ないじめが待っているかもしれないので黙っていたという。A氏:どんな「いじめ」なんだね。私:「いじめ」の定番はまず無視だそうだ。 次第にクラス全員が無視をする。 グループ作業では、Y君が「なんでいるんだ」として何もやらせない。 そのうちに体操服がなくなる。 すれ違いざまに、「死ね」「うざい」「消えろ」と言われる。A氏:肉体的にはないの?私:サッカーのとき、いきなり後から突き飛ばされるが、誰だかわからない。 しばらくして、筆箱の鉛筆すべてが折られていた。 掃除を押し付けられる。 あるとき、Y君の机と机の上の鞄に向かって排尿される。 拾ってきたタバコの吸殻を給食に入れられる。 あるとき、食べ始めたら、底のほうにゴキブリが入っているのに気がついた。 それを「汚い奴だ」と皆に笑われる。 別な件だが、机にゴミを入れられるというのもあるね。A氏:担任の先生が気がつかないのかね。私:それが著者が驚くほど巧妙だという。 被害者以外に真実は分からないが、その被害者が真実を親や先生に覚られないようにするので、「いじめ」は潜航する。A氏:転校がいいのではないの?私:著者は、親が兆候を覚ったら、学校を休ませて、学校とは冷静に、協力的に対応することだという。 そして、全校をあげて「いじめ」による被害者への痛みを子供に理解させることだと言う。 再度、被害者が登校できるようにしてやることが一番いい解決だとしているね。 転校は被害者に心の傷が残るので、専門的なケアのフォローが望ましいとしているね。 最後に「いじめ」の兆候15項目を具体的に示している。 特に小中学生を持った親には参考になるだろうね。
2007.09.18
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A氏:安倍首相の急な退陣の原因は健康問題だったようだね。 私:健康問題だというけれど、原因は新内閣でもカネの問題が出て、心労が重なったのが体に出たのかね。 しかし、この一月くらいは、お粥と時には点滴だったというから、かなり、前からひどかったらしいね。 外遊には医者が同行していたらしい。A氏:案外、精神的にタフでなかったんだね。 挫折体験が少なかった、のだろうかね。 それとも今はやりの「鈍感力」の問題かね。私:タフなら、参議院選挙のときに退陣していたね。 心の底では負けを認めたくなかったし、総理の座を捨てたくなかったんだね。 退陣するのは、その悔しさに耐えるタフさが必要だからね。A氏:やめる理由の一つにテロ特措法で民主党首との対話を断わられたとあるが、その事実はないことが明らかだね。 ヒドイ言い訳だね。 早めに「健康がすぐれない」ということで退陣するか、短期的な休養をとれば、よかったと思うがね。私:小沢党首のせいにする発言は、年金問題は菅直人のせいだという発想と同じだね。 やめる理由はでもないと思うね。 健康問題をかくすためかね。 わからないのは、あれだけテロ特措法の継続にこだわりながら、参議院選挙後にすぐに臨時国会を開かなかったことだね。 臨時の衆議議院で採決して、参議院で否決しても、多数の衆議院にもどるのだから、タイミング的に11月2日に間に合ったのではないのかね。 民主党の出方はわかっているのだから、万一の手を打つのが常識だがね。A氏:君は安倍首相に「運」が無いと言っていたね。私:松岡大臣の自殺のときに、そう思ったね。 「自殺」は最大の暗い、不吉なイメージを与えるからね。 そして参議院の大敗だね。 こういうときに、挫折経験がある人は、一旦、退くね。 山登りがそうだね。 下山しようとして深い山の谷を下っているとき、夕方に道に迷うことがある。 こういうときに、選んだ道にこだわって、そのうちに正しい道に出るだろうと、まだかまだかと先に進むとますます、深みにはまる。 さっと、思い切って引き返す勇気が必要だね。 メンツにこだわらずにね。 山の怖さを知っている人は、天候に気をつけ、無理をしない。A氏:それにしても、以前、クリントン大統領が来日したとき、夜、ボディガードとジョギングしていたシーンが報道されたが、健康に注意しているんだね。 ブッシュ大統領もキャンプ・ディービットでよく休暇をとるしね。 安倍首相は、どういう健康管理をしていたのかね。 首相の健康管理というのは国家の危機管理の一つだからね。 健康が悪いといい政治もできないし、外交もできないのは当然だね。 安倍首相が参議院選挙に大敗したのは、大臣の不祥事が原因だというが、むしろ、安倍首相のその対応が悪く、松岡大臣の自殺など、統治管理能力が問われたと思うね。 今度は、自己管理能力の問題になったね。 例の残業代ゼロ問題のとき、安倍首相は「日本人は働きすぎだ」と批判していたのにね。私:アメリカでは、副大統領制があるから、例のケネディ大統領の暗殺のときに、すぐにジョンソン副大統領が大統領になっている。 危機管理ができているね。 しかし、日本は小渕政権のときのように談合でやるか、もう一回、総裁選挙からやり直しかだね。 これで、政局は長期的に混乱だね。 年金、政治とカネ、公務員改革などの問題はおかしくなりそうだね。
2007.09.14
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私:安倍首相は精神的でタフでなく心労で、正気でない退陣をして政治生命を失って倒れたね。 また、小沢代表に責任転嫁していたね。 年金が菅直人の責任だというのと変わっていない。 これと対極にあるのは、この佐藤氏だね。 512日の拘置所の4畳くらいの独房生活と検察の恫喝にも動じない。 安倍首相のようなひ弱でなく、タフだね。 この知的街道は08.05「正義の罠・リクルート事件と自民党-20年目の真実」田原総一郎、「自壊する帝国」佐藤優、「北方領土『特命交渉』」鈴木宗男・佐藤優対談の流れだね。 しかし、40才そこそこで、512日の拘置所の4畳くらいの独房生活に耐え、それも途中は、外部との直接のつながりは弁護士だけの厳しい拘留生活だね。 体力と精神力がないと検事に屈服するしかないね。A氏:田原総一郎氏のリクルート事件の江副氏は体が丈夫でなかったし、精神的にも検事の追及に耐えられなかったようだね。私:それと比較すると、佐藤氏のタフさはすごいね。 孤独に耐える強さがあるね。 40才台の若さと体力と、学術書を中心に220冊を読み、思索ノート62冊を書くという知的なエネルギーはものすごいね。A氏:失うものがなかったのかね。私:このエネルギーで外務省で活躍したのだから、外務官僚の嫉妬を買うくらいの活躍はするだろうね。 その彼が検事とやりあう内幕を描くのだから、面白いね。 しかし、どうも、佐藤氏の描く「国策捜査」というのがよく分からないね。 社会保険庁のグリーンピアなどの問題は「国策捜査」をやれば、もっと年金問題は早期に出てきたのではないの?A氏:鈴木宗男氏と佐藤優氏というロシア外交通を一挙に日本は失うわけだから、それが国策なのかね。私:鈴木宗男氏もあの精力的な活動で外交活動をするね。 それが森首相のときにプーチン大統領の会談で、鈴木氏が外されるという意外なことがあったという。 何か、兆候があったのかね。私:要するに、外務官僚に対して、鈴木宗男氏は大きな権限を持つようになるね。 そして声が大きい。 山本七平氏がいう日本軍の「軍人的断定法」に似ているね。 裁判沙汰になると鈴木氏は「俺は命令していない」というが、外務官僚は「命令された」「押し切られた」という。 鈴木氏がまずかったのは、まめな性格か、文書に残していることが多かったというね。 しかし、例のアフガニスタンの会議でNPOの大西氏がメンバーから除外されたいきさつに鈴木氏がからんでいないということをこの本では書いているが、当時の大西氏のテレビインタビューでは鈴木氏が直接電話していたようだね。 まぁ、興味があったのは、田中真紀子外相、青木事務次官、鈴木宗男の更迭劇の裏話だね。A氏:それにしても、あの当時のマスコミは佐藤氏をラスプーチン呼ばわりをしており、ものすごいバッシングだね。私:これも検察の世論つくりの意図的リークでマスコミが踊るんだね。 気をつけないといけないね。 佐藤氏は無罪を主張しながらも、少し折れたところがあるんで、執行猶予判決となるね。 この本を読むとホリエモンも何か国策捜査らしいが、判決が執行猶予つきでなかったことは、彼が徹底的に無罪を主張したことにあるらしいね。 今後、特捜が動くときはどんな国策捜査なのかよく見極めて、マスコミ報道に踊らされないことだね。
2007.09.13
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A氏:今朝の朝日新聞の水平線というコラムで北京駐在の峯村記者からの記事「食の不安・13億の民脅かす」が載っていたね。 この夏、中国国家食品薬品管理局の前局長が収賄の罪で死刑になったという。 製薬会社6社から偽薬の承認で約1億円相当の賄賂を受け取ったという。 この偽薬は多くの死者を生んだらしいね。私:1月に出版された「中国食品安全現状調査」によると、偽食品が原因とみられる死者は毎年約40万人、約3億人が発病しているという。A氏:人口が多い国だけに、被害者数も桁が違うね。 民工はもっと食がひどいらしいね。私:問題は中国だけないことだね。 日本では中国産の食べ物は要注意だし、外食も要注意だね。 週刊誌が一時、盛んに報じていたね。 こないだ、ピザの宅配を頼もうとして躊躇した。A氏:何故?私:ピザにはいろいろな野菜を使っているからね。 しかし、キリがないね。 われわれの身近な日常生活にもどこでも影響があるね。 日本への輸入は検査が厳しいかもしれないが、中国本土ではそういう規制や管理が弱いだろうから、国民は大変だね。A氏:こんなブラックユーモアみたいな話がどこかに書いてあったよ。 中国である農婦が誤って体によくない農薬を飲んでしまい、あわてて病院にかけつけた。 しかし、問題がなかった。 その農薬が偽であって、害がないことが分かったからだという。私:北京オリンピックを来年に控えて、中国のイメージアップで政府は大変だね。 問題は、食品や薬品だけでなく、一般の商品にも有害物が含まれていることだね。 玩具や衣服も問題になっている。 さらに環境問題で黄砂の成分まで問題になったようだね。 アメリカも中国産食品の禁輸措置をとっているそうだが、もともと、グローバル経済のもとはアメリカのカネもうけ至上主義ではなかったのかね。 自分で自分の首を絞めているようだね。 日本も友連れかね。A氏:しかし、ブリックスといって経済成長が激しいブラジル、ロシア、インド、中国4カ国があげられているが、このような品質倫理問題は中国がダントツみたいだね。 本来、儒教の国なのにね。 進出した日系企業の話では、お役人の賄賂がすごいそうだね。私:ブリックスのうち、中国だけは共産党の一党独裁だからね。 本当の市場経済ではないのではないかね。 よくわからないが、興味ある問題だが、深刻な問題でもあるね。
2007.09.09
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A氏:昨日9月7日の朝日新聞社説に「鴨下環境相・訂正だけでは済まない」というのがあったね。私:よく次から次にカネの問題が出るね。 もう、慢性的になったね。 鴨下環境相の場合は96年だから11年ほど前の話だね。 鴨下氏本人から同氏の政治資金管理団体に貸したカネが200万円とあった。 これが00年以降の収支報告書では1千万円になっていて、差額の800万円が宙に浮いたということだね。A氏:そして、すべての国会議員に義務づけられている資産報告書では鴨下氏個人がだれかに貸している貸付金残高は00年6月では820万円でそれ以降はゼロだという。 これとも合わない。私:入ったカネしか使えないから、これはバランスしていないとおかしいね。 A氏:俺も定年で辞めてから、雑収入があったから節税のために、社員が女房だけの会社を作ったね。 俺は会社の社長で、会社から給与をもらう。 月ごとの集計は経理は税理士に頼んだ。 ところが、現金が不足して俺と女房の給与が出せない計算になると俺が金を貸したことにして、会社として入金伝票を切る。私:実際にカネは動いていないから、通帳の記録もないわけだ。A氏:しかし、入金伝票を多めに発行するからその記録はあり、税理士に渡る。 だから、俺からの個人的な貸付金は自然に増える。 もっとも、現金は帳簿上、きちんと出るが、その通りではないがね。 鴨下氏も資金管理団体と言っても個人会社で利益を出す必要もないのだから、そういう調整をしていたんではないかと思うが、入金伝票をきるシステムでなかったのかね。 今朝の新聞だと、通帳の写しを示し、96年に200万円引き出した記録を示したというが、政治資金管理団体に入金した証拠(たとえば入金伝票)を示していないという。 その辺の実務的な説明がないのが致命的だね。私:以前、映画「マルサの女」で、老夫婦で経営している会社組織なっている八百屋のシーンがあったね。 マルサの主人公が「老夫婦の食事に使用する野菜などはどうしているか」と聞くと、「店からそのまま、持って行く」と返事したら、「売上げがその分、少ないので課税します」とやられていたね。 老夫婦は、税務署は血も涙もないと文句を行っていたね。 A氏:その場合は、店の野菜を老夫婦個人が買って現金を店という法人に払い、売り上げとして帳簿に計上してから、自分たちの料理に使うということになるね。私:落語に「花見酒」というのがあるね。 2人で酒樽を担いで花見の場所まで行き、そこで酒を売って儲けようというわけだね。 しかし、途中で、一人が酒を少し飲みたくなって、「金を払えばいいだろう」と言って、相方に手持ちの金を払って、酒を飲む。 ところがまた少し行くと、その相方が手にした金で「俺も買う」と言って、相方に金を渡し、自分も飲む。 こういうカネの受け渡しの往復で酒を飲んでいるうちに、花見の場所にきた頃は、二人はベロベロになり、酒樽は空。 残った金は最初の男の金だけ。 本人同氏は理屈にあったようなことをしているが、実は経理上はデタラメだね。A氏:最初の相方に渡した金は、相方の金でなくて、2人の法人の金だね。 相方が次に飲むときは、自分の金で飲まないといけないわけだね。 若林農林大臣も50年来の友人の個人献金だと言っているが、こういう親しい友達同士の間ほど、カネの厳しさがあいまいになるから、気をつけるべきだね。 「李下に冠を正さず」とはそういうことだよ。私:問題はこの「花見酒」の「酒」が税金だと問題だね。 別の議員で領収書をコピーして、カネを使っていないのに出ているようにして帳尻を合わせていた例があったが、これは「裏カネ作り」のための意図的な「横領罪」だね。 万引きして見つかって店に返せばいいだろうという理屈では済まないだろうね。 単純な「記載ミス」というのは明白なウソだね。A氏:政治家が1円まで領収書をもらうのかとか、香典に領収書がもらえるのかという反対論があるが、これはおかしいね。 1円ショップなんてないし、タクシー代は領収書をくれるし、電車賃はスイカで購入すれば領収書が自動的に出てくるし、香典だって、公人としてなのか、私人としてなのか、明確なら、領収書はなくてもいいのではないの?私:自分の資金管理の計算くらいは目を通して理解しておくべきだね。 簿記3級レベルの問題だよ。 「大事は小事より」始まるで、そのくらいの基礎を体得して、庶民と同じ目線で政治とカネを語るべきだね。
2007.09.08
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A氏:君は、今度の安倍新内閣をあまり期待していなかったが、ついに、発足早々、スキャンダル第1号が出てしまったね。 遠藤農水相の辞任だね。 「人心一新」でスタートしたが、何か安倍首相には「運」がついていないみたいだね。 特に農水大臣のポストは松岡大臣の自殺以来、何か「憑き物」があるようのかね。私:まぁ、仕方がないね。 「運」がつていないときは、退くのが最上の方法だがね。 そうしないから、また、起きたね。A氏:しかし、今度は、モタモタしないで、与謝野馨官房長官が麻生太郎幹事長と相談して手を打ったようだね。 安倍政権ではなくなったみたいで、事実上は、安倍首相引退だね。 昨日の朝日新聞は一面トップに「首相 蚊帳の外」という大見出しで報じているね。私:参議院選挙前から大臣の金の問題が出たのは官邸の「身体検査」が甘かったと言われていて、「身体検査」する井上義行首相秘書官の問題が出ていたね。 組閣前に、インドに行った安倍首相に随行しないで、日本で大臣候補者の「身体検査」をしていたと報じられていたのにね。 ジャーナリストの上杉隆氏がその井上秘書官の問題点について「官邸崩壊」で書いているそうだね。 俺はこの本は読んでいないが上杉氏がTVで言っているのを見たよ。 井上氏と官僚との関係がよくないらしく、情報があがってこないらしい。A氏:小泉首相時代の飯島首相秘書官と比較すると力量が格段に落ちるというわけか。私:ところで、日曜の報道特集に与謝野新官房長官がインタビューに登場したが、アメリカ渡来の市場原理主義の名をあげて日本にはあわないと明言しているね。 ワーキングプアなどの発生に対する反論だね。 ある意味で竹中路線からの訣別だね。 その意味では隠れた「人心一新」だね。A氏:竹中氏がこの動きに対して経済改革に「黄信号」だと論評しているようだね。私:与謝野官房長官で大きく「構造改革」の流れが変わるかもね。 大体、「構造改革」自体が何か「美しい国」のようにあいまいな内容だから、政策上はどうにでもなるんじゃないかね。 TVインタビューによると与謝野官房長官の「美しい国・日本」は「助け合いの反弱肉強食社会」だろうね。A氏:いよいよ、国会論争がはじまるね。私:テロ特別措置法は重要問題だね。 いよいよ、真の国会らしくなりそうだね。 期待しよう。
2007.09.05
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1○ 3○ 2○ 4○ 私:話は昨日の続きだね。 今、上面がほぼ正方形のカバーがあるとする。 小さな電気洗濯機のフタくらいの大きさとする。 これを締め付けるには、上のように、4隅にネジ穴があいている。 4つにネジをカバーの下の品物の同じ位置にある4つのネジ穴に締め付ける。 するとカバーはきちんと下の品物に固定される。 君ならこの作業を具体的にどういう手順やってやるね?A氏:1番目のネジからきちんと締め、次に順次、2番目のネジというように4箇所を締めるね。私:ところが、その締め方は問題なんだよ。 昔、ある現場で通常の作業者がカバーを外して機械の点検をした後、カバーを元に戻すので、ネジ止めした。 このカバーのネジ穴が上図のように4隅にある。 ところがカバーの4の部分が十分にしまっていないで角が持ち上がったままになっていた。 この持ち上がったカバーの角が上を走っている製品にあたり傷をつけたというトラブルがあったね。A氏:ネジ締め作業をちゃんとやらなかったのかね。私:普通、4隅にネジを締めるには、君が言ったように一箇所ずつきちんと締めないんだよ。 最後の4番の穴にしわ寄せがいって、うまくあわないことがあるんだね。 4隅を少しずつ、平等に締めていくのがメンテナンスをやるものの常識なんだよ。A氏:そうか、最初、ネジを4箇所に挿し、少しずつ、4箇所を締めていくのか。 俺のやり方では、最後の穴が合わないことがあるんだね。私:その現場ではそのときは、メンテ担当者がたまたまいないために、普段やりつけない作業者がやったようなんだ。 「締めるだけだ」と簡単な作業だと思ってね。 中華航空の炎上事故の原因となっているワッシャー忘れも何かボルト締めの手順の上で問題があったのかもね。A氏:じゃ、そのカバーの例だとネジ穴を楕円穴にしたらどうかね。私:たしかに、調整しやすくなって、メンテナンス専門でなくてもできるね。 しかし、カバーに楕円穴を加工するというのは、その分、追加コストがかかるだろうね。 今度の那覇空港の航空機炎上事故の場合も、設計者がナットにワッシャーを溶接した一体型のナットにすれば、ワッシャー忘れはないかもしれないが、部品コストはかかるかもね。A氏:しかし、こういう事故の損害コストを考えるとそのコストアップの比ではないね。私:このカバーの例は簡単な設計の例だが、こんな簡単な例でも設計者というのは、設計するときに「『なんで自分は楕円穴でなくこの代替案を選んだのか』が問題になる運命を持っている」ことになるね。
2007.09.04
