全31件 (31件中 1-31件目)
1
中国のレアアース統制が始まって以来、俄然テクノ・ナショナリズムに目覚めたのである。電気自動車の動力としては、モーターとバッテリーが主要部品であるが・・・・この分野で日中間でレアアースとリチウムイオン電池をめぐって覇権争いが展開されておるわけで、リタイアした大使としては、義憤にたえないのです。(役にたたないけど)チャイナフリーのモーターと言えば、レアアース抜きのモーターとなるわけだが、官民あげての開発が始まっているようですね。(若干、泥縄ではあったが)経産省としては、企業の中国移転を防ぐこと(法人税確保)が真の狙いなんでしょうね。【経産省のレアアース高騰対策】6/4経産省、レアアース高騰で87億円補助 使用量低減など技術開発支援6/3「脱レアアース」で補助金68件 高騰対策、使用低減促す次に、レアアース抜きEVモーターの具体例です。モーター磁石用のレアアース、具体的にはジスプロシウム (Dy) とテルビウム (Tb)などを含まない磁石の開発が望まれているわけで、性能的にはかなり苦しいのでは? 【レアアース抜きEVモーター】1 6/9レアアースなしEVモーター開発へよりトヨタ自動車系列の部品メーカー「トヨタ自動車北海道」(北海道苫小牧市)は、レアアース(希土類)を使わない電気自動車(EV)などの駆動用モーターの開発に乗り出す。 同社は、北大が一般に流通する磁石を代用したモーターを研究している点に着目。今月中に技術協力を結び、共同開発を進める。来年5月頃をメドに試作のモーターをトヨタ主力の小型車「ヴィッツ」の改造EVに搭載、走行テストを経て同10月頃の完成を目指す。 北大の研究によると、レアアースを使わないモーターも、従来のHVに搭載されたモーターの出力(50キロ・ワット)に匹敵。原材料費は5分の1程度に抑えられ、量産体制が整えば、大幅なコスト縮減につながる。【レアアース抜きEVモーター】23/3レアアースを使わない磁石・モーター、実用化に光明より 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「希少金属(レアアース)代替材料開発プロジェクト」に取り組んでいる東北大学大学院電子工学専攻の高橋研教授、小川智之助教と戸田工業などの研究グループは、粉末として単相を分離・生成することができなかった強磁性窒化鉄を合成する手法を世界で初めて確立したと発表した。ハイブリッドカーなどに必要不可欠なレアアースは産出国が中国に集中しており、調達リスクが高い。レアアースレスで高い磁力を持つ鉄が実用化できれば、ハイブリッドカーや電気自動車などの次世代環境自動車を安定的に生産できるのに貢献する。一方、トヨタはEVモーター用のレアアースを2~3年分備蓄していたようです。(しっかりしとるで)【EVモーター用のレアアース備蓄】中国がEVモーター用希土類(レアアース)輸出を緊急規制! (2010.9.11)より<ハイブリッドカーで世界を先行するトヨタの対応はやはり早かった> 紹介しよう。トヨタは2008年の原料高騰を受け、やがて希土類の入手問題が本格的に発生することを覚悟したという。リーマンショックの発生で原料コスト下がるや、大量の在庫を確保。どうやら現時点でハイブリッド車のモーター2~3年分の希土類を持っているらしい。 新しい入手先の開拓にも取りかかった。早くも2008年12月に『豊通レアアース』を立ち上げ(和光物産という希土類の専門商社の全株を購入)、インドとベトナムの鉱山を確保。インド産については今年末から。ベトナムも来年より操業開始し、安定確保出来るメドを付けつつある。 当面は在庫で凌げ、インド産の供給開始によって大幅に緩和され、ベトナム産が加わる2011年になれば中国に100%頼らないで済むようになる、という流れ。メディアで産業界の苦悩を面白おかしく取り上げられる時には、すでに解決している、といういつものパターンです。レアアアースの概要を勉強しましょう。2011年の必要量の確保が問題となっているようですね。(中国には困ったものです)希土類元素より レアアースは日本の工業生産品として、蓄電池や発光ダイオード、磁石などのエレクトロニクス製品の性能向上に必要不可欠な材料である。しかしながら下記産地にも示すように、近年の産出量の95%以上を中国のバヤンオボー鉱床とイオン吸着鉱鉱床により産出されており、生産国一国に大きく依存している政治的リスクのため、2010年頃から調達環境の悪化が顕在化した。このため日本では下記産地にもあるように、インドの漂砂、ベトナム北部のカーボナタイト、カザフスタンのウラン鉱床残渣、オーストラリアのカーボナタイトなどからの生産プロジェクトを開始した。これらの代替地から供給は早くても2012年以降であることから、2011年の必要量の確保が問題となっている。日本では「元素戦略」と銘打ち、この問題への対応が図られている。 <具体的用途>・超強力磁石の磁性体(モーター、バイブレータ): ネオジム、サマリウム、ジスプロシウム(Sm-Co磁石・Nd-Fe-B磁石) ・液晶ガラス基板研磨剤: セリウム ・蛍光体(テレビ、蛍光灯、LED): イットリウム ・光ディスク (書き換え可能タイプ) の記録層 (DVD、CD、Blu-ray Disc) ・光磁気ディスクの磁性層 (MO、MD) ・石油精製触媒、自動車用排気ガス浄化触媒 今後、需要が増加すると見られるハイブリッドカーや電気自動車用の高出力モーターの磁石にジスプロシウム (Dy) とテルビウム (Tb) の添加で保磁力が高まるため、不足が懸念される。重希土類の産生が期待されるカナダのThor Lake鉱山の稼動開始が2010~2011年であり、少なくともそれまでは、中国に依存する体制が続く。以下は覇権を狙う中国製のリン酸鉄リチウムイオン電池関連です。************************************************************************電池メーカー雷天の会社概要です。(日本語がこなれてないけど)中国雷天能源集団における電気自動車 (EV) の研究・開発よりマッキンゼーレポートは中国のリチウム動力電池を高く評価した。なかで唯一提起した電池メーカーは雷天だ。「中国の会社は電気自動車の電池サプライチェーンの積極の参加者である。雷天能源集団はリチウム電池のメーカーで、アメリカ、日本、イタリア、フィンランドの電気バスの電池を提供している」。雷天は世界的に認められたのだ。 雷天は世界にもっとも早くリチウム動力電池特許を持っている会社だ。全世界26カ国に特許を登録した。雷天能源集団の創業者鐘馨稼氏は、1993年から人体の生命原理を模倣して、自ら希土類イットリウム・鉄・リチウム電池を研究・開発した。1995年、珠海に希土類イットリウム・鉄・リチウム電池実験室を設立し、リチウム動力電池を開発した。1998年、深センに工場を建てて、率先して希土類イットリウム・鉄・リチウム酸化物をプラス極材料に使用して、単体容量 100Ah の充電可能な生命源リチウムイオン動力電池を開発し、小ロット生産を開始した。 2001年、雷天リチウムイオン動力電池は科学技術部の測定を通過した。その後、アメリカJBI、アメリカ国防省などの権威ある専門機構の測定も通過した。電気自動車専用リチウム動力電池の七項目の安全性能国際指標:過充放電、高低温度、衝撃、圧縮、ショート、燃焼、水アワーなどの検査項目に全部合格した。2008年9月、アメリカの保険会社、AIG社は全世界に雷天の電池製品品質安全保険業務を開始した。そのほか、アメリカ交通運輸省から国連のUN標準を準じる全世界陸海空運輸許可書を獲得した。唯一この許可をもらったリチウム電池製造会社だ。 今日、雷天能源集団は電気自動車の三大技術:車載電源システム、駆動システム、制御システムを掌握した。独立した知的財産権を有し、関連する国際特許を取得した。電池の性能指標は中国および世界各国の電気自動車関連標準を超えた。国際的なリードカンパニーだ。雷天の希土類イットリウム・鉄・リチウム動力電池のラインアップは、単体容量30Ah~10000Ah、単体電圧3.3V、12V、24V、48V、エネルギー密度150~480Wh/kg、充放電5000回以上、一般の都市型電気自動車タクシーの使用寿命は110万キロメートルを達した。リチウムイオン電池より リチウムイオンポリマー電池は、外装に、従来の鉄やアルミニウムの缶ではなく、レトルト食品に使用されるアルミラミネートフィルムが使われていることが特徴で、三洋電機を始めとする各社から発表発売されている。万が一の事故時の反応が穏やかであるため、最近はハイブリッド自動車用バッテリーとしても利用されている。(市販車の例: ヒュンダイ・アバンテLPiハイブリッド)。自動車用リチウムイオン電池はリチウムエナジージャパンが三菱自動車のi-MiEV用に量産を開始している。電池メーカーの他に、トヨタ、日産自動車、ホンダなど自動車メーカーでも研究されている。リチウムイオン電池はかつては日本メーカーのシェアが高く、9割以上を占めた時代もあった。三洋電機、三洋GSソフトエナジー、ソニー、パナソニック エナジー社、日立マクセル、NECトーキンなどが主なメーカーとして知られている。一方、韓国(サムスンSDI、LG化学)、中国 (BYD)、台湾などで生産量が増えてきており、2010年には、それまでトップであった三洋電機がサムソンに抜かれ、日本メーカー合計のシェアも4割程度までに落ち込んでいる。<リン酸鉄リチウムイオン電池> リン酸鉄リチウムイオン電池はリチウムイオン電池の一種である。正極材料にコバルトを使用する形式よりも資源的な制約が少なく、北米を中心に近年シェアを拡大している。代表的なメーカーはA123Systems、Changs Ascending Enterprise Co.,Ltd.、China Sun Group、BYDである。リン酸鉄リチウムイオン電池では従来のリチウムイオン電池とは異なる特徴がある。競合するコバルト酸リチウムイオン電池と比較した場合、放電できる電流が多い。リン酸鉄リチウムイオン電池はいくつかの欠点がある●単位体積あたりの蓄電容量がコバルト酸リチウムイオン電池よりも少ない。 ●多くのリン酸リチウムイオン電池は鉛蓄電池やコバルト酸リチウムイオン電池よりも低い放電率である。リン酸リチウムイオン電池はコバルト酸リチウムイオン電池よりも電圧が低くエネルギー密度が低い。
2011.06.30
コメント(0)
テクノ・ナショナリズムという言葉があるが・・・・技術流出とか中国製電気自動車と聞くと、ついヒートアップする大使である。中国企業に見る電気自動車市場のレポートが興味深いのです。トヨタと中国企業に見る電気自動車市場の近未来より<「小型」と「商用」に集約されつつある中国のEV市場> EVS25(EVの展示会兼シンポジウム)において、中国のエネルギー政策におけるEVの位置づけが明確に示された。例えば、オウヤン・ミンガオ氏によると、中国政府は当面,バスなど大型商用車の電動化と,小型の「新能源車(新エネルギー車)」の開発に注力し、そこで得た技術開発力を徐々に普通車に活用する方針である。 BYD(比亜迪汽車) のリー・ステラ氏も、バスとタクシーからEV化することが有効であると語っている。同社によると、バス1台のEV化で乗用車30台分の温室効果ガス(GHG)排出量の削減ができ、タクシー1台のEV化で乗用車10台分のGHG排出削減が可能になる。乗用車のEV化よりもバスやタクシーのEV化の方がGHG削減の面でも効率的であり、BYDは、電動バス「K9」やEV「e6」のタクシー版を開発している。 同社は、2011年に米国市場でPHEVを販売予定であることが注目されてきたが、EVのターゲット市場として中国国内も重要視していることが分かる。 BYDだけではなく、Zotye社(衆泰)、ワンダー・インターナショナル・グループ社(萬得国際)なども、小型EVやタクシー向けEV を開発している。EVS25は、「小型車」「バス」「タクシー」のオンパレードであった。中国の「小型EV」とは、三菱自動車の「アイミーブ」、富士重工の「プラウギン・ステラ」などの軽四サイズよりもさらに小型で、二人乗りが基本である。最高速度は時速40~50kmしか出ず、中流層以下でも購入可能な価格設定が目指されている。 日本でEVはとても盛り上がっているとは言えない。大手メーカーは皆、新型EVを開発してはいるが、主に米国市場向けで、国内はターゲットではない。ところが、中国のEV市場は日本と違って熱気がある。これは、中国政府が第12次5カ年計画において、2020年までに石油由来の二酸化炭素(CO2)排出量を20%以上減らすという目標を立てていることと関係がある。 <中国の小型EVが日本に輸出されない理由> 実は、中国の小型EVは米国や欧州に輸出されているが、日本には輸出されていない。それは二人乗りの小型EVは国土交通省の規制カテゴリーに入っていないからである。国交省が定めている小型のクルマは、「小型自動車」「小型トラック」「三輪トラック」「軽トラック」「軽自動車」「オートバイ」「スクーター」であるが、中国で販売されている小型EVは何れにも該当しないのである。また、規制緩和の目途は今のところ立っていない。過疎地で生活するお年寄りにとっては、小型EVは二輪車より安全で、軽自動車よりCO2排出量が少なく、しかも実用的だが、日本では走行が認められないのは残念である。 このレポートを見る限りでは、中国製EVと日本製EVは顧客層が違っているので、競合しないと安心していいのか?また、中国内のEV車シェアでは、中国製EVに太刀打ちできないと考えるべきなのか?EV運用システムの実用化を達成している中国は、この面では日本より進んでいるかもしれないので侮れないないし・・・・とにかく、日本のEVとは別の進化をとげつつあるようですね。次に、リン酸鉄リチウム系電池を使ったEV車の開発動向です。ヒートアップする中国自動車メーカーのEV開発熱より 中国の自動車市場は、2010年に生産量、販売量ともに世界一になった。巨大市場を狙って、世界各国の自動車メーカーが攻勢をかけているが、そこに大きく立ちはだかっているのが、近年急速に実力を付けている中国国内の民族系メーカーだ。 これら中国メーカーは、ガソリン車についてはエンジンなど基幹技術を日本や欧米メーカーに頼る状況からなかなか抜け出せない。しかし、今後伸びが期待される電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEVまたはPHV)では話が違う。中核部品である電池やモーターなどでキャッチアップできる余地が大きいと、自主開発の動きが活発になっている。2011年4月21~28日に中国・上海で開催された上海モーターショーにおいても、そうした中国メーカーのEV開発熱が会場内に満ちあふれていた。 ここまで上海モーターショーに出展された主要なEVやPHEVをざっと見てきたが、中国メーカーが開発した新エネルギー車にはいくつか共通点がある。 一つは、8~9割の新エネルギー車がリン酸鉄リチウムを正極に使ったLiイオン電池を採用していること。BYD社をはじめ、中国の電池メーカー各社がリン酸鉄リチウム系電池の開発・製造では世界でも先行していることから、自主開発路線と歩調を合わせるように中国の新エネルギー車の「標準」となりつつある。 ただし、同電池は安全性は高いものの、電圧が低いためにエネルギー密度が稼げない。こうした理由から、日本の自動車メーカーは現在のところ採用していない。今後、中国のリン酸鉄リチウム系電池を使った新エネルギー車が、国内市場だけでなくグローバル市場でも普及していくのか、注目されるところだ。BYD社をはじめ、中国の電池メーカー各社が採用しているリン酸鉄リチウム系電池を搭載するEVについては、中国製の独壇場となることは避けられないようですね。「中国は、いま」という本に、日中のテクノ・ナショナリズムが載っているが、EV車に関しては車だけでなく重要部品も現地生産し、かつその生産は中国側が過半数支配する合弁事業で行わなければならなくなるようです。中国のエコカー市場へ参入しようと志す外国の自動車メーカーは、車だけでなく重要部品も現地生産し、かつその生産は中国側が過半数支配する合弁事業で行わなければならなくなる。市場が欲しければ技術を差し出せ、と言っているに等しいこの草案がそのまま実現するとは思えないが、レアアースの輸出削減の動きと照らし合わせると、中国政府にはレアアース応用技術の獲得という明確な戦略があるように思われる。「中国は、いま」国分良成編、岩波新書、2011年刊ダイムラーはBYDと提携したようだが、EV車に関しては日本は中国から締め出しをくらいそうですね。2/15中国BYD、EVでダイムラーと提携より ダイムラーAG は、比亜迪股?有限公司(BYD)との間で、中国向け電気 自動車開発のための包括的技術パートナーシップを結ぶ覚書(MoU)を交わたことを発表した。この合意により両社は、中国市場の要件に特化した新型電気自動車の開発を 目指す。また、新型車の販売のため共同で新ブランドを設立・所有。さらに、この新型電気自動車の開発、デザイン、テストを行う共通の技術 センターを中国国内に設ける予定となっている。ダイムラーAG 取締役会会長のディーター・ツェッチェは「ダイムラーはこの合意の 下で、電気自動車の分野で今後もグローバルリーダーとして進んでいきます。電気 自動車アーキテクチャーに関するダイムラーのノウハウとBYD 社のすぐれたバッテ リー技術、電気駆動システムはマッチングとして完璧なものであり、これによって ダイムラーは、いまや世界最大の自動車市場となった中国における電気自動車の 今後の発展に参画することができます」と述べた。リン酸鉄リチウム系電池が中国製電気自動車の「標準」となっているが、これが果たしてグローバル市場でも普及していくのか?中国嫌いの大使にとって気になるところです。EVという分野では競合するが、中国はリン酸鉄リチウム電池、日本はマンガン系リチウム電池と住み分けることになるようですが・・・・覇権めざして、やらずぶったくりの中国と同じ土俵に乗らないので、日本にとっていいことだと思うのです。(はや負けてるで)電気自動車日産・リーフ三菱・i-MiEVBYD F3DM
2011.06.30
コメント(0)
福島原発では汚水浄化システムがまたトラブっているようです。試運転調整に手間取っているという認識なので、ぬか喜びしないように努めてきたが・・・・さすがに気の長い大使も、しびれを切らしてきたのです。6/29循環冷却また水漏れ 注水停止し点検へ 福島第一原発より 東京電力は29日、福島第一原発で高濃度の放射能汚染水を浄化しながら原子炉に戻す「循環注水冷却」で新たな水漏れが見つかった、と発表した。量は少なく応急で止水したが、同日午前10時59分、注水を停止した。同日中に配管を交換し、再稼働する予定。循環注水冷却は27日に開始したが水漏れで停止。28日午後に再開したばかりだった。 29日午前8時10分ごろ、巡回中の作業員が塩ビ製のホース(1本全長30メートル、直径10センチ)の2カ所の小さな穴から水が漏れているのを発見した。東電では、漏れたのは処理済みの水で放射線量は低いとみている。 しかし、貯蔵タンクなどを結ぶ配管は総延長4キロと長く、水漏れが相次いでいる。27日夕の本格稼働からわずか1時間半後、配管がはずれて水が漏れて停止。修理して配管の接続部を点検して翌28日午後2時36分にポンプを再起動し、同3時55分に毎時14トンの水を送り出して本格的に再稼働したばかり。 東電の朝令暮改のような広報には頼りなさが漂ってくるが・・・元プラント取りまとめ従事者としては、「ただいま試運転中で調整事項は以下の如し」という広報スタンスでいいのにと思ったりするのだ。ところで、福島原発の汚水浄化システムは、6/30週刊文春によると・・・・・「システムの基本設計は、東芝と日立GEが行い、浄化過程順に、最初の油分離は東芝、セシウム吸着装置はキュリオン社、更にセシウムなどを沈殿、除去する除染装置はアレバ社、そして塩分を取り除いて淡水化する工程で日立に、アレバと東芝の装置が導入されています。(東電広報)」 もともとこの浄化システムには、約25万トンの汚染水の処理を見積もって、東電が約531億円の予算を計上していた。今回のキュリオン社、アレバ社の役割については、「機材の搬入、据付と運転指導」となっているが、「トラブル対応を含め、人が常駐してシステムの運転が終わるまで立ち会うことになる(東電広報)」 つまり、浄化システムが長引けばそれだけ、人件費もかさむことになる。・・・とのこと。もしかしてキュリオン社、アレバ社は、汚水浄化が長引いても、処理費用(吸着材、運転指導費等)を追加請求すればいいだけと思っているのでは? はたしてキュリオン社、アレバ社は完成期限、処理期限という危機感を共有しているのだろうか?・・・このように外国企業に全幅の信頼を置けないのは、6ヶ所村の再処理施設のトラブル対応などで示した彼らの冷めた契約意識である。
2011.06.29
コメント(2)
