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2011.06.01
XML
カテゴリ: 自然・環境
菅さんがG8で、自然エネルギー比率を2020年までに20%に、ソーラーパネルも1000万戸と発表しましたね。
ビジョンをぶち上げるのは為政者の役割であるとしても、ソーラーパネル発言には経産大臣への根回しがなかったと言われるように、「ほんまかいな?」と思うわけで、発言がなんとも軽いのです。

一方さきごろ、ドイツ政府は原発廃止の方針を決定したようだが・・・・
緑の党という野党がいるほどエコ意識の高い国のエネルギー政策転換には現実味が感じられるのです。

ドイツの自然エネルギーと言えば、太陽光、風車がまず思いあたるが、自然エネルギーのうちバイオマスの割合が約5割(日本は25%)もありバイオマス先進国である。
そのあたりについて「日本林業はよみがえる」より紹介します。

「日本林業はよみがえる」梶山恵司著、日本経済新聞出版社、2011年刊

<木材の主産物利用をする日本のバイオマス>p245~248
 日本では、2002年にバイオマス・ニッポン総合戦略を策定し、巨額の予算を投入してきたが、その成果となるとほとんど認められないのが実態である。以下では、ドイツのバイオマスエネルギー拡大の軌跡を念頭に、日本の政策を浮き彫りにしたい。
 すでにみてきたとおり、バイオマスの基本は熱利用であり、熱利用拡大の順序は、薪、チップ、ペレットである。しかし、日本ではチップはともかく、もっとも基本的で小規模の利用がもっぱらの薪利用の開拓には関心が払われず、施策の中心はチップとペレットに集中してきた。
 チップは、加工が簡単で運搬も比較的容易であることから、林地残材の有効利用にもっとも適した形態と言えるが、日本では路網が未整備で、残材をチップ化するチッパーのような機械が林地に入れないなど、林地残材を直接チップ化する条件が整備されていない。 こうした中、公共の宿泊施設などにチップボイラーを導入するなどの例が出てきているが、多くは、そのためにわざわざ木材を伐採し、製材工場などに運んでチップ化して使うという、バイオマスエネルギーの主産物利用である。

 バイオマスエネルギーの主産物利用は、ペレット生産でも同じである。ドイツのペレット工場は、製材工場で必然的に出るおが粉を利用した副産物利用であるが、日本ではペレットを生産できるだけの規模の製材工場がほとんど存在せず、そうした中でペレットをつくるとすると、基本的に丸太からつくることになる。これがいかに事業性を無視したものであるかは、単純計算ですぐにでもわかる。
(中略)
 さらに、丸太からペレットを作る主産物利用では、丸太をおが粉にするための破砕機、それを乾燥させる乾燥機、ペレットに固める成型機が必要となり、その償却負担も相当なものに上る。これに、人件費や電気代、燃料代などを加えれば、実質的には膨大な赤字を抱え込むことになるはずである。
 それにもかかわらず、こうした事業が行われるのは、1.林業に対する補助金により実際のコストよりもはるかに安い価格で丸太が調達できる、2.設備に対する補助金によって、設備投資の償却が圧縮されるため償却負担が表面化しない、3.森林組合などでは、補助単価の高い森林整備事業の黒字で工場の赤字を補填して辻褄を合わせている、などのためである。これでは、事業が採算ベースに乗ることは永遠にあり得ず、補助金がなくなれば事業も終わる。


バイオマス・ ニッポン総合戦略 ですか・・・
パッと見には言語明瞭なんだけど成果がいまいちのいわゆる、お役人のお役人によるお役人のための戦略だったんでしょうか?

やはり頭でっかちで実態が伴わない、お役人の作文なんでしょうか?

バイオマス・ ニッポン総合戦略
(i)エネルギー利活用(p7)
 バイオマスを直接燃焼するのではなく、いったんガス化、あるいは液化してから利用することにより、エネルギー変換効率を向上させたり、エネルギーとしての利便性を高める各種の技術が開発されつつあり、バイオマスから得られたメタンガスを燃料電池や輸送用燃料として利活用する取組が進められる等、今後の実用化が期待されるところである。特にバイオマスの部分的な酸化によって得られるガスを発電や液体燃料製造に用いるガス化については技術開発が精力的に進められている。

(1)バイオマス利活用推進に向けた全般的事項に関する戦略(p18)
未利用バイオマスである間伐材を含む林地残材等の利活用が、健全な森林整備を進め、森林の荒廃を防止し、地球温暖化の防止、国土の保全、水源のかん養など森林の有する多面的機能の維持増進につながるものであることについての国民各層の理解が重要である。このためには、ニーズに応じた正確で多様な情報を蓄積し、わかりやすく提供することが重要であり、バイオマスに関連する情報を効率的かつ効果的に整理・提供することが必要である。


 いかに安易な補助金であったかということですが、ドイツの地についた補助と較べると、かなり情けないのが日本の補助金なんですね。
役立たずの役人と、強欲な電力資本が日本の自然エネルギーを歪めてきたのでしょうか? 大震災の後で、木質廃材の処理も兼ねることもできるバイオマス発電は一石三鳥くらい有望なはずであるが・・・・この際、どう転ぶか見物です。

