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上の図の1から2に動こうとすることで、バンプ時にもブレーキングのノーズダイブ時にも抑制する効果が現れることになる。ブレーキング時はWeightは自分の重量の慣性によって車体の制動減速にかかわらず、進行していた方向に向かって進み続けようと働くので、インピーダンスリンクアームを圧縮しようとする力が働き、アームはそのWeightの慣性力によって2の図のように位置を変えようと動く。結果的にウエイトに対してボディーは持ち上がろうとするから、ブレーキング時のノーズダイブが減るように働くことになる。縁石などでバンプするときもボディーはタイヤからの入力で、図1から図2へとボディーは持ち上がろうと動こうとする。しかしそれはWeightをインピーダンスリンクアームを介して瞬時に前方に引っ張らねばならずエネルギーはそこでも相殺されるし、オイルダンパーに速いストロークを要求するから、そこでもボディーのバンプは抑制され、サスペンション以下の部品だけが動こうとすることになる。模式的図で説明すると以上のような仕組みが考えられるが、リンクのレイアウト等は様々な形式が考えられるしルノーのマス・ダンパーにインピーダンスリンクアームが存在しているかどうかは不明であるが、理論的には似た構造があると考えられる。オイルダンパーはマス・ウエイトの安定化には不可欠と思うが、これも定かではない。
2006.07.31
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先日、F1で問題になっているマス・ダンパーについて書き、さらにジャイロ効果を利用したものはどうだろう?と書いたのですが、競技の車両規則の面で難しいかもしれないのは、感じていたのですが、この高速に回るフライホイールのジャイロ効果を利用するという私のアイデアは、案外効果が大きいのでは、と改めて感じている。ジャイロ・マス・スタビライザーといったほうが適切だと思うが、レギュレーションの問題はさて置いて、具体的にはエンジンのクランク軸出力をベベルギアで水平の回転に置き換えて得ることが出来ると考えた。クランク軸の前端にアウトプットを設け、2:1程度のベベルギアで増速し、水平な回転を得るとして、一枚のフライホイールは直接回し、もう一枚は平ギアをもう一枚間に入れて反対方向に回転させるのだが、二枚合計で50mm程度のケーシングに封入する形で、エンジンの前方、ドライバーシートの背中の下辺りに配意したい。回転は、エンジンの回転が落ちるときにフライホイールの回転も一緒に落ちないように、ローラーベアリング型のワンウエイクラッチを使って回す方式とし、増速する方向にだけ力を伝達する方式とするので、一度回転を上げてしまえば、フライホイールのブレーキシステムを使って回転を落とさない限り、ほとんどエンジンパワーを奪う心配は無くなるし、エンジンパワーを最大に必要とする時には、別のクラッチなどで切り離すことも可能なのでパワーダウンは考慮せずに済むはずだ。そうして得た回転数はベベルギアのギア比がクランクの2倍とすれば4万rpmにも及び、一枚のディスク直系が40センチ~50センチで重さ10kg程度有れば、2枚のフライホイールからは恐ろしいほどのジャイロ効果が得られるので、コーナリング時の重心の移動によるロールは抑制され、車体のロールによるサスペンションのキャンバー変化は無視できるのでタイヤの接地角の維持の問題非常にシンプルな問題とすることが出来るし、加減速に伴うピッチングも激減できるので、グランドエフェクトのセッティングも非常に容易になるだろう。まあ、どんなに効果があるとしても規則で禁じられてしまえば使うことは出来ないのだが、このフライホイールによるジャイロ効果は、ヨットに応用すれば、非常に有効なローリング防止機構となることが想像できる。船体の中央部に船体幅に近い直径のローターを2枚反転方向で回しておけば、ヨットのセイルが受ける横向きの力をキールの下にぶら下げたバラストが無くても、傾かずにこらえる機能が得られるため、キールもバラスともかなり小さく軽いもので済ませることが可能になるだろうし、このフライホイールの回転軸を外力で、船体のローリング方向に回す機構を取り付けておけば、一度傾いた船体を、回転させるその反作用でバラストなしで復元させることも出来るだろう。ヨットにとって、推進の大きな抵抗になるキールとバラストを非常に小さく設計できることになると言うことは、ヨットの推進速度は非常に速くなると考えられし、大型艇では20トン以上もあるバラストを軽量にすることが出来るということは、船を加速するときに圧倒的に速くなることも予想されます。さらにその回転するローターにブレーキをかければ反作用でヨットは回転することになるので、素早いジャイブが可能になると考えられるのです。まあヨットは細長い船体ですから、こうしたペアのローターを数セット積めば相当に大きな効力を得られると考えられます。ジャイロ・マスで得られる性能はヨットのレースでは大きなアドバンテージになるはずですが、アメリカズカップのようなレースの船体の製造規則で禁じられていることかもしれないので、利用が出来るかどうかは不明です。Webでアメリカズカップの船体の規則を探していろいろと調べてみましたが、そういう記述を見つけることは出来ませんでしたので、或いは使えるかも知れません。ニュージーランドのブラックマジック艇をそういう技術で日本艇が打ち破るところを見てみたいものです・・・・・。どなたかその辺の競技艇の船体規則をご存知の方いらっしゃいましたら、是非コメントいただきたいと思っています。まあ、禁止されているのではないかと思いますが・・・・。
2006.07.30
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今日のAUTOSPORTWebの記事から、マス・ダンパーの謎が少しわかってきた。私が考えていたよりもずっと、シンプルな、ビルの制震ダンパーに近いもののようだ。今のところの報道からの理解では、何らかの方法で半ば上下には宙吊りのオモリにオイルダンパーの一端をを取り付け、もう一端をボディーに取り付けた構造と考えられそうで。こうした場合、ほぼリソリッドマウントにに近い取り付けのF1のフロントサスペンションは縁石などの乗り上げ時に、路面からの突入的入力があるとき、軽量なF1マシンは大きくボディーを弾ませることになりやすいのだが、このマス・ダンパーと呼ばれる仕組みがあると、慣性で上下動しにくいオモリに対してボディーの振動がダンパーを介して吸収し、なだらかに動くことで、ボディーの振動や、ジャンプを抑制していると考えられ、ブレーキング時のノーズダイブにも効果が期待できる。これに使われるオモリの重量がいかほどかは判らないが、ルノーでは、ノーズカウル内部にに仕込まれていた、とあるので、そんなに重いものである可能性は低い。たぶん10Kg前後ではないだろうか?このオモリは重いほど効果が出るのでZ軸回りの慣性モーメントという面で少し問題となるかもしれないが、リアヘビーになりがちなF1のこと、バラストを前方におくことが多いことから、どうせ置くなら、有効に使おう、ということでこうしたマス・ダンパーのアイデアに繋がった可能性が高い。つまり、重いほど効果的だが、操縦性に悪影響が出ない程度の重量で成立させていると言うことだろう。このシーズン途中で、こうした規則でもめると言うのは、やはりFIAの不手際と言えそうで、もう少し何とかしていただきたいし、危険への影響度を検証できる部門のグレードアップを図り、権威ある裁定を迅速にしてもらいたいと思う。そして、こうした工夫で機能を向上させるコンストラクターにはもう少し敬意を払ってしかるべきと考える。
2006.07.29
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レコードタイムは出せると確信していた遼であったが、これはバトルではなく、あくまでタイムトアイアルなので、僅かなミスの積み重ねでタイムを失うことを強く意識していた。ブレーキングドリフトも視界のきくコーナーだけのものであったし、右のブラインドコーナーで右一杯をクリップして走りたい誘惑を安全の為にこらえて走った。スロットルを開けている時間が長いほどタイムは必然的に良くなるものなのだが、ブラインドコーナーの先が緩やかな曲率のときは加速しながらのコーナーリングになって、ノンスリップデフの無いGTXは本当に苦しかった。ブラインドコーナーで思い切り突っ込んでいけない分どうしてもハーフスロットルで入ってゆくし、下がりすぎた速度からの加速では、内輪が浮き上がって、甲高いスキール音の後に車輪が再接地してギャっと鳴いてエンジンの回転が落ちる・・・・。「この次はノンスリップデフを組んで来よう」そう決意する遼であった。もう少しで頂上だ、と思っていると今日始めての対向車とすれ違った。ヘッドライトでその接近もわかったのでべつだん危険は無かった、ほんの僅かなタイムロスでしかないが、たびたび対向車に出会えばタイムはどんどん悪くなるものだ。もう少しだ、178番目のコーナーを過ぎたその時、ブレーキの反応が・・・・・、ガガガと言う感じの音が出て、べダルに振動が伝わった。「パッドだ!!」まだ充分持つと思っていたパッドが無くなった!もう強くは踏めない・・・。あと5つ、アト5コーナーでゴールだ。ブレーキングドリフトの多用のせいか?いやタイムアタックという極限的なブレーキングを行うせいであるに違いなかった。「くそう・・・・何てこった!」パッドを交換してこなかった自分を悔やんだが、仕方ない。ラスト数コーナーではブレーキをろくに踏めないのでややロスをしたがそれでもタイムは出たと思った。”長野県“の看板を過ぎたところでパセンジャーがストップウオッチを押した。「どうだ?」遼は聞いた。「**分23秒」パッセンジャーの声が一際大きくなった。 危なかった、もう少し早くパッドが無くなっていたら今日のチャレンジは何にもならなくなるところだった・・・・・。「しかしまいったな・・・・日曜日にこの車のパッド持ってる修理やさん開いてないだろう・・・・」軽井沢の町に車の修理工場は少ないし、あったとしても日曜日、合うブレーキパッドの在庫を持っている可能性は低いのだ・・・・・・・・。記録を破って自分がレコードホルダーとなった嬉しさもほとんど感じることも無く、遼は左に線路を見ながらトロトロと旧軽井沢の町に向かう坂を下りていった。つづく
2006.07.27
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先日、ルノーとフェラーリにも出されたのではないかと言われている、マスダンパーシステム禁止通達だが、まだ実際の装置が開示されていないから、詳しい仕組みは謎である。私はいろいろと考えをめぐらしてみる内に、こんな方法も可能性のレベルでなら考えられると思った。それは高速で回転する円盤などの起こすジャイロ効果の利用である。機械加工などで使われる、ディスクグラインダーを使ったことのある人なら、ジャイロ効果というものが感覚的に判るかもしれないし、オートバイなどを高速で走らせたことのある人なら、速度が上がると、タイヤとホイールのジャイロ効果でハンドルが重くなり、ねっとりと感じられる経験があるだろう。高速で回転する円盤などの回転軸を傾けようとすると、実際の質量の持つ起動モーメント力より相当大きな力を必要とすることになるのだが、この力を利用してみようと考えてみた訳だ。まあ、そういう装置をF1の狭いボディーの中のどこに仕組むことが出来るかと言うと、問題も多いが、たとえば厚さ5ミリ程度の直径40センチ程の鉄のディスクを数万rpmで水平に回転させたと考えると、そのジャイロ効果は相当大きく、ピッチングやローリングを抑制する効果が現れる。また、この回転体をディスクブレーキのようなパッドで、回転を止めようと摩擦すると、回転体の速度でで発生していた強い慣性力の反作用で、相対的に止まっているブレーキパッド側の質量(つまり車)を回そうとする力が働くことになる。自動車は左右のどちらにも曲がるので、こうしたディスクを2枚上下に配置し、それぞれを逆の方向へ高速に回しておくとして、車の上から見て右回転のディスクを止めようと動作すれば回転エネルギーが車を右に回転させようとすることになるし、左回転のディスクを止めようとすれば今度は車は左に回転しようとすることになる。この回転ディスクをドライバーのシートとエンジンの間あたりに車体に水平に配置出来れば、右へのハンドリング開始時に右回転のディスクに制動をかけることで、タイヤのコーナリングフォースだけに頼っていた車の向きの変更が容易になるはずだし、コーナリング時のローリングは回転のジャイロ効果で僅かでも減少出来るように働くし、右カーブでカウンターステアを当てるシーンでは、左にハンドリングするので左回転のディスクに制動をかけることによって、今度は車のZ軸回りの右への慣性モーメントに逆らって反作用が出るので、スピンしようとする車体の回転を効果的に食い止める効果が出るのではないだろうか。 ステアリングレスポンスの向上でめっぽうクイックな運動性が得られる可能性があると感じるし、マシンの水平方向に回る回転体のジャイロ効果は、垂直方向の重力と前後左右の慣性には影響が出ず、ピッチングとローリングだけにスタビリティーを発揮するので、競技用の車両にはもってこいの効果ではないだろうか?まあ、これは一つのアイデアで、仮説なので実際にどの程度の効果が得られるかは詳しく計算して見ないと判らないが、千分の1秒を争うレースでは、案外大きな効果が期待できると考えられるのだ。今回のスーパーアグリSA06はSA05に比べて20kgの軽量化が出来たそうだが、そうした規定重量より軽くなった分をバラストとして重量バランスを理想に近づける位置に積むことになるが、代わりにこうした装置を積めれば、重量バランスの改善以外に、マシンのハンドリングなどを改善する効果が期待できそうに思える。700kgしかないF1の重量のことを考えると、10kg程度の円盤を数万rpmで回転させれば想像以上に大きなジャイロ効果が出て、それを上手く利用できれば、ドライバビリティーの改善が可能になると考えるのだが・・・如何なものだろうか?是非皆様の意見を聞いてみたい。
