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私:「孤独」問題はすでに「人間関係の質の低下 孤独の病、助長するSNS」と、英国が今年1月、孤独担当相を新たに設け、国家として孤独問題に取り組む姿勢を鮮明にした「英国人、実は孤独? 成人の5人に1人実感」のブログでもふれている。 インタビューした3人のうち、家・田中慎弥氏は「孤独」経験者の話し。 したがって、他の2人の意見を中心にまとめよう。 まず、岡本純子氏は、体験から、日本人は一つの会社に長く身を置く傾向があり、会社というムラ社会の内部で重視されるのは、上意下達のタテのコミュニケーション。 タテ社会だね。 しかも、内の人との和を大切にしすぎて、望まない人間関係も強いられ、人と関わることに疲れ切ってしまい、その結果、外の人や異文化とわかり合う努力をしなくなり、フラットなコミュニケーションが苦手になるという。 また、日本では、定期的に集まる教会、市民団体などでの活動などがあまり身近になく、人と人とのつながりや信頼関係を意味する、「ソーシャルキャピタル」の充実度のランクは149カ国中101位と、先進国で最低。 最近の「1人で十分」「つながりはいらない」という、「孤独」美化の風潮が、日本人の「孤独」化を悪化させることを岡本氏は危惧している。 引きこもり、介護、貧困、いじめなどの社会問題は、誰ともつながらず、「孤独」であると深刻化し、様々な事件でも「周囲からの孤立」が背景にある場合が多いという。 A氏:「英国人、実は孤独? 成人の5人に1人実感」や「人間関係の質の低下 孤独の病、助長するSNS」でもふれていたが、孤独は健康にもよくない。 米国の前公衆衛生局長官は、「病気になる人々の共通した病理は孤独だった」という論文を発表。 岡本氏は、日本も孤独対策を急がなければ、手遅れになり、急がないと、「一億総引きこもり」の時代が来てしまうという。 私:南後由和氏は、「孤独」を客観的な「ひとり」という言葉で、都市空間の中の「ひとり」のあり方を研究してきたという。 戦後は進学や就職で上京し、単身になるパターンが定着し、現在はカプセルホテルやひとりカラオケなど、「ひとり」向けの空間が膨大に存在し、都市は「ひとり」を集める機能があり、「ひとり空間」の集積は自然。 都市に「ひとり」が多いのは当然だが、近年、災害などで、隣人さえ知らない都市住民の孤立した生活ぶりや、地域コミュニティーの希薄さが明らかになり、「絆」や「みんな」が強調されるようになって、「孤独」が問題視され、「孤独」が解決すべき問題として注目され始めた。 その間も、都市の単身者は増え続け、30~40代の独身女性が「おひとりさま」という言葉で消費の主役とされる一方、単身高齢者の「孤独死」などで、「無縁社会」といった言葉も登場。 単身高齢者の増加は、解決すべき社会問題で、南後氏が現在滞在中のオランダでは、ある高齢者施設で若者を無料で入居させ、世代間の交流を促進している。 A氏:スマートフォンによる「常時接続社会」で、他者とつながり続けたい気持ちと、他者から切り離されたい気持ちがせめぎ合っているという。 いまは複数のSNSのアカウントで、属する「みんな」を使い分ける人もいて、「ひとり」と「みんな」は簡単に切り替わり、その間にもグラデーション(濃淡)があり、「孤独」の ありようは、SNSごとや個人ごとにさまざまな形を取り始めていると南後氏はいう。 私:しかし、米国では、ブログ「人間関係の質の低下 孤独の病、助長するSNS」で述べているように、ソーシャルメディアを長時間使用している人の方が寂しい思いをしているというだけではなく、インターネットを長時間使う人は、すぐそばの隣人と接して、世話をし合ったり、手を差し伸べたりすることがずっと少ない傾向にあり、近隣住民の社会構造において、何か大きな変化が起きている。 岡本氏がいうように、日本も「孤独」対策を急がなければ、手遅れになり、急がないと、「一億総引きこもり」の時代が来てしまうね。いう。 特に日本は少子高齢化先進国だけに、対策が急がれるね。
2018.07.31
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私:タイ軍事政権のプラユット暫定首相は9日夜、北部チェンライ郊外の洞窟に閉じ込められた少年ら13人の救出活動の現場を訪れ、「命を守ることが最も重要だ。政府のお金をいくら使っても問題ではない」と言って、家族や救助隊を激励。 結果、全員救出で、「軍政幹部はとにかくほっとしただろう。作戦が失敗すれば、中心となった軍のメンツはつぶれ、批判の矢面に立つところだった」と外交筋は指摘する。 プラユット氏は7月中旬の世論調査でも、次期首相にふさわしい人物の首位を保った。 A氏:クーデターで軍が実権を握ってから4年が過ぎ、民政移管に向けた総選挙の実施を引き延ばし、批判を浴びながらもプラユット氏が一定の支持を得ているのは、政争による混乱が続いたタイの政治に、力による抑え込みとはいえ「安定」をもたらしているからだろうと、貝瀬氏はいう。 だが、総選挙の先送りにも限界があり、軍政は6月末、来年2~5月の間という日程に言及したが、軍政がいま腐心しているのは、選挙後いかに軍の影響力を残すかだ。 プラユット氏を再び首相の座につけるべく「親軍政党」が動く、とのシナリオが語られているという。 その中核になるとみられている新政党「国民国家力党」の内部には、クーデターで追いやられたタクシン元首相派にかつて属していたメンバーもいて、タクシン派の元議員らのさらなる引き抜きを画策しているという。 「かなりの処遇を約束されているようだ」と政界筋は話す。 私:反軍政の立場を鮮明にする新政党「新未来党」のタナトーン党首は、こうした動きを「私もやろうと思えば買収はできるが、そういう人々はまた誰かに買われる。私は、強くて長持ちする新しい家を建てたい」と切って捨てる。 タナトーン党首は、自動車部品大手の創業者一族出身の39歳で、大学時代は学生運動に力を注ぎ、軍の政治介入に反対し、軍政下で制定された現憲法の廃止を主張し、格差の解消や分権、マイノリティーの権利擁護などを掲げる。 「新未来党」の支持率は世論調査で今のところ4位につけ、総選挙になれば一定の存在感を示すとみられるが、組織はまだ弱く、タナトーン氏自身、「長い時間をかけた戦いになる」と認めつつ、「この国の非民主的な土台を揺さぶり、崩していきたい。可能性は日々、大きくなっていくと思う」と語る。 A氏:支持者も、その覚悟に付き合う構えで、中小企業オーナーの男性は「軍政や既成政党の古い考え方や体制が、若い世代の足かせになってきた。この党は新しい解決を導ける」と期待を寄せる。 貝瀬氏は「意識の変化は感じられる。新しい風はどこまで吹くのか。この目で確かめていきたい」という。 私:今、問題になっているカンボジアの選挙は、人民党の「1強支配」を強めるだけで、厳しい評価にさらされいぇいるが、同じアジアのタイの民主主義の未来はどうなるだろうか。
2018.07.30
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私:「格差」と「不平等」との違いについての大野博人氏の指摘にはなるほどと思ったね。 それは、成立した改正公職選挙法で、議員1人あたりの人口の「格差」が1対3・08から2・985に縮小したということだが、背景にこれを「格差」と呼ぶレトリックがあるというわけだ。 問題のより本質的でより正確な名前は1票の「不平等」であって「格差」ではないと大野氏はいう。 取り組まなければならないのは、「格差」の縮小というより一票の「不平等」の解消のはず。 確かに、「不平等」には、本来実現しなければならない「平等」が損なわれている、という含意があり、「格差」ではそれが置き去りにされがち。 A氏:そういう視点からみると、「不平等」から「格差」への言い換えは、1票の重みについてだけ見られるわけではなく、経済、世代、男女、教育、情報など、ほかの多くの問題の語り方にも入り込んでいるというわけだ。 京都女子大学客員教授の橘木俊詔氏の1998年に出版した著書「日本の経済格差」は、日本に「不平等」が広がっているといち早く指摘、分析して反響を呼んだ本だが、「最初は書名に『不平等』という言葉を使おうとしたのだけれど、編集者と相談して『格差』になった」という。 橘木氏は、「『不平等』というと過激な思想を連想されそう。だから当時、書名をオブラートに包もうとしたのだと思う」という。 その後2006年に著した「格差社会」も前作以上に話題となったが、橘木氏は、「でも、たしかに英語や仏語の世界では同じ問題を『不平等』として論じている。私も英語で書くときは『不平等』を使う。悩ましいところです」という。 私:公的機関やメディアでも日本語での記述には「格差」の方が目立つ。 たとえば経済協力開発機構(OECD)のリポートで英語の原文が「所得の不平等」でも、邦訳では「所得格差」になる。 新聞などで「経済的不平等」という言い方が使われるのはグローバル世界や外国のニュースのときが多く、日本についてはたいてい「格差」。 「格差」の言葉によってさまざまな「不平等」がイデオロギーの次元から解放され、議論しやすくなったという面はあるのかもしれないが、同時に肝心な部分を見えにくくしたのではないかと大野氏は指摘する。 まさに「格差」ではポイントがぼけるね。 A氏:この本質的な問題を見えやすくするために、大野氏はこれからは各選挙区の投票用紙に正確な「票数」を記しておいたらどうか と提案。 一番人口が少ない選挙区と比べて「あなたが行使できる投票権は3分の1人前」とか「2分の1人前」というように。 あるいは、自分の票の重みがどう変わったかわかるようにしてもいいように、「前回までは3分の1人前以下でしたが、法律の改正で2分の1人前に少し近づきました」とか。しかし、これでは、有権者が議員を選ぶのでなく、議員が有権者を選んでいるようだ。 これで「前より平等になった」と喜ぶ有権者がいるとは思えないと大野氏はいう。 私:「格差」が縮小したと言ってごまかし、有権者を「3分の1人前」扱いする「不平等」を放置したまま、どうやって議員の信頼を回復できるだろうかと大野氏はいう。 まさに、国民は「格差」と「不平等」のレトリックから脱すべきだね。
2018.07.29
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私:明治新憲法の制定については、伊藤博文ら政府の限られたメンバーで密室で行われたということをよく記憶しているが、実は、「民権憲法」は各地の結社を中心に各層の「公議公論」によってつくられたということがあり、これを本書は明らかにしているようだ。 A氏:保阪氏の見立てでは、近代日本の草創期、選択すべき国家像には次の四つのタイプがあった。 (1)先進帝国主義の後追い (2)帝国主義的道義国家 (3)自由民権思想の国家創設 (4)幕藩体制を継承する連邦制国家 だが、明治初年代から10年代には(3)の民権国家の誕生もありえたという。 それほど自由民権運動は広がった。 本書は、その運動の広がりの中で自主的に憲法草案をまとめた西多摩地域・五日市の人々、とりわけ条文を書いた千葉卓三郎の軌跡に、研究者としての著者自身の歩みをからませたもの。 著者は、50年前の大学生時代、五日市町の旧家(深沢家)の蔵を開けた折に、一私人による憲法草案を発見。 それを歴史の中に位置づけるのが自らの仕事になったという。 A氏:この草案は全5篇からなり、国帝、公法、立法権、行政権、司法権といった構成で204条にまとめられていて、第1篇の「国帝」の条文には、国帝の権利として「軍隊に号令し、敢て、国憲に悖戻(はいれい)する所業を助けしむることを得ず」(第22条)とあり、軍隊に憲法に違背する行動は起こさせないとの意味だという。 「立法権」では民選議院にふれ、議員は20万人に1人、任期は3年、2年ごとに半数改選と民主的方向を模索する。 私:本書によると、全国の民権結社は、1874年から90年までの17年間で2128を超えたといい、これらの組織が中央政府への自由民権運動の下支えになっていた、と著者は見る。 つまり、「民権憲法」擁護の勢力でもあった。 明治憲法が伊藤博文ら政府の限られたメンバーで密室で行われたのに対し、「民権憲法」は各地の結社を中心に各層の「公議公論」によってつくられた、との著者の分析は興味深いと評者はいう。 A氏:明治天皇の五箇条の御誓文の第1条の「広く会議を興し、万機公論に決すべし」は、まさに、「民権憲法」作成過程でみられたんだね。 明治憲法制定により帝国議会が開設されるまでの間、自由民権派は御誓文の第1条の実現を求めて政府に対する批判を繰り返していた。 私:評者は「五日市憲法にも植木枝盛の私擬憲法草案の影響が見て取れる。起草者・千葉卓三郎の生涯を追った数々のエピソードにも、明治草創期の躍動が反映していて、『民権憲法』が主流になっていれば、との思いに改めて駆られる」という。 今年は、明治維新150年だが、明治の「万機公論」は消滅しているような今日この頃だね。
2018.07.28
