一次性頭痛には前出の通り種類があるので、その区別をしないと薬が選べません。
偏頭痛と群発性頭痛にはトリプタンという薬が有効とされています。
なので、まず偏頭痛の判断基準を覚えましょう。
以下は「国際頭痛学会」が定めている偏頭痛の判断基準です。
1・頭痛の回数が5回以上(同じような痛みを過去5回以上経験している)
2・頭痛の持続時間が、4~72時間(この時間を経過すると、あとはケロッとしている)
3・痛みの特徴として
片側性(左右どちらかが痛い)
拍動性(心臓の鼓動にあわせてズキズキ痛む)
痛みの程度は中度から強度(日常生活に支障が出る)
日常動作によって憎悪(階段を上がる、頭を動かすなどで悪化する)
4・随伴症状として
悪心と、あるいは嘔吐
光過敏、音過敏
5・他の疾患による頭痛が否定できる
偏頭痛の原因については、脳の血管が広がって三叉神経を刺激するということはわかったのですが、なぜ血管が広がるかについては諸説あり(セロトニンが関わっているといわれていますが)、完全には判明していません。
赤ワインやチョコレートで発症する人もあり、遺伝が関わっているという説もあります。
ただし、治療薬としては2000年に許可された「トリプタン」が非常に効果が高いとされています。
また、症状が偏頭痛と異なる群発頭痛にもトリプタンは有効となっています。
なので偏頭痛の対処法としては、トリプタンを摂取するのがいいでしょう。
ただし市販はされていませんので、病院で検査してから処方してもらうことになります。
この場合も、トリプタンは薬物乱用頭痛を引き起こすことがあるので、専門の病院で見てもらうことが必要です。
そして、緊張性頭痛。
緊張性頭痛の原因は、血行不良。
主に肩から背中に広がっている僧帽筋が固くなって、乳酸やピルビン酸などの老廃物がたまり、その結果周りの神経が刺激され、締め付けられるような痛みを発するのです。
精神的ストレスやパソコン作業など同じ姿勢を続けることが、緊張性頭痛を引き起こします。
原因が血行不良なので、血行を回復すれば緊張性頭痛の原因部分は改善します。
入浴がいいのですが、首筋を暖めるのも良いでしょう。
首や肩を回したり伸ばしたりの運動や、目の緊張が原因の時は目の周りを暖めたり、目の運動、遠くを見るなどをして血流を高めます。
同じ体位で動かないということが良くないので、仕事などでそうなりがちな人は、定期的に運動をしたりストレッチをしたりと、決め事を作るようにしましょう。
血流不足(酸素不足・栄養不足)が原因になりますから、換気や室温、下半身の冷えなどにも留意して下さい。
しかし、原因は改善されたとしても、脳に広がった痛みはすぐには消えません。
脳は血流不足などの危険な兆候を捉えると、消費を控えるように、あるいは損傷を治療するため身体に安静を求め、警報を発します。
その警報の結果が頭痛で、頭痛は脳自身が発動する痛み物質(ブラジキニン・プロスタグランジン)が起因の症状なのです。
頭痛発令の元となる身体的危機が回避されたとしても、一度発せられた痛み物質はそのまま警報を鳴らし続けますので、痛み物質自体が消えるまで頭痛は続きます。
待っていればいずれは収まりますが、社会生活をしている限り様々な動作が要求されますので、とりあえず頭痛を治める対処療法として、頭痛薬が使われるということになります。
頭痛の原因となった血流不足を解消して、頭痛薬で当座の痛みを抑えるのは間違った行動ではありません。
痛み物質は警報を発すると同時に、さらに痛み物質を生産するようになるからです。
頭痛に限らず、身体に損傷が生まれた時には、細胞は痛み物質で警報を発し、痛みでその箇所を知らせます。
なので痛み物質を消失させる頭痛薬は、他の箇所の痛みも止める効果もあります。
一緒に発熱も抑えるので、"解熱鎮痛薬"と呼ばれます。
月に一度の女性の痛みを抑えるのも、同じ効果を持つ薬物です。
しかしながら、この痛み物質は胃液の調整も受け持っているので、痛み物質を阻害してしまうと胃液の分泌が悪くなり、さらに頭痛薬自体が胃に負担をかけますので、胃炎・胃潰瘍などの副作用が起きてしまいます。
それで胃を守る成分も頭痛薬の中には含まれているのです。
胃を守る成分が多く含有されている頭痛薬は、もともとの痛み物質阻害薬が、胃に障害をあたれるリスクがそれだけ高いと言うことです。
同じ理由で、腰痛・筋肉痛の塗り薬や張り薬も、痛み物質阻害効果のある薬は、胃にダメージを与えます。
痛みに効けば効くほど、胃は悪くなります。
日本代表の内田篤人は南アフリカW杯前に股関節を傷め、レギュラー争いのため鎮痛剤を飲んで試合に出続けた結果、胃を壊して試合中に嘔吐するようになり、本大会のピッチを踏めなかった苦い経験があります。
替わりに出場した駒野が、最後にPKを外してW杯ベスト8の夢が絶たれたのを考えれば、あの時鎮痛剤に頼らなければと悔いが残ります。
(股関節痛には体幹トレーニングが有効です
http://plaza.rakuten.co.jp/sontiti/diary/201306140000/ )
頭痛薬に頼る場合は、習慣にならないこと、副作用を起こさないことに注意を払う必要があります。
痛み物質を一時的に抑えるのが薬の役割ですので、痛みを起こした原因は解消されたわけではありません。
薬で痛みをごまかしている間に、元凶を取り除く努力や工夫が必要なのです。
緊張型頭痛の場合は血流を考え、まず生活環境を見直し、運動と姿勢、リラックスと休養を日常のスケジュールにしっかり組み込む習慣を持ちましょう。
もし頭痛薬を呑んでも効かない、呑む量や回数を増やさなければ対処できないと言う場合は頭痛外来で相談して下さい。
原因が他にある二次性頭痛かもしれないし、偏頭痛だった場合は偏頭痛用の薬(市販はされていません)を処方してもらわなければなしません。
長期的な頭痛薬の呑みすぎで、頭痛薬自体が頭痛の原因になっている"薬物乱用頭痛"に陥っている危険もあるのです。
月に15日以上鎮痛薬を飲んでいる人は、薬物乱用頭痛の疑いがあります。
自分は頭痛持ちだから仕方が無い、ということはありません。
「結果には必ず原因がある(by湯川学『ガリレオ』)」
原因に着目すれば、解決方法はあります。
そのために、生活習慣の見直しをしてみましょう。
伊藤和磨著 『腰痛はアタマで治す』 2016年05月25日
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