2006.07.27
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先日、7月1日にアメリカ・コロラド州でパイクスピーク・ヒルクライムレースの90周年という記念すべき大会で我が国のドライバーと車が総合優勝を勝ち取った。今やその世界では知らない人はいないモンスター・田嶋こと、田嶋伸博君の活躍である。私は、このBlogの中の「タイムスリップ」カテゴリーで私の30数年前の出来事を”峠のヒルクライマー“シリーズという形で執筆しているのだが、30数年前の若きモンスター・田嶋との想い出があるので紹介したい。正確には覚えていないが、たぶん1971年の冬だったかもしれない。友人のラリーナビゲーター今井茂氏とドライバー綾部美津男氏が参加する、DCCSウインターラリーの応援に赤城山の麓まで出かけたときの事だった。麓のドライブインでミーティングを終え、ラリー参加車とサービスクルー、関係車両などは赤木山頂上近くの小沼での第一ステージ氷上ジムカーナの為にゾロゾロと曲がりくねった有料道路を登って小沼に着いた。そこで私は始めて田嶋伸博君に会ったのだが、その頃、彼はまだ無名で、当時日本のラリー界をリードしていた綾部美津男氏のサービスクルーとして此処にやってきていたのだった。三菱デリカバンにラリー用のタイヤや氷上ジムカーナ用のスタッドタイヤ、コンプレッサー、ガレージジャッキ等を満載して綾部美津男氏の駆るトヨタTE47トレノをサポートする彼は、人の良さそうな(本当に人は良かった)顔で、体はがっちりと大きく、若さに似合わず髪がすでにかなり薄く、モンスターのあだ名はそのラリースト仲間では異例に大きな体とその風貌から付けられたものと思う。彼との忘れられない想い出と言うのは、その氷上ジムカーナの第一ステージのあとのラリー区間の中でレストタイムが佐久市の岩村田に設けられていたため、サービスクルーは競技車両のメンテナンスやタイヤ交換などを行うために先回りして、待っている必要があったのですが、そこへ向かう途中の出来事でした。応援に行った我が夫婦と友人は、若き日のモンスター田嶋の運転するデリカバンと私が運転するスカイライン2000GTXの2台で赤木山麓から岩村田へと向かったのですが、デリカバンはエンジンに改造が加えられているらしく、満載のタイヤとコンプレッサーなどの重量をものともせずに猛然と加速して行くのです。まあ、それでも碓氷峠のような登りになればそうは行かないはずだ、と思っていたのですが、何を思ったか田嶋君、碓氷バイパスを避けて、私の得意な旧碓氷峠へ向かうではないですか!此処は私のホームグラウンドのようなところなので、彼がどんなに速く走ったとしても私の敵ではないと思っていました。もちろん車の違いは歴然たるものですし、バンは荷物で満載ですからね・・・・・。しかし、しかしです、かなり速いのです。確かに私が本気になるほどではないにしろ、あの車で、あの満載の荷物で、と、考えると空恐ろしい速さで旧碓氷峠を登っていくのです。私の得意な旧碓氷峠を私の前で私が普通に走ったのでは置いて行かれる程の速さで登っていったのです。そうコーナーでも速いし、あの重心の高い、荷物満載の重い車をどうやったらあんなに速く走らせられるのか?全く不思議でならなかったのです。結局、ラリーは綾部美津男・今井茂組が優勝し、帰りがてらみんなで安中市内の焼肉店で祝杯を上げたのですが、田嶋君はあの荷物満載のデリカでも私より速く走れると思っていたらしく、ぴったり着いて来るから引き離してやろうとしたんだけどね~・・・・・・だってさ!!私が旧碓氷峠のスペシャリストである事を彼は当然知らなかったわけですが、本当に恐るべき速さだったのです。このとき駆け出しの無名の見習いドライバーであった田嶋君が10年ほどして全日本のダートトライアルでその名をとどろかせた時、家内と「やっぱりね~あの速さは尋常じゃなかったよね~」若きモンスター・田嶋のモンスターぶりはすでにその時この目で見届けていたのです。パイクスピーク・ヒルクライムの記事は以下参照ください。http://www.suzukisport.com/motorsport/hillclimb/06/pikespeak/index.html
2006.07.25
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いったい何人が今までこの旧碓氷峠のヒルクライムに挑戦してきたのだろうか?遼は4500rpmから6800rpmの間を行き来するタコメターに目もくれずに、ただブラインドコーナーから現れるかもしれない対向車に神経を注ぎながら、後頭部のどこかでそんなことを考えていたように思う。今過ぎたあのコーナー・・・・どこかで経験しているような・・・・。初めてではないのだから、嘗て走った自分の記憶がそういう感覚を起こさせているのだろうが、この前にもあのギャップで車が外側に40センチほど飛ばされたような気が・・・・・。遼はこの旧碓氷峠以外も関東の峠はおおむね知っていたが、時々始めての道なのに、あそこを曲がると橋が見えるとか、此処を上ると駐車スペースがあって見晴らし台なっているとか、そんなデジャビューを見るような経験が時々あった。林道や、峠は少なからず似ていることもあるので、気に留めることも無かったのだが、悪い予感がしたときは、迷わず自分の予感を信じて回避行動に入ることはいつもの常であった。何故かと言えば、いつも何気なく通り過ぎる、視界のきかない交差点などで、こちらが優先道路でも、交差点直前でなぜか嫌な予感がする時がある。何故か突っ切れなくなってブレーキに足が掛かる。すると決まったように、車が一時停止せずに飛び出して来たりする。そんな経験が少なくない遼はそうした自分の感覚を信じることにしていた。全て予期できるなどとは一度として思ったことなど無いのだが、嫌な予感があるときは無理しないと決めていたのだ。その日の遼はブレーキングドリフトを使うようになって始めての碓氷峠だが、自分でも驚くほど上手く走れていて、前回のアタック時に、コーナリング中の内輪のリフトで駆動輪が空転して上手く走れなかったのとは違って、タイムを更新してレコードホルダーになることを確信していた。アプローチで外一杯からインに切り込み、間髪いれずにロック寸前のハードブレーキングすると、空気圧を3kg程入れたリアタイヤはスキール音とともに滑り出し、20度ほど進行方向より内側に傾いた姿勢を維持しながらゆっくりと旋回する感じで流れてゆく、もちろん重いフロントも強いブレーキングで流れているがそのフロントの流れとリアの流れのバランスが程良いのがスカイライン2000GTXのハードトップの特徴なのだ。カウンターステアを切っていないと思うほど僅かな操舵で安定したスライドを維持できるのは、この車のセミトレーリングアーム式リアサスペンションのキャンバー変化が、ボディーのローリング角度に対して程良くネガティブに動き、タイヤの接地面積が急変することなく推移することで、こうした穏やかでコントローラブルな滑り味を演出していると思われた。この車に乗っていてこのテクニックを使わないのは、蟹を食べて蟹味噌を捨てるようにもったいない話だと遼はよく友人に話していた。左足のブレーキングとクラッチを踏まないシフトダウンはますます冴えてスムーズにコーナを抜けてゆく遼であったが、1速に入る小さなコーナーでは時々上手く回転が合わずにガッと言う異音を残すミッションに思わず「ゴメン」と言ってしまうのであった。つづく
2006.07.25
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F1は第1にドライバーズチャンピオンシップであると言うことと、第2にコンストラクターチャンピオンシップも争われる競技会である。だが、タイヤサプライヤーチャンピオンシップという肩書きは無いことをしっかりと心に留めていただきたい。自動車レースにとってタイヤの特殊性、重要性を考えれば、本来、タイヤサプライヤーチャンピオンシップと言う肩書きで年間チャンピオンを争ってもおかしく無いほど、勝敗に密接な関係を持っている。全てのコンストラクターが独自に車の部品としてタイヤを捉えた場合、現在のブリヂストンとミシュランの戦いのような熾烈な競争が繰り広げられることになる。なぜ、タイヤが特殊で高い重要性を握っているかと言えば、現在の自動車レースと言うのは、路面の上をタイヤのグリップ力に頼ってコースを周回する速さを競うことで成立しているからであり、路面に接触しているのはタイヤだけで、タイヤの限界以上に速く走ることは出来ないのがレーシングカーという物であるし、その能力がラップタイムに与える影響が大きすぎることが最大の理由である。ここ数年のレースの安全性への取り組みでFIAがレース速度を下げてドライバーの安全性を確保しようとした努力をことごとく意味無き物にしたのはタイヤの開発競争の結果がその大部分でないと言う人がいるならここに出てきて欲しい。スパークプラグ、ガソリン、エンジンオイル、クーラント、ミッションオイル、それらは自由に競争させたとしても、ラップタイムに与える影響は微々たる物で差がでにくいのです。エンジンはキャパシティーと気筒数、Vアングル、気筒ピッチを決めたため、本当に素晴らしい戦いとなりましたが、タイヤは差が出やすく、不平等の温床となっている現状があるではないですか。ただ、ここ数年のブリヂストンとミシュランの戦いのように、拮抗したものであればそれはそれなりに興味深く、面白いことも認めるし、タイヤの進歩がレースカーのラップタイムを縮めていて、絶対的速さを向上させていることも事実ではある。だが良く考えてみようではないか、では過給エンジンやロータリーエンジン、インディーにおけるガスタービンエンジンといったより新しい技術によって絶対的速度を上げることをやめしてしまう理由は何であったのか?技術の進歩ということにストップをかけているルールはF1だけでなく、あらゆるレースに存在するはずだ。タイヤが進歩を止めてしまうことはそれらと同様に別に驚くべきことでもなんでもないことだ。特にレース用のタイヤの技術が、生産車のタイヤにもたらされるフィードバックの量を考えた時、去年までのルールをさらに推し進め、5レースは同じタイヤで戦うと言ったルールにしたほうがずっと利益は大きく、耐久性があって、なおグリップの良いタイヤが出現する可能性があるし、レーシングチームにどれだけ費用の点で貢献するだろうか?タイヤがモノポリーになると言うことはそういうことなのだよ。タイヤの優劣を競うルールを作れば今年やそれより以前のF1のようにすぐに技術は向上し、ベトベトでも400km走れるタイヤにたどり着くだろう。だからそこで進歩を錦の御旗で擁護するより、不公平なタイヤでコンストラクターに有利不利を作らないほうが賢明なのです。タイヤが少々滑る状態でもね、空気中の酸素濃度を変えられないように、そこは変えられない物として、公平さを演出したほうが様々な観点からみて競技として正しい方向性だとする意見に反対があるなら聞いてみたいものです。現在のF1は第1にドライバーズチャンピオンシップであること。そして第2にコンストラクターチャンピオンシップであることで成る競技会であり、その中も一定のルールで拘束していることが前提であり、それ以外は出来得る限り公平でなくてはならず、タイヤは勝敗への影響度が非常に強いためモノポリーにすることが望ましいのです。F1がルールの上で戦うものであり、技術の際限ない発展のための催しではないと言うことが前提にあるのだと言うことを承知していただいた上で、どうしても賛成できないと言う方の、理論的な見解をお待ちいたします。ただ、私はF1と言うことではなく、ごく限られた少ない規則の中で、あらゆる最先端技術を利用できるルールで最高の技術力を競うレースがあってほしいと強く強く願う人間では有ります。