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私:今月の「池上彰の新聞ななめ読み」のテーマは「加計問題で国会に参考人招致までされた経産省の柳瀬唯夫・経済産業審議官の退任」問題。 国会では面会の事実を安倍首相に報告していないと否定したが、その人が異動するとなれば、記者として記事にするのは当然だが、どのような記事にするかが悩みどころ。 経産相は「通常の人事」と言っている。 これに対し7月25日付朝刊の「朝日新聞」の記事は5面に3段で、 〈世耕経産相は24日の会見で「加計問題は今回の人事に何ら影響していない」としたうえで、「世代交代」が退任の理由の一つだと説明。ただ、後任の寺沢達也・商務情報政策局長(57)は柳瀬氏と入省同期で、「世代交代」には当てはまらない〉 として、世耕大臣の「世代交代」という説明に疑問を投げかける形で通常の人事ではないと表現だと指摘。 A氏:「毎日新聞」は2面に「トカゲのしっぽ切り」という野党の批判を見出しにしている。 〈世耕氏は24日の記者会見で「世代交代を図らなければいけない面もあり、総合的に判断した」と述べた。ただ、柳瀬氏は通商政策を仕切る経産審議官に就任して1年で、必ずしも交代時期ではない。トランプ米政権が輸入制限など保護主義的な姿勢を強める中、日米両政府は近く新貿易協議(FFR)を始めることになっており、省内には「柳瀬氏は引き続き対米協議などに当たると思っていた」という声もある〉 池上氏は、「面もあり」とか「総合的に判断した」とか世耕氏の発言が微妙で面白いと指摘している。 「面もあり」なら、ほかに何があるのかとか、世代交代と言っているのに「総合的」とはどういう意味かとか、突っ込みたいという。 池上氏は、この「毎日新聞」の記事の最後に自民党の吉田博美参院幹事長の下記コメントが出ているが、これが傑作だという。 「世耕氏が慎重に考えて決断した。それなりに評価したい」 池上氏は、世代交代の人事異動などではないことを与党幹部が認めてしまっていて、こういうコメントをきちんと原稿としてすくい上げることで人事異動の意味が見えてくるという。 私:「読売新聞」は、池上氏が、どこに記事があるのか探した結果、9面に小さな記事を発見。 見出しは「柳瀬氏後任に寺沢氏」。柳瀬氏が退任したことより後任のことをニュースにしている。 〈世耕経済産業相は記者会見で、「加計学園の問題は人事に何ら影響をしていない。世代交代を図る面もあり、総合的に判断した」〉 池上氏は、世耕大臣のコメントは「毎日新聞」と同じだが、記者なら「面もあり」とはどういう意味ですか、「総合的」とは、世代交代以外にどんな要素を合わせて総合的というのですか、とただしてほしいところだと指摘。 A氏:「日経新聞」は5面。 〈世耕弘成経産相は柳瀬氏の退任について「加計問題は全く関係ない。人事に影響はない」と強調したが、省内では「就任から1年で退任は早すぎる」との声がある〉 1年では早すぎると、「毎日新聞」と同じトーンで、紙面での扱いは小さいが、取材記者の問題意識が感じ取れ、経産省内の雰囲気も伝わってくる、と池上氏は指摘する。 私:池上氏は、最後に「問題は、この後。柳瀬氏が今後どの道に進むのか。「トカゲのしっぽ切り」だと思ったら、論功行賞だったということもありえます。新聞記者たちは、今後の進路もチェックしてくださいね」という。 池上氏の4紙の比較をみると「朝日新聞」、「毎日新聞」「日経」はこの退任問題についてのニュアンスは似ているが「読売新聞」だけ異色だね。
2018.07.27
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私:小熊英二氏は、災害対策にからめ、2005年の「平成の大合併・広域合併」を問題にしている。 三陸の津波被災地を調べた経験からいえば、「広域合併」は災害に様々な影を落としていて、合併された町は、町議会や町役場がなくなり、意思決定機能を失い、物事を決めるのは、遠く離れた中心街にある県庁や市役所、市議会など。 結果的に復興計画なども、地域の実情と乖離した巨大土木工事などになりやすい。 A氏:7月の「西日本豪雨」の被災地も、倉敷市真備町や東広島市河内町なども「平成の大合併」で隣接の自治体に編入された。 広島市や岡山市も、周辺の山村を編入した巨大な広域市で、被災したのはおもに山あいの周辺地域である。 とはいえ、市役所職員を責めるのは酷で、日本は公務員の数が少なく、人口千人当たりの公務員数は英仏やアメリカの半分程度。 そのうえ「広域合併」で人減らしを進めたので、非正規職員を含めて業務に忙しく、「広域合併」で編入された周辺地域には行ったことがない職員も多い。 この状況で、被災地域の事情を十分に理解するのは難しいことだと小熊氏は指摘する。 私:公務員の数が少ないぶん、負担は地域の自治会長にかかり、山村地域は、山あいに点在する数十~数百世帯の集落から成っており、各集落に自治会があり、集落の被災状況を報告したり、必要な弁当の数を申請したり、救援物資を配布したりといった仕事は、高齢の自治会長がこなすことが多い。 過労で倒れる自治会長が出ても不思議はないだろうという。 日本では、自治会や町内会が住民を把握することで、公務員が少なくてもやっていける体制を築いてきた。 かつての自治会長や民生委員は、どこの家庭が貧困かといった地域事情をよく知っており、行政はその情報を頼りにしてきたが、自治会の加入率が落ち、そのうえ「広域合併」で行政がカバーすべき範囲が広くなると、少ない公務員では地域社会の状況を把握できなくなる。 こうした把握力の低下が、災害では集中的に露呈しやすい。 県や市は行政組織の単位であって、地域社会の単位ではない、と小熊氏は指摘する。 「広島が豪雨で被災した」といっても、広島県や広島市の職員は被災した地域に詳しくないかもしれない。 ものごとを「広島」という行政単位で語ると、実情を見誤りかねない。 A氏:俺の親類が、広島県に住んでいるが、今度の「西日本豪雨」災害とは全く無関係の地域だが、広島県ということで、全国の知人から安否を問う電話があったという。 私:小熊氏は、「広島」という行政単位で語ると、実情を見誤りかねないのと同様のことは「地方再生」についてもいえるとして、県の産業振興と、地域社会の活性化は必ずしも一致しないという。 たとえば、仙台市域の産業を集中的に振興すれば、宮城県の人口は増えるかもしれないが、県内他地域から仙台への人口流出は加速するかもしれない。 もちろん政治や行政の単位は必要だが、その単位としては、県や広域市は大きすぎ、住民から遠すぎるという。 行政が自治会長を通じて住民を把握できた時代ならいざしらず、現代では住民ひとり一人が参加や責任の意識を持ってくれないと、行政も政治も機能しない。 A氏:そんななかで長野県飯綱町は、町議会の改革と活性化に成功したという例がある、その人口は約1万1千人。 小熊氏は、アリストテレスが「人口の多すぎる国が良い法によって立派に統治されることは非常に困難」で、政治単位の人口は「一目で全体を見渡せる程度」が望ましいと述べたことを想起させるという。 私:小熊氏は、結論として「大きな地方単位は現代の社会に合わない。経済では国境や県境を越えて連携し、政治や行政の単位は小さくする。地域振興や災害対策は、そういう方向をめざしていくべきだ」という。 「グローバルに考え、ローカルに行動する」という言葉は、かつては社会運動の標語だったが、災害を機に、これを地域の生存戦略として考え直してみたいともいう。 今度の7月の「西日本豪雨」で、個人がハザードマップなど見て個人の災害の事情に対応しての対策を考え、その上で、似た地域の共同による災害対応意識が災害を最小化するカギであり、かつ、早期復興のカギでもあることを反省させられたね。
2018.07.26
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私:すでに「中国の夢と足元」、と「中国、狙うネット覇権 政府主催で世界大会 言論の自由とは一線」4日朝日新聞・国際面のブログで、中国はベンチャー企業の企業価値や投資額で米国に次ぐ、世界第2位で、ITの技術革新は急速に進んでいるということにふれたね。 この記事では中国の「AI技術開発」にふれている。 中国のAI技術開発の担い手として存在感を高めるのが、IT同様、「風投企業」と呼ばれるベンチャー企業。 中国政府は2015年、AI強化政策「インターネットプラス」を打ち出し、ベンチャーを巻き込んだ技術革新を進めている。 米調査会社CBインサイツによると、中国のベンチャーによるAI関連の資金調達額は17年、米国を抜いて世界一になった。 A氏:上海・張江地区にある創業支援施設「アント・メーカースペース」には、物語の読み聞かせや計算クイズができるロボットや、教育用タブレットの開発を手がけるベンチャーなど数十社が入る上海市が支援する民間の施設。 上海市幹部は「創業支援施設に対して資金面で援助していて、イノベーションを促したい」という。 上海財形大学によると、こうした施設は中国に約3千カ所あり4割が中央政府や地方政府から支援を受けている。 私:中国企業に詳しい藍沢証券アナリストの王曦氏は、「中国は人口の多さを生かしてビッグデータを囲い込み、米国との主導権争いに勝ちたいと考えている。『百度』、『アリババ』などを中心に、広告発信やクレジットといったビジネスで稼ごうとしている」とみる。 A氏:ただ、AIは生活やプライバシーの「監視」に使われる危うさもはらむ。 これはすでに「「中国発のスマホ革命 独裁国家が握る個人の信用」のブログでふれたようにスマホレベルでも問題になっている。 6月中旬、上海で開かれた家電見本市「CESアジア」で、15年に創業した雲従科技(クラウドウォーク)のブースには、「雲従城市大脳(シティブレーン)」という黒い大画面があり、画面中には場所と「異常人数」が表示され、市街地の監視カメラの画像を分析し、変わった動きをした人がいると報告される。 クラウドウォークの担当者は「交通、天気、犯罪、すべてを一元的に管理できる」といい、同社のシステムは中国の省政府や100社以上の金融機関で使われているという。 私:日本総研の田谷洋一・副主任研究員は「中国はAIをめぐる覇権争いで米国に勝つため、ベンチャー育成に力を入れている。今後中国企業のアプリが日本市場にも入れば、個人情報が収集される可能性もある」と指摘している。 トランプ政権は安全保障上、中国への先端技術の流出を問題にしているが、そのうちに中国の技術の方が先行し、逆な立場になるかもしれないね。
2018.07.25
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私:カンヌ国際映画祭で是枝裕和監督の社会の底辺で生きる一家の物語の「万引き家族」が最高賞パルムドールを取ったニュースははや、1ヶ月も前の話だが、振り返ってみよう。 「万引き家族」に流れ込んだのは劇映画だけではなく、『雲は答えなかった』は、是枝が初めて作ったドキュメンタリー番組「しかし…福祉切り捨ての時代に」(91年)を元に書かれた。 この番組は、環境庁の局長の自殺を追ったノンフィクションで、局長は水俣病訴訟の国側の責任者で、和解勧告を拒否して「批判の矢面」に立たされた末に自殺をした。 A氏:このノンフィクションの中で是枝氏は新聞を批判。 局長の自殺までは環境庁を悪者に仕立て、自殺が分かると、「大蔵省や通産省との意見調整がうまくいかず、和解勧告を受けられずに苦しんだ」と局長に同情。 是枝氏は憤る。自殺前にそれをどこも指摘しなかったのはなぜか? 彼を批判の矢面に立たせたのは誰か、と。 マスメディアの側から言わせてもらえば、複雑な現実を複雑なまま投げ出すよりも、ある程度、整理して提示することが求められ、その過程で単純化への誘惑が断ち切れないのも事実。 是枝氏は、現実を単純化することへの警告が随所にちりばめている。 私:単純化を嫌い、複雑なまま世界を提示するということを徹底的に実践するのが是枝映画。 「万引き家族」は犯罪を擁護する映画でもなければ犯罪を撲滅する映画でもなく、社会的弱者を持ち上げたり、たたき落としたりもしない、複雑系の映画だ。 是枝氏は「万引き家族」は年金詐取事件を報じた記事に着想を得たという。 複雑な事情を抱える家族が起こした事件を、新聞記事が圧縮・単純化し、それをまた、是枝氏が複雑な実寸大に戻すということで、「万引き家族」は生まれた。 A氏:この作風を彼は多くの先人から学び取ったが、評者は、その中から脚本家の山田太一氏を挙げたいという。 山田氏がホームドラマの作家であり、近年、是枝氏が撮る映画の多くがホームドラマの形式を取っているからだ。 山田氏が描くのは「家族だからわかりあえる」でなく「家族だからわからない」だった。 是枝氏は著書『映画を撮りながら考えたこと』でそう分析し、そして「『かけがえがないけど、やっかいだ』。その両面を描くことが、ホームドラマにとってはとても重要だと考えています」という。 私:今回の受賞は、山田氏や向田邦子氏らが育んできた日本のホームドラマが初めてカンヌの頂点に立ったということでもあると評者はいう。 このような見方で映画「万引き家族」を鑑賞すると興味深いだろう。
2018.07.24
