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シラン 194タイトルに「ダイエット」とあるが、この本は別に減量を話題にしているわけではない。もともとのタイトルが英語で記してあるが、おそらくこれは「新生アメリカのための食事法」みたいな意味あいだろう。どんな本かということは、本の裏表紙に印刷してある簡潔な宣伝文を読むとよくわかる。「地球上の全ての生きとし生けるものの幸福と健康を願う視点から、医学、農業、経済、環境等に関する研究データを基に、私達の食生活が、地球と地球上の全生物に及ぼす影響について検証し、警告する。地球と人間を救うための情報と指針に満ちた必読テキスト。」ちょっと敷居が高そうな印象を受けるかもしれないが、要は三大疾病や大規模な環境汚染の原因の一端は私達の食習慣にあるということを一般の読者にもわかりやすく説明した本である。これが今、ずいぶん高値で売られている。日本での初版は1992年だが、やがて絶版となり、近年、復刊ドットコムによって再販されたが、すぐに品薄状態になり、ここのところずっと希少本扱いが続いているようだ。3か月くらい前にチェックした時は、たしかアマゾンで、¥30,000くらいだったような気がするが、1か月前くらいから¥65,959の値がついて現在に至っている。本によっては、一時的に高値をつけるが、やがて適正価格に落ち着くものも多い。が、この本はもともと刊行時からアメリカで評判になった本で、ベジタリアン関連の本などにもよく紹介されているいわゆる名著の類いである。このまま品薄状態が続けば、もっと値が上がる可能性もある。だからと言って、版元が大量に増刷するかと言えば、そういうことにもならない。何故かと言えば、こんな本を読みそうないわゆる意識高い系(←ちょっと揶揄 笑)がそんなに急増することなど考えられないからだ。仮にそんなことにでもなって、この本が謎のベストセラーとかになったりしたら、それこそ食肉産業どころか、飽和脂肪酸産業全体が壊滅状態になるおそれがある。 笑なにしろ、この本は飽和脂肪酸産業の裏側を鋭くえぐっているので、こんなものが消費者に幅広く読まれて、人々の食習慣がガラッと変わったりしたら、それこそ業界全体が吹っ飛んでしまうというわけだ。でも、そうはならないんだよねー。 笑世の中、うまいことできてるよねー。 笑みんな、肉も乳製品も卵も大好きだからねえ。だって、肉や乳製品や卵ってうまいし、良質な蛋白源でもあるじゃないか。たしかにそう信じこまされてきたよね。でも、そのタンパク質の過剰摂取こそが、心臓病や脳卒中や癌の主な原因だと言われたら?この本は大量のデータを駆使して、そのことを証明してみせてくれる。さらには、蛋白質神話のまやかしをあばき、むしろこれまで考えられていたものよりはるかに少ない蛋白質摂取量の方がより健康でいられることまで明らかにしてしまった!若者はともかく、生活習慣病が気になる中高年の皆さんにはちょっとこれ、耳寄りな話じゃないだろうか。肉や乳製品や卵を一切食べるなと言っているのではない。そうした飽和脂肪酸/コレステロール過多な食品の摂取を大幅に減らし、食物繊維が豊富な食品をより多く摂取したらどうかという、非常に真っ当な提案である。こうしたことを1980年代から主張していたジョン・ロビンズって、一体どんな人?実はこの人、世界最大のアイスクリーム会社、バスキンロビンズ社(日本ではサーティワンとして知られている)の御曹司でありながら、親とは正反対の活動をしているというから、なんとも皮肉な話ではある。195近頃は植物図鑑より鉱物図鑑を開く頻度の方が増えている。そこから得られる情報は多岐にわたる。その鉱物の生成や組成、硬度、比重といったデータから、その結晶系、晶癖、色、光沢、劈開、条痕、といった特徴に関する記述まで、なかなか幅広い。このうち、わしのような素人にもわかりやすいのは色と晶癖である。晶癖というのは、各鉱物の結晶に見られる特徴的な外観のことである。それを表現する用語には次のようなものがある。柱状、塊状、樹枝状、針状、葉片状、腎臓状。どれも字面からなんとなくイメージできそうな気がするが、今回はこれらの中で一番グロテスクな感じがする最後の「腎臓状」を取り上げてみようかと思う。というのも、この前、村上春樹の「日々移動する腎臓のかたちをした石」(『東京奇譚集』収録)という短編を読んだ時の印象がいまだに強く残っているからかもしれない。村上春樹の小説には怪異現象というか超常現象というか、まあ、オカルトめいた不思議な現象がつき物だが、件の短編では、タイトルを読んだだけですぐわかる現象が描かれている。状況をざっと説明すると、こうだ。まず、主人公である淳平(作家)がキリエという女性に、今執筆中の小説について話をしている。その話は不倫をしているある女医が休暇で訪れた温泉地の河原で奇妙な石をひとつ見つけるところから始まる。その石は「赤みがかった黒で、つるつるしていて、(中略) サイズも、色あいも、厚みも、本物の腎臓そのまま」である。彼女はその石を病院の自分の部屋に持ち帰って文鎮として使うことにする。すると、数日後、彼女は奇妙な事実に気づく。朝出勤してみると、前日帰宅する時に置いた位置から別の場所に石が勝手に移動しているではないか。しかも、これが連日繰り返される。やがて彼女は夜ごと居場所を変えるその真っ黒な腎臓石の存在に惹きつけられ、それから目をそらすことができなくなっていく。本来ならメインとなる淳平とキリエの関係を差し置いて、この劇中劇とも言える女医の話が後々まで印象に残るのは、ひとえにこの移動する腎臓石のエピソードがあるからではないかと思われる。