デフレの正体 0
原発 0
体罰 0
糖質制限食 0
全3398件 (3398件中 551-600件目)
< 1 ... 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 ... 68 >
私:国末憲人氏は、仏大統領選で、反EUを掲げる右翼ルペン氏が勝利を収めると、独仏に支えられてきたEUは支柱を失い、一気に弱体化しないかと懸念している。 不安はEUにとどまらない。権威主義的性格が顕著なルペン氏はひとたび権力を手にすると、ロシアのプーチン政権並みの言論統制や人権弾圧に乗り出さないか。米トランプ政権と結託し、自由な言論や人権、国際法秩序をむしばむ行為に走らないかとさらに懸念している。 氏は明らかにルペン氏の仏大統領選での勝利には反対だね。 A氏:しかし、所得格差の拡大、繁栄する都市の陰で疲弊する地方、一部エリートによる政治の独占など、フランスの有権者の関心は、むしろ国内問題に集中し、現状への不安や不満が、既存政治の打破を訴える右翼ポピュリストのルペン氏支持につながっている。 23日の第1回投票では、やはり反EUを掲げる左翼メランション氏も健闘し、決選まであと一歩と迫った。その背後にも、同様の感情がある。 私:批判の矛先は、ルペン氏とともに決選に進んだ親欧州派の若手マクロン氏に向かう。彼は左派に近いが、元エリート官僚で投資銀行勤務の経験もあり、庶民の生活とは無縁のイメージが強い。 「決選でもメランションに投票を」と呼びかける運動は、そんなところから広がった。 ルペン氏には入れたくないが、マクロン氏に投じるのもしゃくだ、ならば、すでに敗退した候補の名を投票用紙にあえて書こう。当然無効票にカウントされるが、自分たちの不満を伝えることはできるというわけだ。 棄権だね。 A氏:こんな動きが生まれたのも、「どうせルペン氏は当選しやしない」と、みんな高をくくっているからで、第1回投票直後の支持率は、約6対4と開きがあり決選で白票を入れるつもりだという男性は「普段の怒りを一票に込めたい。ルペンに当選の芽はないからね」と語ったという。 ただ、その差は縮まっており、予想外の結果もあり得ないわけではない。 私:これは、このブログの「2017試練の欧州・雇用か治安か 仏大統領選、7日決選へ激論」でもとりあげていたが、セルジュ・ガラム仏国立科学研究センター主任研究員は、棄権が増えるほど、ルペン氏当選の可能性は高まるとして、マクロン氏の当選が確実だと考えるのは時期尚早だとしているのを想起するね。 国末氏はフランス国民が、不平不満表す1票ではなくEUの将来を考えた一票を期待している、 EUの重要性を強調したオランド大統領の後継を決める仏大統領選の決選投票が7日に迫る。
2017.05.04
コメント(0)
私;5月3日は憲法記念日なので新聞も日本国憲法についての記事が多いね。 朝日新聞は一面トップに、憲法学者の故宮沢俊義・東大教授のノートに昭和天皇がGHQ案に 「これでいいじゃないか」と発言したことが新たにわかったと報じている。 「安心して、これでいくことに腹をきめた」と、幣原首相の心情も記載されているという。 これは、1946年2月22日に昭和天皇が幣原喜重郎首相(当時)とGHQ案のことで面談した際の昭和天皇のお言葉と幣原首相と面談した際の心情を記録したというメモだという。 A氏:GHQ案についてはGHQの資料には昭和天皇が「全面的に支持する」と述べたとの記載があるが「発言が積極的にすぎる」など疑問視する声もあったという。 幣原首相はこの天皇との面談の前日の2月21日、マッカーサー司令官と面会しているが、これについてマッカーサーは「天皇の問題は南と北からの反対がある。天皇を象徴とする憲法を承認するということは日本のために望ましいと思う」といっていたという。 私:南とは豪州、ニュージーランドで、北はソ連だね。 天皇制廃止を強硬に要求していたからだね。 それから、オピニオン欄の東京大学名誉教授・長尾龍一氏への「日本国憲法の運命」と題したロングインタビューによると、日本国憲法が長い間、改正されなかったのは、「日本国憲法」が技術的によくできていることも大きいという。 憲法草案を作成したGHQは、かなり高度な知識人集団で彼らの多くは、軍人になる前、あるいは退役後は、教授や弁護士やジャーナリストであった。 民政局で作成の中心だったチャールズ・ケーディスは優れた法律家で、内閣など自国と異なる制度もよく考えて作り、内閣と議会の権限関係などは、だいたいバランスが取れていると長尾教授は高く評価する。 A氏:GHQのシロートが短時間で作ったのが、「日本国憲法」だという意見とは大きく違うね。 私:このブログの「日本国憲法 改正されずにきた訳は、でふれた通り「日本国憲法」が改正されていないのが、「日本国憲法」は非常に短く、そのため、憲法では「法律でこれを定める」と書いてあるだけ。 だから、他国から見たら、憲法改正なのに、日本では法律の改正で補ってきたので、改憲は具体的に必要がなかったことになる。 A氏:長尾教授は、昭和初期の日本は欧米に反逆して失敗して、戦後に親欧米に転向し、戦後の多くの保守政治家も基本的にはそういう発想だったという。 アメリカニズムを日本に深く持ち込むと家父長的秩序を破壊したりして困るが、国家としてアメリカに追随するのは国益だと考えた。 私:長尾教授は、占領軍による家族法改革もほぼ定着して、選挙権をもった女性に抵抗して旧家族制度を復活しようなどという反動派はほどなく消えてなくなったという。 そういう意味で保守政治家も戦後体制の受益者で、今の情勢が続くならば安倍内閣の『保守暴走』的な側面は、看板倒れに終わるのではないかという。 しかし、旧家族制度を復活しようなどの動きは「日本会議」の活動にもあるね。 A氏:改憲の必要性があるとすれば、テロが身近で頻発するようになったら、憲法の転換期になるかも知れないという。 私:老人国家日本に残された長所である『落ち着き』を失う必要はなく、イギリスやアメリカさえ狂奔を始めた気配のある今、日本はいっそう落ち着くべきだと長尾教授はいう。 いまのところ、憲法改正の具体的な切迫感があまり感じられないね。
2017.05.03
コメント(0)
1niti 私:世論調査で優位が伝えられるエマニュエル・マロン前経済相が雇用対策を訴えれば、右翼・国民戦線(FN)のマリーヌ・ルペン氏は治安・移民対策に力を入れるという対立だね。 「考/論」欄でセルジュ・ガラム仏国立科学研究センター主任研究員は、興味ある論評をしているね。 仏大統領選の決選投票で注目したいのは、特定の候補への投票行動に固執する有権者の動向で、ルペン氏に投票した有権者の大半は他の候補に流れず、同時に、「反ルペン」に固執する有権者も多いとう。 A氏:今回の特徴は、「反ルペン」の有権者が、対立候補のマクロン氏にも強い拒絶反応を示していることだ。 左翼のメランション氏は第1回投票で自らに投票した人に「自由投票」を呼びかけていて、これまでのようなルペン包囲網はほころびをみせているというのが、戦後の大統領選で初めての現象だという。 私:このため棄権が増えるかもしれない。 棄権が増えるほど、ルペン氏当選の可能性は高まる。 ルペン氏の支持率は50%を超えることはないが、セルジュ・ガラム氏の推計モデルでは、マクロン氏支持が58%、ルペン氏支持が42%と仮定した場合、マクロン氏支持の人の65%しか実際に投票せず、逆にルペン氏支持の人の90%が投票すればルペン氏が当選ラインを超える。 マクロン氏の当選が確実だと考えるのは時期尚早だと、セルジュ・ガラム氏はいう。 7日のフランス国民の選択はどうなるだろうか、待たれるね。
2017.05.02
コメント(0)
私:北朝鮮が弾道ミサイルの発射に失敗した29日朝6時7分から10分ほど、東京の地下鉄では北朝鮮ミサイル発射のために運行を一時見合わせるという案内放送が流れ続けた。 これに対し、東京の地下鉄が止まったことに、韓国で驚きが広がっているという。 韓国では、普段からミサイル発射時には地下鉄構内に逃げ込むよう呼びかけられており、「地下は比較的安全」という認識もあるようだと報じている。 A氏:東京の地下鉄だけでなく、一部の新幹線も同日、北朝鮮ミサイル発射を理由に10分間運行を見合わせた。 日本の西部を走る新幹線を運営するJR西日本は同日、朝6時8分から10分間、北陸新幹線の運行を一時見合わせた。 運行見合わせの時間が10分間だった理由は、北朝鮮から日本にミサイルが発射された場合、ミサイルが日本に落ちたり、通過したりするまでかかる時間が最大10分だからだという。 私:おかいいね。 北朝鮮は、午前5時33分ごろ、西部のピョンアン(平安)南道プクチャン(北倉)から弾道ミサイル1発を発射したと報道されている。 発射後、30分以上たっているのに、なんで電車を10分停止するのだろう。 A氏:東京メトロとJR西日本は防衛省のJアラートでなく、マスコミの報道だけで運行の一時見合わせを決めたようだ。 東京新聞は「東京で地下鉄を止めるなんて、過剰に反応にしすぎだ。北朝鮮がやっていることはもちろん問題だが、日本政府や行政が過剰な恐怖心を煽っているのも問題だ」と在日同胞3世のパク・ウォンホ氏の話を紹介した。 私:韓国の聯合ニュースは「『失敗した』ミサイル発射に地下鉄まで止めた日本」、東亜日報(電子版)は「北ミサイル発射に地下鉄、新幹線運行中断 『大げさに振る舞う』」の見出しで日本の対応を報じた。 武力衝突の事態になれば「火の海になる」といわれるソウルだが、29日朝には地下鉄をはじめとする市内の交通機関は通常の運行を続けた。 地下鉄を運行するソウルメトロによると、車内モニターでテロ発生時の対応を説明した映像を流すなど、乗客に危機の心構えも説いているが、弾道ミサイル発射で電車を止めたことはないという。 A氏:韓国では普段通りの暮らしが続いていて、戦争に近い経験をしたかれら、見ても、東京の人たちの不安ぶりは不思議に思え、軍事衝突が容易に起こるとは考えにくいと思っているようだという。 私:ただ主要紙の中央日報などは「韓国戦争(朝鮮戦争)以来最高の危機 韓国だけが知らないのか」などと危機感の薄さを批判しているという。 どちらにせよ、電車をとめるなら、迅速かつ、正確な情報で、リスク回避に効果性のある説明がほしいね。
2017.05.01
コメント(0)
私:トランプ政権の誕生や、英国のEU離脱など、世界で何か大きな地殻変動が起きつつあると感ずるが、本書は、歴史の中に現在を位置づけ、空間軸を大きくアジアにとって日米関係を相対化することで、国際秩序の根本変化に目を向けるよう誘ってくれると評者はいう。 本書によれば、米国の衰退は不可避的に進行中で、それはどの政権であっても覆せないという。 A氏:ローズベルト大統領のニューディール政策は、かつてインフラ整備で米国を世界一のものづくり大国へ押し上げ、独占を打破し、労働者保護や社会保障の導入により中間層を形成し、豊かな国内市場の創出に成功した。 私:だがいまやオバマ政権ですら、金融によるアメリカ経済支配を打破できず、ものづくり衰退はさらに進み、税制と医療保険の改革も不十分なまま格差は広がり、軍事に対して不釣り合いなまでに貴重な資源を割くアメリカ経済の体質もまた、その体力を奪っていくという。 A氏:一方、アジアでは、世界のものづくりの中心は、中国を中心とする東アジアと東南アジアに移行し、これら諸国では先進国をはるかに上回る成長が続き、所得水準の上昇で中間層が急速に膨らみつつある。 巨大な「世界の工場=市場」がアジアに生まれ、貿易と直接投資を通じて相互依存が深化しており、事実上の「アジア生産通商共同体」が形成され、インド・バングラデシュといった南アジアも巻き込みつつ拡大している。 私:我々がいま目にしているのは「資本主義の終焉」などではなく、欧米からアジアに資本主義の中心軸が移動する歴史的大転換だというのが、本書の中核的主張だと評者は解説する。 A氏:日本経済の将来を、中国との対抗関係の中に置くのか、それとも興隆するアジア生産通商共同体に置くのか、改めてそのデザインを再考すべきとの本書のメッセージは傾聴に値すると評者は指摘する。 私:米国も絡む尖閣諸島など南シナ海を含め中国との対抗関係はどのように解決するかだね。
2017.04.30
コメント(0)
私:1人あたり国民総所得が約2万7千ドルで日本の3分の2ほどの韓国経済だが、最近は成長が鈍り、さまざまなひずみが目立つという。 急速な発展を遂げた韓国だが、そのスピードに追いつかなかったのが、年金や生活保護のセーフティーネット。 急成長で「安全網」が後手となっている。 これは、高齢者の貧困に象徴的に表れている。 国民年金の導入は1988年、「皆年金」は99年と歴史が浅く、多くの高齢者が年金を十分受け取れていない。 A氏:家族のあり方も変わり、「子どもが高齢の親をみる」という「伝統」もゆらぎ、高齢者世帯では、独居または夫婦のみが04年には55%だったのが、14年で7割に迫る。 私:高齢者でも格差は大きく、貧しい高齢者は将来を悲観して自殺する人が多く、韓国の高齢者の自殺率は、10万人あたり55.5人でOECD平均の3倍という自殺大国だ。 韓国の高齢化率は、日本の半分ほどの14%だが、「世界最速のペース」で進む。 A氏:一方、生産年齢人口は今年から減少に転じる見込み。 政府の少子化対策も成果に乏しい状態。 私:ところで、韓国は「自営業大国」でもあり、OECDによると就業者数に占める自営業者の割合が約25%で加盟国でも上位で約11%の日本の倍以上。 1997年の通貨危機を経て2000年代には3割を超えていたという。 A氏:通貨危機により、規制緩和で雇用が急速に流動化して、定年まで働ける「保証」は過去のものとなり、働き盛りのときにリストラで退職を強いられ、自営に乗り出す中高年が増えた。 私:産業構造の変化やリストラなどで仕事を失った人の受け皿役を自営業が担ってきたという。 選択肢なき「自営業大国」だね。 しかし、その自営業も競争が激しく、苦境に陥っている店も多いという。 A氏:韓国経済の最近の姿を、多くの専門家が「雇用なき成長」と表現する。 半導体などの主力分野は、国内に産業のすそ野が広くなく、受注や雇用を生み出す効果は限られ、競争を勝ち抜くため、財閥系などの大企業は正社員を絞り込む傾向がある。 一方、中小企業は給料だけではなく、育児や介護と両立しやすい環境、退職後の年金などでも、大企業との差が大きい。 私:韓国の若者(15~29歳)の失業率は2016年に9・8%と00年以降で最高となり、就職を諦めた人らを含めると、実態はさらに深刻で、不安定な非正規職のまま、結婚や出産を望んでもかなわぬ若者も珍しくない。 A氏:こうした中、「安定」を切望する若者が殺到する就職先が、公務員だ。 公務員試験向けの予備校がひしめき合うという。 私:大企業と輸出に頼る従来の成長モデルは以前から限界が見えていたが、それでも00年代はまだ平均4%台の成長を維持していたところ、過去5年はおおむね2%台で、中国経済の減速や輸出の伸び悩みなどが原因。 韓国では5月9日、大統領選があり、暮らしや仕事に直結するだけに、経済政策への関心は高いという。 新大統領にはぜひ、経済や雇用が安定し、多くの仕事が生まれるような施策を進めて欲しく、誰がなっても、それが一番の望みだという。 しかし、一方では国際問題になった切迫した北朝鮮問題を抱えながらの韓国経済はどうなるのだろう。
2017.04.29
コメント(0)
私: 昨年の米大統領選では「フェイクニュース」が投票行動に影響を与えたとの指摘もあり、ドイツ政府としては、今年9月に予定されている連邦議会選挙までに「フェイクニュース」を規制する法令を議会で可決・成立させたい考えだという。 A氏:「フェイクニュース」については、我々の生活にも直接関係しているね。 私:これについて、津田氏は、まず、4月初旬、生後6カ月の男児が蜂蜜入り離乳食を摂取したことで「乳児ボツリヌス症」を発症、日本初の死亡事例となった事件を取りあげている。 原因は、国や自治体が母子手帳や乳児健診で1歳以下の乳児に蜂蜜を与えてはいけないと注意喚起していたにもかかわらず、日本最大のレシピサイト「クックパッド」のサイト上に蜂蜜を使った離乳食レシピが約140件も掲載されていたからだ。 同サイトに非難の声が集まった。 A氏:このサイトは、月次利用者数は6327万人と、実に日本人の2人に1人が日常的に利用しているという。 その影響力は大きいが、同社に法的責任を問う声は聞こえてこないのは、彼らは一般市民がレシピ情報を投稿する「場」を提供している存在、すなわち、「プラットフォーム事業者」に過ぎないからだ。 同社の利用規約には「本サービスの利用により発生した利用者の損害については、一切の賠償責任を負いません」と記載されていて、レシピの利用はあくまで閲覧者の自己責任で、という立場。 通常、大手出版・新聞社には情報が正しいか確認する「校閲」という部署があり、専門家のチエックを受ける。 普段我々が意識することは少ないが、雑誌や新聞の定価にはそうした「情報の検証コスト」も含まれていることになる。 私:しかし、IT企業大手のDeNAの対応は違っていた。 昨年末、同社が、専門家の監修なく、健康を損なう恐れのある医療情報を発信するなどのずさんな運営が発覚し大バッシングにさらされたとき、同社の守安功社長は「情報の質の担保という、本来メディアの事業者として行わなければいけなかった点が不足していた」とコメントし、問題発覚当初、自分たちは「プラットフォーム事業者」に過ぎず、発信する情報に対する責任は限定的であるとしていた考えを大きく転換させた。 A氏:世界最大の情報発信・流通プラットフォーム事業者であるフェイスブックとグーグルは、昨年の英国のEU離脱決定、米国のトランプ大統領誕生を機に自社で情報の「質」を担保する取り組みを始めた。 国際的にも注目された二つの大きな選択で、プロパガンダ目的の「フェイクニュース」が両社のサービスを通じて大量に広まり、結果に影響を与えたと言われているからだ。 私:津田氏は、「プラットフォーム事業者」が「自分たちの扱う情報の利用は、利用者の自己責任で」と表明すれば許される時代が終わりを告げようとしていると指摘している。 A氏:質の悪い情報は、健康に関する情報だけでなく、個人を発信源として起きているヘイトスピーチなどのネガティブな現象は、個人が責任を取れる範囲を超える影響力を持つ。 だからこそ、「プラットフォーム事業者」の倫理が問われる。 私:プラットフォーム事業者は情報の質についてどこまで責任を負うべきか、そのコストは誰が支払うものかなど、世界では既存メディアも巻き込む形で問題解決に向けた取り組みが始まっており、「ポスト真実」の事例が豊富な日本でこそ議論をリードし、世界に発信していく必要があると津田氏は主張している。
