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2021年11月07日

樹海村

コロナ感染がやや落ち着いてきたので、GOTOトラベルが復活するとか。
某リサーチによると、2021年11月現在、行ってみたい場所ナンバー1は「樹海村」だそうです。
ウソです。すみません。管理人のゆうすけです。秋も深まってまいりました。
久しぶりに土日が連続してお休みだったので、アマゾンプライムで映画「樹海村」を観ていました。
貴重なお休みになんでそんなものを見るのかと聞かれると困りますが、じつは密かにホラーが好きです。
恐怖やら怪奇やらサスペンスやらは、本来人間が忌避すべき類のものですが、フィクションに於いてこれを「娯楽」として愉しむという倒錯した心理を人間は近代化の過程で獲得してしまったのです。暇だったので。
まあ平和で安全な証拠です。
決して来週末に某資格試験があって、その現実逃避をしている訳ではないのです。たぶん。

ということで、映画「樹海村」のご紹介です。
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「樹海村」
2021年製作/117分/配給:東映
監督:清水崇/脚本:保坂大輔 清水崇
出演:山田杏奈ほか

Jホラーの旗手である清水監督の「村シリーズ」第2弾です。
主演が山田杏奈さんです。「僕ヤバ」のヒロインと同姓同名なので、無条件で1000ポイント獲得です。
映画の内容は、こんな感じ。
・・・「犬鳴村」に続き、実在した心霊スポットを題材に描く「恐怖の村シリーズ」第2弾。自殺の名所として世界的にも広く知られる富士の樹海を舞台に、インターネット上の怪談スレッドで「絶対に検索してはいけない」と語り継がれる通称「コトリバコ」と呼ばれる呪いの箱と、樹海がもたらす負の引力によって巻き起こる狂気と混沌を描く。かつて人々を戦慄させた、古くから伝わる禍々しい強力な呪いが、富士の樹海の奥深くに封印された。それから13年後、樹海で行方不明者が続出する事態が起こり……。

ということで、「富士の樹海」+「コトリバコ」という二つのネタを組み合わせて創られたホラー映画です。
どちらかというと、「コトリバコ」のほうがメインです。
「コトリバコ」については、ネットで検索してみてください。
そうすると、「絶対に検索してはいけないワード:コトリバコ」というのが出てきます。
なんか怖いですね。どうしても知りたい人だけ先に進んでください。都市伝説の一種です。

清水監督は、「呪怨」でブレイクした映画監督です。
以来、延々とホラー映画を作っていますので、当然ながら「恐怖」や「呪い」といったものを延々と考え続けている訳です。
ホラー映画なので、人が死んだり、ドッキリ演出は外せないのですが、意外なほど映画的な「構成」に凝っています。「たかがホラー映画」と思って舐めてぼんやり観ていると、お話の展開についていけなくなります。意図的に時間軸をずらしたり、シーンを飛ばしたりしているのです。
この作品の一番の肝は、「コトリバコ」の設定です。
ネタバレになるので、これからこの映画を観てみようと思う人はここまで。

いわゆる都市伝説での「コトリバコ」は、一種の呪殺具です。
忌まわしい手法で作られた呪具で、特定の対象を呪殺します。
この映画においては、一見そのようにも見えるのですが、じつは逆の使い方がされています。
それはすなわち、「仲間を取り込む」呪具です。
新しいコドモを取り込む箱、として「コトリバコ」は機能しています。
その狙いは、「樹海村」の成立に由来しているようです。
当初は「願い」だったのものが、時代を経て「呪い」へと変じていったようです。

この映画自体の評価や満足度はあまり高くないようですが、清水監督がこだわっている「呪い」というものについて、ひとつの形を示した作品であると思います。これまでにも同じようなテーマを延々と作り続けていますので、今後にもぜひ期待したいと思います。

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posted by ゆうすけ at 17:09 | TrackBack(0) | 映画・TV

2021年10月09日

2021年秋アニメ

管理人のゆうすけです。
10月に入ってすでに9日ですが、昼間は異常に暑いですね。29℃とか30℃とか。
10月でこれだけ暑かったら、12月になったらどうなるのか。