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私:沖縄の那覇空港での中華航空機炎上事故は、どうやら直接的な原因は上図のボルトがナットがついたまま、アームの穴から右上に外れ、これが燃料タンクに突き刺さり、タンクに穴をあけたらしい。 着陸時にアームが元に戻るときに、この外れたボルトを燃料タンクに押し込んだ。 タンクにボルトが突き刺さり、大きな穴が開いて、ここから燃料が漏れた。 事故を再現するとこういうストーリーらしいね。A氏:ボルトはナットがついたまま突き刺さっていたとあるが、上の図だとナットはアームの穴の左下側には大きなワッシャーやダウンストップがあるね。 だから、ナットがついたままでは、ボルトはワッシャー、ダウンストップ、アーム穴という3つの関門があるので右上側に外れないのではないの?私:そうなんだね。 ところが、問題を起したナット側にあるはずのワッシャーとダウンストップの金具が燃料タンクのへこみ内などに転がっていたのが見つかったという。A氏:じゃ、ボルトを締めるときに、ダウンストップとワッシャーを翼の内部に置いて、次につけようとして、付け忘れたのではないの? 中華航空の整備作業ミスではないのかね?私:この部分は何か、ボーイング社から定期点検時に注意するように指示があって、中華航空では、7月の定期点検時に点検していたらしいね。 そのときに、付け忘れをしたのかね? しかし、その後、問題はいろいろ出てきたね。A氏:新聞によると、日本で同型機を使用しているエアーニッポンでは、今度の事故で始めてこの部分を点検したところ、ナット側のワッシャーがなかったという。 周辺にも落ちてもいなかったというね。私:初めての点検でワッシャーがなかったというと、航空機の製造段階からワッシャーがないことになるね。 そうなると、ボーイング社の製造問題も、場合によってあることになるね。A氏:ところが、8月31日の朝日新聞朝刊によると「ボルト抜けやすい設計」として、背景に設計問題があることを指摘しているね。 ワッシャーがないとボルトが抜けやすい設計に変更になっているらしい。私:今回事故を起した800型機は新世代機といわれているもので旧世代機を設計を変更しているね。 旧世代のナットが直径1.4ミリなのに、この型では1.06ミリに縮小したという。 次のダウンストップの穴径が真円でなく、かつ、ばらつきもあるので、1.06ミリくらいになることがあるという。A氏:それでは、ワッシャーがないと、ナットはある確率でダウンストップとアーム穴をトンネルのように通過してしまうね。私:アームの穴径は1.10ミリから1.12ミリだそうだから、1.06ミリのナットはボルトについたまま、アーム穴を悠々と通過だね。 せめて、ナットの径が旧世代機の1.4ミリならこの事故は起きなかったね。 もっともワッシャーを忘れるような作業者の稚拙な問題点はかくれるがね。A氏:なんで設計者はナットを小さくしたのかね。私:なんかの意図があったんだろうね。 ナット締め付けのわずらわしい作業の問題を解決するために何かを考えて選択したのかもね。 なんせ、このアーム一つをボルトで締め付けるのに7個の部品を手でセットでつけるのだから、ある意味大変な作業だね。 それも1機の航空機に何ヶ所もあるんだからね。A氏:それにしても設計者というのは、ある問題を解決しながら設計するんだがね。 それで、君のブログの養老氏と内田氏の対談に、問題を解決するときに「『なんで自分はこの解決案を選んだのか』が問題になり、あいまいなことが増加していくはずだ」という意見があったのを思い出したよ。 それは当たっているね。私:明日はこれに関連して、製造現場での簡単なメンテの話を思い出したんで、それにふれよう。
2007.09.03
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私:007なみだが、殺人がないので「コメディ」だね。 だから、つい見てしまう。A氏:何が?私:TVの朝青龍モンゴルへの脱出劇だよ。 このブログでも、その1、その2で取り上げてきたが、ミステリー好きの俺の知的興味をついてひいてしまってつい見たね。 テレビでは朝青龍がモンゴルに帰るところを詳しく報じていたね。 成田空港から航空機の中から航空機を降りようとするところまですべて撮影していたね。 下向きで無言で、あごひげをはやし、5時間くらいの飛行中に出る機内食は食べていなかった。A氏:ところがモンゴルにつくと急に立ち上がり、乗務員に何か言いながらさっさと降りて行った。 ふてくされストライキが成功したようだね。私:愉快なのは、モンゴル空港の裏口のVIP出口で4台の車が待っていて、どの車に朝青龍が乗ったかわからないようにきちんと手配されていたことだね。 そして、空港を出ると4台は交差点で3つバラバラの方向に走り、マスコミが追跡できないように整然と動いたことだね。 なんだか、そのうち1台の車のナンバーは政府登録番号だというね。 007の映画を見るようだね。 モンゴルの英雄の帰還でなくて、マフィアの親分の帰還のようだね。 これでモンゴルでも彼の職場放棄行為がほめられたものでないことを知ったかもしれないね。 本人の横綱の美名に汚点を残したね。A氏:なるほど、朝青龍はなんとかという心理的な異常の病気でないことを明確に立証したようだね。 朝青龍はちゃんと、東京・モンゴルの間で、電話で詳細なモンゴルでの空港脱出計画を相談していたことは明らかだね。 たしかに007のような国際的な舞台でのミステリーだね。私:臨時の横綱審議会では「引退勧告論」も出たという。 相撲協会が朝青龍のふてくされに手を打てないでもたもたしているうちに、日本の国技が汚れそうだね。 後は、帰国ができるのか、帰国するときはこの「汚名返上」できるように朝青龍が本当に反省した釈明ができるのかだね。 そのときこそ、本当の横綱、いや、相撲ビジネスのトップとしての「品格」が問われるだろうね。A氏:俺は不可能だと思うね。 ところで、1ヶ月も放置した協会の理事長や親方の管理能力もあるのではないの?私:変にこじらすよりもこのほうがよかったのではないの。 いろいろ、政治的に動く人がいるようだからね。 理事長は引退要求をしたいくらではなかったのかね。 まぁ、これで主人公がモンゴル深くにもぐってしまったので、マスコミ騒動によるミステリー劇場も終わるだろうね。 このミステリーの謎解きは、朝青龍の帰国待ちか、それとも帰国なしで、うやむやのうちに消滅か、果敢なジャーナリストが挑戦するかだね。
2007.09.02
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私:佐藤優氏の「自壊する帝国」の知的街道の1冊だね。 興味は例の02年の外務省をめぐるゴタゴタとそれによって、二人が逮捕されるというスキャンダルの裏話だね。 この本は二人の対談ということで簡単に裏話を会話体で読めるので図書館で選んだよ。A氏:なんだか、二人の逮捕の理由がよく分からないね。私:その点は、二人とも逮捕がおかしいというのでそれぞれ、本を出しているね。 しかし、それはあまり興味がないね。 田中角栄やリクルート逮捕の冤罪説があるしね。 昨年、鈴木氏は色丹島を訪問して、地元に感謝されたらしいが、これを政府が許可したというのは冤罪を認めているのかね。A氏:鈴木氏は、北方領土交渉でかなり活発に動くね。私:精力的だね。 外交的な気配りもすごいね。 外務官僚がこのくらい精力的だと問題はなかったんだろうがね。 声も大きい。 だから、おとなしい温室育ちのエリート秀才の外務官僚には反発を買うだろうね。 佐藤氏も同様に精力的だね。A氏:もっとも彼は外部官僚だね。私:けれど、ノンキャリアだね。 佐藤氏も「自壊する帝国」を読むとすごく精力的に活動しているね。 どんどん、現地に飛んで、人と会って話をする、プレゼントをするというきめ細かいエネルギーがすごいのは二人に共通している点だね。 だから、この本での二人の対談は徹底したオボちゃん外務省批判だね。 実名や写真も出してばらしているね。 ほめられている人もいるがね。A氏:結局、北方領土の4島返還か、2島返還かというのはどうなっていたのかね。私:4島返還を最終目標にして、とりあえず、2島返還ということから進めようというらしいね。 それが誤解されたということが強調されているね。 そして、鈴木氏の外交活動は個人的なものでなく、すべて上の指示や特命だという。A氏:ロシアのチェチェン問題でも外務省ともめたらしいね。私:アメリカの9.11テロの2年前にロシアのチェチェン問題が起きるのだが、日本政府はこれはロシアの国内問題だとしていた。 ところが、欧米が人権問題として考えるようになるときに、これに同調して人権問題にしようとする外務省の動きがあったようだね。 これと従来の政府方針を維持し、ロシアとの関係を悪化したくない鈴木氏との間でもめるね。A氏:佐藤氏は、これは国際テロ組織が関係しているとみていたんだね。私:佐藤氏との直接の情報で鈴木氏は動いているね。 2年後に9.11テロが発生し、チェチェン問題が国際的に正確に理解され、アメリカはロシアのプーチン大統領に謝ったという。 北方4島返還の遅れで甘い汁を吸っているのは、別にいるとして実名をあげて批判しているね。 その人に公開質問状まで出しているね。 そして、すべて鈴木氏のホームページで明らかにしているという。A氏:俺もホームページを見たが、一部、外部省とのやりとりもあったね。私:ホームパージを見たが官僚答弁の代表例で、これは特別、今、始まったことではないね。 外務省は嫌いな人を追い出したようだが、かえって敵に回した結果になったのかね。 それとロシア関係との悪化だね。
2007.09.01
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私:「逆立ち日本論」を読んで、内田樹氏のこの本に興味を持って、図書館から借りて読んだ。 知的興味を強くそそられた本だね。 ただ、哲学的な本なのでスラスラ読めるという新書ではないね。 A氏:「逆立ち日本論」にあった例のユダヤ人の定義は難しいということから始まるのかね。私:「そもそも日本人は---である」という場合も、「その日本人とはどういう定義か」となると難しいね。 何となくそれを言う人の独自のニュアンスで使っていることが多い。 アイヌ民族や琉球諸島の人は「日本人」か、帰化した人は日本人か、アメリカに移住し市民権をとった日本人は日本人か、縄文時代に列島に住んでいた人は日本人か、飛鳥時代に朝鮮から渡来した渡来人は日本人か、などなどだね。 抽象的な名詞というのは本質的にそういう宿命を持つね。 俺は冗談で言うんだが「世の中に『猫』は実在しない」とね。A氏:?私:実際にいるのは、「隣の猫」であり、「今、道を歩いているノラ猫」だね。 抽象的な「猫」は実在しない。A氏:しかし、「九州男児」というと辞書的語義では「九州生まれの男性」だが、ニュアンスというか「裏の意味」は「質実剛健で胆力があって、酒飲みで、我が強く、男尊女卑の持ち主で--」という人物像を連想させるね。 そういう使い方もあるね。私:しかし、現実は「タモリ」も「さだまさし」も九州生まれの男性だが、「九州男児」といえるかね。 著者は「ユダヤ人」というのは、「もっと深い歴史的な裏の意味」があり、「九州男児」や「江戸っ子」の比ではないという。 まず、第1にユダヤ人は国民名ではない。 イスラエル国民の20パーセントはイスラム教徒だという。 2002年の統計によると世界のユダヤ人総人口は約1千三百三十万人、そのうち約6百万人が北米、5百万人がイスラエル、百万人がEU、旧ソ連に4十万人で南米、アフリカ、アジアに散在しており、日本には推定数千人だという。A氏:世界中に広がっているんだね。私:第2にユダヤ人は人種ではない。第3にユダヤ人はユダヤ教徒のことではない。 これは近代以前は、国家はキリスト教国家だから、国民であるユダヤ教徒は強制改宗を要求されるが、彼らは頑として改宗しなかったという。 しかし、近代以降、近代市民社会になって、そういう強制の必要がなくなってから、逆にかなりのユダヤ人がキリスト教徒になっているという。 しかし、「ホロコースト」では、いかなる宗教を信じていようとユダヤ人として殺された。A氏:そんなあやふやなユダヤ人の定義で2千年間も「いわゆるユダヤ人」は迫害を受けてきた事実はあるんだね。私:昼は夜、男と女がセットで存在するように、ユダヤ人は「ユダヤ人を否定しようとするもの」に媒介されて存在し続けてきたという。A氏:なるほど、昼単独では昼は定義できないね。 女なしで男は定義できないね。私:ここから、議論が哲学的になるが、平たく言うと著者は「ユダヤ人と非ユダヤ人」という対立は、現実的な世界から導かれてものでなく、それで現実の世界を見るときの見方を与えたものとしているようだね。A氏:それにしても日本人はあまり、ユダヤ人という問題は関心がないのではないの?私:日本にユダヤ人という考えが入ってくるのは幕末の開国時代からだね。 面白いのは、当時の日本ユダヤ同祖論(日猶同祖論)だね。 「日本人の祖先はユダヤ人である」というものだね。 飛鳥時代の渡来人秦氏はユダヤ人だという論もあったという。 いずれも「日本は選ばれた国であり、日本人は選ばれた民である」という皇国イデオロギーに吸収されていく。 明治維新頃、植民地化をめざす欧米はキリスト教支配だから、それに対して日本が思想的に優位に立とうとするとき、キリスト教に毅然として対抗するユダヤが持ち出されたようだね。 先進国に対するコンプレックスの裏返しだね。 明日は、ナチスの反ユダヤに対抗して、ユダヤ人を守った杉原千畝氏と日本軍部についてふれることからはじめよう。
2007.08.30
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A氏:27日のTVは、自民党三役から始まって、新内閣の閣僚発表で大変だったね。 昨日の朝日新聞朝刊は「延命へ改革路線修正」と厳しい一面見出しだね。私:27日夜は用事があって、9時頃、家に帰ったら、TVで安倍首相の記者会見をやっていたのを見たね。 記者会見の冒頭で、挨拶があったが、いきなり、また、「美しい国」が出たね。 この人は変わらないね。A氏:でも、TVの各チャンネルの報道では、以前は「美しい国」という言葉がやたら出たが、今回は冒頭の1回だけに大きく減ったという評価が多いね。私:1回でも「美しい国」は政治家の語る言葉ではないね。 これは「ローマ人の物語」の作家塩野七生氏の言う通り、政治家は政治思想をわかりやすい政策にして語る商売だよ。 閣僚が不適切な失言をしない内閣を持つ国が「美しい国」なんかね。 中央と地方の格差がない国が「美しい国」なんかね。 政治とカネが透明で公正な国が「美しい国」なんかね。 年金のデタラメをしない国が「美しい国」なんかね。 役人の天下りがない国が「美しい国」なんかね。 先生の免許更新をする国が「美しい国」なんかね。 軍隊を持ち、憲法で集団的自衛権での武力行使を認め、アメリカと対等の立場に立つ国が「美しい国」なんかね。A氏:安倍首相の今回の選挙の大敗は統治能力と同時に民衆の目線に立った明快な説明能力が問われたのだと思うよ。 「私の内閣」というように、ちょっと一段上でしゃべっているね。私:俺は「美しい国」を聞いただけで、なめられたように感じ、チャンネルを変えたよ。 ところが、翌日、新聞を見たら、記者との質疑応答で「『戦後レジーム』を原点にさかのぼって見直していく方針には変わりない」とあったね。 また、「戦後レジーム」だよ。A氏:新聞では「レジーム」という言葉にわざわざ括弧して(体制)とあったね。私:新聞で括弧をつけるような英語を使うのは国民に語りかける政治家ではないね。 よく理解していない知識を偉そうに語る三流学者の真似だね。 大体、「レジーム」という英語は単純な「体制」という意味でなくて、「悪い体制」という意味に使うようだから、「戦後レジーム」は「戦後の悪い体制」だね。A氏:ブッシュ大統領は、戦後の日本はアメリカの民主化指導で民主主義の国になったと自慢し、かつ、ほめていたではないかね。私:それを安倍首相は「悪い体制」だと批判しているわけかね。 「戦後レジーム」はアメリカかぶれになった日本を批判する反米的な発想となるね。 戦後に変わったといえば、「教育勅語」を捨てた。 憲法は天皇主権から主権在民となった。 女性が選挙権を得た。 言論の自由、人権尊重などいろいろある。 戦後、労働組合は強かったが、今は弱くなっているしね。 社民党も小さくなった。 冷戦はなくなった。 代わりにグローバル経済の波が来た。 これらが「戦後レジーム」の特徴だよ。 そのどこを見直すのか、「戦後レジーム」という英語を使わないでも、平易な日本語で、簡単に2,3分で説明できるはずだね。 それをしない。 できないのかね。A氏:しかし、「戦後レジーム」は一時、細川内閣がちょっとあったが、後は全部自民党政権時代のことだね。私:安倍首相の祖父の岸首相時代も「戦後レジーム」に含まれるね。 どこを見直すのかね。 まぁ、この人は、今度の挫折でプラスになるような反省をしていないことが、この「美しい国」「戦後レジーム」にまだこだわっているので分かったよ。 育ちのいい人は思い切りが悪いんだね。 人は挫折したときの対応で器量が決まる。 若いのに残念だね。 やはり、退陣して再チャレンジしたほうが長い目でみて本人のためによかったような気がするね。 朝青龍のようにしぶとく、ふてくされてでもモンゴルに帰り、出直すべきだったね。
2007.08.29
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私:通常兵器による侵攻やテロ攻撃に対しては、日本の防衛は自衛隊で対処できるが、弾道ミサイルに対する議論は、一筋縄ではいかないね。A氏:たしか、安倍首相は「日本本土向けのミサイルは撃ち落せるけれども、米本土に向かうものは撃ち落とさないですむのか」としている。 これは民主党の前原議員も「アメリカ本土に届くミサイルが日本上空を飛んでいくとき、これを日本が撃ち落すというミサイル防衛での協力が日本の集団的自衛権を認める場合の最重要課題だ」としているね。私:これは北朝鮮初の核実験の2日後、ブッシュ大統領が記者会見で日本を念頭に「ミサイル防衛網整備を促進すべく努力したい」と決意を語るのが始まりだね。 翌日、安倍首相も「ミサイル防衛網整備を促進すべく努力する」と決意を語る。 6日後に来日したライス国防長官は日本に対するアメリカの「核の傘」による安全保障による約束を果たすことを強調した。 著者は、この「核の傘」による「懲罰的抑止」と、ミサイル防衛の「拒否的抑止」というのは矛盾しているという。A氏:「核抑止」は、お互いに核を持つことにより、核を使うと報復するということでその使用を抑止するのが目的だね。 「拒否的抑止」と言うのは何かね。私:それは相手が撃ってくる場合に、飛んでいる間にそれを迎撃することを前提としているので、すでに相手が武力行使を開始したことになるね。 すなわち、伝統的な核抑止が働かないか、失敗することを前提にしているので、矛盾することになるわけだね。A氏:「核の傘」を強調すればするほど、ミサイル防衛の必要は減じるし、ミサイル防衛の重要性を強調するほど、「核の傘」の信頼性は減っていくということか。私:「核抑止」を補完するために、ミサイル防衛を位置づけることは可能だが、現実的に最初からミサイルを発射するつもりなら、防衛網が整備される前に攻撃するはずだね。 問題は、迎撃ミサイルの能力で、今のところ、高度で届かないというのと、多数のミサイルが同時に発射されるとイージス艦で補足が困難であるというように、現在では「拒否的抑止」になっていないことだという。A氏:それに、北朝鮮が本当に核ミサイル攻撃を日本に対して自殺行為的にでも行うときは、日本海側の「原発銀座」をねらうのではないの? この問題はどうするのかね。私:原発の「想定内」の地震対策は今、熱心に対策が始まったが、そんな北朝鮮のミサイル攻撃は「想定外」だそうだ。 このミサイル防衛網で2006年12月に来日したローレス国防副次官は「ミサイルが米国に向かうことが明らかで、日本がそれを撃ち落せないのは『クレージー』で、そんなものは日米同盟でない」と述べて、憲法解釈の変更を日本側に強く迫ったという。A氏:安倍首相も対応せざるを得ないわけか。 今度の国会でテロ対策特別措置法の延長が大きな日米問題になりそうだね。 この延長に反対し、米国の要請も蹴っている小沢民主党がどのように対応するのかね。 日米同盟の集団的自衛権をめぐる議論が国会で中心になることは明らかだね。私:ミサイル問題は、先送りしてきた集団的自衛権の問題を、北朝鮮の核ミサイル問題の発生で、日米間であいまいにできない段階にきたようだね。 この本は、さらにイラク、テロ、核と話題が広がるが、日本の集団的自衛権とは多少離れるね。 しかし、核爆弾で怖いのはイランでなく、核保有国のパキスタンであるというのは確かだね。A氏:パキスタンは政治が不安定だし、隣りではタリバンが復活している。 テロリストが原爆を手に入れる確率が一番高い国というわけだ。私:ところで、この本ではふれていないが、「駆けつけ警護」という第一線での集団的自衛権の問題が先週、起きたね。A氏:「駆けつけ警護」?私:イラクに派遣された自衛隊の佐藤隊長が参議院議員に当選したが、彼のTV談話が放映されて問題になった。 同じサマワにいたオランダ軍が攻撃されたとき、手をこまねいて見て見ぬ振りはできないから、情報収集と称して参加して巻き込まれ、自衛と称して戦うと言っていたね。 これは「駆けつけ警護」といって、憲法上は禁止されているんだが、国際的な付き合いで処罰はやむを得ないと佐藤隊長は覚悟していたというね。 例の有識者会議では「駆けつけ警護」は憲法解釈で違憲でないと変更するらしいね。A氏:イラクのサマワからは無事に自衛隊は帰還したが、集団的自衛権で重大な問題になりそうな憲法違反すれすれの危ない第一線問題を抱えていたんだね。 私:現在、まだ、まだ、集団的自衛権の問題は、現実をふまえて、明快に国民的なコンセンサスを得て解決していないね。 日米関係も「集団的自衛権」をめぐり、憲法改正を含め、大きな試練に直面しているね。 北朝鮮の核ミサイル問題は、はからずも、日米同盟に深刻な影響を与えることになったね。
