本指標の要点は下表に整理しておきました。
次に、本指標発表前後にポジションを持つときのポイントを整理しておきます。
- 今回、市場では前回結果より僅かに減少、と予想されています。がしかし、今回はやや市場予想を下回るのではないでしょうか。
論拠は、本指標が新築住宅販売件数に対し1〜2か月遅行すると言われている点です。新築住宅販売件数の年率換算値は、2016年7月をピークに減少傾向が伺え、12月・1月全体としてはそれ以前より減少しています。また、利上げを意識した駆け込み需要には、今回発表が2月分集計結果のため、早すぎます。中古住宅販売件数は所有権移転時点でカウントされるため、ローン申請・審査の期間も考慮すると、今回の利上げの話が出てからそのような行動をとっても間に合わない事例が多いと思われます。3月利上げの話は1月後半から囁かれ、3月4日のFRB議長発言で完全に市場に折込まれたのです。 - 直前1分足は陰線率が86%となっています。直後1分足は陽線率が80%となっています。そして、直前1分足と直後1分足の方向一致率は18%(不一致率が82%)です。
よって、直前1分足が陰線になりそうならば、指標発表前に買ポジションです。
但し、直前1分足の陰線が過去平均の3pipsより極端に大きい場合(10pips?)は、現在の各国株価下落への懸念からUSDが売られJPYが買われる圧力が強いということですから、取引は見合わせた方が良いでしょう。
基本は、直前1分足が陰線、直後1分足が陽線です。 - 直後1分足と直後11分足の方向一致率が74%です。そして、方向一致時に直後1分足終値よりも直後11分足終値の反応が伸びていた事例が82%となっています。この二つの確率がともに70%を超える指標は少ないのです。反応方向を確認してから追いかけてポジションを取ることに適した指標です。
但し、昨夜のような強い株売(USD売・JPY高)の動きが指標発表前に見られる場合、取引を見合わせた方が良いでしょう。強い指標ではありません。
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は 「1. FXは上達するのか」 をご参照ください。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
以下、「?T.調査」「?U.分析」を事前投稿し、「?V.結果」「?W.検証」を事後投稿しています。事後投稿日時は「?V.結果」のタイトル行付近に記載しています。
?T.調査
【1. 指標概要】
米国では新築住宅よりも中古住宅の流通量が大きく、そのため住宅関連指標では本指標が注目されます。また、住宅販売件数は消費やリフォームなどの関連需要にも繋がるため波及効果も大きい上、消費者個人の収入・金利の見通しが反映されています。
注意すべき点は、新築住宅販売件数が契約書署名ベースであるのに対して、中古住宅販売件数は所有権移転完了ベースで集計されています。従って、本指標は新築住宅販売件数に対し1〜2か月遅行します。発表日の関係から、その逆と誤解している向きもあるのでご注意を。
本指標は全米不動産業者協会(NAR)が翌月25日頃に発表します。
数値は季節調整済・年率換算されています。
以下、本議事録について既に公開されている情報を整理します。調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの25回分のデータに基づいています。
(2-1. 過去情報)
下図に過去の市場予想と発表結果を示します。
本指標は、新築住宅販売件数に対し1〜2か月遅行すると言われています。本指標で注視している年率換算では、新築住宅販売件数が2016年7月をピークに減少傾向が伺えます。そして、1〜2か月との遅行ということは、今回発表の2月分データは12月分データ・1月分データを参考にすれば良いということになります。結果、1月分はやや改善しているものの、12月・1月全体としてはそれ以前より減少しています。
逆に、1月19・20日のFRB議長発言で3月利上げが話題に挙がり、3月4日の発言で3月利上げが市場に折込まれました。利上げを意識した駆け込み需要を意識する必要はなさそうです。何より、新築住宅販売件数と異なり、中古住宅販売件数は所有権移転時点でカウントされます。利上げを意識した動きが所有権移転に現れるには、2月分データが早すぎます(銀行ローンを組む場合、所有権移転以前にローン申込と審査を受けておくことになります)。
よって、今回は前回結果•市場予想よりも発表結果が小さくなる、と予想します。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示しておきます。
いずれも方向に偏りが目立っています。但し、反応は大きくありません。取引に役立ちそうな個別の特徴は「?U. 分析」に数字を挙げて記します。
?U. 分析
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。
直後1分足と直後11分足の方向一致率が74%です。そして、方向一致時に直後1分足終値よりも直後11分足終値の反応が伸びていた事例が82%となっています。この二つの確率がともに70%を超える指標は少ないのです。反応方向を確認してから追いかけてポジションを取ることに適した指標です。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。
いくつか特徴があります。
直前1分足は陰線率が86%となっています。直後1分足は陽線率が80%となっています。そして、直前1分足と直後1分足の方向一致率は18%(不一致率が82%)です。
よって、直前1分足が陰線になりそうならば、指標発表前に買ポジションです。但し、陰線が過去平均の3pipsより極端に大きい場合は、現在の各国株価下落への懸念からリスク回避でJPYが買われる圧力が強いということですから、取引は見合わせた方が良いでしょう。
指標一致性分析は、指標の前回結果・市場予想・発表結果の差を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。
