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2019年07月19日
家族の木 THE THIRD STORY 純一と絵梨 <14 褒美>
褒美
「養子と実子は結婚してもいいって法律で決まってるんだよ。僕は聡一叔父さんの子供だ。姉ちゃんとは従妹だ。僕は姉ちゃんと結婚したい。もし姉ちゃんが嫌だったら、もう結婚はしない。この家もパパもママも姉ちゃんのものだ。僕は、もう一度渡米して日本には戻らない。」と一気に言ってしまった。
姉は、まだきょとんとしていた。「純、疲れてるの?今の冗談、笑えないよ。」と立ち上がろうとしたので、もう一度、肩を押さえてソファに座らせた。「姉ちゃんこそ、落ち着いて僕の言うことをよく聞いてくれ。僕は、もうずっとずっと前から姉ちゃんが好きだったんだ。知ってるだろ?だから、あんな結婚しちゃったんだろ?僕は今でも姉ちゃんが大好きなんだよ。姉ちゃんとしか結婚したくないんだよ。パパから聞いたんだ。姉ちゃんも僕のことを好きでいてくれたって。だから結婚しよう。」と言った。
姉は「兄弟でそんなこと無理でしょ!わざわざ、苦しめようとしてるの?一体何なのよ!」と、大きな声を出した。「だから、よく聞けよ。僕は聡一叔父さんの子供なんだよ。隆の兄なんだよ!」と喚いた。
姉は、今度はまるでクイズを考えているような顔になった。「純、ちょっと考えてもいい?私、純、結局誰なの?」と聞くので「考えない方がいいんだよ。考えるとややこしくなるから。何にも考えずに僕のこと好きかどうかだけ答えてほしいんだよ。」というと、姉は「好きなの。とっても愛してるのよ。だからあなたに幸福になってほしいのよ。」と答えた。
「じゃあ、結婚してほしい。それ以外の答えは僕には要らないんだよ。」と答えながら、姉の手を握っていた。
もう説明は面倒だった。言うことは言った。「姉ちゃん、僕たちが愛し合って何が問題?非難の的になると思うの?親が悲しむと思うの?なあ、何か怖い?僕はもうめんどくさい。あれこれ考えるのも言うのもめんどくさい。僕は、姉ちゃんと一緒に生きていきたいんだよ。僕の幸せは、姉ちゃんだよ。」といって、姉を抱きしめた。姉のきょとん顔は、ゆっくりと本気の顔に代わった。
結局、理屈も何もない。抱きしめるのが一番わかりやすい方法だった。姉が僕のことを好いていてくれているとわかったその日に、ただ抱きしめるだけでよかったんだ。
それでも姉は躊躇した。「姉ちゃん、子供産めないかもしれないよ。純、パパになれないかもしれないんだよ。そんな結婚して純は幸せになれる?」と聞いてきた。「姉ちゃん、幼稚な質問するなよ。そんなこと百も承知でいってるよ。僕、そんなに軽率じゃないんだよ。」と上から偉そうに答えた。
姉が静かに泣き出した。僕は姉が落ち着くまで、ずっと隣にすわって待っていた。姉がひとしきり泣いた後、「ねえ、僕、大人になっただろ?ここらあたりで、ご褒美がほしいんだよ。たくさん説明して口がおかしくなっちゃったよ。」というと、姉が軽く口づけをしてきた。「ちょっと楽になった?」と聞かれたので、「まだ、楽にならない。一瞬じゃだめだ。もっと長時間の治療が必要だ。」と答えた。しばらく唇を合わせるだけの少年少女のようなキスをしていた。
両親が返ってきた。なんとなく照れくさくて姉と二人でテレビを見ているふりをした。その日は大阪に帰らなければならなかった。姉と母が玄関まで送って出てくれた。