2007.08.27
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私:マッカーサー大使は当時の「一方的で片務的」な安保条約では、日本が次第に離れて行き、条約の廃棄という事態となるのではないかと考えた。 これは当時、次第に基地反対などの反米ムードや世論がたかまりつつあったことを読んでの上だろうね。 しかし、一方では、アメリカは日本のようなレベルの高い基地が世界戦略上、永続的にほしい。 そこで百八十度の転換となった。A氏:アメリカの方が冷静に現実を見ているようだね。私:これは後の沖縄返還も同様で、沖縄の祖国復帰を求める世論を先取りし、当時のライシャワー駐日大使が本国政府に決断を迫った影響が大きいという。A氏:日本側が日米一体というような「情緒的」なレベルで日米関係を考えているのに対して、アメリカはリアルなパワーポリティクスで現実的な対応をしてきているね。私:集団的自衛権では、共同の敵、あるいは共同の仮想敵国が問題になるね。 日米安保条約で最初に敵と考えていたのはソ連や共産化した中国だろうね。 ところが、これが1972年の「ニクソンショック」で日本の頭越しにアメリカと中国が手を結ぶ。A氏:今も北朝鮮は「悪の枢軸国」としていたアメリカが、次第に姿勢が変わり、日本を残して接近しつつあるようだね。私:ところで、安倍首相が集団自衛権の行使を強く主張するときによく言うことが「日本を守るためにアメリカの若者が血を流すが、今の憲法ではアメリカのために自衛隊は血を流さず、これではイコールパートナーといえない」ということだね。A氏:日本の「ただ乗り」というわけだね。私:ところが、この本によると軍事専門家は安倍首相と違った認識に立っているという。 例えば、江畑謙介氏だね。A氏:あぁ、よく戦争になるとTVに出てくるちょっと異様な人だね。私:多角的な分析の結果、今の日本は太平洋戦争後初めてと言える、米国と対等の立場に立てる安全保障・戦略環境にあるという。 これは江畑氏だけではない。 これもテレビでおなじみの軍事アナリストの小川和久氏は在日米軍とその基地について、次のように言っているという。 まず、神奈川県鶴見や佐世保などの燃料備蓄量はペンタゴン最大のオイルターミナルであること。 佐世保の弾薬庫が地球の半分をエリアに米海軍が置く最大弾薬庫であること。 嘉手納の弾薬庫を管理する米空軍中隊が米軍で最大の弾薬整備中隊であること。 世界最大最強の艦隊である米第七艦隊は日本がその全存在を支えていること、などなど。A氏:そんなに重要な基地があるんだね。私:さらに日本に展開するアメリカの空軍、海軍、海兵隊の航空機のうち、防空任務についているのは1機もなく、在日米軍基地をテロやゲリラの攻撃から守るのは陸上自衛隊であるという。 海上自衛隊は日本のシーレーンを防衛しているだけでなく、補給物資を運び込む米軍のシーレーンをも守っているという。 在日米軍とその基地は、日本の防衛のためにあるのでなく、世界の半分をカバーする米軍の戦略展開のための最大拠点であり、むしろ自衛隊が米軍基地の防衛にあたっているという。A氏:安倍首相流に言うと「日本の若者が在日米軍のために『血を流す』構造になっている」のが安保条約の現実というわけか。私:安倍首相の祖父の岸信介首相は、1960年の国会で「海外派兵はしないが、基地を貸すとか経済援助による集団的自衛権はある」と答弁しているという。A氏:今は、海外派兵はするが武力行使をしないという論理だね。 安倍首相は祖父より一歩進め、集団的自衛権で武力行使もしたいわけかね。私:面白いのは中米コスタリカで、ここは憲法で恒久的な機関としての軍隊は禁止しているが、集団的自衛権をかかげた米州相互援助条約の加盟国だ。 だから、非武装のコスタリカの同盟国に対する集団的自衛権は武力行使以外の方法で行うことになっているという。 明日は、今、問題になっているアメリカに向かって飛んでいる日本上空の北朝鮮ミサイルを撃ち落せるかという問題に移ろう。
2007.08.26
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私:この本は、7月29日の参議院選前の7月20日発行だから、選挙結果は反映していないね。 選挙前は安倍首相の集団的自衛権の解釈変更要請で「有識者懇談会」が開かれていたんで、この本の前半では、その批判が集中的にある。 本の途中から話題の中心が日本の集団的自衛権からちょっと離れ、世界的な視野でのテロ、核開発、イラク戦争などの戦争の問題を扱っているね。 こっちのほうは大体、今までの知識で知っていたのであまり知的な興味は引かなかったね。A氏:集団的自衛権問題は、参議院選の大敗で安倍首相はあまり言わなくなったようだね。 安倍首相の反省すべきは反省するという課題に含まれているのかね。 安倍首相は8月15日の靖国神社参拝は、日本の総理はすべきであると、首相になる前は言っていたのに、ついにしなかったね。 これも反省点かね。 重要な問題でころころ変わるのは問題だね。私:安倍首相は「美しい国へ」の中で、日本は集団的自衛権を行使できて、はじめて日米安保条約において日本は「双務性」を実現し、アメリカと「対等」の関係になるという説明をしているという。A氏:しかし、これは歴代の自民党内閣での解釈や公明党の主張と異なるわけだね。 内閣が変わるたびに憲法の重要問題の解釈がころころ変わるのも問題だね。私:1972年の田中内閣のときの政府見解として、集団的自衛権は「自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力をもって阻止すること」と定義しているという。 そして、国際連合憲章題51条を引用し「国際法上、右の集団的自衛権をわが国が有しているのは主権国家である以上、当然である」としている。 問題は、日本憲法は個別自衛権の行使は認めているが、集団的自衛権は認めていないと解釈できるということだね。A氏:国際法上、集団的自衛権はあるが、日本は憲法の制約で行使できないという制約となっているわけか。 しかし、権利があるというのに、権利を行使できないという理屈はおかしいのではないの?私:国際法上では、それを区別するのは基本常識だそうだね。 この本では例として永世中立をあげている。 他国と同盟を結ぶという権利はあるが、自らは他国と同盟を結ばないという制度を選び、その権利を行使せず、永世中立という制度を自己に義務づけることができる。A氏:安倍首相は、「権利があってそれを使用できない」というのは、「禁治産者と同じだ」という論理だね。 その論理だと永世中立のスイスなどは「禁治産者の国家」ということになってしまうね。私:安倍首相は「美しい国へ」で、1945年にできた国連憲章51条には、国連加盟国には個別的かつ集団的自衛権があるとして、日本にも自然権として個別自衛権同様、集団自衛権を有していると考えるのは当然であるとしているという。A氏:それなら、歴代内閣の解釈が何故、それを否定してきたのかね。私:この本の著者は国連憲章第51条の成立の経緯を詳しく説明して、安倍首相の解釈は条文の字面を表面的にのみ捉えていると批判しているね。 しかし、この憲章での言葉のあいまいさが戦後の歴史で、戦争の大義名分で乱用される原因になったともいう。 その例が1979年のソ連のアフガニスタン侵攻のときに、その侵攻の正当性として、ソ連は第51条を引用し集団的自衛権はこの憲章以前からの自然権のように解釈して侵攻を正当化したという。 ソ連は安倍首相と同じ解釈だったんだね。 ところで興味をひいたのは、日本の集団的自衛権をめぐり、この本で二人のマッカーサーが出ることだね。A氏:もちろん、一人は戦争放棄の日本憲法を作り、集団的自衛権でもめる原因を作ったGHQの司令官のマッカーサー元帥だね。私:ここで1957年に安倍首相の祖父である岸信介首相の登場だね。 日米安保の改正を考える。 このときの駐日米大使がGHQのマッカーサーの甥にあたるマッカーサー2世だね。 彼はその当時の安保条約がアメリカ側の「一方的」な要求内容であるのを改正しようとする。 それまでは、ダレス国務長官は、安保条約をアメリカが日本を防衛することを義務づけるような相互的な条約に改正するには、前提として、まず日本が米国領の防衛に参戦できるように憲法を改正し、集団的自衛権の行使に踏み出さなければならないとしていた。A氏:厳しい要求だね。私:マッカーサー大使の考えは日本の改憲と集団的自衛権行使の課題を「棚上げ」し、その実現を待たず、日本には基地提供義務はあるが、米国には日本防衛義務はないという「一方的で片務的」な条約を改め、米国の日本防衛義務を明確にするという意味での「相互的」なものにすることであった。A氏:ダレスと百八十度転換だね。私:この方針で岸首相の安保改定は進むが、同時に集団的自衛権問題は先送りとなり、現在に至っているわけだね。 明日は、何故、マッカーサー大使はこの転換をしたのかから考えてみよう。
2007.08.25
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A氏:昨日は、午後からヒマがあったんで、久しぶりに高校野球の決勝戦の生中継をじっくり見ることができたよ。 私:俺もあまり外が暑いので、熱中病をおそれ、午後から出かけるのをやめて家でテレビを見ていたよ。 しかし、最初、2対0で広陵が勝っていたんで、これは広陵が勝つなと思い、チャンネルをWOWOWに変えた。 そしたら、「TATARI タタリ」というアメリカのホラー映画をやっていた。 1999年のものだが見たことがない。 これが結構面白いので、つい、見てしまったね。 終わって、NHKにチャンネルを変えたら、4対0で広陵が勝っていたね。 これで広陵が優勝確定と思い、後、8回、9回と2回なので、じっくり広陵の優勝決定シーンを見ようと思った。A氏:俺は最初から見ていたんだが、君はいいところを見たね。 8回は、この試合での最高のシーンがあったからね。私:俺はこの試合は、佐賀北が四球の押出で1点入れたところで、広陵から佐賀北に大きく流れが変わったと思うね。 特に、押出し四球となった最後の球は、低めだったが、ストライクとしても差し支えないほど、きわどかったね。 キャッチャーはボールの判定に意外という動きをしていたし、投手も苦笑いをしていたのがテレビに映ったね。 バッテリーはストライクと思っていたんだろうね。 これで、これまで好投して来た投手に大きな精神的な影響を与えたと思うね。A氏:この直後にホームランが出るんだね。私:あまりスピードがないスライダーのような球が真ん中高めにいったね。 失投のような気がするね。 打った球はレフトに高々とあがる。 この球を追い、満員のレフトスタンドに向かう左翼手の背中がテレビ画面に小さく映る。 しかし、それももうあきらめたのか、ゆっくりとスタンドの方に歩きだしてスタンドを見上げる。 その動作で瞬間、これはホームランだとすぐに思ったね。 満塁逆転ホームランだ。 広陵が勝つと思っていたのに、この一瞬で一挙に消えた。A氏:甲子園の魔物だね。私:9回広陵最後の攻撃で、トップバッターが安打で出る。 ノーアウト一塁だから、これが帰れば、同点になるチャンスは濃厚だね。 まだ、広陵に一縷の望みがあると思ったね。A氏:次のバッターが送りバントをしたとき、大きく前進していた三塁手が塁を大きくあける。 これを走者が見て二塁を回り、一挙に三塁に走る。私:これが成功していれば、一死三塁となるから、まだ、広陵は十分に反撃のチャンスが残っていたね。A氏:急いで帰った三塁手に一塁から送球がいき、三塁に走りこんで来た走者にタッチの差で間に合い、滑り込んでくる走者にあやふくタッチアウト。私:これで一挙に二死走者なしとなり、佐賀北の投手の安定性からして、勝負はあったと思ったね。 最後のバッターは広陵の投手だね。 外角低めに流れる変化球を空振りして三振。 試合は終了した。 その後の閉会式を久しぶりに全部見たね。 連盟会長の講評は面白かったね。 とにかくいい試合を、それも劇的なシーンを生中継で見られてよかったよ。A氏:甲子園の決勝戦での逆転満塁本塁打は史上初だそうだね。私:さすが高校野球だね。 朝青龍でくさくさしていたものが一挙にふっとんだよ。 もっとも朝青龍も「ふてくされ」をやめて通院をはじめたようだがね。
2007.08.23
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A氏:朝青龍問題がまだ続いているね。 昨日の朝日新聞の朝刊でこの問題を扱っているが、よくまとまっているね。 7月22日に名古屋場所終了。 7月25日に全治6週間という診断書をつけて夏巡業の休場届を提出。 ところが親方に知らせず、すでにモンゴルに帰り、同じ25日にサッカーに出ているのをTVが放映。 親方の要請なのか30日にモンゴルから急ぎ帰り、親方とともに理事長に謝罪。 臨時理事会で8月1日に例の厳しい処分発表。 これが今回の問題の前半のストーリー展開だね。私:そして、8月2日より処分に対する朝青龍の「引きこもり」が始まる第2段階となる。 4人ぐらいの精神医が逐次診断するが、ストレス障害とか何とか障害とかいう。 こういう心理的な診断は難しい名前を持ち出すだけだね。 興味あるのは、どの医者にも共通しているのが朝青龍と会話していないということだね。 沈黙ストライキかね。 これだと「第2の仮病」だという見方も出るね。A氏:一説によると、最初はモンゴルの知人には正常に電話していたという。 協会の処分が厳しいので、「ふてくされている」ということなんかね。 「ふてくされている」うちに3週間もたつと本当におかしくなってきたのかね。私:本人が「ふてくされている」のか、本当に「ショック」なのか、その追求もないが、ともかく協会の処分には不服なことは明らかなようだね。 マスコミも、3週間にもなるけれど、この第2段階の精神的な病名、その治療方法、そしてモンゴルとの関係を問題にしているだけだね。 診断書の6週間のケガの治療に行くべきなのにその問題は消えているね。A氏:君のブログでモンゴル人は、「郷に入っては郷に従う」柔軟な民族だというが、どうも疑問になってきたね。私:一方、モンゴルでの報道は重要な事実を伝えていないらしいね。 巡業の重要性とその職場放棄が問題であることにふれていないようだね。 TVで白鳳の父親のインタビューがあったが、ルールを守るべきだとまともだね。 モンゴル相撲の元横綱だが、やはり、何かのルール違反で謹慎処分を受けたことがあるらしいが、ルールだから守ったという。A氏:名古屋場所で医者が診断したとき、MRIやレントゲンをとって、診断したらしいが、力士は多かれ少なかれ、体のケガはつきものだろう。 このくらいのケガでサッカーくらいはできるだろうね。 事実、医者の診断は場所中で、その後、朝青龍は休場しないで優勝しているね。 だから、ケガは事実だろうが、問題は診断書の出し方だね。 暑い夏の巡業を休むというのとセットにした行為が意図的でいやらしいね。 そして涼しいモンゴルに直行して避暑かね。 大臣なら辞任、横綱なら引退ものだね。 理事会の処分は甘いくらいだよ。私:厳しいね。 モンゴルの新聞は朝青龍のケガを足のケガだと書いているそうだね。 腕と腰のケガだから、それも致命的なモンゴルの報道ミスだね。 こういうレベルのジャーナリズムは相手にしても仕方がないのではないね。A氏:日本にいるモンゴル人のジャーナリストのインタビューがTVであったが、戦争中に日本陸軍がモンゴルを攻めたので、モンゴル人は反日的な考えが底にあるという。 だから、今回の朝青龍の問題に敏感なんだという。 こうなるとナンセンスで言い出すときりがないね。 それならなんで、日本の伝統ある相撲の横綱2人がモンゴル出身なのかね。 今、30人を超えるモンゴル力士が日本にいるというが、反日感情が根強いならありえないではないかね。私:それに2人の横綱がモンゴル力士なのは、モンゴルとの国家間の親善のためなのでなく、たまたま、強かったからなっただけだね。 イチローは日米親善のためにアメリカの大リーグに行ったのではないのと同じだね。 原因と結果が逆だよ。A氏:そういう一方的なモンゴル側の誤解に対して、モンゴルとの親善や天然資源のビジネスに影響しないようにとして卑屈に対応する必要はないと思うね。 それは本当の親善にならないと思うね。私:今後の大きな問題は、モンゴルで治療が終わってもどったとすると、巡業放棄をした計画性、処分についての「ふてくされ」について朝青龍がどのように弁明するかだね。 それともこれだけ本人の意志でのだんまりで事態をこじらすと引退声明覚悟なのかね。 先が見えないね。
2007.08.22
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私:アメリカ政治で興味ある指摘は州制度だね。 日本では江戸時代は「藩」という言葉はなく「国」で自治的機能が独立していた。 だから、明治維新で統一政府を作るときは、薩摩の国、長州の国の政治モデルがそのまま使えた。 同じように、アメリカは50の州があるが、州ごとに州政府の官僚機構がある。 カーター、レーガン、クリントン、ブッシュらの大統領は州知事あがりで、自分の州政府スタッフを連れてホワイトハウスに乗り込み、今までの高級官僚を「全部取り替え」る。 大臣が変わっても変わらない日本の官僚制と違うね。 A氏:日本は明治維新で藩を捨てて、中央集権化してそれが今頃になって地方の活性化だと言い出している。私:内田氏は、明治維新のときに坂本竜馬が「じゃあ、うちもアメリカみたいに藩連合、大統領制でいこう」と言っていたら、今頃、もっといい国になっていたんじゃないか、本当に惜しいことをしたと言っているね。A氏:今、道州制が問題になっているね。私:しかし、根はそう単純でないね。 北海道の人口とフィンランドの人口はほぼ同じ。 それなのに、北海道は夕張をかかえているようにフィンランド並みになっていない。A氏:中央におんぶに抱っこのせいだろうね。 しかし、今更、急に地方に独立の知恵を出せと言っても遅いね。 知恵が出る頭に切り替えるには、時間がかかる。 それなのに、小泉改革は無理強いしたので、今度の選挙で地方が反乱して大敗だね。私:明治維新というと、この対談のご両人の福沢諭吉の評価は低いね。A氏:江戸文化を放棄したからかね。私:養老氏は「正解はひとつ」でバカだと思うのが、NHKの「公正・客観・中立な報道をします」というもので、これはありえないという。 たとえば、同じ演劇の舞台でも席によって値段が違う。 NHKのテレビカメラだって、ある座席からの特権的な視点でしかない。 中立・公正ではないね。A氏:個性的な感覚の世界が落ちているんだね。 NHKと自民党政治の関係は人間臭いね。私:感覚は個人的に違うのを、この部分を消してしまって、あたかも中立な視点があるかのように語る。 この加工を戦後続けたために、自殺が増えるようになったという。A氏:誰もが同じ体験をしているとなると「俺が生きていて何の意味があるの?」となるね。 自殺につながる。 「みんなが英語ができるから私も英語ができないと」と自分と同じことをしている人が増えるだけだね。 みんな英語ができるなら「じゃあ、オレはインドネシア語やるよ」となった方が社会全体のためだろうね。 自分が生きる価値もある。私:理系の人は原理原則をきちっときめておかないと不安だという人が多いというが、問題を解決するときに「なんで自分はこの解決案を選んだのか」が問題になり、あいまいなことが増加していくはずだという。 ヨーロッパでは「オープンクエスション」というが、それは「まだ、誰もわかっていませんよ。分かる人は手を挙げていつでも答えてください」というものだそうだ。 こないだ問題になった原発の耐震性の問題など、「オープンクエスション」の問題だね。A氏:「オープンクエスション」か。 日本語に翻訳が難しいね。私:最後に興味をもったのは、アメリカの場合、社会システムが破綻すると「建国の原点に還る」という。 システムを進化させ、成熟させるという発想がないという。A氏:イラク問題でも行き詰ると民主主義の建国の原点が叫ばれる。私:日本のメディアもそういうアメリカ型になっているようだね。 「もう腐っていて使えない、心機一転で一から新しいものを作ろう」だね。 それはシステムが老化したのでなく、成熟していない「幼児」だという発想がないのが問題だとしているね。A氏:なるほど、社会保険庁など官僚制度は腐っているから廃止してゼロから作ろうか? なんで腐ったのか一切わからないのに、対策だけはスラスラ出てくる。 また、失敗することになる可能性が高いね。私:この本は、話題があちこちに飛んでいて、まとまりがないが、頭の体操にはなったね。