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私:企業の品質マネジメントシステムの国際規格が、「ISO9001」で、もとは英文。 これを和訳して日本の「JIS Q 9001」としているだけで、内容は基本的に同じ。 「ISO9001」の規格の特徴は品質マネジメントシステムの規格なので、文章だけで数字がないことだ。 しかし、JISには、製品の規格があり、数字が示されている。 神戸製鋼の不正は、製品がJISの製品の規格の数字を満たしていなかったことがからんでいた。 いつものことだが、新聞記者は「ISO9001」の特徴の知識に弱いから、JISとISOの認証をゴチャゴチャにして報じている。 今朝の朝日新聞一面トップの「JIS認証機関が無資格・手抜き審査 英大手の日本支店」は、「ISO9001」に関することだから、正確には、JIS認証機関でなく、「ISO認証機関」、今度のニュースに限れば、正確には「ISO9001認証機関」だね。 新聞は、工業製品の品質や企業の品質管理をチェックする「番人」である認証機関でも、不十分な審査で企業に「お墨付き」を与える不正が明るみに出たと報じているが、品質管理でなく正確には「品質マネジメントシステム」だし、認証機関は「番人」でなく、「品質マネジメントシステム」が「ISO9001」規格通り運営されているかを客観的に審査するだけだね。 「マネジメントシステム」の審査だから、製品のチエックより、マネジメント用の書類のチエックや企業幹部との質疑応答が主となるね。 A氏:「番人」は企業内で行うような「品質マネジメントシステム」であうことを「ISO9001」規格は要求しているね。 私:経産省などによると、企業にマネジメントに関する認証を与える権限がある認証機関は国内に約50あり、少なくとも6万件以上の認証をしている。 企業が認証を維持するには毎年審査を受ける必要があり、審査料金は1回あたり数十万~数百万円に上ることもあり、認証機関にとって、認証を依頼する企業は審査対象であると同時に収益源。 私:この認証機関に認証の権限を与えるのが公益財団法人「日本適合性認定協会(JAB)」。 ニュースになったのは、英国の大手認証機関「ロイド レジスター クオリティ アシュアランス リミテッド(LRQA)」が、不正な審査をしたので、JABが、認証機関としての資格がないとして、同協会はLRQAに対し、認証機関としての認定を取り消す処分を今月12日に出したこと。 処分をしたことはホームページで同19日に公表したが、機密情報にあたるとして詳しい処分理由は説明していない。 LRQAは不正や処分について、「お客様との守秘義務の関係上、情報をご提供することは差し控えます」としている。 協会の処分には審査業務を停止させる強制力がないため業務は継続できるが、LRQAは6月、「JISQ9100」の認証業務から撤退すると表明した。 A氏:どういう不正をLRQAが具体的にしたのか明らかでないが、 朝日新聞が入手した内部資料によると、航空・宇宙関連企業3社から依頼を受け、品質マネジメントシステムの国際規格「ISO9001」に、航空宇宙産業で必要な項目を追加した規格「JISQ9100」に関する審査を昨年実施したとき、複数の韓国人審査員が審査を担当したが、経歴が不十分で無資格だったり、所定の訓練を受けていなかったりする人物が含まれていたという 審査員がまとめた報告書が適正かどうかをチェックする工程を省略した不十分な審査も複数見つかったという。 私:内部資料によると、LRQAは審査の手続きが不十分なまま、依頼を受けた企業に認証文書を発行しており、こうした不正行為は日本支店の代表者(当時)も了承していた。 LRQAは昨年11月、アルミ製品の検査データ改ざんが発覚した神戸製鋼所大安工場に対し、JISとISOの認証を一時停止する処分を出していた。 銅管を製造する北九州市の神鋼子会社についても、今年2月にJISとISOの認証を取り消している。 今度はLRQAの自らの不正で、「日本適合性認定協会(JAB)」に認証機関としての認定取り消し処分を受けたことは、皮肉なことだ。 このニュースは大きくとりあげているが、認証機関の審査員の質は、1900年台にISO9001が、日本で広がりだした最初からあった本質的な問題だね。 それと、「品質マネジメントシステム」は企業組織全体の問題なのに大手企業になると、認証活動を品質保証部門に押し付けていることだ 興味あることに、中小企業の精美堂が、2001年からISO9001の審査で審査員とのやりとりを下記サイトで記録しており、審査員の質の問題をあきらかにしている。 http://www.ds-seibido.co.jp/30iso/ これを見ると今頃、ISO9001の審査員の質をトップニュースにするのは遅いね。 精美堂が審査に対応した審査員の質ついては、https://plaza.rakuten.co.jp/ryu32/diary/201110100000/のブログでもまとめている。
2018.07.23
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私:22日に閉会する通常国会では、政府・与党の強引さが目立ったが、思惑通りに進まなかったのが、安倍首相の提言をきっかけとする憲法9条への自衛隊明記を含む自民党改憲案の議論。 ひるがえってみると、今国会が召集された1月22日に、安倍首相は自民党の両議院総会で、「結党以来、憲法改正を党是として掲げ、長い間議論を重ねてきた。いよいよ実現する時を迎えている」と力を込めた。 首相にとって、今国会が憲法改正の発議へ踏み出す場になるはずだった。 首相が昨年5月3日に改憲案を提起して以来、憲法論議は首相ペースで進んできて、秋の衆院選で大勝した自民党は今年3月の党大会に向け、9条への自衛隊明記など4項目の改憲案を首相案に沿う形でまとめた。 今国会で自民案を議論し、与党や改憲に前向きな勢力が衆参両院で3分の2を占めることが確実な来年夏の参院選までに発議する日程を描いた。 A氏:ところが、3月に財務省による「公文書改ざん」が発覚し、1月時点で45%あった内閣支持率(朝日新聞調査)が31%まで下落。 その後も政権不祥事が続くなかで、野党は追及を強め、与党内からも「改憲どころではない」との声が高まり、与野党で対立点の少ない国民投票法の改正を国会での憲法論議の「呼び水」にする思惑も頓挫し、自民党案は議論の俎上にも載らなかった。 事実上の国会閉幕日となった20日に、自民党が政令指定市の議員を対象に、党本部で開いた憲法改正問題の研修会で、出席者の一人が細田博之・憲法改正推進本部長に「憲法改正の議論は前に進んでいるようで進んでいない。改憲のスケジュールを教えてほしい」と問いただした。 細田氏はそれに対し「各党を説得するが、強引にはできない。世論をみながら地道にやる。いつまでに、何をやるというスケジュールはない」と答えた。 私:しかし、20日深夜の首相官邸で、国会閉幕を受けて記者会見に臨んだ安倍首相は「自民党の憲法改正案を速やかに国会に提出できるよう取りまとめを加速すべきだ」と改憲への意欲を隠さず、連続3選を目指す9月の総裁選にも触れ、「憲法改正は立党以来の党是であり、自民党の長年の悲願だ。候補者が誰になるにせよ、大きな争点となる」と踏み込んだ。 自民党は総裁選後の臨時国会で、今国会で継続審議となった国民投票法改正案を成立させ、自民党案の議論に入りたい考えだが、野党側は国民投票運動のテレビCM規制の必要性を訴えて抵抗する構えで、与野党合意を原則とする「憲法審査会」の運営は難航必至。 むしろ、「政治決戦」となる来夏の参院選を意識し、対立が深まる可能性が高い。 A氏:今月17日には、保守系の自民党議員たちが議員提出による改憲をめざす超党派の勉強会を立ち上げた。 呼びかけ人の一人である山田宏参院議員は「『憲法審査会』は事実上、開店休業状態だ。自民党だけでなく、野党の声も反映した改正案の提出を目指したい」と話す。 私:議論が停滞している「憲法審査会」を迂回するかのような自民党の一部の動きに、公明党の北側一雄「憲法審査会」長は19日の記者会見で、「憲法改正はそんな簡単なものじゃない。自民党だけでできると思っているとしたら、まったくの錯覚だ」と怒りをあらわにしたという。 しかし、安倍首相が「自衛隊が違憲かもしれないなどの議論が生まれる余地をなくすべきだ」「9条1項、2項を残しつつ、自衛隊を明文で書き込む」という改正憲法の条文化は技術的に難しく、「自衛隊を明記するとは」元内閣法制局長官・阪田雅裕氏に聞く・」のブログでもふれたように、安全保障法制が成立し、現在の自衛隊をそのまま憲法に書くことはとても難しくなったようだ。 森友・加計問題など政権のスキャンダルがあっても自民党や安倍内閣支持率はあまり変化しないが、森友・加計などのスキャンダルの個別案件になると、世論調査では7割近くが政権にネガチブな反応だね。 同様に憲法という個別案件になると、自民党や安倍内閣支持率のようにはいかないかもね。
2018.07.22
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私:最近の政治家のことばは、どこか空疎になっていないか?ということで、「耕論」欄で3氏に聞いている。 このうち、著述家・古谷経衡氏の考えに興味を持った。 古谷氏は、麻生さんの「新聞を読まない人は全部自民」発言にしても、自民党議員ががん患者に言い放った「いい加減にしろ」というヤジにしても、政治家の失言のレベルがずいぶん下がったなと思うと言う。 A氏:政治家の失言は昔からあった。 2001年に森喜朗首相(当時)は「日本は天皇を中心とする神の国」という前年の発言をきっかけに支持率が低下して退陣。 07年には「原爆投下はしょうがない」発言をした久間章生防衛相(同)が引責辞任。 でも今や、政界では罵詈雑言レベルの失言が頻発し、進退の問題にもならないし、世間で議論すら起きない。 私:古谷氏は、理由の一つは、この6年、5回もの国政選挙ですべて圧勝し、危機感のない自民党議員が増えていることで、森友・加計問題など雨が降ろうがやりが降ろうが選挙に勝つものだから、政治家に「耐性」がついてしまったことだという。 ネット上で右翼的な考えを発信する「ネトウヨ」に支えられている面もあり、主に40代以上の中高年層の彼らは、知的で裕福、スマートな「上から目線」の人々を嫌う。 逆に親近感を覚えるのが、凡庸でやぼな存在で、「はめられた可能性もある」発言はまさにそれで、「ネトウヨ」やそれを過大評価するメディアによってその言説が拡散され、社会の失言へのハードルは下がったと思うと古谷氏はいう。 A氏:しかし、古谷氏は、劣化していく政治家の失言が許容される最大の要因は、日本の大多数の有権者にあると思うという。 経済成長が鈍化し、以前は合理的な思考により働いていた「何の得にもならない」失言に対するブレーキが弱まり、それに加えて、少子化や人口減がこれほど進んでいるのに、それを多くの有権者が直視しようとしない現実が起きているという。 バブル期には本当にこのままでいいのかと訴える「日本悲観論」が起き、00年前後には「ここがヘンだよ日本人」というテレビ番組があり、いずれも社会に自省を促す意識があった。 しかし、今やそれは、伝統文化や観光地などの日本礼賛の番組、明治時代の日本を懐古する風潮に変わり、「就職率が回復したから失言ぐらい」と甘受されるようにもなった。 私:こうした状況を「悲惨だなあ」と達観して見るだけだったリベラルの責任は大きいとと古谷氏はいう。 本当は「おかしい」ともっと声を上げなければならなかったし、もっと熱く泥臭く、政治家の失言を批判すべきだったと思うといい、政治家の失言は、有権者の民度を映す鏡だという。 この古谷氏の考えは「與那覇潤氏著『知性は死なない 平成の鬱をこえて』」のブログでとりあげた與那覇氏の考えに同じ内容が多いね。 與那覇氏は、「平成史」は、政治も世論も「一大転向の時代」とみる。 2012年、民主党政権が崩壊して、多くの有権者が「改革」や「二大政党」の夢を捨てた。 それ以来、優勝劣敗の自由競争をいとわず、政治は強い指導者に一任するといった形で日本社会の「中国化」が進んでいると與那覇氏は指摘。 A氏:確かに、今の日本の1強多弱で動かない政治情勢をみると、習近平独裁体制の「中国化」が進んでいるように見えるね。 野党の反対とは無関係に法案は自民党ペースで決まっていく。 多数意見や社会のムードに迎合するなら、知識人の存在意義はないことになった。 「自分たちがいつ、なぜ『転向』したのかを自覚し、検証する意味は大きいはず」と、與那覇氏はいう。 有権者の民度を映す平成の「政治家、空疎なことば」の時代は、平成の次の時代まで持ち越されるのだろうか。
2018.07.21
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私:世界のカジノ業者が日本に巨額投資を計画する背景には、世界3位の経済規模に加え、21兆円市場のパチンコ・パチスロの存在がある。 他にも競馬や競輪、競艇、スポーツくじまであり、マカオのカジノ研究者は「ギャンブル市場を新たにつくるのは大変だが、すでに基盤がある」と語る。 日本国内の潤沢な資産と、気軽に賭け事ができる「風土」が関心を集めている格好だ。 A氏:同日の朝日新聞の「ギャンブル依存」(ニッポンの宿題)欄では公益社団法人日本駆け込み寺代表の玄秀盛氏は「日本はギャンブル大国や。パチンコだけで約22兆円、競馬や競艇、競輪なんかも合わせたら30兆円産業になる。テレビCMや新聞広告で俳優や有名人を使い、すごくいいイメージにして勧誘するわけや。パチンコや競馬などを「レジャー」というが、やっていることは賭け事。『ばくち』やねん」と断言しているね。 また、日本ではギャンブル依存症の増加が心配されているが、依存症対策に取り組む米カリフォルニア州ギャンブル問題協会のロバート・ジェイコブソン代表は、日本にはパチンコなどがすでにあるとし、「カジノができると依存症が増える、とは必ずしも言えない」と話す。 「アルコール依存症を増やすのは高級シャンパンでなく安酒。ギャンブル依存症も同様で、入場料もかかるカジノが依存症を増やすとは考えにくい」(シンガポールのカジノ関係者)との声もある。 私:シンガポールのカジノについては、19日の朝日新聞の「カジノ、光と影 アジア2カ国の実情 シンガポール・韓国」欄でふれている。 シンガポールのカジノでは、自国民は1日100シンガポールドルを払わなければカジノに入れず、その入場料収入は2012年度から16年度にかけて2割以上減少し、自国民用入り口は閑散としているという。 シンガポールのカジノの利用者の大半を占めているのは外国人客で、特に富裕層を含む中国の観光客が「東南アジアのカジノ業界を左右する鍵となる」という。 A氏:しかし、先の「ギャンブル依存」(ニッポンの宿題)欄によると、ギャンブル等依存症が疑われる人の人口に対する割合は、樋口進・樋口久里浜医療センター院長の調べでは下記のように日本人がダントツに多い(カッコ内は調査が報告された年)。 日本・3.6%(2017)、オランダ・1.9%(2006)、フランス・(2011)、スイス・1.1%(2008)、カナダ・0.9%(2005)、イタリア・0.4%(2004)、ドイツ・0.2%(2009)。 これは、パチンコだけで約22兆円、競馬や競艇、競輪なんかも合わせたら30兆円産業になる日本がギャンブル大国のせいか。 シンガポール人はそういう巨大産業がないから、ギャンブル等依存症が疑われる人は育っていないが、日本人はカジノの入場料を高くしても『ばくち』ぐせがついているのでカジノでもギャンブルするのではないのかね。 私:日本の市場開放は、韓国でも関心が持たれていて、韓国にはカジノが17カ所あるが、16カ所は外国人専用で、韓国文化観光研究院の柳匡勲研究員は「日本が『成功』すれば、韓国内でも自国民が出入りできるカジノの増設を求める声が高まるだろう」と話す。 しかし、これもおかしな話だね。 韓国北東部にカジノリゾート「江原ランド」は唯一、韓国人もカジノができる。 先の「カジノ、光と影 アジア2カ国の実情 シンガポール・韓国」欄で韓国のこのカジノの現状をとりあげている。 「江原ランド」は、ソウルから高速バスで約3時間、炭鉱が閉山した山間部に2000年、初めて自国民が利用できるカジノとして誕生。 A氏:しかし、韓国の政府機関によると、1日平均8千人余りの利用者の6割は「賭博中毒者」。 「江原ランド」の近くに政府が設置した韓国賭博問題管理センターのの張孝強氏は「賭博中毒者は財産も社会的信用も失い、完治という言葉はない。日本でも自国民が利用できるカジノを作れば必ず起きる問題。まして大都市につくるのは自爆行為だ」と警告。 中毒者の相談活動を続けてきた牧師の方恩根氏は「江原ランド」周辺で開業以来、約2千人が自殺したと推定する。 自殺の予告電話を受け、モーテルの部屋に飛び込んで止めた経験もあり、家族関係が悪化して家に戻れず、サウナなどを泊まり歩く「カジノホームレス」もいるという。 私:ところで、韓国は2006年8月にパチンコ禁止に踏み切った。 射幸心をあおり、パチンコ依存症になり、人生の破滅の原因になるから。 自己責任だと言っているわけにはいかなくなったんだね。 背景にパチンコ業は正業でないという社会的な認識があったようだ。 その韓国が「江原ランド」のカジノでギャンブル依存症者を復活させているとはね。 やはりパチンコで身についたギャンブル依存症は、カジノでも再発することを韓国の例は示しているようだ。 ギャンブル大国日本、それに育てられたギャンブル等依存症が疑われる人の人口に対する割合が世界ダントツの日本。 日本にカジノができたら、韓国の「江原ランド」になるだろうか。
