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「共産主義という怪物がヨーロッパをのし歩いている」とはかつてマルクスが共産党宣言で言った有名な言葉である。私はこれをもじって言い換えたい。「金融帝国主義という怪物が世界をのし歩いている」と。その怪物はどんなものかまだ正体が突き止められていない。世界同時高成長といういまだかってない現象がおこり、金利も上がらず、インフレも起こらない。案外ドルがもちこたえている。なぜか。いかなる経済学者も説明できない。どんな経済予測も当たらない。日本のけなげな主婦たちが利子がつかなくなった銀行預金を下して金融商品を買う。ドル預金をする。その小さな流れをどこかで誰かが大きく集めて、大海に流す。それが怒涛のごとく石油の投資資金になだれ込んでガソリン価格を上げる。穀物を買い占めて値上がりさせる。こうしてこんどは主婦たちに襲いかかり、真綿で主婦たちの首をしめ上げていく。海賊船による資源収奪、奴隷貿易、アヘン貿易、侵略戦争、こういうことがかつての歴史において何のとがめもなく行われたのは、それが国家の埒外、法律の及ばない海上で行われたからではないか。そういう類のことが、いまグローバルに形を変えてマーチャントによって行われている。それがサブプライムローンであり、金融工学と銘打ったまやかしであり、石油価格の暴騰であり、やがて感じさせる食糧資源の争奪?国家や法律や経済学は一国の範囲内では有効だが、国境を超えると、そこは無法の世界である。誰もコントロールできない。制裁不能である。民主主義も機能しない。各国経済は分業化して、グローバル経済の下部機構になった。依存機構になった。地球経済学のような、まったく新しいグローバル化した状態を説明してくれる経済学がない!。私はうすうす以上のようなことを考えていたら、こんな本に出会った。「新帝国主義論~この繁栄はいつまで続くか」武者陵司(東洋経済)この人はドイツ証券の副会長兼CIO、埼玉大学客員教授という肩書である。やはり同じようなことを考えていた人がいたのだ。今それを読んでいるが、こんな立派なアナリストでさえわからないといわれるのだ。今日、多摩大学リレー講座で寺島実郎氏の話を聞いた。ワーキングプアやサブプライム問題などについて話したあとで、こういう事態に対処する経済学がない、といわれた。やはり同じことだ、と思った。いま、世界をのしあるいている怪物の正体はなにか。これを一皮一皮はがして正体を突き止めていかなくてはならない。
2008/05/29
アメリカのノーベル賞を受賞した経済学者J.E・ステグリッツはアメリカがイラク戦争で失った損失の見積もりは総計3兆ドル、全世界の損失はその倍であるとしている。しかも、これほどの犠牲を払っても、イラクがフセイン時代よりもよくなるかというと、そういう可能性は絶無であるとしている。(「世界を不幸にするアメリカの戦争経済」)。しかし、数字に言い表せないアメリカの国益の損失は、中東地区あまねくトルコに至るまで、反米感情が行き渡ってしまったことである。「イスラエル・ロビーとアメリカの外交政策」を書いたミアシャイマーとウオルトは、このような結果になったのは、イスラエル・ロビーの影響が大きいとしている。アメリカがイスラエルVSアラブ紛争においてあまりにも過剰にイスラエルに加担し、イラク戦争はイスラエルを守るために行った戦争であることがアラブ世界で明白に認識されてしまった結果である。ミアシャイマーは左翼でもリベラルでもない国益を重視する国家主義者であるが、彼は数多くの事例を出して、圧倒的な説得力で、アメリカの中東政策の破綻を実証している。アメリカに住むイスラエル系アメリカ人は530万人、アメリカ総人口の1.5%にすぎない。