という定番のボケをスルーして、2021年秋アニメが着々と始まっています。
コロナの影響でもう少し作品数が減るかと思いましたが、あいかわらず多いですね。
半分ぐらいに減らしてリソースを再配分した方が良いと思うのですが、いろいろ事情があるのでしょう。
管理人が視聴継続を予定しているのは以下のとおりです。
「吸血鬼すぐ死ぬ」「古見さんは、コミ症です。」「ブルーピリオド」「月とライカと吸血鬼」
あとは押井守が脚本を書く回の「ルパン3世」
マンガ原作のアニメ化が3つと、ラノベ原作が1本です。
まだそれぞれ1話しか見ていませんが、頭一つ抜け出しているのが「古見さん」です。
原作を超えてきました。
小学館が本気を出したようです。最近集英社が調子こいてるみたいなので、兄貴の本気を見せるようです。
配信はアマゾンではなくNETFLIXです。
世界に向けて、日本のマンガコンテンツの中でも独自の進化を遂げた「ラブコメ」を全力で発信です。
日本の高校を舞台にした日常系ラブコメなので、グローバル性が皆無ですが、あ・え・て 勝負です。
1話のクオリティが維持できれば大丈夫だと思いますが、いや、無理だな。
「吸血鬼すぐ死ぬ」と「ブルーピリオド」は基本的に原作通り。
前者はギャグというかコメディなので、声優さんの話芸を楽しみたいと思います。
後者は芸大進学を目指す高校生のお話です。作者も芸大出身なので、どちらかというとアニメよりも原作の「絵」を見て欲しい作品です。
アニメにすると、どうしても共同作業になるので「誰でも描ける絵柄」に落とし込みますが、ちょっと惜しい。
この作品の見どころは、シリーズ構成と脚本が吉田玲子さんなので、「脚本」ということになります。
原作を改変することなく、アニメに合わせて構成を変えてくると思いますが、その手腕に注目です。

「月とライカと吸血鬼」はラノベのガガガ文庫が原作。
原作者自らシリーズ構成をするようなので、お話に破綻はないかと思われます。
米ソの宇宙開発競争を翻案したIF世界の物語で、ロケットで吸血鬼を宇宙に打ち上げます。
吸血鬼のお嬢さんを演じているのが林原めぐみさん。うわ、久しぶりに「綾波」節が聞けたよ。
経験的に、宇宙開発ものとかロケット打ち上げものには「ハズレ」が少ないので、期待しています。

最後の「ルパン3世」は、シーズン6ということで、今回初めて「押井守」がゲストで脚本を書きます。
だぶん1本だけだと思いますが、さて、何を書くのやら。
幻となった押井監督による「劇場版ルパン3世」のリベンジか、あるいはいつものように「立ち喰い師」ネタ、あるいは「上海亭」ネタをやるのか? 
個人的には趣味に走ってMG42機関銃を撃ちまくるような脚本を希望します。


posted by ゆうすけ at 18:53 | TrackBack(0) | 映画・TV

2021年09月26日

ノッティングヒルの恋人

「ノッティングヒルの恋人」は、1999年のイギリスのロマンティック・コメディ映画です。ロジャー・ミッシェル監督、リチャード・カーティス脚本。出演はジュリア・ロバーツとヒュー・グラントなど。

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『ノッティングヒルの恋人』(原題 Notting Hill)
主演はジュリア・ロバーツとヒュー・グラント