2018.07.20
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私;6月18日朝に発生した大阪府北部を震源とする地震の影響で、マンションやビルのエレベーターが止まり、中に閉じ込められる被害も相次いだ。大阪府の摂津市役所では、男性職員がエレベーターで6階の職場に向かう途中、地震が起きて、エレベーターが停止し、「このまま落ちるのではないか」と不安な気持ちを抱えたまま、携帯電話で家族に無事を伝えた。 エレベーターは4階にさしかかっていたところで、外から「大丈夫か」「頑張れよ」と声をかけられ、約2時間20分後、消防隊員が外から扉を開けて救出し、男性は長かったと、ホッとした半面、「職場の人に迷惑をかけ申し訳なかった」と疲れた様子で話した。 京都市のマンションでは6階部分で女児(11)と男児(7)が一時閉じ込められ、警察官らが救出。同市の老人ホームでは86歳の男性が、奈良県大和郡山市のケアハウスでは70~90代の女性利用者ら4人が一時、閉じ込められた。A氏:国交省によると、2009年9月以降に竣工したエレベーターには、強い揺れを感知すると最寄りの階に止まる「地震時管制運転装置」の設置が義務づけられたが、その前に竣工したエレベーターは同装置がないものがあるという。 国交省や日本エレベーター協会によると、地震の被害が大きかった2府3県(大阪・京都・兵庫・奈良・滋賀)で、稼働台数の約半分にあたる6万6千台のエレベーターが緊急停止。一時的に、東日本大震災を上回る339人が閉じ込められた。私:停止したエレベーターを復旧するためには、かごをつるすロープが絡まっている恐れがあるため、メーカーの技術員による点検が必要。 エレベーター保守大手の三菱電機ビルテクノサービスが関西で管理する6万台では、おおむね震度5弱以上だった地域にある2万2千台が停止。 関西地区に在籍する技術者約1千人が、すぐに手分けして建物をまわったが、それでも復旧したのは地震発生から3日後。広報担当者は「人海戦術なのでどうしても時間がかかる」という。日立ビルシステムやフジテックなども、復旧に3日ほどかかったという。このため、数日にわたって不便な生活を強いられたマンション住民のような「エレベーター難民」が生まれる。A氏:震度6弱を記録した大阪市北区や西区には高層マンションが多く、ある14階建ての賃貸マンションでは12階に住むという女性が、幼児を抱えて階段を上り下りするのに苦労していた。別の20階建てマンションでは、生協の配達員が野菜や冷凍食品を運んでいた。エレベーターの復旧の順番は、エレベーター協会が優先順位を決めていて、被災地の範囲がさらに広くなれば、復旧までの時間もさらに長くかかり、病気の人などは、低層でも簡単に外出できなくなる。私:各家庭ごと、マンションの各フロアごとに、数日分の水や食料など、日ごろから数日間生活するのに必要なものを備蓄しておく必要がありそうだね。 これが、首都圏になるともっと高層住宅が林立しており、莫大な「エレベーター難民」が生まれることになる。大阪北部地震を教訓に盲点になりやすい「エレベーター難民」の対応が早急に必要だろう。
2018.07.19
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私:英国では75歳以上の半数以上が独居。 英国には、高齢者を支援する「ロイヤル・ボランタリー・サービス」というのがあり、そこの登録ボランティアのエディー・ジェンキンス氏は、「以前は教会やパブで世代を超えた交流があったが、そんな近さは失われつつある」と心配する。 高齢者だけの問題ではなく、全英児童虐待防止協会が運営する無料電話相談「チャイルドライン」でも孤独に関する相談が増え、ソーシャルメディアの華やかな投稿記事と自分を比べ、卑下する子が目立つ。 ピーター・ワンレス代表は「子どもたちは人間関係や見た目などで、社会が定義する『成功』を収めねばならないというストレスにさらされている」という。 英国赤十字と生協の調査では、900万人以上の成人が「いつも」または「しばしば」孤独を感じていると推計されていて、成人の5人に1人だ。 別の調査では、障害者の半数が常に孤独を感じ、また65歳以上の5人に2人がテレビかペットが「一番の友人」と回答。 ロンドンの移民・難民の6割弱は孤独や孤立が最大の課題だという。 A氏:孤独は、健康への悪影響も心配されていて、米ブリガムヤング大が2010年、過去の研究を分析し、世界の30万人以上の生活様式と健康の関係を調べ、孤独はたばこを1日15本吸うのと同等の健康被害があり、肥満よりも健康への悪影響は深刻だと結論づけた。 英国生協の調査では、孤独が原因の体調不良による従業員の欠勤や生産性の低下で、英国の雇用主は年25億ポンド(約3700億円)の損失を被っているという。 私:対策を求める声が強まり、高齢者や障害者らを支援する官民5団体は11年、「孤独を終わらせるキャンペーン」を始め、行政への働きかけを強めた。 英政府は、これに対し、今年、「孤独担当大臣」を置いた。 「孤独担当大臣」のクラウチ氏は「ボランティアや活動家、企業、政治家が力を合わせれば、孤独に打ち勝つため前進できる」という。 これまで民間主導だった孤独対策を国が指揮することになり、個人の内面に公権力が踏み入る危うさをはらむが、社会の受け止めはおおむね肯定的だ。 しかし、一方、保守党政権はこれまで、地方への予算を減らし、様々な公的サービスを削減してきており、10年以降、貧困地域の就学前児童と家族を支援する各地のセンターが500カ所以上閉鎖に追い込まれ、同時期に家庭内暴力の被害者の避難施設も5分の1が閉鎖された。 私:こうした施設やサービスは孤独の軽減に役立ってきた可能性があるのに、予算削減で閉鎖された。 だから、政府の「孤独担当相」の設置は、政府の「偽善だ」(英紙ガーディアン)とする厳しい見方もある。 A氏:どうも、英国の緊縮財政はいろいろな問題を起こしているね。 そのため、英国緊縮財政知的街道ができているね。 「緊縮財政で医療の質低下 命の格差、広がる英国」では、緊縮財政による寿命の格差拡大、「社会主義、共鳴する若者 アメリカでは― イギリスでは―」では、授業料の増加による学生の極端な左傾化、「緊縮病『失われた10年』 待ちわびる、冬の終焉」では緊縮財政後の英国のホームレスの急増、「治安悪化するロンドン 若者への投資、削減の末」では、ニューヨークを上回ったロンドンでの殺人事件の急増など。 私:そして今度は、予算削減による「孤独」の増加。 まさに、英紙ガーディアンの言うように政府の「偽善」の連続だね。
2018.07.18
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私:南アフリカの「アパルトヘイト(人種隔離)」政策を91年に撤廃に導き、国民の融和に努めたマンデラ氏が生まれてから7月18日で100年を迎える。 しかし、ヨハネスブルク北部にあるビジネスの中心、サントン地区の富裕層が住むアパートは侵入者を防ぐため高い塀や電線、有刺鉄線で囲まれている。 一方、そこから南西に約25キロ。旧黒人居住区ソウェトのクリップタウンの一角にはトタン屋根の小さな家が立ち並び、電柱の電線を違法に自宅までつないでいる。 そこに住む黒人住民は、マンデラ氏が「アパルトヘイト」政策を廃止に導いた時、黒人への恩恵を期待したが、貧富の差はむしろ広がったと感じるという。 A氏:2003年に、政府は格差是正を目指し、黒人の経済参加促進法「BEE」を制定し、採用や幹部登用で黒人を優遇する企業を後押し、無償の初等教育や社会保障も充実させた。 黒人の企業幹部は96年に8%だったのが、15年までに約40%まで上昇し、黒人の富裕層は一定程度増えたが、権限を持たない黒人の名前を幹部として記載する企業があるなど「BEEは失敗だった」という声もあるという。 私:世銀によると、南アフリカは人口の1割が富の約70%を保有し、貧富の差がきわめて大きい国の一つ。 中でも多くの富を持つのが人口の10%に満たない白人で、14年に白人家庭の平均年収が約44万ランドだったのに対し、8割を占める黒人の家庭は約9万3千ランド。 条件の良い土地や農地の多くは今も白人が所有。 失業率も15~64歳の黒人は31・3%で、白人の5・7%との差は大きく、黒人は24歳以下では失業率が5割を超え、大多数が貧困に苦しんでいる。 世銀は「富裕層ほど教育や就業で恵まれる『機会の不均等』が格差の是正を妨げている」と指摘。 A氏:今年も、大学生専用のアパートが白人だけに入居を認めたとして批判を浴び、白人女性が黒人を中傷する「アパルトヘイト」期の差別用語を繰り返し使ったとして、禁錮2年の判決を受けたなど、差別事件が相次ぐ。 ヨハネスブルク中心部には、ジンバブエやナイジェリアからの移民が多く住み、国内の黒人の仕事を奪っているとみられて暴行事件が起きていて、黒人同士の憎悪感情も一部で広がる。 私:マンデラ氏の功績や「アパルトヘイト」の史実を若い世代に伝える歴史の継承教育も問題になっていて、現代史を教える時間を割けない学校が多いほか、低賃金による教員の質の低下や貧困家庭の子どもの中退などが原因。 年間20万人以上の来場者があるヨハネスブルクの「アパルトヘイト」博物館は,民主化運動に参加した人々と大学生との交流会を開くなど、若い層への歴史の継承に取り組んでいて、児童や生徒の訪問を増やそうと政府や学校にも働きかけているが、公立学校の児童らは博物館までの交通費が支払えないなどの問題があり、なかなか訪問してもらえない。 クリストファー・ティル館長は「国内外で人種差別がいまだにあり、不寛容さが増している」と危惧し、だからこそ、対話や融和の精神、人種差別の撤廃を訴え続けたマンデラ氏の考えが大事で、「生誕100年は、全世界に彼のメッセージを伝える貴重な機会になる」 という。 しかし、マンデラ生誕100年は、南アだけでなく、米国もそうだが、人種問題は根深いことを、逆に示しているね。 米国は初の黒人大統領オバマの後、トランプ大統領は移民問題で人種差別強化に転じたね。
2018.07.17
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私:国王の決断で、長い国王親政を経て2005年、近代化を目指す前国王が立憲君主制への移行を表明し、08年に初の国民議会(下院)選を実施。 選挙運動は静かで、拡声機が使えず、戸別訪問が基本で、期間中は仏教の法要や結婚式も禁じられ、いまだに選挙の仕組みや目的がわかっていない人が多いという。 A氏:表向きの静かさとは異なり、SNSでは現地のゾンカ語で「ノロプ(謀反人)」という言葉が飛び交う中傷合戦。 警察官のスムゲ氏は「政党は一部の代表だが、国王は全国民の代表。国王のもとでまとまっていた国なのに、家族や村さえも分断された」という。 政府は選挙を根付かせる政策を繰り出し、前回13年の上院選投票率は45%。 今回、帰郷できない人のため郵便投票を導入し、家族で誰も投票しないと後から理由を尋ねられる。 政党もできたが、以前は政党といえば反王室の亡命勢力を指し、結成は反逆行為。 このため、いまだにいいイメージを持たない人が多く、憲法上、集会や結社の自由は「国家の統合に支障をきたさない」という条件があり、難民や人権といった敏感な問題を扱う組織の結成は難しい。 私:ブータンは「国民総幸福」(GNH)を国是に掲げ、物質的豊かさだけではないバランスのとれた成長を目指してきた。 鎖国状態から徐々に国を開き、1999年にテレビとインターネットを解禁。 しかし、いま問題となっているのが若者の失業で、特に男性の失業率は15年の8%から16年は16%に。 高学歴化で肉体労働を避けるようになり、建設現場はインドの出稼ぎ者ばかり。 大学生は、まず政府の仕事を狙う。 外貨を稼げる産業は水力発電と観光業ぐらいで、一方、自国製でない自動車や携帯電話の消費ブームが盛り上がる。 職につけない若者が薬物に手を出しやすい現実があり、薬物事犯の逮捕者は16年の523人から1年で倍増。 大麻が自生し、インドから大量の薬物が流入する。 今回の上院選は候補者数が前回の倍近くまで増え、中でも30代が約6割を占めた。 「若いのに仕事がなくかわいそう」という理由で投票する人も多いという。 A氏:トブゲイ首相は「若くて急成長する国にはよくある問題だ。ブータンはシャングリラ(理想郷)ではないのだから」とだけ語ったという。 しかし、若くて急成長する国はチャイナスタンダードではないが、独裁のほうがいいのではないのかね。 私:10年たっても国民の意識は変わっていないようで、ある主婦は「立憲君主制への移行は、国王が決められたことだから仕方ないけど、王政の方が当然良かった」という。 「国民総幸福」が国是で有名なブータンが、王政から立憲君主制への移行の10年で、家族や村も分断され、若者の失業・薬物事犯の増加とは、民主主義の原点が問われるね。