大使の在職中は新自由主義の勃興期であり・・・・コストダウンといえば、馬鹿の一つ覚えのように人員削減、海外調達であった。海外調達といえば、おおむね中国からの輸入であるが、これが戦後の日本商品のように"安かろう悪かろう"であった。また、中国への売り込みには、技術提供の抱き合わせがついて回ったわけで・・・・現在、中国に進出している企業の苦労は察してあまり有るわけです。最近の中国調達事情が興味深いのですが・・・・もう、気の弱い大使としては、早々と「チャイナフリー」の旗を掲げております。6/28中国調達:中国製コピー商品に対抗するメーカーのジレンマより 誰も知らない中国調達の現実(162)-岩城真 ある調達責任者とある鋳物部品の中国調達の話をしていると、どうも話がグルグル廻って、結論も方向性も見えなくなってしまう。なぜなのだろうか? 話の対象となっている製品は、鉱山向けの産業機械で、本体は利益度外視で価格を下げて売り、その後の消耗品販売で利益をあげるビジネスモデルなのである。利益を稼ぐはずの消耗品の販売価格が、近年、急速に下がっている。本体販売は同業他社との競合があるが、消耗品販売に競合はなく、十分な利益が確保できるというのが、そのビジネスモデルの前提であった。 ところがその消耗品に競合が出現した。言うまでもなくコピー商品だ。機械部品、特に消耗品は、スケッチと材料成分の分析で簡単にコピーできてしまう。もちろんコピー商品が、オリジナル(メーカ純正の正規品)の性能を上まわることは稀で、たいていは粗悪だが格安をセールスポイントに販売される。そのようなコピー商品には、海外ユーザーはともかく日本国内のユーザーは見向きもしなかった。しかし最近は、コピー商品の品質向上と正規品との大きな価格差からか、ユーザーがコピー商品の価格を引き合いに出し、正規品の値引きを迫ってくる。正規品は鋳物素材を韓国から調達し、最終工程となる機械加工は日本の自社工場で実施している。一方、コピー商品は中国ですべて作られているので、価格では太刀打ちできない。このままでは、消耗品の販売機会を失い、収益源がなくなってしまう。正規品の原価を引き下げ、コピー商品との価格差を小さくし、コピー商品を駆逐したい。そのためには、素材をより安価で調達できる中国調達を推進したいと言う。ここまでは、よくある話だ。 ところが中国調達を推進したいが、あくまでも機械加工は日本で実施したいと言う。はじめは、自社工場の生産設備の稼働率云々の話をしていたが、結局は図面を外部、特に中国サプライヤーには渡したくないのだ。理由はもちろんコピー商品を作られることを危惧しているのだ。商品知識がないと「それは当然、最終工程は日本で作るべき」と考えてしまうが、現実はそんなに簡単ではない。 鋳物について知識のある方はすぐに気がつくことだが、鋳物には鋳造欠陥がつき物で、大半は機械加工中、機械加工後に発見される。それを人件費の高い日本で補修していたら、コストメリットがなくなってしまう、中国のサプライヤーにすべてをギャランティさせることはむずかしい。そもそも中国のサプライヤーは技術水準が低く、この鋳造欠陥の発生率は、日本のサプライヤーより高いことが通例だ。そのような理由から鋳物部品は、完成品で輸入することが、業界の半ば常識でもある。 これで、話がグルグル廻ってしまう理由がお解りいただけと思う。コピー商品に対抗するために中国調達を進めると、より品質の高いコピー商品製造の土壌を作ってしまう。品質の優れたコピー商品の多くは、純正品の製造工場(委託製造先)からの何らかの流出があって形成されている。 では、どのようにすればよいのだろうか?もちろん、筆者も明確な解を持っている訳ではない。ただし、敢えてそれに答えを出すとすれば、「消耗品の販売が利益の源泉」という、「もの」を売るビジネスモデルからの脱却ではないだろうか。日本のメーカーは、「もの」というハードの販売から、(メンテナンス等の) サービスというソフトの販売へ軸足を移すべきだろう。ハードのコピーは容易い、しかしソフトのコピーはそう簡単にはできない。実際、筆者が中国工場に駐在していたときに、日本メーカー製工作機械と中国メーカー製との差が何よりも明らかだったのは、そのサービス体制だったように記憶している。(執筆者:岩城真 編集担当:水野陽子)なるほど、ソフト販売へ軸足を移すべきなんですか。けど中国人がソフトに金を払うだろうか?ところで、中国製コピー商品と日本製との競合といえば、中国高速鉄道の売り込みがえぐいですね。中国高速鉄道の売り込みに関する調査結果が興味深いので、紹介します。日本技術ベースの中国高速鉄道、海外展開「問題ない」66%より 中国人を対象にした「高速鉄道」に関する調査で、「中国が、日本の新幹線やドイツなどの技術を基礎に、技術革新をし、中国独自の製品として諸外国に売り込もうとしていることについてどう思いますか」と聞いたところ、回答者の90.3%が「問題ない」と回答した。調査はサーチナ総合研究所(上海サーチナ)が2011年5月に実施。「高速鉄道」は日本の新幹線に相当し、時速200キロ以上で走行する鉄道を指す。◆「中国が、日本の新幹線やドイツなどの技術を基礎に、技術革新をし、中国独自の製品として諸外国に売り込もうとしていることについてどう思いますか」との質問に対する回答状況は以下の通り。(単一回答)(1)問題ない。他国の技術の基礎の上に独自に技術革新しているから、盗用ではない……66.2%(2)問題ない。中国の列車はそもそもすべて自国で独自開発したから、盗用ではない……17.1%(3)それ以外の理由で、問題がない……7%(4)問題ある。自国で技術革新をしているとはいえ、核心部分は海外の技術を使用しているから、盗用に当たる……5.6%(5)問題ある。中国の鉄道はすべて海外の技術を基礎にしたものだから、盗用に当たる……2.5%(6)それ以外の理由で、問題があると思う……1.5% 中国では、日本から供与された新幹線「はやて」の技術を応用し、短期間のうちにさらに速い高速鉄道を開発。「中国が技術革新を行い、独自に開発した」と主張した上で、米国やアジア各国への売り込み計画を進めている。だが、技術供与した川崎重工によると、供与した技術を応用したものは中国国外へ輸出できない取り決めがあるという。 つまり、中国側の主張としては、「技術を応用した範囲」などではなく、「まったく別のものを作り上げた」ということ。パクリではなく「外国技術をベースに、まったく新しいものを作った」というわけだ。 細かく見ていくと、(2)「中国の列車はそもそもすべて独自開発」と解答した層は、中国の鉄道技術に対する「無知の層」と言えるだろう。外国技術を取り入れていることについては、中国政府も認めている。(2)を選んだ人は、「31歳‐40歳」では10%台だったが、50代以上では31.9%に達した。 一方、約3分の2を占めた(1)「独自に技術革新しているから、盗用ではない」は、中国政府と同じ主張内容。社会人よりも学生の方が割合が高く、学生のうち75.2%が(1)を選んだ。「問題あり」と考える日本側の主張に賛同する声は、全体のうちわずか1割程度に留まった。(編集担当:西山正)小は消耗品から、大は高速鉄道まで盗用を織り込んだ戦略性には、勝算を見込むのはかなり難しいようです。孫子の兵法を地で行くような中国商法に対しては、「君子危うきに近寄らず」で、中国への売り込みを控えてでも、チャイナフリーを目指すべきでは?と思う昨今である。チャイナフリーを目指すのがベスト 6/23「はやて」モデルの中国・和諧号、米で特許申請計画より 中国の国有企業が、日本の東北新幹線はやての技術を基にした高速鉄道「和諧号CRH380A型」の特許を米国で申請する計画であることが23日、分かった。日本の技術を導入したことは認めつつ、「車両の台車や形などを独自開発した」との立場だ。 米国での特許申請準備を進めているのは、鉄道車両などを製造する中国南車四方(山東省青島市)。同社関係者は朝日新聞の取材に対し、「(米国での特許申請は)かなり前から準備を進めている」と語った。 また、同社の技術責任者の馬雲双氏が中国の英字紙チャイナデイリーに対し、すでに米国の弁護士を雇い、同車両に関する知的財産権の評価を始めていると説明。「初期的な評価結果は良好で、中国が米国で特許を申請できることを意味している」と述べ、申請準備を進めていることを明かした。
2011.06.28
コメント(0)
まだ読んではいないけど「なんもかんもわやですわ、アメリカはん」という書名が関西人にとっては気になっていたが、このたび「年寄りはだまっとれ!」という更に過激な書名の本を図書館で借りたのです。著者の米谷ふみ子さんは、芥川賞作家でもあり、小田実氏の幼馴染だったことを、この本を読んで知ったのです。読む前には、佐藤愛子さんのような老人路線の本かと思っていたが、ところがどうして予想に反して、反戦平和、言論の自由路線バリバリのわりと過激な(真っ当な)本でした。「年寄りはだまっとれ!」米谷ふみ子著、岩波書店、2009年刊<はじめに>p1~2 「年寄りはだまっとれ!」ですって? なかなか。「言わざるは腹ふくるる業なり…」と兼好法師が700年の昔に人間の生理をよく弁えて言ったでしょ。大いに喋らせていただきますわよ。私たち年寄りは、世界の流行の先端を行っているのですから… 。若者は私たちのことを“けち”呼ばわりしますが、今となってはけちの効用も考えるべき。エコロジカルな観点からみますと私たちに勝るものはいません。死期が近づいた者には、人生で大切だった経験を何もかも忌憚なく若者に伝える義務があると思っています。大いに聞いてもらいましょう。私たちが通ってきた道を再び繰り返さないようにね。 戦争中に政府から押しつけられた、愛国心という言葉を聞くとゾオーツとします。どの国にも愛国心という言葉を遣って国民を操ろうという指導者がいるものです。何人も自分の生まれた国が世界に誇れる人道的な行為をしてくれれば嬉しいものなのです。 次に掲げる愛国心に関する箴言は私が気に入っているもので、読者も読んで考えてください。●マーク・トウェイン「愛国心とは、政府が自分の国を滅ぼすのを防ぐ人のこと」 今のアメリカで憲法違反して国を壊しかけている現政府から、誰がアメリカを救うか。●アイゼンハワー大統領「作られた銃、進水された戦艦、ぶち上げられたロケットは、空腹でも食べ物がなく、寒くても着るものがない人々から盗んだものだ」 めったに大統領がこのような真実を言わないので、入れておきます。<はじめに>p9~12 なんでも喋るアメリカ人でも、日本人に面と向かって日本の批判は避けるものですから、アメリカ人と一緒に住んでいる人や、一緒に長年働いている人に話を尋ねるべきなのです。そうしないと結果的に日本が損をします。 ことに、ルポというものほど危ないものはありません。日本を出る前から結論を決めて、それに当てはまる材料だけを前もって集めることが多いからです。 私には、今、日本のメディアが鎖国をしているようにみえます。メディアが日本やアメリカの権力者を恐れているようです。これでは何のために書いているのか分かりません。メディアの仕事は、政府が間違った税金の遣い方っをしていると納税者に知らせることだと、私は考えているからです。言論の自由や知ることの権利を、メディアか政府かそのどちらもかわかりませんが、あの立派な憲法を無視して庶民から取り上げてしまっています。私は今、身をもってそれを感じています。それは戦中を経験したから敏感なのです。経験していなかったら、今の状態が何なのか分からないでしょう。メディアが戦争やファシズムを防ぐべきなのです。 私の経験では、中国新聞と赤旗、それに東京新聞は大切なことをカットしませんが、大新聞は私個人の名前で書いていても書き手に知らせずにアメリカ政府批判や日本政府批判をカットします。ラジオでもこちらのことを正直に伝えると、二ヶ所から外されました。(中略) 実際に、私の名前が明らかにブラックリストに入っていると分かったのは、NHKのラジオです。その番組では、いつも本が出るたびに私にインタビューしてくれていたのですが、10年ほど前、そのディレクターが、上司に呼ばれ私をインタビューするなと言われた、と私と私の編集者を前に話したのです。「貴方のファイルを調べに行きました。理由は米谷さんがよく偏見や差別のことを話すからだということでした」メディアで偏見のことを話せないのなら処置なしです。多くの日本の学校で起こっている、そして自殺者まで出ている“いじめ”が偏見であるということも、その上司には分からないらしいのです。人間の脳はいろんな意見を聞いて(刺激を与えて)初めて脳細胞のシナプスが活発になります。同じことを繰り返し聞いている人の脳は眠ってしまう。今は日本中に刺激がありません。今ではもう、終戦直後のように個人個人で考えさせることをしていません。学校でも同じらしいので、今の日本では皆の脳のシナプスが眠っているのでしょう。そのディレクターは、私の書いた本をとても気に入っていて、インタビューできないのでしかたなく「私の本棚」のコーナーで読んでくれましたが、それが最後でした。翌年、私が女流文学賞を貰った時、彼からNHKと書かれた、昔のカフェーの開店祝いにやくざから届けられたような、格好悪いほど大きな花輪が会場に届いていました。<世界的英雄、近所の洟垂れ小僧>p66~68 彼と最後に会ったのは、大阪のホテルニューオータニだった。対談がすんで、編集者が上のラウンジに行きましょうと言ったので、小田さんがホテル内にいる私の夫のジョシュも呼べよと言った。小田さんの隣にジョシュが座り、四人で低いテーブルを囲み、それぞれ飲み物を頼んだ。小田さんはウィスキー、編集者はビール、私はジュース、ジョシュはジン・フィズ。編集者が何を思ったのか小田さんに「小田さんの英語は大阪弁の英語ですなあ」と言った。編集者は冗談のつもりだったのだろうが、小田さんはただちに目を吊り上げて、ラウンジ中が震えるほどの大声を出し、「なんやとー。英語も喋れんくせに!馬鹿にするなあ!」と怒り出したのだ。ああ、これでなかったらべ平連もでけへんかったやろうなあ、この声!と思いながらも、私は震え上がった。ラウンジが空っぽだったのが幸いだった。彼が編集者を殴りつけないかと心配になったほどだった。 小田さんはそれから「米谷さんも僕も、異民族と結婚していて大変な苦労をしてるんやぞ。君にはわからんやろが!」と怒鳴っている。彼は隣に座っているジョシュの背中を大きな手でばしっと叩いた。ジョシュは日本語が分からないので何が起こっているのかわからない。「・・・・やあ」とか「分からんのかぁ」というたびに背中をバシッと叩く。力のある大きな手で叩くので心配になり出して、遂に「小田さん、ジョシュ、心臓悪いのよ、そんなに叩いたら、心臓発作を起こすかも分からんよ」と言うと、気がついたらしくぴたっと止めた。それから静かに「僕らはなあ、ジョシュ、連れ合いの言うことを聞かんとあかんなあ。女の人はえらいからなあ」と言った。 これが最後の別れになるとは予想もしていなかった。一生忘れない別れであった。 終戦間近に六甲から夕陽丘高女に電車通学して、勤労奉仕の毎日だったようです。爆撃直後に川西航空機付近の爆撃跡を歩いたり、空襲警報が鳴ると地下鉄に乗り換えて通学するという危うさに、父親が画策して鳥取県に疎開した米谷さんだけに・・・・反戦平和の思いは切実なんでしょう。天王寺区で小田実とは6軒はなれたお隣さんという幼馴染であり、同じようにフルブライト留学するのもすごいけど・・・・45年ぶりに会うまで、お互いがお隣どうしであったと気づかなかったそうです。
2011.06.27
コメント(0)
平田オリザ氏の発言に対してメディアが示した振る舞いについて、内田先生が再び言及しています。おお まだしつこくやっているぞ♪私も過去のエントリー(内田先生 そこまで言うか)でフォローしたように、しつこく覚えています。6/22ひさしぶりに授業をしましたより 「みんながわかっていること」をメディアが報道しない。分析もしない。解決策を提言もしない。そうやって、メディアの「知性」への信頼をメディア自身が掘り崩している。端的な事例は平田オリザさんの「汚染水の廃棄はアメリカの要請」発言である。そのあと、平田さんは「そのようなことを知る立場になかった」という謝罪のステートメントを発したが、言ったことが「口から出任せ」だったと言ったわけではない。官邸周辺の「どこか」で聞いたのだが、それは「言わない約束」だということまでは確認しなかったのである。当然、メディアとしては、「アメリカの要請」があったのかどうかについて、発言の真偽について裏づけ調査をするはずだった。どの新聞もしなかった。続報は一行もなかった。鳩山時代から内閣参与として長く官邸に詰め、さまざまな情報を「知る立場にあった」平田オリザさんが「ぽろり」と漏らした情報について、「もしかすると、それに類する指示がアメリカからあったのかもしれない」と仮定して「裏を取る」という作業をした新聞もテレビもなかった。一つもなかったのである。それどころか、アメリカは今回の福島原発の事故処理に、どのようなかたちでコミットをしているのか、どのような処理プランを提言しているのか、それはアメリカの中長期的な原子力政策とどういうふうにリンクしているのかといった射程のもう少し広い解説さえ、私は読んだ覚えがない。確かに今回の福島原発の事故処理にアメリカがどのようにコミットしているか?メディアからの説明はありませんね。(軍事機密の壁はあるにしても)中国共産党が人民解放軍の海軍をコントロールできているか不透明な昨今では、同盟国アメリカの存在感が増してくる・・・反米の大使であってもこの程度の認識はあるのです。でも、内田先生がむしかえすまで、平田オリザ氏の発言は忘れていたのです。反米スタンスもさることながら・・・・長いものに巻かれっぱなしのメディアの弱腰が我慢できないのでしょうね。内田先生のしつこさに脱帽する次第です。
2011.06.23
コメント(2)
中国のレアアース生産は、現在の世界シェア95%から60%に低下する見通しのようです。だけど、中国政府主導の資源の温存、売り惜しみによる高値狙いは成功しつつあるようです。この強欲商売に対抗する手段は無いのか?・・・WTO提訴?他の生産国の生産再開、出荷を待つとしても、石油のように高値安定のカルテルを組まれたら、待つ意味がなくなるしな~。やはり、強欲な中国に依存しない生産方式を求めるのがオーソドックスなのかも?つまり中国抜きのチャイナフリーを目指すのがベストのようですね。6/22中国のレアアース生産、世界で占める割合は大幅に低下へより チャイナ・デーリー紙によると、世界のレアアース生産における中国の割合は、他国の生産増強により今後2年で大幅に低下する可能性がある。 中国工業情報省の元高官、Wang Caifeng氏が同紙に語った。同氏によると、世界生産に占める中国の割合は現在の95%から60%に低下する見通し。同氏は現在、価格設定と業界統合の規制を手掛けるレアアース業界団体の設立を担当している。 同氏は「プレゼンテーションを終え、工業情報省の承認を待っているところだ。2カ月以内に発足したいと考えている」と述べた。 中国政府は、高水準の生産は持続できず環境に悪影響を与えるとして、2011年上半期のレアアース輸出枠を前年同期比で35%削減すると発表している。これにより世界の供給は減少、価格は過去最高水準に上昇した。 同氏は、今年の生産枠は前年比5%増となる見込みで、3月に発表された政府方針に沿う見込みと述べた。 政府は2011年のレアアース酸化物の生産量を前年比5%減の9万3800トンとする方針。ただ、昨年の違法なレアアース輸出は1万トンにのぼるとの業界試算もある。 日本メーカーはレアアースを使った研磨剤の使用を減らし、備蓄に回しているそうです。えぐい中国と我慢比べの様相であるが・・・持久戦で我慢していても好転するあてはないし。昭和電工にとっては、売り上げが半減となり、迷惑この上ないが・・・・チャイナリスクとどう付合うかという訓戒を得ただけかも知れないですね。6/14レアアース使った研磨剤、今年の国内消費量は半減へより昭和電工セラミックス事業部の高津照一朗・第二営業部長は、ロイターとのインタビューで、レアアースを使った研磨剤の国内消費量が今年は昨年の半分に減少するとの見方を示した。 中国からのレアアース供給減少を受けて、企業が研磨剤の使用を大幅に控えているためという。 昭和電工はセリウム研磨剤生産で国内最大手。 高津氏によると、中国が今年上半期のレアアースの世界向け輸出枠を35%削減し、研磨剤の主成分となるセリウムの価格が30倍に跳ね上がったことを受け、薄型テレビやハードディスクドライブの生産に研磨剤を使う日本メーカーは警戒を強め、研磨剤の使用を減らし、備蓄に回している。 現在、日本の研磨剤価格は1キロ当たり1万円近くと、1年でほぼ10倍となり、顧客のマージンを圧迫しているという。 同氏は、価格が高いために、企業は研磨剤の使用に非常に慎重になり、4─5回再利用していると指摘。「われわれの顧客は在庫があり、今年は原料を買い控えている」と語った。 高津氏は、日本のセリウム研磨剤市場は今年4000トンを下回り、過去数年間の年間平均消費量約8000トンの半分に縮小すると予想している。チャイナフリーの物作りでも言ったけど・・・中国政府が言うように、レアアース業界の違法な採掘を是正すればコストアップは当然である。しかし、売り惜しみによる値上がり狙いは如何なものか?それも、現在の圧倒的世界シェアは、環境破壊や弱小民族の犠牲のうえで獲得したものであるだけに説得力に欠けるのである。レアアースとシェールガス・・・G2嫌いになるわけです。
2011.06.22
コメント(2)
福島原発では冷温停止にむけて待ったなしで冷却水の注入(地域内のダムから移送)が続けられているが・・・・・その冷却水が汚染水に変わり原発内に貯まり続けています。また汚染水には梅雨の雨水も加わり、あと8日ほどで満杯になるという危機的状況のようです。つまり、汚染水を玉突き移送して、原発内の全ての貯蔵施設で貯水しても、あと8日で満杯になるということで(鋼製タンクやメガフロートは、処理水貯蔵用なので勘定に入ってない)・・・もし、その8日間で汚染水の浄化、循環を開始できないなら、トレンチなどから汚染水が海へあふれ出すということですね。その汚染水浄化装置でまたトラブルが発生したそうです。6/21浄化装置またトラブル…今度は除染装置 福島第一原発より東京電力は21日、福島第一原子力発電所にたまっている高濃度の放射能汚染水の浄化処理施設の試験中に除染装置のポンプが、停止したと発表した。調整して同日午後に試験を再開した。この浄化処理施設はトラブルが続いており、本格稼働した5時間後の18日未明にも、放射能の計測値が異常に上がって停止した。浄化水を原子炉に戻して燃料を冷やす「循環注水冷却」の開始がさらにずれ込む可能性がある。 汚染水はたまり続けており、満杯になるまであと8日ほどとみられている。 今回トラブルを起こしたのは、仏アレバ社製の除染装置。東電は、再稼働に向けて試験をするため、21日午前1時前、浄化処理施設のシステム全体を動かしていた。同日午前7時20分ごろ、除染装置の薬剤濃度を調節するために水を入れているポンプの流量が調整不足で増えすぎて停止したという。流量調節のめどが立ったため、午後に再開したという。一般的にプラントの試運転は、実液通水運転で所定の性能を出すまでとされるので、大使の認識では汚染水浄化装置は試運転中であり、稼動中のトラブルという報道には違和感がある。(日本経済新聞は現在試運転中としているので、新聞各社で認識の違いがある)それから・・・この汚染水貯留、汚染水浄化装置の稼動について、東電の広報担当者の発表が若干頼りないのです。発表からは以下の対応が同時並行的に取られていることがうかがえるが・・・・確かに現状の状況が伝わってくるにしても、東電に頼りきりでいいのか?とも思うわけです。切り札の汚染水浄化装置について言えば、当初の稼動開始期限15日はとうに過ぎて、汚染水満杯、これこそ待ったなしの稼動開始期限(あと8日後)が迫っているが・・・・大丈夫?<現状の対応>・汚染水浄化装置の試運転中・建屋カバー設置工事を27日から開始予定・貯留用鋼製タンクを設置中(計370基を設置、合計で約4万トンの貯水計画)・構内の瓦礫の除去中・使用済み燃料保管槽の補強工事中・使用済み燃料冷却水の空冷装置稼動中・作業員の放射線管理改善中(内部被爆も含む)メディアから詳細が伝わってこないが、以下の後続対策についても心配である。(もっと情報公開して、不安を解消してほしいのだ)<後続対策>・汚染水浄化装置が不調の場合の代替策・地上および海洋の汚染マップ充実(人的被害および風評被害削減のため)・海洋汚染防止対策(原発周辺の汚染海水流出防止処置)・地下水汚染対策(地下水脈を遮断する遮断壁を検討中)・汚染水浄化後の凝縮汚泥の保管対策 (問題は、汚泥が高線量で管理が難しいことだ。アレバ社も「毎時1000ミリシーベルトを超える汚染水から出る汚泥は扱ったことがない」と認める。東電は、発電所敷地内に汚泥を保管するための専用施設を新設するとのこと)・作業員の補充計画だいたい、汚染水浄化装置という稼動実績のない装置を期限を切って一発勝負で稼動させるということがかなり無茶な話であり、期限を厳守するなら代替装置をもう一式作っておくぐらいの配慮はなされるべきであった(と思う)もし、汚染水が海に漏れる事態に陥れば、世界中のメディアが一斉に、海洋汚染について報道するはずである。そして、日本を見る目が厳しくなるはずである。ところで、地下水汚染であるが・・・これまでの流入水と貯留水、海への放流水の収支から説明のつかない水が約5000トンほどあるそうだが(某週刊誌より)、これらはどこに行ったのか?これらは建屋から地下に漏れたはずであるが、東電も政府も、これに関しては口が堅いのである。従って週刊誌は騒ぐけど、御用新聞からはこの種のニュースが流れない。地下に漏れた汚染水は数年後には海に流れて海洋汚染となる・・・情報開示が望まれる由縁ですね。東電や政府関係者には、もっと情報公開して不安を解消してほしいが・・・・言われなくてもわかっている?