管理人はこの映画は未見だったので、つい先日、GEOでレンタルして鑑賞しました。
映画のあらすじは、こんな感じ。
「英国のノッティングヒルを舞台に、ハリウッド女優と冴えない本屋店主の恋を描くラブ・ストーリー。スター女優であるアナが、偶然立ち寄った旅行書籍専門の本屋で、店主のウィリアムと出会ったことから、身分違いの恋が始まる・・・」
この作品をわざわざレンタルまでして観ようと思ったのは、マンガ「僕の心のヤバイやつ」の影響です。
「僕ヤバ」は思春期ラブコメで、ヒロイン側が高身長・美人の陽キャでモデルや芸能の仕事もしている一方、主人公は陰キャの低身長という設定です。ふたりの関係性や心の動きを安易なモノローグに頼らずに、多くのエピソードや細やかな演出で見せるという、屈指の作品です。
それならば、海外の類似作品はどんな感じかな、という期待を持って観たのですが・・・。
うわ、なんだこの展開は。
冒頭で二人が初めて出会い、いろいろあって主人公の家に行く流れになります。
その別れ際に、いきなりアナがキスをするのですが、やけに唐突なシーンです。
管理人的には、その前のカットからは「主人公の夢」になっていて、あらためて二人が恋に落ちるエピソードが入ると思っていたら、「夢のようだけど夢じゃなかった」ということで、お話はどんどん進んでいきます。
いやいやいや。
そこが、いちばん、大事なとこだろー!
恋愛もので、相手に好意を抱く瞬間や、恋愛に発展する瞬間って、ものすごく大切なところじゃないの?
この映画の脚本では、なぜかその部分がすっ飛ばされて、逆に不安になります。
主人公の人間性を垣間見せるエピソードもあるのですが、「決定的」とは思えない。
「この映画、あのキスシーンから先はずっとこの主人公の妄想なんじゃねーの?」
そういう疑問を抱えつつ、映画はセオリー通りハッピーエンドで終わります。
だから余計に「妄想」疑惑が払拭できない恐るべき映画。さすがはイギリス映画、何かが違う。
恋愛映画としては世界的にヒットした作品ですが、世界の皆さんはどのように感じたのでしょう? 謎です。

ということで、管理人的にはあまり評価が高くない作品ですが、ジュリア・ロバーツの旬な時期を味わうには良い映画です。あのでっかい口でキスされたらヒュー・グラントでなくても恋に落ちるかも。作中のSF映画があまりにもクソ映画っぽくて、あえて見てみたい。

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感想(9件)



posted by ゆうすけ at 07:16 | TrackBack(0) | 映画・TV

2021年07月23日

竜とそばかすの姫

ものすごく暑いですね。管理人のゆうすけです。
細田守監督の最新作「竜とそばかすの姫」が2021年7月16日から公開されています。
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「竜とそばかすの姫」
2021年製作/121分/日本
配給:東宝
監督・原作・脚本:細田守

じつは管理人は、すでに7/17に観ております。掛川のつま恋に遊びに行った日、土曜に静岡市集合で、友人と久しぶりに静岡市内の劇場で観ました。旅行参加者4人のうち、映画鑑賞に参加したのは管理人含めて2名でした。
同じ映画を観ても、やはり感想は人それぞれだなあという当たり前のことを再認識しました。
管理人的にはネット世界と現実世界、自己肯定感の低い女子高生、家族の再生など、わりと好きな題材を美しい映像や歌でエンターテインメントに昇華させていて、好きな映画です。
ご鑑賞の後、静岡から掛川へ車で移動する最中に、いろいろと感想戦が行われたのですが、友人のほうはわりと点数が低めのようでした。
共通した認識としては、「細田監督もいよいよ当てに来たなあ」というところ。
毎回それなりのヒットを出している細田監督ですが、最近はやや低調だったので、得意技の「ネット世界」に、「美女と野獣」「電脳ミュージカル」の要素を乗っけて、長打を狙ったなあというのが素直な印象。
今回の失点として共通したのは、「役所広司はマズかったな」というところ。
役所広司が細田監督作品に出演するのは3作目で、今回は細田監督からのオファーがあった、というのがネット記事に書いてあったことですが、出来映えは、う〜ん、残念。役所広司が演じたヒロインの父親役は、終盤にすごく重要な役割を果たすのですが、そのシーンが致命傷です。大塚明夫でいいんじゃない、って思うんですけど。
ちなみに役所広司は、リアル役者としては高く評価できるので、こういう動きの少ない声優の演技には不向きな人なのかな。「バケモノの子」ではそれほど気にならなかったので、やはり地味だけど緻密な芝居にはベテランの声優さんを使うのが良いのではないかな。