2018.07.16
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私:核兵器に転用しないことを条件に、非核兵器保有国である日本にウラン燃料の濃縮や使用済み核燃料の再処理を一括で認める日米の二国間協定である「日米原子力協定」だが、現在の協定は1988年7月に発効し、明日、7月16日に30年の期限を迎え、自動延長となるが、米国は、その「条件」として余剰プルトニウムの削減を強く求めていて、核兵器への転用や、核拡散リスクの高まりが懸念されるなか、日本の対応に厳しい目が向けられている。 もともと、「日米原子力協定」は平和利用目的でプルトニウムを取り出すことができ、原発で燃料として再利用する「核燃料サイクル政策」の根拠となっている。 30年間一括して日本にのみ認められてきた再処理が、今後は米政権の意向に左右されやすくなる。 自動延長された「日米原子力協定」は今後、半年前の通告で破棄できるようになり、すぐに協定が破棄されることはないとみられるが、政府内には「極めて不安定な状況になる」(河野太郎外相)など、危機感がくすぶる。 A氏:現行の協定が発効した88年当時、日本のプルトニウム保有量はわずかで、「もんじゅ」の建設が進むなど、プルトニウム利用計画は今より現実味があった。 当時、在米日本大使館の1等書記官として協定締結交渉に携わった坂田東一氏・元文部科学事務次官は「日本は進んだ原子力の計画を持ち、実績も示していた。国家として信頼できる存在だった」と振り返る。 しかし、「もんじゅ」事故があった95年から16年までの21年間で、「核燃料サイクル政策」の破綻で、日本のプルトニウム保有量は約3倍に増え、再処理を委託した英仏と国内に原爆6千発にあたる約47トンを抱え、「余剰は持たない」としてきた政府への信頼が揺らいでいる。 「核燃料サイクル政策」の柱の一つで、プルトニウムを使うはずの高速増殖炉の原型炉「もんじゅ」の廃炉が決定。 さらに、ふつうの原発でプルトニウムを使うプルサーマル発電も、一部しか導入が進んでいないため、自動延長を控えて、余剰分を減らすよう求める米国などの「外圧」が強まっていた。 坂田氏は「『核燃料サイクル』開発を続けるなら、プルトニウムの利用計画を立てるだけでは不十分。余剰は持たないということを、実績で世界に示していくしかない」という。 私:この問題については、小泉元首相同様、朝日新聞の「社説」は「『核燃料サイクル政策』破綻を認め撤退すべきだ」と朝日らしく、明快に論じているね。 そもそも、プルトニウムは原爆に転用できるため、核不拡散条約(NPT)の下では非核保有国による再処理は許されていないが、ただ一つの例外が日本として米国が「日米原子力協定」で30年間認めた。 この特権を保障してきた「日米原子力協定」が自動延長されることで、今後も「核燃料サイクル」を続けていくことに支障がはないと「社説」は言うが、30年間余裕があったのが、自動延長で半年前の通告で破棄できるようになり、厳しい。 それに対して「社説」は、いまやプルトニウム利用の合理性は失われているから、政府は「核燃料サイクル政策」の破綻を認め、日本が自ら撤退を決断するべきだと主張する。 A氏:米国内にも「日米原子力協定」への否定論は根強く、議会や外交・不拡散の専門家の間には「日本が呼び水となって韓国やサウジアラビアなどにプルトニウム利用が広がるのではないか」「北朝鮮との非核化交渉で日本のプルトニウムが障害になりかねない」といった懸念の声がある。 かねてプルトニウムの徹底管理を求めてきた米政府も、いっそう要求を強めていると「社説」はいう。 いま「核燃料サイクル政策」の転換を決断せずに、青森県六ケ所村の再処理工場とMOX燃料加工工場を稼働させれば、40年間の操業や設備投資などに12兆円近くかかり、破綻した「核燃料サイクル政策」の延命に巨費を注ぎ、電気料金の形で消費者に負担させ続けるのは理不尽であると「社説」はいう。 私:しかし、「核燃料サイクル政策」からの撤退も容易でなく、六ケ所再処理工場の運転廃止による地元の自治体財政や雇用の問題、保有するプルトニウムを英国などに引き取ってもらえないか交渉する必要性などがあるが、「社説」は中でも難しい問題は、使用済み核燃料の取り扱いだという。 歴代の青森県知事と経産相は「青森を廃棄物の最終処分地にしない」との約束を交わしており、政府は対応について県と誠実に話し合わねばならない。 「日米原子力協定」の期限切れと自動延長を機に、「核燃料サイクル政策」の徹底的な見直しが迫られているが、この政策はまさに「進むも地獄、退くも地獄」となったね。
2018.07.15
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私:與那覇氏は、東アジアとの関係を軸にした日本近現代史が専門で、2007年から地方公立大学に勤務。 11年に刊行した『中国化する日本』が評判になったという。 俺はこの本は知らなかったが、この書で與那覇氏は、優勝劣敗の自由競争をいとわず、政治は強い指導者に一任するといった形で日本社会の「中国化」が進んでいると指摘。 近代化や民主化を基準にした西欧中心の歴史観を相対化し、日本史を描き直す仕事だったという。 A氏:確かに、今の日本の1強多弱で動かない政治情勢をみると、習近平独裁体制の「中国化」が進んでいるように見えるね。 「チャイナスタンダード」が、奈良、平安時代のように日本にも押し寄せてきたみたいだね。 私:期待された著者だったが、14年春、鬱(うつ)状態と診断され、一時は「人と話すのも音楽を聴くのも苦痛。本も読めず原稿も書けない」状態になった。 デイケアでは病気の経緯を話したり、文章にしたりする機会があり、米大統領選でトランプ氏が当選すると、「日本だけが駄目なんじゃないと妙に元気が出た」という。 今回の著書『知性は死なない 平成の鬱をこえて』は発病から回復までの体験記で、同時に、時代に照らした「平成史」でもあるという。 A氏:與那覇氏は、「平成史」は、政治も世論も「一大転向の時代」とみる。 自衛隊と日米安保条約に反対した戦後の左派は、90年代の自社さ連立政権誕生で「転向」。 戦争の「加害者」だった日本は、00年代には拉致問題の「被害者」に転じた。 民主党政権が崩壊して、多くの有権者が「改革」や「二大政党」の夢を捨てた。 多数意見や社会のムードに迎合するなら、知識人の存在意義はないことになった。 「自分たちがいつ、なぜ『転向』したのかを自覚し、検証する意味は大きいはず」と、與那覇氏はいう。 私:與那覇氏の「鬱」はこの平成の知識人の存在意義を失った「転向」による「鬱」かもしれない。 病気を経て「能力は個人の私有物ではなく周囲との共有物」だと気づいたいま、他人と競い合う地位への未練はまったくないという。 「万国の知性ある人びとの団結を!」という、著書を締めくくるのは組織や国境を越えた幅広い「共存」の呼びかけ。 與那覇氏は、大学を昨年退職し、今後は「純粋に面白さでつながれた初期のネットのように」自分の思想へのアクセスを待つつもりだという。 また、新しい視点での日本現代を論じてもらいたいね。
2018.07.14
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私:NYタイムズ紙のクルーグマン氏は、徹底したトランプ政権批判派だね。 今月のコラムでは、トランプ氏の関税措置問題をとりあげ、痛烈な批判をしている。 移民問題と違い、トランプ大統領の貿易相手国への攻撃は、激怒した貿易相手国の政府は(多くは裏切られたと感じている米国の同盟国だ)、報復できるし、そうするだろうという。 例えばカナダ。 今年3月、米国は鉄鋼とアルミニウムの輸入品に関税を課し、しかも安全保障を理由にカナダへの措置を正当化したが、その時、ホワイトハウスで通商問題を率いるピーター・ナバロ氏は、「どの国も報復してくるとは思わない」と断言した。 しかし、今月1日、カナダは126億ドル(1兆4千億円)分の米国製品に対する報復関税を発表した(ちなみにカナダの対米輸出入額はほぼ同じ)。 EUと中国も、報復関税を発表していて、メキシコも、左派の次期大統領が選出され、米国の言いなりになる可能性はまずない。 EUは、トランプ氏が欧州の自動車への課税という脅しをあくまで実行するなら、さらなる措置をとると警告しており、米国からの輸出品に約3千億ドル分の報復関税を課す可能性がある。 A氏:トランプ氏の関税は、規模も動機(安全保障という明らかな欺瞞)も、今までになかったもので、米国自身がつくり上げた貿易のルールを踏みにじることになる。 EUは警告の中で、米国の行為を「国際法の軽視」とずばり表現。 米ニュースメディア「アクシオス」は、トランプ政権の新関税法案の草案とする文書を掲載したが、それは案の定、事実上「WTOからの脱退」を意味するものだった。 米国は今、貿易体制全体の崩壊や、世界貿易の急激で破壊的な縮小を、いとも簡単に引き起こそうとしていると、クルーグマン氏は指摘する。 こうして我々は貿易戦争へと向かっていて、どうすれば事態の悪化を阻止できるのかもわからない。 何しろ、各国政府がトランプ氏の望みをかなえることはまさに不可能。 私:米国の国内経済も問題だ。 約1千万人の雇用を抱える輸出業者は、打撃を受け、輸入品と競合する一部の産業は雇用増になるかもしれないが、それらは連動するわけではなく、貿易戦争は大量の解雇を生み出すだろうとクルーグマン氏はいう。 特に注目すべきは、トランプ氏が支援を主張する業界でさえ、彼の政策に反対し、方向転換を求めていることだ。 A氏:ゼネラルモーターズ(GM)は、自動車関税が「投資の削減、雇用の減少、従業員賃金の低下」をもたらしかねないと警告。 米国自動車部品工業会(MEMA)は、「逆効果の一方的行為」は「米国の雇用と成長を損なう」とし、一方で安全保障の保護に何ら役立たないと断言し、政権は手を引くよう力説している。 トランプ政権でなく別の政権なら、他国からの報復や産業界の反対、関税による失業の可能性を目にすれば、政策の誤りに気づくかもしれないが、現政権では無理だとクルーグマン氏はいう。 さらに、クルーグマン氏は「大半の企業や金融市場の投資家は、貿易戦争の脅威を真剣に受け止めているとは思えず、これが一過性のもので、行き過ぎた下方スパイラルになる前に、『大人』が止めに入ってくれると考えているようだ。 現政権に、そんな『大人』などいやしない。この政権は、おおむね“かんしゃく”によって政策を決めているのだ。全面的な貿易戦争になる可能性は、十分すぎるほどある。いや、もう始まっているのかもしれない」という。 かなり悲観的な見方だが、クルーグマン氏の危惧するように、現実に、「大人」の存在なしに、世界は全面的な貿易戦争を展開するのだろうか。
2018.07.13
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私:全米科学財団が1月に発表した2016年の科学技術の論文総数ランキングでは、 1位=中国、2位=米国、3位=インド、4位=ドイツ、5位=英国、6位=日本。 A氏:日本の科学低下の「知的漫遊紀行」は下記のようになっているね。 「大隅氏、基礎研究の危機訴え ノーベル賞金、若手支援に活用」、「科学界、存在感増すドイツ 研究資金安定、論文数の伸び堅調」、「大学の研究力低下、打開には 資金・時間・ポスト…どう確保 6月までに政府が戦略まとめ」、「イノベーション政策 政府は『主導』より『対処』を」などがあるね。 私:今日の新聞記事は、直接、科学研究でなく、研究を支援する実験機器の操作や保守をする技術職、研究費を管理する事務職など、研究の「裏方さん」の問題だね。 2013年に施行された改正労働契約法には、有期の雇用契約を更新して通算5年を超えると無期契約への転換を求めることができる「5年ルール」が盛り込まれた。 だが、文科省が今年、国立大学を調査したところ、無期契約に転換する制度を導入し、雇用期間に上限を設けないのは東大など8大学にとどまることが分かった。 A氏:文科省によると、全国の国立大学には約10万人の有期雇用者がいて、研究者たちの仕事を支える「研究支援者」が、その大半を占めるとみられる。 研究支援者の業務は、実験装置の保守や資材の調達から特許事務、研究費の管理まで多岐にわたるが、こうした人々が雇い止めの対象になると、研究現場には大きな影響が出る。 私:文科省科学技術・学術政策研究所は、研究力低下の原因として「研究者が研究に割ける時間の減少」を指摘し、その一因として、研究支援者の確保の問題を挙げた。 事実、同研究所の2013年の大学などの教員アンケートによると、教員が研究に割く時間の割合は2002年の46.5%が、2013年には35.0%に低下。 全国最多の5457人の有期雇用職員を抱える京都大学では、このうち3316人が、事務系や技術系の研究支援に関わるが、70人以上が今年3月末に雇い止めの対象になったとみられる。 大学側は「契約期間満了に伴う対応」(人事課)とするが、京大教職員組合は「法の趣旨を踏まえず研究教育の現場への影響は深刻」(川島隆委員長代行)と反発。 給与は大学の「運営費交付金」のほか、研究者が応募し国の審査を経て支給される「競争的資金」でまかなわれていた。 国は「運営費交付金」を減らし、「競争的資金」を増やしてきた。 「競争的資金」は、期限付きの資金なので安定雇用の財源には向かないが、その依存度は増すばかり。 3月末に473人を雇い止めした東北大学は「非正規雇用の財源の5割がこうした資金に依存し、雇用上限の設定は今後も避けられない」と説明。 A氏:多くの学者が研究支援者の重要性を訴えていて、京大iPS 細胞研究所の山中所長も12年のノーベル賞授賞当時、米国での研究支援者の充実ぶりや社会的地位の高さなどを引き合いに「育成のため長期間雇用する必要がある」と指摘。 不安定な人件費を補うため、自身が設立した基金への寄付金をあてている。 大学の研究環境に詳しい近畿大学医学部の榎木英介講師は「本来は必要なキャリアパスを用意して育成すべき専門職だが、生活が不安定なため優秀な人材が集まりにくく、日本の科学力を低下させる一因になっている」と指摘。 私:一方、解決へ向けた独自の試みとして、名古屋大学は、「競争的資金」が切れて業務を離れざるを得ない有期雇用者を、欠員が出た別の学部に異動することで解雇を防ぐ仕組みを導入。 全国大学高専教職員組合の長山泰秀書記長は「学部や研究室単位での縦割りを超え、雇い止め問題を大学全体で解決する姿勢が必要」と指摘。 しかし、そんな小手先の手段では、日本全体の科学力低下は防止できないだろうね。
