"アニマルセラピー"という言葉があるように、この子を膝の上で撫ぜているときは非常に癒されます。
犬のほうもうっとりとした表情を見せるので、お互いに癒されているようです。
なぜ癒されるのかと言うと、撫ぜるという行為によって、脳の中で「オキシトシン」というホルモンが発生するからです。
脳内ホルモンの大家有田秀穂教授の解説によると、オキシトシンが充分に分泌されると、脳の疲れを癒し、気分を安定させ、人に対する信頼感が増し、心地よい幸福感をもたらしてくれます。
有田先生はセロトニン神経を鍛えるといい事がいっぱい起こるということを、広めている方ですが( http://plaza.rakuten.co.jp/sontiti/diary/201109280000/ )、オキシトシンが分泌されるとセロトニン神経に影響を与え、セロトニン神経も活性化させるそうです。
有田先生の著書から引用して、オキシトシンを紹介します。(有田秀穂著『脳の疲れがとれる生活習慣』『くじけない心をつくる』より)
【 オキシトシンは哺乳類だけが持っているホルモンで、心が癒される、幸せな気分になるという効果があります。
母親が出産し、赤ん坊を育てることに直結したホルモンとして、オキシトシンは昔から良く知られていました。
しかし、このオキシトシンの研究がこの10年ぐらいで進んで、オキシトシンは母親だけがだすものではなく、母親になっていない女性も、また男性も、年齢に関係なく、分泌されることがわかりました。
とくに最近になってオキシトシンが母乳を出すように促すだけでなく、母性愛と関係することがわかってきました。
さらに信頼や男女の愛情と関係して分泌されるということもわかってきたのです。】
(哺乳類は受精後、メスとして生命体を構成し始め、ある時期に一定比率でオスに転換します。
受精時のDNAはまったく同じなので、女性にあるものは男性にもあります。
ただスイッチが入っているかどうかの違いだけです。)
【 オキシトシンの効果をまとめると、次のようなものです。
1.人への親近感、信頼感がます。
2.ストレスが消えて幸福感を得られる。
3.血圧の上昇を抑える。
4.心臓の機能をよくする。
5.長寿になる。
オキシトシンが分泌されると、脳内では「脳内物質」として働いて心を変え、さらに血液中のホルモンとなって体にも効くのです。】
(対面する相手が、敵か味方かを判別するということでしょう。
味方だと判断すれば、危険回避の行動を取る必要もなくなり、当然リラックスします。)
【 オキシトシン分泌を盛んにするような行動を行うと、セロトニン神経の活性も起こるわけです。つまり、オキシトシンの分泌→セロトニン神経の活性化→セロトニンの分泌というような流れになります。
セロトニン神経が活性化されると、脳の状態を安定させ、心の平安、平常心を作り出します。また、自律神経に働きかけて、痛みをやわらげる効果もあります。
セロトニン神経を活性化するには、 リズム運動 、 太陽の光 、そして グルーミング の三つが大切です。】
(グルーミングとは、Wikiによると「動物が体の衛生や機能維持のために行う行動」、となっています。毛繕いやノミとりのような行動のこと。
有田先生の解説では「セロトニン活性に有効なふれあいのこと。フェイス・トゥ・フェイスのコミュニケーションや肌と肌とのふれあいによって作用する。グルーミングによって起きるセロトニン活性はオキシトシンを介して行われる」となっています。
愛犬を撫でることで、癒し、癒されるのはこのため。)
【 オキシトシンは「絆のホルモン」と呼ばれ、愛情や信頼の作用に関わりが強いといわれています。つまり、人とふれあったり、絆を深めたり、恋人同士の愛情のやりとりの際にも働くホルモンなのです。
家族や男女関係においては、このオキシトシンをいかに円滑に活性化させるかによって、良好な心の状態を維持できるか、できないかが決まってきます。
現代人は、人とのふれあいそのものが少ない傾向にあるので、このオキシトシンが働きにくいのです。オキシトシンがきちんと活性化すればセロトニン活性が働き、人とのふれあいも好むようになり、働くことにも人生設計に対しても積極的になっていきます。
どんな相手でも構わないので、人とふれあい、絆を深める習慣をつけることでオキシトシンが分泌され、セロトニン活性を促し、次第に心は健康になっていきます。】
(人も猿も、その他集団で生活する動物は、仲間と触れ合ってこそ、生命を維持できる仕組みになっています。
敵から身を守るための手段として、DNAが受け継がれました。
社会と断絶して生活を続けると、身体の中、脳の中が壊れてしまいます。)
【ことに恋愛においては魅力的な異性を見て心ときめいた時点では、ドーパミンが働きます。対象を渇望し、心ときめかせて意欲的になりますが、それがなかなか達成されないと大きなストレスになり、むしろドーパミンが暴走して執着心が強くなり、ほかのことに意識を向けることができなくなり、不健全な心を生んでしまいます。
しかし、お茶することや少し会って話をするだけでもいいので、オキシトシンが働くノンバーバルコミュニケーションが行われれば、そこに安心感と絆が生まれ、セロトニンの働きによってドーパミンは適度に抑えられ、むしろ健全な関係ができるのです。】
("ノンバーバルコミュニケーション"とは、通常の会話による言語的コミュニケーション以外のコミュニケーションのことで、具体的には、声、表情、振る舞い、服装などです。
アルバート・マレービアン博士の実験によると、人が他人から受け取る情報(感情や態度など)の割合は、
