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ベンケイソウ 2025207今年のノーベル文学賞はハンガリーのクラスナホルカイ・ラースローに決まったが、受賞の知らせを受けて、彼は冗談半分に「これはまさに、災難以上のものです」と語ったそうだ。英語にすると、たぶんmore than a catastrophe と言っているのではないかと思われる。キーワードはもちろん、catastrophe ということになる。これは1969年にノーベル文学賞を受賞したサミュエル・ベケットが受賞の知らせを受けた時に発した言葉だとされる。正確には、電話口で受賞の知らせを聞いた妻のシュザンヌの言葉らしいが、それはベケットの心中を代弁する言葉だったに違いない。What a catastrophe !(なんちゅう災難か!)ベケット夫妻にとって、ノーベル文学賞受賞はまさに迷惑この上ない災難だったようだ。たぶん殺到するインタビューとか、授賞式への出席とか、そういうゴタゴタが煩わしかったのだろう。当時、転地療養を兼ねてチュニジアに滞在していたベケット夫妻は、マスコミの追跡を逃れるべく長いことホテルの部屋に潜伏していたらしい。結局、ベケットは賞は受けたものの、授賞式には代理人に行ってもらい、自らは欠席している。これとよく似た例が2016年の受賞者ボブ・ディランである。彼も受賞の発表から数日間は姿をくらましていたというか、連絡がつかない状態だったみたいだし、授賞式にも予想どおり欠席している。公には受賞を光栄なこととしながらも、果たして彼がそれを心から喜んでいたのかどうか、どうも疑わしい。まあ、変人として名高いボブ・ディランのことだから、ひょっとすると別格級の変人みたいなベケットの顰(ひそ)みに倣ったという線も考えられる。 笑では、クラスナホルカイ氏の場合はどうなのか。「これ(ノーベル賞受賞)は、まさに災難以上のもの」というのは、裏返すと、「これは、単なる災難ではない」ということになる。おそらく彼は自らの驚きが相当なものだったことを表現すると同時に、受賞が自らにとって意義深く喜ばしいことであるということを簡潔に述べたかったのではないか。そして、もう一つ。おそらくベケットのエピソードを連想させる「災難」という言葉を使うことで、自らもその偉大な作家の系譜に連なることを暗に示したかったのではないか。代表作の『サタンタンゴ』の邦訳すらない現状では、この作家のことを知る手がかりはほとんどないが、映画に詳しい人なら、タル・ベーラ監督の映画を通して、クラスナホルカイ氏の名前くらいは知っているかもしれない。その作風を表す言葉をいくつか羅列すると、「破滅的」、「不条理とグロテスクな過剰さ」、「終末(黙示録)の巨匠」、などなど。これ、絶対俗受けしないよなあ。 さすがノーベル賞の選考委員たちが推すだけのことはある。 笑ちょっと興味のある人は『ニーチェの馬』という映画を観てみるといいかも。もっと時間を節約したい人はWikipediaでその概要とストーリーを読むという手もある。これを読むと、スウェーデンアカデミーのお偉いさん方の趣味の一端をほんの少しだけ窺い知ることができるかもしれない。 でも、それはわしのこの記事を読むのと同じくらい、たぶん何の役にも立たないだろう。 笑208ブルー系の石で人気があるのは、一般的にはラピスラズリとかサファイアとかタンザナイトあたりかな。もっと希少なやつを挙げると、カレドニア鉱、ユークレース、ベニト石、ボレオ石、べゼリ石、リロコナイト、スコロダイト、エレミヤ石、カバンシ石、といったところか。そして、上にあげたカーレトン石もそうした希産鉱物の一つに数えられている。この石が珍しいのは、カナダのモントリオール郊外にあるモン・サン・ティレールでしか産出されないという点だろう。ゲゲゲっ!そんなレアなものをなんでボンビーなお前さんが持ってるんだよー、と訝る人もいるだろう。確かに、発見当時(1971年)はずいぶん高価だったらしいが、その後ボナンザも発見されて、価格が落ち着き、今ではわしのような年金生活者でもちょっと無理すれば買えるレベルになったみたいだ。でも、内側が青くて表面が透明な四角柱状の結晶になったものは、今でもちょっと値が張るのではないか。そういうタイプはほとんど流通してないので、よくは知らないが、いかにも高そうな気がする。こいつの産地が何故一箇所に限定されるかは、その複雑な組成を見るとなんとなくわかるような気がする。化学式だけ見ると、頭の中が沸騰するくらいゴチャゴチャしている。言葉だけでスッキリまとめると、カリウム、ナトリウム、カルシウム、炭酸を含む珪酸塩鉱物ということになるが、それでもなんだか難しそうなやつに思えてしまう。ただ、見かけはしごく落ち着いた感じで、まあ、フツーのブルーである。なんだかよく見かけるものに喩えることができそうな気がして、それをずっと思い出そうとしているのだが、まだ思い出せないでいる。 