リカーの海にちょっと漬かってくる

キーワードサーチ

▼キーワード検索

< 新しい記事

新着記事一覧(全4494件)

過去の記事 >

2013年02月25日

大口酒造「荒濾過黒伊佐錦」

カテゴリ：焼酎類感想

通常版の黒伊佐錦がそろそろ無くなりそうなので直接飲み比べる機会のある内に……という訳で、今日は大口酒造の「荒濾過黒伊佐錦」を開栓。

栓を開けても軽い感じの香りは漂ってこない。
そして、鼻を近付けて嗅ぐように香りを確かめると、中々 ねっとり しているようにすら感じられる濃厚な芋焼酎らしい「匂い」。これは最近の何本かで経験した爽やかフルーティ系の香りは混ざってすらいない……という位に骨太で本来的な芋焼酎らしいモノだ。
追記) 多分爽やかフルーティ系の香りは酵母の仕業っぽいので、特別な仕込みをしていない芋焼酎でもナチュラルに発生し得る香りなのだろうが、この焼酎ではそういう香りが出張る余地が無い位に芋焼酎らしい甘くねっとりした匂いが自己主張している。

今日も最初は少しばかりロックで――。

氷の入ったグラスに注いだ焼酎を口に近付けると鼻孔を擽る芋焼酎らしいねっとりとした甘い「匂い」。これは「香り」なんてお上品な物ではないが、別に「くさい」わけではない。やはり、芋焼酎がくさいなんていうのは、敗戦後旨い焼酎を造るなんて余裕の無かった時代にアルコールでさえあれば良い的に造られたモノの話でしかないんじゃなかろうか？

さて、肝心の味は……と言えば、最初に舌に感じるのは匂いに完全にマッチした黒麹仕込みの芋焼酎らしい甘さ。そして、そこから口内に広がるのはほわっとほっこりした芋焼酎らしい感覚。ピリピリとした刺激や辛み、ドライな感じは殆どなく、実に落ち着いた感じの味で文句無しに旨い。後味に苦みは無いがやや余韻が残る感じで、あっという間にグラスは空になった。
――ロックで旨い。

お湯で割っても香りの性質は変わらず。薄まっている分だけ、普通の芋焼酎らしい香り程度に収まったかもしれない。

口に含めば、とろっとした口当たりで芋焼酎らしい控えめな甘みを感じる。ロックで飲んだ時と同じで、ピリピリとした刺激や辛みは殆どなく、ほわっとほっこり系の芋焼酎らしい風味で旨い。ロックで飲んだ時との差異は、冷めてきた時に感じる若干の苦みか？　苦みといってもアクセント程度なのでこれはこれでまた一つの味……というものだろう。
――お湯割で旨い。

最後に6:4で昨日の内に水で割っておいたものを電子レンジで温めて一杯。

お湯割に比べるとさらっとした口当たりに感じるが、基本的な性質は大体同じ。
ただし、他の焼酎の場合と同様にやはり苦みは弱まるようで、ほとんど感じられなくなる。これも安心の旨さ。
――前割レンチンで旨い。

当然のことながら通常の黒伊佐錦に似ているが、全般的に「芋焼酎っぽさ」が強調されているように感じる。その部分が「荒濾過」の特徴だろう。
その結果なのかどうかは不明だが味わいがマイルドになっていて、お湯割などで感じる「苦み」も通常の黒伊佐錦に比べて若干弱まったように感じる。通常の黒伊佐錦で感じた「ほろ苦さ」は、今日飲んだ「荒濾過黒伊佐錦」では目立たないようだ。このあたりが通常の黒伊佐錦と「荒濾過黒伊佐錦」を差別化しているが、どちらも旨い。

これもまた、安心して期待通りの旨さを堪能できる一本だ。
残念ながらの企画物なので、見つけた時に買っておかないと次は無いかもしれない……のだが、まぁ必死になって試すほどのモノでもない。一期一会の出会いがあれば是非飲んでみるべきだろうとは思うし、実際旨いがその程度のモノだ。

何だか「荒濾過というコピーで芋焼酎っぽさを主張して芋焼酎初心者を遠ざけている風」である半面、同時に「荒濾過というコピーで無知な芋焼酎初心者を釣り上げている風」でもあり差し引きゼロなのか？　この辺りの商売上の仕掛けはどうだったのだろうね？　何処ででも買えるという程手広く売られた訳でもないようだが、滅多に買えないという程レアでもないようなので、興味を持った酒販店であれば何処でも欲しいだけ仕入れられる程度には商品が用意されていたのだろう。もしかすると、付き合いで買わされた例もあるのかも知れないが……。

売っている店ではダブついているっぽいので、売れてはいないのだろうな。プレミアなんか付いてなくて、価格相応に旨くて良いのになー。