普段は母が持ってくれるカバンを姉が持ってくれた。母がおやっという顔をした。父が後ろから「気をつけてな」と声をかけてくれたので振り向きざまにピースサインをした。父の顔が緩んだ。
続く
「養子と実子は結婚してもいいって法律で決まってるんだよ。僕は聡一叔父さんの子供だ。姉ちゃんとは従妹だ。僕は姉ちゃんと結婚したい。もし姉ちゃんが嫌だったら、もう結婚はしない。この家もパパもママも姉ちゃんのものだ。僕は、もう一度渡米して日本には戻らない。」と一気に言ってしまった。
姉は、まだきょとんとしていた。「純、疲れてるの?今の冗談、笑えないよ。」と立ち上がろうとしたので、もう一度、肩を押さえてソファに座らせた。「姉ちゃんこそ、落ち着いて僕の言うことをよく聞いてくれ。僕は、もうずっとずっと前から姉ちゃんが好きだったんだ。知ってるだろ?だから、あんな結婚しちゃったんだろ?僕は今でも姉ちゃんが大好きなんだよ。姉ちゃんとしか結婚したくないんだよ。パパから聞いたんだ。姉ちゃんも僕のことを好きでいてくれたって。だから結婚しよう。」と言った。
姉は「兄弟でそんなこと無理でしょ!わざわざ、苦しめようとしてるの?一体何なのよ!」と、大きな声を出した。「だから、よく聞けよ。僕は聡一叔父さんの子供なんだよ。隆の兄なんだよ!」と喚いた。
姉は、今度はまるでクイズを考えているような顔になった。「純、ちょっと考えてもいい?私、純、結局誰なの?」と聞くので「考えない方がいいんだよ。考えるとややこしくなるから。何にも考えずに僕のこと好きかどうかだけ答えてほしいんだよ。」というと、姉は「好きなの。とっても愛してるのよ。だからあなたに幸福になってほしいのよ。」と答えた。
「じゃあ、結婚してほしい。それ以外の答えは僕には要らないんだよ。」と答えながら、姉の手を握っていた。
もう説明は面倒だった。言うことは言った。「姉ちゃん、僕たちが愛し合って何が問題?非難の的になると思うの?親が悲しむと思うの?なあ、何か怖い?僕はもうめんどくさい。あれこれ考えるのも言うのもめんどくさい。僕は、姉ちゃんと一緒に生きていきたいんだよ。僕の幸せは、姉ちゃんだよ。」といって、姉を抱きしめた。姉のきょとん顔は、ゆっくりと本気の顔に代わった。
結局、理屈も何もない。抱きしめるのが一番わかりやすい方法だった。姉が僕のことを好いていてくれているとわかったその日に、ただ抱きしめるだけでよかったんだ。
それでも姉は躊躇した。「姉ちゃん、子供産めないかもしれないよ。純、パパになれないかもしれないんだよ。そんな結婚して純は幸せになれる?」と聞いてきた。「姉ちゃん、幼稚な質問するなよ。そんなこと百も承知でいってるよ。僕、そんなに軽率じゃないんだよ。」と上から偉そうに答えた。
姉が静かに泣き出した。僕は姉が落ち着くまで、ずっと隣にすわって待っていた。姉がひとしきり泣いた後、「ねえ、僕、大人になっただろ?ここらあたりで、ご褒美がほしいんだよ。たくさん説明して口がおかしくなっちゃったよ。」というと、姉が軽く口づけをしてきた。「ちょっと楽になった?」と聞かれたので、「まだ、楽にならない。一瞬じゃだめだ。もっと長時間の治療が必要だ。」と答えた。しばらく唇を合わせるだけの少年少女のようなキスをしていた。
両親が返ってきた。なんとなく照れくさくて姉と二人でテレビを見ているふりをした。その日は大阪に帰らなければならなかった。姉と母が玄関まで送って出てくれた。
普段は母が持ってくれるカバンを姉が持ってくれた。母がおやっという顔をした。父が後ろから「気をつけてな」と声をかけてくれたので振り向きざまにピースサインをした。父の顔が緩んだ。
続く