2006.07.23
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遼はヒール・アンド・トウとダブルクラッチでシフトダウンを行っていたが、首都高でハードブレーキをしたときに偶然のブレーキングドリフトを体験したことから、もっとスムーズな走りを目指して試行錯誤した。 ハードブレーキでテールを流すとブレーキング終了後、車は出口を向いているため即座に全開にすることが可能なのだ、しかし、ヒール・アンド・トウでブレーキを踏んでいるとアクセルペダルに右側の足の底とかかとが掛かっていて、全開にするのが一瞬遅れるし、踏み換えがスムーズに移動しずらかった。そこでグラベル走行のギャップを超える時に使っていた左足ブレーキを使ってテールを流し、ブレーキを緩めるのと同時にアクセルペダルを全開に踏みつけることを試してみると、これが実にスムーズな立ち上がりとなって、ブレーキ終了時エンジンブレーキが一瞬もかからずに、ぐらつかなくなった。さらにブレーキを終える前にアクセルペダルを踏みつけることでさらにそれは巧く行くことが解ったが、左足をブレーキにとられるとシフトダウンが出来ない・・・・・。 そこで遼は以前話に聞いていたクラッチを踏まずにも回転さえしっかりあっていればシフトは出来るというのを思い出して、試してみることにしたのだった。 全開で走っている状態では、ブレーキを踏んで速度を落とさない限りシフトダウンすればエンジンはオーバーレブしてしまうので、ヒール・アンド・トウでシフトを落とす時はブレーキを踏んでいる間に速度が下がるのでギアを一段落とせることになる。 ブレーキングしながらクラッチを素早く踏んで、まずギアをニュートラルにいれ、すぐにクラッチを繋いで、そして間髪を入れず足の裏の右側部分で、一瞬アクセルペダルを煽ることで、ほぼレブリミット近くまでエンジン回転数を上げ、その瞬間再びクラッチを切って、シフトレバーを1段ダウンし、再び瞬時にクラッチを繋ぐ。 これがヒール・アンド・トウだが、ブレーキペダルを踏む瞬間はアクセルペダルから足が離れるためエンジンは回転が落ちるので、実はそのアクセルを緩める瞬間にはトランスミッションの歯車は、駆動側のギア歯面からエンジンブレーキ側のギア歯面に接触面が切り替わるバックラッシの中に一瞬入るので、その瞬間を捉えると簡単にギアは抜けてニュートラルになるものなのだ。 遼は試してみてすぐにそれが全く問題なく出来ることを知り、後は回転数さえ合えばシンクロナイザーリングも入っているミッションでもあるので、アクセルを煽った後の回転が落ちてくる瞬間ならギアは意外と簡単にクラッチを切っていなくても入ることが解ったのだ。 実際の手順はこうだ、まず3速でコーナーに進入してフルブレーキングに入りアクセルを緩める瞬間に、シフトレバーを操作してギアをニュートラルにしてしまう、当然左足はブレーキペダルの上にあるのでクラッチは切らずに行う。 次の瞬間ニュートラルのミッションの歯車の回転数を2速のギアと平行する駆動側のギアの回転数を合わせるために、エンジンを空ぶかしする。これはヒール・アンド・トウと同じ理屈だし、ニューラルでクラッチが繋がっている状態なので、全く同じ原理で、ギアの回転数を合わせる効果がある。 次にアクセルを煽って回転が上がったエンジン回転が少し落ちてくるところで、シフトレバーを2速に押し込む。回転がうまく合っていれば全くストレス無く入って、エンジンブレーキが掛かるし、やや回転にずれがあっても一瞬入りづらい感じでシフトレバーが動かない瞬間が有るが、シフトレバー押し付けているとすぐに入るものだ。ここはエンジンを煽ったあと、自然に回転が落ちてくる瞬間を見計らうのがコツなのだ。回転が上がって行く瞬間でも入るタイミングはあるが、エンジンにパワーが掛かっているので車はギクシャクと挙動する。 もうこれでシフトダウンは終わっているので、後はアクセルペダルの上の右足を踏みつけるタイミングと、左足のブレーキを終える瞬間までテールを流すという動作だけが残っているのでハンドルとブレーキだけに集中する。 テールの流れをブレーキの終了で止めるが、それより一瞬速くアクセルペダルを踏みつけて、不快な揺り戻しを最小限にとどめるようにするが、ノンスリップデフの無いこの2000GTXでは、シームレスにブレーキングドリフトとパワースライドを繋ぐことは出来ない。 遼がこのテクニックで峠の攻略に挑むのは理由があった、それ以前の、ヒール・アンド・トウで進入するときは、自分の感じた限界速度にぴったりとあわせたブレーキングを直進状態で終了させないと、余裕がありすぎればコーナリング中に加速するようになってしまって、ノンスリップデフの無い車は内輪が浮き上がってパワーが伝えられずに、タイムロスとなってしまう。 逆にオーバースピードで入ってしまうとブレーキをそのまま踏んでいなくてはならず、コーナーの奥へ突っ込んでしまい、コーナリング速度は極端に落ちてしまうことになるし、アンダーステアで曲がらないこともあって危険が伴う。 しかし、ブレーキングドリフトはアウトからインに向けてハンドリングを開始した後にブレーキを踏んで車の向きを変えながらクリッピングポイントに向かうので、オーバースピードで入ったときも、対向車がいないことを確認できるコーナーであれば、アウトにはらむだけで、ブレーキを踏んでいる時間を少し長くするだけで、安全にコースに車を置いておけるのだ、思いのほかカーブが大きいと判ればブレーキを速めにやめて即座に右足のアクセルを全開に出来るのでタイムロスも最小限に出来る。 後にラリー用の車に乗ることになる遼は、このテクニックがほとんどグラベルラリーでのラリーストたちの使うコーナリングテクニックと同様なことを知ることになるのだった。 つづく
2006.07.23
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今日、館山道からアクアラインを通って都心へ行く途中の出来事だった。袖ヶ浦インターから館山道へのったのだが、道が空いていることもあるし、いつも走りなれているせいもあって、スルスルと速度を上げるが、バックミラーではるか後方にシルバーメタリックのスカイラインのシルエットを発見した。この道路にはシルバーのスカイラインの覆面パトカーが出没するのを知っていたので、念のため、速度を控えてみることにした。アクアラインへの分岐少し前で追いついて来たそれはまさしく覆面パトカー・・・・・・。運転席以外は窓にフィルムを張ってある!「やったぜ・・・・その手は桑名の焼きハマグリでい!簡単につかまるわけにはいかないね!」自分の感のよさにうぬぼれながら、続いて走る白いのクラウン、黒のセルシオと抜かれて、その後ろについて我慢の走り・・・・・。アクアラインへの分岐でも、スカイラインの先頭引きは変わらず・・・・海ほたるまでは我慢の走行かも?と思っていたら、スカイラインが速度を上げて前の車を追跡体制に入った。哀れ・・・軽自動車が捕まった・・・・・・・。これで気楽に走れると、黒のセルシオを追い越し、白のゼロクラウンの斜め後ろまで来たとき、いやな予感!・・・・・黒ノセルシオは沼津ナンバーだから良いが、仲間と思っていた白のクラウンは袖ヶ浦ナンバーだ・・・??しかも88ではないか!ヤバイ・・・・・・・。追い越しはやめにして後ろについてよく観察して見た・・・。ご丁寧にリヤウインドウはレースのカーテンだぜ!?良く見れば、バックミラーが上下に2個見える・・・・間違いない、「こいつも覆面パトにちげえねえ!!」黒のセルシオはそれを知っていてクラウンの後ろから出なかったと理解した。黒のセルシオを抜いていった時、きっと運転手と同乗者は、「捕まるぞ」と思って見物しようとしていたわけだな・・・・・・・。追い越しをやめて後ろについて、アクアラインノ入り口前の降り口でその車は左にウインカーを出して降りる様子、並びかけて左を見ると。「やっぱり」ブルーの制服に白いヘルメット姿のポリスちゃんでありました・・・・!!!覆面パトカーが2台並んで走ると言う高等戦術・・・・・・敵も考えてるが、こちらも負けてはいられない・・・・・・「フフフ・・・・見破ったぜ!!しかし・・・・危機一髪」
2006.07.22
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遼はスカイライン2000GTXを自在に扱える感覚に至っていたため、感じることはパワー不足とノンスリップデフがあればもっと早く走れると言う思いだった。こうしたラリードライビングのようなコーナーへのアプローチではサーキットを走るような、針の穴を通すような精密なラインでベストタイムをたたき出すことなど不可能であり、また、ペースノートを作ってある訳でもないから、自分の見た目でカーブの曲率を感じ取って、進入速度を決めるしかない、また、ブラインドコーナーの向こうから対向車がやって来ないことが解ることがタイム短縮に大きくかかわって来るので、コーナーの深さが視認しやすいように、深夜でなく白み始めた早朝であり、しかもヘッドライトを、皆が点けている時間帯が攻略のチャンスとなるのだ。旧碓氷峠の上りルートは谷を左に見て走ることになるためタイトなコーナーは沢筋にあり、左カーブがほとんどで、右カーブがブラインドとなる場合が多い、そのため左コーナーは目一杯攻めやすく、右コーナーは少し余裕を持って進入しなくては危険が大きすぎる。つまり遼は左コーナーではほとんどブレーキングでテールスライドを起こさせて曲がり、自分の予想する曲率よりそのカーブがきつければ、僅かにハンドリングを切り増してブレーキングも長くするが、反対に思ったほどきつくなければ、ブレーキングを早目に終了し、加速に入るというパターンで走るのである。右カーブは、ほとんどがブラインドになるので、いくらヘッドライトと、カーブミラーで対向車の存在が感じ取れるとはいえ、ブラインドの右車線を使って進入することはためらわれるので、センターラインを半分またぐ程度のライン取りで走り、ブレーキングドリフトは使わずに、ブレーキングを終了してからハンドリングする、従来の走法で走っていた。ところが右カーブに差し掛かる前に急な上りがあって先が読めないブラインドカーブでも、登りきってみるとやたらと広い道幅で大きなRの右コーナーとなっている場合など、全開で加速しながら曲がると言う場合も結構出てきて、こう言うときには特にノンスリップデフが欲しいと思うし、パワーが足りないと感じるのであった。「GTRがほしいなあ・・・・・・」呟く遼であった。つづく
2006.07.22