2011.06.21
コメント(2)
NHKの番組で佐渡祐さんのベルリンフィル指揮をたまたま見たのだが・・・・オーケストラの楽しさと厳しさを垣間見る思いがして(演歌があれば交響曲など必要としない大使であっても)さすがに「お ええやんか♪」と昂揚したのである。オーケストラの団員もアーティストであるからには一筋縄ではいかないようで・・・気に食わない指揮であれば、血の気が多い数名が結託して勝手にハモることもあるようで、かなり恐い世界のようです。「なめられたら、あかん」ということで、デビュー指揮者の初回練習は、真剣勝負のようなものなんでしょう。練習の途中で何回もストップをかけて、自分の望む音を説明する佐渡さん。また、団員からは佐渡さんの器量を探るような質問があり、ドイツ語で懇切に回答する佐渡さん。言葉で意志を伝えることは指揮する者にとって当然と言えば、そのとおりかも知れないが・・・その流暢なドイツ語に驚くわけです。この数回のやりとりで、佐渡さんは団員たちの心を掴んだようで・・・初演の成功が見えてきました。先日、NHKの「鶴平の家族に乾杯」でもゲスト出演していたが・・・「音楽ってええで」関西弁でかざらない口調とか、大男でも、ややとぼけた味のある人柄が出ていました。6/18朝日新聞be on saturdayが「雑草の力、世界で示す」という見出しで佐渡さんを特集しています。芸術大卒業後、ほぼ独学で関西二期会の副指揮者を努めながら、女子高の吹奏楽部などを指揮する日々が続いたそうです。女子高の吹奏楽部でも、ベルリンフィルの団員でも、同じように音づくりの幸福感をかもし出す能力が、「肩を組んで一緒に歌うような喜び」を求める能力が・・・大衆性と芸術性を兼ねたような佐渡さんの魅力なんでしょう。ベルリンフィル初演の後、地元紙が「ベルリンフィルは、どのデビュー指揮者に対してもこれほど献身的に演奏するわけではない」と述べたそうです。また1987年、佐渡さんを見いだした故レナード・バーンスタインはこう言ったそうです。「オレはジャガイモを見つけた。まだ泥がいっぱいついていて、すごく丁寧に泥を落とさなければいけない。でも泥を落としたときには、みんなの大事な食べ物になる」(6/18朝日新聞 be on saturdayより)佐渡さんは多分、合奏する楽しさを知っているんでしょうね。その本質的なところを、ベルリンフィルの団員は見抜いたのではないかと、不肖大使は思った次第です。佐渡祐オフィシャルサイト
2011.06.19
コメント(0)
中国のレアアース輸出停止が、そろそろボデーブローのように利いてくる昨今ですね。日本を狙い撃ちで、レアアース関連製品の内生化を狙うような中国に対して、経産省からレアアース高騰対策が出されています。【経産省のレアアース高騰対策】6/4経産省、レアアース高騰で87億円補助 使用量低減など技術開発支援6/3「脱レアアース」で補助金68件 高騰対策、使用低減促す1990年代初めにトウ小平は「中東に石油、中国には稀土がある」と述べていたそうだが・・・・「恩を仇で返す」ような中国の貿易政策には、旧来の感覚では対応が遅れたのもしかたなかったのかも知れないようです。6/13中重希土類レアアース・クライシス(第3シーズン)より レアメタルの一族であり、産業用とのレアアースには20余種類あるが、主に主要希土類以外のレアアースに現在、高騰が及んでいる。貿易政策では、常にカウンタパート(輸入したい商品に対する反対給付、対価となる取引カード)が必要であり、近年大きく減じた外貨準備高による合衆国ドル支払いのみに依存することが次第に困難となるに連れて、対価となる商品、技術、流通経路、他が重要となる。日産自動車が深センでのBYDとのレアアース交渉でも、技術移転を条件に、レアアースを提供、中国国内で製品生産をおこない、レアアースの原料としての輸出は、中国政府は認めなかった。だがドイツ系企業へは、レアアースの原料提供が実施されており、特に日本企業へ圧力が強いと言われる。6/15世界のレアアース鉱山開発状況と2011年問題より 圧倒的な中国寡占状態のレアアース市場は2012年以降にはその供給構図に大きな変化きたしそうである。 レアアース埋蔵量、開発コスト、サステナブルな供給という観点からすると総合力で堅いのは米Morycorp(マウンテンパス)、豪Lynas(マウントウェルド)の2社。他にもArafura社のNolans Project、カナダThor lake(トアレイク)、豪州のDubbo、南アフリカ、インドのインディアンレアアース、インドのORISSA州でのプロジェクト、グリンランド、アラスカなどでも開発は検討され、さらには副産物としてレアアースを回収するパターンで、カザフスタンのウラン残渣からのDy回収(住友商事)、ブラジルのジルコニウム鉱床からの中重希土類回収、ロシアのニオブ鉱床からのレアアース回収と世界各地で次々にプロジェクトが花開いており先々のレアアース供給にはなんの心配もいらないかに、REEの相場が高く、一般的な関心も高い今はそのように感じられる。しかし問題がないわけではない。2011年だけに限っていうと、厳しい。中国の2011年のEL(輸出許可)枠が予想通りの3万トンとなれば世界で1万8500トン、日本では9000トンの供給不足に陥る。従って、日本国内で現在行っている省Dy磁石の開発、代替、リサイクルの開発はきわめて重要。国内でレアアースを還元していく方向を探る必要はある。そして備蓄の強化。かっての近江商人の「三方良し」(売り手良し、買い手良し、世間良し)という商法は、最近の新自由主義経済では、影が薄いが・・・・中華の民には理解不能の商法なんでしょうね。チャイナリスクと嘆いている場合ではない!ということで「日本の論点2011」からレアアース関連を調べてみました。 *********************************************************************【論点-13】<レアアースの輸出削減は数ヶ月前からの方針>朱建栄p150~151 尖閣沖衝突事件の際、レアアースの禁輸を報復措置として使ったと報じられたが、実際はその数ヶ月前から中国政府は輸出に対するチェック・管理体制を大幅に強化していた。日本への密輸が輸出量全体の四割を占めると発表され、税関ではレアアースの種類別申告が日米欧に対して義務付けられた。2010年7月に米議会が発表した資料によると、中国のレアアースの埋蔵量は全世界の36%しかないが、全世界の輸出量の97%を占めている。複数の欧米新聞は「日本は輸入するレアアースのうち、三分の二を戦略的備蓄に回している」と報じている。一方、中国の学者は「このまま乱採掘が続くと、中国は10年後、レアアースのない国になる」と警告を発した。こういう背景から見て、日本が中国のレアアース資源に頼らず、供給の多極化に動き出したことはいいことだ。【論点-55】<レアアース生産が中国に偏重している理由>西山孝p459~151 レアアースの世界生産量は酸化レアアース重量として09年では12万トンで、その97%までが中国で生産されていて、著しく偏重している。この偏ったシェアを背景に、中国は輸出枠の四割削減を打ち出し、国内のレアアース鉱山の環境を整備し、資源の保護を図るという。しかし真意は価格高騰による膨大な利益の確保とレアアース産業の育成ではないかと見られている。 ところが、この中国への大きな偏重は最近の現象である。20年前の生産量をみると、5.5万トンの世界生産量に対し、アメリカがうち41%、中国が30%、オーストラリアが15%などとなっていて、中国偏在にはなっていない。耐用年数は715年で十分な量がある。 それでは、なぜ今日のように生産が中国に偏るようになったかというと、そこには中国のしたたかな資源政策が潜んでいる。1990年代後半、中国は多量の安いレアアースを意図的に世界市場に放出することによってアメリカの生産量を大きく後退に導き、次第にシェアを拡大し独占状態を確立した。中国政府がつぎつぎに輸出規制を打ち出し、市場操作を行うようになったのはその後のことである。 このように人為的に作りだされるレアアースの供給障害を軽減あるいは解消するには、供給先の多角化、脱レアアース、リサイクルが考えられている。<データファイル-55>●中国が安価な労働力と環境保全を無視した生産方式によって価格を下げ、ほかの産出国は価格競争に敗れて閉山を余儀なくされたのである。 中国の資源政策の方向転換は、すでに06年の経済政策中期5ヵ年計画に「レアメタルの対外貿易を抑制する」と明記されていた。特にレアアース政策は、中国の資源ナショナリズムを象徴する。1990年代初め、当時の最高指導者・トウ小平は「中東に石油、中国には稀土がある」と述べたという。資源を売って食料を輸入する飢餓対策の貿易から、戦略物資を使った貿易への転換だ。「日本の論点2011」文芸春秋編、文芸春秋、2011年刊
2011.06.18
コメント(0)
先日、サイバー戦争について述べたけど、その続きです。人民解放軍がグーグルに加えたとされるサイバー攻撃もえぐいが、オバマ政権が準備している通信傍受・監視の法案もえぐいようです。まあ、サイバー戦争は折込み済みという米中の情報戦争は、平和ボケの日本人から見るとすさまじいかぎりです。今盛りのクラウド・コンピューティングですが、その危険性について「日本の論点2011」から引用します。「日本の論点2011」文芸春秋編、文芸春秋、2011年刊************************************************************************―クラウドの導入は安全保障上、大問題― 岸博幸p451~454<新しい技術的要素は何も含まれていない> クラウド・コンピューティングという言葉が大流行している。クラウド・コンピューティングとは、これまでユーザーが自分で行っていたコンピューターのソフトウェアやデータの保管・管理などを、ネットの向こう側から提供されるサービスで代替するものである。 ちなみに、じつはこのクラウド・コンピューティングという言葉には何も新しい術的要素は含まれていない。昔からあるデータセンターのような遠隔サービスやネット上で利用可能なサービスをまとめて、新たな名前を付けたにすぎない。 いまやさまざまな日本企業がクラウド・サービスを提供しているが、グーグル、アマゾン、セールスフォースなどの米国企業が価格などの面で圧倒的に強い競争力を有するので、日本でもそれら米国企業が市場を席巻している。<サーバーがどこの国にあるかわからない不安> 「クラウド」という言葉に象徴されるように、ユーザーがクラウド・サービスを導入すると、「雲の向こう」のサーバー、つまり自分で完全にはコントロールできないブラックボックスにたくさんの情報を預けることになる。 その場合、情報を預けるサーバーなどがどこの国に置かれているのかわからない場合が多いということである。 それがなぜ問題になり得るのか。サーバーなどが置かれる国の法令を熟知していないと、機密情報が「合法的に漏洩・閲覧」されるリスクを避けられないかもしれないからである。 たとえば、米国に「愛国者法(Patriot Act)」という法律があるのをご存知だろうか。2001年9月11日の米国同時多発テロ事件を受け、内外のテロリズムと戦うことを目的として米国の政府当局にさまざまな特別の権限を付与する法律である。そして、あまり知られていないが、この法律に基づけば米国の捜査当局(FBI)は捜査令状なしに電子メールなどのデータを入手して捜査に利用できるのである。 このような法律の存在に加え、非合法・水面下のレベルの情報活動まで含めて考えると、米国企業のクラウド・サービスを利用する場合に、サーバーなどが米国内に置かれていたら、有事の際などにはサーバーに預けている情報を覗かれる可能性が高いと考えざるを得ない。 加えて言えば、万が一クラウド・サービスにトラブルが発生して不利益が生じた場合、契約書の内容によっては、サーバーなどが置かれている米国内の州の法令に基づき、その州の裁判所で訴訟を提起せざるを得ないかもしれない。 そういう安全保障面でリスクが存在し得るサービスなのに、価格が安いからといって米国企業に依存していいのか。とくに政府や社内の機密情報などについては慎重であるべきではないだろうか。<データファイル-49>●クラウド・コンピューティングとは米グーグル社が提唱した概念で、巨大なインターネット網から我々の手にデータが落ちてくるさまを、雲から降り注ぐ雨にたとえたもの。 グーグルは電子メール、カレンダー、画像編集といった、これまでのソフトウェアの形で提供されてきた機能のウェブサービス化に邁進している。クラウド・コンピューティングは同社の旗印と言ってもよいだろう。●昨今、クラウドは世界的なトレンドとして一大潮流を成しており、またスケールメリットが高いこともあって、グーグル、IBM、アマゾン、セールスフォース、マイクロソフトといったグローバルに展開するIT企業はクラウド事業の拡大に日々努めている。 IBMが10年10月に発表したIT技術者への調査結果でも、「今後5年間で、クラウド・コンピューティングが業務用ITコンピューティングの主流になる」と予想する回答が91%を占めた。 総務省の調査では、クラウド型サービスの利用経験がある米国企業は56.2%に達しており、日本の14.8%を大きく引き離している。●日本国内のクラウド利用事例では、09年7月から運用しているエコポイントの申請用ウェブサイトが代表例だろう。請け負った米IT大手のセールスフォースはエコポイント向けのクラウド型システムをほぼ1ヶ月で構築してみせた。同社のクラウド型システムはとくにトラブルもなく順調な運用が続いている。これはクラウドのメリットを国内企業に示す象徴的な事例となった。●10年9月、アメリカの新聞各紙はオバマ政権がネットサービスの通信傍受・監視を強化する法案を準備していると報じた。この法案が成立した場合、FacebookやTwitter、Skypeといったソーシャルメディアはもちろん、クラウド型サービス全般まで監視の対象になる可能性がある。また、法案では各サービスで使われている暗号技術の解読技術提供も義務付けている。情報デバイドを被っている大使でも、楽天ブログに公民館とか図書館からでもアクセスできるので、まあ一種のクラウドとも言えるのです。(スマホを契約すれば、どこからでもアクセスできて完璧なクラウドになるけど)アメリカ発のクラウドという言葉がでる前から、楽天ブログを使っているけど・・・楽天ブログは使い勝手もいいので、アーカイブや画像や文章データを系統だって保管するには、なかなかの優れものなんですね。ところで、楽天さんのサーバー管理では、これらのデータはいつまで保管してくれるでしょうね?(無料で利用しているので、あまり大きな声で言えないけど)これらデータの保管ということでは、ブログのミラーサイトを作るか、楽天データを各自のパソコンにコピーしておくことをお奨めします。
2011.06.18
コメント(0)
このところ菅さんが新エネルギーへの転換を看板にして、続投に意欲をみせているが・・・・1千万戸にソーラーパネルとの勇み足発言があっただけに、またか?と思わないでもない。また、このたび農水省からバイオマス発電予算化の発表があったが、これって、復興計画の一環なのか、役所の縄張り争いなのか?・・・・・政権からの補足説明がないのでよくわからないのです。バイオマス発電増強が、復興計画の優先順位としてどの位置にあるのかは別にして・・・・エネルギー見直しの風がふいていることは確かのようです。この動きが地に付いたエネルギー見直しにつながるのなら、悪くはないと思うのです。バイオマス先進国ドイツにできて、日本にできないはずはないだろう。そして日本のバイオマス利用でエントリーしたとおり、個人的には、大震災で生じた木質がれきを活用するバイオマス発電に注目しています。もしかして、バイオマス・ ニッポン総合戦略を化粧直しして、出直すのかもしれないが・・・大筋はそんなに外れないだろう。6/16震災がれきでバイオマス発電 農林省、被災地に建設計画より 東日本大震災で生じたがれきを燃料に使う「木質バイオマス発電」の普及に農林水産省が乗り出す。がれき処理と再生可能エネルギーの活用の両立を狙う。被災地に発電所を5カ所程度建設する計画。関連予算を、次の補正予算案に盛り込む方向で調整中だ。 発電所は出力1万キロワット級の規模を検討している。発電で生じる熱を給湯や暖房に利用するシステムも加え、効率的なエネルギー利用を目指す。建設費用は、本体と関連施設をあわせて1カ所あたり40億円程度とされる。半額以上を民間事業者に助成する方針で、当面の予算規模は計100億円前後を見込む。 5/9木質バイオマス発電再興 被災地の廃材燃料化、受け入れ強化より 東日本大震災を機に、木材チップなどを燃料にした木質バイオマス発電事業が復権の兆しをみせている。被災地では家屋などのがれき処理が課題となっているが、この廃材をチップに加工し燃料に活用しようという動きが活発化。特に東北地方に発電施設がある企業は受け入れ態勢を強めている。◆素早い産廃処理認可 「通常は1年近くかかる産業廃棄物処理の認可が、たった1カ月で下りた」 山形県内で木質バイオマス発電所や木質チップ加工所を運営する「日本バイオマス開発」(東京都港区)の鈴木誠社長は、4月に認可が下りた山形県の素早い対応に驚きを隠さない。◆バイオマス発電所は、全国に100カ所程度あり、民間企業が運営している。 2004年ごろから自然エネルギーの活用ブームに乗り、太陽光発電などとともに脚光を浴びた。しかし、木材チップが高価で安定調達が難しいなどの理由から普及せず、今年2月に総務省がまとめた「バイオマスの利活用に関する政策評価書」によると、バイオマス関連施設の約7割が赤字と報告され、経営が成り立ちにくいのが現状だった。5/16震災の廃材、燃料に活用、発電会社・セメント大手、電力不足を軽減より 木質バイオマス(生物資源)を燃料とする発電事業会社やセメント大手が東日本大震災で発生したがれきの受け入れに動き出した。省エネ支援ベンチャーのファーストエスコや三井造船系の発電所は廃木材を加工した木質チップを燃料に利用。太平洋セメントはセメント生産用の焼成炉で焼却処理する。膨大ながれき処理は復興の優先課題。被災した自治体だけでは処理しきれない廃材などを有効利用し、電力不足の軽減にもつなげる。 ファーストエスコは子会社が運営するバイオマス発電所(福島県白河市)で、燃料の一部に震災で生じた廃木材を使い始めた。出力1万1500キロワットの発電所をほぼフル稼働させている。全損壊した家屋の撤去・処理には所有者の了解や自治体の判断が必要。しかし、一部損壊した家屋の修理などから出た廃材を木質チップに加工し始めたもようだ。 三井造船子会社の市原グリーン電力(千葉県市原市)のバイオマス発電所も近く、廃材を加工した木質チップの利用を始める。千葉県旭市など同県沿岸部で発生したがれきを使う計画で、千葉県も応じる方向で検討している。出力5万キロワット弱の発電所は定期検査を終えたうえで22日から24時間体制で運転し、東京電力に売電する。 住友共同電力や住友林業が出資する川崎バイオマス発電(川崎市)も廃材利用を検討中。震災前は約85%だった発電設備の稼働率をすでに100%に引き上げ、積み増した電力を東電に売り始めた。 セメント大手3社は被災地に近い工場を中心にがれきを受け入れ、復興を側面支援する。受け入れ量は年換算で20万~30万トン程度とみられる。太平洋セメントは大船渡工場(岩手県大船渡市)に2基あるセメント焼成炉のうち1基を焼却炉として使う。週内にも試験的に焼却を始め、当面月間1万~2万トンのがれきを処理する方針。【被災地廃棄物処理関連】6/6三菱重工業、廃棄物発電利用の国内最大規模の複合リサイクル施設を受注5/19震災廃棄物の処理へマスタープラン東日本大震災に係る災害廃棄物の処理指針(マスタープラン)5/13被災地で奔走する廃棄物処理の現場を見た5/9災害廃棄物の処理、追いつかず全国規模の協力体制が不可欠に吉里吉里国 復活の薪
2011.06.17
コメント(0)
全摘手術から約半年過ぎたが・・・・大使も人の子、人並みに体重が10Kほど減ってしまい、ついでに体力も落ちたようです。これでは、あかん。最近は雨天を口実に、トレーニングもご無沙汰であったが・・・再開せな あかんな。以下、個人的な覚書です。【業務連絡】************************************************************************* <胃がんの最新治療> 「胃がんの最新治療」比企直樹著、主婦の友社、2011年刊<胃ってどんな臓器?>p14~<胃の六つのはたらき> 胃には大きく次の六つのはたらきがあります。1.食べ物をためておく。2.蠕動運動で食べ物を攪拌し、粥状にし、十二指腸に少しずつ送る。3.タンパク質や脂肪の一部を分解する。4.小腸でのビタミンB12の吸収を助ける特殊な物質(胃内因子)を分泌する。5.消化管ホルモンを分泌し、胃酸と消化酵素の分泌を促す。6.胃酸を分泌し、食べ物といっしょに入ってきた細菌などの殺菌を行う。 胃の壁の内側は、粘膜でおおわれています。粘膜から分泌される胃液に含まれているのは、胃酸と消化酵素。これらの作用と胃の蠕動運動によって、食べたものは粥状になり、十二指腸へと送られるのです。 <胃切除後症候群の種類と対処法>p96~114 胃切除後症候群は、胃のどの部分を切除したかによって症状が異なります。たとえば、噴門部を切除した場合は、逆流性食道炎が起こりやすくなります。幽門部を切除した場合は、食べ物をためておく機能が失われるのでダンピング症候群に注意しなくてはなりません。<早期にあらわれるもの> ダンピング症候群、下痢、げっぷやおなら、貧血、栄養障害、牛乳不耐症、逆流性食道炎、逆流性胃炎<ダンピング症候群>・症状(早期):食後5~30分で冷や汗、動悸、めまい、腹痛、吐き気・症状(晩期):食後2~3時間で頭痛、発汗、めまい、脈が速くなる・原因:食べ物が一度に小腸に流れ込むと、全身の血管が拡張、高血糖・対処法:食事を少しづつ回数を多くとる。<下痢>・原因:食べ物が一度に小腸に流れ込みと、神経反射が起こったり、腸の蠕動運動が過剰になったりして起こる。・対処法:栄養分の高い食事を、少しづつ回数を多くとる。<げっぷやおなら>・症状:食べ物といっしょに入った空気がげっぷとして出にくくなるため、おなかが鳴る腹鳴やガスがたびたび出ることもある。・対処法:あまり気にせず回復を待つ。<貧血>・症状:胃全摘の人の約70%にみられる。・原因:鉄分、ビタミンB12の吸収力低下・対処法:鉄剤やビタミンB12の投与、年2回ほどのB12注射<牛乳不耐症>・症状:胃全摘の人の約70%にみられる。・原因:たんぱく質の吸収力低下、腸内細菌のアンバランス・対処法:乳製品を避ける<逆流性食道炎>・症状:食後の胸焼け、むかつき、みぞおちの痛み・原因:噴門部がないので、逆流しやすい・対処法:食後すぐ横にならない。夕食は就寝の約3時間前に<逆流性胃炎>・症状:胸焼け、不快感、空腹時におこりやすい・原因:胆汁が胃に逆流・対処法:食後すぐ横にならない<カルシウム吸収障害>・症状:骨密度が低下する。・原因:ビタミンDが吸収されにくい・対処法:食事療法、運動療法<胃切除後の食事のとり方>p104~105<特に気をつけたい食品>・消化の悪い食品 赤飯、もち、ラーメン、いか、タコ、すし、こんにゃく・おなかのふくれる食品 炭酸飲料、ビール<栄養療法> 青魚に多く含まれるEPAは、炎症を抑えるとともに、筋肉の分解因子(PIF)の量や活動を抑制することがわかってきました。良質なタンパク質を十分にとることも有効だとされています。筋肉をつくる必須アミノ酸の中でも、分枝鎖アミノ酸といわれるバリン、ロイシン、イソロイシンは、必須アミノ酸の30~45%を占め、筋肉のタンパク質分解を抑えるといわれています。分枝鎖アミノ酸は大豆、チーズ、マグロの赤身などに多く含まれます。<再発のチェックと診断>p108~150<定期健診について> がんの再発は治療後3年以内(胃がんの場合は治療後1~2年以内)に起こることが多く、5年以上たってから再発することは少ないことがわかっています。 治療後3年目までは3ヶ月~半年に1回、4~5年目は年1回のペースで検診が行われるのが一般的です。<腫瘍マーカーと画像検査でチェック> がんの再発の指標のひとつに、腫瘍マーカーがあります。がん細胞からは、特殊なタンパク質や物質が産出されます。これらの物質が腫瘍マーカーです。 血液や尿を調べることで、これらの物質がどれくらい産出されているかわかるのです。 胃がんに関連した腫瘍マーカーには、CA19-9、CEA、APFなどがあります。しかし、これらの物質が増えたからといって必ず再発したというわけでなく、可能性を示しているにすぎません。 ですから、きちんと確認するために、CT検査やMRI検査、腹部超音波検査などを実施します。これらの画像検査で確認されてはじめて、再発がわかるのです。<再発と転移のしくみ>p33~<胃がんが転移するしくみ> 胃がんの転移には、ルートによって「血行性転移」「リンパ行性転移」「腹膜播種性転移」「直接浸潤」の四つがあります。
