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205オンラインショップや図鑑などの写真を通して、毎日いろんな鉱物を眺め暮らしている。その都度、「ああ、地球って、ホンマに美しい星やなあ」と感嘆の溜息をもらす。石を買い始めた当初は自分でもすぐに飽きるだろうと思っていたが、半年ほど経った今も熱が冷めない。逆に鉱物の奥深さを知って、興味は増すばかり。もっと若ければ、自らミネラルハンティングに出かけていたかもしれない。さすがにそこまでの元気はもうないが、擬似体験ならナンボでもできる世の中ってありがたいね。鉱物ハンティング系の本や動画だって、探せばいくらでも手に入る。例えば、こんなのはどうか。『宝石の国』と同様、今年アニメ化された『瑠璃の宝石』という漫画である。内容を簡単に説明すると、主人公の谷川瑠璃という高校生が山で出会った鉱物学専攻の大学院生、荒砥凪に導かれて、鉱物採集の世界にハマっていく様を描いた作品である。いわゆる学習漫画という範疇に入るのだろうが、一種のビルドゥングスロマン(*)としても読めるような気がする。まあ、読み方は人それぞれだが、作者の狙いはあくまでも鉱物採集の楽しさを伝えることにあり、その点は十分に達成されているのではないか。少なくとも、わしはすぐさま次が読みたくなり、次を読むと、またその次が読みたくなった。読み進むにつれて、こちらの地学的関心も掘り起こされるような気になってくる。この石は何故ここにあるのか?この鉱物は一体どういう産状において生成されたのか?そうした問いにやさしく答えてくれる作品になっており、別に石好きでなくとも、知的好奇心さえあれば楽しめると思う。わしとしては、nature に興味が芽生えつつある小学生にぜひとも読ませたい。 笑* ビルドゥングスロマンとは、若い主人公が様々な経験を通して知見を深め、精神的な成長を遂げながら大人になっていく過程を描く小説の一ジャンル。わしはどちらかと言えば、美的な観点から石を見ているが、もっとコアな石好きは全然違う角度からそれを見ていたりする。そういう人が読む鉱物の本というのは、素人からすれば、かなりアカデミックなもので、ちょっと敷居が高いかもしれない。そこまではいかなくとも、その鉱物の産状とか産地について少しばかり知っておきたいという向きには、上にあげたような図鑑が丁度よいのではないか。共生鉱物の生成パターンを大きく三つに分けて解説している図鑑であるが、写真がピッカピカに美しいのは、まあ、この手の本としては当たり前としても、文章までもキレッキレというのは珍しい。特に例えが絶妙というか、まあ、少なくともわしにはドンピシャみたいな例えを連発してくれていて、もうそれだけでこの本は文句無しに星五つ確定! 笑一つだけ例を挙げると、7番目に出てくる「ベリル var. アクアマリン、曹長石」。水色のグラデーションが美しいアクアマリンを白いアルバイトが後ろから包み込んでいるような標本にこんなコメントがついている。「中世、宗教画の題材として盛んに採り上げられた、青い上衣のマリアが雲に包まれて昇天する場面を、連想させるような姿をしている。」ちょっと教養がなければ、こんなことふつう言えないって…これがどんな石か興味がある人は、「エクスナレッジオンライン 美しい共生鉱物の図鑑」で検索してみてほしい。立ち読み動画付きのウェブページに、このアクアマリンの写真もたまたま載っていた。206この石は今、わしの手元にあるのだが、この写真はわしが撮ったものではない。購入先のHappy Gift さん、正確に言うと、たぶん店主のYさんが撮ったものである。なんだか茶色い容器から水が溢れ出している瞬間を撮ったみたいに見えるけど、これはれっきとした共生鉱物なのである。ただ、おチビちゃん過ぎて、わしのスマホでは水のように見えるハイアライトオパールの部分をうまく撮ることができない。えっ、これ、オパール?そうなのよ、これ、オパールなのよ。 笑わしもハイアライト(玉滴石)がオパールの変種だということを今回初めて知った次第。さらに、茶色い方はトパーズだという。トパーズって、もっと透明感があるイメージだったけど、こんな色のマットな質感のトパーズもあるんだね。アクリルケースの上からペンライトの光で照らすと、こんな感じに見える。トパーズの方は一見六角柱に見えるけど、実は八角柱。いろんな意味で変わってるなと思い購入したけど、さっきの図鑑には、こいつの逆、つまり、ハイアライトの結晶の上にトパーズの結晶が2本乗っかっている標本が載せてあり、思わず笑ってしまった。オマケにもう一丁。共生鉱物という話題に乗っかって、いかにも典型的なやつをあげてみた。紅鮭のフレークみたいなやつが重晶石(バライト)。真ん中へんにくっついている生姜飴みたいなとろみのある結晶が白鉛鉱(セルサイト)。そして、黒っぽい鉛色の鉱物が方鉛鉱(ガレナ)である。この組み合わせはだいたいモロッコ産のものが多いと思うが、供給量が多いためか、案外安く手に入る。上の石も高知の鉱物屋(いしや)から、たった¥2900で買うことができた。三つとも比重の高い鉱物なので、手のひらに乗せると、重量感があって、それがたまらなく心地よい。方鉛鉱という、自分としては初めての硫化鉱物に触ることができたのも嬉しい。コレクターの中には、硫化鉱物みたいなメタリックな石ばかり集めている人もいるが、そうした石を集中的に見てみると、彼らがそれらをかっこいいと思う気持ちも何となくわかるような気がする。まあ、相変わらず暇ですなあ。 笑
