【5月】
19)36年ぶりに朝鮮労働党大会
36年ぶりというと、最後に開かれたのが1980年、先々代の金日成の時代だ。
つまり息子である先代の金正日は、党大会を開かなかったということ。
それが孫の金正恩が復活させて開いたというのは、どういう意味があるのだろう。
そもそも党大会なしに(党の承認を経ずして)、金正日が最高権力者になれたのは妙だ。
支配基盤の弱さから、党大会を開かなかったのではなく開けなかったのかもしれない。
そういえば、金正日は常にクーデターを恐れていた。
その想定で言えば、金正恩は党大会で選任されたのだから、社会主義国の形式にのっとって正式に認められたことになる。
といっても”党委員長”という新しいポストなのだが。
なぜ”第一書記”ではだめっだったのか。
どうもおじいちゃんの金日成が権力を握った時の初めのポストが”党委員長”だったらしく、それにあやかりたかったんだそうだ。
どこかの国にもおじいちゃん(岸信介)に憧れている三代目がいるが、アナクロの幻想に引き回されて現実逃避をしていないか。
20)エジプト航空機が地中海に墜落
パリ発カイロ行き、乗員乗客66名のエジプト航空804便(エアバスA320型機)が地中海上で墜落した。
何らかの爆発が起きた形跡はあるが、それがテロなのか事故なのかは判別できない模様。
テロだとしたら、”犯行声明なきテロ”ということで、組織に関係なく個人的にやった”勝手に自爆テロ”ということで恐ろしいことだ。
事故だとしても、その原因が解明されなければ同じことが起こる可能性があるわけで、これも恐ろしい。
どっちみち飛行機には乗らないが。
21)タリバン最高指導者を殺害
タリバンの最高指導者アクタル・ムハマド・マンスールが、パキスタンで米軍のドローン(無人)攻撃で殺害された。
ドローンと言えば、首相官邸の屋根に落ちていたり、浅草三社祭りで飛ばして中学生がつかまったりとかの、ラジコンヘリコプターの新型のイメージが浮かぶが、このドローンはすごい。
これは立派な兵器だ。
これからの戦争は、ドローンが空中戦をしたり、ロボット兵が撃ち合ったりするようになるのか。
人が死ななきゃいい?
我が家の近くの朝霞基地では、ヘリコプターが旋回し、騒音に悩むこともあるが、これからはこんなドローンも飛ぶようになるのだろうか。
【6月】
22)ボクシング元王者モハメド・アリさん死去
アメリカのプロボクサー、元WBA・WBC統一ヘビー級チャンピオン。
全盛期で比較をすると、たぶん史上最強のボクサーだったと思う。
なんたってあんなに強かった全盛期のジョージ・フォアマンに勝ったんだから(キンシャサの奇跡)。
あんなに興奮した試合はない。
徴兵拒否で3年7カ月のブランクがあった32歳のボクサーが、25歳の脂の乗り切った40戦無敗のチャンピオンに挑む。
復帰後アリはジョー・フレイジャーとケン・ノートンに敗れているが、フォアマンはこの二人を2RでKO勝ちしていた。
誰しも無謀な挑戦と思ったが、なんと8R逆転KO勝ち。
当時18歳の僕は感動に体が震えた。
YouTubeで「キンシャサの軌跡」があったので、懐かしく見させてもらった。
改めて全ラウンド見てみると、案外逆転勝利というほどアリは劣勢ではなかった。
開始から終始フォアマンに追い込まれてはいても、アリは見事なブロックで決定打は受けておらず、時折見せる逆襲のパンチは確実にフォアマンの顔にヒットしていた。
フォアマンの疲労は徐々に高まり、ついに8Rに力尽きたのだった。
23)ペルー大統領選、フジモリ氏長女敗北
ペルーの大統領選挙は、1回目の投票で1位と2位になった候補が決選投票をする。
1回目の投票で、ケイコ・フジモリは40%、クチンスキは20%とダブルスコアを付けてリードしていた。
5年前の選挙でやはり決選投票の末3ポイント差で敗れたケイコ・フジモリは、今度こそ勝てると思っただろう。