2011.06.15
コメント(2)
中国共産党が今もっとも恐れるのは、ジャスミン革命であり、その手段となるフェイスブックと言われているが・・・・携帯を持たない大使にとって、フェイスブック何?であり、情報源は図書館、公民館で見るネット情報やグーグルのみという、デジタルデバイドにあえいでいるのです。先日auショップで、スマートフォンのテザリングを試したところ、パソコン側のLAN設定が不調で、デジタルデバイド解消計画があえなく頓挫してしまったのです。ところで、かねてより「サイバー戦争」がとりざたされているが、1日にグーグルが人民解放軍により攻撃を受けたようですね。やった!やってない!と真相は限りなく黒に近い藪の中であるが・・・・中国側に「事実を伝える情報は国家的危機につながる」という認識があるにしても、事実を検索するグーグルを攻撃するのは、お門違いでしょう。(と言ってもなんか空しいが)中国外務省の次のような反論を聞くと、なんかウソっぽいのです。中国はサイバー戦争能力の強化を=人民解放軍研究者より [北京 3日 ロイター] 中国人民解放軍の当局者2人は3日、諜報などの分野でインターネットが極めて重要な戦場になっているとし、中国はサイバー戦争能力の強化を軍の優先課題にしなくてはならないとの見解を示した。 人民解放軍の学術機関である軍事科学院の研究者、Ye Zheng氏とZhao Baoxian氏は中国青年報への寄稿で、中国政府はサイバー戦争能力の向上に注力していると強調。「核戦争が産業時代の戦略戦争であったように、サイバー戦争は情報時代の戦略戦争になっている」と述べた。 一方、米防衛機器大手ロッキード・マーチン(LMT.N: 株価, 企業情報, レポート)や米グーグル(GOOG.O: 株価, 企業情報, レポート)に対するサイバー攻撃について、米国の専門家や調査機関の間では、中国が関与したとの疑いも強まっており、サイバー攻撃をめぐる問題が米中間の新たな火種になる可能性がある。 グーグルは1日に公式ブログで、中国山東省の済南にいるとみられる正体不明のハッカーが「Gメール」のアカウントのパスワードを不正に取得し、電子メールへのアクセスを試みたと明らかにしていた。済南には、通信や電子信号などを使った諜報活動を行う人民解放軍の部隊がある。 これに対し、中国外務省は2日、グーグル側の説明は「受け入れ難い」と反発。外務省の洪磊報道官は「このような不正行為で中国を非難するのは受け入れられない」とした上で、「ハッキングは国際的な問題で、中国も犠牲者だ。ハッキングを(中国が)支援しているとの指摘は全く根拠がなく、裏に何らかの動機がある」と述べていた。反米の大使としては、べつにアメリカの肩を持つつもりはないが、中国が仕掛けたサイバー戦争が気になるのです。「中国共産党は中国を滅ぼし、世界を破滅に向かわせている」=米学者新著より 中国が仕掛けたサイバー戦争を例に、著者は中国のグーグル社に対する攻撃行為を挙げた。さらに、共産党政権が自身に都合の悪い情報にアクセスできないように構築した「グレート・ファイア・ウォール」を世界に輸出している、と指摘した。また、サイバー上のネットワークのみならず、人的にも、世界で巨大なスパイ・ネットワークを築いているという。「国家間の諜報活動は多くの国が行っているが、中国はとりわけルールを守らない」。記念会のパネリストの1人、中国国家安全部の元諜報員・李鳳智氏はこの点について、「中国の諜報活動は国家間に止まらない。彼らは海外にいる中国人をもターゲットにしている。ときに彼らは海外の政治勢力を動かし、その力を利用して海外にいる中国人に圧力をかけ、間接的に自身の政権の「安定」を図っている。これは共産党政権の独特なスパイ活動の形式となる」「『憲法』第35条、中国公民は言論・出版・結社・行進及び示威行動の自由を享受すること…」。記念会で著者が読み上げた中国の『憲法』に聴衆らから笑いがもれた。なお、丹羽宇一郎・駐中国大使によれば「ジャスミン革命が中国で起きる可能性は個人的にはないと思っている」そうです。ジャスミン革命より 丹羽宇一郎・駐中国大使は、「ジャスミン革命が中国で起きる可能性は個人的にはないと思っている。(経済成長が続いている)現在の生活を壊してまで政権を倒そうとする情熱、意欲は、中国の今の国民にはない。ジャスミン革命のようなことは中国では期待されないほうがよい」と述べている(朝日新聞3月2日付)。 ということで、少し古いがサイバー戦争:それは脅威なのかを見て、勉強して見ましょう。しかし、インターネット・キル・スイッチなどという言葉を聞くと、米中どっちもどっちなのかもしれないですね。サイバー戦争:それは脅威なのかより <インターネット・キル・スイッチ米で火がついた規制議論>インターネット・キル・スイッチ――。今年前半、米メディアでこんな見出しが躍った。米議会に提出された法案が、緊急時にインターネットを停止させたり通信制限したりできる権限を米大統領に与えようとしている、という議論が盛り上がったからだ。法案を提出したのは、上院国土安全保障委員会の委員長で民主系無所属のジョー・リーバーマン。名称は「国家資産としてのサイバー空間保護法」。6月10日の会見では、「サイバー空間は今日、米国民と国土の安全を守るうえで我々が責任を持つべき最前線だ」として法案の意義を力説した。法案の骨子はこうだ。ホワイトハウスや国土安全保障省に専門部局を置き、重要インフラを担う民間企業と連携。企業はシステムの欠陥があれば政府に報告する。欠陥が攻撃されているか、されそうな場合、大統領は議会の承認を得たうえで、保護のための緊急措置を30日間とりうる――。サイバー戦争/wikipedia
2011.06.14
コメント(2)
「歴史にみる日本と韓国・朝鮮」は千葉県日本韓国・朝鮮関係史研究会が編集した高校生向けの歴史教材であり、東アジアとくに日韓関係の歴史を述べているが・・・読み進めると、味気ない教材かも?という予想は外れたのです。日韓の友好関係を育てるために、執筆陣が歴史を調べあげ、この教材を著した、そのような意気が伝わってくるのです。また、単に教材というだけでなく読み物としても興味深いので・・・・・勝手ながら私が関心の有るヶ所を紹介します。「歴史にみる日本と韓国・朝鮮」鈴木秀夫・吉井哲編著、明石書店、1999年刊<東アジア世界の交易>p44 日本史ということばで歴史をイメージしたとき、私たちは現在の日本という国家の範囲のなかでの歴史を思う。そして、日本列島を囲む海をその境として意識してしまうのである。その結果、日本と朝鮮の歴史を考えるときも、その二つの地域のあいだに現在の国境を意識することが多い。しかし、二つの地域のあいだある海は必ずしもそのおあいだを隔てるものではなく、互いを結びつけるものでもあった。そうしたなかに、対馬・済州島・琉球王朝やアイヌの人びとの存在もあった。<東アジアの新秩序と海の道>p44 倭寇の出現にみられるような混乱の時代であった東アジア地域の14~15世紀は、同時代に新しい国際関係形成の時期でもあった。1368年中国大陸では元にかわって明、1392年朝鮮半島で李成桂による朝鮮王朝、1429年尚巴志の琉球王朝統一、そして日本列島では足利義満が南北朝の合一を完成させるのである。そのなかで、明は伝統的な中国を中心とする国際関係の回復をめざし、頂点としての明の皇帝が朝鮮や日本などの周辺の王の立場を保障し、従属させるという体制(冊封体制)をつくりあげていく。当時足利義満も「日本国王臣源」として中国にその立場を認められたのである。これにより貿易も国王を通じたものに制限された(朝貢貿易)。とくに琉球はこのようなかたちの流通システムのなかに入ることによって、私貿易・海外渡航を禁止されていた中国商人にかわって積極的に貿易活動をはじめた。そして、東南アジア地域と日本・朝鮮をむすぶ中継貿易の基地として那覇港は発展した。そのことは、15世紀に琉球が明へ171回もの朝貢貿易をおこない、足利政権の19回(勘合貿易)・朝鮮の30回を圧倒的に上回ることによくあらわれている。 中世社会においてこれらの地域のあいだにある海は決して閉ざされた世界ではなく、海上交通路が発達し、そのなかで琉球の那覇・九州の博多・朝鮮半島の三浦(富山浦・乃而浦・塩浦)などが国際的な貿易港・商業都市として成長したのである。これに対し、あくまで私貿易を強行していくのが倭寇であり、侵略的な海賊であると同時に貿易活動をおこなっていたのである。 また、15世紀に朝鮮でつくられた地図には、日本列島の大きさに比べ非常に大きな琉球・対馬の存在や航路・距離の記入があり、当時いかにこの地域の行き来が盛んであったかを物語っている。<日本海をめぐる地域>p45 日本海では、北海道~十三湊~小浜という航路はとくに発達しており、若狭と陸奥の往来は活発であった。 当時「夷地」とよばれた日本列島北部は、独立した地域でもあり、十三湊を根拠地とする安藤氏は若狭の寺を再建するさい、みずからを「奥州十三湊日之本将軍」と名乗っている。 そして、津軽地方から中国や朝鮮の陶磁器・中国銭が多数発見されていること、1482年に朝鮮の都に「夷千島王瑕叉」の使者が渡っていることから、海の道は日本列島をむすぶだけでなく、朝鮮半島など日本海沿岸地域をむすぶものであったといえるのである。 <日本朱子学派と朝鮮>p54 12世紀宋代の朱子によってはじめられた「朱子学」は、中国においては元・明・清にわたる600年間、国家の学問として中国の精神界に君臨したが、やがて朝鮮、日本、ベトナムといった漢字文化圏において、当時のもっともすすんだ思想として受容され、それぞれの国において独自の発展をとげていった。朝鮮においては、高麗時代末期(13世紀末~14世紀初)に入ってきた朱子学は、李朝時代に入ると仏教勢力を排除しつつ、みずから国教的地位を確立するようになり、すぐれた学者を次つぎと生みだした。 それらの学者のなかで朝鮮第一の儒学者で、「朝鮮の朱子」「東方の小朱子」とよばれるのが李退渓(1501~1570年)である。そして、日本の江戸時代の儒学(朱子学)は藤原惺窩にはじまり、その弟子の林羅山によって定着するが、彼らにもっとも大きな影響を与えたのが李退渓であった。 江戸時代の日本人の儒学者は、今日では想像もできないほで朝鮮とその文化に親近感を抱いていた。文化的には中国は親の国であり、朝鮮は兄の国であるとするのが当時の学者の通念であったといえる。 <日本に「士」はいなかった?>p58 1719年通信使として来日した申維ハンは、その日本紀行『海遊録』のなかで、日本の教育や風俗を、各藩には儒学の学校もなく孔子廟の釈テン(孔子を祭る儀式)もない、また君や親を儒教の礼儀で弔う葬礼もない、と批判している。さらに興味をひく点は、李朝朝鮮も日本の江戸時代も、身分構成は士・農・工・商となっているが、日本には「士」がないといっている点である。彼からすれば、日本でいう「士」は厳密な意味での「士」=読書人とはいえないのであり、日本の社会は武人の優位の社会であるとしている。科挙性がなかった日本では、儒者が士大夫として官職につくことはなく、儒者と政治との密着度は、朝鮮と比べると薄いものであった。これに対し李朝朝鮮では、科挙の試験を通じて、能力にしたがって政治に参与できる機会が、一般の士大夫=儒者にあたえられていた。しかし、官職の数には限度があり、やがて役人の椅子争いから、士大夫間に分裂抗争がおこることとなった。また、朝鮮の儒学者たちの関心は理気説に集中し、とくに人間の情念は理から発するのか気から発するのかという問題をめぐり、李朝500年にわたって延々と論争がつづいた。そして、この主理派と主気派の論争は、士大夫間の政治抗争とむすびつき、まさに血で血を洗う党争がくり返されていったのである。<文禄・慶長の役はなぜおきたのか>p46 1585年、豊臣秀吉は関白となった。その直後、彼は「唐国(明)までも」征服するつもりであると家臣につげ、翌年には宣教師を通じてポルトガル軍船を手に入れようとした。1587年の九州平定の前後から、秀吉は大陸征服の野心を機会あるごとに明らかにする一方で、軍事動員と出兵基地としての肥前名護屋城の築城をすすめていった。また、琉球・高山国(台湾)や、ルソンのスペイン提督、ゴアのポルトガル総督に対して入貢を要求する施設を派遣したのはよく知られている。 1587年、ついに秀吉は「唐入り=明の征服計画」の一環として、朝鮮(李氏朝鮮)に対して日本軍の先導をつとめること、国王の上洛という無理難題を吹きかけた。朝鮮との仲立ちを命ぜられた対馬の大名宋氏や秀吉の家臣小西行長の判断で、秀吉の要求は「仮道入明」つまり、日本軍が朝鮮国内を通行することの許可要請にすりかえられた。しかし、これまでずっと明の臣下の立場に立っている朝鮮にとっては、承知できる要請ではない。朝鮮の拒否を理由に秀吉の侵略戦争が開始された。 なぜ、秀吉はこのような侵略をおこなったのだろうか。日明貿易を再開したいという経済的要求や、秀吉個人の支配慾・功名慾など、さまざまな理由があげられるが、ふりかえってみれば、本能寺の変から朝鮮侵略まではわずか10年である。たええまない軍事動員をかけて大名を統制し、検地・兵農分離を強行して民衆を支配し、商業と貿易を管理した独裁者となった秀吉の支配体制は、無理を重ねて成立したものだ。あたえようにもすでに国内に領土はなく、さらに締めつけを強めるためには何らかの理由づけが必要である。東アジアに一大帝国を築くという構想は、そうしたところから生まれたものともいえる。ポルトガル・スペインが大帝国を築いているようすは、情報として秀吉に伝わっていた。また、しだいにその力を低下させつつある明にかわり、東アジアと海上貿易をみずからが支配したかったという説もある。いずれにせよ、その結果は、ばく大な犠牲だったのだ。<侵略戦争はどのようにおこなわれたか>p47 1592年、15万8000人の日本軍は朝鮮に攻め入った。文禄の役のはじまりである。日本軍の進撃の速さはすさまじく、4月13日に釜山城を落とし、5月2日には首都の漢城を占領、北上して6月には平城を占拠した。朝鮮国王宣祖は、鴨緑江まで落ちのびて、明に救援を求めた。当時、朝鮮国内では官僚たちの派閥争いがはげしく、この非常事態に有効な対応ができなかった。また文治国家で平和に慣れ、訓練された兵力も軍備もわずかだった。戦国の乱世で鍛えられ、鉄砲という強力な武器をもった日本軍に抵抗すべくもなかったのである。連戦連勝の知らせに気をよくした秀吉は、京都にいたおいの秀次あてに一通の手紙を送った。明後年には天皇を北京に移し、自分は寧波に居を定めて天竺(インド)までも征服するというその文面を見たイエズス会宣教師ルイス・フロイスは、「妄想と空中楼閣」と、秀吉の空想的大帝国建設計画を手きびしく批判した。 朝鮮八道の占領後、日本軍は大名が各地域を分担して租税と兵糧のとりたてをおこなった。きびしいとりたてで民衆はさらに苦しんだ。また強制的に日本語を教え、日本の風俗への同化がくわだてられた地方もあった。1日分の文字数リミットをオーバーするのでこれまでとします。続きは左の「歴史にみる日本と韓国・朝鮮」に載せています。14名の執筆者全員が千葉県在籍(ほとんどが高校教諭)となっているが、よくひとつの県だけで、この本ができたものですね。文科省の検定済み歴史教科書だけでなく、この本なんかで歴史観を補完することも肝要でないかと思う次第です。アマゾンのブックレビューより おそらく、本書の記述を見ると「日本は韓国にいいことだってしたじゃないか 韓国が発展したのは日本のおかげだ、いいかげんにしろよ韓国」 と思っている人は頭から湯気が立つほど怒るかもしれません。 僕も「あやまれあやまれ」と言い続ける韓国や、いたずらに「反日教育」を する韓国には、いい加減愛想が尽きかけたこともあります。 だから、この本を「怒らない」と決めて再読してみました。 日本では初代総理大臣として、お札の顔として尊敬されている 伊藤博文や、福沢諭吉がなぜ、韓国では蛇蝎のように嫌われるのか。 その理由は、明治という帝国主義の社会でそれなりの韓国蔑視の発言をし、 総督府の長として弾圧の先頭で指揮をしているからなのです。 これは、好き嫌いは別にして史料として事実です。 目次や内容の一部がアマゾンの「なか見!検索」で見られます。
2011.06.14
コメント(0)
冷温停止の切り札ともいえる浄化施設がトラブル続出だそうです。この規模のプラントの試運転が5日でできるのだろうか?と思っていたが案の定、トラブル続出なんですね。6/13汚染水「切り札」浄化施設トラブル続出 稼動遅れ確実より 東京電力福島第一原子力発電所にたまり続けている高濃度の放射能汚染水の浄化処理施設は、当初計画していた本格稼働が15日から遅れることが確実になった。汚染水対策の「切り札」的な施設だが、準備中に水漏れや水が流れなくなる不具合が続発。さらに稼働が遅れれば、汚染水の新たな保管場所が必要になってくる。 同原発1~3号機では原子炉に注入した水が、タービン建屋地下などに漏れ出ていると見られている。大量の放射性物質を含むので、海へ流れ出ないよう一部を集中廃棄物処理施設などへ移送してきた。 浄化処理施設は東芝や仏アレバ、米キュリオンなどがつくったもので放射性物質の除去や淡水化などをする。本格稼働すれば1日1200トンの処理が可能。放射能レベルを1千~1万分の1程度に下げられる。処理後の水は仮設タンクに貯蔵するほか、原子炉に戻して循環させるシステムの構築もめざす。 浄化施設のトラブル続出は、わたし的には想定内なんだが・・・では何が良くなかったのか?・希望的な日程発表と、遅延する実績日程との落差が大きいな~。・試運転時のトラブルは想定内であり、試運転時調整という言い方もあるのにな~現状は試運転時調整が長引いているわけだが、事前発表していた5日間の日程を、余裕をとって10日間くらいにしておけば良かったと、元プラント従事者として思うわけです。思うに、東電の広報担当の発表は東電と政府の発表でもあるわけだけど、その発表がいまいちの感があるのです。要するに工程表の詰めが甘かったわけで、東電のとりまとめ能力に疑問符がつくわけですね。浄化施設はしかるべき補修で稼動にこぎつけるとは思うけど・・・・現場担当者には頑張ってほしいし、所定の性能を発揮してほしいものです。*************************************************************************<6/17追記>6/17汚染水浄化施設の漏水は安全弁故障 17日深夜にも稼働より 東京電力福島第一原子力発電所の放射能汚染水を浄化する施設で試験中に水が漏れた問題で、東電は17日、放射性セシウムを吸着させる装置の安全弁から漏れていたことを明らかにした。水圧が高まり、設計に従って壊れたとみられる。同日夕までに交換を終え、深夜には、高濃度の汚染水を処理する本格稼働に入りたいという。 処理施設は、セシウムを吸着する鉱物ゼオライトを入れた直径90センチ、高さ2.3メートルほどの円筒形の吸着装置を四つ直列につなぎ、汚染水を送り込んで浄化するしくみ。 水漏れは、16日午後7時すぎに警報が鳴って装置が自動停止してわかった。低濃度の汚染水を使った試験中に、最も上流側の装置内の水圧が高まって起きたという。圧力が高まると壊れて水を外に逃がす安全弁「ラプチャーディスク」が壊れていた。 東電は他の三つの吸着装置の安全弁も取り換えるという。17日未明からセシウム吸着装置を除いたその他の浄化設備の試運転を始めており、復旧した装置を加えた試験後、深夜には本格稼働に踏み切る方針。6/17放射能汚染水浄化装置が本格稼働 継続運転には不安もより 東京電力は17日夜、福島第一原子力発電所内に大量にたまった高濃度の放射能汚染水を浄化する装置の稼働を始めた。浄化した水を再び原子炉内に戻し、燃料を安定して冷却する「循環注水冷却」に欠かせない装置。だが、浄化装置は試運転で相次いでトラブルを起こしており、稼働後も運転が順調に続くかどうかは未知数だ。 東電は18日にも、循環注水冷却を始めるとしている。循環注水冷却が動き出せば、事故収束の工程表で示した「安定的な冷却」を7月中旬までに行うという目標を期限通り達成できるとしている。 今後、順調に稼働し続けるかは不透明だ。二つの装置は米キュリオン社、仏アレバ社が担当。ともに、塩分を含んだ汚染水を浄化した実績はない。異なる国の技術を急場で組み合わせたシステムだけに、トラブルを前提に臨む必要がある。 浄化装置が順調に稼働しないと、循環冷却の実現が危うくなるばかりか、タービン建屋などにたまった放射能汚染水が約11万トンあり、あふれ出す恐れがある。大雨などが降れば、予想より早く満杯になる可能性もある。 さらに、処理施設の稼働に伴い、高濃度の放射性物質を含んだ汚泥も発生する。年内いっぱい動かすと2千立方メートルもの汚泥が出る。当面は、タンクにためておくが、今のところ処理法は決まっていない。今後、処理法について検討する。*************************************************************************<6/19追記>6/19汚染水の浄化装置停止、あふれるまで猶予は10日より 東京電力福島第一原子力発電所で放射能汚染水の浄化処理装置がトラブルで停止した問題で、東電は18日、汚染水に汚泥など不純物が多く含まれていた可能性があると発表した。放射性物質を多く含む不純物が、吸着材に予想以上にくっついたとみられる。原因究明には数日かかるとみられる。あと10日ほどで再稼働しないと、高濃度汚染水の行き場がなくなり、あふれ出しかねない。 東電は、津波による海水や汚泥、機器から漏れた油などの不純物が汚染水に多く含まれていると推定する。高い放射線量の不純物が浄化処理装置に付着したかもしれないという。 汚染水をためられる場所は1号機タービン建屋内の復水器という機器と集中廃棄物処理施設内の建屋で計2200トン。しかし今の移送量のペースでは2日程度で満杯になる。あとは、タービン建屋にあふれないようにため続けるほかない。*************************************************************************<6/21追記>6/21浄化装置またトラブル…今度は除染装置 福島第一原発より東京電力は21日、福島第一原子力発電所にたまっている高濃度の放射能汚染水の浄化処理施設の試験中に除染装置のポンプが、停止したと発表した。調整して同日午後に試験を再開した。この浄化処理施設はトラブルが続いており、本格稼働した5時間後の18日未明にも、放射能の計測値が異常に上がって停止した。浄化水を原子炉に戻して燃料を冷やす「循環注水冷却」の開始がさらにずれ込む可能性がある。 汚染水はたまり続けており、満杯になるまであと8日ほどとみられている。 今回トラブルを起こしたのは、仏アレバ社製の除染装置。東電は、再稼働に向けて試験をするため、21日午前1時前、浄化処理施設のシステム全体を動かしていた。同日午前7時20分ごろ、除染装置の薬剤濃度を調節するために水を入れているポンプの流量が調整不足で増えすぎて停止したという。流量調節のめどが立ったため、午後に再開したという。*************************************************************************<6/22追記>4/22汚染水 仮設タンク保管検討より 東京電力は二十一日、福島第一原発の高濃度放射能汚染水を浄化するシステムが一時停止したことを受け、同日中に予定していた本格運転の再開を断念、試験運転を二、三日続けると発表した。処理した水を原子炉冷却に再利用する「循環冷却」の開始も早くて二十三日以降になる見込み。 原子炉建屋地下などにたまった汚染水は、来週半ばにも地表に漏れ出す恐れがある。これ以上の増加を抑えるため、東電は二十一日、1~3号機の原子炉注水量を減らした。汚染水の新たな移送先として、比較的低濃度の汚染水の保管を予定していた仮設タンクを使う検討を始めた。 低濃度の汚染水用のタンクは既に一万三千トン分を設置済み。放射線を遮る対策が不十分なため、東電は「非常手段」としている。実際に高濃度の汚染水を移送する際には、経済産業省原子力安全・保安院に報告し、安全性の評価を受ける必要がある。*************************************************************************<6/29追記>6/28漏水停止、同じ配管100カ所 循環冷却再開へ点検より 東京電力福島第一原子力発電所で高濃度の放射能汚染水を浄化しながら原子炉に戻す「循環注水冷却」が、水漏れのため開始後1時間半で停止した問題で、水漏れしたのと同種の配管の継ぎ手が100カ所あることがわかった。東電は28日、これらを総点検し、循環注水冷却を再開する。東電は27日の注水開始にあたって、配管の水漏れの有無をチェックしていなかった。 東電は27日午後4時20分から循環注水冷却を本格稼働させた。しかし、わずか1時間半後の午後5時55分、作業員が水の流量を調整中に、注水する水をためておく仮設貯蔵タンクの出口付近の配管の継ぎ手が抜けたのを見つけた。 東電は28日朝から、水漏れがあった配管を修理する一方、これと同じような継ぎ手の部分約100カ所の総点検を実施している。水漏れがないことを確認したうえで、注水を再開する予定。6/29循環冷却また水漏れ 注水停止し点検へ 福島第一原発より 東京電力は29日、福島第一原発で高濃度の放射能汚染水を浄化しながら原子炉に戻す「循環注水冷却」で新たな水漏れが見つかった、と発表した。量は少なく応急で止水したが、同日午前10時59分、注水を停止した。同日中に配管を交換し、再稼働する予定。循環注水冷却は27日に開始したが水漏れで停止。28日午後に再開したばかりだった。 29日午前8時10分ごろ、巡回中の作業員が塩ビ製のホース(1本全長30メートル、直径10センチ)の2カ所の小さな穴から水が漏れているのを発見した。東電では、漏れたのは処理済みの水で放射線量は低いとみている。 しかし、貯蔵タンクなどを結ぶ配管は総延長4キロと長く、水漏れが相次いでいる。27日夕の本格稼働からわずか1時間半後、配管がはずれて水が漏れて停止。修理して配管の接続部を点検して翌28日午後2時36分にポンプを再起動し、同3時55分に毎時14トンの水を送り出して本格的に再稼働したばかり。