作中の仮想現実世界「U」には、専用のデバイスを使ってユーザーの生体情報を基に創られたアバター(Asアズと呼ばれている)が参加するのですが、いわゆるフルダイブ型なのかそうではないのか、じつは映画だけではよくわからない。ネット世界のベルが歌うとき、現実世界のすずも大声で歌っているのか、謎です。
ネット世界の描写は細密でCGを上手く使っているのですが、ネット世界と現実世界を同時に描くシーンは少なくて、操作については不明な部分が多いのです。

辛口採点の友人と意見が一致した「面白いシーン」は、現実世界の長回しのカットでした。基本的にネット世界ではカメラは自由に動き回りますが、現実世界ではカメラは固定やドリーなど、わりとシンプルな動きをします。
駅の改札での長まわしは、ほぼ画面固定で、フレームの外で重要なやりとりが行われているという面白い演出で、カットを割らずに芝居をじっくり見せる愉快なシーンでした。ここは高得点。

物語の後半で、ヒロインが単独である行動をとりますが、これに関して「おかしい」という方もいるようです。
管理人はとくに気にしていませんが、それは以下の理由からです。
創作世界(映画・漫画・小説ほか)においては、「作劇上」の理由から主人公が単独で何かに立ち向かう場面は往々にして有ること。
創作世界でも現実世界でも、人は常に「正しい」行動を選択するわけではなく、「最適解が分かっているのにそれに従わない」ことが、そもそも「人間」である必然だから。
ということで、この映画に出てくる人たちは、ヒロインを含め、必ずしも「正しい」行いをする人ばかりではないのです。
過ちもあれば、悪意もあるし、善意の輝きもある。
この映画では、人の持つ勇気や善性を肯定的に描いていて、それを信じられるか否かは見る人次第だと思うのです。
posted by ゆうすけ at 18:12 | TrackBack(0) | 映画・TV

2021年07月09日

ゴジラVSコング(ネタバレあり)

管理人のゆうすけです。
はやくも7月第2週が終わろうとしています。
長らく延期されていた映画「ゴジラVSコング」がようやく公開されましたが、皆さんご覧になりましたか?
いろいろな意味で貴重な映画なので、時間とお金がある人は観ると良いです。
そんな気はない、でもどんな映画なのかはちょっとだけ知りたい、という方のために、今回はネタバレありでご紹介です。
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2021年製作/114分/アメリカ
原題:Godzilla vs. Kong

この映画、ズバリ「番長映画」です。前作の「キングオブモンスターズ」もそうでしたが、今回はさらに番長指数が上昇しました。
世界の頂点をとるんじゃーい、とイキッているトカゲ番長が、因縁のライバルのゴリラ番長にタイマン勝負をしかける映画です。
ふたりともゴリゴリの武闘派なので、顔を合わせると、即バトルです。
数ラウンドを戦って、いいかげん決着がついたかと思った時、悪い連中が「メカ番長」を送り込んで、漁夫の利を得ようとします。
「ホンマの敵はこいつじゃーい!」と叫んで、二人の番長が共闘して「メカ番長」をやっつけます。
「おめえ、なかなかやるな・・・」「ふ、お前もな・・・」
戦いが終わり、夕陽を背に分かれゆく二人には、いつしか熱い友情が芽生えていたのでした・・・。
・・・というお話です。本当です。ウソだと思う人は劇場で確かめるように。
観ているうちに、どんどん自分の知能指数が低下してゆくのが体感できます。
終盤には観客の大半は「ウホッ!」と叫んでいます。本当です。ウソだと思う人は・・・。

ちなみに番長同士のタイマン勝負は「ステゴロ」(素手喧嘩)が基本ですが、トカゲ番長はデフォルトで口から「なんとかビーム」を吐いてしまう体質なので、ハンデとしてゴリラ番長には武器の使用が認められます。
その武器は「ゲッタートマホーク」です。
本当です。ゲッター線のパワーを吸収して、「なんとかビーム」を弾きます。すごいぜゲッタートマホーク。