2017.04.28
コメント(0)
私:日本国憲法は、戦後70年近くたっても改正なしできたのは、なぜかという点について、この論壇の記事は別な視点を示していて興味があるね。 まず、日本国憲法の特性がある。 A氏:実は日本国憲法は非常に短い。 各国憲法を英訳した単語数を比較すると、日本国憲法はインド憲法の29分の1、ドイツ基本法の5分の1に満たず、世界平均の4分の1以下なのだという。 大きな理由は、条文に具体的規定が少ないことで、例えば他国の憲法では、選挙や地方自治の制度などを具体的に書いてあることが多いが、日本国憲法では「法律でこれを定める」と書いてあるだけ。 私:これが、日本国憲法が改憲されなかった理由だという見方があり、他国では改憲が必要な制度改正でも、日本では公職選挙法や地方自治法の改正で対応できた。 憲法改正には議会の3分の2の賛成を必要とするものは世界で78%だというから、日本国憲法が、特段に改正が難しいわけではなく、改憲しなくても「事足りた」から改憲されなかったという。 A氏:小熊氏が、確認してみたところ、日本国憲法で「法律でこれを定める」と書いてある条文は10カ所もあるという。 このことを踏まえると、昨今の改憲論の背景がわかり、例えば民進党の細野氏は、現憲法は「国と地方の関係」を「法律に丸投げ」しているとして、地方自治や教育権などの条文を詳細にする私案を公表したが、確かにそういう不備はあるといえる。 私:そうした不備は細野氏が指摘した条文だけにあるのではなく、このやり方で各条文を詳細にすれば、憲法全体を書き直す作業になり、その困難さと、過渡期の混乱を考えれば、政策の実現手段としては現実的ではないことになる。 A氏:これとは別に、「押しつけ憲法」だから改憲しようという声もあり、これに対し、憲法学者の木村草太氏が「『押しつけだから気に入らない』というのでは、『いまの日本国憲法に内容的問題がない』と自白しているようなもの」との発言をとりあげており、こうした心情的改憲では、条文の具体的内容がよくなる目途はないだろうという。 私:「憲法は権力者が守るべきものとして定められたものである」とすれば、憲法の規定が簡略であるほど、政権党や政府の裁量や解釈が入りこみやすく、憲法が簡略すぎるのは、確かに一種の不備ともいえる。 この論壇では9条の問題をとりあげていないが、9条があるのにかかわらず、憲法解釈で現実に日本の自衛隊はドイツについで世界第9位の軍事力を持っている。 A氏:木村氏の「権力者の問いを待っているだけでは国民のための国家は実現しない。国民の側から、『こんなことに困っている』『この制度はおかしい』と声を上げていかねばならない」という発言を小熊氏は最後にとりあげ、そうした状態をめざすことが、憲法をめぐる全ての議論の前提で、それなしには、「憲法を変える」ことも、「憲法を守る」ことも、ありえないという。 私:そういう状態になるまでは、もっと時間がかかりそうだね。
2017.04.27
コメント(0)
私:フランスは、大統領の決選投票が近づいている。 しかし、ピケティ氏が、今月とりあげたテーマは、大統領選ではなく、フランスの格差問題だが、フランスは根っからの平等な国であるとすれば、いま行われている大統領選で、グローバリゼーションと欧州連合(EU)に対する強い不安が、なぜこれほどまでに噴出しているのか、という疑問が浮かぶとピケティ氏はいう。 A氏:フランスで累進的な所得税が導入されたのは1914年で、最も遅い国で、戦費調達のために不可欠だったからであった。 当時、ドイツや英国、スウェーデン、米国、日本ではすでに累進的所得税は導入されていて、国によっては何十年も前から学校や公共サービスの資金源になっていた。 私:今日、フランスの教育システムも、大きな格差を抱える。 公的資金は(エリート養成学校など)厳しい選抜がなされる学校の学生に重点的にあてられていて、投入される資金は一般大学の学生と比べて3倍に上る。 社会的に恵まれない若者の多くは一般の大学に集まっているのに、エリートを重視して(予算を)引き締める傾向にあり、一般大学の学生1人あたりの公的支出は、2007年から17年の間に10%下落。 さらに(大統領選の候補者の)いくつかの政策集を見ると、今後5年間でこの傾向は悪化しそうだという。 A氏:お金の不平等については、国民所得の下位50%が文字どおり崩壊した米国ほどではないが、フランスでも所得の不平等の拡大自体は、確かに進んできている。 フランスの1983年から2015年までで、上位1%の最富裕層の平均所得(物価上昇分も含む)は100%増加し、上位0.1%に限ると、150%の増加になる。 これに対し、その他の層の国民所得の上昇は、25%に届くかという程度で、1年あたりでは、上昇率は1%に届かない。 私:ピケティ氏たちの研究では、高額の資産がかなり大きく増えていることが判明し、1千万ユーロ以上の資産になると、90%は金融証券が占める。 1980~90年以降、こうした高額資産が増えていくスピードは、GDP(国内総生産)の成長速度をはるかに上回るだけではなく、資産の平均的な増加よりもずっと速いスピードを見せているという。 にもかかわらず、今回の大統領選の何人かの候補者たちが、金融資産を対象にした富裕税の廃止を検討していることは、理解しがたいとピケティ氏は指摘する。 さらに言えば、富裕税の税収は50億ユーロあるのに対し、固定資産税は300億ユーロに上るのだから、給与所得よりも金融所得の税を少なくしようとする理由もわからないという。 A氏:(富裕層を優遇する対応は)政治資金の調達に対する「お返し」にも見えるという。 いまは、最も厳しい環境にいる社会集団の人たちが、自分たちは見捨てられていると感じ、排外主義の誘惑に引きつけられているときなのだから、フランスは逆進性の高い税金を望んでいると思われることは危険だとし、フランスに不平等はないという考えとは、いますぐ手を切るべきだとピケティ氏はいう。 私:大統領決選投票で、フランスは、ピケティ氏のいう方向に政策は改革されるだろうか。
2017.04.26
コメント(0)
私:「組織的犯罪処罰法改正案」に対する賛否の世論調査では、朝日新聞が15、16日に実施したものでは、賛成35%、反対33%と拮抗。 一方、読売新聞がほぼ同じ時期に「テロ準備罪法案」について聞くと、賛成が58%で、反対25%を大きく上回った。 産経新聞・FNNでも「テロ等準備罪」を設ける法案に賛成57・2%、反対32・9%だった。 A氏:毎日新聞の22、23日の調査では「『テロ等準備罪』を新設する組織犯罪処罰法改正案」への賛否を聞いて、賛成49%が、反対30%を上回った。 同社の3月の調査では「テロ」の言葉を使わずに質問しており、賛成30%、反対41%と逆だった。 私:質問に「テロ」が入るかがポイントだね。 毎日新聞は、「(法案の)主眼をテロ対策と受け止めると、賛成が増えるようだ」と分析。 朝日も2月の調査で「テロ等準備罪」と「テロ」を入れた賛否を聞いた際には賛成44%、反対25%だった。 やはり、「テロ」を入れると賛成が増える。 A氏:共同通信の4月の調査は。「犯罪を計画段階で処罰する『共謀罪』の趣旨を盛り込んだ組織犯罪処罰法改正案」と「テロ文言なし」での賛否を聞いたら、賛成41・6%、反対39・4%と拮抗。 NHKの今月の調査は、法案を「テロなどの組織犯罪を未然に防ぐため、『共謀罪』の構成要件を改めて『テロ等準備罪』を新設する法案」などと説明。 結果は「どちらとも言えない」が最も多く45%、賛成24%、反対21%だった A氏:音声でやりとりする電話調査では、報道各社は極力、分かりやすい質問を心がけているが、問題が複雑な場合、説明を補わないと意味が通じにくいので、その結果、各社で質問文も違ってくる。 同じ社でも聞き方を変えると、回答傾向が異なり、さらに、NHKの調査で「どちらとも言えない」が最多となり、朝日の調査でも3割が賛否を答えていない。 これらから、「法案への理解は、まだ進んでいないとみられる」。 私:朝日新聞では「問う『共謀罪』 表現者から」欄を連載しているが、これは参考になるね。 作家の半藤一利氏は、「『戦前と違う』とは思わない」として、氏の父親は「日本は戦争に負ける」なんて言うもんだから、治安維持法違反で3回警察に引っ張られたという。 当時は戦争遂行のための「隣組」があり、住民同士を相互監視させる機能も果たし、「刺す」という言い方もあったけれど、父親を密告した人がいたんだろうという A氏:作家のドリアン助川氏は、「反権力作品、いまは罪に問われぬが」として、反権力的な発言やデモを企画すると捜査機関から何らかの取り調べを受けるのではないかという恐怖に加えて、人が何を考えているかを罪にすることができるようになると、密告が起きやすくなるという。 国民それぞれが密告しあい、「メールでこんなことを言っている。危ないんじゃないか」とだれかが通報して捜査機関が動き、本音を出さず、監視しあう。 のっぺらぼうの顔をしてすれ違う、そんな社会は、憎悪も生み、かえって、テロの温床になるという。 私:漫画家の小林よしのり氏は、「自由奪われた羊にさせられるのは嫌」として「『共謀罪』に賛成する人はたくさんいる。『自分はやましいことはしない』と思い込んでいるんだろう。安全のためなら、監視された方がいいくらいの感覚。わしはそんな国民にも腹がたつ」とこの人らしく厳しいね。 監視社会になれば、内心思っていることは、公表されない人との会話や、書類メモなどに記録されるが、これにも冗談もユーモアも言えず、窮屈だね。
2017.04.25
コメント(0)
私:ちょっと、古い記事だが、トランプ氏が実行段階で、いろいろ問題をおこしているのをクルーグマン氏がまとめているね。 特に今回は貿易政策を問題にしているね。 A氏:実業界は、トランプ氏が貿易に関しては見かけ倒しの張り子の虎だ、と結論づけたようで、企業のメキシコ移転の流れは、各社の経営者が新大統領に気に入られようとしている間は一時的に鈍っていたが、再び活発になっており、ツイッターによって発信されていた貿易政策は、自然に消滅したようだという。 投資家も同じ結論に達したようで、メキシコペソは米大統領瀬後に16%急落したが、就任以降、ほぼ完全に回復。 私:選挙中は、貿易に関してばかげたことを話してもトランプ氏は痛手を被らなかった。 しかし、今、ひどく不公平だとして自分が再交渉すると約束した貿易協定が、それほど不公平ではないことに気付き、次に何をすればよいか全く分からない状況になっているとクルーグマンは厳しく指摘している。 A氏:経済学者は、かなりの正当な根拠を持って、1990年代から2007年にかけての中国の輸出急増がもたらした、(米国の)雇用と市民生活に対する破壊的な影響、つまり「中国ショック」について語っているが、今になってグローバル化を反転させれば、同じくらいの苦痛を伴う「トランプショック」が起き、雇用と市民生活は再び混乱に陥り、そして大企業も、苦しむことになるという。 肝心なのは「トランプトレード」が、根の部分では、「トランプケア(オバマケアの代替案)」を衝突・炎上させたのと同じ壁にぶつかっている点で、トランプ氏は、歴代大統領が全てにおいて失敗し、自分が、自分だけが、はるかにうまくやれると豪語し、多くの有権者が彼を信じた。 私:しかし、米国の統治はテレビのリアリティー番組でない。 数週間前にトランプ氏は、「医療保険制度がこんなに複雑だなんて、だれも知らなかっただろう」と泣き言を言ったが、いまや人々は、貿易政策についても同じなのではないかと疑っているとクルーグマン氏は指摘する。 TPP離脱後の、日米の2国間交渉では、自動車と農産物が主な話題になるだろうが、具体的にどうなるかね。 実態をトランプ氏が知れば、現状とあまり変わらないのではないかね。
2017.04.24
コメント(0)
私:著者のパットナム氏は、米ハーバード大学教授で編著書に「流動化する民主主義」がある。 「二つのアメリカ」への分断、本書が克明に描き出すのは、アメリカン・ドリームが過去のものとなりつつある現状であるという。 「二つの」社会階級は、親が大卒か高卒かで分けられ、本書の魅力は、それぞれの社会階級に属する若者たちへのインタビューをもとに、一人称で語られる「二つの」物語を対比していることにある。 A氏:周到な研究が明らかにするのは、昂進する格差が、誰と結婚してどこに住むか、子どもをどのように育て、教育するか、誰から助言を得られるかといった見通しにおいて、若者が分け隔てられている現実であるという。 著者が高校を卒業した半世紀前と比べ、自らの努力で上昇移動できる途は確実に塞がってきていて、資本形成の機会は、経済資本はもとより人的資本(教育・訓練)、文化資本(ライフスタイル)、社会関係資本(ネットワーク)のどれをとっても一方には開かれ、他方には閉じられつつあるという。 私:機会の格差は、多様な才能を生かせずに社会に経済的な損失をもたらし、政治的な影響力を偏ったものにしてデモクラシーをゆがめ、近隣の相互不信を強めてコミュニティーを荒廃させる。 ここで著者が喚起するのは、なおも多くのアメリカ人が支持する「機会の平等」の理念である。 A氏:日本も、格差が世代を越えて継承される段階に入り、機会の平等を単に形式的なものと解すれば、「二つの」社会への分断は避けようがない。 機会への公正なアクセスを若者に開くことができるか、本書には、その探求を迫る力があるという。 私:読んでみようかと思って、図書館に検索したが、400頁近い大書なので諦める。 図書館の内容案内には「子どもたちにはもう、平等な成功のチャンスはない。『夢なき社会』を生んだ米国の貧困を活写。世代・人種・社会階層の異なる市民へのインタビューと、緻密な統計分析を通して、成功の機会格差の固定化を実証し、未来の世代への警鐘を鳴らす」とある。 編著書の「流動化する民主主義」は10名ほどの共著で、短編小説集のようなものなので、こちらを予約した。 この本の要旨は図書館の案内によると「過去五〇年間に市民社会の性格はどのように変化したのか、またその要因は何か。本書では、イギリス、アメリカ、フランス、ドイツ、スペイン、スウェーデン、オーストラリア、日本という八カ国を取り上げ、現代の脱工業化社会において社会関係資本がどう変化しつつあるのかを論じる。第二次世界大戦終結後から二〇世紀末までの期間にわたる、初の定量的・定性的な検証の成果」とある。 待ち無しで借りられそうだ。
2017.04.23
コメント(0)
私:日本郵政の西室泰三前社長は2015年に6200億円で豪州の物流大手「トール」を買収したが、15年春の取締役会で初めてその買収を説明し、「もう決めた」と語ったという。 取締役から批判が上がり、巨額買収を心配する声は当初からあったものの、西室氏の意思は変わらず、買収について内部の検討はほとんどなく、上から降ってきた話だったという。 元幹部は「とにかく上場を乗り切ろうという姿勢で、会社の将来を考えての判断とは思えない」と語っていたという。 巨額の買収費用に「高値づかみだ」との声も出ていた。 A氏;そして、ついに、買収した豪州「の「トール」の業績がふるわず、会社の資産価値を切り下げる「減損処理」をする必要が発生し、日本郵政は、巨額の損失を計上し、民営化以来初めて純損益が赤字になる可能性が出てきた。 業績の大幅悪化は、政府が東日本大震災の復興財源に当て込む日本郵政株の売却益を減らしかねない。 日本郵政株の終値は、減損の検討が明るみに出た20日に前日比で2・6%下落。 翌21日に1・6%戻したものの、今後も不安定な値動きが予想され、財務省理財局は「売却時期や規模については、市場環境などをふまえて適切に判断する」とみて、株価の下落が続く場合、売却時期の先送りもありそうだ。 私:16年初めに、グループ内でも「トール」の問題で「すぐに減損処理せざるをえない」との見方が強まっていたという。 そのころは、西室氏がかつて社長を務めた東芝の子会社、ウェスチングハウスも原発の受注悪化などから減損が避けられないとの見方が出ていたね。 A氏:西室泰三氏といえば、1996年に東芝社長になってから、西室体制で、東芝経営にあたり、現在の東芝に追い込んだ人だね。 2013年、日本郵政社長に就任。 私:16年2月に取材に応じた日本郵政幹部は、同年3月期に「トール」の減損を実施するかを問われ、「しない。ウェスチングハウスと同じだ」と答えたという。 東芝、そして今度は、日本郵政と西室氏の経営責任は重いね。