2011.06.13
コメント(0)
この本の構成が「鋼鉄の公爵」の独白と天皇直轄の調査員の報告書が交互に繰り返すスタイルになっていて目をひくのです。「鋼鉄の公爵」と呼ばれたイギリス製機関車に意識を持たせることには、読んでみるとそんなに違和感はなくて、何でもありは作家の特権なんでしょう。志津中尉は「治安維持法改悪ニ関スル意見書」を部隊内に撒いたことにより、禁固六月の判決を受け、陸軍刑務所に収監されたのです。この事実を天皇が知るところとなり、中尉は秘密裏に刑務所から出されて・・・・張作霖爆殺疑惑について、天皇から調査を命じられることになるわけです。それにしても勅命を口頭で受けるというウソのようなシーンを描くのは(実際のところ創作なんですが)、これも作家の特権なんでしょう。この勅命により、つごう7回にわたって調査報告書が作成され、天皇のもとへ提出されるのです。また、北京から奉天までの鉄路を、御陵列車として25年ぶりにアイアン・デュークが牽引することになります。最終章では宦官の春児(チュンル)が登場し、住み慣れた紫禁城を志津中尉をともなって、案内するのです。春児が西太后の最後の言葉を伝えます。「いい、春児。中華という呼び名は、世界の中心という意味じゃないのよ。この地球のまんなかに咲く、大きな華。それが中華の国。人殺しの機械を作る文明など信じずに、たゆみなく、ゆっくりと、詩文を作り花を賞で、お茶を淹れおいしい料理をこしらえ、歌い、舞い踊ることが文化だと信じて疑わぬ、中華の華よ」このあたりから、最近NHKで観た「蒼穹の昴」ワールドが広がるわけですが・・・・清朝の栄華を語るのも良いが、爆殺疑惑の解明はどうなっておるのだ?と思わないでもないのです。ところで、中国で「蒼穹の昴」のTV放映が始まったそうですね。中国人の間では西太后への評価は低いようだが・・・・浅田次郎の描く西太后、そして田中裕子が演じる西太后を中華の民はどう評価するか?興味があるところです。(「おしん」が「西太后」に…『蒼穹の昴』田中裕子の演技に感動―中国によれば、彼女の演技は好評のようです)浅田次郎は、張作霖や西太后をとおして中華を描いているが(儒教うんぬんは抜きにして)・・・司馬遼太郎は儒教を、次のように述べています。ついでながら儒教というものは朱子や何やらの学者の間でこそ思想だが、しかし体制としては「礼教」という瑣末な形式主義にすぎず、人間を一原理でもって高手小手に縛りあげ、それによって人間の蛮性を抜き、統治しやすくする考え方である。これを文明といってもいい。あるいは文明というものはそういうものかもしれない。 (「韓のくに紀行」より)おっとっと どうも読み方が硬いようです。この本からは満州の風を感じるのが、正しい読み方のようです。「マンチュリアン・リポート」浅田次郎著、講談社、2010年刊アマゾンのブックレビューは手厳しいが、やや納得するのです。アマゾンのブックレビューより 昭和天皇が「不敬」軍人を呼び出し、「密偵」として派遣するあたりまでの下りは流石の筆致でしたが、あとが、、、。明かされる張作霖爆殺の背景も(機関車を擬人化しているのはちょっと面白いと思いましたが)意外性ゼロ、もうひとつのサプライズは、、、旧ナチスが「アーク」をおいかける「レイダース」を想起したのはわたしだけじゃないでしょう。 何よりも、(そういう意図のもとに書いていることはわかってはいても)張作霖の描写が薄っぺらすぎて、あっという間に読んだ後は何も残らない。 著者には申し訳ないが、このボリュームで独立した作品として世に出すのはそもそも無理があって、小説の中の1エピソードとして語るなら、という感じ。
2011.06.12
コメント(0)
汚染水処理施設の最新情報です。6/10汚染水処理施設で水漏れ 15日稼働予定に遅れもより 東京電力福島第一原発の事故で建屋内にたまり続けている放射能汚染水を処理する施設に水漏れがあることが10日、東電の調べでわかった。施設は15日の稼働に向け、水を通して動作確認をしているが、稼働が遅れる可能性もあるという。 水漏れが見つかったのは放射性物質の除去装置。水漏れがないかの確認試験中、弁1カ所、配管接続部十数カ所に水がにじんでいる場所を見つけたという。近く、修理する。 処理施設は、原子炉建屋やタービン建屋の放射能汚染水を減らす切り札として15日の稼働を目指している。遅れると高濃度の放射能汚染水をためておく場所がなくなる可能性もある。 この程度のトラブルは、試運転では想定内でしょう。だいたい、冷温停止の切り札のような施設を5日間の試運転で稼動させるという工程がかなり過酷ではないかと思っていたので・・・・特に驚きはしないけど。アレバ社にしてみれば、ここでへたをすれば、世界の原発を見る目がきつくなるので・・・かなり危機感を持って事にあたっているはずである。アレバと日本人の担当者の奮闘に期待しています。6/11汚染水処理施設システムに不具合 福島第一原発より 東京電力は11日、福島第一原発にたまっている高濃度の放射能汚染水の処理施設でコンピュータープログラムにミスが見つかったと発表した。施設で配管の水漏れも見つかっていたが修理しているという。処理施設は15日の本格稼働を予定していたが、ずれ込むのは確実だという。 東電によると、不具合があったのは24台あるポンプの作動、停止を操作するコンピュータープログラム。12日未明までに修正する。 さらに、9日に十数カ所で見つかった放射能除去装置の配管のつなぎ目の水漏れを防ぐ樹脂を塗る作業をしている。東電では当初より少し遅れて16日か17日の本格稼働を目指すとしている。東電原子力・立地本部の松本純一本部長代理は「稼働が遅れて汚染水の処理に困る状態にはならないと考えている」という。 16日か17日の本格稼働とのこと・・・・がんばってほしいです。
2011.06.11
コメント(0)
福島原発では、汚染水の浄化装置の試運転が今日から始まり、15日から稼働させる予定のようですね。6/10汚染水処理に伴う放射性廃棄物、2千立方メートル見通しより 東京電力は9日、福島第一原発で増え続けている高濃度の放射能汚染水を浄化処理した残りかすとして生じる放射性廃棄物が、2千立方メートルになるとの見通しを明らかにした。25メートルプールで4~5杯分の量にあたる。 同原発では汚染水の浄化装置の試運転を10日にも始め、15日から稼働させる予定だが、放射性廃棄物の処理法は決まっていない。 装置では、セシウムやストロンチウム、ヨウ素などの放射性物質を薬剤で沈殿させたり、吸着剤(ゼオライト)で取り除いたりする。この過程で、放射性物質の沈殿物が放射性廃棄物として生じる。放射能の濃さは高濃度汚染水の100倍以上になる見込みで、遠隔操作で扱うことになる。 沈殿物は当面は集中廃棄物処理施設の地下にある貯留槽や、新たに設置するタンクで保管する。この2千立方メートルとは別に、使い終えた吸着剤も生じ、容器(直径90センチ、高さ2.3メートル)ごと取り出し保管する。容器表面が毎時4ミリシーベルトになるまで吸着すると交換する計画で、当初は1日あたり2~4体、年間400体が出る見込みだ。 アレバ製浄化装置の写真、処理の仕組みがこの記事で見られます。6/7放射能汚染水、あふれ回避急ぐ 浄化装置近く完成より 東京電力福島第一原子力発電所でたまり続けている放射能汚染水の浄化装置の設置作業が急ピッチで進んでいる。15日ごろの完成を目指す。浄化した水をタンクに保存し、炉の冷却に再利用することで、原発施設の地下などで、汚染水があふれ出すのを回避できる見通しだ。 第一原発にある高濃度の放射能汚染水は、5月末の時点で10万5100トン。このままでは、汚染水があふれるのは時間の問題だ。 このため、タービン建屋などからポンプで汚染水を吸い出し、浄化装置で汚染濃度を下げて、炉の冷却に再利用する計画だ。浄化装置はいずれ、工程表で示された「循環注水冷却」の中心的な役割も担う。 これらの装置は、地下に汚染水約1万3千トンをためた集中廃棄物処理施設の周辺に建設中で、完成後、年末までに25万トンを浄化する計画。汚染水の処理費に20兆円かかるとの報道もあったが、このシステムだと、建設費と25万トン分の運転費を合わせた処理費は計531億円で、1リットルあたり210円になる見込み。 これからの冷温停止にむけて、このアレバ製浄化装置の能力に賭けるところ大であるし、また試運転は大丈夫だろうか?と不安も大きいのです。というのは、フランス・アレバ40兆円によれば、6ヶ所村の再処理施設ではアレバのブラックボックスでかなりてこずったり、ぼられたりもしたからである。週刊誌を読めば、アレバ製より日本製の浄化装置や吸着材を採用すべきだという意見もあるが・・・放射性沈殿物のハンドリングなどを含めたトータルな技術では、アレバ社のほうが1日の長があるのではないかと思うのです。まさかアレバ社が、今回の地球規模の原発事故の収束にあたって技術を出し惜しむとは思わないが・・・原子力技術は軍事機密というスタンスでブラックボックスとしたり、ラアーグの再処理施設では海水中に放射性廃棄物を流しているという悪いうわさもあるアレバ社だけに、信じきるのはちょっと怖い気がするのです。4/25高汚染水処理、セシウム吸着させ沈殿 契約の仏企業提案
2011.06.10
コメント(0)
儒教は体制としては「礼教」という瑣末な形式主義にすぎず、人間を一原理でもって高手小手に縛りあげ、それによって人間の蛮性を抜き、統治しやすくする考え方であると説いているとおり・・・・司馬さんは儒教がかなりお嫌いな様子である。 中華嫌いの大使がしつこく「韓のくに紀行」を紹介するのは(これで3回目です)、司馬さんの孔子批判に惹かれるせいでもある。「街道をゆく2」司馬遼太郎著、朝日文庫、1978年刊<沙耶可の降伏>p131~133 『慕夏堂記』の主人公沙耶可という若々しい日本武士が、釜山上陸早々にして降伏したわけだが、その理由はなんだろう。かれは敵にむかって一矢も放っていない。「われ、中華を慕うこと久し」 というのが『慕夏堂記』の筆者が説明する降伏の理由なのである。しかし本当なのかどうか。いったい当時の日本武士が「中華の風」という文明を慕うほどに儒教的教養に富んでいたのかどうか。 この一点にかぎってごく通念的にいえば、『慕夏堂記』という朝鮮の漢文がいう理由はどうもうろんくさく思える。うろんくさいといってもこの筆者(沙耶可の子孫)その人に罪はない。大体、唐宋以後の漢文というのは多分に文飾の作業で、極端にいえば文飾そのものであることが多く、場合によっては漢文を書くという作業そのものが、あたまからウソをつく作業であるということもいえる。 話題を、わずかに転ずる。当時の「倭」の習俗についてである。このことについてはさきに多少ふれた。つまり、中国体制や朝鮮の李朝体制の原理である儒教(礼教)のそとにいる民族であることをのべた。 江戸っ子の気っぷを「五月の鯉の吹流し」などといわれるが、中世末期の倭というのはじつにそのようなものであった。褌一本に太刀をふりまわして駆けまわる姿はどうみても儒教的ではない。ついでながら儒教というものは朱子や何やらの学者の間でこそ思想だが、しかし体制としては「礼教」という瑣末な形式主義にすぎず、人間を一原理でもって高手小手に縛りあげ、それによって人間の蛮性を抜き、統治しやすくする考え方である。これを文明といってもいい。あるいは文明というものはそういうものかもしれない。 たとえば新中国にあってさえ、このことに変わりはない。毛沢東思想によって生活のすみずみまで律してゆくという中国のふしぎさを、なんかかんちがいしてやたらに悪口を言ったり、逆にむやみに感動したりする現代倭人がいるが、それが中国文明というものの当然のありかたなのである。日本には文化――たとえば平安文化や室町文化、もしくは元禄文化――がきらびやかに存在したが、かって文明を興すことがなかった。そのため「倭」というわれわれにはどうも「文明」ということが体質的によくわからないぐあいにできている。これは決して欠点ではなく、文明というのは元来荷厄介な面もあり、そのことは中国の儒教文明の末期をみても、あるいはインド文明と回教文明にこんにちなお押しひしがれているインド民族をみてもわかる。 その点からいえば、倭は元来、素っ裸の褌一本なのである。そのときどきによって、インドから法服を借りたり、中国から宮廷の衣冠束帯を借りたり、明治後は西洋から洋服を借りたりしてきた。たとえばヒッピーという新しい秩序と価値観という文明が世界の一角におこると、さっそく新宿にヒッピー・スタイルの青年があらわれるのである。それが倭人というもので、文化は興すが、決してみずから文明というこのおそろしいものを興そうとはしない。韓国出張で、食卓でのタバコプカプカを当たり前としてすごしてきたが・・・・長い仕事を終え帰国前になって、目上の人の前でタバコを吸わないという儒教の作法に気づいた大使である。(私には、その非礼を諭してくれなかったもので)儒教へと飼いならしてゆく調教師として両班がいたと司馬さんが説いています。<両班>p158~160 ここで考えねばならないことは、儒教は中国大陸の漢民族にとっては遠い文字以前の上古から血液化された当然の原理であったに相違ないということである。孔子が出てきてそれを思想化し模範化したが、もともと儒教的原理そのものは漢民族の古代社会に原型として存在したに相違ない。このため漢民族にとってはこの原理なり体制なり作法なりは無理のないものであったにちがいないが、半島の朝鮮民族は、漢民族とは言語も人種も歴史もまったくちがっている民族なのである。李朝500年の凄さは、その民族を他民族の原理を導入することによって飼いならしてしまったところにある。朝鮮人のもつ観念先行癖―事実認識の冷静さよりも観念で昂揚すること―やそれがための空論好きという傾向は、民族の固有な性格などというようなものでなく、李朝500年の歴史がこの民族に対してほどこした大無理というものを考えなければ理解しがたいようにおもえる。 そのゆがめ役をつとめたのが、在郷の両班階級であるように思える。儒教原理の本場である中国では、むろんこういう特権階級はなかった。その必要もなかった。李朝にあっては両班階級の出身者でなければ大官への関門である科挙の試験をうける資格がなかったが、中国では異民族支配のほんの一時期はのぞき、たれでも受験することができた。 が、李朝朝鮮では、両班を必要とした。人民を儒教へ儒教へと飼いならしてゆく調教師として、在郷の両班は必要であったのだろう。その意味では日本の武士階級とはまったくちがうものである。 ともあれ、両班は大ざっぱにいって村落貴族であるとおもえばいい。 で、沙耶可の子孫で構成されるこの金性七十戸の村はすべての家が両班なのである。 沙耶可の功績によるものといっていい。 中華の文にあこがれた沙耶可は、『慕夏堂文集』によれば、しかしながら武によって功をたて、とりわけ当時の朝鮮の武器を変革させることに功があった。かれは朝鮮の武器が倭人のそれに劣ることを官に説き、とくに小銃をもたないことの不利を説いた。当時中国や朝鮮ではフランキーとよばれる青銅製の大砲はあったが、小銃はなかった。日本の種子島銃はその製法といい精巧さといい、当時おそらく世界一であったろう。沙耶可は官のゆるしをえて、その製法から操法、さらには火薬のつくりかたまでおしえ、侵入軍にそなえさせた。 『慕夏堂文集』には、そういう沙耶可の功が強調されている。むろんその功は事実であったろう。しかし『慕夏堂文集』そのものは沙耶可六世の孫の金漢乍(示す編に乍)の偽作―事柄は事実であっても―だったにちがいなく、そのことはすでにふれた。ところでわざわざ六世の孫の金漢乍大人が、これはわが先祖沙耶可の手記でござるとして『慕夏堂文集』を偽作せざるをえなかったのは、おそらく趣味道楽ではあるまい。察するにこの大人は、 ―全村、両班階級に列せられたい。 という運動をソウルに対しておこなったのではあるまいか。その請願の裏付けとしてこの「慕夏堂文集」を書きおろし、「おそれながら」と、その筋の大官のもとにもちこんだにちがいない。司馬さんは日本文化をやや自虐的に、過小に述べているが、ハンチントンのように一文明として数えてくれる人もいるわけで・・・・ヒッピーが文明なら、萌えも文明である。(ちょっと言いすぎか)中国文明ではパブリックという概念が4000年間も育っていないことに苛立つが・・・「それが中国文明というものの当然なありかたなのである」と司馬さんのように達観することが、心穏やかに暮らす術かもしれないですね。
2011.06.10
コメント(0)
人民解放軍の増強などあり、どう転ぶか不透明な中国であるが、中国の12次5ヵ年計画によれば・・・中国は「環境に優しい資源節約型社会」構築に踏み出すんだそうです。昨今は黄砂も激しくなり春の風物詩などと言っていられないが、この12次5ヵ年計画で黄砂が収まるならいいじゃん♪と思わないでもない。だけど、拝金という行動原理を持つ民を・・・・中国共産党はどう舵取りするんでしょうね?ENECO-5月号、フォーカス「環境に優しい資源節約型社会構築に踏み出す中国」窪田秀雄、日本工業新聞社<省エネ・排出削減技術の普及に注力>p70~73 中国は、重点産業の構造調整にも取り組む方針だ。設備製造業では、基礎的な製造工程や材料、部品の研究開発とシステム一体化の水準を引き上げるとともに、重大技術の工場設備一式の研究開発と産業化を強力に推し進めるとしている。 具体的には、鋳造、鍛造、溶接、熱処理、表面処理などの基礎製造工程の専業化を推進し、軸受やギヤ、金型、プレス機、自動制御などの基礎部品・技術の水準を引き上げる必要性にも言及している。(中略) 鉄鋼部門では、高速鉄道向けの鋼板や高級無方向性珪素鋼板、高磁気誘導方向性珪素鋼板、高強度機械用鋼板などを重点的に開発する。高炉を用いない製鉄やクリーンな鉄鋼生産、資源総合利用などの技術開発を支持するとしているほか、エネルギー管理制御システム技術と高温高圧のコークス乾式消火設備(CDQ)、余熱総合利用、焼結煙道ガス脱硫などの省エネ・排出削減技術を重点的に普及させる方針も示している。<7分野の戦略的新興産業の育成・発展を打ち出す> 中国政府は、1.省エネ・環境保護 2.新世代情報技術 3.バイオ 4.高付加価値設備製造 5.新エネルギー 6.新材料 7.新エネルギー自動車(電気自動車など)-を戦略的新興産業と位置付けて積極的に育成・発展させる考えだ。 国務院は昨年10年10日、「戦略的新興産業の育成・発展に関する国務院の決定」を公表し、省エネ・環境保護、新世代情報技術、バイオ、高付加価値設備製造を「支柱産業」また新エネルギー、新材料、新エネルギー自動車を「先導産業」とする考えを明らかにしている。 2.新世代情報技術産業では、ブロードバンドネットワーク、ユビキタスネットワークのインフラ構築を加速するとともに、新世代移動通信、次世代インターネット機関設備・インテリジェント端末の研究開発を加速する。また、電気通信、インターネット、放送の統合推進を加速し、IOT(Internet of Things)とクラウドコンピューティングの研究開発・実証応用を推進する。 5.新エネルギー産業では、次世代原子力技術と先進原子炉の研究開発を積極的に推進し、原子力産業を発展させる。また、太陽熱利用技術の推進・応用を加速し、太陽光・太陽熱発電市場を開拓する。風力発電技術の水準を引き上げ、風力発電の大規模発展を推進する。新エネルギーの発展と適合した智能電網(スマートグリッド)および運営システムの構築を加速する。地域の事情を踏まえたバイオマスエネルギーの開発、利用も盛り込まれた。 7.新エネルギー自動車産業では、動力電池や駆動モーター、電子制御分野の中核技術のブレークスルーを達成し、プラグインハイブリッド車、純電気自動車の応用・普及ならびに産業化を推進する。燃料電池車に関する先端技術の研究開発を展開し、高効率で低排出・省エネ型の自動車の発展を強力に進める考えも明らかにされた。 <クリーンなエネルギー産業体系の構築へ> 第12次5ヵ年計画には、エネルギーの生産と利用方式の変革も推進される。(中略) まず、安全で効率の高い炭鉱を開発し、石炭資源の整理・統合ならびに石炭産業を再編し大型石炭企業集団を発展させる方針が示された。石炭由来の合成天然ガスと液体燃料ならびに合成燃料と発電を組み合わせたシステムの研究開発・実証を整然と進めると共に、産業化を着実に進めるとしている。 石油と天然ガス資源の探査・開発を拡大し、国内の石油生産量を安定させるとともに天然ガスの生産量を飛躍的に拡大する。さらに、炭層ガスやシェールガスなどの非在来型資源の開発・利用することも盛り込まれた。 次に、高効率でクリーンな大型石炭発電所を開発すると同時に、大・中都市と工業パークに熱電併給ユニットを優先的に配置する。(中略) 原子力発電については、安全確保を前提として効率よく開発するとの方針を示した。第12次5ヵ年計画では、4000万KWの原子力発電所を着工する。風力発電開発のネックとなっている送電網の建設とも積極的に取り組む。このほか、太陽エネルギーやバイオエネルギー、地熱などの新エネルギーも積極的に開発する。再生可能エネルギーのうち風力発電については、陸地で6ヶ所、沿海部と洋上で2ヶ所、大型の風力発電所を建設するなどして、合計で7000万KWを建設する。また、チベット、内蒙古、甘粛、寧夏、青海、新疆、雲南を重点地域として万KW以上の太陽光発電所を建設する計画だ。<GDPあたりのCO2排出量を15年までに17%削減へ> 前回の第11次5ヵ年計画では、主要汚染物質の排出抑制については、二酸化硫黄と化学的酸素要求量に関して目標が定められていたが、今回の第12次5ヵ年計画では、アンモニア性窒素と窒素酸化物が新たに加わったほか、単位GDPあたりの二酸化炭素(CO2)排出量を15年までに10年比で17%削減するとの拘束力を持った目標が新たに掲げられた。 こうした目標達成の一環として、飲料水の水源地の保護制度を厳格に実施し、集中式の飲用水源地の水質基準到達度を引き上げる。製紙やプリント、化学工業、皮革、大規模な畜産・養殖などの産業汚染管理を強化するとともに、重点流域・区域の水汚染防止を継続し、重点湖沼や河川の環境保護・生態管理ならびに地下水汚染の防止が強化される。 火力発電所や鉄鋼、非鉄金属、化学工業、建材部門での二酸化硫黄ならびに窒素酸化物の処理を推進し、脱硫や脱硝設備の安定運転を強化することも明記された。自動車の排ガス処理にも力を入れる。このほか、悪臭汚染物の管理や粒子状物質の汚染防止も強化される。(中略) 環境保護関係の法律・基準体系の健全化に加えて、環境保護にかかわる科学技術・経済政策を整備し、環境モニタリングを強化して予報や緊急時の能力を引き上げる方針も示された。また、環境保護分野でも目標責任制を厳格に実施するとしており、総量規制指標に基づいた考査を強化し、重大な環境事件や汚染事故に対する責任追及制度を確立するとしている。 世界的な規模での気候変動への対応策としては、国家戦略を策定するとともに、気候変動の科学的研究や観測ならびに影響評価を強化する考えを明らかにした。重点産業の構造調整に取り組む方針とのこと、また、最先端の技術にも強い執着を見せる中国であるが、はたして地球に優しい国となりうるか?次のようなお国柄なので、中国共産党の舵取りを注視するしかないようです。日本技術ベースの中国高速鉄道、海外展開「問題ない」66%より 中国人を対象にした「高速鉄道」に関する調査で、「中国が、日本の新幹線やドイツなどの技術を基礎に、技術革新をし、中国独自の製品として諸外国に売り込もうとしていることについてどう思いますか」と聞いたところ、回答者の90.3%が「問題ない」と回答した。調査はサーチナ総合研究所(上海サーチナ)が2011年5月に実施。「高速鉄道」は日本の新幹線に相当し、時速200キロ以上で走行する鉄道を指す。◆「中国が、日本の新幹線やドイツなどの技術を基礎に、技術革新をし、中国独自の製品として諸外国に売り込もうとしていることについてどう思いますか」との質問に対する回答状況は以下の通り。(単一回答)(1)問題ない。他国の技術の基礎の上に独自に技術革新しているから、盗用ではない……66.2%(2)問題ない。中国の列車はそもそもすべて自国で独自開発したから、盗用ではない……17.1%(3)それ以外の理由で、問題がない……7%(4)問題ある。自国で技術革新をしているとはいえ、核心部分は海外の技術を使用しているから、盗用に当たる……5.6%(5)問題ある。中国の鉄道はすべて海外の技術を基礎にしたものだから、盗用に当たる……2.5%(6)それ以外の理由で、問題があると思う……1.5% 中国では、日本から供与された新幹線「はやて」の技術を応用し、短期間のうちにさらに速い高速鉄道を開発。「中国が技術革新を行い、独自に開発した」と主張した上で、米国やアジア各国への売り込み計画を進めている。だが、技術供与した川崎重工によると、供与した技術を応用したものは中国国外へ輸出できない取り決めがあるという。 つまり、中国側の主張としては、「技術を応用した範囲」などではなく、「まったく別のものを作り上げた」ということ。パクリではなく「外国技術をベースに、まったく新しいものを作った」というわけだ。まったく、知財に対する独特な感覚があり、これもチャイナリスクのひとつかもしれないが・・・孔子が聞けば嘆くような調査結果ですね。そのあたりが中華たる由縁でしょうか?内モンゴルの最新情報です。「内モンゴルは臨戦態勢」と内部通達 逮捕者およそ100人
