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2011.06.02
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カテゴリ: 自然・環境
テレビを見ると自民党議員が内閣不信任案提出で騒いでいるが、はなはだ気分が良くないのです。(現在進行中の非常時に、敵失を捕まえて許さない演説は聞くに堪えないのだ)

昨日の続きとなるが・・・・
あるべきバイオマス利用、バイオマス普及の姿について引用します。

「日本林業はよみがえる」梶山恵司著、日本経済新聞出版社、2011年刊

<集中投資による成功事例の普及、展開を>p252~255
 日本では、制度の導入や規制などの制度設計も、林業の抜本改革もないまま、バイオマス振興として、巨額の補助金が投入されてきた。このような予算の使い方が、砂地に水をまくに等しいことは、当初からわかりきっていたことである。
 しかし、これからは、再生可能エネルギーの電力買取制度が導入されるし、2020年に木材自給率50%を目標とする林業の抜本改革が本格化する。つまり、バイオマスエネルギー利用拡大のための前提条件は揃いつつある。今や、従来の政策を抜本的に見直し、真のバイオマスエネルギー普及拡大のための現実的な戦略を考えるときに来ている。
 現状では、施行集約や路網整備により木材整備が本格化するのはこれからであることを考えると、まず必要なのは、地域における小規模の需要と供給を着実につなげていくことだろう。
 そこで、足元を見ると、温泉やホテル・旅館、園芸ハウスなどの施設で相当の化石燃料を使っているのであり、まずはこれを薪やチップのバイオマス・ボイラーに置き換えていくことだけでもかなりの需要開拓ができるはずである。そもそもこれらの多くは、森林資源に近いところに立地しており、条件的にも有利なはずである。
(中略)
 バイオマス普及に不可欠なのが、燃焼効率が高く、使い勝手の良い薪やチップのボイラーやストーブである。現在バイオマスに投入されている巨額の研究開発は抜本的に見直すべきである。ガス化発電やエタノールなど、実用化がまだ先であったり、事業性について問題の多い研究開発は後回しにし、今必要とされている技術の開発に振り向けるべきである。そもそも、今までの研究開発や実証試験と言われるものについては、その効果を利害関係の無い外国の研究機関などに委託して、徹底的に検証し、公表すべきである。
 バイオマス利用は、路網整備や木材生産が活発化してはじめて、そのシステム的な利用が可能になる。そうした意味では、施行集約や路網整備で先行する地域において、その事情に合わせたバイオマス利用の模範的な事例をつくるための集中投資を行い、まずは実績をつくることが今最も求められることだろう。 


この本の著者梶山氏は現政府(内閣官房国家戦略室)の内閣審議官であり、農水省「森林・林業再生プラン」策定に参画したそうです。
抜本改革案には違いないが、大規模な施行集約については、小規模な現場から異論もあるようです。

<林業の抜本改革を目指す>p260~261
 2010年11月に農林水産省より発表された「森林・林業再生プラン」は、このような認識の下、保育から利用へと林業の抜本的な改革を行うべく、そのための具体的な道筋を示したものである。 
 森林・林業再生プランは、菅総理大臣(当時は副総理)が、政権交代直後に林業の抜本改革を指示したことをきっかけとしている。これを受け、09年12月に改革の方向性を示す森林・林業再生プラン基本方針が策定された。以降、農林水産省に設置された森林・林業再生プラン推進本部の下に5つの検討会を設けて、10ヶ月にわたり延べ80回を超える会合で議論を重ね、2010年11月に最終報告書として取りまとめられた。
 民主党政権は2010年6月に発表した新成長戦略において、「21世紀の日本の復活に向けた21の国家戦略プロジェクト」を選定したが、森林・林業再生プランは、その中の一つに位置付けられている。
 森林・林業再生プランにおける改革への強い意志は、最終報告書の前文に表れている。 そこには、日本林業が困難に陥った理由として必ず出てくる「材価の低迷」という言い訳の文言は一切入っていない。再生プランでは、林業の今の問題を「持続的な森林経営を構築するビジョンや、そのために必要な実効性のある施策や実行体制を確立せず、森林所有者に対する働きかけが十分でなかったこと、これにより施行集約や路網整備、機械化の立ち遅れによる林業採算性の低下、森林所有者の林業に対する関心の低下という悪循環に陥っている」と分析し、だからこそ「林業の抜本見直しを行い、新たな森林・林業政策を構築していく」としているのである。 再生プランで目指すのは、森林所有者に対する専門的なサポート体制を構築して、施行集約とそれによる路網整備・間伐を一体的に行い、森林の多面的機能をより引き出すとともに、林業の再生を図り、資源の将来につなげていくことである。


森林には関心がある大使なんですが、森林管理についてはド素人なので、森林所有者と森林組合の関係がよくわからないのです。(山持ちの人でもわかってない人もいるそうです)
そのあたりについて、勉学のため、引用します。