 更に読み進めます。

<林業を混乱させかねない電力買取制度案>p248~251
 他方で、バイオマスエネルギー導入に際して最低限守るべき原理原則もなく、大量の補助金を投入してきた発電も死屍累々である。
 発電の場合、一定規模以上でないと効率が上がらないことから、木材生産が停滞している日本では、その分ハードルが高い利用方法のはずである。
 日本では、発電に対する助成策もあって、バイオマスの発電プラントが相次いで建設され、現在その数は150基近くに達している。ところが、路網の未整備や技術力不足などにより、木材生産が自立的に進むメカニズムが構築されていないから、安定して原料が得られる状態にない。加えて、建設不況の影響で建設廃材も減少してきている。この結果、多くの発電プラントで燃料不足に陥っており、稼働率を落としたり、稼動休止に追い込まれたりしている。中には、竣工時に焚いただけで、以降一度も使われていないプラントすらある。
 発電のさらなる問題は、小規模でも効率性が高く、技術も確立している電力・熱併用のコージェネがほとんど無視される一方で、ガス化発電などの実用化がまだ先か、事業性に問題のある技術の開発、それを用いた「実証試験」に巨額の予算が投入されてきたことである。
 また、バイオマスの電力普及のためには買取制度も重要である。
 たとえばドイツでは、2000年に再生可能エネルギーの電力固定価格買取制度が導入されて以降、バイオマスの電力利用が急増したことはすでにみたとおりである。日本もドイツに遅れること十数年、ようやく再生可能エネルギー電力の固定価格での買取制度の導入が検討されているが、経産省で検討されている買取制度案では、林業界はむしろ混乱に陥りかねない。
 この点、買取制度の設計で、それぞれのエネルギー事情に合わせたきめ細かな対応をしているドイツと比べるとわかりやすい。
(中略:小規模やコージェネにより篤い買取制度)

 このようなドイツの制度と比較すると、現在発表されている日本の固定価格での買取制度案は、問題だらけである。その最大の問題は、1.石炭発電所や廃棄物発電において、バイオマスとの混焼が認められていること、2.それにもかかわらず「」という理由で、買取価格が一律20円で設定されていることである。
 林地残材などを利用する純粋なバイオマス発電の場合、新規に発電プラントを建設することになるが、石炭火力発電での混焼の場合、既存の発電設備をほぼそのまま使って発電できるため、設備を少し改良する程度で混焼に対応することが可能である。しかも、石炭火力発電所はバイオマス発電と異なり、出力規模が大きいため、バイオマスによる発電効率も上げることができる。このため、20円の買取価格が混焼にも適用されるとすると、あまりにも既存の発電事業者に有利になる。
 他方で、丸太の調達価格を上げることによって買取価格20円を林業に還元するとなると、今度は、立法メートル当り1万3000円前後で買い取れる計算となってしまう。もっとも付加価値の低い木材を最後に燃やして使うというバイオマスエネルギー利用のほうが、製材工場や合板工場での丸太価格よりも高くなることになる。そうなれば、丸太の仕分け作業が不要で、いい材も悪い材も何でも持ち込める石炭混焼に木材が流れることになり、既存の木材産業は丸太の買取価格を値上げせざるを得なくなってしまうだろう。
 これは、林業・木材産業の本来あるべき産業構造を根底から覆すもので、林業界を大きな混乱に陥れることになりかねない。これはまた、無秩序な伐採を誘発し、森林をぼろぼろにしかねない危険性をはらんでいる。


おが粉、林地残材などの副産物利用によるバイオマス発電がベストであるが、丸太などの主産物利用のバイオマス発電となっては困ると著者は言っています。

要するに現状の買取制度には、日本の森林を守り育てるという視点は抜けているわけで・・・・
この点に関しては、経産省と電力業界には猛省を促したいと(著者になりかわり)言いたいのです。

我が国森林・林業の再生をいかに進めるか に著者とこの本が紹介されています。

ところで、菅さんがソーラーパネルの勇み足発言を31日に陳謝したようです。
(軽いと言われないよう、注意しましょうね)


5/31 菅首相:太陽光パネル発言で陳謝 「聞いてない」閣内不満 より
菅直人首相がエネルギー政策の見直しに関し「約1000万戸の屋根に太陽光パネルを設置」と表明したことで、閣内に不満がくすぶっている。政府内の調整をほとんどせず発言したためで、担当の海江田万里経済産業相は27日の記者会見で「聞いていない」と困惑。31日の閣僚懇談会では中野寛成国家公安委員長に「重大な発言をされる時は事前に閣僚と情報や意識を共有して」とたしなめられ、首相は「今後は気をつけたい」と陳謝した。

 発言は25日、パリであった経済協力開発機構(OECD)設立50周年式典での演説で飛び出した。演説草稿には盛り込まれておらず、首相が急きょ付け加えたものだった。





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Last updated  2011.06.01 17:38:42
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