2007.08.21
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私:俺は内田樹氏は知らなかったんだが、「下流志向」の著者だということで思い出したよ。 対談という題目だけれど、ほとんど、内田氏の会話が中心だね。 話題はあちこち飛ぶので知的興味を引いたところだけ、話題にしよう。 ところで、君はユダヤ人というのはどういう民族だと思うかね?A氏:ユダヤ教の信者の集団だろう?私:ところが、ユダヤ人というのは国民でもなく、人種でもなく、ユダヤ教徒のことでないという。 定義が困難な言葉だという。 アメリカ人は他民族だが、アメリカ国籍で定義できるが、ユダヤ人は世界的にひろまっているという。 だから、ユダヤの陰謀とか、ユダヤについていろいろ語られているが、その人に「ユダヤ人ってなんですか?」と質問すると答えられないという。A氏:ヨーロッパ人にはなんとなくあるイメージがあるんだろうがね。私:内田氏は逆に、「非ユダヤとは何か」という見方から考えているんだね。 欧米人は、ユダヤ人か非ユダヤ人かに分かれるから、ユダヤ人を論じるときに、中立的な立場に立てないというね。 日本人はそういうシガラミがないから、中立的に論じられるという。A氏:欧米人にとっては、ユダヤ人問題というのは、今の日韓関係や日中関係における日本民族のように何か、不幸な過去を思い出させる永久の存在なのかね。私:アメリカは多くの異質の人が集まっているので、「均質化」が政府の役割になると養老氏はいう。 日韓併合など、日本の植民地政策で悪名高い「創氏改名」はアメリカでも多く、強制か自発的か分からないが、アメリカ人としての規格化圧力は強いんだね。 日本も大和朝廷以前は一種の「アメリカ」だと養老氏は言う。A氏:君の飛鳥知的街道にあるように、渡来人の往来は盛んだったね。私:養老氏は「虫取り」が趣味で日本全国の田舎を歩くんだが、九州では日本語でも標準語が通じないが、対馬は標準語で通じるという。A氏:辺境ではいろいろな交流があるのでインターナショナルなんだね。私:養老氏の小泉さんの解説が面白いね。 彼や石原慎太郎は神奈川県出身だが、国税は100円払うと29円のサービスしかもどらないが、島根県だと400円返ってくる。 神奈川県出の政治家にはその「怨念」があるという。 それに小泉さんの地元は横須賀で海軍基地があるから、それ抜きで小泉さんの対米関係は考えられないという。A氏:なるほど、小泉さんの靖国参拝は対中国や対韓国というより、東京裁判でA級戦犯を名指したアメリカ向けということかね。私:話があちこち飛ぶが、養老氏の「『個性』とは『人を見る目』」というのは興味があるね。 養老氏は個性を内在化したのが間違いで、本来、他人の目にどう映るかということのはずだという。 戦後、「個性」が主張されたら上役がサボり、教師がサボるようになった。 何故なら、「個性」を内在型にしたので自己責任だけになり、上役が部下を見て適性配置する責任も教師の指導責任もなくなったというわけだね。A氏:今、企業ではやりの成果主義は「個性内在論」だね。 トヨタは部下の業績があがらないのは、上司の適性配置の責任が半分ある、として成果主義は認めていないね。私:明日は政治関係の話題に行こう。
2007.08.20
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私:こういう問題はヒートアップしてくると、冷静な事実認識を忘れやすいね。A氏:伊吹文相までも朝青龍を悪者にするのは問題で、日本文化をよく相撲協会は教えてきていなかったのが問題だというようなことを言っていたね。私:今回の発端は、巡業をケガの治療を理由にして休んだことだが、6週間の治療を要するという診断直後にモンゴルに帰り、2日後にはモンゴルではサッカーをしていたということだ。 これは疑いのない事実だね。 どうも、それは別に文化の問題と関係ないように思うんだがね。 6週間の肉体的なケがの治療問題とその後に起きた精神的な病気の問題とは分けて、段階を追って考えないと混乱するね。A氏:まず、第1ステップは「診断書がウソか本当か」という問題だが、レントゲンもMRIもとっての診断らしいから、ウソではないようだね。 そうすると、第2ステップは、「なんで本場所終了後、そんなに急にモンゴルに帰ったのか」ということだね。 ケガの治療にモンゴルは効果的なのかね。 この第2ステップあたりから、事実がはっきりしない。私:第3ステップの問題は「協会に診断書を提出した全治6週間のケガの治療をすべきなのに、何故、サッカーに出たのか」ということだね。 巡業をサボったと疑われても仕方がないね。 ここで巡業の重要性とモンゴルに帰ってサッカーに出たということの重要性のバランスが問題になるね。A氏:横綱は日本の相撲ファンによって高収入を得ている地位なんだから、相撲ファンに対するサービスイベントに参加するのも重要な業務ではないの? 野球でイチローがファンサービスディに参加しないようなものではないの? だから、横綱がイベントに参加するかしないかでファンの喜びも違うだろうね。 歴代横綱では、ケガでも土俵入りを見せるという場合もあったらしいね。 相撲人気も低迷気味だから、本場所以外でのキャンペーンは特に重要だね。私:会社で言えば、重要なポストにいる幹部が、会社の重要な顧客に対するイベントにケガで出席できないとして欠席し、その間、運動して遊んでいたのと同じではないの? 当然、通常の会社なら、なんらかの処罰は下されるね。 それはビジネス一般の問題で相撲文化固有の問題と違うのではないのではないの? それは朝青龍も理解していたのではないの? それが理解できないとなると、相撲協会は日本文化を十分教えなかったのではなく、商売のビジネス倫理を教えなかったのではないのかね。A氏:ほめられない行為があったことは事実ではないのかね。 だから、第4ステップの問題は、犯した行動に対して処分が軽いか重いかの問題だね。 これはほめられない行為をしたかどうかとは別の問題だね。 それが、処分が重くて可哀そうだということで、ほめられない行為まで正当化されそうだね。 朝青龍が処分を受けた後、神経症になったというのは、処分が厳しいというショックからかね。 自分の行動の浅はかさを知ってショックだったのか、相撲協会の処分が厳しいのでショックだったのか、どっちかね。 これが第5ステップの疑問点だね。私:処分が重すぎたのは横綱の品格を傷つけたからでなく、会社では重要な役をしている人ほど、何かに違反した場合は、処罰は重いのは同じで、日本文化独特の問題ではないね。A氏:むしろ、日本文化では上は責任感がうすいと言われているくらいだもんね。 第一、朝青龍は1997年に日本の高校に相撲留学して以来、10年の日本暮らしだから、日本人の考え方はかなり知っているのではないの?私:しかし、皆、外野の伝聞をもとに騒いでいて、本人が「ごめんなさい」なのか、「ごめんなさいだけど、処分に納得がいかない」のか、「ごめんなさいでない」のか、直接の言葉がないからわからないね。 朝青龍が「ごめんなさい。それに処分に心を乱してすみません。協会の処分に従います」と言ったら、モンゴル本土の反日運動は収まりが悪くなるね。 勝利の記録を塗り替えて猛進してきた朝青龍が迎える初の挫折体験だね。 安倍首相の参議院選大敗という初の挫折体験同様にどういう終結を迎えるかね。 二人とも若いから、挫折を次の成功に生かしてほしいね。
2007.08.18
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私:著者は、1995年に「敗戦後論」を書いた加藤典洋氏が主張する「日本人の3百万人の死者への追悼を通じて、アジアの2千万人の死者への謝罪へといたる道が編み出されなければ、私たちの『ねじれ』から回復する道はない」という考えをとりあげているが、それには深く入り込んでいない。 むしろ、問題を絞って、長崎の朝鮮人原爆被害者救済問題について述べているね。 この問題は岡正治という人の物語だね。 岡は1929年生まれで海軍少年通信兵となる。 その後、キリスト教信者になるが、海軍下士官になるという矛盾した行動をする。 広島の原爆でショックを受け、天皇へ戦争終結の直訴をすることを演説する。A氏:軍法会議で銃殺ものだね。私:彼は、無謀な戦いを反省し、牧師の道を選び、長崎に派遣される。 岡は1967年に長崎のある寺に朝鮮人原爆死者153名の遺骨が政府から預けられているのを知る。 これを岡は、「朝鮮が平和に統一されるまで、日本人はあたたかく保管すべきである」としたが、在日朝鮮側が北と南に分かれているのでうまくいかない。 その直後、韓国民団がトラックで寺から遺骨を移動し、最終的に韓国の慰霊塔に埋葬してしまう。 しかし、その後、岡の願いが実り、原爆朝鮮人犠牲者追悼碑が建立される。A氏:朝鮮人原爆犠牲者の扱いは、遅れていたんだね。私:岡は朝鮮人被爆者実態調査を1974年に長崎市議会で要求するが、実際に市が調査したのは1979年で、その数字が少ないとして、岡が更に調査した結果、1982年に、少なくとも1万9391人が被爆、9169人が死亡したことを明らかにする。A氏:原爆投下後、35年たっているね。私:8月9日の長崎の原爆慰霊といえば、TVで放映される平和祈念像の前で行われる式典がイメージされるが、長崎市内では実にさまざまな団体によりさまざまな慰霊が行われているのだという。A氏:原爆慰霊のイメージを市の式典だけに収まるのを拒んでいるのかね。私:爆心地近くであった長崎医科大学では、教官、学生、職員など900名近くが原爆で死亡している。 戦争で医師が足りないために、授業は夏休み返上で行われていたところをやられた。 これらの遺族会は1962年に「動員学徒の原爆犠牲者は国家ら手厚い待遇を受けているのに医大の学生たちは何等の恩典にも浴していない。 せめて靖国神社だけでもお祭りしてほしい」という話が持ち上がり、遺族一同で請願運動を起す。A氏:靖国神社は戦傷病者戦没者遺族等援護法の適用者でないとだめなんだろう?私:粘り強い陳情の結果、1967年に遺族に文部省から見舞金七万円と靖国神社合祀が決定される。A氏:遺族の問題は補償だけでなく、やはり、死者を「犬死」としたくなかったという心情があるのだろうね。私:著者は、結論めいたことは言っていない。 しかし、どのように死者と向き合うべきかは、死者の扱いという操作的な問題なのでなく、われわれの生に対する態度をどのように決めるのかの問題であるとしているね。 原爆慰霊は、われわれが核についてどう対応するかの態度を明確にすることに通ずるわけだね。 そう言えば、長崎の平和式典は1955年頃は「平和宣言」を市長が参列者を背に慰霊に向かって読み上げていたのが、次第に慰霊を背に参列者に向かって読み上げるようになってきたというね。 慰霊の仕方にも生に対するわれわれの態度が関わっているのだね。
2007.08.17
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私:偶然、この本は先週の8月9日の長崎の原爆慰霊の日に読み出したよ。 著者は鹿児島大学助教授の西村明氏で、去年のこのブログで取り上げたのは、靖国問題での昨年の朝日新聞でのインタビューからだね。A氏:君のそのブログだと、著者は今、34才で長崎生まれ、氏の靖国問題は長崎の原爆慰霊の式典についての違和感からだとあるね。 首相の参拝の是非、政教分離の憲法問題、近隣国との外交問題よりも、その前に考えるべきは、死んだ人はどのような人で、どのように生きたかを問うべきだというわけだね。 個々の死者への想像力を戦後社会は欠いていたとしている。 式典がそれをあいまいにしているというわけだ。私:東大の博士論文をベースにした本なんで、専門書だね。 しかし、靖国問題は正面から論じていないね。 だから、抽象的な一般論の部分より、半分くらいを占める長崎の原爆慰霊の具体的経過を書いたところを中心に読んだよ。 220頁くらいある本だが、5千円もするから図書館で借りたよ。A氏:個々の死者への想像力を戦後社会は欠いており、式典がそれをあいまいにしているというが、どういうことかね。私:著者は、戦死者の慰霊を「シズメ(鎮め)」と「フルイ(奮い)」という2面に分けているね。 簡単にいうと靖国問題で言われる「シズメ」は「慰霊」、「フルイ」は「顕彰」の2面性と関係するようだね。 また、慰霊碑などを追悼と和解を含む治癒的な「メモリアル」と、賞賛や記念を示す「モニュメント」と分けている点も同じ発想かね。 ただし、それを戦後の靖国問題に限定しないで、日本史をさかのぼって律令時代からの鎮魂のやり方にまで拡大しているね。A氏:太平洋に残っている日本兵の遺骨を現地で遺族や戦友などが慰霊碑を建てているのはメモリアルだね。私:最初、明治前半期までは戦死者の個人碑が多かったが、日清・日露戦争期からは徐々に戦死者に対して忠魂碑のような記念的なモニュメントが増加してきた。 その裏に、明治18年に戦死者に対する個人碑に対する規制が定められたことが背景にあるという。A氏:モニュメントになると、個々の死を離れ次第に国などの意味づけが関係してくるのだね。 ところで、長崎市は市長が殺されて、今年は新市長が祈念式典での「平和宣言」の原稿を検討する経過をTVでやっていたね。 確か、非核三原則を今年の「平和宣言」から削除するかどうかの検討が行われていたが、安倍首相の政治姿勢から不信論があったようで、逆に、非核三原則の法制化の要求が平和宣言に入ったね。 出席していた安倍首相も耳が痛かったのではないの。私:長崎の原爆死者の慰霊は終戦直後の9月18日に市の主催によって神道形式で行われたが、占領軍の「神道指令」が出てから市による慰霊祭はなくなった。 しかし、遺族は1946年から慰霊祭を行っているという。 このとき、県や市に協力を呼びかけたがタッチできないと断わられた。 市が現在の式典の原型をはじめたのは、1952年の講和条約を締結した独立後となる。 最初は、市民の「シズメ」活動が中心であったが、それが次第に拡大し、国際的な平和祈念式典のとしての平和への「フルイ」の性格を増しているという。 これは原爆死の特殊性を強調するもので、単なる戦争災害でないという主張の表れなんだろうね。A氏:だから、原爆死の慰霊はそのまま、核廃絶運動につながるんだろうね。私:広島と長崎に原爆が投下され、すでに60年以上たつ。 被爆者の高齢化、被爆体験の継承が大きな問題となっている。 そこで2002年に広島に、2003年に長崎に平和祈念館が完成した。 それぞれ40億円くらいかかっているという。 これはメモリアルの要素が多いようだ。 問題は、この施設が被爆者援護法を受けて設立したものであることで、税金の無駄遣いで被爆者の養護ホームが先決だという被爆者の意見があったという。 祈念館は国家補償したくない国の代償措置だという思いは、援護法に「国家補償」の項目を遺族が求めてきたが、国は「一般戦災者との均衡が取れない」として一貫して拒否しているという。 被害者は「原爆による特殊な犠牲となった被爆者は祈念館完成で矛先を収めるわけにいかない」と言っているという。 明日は、朝鮮人被爆者と被爆長崎医科大生の慰霊にふれよう。
2007.08.16
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私:マスコミの安倍首相続投否定論が多いね。 ところが、文藝春秋9月号の巻頭の随筆コラムで長編「ローマ人の物語」の作家の塩野七生氏が「安倍首相擁護論」を書いているね。 しかし、よく読むと内閣短命の不安定を恐れているのが主な理由で、安倍首相個人の政治家としての資質には疑問を呈しているね。A氏:君もちょっと安倍首相の言い訳が明快でないとしているね。私:安倍首相は育ちがよくて挫折体験が少ないようだね。 お坊ちゃん的な感じだね。 挫折経験から学んでいる人は、行動がてきぱきとして早いがね。 大臣の不祥事が多かったがそれは問題でなく、その不祥事に対する首相の行動が甘く、それで統治能力を国民に見抜かれたのかね。 選挙後に赤城農林大臣を更迭したが、まったくドタバタ喜劇のようになってしまったね。 挫折を味わっていない人の典型的な行動かね。 「俺の言うのが正しいのだから、選挙民の反応がどうあろうと、わが道を行く」だね。A氏:俺も文藝春秋を読んだが、安倍首相は塩野氏の好みでないとしているね。 そして不満を3つあげている。 一つ目の不満は「何をやったか」でなく「何かをやってくれそう」ということで国民に訴えるべきだというわけだね。私:安倍首相は選挙で重要法案を国会を延長してでも通したという実績を誇っていたね。 そして「なにをやってくれそう」については「美しい国」「戦後レジームの脱却」と急にあいまいで幻想的・抽象的になるね。 だから2つ目の不満として、塩野氏は「美しい国」の抽象性を批判しているね。 政治家に期待するのは具体的なインフラであって、「政治思想家」でなく、「政治家」であるべきだとしているね。 選挙後に出た経済財政白書では景気拡大が続いているのに、賃金が伸び悩む傾向を分析しているが、安倍首相は失業率が低下したということを選挙中に強調して、賃金低下には関心がないようだったね。A氏:塩野氏の安倍首相に対する3つ目の不満は、直球だけで変化球を投げない点にあるという。 選挙前で防衛大臣の更迭で小池女史が任命されたが、塩野氏なら、民主党の前原議員を一本釣りしたという。私:どこかのTV番組で竹村健一氏が、厚生労働大臣に民主党の長妻議員を選んだらというのと似ていて、選挙前に相手を取り込むサプライズ人事だね。 ところが、最近、防衛大臣の小池女史がまた、人事で問題を起しているね。 赤城大臣のように大臣を代えるごとにまた新しい問題が出るのはどういうことかね。 夏を迎えて、怪談が流行っているが、安倍内閣には何か怨霊でもついているのかね。 いずれにせよ、塩野氏はイタリアという外から見て、日本が衰退の方向に向かっているのを心配しているのだろうね。A氏:大企業がもうけているのは、賃金の高い日本人をリストラして中国などの低賃金の国に仕事を出して人件費を下げ、国内では正社員を減らし、非正社員やワーキングプアなどを使い、これまた、人件費を下げ、外注にコストダウンを強制して、これまた、外注の人件費を下げているからだね。 日本人一般の人の賃金は低下することにより、大企業は空前の利益を上げている。 役員の給与は上昇している。 経営と労働は明確に分離し出したね。私:まだ、町を歩くと選挙ポスターの剥がし忘れがあるが、安倍首相の「成長を実感へ」というポスターをよく見かけるね。 君の言うように、国民の賃金低下の犠牲によって成長し景気拡大が拡大しているなら、これは矛盾だね。 「大企業の成長を一般国民の実感に移す」というなら分かるがね。A氏:選挙中は、安倍首相は、失業率は低下したと強調していたが、「バイク便ライダー」のような安い単純仕事が増えただけなら、失業率は低下するが、賃金は安く「実感」とならないね。 どうもピントがぼけていると思ったよ。私:安倍首相の続投の理由があいまいなせいか、マスコミだけでなく、自民党員でも批判がきびしいが、代わりがすぐに見つからないので具体的な行動にならないね。 確かに、塩野氏がいうように、そこまで、日本の政治リーダーは落ちてしまったのかね。 根が深いね。 まぁ、安倍首相はまだ、若い。 これで、人生ではじめて大きな挫折を体験したのだろうから、これをバネに将来、良い政治家になることを期待したいね。 当座はブッシュ政権同様に崩壊の一途となることは予想されるね。 それにしても外憂内患、困ったことだ。
2007.08.15