しかし、他の野党候補がほぼ反ケイコに回ったため、0.24ポイントという僅差で逆転負けをしてしまった。
ペルーの経済が安定し国力が付いたのはケイコの父アルベルト・フジモリ元大統領の功績による。
アルベルトは反対勢力の罠にはまって失脚し、囚われの身となった。
一時日本に避難し、曽野綾子が匿っていたが、自らペルーのために帰国し縄にかかる。
アルベルトを慕う国民がケイコを支持し民主政治を求めたが、いつの間にか対抗候補もみんな民主主義候補だった。
アルベルトを失脚させた旧勢力が、フジモリのあらぬ悪行を吹聴したため、そのイメージを完全に払しょくできなかった側面もあった。
しかし、ケイコはまだ46歳。
5年後までに、さらに大きくなって、ペルー初の女性大統領になるだろう。
24)米フロリダで銃乱射、49人死亡
フロリダ州オーランドのゲイナイトクラブでアフガニスタン系の男が自動小銃を乱射した後、店内に立てこもり、約3時間後に特殊部隊が突入し、男は射殺された。
これにより容疑者を含む50人が死亡し、53人が負傷した。
これは銃乱射事件の被害としては2007年のバージニア工科大銃乱射事件を超えてアメリカの犯罪史上最悪となった。
同ナイトクラブが同性愛者が多数集う場所で、日頃より男に同性愛者を嫌悪する発言が目立っていたためヘイトクライムであるという見方が強い。
男が使ったAR-15という銃は、軍用の自動小銃で、どう見ても戦争に使うライフル銃だ。
これがアメリカでは一般市民が簡単に買える。
FBIから事情聴取された経験のある人物でも手に入る。
マーチン・スコセッシ監督・ロバート・デ・ニーロ主演の『タクシードライバー(1976年)』の主人公元海兵隊トラビスは、全身に武器を装備して単身ギャングと戦って、少女(ジョディ・フォスター・当時13歳)を救い出す。
映画は彼を英雄として讃える結末を迎えるが、トラビスはギャングと戦う前に大統領候補を狙っている。
ひとつ間違うと凶悪犯だったわけだ。
僕の過去ブログも参考に。
25)英国民投票で「EU離脱」過半数
「EU」というと、2012年に「ノーベル平和賞」を受賞するぐらい、ヨーロッパの平和に貢献する理想の高い組織だ。
しかし、理想と現実には誤差がある。
利益もあるが、不公平もある。
大きな商売もできるが、損をする国や層も生まれる。
未来へ向けて、様々な思いで試行錯誤をしている所に、難民問題がEU諸国を襲った。
ヨーロッパはほぼキリスト教圏(カトリックとプロテスタントの違いはあるが)。
そこに文化の違うイスラム教徒が流れ込んできた。
摩擦が起きるのは当然である。
それを乗り越えて、世界平和を目指すのが理想であろうが、個人的利害に目を向ければ難民を受け入れるのは負担になる。
イギリスは特に福祉が充実した先進国だ。
イギリスにたどり着いた難民は安寧である。
しかしその保証をするのはイギリス国民だ。
そしてそのせいで、自分たちの暮らしが貧しくなるのであれば、机上の理想ばかりを言ってはいられない。
僕がイギリス人(しかも庶民・貧乏人)だったとしたら、当然そう思うだろう。
自分の納めた税金は、自分に使ってほしい。
何処から流れてきたかわからない異教徒の生活保護に使われるのは納得いかない。
そもそも自分が違うと思うことを、多数決だからと言って従わされるのはまっぴらだ。
EUという大きな商圏で利益を得ている人間以外は、気心の知れた者同士のテリトリーで暮らせれば満足なのだ。
頭でっかちのエリートと日々の生活に追われる庶民と、頭数で勝負をすればこういう結果になる。
世界中でイギリスは愚かな選択をしたと報じたが、真実はどうか。
歴史は常にイギリスから動く。
世界は足元を見つめる時を迎えた。
26)トルコの空港で爆弾テロ、44人死亡
今年はテロのニュースが多い。
しかも範囲が広い。