このうち多くのイスラエル系アメリカ人は一般のアメリカ人よりもアメリカのイスラエル政策に批判的で、イスラエルとパレスチナの2国家共存がよいとし、40年間イスラエルが占領しているヨルダン川西岸地区とガザおよびシリアのゴラン高原は返還すべきであると考えている。イラク戦争にも不必要であったとしている。しかし、イスラエル系アメリカ人の75団体がつくるイスラエル・ロビーの中の強硬派が非ユダヤ人のキリスト教シオニストおよびネオコン勢力と結んで、イスラエル政府と連携し、巧妙きわまるロビー活動と政治献金でアメリカの議会および大統領をとりこんで、ついにアメリカの国益を害する結果をもたらしたという。私はこの本を読んでイスラエル・ロビーの巧妙な議会対策に驚いたが、政治献金をもらうと簡単に動いてしまうアメリカの上院、下院議員、共和党、民主党も合わせたお粗末さに愕然とした。我が国の族議員もひどいものだが、それでもアメリカの議員よりはまだマシだと感じたくらいだ。アメリカの下院議員数435人中、10人以上出す州の議員合計は約半数の240人、残りは主に中西部の小さな州である。アメリカという国の本質は内陸にあり、そこでは原始的キリスト教の気質が強く、伝統的なコモン・ローの世界が強くのこっている。われわれが感じさせられているモダンなアメリカとは大違いだ。そういうところから出てくる議員は中東のことなど知らないし、関心もない。したがってイスラエル・ロビーに対して指をたてることもしない。これが現実である。いかにロビー活動におどらされる議員の無知が国を誤るかの見本である。
2008/05/28
原油価格が135ドルを超えた。余った金が石油の投機に向かって上がっている。産油国は価格が上がれば文句はないから増産を控えている。石油ばかりでなく、小麦やトウモロコシなどの穀物価格にも投機資金が入ってきて、買いしめ、値上がりが起こっている。アフリカでもレアメタルなどの産地は経済成長がつづき、そうでないところは食糧暴動が起こっている。こういうふうにグローバルな金が動いて資源を買い漁り、価格騰貴をおこして人々を苦しめても国際的なコントロール手段がない。不正、貪欲に対する制裁手段がない。資本主義のもっとも悪い一面が出てきた。日本でも国際競争力をつけるための人件費削減が進んでいる。正社員の人件費削減はなるべく避けて、非正社員を使うことにより全体の人件費を削減するため、勤労者の3分の1が低賃金の非正社員という状態になった。今、本屋に小林多喜二の「蟹工船」が文庫になって平積みされている。非正社員は自分たちの待遇はまさに蟹工船の低賃金労働者だとなぞらえて読むそうである。マルクスももはや危険思想ではなく、正当な資本主義のチェッカーとして読まれ始めた。アメリカの企業トップで年収数十億円という人がいる。一億円の年収でも使いきれないほどの金である。ましてや数十億円なら一生かかっても使いきれない。どうしてこれほど貪欲に金を求めつづけるのであろうか。私は1860年代の英文資料を読んでいるが、この頃は資本家のことをマーチャントと呼んでいる。アヘン売買をしたり、奴隷売買をする商人もマーチャントなら、そうでない商人もマーチャントで、マーチャントは悪い印象でとらえられている。マルクスが資本論で告発したように少年を16時間も働かせたり、黒人奴隷をプランテーションで酷使したのもマーチャントである。マーチャントはいつの時代にも貪欲に金を儲け続ける存在だ。こうしたマーチャントの貪欲性に対して社会主義が起こってきたのも、欧米においてとらえる限り正当な流れであったといえよう。しかし、一方、車を作ったり、鉄道を敷いたり、さまざまな商品をつくって文明を築いてきたのもマーチャントである。戦後はマーチャントを企業家とか経営者というようになり、社会的な評価が上がった。経営者が教育や倫理まで口にするようになった。しかし企業家の本質はマーチャントであることにかわりがない。国民は、行き過ぎたマーチャントの行動をチェックし、対抗する手段を考えないといけない。とにかく非正社員がいちじるしく差別化されている状況を改革しないといけない。