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私:暑いね。 札幌では、火災でないのに火災報知機が鳴るトラブルが続出したらしいね。A氏:火災報知機は65度になると鳴るらしいね。 普通は天井裏にあるのでこれが鳴るというのは天井裏が65度になっていたということだね。私:先日、用事で行った会社で数人と打ち合わせしていたんだが、一人の人が携帯電話を持って部屋を出たり入ったりしていた。 そして、帰る頃になって、「すみません。実は、トラブルがあったんです」と言うんだね。 それは銀行のATMだけの店が朝9時になると自動でシャッターが開くんだが、10時過ぎても開かず、警備会社から通報があったというトラブルなんだ。A氏:シャッターが故障かね。私:いろいろ調べたらしいんだが、原因は天井裏の熱の問題だったんだね。 何日か前に、天井の電気配線を変えたんだが、そのとき、端を切断して不要になった電線の裸の端っこを黒いビニールテープでカバーしておいたんだね。A氏:よくやる方法だね。私:ところがこの暑さで、天井裏の温度があがったせいか、このビニールテープが溶けたというんだね。 裸線が垂れて、下にあったモーターのシャフトに垂れたらしい。 朝の9時になってモーターはタイマーで動き出す。 それでシャッターが定時に上がるんだね。 ところが、モーターのシャフトに垂れた電線がからんで、モーターは動かなくなった。A氏:それでシャッターはあがらないというわけだ。私:ビニールテープが溶けるくらいだから、天井裏は相当な温度になっていたんだろうね。A氏:外に散歩に出るのも日中は調子がおかしくなるね。私:そうかといって家ばかりにこもっていると運動不足になるので、クルマでスポーツクラブに行き、そこで軽い運動をして汗をかき、シャワーを浴びているよ。 長期予報で一時、冷夏といっているときがあったが、今年は猛暑の夏となったね。
2007.08.15
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私:介護労働の問題を書いた「働きすぎる若者たち・『自分探し』の果てに」を読んだが、著者はこのバイク便ライダーを書いた本とセットだというので、図書館で借りて読んだよ。 著者は東大大学院の学生で、社会学を専攻しているとのこと。 社会学では調査方法に「参与観察」というのがあり、観察者が非観察者と同じ社会生活をして内部から非観察者の実態を体験しながら観察する方法だという。 著者は、都内の20人くらいのバイク便の会社に一年、時給で入り、体験しながら参与観察で調査した結果をこの本にまとめている。 薄い新書版で、軽いタッチで書いているので半日で読了したね。A氏:どういう搾取があるのかね。私:そういう経済的な話はないね。 新書によくある例の「題名と中身が大きく違う」という本の典型だね。 要するに、バイク便には、時間給と歩合給があること、歩合給のほうが収入が多いが交通渋滞を切り抜けていく運転テクニックがいること、その運転テクニックを誇るあまりワークホリックになりやすいこと、仕事は不安定で将来性がないことなどだね。 雇い主が搾取するということでなく、ワークホリックになるライダーの方が搾取されやすい要因を持っているということだね。 だから、数年くらいしかもたないという。A氏:ケガとか排気ガスでの健康問題があるね。私:ケガや排気ガスでハイをやられてやめる人も出る。基本的に、バイクは自分持ちで個人会社としての請負契約だから、ケガや病気になって入院しても雇った会社からは保険は出ないシステムだね。 しかし、裁判で訴えて労災認定になった例もあるという。A氏:やはり、バイク便には運転技能がいるから若者が必要だろうね。私:著者は世代論をもとに述べているね。 いわゆる1973年から1980年生まれの団塊ジュニアだね。 大学受験には激しい競争があり、大学を出たときは就職氷河期を迎える世代だね。 正規の就職ができずに、バイク便ライダーを選んだ若者が多かったかもしれないね。 経営者もこの若者層を狙うね。A氏:しかし、バイクが趣味として好きで選んだ職業なのかもしれないね。私:趣味で終わればいいが、社会人としての将来性は問題だね。 村上龍氏の「13歳のハローワーク」で「乗り物が好き」の欄に「バイク便ライダー」が紹介されているという。 著者は、これを読んだ13歳の子がバイク便ライダーを目指すようになったとき、村上氏はどのように責任をとるのかと批判しているね。 長時間労働、生涯年収や職業の不安定性、将来の不安定性も同時に書き添えておくべきだという。 職業選択には夢とともにリスクもあることを考え合わせる思考力が必要だという。A氏:当然だろうね。 「バイク便ライダー」は一種のワーキングプアになりそうな職業だもね。私:この本では書かれていないが、「バイク便」とは社会的にどのようなに顧客の業務上の必要性があるのだろうか。A氏:そうだね。 このインターネットの時代にどういう便利さがあるのだろうか。 宅配便」との違いはどこにあるのだろうか。私:「バイク便」の市場性、コスト、経営層が搾取する利益などに興味があるのだが、それを分析していないので掘り下げが浅い気がするね。 もっともそれは経済学の分野で社会学の分野でないのかもしれないが。
2007.08.14
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私:6日、7日と福島まで用事で一泊で往復した。 その車中と宿先で、この本を読了したね。 7日夕方に家に帰ったら、NHKで関口知宏の中国鉄道大紀行をやっているのをチラッと見た。 青々と広がる田園地帯の四川省で、とある農家に立ち寄るが家には老婆と子どもたちしかいない。 親夫婦は出稼ぎで留守だという。 TVはさらりとふれているが、実はこの本はその出稼ぎ問題を詳細に触れた本で、中国の「資本主義」がよく分かるね。 A氏:俺もそのTVは見たよ。 ところで、中国は本来、労働者が主権を握る平等な社会主義国なのに、資本主義国以上のすごい格差があるそうだね。私:中国は農民籍と都会籍があり、農村から都会に流れると、不利な状況になるんだね。 これはインドのカーストのように生まれついての格差だね。 都会人は出稼ぎの彼らを「農民工」と呼ぶがこの本では「民工」と呼んでいる。 そして、「民工」は低賃金、長時間労働、公害などひどい生活環境、社会保障の薄い一種のワーキングプアとなる。 その数は1994年に六千万人、1999年には八千二百万人、2000年には八千八百四十万人、2003年に一億千四百万人となり、億を越えた。 この本は2004年発行だが、訳者あとがきによると、現在では「民工」は2億人を超すという。 日本やアメリカのワーキングプアの数など、ふっとんでしまうね。 著者は香港にいるジャーナリストだが、丹念なインタビューや新聞記事、統計で「民工」の生々しい問題点を広く扱っているね。A氏:よく、こういう本が中国で出版を許可されたね。私:2004年に「中国農民調査」という本が発禁になっているが、この本も発禁されるのではないかと危ぶんだが、その恐れはなくなったという。 中国では「最も売れている本の一冊」だというね。 「民工」は今、北京オリンピックや上海博覧会などの建設工事、それに伴うビルラッシュ、さらには安い工業製品の製造など、都会の3K(キタナイ、キツイ、キケン)作業をする底辺の労働者層として不可欠なものになっているという。A氏:こないだ、デマだったけれどダンボール肉マンのニュースがあったけれど、中国の食品はこのようなことが事実としてありえるだろうね。私:特に「民工」の食事はボスの関係会社が提供するので、その会社が利益を上げるために安い食事を提供する。 そのため、非常に不衛生だそうだね。 寝るところもひどい施設内での雑居だね。 賃金不払いも多い。 そして、病気になったら大変だね。 保険が出稼ぎの場合、高くなる。 あるいは保険料を嫌って、雇う方がもぐりで雇う。 これは日本のワーキングプアと同じだね。A氏:夫婦や子供連れで農村から来る場合もあるだろう?私:「民工」は子どもに苦労させたくないから、子どもの教育には熱心だが、これが都会人よりカネがかかる。 それに都会人の子どもと一緒に教育を受けるといじめにあいやすい。 「民工」主体の学校もあるらしいが、学校格差となるね。A氏:関口知宏の中国鉄道大紀行では四川省の豊かな農地を撮影していたが、子どもたちの親夫婦が出稼ぎだと、農業は誰がやるの?私:それが問題だね。 年寄りに任せているからだね。 日本と同じで農業は荒廃の危機に直面しているという。 それに若者や若い夫婦も一旦都会の生活になれると、農村のもっと貧しい生活にもどりたくなくなる。 「民工」の独身の若者も未婚者が増える。 逆に離婚も増えている。 そして、さらに問題なのは「留守家庭児童」のだという。A氏:「留守家庭児童」?私:関口知宏の中国鉄道大紀行で四川省のある農家を訪れるシーンで数人の子どもたちが集まってきているね。 親は長い出稼ぎいないから、子どもの養育は祖父や祖母や親戚がみることになるが、十分にみられない。 これらの児童を「留守家庭児童」というのだそうだ。 放任されるので少年犯罪の多くは、これらの「留守家庭児童」が占めるという。 すでに一千万人の「留守家庭児童」がいるという。A氏:中国政府も手を打っているんだろうね。私:手を打っているが、対処療法的な感じがするね。 今の中国の本当の実態を知るにはいい本だね。 しかし、市場原理主義はこわいね。 社会主義国のベトナムまでコーヒーでやられた。 最近の新聞ニュースではカンボジャもやられた。 社会主義国の中国まで、この10年くらいの間に2億人のワーキングプアと格差を作り出したんだからね。A氏:大きな環境破壊まで作り出したね。私:やはり、軍事大国になるとしかたがないのかね。 原爆開発で何千万人という餓死者を出したと言われたのと同じようにね。
2007.08.08
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私:フィンランドは国際的な学力テストでトップを占めているし、一方、経済的な国際的な競争力評価でもトップを占めているね。 市場原理主義的な国家運営と逆を行っているね。 税金が高いが生活は豊かだね。 これは国民の選択だね。A氏:国土は広いが、人口は日本の北海道なみだから、日本のモデルにならないという人もいるね。私:問題は中味だね。 驚いたのは、義務教育では授業の単位は45分だということだね。 これは、有名な藤原和田中学校長の改善例と同じだね。 藤原校長の和田中学は1コマ50分から45分にして効率を13パーセントあげた。 しかし、その工夫を真似した学校が同じ杉並区に1校もないという。 ましてや、フィンランドから学ぶ学校は少ないのではないの? やはり、学校の競争は必要かね。A氏:頭からフィンランドは小国だからとか、違って点だけあげて中味を見ないとこうなるね。私:この本は、官僚的な書き方でジャーナリストが書いた本でないからちょっと、硬いね。 しかし、バランスよくフィンランドの実情を知ることはできるだろうね。 フィンランドの教育重視の長年の結果が出てきたということかね。 学校制度は基本的に日本とほとんど変わらないがね。A氏:何が違うのだろうかね?私:1980年代から1990年代にかけて「教えること」から「学ぶこと」へ変化したことが大きいとあるので、日本でいう「ゆとり教育」みたいなことの導入かね。 しかし、1970年代にはヨーロッパで自由教育が始まったけれども、それはすぐに衰退したというから、極端な自由教育ではないようだね。 それから、きわめて当たり前のことかもしれないないが、まず、教師に優秀な人を当てているようだね。 教員養成がポイントになっているようだ。 残念ながら、給与が高いのかどうか書いてないね。A氏:政府の教育予算はどうなの?私:教育省所管予算は国家予算の16パーセント以上で増加中という。 日本の数字が手元にないので比較できないが多いのだろうね。 給食費も無料だね。A氏:いじめや学校間格差などはあるの?私:いじめ対策のことが書いてあったり、地方の学校格差問題もふれたりしているので、解決すべき問題はあるようだね。 理想郷ではないが、カネやヒトの面での国の支援が大きいことは感ずるね。A氏:日本でいう道徳なんかはどうやって教えているのかね。私:義務教育のカリキュラムを見ると道徳のようなものはないね。 歴史や宗教はあるがね。 家族構成がどうなっているか分からないが、子どもの父母だけでなく、祖父母との関連もふれているので、徳育は家庭や地域コミュニティが中心なのではないかね。 今の祖父母や両親時代の教育への強い関心が歴史的な背景にあるようだね。 しかし、成長する大都市への人口流入によって、その地域コミュニティも変化してきているという。A氏:結構、いろいろな問題を抱えているんだね。 私:フィンランドではIT教育は強化しているようだね。 携帯電話は一人一台だという。 ノキアがあるせいかね。 これが経済的な繁栄の基礎になっているようだね。 これから、フィンランドが経済のグローバル化に対して、教育強化を武器にどのような対応をしていくのか、興味ある問題だね。
2007.08.07
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私:以前、TVのサンディープロジェクトを見ていたら、田原総一郎がちらりと本も見せ、「リクルート事件は冤罪で、それを書いた。検察に睨まれるかもしれない」と言っていたので、興味を持って図書館で予約した。 順番がきたので借りて読んだよ。A氏:竹下内閣が総辞職にまで追い込まれた事件だね。 たしか、リクルートの子会社のリクルートコスモスの未公開株を融資までつけて買わせて譲渡し、公開後、値上がりしたので売り抜け、かなりの現金が譲渡先にわたったと同じことになったんだね。 政財界の大物、数十人が関係していたね。私:未公開株を親しい人に譲渡するということは、当時はよく行われていな慣習だから、譲渡したリクルートの江副浩正氏の方は罪悪感がなかったようだね。 田原氏はそれを強調するね。 この本は、リクルート事件そのものは当然だが、竹下登氏が総理になるまでの経緯も含めて背景を書いた部分が多いね。A氏:江副氏は、就職情報誌という新しい分野で事業を拡大するね。 いわゆるベンチャーだね。私:しかし、旧来産業のトップで占める財界では低く見られたので、不動産に乗り出すね。 これがまた、成功する。A氏:田原氏はなんで冤罪とみたのかね。私:要するに、体力も精神力も弱い江副氏は検察のすごい自白の強要でウソの供述をすることになるというわけだね。A氏:ピンタこそないが、日本軍と同じような正常人の思考力を失わせる言葉や行動強制の暴力かね。 例の九州にあった選挙違反の十何人かの冤罪事件のときの、自白強要と同じだね。私:田原氏は、ロッキード事件の田中角栄も冤罪だという本を書いているね。 いずれも「国策捜査」だというね。A氏:最近では外務省にいて逮捕された佐藤優氏の「国策捜査」があるね。私:マスコミは検察の発表をもとに、強烈な江副氏や政治家の非難を展開する。 もっとも、その前に、すでにリクルートはマスコミにとっては、虚業の異端児として批判的に報じられていた。A氏:その点、20年後に現れたベンチャーのホリエモンと逆だね。 ホリエモンはマスコミから持ち上げられたからね。 しかし、ホリエモンも旧財界から低く見られていたの、プロ野球などに乗り出すね。 その点は似ているね。私:20年後に、田原氏が生きていれば、また、ホリエモン冤罪の本をだすかもね。 しかし、腹心に裏切られたホリエモンと違うのは江副氏のリクルートの経営は従業員の自主性を重んじたもので、江副氏退陣後、多くの優秀な人材を出しているね。 驚いたのは、革新的な教育をしている東京杉並の和田中学校校長の藤原氏は、江副氏リクルートの出身なんだね。 藤原氏はリクルート経営の本も出している。 そして、リクルートは今も健在だね。
2007.08.05
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私:新潟県中越沖地震で東電の柏崎原発で、その後、ボロボロいろんな問題が出でくるね。 地震直後に社長だかと思うが、記者会見で「設計の想定外の強い地震が来た」と言っていたね。 これはナンセンスな発言だね。 ホリエモンの「想定内」という言葉が一時流行語になったが、それの悪乗りだよ。 常識で考えても地震という天災は想定内でくることはありえないものだよ。 「想定内」という言葉を使う裏には、この地震国日本で「地震を恐れないで、想定内で抑えられる」という発想があるね。 このおごった発想はどこからきたのかね。 どうして原子力発電のトップというのは基本的な原発という危険設備の経営音痴なのかね。A氏:だって、発電所の設計にはある程度の地震強度に耐えうる数字を設定しないと設計できないだろう?私:それは当り前だよ。 だから、一応の強度で持つように設計するが、紙の上の計算なので不安がある。 そこで、自動車の設計ではテスト車を作って、破壊試験を行い、確認する。 これを製造業では「試作」と言うんだが、設計という頭の中で決めるのは不安だからやるんだよ。 しかし、原発の場合は、地震テストはできないから、更に大きい不安が残る。 だから、設計段階で地盤の問題などは専門家の意見をよく聞いたりするはずだね。A氏:今頃になって、地盤調査が不十分であったということが出ているね。 「想定内が可能」というおごりと裏腹かね。私:以前、住民に対する説明会で、作業服を着た住民側から「新潟は地震が多いから地盤調査は問題ないか?」という質問に対して「十分調べております。信じてください」という背広を着た頭のよさそうな東電の代表者が言っていたやり取りがテレビで放映していたようだが、これは理論的にウソだね。 今回、それが出たね。 正直に言えば「まだ、地盤構造の正確な構造は誰もわかっていませんよ。分かる人は手を挙げていつでも答えてください」だね。A氏:でも、それでは抵抗が多くて原発はできないよ。 「絶対安全神話」論争だね。 でも、現実に原発はできてしまった。私:だから、大きな不安を抱えて操業するのだから、小さなことでも予防体制をして、後は「人事を尽くして天命を待つ」べきだよ。 最初に起きた変電所の火事の対応などをみると、「想定内の地震に対して安心だ」という不安感の欠如が管理側にあるのがわかるね。 人事を尽くしていないみたいだね。A氏:なるほど、そして問題が出れば、「想定外だ」と平気で言って、責任を避けようとする。 変圧器の火災消化の遅れと「想定外」はつながっているようだね。 記者会見で「地震というのは想定内で来るものですか?」と記者は質問すべきだったね。 君は、例の9.11のアメリカの同時多発テロのとき、ツインタワーの1回目のビルの突入時、別のビルにいたモーガンスタンレーという会社の社員約三千名が避難を開始して、2回目の突入の間に全員避難して無事だったという記事をこのブログに書いているね。 同社の社長が常日頃、避難訓練をしていたのが実ったという。 避難訓練をしていたときは、社長は他社の笑いものになっていたが、9.11以降、社長はヒーローになったという。私:しかも、別にオフイスもあって、そのオフイスに移動して、日常業務は支障なく行ったというね。 この社長には「テロは想定内」だったのよ。 他の社長には「想定外」だったのよ。 こういう危機管理能力のある社長が日本の原発のトップにほしいね。
2007.08.04
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私:ガンの告知で日米間の差があると言われ、その原因に日本での医者と患者の関係が相互の「甘え」に基づくからだという説明がある。 欧米流の明文化された契約関係ではなくある種の共同体的な共感関係にあるからだという説もある。 この説明に著者は疑問を持っているね。 まず、ヨーロッパとアメリカではがん告知への態度は非常に異なっていたという。 1980年代まではフランス、スペイン、イタリアなどは、日本同様、本人の告知をしないことは稀ではなかったという。A氏:アメリカは違うのかね?私:ところが、アメリカでもガンの本人告知が当然視されるのは1970年代で、それ以前は医師の88パーセントが末期がんの患者には告知しないと回答しているという。 それが1979年の同じ調査では逆に98パーセントが告知すると回答しているという。A氏:何故だろうね?私:明確な説明がないが、医療訴訟の増大に伴なう医師側の防衛戦略ではないかという見方もあるという。A氏:情報を患者に与えないと患者の生き方の選択権を奪ったとして訴訟を起されるかもしれないからかね。 結局、裏はカネかね。私:ガンに対する恐怖は日本独自のものでなく、恐れは時代や医学の変化に伴なって移り変わっていくという。 ガンに対する恐怖というのは、その性質である不治で致命的であるとか、治療法が苦痛を伴なうとか、死亡者数が多いとかいうためだというが、著者はこれも異論を唱えているね。 それは、他の病でもあることだからだ。 これとは別に、ガンに対しては他の病気と異なる何か抽象的な恐怖のイメージがあるという。A氏:たしかに、「政治と金の問題は議会政治のガンである」とかいう言い方を日常われわれはしているからね。私:著者はストレスという表現にも疑問点を提起しているね。A氏:健康問題でストレスが原因だとか、ストレスを避けるべきだというのが多いが、このストレスは抽象的であいまいだね。 それに健康にはある程度のストレスが必要だとなると程度が分からないね。私:だから、逆にストレスに弱い人、強い人というあいまいな格差が生まれるね。 ストレスの弱いのは自己責任となるね。 人間は心の持ち方しだいで何でもコントロールできるはずなのに、それをしようとしない自分自身にこそ、病気の責任があるのだという非難につながるね。A氏:以前、アメリカで肥満体の人は管理職になれないというのがあったね。 体重の自己コントロールが自己責任でできない人は、管理の仕事も満足にできないという評価だね。 最近はやりのメタボリック症候群というのも似ているね。私:努力目標にはなるが、場合によっては人間のランク付けに使われるかもね。 この本の題名は「病」だが、実は、知的街道では格差社会、経済のグローバル化に位置する本だね。 まだ、まだ、納豆パニックと似たような社会現象は多発するだろうね。
