「何処へ行かれる」「江戸では、若いものが待っておりやす」
又之丞の声で、襖が開き雪姫が現れます。
又之丞「兵部、貴様の目は節穴ではあるまい。よく目を開けて二人の姫を見比べる
がよい。何れが真の雪姫か・・・どうじゃ」
兵部が「他人の空にということもある」とうそぶいた時、雪姫と名乗っていた早苗がいたたまれず、内膳正に「申し上げます。私はまさしく偽りの者、まこと、田島主馬の娘早苗にございます」、そして恐ろしいことは止めてほしい、耐えられないと主馬に訴える早苗めがけ兵部が「馬鹿者」と小柄を投げます。早苗は千代姫に詫びを言いながら息絶えます。それを見て主馬もその場で切腹します。
又之丞「奸賊、馬場兵部、もはや逃れぬところだ、 武士の情けいさぎよく自決せい
」
(余分なことですが・・江戸っ子は「ヒ」と「シ」の発音の区別が難しい・・・この時の「兵部(ヒョウブ)」が橋蔵さま江戸っ子のため、気をつけているのですが「ショウブ」と聞こえてしまっていますね
・・ごめんなさい)
稲垣が又之丞に斬りかかります。永山も斬りかかろうとした時、雪姫がかんざしを投げます。
「
出会え、出会え」と声がかかった時、姫の姿を脱いだ吉三がいます。
(時代劇っていいですよね・・お姫様の髪型から若衆の髪型になってもおかしくはない、違和感はありません)
吉三は、兵部と稲垣達に、扇山まで乗り込んだのは悪事を暴く為と、吉兵衛の仇を討つためだと、「分かったらこの長脇ドスを受けてみろ」で万事 大立回りとなる体制が出来上がります
。 (又之丞も襷を掛けていつでもと羽織を上に羽織っている態勢になっています)
馬場兵部を追いかけての立回り
(橋蔵さま得意の休みなく動いての立回りです)
吉三は永山と稲垣を討ちます。そして、 又之丞も兵部を追い詰め斬ります
。
吉三に駆け寄る又之丞、 吉三は吉兵衛の位牌に向い仇を討ったことを報告します
。
そこへ、千代姫がやって来て又之丞に声をかけます、
又之丞「 おう、千代姫殿
」
吉三を少し気にしながら
、又之丞千代姫のところへ走り寄ります。
千代姫「 御懐かしゅうございます
」
又之丞「 逢いとうござった
」
千代姫「千代も、あなた様のお出でになる日をどんなにお待ち申したことか」
二人は、手を握りあいます。 分かって入るのですが、又之丞に思いを寄せた吉三には辛いことでした
。
その吉三がそこを立ち去ろうとした時、
又之丞が「お吉さん」と呼び止め「そなたの姉、雪姫君だ」と千代姫に言います。千代姫が吉三に「姉上様」というと、吉三は「お姫様、あっしとおめえさんは、姉妹でもなんでもねえ」と・・・ その吉三に、又之丞もどうしたことかと
。そこへやって来た内膳正にも雪姫ではないと言うのです。双子だと思うから、お家に波風が立つ。「雪姫という人はもうこの世にはおりません。あっしは、江戸屋の二代目吉三郎で・・ご免なすって」と言う吉三に又之丞が「何処へ行かれる」といいますと、「江戸では、若いものが待っておりやす。 どうかいつまでもお姫様を可愛がっておくんなせい」と言う吉三
。金八は吉三の気持ちが分かっているだけに辛そうです。又之丞も吉三の気持ちを分かっているのではないでしょうか。 (いや、分かってやってほしい)
赤とんぼが飛ぶころには江戸の秋祭り、 お揃いで祭り見物においでなすって・
・・と言って吉三は行ってしまいます。
江戸の秋祭りです。山車に乗って歌を歌う吉三がいます。金八が、祭り見物に来ている又之丞と千代姫を見つけます。金八が吉三の様子を心配しています。二人の姿を見て泣いている吉三。金八に「 泣くもんけい
、こんなうれしい日に泣いてたまるけい。 二人ともあんなに嬉しそうじゃねえか
」
身分の違いもあるし、まして扇山には許婚がいることを分かっていても、女として神月又之丞に恋心を抱いた江戸屋吉三郎の想いも、又之丞と妹千代姫の幸せを願って・・・吉三の淡い初恋も秋祭りと共に吹っ切れたでしょう。でも、片思いはちょっと悲しいですね。
(完)
ここで、お話すること・・・余り触れないほうが・・・いいのでしょうが、「花笠若衆」の映画を見ていて、ラスト祭り山車を見ている千代姫と又之丞のところです。顔が映し出されるところは、勿論ご本人です。顔がアップされるところは橋蔵さまご自身でなければ・・いけませんものね。
アップの時の橋蔵さまの座っている姿勢が固く、いつもの橋蔵さまではないでしょう。
又之丞の橋蔵さまの上半身の動きがなく胸のところのふくらみがちょっとおかしいように感じられると思います。
橋蔵さまは、この「花笠若衆」と「若君千両傘」を掛け持ちで撮影に入っていました。そのため橋蔵さまだけの出番のところは集中的に前に撮り、「若君千両傘」の撮影班の方にも行っていました。ひばりさんと一緒のところはスケジュールを合わせてというようだったようです。そして、ラスト祭りの山車を千代姫と一緒に眺めているシーンで橋蔵さまが出てくるところの4カットの撮影がまだ残っていました。
2作品取っている時に、橋蔵さまにとって、これで時代劇俳優として刀がにぎることができるかどうかという怪我、約1ヶ月ちょっと刀がにぎれなくなった出来事がありました。
このことはあとで、違うところでお話したいと思いますので、ここではこれ以上のことには触れないことにいたします。
このような事があったため、「花笠若衆」のラスト撮影は、橋蔵さまは怪我をおしての出演となりました。映像を見ていただければ、橋蔵さまを見つめていらっしゃるかたには、映像からお分かりになると思います。
白の着物を着ていらっしゃいますね。橋蔵さまの動きが少しいつもと違うでしょう・・・右腕が着物の袖から出ていません。右腕を動かしてはいけないので肩から吊って前懐で固定しています。
ひばりさんとのコンビとしての最後の作品「花笠若衆」が無事出来上がってよかったです。
花笠若衆・・・(5) 2018年08月25日 コメント(9)
花笠若衆・・・(4) 2018年08月20日 コメント(2)
花笠若衆・・・(3) 2018年08月14日
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