2017.04.22
コメント(0)
私:フランスの経営大学院INSEAD(インシアード)や国連の世界知的所有権機関などによる昨年のイノベーションのランキングで日本は16位。 シンガポール、韓国、香港に及ばず、調査指標の変更はあるが、07年の日本は4位だったので、この10年低迷は明らかだという。 A氏:黒川清氏が、座長として2025年までを視野にした長期戦略指針「イノベーション25」を第1次安倍内閣閣の07年、とりまとめ、第2次安倍内閣でも、「科学技術イノベーション総合戦略」が掲げられている。 1970年ごろからの情報技術の急速な進歩で、現在はインターネット、人工知能が大革命を起こしていて、その中でイノベーションを生み出せるのは異能、異端の人々。 「イノベーション25」で処方箋のキーワードに掲げたのも、「『出る杭』を伸ばす人材育成」だという。 iPS細胞でノーベル賞を受賞した京都大学の山中伸弥教授も「異端」だね。 私:世界の変化は速く、日本は、「出る杭」を育てる状況に向きつつあるが、まだまだで、 黒川清氏が、そのことを強く感じたのが、2011年の福島第一原発事故を検証した国会事故調査委員会に、委員長として取り組んだ時だという。 検証作業の中で見えてきたのは事故を生み出した、タテ割、同調圧力、個人より組織といった日本特有の社会構造の「ムラびと社会」で、個人が独立して考え、異論を言い、活発に議論し、行動できる環境でないと、イノベーションは生まれにくい。 A氏:黒川清氏は、日本の社会全体が、すぐに変化することは難しいので、若い人に期待していて、「出る杭」になれ、という。 留学でもボランティアでもいい、海外に出て、違う価値観を体感し、独立した個人としての自分を自覚し、世界を感じとり、そして失敗を恐れず、行動し、失敗しても、その経験から学び、賢くなるという、そんな若者が増える社会に、日本が変わってほしいと黒川清氏は期待しているという。 私:もう一人のユーグレナの出雲充社長は自己の体験をくわしく語るのかと期待したが、プロスポーツ選手の世界への挑戦の話が中心でああまり、参考にならなかった。 黒川清氏の考えも常識的な総論で、何故、日本のイノベーションが低迷してるかの具体的掘り下げに乏しかった。 これなら、このブログの「22日の朝日新聞・日曜書評より」でとりあげた山口栄一氏〈著〉『イノベーションはなぜ途絶えたか 科学立国日本の危機』のほうが日米の比較を具体にして、問題点を具体的に指摘しているね。 かつて「科学立国」と呼ばれた日本の産業基盤が揺らいでいて、1980年代に栄えたエレクトロニクス産業は今や衰退し、医薬品など21世紀を担うバイオ分野でも国際競争から脱落。 本書によれば、その主な原因は「イノベーション政策の失敗」にあるという。 A氏:日本では90年代、製造業など大手が基礎研究所を廃止したことで産業競争力が衰えたが、同時期、実は米国もAT&Tやゼロックスなど大手企業が基礎研究から撤退した。 しかし、米国はその後、ITや医薬品などで技術革新が巻き起こったが、日本はそうならなかったね。 私:両者の違いはどこにあったのか? 当時、米国政府は「大企業はもはやイノベーションを起こせない」と見切りをつけ、技術革新の新たな担い手として大学院生らの起業を支援する「SBIR制度」を創設。 これが卓越した審査・報償方式によって目覚ましい成果を上げた。 日本政府も追随しようとしたが、実際には「パフォーマンスの低い中小企業」への補助金制度と化し、国税の浪費に終わった。 日米の制度の運用の詳細な違いをこの本で知ると、日本で企業家精神が育たないのはリスクを避ける国民性ではなく、制度設計に問題があるようだ。 著者の山口栄一氏は、これを修正すれば、産業競争力は復活するという こういう具体論がほしかったね。
2017.04.21
コメント(0)
A氏:昨日、このブログの「石炭火力 優遇で第2の『東芝』生むな」で、日本の温暖化対策の問題点が指摘されたが、トランプ大統領の温暖化対策に対する行動は、TPP離脱同様に劇的だね。 私:「石炭との戦争は終わりにする」と3月28日、トランプ氏はオバマ前大統領が力を入れた地球温暖化対策を全面的に見直す大統領令に署名。 A氏:オバマ氏は、温暖化対策の新たな国際的な枠組み「パリ協定」の採択と発効に指導力を発揮し、国内でも火力発電所への規制を強め、2030年に発電所から出るCO2を05年比で32%減らす目玉政策「クリーンパワー・プラン」の導入を進めた。 これに対し、トランプ氏は、今回の大統領令では「クリーンパワー・プラン」の撤廃に加え、国有地での新たな石炭採掘を禁じる規制の撤廃、採掘で出るメタンガスの規制緩和など、エネルギー開発の足かせになる規制を根こそぎ見直す指示が盛り込まれた。 環境保護局(EPA)の長官には、温暖化対策に批判的なスコット・プルイット氏を指名。 私:トランプ大統領は、就任直後、温暖化対策などの撤廃で労働者の賃金を7年間で300億ドル(約3兆3千億円)以上増やせると発表した。 見直しが進めば、「パリ協定」で米国が掲げた温室効果ガスを25年までに05年比で26~28%減らす目標は達成が難しくなるとみられる。 トランプ政権は途上国の温暖化対策のために約束した支援金を打ち切る意向も示しており、国際社会の反発は必至だという A氏:何より懸念されるのが、米国が「パリ協定」から離脱することで、トランプ氏はかつて温暖化を「中国によるでっちあげ」などと否定し、大統領選中も「パリ協定」を「キャンセルする」と語っていたことだ。 当選後は慎重な表現に変えたが、環境保護局長官・プルイット氏は4月13日、「『パリ協定』は離脱しなければならないものだ。米国にとって悪い協定だ」と米テレビインタビューで明言。 5月下旬のG7サミット前に打ち出すとみられる新たな方針に世界中が注視しているという。 私:TPP同様、「パリ協定」も崩壊かね。
2017.04.20
コメント(0)
私:地球温暖化対策で、石炭火力発電所は減少するのかと思っていたが、この「私の視点」欄で明日香教授が、日本で建設が計画されている石炭火力発電所は、44基にも上ると指摘しているのには驚いた。 明日香教授が住む仙台でも、首都圏に売電する石炭火力を仙台港で建設していて、3月初め、ほぼ工事を終えた段階で初めて住民説明会が開かれた。 住民約500人が、健康被害や環境への影響を心配して集まり、「土地が安いからといって被災地を食い物にするな」などの怒号で騒然となったとある。 A氏:石炭火力は、温暖ガスの大量排出という点でも問題で、欧州の電力会社の連合体は、一部を除き30カ国が2020年以降の石炭火力の新設はしないとの声明を出したという。 このような流れに完全に逆行する日本の温暖化対策について、ドイツのシンクタンク「ジャーマンウォッチ」は、主要排出国58カ国中、下から2番目と評価したという。 私:日本の「原発が稼働していない」というのは理由にならず、ドイツは脱原発を決めていて、かつ日本よりもはるかに厳しい温暖化対策目標を掲げる。 パリ協定に提出した文書で、温暖化対策として原子力発電の拡大を明示したのは、162カ国中、中国や日本など6カ国で、多くは、温暖化対策に原発は不要としているという。 A氏:日本での、いわゆる「原子力ムラ」は、実は「原子力+石炭ムラ」だと教授は言う。 主なムラの「住民」は、(1)ともに大規模で特定地域に集中する原発と石炭火力を経営資産とする大手電力会社、(2)原発と石炭火力の両方に発電タービンや機器などを提供する大手重電メーカー、(3)彼らを支持基盤とする政治家や官僚などだという。 私:世界では、再生可能エネルギーが、原発や石炭火力よりも安くなっており、日本でさえ、2010年度の原発の発電量の70%相当が、その後の5年間で再生可能エネルギーと省エネに置き換わった。 しかし、日本でいまだ再生可能エネルギーが他国よりも高いのは、工事費の高さと共に様々な補助金や送電網への事実上の優先接続など、原発と石炭火力を優遇する制度があるからだと教授は指摘する。 A氏:教授は、こうした国策は時代錯誤であり、それに頼った経営戦略をとる電力会社や重電メーカーは、第2、第3の「東芝」となり、大きなビジネスチャンスを逃すという意味で日本の製造業全体の衰退につながるだろうと警告する。 私:そうなると、日本は、温暖化対策ではトランプ大統領の先を行っているようだね。
2017.04.19
コメント(0)
私:人工知能(AI)をめぐっては様々な研究が進められ、「第4次産業革命」といった表現も目にする。 駒沢大学経済学部准教授の井上智洋氏は「人工知能は人間の仕事を奪うか?」(5日)の中で、「新しい技術が絶えず人間の仕事を奪ってきたという歴史的事実」を直視せよと呼びかけている。 その例として、「織機」が布を手で織る職人の仕事を奪い、自動車が馬車を操る「御者」の仕事を奪ったと指摘。 そうした傾向は今後さらに拍車がかかり、2030年に人間と変わらない知性を持った汎用AIと汎用ロボットが出現すれば、「多くの人間の雇用が消滅に向かう可能性がある」と警鐘を鳴らしている。ます。 A氏:「コンピュータ」という言葉は元々、職業として計算を行う人を意味しており、日本語では「計算手」と言われるこの職業は、機械のコンピュータが普及することで消滅。 2020年の日本で確実に無くなる職業として井上氏は、メータを見て電力使用量をチェックする「検針員」という職業をあげている。 2020年に「スマートメータ」が日本の全家庭に普及し、自動的に電力使用量を電力会社に送信するようになるからだという。 私:AIはどうかというと、アメリカでは既に弁護士助手やコールセンター係、証券トレーダーなどの雇用を減らしている。 日本ではAIを含めたITの導入が遅れているのでアメリカほど顕著ではないが、今後は同様のことが起きるだろうとみる。 つまりITは、本質的に雇用を増やす以上に減らしてしまうのでITに仕事を奪われた人の多くは、グーグル社やフェイスブック社などのIT企業ではなく、清掃員や介護スタッフのような昔ながらの職業に「労働移動」(他の業種へ転職)することになる。 A氏:アメリカでは近年、そのような「労働移動」が中間所得層の低賃金化を招いている。 それは統計にも現れており、2000年以降アメリカ経済は年率平均2%ほどで成長しているにもかかわらず、所得の中間値は横ばいないし下降気味である。 こうして起こった中間所得層の崩壊が、トランプ大統領誕生の背景にあるとも考えられ、トランプ大統領とその支持者は移民を敵視しているが、経済学的な分析では、移民がマクロ的に失業率を上昇させるという結果は得られていない。 私:そんな状態を救う手立ての一つとして、井上氏は、生活に最低限必要なお金を国民全員に給付する「ベーシックインカム」(BI)という制度の構築を提案し、「BIなきAIは人々が食いっぱぐれるディストピア(反理想郷)をもたらすが、BIのあるAIは人々が遊んで暮らせるユートピアをもたらすだろう」という。 一種の社会保障制度の導入だね。 最後はそこまでいくかね。
2017.04.18
コメント(2)
私:国分氏は、一連の「森友学園」の問題ではっきりしたのは、安倍政権は「教育勅語」を決して全否定はしないということだと指摘しているね。 当初、夫人から「森友学園」のことを伝え聞いたという安倍首相は、幼稚園の朝礼で「教育勅語」を暗唱させる籠池泰典前理事長を「教育に対する熱意は素晴らしい」と評価していた。 A氏:「教育勅語」を教材に使うことを否定しない政府答弁書と、朝礼での暗唱を「教育基本法に反しない限りは問題のない行為」という義家・文部科学副大臣の国会答弁が、勅語に対する政権の姿勢を鮮明にしたね。 私:これは、このブログ「教育勅語、教材化に道筋 第2次安倍政権で評価相次ぐ」で、明治の「帝国憲法」の制定の中心人物、伊藤博文や井上毅は、ヨーロッパに憲法を学び、キリスト教が国教であり、これが教育の中心になっていることを知るが、同時に、それが宗教戦争のもとになっていることから、国教を定めず、帝国憲法第28条では信教の自由を規定した。 だから、井上毅は「教育勅語」を作成する時、立憲君主制の考えから、「君子は臣民の良心の自由に介入できない」という立場を貫いた。 そして、「教育勅語」を欽定憲法の「明治憲法」の下に位置づけた。 A氏:「明治憲法」下の「教育勅語」の本質は、「父母に孝に」「兄弟に友に」「夫婦相和し」といった徳目を「汝(なんじ)臣民」に守らせることにあった。 西原博史・早稲田大教授(憲法)は「『教育勅語』がいうのは、天皇を頂点とする国家とそれを構成する家族内の秩序維持のため、つまり天皇のために親孝行せよということだ。 そこを切り離して『いいところもある』と評価するのは、まずは無知であると言うしかない」と話す。 私:ヒトラーの「我が闘争」に『いいところもある』と評価するのと同じだね。 ドイツは、「我が闘争」そのものを禁書にした。 日本も敗戦後、1946年、学校などに対し、「我が国教育の唯一の淵源となす従来の考へ方を去って」という取り扱いが書かれた文部次官通牒が出され、奉読も禁止され、さらに、48年6月には、衆参両院で、「教育勅語」の排除・失効の確認が決議され、「教育勅語」が「神話的国体観」に基づいている事実は、明らかに基本的人権を損ない、国際的にも疑念を残すとして謄本を回収し、排除を完了するとしていた。 A氏:しかし、天皇を元首とする。国民はそれぞれ異なる個性を持つ「個人」としてではなく、単に「人」として尊重され、そして家族は互いに助け合え――という、自民党が2012年にまとめた憲法改正草案が描く国の姿は、「教育勅語」がめざした国家像と重なり合い、政権中枢が勅語を否定しないどころか、心情的には擁護する理由がよくわかると国分氏はいう。 私:その政権がいま、テロ対策を理由に「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ新たな法の制定に向けひた走っていると国分氏は、その問題に関連付ける。 戦前の思想弾圧の反省から現憲法で絶対的に保障されている内心の自由が侵されかねないという。 「『教育勅語』にはいいことも書いてある」「テロ対策がなければオリンピックが開けない」。 うっかりしていると「そうだね」と答えてしまいそうな言葉とともに、権力はわれわれの内心にずかずかと踏み込んでこようとするから、ここははっきりと、「汝、立ち入るべからず」の意思表示をしておかなければと国分氏はいう。 「教育勅語」を書いた井上毅の「君子は臣民の良心の自由に介入できない」という考えは継承されなかったね。 明治維新にもどったようだ。
2017.04.17
コメント(0)
私:著者は、明治学院大学名誉教授(日本精神史)で、「親鸞」「法然入門」などの著がある。 1946年1月1日の詔書で現御神(あきつみかみ)(現人神〈あらひとがみ〉)であることを否定した昭和天皇の「人間宣言」は有名だが、昨年8月8日に発表された現天皇の「おことば」は一部で「第2の人間宣言」と呼ばれ、昭和天皇の「人間宣言」を徹底させたものとして、高く評価されたという。 A氏:天皇も老いていくと活動が不自由になるのは、一人の人間として当然だね。 私:しかし、本書によれば、こうした見方は全く間違っているという。 天皇制を根底で支える国民感情は変わらぬまま、天皇は依然として「生き神」であり続けているからだという。 その国民感情を説明するために、著者は「自然宗教」という概念を用いており、教祖や教義や信者組織のある「創唱宗教」とは異なり、「自然宗教」はそれらがはっきりせず、人が「神」になりやすい。 日本は「自然宗教」の優位が際立った国であり、仏教やキリスト教のような「創唱宗教」が伝来しても「自然宗教」は温存され、天皇崇拝を支える基盤になってきた。 A氏:だが過去に「自然宗教」の克服を目指した人物として、著者が注目するのが法然だというね。 法然の仏教は、誰もが欲望から逃れられない「凡夫」だという人間観から出発し、阿弥陀佛の誓願を信じて念仏すれば必ず往生できるとして、世俗のいかなる価値よりも救済原理を優越させようとした。 その背景にあったのは現世と浄土という二つの世界であり、天皇に代表される現世の支配者を相対化する論理であったという。 私:しかし、法然の死後、教団が形成されることで、仏教は再び普遍性を失い、「自然宗教」の優越が際立つようになり、浄土の超越性は失われ、現世志向が強くなり、いつしかそれが国民感情にまでなってしまう。 天皇制がいまなおこうした基盤の上に支えられているという著者の指摘は、きわめて重いと原氏はいう。 A氏:この「自然宗教」という言葉を聞くと、山本七平氏の「日本人のうちに無意識に染み込んでいる宗教」という意味の氏の造語である「日本教」を思い出すね。 このブログの「19日朝日新聞・日曜書評から」では、日本人が信じるのは「人間」だけで、これをイザヤ・ベンダサン(山本七平の筆名)は「日本人とユダヤ人」というベストセラーの中で「日本教」と呼んだというとある。 私:神前結婚と仏式葬儀が両立するのも、クリスマスの数日後に初詣に行けるのも、日本人が「無宗教」だからではなく、われわれ全員が「日本教」という一種のメタ宗教の信者だからで、必要なのは信仰心ではなく、宗教的「空気」だとあるね。 こないだマスコミを賑わせた森友学園騒動で、「忖度」という言葉が出て、「空気」同様、英語に正確に訳せなかったがこれも日本的な特徴だね。
