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でも、かぐや姫の言葉を信じるしかない。
見ているだけしか出来ないけど、
彼女を守りたいと思う。
他の男に何かされたら大変だ。
彼女と愛し合ってる僕でさえ我慢してるのだから。
それにしても、触れられないのは辛い。
肌に触れたら、そのまま進んでしまいそうで怖いのだ。
このまま見てることしかできないのか。
「クシュン」
かぐや姫のくしゃみだ。
裸でいたら、寒くなってきたんだろう。
「風邪ひくよ。」
慌てて、タオルケットを持っていって、かけてやる。
「ありがとう。」
僕を済まなそうに見つめる瞳が痛い。
抱きしめたいけど、抑える自信もなく、
彼女から離れてしまう。
「待って」
僕の背中が温かくなる。
彼女が後ろから抱き付いてきたのだ。
「やめてくれないか」
嬉しいけど、哀しすぎる。
「これ以上僕を苦しめないでくれよ。」
「ごめんなさい。」
パッと離れる彼女。
つい口に出して言ってしまったが、
傷つけてしまっただろうか。
でも、こうして同じ部屋で夜を過ごすのは酷だ。
今夜がやけに長く感じられるのは、
月の光のせいかな。
月に照らされた彼女を見たからだ。
「私、もう少しで帰られなければいけないの。」
唐突にそんなことを言い出す。
「そういえばもうすぐ十五夜か。」
帰って欲しくないと思うが、
この苦しみが続くのも耐えられない。
引きとめたくてもお迎えが来るんだよな。
「私が帰っても思い出してくれる?」
もう帰ることが前提なのか。
振り向いて、彼女を見つめる。
「思い出してしまうとは思うけど、
辛いから思い出したくないな。」
残酷なこと言ってるか。
息を呑んでるのが分かる。
彼女だって残酷だよ。
でも、わざとやってるわけじゃないんだよな。
少なくとも死んでしまうのは、どうしようもできないんだろうし。
うつむいてる彼女が可哀相になってきた。
「言い過ぎたよ。」
ポツンと独り言のようにつぶやいた。
顔を上げて、見つめる彼女。
その瞳から涙が溢れている。
こんなに傷つけてしまったのか。
涙をそっと口で吸い取った。
されるがままにされている彼女。
愛しくなって、抱きしめキスしてしまう。
キスだけならいいんだよな。
それだけにしておこう。
そう自分に言いきかせていた。
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