いろいろとツッコミどころが多すぎて、忙しい映画です。
「ゴジラSP」を先日まで見ていた日本人には、ある意味で脅威と言えるでしょう。
次回はハリウッド版の「ジェットジャガー」をお願いします。
日本語吹き替えはもちろん釘宮理恵で。
posted by ゆうすけ at 21:08 | TrackBack(0) | 映画・TV

2021年06月27日

機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ

映画「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ」は、TVアニメ「機動戦士ガンダム」の宇宙世紀シリーズに連なる作品で、「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」の続編として位置づけられます。
原作は富野由悠季が1989-1990年に上梓した小説で、大国同士の戦争ではなく、テロとの戦いを描いています。
全三部作で制作されることが発表されており、今回が1作目です。当初は2020年7月23日に公開予定でしたが、新型コロナの影響で複数回延期され]、2021年6月11日にようやく公開されました。
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「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ」
主人公機・Ξ(クスィー)ガンダムと、対する地球連邦軍のモビルスーツ、ペーネロペー。
2体は姉妹機にあたる。ミノフスキー・フライト・ユニットにより自由に重力圏を飛行可能。

ということで、管理人もようやく劇場で鑑賞することが出来ました。
この映画、ガンダム映画の中でも異例のヒットを記録しており、すでに配収10億円を突破しています。
じつは「特別興行」という形態をとっていて、誰でも入場料一律1900円!という強気な設定なのが、高い収益の一因ではないかと考えます。
映画を観るにあたっては、あらかじめ公式サイトでストーリーやキャラクタを把握しておいた方が良いです。
公式でいきなりネタバレしているのですが、主人公の「ハサウェイ・ノア」(あのブライト艦長の息子)が、テロ組織「マフティー」の中心人物「「マフティー・ナビーユ・エリン」であることが判明し、新しい機体「Ξガンダム(クスィーガンダム)」を手にいれるまでが今回の映画のお話です。主要な登場人物は、冒頭のシャトルハイジャック事件にみんな乗り合わせています。

ガンダムの新作は、常にモビルスーツの新しい表現が求められるのが課題なのですが、この映画ではリアリティに思い切り舵をとるスタイルで成功しています。作品自体がシリアスな内容なので、モビルスーツの戦闘描写も3Dを組み合わせて(新型のガンダムはデザインがあまりにも面倒すぎて手描きではまともに動かせない)斬新で高密度な演出をみせています。音響もユニークで、新型機のミノフスキーフライトユニットの「キュルキュル」いう不思議な駆動音が魅力的です。
背景美術も一部実写取り込みに近い仕上がりにして、作品のリアルな雰囲気を支えています。

ストーリーは、まだ物語が動き出したばかりなので明らかではないのですが、基本的に反地球連邦を掲げるテロ組織「マフティー」と、その殲滅を目的とする連邦軍の「キルケー部隊」との対決というのが大筋になるかと思います。さらに、映画を観ればすぐに感じられるように、この物語は確実に「悲劇」に向かってゆくという確証があります。主人公がテロリストで、みんながハッピーな大団円って、ありえんでしょう。

SNSなどのコメントなどをざっと見ると、かなり好意的というか、高評価なものが多いようです。
個人的に衝撃的だったのは、「ガンダム見たことないけど、はじめて見たらけっこうヤバイ〜」というようなご意見が複数あったことです。
「え! ガンダム見たことない人がいきなりこれ見ちゃうの!?」
というような、後頭部を鈍器で殴られるようなショックを受けました。
たしかにガンダムの歴史を考えると、初めてのガンダム体験が「閃光のハサウェイ」という世代が出てきても不思議ではないかも。まるで「JOJOの奇妙な冒険」を「ジョジョリオン」から読み始めるような不可思議な状況ですが、歴史が長い作品の宿命なのかな。