2011.06.09
コメント(0)
昨日に続き司馬さんの「韓のくに紀行」です。 明治維新の頃の儒教認識を司馬さんは、こう説いています。「街道をゆく2」司馬遼太郎著、朝日文庫、1978年刊<釜山にて>p37~40 徳川期を通じ、幕府は対韓外交を対馬藩主宗家に一任していたが、慶応4(1868)年正月、徳川家が鳥羽伏見ノ戦で一敗し、新政府の権威がかぼそいながら成立したとき、新政権は従前どおり対馬藩に対し、「対韓外交を委任する」 と、達示をした。『太政官日誌』3月22日の項に出ている。つづいてこの年の9月、戊辰戦争のめどもついたので、韓国に対し明治維新成立のあいさつ状を送ることを考え対馬藩をしてそのメッセンジャーたらしめた。 その文章は、新政府で書いた。直訳すると、「わが国は皇祖連綿として大政を総攬して二千有余年になる。しかるに、中世以降、政権が武将に任ぜられるようになり、外交のことも武将にまかせられていた。しかしこのたび幕府を廃し、王政にあらためた。よろしく懇歓をむすび、万世にかわることのない友誼をむすびたい。これはわが皇上の意思である」 この程度のあいさつ状である。ところがこれをみてソウルの政府が大いに怒った。韓国人というのは怒りっぽい民族だが、それにしてもこのあいさつ状を、こんにちの韓国人や日本人が読んで、どこをどう怒ったかは、想像もつかないにちがいない。「こんな国書は、旧例とちがう。様式も文章も用語もそれに印もちがう。受けつけられない」 と、ソウルから釜山へ送りかえしてしまった。日韓外交の場所は、釜山の草梁にある対馬藩の「倭館」である。 ソウルの政府が腹を立てたのは、この文章に、皇祖、皇上という皇の文字がしきりに使われていたことである。「皇」 というのは、皇帝をさす。韓国からいえば皇帝というのはこの宇宙にただ一人しかいないのである。中国の皇帝であった。韓国は、李王家というように、一階級下の王である。当時の韓国は西洋風な解釈でいえば独立国ではあるが、しかしながら東洋風な見方でいえば、中国をもって「宗主国」としてあおいでいる。くどいようだが、西洋風の属国ではなく、東洋風に解釈すれば、これは多分に法律語でなく、多分に文明語で、つまりは、進んで中国文明の傘下に入ることによって、中国皇帝を宗主として立てる、ということである。このため、ソウルに遣っている李王家の宮殿に行っても、模様として、おなじ想像上の動物である鳳凰はあっても、竜はいない。 竜はあくまでも中国皇帝を象徴するもので、一階級下の王身分の者が使用すべきものではなく、筆者は念のためにこの韓国旅行中、ソウルの旧宮殿を拝観したとき、やはり鳳凰はあっても竜模様はなかった。李王家が、義(ルール)として遠慮したものである。中国に隷属していたということではなく、こういうことをまもることが礼(秩序的規範)であり、義であり、であればこそ、ある時代、中国人がある時代の朝鮮をさして、「東方礼儀の国」と、大いに讃えたのである。このことはくりかえしていうが、西洋風の本国・属国という関係よりも、たとえていえば長幼の序といったほうに近い。韓国の李王朝はみずから王とし、決して「皇帝」を僭称するような礼儀しらずなことはしなかった。ところが、日本はむかしから、天皇という。皇を用いる。このことは中国のいつの時だったか、たしかそれを問題にして論じた文章があったはずだが、筆者はいまそれをさがし出す自信がない。その文章はたしか、 ―物知らずにはこまったものだ。 という結論になっていた。わざわざ抗議をするというほど大人げないこともできないので、中国側は、 ―倭というのは礼も義もない。 と、ばかにしてしまえばそれですむことだったのである。 しかしながら、日本は朝鮮と歴史地理の事情がまったく異なっている。日本の場合は朝鮮のように中国文明をジカに受けたのではなく、書物を輸入することによって知った。儒教を書物としてとり入れただけで、冠婚葬祭その他の日常習慣や社会体制としてとり入れたのではない。例外として大化改新のときににわかに思い立って中国体制の国をつくろうとし、しかも優等生的模倣にみごとに失敗し、結局は朝鮮のように中国体制をとらず、日本の勝手体制のままにさまざまの変化をみた。このため、日本はよく言えば小中華であり、中国や朝鮮からみれば非文明の国ということになる。礼教の優等生的模倣にみごとに失敗した日本、そして模範生であった朝鮮との違いが歴史の綾をなすわけで、罪作りは儒教だったのか?それとも非礼な日本であったか?・・・・・と、最近とみに孔子批判に振れる大使である(笑)「形式主義こそ国家と人間の秩序にもっとも大切なものだというのが、儒教的な思考法である。礼とはつまり形式のことで、この形式がいかに煩瑣であれ、これを命がけでまもってこそ人間と社会が成立するというのが、儒教の祖とされる孔子の考え方であった」<倭ということ>p124~128 儒教というのは、日本にあっては紙で木版印刷された書物というかたちをとりつづけてきたが、中国ではもっとおそるべきものなのである。漢以来、統治の原理であり、多分に体制そのものであり、これを統治されるものからいえば人間関係の唯一の原則で、人間であるかぎりこれ以外の習俗はない。李朝500年間、中国的儒教体制の模範生であった朝鮮は、中国の歴代王朝から、「東方礼儀ノ国」 とほめられつづけてきたように、習俗として礼教を重んじつづけてきた。むろんそれは形式主義であってもかまわない。むしろ形式主義こそ国家と人間の秩序にもっとも大切なものだというのが、儒教的な思考法である。礼とはつまり形式のことで、この形式がいかに煩瑣であれ、これを命がけでまもってこそ人間と社会が成立するというのが、儒教の祖とされる孔子の考え方であった。 逆にいえば儒教国家というものは自然のままの人間というものをみとめない。人間は秩序原理(礼)でもって飼い馴らしてはじめて人間になる。そうなっている。 たとえば野馬は馬ではなく、それをとらえてきて一室のかこいのなかに入れ、非自然的な調教法(礼)で順化させてはじめて馬になる。人間も同じだ、という思想である。 一原理によってぼう大な数の人間を飼い馴らすというのが中国古来の国家のしごとであり、専制皇帝もまたこの飼い馴らしから自由ではなく、みずから礼教の範をたれるというのが人君たるものの理想とされている。このことは日本人にはわかりにくいが、キリスト教という絶対的な原理でもって、本来自然物にすぎないと規定された人間を、国家的に飼い馴らしてきた歴史をもつ西洋人ならばよく理解できるのにちがいない。ただ西洋の場合は神父と官僚は職能として分離されているが、中国の官僚は儒教の牧師であるとともに行政者であるという徹底した点でわずかにちがっていた。 この点、こういう歴史的経験をもたなかった日本人にはわからない。毛沢東による新中国も儒教原理を他の原理にかえただけで、「人間は国家が一原理をもって順化しつくしてはじめて社会的存在としての人間になりうる」という基礎的な体質をすこしもかえていないのである。 これを、そういう歴史をもたなかった日本人が笑うべきではない。むしろそのような人間社会の伝統をもちつづけた民族(中国人だけでなくロシア人やヨーロッパ人)にとって、文明とはそういうものであり、日本人社会などは文明の概念にあてはまらないのではないか。要するに倭人という印象は、「あてはまらないやつ」 という感じとして、日本の外界には基本的にあったし、いまもあるのではないか。 朝鮮は、李朝500年だけでなく、新羅の後期や高麗朝あたりからすでに、「東方礼儀ノ国」 であった。つまり中国的原理(礼教)をもって国家・社会・家庭体制の原理としてきた、という意味であり、中国をもって儒教的宗主国としてきた。 つまり国家として礼教の秩序をもっているから同原理の中国としては、「朝鮮は安全である」 という感じだったにちがいない。宗主国である中国への礼をみだす(たとえば侵略)などということは朝鮮はしない。朝鮮もまた、儒教原理をもって中国を本家として立てているかぎり「中国が攻めてくることはない」という安心感があった。防衛の難しい半島国家としてはこれが最良の生き方であったろう。そして礼教という絶対原理(とくに李朝)で国内を順化しておくと内乱のおきる可能性がすくなく、これほどいいことはなかった。 13世紀末の高麗朝を舞台とする井上靖氏の『風濤』を読んでもわかるように、高麗人にとっての恐怖は儒教的原理を持たない異民族が中国大陸の主人になることだった。 元帝国の出現である。 わずか百万そこそこのモンゴル人が、数億の漢民族を武力で征服し、礼教に拠らずして支配しはじめたのである。礼教の原理によらず、ごく生物的な膨張への本能でもって元帝国は旋回しはじめるという歴史的異変が現出した。元帝国は高麗朝を武力でおどしはじめた。高麗の物産を収奪し、あげくのはては、 日本を攻めよ、その費用を分担せよ。 と、恐喝した。高麗人は戦慄し、ほろんだ漢民族の南宗を、悲鳴をあげたくなるほどの思いでなつかしんだ。 このあたりが、朝鮮人のむずかしさである。モンゴル人は元来、朝鮮人とおなじくウラル・アルタイ語族に属する人種で、朝鮮人にとってはいわば血縁民族といっていい。人種的には漢民族のほうが言語までまるでちがうのだが、しかしそれでも儒教という「原理」を一つにするということで、考え方も行動のしかたもすべて理解ができ、たがいに無害の状態で存在しあうことができるのだが、モンゴル人には儒教がなく、要するに儒教的にいえばけものに近い人間(夷テキ)なのである。結局、高麗朝はこの夷テキの帝国におどされてともどもに日本の博多湾まで攻めこんできて、「風濤」にやられてしりぞくのである。 元は百年足らずでほろび、漢民族の明朝になるが、ところが17世紀前半になって、またまた異民族の騎馬兵団が中国大陸を襲い、清帝国が成立した。この清をおこすのはモンゴル人以上に人種的に朝鮮人に近い満州の女真民族なのだが、それでも当時の朝鮮人は、儒教原理の前朝をなつかしみ、似た民族がたてた新帝国のほうを嫌悪し、恐怖した。ところが清朝は異民族ながら徹底した儒教原理をもって中国を治めはじめたために朝鮮人は大いに安堵し、これを以前どおり宗主国とした。 以上によって、朝鮮人にとって「文明」という問題は国家の存亡を賭けるべきものと考えられてきたことがわかるであろう。つまりはクルリと裸になるというような非礼教的行為が、朝鮮人にとってはありうることではなく、さらにはそういう他人をもゆるせず、むろん平気でハダカになるような人種を警戒し、ときに戦慄する。
2011.06.08
コメント(0)

「街道をゆく」シリーズ2巻の「韓のくに紀行」をときどき開いて読むが、読むたびに新しいのです。(つまり、前回はよく理解できていなかったことになるが)司馬さんの紀行文にはその土地の人に対する愛情(はたまた哀情)あふれていて、その語り口には思わず引き込まれるのです。いわゆる司馬史観がつきまとう歴史小説では賛否分かれたりするが・・・・刊行数も多い紀行文の方は、歴史学者の追求もゆるいのか司馬史観丸出しでなかなかのものです。「街道をゆく2」司馬遼太郎著、朝日文庫、1978年刊<百済仏>p220~223 東アジアにおける朝鮮の地理的環境というのは、それ自体が悲痛というべきであろう。地理そのものが政治であるというのは、朝鮮が負いつづける業以上のものかもしれない。 つまり朝鮮にとって、政治的地震の震源はつねに中国にある。中国大陸に強大な統一帝国がうまれると朝鮮の独立はおびやかされ、中国大陸が四分五裂すると、朝鮮は息をつく。朝鮮半島に、政治的には劇的な、そして文化的にはきらびやかな「三国鼎立時代」が現出するにいたるのは、中国が統一されていなかったからであった。ところがこの三国時代が夢のように消えて百済もほろぶのは、中国大陸に大唐帝国という空前の統一王朝が誕生したためである。この中国統一の余波は、大津波のように日本にも襲いかかってくるのだが、そのことは後で触れる。 中国は漢帝国がほろんだあと、隋・唐の大統一がおこなわれるまで乱世がつづいたが、とくに五世紀から六世紀にかけての150年間は多くの小ブロックが乱立した。揚子江を境界としてこれを南北朝時代ともいわれる。そのうち南朝にのみかぎっていえば、ここでは六つの王朝が交代したから六朝時代ともいわれた。百済は北朝にたよらず、もっぱら揚子江以南の南朝にたより、その文化的影響を濃厚にうけた。 その百済の影響を飛鳥期の日本がうけるため―つまりは江南の六朝の文化がはるか極東の島に飛び渡って―飛鳥文化の華をひらくというふしぎな作用をもたらすのである。 百済が、南朝(六朝)の文化を模倣したことが、この国の性格と運命を決定したといえるであろう。南朝は六代のどの王朝の貴族もはなはだしく仏教を溺愛した。仏寺の勢力はほとんど国家と拮抗し、貴族たちは国王を畏れるよりも仏罰をおそれ、極端にいえば仏事にほとんど淫したといえるほどの態度でおぼれた。この百済にとってはるかな揚子江以南の文化が、そのまま百済の体質になった。百済が、それよりも野蛮な新羅にほろぼされるのは、国家の独立よりも思想や芸術に溺愛するという江南の爛熟しきった文明体質をそのまま受け容れてしまったことにもよるし、六朝のほろびとともに百済はほろぶという不思議な結果をまねくのである。「どうです、この頬」 と、この夕、扶余のわが李夕湖先生は私の手首をとり、扶余国立博物館分館の前の石仏の頬を、私に撫でさせたのである。石肌は、当然ながら冷たかった。しかし先生は、「温かいでしょう?」 と私に共感を強要し、さらに「女人の肌を撫でているようではありませんか。いや、女性以上のものです」といった。 たしかに百済仏は、淫楽というものを透明にしきってなにごとかへ昇華させたような魅力がある。さらに扶余にのこっている百済仏の特徴はことごとく口もとにかすかな微笑をたたえていることであり、大和法隆寺の百済観音や太秦の広隆寺の弥勒菩薩の微笑に共通していた。「平和な微笑でしょう、すばらしい微笑です。百済は微笑の国だったのです」 と夕湖先生は詩的に言われたが、この微笑は六朝の仏像の一つの型であるようにも思える。その微笑は釈迦の拈華微笑からきたもののようにも思えるが、いずれにせよ、六朝の仏師のたれかが微笑をもって仏法を表現すべく仏像の表情の型をつくり、その祖型をうけついだ百済の仏師が、さかんに微笑をつくって百済じゅうを微笑だらけにしたに相違ない。 いずれにせよ、六朝の貴族仏教は百済貴族の心をとろかせ、ついには国家をほろぼすはめになったが、しかし効用もあった。冒頭でえんえんと述べたように―読者はわずらわしかったであろう―百済が雑多な種族の混成によってできあがっていた国家であったために、仏法とその芸術的ふんいきというこの荘厳でしかも神聖淫楽ともいうべきものをもって、かれら(少なくとも種族的豪族たち)を融合統一させることに役立ったということは考えられるかもしれない。さらにいえば、これが日本の聖徳太子の国家統一思想に影響して、「篤ク三宝ヲ敬ヘ、三宝トハ仏・法・僧ナリ」 という十七条憲法になり、もろもろの非仏教的豪族たちを懐柔統一しようとしたとも考えられる。 百済貴族たちは、六朝仏教という神聖淫楽にふけっているかぎりにおいては地上でもっとも幸福なひとびとであった。 が、中国大陸の様相が一変したのである。 統一帝国として隋帝国がうまれ、この政権はすぐほろんだが、これにかわって唐帝国が、後漢の滅亡以来400年ぶりに中国大陸を統一した。この事実は、後世の毛沢東中国の成立以上の衝撃波を東アジアの諸地域にあたえたであろう。 ただし百済ひとりは、この衝撃に鈍感であった。「たいしたことはない。いずれまた分裂する」 と考えていたか、それとも百済貴族たちは六朝風の華美な遊び文体をもてあそび、歌舞音曲をたのしみ、さらには現世よりも仏国土にあこがれていたために、浮世の政治感覚が鈍磨してなにごとも考えずにいたか。 ただ東方の新羅は、なお多分に野性的であったために文よりも武を好み、武の感覚を通じて大唐帝国のあそるべき力を感ずることができた。新羅はむしろすすんで唐の力を利用し、これと同盟することによって百済をほろぼそうとした。野蛮国のほうが外交的に利口であるという例はしばしばある。「朝鮮民族の忌むべき事大主義は、新羅外交から出てくるのです」 と、李夕湖先生は敵国の新羅が今そこまで押し寄せてきたかのごとくののしるのだが、たしかに朝鮮における歴代の国家において大に事える(つかえる)という伝統的政治意識を身につけたのは新羅のこの時期からであった。 中宮寺の弥勒さん神聖淫楽という言葉は司馬さんの造語と思われるが・・・・弥勒菩薩像を見ていると、さもありなんと思うわけです。<洛東江のほとり>p192~198 倭館。Wae-gwanとよむ。 釜山に着いた当初、ミセス・イムに、「倭館にも行ってみたい」 と私がいったのは、釜山にかってあった対馬藩の領事館である倭館の旧址のことを指したつもりだったが、ミセス・イムは早合点して(というより、対馬藩の釜山における倭館という歴史的存在は、韓国ではあまり知られていなさそうなので)釜山の倭城のあとを案内してくれた。それはそれでよかった。 さらによかったのは、ミセス・イムの早合点のおかげで、彼女は私どもを、地名の「倭館」までつれて行ってくれたことである。 倭はいうまでもなく日本、もしくは日本人という意味で、要するに「日本人の館」という奇妙な村名をもつ村が、内陸地帯に存在するのである。(中略) ミセス・イムがしばらく姿を消していたが、やがてもどってきて、肩をすくめた。「倭館が引っ越しちゃってるんです」 と、いった。土地の人にきいたらしい。 橋梁が、目の前にある。われわれは洛東江の東岸に立っており、この東岸にある集落がいまあらたに倭館とよばれているというのである。もともと倭館の集落は西岸にあった。 その西岸の倭館が、戦火に砕かれてしまったという。一村があっというまに消え、いまはこの東岸に移っているという。「いつ消えたんです」「1951年です」 と、陰惨な話を好まないミセス・イムは、このときばかりは小さな声でいった。朝鮮動乱のときである。 朝鮮動乱は、平城を首都とする朝鮮民主主義人民共和国にとっては祖国解放戦であり、ソウルを首都とする大韓民国にとっては被侵略戦ということになるかもしれない。 1950年6月25日、北方から38度線を突破して南下した朝鮮軍はわずか三日でソウルを占領し、1週間で韓国軍主力を壊滅し、さらに一ヶ月余で国連軍を釜山まで追いつめた。その後、米国を主力とする国連軍が仁川に上陸し、ソウルを回復して平城まで攻めこみ、さらに北進したところ、この年の10月末、にわかに中国義勇軍が朝鮮軍に参加することによって戦線が再逆転し、国連軍はふたたび潰走して一度は奪還したソウルを再放棄し、南方にむかって退却した。事実上の米中戦争であったろう。 退却にあたって、韓・米軍は私の目の前にある鉄橋を破壊し、洛東江の流れを天嶮とすることによって、あやうく朝鮮軍の追撃をふせいだ。従って私がいま立っている東岸は退却戦をやった国連軍(主として韓・米軍)の前線となり、これに対して洛東江のむこうにみえる西岸の野と山がソウルから南下した朝鮮軍の前線になった。要するに朝鮮人にとって母であるはずの洛東江をはさんで両軍が対峙したことになる。 その態勢を一挙につきくずしたのが、アメリカのB29数十機による戦略爆撃であった。このとき朝鮮軍3万余が、西岸にあるもとの倭館付近のせまい土地に密集していたのだが、運わるく冬季で土地が凍っていたためかれらは壕を掘ることができずにいた。このため3万余のほとんどがこの爆撃で殲滅されたというから、無残というほかない。国連軍はこれを戦機にして押し返しを開始し、ソウルを回復し、38度線近くで対峙して1953年7月27日の休戦協定の成立を見、こんにちにいたっている。 それにしても、倭館というこの小さな村の歴史のおそろしさはどうであろう。豊臣日本軍の内陸侵入によって成立したこの洛東江畔の村は、それから三世紀半後、アメリカ軍の爆撃機によって消滅するのである。その間、無数の韓国人・朝鮮人が、この黄色い土の上で死んだ。
2011.06.07
コメント(0)
「TPP 復興つぶす」という「赤旗」の記事があったので、紹介します。先ごろの内閣不信任案否決の茶番劇には、被災地から(もちろん世界中から)非難の声があがりましたね。政局で時間をとられる暇があるなら・・・もっと復興予算の審議を進めんかい!それからもうすぐ、アメリカがTPP攻勢をかけてくる時期でもあり、このTPP反対の記事は時宜を得たアラームだと思う次第です。TPP 復興つぶすより 日本共産党の紙智子議員は3日の参院予算委員会で、農林水産・商工業者の実態をもとに2次補正予算案の早期編成を求めるとともに、「復興への意欲を踏みつぶす環太平洋連携協定(TPP)への参加はやめるべきだ」と迫りました。 紙氏は、「秋のサンマにしてもワカメの種付けにしても一刻も早くやらないと1年間収入がなくなる」など切実な声を紹介しながら、「一刻も早く2次補正予算を出さないと町に人がいなくなってしまう」と追及。鹿野道彦農林水産相は、「市町村、県の意見を聞きながら対処すべく取り組んでいる」と答えました。 紙氏は、復興対策が急がれているのに、政府からは日本の農漁業を壊すTPPの「交渉参加を早期に」という話が浮上していることに被災地からは怒りの声があがっていると批判。関税が撤廃された場合の影響をただすと、鹿野農水相は、水産物の生産減少額は4200億円、漁業関連産業の就業機会の減少数は10万3千人に及ぶと答えました。 紙氏は、農水省の「国境措置撤廃による水産物生産等への影響試算」(図)を示し、関税撤廃で、ワカメがほぼ全滅、コンブが7割減、サケ・マスが6割減など壊滅的被害を及ぼすことを指摘。こうした品目の生産量の上位を担っているのが宮城、岩手の被災県だと述べ、「TPPで日本の水産業を壊滅させることになる」と交渉参加の断念を求めました。 ワカメがほぼ全滅というのが、衝撃的ですね。TPP反対であれば、その声の出所がどこであっても同志であることに変わりないので、赤旗さんに座布団1枚!