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碓氷峠の看板の下を脱兎のごとくスタートした遼は自分の血液に多量のアドレナリンが分泌されているのを感じていた・・・・。「この感じ」のときは難なくブレーキングドリフトが出来る、アドレナリンが出ているときが自分の最も研ぎ澄まされたときなのだ。遼の走りは、このスカイライン2000GTXがフロントヘビーで普段はアンダーステアだが、ブレーキングでテールを上手く流しながらコーナーに進入し、ほとんどカウンターを当てずに加速に移る動作に集約されていたのだが、よりスムーズにブレーキ力を安定して強くかける為に、左足でブレーキを踏み、アクセルペダルに右足を乗せたままでクラッチを踏まずにシフトダウンをするトレーニングを普段の走りで実践し、エンジン回転をあわせることでクラッチを繋いだままシフトダウンが出来るようになっていた。ヒール・アンド・トウは得意中の得意であったし、ブレーキングドリフトを始める以前の走り方ではコーナーの進入時に直進状態でブレーキングしながらヒール・アンド・トウでシフトダウンし、ブレーキングが終わったところでステアリングを切り込み、ハーフスロットルでコーナーリングして出口を向いたところで全開にする。と言った走り方では左足でブレーキを踏む必要性は感じなかった遼であったが、ブレーキングドリフトを使うようになってからは、ブレーキング終了とほぼ同時にスロットルを開ける。というより、ブレーキが終わっていない時点からスロットルを開けて走るほうがよりスムーズに加速に移れるし、慣れるとそのほうがずっと速く走れることが解ってきていた。遼の右足と左手はエンジン回転のタイミングを合わせてシフトダウンすることに神経を集中して、左足はリヤがハーフロックで滑り出すだけの力でブレーキを踏みつければよかったし、左足のブレーキを緩める寸前にパワーをかけて、リヤがグリップを回復した時に挙動が一瞬ぐらつくことを防ぎ、スムーズに加速に繋げるためにはそれが一番上手いやり方だった。クラッチが自動的に動作するシフトシステムなどまだ登場してはいない時代だったが、遼はシフト動作に入るレバーの動きから油圧アクチェーター等でクラッチを切りシフト終了時に再びクラッチを繋ぐシステムを作れないかとおぼろげに想像をめぐらしていた。碓氷峠の多くのコーナーはセカンドギアでカバーできたが、ローに入るコーナーも多くクラッチペダルを踏まずにシフトをする遼は一速に回転を合わせそこなう事がまれに起きて、”ガリ“っとギアがなると寿命が縮む思いを味わうので、そんな、シーケンシャルなシフトシステムが欲しいと思っていたのだった。薄暗い夜明け前の碓氷峠を全開で駆け上るスカイライン2000GTXの吸気音と排気音が交錯し、フルブレーキングでテールを流すスキール音、3速から1速までダウンシフトして立ち上がりはホイールスピンが起きて甲高くタイヤが鳴く、この日も対向車にはまだ出会わない。先行するクルマも無く、深い谷にエンジン音とスキール音がこだましていた・・・・・。
2006.07.21
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前回の記事でアクティブなバラストシステムのことと書いたが、良く考えるとどうも違うようだ。これはその言葉から謎を解いてゆくと、どうやらアクティブサスペンションで使われていた、ハイトアジャストシステムに近い構造のように思われる。アクティブサスペンションが禁止された今、もしそれをかいくぐる技術を考えようとすれば、車体がボトミングするときのダンパーオイルの動きを、パッシブに制御できればレギュレーションに合致すると解釈できなくは無い。たとえば、ダンパーのオイルシリンダーをジャッキに見立てれば、より小さな断面積でストロークの長めのシリンダーを進行方向にセットし、配管でオイルラインを繋いでおき、シリンダーロッドに20kgのオモリを取り付けておく、そうすると、そのオモリがブレーキングのときに慣性の力で細いシリンダーのロッドを押し込むことになる。もしその細いシリンダーの断面積が、フロントサスペンションのオイルダンパーの断面積の1/25で作られているとすれば、1Gのブレーキングを行えば20kgのオモリの25倍の力がパスカルの原理によって、ダンパーシリンダーに圧力としてかかり、500kgの上下方向の力として、ノーズダイブしようとするフロントサスペンションに逆らって、ボディーを持ち上げようとすることになる。実際は3Gほどの負の加速度になると思われるので、1.5tonの力でボディーを押し上げる効果が出ることになる。実際に必要な力に見合ったオモリを取り付けておくだけでその車に見合った力を発生できるので、充分なノーズダイブ防止効果を得ることが出来そうである。 実際には、フロントサスペンションのメインダンパーで行っていないかもしれないが、何らかの圧力をかけず、自然な慣性の力とオモリの重量でハイトコントロールが可能になることがこのシークレットテクノロジーのキモではないだろうか?オモリがブレーキングと加速で前後に動く事を利用して、フロントサスにもリヤサスにも同様な仕組みを組み込んでおけば、加減速によるピッチングはほとんど抑え込むことが出来、タイヤの接地角を変えずに、しかもパージボードにボディーを擦ることなく、地面とのグランドエフェクト効果を理想的な間隔で維持できることから、大きなアドバンテージを得られている可能性があるのだ・・・・・。なかなか面白い発想ではある。さすがF1界である・・・・・。こうしたアイデアに満ちた技術を禁止するとは、なんともFIAとは無粋な組織である。
2006.07.21
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フランスGP後、FIAは『マス・ダンパー』と呼ばれるバランス・システムを今後禁止するとの通達を出したという。メディアにより、通達を受けたのはルノーだけ、というものと、目下チャンピオンシップ争いをしているルノー&フェラーリの両チームに対して出された、という2説があるこのシステムは、とりわけブレーキングの時などマシンの姿勢が大きく変化する際に、あらかじめ設置されたウェイトでバランスを取ることにより前後の姿勢が安定するという優れもの。(いわば建物の耐震装置のようなもの?) FIAでは、これはマシンの空力学的パフォーマンスに影響を与えるものでレギュレーションに違反すると断じた。同様のシステムは他でもホンダやレッドブルらがトライしていると言われるが、現段階ではルノーのものが突出して優れているということで、逆に禁止されればそのダメージは最も大きいとみられる。ここに来て、ルノー・チームのパット・シモンズ/エンジニアリング・ディレクターが「フェラーリとウチのマシンはまったく互角。違いはタイヤだけ」と強調していたのは、あるいはこれを察知していたためなのか。もしこれによってルノー『R26』の戦力が大きく削がれることになれば、今後のチャンピオンシップの行方にも影響を及ぼしかねない様相だ。以上の情報はniftyF1に書かれていた内容ですが、これはまさに私が7月5日のBlog(アクティブバラストシステム)で書いたテクノロジーそのものの事で、FIAはこれを禁止する通達をしたと言うことなのです。去年のHONDAのルール違反騒動は、このバラストを燃料で行うシステムだあったわけで、燃料の減少や偏在によるマシンバランスの悪化を防ぎ、さらにカウンターバランスとして、ピッチングやローリングも減少させていた訳で、私が予測していたのは、ハイドロリックオイルか冷却用クーラントのリザーブタンクをボディーのあちこちに設置し、その流体をポンプで素早く移動させることによってマシンの重心位置を可変させるという技術だったわけです。しかし、FIAがこれを禁じる意味って何でしょうね・・・・エンジンの開発凍結と言い、F1の進歩を止める政策は、コストダウンの大義名分があるとはいえ、潤沢な資金のあるメーカー系のマシンの戦闘力を低める事で、F1を活性化?しようと言うのだろうか?オーナープライベートなチームが優勝を争える環境づくり、と言えば聞こえは良さそうだが、最新のテクノロジーの導入を禁止したF1に私は魅力を感じなくなっていくのは、目に見えている。まあ、マックスとバーニーが自分たちの利益の都合で運営してゆくと、最高峰のレースと言えないF1となりそうで、面白くないな~・・・・・、私は様々な可能性を否定したイコールコンディションのデッドヒートなど興味も無く、それならF3でも充分なのだよ。マックスもバーニーも耄碌したものだ!最高のレーシングテクノロジーの頂点であることがF1の存在意味でもあるのに。
2006.07.21
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遼はこのスカイライン2000GTXを乗りこなせていると自負していた。それは、この車のリアサスペンションの特徴を掴んだからで、ハードブレーキング時に僅かにハンドリングしていれば、荷重の抜けたリアタイヤはハーフロックぎみに滑り出すが、カウンターステアを当てることなくブレーキを緩めるまで自在にテールを流してコーナリング出来ることを発見したからだった。ノンスリップデフの付いていないこの車の、立ち上がり時に内輪が空転しパワーを上手く路面に伝えられ無いという難点を帳消しにするほどのコントローラブルな滑り味は突っ込みでタイムを稼ぐにはもってこいの性能で、容易にリバースしない優れたリアサスと感じていたのだ。遼がこのリアサスの性質に気が付いたのは、首都高での或る車との出会いで、思いがけずバトルとなった時に偶然発見したものだった。それは、ある日彼女を送って、帰宅する途中、首都高速1号羽田線を銀座に向かって走っている時、芝浦付近で横浜方面から接近してきたオレンジカラーのフェアレディーZに追い越されたのだが、同じエンジンを積むはずのZの速度についていこうと思ったことから始まった出来事だった。全開でZを追って浜崎橋まで直線を走り、浜崎橋の緩やかな左カーブの後の浜離宮の左カーブを左車線一杯にかすめ強い右カーブに差し掛かってハードブレーキングした時に車のリアが滑り始めたことが最初だった。ブレーキングと同時に3速にシフトダウンしていたが、緩やかにテールが流れ始め、カウンターを当てようと反応したが車は危険なリバースに至らず実に上手く方向を変え、ブレーキべダルを少し緩めるとリアは再びグリップして何事も無かったように安定するのだった。ちょっと焦ったが、なんてコントローラブルな流れ方をするのかと、驚いてしまうのだった。直後の下りの汐留めトンネルを全開で下り、出口の左カーブ手前で再び短いフルブレーキング、ここでもテールは右に流れたがカウンターを切ることは無くブレーキング終了で流れはピタリと止まる。銀座出口手前のS字カーブの入り口でも同じくハードブレーキングでテールを右に流し、全開で右に切り返す。此処でZの真後ろまで距離が詰まって、新富町から京橋にかかるところでZをパスしたのだった。「こいつはいけるぜ・・・・・・」思わず笑いを浮かべてしまう遼であった。続く
2006.07.20
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昭和49年7月の終わり近くの日曜日、朝4時少し前、遼は群馬県側の旧碓氷峠の入り口で朝4時の時報を待っていた。数日前に日産サニーGX5を駆る“坪井昌平”と言う男が**分05秒で登りきったと知らされて、今日はそのタイムがターゲットで、遼のこの前のタイムは**分12秒であった。松井田の碓氷バイパスとの分岐を旧碓氷峠方面に走り、約2.3KMのところに坂本浄水場というのがあり、そこに”碓氷峠“の看板が道路の真上にかかっている。仲間内でそこがスターと場所で180以上あるカーブの最後のカーブを回りきると長野県という看板があり、そこがゴール地点と決められていた・・・・。遼の愛車は、日産スカイライン2000GTX、L20-2000CC SOHC SU型ツインキャブレター グロス表示130馬力、4速フルシンクロ、ノンスリップデフは非装備で、ほぼノーマルだが、前後のサスペンションはPMCSのラリーキットのガスショックが組み込まれ、タイヤはダンロップのスチールマックス185-70-14を、リョービ製の軽量なアルミホイールに履かせ、トランクのスペアタイヤは外され、代わりにタイヤパンドウ1本を積んでいたが、燃料はタンクの1/3ほどになるようにわざと満タンにせずにここまで来ていた。深い谷を走る旧碓氷峠は7月の午前4時ではほんの僅かに明るくなったばかりで、薄明かりで何とか道路の状況はライトなしでもやっと見えが、どの車もヘッドライトを点けているため、カーブミラーやそのライトの照射で対向車が来ていることがすぐに判り、日曜の早朝という最もトラックなどの営業車が減少する時間帯でもあることで、こうした非合法で非公式な一台だけでのタイムトライアルの危険性を減らしていて、自爆事故さえ起こさねばいつもほとんど安全に走りきれるのだった。遼はこの日、エアクリーナーを外して、SUキャブレターのダンパーオイルを10W-50に代えていたが、それはエアクリーナーを外したことによる負圧の減少によるSUキャブレターのサクションピストンの上昇速度の遅れをダンパーオイルを軟らかいものに代えることで解消しようと言う理由からだった。SUツインキャブのエアクリーナーを外すと少しだけソレックスツインキャブのような吸気音がボンネットを貫いてコロコロと快く響いてくるのであるが、吸入抵抗の減少分に見合う燃料が補給されているかどうかは、しばらく全開で走ってプラグの焼け方をチェックするほか方法は無かった。遼は千葉県から群馬県まで走ってくる間、何度と無く全開で走行してはプラグの焼け方を見てガスの量を調節していたが、碓氷峠は高低差が大きくゴール地点では海抜1000M付近となるので少し薄めにセットすることも行っていたし、取り付けが義務付けられていた排気ガス対策の点火タイミングの進角遅延装置もバイパスされもとのオリジナルに戻してあった。午前4時きっかり、パッセンジャー一人を乗せ、思い切りタイヤをきしませながらスタートを切った。続く