2018.07.12
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私:「バック・トゥ・近代」とは、第2次世界大戦前の保護主義政策の応酬が最近の米中間で始まっているので、また、第2次世界大戦前の近代にバックしているのかという意味だね。 柴山桂太氏は、今回の米中貿易戦争に驚きはないという。 現在のグローバル経済の最大の問題は世界全体での上位1%と、中国・インド・メキシコなど新興国の都市労働者の所得は増えているが、先進国の大多数の労働者の所得は増えていないという所得分配にあるという。 世界経済の統合がどんなに進んでも、政治単位としての主権国家は残り続け、世界政府は存在しないから、現状の改善を自国政府に求める動きが出てくるのは当然。 A氏:トランプ大統領は、米国の労働者が抱く不満をうまく利用して政権を握った。 保護主義への移行は民主主義の要求だとも言えるわけで、歴史的に見ても、自由貿易と民主主義の相性は必ずしもよくないと柴山氏はいう。 19世紀の経済グローバル化では、先進国に工業が集中し、途上国は資源の輸出か農業しかなく、その頃の保護主義は途上国によるもの。 今のグローバル化では先進国が脱工業化し、途上国が工業化していて、産業の空洞化や雇用の劣化に悩む先進国が、保護主義を打ち出す時代。 私:今後注目すべきなのは通貨だと柴山氏はいう。 保護主義としては自国の通貨を安く誘導するほうが効果的。 アベノミクスで円安を後押ししたのは一種の保護主義で、トランプ氏は、中国や日本が自国通貨を不当に安くしていると非難していたが、中国に対する米国の追加関税はわかりやすいので注目されるが、今後の主戦場は通貨になると柴山氏はいう。 保護主義は貿易だけの話ではなく、市場から国民の生活を守る意味では、雇用の確保も社会福祉も保護主義。 主権国家が本来のあり方に戻る大きな流れの一部として理解すべきだという。 A氏:これに対し、伊藤元重氏は、今回の「貿易戦争」は、2大国の覇権争いの前哨戦だと考えているという。 歴史を振り返れば、自由貿易から背を向けた国で経済がうまくいったところは一つもなく、保護主義的政策は結局はうまくいかず、揺り戻しが来るから、米中貿易戦争がエスカレートしても、自由貿易体制が終わることはありえないと伊藤氏はいう。 私:3人目の田所昌幸氏は、米国は第2次世界大戦後、諸国が同じルールに従う多国間主義に基づいて、開放的な国際経済のしくみをつくろうとしてきた。 今回のトランプ氏の行動で、戦後、米国が築き上げた多国間主義の体制が侵食されたが、今のところ、損害は決定的ではなく、大きく歴史が逆戻りしてしまうかは、まだ分からないという。 伊藤氏、田所氏の両氏は柴山氏と違いトランプ批判側だが、この日の朝日新聞の「聞きたい」欄では米鉄鋼大手ニューコア名誉会長、ダン・ディミッコ氏が「通商紛争、なぜ同盟国も標的・中国野放しの責め負うべきだ」として、違った見方をしていて、柴山氏の見方に近い。 ディミッコ氏は、「第2次大戦で欧州もアジアも破壊され、ドイツや日本などが製造業の基盤を立て直すのを米国は助けたが、もう自分の足で立つべき時だ。このままでは米国の製造業が失われ、どこかの時点で米国の自己破壊につながる。製造業こそ世界のリーダーとしての要石に他ならないのにだ」という。 また、中国が鉄鋼の過剰生産や知的財産の侵害などで想像を超える規模でルールを乱し、世界の貿易秩序をおかしくしたのは確かで、その中国が自由貿易主義者のように自己演出しているが、最悪の偽善としか思えないという。 日本など米国の同盟国も、責めを負わなくていいわけではない。不作為によって、中国を野放しにした。米国の多国籍企業と同じように、中国市場の魅力に負けたのだという。 A氏:自衛の観点からは、いざというときに必要なものを製造できる工業力は必要で、米国はその力を失いつつあり、このままでは安全保障上、弱体化してしまう。 中国は航空宇宙分野の支配も狙っているとみている。 ディミッコ氏は、最後に「中国をグローバル経済に取り込むには、世界の国々が団結しなければならない。どの国も口ではそう言いながら行動しなかった。トランプ大統領は、世界の国々に気付いてもらうには痛みを引き起こさなければいけない、と言っているようにみえる。もちろん、日本にも痛みを引き起こすだろう。しかし、もしいま問題を正さなければ、将来経験する痛みは第2次大戦のようなものになる。質は違っても同じように破壊的なものになってしまうだろう」と米国の危機感を訴えているね。 米中貿易戦争は自由貿易論者が言うように、簡単に終わりそうになさそうだね。
2018.07.11
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私:高村薫女史は、教祖らの死刑執行を受けてあらためて、教団の反社会性を看過し続けた私たちの無力と無関心、さらには一方的なカルト宗教批判に終始したことへの自省や後悔を述べている。 A氏:裁判では、宗教教義と犯罪行為の関係性は慎重に排除され、一連の事件はあくまで一般の刑法犯として扱われたが、その結果、神仏や教祖への帰依が反社会的行為に結びつく過程は見えなくなり、宗教の犯罪という側面は手つかずで残された。 しかしながら、高村女史は、どんなに異様でも、オウム真理教は紛れもなく宗教であり、それがたまたま俗世の事情で犯罪集団と化したのか、それとも教義と信仰に導かれた宗教の犯罪だったのかは、まさにオウム事件の核心部分であったのに、司法も国民もそこを迂回してしまったという。 私:高村女史は、形骸化が著しい伝統仏教の現状に見られるように、日本人はいまや宗教と正対する意思も言葉ももっていない、という。 この「精神世界」への無関心は、理性や理念への無関心と表裏一体であり、代わりに戦後の日本人は物質的な消費の欲望で人生を埋めつくした。 地道な言葉の積み重ねを失ったそういう社会で、若者たちの求めた「精神世界」が既存の宗教でなかったのは、いわば当然の結果だったと言え、彼らは伝統仏教の迂遠な教義と権威を拒否し、手っ取り早いヨガの身体体験に出会って社会に背を向け、疑似家族的なカルト教団に居場所を求めたのであるという。 A氏:どんな宗教も、始まりは何かしらの神秘や秘儀の体験であり、ヨガの特殊な呼吸法や、数千数万時間もの瞑想が身体にもたらす特殊な意識状態は、宗教が標榜する秘儀の正体であり、人はそこに神や超自然を発見する。 そうした宗教の発生原理を見れば、教祖麻原彰晃の出発点がヨガだったのは納得のゆく話であるという。 ヨガはわりに効率よくこの特殊な意識体験を得られることから、古来インドでは宗教とよく混交してきたが、麻原を教祖と仰いだ若者たちも、その多くが入信前後の早い段階でクンダリニー(生命エネルギー)が身体を貫くなどの決定的な身体体験をしたことが知られている。 そして自分の身体に起きる直接体験ほど強力な体験はないため、彼らは一も二もなく教祖の教えを信じたのだが、傍目にはどんなに無理筋の教義でも、信心は道理を易々と超えてゆく。 私:信心と帰依は信仰の本態であり、また信仰は本来、自身を守るための殉教や殺戮もあり得る絶対不可侵の世界であり、もとより社会制度や通念とは相容れないところで立っている。 オウムをめぐる言説の多くが生煮えに終わったのは、信仰についてのそうした本質的な認識が私たちに欠けているためであると、高村女史はいう。 そして、自他の存在の途絶に等しい信心の何たるかを、仏教者すら認識していないこの社会の限界だったと言えようと厳しく指摘している。 A氏:高村女史は最後に「それでも、いつの世も人間は生きづらさを和らげる方便としての信仰を求めることをやめはしない。オウム真理教が私たちに教えているのは、非社会的・非理性的存在としての人間と宗教を、社会に正しく配置することの不断の努力の必要である」という。 私:最近、若者の新幹線内での殺傷事件や、同じ世代の若者が警察官を襲って殺し、拳銃を奪ってこれも殺人するという事件があったが、彼らの「精神世界」を理解できるものを我々はオウム事件で得られたのだろうか。 「世の中は分かりやすくない」「万引き家族」のブログでとりあげた是枝監督の「世の中って分かりやすくない。分かりやすく語ることが重要ではない。むしろ、一見分かりやすいことが実は分かりにくいんだ、ということを伝えていかねばならない」という言葉を連想する。
2018.07.10
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私:報道で、厚労省が、2028年ごろに医師の需給が均衡するとの推計を公表したという。 この推計は、医師の週あたり労働時間の制限を60時間程度とすることを前提としていて、これだと、時間外労働時間は週あたり20時間、月あたり80時間以上となる。 脳血管疾患などの労災の基準では、時間外労働が月45時間を超えて長くなるほど、発症のリスクは高くなり、月80時間を超える時間外労働が続くと、長時間労働と発症との関連性が強いと判断されため、「80時間」が過労死ラインとされている。 つまり、厚労省による必要な医師数の推計は、医師が過労死ラインを超える労働をすることを前提として、組み立てられていることになり、医師の健康確保の観点から不適切であると、斎藤裕氏は指摘する。 A氏:斎藤裕氏は、また、推計の前提にはもう一つ疑問があるという。 それは、医師の労働時間に関する現状のデータは、一律に「オンコール」時間を労働時間から除外していること。 「オンコール」とは、院外に待機し、病院から緊急の呼び出しがあれば応急患者に対して診療などの対応を行うこと。 10年の大阪高裁判決では、奈良市の県立奈良病院で医師が「オンコール」対応を行っていたのは自主的な取り組みだったとして、労働時間には該当しないとされたが、同判決を前提としても、「オンコール」勤務がなければ病院の診療体制がなりたたない場合や、病院側の一定の関与のもとで対応がなされている場合は、「オンコール」時間も労働時間に該当すると考えられる。 「オンコール」は十分な休息を妨げるものであり、医師にとっての負担は小さくない。 厚労省の推計は、「オンコール」時間も含めた労働時間を適正なレベルに抑えるには、どの程度の医師数が必要かという発想を欠いていると、斎藤氏は指摘する。 私:厚労省は、「オンコール」勤務についても考慮したうえ、週あたり労働時間を50時間程度(月あたり時間外労働は45時間程度)に制限することを前提とした医師の需要推計を行うべきで、医師数のあり方を再検討し、その結果によってはさらなる医学部定員の増員も必要だと、斎藤氏はいう。 医師の体調は診療の質にも影響するね。 斎藤氏は、加えて、医師が書類作成に時間を取られず治療に専念できるように医療秘書を増やすことや、患者の急変で勤務時間外に医師が駆けつける事態を減らすための複数主治医制の導入など、比較的短い期間でも実現できる対策を、着実にとっていくべきであるという。 A氏:それに、「広がる医療の地域格差」のブログで取り上げた医師の格差問題はどうみているのかね。 老齢化が進むと、診療要請が増加し、医師の負担が増加すると思うが、それをどう予測しているのかね。 私:ところで、働き方改革法案の裁量労働制で、厚労省の基礎データが不正確だったことが問題になったが、その厚労省は、今度の医師の需要予測データも大丈夫かね。 似たような政府の予測ハズレに 「横浜・法科大学院、県内ゼロ 横国大も来年度募集停止」のブログでは、政府の法曹需要の予測があったね。 ついに横浜国立大が、来年度から法科大学院の学生募集をやめる原因となる。 医師の問題は国民の生命に直接かかわるだけに、厚労省の正確な予測が期待されるね。
2018.07.09