2011.06.06
コメント(2)
インターネットを通じて「国際共通語としての英語」を認めるに至った大使であっても・・・・反米のスタンスには“ぶれ”はないのである。「日本語は亡びない」を著した金谷さんは、アメリカも英語も嫌いな様子であるが・・・・この反米スタンスは、日頃からカナダでフランス語を話している関係で培われたものと思われます。(もっとも、いまどきアメリカが好きという人は少ないのかも)いずれにしても「日本語は亡びない」は、攘夷、開国と派閥を問わず、英語が嫌いな人にお奨めの本です。「日本語は亡びない」金谷武洋著、ちくま新書、2010年刊<水村美苗『日本語が亡びるとき』を読む>p12~14 作家の水村美苗氏が評論『日本語が亡びるとき―英語の世紀の中で』を上梓した。バイリンガルの作家として、英語の公用語化を推進する意図はない。インターネットを追い風に、強まる英語の覇権から「日本語をいかに護るか」を訴えた、憂国の書だと語る。(読売新聞、2008年11月7日付) 尾崎真理子の書評の冒頭である。「英語の覇権」「憂国の書」などの言葉に作家水村の危機意識が明らかに窺える。その心情は共感できるものの、カナダの仏語圏ケベック州に住む私にはやはり腑に落ちないのである。本書評の中で、水村美苗はこう応えている。 中途半端な国民総バイリンガル化を求めるより、少数精鋭の二重言語者を育て、翻訳出版の伝統を維持する。作文を書かせるより、古典をたっぷり読ませる教育を積む。それが日本語の生命を保つ現実的な方策。もちろん小説家は密度の高い文体を全力で築く。さもなければ日本語はやがて亡びてゆく。私たちは分かれ道に立っています。 英語公用語論などに辟易していた私には、この引用文の前半は大いに賛同できる。英語を公用語にするなどは、まさに亡国の思想だ。さらに言えば、英語を小学校から始めることも私はまるで賛成できない。もっともっと日本語を、そして漢字を教えるべきであることを私は思う。 しかし後半に関しては、ちょっと待ってください、と言いたい。日本語はそれほど存亡の危機にあるのだろうか。実は国際交流基金が5年ごとに行っている「海外日本語教育機関調査」の2006年の統計によれば、話はおよそ逆方向で、少なくとも外国語として学習される日本語は未曾有の大ブームを迎えているのである。 手元にある2006年度調査結果によれば、日本国外における外国語としての日本語学習者は133ヶ国・地域で297万9820人にのぼっている。もちろん過去最大である。1979年から2006年の間に、機関数は11.9倍、教師数は10.8倍、学習者数は23.4倍に増加している。この調査は主に学校教育を対象としていて、テレビやインターネットでの学習者や、日本国内の学習者を含んでいない。それらをすべて合計すれば大変な数となるだろう。もはや日本語は日本列島で日本人にしか話されない「閉ざされた言葉」ではいられなくなった。 私の奉職するモントリオール大学もその通りで、学生数は毎年増加する一方だ。教え始めた22年前には25人ほどだった1年生が、今では軽く100人を超える。日本語は、間違いなく重要な国際語の一つとなっており、日本国外の日本語文法に関する国際会議などでも、かっての学習者同士が立派な日本語で高度な質疑応答を展開する光景などは当たり前の時代となった。『日本語が亡びるとき』は、外国語としての日本語を問題にしているのではないと言われるのであれば、先に引用した尾崎の書評にある「インタ-ネットを追い風に、強まる英語の覇権」と矛盾する。ご存知のように、インターネットで使われる英語の多くの部分が外国語としての英語によるものだからだ。<「神の視点」の怖さ>p78~80 スペイン語やイタリア語では今でも主語が義務的ではない。人間中心に変わったのは英仏語など西洋語の方であり、日本語をふくむ世界中の大半の言葉はいまだに自然中心の構造をしていることはもっと知られていい事実だろう。ことに現代英語は西洋語の中でも突出しており、構造そのものが唯我独尊としか思えない言語となってしまった。こういう言語を世界の標準にされるのは平和共存を目指すべき地球の将来にとって大変困ったことである。自分の言葉だけでちゃんと生活できる日本で、英語を第二公用語にしようとする議論など唖然とするばかりだ。 英語話者の視点が今や地上を離れて上空高く舞い上がり、不動の「神の視点」を持つに至ったのも、実はその結果である。かくて、今や英語の基本構文は他動詞構文SVOとなった。先で述べたように、日本語なら「好きだよ・愛しているよ」で十分なところを「I love you」と全要素を言わないと文になれないのは、英語の構文がそこまで硬直してしまったからである。日本語の話者の視点は、いまだに地上に留まっているにもかかわらず。 状況を高みから見下ろす「神の視点」が特に恐いのは、他動詞構文の型が、英語話者の発想や行動に影響を与えると思われるからである。他の要素との関係で自分を捉えるのではなく、状況から切り離した絶対的な「私」を考える傾向が英語話者に強いのもこのためであろう。『バカの壁(養老孟司)』がベストセラーになったが、英語話者の前に立ちはだかる「バカの壁」がもしあるとするなら、それは何よりも基本構文のSVOであると思う。(中略) かって泉井久之助が『ヨーロッパの言語』で喝破したように、現代英語を標準にして西洋の言語世界を考えることすらがすでに大きな誤りであるのに、いわんや日本語という東アジアの言語を「主語」などという現代英語文法で記述する試みは、京都の苔むした庭園の真中にディズニーランドの噴水を作るような悲劇的な愚行であろう。明治維新以来、「主語」の呪縛から自由になれない学校文法は「第二英文法」(三上章『現代語法序説』1972)のままである。 かって亀井孝はこう述べた「シンタックス(構文)こそ、意識下の思想の鋳型である」。我々は、今、この亀井の言葉を噛み締めなくてはいけない。 <主語という幻想へ反論する>p89~91 かって橋本萬太郎という言語学者が指摘したように、日本語は一般言語学に大いに寄与できる言葉なのだ。一つだけ例を挙げれば、私の専門でもある言語類型論分野では、他動詞構文の語順から、英語はSVO言語、日本語はSOV言語であるとされている。 だが、日本語や韓国・朝鮮語の文法家はこれに断固反論すべきである。日本語には明らかに主語がいらないのだから、SOV言語などとはとても言えない。補語をCで表してCV言語とするならばまだしも、英語を中心とする現在の言語学が「普遍文法」としてS(主語)を語るならば、われわれは日本語という具体例を挙げて大いに反論すべきで、そうした努力こそが、「世界語への寄与」(三上章)となるのだ。 日本の言語学者の多くはそれとは逆の方向で、「普遍文法」という美名の下にチョムスキーが提唱する生成文法などでせっせと日本語を記述しようとしているが、誠に寒心に堪えない。生成文法はせいぜい英語学、しかも「現代」英語学にすぎないものだ。そもそも古英語の時代にはSOVが基本語順だったし、さらに遡れば主語などなかったのである。 例えばシェークスピアに、文末を「meseems」という動詞で閉じる文が見られる。これは現代英語ならば非人称主語(It)をわざわざつけて「It seems to me」となる構文だ。それがさらに進んで、今では「I seem to catch a cold(風邪を引いたみたいだ)」のように「私」を主語とするSVO化が見られる。しかし、「meseems」で終わる文には本来、主語はなかった。主語が普遍的であると言うためには、「いつでもどこでも」それが言語記述に不可欠でなくてはいけない。少なくとも日本語や韓国・朝鮮語に不要なばかりか、肝心の英語にさえ昔はなかったという状況では、主語の「普遍性」など笑い話である。 地球上には数千の言語があると言われる。だがパルムターという学者によれば、主語がないと文が作れない(主語強要)言語はたったの八つしかないのだ。英語、フランス語、ドイツ語、オランダ語、デンマーク語、スウェーデン語、ノルウェー語、ロマンシュ語だが、最後のロマンシュ語はやがて亡びるだろう。そうなると「主語言語」はたったの七つとなる。フランス語を除くと残りはすべてゲルマン語族の言葉である。人口で言えばこれら八言語を母語にする人たちは地球全体の10%しかいないのである。(中略) 日本語など多くの言語にとって「主語」という文法概念は幻想であり、呪縛であると言ってよい。<日本語は閉ざされた言語でいられない>p104~105 日本語の事実をまったく反映しない学校文法。その不備は日本の生徒に「国語嫌い」を生む程度で実質的被害を生む事がなく、それが明治期に(アメリカのウェブスター辞典に記載された英文法を日本語に適用した)大槻文法を経て、現行の学校文法である橋本文法へと学校文法の100年にわたる長寿を保つ原因ともなった。橋本文法というのは、「何が何だ」「何がどうする」「何がどうだ」という基本文において、「何が」にあたるのが主語だというものだ。それでいて、「田中さんは医者です」などという例文を出すものだから、「ハとガの違い」は何か、という擬似問題を必然的に生んでしまうのである。もうそろそろ分かりそうなものだが、日本では学校文法は一向に変わらないようだ。日本語に主語はいらない、と私は声を大にして叫びたい。 日本語を外国語として学習する者がこれだけ増え、いわゆる日本語の国際化時代が到来した現在、もはや日本語は「閉ざされた言語」ではおれないのである。同じ日本語を扱っていながら、外国人向けの「日本語文法」と日本人向けの「国語/学校文法」の内容が隔絶しているのはどう考えても尋常なことではない。明治期に、特に文学者により「言文一致」がなされたが、21世紀初頭の今は、日本語/国語一致運動を推進したいものだ。そのためにも学校文法を一日でも早く「100年の誤謬」から解き放つ必要がある。
2011.06.05
コメント(0)
は~るか~離れ~た、そ~のまた~向こう。誰に~も好か~れ~る、綺麗な娘がい~た。テレサテンも歌った「草原情歌」という牧歌的な歌が好きである。この歌の舞台モンゴルで今、騒乱が起きているが、気になっています。6月4日といえば、1989年6月4日の天安門事件が知られるが・・・・その6・4鎮圧の主力「解放軍38軍」が内モンゴルの騒乱に備えて進駐、待機しているんだそうです。ネット、携帯電話が遮断されている中で、この騒乱はどう収束するんでしょう?6/26・4鎮圧の主力「解放軍38軍」が内モンゴルへの情報より 中国の内モンゴル自治区で抗議デモが相次ぐなか、中国当局が事態の悪化を防ぐため、1989年の天安門事件を鎮圧した主力部隊“解放軍第38軍”を急遽現地に派遣し、鎮圧に備えて待機させているとの消息が伝えられた。また、新疆ウイグル自治区での支援にあたっていた武装警察機動師団4個師団が、他省での突発事態に備えて呼び戻されたという。多維新聞網が伝えた。 内モンゴル自治区のシリンホトでは、モンゴル族の遊牧民が石炭運搬トラックにはねられ死亡した事件をめぐり、モンゴル族の学生約2千人が政府への抗議を行い、遊牧民の権利と尊厳の尊重を求めている。この1週間、抗議デモは区都フフホトでも広がった。 内モンゴルに進駐したとされる人民解放軍第38軍は、現在の解放軍のなかで最も装備が近代化された野戦軍の1つ。1989年6月4日の天安門事件では、主力部隊として学生らを鎮圧した。38軍進駐の情報については実証されていないが、インターネット上では大きな注目を集めており、「胡錦濤は狂ったか?」などの書き込みもある。 一方、内モンゴル自治区トップの胡春華・党委書記は27日、地元で抗議を行っている学生らと会見し、遊牧民ひき逃げ事件の犯人の厳正な処罰を約束し、鉱山開発のために民衆の利益を損なうことはないと強調して、事件の収束を図ろうとした。(編集担当:中岡秀雄) 事の発端はモンゴル族の遊牧民の「轢死事件」なのだが、その裏には漢族石炭開発業者による牧場破壊があったんだそうです。中国共産党の若きエリート胡春華は、ひき逃げ犯人の厳正な処罰を約束し、少数民族支援策に約9800億円(前年比で54%増)を今年中に投入すると決めたそうだが・・・・今後、この騒動はどう収束するのでしょうね。6/3第6世代の若きエリートは蒙古族を弾圧できるかより 現在、内蒙古ではちょっとした騒動が起きている。ことの始まりは5月11日に内モンゴルで起きた蒙古族牧民の「轢死事件」だ。漢族石炭開発業者による牧場破壊に反対していたメルゲンという男性が漢族ドライバーの運転するトラックに轢き殺された事件である。 胡春華書記は中国共産党指導者第6世代の出世頭の1人だ。彼の「領地」内で起きた混乱をうまく解決できるか否かは、胡春華という政治家の将来を左右するだろう。今回はこのような観点から内モンゴルで起きている抗議活動について考えてみたい。<モンゴル人を見下す漢族> 今回の騒動につき中国の国営メディアは事実関係をほとんど報じていない。情報が限られる中、「南モンゴル人権情報センター」(SMHRIC、Southern Mongolian Human Rights Information Center)が外国メディアの重要な情報源となっている。 SMHRIC情報や内外報道から浮かび上がってくる事実関係は概ね次の通りだ。様々なメディアが多言語で報じているせいか、一部の固有名詞について情報が混乱している点はご容赦願いたい。●5月10日、中国内モンゴル自治区のシリンゴル(錫林郭勒)盟・西ウジュムチン(西烏珠穆沁)旗で、漢族の炭鉱開発による牧場破壊に反対する約40人の蒙古族牧民と約100人の漢族業者との間で争いが起きた。●翌11日未明、この抗争の蒙古族側リーダーの一人であったメルゲン(莫日根)が漢族石炭運搬業者の運転するトラックの下敷きとなって150メートルほど引き摺られ、他のトラックの隊列により繰り返し押しつぶされ、轢き殺された。●これら漢族運転手たちは極めて粗暴、傲慢であり、「自分たちのトラックには保険が掛けてあり、臭いモンゴル牧民の命なんて4万元(約50万円、実際の発言は「40万元」だったとする説もある)にしかならない」と言い放ったとされ、蒙古族を憤慨させた。●5月23日、事件の原因究明と蒙古族の人権尊重を求めるデモが始まり、24日には西ウジュムチン旗で住民約1000人の抗議行動が、翌25日にはシリンホトの市庁舎前で蒙古族学生約2000人による抗議行動がそれぞれ発生した。●27日には、事件が起きたシリンゴル盟で牧民、高校生など数百人のデモ隊と300人以上の武装警察が衝突し、40人以上が連行された。●31日、区都フフホトで蒙古族の権利擁護を訴える数百人規模の街頭デモが発生。その後も抗議行動を訴える呼び掛けが出回っており、現在も混乱が続いている模様。<大モンゴル主義は夢また夢> モンゴル人の嫌中感情については以前ご紹介したが、これはあくまでモンゴル(外蒙古)国民の話であり、中国国内の内モンゴル自治区の蒙古族はちょっと状況が違う。 内モンゴルの蒙古族は自治区総人口2400万人の2割に過ぎない。歴史的に中国領内に取り込まれた蒙古族は、生き残るために「漢族よりも漢族らしく」振る舞う必要があったのだろうか。これまで内モンゴルではウイグルやチベットのような騒乱は起きていない。<政治家・胡春華に対するテスト> 以上のように、内モンゴル自治区はこれまで比較的安定しており、少数民族問題はあまり深刻ではないと考えられてきた。そこに派遣されたのが胡春華だ。この第6世代のホープの経歴については以前書いたので、ここでは繰り返さない。 続いて、今回中国当局が取った措置を関連報道に基づき簡単にまとめてみよう。●シリンホト、フフホト両市内に戒厳令を敷き、省都フフホトに大量の軍隊を投入した。●モンゴル語チャットサイトを閉鎖し、外国記者の立ち入りを厳しく規制した。●「内モンゴル」といった言葉がネット上で検索できないようにした。●ネット、携帯電話を遮断した上、大学を封鎖し、学生は外出が禁止された。●特に、シリンホトの高校生を学校に集めたまま、夜帰宅させずに“軟禁状態”に置いた。●24日、牧民を轢き殺したトラックの運転手らを逮捕した。●地元の弁護士会会長は「主犯は最も厳しい懲罰を受けるだろう」と指摘した。●27日、西ウジュムチン旗・党委員会の海明(ハイミン)書記を解任した。●29日、内モンゴル自治区政府は、少数民族支援策に788億元(約9800億円、前年比で54%増)以上の資金を今年中に投入することを決定した。●同自治政府は、鉱山開発に伴う環境破壊の補償制度や草原を通行する大型トラックの管理強化などを検討している。●中国政府は、鉱業業界が環境と住民生活に与える影響を調査し、トラックなどの関連車両から草原を保護し、鉱山作業員の訓練・管理を改善する措置を講じると表明した。●27日、胡春華書記は西ウジュムチン旗の教師・学生らと面会した。その中で同書記は-「最近の事件が世論の大きな怒りの引き金となった」-「われわれは法の尊厳と犠牲者とその家族の権利をしっかりと擁護する」-「容疑者らは法的手続きに従って直ちに厳しく罰せられる」と強調した。●31日、環球時報社説は、「事態は沈静化に向かっている」「蒙古族の要求には合理的な部分もある」「蒙古族住民の一部が、鉱山採掘の影響をはじめ工業化の波を前に不安を抱いていることは理解できる」と述べた。 要するにアメとムチの組み合わせである。党中央も今回の騒動にはかなり気を遣っているようだ。来週は天安門事件22周年の6月4日が来る。7月1日は中国共産党創立90年記念日だ。ここで胡春華を潰すわけにはいかない、とでも考えたのだろうか。 1983年7月に北京大学を卒業した胡春華は、自ら志願してチベットに向かった。優秀卒業生として人民大会堂大学新卒大会に参加した胡春華は、チベット行きにつき次のように述べたという。●中国は多民族国家であり、少数民族の自治区は総面積の6割を占めるが、その大半は辺境にあるやりがいのある場所だ。●漢民族だけが近代化を果たしても、中華民族の近代化とは言えない。少数民族が近代化して初めて、中国は近代化を果たしたと言えるのだ。 理想は素晴らしいが、現実はこんな綺麗事だけではない。 内モンゴル自治区はレアアースで有名なだけでなく、ここ数年の間に重要な石炭産地となり、確認埋蔵量は7300億トンを超える。轢死した蒙古族牧民は炭鉱開発へ向かうトラックの一団を阻止しようとしたグループの1人だった。 漢族による炭鉱開発は長年牧民が使用してきた牧草地を汚しただけでなく、住民たちのモンゴル人としての尊厳をも傷つけてきた。恐らく今回、胡春華は学生時代の理想に反してでも、少数民族を厳しく取り締まることによって出世コースに留まろうとするだろう。 しかし、状況はそれほど簡単ではない。もし今回の一連の騒動で、これまで「漢族よりも漢族らしく」なろうと努めてきた「蒙古族」の若者が漢族に裏切られたと感じ、封印されてきた「モンゴル人」としてのDNAを再発見するきっかけとなれば、内モンゴルの少数民族問題は将来一層深刻化するに違いない。内モンゴルの石炭・レアアース、アメリカのシェールガス、福島の原発など、地域住民が資源やエネルギーに翻弄されています。そして、地域住民が大資本からの補償金で、生活環境と引き換えに、口を塞いできた、あるいは塞がれようとしているが・・・・・内モンゴル、アメリカ、日本と国こそ違っていても、状況は似ています。(6/11追記)内モンゴルデモ 引き金の漢族運転手に死刑判決 専門家「民族間対立を解消できない」より【大紀元日本6月11日】内モンゴル自治区シリンゴル地区の裁判所は8日、炭鉱開発に抗議したモンゴル族の遊牧民をトラックでひき殺したとして、故意殺人罪に問われた漢族の運転手の男に死刑、助手席の男に無期懲役をそれぞれ言い渡した。5月27日から、同自治区で相次ぎ発生したモンゴル族による大規模な抗議事件は、この殺害事件が引き金となっている。専門家は、判決はモンゴル族の怒りを一時的に沈静化させることはできるが、モンゴル族と漢族の民族間の対立が抗議の本質的な原因であり、中国当局はこの問題を解決する意欲も手立てもないため、今後も同自治区での抗議活動が絶えない、との見方を示した。『北京の春』編集長・胡平氏(米国在住)はラジオ自由アジア(RFA)に寄せた評論で次のように分析している。「近年、内モンゴルの経済発展は主に、炭鉱への略奪かつ破壊的な採掘に頼っている。それにより、当局の権力者が莫大な富を築けたが、草原の自然環境が急激に悪化した。元々水が豊富で草が青々と生えていた草原は砂漠化してしまっている。遊牧民であるモンゴル人の生存方式に脅威がもたらされているが、経済発展の利益が分配されていない。それが今回の一連の大規模な抗議が発生した要因である」 中国国内で長年弁護士や裁判官を務めていた香港中文大学の王友金・教授は米VOAの取材で見解を示した。「内モンゴルでの今回の民族間衝突は氷山の一角に過ぎない。中国当局が積極的にその民族政策を緩和しなければ、将来、さらなる大規模な民族衝突が発生するだろう」
2011.06.04
コメント(0)
世界貿易機関(WTO)も存在意義がゆらぐほどのレアアースの輸出制限、そして値上がりであるが・・・・中国の資源戦略(売り惜しみ)に対して、経済産業省もチャイナフリーの物作りで対抗するようです。6/3レアアース高騰で緊急支援策 経産省、技術開発に補助より 中国からのレアアース(希土類)の輸出価格が高騰している問題で、経済産業省は3日、事業規模300億円の緊急企業支援策を発表する。代替素材やリサイクル技術の開発費用を補助することで、レアアースが欠かせない自動車・電機産業の国内空洞化を防ぐ。 レアアースの価格高騰は、中国税関が昨年末から、一定価格以下の輸出を認めない制限措置をとっていることが主因。日本はレアアースの8割を中国に頼っており、先の日中首脳会談で菅直人首相が改善を要請。温家宝(ウェン・チアパオ)首相は「世界貿易機関(WTO)ルールに基づいて適切に管理したい」と応じたが、その後も制限措置は続き、価格は首脳会談前と比べて1~3割上昇している。 緊急支援策は、2010年度補正予算に盛り込んだレアアース関連予算のうち87億円を活用。タングステンなどレアメタル(希少金属)の一部も対象に含め、企業が取り組む代替素材やリサイクル技術の開発、使用量削減策など計68件について2分の1~3分の1を補助する。企業の負担分をあわせると事業規模は300億円程度となる。 中国に対してはWTOは機能しないだろう。(中国はそんな柔なタマではない)レアアースで競合する資源国の生産体制が整うまで、中国の売り惜しみが続くはずである。そして世界は高額の中国産レアアースを買うよりも、中国産レアアースの割合を抑えた物作りを目指すようです。(いや、一歩進めてチャイナフリーの物作りを目指すべきか)このところの中国の資源囲い込みと、海外資源獲得には漢民族の価値観が色濃く反映されているが・・・一昔前の欧米系の石油メジャーを彷彿させるようです。もっとも、ルール無視の経済戦争とは、そんなものかも知れないが。中国の強欲メカニズムについて、以下の「中国のレアアース、止まらぬ価格高騰」に載っています。5/30中国のレアアース、止まらぬ価格高騰より 重力をものともしない中国のレアアース(希土類)の価格高騰は、携帯電話からハイブリッド車に至るまで様々なモノに使われる部品の価格が急騰しかねないとの不安を引き起こしている。 今年1月から価格が3倍から5倍に跳ね上がったのは、世界最大のレアアース生産国である中国が国内生産を抑制してからだ。 その影響は広範囲に及ぶ可能性がある。 レアアースの年間消費量は、他のコモディティー(商品)の消費量に比べると少ないが、レアアースは蛍光灯から風力タービンに至るまであらゆるモノに使われている。また、ほかのモノで代替するのが、不可能でないにしても非常に難しい。<年初から3~5倍に跳ね上がったレアアース> 生産財購買担当者は、供給量が減少する中で、酸化セリウムなどのレアアースの価格がわずか5カ月間で475%も跳ね上がるのを見て、ショックを受けている。 「こんなことは見たことがない」と、ある米国のレアアース購入業者は言う。「皆、新製品を開発したり、代用品を見つけたり、あらん限りの方法でレアアースを使わないで済むよう努力している」 世界の総産出量の90%以上を生産する中国が2年前に輸出割当量を減らし始めてから、レアアースは注目を集めてきた。日中間で外交問題が起きた後に日本に対するレアアースの輸出が一時中断されてから、中国政府の影響力が懸念を招いてきた。 そうした事実上の禁輸措置を受け、世界中の政府、特に米国と日本の政府は、別の供給源を開発することに一層努力を傾けてきた。だが、これらの取り組みには何年もかかる。 一方、中国政府は、国内鉱山を整理・統合するプログラムの一環として、汚染をもたらしている国内レアアース産業に対する規制を強化してきた。多くの人は、その結果、中国のレアアース生産が減少すると考えている。 中国が一段と輸出割当量を減らす(今年の海外販売許可は年率ベースで昨年より4.5%少なくなっており、2009年の割当量を40%以上下回っている)一方、世界のレアアース需要は拡大している。 中国政府は、ある時点で総販売量の約5分の1を占めていた密輸も取り締まるようになっており、国際市場の需給をさらに逼迫させている。<1年間で輸出が半減、「秘密価格」で取り締まり> 香港で集計された統計によれば、レアアースの輸出は過去1年間で半減し、先月はわずか1819トンまで減少した。それと同時に、輸出価格は高騰し、1年前の10倍に相当する1トン=12万1000ドル超に達している。 貿易業者の話では、中国の税関職員は輸出を取り締まっており、販売契約が、「秘密価格」として一部に知られる内部価格リストと一致するよう求めているという。レアアースの販売はより回転が速くなったが、急激な値動きのせいで、オファーが頻繁に撤回されるようになっていると彼らは言う。 広東にある中国冶金輸出入公司の幹部リー・ミャオリン氏は、「年末以降、税関は毎週価格リストを調整している。我々は自分たちの契約書に、税関が価格を引き上げた場合には調整を行わなければならない旨の条項を加えなければならなくなった」と話す。 北京のコモディティーコンサルティング会社、安泰科によると、永久磁石や風力タービンに使われる酸化ネオジムの価格は今年に入って3倍以上値上がりし、1トン=85万元に達しているという。 レーザーに使われる酸化ジスプロシウムは、1月から338%値上がりし、1キロ=4700元と過去最高値を付けている。ハイブリッド車のバッテリーに使われるランタンのようなより一般的なレアアースの価格でさえ、急騰している。<代用品の開発を急ぐメーカー各社> レアアースの需要家は先を争って代用品を見つけようとしている。ハイブリッド車メーカーは、リチウムイオンバッテリーの開発を加速させている。例えば、トヨタ自動車は、使用するレアアース磁石が少ない電気自動車向け誘導電動機を開発している。 レアアースを大量に消費する化学メーカーも、代用品を開発している。米国の化学メーカー、アルバマールは最近、過去12カ月間でランタンの価格が1500%上昇したとして、レアアースの使用量が少ない新しい燃料触媒を導入した。<産出量を減らす当局の思惑> 中国が産出量を減らすことを計画しているため、メーカー各社は、価格高騰が長引くことを覚悟している。2月には温家宝首相がレアアースに関する「5カ年計画」の概要を説明したが、その中には、国家の監視強化、環境基準の引き上げ、密輸の取り締まり、不法鉱山の閉鎖、レアアース生産業者の統合などが含まれている。 レアアース鉱山の新たな環境基準が10月に発効する一方、中国政府は鉱山の新たな免許の発行を停止している。 「中国は、環境保護その他を考慮に入れて、レアアース業界を是正してきた」と、中国レアアース学会の事務局長、林東魯氏は言う。「レアアースの産出量は間違いなく減少するだろう」 安泰科のレアアース担当アナリストは、「今後5年間、中国は恐らく輸出を減らし続けるだろう」と話している。 こうした政策の転換は、他のコモディティーの政策の変化に続くものだ。中国政府は過去2年間で、石炭業界全体にまたがる「統合」プロセスを進めてきた。その結果、産出量が減少。かつて輸出国だった中国は大量の石炭を輸入せざるを得なくなり、これが価格を押し上げている。 中国はまた、耐火製品に使われる金属、アンチモンの違法な採掘や環境を破壊する採掘も一掃してきた。アンチモンの取り締まりによって、価格は過去最高値まで上昇している。<金も石油も高いのだから・・・> 業界や世界各国からの懸念に直面して、中国は、信頼できるレアアース供給国であり続けると主張してきた。だが、値上がりは、世界に対する安いレアアースの供給国としての役割を終えたいという中国の野心とぴったり一致する。 中国レアアース学会の林氏は次のように話す。「金や石油その他のコモディティーの価格は過去最高値を付けている。どうしてレアアースの価格も高くなってはいけないのか」(By Leslie Hook)中国政府が言うように、レアアース業界の違法な採掘を是正すればコストアップは当然である。しかし、売り惜しみによる値上がり狙いは如何なものか?それも、現在の圧倒的世界シェアは、環境破壊や弱小民族の犠牲のうえで獲得したものであるだけに説得力に欠けるのである。