2008/05/27
昨日、東京駅前の丸善書店に行った。すぐの入り口にビジネス書がいっぱい並んでいる。いつの時代にもビジネスマンは仕事や自己開発に熱心であることがわかる。「夢をかなえるゾウ」という水野敬也氏の本が女性読者に400部も売れているというので、参考までに買ってみた。読んだあと意見を述べてみたい。ところで、20年、30年前に知的生産の技術ブームが起き、私は早速「知的生産の技術研究会」というのを立ち上げた。あれからもう37年めである。あのころの知的生産の技術は名を変えていまではハックとか仕事術というふうにして、再びブームになりつつある。勝間和代さんの本は東府中のようなあまりビジネスマンが来そうにない本屋でも平積みになっている。さて、あの頃の知的生産の技術ブームと今とどう違うかというと、あのころのビジネスマンはそういう本を読んで企業の中で新製品開発とか新技術開発だとか、企画だとか、ビジネスシュミレーションだとかの新発想に活用しようとした。いわば組織のために活用することで、それが自分自身の出世にはねかえってくることを考えた。しかし、今のハックものは、収入が10倍になるとか、よりよい転職が可能になるとか、自分の仕事能力が増すとか、組織でなく個人にその成果が還元されることを狙っている。これはいいことだと思う。いかに組織に貢献しても、その組織を離れたら、自分が果たした成果は自分自身のものにならず組織の財産になるからである。したがって組織は自分の能力をアップしてくれる実験場だと考えればいいのではないか。
2008/05/24
昨日は多摩大学リレー講座で三井物産戦略研究所の金美徳氏の講義を聞いた。北東アジア経済を中心とした話で、こういう地域を一まとめにくくって考察するということがいかに思考を広げるかを痛感した。北東アジアとは日・中・韓に北朝鮮、ロシア東部モンゴルである。金氏は日中、日韓関係以外に韓国と中国、韓国とロシア、韓国と北朝鮮、中国とロシア、ロシアと北朝鮮、中国と北朝鮮、日本と北朝鮮、などそれぞれの国同士の関係について、いろいろ深刻な矛盾対立があり、ひとすじなわでいかない領土問題、資源問題、歴史問題などがあることを説明してくれた。われわれの視界にはないものだったので、大変参考になった。北朝鮮はどこの国からも嫌われているらしいが、しかし北東アジアの要の位置にあり、島根県程度の経済規模しかないが、ウラン、レアメタル、銅、鉄鋼石、海産物、などの資源が豊富でイギリス、アメリカでさえ、その資源に目をつけており、各国の争奪のターゲットになる可能性を秘めている。日本では北朝鮮に対して拉致問題以来、思考がストップしたままだが、世界160カ国との国交が成立し、実際はいろいろな関係が進展している。北朝鮮があれほどアメリカを手玉に取るような外交をやっているのも、こうした強みが背景にあるからだということが理解できた。九州―韓国―北朝鮮-中国東北部をくくる地域が環渤海経済圏としてものすごく人の動き、物の動きが活性化していて北東アジア経済圏の核になっている。これ以外にユーラシアには上海協同機構という中国、ロシア、ウズベキスタン、タジキスタン、カザフスタン、キリギスなどをくくった経済圏があり、これにインド、パキスタン、イランなどが準加盟している。南に行けば、東南アジア諸国のアセアンがあり、ニュージランド、オーストラリアまでいれた環東太平洋圏もある。これらのサークルに強い影響力をおよぼし、これらをやがて入れ込んでしまうほどの力が北東アジア経済圏にはある。政治的にはお互いに提携、敵対、対峙関係にあるというものの、経済というものはグローバルに国境を越えてひろがっていくものである。つまりAという国とBという国の提携関係が強まれば、Bという国と提携しているCという国も間接的にAとの提携関係が発生し、いってみれば友達の友達が友達になるという連鎖が広がる。金教授が日本列島をさかさまにした地図をみると、日本海という海は地中海の半分くらいの小さな海である。湖か回廊みたいだ。なんだか瀬戸内海ににている。つまり日本という国はユーラシア大陸にアタッチしている国であって、ユーラシアダイナミズムというものがさまざまな形で我が国を揺さぶるであろうはが、数々のビジネスメリットももたらすはずである。今日は視点がうんと広がった感じをもった。