そういう歴史ある「ガンダム」シリーズなので、作品を重ねるごとにクオリティが上がってまいります。
映画を観ながら、この世界観の中に、ファーストガンダムに登場した「Gファイター」や「ザクレロ」が当時のクオリティのまま登場したら大惨事必至だよなあ、などと妄想していました。
某パロディ漫画でも、ブライト艦長は「わが連邦軍にGメカなどというものは存在しない」と言ってましたね。
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posted by ゆうすけ at 17:44 | TrackBack(0) | 映画・TV

2021年06月19日

NHKの「漫勉neo」


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「まんべ〜ん♪」というテーマ曲?でおなじみのNHK異色ドキュメンタリー「漫勉」です。

普段は立ち入ることができない漫画家たちの仕事場に密着。
門外不出であった「マンガが生まれる瞬間」を最新の機材を用いて記録。
そして、漫画家・浦沢直樹が、それぞれの創作の秘密に、同じ漫画家の視点から切り込む。
日本の漫画家のペン先を、世界に届ける。それが「漫勉」。
という番組なんですけど、皆さんご存知でしょうか。

管理人は「漫勉」第1回のかわぐちかいじ氏を取り上げたシーズン0から見ています。
ラインナップが強力で、シーズン0ではかわぐちかいじ、山下和美のお二人でした。
正直、この番組に出てくれる漫画家なんていないだろう、と思っていたのですが、このお二人が出てくれたおかげで、現在の「漫勉neo」まで続く隠れ人気番組となりました。
漫画家がTVの取材を受けることは稀にありますが、その制作過程を延々と記録する(約3日間)というのは常識ではありえないと思います。もちろん無人カメラを複数台設置しての撮影ですが、それでも「はい、喜んで」という漫画家がそんなにたくさんいるとは思えない。
しかし、その制作過程を見たい、知りたい、という人は確実にいると思います。
管理人もその一人ですし、なによりもこの番組を発案した浦沢直樹がそうです。
浦沢直樹の熱意と人脈と実力が無ければ、この番組は成立しなかったと思います。
漫画家としての浦沢直樹の功績は言わずもがなですが、彼に文化勲章をあげてもいいと思えるのは、この番組を残してくれた功績があまりにも大きいからです。
控えめに言って、文化的な遺産です、この番組。少なくとも漫画に関係する人たちはそう感じています。
普通の人が萩尾望都やさいとうたかをの仕事場を見学させて欲しいといっても無理です。TV局の偉い人がお願いしても無理だと思います。しかし、浦沢直樹はやってのけた。ありがとう、浦沢。全国の「漫勉」ファンを代表してお礼を申し述べます。

漫画制作の異色ドキュメンタリー番組として認知されるにつれて、登場する漫画家も増えました。
まさかこの人が、という方も登場するようになり、いわゆる「業界騒然」状態も発生しています。
管理人的に心が震えたのは、「漫勉neo」第4回「星野之宣」、第5回「諸星大二郎」の連続攻撃です。
この二人に取材OKをもらい、しかも続けざまに放送してくるとは、流石に分かってらっしゃる。
この番組を見た人は、「生きた諸星大二郎が絵を描いている」様をTVで見られることに、脳天を撃たれるような衝撃を受けたのではないでしょうか。うん、長生きしてよかった。

この番組は、基本的に下書きからペン入れ・仕上げまでの作業工程を編集し、それを見ながら二人でいろいろと語る、という構成になっています。
それだけで十分面白いのですが、視聴者、というか管理人的にはさらに欲が出てまいります。
「漫画家がネームを描いているところを見てみたい!」
漫画制作の一番の肝であり難所である「ネーム」(映画でいう脚本+絵コンテ)作り。
ここを見たいと思うのですよ。
なんて考えていたら、先日放送された「安彦良和」氏の回で度肝を抜かれました。
安彦先生、ネームを描かない! いきなり白紙にコマ割りして、いきなり下書きを描いてる。
しかもフリーハンドで。斜め俯瞰の大ゴマを何の躊躇もなく、パースの狂いもなく。
連邦軍のモビルスーツは化け物か!
あれを見た視聴者は全員そう思ったはず。
「漫勉」、奥が深いなあ。

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2021年06月07日

映画大好きポンポさん(劇場版)