トルコの情勢を簡略に述べるのは難しい。
地理的問題と、歴史的問題が複雑で、民族問題も抱えている。
誰が敵で誰が味方なのかさっぱりわからない。
日本とは1890年の「エルトゥールル号事件」以来、信頼関係で結ばれている。
しかしトルコの立ち位置は微妙で、複雑な情勢の中で方向を定めるのは容易ではない。
このテロの3人の犯人は、ロシア(チェチェン共和国)・キルギス・ウズベキスタンの出身。
犯行声明はなかったが、エルドアン大統領はISIS(イラク・シリア・イスラム国)の犯行と断定した。
トルコのテロと言えば、クルド人が起こしていた。
ISISと一番激しく戦っているのはクルド人である。
なぜならISISが占領している地域は第1次大戦時「サイクス・ピコ協定」で分断された、クルド人が居住している地域だからだ。
トルコは裏でISISを援助しているという噂があり(エルドアン大統領の息子の石油会社がISISから石油を買って武器を供与している)、トルコ内でのクルド人迫害もあって、クルド人はトルコでテロ活動をしていた。
しかし今度はISISがトルコを標的にしたというのは、おそらく裏でトルコとロシアが手を結んだことによる報復と考えられる。
トルコは本来ロシアとは敵対していたのだが(昨年もトルコによるロシア機撃墜事件があった)、敵の敵は味方理論でISISとクルドを挟んでなにかあったのだと疑われる。
といった具合に、何が何だかわからない。
東京と五輪会場を最後まで争ったイスタンブールだが、やっぱり無理だったのでは。
27)フィリピン大統領にドゥテルテ氏就任
フィリピンのトランプと呼ばれる暴言失言王。
麻薬組織撲滅の手法が、いささか乱暴であったため人権団体などから批判を受けていたが、一切意に介さず、国連事務総長の潘基文との会談も拒否し「馬鹿」と罵倒、人権侵害をやめるよう訴えたアメリカ合衆国大統領バラク・オバマを、タガログ語で「売春婦の息子」を意味する「プータン・イナ ( Putang ina )」という表現で侮蔑。
結果、ラオスで開催されたASEAN地域フォーラムでの、アメリカ-フィリピン首脳会談は中止となった。
それでも国内での人気は高く、80%の支持を集めている。
フィリピンでは昔(1965年~1986年)、マルコスという大統領が君臨していた。
フィリピンの経済成長率を伸ばし、失業率を下げ、東南アジアの有望国に躍進させた。
その一方で独裁色が強く、批判も多かった。
失脚した時に報道された、イメルダ夫人の1000足の靴が話題となったっけ。
あの頃は”独裁”というのは”悪”であり、マルコスも悪人として扱われていたが、今になってみると見直されている。
あれから30年、歴史は繰り返すか。
ドゥテルテは大統領就任後、すぐに中国へ行き習近平と会談をした。
フィリピンと中国とは南沙諸島をめぐり対立していたはずだが、あっさりと歓迎された。
しかし、ガムを噛み、ポケットに手を突っ込みという態度に、中国側も本音を探りかねているだろう。
そしてすぐに日本へも来た。
本人は日本びいきで、過去にディズニーランドも訪れている。
天皇陛下とも会う予定だったが、三笠宮様崩御が重なりできなかった。
人権派のオバマは罵倒していたが、新大統領になるトランプとは馬があいそうだ。
さらにロシアとも既にパイプを結んでいる。
武器供与の約束を取り付けていると公言している。
非常に政治的にうまく立ち回っているように見えるが、単に自分を批判する国連やアメリカ(オバマ)を遠ざけ、余計なことには口を出さない関係は維持するかのようでもある。
どっちみち来年は、トランプを巡ってアジアの情勢は変わっていく。
大国のパワーバランスを読み取って、うまい立ち回りが必要となる。
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