2008/05/23
毎週月曜日午後は外語大に行って金井光太朗教授のアメリカ大統領制の講座と佐々木考弘教授のアメリカ南部社会における人種、階級、ジェンダーの講座を聞く。この2つの講座をとって非常によかったと思う。学者というものは、ある特定の分野で長期にわたり相当の研究をしているから、物事の理解が深くなる。たとえばアメリカの大統領制にしてもそもそもアメリカという国が始まった時点から、ワシントンやジェファーソンという人物が出て、ゼロベースから国をつくってきた話を聞くと物事の根幹がよくわかって、物を見る目が養われる。佐々木教授の話は、アメリカ南部の1870年あたりまでの奴隷制社会の話である。奴隷制度というものがいかに残酷であったか、教授は当時の文件からよくイメージできるように話してくれる。学生たちはしわぶきひとつせず、そういう恐ろしい時代のあったことを聴いている。この2つの講座を聞いてよかったことは、アメリカ理解にしても、今までなんとなく現在風のアメリカ理解が先にきてしまうが、イギリスからうけついだ慣習法が19世紀いっぱいアメリカを支配していたことがわかる。それは厳しい家父長制である。女性の権利などはまったく無視される。日本の封建制度と同じではないかと驚いてしまう。今、日本でワーキングプアが問題になっている。奴隷制度とはアフリカ大陸から騙して拉致してきた黒人を物的財産として家畜のようにトウモロコシなど粗末な食物を与えて、それ以外はまったくタダで働かせた労働制である。これで奴隷所有者はいかにべらぼうなもうけを上げたか。民主主義とか人権を尊ぶアメリカはこのはずべき奴隷制度をやめなかったならば、国家の矜持というものを持ち得なかったであろう。南北戦争というあれほどの犠牲を出してでも、やるべきことはそこにあったわけである。われわれが本当に知恵をつけるとすれば、やはり単なる本読みだけでなく、あるテーマに対して相当深く勉強しないと、物事の根源がわからず、知恵はつかないだろうと思った。やはり大なり小なり研究者になることが、物事を見る目を研ぎ澄まさせるのであろうと思う。
2008/05/21
沈教授は中国の沈没をいくつかの条件をあげて論じたが、一番の問題はエネルギー危機と地域格差の問題であろう。早番、原発の建設を大規模におこなうか、地方開発を大々的に行わざるをえなくなろう。高度成長がどうして起こるかは、日本の例をみても、農村出の低賃金労働者が大量に工業社会に吸収されて搾取されること、物欲が旺盛な大量の消費者がいるときに起こる。昭和30年代はじめに高度成長が起こったときはまさにそのような条件が日本にあった。東北の農村から金のタマゴといわれた大量の中卒者が東京になだれ込んできた。当時の大企業の大卒初任給は1万2千円程度であったが、中卒は7千円程度、私などは1万6千円もらっていたから気の毒に思っていた。高度成長は時々停滞はあったものの昭和46年の第一次石油ショックまで約12年間つづき、平均10%前後で経済が成長しつづけた。当時の消費者は物欲が旺盛で、新製品が出ると争って買った。高級な商品を買うことが豊かになることであった。昭和40年はじめ、大卒10年目の月給が8万円か9万円だった頃、サラリーマンは無理して70万円の新車を買ったり、10万円のゴルフセットを買ったりした。前途に希望があるときは、身分不相応の買物を平気でする。何とかなると思っている。5万円くらいのカメラはすぐ買ってしまう。大量生産する企業はもうかるはずである。