2017.04.16
コメント(0)
私:地震後、1年たったが、人手不足は今、熊本全体の問題になっていて、復旧が本格化した昨年夏ごろから顕在化。 県内の有効求人倍率(季節調整値)は昨年12月に1・50倍と過去最高で、今年に入っても1・50倍近い高水準が続くが、求人が増えているのは復興需要が多い建設業や増産が続く製造業などで、中でも建設業の技術職の不足は深刻で、影響は広く及んでいる。 A氏:3月30日夕、二つのアーケードが交差する曲がり角にある熊本市中央区にあるマクドナルド熊本新市街店は、「角(かど)マック」と呼ばれる市民の待ち合わせスポット。 周辺の商店街への影響も大きかったが、人手不足の影響で被災した店舗の安全確認や耐震化に時間がかかった。 バイト店員約40人も知り合いなどを通じてなんとか確保し、再開まで1年を要した。 私:公共工事の入札でも受注業者が決まらない事態が相次いでいて、学校や体育館などの復旧工事も遅れており、学校は半数以上で復旧が終わっていない。 民間の住宅工事も増えるなか、請け負う業者の奪い合いだ。 A氏:一方、地震で仕事を失った人の再就職は厳しいまま。 熊本労働局によると、地震後に新規に求職活動をした被災者(累計約4700人)のうち、今年2月までに再就職できたのは3割ほどにとどまり、職を失ったのは宿泊施設の従業員らが多いが、求人は建設業などへ集中しており、望む仕事とのずれが大きいという。 私:また、正社員の求人が非正社員ほど伸びていないという側面もあり、地元の住宅メーカー経営者は「今のように受注が多いのも、今後数年だろう。大規模な設備投資や正社員の採用拡大は控えている」といっているという。 復興には、まだ、時間がかかりそうだね。
2017.04.15
コメント(0)
私:外国人技能実習生の違法労働や人権侵害が指摘され、対策として「受け入れ先」の監督強化などを図る適正化法が、この秋から施行されるが、制度が変わり、問題は解決するのか、3氏に意見を聞いている。 A氏:柳澤氏は、悪質な監理団体が淘汰されるだろうし、全国各地で問題になってきた賃金の不払いや労働安全衛生の問題、人権侵害の事案が減っていくきっかけになると考えるから、今回の見直しによって、もっとうまく機能する制度になると期待しているという。 技能実習制度が適正に機能すれば、若い人材を呼び続けることができ、治安面で不安があり、社会保障費などの負担増を伴う移民をしないですみ、「移民の防波堤」の役割も果たせるはずだという。 私:しかし、斉藤教授は、2014年度にベトナムに滞在し、後半は研究の一環として実習生の送り出し機関で日本語ボランティアも務めた現場体験から、楽観視していないね。 ベトナムからの受け入れ人数は昨年末、中国を抜いて1位になっているという。 そう言えば、千葉の小3殺害の事件のリンさんはベトナム国籍だね。 ところで、斉藤教授は、実習生の「受け入れ先」よりも「送り出し機関」に焦点をあてているね。 A氏:良心的な「送り出し機関」は、まず日本側と面接させて実習が決まってから、数カ月ほど日本語などの勉強をさせるが、「受け入れ先」のあてもないのに人を集めて学費を取り、延々と飼い殺したり、自宅で待機させたりする「送り出し機関も少なくないという。 私:手数料や生活費の借金を重ね、出発直前には、足もとをみて高額の保証金を請求されるという。 日本政府は、保証金を払った実習生の入国を認めていないが、ベトナム政府は一定の上限まで認めているのが実情。 悪質な「送り出し機関」には、「契約違反」や「失踪」をでっち上げて保証金を奪うところもあり、たとえ保証金の名目でお金を取ることがなくなっても、送り出し機関は別の名目をつくり、お金を取り続けるという。 A氏:そういう搾取ビジネスになっているんだね。 私:実習生自身は、こうした来日前に抱える事情はもちろん、日本に来てから受け入れ先で直面するパスポートの取り上げや劣悪な労働環境、ハラスメントなどについては話したがらないという。 「話したら仕事がなくなる」と、「送り出し機関」や監理団体から脅されていたりするからだという。 A氏:これでは、適正化法で人権侵害行為に罰則ができても、新設される外国人技能実習機構によるチェックには限界があり、労働条件や寄宿生活などの問題点を見抜くには、語学力や対応力のある労働基準監督官をたくさん養成して、全国に配置すべきだと教授は言う。 私:教授は、民間業者の「送り出し機関」が何段階にも介在するいまの技能実習制度が続く以上、理不尽な収奪は起きるという。 実態の把握や制度の改善には限界がある前提で、日本と送り出し国が一体となり、制度そのものの見直しに取り組んでほしいという。 ゆくゆくは、双方の政府が直接たずさわる労働許可制のような仕組みにするか、正面から移民として受け入れることも考える必要があるという。 3氏のインタビューを比較して、斎藤教授のコメントが一番、実態を理解できたね。
2017.04.14
コメント(0)
私:昨年12月、千葉市で、生活保護を受け、重い病気で入院していた一人暮らしの男性(当時72)が退院し、自宅へ。 市のケースワーカーは医師から「余命が長くない」と聞き、市内で暮らす子ども5人へ容体を知らせる手紙を書いた。 数日後、次男から「父とは縁を切った」という返事が届き、翌日に男性は亡くなり、ケースワーカーは死亡を伝える手紙を改めて送ったら、今度は長男から「一切関わりたくない」と電話があった。 男性は自宅に41万円を残しており、葬儀を挙げる人もおらず、市は21万円を充てて火葬し、「引き取り手のない遺骨」として納骨堂に保管。 残りの20万円の処理は、結局、「歳入歳出外現金」として保管されたという。 千葉市の昨年3月時点の遺留金は1827万円(79人分)。 A氏:超高齢化に伴う「多死社会」の到来で今後も「遺留金」が増える見通しのなか、各自治体はその引き取り手捜しに追われているという。 まさに、「多死社会」の到来だね。 私:朝日新聞が20政令指定市と東京23区を対象に調べたところ、39自治体で計約11億4200万円が積み上がっていた。 最多は大阪市の7億2211万円で、北九州市(6350万円)、神戸市(4439万円)、川崎市(3856万円)、名古屋市(3166万円)と続く。 身寄りがない人が少額の現金を残して亡くなるケースが目立ち、特に大阪市では、生活保護を受けて亡くなった単身者が多く、戸籍調査など遺留金の処理が追いついていないという。 A氏:少額でも引き取り手を捜すのは自治体職員の重荷になっているというから、「多死社会」になると自治体職員にも思わぬ負担が増えてくるのだね。 少額遺留金は国や自治体の歳入になる制度に改正する必要があると提案する自治体もあるという。 私:超高齢化の「多死社会」に加え、家族関係の希薄化が背景にあるんだね。 今後、「葬儀なし」「墓場なし」が増加すると自治体職員も大変だね。
2017.04.13
コメント(0)
私:「森友学園」の国有地売却問題がマスコミで盛んに報じられている時、あるテレビコメンテーターが「日本会議」の影を感ずると言っていたね。 学園の籠池氏が「日本会議」の地方組織の役員だったためだ。 約2カ月たったが、憲法改正運動を推進する「日本会議」もこの間、大いに揺れたという。 A氏:「日本会議」主導の「美しい日本の憲法をつくる国民の会」が3月29日、東京都内で大会を開き、そこで、ジャーナリストの櫻井よしこ氏・国民の会共同代表は、「今の国会は『森友学園』ばかり。何が大事なんですか、あんなこと。一日も早くちゃんとした国家のあり方を論じていただきたい」と嘆いたという。 大会は新年度の運動方針を確認し、改憲に向けたアクセルを踏むのが目的だったが、にじんだのは「森友問題」へのいらだちだったという。 A氏:籠池氏は「日本会議」運営委員だったので、学園のホームページによると、かつては「日本会議」に近い人々が学園の幼稚園で講演会を開いていたが、問題が明らかになった2月初旬以降、「日本会議」は「土地取得に全く関与していない」と表明するなど、籠池氏と距離を置く説明を重ねてきたという。 籠池氏は3月23日の証人喚問で、「応援してくれていた方々が手のひらを返すように離れた」と述べた。 私:一方、「日本会議」の関係者によると問題発覚後、「会員をやめる」という連絡があったり、「会合参加は控える」という政治家がいたりした。 この関係者は「(籠池氏は)役員名簿に名前が残っていただけ。信用に泥を塗られた感じだ」という。 A氏:「教育勅語」を幼稚園児に唱和させる「森友学園」の教育も批判されたが、「日本会議」国会議員懇談会には学園の方針を称賛した政治家が少なくないという。 メンバーの稲田防衛相は月刊誌「WiLL」(2006年10月号)で幼稚園の取り組みを紹介し、「『教育勅語』は天皇陛下が象徴するところの日本、民族全体のために命をかけるということだから、最後の一行も含めて教育勅語の精神は取り戻すべきなのではないかなと思う」と持論を展開した。 私:今回、稲田氏は学園の教育を国会で問われ、「親孝行とかは、私は非常にいい面だと思う」と答弁し、これをきっかけに、「教育勅語」についての閣議決定が3月末になされた。 懇談会に所属する衆院議員は「『教育勅語』が注目されたのはけがの功名。閣議決定に政権のしたたかさを感じた」と話しているという。 ただ、保守派の受け止め方も一様ではなく、学園の教育で、「『教育勅語』に悪いイメージを抱く人が増えた」と考える人々もいるという。 A氏:日本教育再生機構の八木秀次理事長は、06年の教育基本法改正で2条(教育の目標)に公共の精神、国と郷土を愛する態度などが採り入れられたことを念頭に「『教育勅語』の思想は2条に盛り込まれた。学園が実施していた教育をテレビで見た国民はよい印象をもたないはず。『教育勅語』に対する贔屓の引き倒しにしか見えない」と語ったという。 私:閣議決定を巡っては、与党内からも「教育勅語」が「思想統制の道具だった」との批判が出ているという。 「親に孝行」というのは、「教育勅語」の文脈では、天皇の臣民としての「親に孝行」なのに、全体の「教育勅語」の文脈から外れ、都合よく切り取って使うのは、歴史感覚の麻痺だね。 明治天皇に対する不敬だよ。
2017.04.12
コメント(0)
私:日本発の半導体フラッシュメモリーを発明した舛岡富士雄氏(現在・東北大名誉教授)は、46年前に東芝に入り、最初に配属された研究部門で開発した製品が売れないので、「自分で売ってみせる」と営業に移り、米国のコンピューター会社を回ったが、なかなか売れずに1年で営業をクビになるが、このとき、「お客さんは性能より安い製品を求めている」と学んだことが、半導体フラッシュメモリーを発明に生きたという。 A氏:原発事業で抱えた巨額の損失を穴埋めするには、背に腹はかえられず、その「虎の子」に育った半導体事業を東芝は売却する。 私:売値は2兆円以上ということで、米国や台湾メーカー、外資系ファンドが買収に名のりをあげ、「日本の先端技術が流出してしまう」と国や経済界から心配する声があがるが、1次入札に加わる日本企業はいなかった。 官民で「日本連合」をつくり、2次入札から米国勢と組む構想が浮上したが、及び腰の印象はぬぐえないと堀篭氏は指摘する。 A氏:かつて日本の半導体は「産業のコメ」といわれ、政府もその育成を支援し、コンピューターや通信機器に使われる量産メモリーの分野で80年代には世界を席巻し、米国との間で貿易摩擦も生んだ。 やがてアジア勢に追い越され、電機大手では東芝だけが世界とわたりあってきた。 私:技術流出の問題について、舛岡教授は「すでに30年も前に起きている話だ」といい、教授が発明した「NAND型」と呼ばれるフラッシュメモリーを製品化するとき、東芝は韓国のサムソン電子から、お金や技術者を受け入れており、教授には「安いお金で技術を韓国に売り渡した」と映るという。 A氏:教授は退社した後、東芝を相手どり、発明の対価を求めて訴訟を起こしたことで知られる。 11年前に和解しているが、OBの一人として「半導体を売った後、東芝はどうやって生き残っていくのか」と再生の絵姿がみえない古巣を心配しているという。 東芝の半導体事業は、大規模な装置を必要とするために設備投資などに毎年3千億円かかるといわれる。 おいそれと手を出せる事業ではないが、リスクをとり、日本発の半導体を主導して育てる日本の経営者が現れないのは寂しい限りであると堀篭氏は言うが、俺もそう思うね。 2兆円くらいどうにかならないのかね。 日本の製造業はかっての威力を失ったのかね。 私:ある財界トップは「衰退するこの国の象徴だ」と手厳しい。 ビジョンのないままでは技術は流出する。 日本を引っ張る産業の将来図をどう描くのかが問われていると堀篭氏はいう。 東芝は、赤字が続く国内テレビ事業を売却する検討を始め、冷蔵庫などの白物家電事業は昨年、中国企業に売却済みで、ほかの事業売却も進む可能性があるとみられる。 どこまで、落ちるのか、なぜ、日本経済は強くなくなかったのか。
2017.04.11
コメント(2)
私:この本は、「見田宗介氏著『まなざしの地獄』・差別社会、若者を絶望させた」22日朝日新聞夕刊「時代のしるし」文芸・批評欄で、図書館から「まなざしの地獄」を借りたが、主題となっている永田則夫(この本ではN・Nとなっている)はすでにこのブログで詳細にふれたので、あまり興味はなかったが、この本には「新しい望郷の歌」という別の評論が掲載されており、これに興味を持った。 この本は、1965年(昭和45年)の出版で、その頃の社会の変化を描き出しているのに興味を持ったね。 A氏:高度成長期は1955年から1973年までと言われるから、まさにその時期の社会の変化を扱っていることになるね。 私:大正15年5月29日、北海道の農場で5人の子供を殺した一家心中があった。 同じ年のうちに、名古屋の古物商、長野の銀行頭取の遺族とたちまち全国に共鳴者を生み、まもなく神戸市では、何件かの「流行」となる。 見田氏は、北海道の農場で発生し、次いで全国の大都市に飛び火していることは象徴的であるという。 それらはすべて古くからの人と人とのきずながいったん、近代化の過程のなかで、見失なわれた地点を追うように分布しており、親子心中一般は古くからあったが飛躍的に増大するのはこの頃からだという。 A氏:近代化以前にも子があるばかりに死ぬにも死なれない母親があったが、そういう不幸な者の孤児でも、村では成長し、また再び家を興すことがあり、残された子供を村の中で育てていこうとする気風があった。 私:このブログの「道徳の教科化 教えがたい社会生活の基本」京大名誉教授・佐伯啓思氏筆・7日朝日新聞・「異論のススメ」欄で、子どもたちに「道徳教育」を科そうとしている問題で佐伯氏は戦前と戦後の「道徳の断絶」にふれているが、昔は、村社会で教えていたね。 「恥の文化」が自然と社会的に定着し、「お天道様が見ている」と子どもに教えていた。。 その自然村秩序と大家族制の解体において、道徳社会も解体するとともに、一家心中の悲劇の連鎖が生まれたといえる。 同時に佐伯氏の言う「道徳の断絶」が始まるわけで、戦前と戦後の違いでないと思う。。 高度成長が始まる頃、農村では「出稼ぎ」が始まる。 村の「家郷」が生活の拠点としての機能をうしないつつあった。 60年代に入って以来、毎日、多くの家族が先祖伝来の住みなれた土地を見捨てて、帰るべき家郷のない人々の群れに流れ込んでいき、無人部落ができる。 「家郷」への「退路を断たれた」日本人の労働者、ホワイトカラーの群れの多くは「群化社会」のただ中に、ささやかな「第二の家郷」を築く途を選ぶ。 A氏:マイホーム社会、核家族社会だね。 私:見田氏はこれを「家庭化時代」と言っているね。 考えてみれば、高度成長期で都市化、マイホームが盛んになるのは、最初の「家郷」を失ったわけだ。 マイホームで育った子どもたちは下記の「故郷の歌」の意味は理解できないだろうし、都会にマーホームを築いた我々世代も、何か、別世界の感じがするね。 兎追いし かの山 小鮒釣りし かの川 夢は今も めぐりて、 忘れがたき 故郷 如何にいます 父母 つつがなしや 友がき 雨に風に つけても 思い出ずる 故郷 志を はたして いつの日にか 帰らん 山は青き 故郷 水は清き 故郷 この本の題名のように「新しい望郷の歌」はできるだろうか。 「第二の家郷」のマイホームは今は、一人暮らしの家や空き家が増加している。
2017.04.10
コメント(0)
