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小説「52ヘルツのクジラたち」(町田そのこ)の感想
映画化されてたので、題名は知っていた。読んでたのかと勘違いしてしまったが、自分のブログを確認したら、読んでなかった。夫が買った本ばかり読んでるから、記憶が曖昧になってるなあ。でも、福井旅行の1日目に読み始め、3日目帰宅する直前に読み終わりました。今回は、楽天ブログが通信エラーになり、なかなかアップできなかったから、割と読書に時間を費やせたかな。いつもは、行きだけ読み、旅行中はブログを書くのに必死になるので、読む暇がないのですよね。
偽善者か?本当にアンパンマンみたいなヒーローなのか?と思うほど、優しく寛容なアンさん。その優しさに甘え、尊敬はするけど、男女の関係には進まないでいたキナコ。自分を搾取・虐待する家族から救い出し、魂の番に出会うまで、それまで守るはと言ってくれたアン。亡くなってからも、神様を呼ぶように、アンさんの名前を呼ぶキナコ。私も心の中で名前を呼んでしまう人が居るから、共感してしまう。
キナコは52ヘルツのクジラのように誰にも声が届かない、聴きとって貰えないと思っていたが、心の声を聴き、アンが助け出してくれたのに、そのアンの想いに気づかず、応えられなかった。なぜ、アンは意思表示してくれなかったのか?ネタバレになってしまうけど、アンはトランスジェンダーで、キナコに告白出来なかったのだ。それでもキナコの幸せを願い、キナコの彼の主税の裏切りを告発する。それはアンの命懸けの願いだったのに、その遺書を主税が無惨にも焼き捨ててしまったから、キナコには許せなかったのだ。主税もだけど、自分自身をも。
それからは、死んだように生き、亡き祖母の古い家に逃げ込んだ。そこで息を潜めて生きるつもりが、もっと哀れなムシに出会ってしまう。自分がアンに救われたように、虐待されてるムシを救いたいと願う。それは自分の贖罪というか、自分が救われたいが為かもしれない。かえってムシに救われていたことに後から気づく。自分が引き取りたいと思うが、共依存では共倒れになってしまうからと、ムシの祖母や、友達美春に諭され、お互いに自立出来るようになったら、一緒に暮らす約束をする。
喪失と再生の物語ですよね。一筋の希望の光が差し込み、蜘蛛の糸のような細い糸にしがみついてしまう。それでも希望があれば生きていける。切なく儚いけど、人間は美しいと信じられる気がする。誰も信じられないと思っていたのに、助けてくれる人達が居ることに気づく。助けて!と声に出せば、手を差し伸べてくれることがあるかもしれない。何も言わず自分の殻に閉じこもっていては、そのまま死んでいくしかなくなってしまう。キナコはいい友達に恵まれたよなあ、と羨ましくも感じるが、私にも居るかもしれない。そう感じてないだけなのかな。仲間と友達の区別がよくわからない。友達になってるのかさえ、あやふやなのに、助けてとは言えないなあ。
夫でさえ、何かを真剣に言おうとしても、理解して貰えなかったり、うるさいと邪険にされると、もう何も言いたくなくなってしまう。もっと、お互い優しく話し合えればいいのだけど。何度もいろんな言い方ど説明してもうまく伝わらない、わかってもらえないと、もういいやと諦めてしまうのですよね。話すこと自体無駄な気がしてしまう。本の感想から、夫婦関係の話になってしまったけど、理解し合える関係って、羨ましいなあ。ただそう思ってるだけでは手に入らないのですよね。言わなければ、伝わらない。伝え方がよくわからないなだけど、苛立ってしまうからいけないのかな。お互いに。いろいろ考えさせられましたね。
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