2006.07.19
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先日は、バルブ周りや、ピストン周辺で起きるトラブルなどについて書きましたが、もう少しその辺について書いてみようと思います。各部品が極限まで軽量化されているというのは前にも書きましたが、部品にクラックなどが入る原因は、一般的応力ばかりではありません、熱による耐力の低下も大きな問題ですし、振動や高周波の共振も油膜切れや金属の脆性破壊に繋がることがあると思われます。エンジンにとって、振動とは金属の伸びと縮みがごく短いサイクルで繰り返すことであり、振幅によっては交番荷重となって、衝撃荷重についで危険な応力となることが知られています。そういう意味ではコネクティングロッドやピストンピン、クランクシャフトなどは非常に過酷な状況にさらされている訳ですが、単純な繰り返し応力や交番荷重のほかに、回転するクランクシャフトに取り付けられたピストンやコネクティングロッド等の運動体はクランクシャフトの回転軸に対して動バランスを取る必要があり、もしクランク軸周りのバランスが完全に取れていれば、エンジンはほとんど振動せず揺れe>ないことになるのです。クランクと言うのは回転中心に対し、偏芯したクランクピンを持つ構造なので、クランクピンに取り付いたコネクティングロッドやピストンの重量と偏芯したクランクピンの重量のアンバランスに見合ったカウンターウエイトをちょうど反対側に取り付けることで、回転に伴う遠心力で起きる振動の発生を防いでいます。しかし、レシプロエンジンではピストンとピストンピンは純粋な往復運動ですから回転部分での打ち消し効果では、それらの慣性が引き起こす振動をなくすことは出来ません。そこでシリンダのレイアウトを対向させたエンジンなどが考案され、ポルシェ等は水平対抗エンジンでピストンの質量が起こす往復運動の慣性による振動を打ち消す様に作られたりしていました。ただし、現在のF1では90度V型しか認められておらず、またもし認められていたとしても水平対抗エンジンで得られるメリットよりV型エンジンのレイアウトで得られる空力的メリットの方が車の総合性能の向上に効果的なことから、いずれにせよ現在はV型エンジンが選ばれていると考えられるのです。市販車の4気筒エンジンではそうした振動やコネクティングロッドが理論的に有限の長さであるが故の2次的不釣合いを打ち消すために、ランチェスターバランサー等のバランサーやそれをさらに三菱が改良したクランクケースのローリングモーメントも打ち消すバランサーなどが広く用いられているのです。(この辺の技術については説明がなかなか難しいので、興味があればランチェスターバランサーなどをキーワードにしてweb検索でお調べください現在のF1エンジンは、90度V型であり、クランクピン配列はおそらく180度でフラットプレーンと呼ばれるものでしょうから、一次バランスは悪いが、カウンターウエイトを必要とせず軽量に作れて、高回転に都合が良く、片側のバンクで均等周期爆発を得られるので、エキゾーストパイプが等長で理想的に作れることもあって、F1エンジンには向いていると言えるでしょう。F1エンジンでは、このフラットプレーン特有の一次振動を打ち消すための一次振動偶力バランサーシャフトを内臓していると考えるのが妥当であると思うのですが、見ていないのでなんとも言えません。(いずれにせよ、エンジンの動バランスと言うのは、なかなか理解も難しいし、説明も難しく、もし、解説を試みるとすれば、そうとうな長文になってしまうでしょうし、私もきちんと説明し得ないと思うので、さらに興味のある方は、Web情報を検索するか、や文献等を参照してみていただければと思います。)私は仕事柄、まれに1万rpmを超えるスピンドルなどを設計することがあるのですが、回転軸の僅かな振れも問題になり、ベアリングの等級や組み込みクリアランス、発熱への対応、給油等、かなり気を使っても上手く行かないことがしばしばあって、もともと円筒回転体でない4サイクルエンジンが2万rpmで回ると言うことの物凄さを強烈に感じています。続く
2006.07.17
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実は、昨日このblogを読んでくださったbilbo1817さんのBBSに、私がたまたま書いた、HONDAの風洞についてのコメントがあるのですが、今日、偶然にも新聞紙上でその問題に答えるかのような記事が載りました。私のコメントは「HONDAが実車サイズの最新の風洞を完成させましたが、それはとりもなおさず、気体の地表境界面付近の高速移動物体にかかわる気流の振る舞いをシミュレートできるシステムと可視的に解析できるソフトウエアが少なくともHONDAには存在していないことを雄弁に示していると感じます。」というものだったのですが、まさに、地球シミュレーターという世界でも屈指のスーパーコンピューターシステムが必要なほど困難で膨大な演算を要求する課題だったと言うわけです。そしてそのソフトをHONDAは持っていないと書きましたが、きっとそれは間違いでしょう、持ってはいても、精度と速度は充分でないというところでしょうか?今回の東京大学生産技術研究所では、当に私が必要だと言うところの可視的にしかも非常に高速に解析できるソフトが開発されたわけで、これをHONDAやTOYOTA、SAF1が優先的に使えるようになれば良いがなあ~等と思ってしまったわけです。タイミング的にドンピシャの記事で私は驚きましたが、私が7月9日のblogに書いた「F1のキーテクノロジーとは何か」に書いたことそのものを実現できるシステムが地球シミュレーターであり、そのソフトがわが国では東京大学が完成させたと言うことで、これで、HONDAやTOYOTA、SAF1がこの技術使えれば、設計してすぐに、シミュレーターで解析できるので、実際に僅かに形状の異なるいくつもの部品を作って実車に取り付けて風洞実験を行うという作業をしなくても、ほぼソフトウエア上で物になるかどうか判断がつくようになるため開発のスピードは飛躍的に速められることになるはずなのです。HONDA、TOYOTAなら、地球シミュレーターに近い能力のスーパーコンピュータを導入できるでしょうから、是非このソフトを利用してもらいたいものです。まあ、HONDAもTOYOTAもおそらくこれまで当然同様なアプローチを独自に試みていたはずですが、この規模のシステムで正確な解析が迅速に出来ることが示されたと言うわけでなので、自前のシステムとソフトより正確で処理速度が圧倒的に速く精密に解析できるなら、是非ともこの成果を有効に使ってルノーやフェラーリと対等以上に戦ってもらいたいものです。来年はHONDAとTOYOTAとSAF1でトップ争いをして欲しいものです・・・・・笑。
2006.07.16
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今日はバルブやその駆動システムについて書いてみたい。 フランスのルノーが金属のコイルバネに代えて圧縮空気式のバルブリターンシステムを発明して久しいけれど、その素晴らしい性能が今のF1エンジンの高回転を可能にしていることは前にも書きました。 しかし、ルノーの発明したニューマチックシステムさえあれば高回転が簡単に得られると言うわけでは決してありません。 前に書いたピストンやコネクティングロッドの重さも大きな障害であるし、高速になるピストンリングとシリンダーの摩擦には確実な給油システムが不可欠と書きました。 同時に動弁系への速度によるストレスは高速になればなるほど高まり、運動物理の法則から、重さを一定とすれば速度の二乗に正比例して運動エネルギーは増加することになり、吸排気弁の開く速度はカムがバネを押し込んで行くので応力上問題は少ないのですが、バルブが開ききって閉じる時、バネがカムのプロファイルに追従しきれなくなるほどの回転数になれば、バルブの持つ重量とその運動エネルギーは打撃となってシリンダーヘッドのバルブシートを叩き続けることになってしまいます。 金属バネを使用している時代にはそうした現象が高回転時に起きると、バルブとバルブシート、シリンダーヘッドがその衝撃と振動で損傷するなどが起きて、エンジンを壊すことになってしまうので、レブリミットをその回転数以下にして、オーバーレブさせないようにしていました。金属バネを使ってそれを解消するにはバルブやリフターの重量を極限まで軽くし、カムはプロファイルの頂点から下降するカーブをなだらかに設計してバルブがカムから離れないようにするほか無く、クランク軸720度に対し235°程度のバルブの開く時間を考慮すると、バルブは全開になる時間がほとんど無くなって、カムのプロファイルは頂が尖り、吸排気効率が低下するような狭いリフト量でしか成立しなくなってしまうのです。 コスワースDFV-V型8気筒3リットルエンジンの全盛の時は、そういうわけで12500rpm程度にMAX回転が制限されていたと考えられます。 そこへ登場したルノーの発明になるニューマチックは、金属のコイルバネを廃し、高圧の空気圧でバルブを戻すことで、金属バネを大きく上回るカム追従性を実現し、バルブの全開の時間を長くとり、カムの下降カーブを急峻に設計してもバルブがカムに追従できるため、吸排気効率を高めることが出来た上、バルブの重量と戻るときの運動エネルギーはカム曲線によってなだらかに吸収され、バルブが衝撃的にバルブシートを叩くことを無くすことが出来るようになった訳です。 その結果、現在のF1エンジンは2.4リットルの8気筒で20000rpmを達成するところまで回転が上げられるようになったと考えられます。 もちろんそれだけで毎分2万回転が実現出来たとは考えられず、エンジンオイルの性能の向上なども大きくそれに貢献したことは想像できるし、バルブの材料は鉄系の合金からチタンに変わり、バルブの放熱にはバルブステムを中空に作り内部に熱伝導率の非常に高い金属ナトリウムを閉じ込めて、バルブの傘から効率よく熱を逃がす工夫が行われていますが、この努力は特に排気弁が、2000度に及ぶ高熱の燃焼ガスの通り道となって非常に高温になる為、灼熱してしまうと燃料を含んだ空気を吸い込んだ瞬間その熱で早期誘爆が起きてしまいノッキング現象が発生し、パワーロスになるだけでなく回転は上がらず、ピストン、ピストンピン、クランク軸、インテークバルブとカム等、そのノッキングによって、ごく薄い油膜によって防がれていた金属同士の接触を起こさせるような力が発生するため、結果的にエンジンの寿命を短くすることになってしまうのです。 F1のレース中にエンジンブローとしてリタイアするケースは一体どこが壊れたのでしょうか?「ブロー」という言葉は日本語では「噴く」と言う言葉になるでしょうか?火を噴くと言えば解りやすいかも知れませんが、此処は想像ですが、一番多いと思われるのはピストンかピストンリングの損傷でエンジンオイルがシリンダーに進入してきて真っ白い排気が出るようになるケースでしょうか? 同様にエンジンオイルはインテークバルブ周りからシリンダーに入ることがありますが、一般にはオイル下がりと言われ、バルブガイドとバルブの間のオイルシールが痛むとオイルが漏れてやはり白い排気が出ますがピストンに穴が開いたときのように真っ白にはならず、少し青白い色が出る程度でしょうか?排気バルブから漏っても排気管の中で燃焼してやはり白っぽい排気が出ます。 ピストンが壊れる要因は燃焼熱で穴が開く、熱でピストンのリング溝部分がだれて棚落ちという現象からリングの動きが制約され磨耗が促進してシリンダーにオイルが回る、慣性による応力等でピストンピンやコンロッドが壊れたり、バルブリターンが故障し、バルブとピストンがぶつかってピストンとバルブが破損、コネクティングロッドが折れてピストンがヘッドに衝突、コネクティングロッドがシリンダブロックを突き破る、ビッグエンドのコンロッドボルトが切れてコンロッドとピストンがシリンダヘッドに衝突。等考えられますが・・・・・原因はまだあるとは思いますが・・・・やはりピストンリングが破損するトラブルが最も多いと思うのです。 続く