事前差異(今回はプラス)と直後11分足の方向一致率が70%となっています。また、直後1分足・直後11分足の事後差異との方向一致率は、それぞれ76%・65%となっています。基本的には指標結果の良し悪しに素直に反応します。
懸案は、現在の株高を是正しようとする動きです(昨夜がそうでした)。発表前のトレンドが強い下降トレンドだった場合、今回の取引は見合わせた方が良いようです。
【6. シナリオ作成】
以上の調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
いずれのシナリオも強い下降トレンドが指標発表前に発生していない、という前提で実施します。
2017年3月22日22:30発表
以下は2017年3月23日10:00頃に追記しています。
?V. 結果
【7. 発表結果】
今回発表の要点は次の通りです。
- 販売件数は、季節調整済年率で前月比3.7%減の548万戸
- 一戸建て販売は3%減の年率489万戸、コンドミニアムなど集合住宅は9.2%減の59万戸
- 全米4地域のうち3地域で減少、増加は南部
- 販売に対する在庫比率は3.8カ月、前年比は4.3カ月
- 価格中央値は、前年比7.7%上昇して228,400ドル
前年比在庫が5か月を下回ると、供給不足と見ます。統計発表後にNAR担当者は、
「販売取引スピードが非常に速く、在庫不足と認識」
「購入意欲は引き続き堅調で力強いものの、購入意欲を満たす在庫が不足」
と述べたようです。
前月1月分発表でも10年ぶりの高水準となっていました。
(7-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
直後1分足・直後11分足ともに同値終了となっています。
背景として、前夜に大きなダウ下落があり、発表時にも前夜から40ドル前後の安値となっていました(23:03頃)。指標結果そのものとは関係なく、23:00という時刻に転換の動きと、そのまま株売継続の動きがぶつかっていたようです。結局、ダウは朝(日本時間)までに徐々に持ち直して、前日終値から6.7ドル安値で引けたようです。
反応が小さい指標で取引するときには、金利・株価の影響を無視できません。
(7-2. 取引結果)
取引結果は次の通りでした。
ほぼシナリオ通りにポジションを取り、シナリオでは2勝1敗でした。
【8. 調査分析検証】
事前調査分析内容を、以下に検証します。
- 今回、市場では前回結果より僅かに減少、と予想されています。がしかし、今回はやや市場予想を下回るのではないでしょうか。
論拠は、本指標が新築住宅販売件数に対し1〜2か月遅行すると言われている点です。新築住宅販売件数の年率換算値は、2016年7月をピークに減少傾向が伺え、12月・1月全体としてはそれ以前より減少しています。また、利上げを意識した駆け込み需要には、今回発表が2月分集計結果のため、早すぎます。中古住宅販売件数は所有権移転時点でカウントされるため、ローン申請・審査の期間も考慮すると、今回の利上げの話が出てからそのような行動をとっても間に合わない事例が多いと思われます。3月利上げの話は1月後半から囁かれ、3月4日のFRB議長発言で完全に市場に折込まれたのです。
結果は、前回結果・市場予想を僅かに下回りました。
取引には直接関係なかったものの、直前10-1分足の下降は金利・ダウが前日終値より下がっていたことの影響と見込まれます。
【9. シナリオ検証】
事前準備したいたシナリオは次の通りです。
- 直前1分足は陰線率が86%となっています。直後1分足は陽線率が80%となっています。そして、直前1分足と直後1分足の方向一致率は18%(不一致率が82%)です。
よって、直前1分足が陰線になりそうならば、指標発表前に買ポジションです。
但し、直前1分足の陰線が過去平均の3pipsより極端に大きい場合(10pips?)は、現在の各国株価下落への懸念からUSDが売られJPYが買われる圧力が強いということですから、取引は見合わせた方が良いでしょう。
基本は、直前1分足が陰線、直後1分足が陽線です。
結果は、直前1分足は陰線、直後1分足は同値です。
シナリオ2で損切となったのは、チャートの動きを見誤ったためです。
直後1分足は同値終了ですが、陽線側にもヒゲがあります。この間に利確できず、下ヒゲで一旦損切としました。その後、直後11分足も上ヒゲを伸ばしているので、結果論とは言え、もう少し我慢すれば利確できた可能性があります。
但し、シナリオ2は買ポジションだったため、発表前の動きが前夜に引き続き金利・株安継続という点を踏まえると、初期反応が小さかった時点でシナリオ2が利確することは間違っていないと思われます。
損切は結果論で、シナリオ・取引とも問題ありません。
ふたつ目のシナリオ(シナリオ3)は次の通りです。
- 直後1分足と直後11分足の方向一致率が74%です。そして、方向一致時に直後1分足終値よりも直後11分足終値の反応が伸びていた事例が82%となっています。この二つの確率がともに70%を超える指標は少ないのです。反応方向を確認してから追いかけてポジションを取ることに適した指標です。
但し、昨夜のような強い株売(USD売・JPY高)の動きが指標発表前に見られる場合、取引を見合わせた方が良いでしょう。強い指標ではありません。
直後1分足・直後11分足ともに同値終了でした。本来は、シナリオの前提が崩れているため、ポジションを持つべきでなかったものの、当日の金利・株価の動きと直後1分足の反応の弱さを見て、下降トレンドを見込んだポジションを取ってしまいました。
直後11分足の上ヒゲは、発表後数分間の動きです。この間は含損となっており、7分経過後ぐらい(記憶)ぐらいに下ヒゲを伸ばしました。このとき利確を逃した結果、シナリオ3の利確が発表後12分後となっています。更に我慢すれば、もう少し利確が伸ばせたものの、ここで勝ちは確定できたので利確です。
本ブログ開始から本指標での成績表を下に示します。
もしこの記事が何か参考になったなら、どれか広告バナーをクリックして提携先に興味をお持ち頂けると幸いです。提携先はいずれも良心的なところを選んだつもりです。安心してください。
ーーー以下は広告ですーーー
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上