さて、腎臓状の石といってもいろいろある中で、石に興味のある人の頭の中に真っ先に思い浮かぶのは、やはり赤鉄鉱(ヘマタイト)ではないだろうか。もちろん、赤鉄鉱にも「アイアンローズ」をはじめ、さまざまな晶癖が見られるが、腎臓状の石ということになれば、下にあげる二つの例がその代表的なサンプルと言えるだろう。『岩石・鉱物図鑑』(創元社) より「vec stone club」よりどちらも臓器っぽい生々しさが感じられるが、文鎮として使うのであれば、やっぱり黒っぽい方ではないかな。村上春樹もおそらくこれと似たような赤鉄鉱をどこかで見かけたのではないかと思う。それに黒っぽい石というのは何となくミステリアスな感じもする。例えば、スモーキークォーツとか、ネプチュナイトなんかも、夜ごと動き回りそうな雰囲気は持っている。『2001年宇宙の旅』のモノリスだって黒い石板だったし。こんな石であれば、それこそキリエが言うように、「石も意思を持っている」と考えたくなるのではないか。どうやら彼らは明確な意思を持って私たちを揺さぶっているらしい。さらに言うと、彼らは私たちのことを何から何までよく知っているという。そういうふうに考えると、たしかに面白いねえ。気づいてないのは私たちだけで、実は、風にしろ、石にしろ、何も知らないふりをしながら、しっかり私たちのことを観察しているのかもしれないね。 笑【追記】腎臓状の石ということで、今回は赤鉄鉱を紹介してみたが、もう一つ、赤鉄鉱とよく似た形状の石を挙げるとすれば、針鉄鉱(ゲーサイト)という鉱物がある。村上春樹がイメージしていたのは、ひょっとしてこちらかもしれない。
2025.05.18
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これらはどちらもスペイン産のフローライトです。2週間ほど前に手に入れました。まずは、某ショッピングモール内の書店で化石鉱物フェアをやっているという情報をたまたま入手し、軽い気持ちで見に行ったのがきっかけです。少しばかり惹かれる石もありましたが、その時は手ぶらで帰って来ました。それから数日後、近くで用事があったついでにまたその書店に立ち寄って、いくつかの石を手に取って吟味しましたが、結局、その時も何も買わずに帰ってきました。その後、出費を予定していた金が少し浮いたので、気になっていた黄鉄鉱(パイライト)と、砂漠の薔薇(ジプサムローズ)を買いに出かけました。ところが、現場で前回見過ごしていたいい感じのフローライト(上の二つ)に出会い、急に心変わりして、これらの方を選んでしまいました。さらに、格安の値段で並べてあった藍晶石(カイヤナイト)、紅石英(ローズクォーツ)、オレンジ方解石(カルサイト)を加え、この日は計5個の原石をゲット。これで我が家の鉱物コレクションはあっという間に9個になってしまいました。 笑貧乏人の分際で石沼に沈んでどうするんじゃー!そう憐れむ人もいるかもしれませんが、大丈夫、大丈夫。今回の出費だって、全部で¥5000ちょいですから。それに、わしの生活圏内にはミネラルショップなんてないし、ふだん高価な石を見る機会なんてありませぬ。田舎に住んでいると、そもそも芸術品並みの標本をナマで見ることすらありません。だから、ATMダッシュして高価な石を衝動買いするなんてリスクはまずありえません。でも、通販サイトを開くと、涎が出そうな石がわんさか目に入ってくるのでは?大丈夫、大丈夫。そんな石は、もう桁違いですから、初めから買う気なんて起こりませぬ。そういうレベルの石はガイドブックで眺めるだけで十分です。例えば、『FINE MINERAL』(by 亀田和人 / 双葉社) という本には悶絶レベルの鉱物が300個近く収録されていますが、それでたったの¥2700ですから、その眼福の程度を考慮すると、ほとんど只同然!いや、これ、マジで一家に一冊レベルでっせ。笑わざとらしいストーリーもなければ、小難しい理屈もなし。テキトーに開いたページの写真をボーっと眺めるだけ。それだけで日々のモヤモヤした気分もスッキリ洗い流されます。 笑造化の妙とも言うべき絶品だらけの写真を見飽きたら、今度は安物のリアルな石を掌にのせて、その心地よい重みを味わう。今、安物って言ったけど、中には由緒ある鉱山出身の石もあります。上にあげた紫色のフローライトはSpainのBerbes という所で採れたものですが、この鉱山のフローライトは先程紹介した本の中にも出てきます。もう一つ例を挙げると、ミネラルマルシェで手に入れた緑色のフローライト。これはナミビアのオコルス鉱山のフローライトですが、この鉱山の標本も例の本にいくつか登場します。ついでに、コレクターの亀田氏のコメントを抜粋しておきましょう。「そんな、大人気のフローライトですが、近年その人気が強烈なのが、オコルス鉱山のフローライトです。独特な色味を持ち、その産地がすぐに想起される標本が多い印象です。」これは石ではありません。ラブラブなウメの実どうしが合体して、きれいなハート型になったものです。あるいは、もともと一つの実がハート型に割れたのかもしれません。いずれにせよ、双晶っぽいところが鉱物じみています。この前、ツツジの花の上に乗っかっているのをたまたま見つけました。サイズは18mm×25mmくらいなので、ちょうどサムネイルサイズの石なみの可愛さです。よし、こいつを石に見立てて、エナジーチャージしてあげようっと。 笑水晶のさざれ石の上に置いてみました。
2025.05.06
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