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つくつくぼうしの声を聞いた。 夏も終わりに近づいたようだ。 それなのに、電車の中でふと……。 夏の始まりに、いつもわくわくした夏蒲団を思い出した。 タオルケットが主流ではなかった小学生の頃、薄い夏用の布団があった。 いつもは妹と一緒にかけていたのだけれど、その年はそれぞれに一枚ずつ買ってくれたのだ。 淡いピンクの、夢のような小花柄だった。 家中の布団はすべて母の手作りだったのに、その夏蒲団は既製品だった。 理由は分からない。 もしかしたら、母が多忙で縫う暇がなかったのかもしれない。 けれどその夏蒲団は、今までとはがらりと違って、とてもきれいで可愛かった。 わたしは大好きだった。 化繊なので少しも肌に馴染まなかったのに、何故かわくわくするのだった。 厚い冬布団と引き換えにこの夏蒲団が出てくると、わたしは今年も夏が来たのだと。 そう思って嬉しくなるのだった。 素敵な夢がたくさん見える気がしたりして……。 夏も終わりに近づいて、唐突にこのピンクの夏蒲団が鮮明に浮かんだ。 しかも通勤途上の電車の中で。 つくつくぼうしも鳴いたというのに……。
2006年08月25日
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パン屋さんの前を通ると嬉しくなる。 甘くて独特の匂いが、幸せな気分にしてくれるから。 自分では気付かなかったのだけれど、わたしは相当のパン好きらしい。 病気で食事制限された時、一番食べたかったのはパンだった。 毎日、パンを思い浮かべては、ため息をついた。 でも、匂いにひかれて入ったパン屋さんが全部美味しいわけではないから、時には不味いパンに出会うことも多々あった。 パンならなんでも良いのではなくて、美味しいパンが好きなのだ。 昔住んでた所には、ものすごく美味しいパン屋さんがあった。 土曜日の朝は予約しておいたパンを買っ来て、美味しいトーストを食べたものだ。 外はカリカリで中は限りなく柔らかくてふんわりしている。 休みの朝の、焼きあがったパンと淹れ立てのコーヒーの匂いが、わたしの幸せの象徴だった。
2006年08月10日
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