私:大陸から伝わった仏教を受け入れるかどうかを巡り、反対(排仏)派の物部尾輿と、導入(崇仏)派で渡来系の子孫ともいわれる蘇我稲目が争った6世紀の崇仏論争について、実際は仏教とは無関係の政争だった可能性が指摘されているという。 A氏:古代史研究者の加藤謙吉氏は、1989年の論文「中央豪族の仏教受容とその史的意義」などで、崇仏論争について疑問を投げかけている。 大きな根拠が、排仏派のはずの物部氏の勢力圏内で仏教が広く浸透していたとみられることで、その上で、物部氏に関する排仏の記述は後から付加されたものとみる。 最近では、国学院大兼任講師の有働智奘氏が、「蘇我氏と物部氏の対立の図式には、『排仏』という意識はなかった」との説を提示。 私:堺女子短期大教授の水谷千秋氏は「物部氏と蘇我氏の間に仏教受容をめぐる論争はあったのだろうが、主因は政治権力闘争だった」と推測。 蘇我氏の由来について「古代豪族はその出身地を姓として名乗る」との大原則に従うなら、最有力候補地は大和国高市郡曽我(奈良県橿原市)で、この地の曽我遺跡からは、祭祀用とみられる大量の玉などが出土しており、仏教推進派のはずの蘇我氏は神祭りも行っていた可能性が高いという。 「日本書紀」の記述から、蘇我氏は5世紀代に天皇家の姻戚として権勢を誇った葛城氏の末裔あるいはその葛城氏と形の上での同族関係を結んだ一族だったとみる研究者も増えているという。 A氏:水谷教授は「当時の仏教は寺院建築や仏像製作といったものも含めて、先端文明の結晶ともいえる存在であり、蘇我氏が仏教を推進したのも、むしろそれらの導入が目的と考える方が自然ではないか」という。 私:崇仏論争が、実は権力闘争だったとは、古代史はまだ謎が多いんだね。 ましてや「神武天皇」となると神話の世界だね。
2017.04.09
コメント(0)
私:WHOのダグラス・ベッチャー生活習慣病予防部長が、世界保健デーの7日に合わせて来日し、塩崎厚労相を訪ね、公共の場での屋内完全禁煙を要請する文書を渡したと報じているね。 WHOのマーガレット・チャン事務局長による厚労相宛ての文書は、受動喫煙のない東京五輪の実施や、飲食店や事業所を含む公共の場での国レベルでの禁煙を求めている。 A氏:この問題は、このブログで下記のように知的街道となっているね。 「禁煙飲食店ルポ 意外に好評だった」、「受動喫煙対策、煙る永田町 飲食店規制、愛煙家の議員反発」、「『たばこってそんな関係あんの?』喫煙者減っても肺がん増えた 愛煙家・麻生財務相が言及」、「なくならぬ受動」など。 私:文書を受けた塩崎厚労相は「(現在の法改正の)厚労省案を下回らない水準で、対策をとらなければならない」と述べたというが、反発している自民党の議連がいてもめそうだね。 A氏:ベッチャー氏は、東京・新橋の飲食店の視察もし、「分煙では不十分。たばこを吸う場所で食事をするなんてありえない」と話し、禁煙席と喫煙席の間に仕切りがない様子を確認し、全面禁煙の必要性を強調していたという。 私:すでにこのブログで引用したが、厚労省によると、受動喫煙による年間の死者は推計約1万5千人で、1カ月間に非喫煙者の約4割が、飲食店で受動喫煙に遭っており、日本の規制は、WHOの4段階評価で最低に分類されているね。 A氏:したがって、現状では対策が不十分として厚労省は3月、罰則付きで屋内禁煙を原則、義務化する健康増進法の改正案を発表したが、これに反発して自民党の議連は、飲食店は禁煙・分煙・喫煙を自由に選べるとする対案を公表している。 私:争いは、厚労省案に反発している自民党の議連とWHOの世界レベルの戦いになってきたね。
2017.04.08
コメント(0)
私:今月の「異論のススメ」の主題は小中学校の道徳教育問題だね。 数年前に起きた大津での中学生のいじめ自殺問題を発端にしたようで、来年以降、小中学校で道徳が教科化され、「礼儀」や「感謝」や「生命の尊さ」などを学習することを課題として、取りあげているね。 佐伯氏は、「道徳的なもの」を身に着けることが教育の基本だと思っているので、学校教育による道徳的なものへの関心はきわめて大事だと思っているが、教科化によって週に1時間の「学習」だけではどうなるものでもなく、むしろ、それで「生命の尊さを教えました」などと形だけ整える、ということになりかねないという。 A氏:佐伯氏は、戦前の国家主義と結びついた過剰なまでの道徳主義の反動で、戦後は逆に、道徳を、前近代的で、あたかも封建社会の残影のようにみなす傾向があり、それは学校だけではなく、社会全体の風潮であり、反道徳的であることが進歩的であるかのような空気が支配しており、その影響をもっとも強く受けたのが学校であり、子供たちであるという。 そのうちに子供たちは学校で暴れだし、いじめが横行するようになり、そこで、道徳教育の必要性が唱えられるようにもなるのだが、道徳教育の最大の問題は、道徳的な態度こそが教育の根幹であるにもかかわらず、それを教育することは至難の業だ、という点にあると佐伯氏は指摘する。 私:道徳的な態度とは、目上の者に対する礼節、権威あるものに対する敬意、最低限の規律や秩序への同調、公共的な場所での自己抑制などを含むから、学校教育が成立する前提となるので、学校教育のなかでそれを「教える」ことは不可能に近く、これは道徳教育のもつ根本的なディレンマなのだという。 A氏:内村鑑三の『代表的日本人』で取り上げられている5名の日本人を今の学生は知らず、わずか100年ほど前にとりあげられていた人物の名前も知らない、というのはあまりに不自然なことで、その不自然を生み出したのは、戦前と戦後の間の断絶であるという。 内村が名前をあげた人たちは、すべて、私心をなげうって、社会や国や親や貧窮者のために奉仕した人である、つまり公共心と無私の精神を体現した人であったことを考えれば、戦後という時代は、この種の公共精神を排除する方向へ歩んだことになろうと佐伯氏は言う。 私:来年の道徳の教科化においては、19から22個の道徳的項目を取り入れるという。道徳的項目が20個にもおよぶとは佐伯氏は思えないという。 道徳の基本はといえば、卑怯なこと(たとえば弱いものいじめ)はしない、友人を裏切らない、世話になったものへの恩義を大切にする、社会に対しては礼節を疎かにしない、嘘は(必要な場合を除いて)つかない、不正に対しては(力に応じて)戦う勇気をもつ。 おおよそこんなところで、単純な話であり、これは社会生活の基本であり、かつては、これぐらいのことはほぼ常識であったと佐伯氏は言う。 A氏:ところが、戦後の反道徳主義のなかで、こうした簡単な「道徳的な感覚」さえも失われていき、それを「教える」ことはむつかしいし、教科にはならないだろうという。 なぜなら、それは、日常の具体的な場面で、その状況に応じた経験のなかで学び取るほかないからである。 道徳(モーラル)とは日常の習慣(モーレス)なのである。ということは、日常的に、教師が生徒と接して、その接触のなかで、教師が示してゆくほかにないという。 私:それは、学校教育というより、家庭や社会の習慣から学ぶのではないかね。 A氏:佐伯氏は、実現の可能性を別にすれば、ヘタな道徳教育よりも次の3つの体験をさせるやり方の方がはるかに大きな意義をもつと思われるという。 それは、中学生の間の一定の期間、第一に町や福祉関係でのボランティア体験、第二に、自衛隊の見学など、国防や災害援助というものを知る体験、第三に、多少の海外生活体験、であるという。 私:いいアイデアだと思うが、この情報化時代で、小中学生でもマスコミ情報に影響されやすい。 中学生ともなれば、文科省の役人「天下り」も理解しているし、増加する「親の家庭内暴力」「部活の教師の暴力」「教師のいじめ」「友達のイジメによる自殺」のニュースも知っている。 このブログでとりあげた「『パン屋』→『和菓子屋』、文科省への忖度」31日朝日新聞・「池上彰の新聞ななめ読み」欄の教科書会社の「忖度」も理解できる。 道徳教育の教材は体験しなくても情報として世の中にあふれているね。 佐伯氏には学校教育に関連して「教育勅語」にもふれてほしかったね。
2017.04.07
コメント(0)
私:トランプ米大統領を生んだ米国を含め、世界の民主主義はどこに向かおうとしているのか、ナチスが台頭した戦前との違いは何か、ということで、ドイツの歴史家・マグヌス・ブレヒトケン氏にインタビューしているね。 A氏:英国のEU離脱、米大統領選など直接的な投票で、世界が大きく動いているが、ナチスドイツも1930年代、4度の国民投票で台頭した。 私:しかし、ブレヒトケン氏は、30年代の国民投票と現代を比較することは非常に慎重であるべきだという。 ヒトラーが権力を掌握した33年(1月)以降、特に2月の国会議事堂放火事件(共産主義者の犯行と断定して共産党を弾圧)を経て、法の支配は事実上廃止された。 ワイマール憲法の48条が発動され、同憲法が保障していたほぼすべての基本的な権利は完全に廃止された。 48条は「憲法停止の非常大権」を定めた緊急条項で、民主的な憲法だったワイマール憲法の弱点となったね。 現在のドイツ新憲法では、68年に「緊急事態条項」が導入されているが、極めて限定的なもので議会の同意も必要だという。 A氏;ワイマール憲法の「憲法停止の非常大権」をヒトラーが利用し、(憲法という)法的側面だけでなく、政治的、社会的な弾圧も強まった。 突撃隊(ナチスの準軍事組織、SA)を使って社会民主主義者や共産主義者などあらゆる政敵に対する暴力が行使されるようになり、普通の政治状況や自由選挙といった選択肢はもうなくなり、33年3月の総選挙は暴力と脅しが広がるなかで実施されたのだという。 私:その総選挙を経て、議会制民主主義を否定する勢力が議会で多数派を握った。 一方、共産党も議会を否定する勢力だったので、当時は左右合わせて約3分の2の議会勢力が反民主主義的、議会否定派の政党だったという。 A氏:現在、既成勢力への批判は世界的に広がっているが、ドイツでは、中道が議会の7~8割を占め、安定化できるという。 この点が20~30年代のドイツとの非常に大きな違いだという。 私:ナチスの台頭も、既成政治への不満が発端だったが、政治的な環境は全く異なるという。 まず、30年代前半の有権者の多くは(第1次大戦まで続いた)帝政ドイツの専制主義的で非民主主義的な時代に生きてきた人たちで、ワイマール共和国下での12年間の民主主義は経験していたが、それは大戦の敗戦によってもたらされたものという意識だった。 敗戦はドイツ帝国や王政のせいではなく、ドイツ革命や社会民主主義者のせいだと考え、敗北感と民主主義とが結びついていた。 専制主義の伝統に慣れた33年当時の有権者は、議会制民主主義が機能していないと感じたからこそ、既成政治を打破し、国家の安定と国力を回復し、解決策を示すと訴えたヒトラーのような人物にひかれたのだという。 A氏:日本の「押しつけ憲法論」と似ているね。 私:ヒトラーは巨額の赤字国債によって軍事的な支出を増やし、人気を高めていく。 数年後に戦争や周辺国の占領で賄えるという前提だったのろうが、35年の再軍備宣言(ベルサイユ条約の破棄)、徴兵制の復活は極めて高い支持を得た。 新たな体制と党による全体主義、専制主義的な圧力だけでなく、人々がそれに慣れ、そうした政治的変化を国家にとっての成功だと信じていたから、仮に38年のドイツで自由選挙が実施されていたとしてもヒトラーは過半数を得ていただろうという。 A氏:いまのドイツの有権者意識は、当時と比べて、戦前とは全く異なり、70年に及ぶ安定した民主主義と議会制度を経験し、同性愛の権利、男女同権といったあらゆる面で社会が自由になった。 全体として成功の物語であって、(EU本部のある)ブリュッセル支配への不満などに比べて、欧州が発展したこの70年間の平和ははるかに重要なものだと、ブレヒトケン氏はいう。 私:最後に、ブレヒトケン氏は「少なくともドイツでは、社会の安定が必要だと確信する人の方が極右、極左の動きよりも活発だと私は信じたい」という。 揺れ動くフランスと比較して、ドイツ国民は安定していてポピュリズムに陥らないという感じだね。
2017.04.06
コメント(0)
私:森友学園問題で「忖度」という言葉が盛んにマスコミに飛び交ったね。 この「忖度」についての記事は5日朝日新聞・「ニュースQ3」欄にも載っていたね。 3月23日にあった日本外国特派員協会での会見で、学園の籠池氏が「(役人が)『忖度』をしたということでしょう」と答えると、通訳は「read between the lines(行間を読む)」と「忖度」を英訳したが、籠池氏の弁護士らとやり取りした後、「英語で直接言い換える言葉はない」としたという。 A氏:ネットで「忖度」の英訳を検索したが、やはりずばり納得できる英語はないね。 私:似た日本語で「空気を読む」というのがあるが、これに直接該当する英語もないようで、日本文化の独特な表現だね。 安倍首相も国会答弁で「忖度」という言葉を使っているね。 これに対して、松井大阪府知事は、これを批判して「『忖度』には良い『忖度』と悪い『忖度』がある」としていたね。 A氏:厚労省の課長補佐の経験がある神戸学院大学の中野雅至教授は、「政治家の顔が立つような『うまくさばく』能力を身につけるのが官僚。『忖度』する能力が人事評価に組み込まれている」という。 私:テレビでも何人かの官僚経験者に聞いていたが皆、「忖度」の経験をしていたね。 A氏:広辞苑は「他人の心中をおしはかること」とあるが、米ユタ大学の東照二教授(社会言語学)は「言い切らないで相手に推量させる。あえて言葉にしなくても価値観を共有し合っていることを示すため、『忖度』が良い意味で使われることもある」と説明する。 私:最近使われた「忖度」として、東教授は、「側近」が意向を推察する様が「『忖度』政治」と称された民主党政権時の小沢一郎幹事長(当時)と「NHK内で会長の考えを『忖度』する動きが広がる」と指摘されたNHKの籾井勝人前会長の例をあげ、「権力者の意向を推量するといった悪い意味で使われる機会が増えている」と指摘する。 A氏:甲南大学の阿部真大准教授(社会学)は「『忖度』文化は、社会が同一の価値観で動いていた時代には効率的に働いたシステム」と言う。 「考え方が多様化した現代では、『忖度』が前提の『言わなくてもわかるでしょ』という道理は通じない。霞が関や永田町などムラ社会の色が濃いところにしか残っていないのではないか」という。 それは「先輩に『忖度』する官僚の『天下り』社会」まで続くね。 私:しかし、ムラ社会は、霞が関や永田町などだけではないね。 原子力ムラと言われるように、専門家の閉鎖的集団にはつきものだね。 終身雇用の大企業でもそうだね。 多様性に乏しい単一民族の性かもしれない。 故山本七平氏が指摘した「空気を読む」の「空気」と似ているね。 A氏:こういう日本的社会文化は社会の多様化で、崩壊していくのだろうか。 私:いや、これも森友学園に関連するが、「教育勅語」に関連して日本にもやもやした「ある共通した空気」が 流れているという人もいるね。
2017.04.05
コメント(0)
私:JR北海道は、地元の反発を承知で「鉄路半減」を進めるというが、JR発足後の路線見直しでは最大の規模で、地元と歩み寄る糸口はまだ見えていないという。 その中で島田修社長の覚悟のうちをインタビューしている。 A氏:JR北海道の全路線2552.0kmに対し、1237.2kmの路線を廃止したり、地元の維持負担にしたりの大改革だね。 私:島田社長は、国の支援がなくなる3年後の2020年度以降に、資金ショートし、破綻回避に一時的に借金はできるが、3年という期限のなかで解決しなければならないという。 A氏:背景にある要因は、北海道は人口減少が進み、高速道路網は30年間で6・5倍に延び、九州の2倍の面積に人口は半分、除雪費は年50億円ほどかかるが、国や自治体がつくって保守も担う道路と、鉄道は基本的に構造が違うので、全部自分たちでまかなわなければならないという。 私:人件費をもっと削減できないのかとの指摘があるが、給与水準は道内の自治体と比べても、かなり低く、入社10~15年で会社を辞める人はいま年に100人を超え、年280人ほどの新規採用もなかなか予定人数が集まらないという、ゆゆしき問題があり、実は資金繰り以前に人繰りで鉄道が止まり、運行そのものができなくなる問題にぶつかりかねないという。 A氏:利用者が大幅に減った地方鉄道を赤字補填で維持するしくみは、バケツに穴が開いたところにどんどん税金を投入することで、結果的に、福祉や年金、保育園などに使う予算を切って回すべきかどうかは、国民がきちんと議論をする問題だという。 私:島田社長は給食センターの統廃合の例をあげている。 人口減で自治体は生徒数が少なくなった学校や給食センターの統廃合を進めていて、10食や20食をつくる給食センターは必要なのか、経済合理性の観点から行政サービスですら統廃合しているのに、鉄道だけ、どうしてだめなのか、対症療法的に適当な解決策で問題を先送りすれば、結果的に鉄道に乗る人はいなくなるという。 A氏:路線見直し方針表明前の昨夏、夕張市側から、路線廃止の逆提案があった。 「『攻めの廃線』という、驚くような提案で、(予約に応じて乗り合いタクシーを運行する)デマンド交通など、新しい形を自らつくり出そうという当事者意識を強く感じたという。 立場や事情は違うが、破綻から再生へ、その先の自立へという流れにある夕張市の後を、当社が追いかけているのかもしれないと島田社長はいう。 私:国会での麻生太郎副総理兼財務相の「黒字のJR東日本と北海道を合併するとか、いろんなアイデアが出る」という発言に対し、安倍総理が「一政治家として大胆な考え方が提示された」とフォローされたが、JR東日本には、上場企業として株主への責任もあるという。 民間企業同志だから、合併は簡単な話ではないね。 A氏:いまは優先順位をつけざるを得ない状況だが、北海道新幹線の札幌開業のビッグチャンスもあり、新千歳空港からのアクセスをさらに便利にしていくなど、お客さまに喜んでもらえるサービスに、できればもう少し比重を上げてかかわっていきたいと島田社長はいう。 しかし、年400億~500億円もの営業赤字が続く状況の中の改革には、大胆なアイデアとかなりの経営手腕が問われるのがわかるね。