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私:「ガーファ(GAFA)」とは、世界を席巻している米IT企業のグーグル、アップル、フェイスブック、アマゾンの4社の頭文字をとったもの。 小林弘人氏は、この数年、「ガーファ」のサービスが広がることで、自分でも行動様式や生活習慣が、ドミノ倒しのように変わってきたと思うという。 以前は、ちょっとした買い物でも近所に出かけ、どこにペットショップがあるとか、街のつくりを意識していたが、今は必要なら、アマゾンがすぐ届けてくれるから、もう全然気にならないという。 俺もそうで、ジレットのカミソリの2枚刃なんて、古くてスーパーにはないが、アマゾンでは売っているので、未だにアマゾンからの宅配だね。 小林氏は、出張の時も、グーグルのアプリが日程や飛行機のスケジュール、滞在先の見どころまで、全部教えてくれるので、」旅行ガイドを買わなくなったという。 スマホの普及も大きく、パソコンと違って、スマホは移動中、移動先でも使えるし、自分のことを何でも知っていて、脳に直接つながっている、と思えるぐらいだという。 A氏:それはつまり、膨大なデータが「ガーファ」に集中しているということ。 システム的にも利用者が好きな情報ばかりが表示され、嫌いな情報は入ってこず、「エコーチェンバー(反響室)」と呼ばれる特定の主張の増幅、強化も起きている。 「タコつぼ化」がフェイクニュース拡散の原因の一つとも言われている。 便利な一方、「タコつぼ化」もしているので、小林氏は、さらに情報に受け身で接するのではなく、自分から能動的に探し、多様な視点で深掘りするよう気をつけていくことが大切で、「ガーファ」のサービスは便利だが、それと引き換えに何を失っているのか、そのことに向き合う必要があるという。 私:小寺信良氏も同様な意見で、「ガーファ」の「知識の支配」から逃れるためには、ユーザーが頻繁にサービスを乗り換えて、「ガーファ」間で競争させるべきで、良いサービスを提供しなければ勝ち残れないということがわかれば、「ガーファ」も勝手なことはできないという。 さらに小寺氏は、スマホしか使わないユーザーも、携帯事業者をもっと乗り換えて、競争を起こせばよく、「ガーファ」のみならず、大きくなりすぎた会社やサービスに対しては、集中したものを分散させることをユーザー自身が考えていくべきだという。 これも小林氏のいう「タコつぼ化」にならないことだね。 A氏:以上の2氏に対し、土屋大洋氏は「ガーファ」を国際的な視点でみている。 「ガーファ」に集まる個人情報は従来の概念を大きく超えるもので、「いつどこで何を買い、その後病院へ行った」といった膨大な行動情報・履歴であり、詳しく分析すれば個人のかなりのことがわかり、それだけに米国や欧州、ロシアや中国の当局はその対応策を練っていると国際的な見方をしている。 米国は、米国家安全保障局(NSA)はテロ対策などで、企業が集めたデータを提供させていて、「ガーファ」はこうした状況を「透明性報告書」で、ある程度開示している。 私:これに対し、欧州は、市民の行動履歴が域外に持ち出されることに不満を持っていて、一般データ保護規則(GDPR)というルールを新たに設け、それに従わない企業が域外にデータ送出することを禁じることにしている。 これには、欧州では「ガーファ」に取って代わるような企業はまだ育っていないことによる産業政策の一環が背景にあるという。 ロシアは、米国政府が「ガーファ」のデータを使って内政干渉するのではないか、といった警戒感を持っていて、ロシア語の検索エンジンやネット通販、SNSで独自サービスを育てている。 私:IT先進国になりつつある中国は、「ガーファ」に対抗し、ネット空間での覇権を握ることを考えている。 一帯一路構想に次いで「デジタルシルクロード」構想を打ち上げ、検索エンジンの百度(バイドゥ)など独自サービスを浸透させていて、ネット上で米国をしのぐ力を持とうとするだけでなく、国内では「献血でプラス」「政府批判でマイナス」といったポイント制度も絡めて、14億の人民の行動を監視するツールにしようとしている。 さらに、中国は、アフリカとブラジルを結ぶ海底ケーブルの敷設を計画するなど、ネットのインフラでも米国に対峙しようとしていて、非常に戦略的。 欧ロ中と比べると、日本の対抗戦略はみえない。 日本は2000年ごろ、世界のネット空間で主導的な役割を果たしていて、国内のインフラ造りがうまく、先駆的なSNSサービスもあったのだが、フェイスブックなどにあっという間に席巻されてしまった。 ネットワークは何より利用者の数がものをいう。 日本政府は社会のあらゆる局面でデータを生かす超スマート社会「ソサエティー5・0」の旗を掲げているが、GDPR(一般データ保護規則)もてこにして、「ガーファ」を使いこなす知恵が必要だと土屋氏はいう。 日本には「ガーファ」対応に、どのような知恵が期待できるだろうか。
2018.07.08
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私:麻原ら、オウム真理教元幹部7人の死刑が執行されたので、この新聞欄では3氏に、オウムとは何だったのか聞いている。 俺は12年前のブログ「松本被告の死刑・サリン事件・林被告の自白」でサリン事件にふれたが、事件の起きた日の午後1時にJR浜松町駅に近いある会社のビルで打ち合せのためにいたが、会議中に何か外が救急車のサイレンの音とか騒然とした雰囲気であったように鮮明に記憶している。 A氏:もし、午前中の打合せだったらやばいことになっている確率はあったね。 私:この3氏のインタビューで、中村裕二氏はちょっと違った立場の意見だが中村文則氏と森達也氏のコメントは共通部分が多いね。 中村文則氏は、松本死刑囚に過去の出来事にきちんと向き合わせ、なぜこういうことをしてしまったかを語らせたかったとして、精神の殻に閉じこもらせたまま死刑にしてしまったのは、本当に驚きで残念だという。 森達也氏が、裁判の傍聴で見た麻原は廃人で、事件を起こした理由を聞けずに終わったことが、加害者に発言をさせることは事件を歴史の教訓にするために必要だったから残念でならないという。 森氏は、取材を通じ、サリン事件には三つの要因があると考えとぃるという。 教団がつぶされるのではないかという麻原の危機意識と、殺すことが救うことと通じてしまう宗教の論理と、そして麻原が喜ぶであろう言動をしようとした弟子と、弟子が期待するであろう方向にふるまった麻原との「相互忖度」だという。 A氏:君の3年前のブログ「死刑弁護人・生きるという権利」の著書紹介では、著者の安田好吉弘氏は主任弁護人として目撃した麻原彰晃の素顔を明かし、なぜ飽食の時代の若者たちが無差別テロに走ったのかという謎に迫っていくとある。 その著書の中で実は、犯行に使われたサリンの原材料は麻原が「捨てろ」と指示していたものだったという。 教団幹部がその指示に反して隠し持っていたことが安田の反対尋問で分かり、麻原首謀説が揺らぐとある。 私:その点は、すでに廃人のように沈黙した麻原なきあと真実は不明だね。 日本史上、最大といわれるテロ事件は真相不明のまま終わったようだね。
2018.07.07
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私:保守の論客である佐伯啓思教授の今月の「異論のススメ」は西郷隆盛にふれている。 明治維新のもつ根本的な矛盾とは、それが攘夷、すなわち日本を守るための復古的革命であったにもかかわらず、革命政府(明治政府)は、日本の西洋化をはかるほかなく、そうすればするほど、本来の攘夷の覚悟を支える「日本人の精神」が失われてゆく、という矛盾であると教授は指摘する。 西郷隆盛という人は、まずは、その明治維新という「革命」が内包する根本的な矛盾が生み出した人物であり、また、それを象徴する人物であったように教授は思えるという 明治維新とは、封建的身分社会に不満を抱いた下級武士の反乱というよりも、押し寄せてくる外国の脅威から日本を守るべく強力な政府を作り出す運動から始まった、ということであり、この運動の中心に西郷隆盛はいた。 西郷隆盛は、もっとも過激な武力倒幕の指揮官であり、倒幕運動は、基本的に政府(幕府)に対する非合法的な武力行使という意味では、一種のテロ活動と見ることもでき、西郷はそのテロ活動の中心人物。 内村鑑三がいうように、明治革命は西郷の革命であった、といっても過言ではないと教授はいう。 A氏:しかし、西郷隆盛という人物の真骨頂は、明治維新の立役者でありながら、明治6年には盟友の大久保利通たちと袂を分かって鹿児島へ帰郷し、4年後に明治政府に対する大規模な反乱(西南戦争)を起こしたあげく最後は自刃する、というその悲劇にあると教授はいう。 西郷を動かしたものは、攘夷の精神を忘れたかのように西洋化に邁進する明治政府への反発や、維新の運動に功をなしたにもかかわらず報われずに零落した武士たちの不満であった。 敬天愛人に示される無私の精神、いっさいの贅沢を排して義を重んじる精神、という「日本的な精神」が今日にいたるまで西郷ファンを生み出している。 それこそ、今日、われわれのこの平成日本からはすっかり姿を消してしまったものではないのだろうかと教授は指摘する。 とすれば、われわれは、今日の日本からは失われてしまったものの残影を西郷に見ていることになると教授はいう。 現実には、現代日本は、まさしく大久保利通や伊藤博文のすすめた西洋化、近代化路線の延長上にあり、西南戦争の終結によって、明治の西洋化・近代化は本格的に開始され、明治政府を作りだした西郷隆盛は、政府から排除され、新時代になじめない旧士族の不満を一手に引き受けて死んでいった。 私:西郷とともに江戸城明け渡しを決めた勝海舟は、西郷の死をたいそう残念がっていた。 また、明治の文明化を唱えた福沢諭吉も、西郷の死を惜しんでいた。 明治政府に批判的だった福沢は「政府が好き勝手にしているのに、世の中はすべて「文明の虚説」に欺かれて抵抗の精神が失われている。世にはびこっているのは、へつらいやでたらめばかりで、誰もこれをとがめるものはない。そうした時に、西郷は立ち上がった。それを賊軍呼ばわりするのは何事か」という。 その福沢諭吉はまた、江戸城明け渡しを決めた勝海舟を厳しく指弾していて、城を枕に討ち死に覚悟で一戦を交えるのを回避したために、明治という時代から「武士の精神」が失われた、という。 それが、明治の西洋かぶれの風潮、浅薄で表面的な文明開化の流行をもたらしている、といいたいのであろう。 これは、以前、養老孟司氏「超バカの壁」「無思想の発見」、加藤典洋氏「敗戦後論」「日本の無思想」、藤原正彦「国家の品格」のブログでふれた福沢諭吉の「やせ我慢の説」がある。 それは勝海舟が旧幕臣であったのに、それを倒した明治政府に仕えた「裏切り」批判であり、諭吉は勝に辞職を要求する。 福沢も旧幕臣であるが、勝海舟はそんな内部の「やせ我慢」より、大きな外圧の危機に瀕した日本全体を考えたら変節は仕方がないと考えたのか、だから、日本には近代思想は育たなかったということか、となる。 A氏:勝海舟は戦を避けることで平和的に新しい時代を作り、日本近代化の大変な功績者であるが、その明治は、本来の攘夷の精神を忘れて、西洋模倣へとなだれ込んでゆく。 この風潮に我慢がならなかった西郷は、敗北を覚悟で戦い自刃。 福沢によると、西郷は、明治政府のありさまをみると、徳川幕府には悪いことをした、と後悔していたそうである。 そして、西郷の死後、一見したところ、武士的な精神、無私や自己犠牲の精神はすっかり忘れ去られ、ひたすら日本は文明開化の近代化路線を走ることになる。 しかし、それにもかかわらず「西郷どん」は、多くの人のこころに生きてきて、人気では、大久保や勝など比べものにならない。 教授は、押し寄せる西洋近代文明の流れに、敗北を覚悟で抵抗して死んだ西郷に、つい敗北覚悟の日米戦争へとゆきつく日本の近代化の帰結を重ねたくもなってくるという。 私:教授は敗戦への路を示唆しているのだろうか。 それとも、敗戦後の米国の核の傘の下にいる日本を示唆しているのだろうか。
2018.07.06
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私:秋山訓子女史は、何十年も前のことになってしまったが、大学4年間を体育会のアメリカンフットボールのマネジャーとして過ごし、かつて彼女の人生の中心だった。 チームは長く大学リーグの1部をめざしていて、でも昇格できないでいたが、彼女が2年生の時、ついに悲願の昇格を果たした。 その時の4年生(監督が来るのは週末だけで、指揮指導は4年生が担っていた)がしたことを一言で言えば「考える」ことだった。 「根性」や「気合」でひたすら猛練習を重ねるのではなく、自分たちに何が足りないのか、何が必要かを突き詰めて考えて欠落を埋めていった結果、勝てた。 A氏:チームスポーツでは、チーム内の分業と役割分担が明確で、戦術と戦略がものを言うアメフトは特に「考える」ことが重要だから、運動能力では必ずしも超一流を集めたとはいえないチームでも日本一になることができる。 関西学院大学のアメフト部出身で、かつて日本一になった同僚は現役時代、4年生全員が監督と面談して「チームに何が貢献できるんだ、どういう選手になりたいんだ」とひたすら問われ、それを録音し、繰り返し聞いたのだという。 対話を通じて選手に徹底的に考えさせ、意思と意見を持った個を育てると言ってもいいかもしれない。 日大の場合はそうではなく、選手はまるで監督に支配されたアンドロイドのようで、その場しのぎのことしか頭になくて、思考停止だったと秋山訓子女史はいう。 私:この日の朝日新聞の「私の視点」欄では「日大信頼回復のために 人権守る体制づくり必須」と題して、たまたま、日大教授の末冨芳女史が、日大アメフト部の悪質タックル問題をとりあげていた。 彼女のアメフト問題に対する視点は、秋山訓子女史と異なり、大学の運動部に潜むハラスメントだ。 彼女の指導学生でもあるアメフト部員たちからは、骨折や脳振盪などの不安を抱えながらも、厳しく指導され、試合に出なければならない、といった話は聞いていたが、彼らに「大丈夫?」と心配して尋ねると、「大丈夫」と答え、それ以上の対応を求めるそぶりはなかった。 しかし、その背後には、監督・コーチに対する立場の「弱さ」が隠されていたのに、そのことを踏み込んで理解せず、相談や保護につなげられなかったことは、専門家として恥じるしかないと末冨芳女史はいう。 私:そして、「弱い」立場にある運動部の学生たちの相談体制の整備、人権保護体制の充実は必須だとして、道のりは長いが、彼女自身も真摯に取り組んでいきたいという。 アメフトというか、スポーツに対する見方が、秋山訓子女史と末冨芳女史とがまったく違うね。 アメリカでは、アメフトの優秀選手は「考える」力をしっかり持っているとみなされるのか、エリートとして扱われるそうだ。 日本でもパワハラで「根性」や「気合」でひたすら猛練習を重ねるチームは、時代遅れで帝京のラグビー9連覇や、青学の箱根駅伝4連覇などは望めないことを知るべきだね。 きちんと学生スポーツの基本を行えば「弱い」学生などいないのだから、学生のパワハラ相談体制の整備、人権保護体制の充実など不要だろう。
