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影丸076 @ Re[1]:時をかける少女(1994)(05/25) かにんこさん、こんにちは。 1994年の「時…
2023年07月10日
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カテゴリ: 歴史
 それに先だって(6月4、5日)米軍の要衝ダッチハーバーを攻撃して帰還中の空母「龍驤」零戦隊の一機が被弾のためにダッチハーバー東方のアクタン島(無人島)海岸近くの湿原に不時着しました。ところが脚をとられてひっくり返り、パイロットの古賀一飛曹は頭を打って座席に固定されたまま操縦席内で死亡した。
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 36日後の7月10日、米軍の哨戒機が偶然にこの古賀機を発見しました。主翼の日の丸から日本機とわかって基地に報告。当時、米海軍航空情報室から海軍の全部隊に「日本軍機の情報を収集せよ」と指令が出されていて、日本軍機の残骸を可能な限り集めていたこともあり、「アクタン島で日本軍機を発見」の報告を受けて現地に向かった調査班は、それがほとんど無傷の完全な「零戦」であることを知って欣喜した。
 この鹵獲(ろかく)された「零戦 21型」は8月12日、西海岸カリフォルニア州サンディエゴの海軍航空基地に輸送され、アメリカの航空技術者とパイロットたちによるテスト飛行と細部まで徹底的な解剖調査がおこなわれました。
 開戦以来の約半年の間、零戦にさんざん痛めつけられたアメリカの陸海軍機。その神秘的とまで云われた「零戦の強さ」の秘密がついに明らかになる時がきた。
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 彼らが第一に驚いたのは、その機体の軽さだったそうです。
 日本の零戦は、要求された性能(長大な航続力と格闘戦の強さ)を実現するために極限まで軽量化された。
 外板を薄く(0.5ミリ)、操縦席には防弾がなく、燃料タンクは防弾もセルフシーリングもない。それでも足りず、機体骨組みの桁に無数の穴を抜いて、骨粗しょう症のようにスカスカにした。
 零戦は攻撃に徹した機体で、防御はまったく考慮されていない。
このような無敵戦闘機「零戦」の秘密、長所だけでなく短所(弱点)がアメリカ軍に暴露されることになった。
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 アメリカ海軍艦上戦闘機「F4Fワイルドキャット」の後継機「F6Fヘルキャット」は、この鹵獲した零戦を参考にして開発されたと書かれたものをたまに目にしますが、零戦を神格化した身びいきの誤解から書かれたものです。アメリカ軍が零戦の強さの秘密を知ったからといって、それを模倣するはずがないし、する必要もない。
 アメリカ海軍が、開発する戦闘機に要求する項目の第一は「パイロットの生命を守る防弾」です。
 頑丈であること、操縦席の厳重な防弾鋼板、燃料タンクの防弾とセルフシーリングを第一の要求項目とし、そのためなら重量が増えても、運動性に劣ることになってもやむを得ずという考えです。
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 鹵獲した零戦を調査することによって、開発中の「F6F」の方針が間違っていなかったことを確認したアメリカ海軍は、続々とF6Fを主力戦闘機として前線に送り出した。
 零戦の約2倍の2000馬力級エンジンを搭載。12.7ミリ機銃が6挺の武装は零戦相手には充分な武装。操縦席まわりの厚い防弾と、頑丈な機体。零戦に格闘戦を挑まれても相手にせず、高速を活かした一撃離脱戦法に徹する。
 零戦がその性能を実現するために極限まで機体を軽量化した。このような方法で得た、米軍が神秘的とまで感じた「格闘戦の強さ」など、いつまでも通用するものではなかった、ということだろうか。





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最終更新日  2023年07月17日 08時28分39秒
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