今の中国のマーケットは高度成長の条件があり、市場は日本の10倍もあるから、たとえばベストセラー本などは4,5千万部も出る。企業と高級サラリーマンはもうかるはずである。したがって大都会の経営者や労働者は豊かになる。ニセモノ、低品質の商品でも作れば売れるから、それさえも経済成長に貢献する。ただし持続的に成長するためには、たえず地方の低所得層に分配を厚くして購買力をあげていかなくてはならない。低賃金を強みとした輸出を盛んに行って仕事を創出していかねばならない。周辺国をまきこんでいかねばならない。中国としてはあと10年くらい今の成長が続いて、インフラを整備し、住宅建設を行う需要を作り出していけば、近代化への離陸が実現すると思っているだろうと思う。とにかく10億人以上の人口がいる国の近代化は前代未聞でなかなか想像できない。私は人口が多いことはマイナス要因であると思っていたが、最近はプラス要因ではないかと思うようになった。
2008/05/20
沈才彬教授の講演 中国の経済はどうなるか沈教授は、中国の経済成長は今後どう持続可能か、という予測を行った。沈教授の著書は「中国沈没」とタイトルであるが、沈没のケースとして次のような契機が考えられるとする。1つは政治闘争の激化による沈没。たとえば文化大革命の失われた10年間2つ目は、エネルギー危機による危機。3つ目は、アメリカの不況に引きずられることによる沈没。4つ目は、失業率増大による沈没。5つ目は、民主化問題による沈没。6つ目は、バブル崩壊による沈没。7つ目は、国家崩壊による沈没。これはチベットとか新彊省、台湾、内蒙古などの独立による沈没である。では、いつ沈没が起こるか。四川省では深刻な災害が起こったが、幸い都市部は破壊が避けられたので打撃は局地的にとどまるので沈没は起こらない。今年は北京オリンピックがあるが、五輪後の景気については、1988年のソウルオリンピック後の韓国のケースが参考になる。韓国の五輪後の経済の落ち込みは10%程度であったので中国もその程度でおさまるだろう。したがって経済成長率は10%、来年が8%程度とみている。このまま2010年の上海万博まで9%程度で移行する。それ以後は2013年に政権交代の時期になり、胡錦濤以後の権力闘争が起こる。こういう年は事件が起こりやすい。この頃は中国は日本を超えてGDP世界第二位の国になるが、資源争奪の戦いとなり、アメリカはライバルをたたき始め、バッッシングが起こり、懸念材料となる。最後に、日本の中国との間のビジネスチャンスであるが、1つ目は、日本製品のデザイン、品質、省エネ技術が売り物になる。環境、省エネで日中が経済協力することによって緊密に結びつく。2つ目は、中国では都市化が急速に進展し、毎年2千万人が農村から都市に移転している。この結果、都市の住宅需要が継続し、セメント、鉄鋼、木材などの素材が動く。やがて農村人口55%、都市人口45%になろう。3つ目は、中間層、富裕層が急増しており、彼らが日本製品の買手になる。中間層は年収が日本円換算で百万以上800万までで八千万人いる。八百万円以上が富裕層で、日本の高級車などはあっという間に売れる。中国産米の20倍も高いコシヒカリ、ヒトメボレなどの日本米を食べている。日本に旅行して銀座で買い物を楽しんでいる。中間層、富裕層あわせて日本の人口くらいいる。中国の宿痾(どうにもならない病気)は賄賂の横行である。腐敗の腐の字は政府の府が肉によって支えられている。昔は肉は貴重品だった。今は肉の代わりに金と女である。今後の日中関係は不健全なナショナリズムの応酬から成熟した、相手の立場も考えるナショナリズムに移行しなければならない。私は日本に永住を決めた中国人として、日本の将来の使命として、日本はアジアなくしてはメシが食えない時代、最大の輸出先は中国になったのであるから、揚長避短、つまり技術力、ブランド力、新しい付加価値をつくる力を伸ばし、コスト高や人材不足を避けて、アジアに将来を展開すること、アメリカとの協力もつづけ、親米睦中が将来のキーワードである。(おわり)