2017.04.04
コメント(3)
私:堀篭氏は、製造業として過去最悪の1兆円超の最終赤字に転落する見通しの東芝の危機の背景に「3つの呪縛」を指摘しているね。 「第一の呪縛」はリーマン・ショックのとき社長で、ラップトップ型で日米欧市場を開拓した功労者だった西田厚聡氏が、1980年代、「自分が育てた事業は切れなかった」として、技術や販売でリードした成功体験にこだわり、市場の変化を見過ごす「イノベーション(技術革新)」のジレンマにはまったことだという。 A氏;「第二の呪縛」は、組織の「タテ割り」が生んだ事業の聖域化だと堀篭氏はいう。 スピード重視の製品を手がけた青梅は「パソコン事業の司令部」といわれ、独立した存在。 他部門に口をはさみにくい状態で、原発事業の暴走を防げなかった原因はここにもあると堀篭氏は指摘する。 私:事業ごとに専門性を要する総合電機メーカーの宿命でもあるというが、逆に、専門家が壁を破り横に連帯すれば、「イノベーション(技術革新)」を起こす原動力になりそうだが、それができなかった。 巨大企業の複雑な事業をどうかじ取りするのかということで、堀篭氏は、ヒントのひとつは、東芝が約1世紀前に提携を結び、戦後も原発技術を学んだ米ゼネラル・エレクトリック(GE)の成功にあるという。 A氏:これは、このブログの「ゼネラル・エレクトリック 顧客目線の俊敏サービス」として、リーマン・ショック後の危機を脱した経緯をとりあげているね。 私:成長がみこめる事業を選び、人やお金を投じるGEの戦略は「選択と集中」とよばれ、一方で成長の難しい事業からは撤退する。 この手法を東芝が本格的に採ったのは、バブル後の92年に社長に就いた佐藤文夫氏の時代だが東芝は当初、「集中と選択」と言いかえた。 「選択」の言葉を初めに掲げると「切り捨て」の印象が強い、と順序にこだわったとされ、雇用を守るため事業の枠組みは残し、パソコンならノート、テレビならワイド画面に注力した。 底流では「捨てる」のをためらう経営がつづいた。 これが「第三の呪縛」だね。 A氏:対照的にGE金融や放送、伝統の家電事業を売却していった。 終身雇用が残る日本企業は仲間意識が強く、GEのように大胆な事業売却に踏み切れなく、東芝もそうだった。 私:高度成長を支え、日本的経営が生んだ運命共同体という「第三の呪縛」により、GEになり切れなかった東芝を危機へと追いこんだわけだ。 「成長事業を見抜き育てることが経営者の使命であり、変化を拒めば、組織も守れず、新しい雇用も生みだせない。東芝の教訓はそう告げている」と堀篭氏はいう。 世界的な株価指数のダウ工業株平均は1896年の開始以来、米国の産業構造の変化にあわせて構成銘柄が入れ替わったが、開始当初の銘柄だったGEは、今も残る唯一の会社だという。 一方GEに劣らず、名門「東芝」銘柄の復活はあるのだろうか。
2017.04.03
コメント(0)
私:6年前、日本は東日本大震災と原発事故という未曾有の経験をした。 そのような「想定外」のリスクをふだんからどれだけ意識しているかということで、朝日新聞は「科学の扉」欄では月1回の予定で「『想定外』を考える」を掲載するという。 初回の今日は、「地球に小惑星衝突の危機」だね。 A氏:直径は100~250メートルとみられる新たな小惑星が見つかり、NASAとESA(欧州宇宙機関)は、10年後に衝突の可能性があると推定。 当初4万分の1だった衝突確率は、各国の観測機関の追跡観測の結果、2カ月あまりで1%近くに上昇し、衝突危険エリアは北太平洋から東京、韓国、中国、ロシア、英国北部にまで広がるという。 ある意味、「想定内」の部分もあるね。 私:すでに、観測例があるんだね。 1994年に、シューメーカー・レビー第9彗星が約20個に分かれた直径1~4キロの破片が次々と木星を直撃し、大火球やキノコ雲が、地球からも観測されたという。 地球上の例では、13年2月15日、ロシア南西部の都市チェリャビンスク近郊に落ちた隕石では大きな被害が出た。 地球大気に浅い角度で秒速19キロで突入し、大気による減速に耐えきれず高度30キロで爆発し、圧縮された空気が衝撃波となり、約2分後に市街地を襲った。 半径30~40キロの範囲で窓ガラスが割れ、1500人以上のけが人が出た。 直径は約20メートル、爆発規模は原爆の約30倍だった。 A氏:1908年6月30日に中央シベリアに衝突した隕石の爆発(ツングースカ大爆発)では、東京都に匹敵する約2千平方キロに渡って樹木がなぎ倒された。 私:実は地球に衝突することが事前に分かったケースがある。 2008年、米アリゾナの観測チームが発見した天体は、NASAやESAによって約20時間後にアフリカ・スーダンに落ちると予測され、その通りにヌビア砂漠上空で爆発し、2~3メートル程度と小さく被害はなかった。 天体の発見と観測経過は、国際天文学連合の専門家向け電子メールで逐一通知されたが、一般には知らされなかったという。 A氏:地球史上、有名なのは6600万年前、メキシコ・ユカタン半島沖に直径10キロ程度の天体が衝突したもので、直径200キロのチチュルブ・クレーターができ、恐竜などの大量絶滅の引き金になったと考えられる。 私:天体の衝突が予測される場合、対策として考えられる一つは、天体に無人の宇宙船を衝突させる方法で、NASAは05年に宇宙船「ディープインパクト」を彗星に衝突させる実験に成功したが、宇宙船の重さや衝突速度が必要で、限界が指摘されている。 別な方法として、天体に宇宙船を一定の距離で並走させて万有引力で緩やかに軌道を変更する方法なども考えられているという。 A氏:国連宇宙空間平和利用委員会は13年に、地球に接近する天体の観測を行う「国際小惑星警報ネットワーク」と、対策を検討する「宇宙ミッション計画アドバイザリーグループ」を設置。 しかし、観測は進んできたが、対策の検討は始まったばかりで、情報伝達や避難指示は誰がどのように行うのか、衝突回避のための宇宙船の打ち上げ費用は誰が負担するのか、予測が外れたり、回避策が失敗したりして、被害が拡大した場合の補償などの論点が山積しているのが実状だという。 私:日本は天体衝突に組織として対応できておらず、低頻度で起きる巨大災害にどう対応するか、共通する課題だという。 「想定外」をいかに「想定内」にするかの組織化が必要だね。
2017.04.02
コメント(0)
私:森友学園の幼稚園児に「教育勅語」を暗唱させていた問題で、最近、「教育勅語」がマスコミの話題になったが、政府は31日、戦前・戦中の「教育勅語」を学校教育で使うことについて、「勅語を我が国の教育の唯一の根本とするような指導を行うことは不適切である」としたうえで、「憲法や教育基本法等に反しないような形で教材として用いることまでは否定されることではない」との答弁書を閣議決定したと報じている。 A氏:また、稲田防衛相が国会答弁で「親孝行や友達を大切にするとか、そういう(勅語の)核の部分は今も大切なもの」と述べたことの是非について、答弁書は「政治家個人としての見解」とし、政府としての見解を示さなかった。 しかし、「教育勅語」は、かつて国会で「基本的人権を損ない、国際信義にも疑点を残す」として排除までされ、影を潜めてきたが、第2次安倍政権になって、閣僚などから肯定的な評価が相次いでいるね。 私:もっとも、「森友学園」が運営する幼稚園の教育内容について、園児が運動会の選手宣誓の際、「安倍首相がんばれ」などと連呼するのは、安倍首相も不適切との認識を示したという。 A氏:しかし、この幼稚園の教育方法は、籠池理事長退任後、新理事長になる娘さんの教育方針は変わるようで「教育勅語」の暗唱はなくなるかもしれないね。 私:戦後になり、日本国憲法が公布された1946年、学校などに対し、「我が国教育の唯一の淵源となす従来の考へ方を去って」という取り扱いが書かれた文部次官通牒が出され、奉読も禁止され、さらに、48年6月には、衆参両院で、「教育勅語」の排除・失効の確認が決議され、「教育勅語」が「神話的国体観」に基づいている事実は、明らかに基本的人権を損ない、国際的にも疑念を残すとして謄本を回収し、排除を完了するとした。 A氏:明治以来、長く教育の基本方針になった「教育勅語」が、終戦後も一定程度人々の考え方の基本になっていた様子がうかがえるね。 私:明治の「帝国憲法」の制定の中心人物、伊藤博文や井上毅は、ヨーロッパに憲法を学び、キリスト教が国教であり、これが教育の中心になっていることを知るが、同時に、それが宗教戦争のもとになっていることから、国教を定めず、帝国憲法第28条では信教の自由を規定した。 A氏:だから、井上毅は「教育勅語」を作成する時、立憲君主制の考えから、「君子は臣民の良心の自由に介入できない」という立場を貫いた。 私:当時、すでに、キリスト教や儒教に基づく「教育勅語」案があったが、井上は特定の宗教に偏することのない案をつくり、前年の「軍人勅諭」と異なり、政令でなく、帝国憲法の下に位置する天皇の個人的文書として公布することを考えていた。 「教育勅語」の最後の「一旦、緩急あればーーー」の項も「緩急あるときは共同愛国の義心をふるう」という意味でなく、「国憲を重んじ、国宝にしたがい」だけは、他のいかなる条件によっても決して覆してはならない絶対の徳目という意味であった。 A氏:しかし、「教育勅語」発布後「義勇公に奉じ」の名目のもと、「国憲」「国法」が蹂躙される歴史が顕在化したね。 「教育勅語」の発布も井上の意図に反して、政令として発布され強制力をもつようになる。 私:1891(明治24)年から小学校における祝日大祭日の天皇崇拝の儀式が発布され、紀元節、天長節、神嘗祭などの儀式があって、校長が「教育勅語」の「聖意」にそった講話をし、最後に唱歌を歌うのが、この頃始まった。 明治国家の枠組みを作った伊藤博文、井上毅らが、国民の良心に介入することに反対したのは、まっとうな近代的感覚だった。 しかし、「教育勅語」は昭和の軍事主導体制で、彼らが危惧したゆがんだものになってしまったね。 「教育勅語」を語る時、まず、その反省からはじめるべきだね。
2017.04.01
コメント(0)
私:森友学園騒動で「忖度」という言葉が飛び交っているが、小学校の道徳が2018年度から教科書を使うようになり、その内容問題が教科書検定で登場したね。 これを今月の「池上彰の新聞ななめ読み」でとりあげているね。 A氏:道徳が小学校に導入されたのは1958年。 当時、「最近の子どもたちは道徳観念が薄れている」と声高に主張する人たちがいたためだというが、「戦後版教育勅語」になってはいけないという警戒心も強く、教科書を使う「教科」にはしないという条件で始まり、これが「教科外の活動」という位置づけの理由。 ところが、2018年度から「特別の教科」という位置づけに格上げされ、文科省検定教科書を使い、成績評価も実施されることになった。 58年に道徳を学校教育に入れさせた人たちの目標が、ついに達成され、「『教育勅語』にはいいことも書いてある」などという政治家が存在する時代だからと池上氏は皮肉っているね。 A氏:検定結果で池上氏が驚いたのは、小学校1年生の「にちようびのさんぽみち」という教材で登場する「パン屋」が「和菓子屋」に教科書検定で書き換えられていたという朝日新聞の記事だという。 私:俺も驚いたよ。 別の教科書会社だが、同じく小学校1年生の「大すき、わたしたちの町」という教材では「アスレチックの遊具で遊ぶ公園」を「和楽器を売る店」に差し替えたという。 A氏:なぜ「パン屋」ではいけないのかというと、朝日の記事によると文科省の説明では、「『パン屋』がダメというわけではなく、教科書全体で指導要領にある『我が国や郷土の文化と生活に親しみ、愛着をもつ』という点が足りないため」という。 文科省の指摘を受け、教科書会社は「和菓子屋」に書き換え、検定を通り、「アスレチック」も同様の指摘を受け、教科書会社が「和楽器を売る店」に改めた。 私:ただ、文科省が「和菓子屋」や「和楽器店」に書き換えさせたのではなく、教科書会社の方で「忖度」したということらしい。 A氏:「忖度」の登場だね。 私:文科省は細かい点を指摘し、その後の修正は教科書会社に任せ、その結果、教科書会社は文科省の顔色をうかがって「忖度」し、「和菓子屋」や「和楽器店」を持ち出す、という構造になっていると池上氏は指摘する。 小学校の道徳で教えなければならない項目は、学習指導要領で学年により19~22項目あり、その中には「個性の伸長」という項目もあるが、教科書会社に「忖度」させて、内容をコントロールさせるというやり方には、個性の出番はないと池上氏は鋭く指摘する。 A氏:この問題で池上氏は、3月29日付東京新聞朝刊の「本音のコラム」での文芸評論家の斎藤美奈子氏の記事を引用しているね。 斎藤氏は次のように鋭く喝破している。 「日本のパンの元祖は、幕末の伊豆韮山の代官で兵学者でもあった江川太郎左衛門が兵糧として焼いたパンだったこと。明治初期に木村屋が開発したあんパンは発酵に饅頭用の酒種を使ったこと。一方、和菓子は遣唐使が持ち帰った中国の菓子にルーツを持つこと。和菓子の発展を促した茶の湯も、栄西が大陸から持ち帰った茶からはじまること。つまりどちらも郷土というより国際交流のたまもので、両者の間に差などない」 私:池上氏は「郷土のことをよく知らないのは文科省なのかも」と皮肉っている。 それにしても、森友学園騒動で、幼稚園で明治の「教育勅語」を幼稚園児に暗唱させていたのが、問題になったが、これを「『教育勅語』」にはいいことも書いてある」と言った大臣がいたようだが、それは「『教育勅語』の歴史に無知なこと」を示しているね。
2017.03.31
コメント(0)
私:「エンゲル係数」とは、消費支出のうち食費が占める割合を示すもので、「生活にゆとりのないばあい、他の生活費は減らせても、食料費だけは減らすことが難しいので、一般的には、エンゲル係数が大きくなる」というものだった。 ところが、総務相の家計調査によると、2016年(2人以上世帯)は25・8%と前年から0・8ポイント上昇し、29年ぶりの高水準になった。 A氏:高齢化や共働き世帯が増える中、家計の「食」の中身は、かつてと様変わりしているようだね。 中でも総菜など「調理食品」が消費支出に占める割合は16年に3・4%と、30年前(1・8%)の倍近くに増加。 外食や、ペットボトルで買うことも増えた飲料などが伸びているのも特徴だ。 A氏:経済成長とともに下降の一途をたどってきた「エンゲル係数」は、05年を境に上昇傾向に転換。 原因は食品価格の上昇で、円安で輸入食品の価格が上がっているのに加え、中国など世界的な食料需要の高まりなどが背景にあるという。 そこに、「調理食品」や外食の増加などライフスタイルの変化や、将来に備えた節約志向などで消費支出そのものが減った影響が加わったとみられる。 私:岐阜大の大藪千穂教授は「かつてと違い、高齢化や為替変動、食文化の変化など様々な要因が全部混ざって『エンゲル係数』が上がっており、『上昇したから貧困』と直結はできなくなっている」と指摘し、一方で、「特に低所得者層にとっては今でも生活の大変さを表す指標の一つとして重要な意味を持ち、中身を分析して影響を考えていく必要がある」と話しているという。 一部、格差の拡大による低所得層の「エンゲル係数」の上昇もあるのかね。 あるいは、家庭の空洞化か。 俺の身の回りでは、コンビニで容易に「調理食品」が買えるなど、食生活の変化が感じられるね。
2017.03.30
コメント(0)
私:朝日新聞は、この春、「ともに考え、ともにつくる」という理念のもと、消費者や専門家のみなさん、企業、行政機関とともに知恵を出し合い、あるべき姿をさぐる「朝日新聞DIALOG(ダイアログ)」を立ち上げた。 初回のDIALOG(対話)に選んだのは「スマート農業」で、3月14日午後、東京都の有楽町朝日ホールで開かれた。 A氏:「スマート農業」というのは、先端技術を活用し、省力化や大規模生産、品質の向上などを目指す新たな農業をいい、ロボットやAI、装置をインターネットで結ぶIoTなどの技術を、農作業や出荷の管理などに活用。 草刈りを自動でするロボットや、積み込み作業を補助するアシストスーツなどで、農水省は新規就農者の確保につなげたい考え。 私:このフォーラムでは、「グローバルGAP」という言葉が登場するね。 農産物が安全であることを示す国際認証規格で、ドイツの民間団体がとりまとめたもので、生産工程で農薬が適正に使われているか、異物の混入防止策が取られているかや、労働者の待遇など200項目以上をチェックし、現在約120カ国・地域で約16万件が認証されているという。 農産品を国際市場に売るには、これを認証していること有利だ。 A氏:3者対談のメンバーは、小泉進次郎・自民党農林部会長、佐藤康博・経団連農業活性化委員会共同委員長(みずほFC社長)、大西茂志・全国農業共同組合中央会常務理事の3人。 私:小泉氏は日本の農業者のうち65歳以上の割合は63・5%で、英、仏、米など世界と比べると、日本の高齢化は突出しており、どうやったら負担なく新たな技術を活用して仕事を効率化できるか。 そこで出てきたのが「スマート農業」だとまず、発言しているね。 A氏:高齢化と後継者不足で農家人口は200万人を切ったね。 今はあまっているコメも20年~30年後には自給できなくなるかもしれない。 コメ以外の現場も人手不足が続く中、食糧の安定供給のための「スマート農業」は不可避の課題だね。 私:小泉進次郎・自民党農林部会長の今後の活躍を期待したいね。