「さあ、シーフード・パーティーの始まりよーッ!」
ということで、管理人のゆうすけです。
皆さんは劇場版アニメ「映画大好きポンポさん」はご覧になりましたか。
2021年6月4日から公開されています。とっくに完成していたはずですが、コロナ等でいろいろ延期されて、満を持してのロードショウです。
管理人は6月5日に鑑賞しました。現在、2021年ベストに暫定ランクインしています。
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『映画大好きポンポさん』
原作:杉谷庄吾【人間プラモ】
監督・脚本:平尾隆之
制作:CLAP
マンガ原作からの劇場版アニメです。マンガの方は、じつは2018年にレビュウを書いています。

SNSなどでもかなり高評価の感想が多いので、ちょっと辛口のコメントを出しておきます。
キャッチコピーが「幸福は創造の敵」とありますが、これはあくまでこの作品での製作者の私見です。
「リア充には面白い作品は作れねえ」ということですが、賛否はあると思います。
本当に創造的な人間になりたいと思うなら、こういう言葉をまず疑ってみるぐらいでないと成功しません。
この作品では「映画しかない」というどんづまりの主人公(非リア充代表のような青年)ジーン君が覚醒しますが、実は映画製作を通じて人生最大の幸福の渦中にいるという逆説的な状況になっているのが面白いのです。
ジーン君は、映画の15秒スポットの製作をまかされて、ものすごく悩みますが、次第に様子が変わっていきます。
「やばい 売上とかスタッフの生活とかどーでもいい 超楽しい!!!」
ポンポさんは、ジーン君がこういう奴だと見抜いていたのでしょうね。
あのコピーの「幸福」は、「(凡庸な)幸福は」という意味なのでしょう。ジーン君が感じた幸福は、彼にしか理解できない、彼にしか価値のない幸福なのですが、だからこそ唯一無二のものです。
じつは創造を支える力となるのは、この魔的な幸福であると、管理人は思うのですよ。

今回の映画版製作にあたり、キャラやエピソードの追加がありますが、うまくまとまっています。
原作のマンガは現在3巻まで発行されていて、今回の映画は1巻を元にしています。
スピンオフのマンガも刊行されていて、いずれも面白いのでよろしければどうぞ。

映画の出来は大変良いのですが、惜しいのは、背景美術(特にアルプスのシーン)を、京都アニメーションの美術監督だった渡邊美希子さん(故人)が手掛けていたら、すごい説得力になっていただろうなあと思うところです。美術は全体の世界観との調和が大切なのですが、ここ一番という場面では、あえて仕掛けて欲しいなあと思うわけですよ。
公開延期があって、ようやく陽の目を見た作品ですが、わりと素早く公開終了になりそうなので、迷っている方は劇場に急ごう。
posted by ゆうすけ at 20:03 | TrackBack(0) | 映画・TV

2021年04月18日

インスマスを覆う影

2021年4月18日の日曜は天気がいまいちでしたが、朝7時に自転車で家を出て、45kmほど走りました。
途中でサボってネットカフェでモーニングセットを食べながらマンガを読んだりするという、のんびりライドです。
そのお店ではネット席を利用したのですが、なんとなくTver(ティーバー)という民放のTV番組ポータルサイトを見ておりましたら、懐かしい番組が「まもなく配信終了」と書かれていました。

ということで、コーヒーを飲みつつぼんやり見ていたのがこの「インスマスを覆う影」
この作品は2時間弱の単発TVドラマで、1992年にTBSの「ギミア・ぶれいく」という番組内で放送された、特撮ホラードラマです。原作は、我らの怪奇幻想作家、H・P・ラヴクラフト先生。同名の小説を、舞台を日本に変え、佐野史郎主演(!)で映像化したものです。
「雑誌の企画のために寂れた港町・蔭洲升(=インスマス)を訪れたカメラマンの平田(佐野史郎)。町の住人たちに不気味さを感じつつも、なぜか町の様子に既視感を覚える平田は、美しい浴衣の女性・藤宮佳代(眞行寺君枝!)と知り合う。その夜、浜辺を歩いていた平田は奇妙な宗教行事に遭遇し…。不気味な魚影うごめく恐怖と戦慄と超自然のゴシック・ホラー!」・・・という内容です。