2007.08.03
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A氏:今回の参議院選でエイズ患者の川田龍平さんが東京地方区で当選したけれど、昨日のブログのエイズ問題でも政治とは深い関係にあるんだね。 ヤンキー先生の当選と深さが違うね。 ところでこの本のサブタイトルにある「生権力」とはどういう意味?私:封建社会の君主権力は、従わない者は殺す、という死によって脅迫する権限だね。 すなわち、「生殺与奪の権力(死の権力)」だね。 これに対して、17世紀後半以降の西洋での近代社会で行使されている「生権力」とは、「人間の生命に配慮し、人間を有用かつ従順な存在として生きさせようとする政治権力」だという。 資本主義システム存続の前提となるという。 この考えから18世紀の近代国家で人口という考えが登場するという。A氏:なるほど、「国民は健康な生活習慣の重要性に対する関心と理解を深め、生涯にわたって、自らの健康状態を自覚するとともに、健康の増進につとめなければならない」と「健康増進法」第二条にあるね。 罰則はないけれどね。私:これとネットカフエ難民やワーキングプアとダブらせると健康問題という本来純粋な医学的な問題が政治問題になってくるね。 ところで、この健康増進法は誰のための法律なのかね? ネットカフエ難民のものではないね。 ナチス時代には、ドイツでは反タバコ運動、アスベストや農薬、食品着色料の規制が積極的に取り組まれたという。A氏:単に戦争と「ユダヤ人」虐殺に明け暮れた特殊な過去の時代ではなく、現代とも通じているわけか。私:ところで今、ヒトES細胞の研究が問題になっているね。A氏:例の韓国の大学教授でヒトES細胞の論文でノーベル賞をもらえそうだという人が、実は論文が嘘だということで失脚したことがあったね。私:ヒトES細胞は受精卵に始まるヒト胚発生の初期段階で、細胞塊を採取して培養した細胞の系列のことだそうだ。 これが脚光を浴びているのは、この細胞が持つ次の2つの特徴があるからだという。 その1つは、適当な条件で培養すれば無限に近い増殖能力を持っていて不死であることだね。 もう1つは、未分化の細胞なので適当な条件に置かれればどんな細胞にも変化可能だということだね。A氏:それはすごい先端的な医学的な研究だね。 しかし、これが政治的な影響を受けるの?私:問題はこれが妊娠中絶と関係するんだね。 ヒトES細胞の最初の1個は胎盤胞から採取しなくてはならないので胎児を犠牲にすることになるからだね。 どこから、ヒト(胎児)として認めるかだね。 特にアメリカでは妊娠中絶は宗教的な問題とともに政治的な問題でもあるね。 アメリカのキリスト教団体は受精した時点で胎児と考えている。 だから、ブッシュ大統領はキリスト教団体の支援があるので新しいヒトES細胞の研究の助成金は禁止しているという。 しかし、逆に民間の研究は自由だね。A氏:それは日本で問題になっている「脳死」と同じで、どこから「死」になるかだね。 「脳死」問題は臓器移植に関係しているね。 「脳死」を死として認められれば、他の臓器を移植できるからだね。 だから、人の死はどこからかという問題となるね。私:これについて、著者は変わった視点を提供しているね。 人の死が人間の全体性、さらに社会的関係の問題で、単なる脳という臓器の問題でないと考えると、脳死患者に人工的な脳や別人の脳と交換可能だと言えるというわけだね。 「脳死」患者をそのまま看取るのは脳交換という「治療」の放棄となる。A氏:人体の脳を含むあらゆる臓器が交換可能と考えると、臓器移植が可能となる条件は少なくとも一つは臓器が他の人に使える資源となることだね。 臓器資源だね。私:この視点から見るとインドやパキスタンの低所得者、アルゼンチンの「精神病者」、アパルトヘイト体制下での南アフリカの有色人種、米国での無脳症児、中国での死刑囚などは「脳死」以前にすでに「脳死」と同様な「臓器資源」と位置づけられるのも驚くことではないとしているね。 明日は、最後にガン告知とストレス問題にふれよう。
2007.08.02
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私:ところで、エイズとHIVとの違いだが、エイズはそれ特有の症候群を意味し、HIVはウイルスを意味する。 だから、エイズ症状を起こしているからとって、HIVウイルスを持っていないということがあるね。 1990年代に、HIVに感染したためのエイズ症状やその進行をある程度コントロールする「カクテル療法」が開発され、不治の病が慢性病として扱われるようになる。 問題はその費用だね。 「カクテル療法」には、3種類の抗エイズ薬を使うが、これらの薬品の価格が3年で12000ドルから350ドルになったという。 これなら1日1ドルだから経済的に貧しい国でも購入できる。A氏:高血圧や糖尿病と同じレベルになったのかね。 生産力増加とか技術革新によるコストダウンがあったのかね?私:そうではないのだね。 1994年、南アフリカでマンデラが大統領になる。 エイズは成人の有病率が20パーセントというこの国の健康危機となっていた。 そこでマンデラ大統領はいわゆるジェネリック薬品の使用を奨励し、輸入医薬品の価格を下げるための法律を成立させ、政府の権限による医薬品の並行輸入、医薬品生産の特許の強制許諾権を認めるようにした。A氏:ジェネリックは日本でもテレビコマーシャルでやっているから分かるが、強制許諾権というのは何かね?私:特許権所有者の許諾を得ないで、第三者に特許を実施する権限を与えることだね。 高価格のブランド医薬品を輸入するのでなく、国家が特許の実施権を国内製薬企業に与えて国内生産を奨励して低価格にするわけだね。、A氏:医薬品の輸出が多いアメリカは反対だろうね。私:当時、アメリカはクリントン大統領だが、1997年からアメリカの医薬品業界を守るためにマンデラに政治的圧力をかける。 この法律を憲法違反として南アフリカ共和国内の製薬会社41社が提訴した。 欧米の多国籍企業を本社に持っていたからね。 ところが2001年に製薬業者が告訴を取り下げる。A氏:何故?私:裁判所が製薬会社に製品の販売価格設定を含む業務方針を公開するように命じたことと、インドの製薬会社が欧米のカクテル療法の1万ドル以上のブランド医薬品を350ドルで提供可能と発表したからだという。 しかし、この背景にはアメリカ政府やWTOの市場原理主義的な動きを批判するオルターグローバリゼーション運動やNPO運動の影響もあるのではという。A氏:自由貿易を標榜するWTOがなんで医薬品にからむんだね。私:知的所有権と国際貿易が密接にからむのは1980年代初期だといわれる。 日本の日立や三菱電機がIBMの新型コンピュータの機密情報をスパイ行為で入手したという問題が出た。 これに関連して、アメリカで発明が合法的に海外に持ち出されているという問題が提起された。 こういう世論の傾向を受け、1981年のレーガン政権では知的所有権重視の対外政策の方向へと舵を切り始める。A氏:WTOは冷戦終結後にアメリカ主導で作られているね。私:だから、WTOの特徴は物品の貿易だけでなく、当時のアメリカ産業の強い要望に基づいて、サービス貿易、知的所有権問題も貿易問題の一部にしたことだね。 もともと、特許はある独占を認めるわけだから、自由貿易と反する面があるね。 だから、知的所有権に基づいて国内独占し、その特権を国際ルールとするとライバルを世界市場から駆逐するという「新しい保護主義」「攻撃的な保護主義」となり易い。A氏:バイオ特許や遺伝子特許という問題も経済問題だけですまないかもね。 食品や医薬品のような人間の生命という公共の利益に直接関わることについて市場原理主義的な知的所有権という考えがなじまないかもね。 コンピュータの基本ソフトもそうだね。 フィンランドは、基本ソフトを開発しても公共性があるので無料公開だという。 ウンドウズで大儲けしたビル・ゲイツのアメリカと逆だね。私:どこまでが経済合理性の基準で決定すべきか、それにはどういう人が決定に参加すべきか、それが特に人の生命と関係していると市場原理主義一本では医薬品や医術は、このエイズ薬問題のように世界を幸福にしないだろうね。
2007.08.01
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A氏:無事、帰ってなによりだね。 楽しみにしていた対話が復活だね。私:この本は新しく知的興味をそそられた内容があるね。 ところで、今、健康ブームだね。 「健康増進法」という法律までできたが、古典的な自由主義からすれば、健康と病気という身体のプライバシーに関することに、国家が法律を楯に介入するのは異常だとも言えるね。A氏:それは健康保険制度からきているのではないの? 長寿で寝たきり老人が増加すると保険負担が増大するからね。私:著者は別な見方をする。 病気は恐ろしいだけでなく、個人の健康増進への努力によって予防することができるものとなる。A氏:健康とは正しい選択の結果であり、病気は健康への義務を怠った自己責任だということになるかね。 俺が寝たきりの老人になったとすれば、俺の健康への義務を怠った自己責任かね。 冷たいね。 例の「納豆ダイエット」でスーパーから納豆が一挙に消えた背景にグローバル化してきている新自由主義があるという記事の紹介があったね。私:この著者は健康を勝ち組と負け組みに重ね合わせる発想が、格差社会を積極的に肯定する新自由主義(市場原理主義)と共鳴することは明らかだ、としているね。 そして、この本はいかなる既存の学問分野に分類できず、健康増進に役に立たず、病的な主張をする議論をしていると言われれば、過分の幸せだと言っているね。A氏:そういえば、2002年から2003年にかけて、グローバル化した世界の中で新型肺炎SARSが世界中を大騒ぎさせたね。 その後、消えてしまったが、あの騒ぎは一体なんだったのかね?私:実は、このパニックを起していた2002年から2003年には「SARS患者」は存在せず、WHOの定義も症状なんだね。 目的は科学的研究よりも「感染症」の社会的拡大のコントロールだね。A氏:その健康に対する恐怖を共有化することにより、政治的に疑わしきは隔離し、検疫するという権力が発生するわけか。私:生物医学的にSARSの原因がSARSコロナウィルスによるものであることは後でわかる。 日本ではSARSの疑いがあったものは52名だが、SARSコロナウィルスをもっていた者はゼロだったという。A氏:要するに、SARS症状を呈しており、かつ、SARSコロナウィルス感染症にかかっている者はゼロということか。私:そしてSARSの検疫で使われた国際空港で人の体温というプライバシー情報を、人体に触れず、可視化するサーモグラフィーを使用したように、身体を監視する技術の向上だね。 昔の隔離は集団だったが、今は個人や家族に焦点があってきているね。 そして、これらの実施は政治性を伴うというわけだね。 これは人の間の感染だが、鳥インフルエンザもグローバル現象だね。A氏:住居を消毒され、定期的に抗体検査を受け、ワクチンを接種されて健康を保つニワトリは人間みたいになって、境界があいまいになったね。私:著者は、人間と動物の境界で人並みに動物が扱われる反面、サハラ以南のアフリカ、世界各地の難民キャンプ、大都市のスラム街などの人がかかっている「旧い」感染症は先端的な科学的研究の対象となることも国際関係論や外交問題に登場しないという。 未来の新しい感染症の恐怖を強調することは、足元の「余分な人間」を見ないようにすることにつながるかもしれないね。A氏:感染症のグローバルの格差かね。私:ところでエイズ治療に効果的な「カクテル療法」というのがあるそうだが、これに使う1年分の薬品の価格が1998年には12000ドルだったのが、その後、急落して2001年にはおよそ350ドルになったというね。A氏:エッ、そんなことがあったの?私:実は、これには市場原理主義経済とその反対活動が世界的にからんでいるんだね。 明日はその話題に移ろう。
2007.07.31
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旅先のB氏:マスコミの予想通り、自民党が負けたね。 君のブログを見たが君の予想通り、大敗にかかわらず、安倍首相は続投だね。私:選挙中は、「私を選ぶか、小沢を選ぶか」ということを言っていたらしいが、それなら、政権選択選挙となり、首相辞任とつながりそうだが、これも選挙中は言わなくなったようだね。 ところで、君は岡山県だが、自民党の参議院幹事長の片山氏が落選したのには驚いたね。 いつもゆうゆうと当選なんだろう?旅先のB氏:そうなんだね。 県会議員も押さえてきたようだしね。 しかし、今回は岡山での平沼さんの支援を得られなかったという説もあるらしいね。 平沼さんの恨みがあったのだろうか。私:しかし、国民の怒りの割りに投票率が低い感じだね。旅先のB氏:俺たちは夫婦二人きりの年金暮らしだが、俺は投票したが、女房は棄権したよ。 女房は大の片山氏嫌いで、すれすれの戦いでも片山氏が当選すると思っていたらしい。 だから、投票しても意味がないと思っていたようだね。 だから、片山氏が落選したという速報を聞いたときは、バンザイしていたね。 投票しても「山は崩れない」と思い、棄権した人も多いのではないかね。私:国民が怒っていると言ってもこの程度の投票率で、国政が大変化するんだから、本当に無党派層が積極的に選挙に加わったら、大変なことになると予想されるね。 自民党も野党の提案を強引に拒否できないことになって、国会を延長してまで通した法案も見直しだね。 俺は明日は旅を終えて帰るよ。 君は地方だが頑張ってくれよ。
2007.07.30
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旅先のB氏:7月25日の朝日新聞朝刊の文芸時評欄は加藤典洋氏が書いていたが、何気なく読んでいたら、日本海軍の「爆沈」事故のことが出ていたね。私:俺も読んだが、加藤氏は丸山才一氏の「袖のボタン」という本の書評で書いているんだね。 この丸山氏の本は朝日新聞の連載コラム「袖のボタン」がそのまま、単行本になったもので、加藤氏は連載当時に、ある記事を読んで目にとめるようになったという。旅先のB氏:それが日本海軍の「爆沈」事故が世界有数であったこと。 そして、日本海軍の私的制裁の「ひどさに対する水兵の道連れ自殺」によるところが大きいという丸山氏の記事なんだね。 ピンタなどの制裁で、これは日本陸軍でも有名で、山本七平氏が詳しく書いているね。 「キサマら反省がナイッ、ナラベッ---(整列、ピンタ)---ワカッタカ」 「ハイ」 「ハイですむか反省シロ」 「ハイ自分は---」 「反省がタリン!」 「ハイ、自分は---」 「マダワカランノカッ」 「ハイッ」 私的制裁で人間らしさを失うわけだね。 日本では海軍も同じだったんだね。私:そしてそれは戦争中だけの話でなく、近年の自衛官の自殺者数の増加と話が続き、旧日本軍の悪弊がいまなお自衛隊内で是正されていないとあるという。旅先のB氏:加藤氏は、丸山氏が海上自衛隊のいじめ事件にふれて書かれているが、その視野の広さ、深さに目を奪われたと言っているね。私:もっと広げると戦争中の日本軍の占領住民への突発的ないじめ、ピンタ、暴行、虐殺につながるのではないかね。旅先のB氏:もっと広さを戦後の企業に広げるとJR西日本の「日勤教育」の例があるね。 ピンタはなくなったが、精神的な屈辱感を与える。 宝塚線の脱線大事故は見方によっては屈辱感に満ちた笠原運転手の「爆沈」事故かもしれないね。私:戦後だが、ある証券会社ではボーナスを渡すとき、上司が名前を読んでボーナスの袋を床に投げるのだという。 それを拾って大声で「ありがとうございます」というのだという。 一種の屈辱感を与えるいじめだね。 日本軍のように個性を殺し、動物的な戦闘性のみを高める組織の運営管理だね。
2007.07.29
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私:期日前投票に行ってきたよ。A氏:29日はいないの?私:以前から、7月29日前後にまたがる5日間の国内旅行プランがあったんだ。 家族が一緒なのでお互いの日程とか宿の手配とかいろいろ調整が面倒なので、期日前投票を選んだよ。 はじめての経験だね。 郵送できた氏名の入った投票案内を持参して行ってきた。 投票案内の紙面にバーコードがあり、投票所では、これをノートパソコンで読んで確認していたね。 期日前投票を選んだ理由を別な紙にチェックする。 「レジャーのため」にチェックした。 投票は2回だね。 最初は県の候補者名を書いて投票箱に入れる。 次は全国区の候補者名を書くか、党の名前を書いて投票箱に入れる。 5分くらいで終わったかね。 混んでいたね。 29日の投票所は歩いて10分くらいのところにある小学校なんだが、住宅地のまんなかだからついでの用事がない。 だから5分くらいの投票のために20分往復することになるね。 その点、期日前投票は1週間くらいの間があって日を選べるし、商店街の真ん中にあるんで用事のついでにできる。 かえって正規の投票より楽だね。A氏:新聞では、期間前投票が増加しているそうだね。 夏休みの季節だから、君のようなレジャーの理由が多いだろうね。 海外旅行を計画していた人たちは、簡単に変えられないだろうしね。 それにしてもマスコミは選挙、選挙だね。私:俺は最近の安倍首相の街頭演説を聞いてまた、おかしなことを言っているなと思ったね。 それは、郵政民営化は野党が反対したが押し切った、社会保険庁の廃止も野党が反対したが押し切ったという野党攻撃だね。A氏:郵政民営化は最初、与党内でも反対があり、衆議院はあぶなく通ったが、結局、参議院でノーとなり、小泉解散となっている。 そんなに与党対野党の対立というキレイごとで進まなかったのにね。私:社会保険庁も民主党案は国税に吸収し、社会保険庁は無くすという点は同じではないの?A氏:年金問題は「私の内閣で責任もって解決すると約束します」というのもおかしいね。 野党が言うのならともかく、自民党政権下で起きた不祥事なのだから、最初、あやまるべきだよ。 最近の新聞報道によると総務庁の調査では30年前にすでに社会保険庁の事務の乱雑さの問題を指摘していたという。 それを放置した年金軽視の政権党、ガバナンスなき政権党だったということになるね。 自分たち政権党の責任で犯した間違いを正常化するということを選挙公約にするのはちょっと感覚がずれているね。 ドロボーが「今後ドロボーをしません。盗んだ金は返します」と、堂々と偉そうに言っているようなものだよ。 金を返すのは当り前だよ。 口先だけ、責任があるといいながら、ドロボーの意識がないね。私:厳しいね。 今度の選挙で与党が過半数を割ると、安倍首相の進退問題が出ているが、俺は安倍首相はやめない確率が高いような気がするね。 参議院で与党の過半数を得られなくても「国民の意思を謙虚に受け止め、衆議院の過半数のご信任を生かして、『美しい日本』のため、戦後レジームの脱却のため、積み残した問題解決を今後も推進していきたい」となるだろうね。 内閣改造はあるかもね。A氏:ところで君の旅行で、選挙をはさんで4日くらい、この対話もお休みだね。 このブログの開始から471日間、1日も休むことはなかったけれどね。私:5日の旅だが、旅先で日記は書いているから、帰ってからまとめてアップするよ。 それまで、君ものんびりしていてくれよ。 途中、選挙結果が出るのでマスコミは騒がしいだろうがね。 昼の新幹線だから、これから出かけるよ。 31日にまた会おう。A氏:グッドラック!