2006.07.15
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前回はピストンの材質やピストン周りの潤滑のことを書きましたが、クランクケースやシリンダーブロック、シリンダーヘッド周辺の技術についても書いてみたいと思います。 現在の4サイクルエンジンは、F1を頂点として、われわれの使う乗用車のエンジンまで、我が国の自動車メーカーはほとんどがDOHCという形式を使っていて、1シリンダー当たり4個のポペットバルブを持っています。ママの軽自動車のエンジンとジェンソンの駆るホンダF1のエンジンが、同じ基本形式であるという所も実に面白いことですが、軽自動車のエンジンはたぶん普通にメンテナンスすれば20万kmはトラブルフリーで動き続けると思うのですが、F1のエンジンは1000km~1300kmで壊れても良い代わり、あらゆる部品を薄く軽く、材料を出来るだけ使わないで必要な強度を得るように研ぎ澄まされています。 その結果、シリコン系アルミ合金でブロックなどを作る現在の2.4リットルF1エンジンはドライ状態では70kg程度の重さに収まっています。F1のエンジンに一番近い市販車のエンジンとしてV形6気筒2500CCのエンジンを引き合いにすると、およそ半分~1/3の程度の重量になるでしょうか? 一体どこがそんなに軽いのか?といっても、すべての部品が軽く作られていると言うしかなく、これ以上軽くすると壊れてしまう、というレベルにすべての部品が軽量化されているわけで、ビス1本、ピン1本にいたるまで、強度がありすぎないように作りこまれているのがF1エンジンと言うことなのです。 当然のようにエンジンの重量にとって一番影響のあるシリンダブロック、シリンダーヘッド、クランクケースなどはダイキャスト成型、ロストフォームグラビティー鋳造、ロストワックス真空鋳造、溶湯鍛造などを駆使して、肉厚の薄くしかも鋳造欠陥の少ない強度のある鋳物で作られ、その上で放電加工や、機械加工で完成に至っていると考えられますが、シリンダーブロックや特にシリンダーヘッドを全てダイキャストで作れないのは、3次元的広がりのあるウオータージャケットが金型成型や機械加工では作れないため、どうしても砂型シェルを利用した鋳造が必要なためなのです。 鋳物のどこをどれくらい薄くすると壊れるかは、3D・CADとCAE解析ソフトでほぼ解るので、そうした最適化設計を行った上で実際に作り、加工、組み立てして、ベンチテスト、負荷ベンチテスト、実車テストを行う中で弱いところをさらに洗い出して行くのです。エンジン本体となるクランクケースとシリンダーブロックは、700馬力のエンジン出力の反作用 をすべて受けとめるだけの強度が必要ですが、2.4リットル自然吸気エンジンの発生トルクはF1エンジンとはいえ300Nm程度と思われ、さほどのものではないでしょうから、サスペンションのアームなどをクランクケースなどに直接マウントするレイアウトなら、そちらからの応力のほうが問題とされることでしょう。 シリンダブロックは当然スチールライナーの無いアルミシリンダーに硬質な表面処理を施したものではないかと思いますが、やはり此処も正確には判りませんが、以前ならニッケル・シリコンカーバイドメッキ(ニカジルメッキ)か、ハードクローム・ポーラスメッキ(ロータリーエンジンのハウジング内面処理等)等で、さらにマイクロディンプル処理(WPC処理)等も考えられます。WPC処理は、ミクロンオーダーの粒子をショットピーニングよりずっと高速で金属表面にぶつけて、表面の組成を再結晶させると言う技術で、ほとんどのエンジン部品の摺動性の向上に使われているかも知れず、表面処理としては優れた性能をもたらすものです。 しかし、F1の世界はさらに上の技術を持っていないとは言えないのです。 続く。
2006.07.14
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昨日は、エンジンのピストン、について主に書き、その素材はシリコン系アルミニウムが使われていると書きましたが、最先端のF1のエンジンが旧来の鍛造されたアルミ合金であるという確証はありません。あっと驚く新素材が使われている可能性もあります。ピストンに求められる素材は、軽量高強度で、耐熱性が有って熱伝導が優れていることが挙げ られます。熱伝導が優れている必要性は、昨日も書きましたが、燃焼温度が2000度にも及ぶレシプロエンジンでは、ピストンのクラウン表面はその熱のためにアルミ合金の融点に近い温度に達する部分が出てきます。アルミ合金は640度付近で溶け始めてしまい、その少し手前の温度では、強度もかなり低下してしまいますから、強度を考えるとなるべく低い温度に保ちたいわけです。 そのために普通のエンジンでも、エンジンオイルをポンプで加圧し、クランクシャフトを中空に作って、その中にオイルを 流し、コネクティングロッドに小さな穴でオイルを供給して、コネクティングロッドのくびれのあたりに小さな穴を開けて、オイルをピストンの裏側へ噴射して冷却しています。 エンジンオイルは高負荷時には130度Cほどに上昇しますが、それでも絶え間なくオイルを吹きかけてピストンの熱を下げ、ピストンが熱で破損しないよう、また、ヒートスポットが出来て、ノッキングなどが起きないように工夫されているわけです。 私は最先端のF1のエンジンの中を見たことはもちろんありませんから、どんな材料を使い、どんな形状で、どんな工夫がされているか、想像するほか無いのですが、F1のエンジンはもとより多くのレース用のエンジンはドライサンプと言って、一般の車のエンジンのほとんどが採用するウエットサンプとは違った潤滑方式をとっています。航空機(特に戦闘機)では宙返りや背面飛行、急降下、垂直上昇、とエンジンオイルがクランクケース下部に溜まるウエットサンプでは、成立しなかったことも有って、航空機のエンジンでは常識化していたドライサンプが、強いGが全方向にかかる レーシングカーの確実な潤滑に使われるのはごく自然な成り行きだったわけです。 ただドライサンプのエンジンと言うのは一般にはほとんど見かけることは無く、一部の2輪車に使われていますが、航空機用のドライサンプとはかなり異なって、その目的が単に低重心化であったり、オフロード走行のためオイルパンが邪魔となったり、運動性が高い準競技用以上のオフロードバイクでは操縦姿勢が極端に変化することで、オイルパンにエンジンオイルを重力で溜める方法ではトラブルが起きることになって、そうしたレイアウトが選ばれてきたので、クランク室内部はウエットである場合も多く、単にオイルパンをごく浅く作って、オイルタンクを別置きレイアウトにしている、正確に言えばアキュームレーション式ウエットサンプと言うべき形式も多いのです。 今回のF1エンジンは完璧な潤滑でエンジンのフリクションを最小限にし、燃焼熱による温度上昇が問題となる部分のすべてに、充分なオイルを供給し、内部的には油冷エンジンと言って差し支えないほどエンジンオイルによる冷却が絶対的な必要条件となっているはずなので、航空機とほぼ同様な完全なドライサンプである可能性もありますがシリンダーのピストンリングや、ピストンピン、ピストンクーリングに使うオイルをどのように回収しているのか、見ていない私には判らないのです。 ただ可能性としてはコネクティングロッド全長にオイルギャラリーを設け、ピストンピンまで強制的にオイルを送れるならばピストンにオイルギャラリーを設けて、ピストンピンの潤滑後のオイルを使ってピストンクラウンの冷却も強制的に出来るし、そのオイルを最終的にピストンリング部分に開放してシリンダー内壁と、ピストンリングの潤滑までがすべて圧送で行えることになり、ウエットサンプに比べればより確実な潤滑と言えるので、私は、そのような方法を使っているのではないかと想像しているわけです。 さらに考えられるのは新素材で、たとえば窒化アルミニウムや、アルミナ系のセラミックスでピストンが作れれば耐熱、高強度熱伝導などの問題をクリアして非常に軽く出来る可能性もあり、一般的なシルミンにプラズマを当てて表面に強靭な窒化膜を形成する技術も使えるかもしれないし、ディスクブレーキのカーボンを見ているとピストンも作れないのだろうかと思えてくるのです。 エンジンの中はさすがにトップシークレットでしょうからメーカーの開発者か管理職の僅かの人しか知ることが出来ない秘密に満ちている訳で、本当に興味の尽きない部分なのです。
2006.07.12
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今日は、エンジンの高回転化を妨げるものと、高回転を可能にする技術とは何か?と言うことを書いてみたいのですが、私はその道の専門家ではないし、学者でもないので、厳密さと言う部分はご容赦願いたい。まず、文系の方にも解ってもらえるように、簡単にレシプロエンジン(往復ピストン形エンジン)について書いてみよう。F1のエンジンも私たちが普段使っている乗用車やトラックのディーゼルエンジンも、円筒型の燃焼室を持ち、その中を円筒型のピストンが上下に往復運動するように作られていて、クランクとコネクティングロッド、ピストンピンなどの部品で構成され、ピストンが上死点(一番上)から下降するときに、吸気用のバルブが開き、排気用のバルブは閉じて、フレッシュな空気と、そこに噴射された霧状の燃料を燃焼室に吸い込む。次に、クランクの回転によりピストンが下死点に達すると、吸気用のバルブも閉じ、ピストンが上昇に転じて、燃焼室の容積がピストンによって狭められることで空気と霧状の燃料の混合気体を圧縮することになります。ピストンが再び上死点に達する頃を見計らって、スパークプラグ(ガソリンエンジンでは)に高圧の電気を流して燃焼室の頂上付近にスパークを発生させ、燃料と空気の混合気に着火すると、燃焼室の中で急速な燃焼が起き、ピストンはその爆発的燃焼による気体の熱膨張の圧力によって強く下方に押し下げられることになるわけで、ピストンはその時、ピストンとクランクを繋ぐピストンピンとコネクティングロッドを介してその力をクランク軸に伝え、クランク軸が回される訳です。燃焼ガスの圧力に押し下げられたピストンが下死点に達する頃に、排気用のバルブを開けるので高圧の燃焼ガスは自ずと燃焼室から噴出し、排気が始まり、ピストンが下死点から上昇し上死点に到達することで大部分の燃焼ガスは燃焼室から出てしまい、排気用のバルブは閉じて、先ほど最初に書いた、吸気用のバルブが開くのです。このピストンの2往復、クランクの2回転で一連の工程が完了し、連続的にこの動作が続くことでエンジンは回転する理屈になる訳ですが、この燃焼室がF1のエンジンでは8個あって、クランク軸が2回転する間に8箇所の燃焼室の中で次々に爆発が起き、滑らかに強く回って700馬力もの出力を発生しています。F1のエンジンが最高回転数19000rpmで回る時で言えば、毎秒なら316回転していることになって、2回転で8回の爆発があることから、毎秒1264回の爆発音が我々の耳に、甲高いエクゾーストノートとなって届くことになるのです。さて、簡単に4サイクルエンジンの動作原理を説明したのですが、エンジンの馬力と言うのは、単位時間内の力積の単位なので、発生トルクを時間で乗じた値と捉えてもらえば解りやすいかもしれません。つまり、1回の爆発で得られるトルクがほぼ一定とした場合、一定の時間内にたくさん爆発させれば馬力は大きくなり、車は強く加速できるし、空気抵抗に逆らって速い速度も得られるわけです。現在のF1のエンジン規則では、排気量が2.4リットル以内に制限されているし、90度V型8気筒で燃焼室間の距離まで規定されており、ターボチャージングのような過給も禁止されているので、許された出力アップの可能性は、燃焼効率の向上とフリクションロスの低減、回転数を上げることの3要素にほぼ限定され、最も出力向上に効果が大きい回転数を上げることで他車に先んじようとするわけなのです。