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【送料無料】スリジエセンター1991 [ 海堂尊 ]海堂尊講談社 四六上製☆☆☆☆☆ バチスタシリーズの前日譚の完結編といえるだろうか。唯我独尊の天才心臓外科医天城幸彦と彼の子分(?)にされてしまった新米医師世良のストーリーの最後だ。年はまさにバブル崩壊、ソビエト連邦崩壊の1991年。まるでその崩壊に時をあわせたかのように、東城大学医学部付属病院佐伯外科の激動が始まる。大学病院の伏魔殿ぶりも凄いが、この本でのちのバチスタシリーズの伏線が随分出てくる。特に将軍の最初の武勇談となったデパート火災、最強タッグのゴンタとマコトなどだ。火喰い鳥の上司はまさに毒を以って毒をの典型例。そういえばまだハヤブサだけは若鳥で「とろい子ね」とかいわれてたな。でも、看護婦の描写だけなんか海堂センセ何か様子が違うんですが……。藤原婦長や猫間看護婦も個性的だけど、それよりインパクトがあったのは浮世離れしている榊総婦長。総婦長室の描写なんて、なんかもう昔の名門女学校の職員室って感じ。でも、この総婦長とほぼ同世代の佐伯病院長、鏡部長あたりも結構同じ人種だね。若い世代が逆立ちしても適わない「サクレ・モンストル」みたいだった。ふと思ったが、この描写ってセンセイ自身の印象が下になっているのかもしれない。 でも、天城には天才だけどやっぱり人間だった、という側面が出てくる。「出る杭は~」の日本社会で天才は足を引っ張られ、引き摺り下ろされてしまうんだから。そして最後は切ない。このシリーズでこんなに切ない結末になったのは初めてだと思う。これが今後のシリーズのどこかで出てくるのかな?
April 15, 2013
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【送料無料】杉下右京の事件簿 [ 碇卯人 ]碇卯人朝日新聞出版 四六上製☆☆☆☆☆ 相棒シリーズオリジナルのミステリ小説。舞台はスコッチウィスキーの本番の「霧と樽」奄美大島の「ケンムンの森」の二編。どちらも「相棒」不在の間の右京さんの活躍。 どちらも割合ドラマ化は難しい設定。特に「ケンムンの森」は作中のケンムン(ケンムン自体は奄美の森の中にいるといわれるお化け)の調達がかなり難しいと思う。著者は推理作家協会に所属している人だというから、ミステリ小説としても楽しめる。が、やっぱりドラマの人物設定を知っているに越したことはない。結構謎解きはトリッキーだから本格ミステリ調だ。でもどちらもなんとなーく提示される謎の正体の検討はついてしまった。ただし、「霧と樽」の大元のトリックは結構突飛。でも割と似たようなトリックは見かける。「ケンムン~」は奄美を舞台とした旅情ミステリともいえる。こちらの方が右京さんの捜査のやり方はテレビドラマに近い。まだあと二作あるようだから、どちらも読もう。スピンオフ小説としては、予想よりずっと面白かった。
April 8, 2013
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【送料無料】与那国島 [ 西浦宏己 ]西浦宏己葦書房 上製本(図書館で読んだのでサイズが測れず)☆☆☆☆☆◎ 昭和54年初版の与那国島の写真集。数年前の某テレビドラマのファンだったので、手にとってみた。残念ながら、ウロ覚えではテレビドラマで出てきた場所も写っているのかどうか分からなかった。 すべて白黒の写真で、島の風景とそこに住む人々の姿をリアルに捉えていると思う。人々は皆日に焼けているのが白黒の画面からでもわかる。ここに写っている小10歳前後の子供が今40代になっている。白黒の画面のせいか、どの写真もとても郷愁を誘われる写真だ。島の祭祀の様子や人々の生活の様子などが映し出されている。だが、もうこの時代で島の過疎化とそろそろ始まる高齢化が伺える。与那国島は決して南国の能天気に明るい島ではない。過去には過酷な課税を課された悲惨な伝承があるのだ。そのせいか、明るい日差しの影にはすぐそこに死がわだかまっているような感じがする。それが野ざらしにされた風葬の人骨、牛(?)の頭蓋骨の写真、そして村人の葬式の写真に出ているような気がした。風土・自然も穏やかな常夏ではなく、荒々しい自然なのだ。沖縄本島とも違う文化があるそうだが、そのせいか、写真集の白黒の写真のせいか、沖縄本島とも島の雰囲気が違うような感じがした。 巻末には石牟礼道子さんの小説?散文詩?が掲載され、これも写真集のイメージに合っていると思う。また、作者の解説もとても興味深い。特に、ベトナムからの難民がこの島に漂着したとき、二ヶ月近く島の人々が温かく彼らを世話したということと、その対応にあたった島の人がベトナムの言葉が分かる人だ、という記述を読んだとき、この島は外洋に浮かぶ島で、きっと昔から、大陸や台湾との交流があったんだろうな、と思った。 昭和の日本の最西端の島の様子を遺したすばらしい写真集だと思う。
April 5, 2013
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