2011.06.03
コメント(0)
内モンゴル騒乱事件は、まだ沈静化したとは言えない状況のようです。民族問題というよりも、鉱物資源の乱開発から端を発しているようですが・・・・旺盛で強欲な漢民族の経済活動に対しては、人権に配慮した規制を設けてもらいたいものです。5/31内モンゴル騒乱事件で10人近い死者、背後に独立派の存在もより 内モンゴルの遊牧民死亡ひき逃げ事件をきっかけとした、遊牧民と学生によるデモ活動が激化しており、群衆の一部が30日、フフホト市政府庁舎の前で抗議活動を行った。中国政府関係者が、北米の中国語ニュースサイト・多維新聞網に語ったところによると、抗議活動の際に10人未満の死者が出た。同政府は、群衆による騒乱事件の背後に敵対勢力による指そうがあるものと見ている。 現地の民族学校は臨時休校したが、一般の大学・専門学校は通常通り授業を行っている。極めて敏感な事件であることから、現地政府は極めて緊張しており、職員が連日徹夜で待機している。◆デモの主体は遊牧民から学生に 民衆の街頭デモ行動が始まった5月23日から30日で7日目。デモが勃発したシリンゴル盟の西ウジムチン旗から、シリンホト市、東ウジムチン旗、〓(金へんに襄)黄旗に拡大し、参加者の主体は遊牧民から高校、大学生に変化した。25日は7日間で最大規模のデモが発生、モンゴル族の学生2000人がシリンホト市政府前で抗議活動を行った。過去30年間で内モンゴル最大の抗議活動となった。 西ウジムチン旗は、内モンゴル自治区シリンゴル盟の有名なウジムチン草原にあり、牧畜業が現地の主要産業となっている。しかし、近年の盛んな炭鉱の開発が深刻な草原の破壊をもたらした。地元の遊牧民が現地政府に草原の保護をしきりに訴えたが、何も返答はなかった。 5月11日、業者による炭鉱開発に抗議していた遊牧民の莫日根さんが、石炭運搬トラックにひかれ死亡した事件が、民衆の抗議行動の導火線となった。事件の容疑者2人は同日逮捕されたが、遊牧民の怒りは収まらず、以来、抗議活動が延々と続いている。 外電によると、自治区の首府、フフホト市では29日、盾と警棒を持ち、ヘルメットをかぶった武装警察官数百人が「中心広場」をパトロールする一方、フフホト市政府前の「如意広場」を取り囲んで封鎖した。しかし、他の場所で市民生活は通常通り営まれれいる。 内モンゴル自治区は、5つの少数民族自治区の中で少数民族の割合が低い一方、経済成長は全国一高い。漢民族と少数民族の争いはなく、ゆるぎない安定を誇ってきた。遊牧民の平均収入は、新疆ウイグル自治区やチベット自治区を大きく上回る。 今回の騒乱で、内モンゴル自治区の経済成長に隠れた危機を顕在化した。内モンゴルの草原や環境は激しく破壊され、地元政府も経済的な利益に目がくらみ、鉱物資源の乱開発を黙認してきが、現地の急速な経済成長は、遊牧民の生存を犠牲にし、草原の環境を収奪することで得られた側面もある。遊牧民の死をきっかけに、社会の深層に隠れていた矛盾が一挙に火を噴いた格好だ。◆亡命モンゴル独立派が指示か 注目されるのは、今回の事件を通じ、海外亡命中のモンゴル独立派の存在が浮上したことで、抗議行動をエスカレートさせるようインターネットを通じて指示を繰り返し、問題を一層複雑化させたとみられる。 知る人ぞ知る存在のモンゴル独立派は、北京の中国政府に、強硬な鎮圧を行えば、新疆ウイグル自治区で2009年7月5日に起きた騒乱と同様の騒ぎを起こすと脅している。米ニューヨークに拠点を置く「南モンゴル人権情報センター」は、世界各地のモンゴル族に対し、各地の中国大使館前で抗議活動を行うよう呼びかけた。(編集担当:松本夏穂、中岡秀雄)6/1内モンゴルで環境破壊総点検 抗議デモ受け全炭鉱をより 【北京共同】中国内モンゴル自治区政府は1日、自治区内の全ての炭鉱で、炭鉱が引き起こす環境破壊の有無や安全性などに関する総点検を始めた。石炭運搬トラックに遊牧民がひかれて死亡した事件をきっかけに起きた地元政府への抗議デモを受けた措置で、住民の不満を鎮める狙いがある。新華社電などが伝えた。 また遊牧民をはねた漢族の運転手ら4人の裁判を公開で行うという。 地元政府は5月末に各地の関係部門に炭鉱の管理強化を命じる緊急通達を出し、生産の安全性、環境保護、炭鉱開発により損失を被った住民への補償の点検を指示した。期間は6月1日から1カ月。 遊牧民は5月11日未明、石炭の輸送を阻止しようとしてトラック運転手と口論になった。警察によると、遊牧民はトラックに145メートルも引きずられて死亡したという。 中国の経済発展に伴い内モンゴルの炭鉱業は急成長。昨年の産炭量は山西省を抜いて全国一となり、環境破壊も深刻化している。 一方、在米の人権団体によると、5月31日にも同自治区の区都フフホトで、モンゴル族の権利擁護を訴える数百人規模の街頭デモがあったという。今回は石炭の乱開発であるが、ここにはレアアースの現地浸鉱と同じ構図が見えます。地元住民の生存権が吹っ飛ぶような、旺盛な経済活動であるが・・・・困ったものです。一方、アメリカでは石油資本がシェールガスの急激な乱開発を行っているが・・・クレームを発する住民には浄水器設置やペットボトル提供で口を塞いでいるようです。潤沢な住民対策費があるのでそんなに表面化していないにしても、住民の泣き寝入り状態が続いているようです。
2011.06.03
コメント(0)
電力自由化の拡大・発送電の分離を経産省が検討するとのことです。これで経産省と菅政権が組んで、電力業界に有無を言わせないエネルギー政策を打ち出すことになりそうですね。東電との確執が反映されているとは思うが、これが望ましい方向だと思う次第です。6/1電力自由化の拡大・発送電の分離、経産省が検討へより 経済産業省は1日、家庭までの電力自由化拡大や発送電分離を検討する方針を示した。東京電力福島第一原発の事故を受け、菅政権はエネルギー政策の見直しを掲げる。経産省は今月はじまる「新成長戦略実現会議」(議長・菅直人首相)のエネルギー政策議論で主導権を握りたい考えだ。 産業構造審議会の産業競争力部会で1日、経産省が「基本的な方向性(たたき台)」を示し、電力需給体制の改革を打ち出した。 電力自由化は現在、契約電力50キロワット以上の需要家が対象。経産省は電気事業への新規参入拡大の方向性を示し、家庭までの自由化範囲拡大を検討課題に挙げた。 発送電分離も提示。新規事業者は、電力会社による送電網の独占所有が参入の壁と指摘しており、経産省は送電網を利用する際、中立性や公平性を監視する機能の強化や、発送電分離の可能性を挙げた。分離の方法は、電力会社から完全に送電部門を切り離す所有分離だけでなく、機能分離と法的分離(分社化)も選択肢とした。 発送電分離には、太陽光、風力などの自然エネルギーを普及させるため、スマートグリッド(次世代送電網)の構築を後押しする狙いもある。 また、今夏予想される電力危機では、東日本と西日本の境界にある周波数変換設備の容量の小ささが問題になっている。経産省は、周波数変換設備や広域ガスパイプラインなどエネルギーを流通させるインフラの整備に、政府が非常時対応として関与を強めることも検討課題として掲げた。 政権は新成長戦略実現会議にエネルギー・環境政策を検討する下部組織を設け、今夏をめどに中間整理案をつくる予定。経産省は産構審での議論をふまえた政策案を、6月中にも実現会議に提案する方針だ。さきほど内閣不信任案は否決され、とりあえず菅政権は延命したので「新成長戦略実現会議」は有効なんだろう(笑)それにしても、不様な政局でしたね。
2011.06.02
コメント(0)
テレビを見ると自民党議員が内閣不信任案提出で騒いでいるが、はなはだ気分が良くないのです。(現在進行中の非常時に、敵失を捕まえて許さない演説は聞くに堪えないのだ)昨日の続きとなるが・・・・あるべきバイオマス利用、バイオマス普及の姿について引用します。「日本林業はよみがえる」梶山恵司著、日本経済新聞出版社、2011年刊<集中投資による成功事例の普及、展開を>p252~255 日本では、制度の導入や規制などの制度設計も、林業の抜本改革もないまま、バイオマス振興として、巨額の補助金が投入されてきた。このような予算の使い方が、砂地に水をまくに等しいことは、当初からわかりきっていたことである。 しかし、これからは、再生可能エネルギーの電力買取制度が導入されるし、2020年に木材自給率50%を目標とする林業の抜本改革が本格化する。つまり、バイオマスエネルギー利用拡大のための前提条件は揃いつつある。今や、従来の政策を抜本的に見直し、真のバイオマスエネルギー普及拡大のための現実的な戦略を考えるときに来ている。 現状では、施行集約や路網整備により木材整備が本格化するのはこれからであることを考えると、まず必要なのは、地域における小規模の需要と供給を着実につなげていくことだろう。 そこで、足元を見ると、温泉やホテル・旅館、園芸ハウスなどの施設で相当の化石燃料を使っているのであり、まずはこれを薪やチップのバイオマス・ボイラーに置き換えていくことだけでもかなりの需要開拓ができるはずである。そもそもこれらの多くは、森林資源に近いところに立地しており、条件的にも有利なはずである。(中略) バイオマス普及に不可欠なのが、燃焼効率が高く、使い勝手の良い薪やチップのボイラーやストーブである。現在バイオマスに投入されている巨額の研究開発は抜本的に見直すべきである。ガス化発電やエタノールなど、実用化がまだ先であったり、事業性について問題の多い研究開発は後回しにし、今必要とされている技術の開発に振り向けるべきである。そもそも、今までの研究開発や実証試験と言われるものについては、その効果を利害関係の無い外国の研究機関などに委託して、徹底的に検証し、公表すべきである。 バイオマス利用は、路網整備や木材生産が活発化してはじめて、そのシステム的な利用が可能になる。そうした意味では、施行集約や路網整備で先行する地域において、その事情に合わせたバイオマス利用の模範的な事例をつくるための集中投資を行い、まずは実績をつくることが今最も求められることだろう。 この本の著者梶山氏は現政府(内閣官房国家戦略室)の内閣審議官であり、農水省「森林・林業再生プラン」策定に参画したそうです。抜本改革案には違いないが、大規模な施行集約については、小規模な現場から異論もあるようです。<林業の抜本改革を目指す>p260~261 2010年11月に農林水産省より発表された「森林・林業再生プラン」は、このような認識の下、保育から利用へと林業の抜本的な改革を行うべく、そのための具体的な道筋を示したものである。 森林・林業再生プランは、菅総理大臣(当時は副総理)が、政権交代直後に林業の抜本改革を指示したことをきっかけとしている。これを受け、09年12月に改革の方向性を示す森林・林業再生プラン基本方針が策定された。以降、農林水産省に設置された森林・林業再生プラン推進本部の下に5つの検討会を設けて、10ヶ月にわたり延べ80回を超える会合で議論を重ね、2010年11月に最終報告書として取りまとめられた。 民主党政権は2010年6月に発表した新成長戦略において、「21世紀の日本の復活に向けた21の国家戦略プロジェクト」を選定したが、森林・林業再生プランは、その中の一つに位置付けられている。 森林・林業再生プランにおける改革への強い意志は、最終報告書の前文に表れている。 そこには、日本林業が困難に陥った理由として必ず出てくる「材価の低迷」という言い訳の文言は一切入っていない。再生プランでは、林業の今の問題を「持続的な森林経営を構築するビジョンや、そのために必要な実効性のある施策や実行体制を確立せず、森林所有者に対する働きかけが十分でなかったこと、これにより施行集約や路網整備、機械化の立ち遅れによる林業採算性の低下、森林所有者の林業に対する関心の低下という悪循環に陥っている」と分析し、だからこそ「林業の抜本見直しを行い、新たな森林・林業政策を構築していく」としているのである。 再生プランで目指すのは、森林所有者に対する専門的なサポート体制を構築して、施行集約とそれによる路網整備・間伐を一体的に行い、森林の多面的機能をより引き出すとともに、林業の再生を図り、資源の将来につなげていくことである。 森林には関心がある大使なんですが、森林管理についてはド素人なので、森林所有者と森林組合の関係がよくわからないのです。(山持ちの人でもわかってない人もいるそうです)そのあたりについて、勉学のため、引用します。<林業関係者の役割分担・連携を促す仕組み>p125~129 日本の個人所有林の場合、所有者のほとんどが林業から離れてしまっている。このため、所有者に代わる経営の担い手が森林保有者に対し施行提案を行い、施行(これから中心になるのは、路網と間伐による木材生産)のアレンジ、木材販売など林業経営の機能を代行する包括的なサービスを提供する必要がある。そのシステムを構築しない限り、木材生産は進まないし、森林は荒れ放題になってしまうだろう。 この点、日本と所有形態の共通性が高いフィンランドでは、所有者の組織である森林所有者協会がこうした機能を担っている。日本にもそれに相当する組織が存在している。森林所有者の協同組織である森林組合である。森林組合は全国に存在し、民有林面積の7割をカバーしており、所有者に代わる経営の担い手として、これ以上ふさわしい組織はない。 ところが、驚くことに、所有者に代わる経営の担い手としての機能を果たしている森林組合は例外的な存在である。多くの森林組合がやってきたことは、県有林や市町村有林の森林整備事業、県の林業公社や独立行政法人である緑資源機構などが発注する事業、および保安林整備事業などの公共事業や国有林事業がもっぱらだった。これらは基本的に画一的な作業で、あまり技術力がなくても何とか対応できる保有事業が中心である。 この結果、森林組合は、行政に仕事をお膳立てしてもらえる公共事業でなんとか日々の糧にありつけたため、所有者のための組織という本来の業務を忘れてしまった。この結果、日本の森林の大多数を占める個人所有林は放置されるままになってきた。 他方で、森林組合がダメならば、競争原理を導入すればいいのではという意見も根強い。ところが森林情報を持たず、信用力でも劣る民間が、森林所有者に働きかけて仕事を獲得するのは、大きな困難を伴う。しかも、複数の森林所有者を取りまとめなければ路網を構築することもできないのが今の日本の現状である。民間の努力だけでとてもやりきれるものではない。 こうした中で森林組合と民間事業体とを競争させれば、森林組合はますます警戒して、森林所有者の囲い込みを図り、民間は不利な立場に追い込まれかねない。これは建築現場で設計士と大工が喧嘩するに等しい行為であり、林業の健全性は大きく損なわれてしまう。 つまり、部分的にはともかく、面的には、森林組合以外に所有者に代わる森林管理の担い手としての機能を担いうる組織は存在しない。したがって、林業のシステムを健全化しようとすれば、森林組合が本来の役割を果たすように改革することこそが、林業再生の第一歩となる。 具体的には、森林組合が組合員以外の事業を行うこと(員外利用)を厳しく制限し、組合の業務を森林所有者に対するコンサルティングに特化させることである。これによって森林管理と現場作業とを明確に分離できれば、現場の作業は民間事業体に委託することになり、森林組合と民間との役割分担は明確になって、相互連携は自ずと進むだろう。「森林・林業再生プラン」に対して、集約化には困難な面も多く「国には現場の状況をよく見てほしい」との声があるようです。難しいものですね。集約化「地域に合わぬ」2010年06月24日より 筒井さんの山は約30ヘクタール。保有山林1ヘクタール以上の世帯を指す「林家(りん・か)」のなかでは小規模の方だ。筒井さんは小学生の頃から父親の下草刈りを手伝ってきた。中学卒業後、専門学校で農業を学び、父の後を継いだ。仲間と林業研究会をつくり、愛媛県久万高原町や奈良県吉野町など全国の林業地で技術を学んだ。 この約30年間で、筒井さんの山の木材出荷額は年間約180万円から、約3分の1の約60万円に減った。将来は長男に山を管理してほしいと願うが、今の情勢では「継いで、とは言いづらい」と思っている。■ ■ 県森づくり推進課によると県内の森林面積約60万ヘクタールのうち、民有林の割合は79%。県産木材の価格は輸入木材に押されて下がり続け、県内の2008年の林業生産額はピークだった1980年の344億円の18%、約62億円に落ち込んだ。 この間、県内の林家も減り続け、80年に約2万8600戸だった林家は、05年に約2万4800戸に減少。このうち30ヘクタール以下の小規模林家が約2万4000戸を占める。 国は昨年12月に策定した「森林・林業再生プラン」で「10年後の木材自給率50%以上」を掲げ、経営の集約化と大型機械導入で外材に対抗する方針を打ち出した。森林組合や民間事業者などが数百ヘクタール規模で経営計画を立て、小規模林家から土地を受託。大型機械で効率的に作業する形を描く。助成制度も見直し、集約化をめざす事業者に集中的に助成する方法が検討されている。■ ■ 本山町の木材市場。嶺北地方の製材会社や林家などでつくる「嶺北材ブランド化協議会」が07年に開発した木造住宅キット用の丸太が保管されている。 同協議会会長で嶺北木材協同組合理事長の田岡秀昭さん(59)は言う。「嶺北では小規模林家が良い木を出し、農業などもしながら山村を守ってきた。経営の集約化に偏重せず、小規模林家も生き残れるよう、地域に応じた施策ができるようにするべきだ」 国の再生プランでは、主に市町村単位で設けられている森林所有者の協同組合「森林組合」が集約化の担い手の一つとされている。 県森林組合連合会の戸田文友会長(69)は「高齢化した山主に代わって計画を立て、管理していくのが森林組合の責任だ」と説明する。 集約化に向けて計画を立てる「森林施業プランナー」を約60人養成するなど、これまでも集約化に努めてきた。だが、県内は地形が険しいうえ、土地所有者が多い。集約化には困難な面も多く「国には現場の状況をよく見てほしい」と訴える。 これまで同連合会の会員らは、国政選挙では自民党を中心に応援してきたという。だが、今回の参院選では特定の政党や候補の応援は見送る方針だ。「政権が代わるたびにころころ変わらない長期的な視点で政策を考えてほしい」(前田智)
2011.06.02
コメント(0)
菅さんがG8で、自然エネルギー比率を2020年までに20%に、ソーラーパネルも1000万戸と発表しましたね。ビジョンをぶち上げるのは為政者の役割であるとしても、ソーラーパネル発言には経産大臣への根回しがなかったと言われるように、「ほんまかいな?」と思うわけで、発言がなんとも軽いのです。一方さきごろ、ドイツ政府は原発廃止の方針を決定したようだが・・・・緑の党という野党がいるほどエコ意識の高い国のエネルギー政策転換には現実味が感じられるのです。ドイツの自然エネルギーと言えば、太陽光、風車がまず思いあたるが、自然エネルギーのうちバイオマスの割合が約5割(日本は25%)もありバイオマス先進国である。そのあたりについて「日本林業はよみがえる」より紹介します。「日本林業はよみがえる」梶山恵司著、日本経済新聞出版社、2011年刊<木材の主産物利用をする日本のバイオマス>p245~248 日本では、2002年にバイオマス・ニッポン総合戦略を策定し、巨額の予算を投入してきたが、その成果となるとほとんど認められないのが実態である。以下では、ドイツのバイオマスエネルギー拡大の軌跡を念頭に、日本の政策を浮き彫りにしたい。 すでにみてきたとおり、バイオマスの基本は熱利用であり、熱利用拡大の順序は、薪、チップ、ペレットである。しかし、日本ではチップはともかく、もっとも基本的で小規模の利用がもっぱらの薪利用の開拓には関心が払われず、施策の中心はチップとペレットに集中してきた。 チップは、加工が簡単で運搬も比較的容易であることから、林地残材の有効利用にもっとも適した形態と言えるが、日本では路網が未整備で、残材をチップ化するチッパーのような機械が林地に入れないなど、林地残材を直接チップ化する条件が整備されていない。 こうした中、公共の宿泊施設などにチップボイラーを導入するなどの例が出てきているが、多くは、そのためにわざわざ木材を伐採し、製材工場などに運んでチップ化して使うという、バイオマスエネルギーの主産物利用である。 バイオマスエネルギーの主産物利用は、ペレット生産でも同じである。ドイツのペレット工場は、製材工場で必然的に出るおが粉を利用した副産物利用であるが、日本ではペレットを生産できるだけの規模の製材工場がほとんど存在せず、そうした中でペレットをつくるとすると、基本的に丸太からつくることになる。これがいかに事業性を無視したものであるかは、単純計算ですぐにでもわかる。(中略) さらに、丸太からペレットを作る主産物利用では、丸太をおが粉にするための破砕機、それを乾燥させる乾燥機、ペレットに固める成型機が必要となり、その償却負担も相当なものに上る。これに、人件費や電気代、燃料代などを加えれば、実質的には膨大な赤字を抱え込むことになるはずである。 それにもかかわらず、こうした事業が行われるのは、1.林業に対する補助金により実際のコストよりもはるかに安い価格で丸太が調達できる、2.設備に対する補助金によって、設備投資の償却が圧縮されるため償却負担が表面化しない、3.森林組合などでは、補助単価の高い森林整備事業の黒字で工場の赤字を補填して辻褄を合わせている、などのためである。これでは、事業が採算ベースに乗ることは永遠にあり得ず、補助金がなくなれば事業も終わる。バイオマス・ ニッポン総合戦略ですか・・・パッと見には言語明瞭なんだけど成果がいまいちのいわゆる、お役人のお役人によるお役人のための戦略だったんでしょうか?「バイオマス・ ニッポン総合戦略」をよく読めば、一見して破綻を見つけるのはかなり難しいが・・・やはり頭でっかちで実態が伴わない、お役人の作文なんでしょうか?バイオマス・ ニッポン総合戦略より(i)エネルギー利活用(p7) バイオマスを直接燃焼するのではなく、いったんガス化、あるいは液化してから利用することにより、エネルギー変換効率を向上させたり、エネルギーとしての利便性を高める各種の技術が開発されつつあり、バイオマスから得られたメタンガスを燃料電池や輸送用燃料として利活用する取組が進められる等、今後の実用化が期待されるところである。特にバイオマスの部分的な酸化によって得られるガスを発電や液体燃料製造に用いるガス化については技術開発が精力的に進められている。(1)バイオマス利活用推進に向けた全般的事項に関する戦略(p18)未利用バイオマスである間伐材を含む林地残材等の利活用が、健全な森林整備を進め、森林の荒廃を防止し、地球温暖化の防止、国土の保全、水源のかん養など森林の有する多面的機能の維持増進につながるものであることについての国民各層の理解が重要である。このためには、ニーズに応じた正確で多様な情報を蓄積し、わかりやすく提供することが重要であり、バイオマスに関連する情報を効率的かつ効果的に整理・提供することが必要である。 いかに安易な補助金であったかということですが、ドイツの地についた補助と較べると、かなり情けないのが日本の補助金なんですね。役立たずの役人と、強欲な電力資本が日本の自然エネルギーを歪めてきたのでしょうか? 大震災の後で、木質廃材の処理も兼ねることもできるバイオマス発電は一石三鳥くらい有望なはずであるが・・・・この際、どう転ぶか見物です。 更に読み進めます。<林業を混乱させかねない電力買取制度案>p248~251 他方で、バイオマスエネルギー導入に際して最低限守るべき原理原則もなく、大量の補助金を投入してきた発電も死屍累々である。 発電の場合、一定規模以上でないと効率が上がらないことから、木材生産が停滞している日本では、その分ハードルが高い利用方法のはずである。 日本では、発電に対する助成策もあって、バイオマスの発電プラントが相次いで建設され、現在その数は150基近くに達している。ところが、路網の未整備や技術力不足などにより、木材生産が自立的に進むメカニズムが構築されていないから、安定して原料が得られる状態にない。加えて、建設不況の影響で建設廃材も減少してきている。この結果、多くの発電プラントで燃料不足に陥っており、稼働率を落としたり、稼動休止に追い込まれたりしている。中には、竣工時に焚いただけで、以降一度も使われていないプラントすらある。 発電のさらなる問題は、小規模でも効率性が高く、技術も確立している電力・熱併用のコージェネがほとんど無視される一方で、ガス化発電などの実用化がまだ先か、事業性に問題のある技術の開発、それを用いた「実証試験」に巨額の予算が投入されてきたことである。 また、バイオマスの電力普及のためには買取制度も重要である。 たとえばドイツでは、2000年に再生可能エネルギーの電力固定価格買取制度が導入されて以降、バイオマスの電力利用が急増したことはすでにみたとおりである。日本もドイツに遅れること十数年、ようやく再生可能エネルギー電力の固定価格での買取制度の導入が検討されているが、経産省で検討されている買取制度案では、林業界はむしろ混乱に陥りかねない。 この点、買取制度の設計で、それぞれのエネルギー事情に合わせたきめ細かな対応をしているドイツと比べるとわかりやすい。(中略:小規模やコージェネにより篤い買取制度) このようなドイツの制度と比較すると、現在発表されている日本の固定価格での買取制度案は、問題だらけである。その最大の問題は、1.石炭発電所や廃棄物発電において、バイオマスとの混焼が認められていること、2.それにもかかわらず「」という理由で、買取価格が一律20円で設定されていることである。 林地残材などを利用する純粋なバイオマス発電の場合、新規に発電プラントを建設することになるが、石炭火力発電での混焼の場合、既存の発電設備をほぼそのまま使って発電できるため、設備を少し改良する程度で混焼に対応することが可能である。しかも、石炭火力発電所はバイオマス発電と異なり、出力規模が大きいため、バイオマスによる発電効率も上げることができる。このため、20円の買取価格が混焼にも適用されるとすると、あまりにも既存の発電事業者に有利になる。 他方で、丸太の調達価格を上げることによって買取価格20円を林業に還元するとなると、今度は、立法メートル当り1万3000円前後で買い取れる計算となってしまう。もっとも付加価値の低い木材を最後に燃やして使うというバイオマスエネルギー利用のほうが、製材工場や合板工場での丸太価格よりも高くなることになる。そうなれば、丸太の仕分け作業が不要で、いい材も悪い材も何でも持ち込める石炭混焼に木材が流れることになり、既存の木材産業は丸太の買取価格を値上げせざるを得なくなってしまうだろう。 これは、林業・木材産業の本来あるべき産業構造を根底から覆すもので、林業界を大きな混乱に陥れることになりかねない。これはまた、無秩序な伐採を誘発し、森林をぼろぼろにしかねない危険性をはらんでいる。おが粉、林地残材などの副産物利用によるバイオマス発電がベストであるが、丸太などの主産物利用のバイオマス発電となっては困ると著者は言っています。要するに現状の買取制度には、日本の森林を守り育てるという視点は抜けているわけで・・・・この点に関しては、経産省と電力業界には猛省を促したいと(著者になりかわり)言いたいのです。我が国森林・林業の再生をいかに進めるかに著者とこの本が紹介されています。ところで、菅さんがソーラーパネルの勇み足発言を31日に陳謝したようです。(軽いと言われないよう、注意しましょうね)5/31菅首相:太陽光パネル発言で陳謝 「聞いてない」閣内不満より 菅直人首相がエネルギー政策の見直しに関し「約1000万戸の屋根に太陽光パネルを設置」と表明したことで、閣内に不満がくすぶっている。政府内の調整をほとんどせず発言したためで、担当の海江田万里経済産業相は27日の記者会見で「聞いていない」と困惑。31日の閣僚懇談会では中野寛成国家公安委員長に「重大な発言をされる時は事前に閣僚と情報や意識を共有して」とたしなめられ、首相は「今後は気をつけたい」と陳謝した。 発言は25日、パリであった経済協力開発機構(OECD)設立50周年式典での演説で飛び出した。演説草稿には盛り込まれておらず、首相が急きょ付け加えたものだった。
2011.06.01
コメント(0)
全31件 (31件中 1-31件目)
1

