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2011.06.27
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カテゴリ: 気になる本
まだ読んではいないけど「なんもかんもわやですわ、アメリカはん」という書名が関西人にとっては気になっていたが、このたび「年寄りはだまっとれ!」という更に過激な書名の本を図書館で借りたのです。
著者の米谷ふみ子さんは、芥川賞作家でもあり、小田実氏の幼馴染だったことを、この本を読んで知ったのです。
読む前には、佐藤愛子さんのような老人路線の本かと思っていたが、ところがどうして予想に反して、反戦平和、言論の自由路線バリバリのわりと過激な(真っ当な)本でした。

「年寄りはだまっとれ!」米谷ふみ子著、岩波書店、2009年刊

<はじめに>p1~2
 「年寄りはだまっとれ!」ですって? なかなか。
「言わざるは腹ふくるる業なり…」と兼好法師が700年の昔に人間の生理をよく弁えて言ったでしょ。大いに喋らせていただきますわよ。私たち年寄りは、世界の流行の先端を行っているのですから… 。若者は私たちのことを“けち”呼ばわりしますが、今となってはけちの効用も考えるべき。エコロジカルな観点からみますと私たちに勝るものはいません。死期が近づいた者には、人生で大切だった経験を何もかも忌憚なく若者に伝える義務があると思っています。大いに聞いてもらいましょう。私たちが通ってきた道を再び繰り返さないようにね。

 戦争中に政府から押しつけられた、愛国心という言葉を聞くとゾオーツとします。どの国にも愛国心という言葉を遣って国民を操ろうという指導者がいるものです。何人も自分の生まれた国が世界に誇れる人道的な行為をしてくれれば嬉しいものなのです。
 次に掲げる愛国心に関する箴言は私が気に入っているもので、読者も読んで考えてください。

●マーク・トウェイン
「愛国心とは、政府が自分の国を滅ぼすのを防ぐ人のこと」
 今のアメリカで憲法違反して国を壊しかけている現政府から、誰がアメリカを救うか。
●アイゼンハワー大統領「作られた銃、進水された戦艦、ぶち上げられたロケットは、空腹でも食べ物がなく、寒くても着るものがない人々から盗んだものだ」
 めったに大統領がこのような真実を言わないので、入れておきます。



<はじめに>p9~12
 なんでも喋るアメリカ人でも、日本人に面と向かって日本の批判は避けるものですから、アメリカ人と一緒に住んでいる人や、一緒に長年働いている人に話を尋ねるべきなのです。そうしないと結果的に日本が損をします。
 ことに、ルポというものほど危ないものはありません。日本を出る前から結論を決めて、それに当てはまる材料だけを前もって集めることが多いからです。
 私には、今、日本のメディアが鎖国をしているようにみえます。メディアが日本やアメリカの権力者を恐れているようです。これでは何のために書いているのか分かりません。メディアの仕事は、政府が間違った税金の遣い方っをしていると納税者に知らせることだと、私は考えているからです。言論の自由や知ることの権利を、メディアか政府かそのどちらもかわかりませんが、あの立派な憲法を無視して庶民から取り上げてしまっています。私は今、身をもってそれを感じています。それは戦中を経験したから敏感なのです。経験していなかったら、今の状態が何なのか分からないでしょう。メディアが戦争やファシズムを防ぐべきなのです。
 私の経験では、中国新聞と赤旗、それに東京新聞は大切なことをカットしませんが、大新聞は私個人の名前で書いていても書き手に知らせずにアメリカ政府批判や日本政府批判をカットします。ラジオでもこちらのことを正直に伝えると、二ヶ所から外されました。
(中略)
 実際に、私の名前が明らかにブラックリストに入っていると分かったのは、NHKのラジオです。その番組では、いつも本が出るたびに私にインタビューしてくれていたのですが、10年ほど前、そのディレクターが、上司に呼ばれ私をインタビューするなと言われた、と私と私の編集者を前に話したのです。「貴方のファイルを調べに行きました。理由は米谷さんがよく偏見や差別のことを話すからだということでした」メディアで偏見のことを話せないのなら処置なしです。多くの日本の学校で起こっている、そして自殺者まで出ている“いじめ”が偏見であるということも、その上司には分からないらしいのです。人間の脳はいろんな意見を聞いて(刺激を与えて)初めて脳細胞のシナプスが活発になります。同じことを繰り返し聞いている人の脳は眠ってしまう。今は日本中に刺激がありません。今ではもう、終戦直後のように個人個人で考えさせることをしていません。学校でも同じらしいので、今の日本では皆の脳のシナプスが眠っているのでしょう。そのディレクターは、私の書いた本をとても気に入っていて、インタビューできないのでしかたなく「私の本棚」のコーナーで読んでくれましたが、それが最後でした。翌年、私が女流文学賞を貰った時、彼からNHKと書かれた、昔のカフェーの開店祝いにやくざから届けられたような、格好悪いほど大きな花輪が会場に届いていました。



<世界的英雄、近所の洟垂れ小僧>p66~68
 彼と最後に会ったのは、大阪のホテルニューオータニだった。対談がすんで、編集者が上のラウンジに行きましょうと言ったので、小田さんがホテル内にいる私の夫のジョシュも呼べよと言った。小田さんの隣にジョシュが座り、四人で低いテーブルを囲み、それぞれ飲み物を頼んだ。小田さんはウィスキー、編集者はビール、私はジュース、ジョシュはジン・フィズ。編集者が何を思ったのか小田さんに「小田さんの英語は大阪弁の英語ですなあ」と言った。編集者は冗談のつもりだったのだろうが、小田さんはただちに目を吊り上げて、ラウンジ中が震えるほどの大声を出し、「なんやとー。英語も喋れんくせに!馬鹿にするなあ!」と怒り出したのだ。ああ、これでなかったらべ平連もでけへんかったやろうなあ、この声!と思いながらも、私は震え上がった。ラウンジが空っぽだったのが幸いだった。彼が編集者を殴りつけないかと心配になったほどだった。
 小田さんはそれから「米谷さんも僕も、異民族と結婚していて大変な苦労をしてるんやぞ。君にはわからんやろが!」と怒鳴っている。彼は隣に座っているジョシュの背中を大きな手でばしっと叩いた。ジョシュは日本語が分からないので何が起こっているのかわからない。「・・・・やあ」とか「分からんのかぁ」というたびに背中をバシッと叩く。力のある大きな手で叩くので心配になり出して、遂に「小田さん、ジョシュ、心臓悪いのよ、そんなに叩いたら、心臓発作を起こすかも分からんよ」と言うと、気がついたらしくぴたっと止めた。それから静かに「僕らはなあ、ジョシュ、連れ合いの言うことを聞かんとあかんなあ。女の人はえらいからなあ」と言った。
 これが最後の別れになるとは予想もしていなかった。一生忘れない別れであった。

 終戦間近に六甲から夕陽丘高女に電車通学して、勤労奉仕の毎日だったようです。
爆撃直後に川西航空機付近の爆撃跡を歩いたり、空襲警報が鳴ると地下鉄に乗り換えて通学するという危うさに、父親が画策して鳥取県に疎開した米谷さんだけに・・・・
反戦平和の思いは切実なんでしょう。

天王寺区で小田実とは6軒はなれたお隣さんという幼馴染であり、同じようにフルブライト留学するのもすごいけど・・・・
45年ぶりに会うまで、お互いがお隣どうしであったと気づかなかったそうです。






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Last updated  2011.06.28 11:48:40
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