笑これもある意味、希少な石には違いない。イリノイ州のミネルヴァNo.1鉱山という、フローライトファンなら誰でも知っている有名な産地の石だからである。この鉱山はすでに閉山しているため、新たな標本が市場に出てくることはない。よって、コレクターの放出品や業者のストック品にはかなりの高値がつく。クオリティの高い石であれば、イリノイ州ミネルヴァ鉱山というブランド名が付くだけで、数万円から数十万円が上乗せされるのではないかと思えるほどだ。上の石はこの前、エヌズミネラルさんから購入したばかりの標本。だいぶ迷ったが、30%オフに釣られ、清水ダイブして手に入れた品である。ああ、ついに我が家にもミネルヴァ産のフローライトがやって来たかと思うと、なんだか妙に感慨深い。そういうわけで、光の加減によっていくらでも変化するこの石を飽きもせず眺め暮らしている今日この頃である。上の写真からもわかると思うが、色合いの変化は歴然としている。普通にLEDの照明の下で見ると、真ん中の写真のように見える。ジャパンブルーって言うのかな、ちょっと藍色っぽいブルーだ。これをもっと光にかざすと、一番下のように、やや透明感のある水色に見えてくる。そして、一番上の写真は業者さんが撮影したもので、この色合いは素人ではなかなか出せない。淡いブルーの奥にパープルが滲んでいるように見えるが、実際、光の種類や当て方によってはこういうふうにも見えるのではないかと思う。白色灯でカラーチェンジするタイプみたいなので、今度そういうペンライトを手に入れて試してみようと思う。
2025.10.16
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ヤブラン 2025今日は久しぶりに競馬の話をしよう。この前の日曜日(9/28)、中山競馬場で行われたスプリンターズステークス(GⅠ)の結果が実に衝撃的だったので、ちょっとそのことを報告しておきたくなった次第。ここ何年か、わしはダービーとジャパンカップと有馬記念しか競馬はやらないことにしている。よって、秋のGⅠシリーズの第一弾を飾るスプリンターズSも当初は見るだけのつもりだった。ところが、その3日前に変な夢を見た。昔の同僚のNさんがしきりにわしを誘っているような夢だった。「よく当たる水晶玉占いだそうですよ。一緒に話を聞きに行きましょうよ」連れられて行ったのは、怪しげな小部屋。髭を生やした小柄な老人が水晶玉の中を覗きこみながら、問われもしないのにこんなことを言う。「女性の名前がついた馬が逃げて、それを宝石の名前がついた馬が追いかけておる」ああ、競馬の話か。でも、これは一体どのレースのことを言ってるんだろう。そう思ったところで、目が覚めた。不思議なのは翌日、そのNさんがスプリンターズステークスの予想をラインで送ってきたことだ。ただ、その予想は共通の知人であるKさんからのもので、Nさんはそのままその買い目に乗っかるつもりだという。Kさんが自らの予想をNさんに送ってくるというのは、よほど自信があるからではないか。ストレートに言われたわけではないが、「あなたも一緒に乗りましょうよ」とNさんから誘われているような気がした。まるで夢の続きを見ているようなものだ。まあ、これも何かのサインかもしれない。天からのお知らせというか、「ちょっとしたプレゼントが届きますよ」というメッセージかもしれない。そう思ったわしは、Kさんの買い目にそのまま乗っかって、ちょっとだけ金を賭けることにした。それで、一応、レースの前日に出馬表をチェックしてみて、おやっ?と思った。夢の中で水晶玉占いの老人が見ていたレースはひょっとしてこのスプリンターズSだったのではないか。言ってることがちゃんと当てはまってしまうのだ。まず、女性の名前がついた馬は3頭いる。ナムラクレア、ママコチャ(女神)、ジューンブレア。このうち、逃げて勝ったことのある馬は13番のジューンブレアのみ。これは昔のアメリカ人女優の名前らしい。さらに大外16番のウインカーネリアンもドンピシャだ。冠名ウインの次にカーネリアンという宝石の名前がついているではないか!でも、ジューンブレアは7番人気、ウインカーネリアンに至っては10番人気以下。まさかなあ。それに、あの老人はこの2頭が先行すると言ってるだけで、そのままゴールするとは言ってない。Kさんは一応、ジューンブレアを押さえているが、ウインカーネリアンはノーマーク。それもそうだよなあ。ウインカーネリアンって8歳馬だし、しかも大外枠だぜ。(中山1200mの大外枠は不利とされている)さらに、さらに、鞍上はJRAのGⅠレースに126回挑戦して、いまだ未勝利の「世界的名手ミューラー」こと三浦皇成だぜ。 笑あるわけねえよなあ。おそらく世の競馬ファンの多くがそう思っていたはずである。だからこそ、最終の単勝オッズが11番人気だったわけだ。ここまで読んで、勘のいい人はこう思うかもしれない。「相変わらず、ポポイさん、下手くそやなあ。もうこの時点で結果がほぼ丸見えじゃない?」