エンジンの低・中間トルクや高回転域でのトルクなど様々な条件があるのですが、そのあたりの性能がほぼ同じだとしたら、許容最高回転数が高いエンジンを作れればそれだけ有利なると言うことがいえる訳ですから、何とか高速に回るエンジンを作りたいはずですが、それにはいくつもの壁が存在していて、世界の名だたる自動車メーカーの優秀なエンジニアたちが束になって取り組んでいるのですが、今のところ2.4リットルV型8気筒の自然吸気エンジンでは2万rpm付近がその実用上限になっているのです。一体何がその壁になっているのか考えて見ましょう。まず第一に思いつくのは、動いているピストン、ピストンピン、コネクティングロッド、の重さが障害となって来ることでしょう。60mm程のピストンストロークのエンジンを考えると、2万rpmの時、ピストンの瞬間最大速度は226km/hにおよび、ピストンは速度0から時速226kmに加速し、再び速度0になりまた226km/hになって、また速度0になる。と言う繰り返しを毎秒333回行っていることになり、ピストンとピストンピン、コネクティングロッドの重さと速度の関係で慣性力が大きくなって、それらの部品の応力限界に近づいてしまうと言うことが考えられます。慣性力を減らすにはピストン等の部品を軽量に作るしかなく、軽量に作ろうとすると応力限界が早くやって来るという一般的な関係があって、そのバランスの良い最適な設計が出来たとしても、素材の強度、比重などで限界が存在するので、此処はその素材の吟味、新しい軽量で高強度な素材の開発競争が行われることになるのでしょう。ピストンはシリンダー内の燃焼温度が2千度にも達するので軽量なだけでなく熱伝導に優れ、オイルによる冷却で破損しない強度を維持し続ける設計が不可欠となるはずです。一般的にレース用のピストンにはシリコン系アルミニウム合金の鍛造成型品が使われますが、量産性をまったく度外視して、軽量高強度なピストンを作ろうとした場合、鍛造した素形材を放電加工で精密に肉抜き軽量化した上で旋盤、マシニングセンタ等で加工し、熱処理、表面処理を施して完成部品を得ると考えられます。レース用の高回転用のピストンはエンジンオイルで冷却するためのオイルギャラリーを内蔵し、早期自然着火を防止するためピストン表面にヒートスポットを作らない工夫を徹底的に行っているはずだと思うのです。それは、燃費を節約し、少ない燃料搭載量で長く走れることが大きなアドバンテージとなる現在のルール下では、空燃比(ミクスチャー)を変更し、必要最小限の燃料で状況に応じた最大のパフォーマンスを発揮することが出来るように、希薄な燃焼で高負荷運転が可能な様に、発熱の大きい希薄燃焼に対する燃焼室の冷却対策が不可欠と思われるからですが、希薄燃焼をさせるときにシリンダー内に酸素が残りすぎると、高温で活性化した酸素がシリンダーヘッドやピストンの金属を酸化させやすくなるはずで、ドライバーがミクスチャー設定を希薄にセットすればスロットルペダルを全開にしてもスロットルバルブが全開にならずに、空気の取り込み量を最適制御するマネジメントシステムが介在すると想像しています。次はピストンピン、ピストンリング、コネクティングロッド、コンロッドボルト等についても考えてみたいと思います。
2006.07.11
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昨日はボディーやエンジンの技術もエアロダイナミックスが重要になってきているし、目に見えない気流の振る舞いを、見える様にアニメーション化してシミュレーションすることがキーテクノロジーではないかと言うことを書きましたが、今日からはエンジンやシャシー個々の技術について、すこし書いてみようと思います。F1とは、およそ現代のテクノロジーの粋を集めた競技であると言えるわけですが、エンジンに関しての基本的な構造は第2次世界大戦の始まるころには、ほぼ現在のF1で使われているような形式が高性能なエンジンとして固まって来ていました。それは自動車の技術ではなく、戦闘機という航空機のために進化を遂げてきたものだったのです。第二次大戦が始まるころにはドイツのダイムラーベンツは、メタノール・水混合燃料のDOHCの水冷ドライサンプ潤滑エンジンを完成させており、排気量はメッサーシュミットBf109Fに積まれたエンジンDB601では33.9リットル、倒立V型12気筒でボッシュのフーエルインジェクションを装備し、潤滑はドライサンプ、油圧無段変速機を介したクランク軸駆動のスーパーチャージャー付で、オーバーヘッドカムシャフトはべべルギアで駆動され、1シリンダーあたり4個のポペットバルブを持つ、いわゆる4バルブエンジンであったのです。さすがに戦闘機のエンジンはF1のエンジンと比べれば、巨大なもので、15倍ほども排気量があったわけです。当時も軽量化、小型高性能化が求められ、1,500馬力以上の出力を得るところまで来ていましたが、これだけ現在の最新エンジンと似通った機構を持ってはいたものの、最高回転数は3000rpm程度とかなり低く、発生する馬力も、排気量の大きさからすればかなり小さく感じられます。F1のエンジンは2.4リットルで700馬力と言ったところですが、馬力と言う単位は力積であり、回転数が増えればほぼそれに比例して大きくなっていくわけですから、私たちが使う自家用車のエンジンでも、もしニューマチックバルブを装備しF1並みの高回転を得たとすれば、理論値ではF1エンジン並みにハイパワーが出る可能性があります。つまり、2400CCで220馬力のエンジンでも、それは6500回転付近での最高出力なのであり、カムのプロフィールやオーバーラップなどを変更し、高回転に耐える部品を組み込んで、もし2万rpm程回ったとすれば、220馬力の約3倍、660馬力となって、それはほぼF1エンジンと同レベルといえるわけです。エンジンの高回転、高出力化は戦後60年の長い時間をかけて自動車産業が成し遂げてきた成果であり、けっして一筋縄でなかったことが伺われるわけですが、65年ほど前すでに、ほとんど現在と同じ機構が試され、実用下にあり、スーパーチャージングも一段ではなく二段、三段の過給で高出力を得ていたし、当然のように、アフタークラー(インタークーラー)が備えられ、過熱した空気を冷やして密度を保ってシリンダーへ導くと言う工夫もされていたわけです。排気タービンによるターボチャージャーもすでに登場し、大戦末期に大挙して日本の空を埋め尽くしたB29やP-51ムスタングなどには、ターボチャージャーが装備され、1万メートルの高空でもエンジンの出力が充分あるという優れたテクノロジーで武装されていたのです。明日はエンジンの高回転化を妨げるものと、それを可能にした技術等について、書いていこうと思います。
2006.07.10
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フランク・ウイリアムズと彼らのファクトリーが生み出してきたF1カーは、これまで多くの勝利を得てきたのだが、きっと来年はまた違った戦略で勝負してくることだろうと私は予測している。フランク・ウイリアムズと言う男は、この世界ではなかなかタフで傑出した人物だと私は思うのです。サウジア・ウイリアムスFWO7とアラン・ジョーンズの活躍を私は忘れては居ない。来期はきっとまた困難を克服してトップ争いに戻ってくると期待しているのです。今年ウイリアムズが使っているエンジン・コスワースが昨年フォード傘下から切り捨てられたことが私には悲しい・・・・自動車大国アメリカの匂いがまたひとつ消えてしまったからだ。フォード・コルチナ?(だったかな、ちょっと記憶に定かではない)の頑丈なV8ブロックを用いてDFV(ダブル・フォア・バルブの意)エンジンを造りだし、一世を風靡したことは記憶から消えることは無いのだが、そんなDFVを窓際に押しやったのは、ルノーの先進的な技術なのかも知れない。フランスのルノーは今まさにF1のトップの座にいるが、その昔、F1で勝てるとは思われていなかったターボ過給エンジンでF1を席巻したのもルノーが最初だったし。1万2千rpm付近がレブリミットだった3リットルV8エンジンを2万rpmにまでに引き上げる端緒を開いたのも、ルノーのニューマチック・バルブリターンシステムの発明があったからだ。(空気圧をバルブスプリングの代わりに使うことで、金属製バルブスプリングの高回転での追従性の悪化という問題を解決した。)コスワースもHONDAもフェラーリももちろんBMW、トヨタ、ダイムラーもみんな、そのニューマチックで高回転を可能にしている訳なのだが、エンジンパワー競争の鍵はなんだろうと考えて見ると、やはり吸排気系の空気の流れをいかに抵抗無く出来るか、と言うことに尽きるのです。回転数がニューマチックバルブによって上げられても、吸排気の抵抗があったのではトルクやパワーをロスしてしまうので、回っているが非力なエンジンと言うことにもなりかねない。とりわけ吸気バルブ付近のデザインは、ピストンの下降一工程でどれだけの酸素(空気)をシリンダー内に導けるかという命題を常に抱えており、圧縮を確保するためのポペットバルブは空気の流れに大きな邪魔者になってそこにある訳で、ピストンのダウンストロークが生む真空の力と、吸気管内を流れる空気自らの慣性力だけがシリンダーへの空気充填を可能にしてるNAエンジンでは、インテークバルブ付近の流速は音速にも達し、気体の吸気管内面に発生する境界層における粘性抵抗の問題だけでなく、シリンダーの爆音の吸気側への伝播による音圧による影響や、超音速で管内を流れる気体が発生させるであろう衝撃波など、吸気管内のエアロダイナミックスの解析技術が勝負の別れ目であるに違いない。なにしろ2万rpmに達するF1用エンジンにおいて、吸気管内を空気が流れる速さは、空を飛ぶジャンボジェット機より速く、音速を超えるのだから。開いたバルブをバルブシートに戻しているのも空気、エンジンの効率を左右するのも流れる空気のエアロダイナミックス。シャシー性能も今や優劣を別つ部分はエアロダイナミックスであり、レースシーンで勝負の鍵を握ってきたタイヤも、当に空気を巧みに使った空気バネデバイスと捉えられるのです。誰の周りにもある、この目に見えない存在の空気をいかにして可視化(ビジアライズ)し、立ち振る舞いを明らかに出来るかが問われており、今日、速度を競うすべての競技に共通するキーテクノロジーは「エアロダイナミックス」と、その可視化技術(ビジュアライゼーション)と言って過言ではないと思うのです。見えない空気が起こしている問題を数値化し、さらにアニメーションなどを用いて人間の目に見えるように可視化(映像化)しなくては、問題の発見や真相を直感的に理解することが難しく、たとえ間接的に原因を特定できたとしても、対策したことがどういう効果を出しているかを映像でシミュレートできなければ、レースでの結果を待つしかないということにもなり、様々な要因で結果にバイアスがかかる状況の中から、施した対策の効果を正しく取り出して認識することは不可能に近く、フィードバックループは酷く緩慢なものになってしまうわけです。フランスにはミラージュ戦闘機を開発するために作られた、ダッソーの3次元CAD・CAE統合ソフトCATIAが以前より在り、ベンダーの製品だけでなく、こうした3DCADをさらに独自にカスタマイズした可視化技術で、フランスは(ルノーは)世界を一歩リードしていると思うのだが、どうだろう。
2006.07.08
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そのため、日記はちょっとお休み。
2006.07.07