2018.07.05
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私:中国のネット通販サイト「京東商城(JD.com)」は、「中国のアマゾン」と呼ばれる。 「京東」は、新進気鋭の劉強東会長(44)が1998年6月18日に創業し、中国有数のIT拠点、北京・中関村にわずか4平方メートルの店舗を開設し、光ディスクの販売から始めた。 2003年に重症急性呼吸器症候群(SARS)の流行を見て、外出不要のネット通販に可能性を見いだし、04年にネット販売に移行。 07年には物流網の構築を始め、14年には米NASDAQに上場。 A氏:中国のネット通販といえば、馬雲が率いる「アリババ」集団が有名だが、外部からの出店で主に構成する「アリババ」と異なり、「京東」集団は主に自社で商品を調達して配達する「アマゾンモデル」。 もう一つ、「京東」の存在感を高めているのが6月18日の創業日を記念した大セール。 売り上げは年々急伸し、「アリババ」が仕掛ける11月11日(独身の日)と半年離れており、大手2社が主導するそれぞれのネットセールが定着しつつある。 私:北京の北西部にある、中国有数の名門大学・中国人民大学の構内を4輪の付いた箱がのろのろと進む。 「京東」集団の無人配達車で、学生寮の前に着くと、商品を注文した人のスマートフォンに通知が行い、寮から出てきた学生が、スマホに表示されたコードを車の側面にある液晶表示に打ち込むと、箱の扉が開き、注文した荷物が出てきて、「とても便利」と学生は満足げ。 「京東」集団は、これまで人力だった集配拠点から顧客への配達を無人化した。 商品の配送スピードを速めて、コストを引き下げており、陜西省などの人が少ない地域では、集配拠点までの配送にドローンを使うことで高速化と効率化を実現。 現在、荷物を10トンまで積める新機種を開発中で、自動運転トラックの研究も進めている。 上海にある同社の倉庫「アジア1号」では、四角いロボットが床をはい回り、出荷前の荷物を一時的に集める一角は完全に無人。 個人向け配達での無人倉庫を実現したのは『京東』だけという。 大規模セール期間でも、京東の自社販売は90%以上が注文当日か翌日に配達できるという。 A氏:世界最大級の国土面積を持ち、約14億人という世界最多の人口を抱える中国。 ネット通販が小売りに占める割合は18年1~3月期、約2割に達したが、「京東」と「アリババ」は激しい争いを続け、やめる気配はない。 両社は今、競争のフィールドを実店舗にも広げつつあり、ネット通販と実店舗とのデータを共有して顧客を分析し、「京東」は顧客の表情をカメラで読み、おすすめの商品を提案するシステムなど、買い物を楽しくするシステムの開発も進める。 私:「京東」の目は外国にも向き、6月、米グーグルから5・5億ドル(約610億円)の投資を受け入れる提携を発表。 欧米や東南アジアのネット通販市場の開拓を共同で進めるという。 日本の一戸建て住宅の空をネット通販のドローンが飛び日がくるだろうか。
2018.07.04
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私:ブログ「安く安全な水、黄信号」で、大阪北部地震で、重要なインフラの水道の維持費が問題化して、クローズアップしたことをとりあげた。 総務省が作成した指定市など111市町村の2006年から2009年度決算をもとにすると自治体が近年、道路・上下水道・公共施設に投じた1年当たりの額のうち、更新費用は約3000億円。 これが、今後40年間にかかる1年当たりの更新費用は約2.6倍の約8500億円となり、老朽化するインフラの更新費用が自治体財政を圧迫するという。 ブログ「安く安全な水、黄信号」では、解決策の一つとして、施設所有権は自治体が持ち、運営権を民間企業に売却するコンセッション方式の導入にふれている。 A氏:コンセッション(公設民営化)は、空港や道路などのインフラを効率的に維持する手法として導入されたが、1日の新聞では、下水道に採用されるのは浜松市が全国で初めてだと報じている。 浜松市では、90年代以降を中心に総延長3590キロの下水道管が整備された。 老朽化が深刻な問題になるのはこれからで、施設も合わせ、今後50年で5200億円の更新費用がかかるが、一方、市の人口は08年の82万人をピークに減少し、料金収入は先細りになる。 これにより、浜松市は下水道にコンセッション方式を導入。 運営を行う合弁企業は、インターネットで施設を集中監視するシステムなどを導入し、市が運営した場合より20年間のコストを14%、計86億円減らすことをめざす。 「人口減少が進むと、インフラの老朽化による維持費の増加が自治体には大きな課題になる」と、鈴木康友浜松市長はいい、「民間に任せることで官の負担は軽くなる」と話す。 浜松市は、上水道にもコンセッションを導入することを検討。 民間に任せれば経営悪化による撤退のリスクも出てくるが、鈴木市長は「民間が破綻するより、このままでは自治体が破綻するリスクの方が大きくなる」という。 私:人口減少が進む中で、水道管を60年ごとに更新しながら上水道の黒字を確保しようとすると、30年後に今の料金を平均1・6倍に値上げする必要がある。 値上げを抑えようと香川県は今春、県と8市8町の上水道事業を統合し、宮城県は上下水道、工業用水道の施設の運営を民間企業に任せる方針。 しかし、飲み水の上水道まで民間企業に任せることには、地域住民から不安の声があがる。 奈良市は16年、中山間部3地域の上下水道事業にコンセッションを導入しようと、市議会に条例案を提出したが、「命にかかわる水は市でやってほしい」という地元の声が強く、否決された。 老いるインフラを次の時代にどう引き継ぐか、人口増加を前提に昭和から平成にかけて各地に次々とつくられた道路や橋、公共施設なども、水道と同じ構図にある。 ブログ「安く安全な水、黄信号」でふれたように「身の丈」にあうインフラとはどんな姿か。地域で考える時期にきている。
2018.07.03
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私:NYタイムズは徹底したトランプ批判だね。 乳製品への7関税を低くするよう求める米国を、カナダのトルドー首相が控えめに押し返すと、トランプ氏のチームは、背中から刺すような「裏切り行為」であり「地獄での特別な場所」がふさわしいとトルドー氏を非難。 これに対して、フリードマン氏は、9・11米同時多発テロで攻撃されたのはカナダではなく米国なのに、カナダは何千人もの男女をアフガニスタンに送り、米国の都市を攻撃した国際テロ組織アルカイダを、米国が壊滅させるのを助けてくれ、そして158人のカナダ人が、その活動で命を失ったと指摘。 フリードマン氏は、これらは、トランプ氏がいかに前任者たちと異なる視点で世界を見ているかを示していて、全ては取引であり、あなたは私のために何をしてくれたのか、ということ。 米国は国際秩序と人権を支持する最後のとりでであるとした概念は終わったと、フリードマン氏はいう。 A氏:もしも朝鮮半島で戦争が起こる可能性が下がって非核化につなげることができるのならば、トランプ氏が北朝鮮の独裁者である金正恩委員長と親しくなることを支持できるとフリードマン氏はいう。 しかし、トランプ氏が恐ろしいのは、彼が我々の民主的な同盟国よりも独裁者を好んでいるように見えることで、トランプ氏は北朝鮮の独裁者について、「彼が話す時、国民は直立して聞く。米国民も同じようにしてほしい」と記者団に述べた。 トランプ氏は後にこの発言は冗談だと言ったが、悲しいかな、その冗談はトランプ氏のこれまでの言動と完全に一致していて、トランプ氏は強大な権力を持った指導者を好み、彼らがトランプ氏をあがめる限り、彼らが自国民をどう扱おうが気にしていない。 私:こうしたやり方は、独裁者たちにとっては、自国の革命家やテロリストのみならず、穏健な反対派をも圧殺することにトランプ氏が許可証を与えたようなものだと、フリードマン氏はいう。 まず、エジプトでは、2018年5月上旬以降、エジプト警察はシーシ大統領を批判する者を何人も逮捕しているという。 エルドアン大統領の支配下のトルコでも状況は同じ。 ジャーナリスト保護委員会は昨年12月、「2年連続で、全世界で収監されているジャーナリストの半数以上が、トルコ、中国、エジプトに集中している。トランプ氏の国家主義的なレトリック、イスラム過激派への強迫観念、批判するメディアを『偽ニュース』と呼ぶことへの執着は、こうした指導者たちがジャーナリストを収監しようとして告訴や告発をするための枠組みの強化に役立っている」という報告をした。 サウジアラビアのムハンマド皇太子は、汚職容疑のビジネスリーダーや17人の女性の運転活動家を専横的で不透明な手法で逮捕・尋問したことは、恐怖を呼び起こすことに役立っている。 米国の同盟国フィリピンでは、上院議員で人権委員長も務めたレイラ・デ・リマ氏が、17年2月に収監され、リマ氏は過去3年で7千人以上が死亡した麻薬戦争を進めるドゥテルテ大統領を批判しており、でっち上げの麻薬疑惑で現在も獄中にいる。 A氏:かつての米国ならば、外国の指導者たちに「米国はこんなことを許してくれない」と言わせていただろうが、もう違う。 トルコやサウジアラビアには、それらを耳打ちする大使ですらトランプ氏は配置していない。 ニューヨーク大のマイケル・ポズナー氏は「我々には強力な制度があり、民主主義を維持するだけの十分な人手があるが、エジプトやトルコ、フィリピンは脆弱な国である」という。 また、ポズナー氏は「彼らは文字通り、異を唱える人に罪を着せていて、市民らは、我々がそれを許容していると思うだろう。もしそれがまかり通るなら、この世界は我々全員にとって危険なものになる」という。 私:しかし、習主席の独裁国家中国、インドも「インドの教科書、消された偉人 モディ政権、強まる排外意識」のブログでとりあげたようにヒンズー教の独裁国家、プーチンのロシアなど、何か世界の国々は独裁色を強めているようだね。 国連人権理事会から米国が離脱するなど、まさに、この世界は我々全員にとって危険なものになりそうだね。
2018.07.02
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私:木村草太教授はマスコミによく登場する憲法学者で、その説明は論理が明快で、理解しやすい。 そして、自衛隊を違憲とは言っていない憲法学者だね。 仮に自衛隊が本当に違憲だとすれば、今すぐに自衛隊を解体しなければならないはずだが、違憲論者は、自衛隊の即時解体までは主張しておらず、それこそが欺瞞でなくて、何であろうかと木村教授は厳しく指摘しているね。 その木村教授の考えをすでに、ブログ「9条の持論、披露する前に」で、とりあげている。 本書の評者の齋藤純一教授によれば、「自衛隊は違憲だ(合憲説は欺瞞だ)」、「自衛隊は大きな武力をもっているから事実上軍隊だ」、「国際法は集団的自衛権の行使を認めており、日本も当然それに従うべきだ」など、自衛隊をめぐっては様々な意見が飛び交っているが、こうした意見や誤解に対して、本書は明快な議論で応じていると評している。 A氏:ブログ「9条の持論、披露する前に」でもすでに木村教授は説明していたが、個別的自衛権は、国民の生命・自由の保護を国家に命じる13条を根拠として正当化されるので、本書でもそれを繰り返し自衛隊は違憲ではないとしている。 自衛隊は9条2項が禁止する軍隊ではなく、72条の規定する「行政各部」の一つ、財務省などと並ぶ行政組織で、国際法が容認する権利であっても、あえてそれを行使しないことは国際法に反しないなどと説明する。 自衛隊が違憲かどうかでは、憲法9条ばかりで、13条をとりあげているのは、木村教授ぐらいかね。 私:木村教授は本書で、政府・自民党は自衛隊の明記によって「なにも変わらない」との説明を繰り返し、自衛隊の任務を意図的に曖昧にしているとし、この姿勢を著者は「あまりに卑怯」と呼ぶ。 少なくとも、その任務が個別的自衛権の範囲に限定されるのか、それとも他国のための武力行使も含まれるのかについては明確にして国民の意思を尋ねるべきであるという。 自衛隊の明記によって、自衛隊は行政組織から憲法が直接定める特別の組織に変わるから、この組織をどう統制するか等について憲法上の規定が必要になるが、それすらも示されていないと指摘している。 A氏:しかし、評者の齋藤教授は、個別的自衛権を正当化する根拠を13条のみに求めてよいかについては、国民の生命・自由の保護という理由は集団的自衛権をも正当化しないかという異論もありえようと評している。 私:それについては、木村教授は、自衛隊の任務が個別的自衛権の範囲に限定されるのか、それとも他国のための武力行使も含まれるのかについては明確にして国民の意思を尋ねるべきであると本書でのべているとしているね。 「9条の持論、披露する前に」のブログで取りあげたように、木村教授は、9条論議は活発化しているが、そこで持論を披瀝開陳する人の多くが、政府解釈や憲法体系を全く理解していないのは驚きで、現在の憲法を理解しない人々が、その改正を語れるはずはないと言っていた。 まさに評者の「本書は、混迷しがちな改憲論議にあって、問題を整理して考えるための導きの糸になる。合間を縫ってでも目を通してほしい一冊である」だろうね。 なお、「自衛隊を明記するとは」のブログで、元内閣法制局長官・阪田雅裕氏が、9条改正案を私案として示しているが、やはり、安全保障法制が成立し、集団的自衛権がからむと、現在の自衛隊をそのまま憲法に書くことはとても難しくなったという。
2018.07.01
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