そのとおーり!蓋を開けてみると、なんと、なんと、レースは武豊に導かれた13番のジューンブレアが逃げて、三浦皇成のウインカーネリアンが2番手を追走するという、夢のお告げどおりの展開。スローペースゆえに、4コーナーを回っても両馬の脚色(あしいろ)は衰えず、そのまま直線で叩き合って、最後はウインカーネリアンが頭差抜け出したところがゴールだった。うわー、ここで三浦か!デビューから18年目にして、悲願のGⅠ初制覇。「おめでとう。長かったな」これがゴール直後に三浦が大先輩武豊にかけてもらった言葉らしい。本人は言うまでもなく、まわりの関係者やファンもこんなに時間がかかるとは思っていなかったに違いない。というのも、三浦皇成って、昔は武豊の持つ新人年間勝利数の記録を大幅に更新し、天才扱いされていたジョッキーだったのだから。当時は、そのうちすぐにGⅠも勝つだろうと思われていたし、本人もそのつもりでいたのではないか。ところがどっこい。現実はそう甘くはなかった。惜しいレースもあったが、何故かしら運に見放されたまま、中年になり、そのうち落馬による大怪我で1年間の休養を余儀なくされたりもした。それでもめげずに馬と真摯に向き合い続けたその努力がやっと今回報われたというわけだ。しかも、ウインカーネリアンという、まれにみる不屈の馬を相棒にしての快挙である。鞍上と同様、この馬も蹄葉炎という致命的な故障を克服して走り続けた結果、8歳にして初めてのGⅠ制覇と相成った。8歳といえば、人間に換算すると、36歳くらいに相当するそうで、喩えると、まあ、サニブラウンがその歳で100mの全日本チャンピオンになるようなものかもしれない。 笑さて、レースは11番人気と7番人気のワンツーということで、配当的にも破壊力満点の結果となったが、果たしてこれは絶対に予想不可能なレースだったのだろうか。いつものことながら、終わってみれば、いろんなことが見えてくるもの。当日のトラックバイアスと連対した馬の脚質を考えると、こうした結果も十分あり得ると考えられたはずである。では、何が予想する人の目を曇らせたのか。ファン以外の人の盲点は何だったのか。ウインカーネリアンに関して言えば、最初にも言ったように、8歳で、しかも大外枠というのはキツイという考えが大方の人の先入観としてあったと思われる。でも、その先入観を取っ払って、ニュートラルに馬柱をチェックしてみると、むしろこの馬は買いだということがわかる。マイル戦を主戦場としていたウインカーネリアンが初めて1200mに使われたのは、7歳になってからだった。GⅠの高松宮記念で11番人気の4着に好走している。今からすると、これが人気薄のGⅠで穴をあける戦犯ホースの片鱗を見せた最初のレースといえる。そして、その年の秋からは本格的にスプリント戦にシフトしていき、2、3、2、5着と安定した走りを見せている。中でも注目すべきは、前々走。初めての海外GⅠとなったアルクオーツスプリント(メイダン競馬場)で10番人気ながら逃げ粘って僅差の2着になっている。これを動画で見た人は、おそらくこの馬が近いうちにまたやらかすことを確信したのではないだろか。戦犯ホースというのはそういうふうに何度も人気薄で爆走する癖があるのだ。前走の1番人気での5着は休み明けということもあるが、これはどちらかと言うと、戦犯ホースがよくやるフェイントとも言える。本来叩き2走目タイプのウインカーネリアンにしてみれば、人気の下がったGⅠスプリンターズステークスが狙いすました本番だったわけだ。しかも、もともとこの馬は中山競馬場を得意としており、さらに三浦騎手曰く「願ってもない最高の枠」に入ってしまった。他馬にとっては最悪の枠が同馬にとっては最高の枠だったわけだ。こうして見ると、条件はすべて整っていたと言うしかない。それなのに11番人気だったのは、やはり馬齢とか実績等からくる先入観が大きく働いていたのだろう。ちなみに、2着のジューンブレアだって、中山1200mは3戦3勝でありながら、上位人気馬に比べると格下と見られての7番人気だったのではないか。まあ、でも、こんなことは全部、レースが終わった後だから言えること。また、仮にレース前にこの2頭をピックアップできていたからといって、それで馬券が的中するとは限らない。それはまた別問題なのである。わしの場合も同じこと。実際のところ、夢のお告げどおりになったわけだから、本来ならそれに従っておけばよかったものの、そうせずにKさんの予想に乗っかったあんたは大馬鹿者だとあなたは思うかもしれない。でも、仮にわしが夢のお告げどおりに買ったとすれば、たぶん結果はKさんの予想通りになっていたのではないか。それが競馬というものだ。これは実際にやってみるとよくわかる。当たる時というのは、自分が当てているのではなく、実は運の女神に当てさせてもらっているだけなのである。 笑
2025.10.04
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