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ブリヂストンとミシュランのタイヤにはタイム差はほとんど無いが、かなりのフィーリング差があることが、様々なドライバーのコメントから想像できる。こればかりは、乗って見ないと何とも言えないのだが、今シーズンの開幕前に、ヤルノやルーベンスの言葉を聴いていると、かなり驚くようなフィーリング差があるらしいことは想像できるのだ。トヨタとウィリアムズのドライバーたちにとってはタイヤだけが変わったのに対し、ルーベンスはマシンもタイヤも変わり、彼はよりその習熟に時間を費やしたのかもしれない。(余談だがルーベンスはHONDAに何かフェラーリの情報をもたらしたのだろうか?)ただ、ウイリアムズのBSタイヤへの順応の素早さは見事なもので、F1が始めてのニコはともかく、マーク・ウエーバーのタイヤへのコメントは少ないのが印象的であった。ワンメイクスのタイヤで戦う、という意味がスペシャルタイヤの消滅という意味と捉えられることから、イコールコンディションにかなり近づくことになってレースはよりコンペティティブになり、BSはのべつ、新たな開発に大金を投じる必要はは無くなるのだし、マシンコンストラクションにしても、タイヤが固定することで、変数として扱う部分が減ることになり、マシン開発と熟成は相当容易なものになる。マシンの設計の方向性としてはアジャスタビリティーの高い設計をするようにはなるだろう。ただ、コースに応じて過去の経験から毎度違うタイプのタイヤを供給したのでは、フェラーリに余りにも有利に働くので、ほとんど同じ構造、同じコンパウンドのタイヤを毎回用意するのであろうから、コースレコードは大きく下がることになるのだろう。タイヤメーカー同士の激しいしのぎ合いが無くなるという意味は、F1のレースの面白さを増すことはあってもその逆は無いだろう。コンペティションとは平等な条件でなければ本来成立しないものだからだ。F1は本来ドライバーズ選手権であることの意味をもう一度思い出そうではないか。以前はポディウムでコンストラクターの国家さえ流れることもなっかったのだ。いつからそうなったのか記憶に定かではないな・・・・。そう考えてみればエンジンの開発凍結もF1の趣旨がドライバーズチャンピオンシップであると言うことを考えれば、良い判断だと言える。・・・そうマニファクチャラーズチャンピオンシップではないのだ。しかしながら、本当のドライバーズチャンピオンシップにするには道ははるか遠い。マシンコンストラクターの独自性を奪う方法でしか達成できない矛盾が存在するからで、すべてをイコールコンディションにすることは、F1が商業主義の上に成り立っていることを考えると現実性は低いものなのだ。僅かなアイデアでも入り込む隙のないシステムは、成長を止めたことと同義となり、それはF1が地上でで最もグレートなレースであることを自ら放棄することになる。これからもF1は進歩と平等性の狭間でゆれ続ける宿命を背負っているのだ。
2006.07.06
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マシンの軽量化は、F1のように最低重量が決められているレースでは重量バランスの改善にとってバラストが積めるところまで軽量化を進めることが重要なのはご存知だと思うわけですが、ホンダが去年ルール違反に問われた燃料タンクは、当に、燃料を積む位置を任意に変更できるいわばアクティブバラスト式バランサーであったことは、あの事件で一般に知られることになりました。この辺のシークレットテクノロジーは今年辺りはどうなっているか大変興味深いところです。現在のトップクラスのマシンは何らかの液体をポンプを使って素早く移動させてバランスを変更しながら走っていると考えられるわけですが、燃料を使うことが違反であれば、液体の水銀などの比重の重いものを利用したくなるかもしれません。まあ、クラッシュしたときに環境を汚染する可能性からたぶん水銀は使われてはいないと思いますが、燃料以外には冷却水とハイドロリックオイル等が利用できると考えられ、安全性や扱いやすさを考えると、やはりハイドロリックオイルのリザーブタンクをボディーのあちこちに作って、そのタンクへオイルを移動させることでバラストとして利用していることが最も考えやすいのです。イギリスGPでのジェンソン・バトンに起きたトラブルは、ジェンソンのマシンからオイルが漏れて、そのオイルに自ら乗ってバランスを失ったそうなのですが、その時、なぜそこからオイルが漏れたのか、HONDAの中本氏が言葉を濁すがごとく「原因を究明中」と言ってそれ以上は話さなかったということなので、或いは何らかのオイルをバラストとして使用していて、そのオイルが漏れたことも充分に考えられます。燃料をバラストに使う事が一応タンクの形式という点で違反に問われてから、そうしたアクティブバランサーを他の液体で代替している可能性を考えると、私はほぼ100%確実だと思っていますが、オイルでやるか、冷却水のどちらかの可能性しか無く、もし、HONDAの関係者がオイル漏れの原因などに言葉を濁す様なら・・・オイルを使っていることが予想されるわけです。エンジン冷却水は温度が100°を超えて加圧状態で沸騰を抑えている状態になるでしょうから、やはり取り扱いの点では、ハイドロリック系の作動オイルでやる方がなにかと楽だと想像出来ますからね~・・・・。でも、もしかすると、左右のサイドポンツーンに配置したラジェーターの容量を大きくして、蓄水量を左右で可変させて、コーナリングのときにインサイドにより多くの冷却水を移動させることもアイデアでは考えられますから、オイルも冷却水も使っているのかもしれませんね~・・・・・・私も設計したい・・・・・。まあ、スーパーアグリSA06はその辺はHONDAと同様なシステムであると想像しますから、オイルでしょうねバラストは・・・・・たぶん!?銀河 遼でした。
2006.07.05
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昨日は、激しく眠かったので早く寝てしまいましたが、(それでも12:00は過ぎていた)アメリカグランプリでのスタート直後の出来事には少し触れなくてはならないのです。ニック・ハイドフェルドが宙を舞って、一挙に7台のリタイヤマシンを生んだ事故は、F1レースの単一の事故としては最大級の事故でありました。死者やけが人が出なかったのは不幸中の幸いでしたが、原因を作ったとされるファン・パブロ・モントーヤに対して何らかの処分が出る雰囲気は今のところ無い。パーマネントビューローに、この件が採り上げられる可能性は無いのだろうか?私個人として、ファン・パブロに悪意も無いが、彼はこれまでも、ずいぶんと問題のあったドライバーであるという印象はぬぐえない。サンマリノのスタート直後のコーナーで井出と絡んでクリスチャン・アルバースがただの一台だが宙を舞った。井出は、それまでの3戦でチームメイトの佐藤琢磨に対し、かなり見劣りのするタイムしか出せず、フリー走行でもスピンしまくりで他の車にっ迷惑をかけたり、そのパフォーマンスが「F1レベルでない」と周りから冷たく見られていたこともあって、サンマリノのスタート直後のコーナーで接触事故後、FIAはスーパーアグリF1チームに対し、井出をレースから外すことを促す指導があり、それを拒否したスーパーアグリチームに対し、FIAパーマネントビューローは井出のスーパーライセンス剥奪と言う強い決定を行い、井出はF1レースから締め出されました。今回の事故での被害はサンマリノのそれと比べてはるかに大きく、リタイヤは7台に上ったのですが、主たる原因を作ったとされるファンパブロがマクラーレンというパーマネントビューローの構成員でもあるチームのドライバーのためか?議題にもされない可能性があるのです。ロン・デニス(マクラーレン代表)は特に議題にしたくないと・・・そう思っているはずだ。レースは競う場であり、ある程度仕方ない部分があることは皆承知しているが、どこまでが許され、どこからが許されないことかと言うボーダーは曖昧なもので、今回の事故が日本でのプロ野球のピッチャーの頭部へのデッドボールが、その理由の如何を問わず危険球退場となる。と言った措置や、サッカーのイエローカードとレッドカードの仕組みのように、累積などでも出場停止処分が課せるような明文化されたルールが必要であるように思えるのです。井出の件は、様々な理由がささやかれているが、今回の事故をFIAが問題にも採り上げないとしたら、余りにも不公平と言わざるを得ないと思うし、私の希望としては、鈴木亜久里代表には、「私は今回の事故は、サンマリノの時と全く同じ、レーシングインシデントと捉えていますが、パーマネントビューローで井出のライセンスを奪う決定を促した方々は今回も同様な行動をとっていただきたい。そうしなくては余りに不公平と言うものである。」と言ったコメントぐらいは出して欲しいと思っているのですが、立場上・・・・・言いづらいのでしょうね・・・・・。
2006.07.04
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昨夜は寝ずに仕事をして、USグランプリを見たので、ちょっと眠かったですね~・・・・。スーパーアグリF1チームは、琢磨も、モンタニーも他車との接触でリタイヤとなってしまい、興味半減のレースでした。おまけにジェンソンも多重クラッシュの影響で早々にリタイヤし、ルーベンスに期待がかけられましたが、案の定ロングランでは徐々にポジションを落とす今年のパターンに嵌りかけていました。なんとかラルフのリタイヤなどもあって6位入賞が精一杯の様子で、HONDAのマシンは空力を一新しない限りこれ以上良くなりそうも無い感じです。今日は激しくね眠いので、このへんにしておきましょう・・・・・・。
2006.07.03
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夜中・・・と言うより明日の朝方ですが、USグランプリがインディアナポリスで行われます。BSタイヤのフェラーリのミハエルが優勝すると思いますけれど、HONDAがレースでどこまでがんばれるかも興味ありますが、琢磨も完走だけでなく少しでも前でフィニッシュして欲しいです。今回はカナダGPと基本的に同じ車で出るところが多いはずだけど、両サーキット共高速の要求されるサーキットで中速のコーナーがほとんど無くて低速コーナーとで構成されているとは言え、モントリオールとは全く違った予選の結果は、各チームのタイヤの使い方、マシンのセットアップ方向の違いが見て取れて、本当に興味深いコントラストを見せてくれていますね~・・・。予選の結果を見ればブリヂストンがかなりリードしていて、1秒ミシュランを引き離していますね~ミッドランドも当にブリヂストンを上手く使ったチームですね・・・・でもウイリアムスがBSにしては苦しんでいます。つまりボディーの空力(エアロダイナミックス)が優れていて成績の良かったチームは此処では其のダウンフォースが大きくなりすぎて、問題が出てしまうように感じました。レスダウンフォースでのメカニカルグリップの勝負になるインフィールドで速く走れる事と、重いウイングでも速度が出せるエンジンパワーが有るところが強くなっているのかな?要するにボディーでのダウンフォースが大きいとウイングを余り重く出来ないバンクとサスペンションのバネレートのバランス関係がこんな不思議な予選の結果になっているように感じました。そんなわけで、この予選のリザルトはコースにバンクがあることと深い関係をにおわせ、ボディー下面の空気の流速を巧みに利用しているエアロダイナミックスに優れたチームはライドハイトクリアランスを上手く維持することが非常に難しくなっているのが解るわけです。ウイリアムズのようにシルバーストーンで良い成績が出る車は、その辺が特徴なので、こんな非常に面白い結果になっているのだと思います。此処で速いと言うことはボディーでのダウンフォースが不足気味と言うことかも知れません。その辺3位に付けたフィジケラの駆るルノーのバランスの取れていることも解るわけです。本当にこのサーキットのラップを見ると、車の性格が見えてきて、ラップタイムという物が実に興味深い情報を含んでいるのだと思えます。インディアナポリスの予選の結果から思うに、HONDAはボディーのグランドエフェクトによるダウンフォースが不足しているために、タイヤにかかる垂直荷重が足りずにタイヤの発熱が遅く、また、ダウンフォースが足りないためにレースディスタンスを通してタイヤのパフォーマンスを維持できていないことがこれではっきりしました。インディーで予選結果の良くなったチームはおそらくHONDA同様ボディーでのダウンフォースが不足しているのでしょう、だからウイングを重くしても、バンクでライドハイト下がり過ぎない。したがって、直線速度は少し犠牲になるけれど、重いウイングはボディー下面のベンチュリー効果で得るグランドエフェクトと違って低速でのタイヤ荷重を上げられることから、インフィールドでの操縦性が向上し、ラップタイムを削ることが出来るのだろう。HONDAもミッドランドも基本的にボディーでのグランドエフェクトによるダウンフォースが足りない車なのだと推測できるわけです。フェラーリが今回速いのはルノーと同様、その辺のバランスはかなり良い車で、ブリヂストンタイヤの恩恵分がもろに差になったと思われるのです。
2006.07.02
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