2025.09.19
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203先日、若い頃に買ったナショナルジオグラフィックの『ザ・フォトグラフス』という写真集のページをめくっていると、最後の方で、こんな掘り出し物みたいな一枚に遭遇した。白黒ツートンのコスチュームにガウチョハットでキメたこのスタイリッシュな老婆は一体誰だ?キャプションの文字をもう少しデカくしてみよう。ニューメキシコ州 1980年ジョージ・F・モブレイアトリエ「幽霊牧場」で自作の「ブラック・プレイスⅢ 」の傍らに座るジョージア・オキーフ。気むずかしいとの評判をよそに、協力的で、自分の人生を熱心に語ってくれた。1980年とあるので、おそらく92歳頃のジョージア・オキーフである。95歳くらいからはさすがに介護が必要になったか、サンタフェに移り住んだようだが、この頃はまだアビキューで暮らしていたようだ。壁に掛かった絵もシックでカッコいいけど、傍らに座るオキーフの凛とした佇まいにも心惹かれるものがある。ステッキを握る左手の甲に注目。長年、直射日光が厳しい半砂漠地帯で生活していたせいか、皮膚の色もこげ茶色っぽくなり、心身ともに鉱物化していたのではあるまいか。 笑ところで、アトリエ名としても使われていた「幽霊牧場」って何だ?英語にすると、Ghost Ranch 。オキーフが住んでいたアビキューに近い荒野一帯を表す地名である。Ghost には「幻」という意味もあるので、「幻影農場」でもいいかもしれない。オキーフはここの荒涼とした景色にかなり魅せられていたようで、最初に購入した家もこの地にあったそうだし、もちろん、絵のモチーフとしてここを再三取り上げてもいる。Ghost Ranch の景色 tripadvisor.jp よりわしも若い頃から、砂漠や荒野みたいな空漠とした風景が好きだった。今でも上のような画像を見ると、どうしてもスマホに保存したくなる。少なくとも、そういう点では、ジョージア・オキーフとはウマが合うかもしれない。204これは8月にほたみねさんから購入したレッド・クォーツである。 俗に「にんじん水晶」とも言われている。ロシアのダルネゴルスク産などを見ると、なるほどと思う。まさににんじんの色をしているではないか。一方、上の標本はペルー産で、クォーツの色がかなり淡く、ブラウニッシュオレンジに近いような感じがする。では、クォーツと共生している海藻色の鉱物は何か。ああ、味付け海苔を瞬間凍結したようなやつね。これはどうやら緑簾石(エピドート)ではないかという話だ。エピドートって、図鑑やオンラインショップの写真で見ると、柱状、塊状、粒状のものが多く、当該標本のような晶癖のやつはあまり見かけない。これをMさんに見せたところ、「ワカメ付きのサンゴみたいですね」という感想をもらった。ほたみねの店主も、動画配信の際に全く同じフレーズを使っていたので、これにはちょっとビックリした。 このタイプの石は他のショップではほとんど取り扱ってないためか、毎回5個くらいずつが新着商品として出るたびに、速攻で全部売り切れる。カートに入れた次の瞬間にはもうSold out である。たぶん販売開始時間から10秒、いや、5秒以内の勝負だ。そんな激しい争奪戦のなか、地方在住で、なおかつスマホで参加しているこのわしが何故この石をゲットできたのか、今もって謎だ。 笑たぶん、この石に限っては、たまたま競合相手がいなかったと考えるしかない。それにしても、この石は、造形的に見て、かなり美しいと思う。オベリスクのようなクォーツがツンツンしながら、海苔のようなエピドートと、バランスよくサムネイルサイズにまとまっているのが、いと可愛いらし。笑これはフランス産のフローライトで、やはりほたみねさんとこにあった石である。ラベルの数字から判断して、買ったのは7月末だから、レッド・クォーツより先にこちらの方がいち早くわが家にやって来たことになる。これを見た人の中には、上に乗っかっている水色の結晶がフローライトで、下の母岩は別の鉱物と思った人もいるのではないか。ところが、実際は、これ全部フローライトなのである。人によっては、地層とかミルフィーユ、あるいはレイヤーケーキに見える部分も、色はそれぞれ違えども、れっきとしたフローライトの結晶である。わし個人としては、この石を初めて見た時、UKのダービーシャー州産の「ブルージョン」と呼ばれているフローライトのことが頭に浮かんだ。「鉱物たちの庭」よりこの由緒ある種類のフローライトは欲しいと思ってもなかなか手に入るものではない。そこで、いつものように、代理品として、ちょっと似のフランス産を買ってしまった次第である。でも、我がおフランス産のレイヤーケーキの方も、よく見ると、そこはかとなくヴィンテージ感が漂っているではないか。え?ビンテージ感?そう、黄ばみだよ、黄ばみ。 笑まだクリーニング技術が発達する前の、ずっと昔に採掘されたかのような黄ばみゆえに、かえってこの標本はオールドストック品の風格を纏ってしまっているのであーる。 ホンマかいな。 笑
2025.09.05
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