2017.03.29
コメント(0)
私:海洋進出を強める中国を念頭に置いた防衛力強化の一環として、日本最西端与那国島に陸上自衛隊駐屯地が開設され、28日で1年たつ。 A氏:この話題は、このブログで、石垣島について「緊迫の国境、変わる石垣島 持ち込まれる『愛国』」の中で少しふれ、与那国島については、「英国総選挙 政党の役割問い直そう」4日朝日新聞社説と沖縄の民意で詳しくふれているね。 あれから、1年以上立ったが、尖閣諸島をめぐる中国との緊張はますます、たかまっているね。 私:島が自衛隊誘致に動いたきっかけは財政への危機感で、終戦直後の島は人口1万2千人が、昨年2月には人口1500人を割っていた。 島を二分した議論の末、一昨年の住民投票で誘致賛成が上回り、昨年3月以降、約160人の隊員とその家族あわせて約250人が転入し、人口は1715人(今年2月末)に増加。 住民税と駐屯地の地代の計約5800万円が町の新たな収入になった。 今月23日、町立与那国小学校で卒業式があり、児童数は50人前後だったが、この1年で自衛隊員の子供たち13人が編入され、全児童数が2割以上増えた計算になる。 A氏:隊員たちは積極的に島に溶け込もうとしている。 駐屯地には警備部隊と、東シナ海の中国軍などの動向を山上からにらむ高性能アンテナ5基などを運用する部隊が常駐し、航空機や艦船からの監視と違い、24時間定点観測できる 私:対中国を念頭に進む「南西シフト」。 今月19日の防衛大学校卒業式で、安倍首相は「南西方面では外国軍機による領空接近も増加している」と言及し、稲田防衛相も3日の記者会見で「南西諸島などをめぐる状況を考えると、自衛隊の施設を置いていくことは重要だ」と述べた。 A氏:防衛省・自衛隊は与那国島への陸自配備を皮切りに、宮古島市と石垣市にも警備部隊とミサイル部隊の配備を計画し、昨年、両市に正式に要請した。 新年度予算案では、宮古島市への陸自配備に向けて土地取得費や整備費など、約310億円を計上している。 政府は2013年の新防衛大綱で「南西地域の防衛態勢の強化、防衛力整備を優先する」と明記し、500~800人規模の部隊を鹿児島・奄美大島、沖縄・宮古島、石垣島に配置し、離島を侵略された場合、戦闘機や護衛艦の支援を受けて上陸する「水陸機動団」も来年3月に長崎県佐世保市に新設される。 私:尖閣諸島がある石垣市では「中国公船が領海侵犯を繰り返し、危機感がある」と語ってきた中山義隆市長が昨年末、配備手続きの開始を表明し、宮古島でも、受け入れを表明した下地敏彦市長が今年1月に再選された。 一方、翁長知事は、まだ辺野古の基地建設に反対を続ける。 「英国総選挙 政党の役割問い直そう」4日朝日新聞社説と沖縄の民意でふれたように、依然として基地建設をめぐって、「2つの沖縄」が存在するね。
2017.03.27
コメント(0)
私:世界最大の英語辞典、オックスフォード辞典が昨年の「時代を最もよく表す言葉」として選んだ言葉が、「ポスト真実」だね。 「客観的事実より、感情的な訴えかけの方が世論形成に大きく影響する状況を意味する」という。 事実をゆがめ、巧みなプロパガンダで台頭した全体主義の時代と重ねて警鐘を鳴らす声もあるという。 これが問題になったのはトランプ氏の登場からで、「漏れた情報は完全に本物だ。でも(報じた)そのニュースは『うそ』。なぜなら偽ニュースだらけだから」と、ロシア側と接触していたことなどを米メディアに暴露されると、トランプ氏は記者会見でそう言い放った。 A氏:ソーシャルメディアの発達などで現実世界での公的な場と居酒屋的な場所の区別があいまいになり、感情を刺激する技術に人間が追いつけておらず、コミュニケーション環境の劇的な変化がその区別を破壊しているのが特徴だという。 私:「ポスト真実」が昨年のその年を代表する言葉に選ばれ、米国で改めてベストセラーになったのが、英作家ジョージ・オーウェルの『一九八四年』で、1949年に出版されたこの小説は日本でも再び売り上げを伸ばしているという。 この小説は、個人の自由が奪われた全体主義国家を描き、徹底的な監視、都合の悪い事実を消して権力者側の意向で「真実」が決められていく様を描いた描写が、トランプ政権誕生後の米国社会など「ポスト真実」時代の社会と似ている、と注目されたという。 A氏:だが、政治理論専門の山崎望・駒沢大准教授は、「『ポスト真実』の時代とは、『うそ』がはびこるというより、『私の真実』に居直る時代」だという。 オーウェルが描いたのは、旧ソ連のような国家が上から真実を押しつける全体主義社会だが、今はむしろ、それぞれの人が下から「自分の真実」を勝手に主張し始めていると教授はいう。 教授は、全体主義とは異質な危険をはらむとみて、「ポスト真実」時代に人気を博す政治家は、自分こそが「本当の民衆」の代弁者だと主張し、だから私が言うことが「真実」と語る。 「ポスト真実」の時代は、逆説的だが、「本当の真実」の存在は疑わない、「私の真実」の時代だという。 教授は「本来は政治の場で語られる意見の違いは、妥協なしに白黒つける話ではなく、対話を通じて折り合っていくもので、自分と相手との違いを、相手の『間違い』にすり替えて多様な現実を切り捨て、自分の立場に居直るから、社会の分断が深まってしまう」という。 私:ドイツ思想に詳しい三島憲一・大阪大名誉教授は、「私の真実」に居直ることの危険性はほかにもあり、政治を可能にする人間の根本的な思考が破壊されてしまう可能性を指摘する。 三島教授は、「『うそ』は政治の世界でも珍しくはないが、ばれたら非難されるのが前提。それが失われ、『正しさ』について他人と共有することを放棄してしまうのが、『うそ』に覆われた世界だ」と指摘。 A氏:日本のネット右翼を見てもわかるように、そんな社会では他者との論争は不可能になり、自分と立場が異なる人と、公共の議論を通じて、社会を営むことができなくなるの ではないかと三島教授はいう。 私:連日の報道で、我々が、「ポスト真実」な現代に慣れてきているとしたら、かなり危ういと記者は書いているが、この記事が出た翌日のマスコミ報道での国会で証人喚問された森友学園理事長の籠池氏が語った「私の真実」と安倍首相の「私の真実」とがもろにぶつかり、どうやら、そのまま、終わりそうだね。 まさに日本政治も「ポスト真実」時代だね。
2017.03.25
コメント(0)
私:英紙ガーディアン電子版は、23日、「安倍晋三夫妻、ウルトラ・ナショナリスト(国粋主義)学校に寄付の疑い」と報じた。 米CNNも、日の丸を背景に籠池氏と安倍夫妻、稲田防衛相を組み合わせた写真を使い、「名誉校長」「防衛相との関わり」などの項目を立てて詳報。 A氏:籠池氏の国会証人喚問後の日本外国特派員協会による記者会見は、用意された約200席は国内外の約70社の記者ですぐ満席になり、約1時間半、質問の手が挙がり続けたという。 私:質問が相次いだのは学園の教育についてで、イタリアのニュース専門局「SkyTG24」の極東特派員ピオ・デミリア氏は、籠池氏の教育方針について尋ね、籠池氏が「我が国は愛国心が他国より低い。愛国心教育は必要だ」と答えたのに対し、デミリア氏は会見後、「日本の国粋主義はかつて悪いことをした。森友のような教育システムが行われるのはちょっと心配だ」と語った。 A氏:香港フェニックステレビの東京支局長は、学園が運営する幼稚園の運動会で園児らが「中国、韓国が心改め、歴史でうそを教えないようお願いいたします」と宣誓したことを質問し、会見後、同局長は「人種差別的、ヘイト的な発言が適切なのかどうか、関心を持っている」と話した。 私:一方、ニューヨーク・タイムズ紙の記者は、国有地の8億円の減額に安倍首相が関わったと思うか、籠池氏の認識を繰り返し質問。 英タイムズ紙の記者は、籠池氏の「神風が吹いた」という発言の真意を尋ねた。 A氏:インターネットや米国のテレビ局向けに日本の情報を英語で発信している新月通信社のマイケル・ペン社長は「外国メディアにとって最大で唯一の関心は、これまで、外国メディアはほとんど注目していなかった、安倍首相が生き残るかどうかで、首相の退陣につながるとすると重要な国際ニュースになり、それだけ国会での証人喚問は劇的だった」という。 私:そのようにならないように与党のあらゆる政治力が結集するだろうね。 しかし、たしかに、国会証人喚問のときの籠池節は堂々としていたね。
2017.03.24
コメント(0)
私:著者は、社会学者、東大名誉教授で、人間の解放や幸福を希求する感性と透徹した論理性が共存する独特の著作で多くのファンを持つという。 この本は、元々は1973年に雑誌「展望」に掲載されて、少数の若い読者の強い共感だけがあるという状態が続いていたが、表題作として単行本になったのは35年後の2008年で、それを機に初めて広く読まれるようになったという。A氏:図書館の要旨を検索すると、「あの事件」を手がかりに、都市の非条理と社会の実存構造を浮き彫りにした名論考、待望の復活とあり、内容は、日本中を震撼させた「殺人事件」を手がかりに、日本社会の階級構造と、それを支える個人の生の実存的意味を浮き彫りにした名論考を復刊とあり、また、最近の事件を考える上でも示唆に富む現代社会論必携の1冊とある。私:「あの事件」、「殺人事件」とは1969年、市民4人を射殺した連続射殺犯として19歳の少年永山則夫が逮捕される事件だね。 見田氏が衝撃を受けたのは71年、彼の手記『無知の涙』を読んだときだという。 永山則夫は地方で極貧の子供時代を送り、中卒で上京。手記の表紙には、漢字練習帳の写真が載せられていて、逮捕されたあとに字を覚えようとして何度も何度も字を書きつけたものだという。A氏:永山則夫については、2013年の君のブログ、「永山則夫・封印された鑑定記録」堀川恵子著で、9日間連続に記録しているね。私:俺は、この永山則夫の19歳に至るまでの人生記録の詳細を読んだ時、唖然となったね。 見山氏は、切れば血の出る社会学、〈人生の社会学〉を作りたいと願い、永山則夫という1人の人生に光を当て、その人が生きている社会の構造の中で徹底的に分析する、その最初のサンプルを提示するつもりで書いたという。A氏:永山則夫にとって都市は、若者の「安価な労働力」としての面には関心を寄せても、その人が自由への意思や誇りを持って生きようとする人間だという面には関心を寄せない場所であり、また社会には、出身や所属によってその人を差別し排除する構造もあった。「思う通りに理解されない」ことに永山則夫は苦しみ、他者のまなざしに沿って自らを変形させていく。私:永山則夫の獄中手記「無知の涙」にある彼が見た夢みたいな話を見田氏は紹介している。「鯨の背の上で大海を漂流している『ぼく』は、飢えて鯨に『君を食べていいかい』と聞く。鯨は『仕方無いよ』と答え、『ぼく』は鯨をほんの少しだけ、また少しだけと毎日食べていく。3分の1食べたところでひどいことだと気付いて謝るが、鯨はもう死んでいた。そのとき『ぼく』は、鯨は自分自身の精神であったということに気付く」という話。A氏:見田氏は、そこから、現代の社会構造問題に切り込むね。私:電通の24歳の女性社員が過労自殺した事件が昨年、注目されたとき、見田氏は、永山則夫のこの鯨の話を思い出したという。 電通の事件自体はもちろん、伝えられる通り、極端な長時間労働で心身が消耗した結果なのだろうが、見田氏が思ったのは、その背後には数え切れないくらいの「精神の過労自殺」があるのではないか、ということだという。A氏:現代の情報産業、知的産業、営業部門などで働く若い人たちが、やむをえない必要に追われる中で「仕方無いよ」とつぶやきながら、自分の初心や夢や志をちょっとずつちょっとずつすり減らし、食いつぶしている。 そしていつか、自分が何のために生きているのか分からなくなってしまっているというわけか。私:見田氏は「近代の知のシステムは『文学』とか『社会学』とかいう様々な分類、壁を作って専門分化してきたが、こういう壁は音を立てて崩れるときが来ると思っています。そのあとに現れる『人間学』のようなもの。その一環としてこの仕事が読まれる時代が来るといいな、と思っています」という。 2013年の9日間連続のブログ、「永山則夫・封印された鑑定記録」堀川恵子著を読み返しながら、見山氏の「まなざしの地獄」を読む気になった。 図書館に予約したら、待ち無しですぐに借りられそうだ。
2017.03.22
コメント(0)
【送料無料】2016年・イスムこだわりのリニューアル阿修羅像!!イSム 阿修羅像 TanaCOCORO【 掌 】 あしゅら・仏像フィギュア / インテリア〈イスム〉 私:俺は奈良に行くことがあると、ついでに必ず、興福寺の阿修羅像を鑑賞に直行する。 小さな像だが、キリッとしまった顔の表情がいいね。 A氏:その阿修羅像をめぐって、シンポジウム「阿修羅像を未来へ―文化財保護のこれからを考える―」が、2月25日、朝日新聞社主催、朝日新聞文化財団共催で開かれた。 現状維持が基本の仏像修理の是非をめぐり、宗教者や美術史家らが意見を交わし、約530人が聴き入ったという。 仏像は礼拝の対象であることを強調し、明治時代に修理される前の右腕の先の方が欠けた阿修羅像の写真を示し、「今、この状態で寺から見つかれば合掌する姿は永遠に見られなかった」と述べ、現状維持を続ければ修理技術が向上しない可能性も指摘する意見もあった。 私:これに対し、修理スタッフによって感性や技量は違うので、現状維持という枠を取っ払うのは慎重にした方がいいという意見も出た。 今の研究で分かっているのはごく一部しかないため、確実な範囲で直し、未来に新しいことが分かったらその情報に基づいて直すという、その繰り返しが、文化財保存の方向性だという中間的な考えも出た。 A氏:議論は修理の人材育成の問題にも及び、今日のテーマから言えば、仏像の保護だけでなく、仏像が出来上がってきた技術や感性を今によみがえらせ、未来へ伝えることも大事なのではという意見も出て、会場から大きな拍手がわいたという。 私:この新聞記事では、2009年に九州国立博物館(福岡県太宰府市)で阿修羅像のX線CTスキャン撮影が行われ、その画像が示されている。 その後、研究チームが画像の解析を進め、仏像内部の状況や修理の詳細が明らかになってきた。 奈良時代以降、何度も火災などに見舞われ、6本ある腕のうち数本が損なわれていたが、1902~05(明治35~38)年に修理され、最も正面に近い左右2本の腕のうち、ひじから先が失われた右腕が補われた。 両腕が体の正面よりも左寄りの位置で合掌する姿勢となり、美術史家を中心に本来は合掌の姿勢ではなく、法具か宝物を持っていた可能性が指摘されてきたという。 A氏:また、明治時代の修理で両腕わきの下に木屎漆(こくそうるし)(木粉と漆のペースト)を詰めたため、両腕とも外側に開き気味となり、中心軸からずれてしまった可能性を指摘され、復元実験の結果も踏まえ、「本来は体の正面で合掌していたことが確かめられた」と訴え、「非合掌説」を明確に否定した学者もいた。 私:一方、ある学者は、阿修羅像の向かって左の顔が原型に布を貼っていた段階では笑っていたと指摘したが、仕上がった段階では泣き出す寸前のような表情に変わったことなど制作過程を再現するなかで明らかになったことを披露したという。 あのキリッとした表情が、原型は笑っていたというのには驚いたね。 しかし、このキリッとした独特の表情は、維持してもらいたいね。
2017.03.21
コメント(0)
私:オランダで15日、総選挙(議会定数150)が行われ、マルク・ルッテ首相率いる自由民主国民党(VVD)が最多の33議席を獲得し、3期続投が決まった。 ルッテ首相は「今日は民主主義を祝う日だった」と勝利宣言し、オランダは「誤った形のポピュリズムに『ちょっと待って!』と言った」のだと強調。 この書評でとりあげた「ポピュリズムとは何か」の著者水島氏は、専門はそのオランダ政治史だが、本書では、専門のオランダを含む欧州全体ばかりか、南北アメリカや日本のポピュリズムまでもが広く対象としているという。 A氏:書評によると、著者は専門の研究によりつつ、民主主義とポピュリズムの複雑な関係を丁寧に分析しているという。 私:ポピュリズムは人民主権や多数決制を擁護する点では民主主義の発展を促すように見えながら、代表制で選ばれる既成政党を批判し、カリスマ的なリーダーを待望する点で民主主義の発展を阻害する面も併せ持っている。 本書は日本の例として橋下徹に言及しているが、評者はむしろ大正デモクラシーの中から出てきた昭和の超国家主義を思い出したという。 A氏;同時期にドイツでも、ワイマール憲法が定めた民主主義の中からナチズムが台頭してくる。 私:評者はこうした全体主義とポピュリズムの関係についても、著者の見方を知りたいと思ったという。 韓国などはどうなのかね。 図書館の要旨では、「イギリスのEU離脱、反イスラムなど排外主義の広がり、トランプ米大統領誕生…世界で猛威を振るうポピュリズム。 『大衆迎合主義』とも訳され、民主主義の脅威と見られがちだが、ラテンアメリカではエリート支配から人民を解放する原動力となり、ヨーロッパでは既成政党に改革を促す効果も指摘され、一方的に断罪すれば済むものではない。 西欧から南北アメリカ、日本まで席巻する現状を分析し、その本質に迫る」とある。 評者のいうように、ナチスと日本の超国家主義の分析はないようだ。 図書館に予約しようとしたが予約殺到であきらめた。
2017.03.20
