尤も、王統(royal family tree)が、本当に混じりけなく受け継がれてきたとすれば、なにも「偏見」と言わなくとも、遙か時間の彼方の金髪の遺伝子が縷々子孫に伝わっているかもしれない。そうだとしても、DNAミトコンドリアが子孫に伝わるのは女性のミトコンドリアだけで、男性の遺伝子は絶滅してゆく。世界中にまたがる同一ミトコンドリアの伝播追跡調査によって明らかになったことである。 (このブログの読者諸氏よ、あなたがたご夫婦の遺伝子は、女のお子さんのみによって受け継がれてゆくのです。女性のミトコンドリアを過去に遡ってゆくと、やがて数万年前のアフリカの大地にいた「イヴ」にたどりつくことができます) ---というわけで、万世一系の王統など言うのは、人類の最も愚かな幻想のひとつと言ってよかろう。そのために、あるときは血みどろの殺戮がおこなわれていたのであり、リチャード3世の物語は、まさにその殺戮の歴史の物語である。