2007.07.26
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A氏:君は7月18日の朝日新聞夕刊での「参院選・今こそ問う」という小さなコラムで寺島実郎氏の意見をとりあげていたが、昨日、同じ欄で「鼻につく勝ち組の教育論」というタイトルで作家の室井佑月さんが書いていたね。 安倍首相の教育再生会議にはガッカリしたと言い、特に「親学」など上から見下すような物言いが鼻につくと厳しいね。私:彼女は7才の子どもいて子育ては仕事をしながら時間をやりくりしてやってきた経験があるんだね。 再生会議のような専業主婦時代が頭の裏にあるような「親学」は今のワーキングプアが出ているような時代の認識がない提言だろうね。A氏:今日の朝日の朝刊では「耕論」という1頁大のコラムがあって、教育再生会議の提言問題を3人の人が論じているね。 教育再生会議委員のワタミ社長の渡辺氏、教育社会学の苅谷東大教授、藤原和田中学校長の3人だね。私:渡辺氏は教育バウチャー積極論者だね。 しかし、どうも「まず、先にバウチャー制度あり」という発想で、そのデメリットは解決すればよいという発想だね。 目的と手段を混同しているよう論の進め方だね。 苅谷教授は要するに、教育再生会議の議論が現場の実態検証から始まっていない「上から見下す」姿勢に批判的だね。A氏:再生会議が教育時事放談会議になっているという批判と同じだね。私:和田中学の藤原校長の意見は「制度より現場の工夫」として、現場の具体的な体験を述べていて説得性があるね。 再生会議では学力向上のために授業時数を10パーセント増やすというが、国際学力調査では上位で日本より高い位置にいるフィンランドは日本より授業時数は少ないという。 事実、藤原校長は授業内容の改善をして授業時数をほとんど増やさずにコマ数は13セント増になったというA氏:これに対して、ワタミの渡辺社長は現行の学習指導要領を教えるためには時間が足りないことを痛感しているという。 そして、逆に公立校がどうしているのか不思議だという。私:重要な再生会議の委員が不思議で済まされても困るね。 「上から見下して」不思議と言わないで下に降りてから議論すべきだね。 現場を知らないで議論をしていると苅谷教授に突っ込まれ、藤原校長のように授業時数をほとんど増やさず解決している現場も知らないことになる。A氏:藤原校長は教育バウチャーでは格差が広がるのは見えているとしているね。 そして、問題は制度でなく校長のやる気だという。 校長の人事権は教育長の責任だからそれが問われるべきだとしているね。 和田中学は1コマ50分から45分にして効率をあげたが、その工夫を真似した学校が同じ杉並区に1校もないという私:それは民間企業では考えられないがね。 いいことはドンドン真似をしているのにね。 その権限は現行制度でも校長にあるのにね。 公立校の校長は社会保険庁の歴代長官のような存在になっているのではないの?A氏:杉並区も学校選択制を導入しているね。 それでもそういう状態だというのは、制度の問題でなさそうだね。私:「鼻につく勝ち組の教育論」では、室井さんは再生会議のメンバーは特殊な生き方をした人が多く、一般的な子育てを論じられて人たちでないと言っているね。 ヤンキー先生は今度、議員に立候補だね。 これもおかしな話で、なんで単なる一票に落ちるのかね。 再生会議の発言の方が重いはずなのにね。 国民は指導され、教育される対象となっている「上から見下す感じ」だね 優等生の会議かね。 俺は、安倍首相の言い訳の仕方が気になったんだが、よく考えるとこれも「苦労していない人の上から見下す発想」から出た言い訳で共通しているのではないかと思うね。 血筋がいいから、ある意味で優等生の家の出だね。 育った時代も日本が豊かな高度成長時代だね。A氏:事務所費や絆創膏で問題になった赤城大臣の記者団への応答を聞いていると、マイナーな問題のようだが、人をバカにしている「鼻をつく上から見下す」返事だね。 これも祖父が有名な政治家で、家もものすごい資産家だね。 育ちがいい。私:麻生大臣もアルツハイマー病発言で問題を起したが、マイナーな問題のようだが、これも「鼻をつく上から見下す」言い方だね。 麻生氏も血筋がいい大資産家の出だね。 「国家にふさわしい国民を育成する」という上から見下す「大正デモクラシー」の復活かね。
2007.07.22
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私:昨日のテレビでも報じていたが、今朝の新聞で隅の方に、「校長ら誤答児童に合図」として、足立区で昨年春に実施した小中学校の学力テストで、ある小学校に不正があったことを報じているね。A氏:俺も読んだが、障害児3人を採点からはずしたり、巡回して誤答をしている生徒には指差したりしていたというね。 前年のテストとほぼ同じ問題なので、事前にコピーで練習させていたともいう。 そして、この小学校の成績は、前年からはね上がってトップになったという。 他に小学校3、中学校1がコピーを使って事前練習をしていたというね。私:この問題は、俺のブログの「先生ヘトヘトと学校選択制実施結果データ」で書いてあるが、足立区で導入している学校選択制が背景にあるね。 この学力テストの結果はホームページに公表され、親が子どもの学校選択のときの資料にするのだろうね。A氏:君のブログ記事によると、足立区は学力テストの成績と応募状況を公開して選択制を導入しているが、トップの第四中学には定員190名に対して416名が応募 一方、成績の悪い第五中には定員110名に対して応募35名。 こどもが減れば配置教員も減り、クラブ活動も減る。 28のクラブがある中学校の一方で、8つしかない中学校もあるという。私:たしか、そのときの新聞記事でもテストのゴマカシが出ることを懸念するという記事があったと思うね。 その通りになったね。A氏:昨年の耐震偽装や原発の偽データで大騒ぎ、今年はひき肉の偽装で騒いでいるが、世の中、いろんなところで平気で偽装をやるようになったね。私:しかし、このテストの偽装は何か、質が違うようだね。 この偽テスト結果でトップになった小学校に入学しても、子どもの教育に害があるとは思えないね。 教育とはそういうものではないのかね。 かえって、プラスになるかもしれない。 学力テスト結果だけで学校を選択する親への痛烈な批判かもしれないね。 足立区の教育長は、第三者を入れた委員会でテスト結果の公表方法を見直すらしいね。
2007.07.17
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A氏:昨日のテレビ朝日のサンデープロジェクトの座談会で、今度の年金問題は社会保険庁の自爆テロだという話が出たね。 要するに、年金問題で社会保険庁が潰されそうになったので、いろいろな年金トラブルの内情を組合が民主党に流したという見方だね。私:俺も録画でざっと見たが、あれほど組合が強いと言われた社会保険庁や組合が、これを潰す法案に対しての抵抗がほとんどなかったのは意外だね。 しかし、自爆テロでいろいろなトラブル情報が民主党に流れたというのは事実と違うようだね。 何故なら、グリーンピアをはじめ、社保庁のずさんな活動を批判し始めたのは、民主党の長妻議員だからだよ。 自民党議員がつきあげたのではなく、むしろ、被害者意識を持っているのはおかいしいね。A氏:君がブログでふれたように6月23日の朝日新聞の夕刊の窓欄では長妻議員が、社保庁の厚い壁に阻まれた苦労話があるね。 社会保険庁の壁は厚く、追及しても逃げられてしまう。 もし、長妻議員が社保庁の組合とつながっていたら、そんな壁などないはずだね。 これは現場の実務問題だから、厚い壁などなく、ツーカーだね。 長妻議員の詰め将棋のような追及の時期が半年続き、ようやく去年の6月に全体像の一部が現れる。私:そして、今年2月に5000万件の宙に浮いた年金記録にこぎつけるようになったわけだ。 しかも、長妻氏は、最近、知り合いの社会保険労務士に、「われわれの間では、10年前から常識です」とまで言われたという。 社保庁の組合なら、もっと早くから「常識」だったはずだからね。 むしろ、社保庁解体論の怖いのは、組合に対する対抗策で看板を付け替えただけで体質は変わるという安易な幻想だね。A氏:第一、社保庁長官の村瀬氏は社保庁の体質改善のために民間からの最初の登用だものね。 もう、2年になるけれど、その効果はどうなっているんかね。 民間出身者が長官になると何か効果が出るという安易な組織論、カンバン論が失敗したのではないのかね。 その評価が与野党ともまったくない。私:7月9日発行の「日経ビジネス」では社保庁の改革がカンバンの架け替えで終わる懸念を述べているね。A氏:俺もこの記事は読んだが、今度の社保庁改革は村瀬長官のように民間というカンバンを架け替えれば、なんとなくうまくいくという発想と似ているね。 介護保険を民営化したら、コムソン式となったね。私:社保庁解体は現場の仕組みや内部統制まで踏み込んでいないね。 廃止、解体という勇ましく、聞こえのよいスローガンにだまされやすいね。 国鉄の民営化はうまくいったというが、JR西日本の宝塚線の脱線事故の主な原因は、国鉄時代からの「日勤教育」という職場管理がそのまま継続していたことだよ。 カンバンを民営に架け替えても現場の悪しき管理体質は変わらなかったんだね。A氏:不気味なのは、むしろ、今回の全職員の賞与の一部返納に労組が積極的に応じるとしたことだね。私:これはちょっとおかしいね。 裏があるのかね。 カンバンを架け替えても社保庁の「日勤教育」を密かに生かすためかね。A氏:一旦解雇して、公務員でなくなり、適切な人間だけ再雇用するというが、経験がないといい仕事はできないだろうから、ほとんど同じ顔ぶれで再雇用になるのではないの。 田中康夫氏が言うように給与もあがるかもしれないね。私:今の現場組織に自浄作用を持ち込むことをしないで、労組悪玉論でカンバンを架け替えても、将来、JR西日本のような大事故を起こす可能性はあり得るね。
2007.07.16
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A氏:7月13日の朝日新聞の朝刊でエレベーター強度偽装という見出しで鋼材すり替えの記事が一面左側に出ていたね。 安全上、大きな問題だが、選挙報道で隅に押し込められた感じだね。私:厳密にはJFE商事建材販売が強度の高い「SS400」という鋼材を偽って強度の低い「SPHC」をエレベーターメーカーのフジテックに納入したとのこと。 だから、鋼材の偽装がもとにあるね。 02年9月に始まったというから、もう、5年近くになるんだね。A氏:フジテックでは受けいれるときに検査していないの?私:通常、買う方は鋼材の強度検査はしないね。 業者のほうが鋼材の専門メーカーだから責任をもって検査して品質を確保するルールになっているね。 買う方も調査して信用ある業者を選択する。 JFEは大手だからね。 そして、通常は口頭でなく、注文書できちんと業者に注文する。 だから、買う方はダブって強度検査はしないで、業者が検査した検査成績表の添付でOKとする。 フジテックは品質管理の規格のISO9001をとっている、から、そういうシステムになっていると思うね。 もっとも、同じアイエスオーでJFEは環境で問題を起している、がね。A氏:どうも今回のトラブルは、注文書には「SS400」と明記され、JFE商事建材販売の納品書も検査成績表も「SS400」となっていたらしいね。 ところが現物は「SPHC」だということだね。 検査成績表の偽造かね。私:担当者間の口約束だったらしいが、エレベーターという強度がからむ製品の材料だけに管理上問題だね。 今のところ、「言った、言わない」でお互いに責任をなすりつけているようだがね。 もっとも、俺も製造業にいたが、こういう検査成績表は形式的になっていて、昔から偽装が多かったと聞いているよ。 それがたまたま、強度の厳しい材料に引っ掛かって大きな問題になったようだね。 いくら書類の形式がしっかりしていても、それを書く人の意識がともなわないと偽装が生まれやすいね。 しかし、まだ、疑問なのは鋼材の現物表示はどうなっていたかだ。 エレベーターを作る現場は、作業するときに、当然、「SS400」の材料を使用するように指示を受けているはずだね。 そうすると「SS400」の表示ものを材料棚から取り出して使うはずだね。 それがエレベーターの組立まで「SPHC」でやったとなると、現物の表示まで偽のものに張り替えたという手の混んだ偽装をしたことになるね。 マスコミ報道ではそこまでのつっこみがないようだね。A氏:今回の問題の背景には、コストダウンのためというよりも納期的な問題がからんでいるらしいね。私:中国の急成長で鋼材不足は慢性化している背景があったのではないの? それにしても最近テレビでやっていたダンボールが入っているという中国のインチキ肉マンや、水道水だというペットボトルの水など中国の拝金主義は怖いね。 中国政府は外国で中国製品が問題を起していることについて最初「一部の企業だけだ」と例によって強気の姿勢をとっていたね。 それが後になって「中国は遅れている国だ」と認めて問題企業のリストを公表したね。 安倍首相の問題が出たときの初期行動とその後の行動パターンに似ているね。A氏:昨日の新聞では、加ト吉が中国から輸入しているウナギの会社がそのリストに載っていて、それがサークルKサンクスですでに2万食売れたというね。 サークルKサンクスは販売ストップだが、今月末の土曜丑の日を控えて大損害だね。私:中国だけを攻めるわけにいかないよ。 日本でも去年は耐震偽装、最近はミートホープのひき肉偽装があったが、世界的に共通現象で、コストダウンと金儲けだよ。A氏:市場原理主義によるグローバル経済で、拝金主義もグローバル化しているね。 安いといって買うのも要注意だね。私:耐震偽装の対応として、ダブって再計算をしているようだが、ムダ金を使っているね。 今後、検査、検査と検査強化や規制強化で乗り切ろうとしているけれど、製造業ではそれは品質管理の敗北を意味するがね。 何か大きく方向を間違えているね。
2007.07.15
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私:安倍首相は、すぐにカッとなる癖があるのか、知恵をつけるスタッフが悪いのか、官僚に踊らされているのか、問題が出たときの最初の対応がよくないね。 相手を安易に攻撃するか、身内をあいまいな言い訳でカバーするね。 言い訳は歯切れが悪く、何を言っているのか分からない意味不明という癖があるね。 しかし、若さの強みか、追い込まれるとますます、むきになって攻撃する癖があるようだね。A氏:5000万件の宙に浮いた年金記録問題が出たときに、街頭演説で「菅氏が責任者だ」と大声を上げる。 これは自民党の広報のミスにのせられた感じだね。 「菅氏責任論」はその後、急に知らぬ顔でうやむやだね。私:最後は、年金問題は自分の責任だと言い出す。 最初から言っていれば格好良かったのにね。 今年2月、すでに宙に浮いた5000万件の年金記録の問題が出ていたのに、その対応は選挙が近づく5月までのろのろしていた。 その遅い対応を追及されると調査していたというようなわけの分からないことを言う。A氏:当時、民主党の長妻議員が提案した年金支払い記録の本人通知を「国民に不安を与える」と反対していた。 何の不安か意味不明だね。 それが7月になって長妻議員の提案通りに本人通知を行うと言い出す。 「国民に不安を与える」と思うなら、押し切ればいいのだが、選挙対策のほうが最重要となり、信念として一貫できないのかね。私:柳沢厚労相の「女性は産む機械」の失言問題でもカバーするが、その後の松岡大臣の例の還元水の問題も「本人がルールを守っていると言うのだからルール違反はない」と訳のわからないことでカバーしていたね。 安倍首相は「私が調べたらこうだから問題ない。私を信じてください」というべきだね。 もっとも松岡大臣が還元水と言ってしまったから、常識的にも首相が調べても「問題あり」かもしれないがね。 結局、松岡大臣の自殺という最悪の醜いスキャンダルで真相はあいまいとなる。A氏:今度、赤城大臣の政治団体の事務所費用問題では、首相はテレビに出ていたとき、「光熱・水道費は月にたった900円」と今度は赤城大臣本人も言わないような細かいことを言い出す。 松岡大臣のときと逆になったね。 これはスタッフの知恵をそのまま使ったのだろうが、ある新聞に基本料金でも水道・光熱費は2、3千円だと書かれてギャフンだね。私:金額の多少の問題ではないのにね。 これもスタッフの完全なミスリードかね。 だから、その後、ピタッとこの数字は言わなくなる。A氏:菅氏に年金問題の責任があると最初に大声をあげたのと似ているね。私:最近、安倍首相は赤城問題で自民党の内規として政治団体を政治資金管理団体に一本化するようにと言いだしたようだね。 記者会見での「内規でなく、法律にしたらどうか」という質問に「他党の賛成が必要だから」と返事をするね。 民主党は政治管理団体だけでなく、政治団体の規制をしないとザル法だと強硬に反対したのを強行採決で押し切ったのに、その後にガラリと考えが変わる。 これも赤城大臣の問題の火消しで選挙前の窮余の策かね。A氏:君は防衛大臣の失言問題の首相の対応も歯切れが悪いことを言っていたね。 誰にでも思いがけない問題は出るが、問題が出たときの最初の動きや言葉がリーダーの質を決めるのかね。私: NHKの党首討論で、共産党が「消費税を上げる可能性があるのか、イエス、ノーで答えてくれ」という質問に対して、長々と訳のわからないことを言って、イエスもノーも言わなかった。 消費税問題は選挙のためにはタブーだが、選挙後、消費税をあげたら、選挙で国民の意見を聞かなかったと批判されるね。 消費税はあげにくくなったね。A氏:集団自衛権の解釈問題の質問もはぐらかしているね。 今度、選ばれる議員は憲法改訂問題に関係するから当然問題になるね。 しかし、今の民主党との対立関係では改憲のための議員の3分の2の賛成が難しいね。 公明党との違いもあるしね。 安倍内閣中の改憲はかなり難しいね。 しかし、年金問題が急速に対応できているのは選挙対策だね。 国民のためにはタイミングがよかったね。私:しかし、テレビ映りは安倍首相のほうがいいね。 小沢さんはパッとしないね。 まさに、今度の参議院戦は各党、力を出しているので、国民の質を問われる選挙だね。
2007.07.14
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A氏:昨日のブログで主婦のパート労働の「擬似職場」が若者の「本当の職場」になった経過が分かったよ。 ところで、君はケアの民営化は問題ではないかと言っていたね。私:合理化のアイデアが限られている仕事だと思うからだね。 合理化のアイデアのもとになるのは、標準化、分業化、機械化、自動化などがあるけれど、個性的なバラエティのあるケア活動にそれが可能かということだね。 ケア活動をもっと報われるようにするために、単純に給与をあげることは保険料のアップになる。 そこで著者は、若者のプロ意識の高い専門性の高いケアワーカーと主婦層のケアワーカーの分業が考えられるとしている。A氏:プロ意識の高い者は専門性を高めるというわけか。私:ところが、ケアワーカーは看護師と違い専門性に疑問があるという。 そこでケア職場の現場にとびこんで研究してきた前田氏のインタビューになるが、ケア利用者が満足する専門性というのは利用者と長くいる個人的な「気づき」の熟練だけで、専門性が高いものとはいえないという。 だから、若者がフルタイムで働いて看護師のように専門性を高めるというのは幻想で、その幻想は現在の厳しい労働条件を隠蔽してしまうという。A氏:ケア職場の安定化には介護報酬の引き上げがあるがこれは保険料の引き上げになる。 そこで経営者の力が問題になるということだね。 介護報酬の低い条件の枠内でワーカーの雇用条件を改善することだね。私:厚生労働省はユニットケア化を強力に推進しながら、介護報酬料は上げないという矛盾した方針であるという。 その枠内で雇用条件改善を考えないといけない。 そこで「気づき」タイプのケアは主婦パート型のケアワーカーやボランティアにまかせるというタイプが生まれているという。A氏:君の言う分業型だね。私:そこで経営をしている飯田氏のインタビューになるね。 飯田氏は「生活体としての人間」の個別性に過度にこだわるよりは、「生物体としての人間」へのケアを充実したものにすべきという考えを持っているね。A氏:「生物体としての人間」?私:例えば入浴だね。 特養に入居すると国の基準で入浴は週2回だが、「生物体としての人間」としては毎日入浴させたい。 そうするとユニットでなく、集団でもいいから4回入浴する方がいいという考えだね。A氏:なるほど、「生活体としての人間」は個別性が高いが、「生物体としての人間」は共通性が高いという特性があるね。私:飯田氏は、「生物体としての人間」については看護師なみの専門性を必要とするとしていうようだね。 介護利用者の「手足の代行」でなく、「頭の代行」を考えないといけないというわけだね。 介護の専門性を理解して、ボランティアをその指揮下に置くという分業を行うということか。 本題の一つである若者問題はとばして、知的興味を引いた他の大きな問題は、「ロストジェネレーションが団塊世代を食い尽くす」という章だね。A氏:いわゆるパラサイトシングルが関係するね。私:親の財産処理は親の勝手にならない。 子どもの干渉が含まれる。 今は親の収入の保護の下に低賃金で生活している若者が親が年金暮らしになり、親に頼れなくなると問題だね。 欧米では自分の財産は自分で使い、子どもに老後の面倒を見てもらうという考え方がない。 日本では子どもが親の面倒を見るという道徳観がある。 「高齢者の自立の未成熟さ」と「子世代の自立の未成熟さ」があるね。A氏:欧米のように老齢者が老後の生活のために家を売ったら、自立していないパラサイトシングルは家を失うね。私:だから、団塊世代は「食い逃げ」はできない。 ジュニア世代を含めて考えないといけいないとしてこの本は終わっているね。
2007.07.11