話す言葉の内容は7%に過ぎず、残りの93%は顔の表情や声の質によって他人を判断しているというのです。)
【 オキシトシンは、実は医学的には授乳と子宮収縮時にもっとも活発に働くホルモンとして知られています。
子宮収縮の時というのは、行為をしている時と出産の時のことです。つまり、オキシトシンはともすると痛みを伴い、ストレスになりかねない子孫繁栄のための行為に安心感を与え、子孫を残すことの喜びを教えてくれていると考えられます。
女性が、行為を行って高揚を迎えた時、男が放出をした時、オキシトシンが大量に分泌され、大きな安心感と喜びを得ることができるのです。
オキシトシンが大量に分泌されるということは、セロトニンも活性化されるということですから、行為で高揚に至るということは、健全な脳をつくるには最高の薬になるといっていいでしょう。
また、行為に至ろうという時には、グルーミングによるオキシトシンが分泌されると同時にドーパミンも分泌されて脳に多幸感を与えます。ドーパミンは渇望ストレスを生むホルモンなので、行為によって多幸感を得ようと意欲を持って取り組みます。
特に女性は、高揚の際のオキシトシン活性が男性の何倍もあり、オキシトシン大量活性の瞬間である高揚を適宜得られることは健康な社会生活を送る上でも大切なことといえます。
行為もメンタルヘルスケアのひとつと考えて大いに取り組むとよいでしょう。】
(行為は繁殖のために行われるもので、人間以外の動物は発情期に限って行います。
なぜ人間だけが発情期に関係なく、いつでも行為を行うのか。
頭脳が発達しすぎたために、それを調整するためのホルモンを分泌する必要が生まれたからでした。
男と女が協力して生きていくために、グルーミングによって、脳のバランスを整える必要があったのです。)
【 人の幸福ということを考えた時に、一体どんなもので私たちは「幸せ」を感じているのでしょうか。
「あなたは今幸せですか?」という問いに対するアンケート調査があります。
この調査で大変興味深いのは、自分が幸せだと答えた多くに人にとって大切なものは「家族」であり、幸せではないと答えた人の関心事は「収入」だったことにあります。
労働して報酬を得るという行為にはドーパミン原理が働きます。このドーパミン原理によれば報酬を得た時の多幸感によって幸せはもたらされます。しかし、昨今の不況な状況においては報酬が満たされずにストレスになることが多いですし、報酬によって得た多幸感はすぐになくなり、次なる高みへの渇望によってまた意欲を湧き起こしますが、一度得た幸福は長続きしないものです。
つまり、ドーパミン原理においては良くも悪くも「幸せ」を持続的に感じていることができないのです。
一方、人と絆のオキシトシン的やりとりによって起きる「幸せ」はドーパミンの多幸感ほど爆発的なものではないにしろ、ただ肌と肌、顔と顔でふれあうという日常が維持でければ持続的で安定したし幸せを私たちにもたらしてくれます。
日常の顔を合わせた何気ないコミュニケーションをとるということが幸せと感じられることが、一番健全で有意義なことなのです。
この調査に「幸せでない」と答えた人の収入を聞いたところ、圧倒的に収入の高めの人のほうが多かったそうです。これはやはり収入に執着することによって得られるものは幸せではなく、永続的な意欲と渇望感なのかもしれません。】
(僕は以前から"タクティール・マッサージ"という高齢者介護で行われるマッサージを勉強したいと思っていました。
これは、スウェーデンで行われている、痴呆老人などの高齢者向けの、やさしく手でさするだけのマッサージなのですが、これもオキシトシンを分泌させ、心を落ち着かせ、体の機能を蘇らせる目的をもちます。
『ためしてガッテン』で"タッチケア"として紹介された時は、認知症の症状が攻撃性が下がるなど、劇的に改善されていました。
昨年亡くなった義父に対して、色々試みたリハビリの中に取り入れてみたのですが、確かに気持ちの落ち着く様は感じ取れました。)
以上引用させていただいた『脳医学者が教える絆学・ストレスゼロ・くじけない心を作る』のあとがきに有田先生はこうおっしゃいます。
【 私の専門は脳生理学ですが、医学部を卒業して10年ぐらいは内科臨床医をやっていました。その中で、病気を扱う医者と同じように、健康を扱う医者(健康医学の専門医)も必要だと考えるようになっていきました。
生理学の知見では、人間の臓器や脳は薬の宝庫であることが判明しています。
例えば、糖尿病の治療薬インシュリンは、膵臓が作りますし、火傷や喘息などで汎用される副腎皮質ホルモンは、いうまでもなく、副腎皮質が合成・分泌します。麻薬は強力な鎮痛剤ですが、同じ作用をする脳内麻薬様物質は、脳で合成・分泌されます。
したがって、人間は本来、治療薬を自力で出せるのです。
本書で取り上げた薬はおもに4種類です。
心の元気の源であるセロトニン、意欲をつくり出すドーパミン、睡眠ホルモンであるメラトニン、そして、癒しホルモンであるオキシトシンです。
私たちは、自力で脳内セロトニンの分泌を増やし、心身の健康を増進させることができます。睡眠ホルモンであるメラトニンが合成分泌されるメカニズムを知れば、睡眠薬は不要です。絆のホルモンであるオキシトシンがたくさん分泌されるのには、スキンシップや団欒が有効であることを知れば、人々は生活様式を工夫させるはずです。】
伊藤和磨著 『腰痛はアタマで治す』 2016年05月25日
エピガロカテキンガレート 2015年07月10日
ノロウィルス騒動 2015年06月21日
PR
サイド自由欄
カテゴリ
カレンダー
キーワードサーチ