<林業関係者の役割分担・連携を促す仕組み>p125~129
 日本の個人所有林の場合、所有者のほとんどが林業から離れてしまっている。このため、所有者に代わる経営の担い手が森林保有者に対し施行提案を行い、施行(これから中心になるのは、路網と間伐による木材生産)のアレンジ、木材販売など林業経営の機能を代行する包括的なサービスを提供する必要がある。そのシステムを構築しない限り、木材生産は進まないし、森林は荒れ放題になってしまうだろう。
 この点、日本と所有形態の共通性が高いフィンランドでは、所有者の組織である森林所有者協会がこうした機能を担っている。日本にもそれに相当する組織が存在している。森林所有者の協同組織である森林組合である。森林組合は全国に存在し、民有林面積の7割をカバーしており、所有者に代わる経営の担い手として、これ以上ふさわしい組織はない。
 ところが、驚くことに、所有者に代わる経営の担い手としての機能を果たしている森林組合は例外的な存在である。多くの森林組合がやってきたことは、県有林や市町村有林の森林整備事業、県の林業公社や独立行政法人である緑資源機構などが発注する事業、および保安林整備事業などの公共事業や国有林事業がもっぱらだった。これらは基本的に画一的な作業で、あまり技術力がなくても何とか対応できる保有事業が中心である。
 この結果、森林組合は、行政に仕事をお膳立てしてもらえる公共事業でなんとか日々の糧にありつけたため、所有者のための組織という本来の業務を忘れてしまった。この結果、日本の森林の大多数を占める個人所有林は放置されるままになってきた。
 他方で、森林組合がダメならば、競争原理を導入すればいいのではという意見も根強い。ところが森林情報を持たず、信用力でも劣る民間が、森林所有者に働きかけて仕事を獲得するのは、大きな困難を伴う。しかも、複数の森林所有者を取りまとめなければ路網を構築することもできないのが今の日本の現状である。民間の努力だけでとてもやりきれるものではない。
 こうした中で森林組合と民間事業体とを競争させれば、森林組合はますます警戒して、森林所有者の囲い込みを図り、民間は不利な立場に追い込まれかねない。これは建築現場で設計士と大工が喧嘩するに等しい行為であり、林業の健全性は大きく損なわれてしまう。
 つまり、部分的にはともかく、面的には、森林組合以外に所有者に代わる森林管理の担い手としての機能を担いうる組織は存在しない。したがって、林業のシステムを健全化しようとすれば、森林組合が本来の役割を果たすように改革することこそが、林業再生の第一歩となる。
 具体的には、森林組合が組合員以外の事業を行うこと(員外利用)を厳しく制限し、組合の業務を森林所有者に対するコンサルティングに特化させることである。これによって森林管理と現場作業とを明確に分離できれば、現場の作業は民間事業体に委託することになり、森林組合と民間との役割分担は明確になって、相互連携は自ずと進むだろう。


「森林・林業再生プラン」に対して、集約化には困難な面も多く「国には現場の状況をよく見てほしい」との声があるようです。難しいものですね。

集約化「地域に合わぬ」2010年06月24日
筒井さんの山は約30ヘクタール。保有山林1ヘクタール以上の世帯を指す「林家(りん・か)」のなかでは小規模の方だ。筒井さんは小学生の頃から父親の下草刈りを手伝ってきた。中学卒業後、専門学校で農業を学び、父の後を継いだ。仲間と林業研究会をつくり、愛媛県久万高原町や奈良県吉野町など全国の林業地で技術を学んだ。

 この約30年間で、筒井さんの山の木材出荷額は年間約180万円から、約3分の1の約60万円に減った。将来は長男に山を管理してほしいと願うが、今の情勢では「継いで、とは言いづらい」と思っている。

■ ■
 県森づくり推進課によると県内の森林面積約60万ヘクタールのうち、民有林の割合は79%。県産木材の価格は輸入木材に押されて下がり続け、県内の2008年の林業生産額はピークだった1980年の344億円の18%、約62億円に落ち込んだ。

 この間、県内の林家も減り続け、80年に約2万8600戸だった林家は、05年に約2万4800戸に減少。このうち30ヘクタール以下の小規模林家が約2万4000戸を占める。

 国は昨年12月に策定した「森林・林業再生プラン」で「10年後の木材自給率50%以上」を掲げ、経営の集約化と大型機械導入で外材に対抗する方針を打ち出した。森林組合や民間事業者などが数百ヘクタール規模で経営計画を立て、小規模林家から土地を受託。大型機械で効率的に作業する形を描く。助成制度も見直し、集約化をめざす事業者に集中的に助成する方法が検討されている。

■ ■
 本山町の木材市場。嶺北地方の製材会社や林家などでつくる「嶺北材ブランド化協議会」が07年に開発した木造住宅キット用の丸太が保管されている。

 同協議会会長で嶺北木材協同組合理事長の田岡秀昭さん(59)は言う。「嶺北では小規模林家が良い木を出し、農業などもしながら山村を守ってきた。経営の集約化に偏重せず、小規模林家も生き残れるよう、地域に応じた施策ができるようにするべきだ」

 国の再生プランでは、主に市町村単位で設けられている森林所有者の協同組合「森林組合」が集約化の担い手の一つとされている。

 県森林組合連合会の戸田文友会長(69)は「高齢化した山主に代わって計画を立て、管理していくのが森林組合の責任だ」と説明する。

 集約化に向けて計画を立てる「森林施業プランナー」を約60人養成するなど、これまでも集約化に努めてきた。だが、県内は地形が険しいうえ、土地所有者が多い。集約化には困難な面も多く「国には現場の状況をよく見てほしい」と訴える。

 これまで同連合会の会員らは、国政選挙では自民党を中心に応援してきたという。だが、今回の参院選では特定の政党や候補の応援は見送る方針だ。「政権が代わるたびにころころ変わらない長期的な視点で政策を考えてほしい」(前田智)







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Last updated  2011.06.02 15:58:27
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