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私:この本もどこかの書評を見て興味を持って図書館から借りた。 著者は、1年間にわたってバイク便ライダーを体験し、これを「搾取される若者たち」という本を昨年に出しているそうで、この本はそれとセットになるという。 しかし、俺は「搾取される若者たち」は読んでいないので、図書館に予約したよ。 ところでこの「働きすぎる若者たち」という題名は適切でないね。 主として介護のワーカーのことを書いている本だね。 著者はバイク便ライダーと違い自分で体験するのでなく、聞き込みなどを中心にまとめているね。A氏:介護問題は例のコムソン事件でクローズアップしたね。私:確か、コムソン事件は6月初めだから、この本はその前の刊行だね。 しかし、この本を読むとどうもマスコミのコムソン関連の報道では介護労働の現場レベルの分析が不十分だね。 ところで、君はユニットケアというのを知っているかい?A氏:ユニット?私:ユニットケアに対するものが集団ケアで、老人ホームなどだと数人で一部屋というタイプで、集団で食事させたり、入浴させたりすることになる。 これに対してユニットケアは個室中心で、活動も個別になる。 ユニットケアは個人別にきめ細かくワーカーが対応できるので、利用者の満足を与えることが出来ると考えられる。A氏:けれども、ケアワーカーの方の対応は負担になるのではないの?私:著者のインタビューによるとユニットケアの方が負担は増えるが「やりがい」のある仕事になっているという。 理由は、きめ細かい対応ができるので、利用者の満足向上を通じてワーカーの方も満足感を得るからだという。 大きな問題は、賃金が安く不安定なことだ。 介護職員の月給は正社員で20万8千円くらい、平均勤続年数は3.4年で短い。 そして、著者は、この仕事の満足感で次第にワーカーは仕事にのめりこんでワーカホリックになっていくという。A氏:一人で複数の利用者を担当すると身体的にも負担になるのではないの?私:そうだね。 腰痛と膀胱炎になる人が多いという。A氏:腰痛は分かるが膀胱炎とは?私:トイレに行く時間がとれないためだという。 ところで、著者がみた介護職場には2つの層があるという。 若者層と主婦パート層だという。A氏:主婦パート層?私: 話はちょっと長くなるが、俺は「『最後の社会主義国』日本の苦闘」の書評ブログで日本型社会主義の驚嘆すべき点は、政府の莫大な支出なしに社会保障の有効な安全ネットを築き上げたことで、それは、企業と女性の負担でカバーしてきたということだと紹介していたね。 女性は家庭にとどまり、子供の養育費や老人の介護費の国の肩代わりをしてきたが、この日本型社会主義が崩れているとこの本では指摘していると紹介したね。A氏:「サラリーマン/専業主婦」体制だね。 「少子社会日本・もうひとつの格差のゆくえ」の第二世代だね。私:しかし、「『最後の社会主義国』日本の苦闘」の著者は日本の介護保険は家庭の主婦の負担軽減を国が支援する画期的な制度だとしているが、この「働きすぎる若者たち・『自分探し』の果てに」の著者は、別な見方をしているね。 介護問題は老人が長寿でなかった1950年代まで存在しなかった。 しかし、高度成長期に国民大多数が豊かな生活を享受できる経済発展、医療技術の進歩によってもたらされ、長寿化とともに介護という新しい生活領域が生まれたという。 「寝たきり老人」が社会問題化する。 そして、高度成長期が終わり、低成長期になり高齢化社会に対して社会保障費を抑制する方向に変わってきて、1980年代から逆に主婦の役割強化の政策がとられるようになったという。 これを「日本型福祉社会論」と言っているね。A氏:では政府の考えは女性の介護からの解放の方向と逆ではないの?私:しかし、著者は実際にケア労働が地域社会福祉を担う主婦パート層によって行われたことを考えると、「サラリーマン/専業主婦」体制を揺るがすことなくケア労働を社会化し、社会保障費の抑制という当初の目的をほぼ達したという。 つまり、ケア活動は家庭内でのケア活動から地域の家庭主婦のパート労働によるケア活動へと移り変わった、んだね。 しかし、旦那の給与に守られて主婦がパートで行うケア活動だから、「一般的な意味の職場」でなく、家庭の延長線上にある「擬似職場」だと著者は言う。 しかし、次第に「サラリーマン/専業主婦」体制が崩壊し、地域の家庭の主婦のパート労働だけで介護をカバーできなくなってくると、この低賃金の職場にバブル崩壊で発生したロストジェネレーション世代の若者が流れてくるようなる。 こうして、若者と主婦層の2つの層がケア労働に発生したという。 明日は、そのケア労働の中味をもっと深くふれよう。
2007.07.10
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A氏:君のブログの東京裁判のことでアメリカの原爆投下は裁かれなかったというのは、公平にみて大問題なんだね。私:パル判事だけでなくジョン・ダワーのようなアメリカの歴史の大家もそのように批判しているね。A氏:その経過を知れば久間初代防衛大臣が「原爆を落されたのは『しょうがない』」と言ったのは問題だね。私:原爆を落さなかったなら、より多くの死者が出ていたというのもウソだね。 アメリカはこの残虐行為を正当化したいだけだね。 だから東京裁判ではやましいので避けている。 「暗闘」でその辺を分析しているね。 ソ連参戦とポッダム宣言での天皇制の護持にこだわった日本側の態度の方が影響は大きいね。 久間氏はアメリカ側の政治的な考えを代弁したことになるが、日本人としては国際感覚はゼロだったね。A氏:それを最初弁護した安倍首相も、松岡大臣の還元水問題同様に、歯切れの悪い「アメリカの考えをのべただけだろう」というような他人事のような言葉で擁護して逃げていたね。 せめて「けしからん。厳重に注意して、反省がなかったなら辞任させる」くらいのことを言うべきだったね。私:翌日、世論の厳しさでことの重要性を知り、久間氏を官邸に呼び、注意するという後手後手ぶりだね。 年金のバタバタと同じパターンだね。 どうも言葉の発音同様に歯切れがよくないね。A氏:久間氏の「しょうがない」という言葉は久間氏だけでなく日本語ではよく使う言葉だね。私:実は俺はこの言葉には以前から興味を持っていたんだよ。 字幕つきのアメリカ映画を見ていたら、「しょうがない」とか「しかたがない」というのがでるんだが、英語の発音は大抵no choiceなのに興味をもったんだ。 「ほかに選択肢がない」という意味だね。 「しょうがない」「しかたがない」という意味をよく理解できる英語だね。A氏:日本の早期降伏には原爆投下以外の選択肢があったのは君のブログで明らかだね。 トルーマン大統領は早くジャップを試験台に新兵器を試したかったんだね。 北朝鮮同様に、外交の有力なカードになるからだ。 トルーマンは原爆テストが成功して、たった2週間後に広島に本番テストをしている。私:久間氏は、今回、2つの「しょうがない」を言っているね。 1つは、問題になった「原爆投下の『しょうがない』」だね。 2つ目は、「選挙のためには、辞任するしか『しょうがない』」だね。 この2つとも問題だね。 1つ目は、歴史の基礎知識の無知。 2つ目は、何故、国民の反論が出たのか理解できない「鈍感力」。 辞任は「歴史の基礎知識の無知」に対する反省責任でなく、選挙対策だと堂々と宣言。A氏:それにまた、赤城大臣の事務所経費の問題が出たね。 また、下手な弁護をしているね。 この一連の大臣の不祥事に対する安倍さんの弁明をみると、安倍さんは育ちがいいせいか、権力をもっているせいか、ちょっと国民を見下している感じがするね。 安倍内閣の不祥事の連続は、おかしいね。 安倍首相は過去の実績を強調しているが、これは小泉さんの郵政選挙で得た衆議議院の過半数での遺産の結果に過ぎないのにね。私:これが日本政府だと思うと恥ずかしくて、唖然とするだけだよ。
2007.07.09
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私:ビデオで録画していたのを見たが、責任ある地位につくようになる30代のサラリーマンに急速に「うつ病」が拡大しているという特集だね。 企業は効率追求で人を減らしてきたんだろうが、無理なしわ寄せが第一線のサラリーマンにきて、それが見逃せない社会的な現象となってきたんだね。A氏:俺も見たが、このTVの例ではアシスタントを置く解決例だったね。私:結局、一時的にコストは上昇するが貴重な30代の社員を失うことを考えれば、十分ペイということかね。 会社の運営を長期的な視点で考えないとかえって損をするという教訓だね。A氏:昨日7月5日の朝日新聞朝刊の「働きすぎの現場から」というコラムで「職場の重圧 追いつめられ」というタイトルで、心の病が広がっているとしているね。 うつ病など精神障害での労災認定は昨年度、前年比1.6倍で過去最多となったという。 片づかない仕事、成果への圧力、上司の評価など、過大なストレスにさらされながら、長時間労働を余儀なくされる。 新聞では自殺した34才の研究員と「うつ病」になった40代の営業職の例をあげているね。私:心の病が最も多い年齢層は6割が30代。 心の病による1ヶ月以上の休業者がいる企業の割合が02年の58%から74%に増加したという。 労働安全衛生法は今まで、職場のケガや肉体的な病気の予防のための規制が中心だったが、メンタルヘルスも考慮した規制を検討中だというね。A氏:厚生労働省も矛盾した規制法律を作らないといけないね。 一方で長時間労働の規制を緩和するホワイトエグゼンプション(残業代ゼロ)法を考えたり、一方では、長時間労働を制限するメンタルヘルスの規制を強化する法案を考えたりだね。私:いずれにせよ、精神カウンセラーが必要になるね。 アメリカ型になってきたね。A氏:そういえば、君はブログで6月17日日曜日のTBSのサンデーモーニングでは学校に弁護士を置くことを問題としているとして、市場原理主義になると弁護士とカウンセラーが急増するのは当然としていたね。私:「国家の品格」で有名になった藤原正彦氏が「国家の堕落」というタイトルで文藝春秋に書いたものだね。A氏:ここで藤原氏は、市場原理主義の行く先は、アメリカのような弁護士が人口あたり日本の20倍、精神カウンセラーが日本の60倍という世界が待っているというね。私:6月17日のTBSのサンデーモーニングのトピックスと6月25日のNHKスペシャルと7月5日のサラリーマンの自殺とうつ病の新聞の記事と、一見、バラバラのようだ。 しかし、これをリンクすると藤原氏の予告のように、弁護士と「うつ病」予防のための精神カウンセラーの増加というアメリカ型の社会に着実に進んでいることを直感するね。 この方向が安倍首相の「美しい国」への動きなのかね。 安倍首相がかって一緒に仲良く写真をとったことのあるグッドウイルの折口会長がぼろ儲けし、その裏でワーキングプアが搾取される社会が「美しい国」のモデルなのかね。
2007.07.06
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私:沖縄で集団自決は軍の命令だということでもめているね。 手榴弾による自決は集団自決が容易にできるからね。 これは俺のブログでとりあげたけれどね。A氏:軍の命令かどうかでもめているのは他にもあるね。 例えば、慰安婦の問題だね。 軍の直接的な介入か、間接的か、明確な命令があったかどうかだね。 「空気」としては軍の要求はゼロとはいえないが、全体的な組織的な正式の強制命令があったかどうかね。 これはアメリカ軍の日本占領のときの慰安婦も表面上は民間業者だね。 このとき、後に総理大臣になる当時大蔵若手官僚の池田勇人は「一億円で純潔が守れるなら安いものだ」と言ったというね。 大蔵省は表に出ないで業者にまかせて強制ではない。 まだ、公娼制度があった頃だね。私:南京虐殺をドイツのホロコーストと同じように、天皇の関与まで匂わせる組織的な軍の命令に基づく行動としている本もある。 ナチスのホロコーストは、ガス室を計画的に作り、ヒットラーの組織的な命令系統が明確だね。 戦争だから、「空気」として殺伐なものがあったのだろうけれど、南京虐殺がホロコーストのような組織的な命令だとするのは、冷静に考えればおかしいね。A氏:日本の軍隊の命令系統があいまいでバラバラなのは有名だね。 東京裁判では1928年から1945年までの日本の侵略の共同謀議を追及していたが、そんな組織的な命令で侵略をしていないね。 関東軍のような中央無視の下克上の繰り返しでダラダラ侵略している。 責任権限が明確で契約社会のアングロサクソンは、責任権限があいまいな日本のシステムに東京裁判で困ったようだね。 結局は、現在では東京裁判での共同謀議の追及は意味がないということは専門家の共通した認識のようだね。私:陸軍の特攻のことを読んだが、特攻は命令でなく志願という形式なんだね。 上官から「積極的に志願する」「志願する」「志願しない」と3つ書いた紙を1枚渡され、どれかを選択して提出するように言われる。 「空気」として「志願しない」に丸をつけにくいが、一応、本人の自主性というタテマエで命令ではないということになるね。A氏:ちょっと話は違うかもしれないが、日本が朝鮮を植民地化していたとき、創始改名を行うね。 これを今の外相である麻生氏が2003年に「創始改名は朝鮮人が望んだことだ」として韓国メディアなどの反発にあい、陳謝したが、発言そのものは撤回しなかったという。 事実、その当時の日本の朝鮮総督以下の当局者は、創始改名は完全に朝鮮人個人にゆだねられており、強制で命令するものではないとしていたという。私:実際、戦犯で死刑になった朝鮮人の洪思翊中将は改名していないね。 形式的には自主的なんだね。 しかし、実質的には「空気」が伴うと命令と同じ力を発揮する。 拒否できない「空気」になっているとあいまいな暗示も命令と等しい力を持つ。 後で、命令だ、いや明確な命令などないと二元的な対立で騒いでも、今となっては「空気」は消えている。 この「空気」をうまく使う人、「空気」を読める人がいるね。A氏:A級戦犯の靖国神社合祀も誰かの命令だと言う人もいるね。 時の厚生大臣も知らないのは事実だろうね。 これも上司無視の下克上だね。 当事者のアウンの呼吸だから、責任はあいまいだね。 お互いの「空気」だね。A氏:山本七平氏の言う日本的な「空気」かね。 同氏の「空気の研究」というのがあるね。 司馬遼太郎は「魔法」と言い、山本氏は「呪縛」とも言っているね。私:今、「英語を禁止せよ」という本を読み出したんだ。 戦時下の日本では英語は「敵国語」「敵性語」だとして禁止するね。 学校名も大きく変わり、例えば山梨英和学校は「英」という文字を削除し、山梨栄和学校と変える。 しかし、これは文部省からは通達という命令はない。 「何分新体制下のことであるので考慮してほしい」という要望であっただけだという。 しかし、町の英語のカンバンをなくすというように警察の直接の指示があったのもあり、バラバラだね。 「空気」は「英語禁止」だから、有名な野球用語は自主規制だね。 だから、「空気」が消えた今になると、命令であったという人と、命令はなかったという人に分かれる。 今はその「空気」は消え、英語ブームだから笑い話だがね。A氏:北朝鮮の「美し組」の女性は「将軍様」絶対といい「魔法」にかかっているが、「魔法」が解けたとき自主的に行動したのでなく「命令で動いた」と言い出すのかね。私:厳密に言うと企業でも責任権限はそんなに明確でない。 社長が、部下によく相談する相手がいて、通常、彼の意見を採用することが多いとなると、実際の権限はその部下が握っていると同じことになる。 経営学では、この場合、社長には「決定権」はあるが部下には「影響権」があるという。 また、社長が命令しても部下が積極的に従わないでごまかしたり、サボったりする「抵抗権」があるという。 食品偽装のミートホープ社には社長の決定権だけで「影響権」「抵抗権」はなかったね。 社会保険庁の幹部官僚が団結して村瀬長官の年金支払い率の向上運動に抵抗し、偽データを作成したのが「抵抗権」のいい例だね。 抵抗が強いと上司は決定を変えることがあるから、これも決定権に影響を与える。 命令で人や組織はきれいにロボットのように動いていないという大人の相対的な視点を持つべきだね。 特に軍国主義時代の理解にはね。
2007.07.04
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A氏:JR宝塚線の脱線事故の調査委員会の最終報告が公表されたね。 原因として精神的な日勤教育を重視しているね。 君が指摘していたように精神論的・個人責任的な反省は逆効果だし、JALや東電のように事故を隠すことにつながるね。私:俺は現場にいたとき、不良品低減の改善テーマで調査するときは、工場に不良品の対策書があると、まず、それを過去にさかのぼってチェックすることにしていたよ。 対策書が何十枚あろうと、チェックには時間がかからない。 何故なら、チェックは、「確認する」「注意する」「徹底する」という対策書に書いてはならない「タブー語」を拾いだすだけだからである。 こういう用語が、1つでもあると再発する体質が工場にあることの証明になるからだね。A氏:JR西日本の「日勤教育」の反省文はどうだったの?私:06年4月25日の事故を起こした高見運転手は、05年6月に100メートルのオーバーランをしたため「日勤教育」を受けていた。 そのときの反省文20通を「文藝春秋」07年7月号はほぼ生のまま掲載していたね。 これを「タブー用語」の観点で読んだね。A氏:どうだった?私:驚くことに再発を確実に予告する再発防止タブー語の氾濫だね。 あの大事故を予告するような内容だね。 太字で下線部分が再発防止のタブー語だ。(1)原因の説明に使われている用語 「意識に残る通停確認をしていなかった」「自分でしてしまったことが怖くなってしまい虚偽の報告をした」「通停確認を漫然としてしまい」「集中すべきところを他のことを考えながらブレーキをかけてしまいました」「自分は大丈夫だという心の隙がありました」「遅れを挽回できると自分のことを過信していました」「深く考えませんでした」「安易な考え方で」「未熟者に関わらず」「自分へのうぬぼれ」「厳しく考えず、甘く考えていました」「プロ意識を自覚していなかった」「つい気になってしまい、注意がそれてしまうことがあります」「気が緩んでしまうことがありました」「気持ちの中にのんびりしているなと感じるところはありました。」「弱いのは精神面です」「仕事に対する甘さ」「漫然とした作業」「危機感も全然足りていませんでした」(2)対策に使われている用語「意識した確認を行います」「集中し、余計な事を考えず、余裕あるブレーキ扱いを行います」「気のゆるみがないように、停車することを特に意識します」「一番緊張を高め」「早めの判断をし」「しっかりと様子を見て判断し」「注意力を高めます」「緊張感、注意力を持ち続け」「自己満足せず」「貪欲に技術の向上に努めます」「通停確認後は、停車することに専念し」「集中して他のことは考えません」「一番注意力を高め、絶対に停車させるんだという強い気持ちを持ちます」「速度が速いと感じたら早めの追加ブレーキで停止位置の確保に努めます」「柔らかなブレーキ操作」「無駄な力行」「異常時に慌てず落ち着いていられること」「疑問に感じたことはすぐに確認作業をする」「状況を冷静に判断し、適切な処置がとれる」「起きた事象は包み隠さず、ありのままを報告する」「異常時のイメージトレーニングをしておいて、いざという状況になっても落ち着いていられるようにします。」「今後も勉強します」「常に危機感を持っておきます」「一番注意力を高める箇所を通停確認後から列車を停止させる時とします」「頑張っていかなければならない」「素直になる大切さ」「報告は厳正な報告をして、虚偽の報告は二度としません」A氏:なるほど、驚くべき反省文だね。 運転技術用語は一切出てこないね。 高見運転手は納得して反省していないことが明白だね。 上司の姿勢に迎合して、仕方なく、小学生レベルの無意味な抽象的な文字を繰り返し、羅列して書いているだけだね。私:このような文を繰返して書くという13日間の屈辱は、モラル低下を起こし、無意識のうちに反省は「復讐」に変わる恐れがあるね。 長い反省文は、「復讐」表明書とも受け取れる。 書かせるほうも書かせるほうだし、読んでなんとも思わない上司もおかしいね。A氏:そして、事故当日の4月25日は虚偽の報告を含めて、見事なまでの反省文の違反の再発だね。 その結果は、本人も含め、多くの犠牲者を伴った最悪の再発となった。私:この背景には、03年にJR西日本が導入した運転の事故やミスが起きる度に電車区ごとに設定した「持ち点」を減点する連帯責任制システムの導入があり、一種の目標管理システムがあったようだ。 これがまた虚偽の報告を生む一つの要因だったようだね。 特攻機の故障で、帰還してくる特攻兵を、いきなり「飛行機の故障のせいにするな。死ぬ気がないからだ」と上官にどなられる戦争中の精神主義中心の状況と似ているね。 民営化しても体質は変わらないね。 社会保険庁も解体して民営化すると問題なというのは安易だね。 もっと現場の姿をはっきり把握して、それを変えないとカンバンの付け替えだね。 事故後、JR西日本でも今頃になっていろいろやっているようだが、体質改善は時間がかかるようだ。
2007.07.01
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A氏:昨日の夕刊で、すでに年金を受給している人全員に加え、現役世代の年金加入者全員にも08年度中に詳しい加入履歴を送付する方針を固めたというね。 これは与党内で「国民の不安解消のために、早期に履歴を送るほうがよい」との声が強く、方針を転換したと報じている。 これだと再来年にならないと終わらないね。 だんだん、1年以内がぼやけてきたね。私:加入履歴送付案は2月頃に民主党の長妻議員が国会で提案していたことではないかね。 それを確か安倍首相は「いたずらに国民の不安をあおるものである」として拒否していたね。 事が大きくなり、選挙が近づくと急にバタバタやり出すのは、年金を政争の道具としているとしかいいようがないね。 最初から、手を打っておけば、内閣支持率だって急激に下がることもなかったのにね。A氏:今週の月曜のTVタックルでは年金を扱っていたが、例の自民党の大村議員が出たね。 今度は完全に野党やジャーナリストにやられていたね。私:年金のネコババまで暴かれる。 分からないのは、未だに、グリーンピアの責任者があいまいなことと、それにこりないで、まだ、年金でいろいろな箱物をつくれるように法律になっていることだね。 外国も年金から費用は出されているそうだと言うけれど、外国の年金にグリーンピアのようなことはあったのかね。A氏:それに年金のかなりの部分が特殊法人に貸付で流れているそうだが、焦げ付いているのもあるのではないの?私:選挙前でそれが出るのはやばいから隠すだろうね。 今度の年金問題で、安倍首相以下、関係者は社会保険庁が給与を自主返納するというのもおかしいね。 それで、年金がもどるのでもないし、あきらかに、問題の原因をぼかすね。 一方で責任を明らかにするという第三者委員会を開いているというのにね。 責任が明らかにならないうちに、バタバタ変な手を打つのはやはり選挙目当てかね。 政府は完全に後手にまわっていて、だんだん、やることにスジが通らなくなってきたね。 こういうときは、なんか、やばいことでも起きないといいがと思うね。
2007.06.30
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