ラヴクラフト先生の原作なので、もちろんクトゥルー神話ものです。インスマスを蔭洲升(いんしゅうます)と無理やり置き換えたセンスがナイスです。じつは脚本はクトゥルー神話が大好きな小中千昭君です。小中君は他の作品でもちらほらとクトゥルー風味の脚本を書いています。
ドラマとしては、派手さはないのですが、いい雰囲気を出していて、カルト的な人気がある作品です。
管理人的には、佐野史郎のキャスティングが秀逸。ネタバレですが、魚類的な風貌がインスマスです。
さらにポイントが高いのが、謎の女性に「眞行寺君枝」さんを配したこと。
眞行寺君枝。
この名前を知っている人が今どれだけいるのか?
ちなみに管理人が好きな女優ベスト10に入っています。
資生堂 秋のキャンペーン「ゆれる、まなざし」(1976年)のCMがいちばん有名かな。
憂いとか翳りのある女性です。
蔭洲升(インスマス)の町に佐野史郎と眞行寺君枝を配置した、というだけでこのドラマは勝利しています。
ものすごくお勧めはしませんが、基本的にクトゥルーものは、こんな感じなんです。
「ニャル子」からクトゥルーに入った人は、地味すぎて驚くかもしれない。
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「インスマスを覆う影」
佐野史郎と眞行寺君枝

posted by ゆうすけ at 20:57 | TrackBack(0) | 映画・TV

2021年04月03日

2021年春アニメ

気が付けばもう4月が始まっているではないですか。
職場構内の桜も満開を過ぎ、駐車場脇の菜の花も花が咲いてしまってもう食べられない。春爛漫ですね。
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ということで、2021年の春アニメが次々と始まっています。
冬アニメはあまり熱心に見ていなかったのですが、春からはなんか怒涛のように新作が押し寄せてきます。
全部見ていたら仕事や学校に行っているヒマがない。旧作の再放送も多いので、録画してもきりがない。
そんな方には簡単な「傑作」の見分け方をお伝えします。
本当に簡単です。
タイトルやスタッフなどで気になる作品があったら、録画しておいて「最初の5分」だけ見ればよいのです。
たった5分で何が分かるのか、と思うのは尤もですが、基本的に1クール(12〜13話)しか放送しない作品であれば、第1話に全力投球するのは当然で、しかもその初球(最初の5分)にボンクラ球を投げているような作品は無視して良いのです。初球を見極めてくださいね。
てなわけで、2021年4月3日現在で、管理人が見た春アニメの傑作候補はとりあえず次の2本。

「ゴジラSP」
あの「ゴジラ」の完全新作TVアニメです。劇場版アニメでは虚淵君がやらかしましたが、今度は違います。
シリーズ構成・脚本が、あの円城塔です。「スペース・ダンディ」でもガッツリとSFをやってくれた円城センセイです。これを見ないで何を見る。

「SSSS.DYNAZENON」
2018年放送のアニメ『SSSS.GRIDMAN』のメインスタッフ陣が参加し、突如現れた怪獣と巨大ロボット・ダイナゼノンとの戦いに巻き込まれていく少年少女たちの姿を描きます。
『SSSS.GRIDMAN』が大好きな貴方にお勧め。でもダイナゼノンのデザインはヤケクソです。21世紀にこのセンスはねえだろうと思いますが、1周回って「アリ」なのか? 超合金変形合体するZE。
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このあとも次々と新番組が始まるはずなので、お楽しみはこれからです。
posted by ゆうすけ at 22:25 | TrackBack(0) | 映画・TV
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銀河大計画別館の管理人。 「銀河大計画」は、1993年から細々とやっている同人誌です。 ゆうすけが書いたネタや没ネタなどを、別館で細々と掲載します。どうぞよろしく。 アイコン卵酒秋刀魚さん。
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