コメント(0)
私:福島第1原発事故の集団訴訟で、前橋地裁が、東電と国のいずれについても責任を認めた判決を出したね。 A氏:判決は津波の到来について、東電は「実際に予見していた」と判断し、非常用ディーゼル発電機の高台設置などをしていれば「事故は発生しなかった」と指摘。 国についても「予見可能だった」とし、規制権限を行使して東電にこれらの措置を講じさせていれば「事故を防ぐことは可能であった」とし、原告の主張をほぼ認める判決となったね。 私:原告側は、政府が2002年7月に発表した「長期評価」で、福島第一原発沖を含む日本海溝での地震の発生確率が「30年以内に20%程度」とされていた点を重視。 東電が08年5月、福島第一原発に15・7メートルの津波が来るとの試算を得ていたことなども指摘し、「津波は予見でき、防潮堤建設などで事故は防げた」と主張していた。 「想定内」だったことになり、これが認められたね。 A氏:福島第1原発1号機は、米国の原発メーカーGE社製の沸騰水型マーク1で、設計・製造から試運転まで全てGEが行い、東京電力は試運転が終わり、「マニュアル通りに運転せよ」と、キーを渡されただけだったという。 私:福島第1原発1号機が動き出したのは1971年だが、俺は、当時、日立市のほうに用事で行った時、常磐線のグリーン車に乗ったことがあるが、席のほとんどは、アメリカ人だった。 聞いたら、GE社の人で、福島第1原発メンテナンスに来たのだという。 当時はまだ、メンテナンスもGE社頼りだったんだね。 東北新幹線が開通したのが1982年だから、まだ常磐線を使っていたんだろう。 私:この事故で問題になった非常用電源喪失は、非常用ディーゼル発電機が地下にあったことで津波に弱かったことだが、これは、GEの設計では、米国のハリケーンや竜巻防止の対策だったのであり、日本の自然の特殊性の配慮がなかったようだ。 このブログの「原発を直視する勇気を」でふれたが、「ベイジン」上巻、真山仁著、「ベイジン」下巻の著者の真山仁氏は 福島原発の事故が起きる前の2007年から多くの専門家に取材し、小説のアイデアとして、冷却プロセスで、全交流電源喪失(ステーションブラックアウト・SBO)し、メルトダウンを起こすというものを考えた。 A氏:まさに、福島第一原発の予告だね。 私:当時、真山氏は多数の専門家から「日本ではSBO なんて絶対に起こり得ない!」と声を大にして反論されたという。 そこで氏は、SBOの舞台を中国の原発で起きたという「ベイジン」上巻、真山仁著、「ベイジン」下巻の小説にしたのだという。 真山氏にとっては「想定内」の事故だったんだね。 同様に、今度の前橋地裁の判決はすべて事故は「想定内」であったことを指摘していることになるね。
2017.03.19
コメント(0)
私:天皇陛下が昨夏、退位の意向を示唆する「お気持ち」を表明して以降、政治は大きく動いていて、与野党は特例法制定でまとまり、政府は今国会に法案を出すというところまできたね。 この問題は、このブログでも以下のようにとりあげていたね。 「退位問題に思う 天皇制と民主主義の矛盾」、「天皇と『公務』」小熊英二氏:「生前退位、明確な基準必要」木村草太氏、「退位のルール」元最高裁判事、東北大学名誉教授・藤田宙靖氏のインタビュー:高橋源一郎氏寄稿・「皇居で考える」、 A氏:「皇室典範」に天皇退位の条項を入れることについては違憲でないことは共通しているようだね。 私:問題は、この原武史氏のように、退位の意向を示唆する「お気持ち」を表明してから、急に政府が動きだし、国政を動かしているのは、いまの憲法下で、天皇は国政に関与できないはずなのに、関与したことになるという見方が強いね。 A氏:本来は天皇を規定するはずの法が、天皇の意思で作られたり変わったりしたら、法の上に天皇が立つことになってしまい、天皇の意思が現実政治に影響を及ぼしたことになるということで憲法違反になってしまうね。 私:憲法は天皇の地位を「国民の総意に基づく」と定めているのだから、あらかじめ国民の中に「天皇の年齢を考えると、そろそろ退位してもらい、皇太子が即位した方がいい」という意見が広がり、その国民の「総意」に基づいて、天皇が退位するという過程をたどるべきだという。 A氏:しかし、原氏は、それが現実には難しかったということもわかるとして、国民の中に、天皇に対する『おそれおおい』という感情は今も根強くあり、さらに、各地の被災地やかつての激戦地を訪れる天皇の姿に、尊敬の念が増していることもあるとう。 原氏は、政府が天皇の内意をくみとり、自発的に動いていればよかったと思うといい、少なくとも、天皇の意思がこんなに露骨に政治を動かすという事態は避けられたという。 周囲や政府の責任は大きいと指摘している。 私:摂政案もあったが、天皇本人が強く反対したという報道もあった。 大正天皇の時に、皇太子だった後の昭和天皇が摂政になったが、この結果、大正天皇はいわば押し込められ、しかも宮中は天皇側と摂政側に大きく割れてしまい、今の天皇はそれを知っていて、摂政案を拒否したといわれている。 A氏:「お気持ち」には、敗戦翌年の1946年元日の昭和天皇による「人間宣言」と「相互の信頼と敬愛」が重なるなど共通点があり、引き継いでいると、リベラルといわれる人からも高い評価があったという。 A氏:しかし、原氏は、昭和天皇の「人間宣言」は、たしかに詔書で「現御神(アキツミカミ)」であることは否定したが、「昭和天皇実録」の当時の記述を読むと、昭和天皇は「神の裔でないとすることには反対である」という意見だったとあり、つまり天皇本人は天照大神の子孫であることを否定しておらず、万世一系イデオロギーを継承しているという。 私:原氏は、それより、45年8月15日の昭和天皇による終戦詔書の朗読、いわゆる「玉音放送」との比較にこそ意味があるという。 本土決戦覚悟が、いったんあの放送が流れるや、圧倒的多数の臣民がそれを受け入れ、だからこそ、速やかに戦争を終えることができたと指摘する。 A氏:昨年7月にNHKの「お気持ち」の第一報が流れるまでは、もし国民の誰かが「陛下ももうお年なのだから、そろそろ皇位を皇太子にお譲りになって引退されたら」などと言おうものなら、それこそ「身のほどをわきまえない無礼者」とのそしりを受けた可能性は大いにあっただろうと原氏はいう。 私:ところが、いったん天皇からその意思が示されるや、圧倒的多数の国民が受け入れ、これが天皇と国民との関係で、この点で、45年8月と現在は変わっていないと原氏は指摘する。 この点、「退位問題に思う 天皇制と民主主義の矛盾」で、佐伯教授がいうように、日本の天皇は、あくまで世俗的な征服王朝から始まった英国流の君主とも違い、おそらく世界(先進国)には例を見ないものであろうとし、天皇を抱く日本の歴史的な「国のかたち」と戦後の民主主義や西洋流の立憲主義の間に齟齬が生じるのは当然で、この齟齬を全面的に解決する方策はないが、天皇の退位問題を通してわれわれが見るべきものは、こうした困難な事情ではなかろうかという指摘はあたっているように思うね。
2017.03.18
コメント(0)
私:テレビでアフリカなどで、飢餓が深刻化して寄付金募集のPRなどをしているが、トランプ米政権が国務省関連の予算削減の「大半が対外援助」に集中する」という。 国連が「国連創設以来、最大の人道危機」と警鐘を鳴らす中、主要な援助国米国の方針転換に戸惑いの声が上がっているという。 A氏:トランプ米政権は15日、議会に提案する2018会計年度(17年10月~18年9月)予算案の概要を明らかにしたが、外交を担う国務省の予算を現行から28%(101億ドル・1兆400億円)削減し、環境保護局(EPA)も大幅カットの対象となる。 トランプ大統領が掲げる「力による平和」の実現に向けて、国防費や国境警備費は拡充する。 「アメリカ・ファースト(米国第一主義)予算」と呼んだ選挙戦などでのトランプ氏の主張を反映させた予算案という。 私:開発途上国などの支援に充てられてきた対外援助などを削減する。 削減される101億ドル・1兆400億円)の大半は、対外援助だといい、南スーダンやイエメンなど2千万人以上が飢餓状態にあるとされるのに、援助削減で悪化が懸念されるという。 A氏:トランプ大統領はこれらの削減分で国防強化をめざす。 国防費は法定上限額から540億ドル(約6兆1千億円)増で、不法移民の取り締まりを担う国土安全保障省の予算は現行から6%増になり、メキシコ国境沿いの壁建設には今年、15億ドル(約1700億円)が充てられる。 私:大統領は選挙で「海外の人々に使う資金を減らし、国内の人々により多く使う」と繰り返してきており、それを予算で実行しようとしているのだという。 A氏:しかし、テロ対策には、世界的視野で紛争予防や開発援助などによって、テロの根本原因に対処する必要があるのではないかね。 私:米国では予算案を提出する権限は議会が持っているので、対外援助の削減は米国の安全保障を損なうという声が議会から出ており、折衝は難航が予想されるね。
2017.03.17
コメント(0)
私:このところ、国会で、稲田防衛大臣が森友学園にからんで、集中攻撃を受けていて、野党の質問に対して、答弁が迷走しているね。 訴訟への関わりを全否定した答弁を撤回し、選挙公報に記していた弁護士法人代表の肩書も「なったことはない」と否定。 籠池理事長との面会では今も見解が食い違う。 答弁は信用を失い、大臣としての資質が疑われる異常事態だね。 A氏:「記憶にありません」と言い切った答弁して、後から証拠を出され、撤回していることが多いが、弁護士経験があるのだから、ちゃんと、質問に対し、事前に証拠書類などを確認しておくべきではなかったのかね。 どうもレベルの低い答弁をしているね。 私:今日の夕刊では、また、南スーダンのPKOに派遣されている陸上自衛隊部隊の日報をめぐり、問題を指摘されているね。 防衛省が昨年12月、情報公開請求に対し「廃棄した」として不開示の決定を出した問題で、不開示決定後に陸自内に日報のデータが保存されていた。 A氏:日報をめぐってはNHKが15日、1月中旬に陸自司令部の複数のコンピューターに「廃棄」と説明してきた日報が保管されていることがわかり、これまでの説明と矛盾するため、2月に電子データを消去するよう指示が出されたと報じた。 私:稲田大臣は防衛省内の日報管理の経緯を改めて調査する意向を固め、16日にも表明するというが、防衛省、自衛隊の隠蔽体質は、大臣の責任だね。 どうも 防衛省、自衛隊幹部は、心の底で、稲田大臣をなめているような気がするね。
2017.03.16
コメント(0)
私:このブログ「受動喫煙対策、煙る永田町 飲食店規制、愛煙家の議員反発」で取り上げたように日本の「受動喫煙対策」は、WHOから「世界最低レベル」と指摘されていて、オリンピックまでに対策はできるだろうか。 岡本氏は、分煙も禁煙も、不完全なままで、対策が遅れてきた最大の原因は、日本という国の特殊性にあるという。 A氏:ほとんどの国で、たばこ会社はあくまで民間企業で、政府は規制する立場だが、日本は、日露戦争の戦費調達のために国がたばこ専売を始めて以来、国が専売公社(現JT)を持ち、売る側にも回ってきた。 たばこ税収やJTを守る財務省と、健康を守る厚労省で、政策が矛盾していて、たばこ業界から献金や選挙支援を受ける議員も多く、法整備が進みにくい構造だね。 特に対策が遅れているのが、飲食店で、吸いたい客の欲求を優先し、吸わない客に我慢させている店が、いまだに大半。 私:いま、五輪を控えて法規制の強化が検討されていることは歓迎だと岡本氏はいう。 本当は例外なく屋内全面禁煙にすべきだし、いずれは製造販売を禁じるべきだが、現状では、小規模なバーなどをのぞいて飲食店も原則屋内禁煙とする、厚労省の規制強化案を支持するという。 A氏:五輪の後も規制を強めていくことが必要で、豪州などでは子どもが乗るマイカー内の喫煙を罰則つきで禁じているように、プライベートな空間でも、特に赤ちゃんや子どもは社会でルールをつくり、守っていくべきだという。 私:望月氏は、日本の喫煙率は2015年に約18%で、05年から10年間で約6ポイント減ったが、10年以降は下げ止まる傾向を見せているとして、22年度までに12%にする政府目標の達成は、容易ではなく、原因は、分煙の名の下につくられた喫煙室は逆に禁煙の妨げになり、喫煙率は下がらなくなると指摘している。 まずは屋内の全面禁煙を優先すべきで、「たばこ規制枠組み条約」の指針でも、これを唯一の方策としているという。 A氏:たばこの消費量を抑えるのに確実な手段は、増税だという。 日本のたばこは国際的に安く、若者でも買えるので、せめて1箱1千円にすべきだという。 カナダやオーストラリアのように、パッケージに肺がんや脳卒中の写真をつけるのも効果的だが、日本では財務省が「不快感を与える」と反対し実現しないという。 包装は美しくデザインされ、「あなたにとって肺気腫を悪化させる危険性を高める」などとする注意文が下の方に書かれているだけ。 私:自動販売機に代わりたばこの売り上げを伸ばしているコンビニエンスストアでは、レジの目立つ所にたばこが並べられ、まるで宣伝ポスターのようで、たばこは目に見えない所に置き、その存在を「当たり前」にしないことで、英国やオーストラリアでは実現しているという。 A氏:禁煙を決意してもやめられないのは、ニコチン依存が原因。 厚労省研究班は、受動喫煙で年1万5千人が死亡していると推計。 望月氏は、公共の場や職場での例外なき屋内禁煙を実現し、究極的には吸う人を減らし、たばこのない社会を実現するのが、世界保健機関やたばこ対策の進んだ国の考え方で、日本は、はるかに遅れているという。 私:日本の特殊構造を反映して、国会でも「受動喫煙対策」で、賛否が割れている。 オリンピックまでに、果たして国際レベルの「受動喫煙対策」ができるだろうか。
2017.03.15
コメント(2)
私: 学校法人「森友学園」への国有地売却問題に関連して、石破茂氏「水産講演、ユニバーサル社会形成推進法など」(5日)で、考えを述べている。 まず、国有地格安払い下げの件は、何とも言えない奇怪な雰囲気を感じるという。 A氏:また、同学園の幼稚園児の教育については、教育基本法において政治的中立性が定められている幼稚園において、あまりに偏った教育を施すべきではないことは当然で、園児たちに対する教育を映像で見る限り、たいへんな違和感を覚えるという。 私:政府・文科省からも大阪府を通じて是正を指導するなどは考えられないのだろうかと思っているといい、野党に言われるまでもなく、政府・与党としてこの問題の真相を明らかにするのは国民に対する責務だという。 A氏:保守論壇誌では、福田恒存氏らを中心とする静かで深みのある論説が多く載せられていたのが、いつからか声高で強烈な主張を中心とする論説が中心となり、読む楽しみが減ってしまったという。 かつて三島由紀夫は「反共に明け暮れていると段々と相手に似通ってきてしまう」と語っていたそうだが、確かにそのような面があり、「保守」があたかも共産主義風に変質しつつあることには強い違和感を覚えたという。 中国や韓国をただ罵倒することが「保守」なのだとは思わないという。 私:教育勅語を重視する稲葉防衛相やまた、「森友学園」の幼稚園児の教育を高く評価して、講演に行ったり一事名誉学長にまつり上げられた安倍総理夫人とも距離をおいている感じだね。
2017.03.14
コメント(0)
私:帝人は化学繊維をつくる大手素材メーカーで、日本の化学繊維業は1960~80年代が黄金期で世界シェアの約2割を占めたが、中国など新興国が参入して競争が激化。 日本の化繊各社は転換を迫られた。 帝人が選んだのは、ポリエステルの生産で圧倒的な地位を築く「グローバルメジャー」になる道で、北米、欧州、アジアなど世界の消費地で生産能力を増強し、経営資源を集中させ、ポリエステル製品は液晶テレビにも組み込まれ、特化戦略は奏功し、2007年3月期は過去最高の純利益だったが、勢いはそこまでだった。 A氏:08年のリーマン・ショックで化繊の需要が縮み、その裏で、新興国が予想をはるかに超える急成長をとげ、中国は今、化繊の世界生産の7割を占め、帝人は競争力を失い、09年3月期から赤字を繰り返した。 私:そこで、主力の「素材」「ヘルスケア(医療関連)」「IT」の事業の組み合わせで新しい価値を生む模索を始めた。 帝人は03年に持株会社に移行したが、事業の効率性の追求の一方でグループ会社間に壁もできたので、グループが融合しないと新しいビジネスは生まれないとして、グループの融合の素地が整い始め、昨年夏には便通の改善が期待できる健康食品「スーパー大麦」を発表。 A氏:外部の技術も採り入れて組み合わせを強化するため、1月、米ミシガン州に本社を置く自動車部品メーカーを900億円超で買収。 ガラス繊維を使った軽いボンネットなど外板部品が主力で米自動車大手やトヨタ自動車などに納める。 帝人が持つ炭素繊維や加工技術を使って、より軽い部品の開発も見据える 私:素材そのものの価値よりも、素材・技術・人材の組み合わせによって生まれる新しい価値に、ビジネスの軸足を移していく考えだという。 鈴木社長は「これからもずっと素材中心の企業かどうかはわからないが、顧客の課題を解決し、価値をつくりつづければ生きていける」と言う。 帝人は来年、創業100年を迎えるという。
2017.03.13
コメント(0)
全3398件 (3398件中 551-600件目)