2008/05/19
昨日、多摩大学リレー講座で沈才彬氏の講座を聞く。実によくまとめた名講演であった。用点を列記すると、21世紀に入ってからの世界潮流は、アメリカのイラク戦争が間違いであったことの認識による脱9.11、および中国の台頭である。中国の台頭を卑近な商品生産にみると、携帯電話保有数は現在5億2千万台、日本の1億台の5倍である。それでも普及率は40%。沈先生が来日した1989年はたった1万台であった。自動車は1989年の時点では高級幹部のみの使用であったが、2006年の販売台数は870万台、うち乗用車は500万台、日本の530万台をオーバーしてしまった。それでも普及率は4,5%である。株式は2007年の時価総額は4兆6千億ドルで世界第4位。企業ベスト10内に中国の会社が4社も入った。20年たらずのうちにこんなことになるとは世界の誰も予想しなかった。中国はアメリカとともに世界経済を引っ張るエンジンになっている。しかし、中国の台頭は世界に2つの大きな影響を与えた。プラスの影響は、鉄鉱石67%、粗鋼62%、アルミ56%、石油29%の増産は中国の貢献による。マイナスの影響ももちろんある。それは国際価格の撹乱で、鉄鉱石、鋼材、石油とも5年で価格が5倍にはねあがった。次に環境破壊がある。これは日本に酸性雨をもたらし、黄砂をもたらした。中国が今抱えている問題と政策は、チベット問題にみられる民族対立、格差問題、持続可能な成長と調和のとれた社会の構築である。格差は貧困層と富裕層の格差、都市部と農村部の格差、内陸部と沿岸部の格差が著しい。貴州省と上海の格差は10倍にも達した。これらの問題を解決しつつ、内部対立を増大させず、持続可能な成長、調和のとれた社会構築が今後の重点政策である。次に国民一人当たりのGDPが2000ドルに達すると、民主主義化への勢いがついてくる。共産党の1党独裁が崩れ、見えてきたのは社会民主主義的な方向への変質である。すでに私営企業家が入党できるようになり、物権法により不動産など私有財産が保護されるようになった。法律による政治がおこなわれつつある。こういう構造の変化も経済構造の大転換によるものである。国有企業は7千万人がリストラされ、私営企業に吸収された。沈教授は極めて流暢な日本語で、ユーモアを交え、大変な話巧者である。つづきはまた明日。(つづく)
2008/05/15
ミャンマーにつづき、中国四川省の自然災害は痛ましい限りだ。おびただしい人が不幸に遭っている。思い出すのは1976年の唐山大地震で24万人の人がなくなった。当時は冷戦中でほとんど惨状は報道されなかったので、日本人は知らなかった。80年に天津に行ったとき、道路のいたるところに堀っ立て小屋のようなものがまだ残っていて難民が住みついていた。もと私が住んでいた旧日本租界の家は東京建物が建てた頑丈な造りであったので倒壊はまぬかれたが、地下室も入れて合計7つある部屋に6所帯が詰め込み、それぞれの部屋に6,7人の家族が住んでいる有様であった。私の前の家はあとかたもなく消えていた。これは現地資本が建てたもので、そういう建物は一切倒壊した。天津は1939年に大洪水があり、そのときも大きなビルがいくつも倒壊した。鉄筋を使用せずにレンガを積んでいくが、レンガとレンガの間に低質のセメントを少量使っていたため、それが水に浸かってゆるみ自壊したのであった。中国には活火山がないから、地震はないと思い込んでいたので、地震を想定した建築基準などはなかったと思う。それで不意打ちの地震で被害が甚大になった。四川省の地震は45秒の間に瞬間的に起こったという。古い建築はほとんど地震に無防備であったろうから、あっという間にレンガ積みの家が倒れたのであろう。そういう建築が地方いたるところにあるから、これからも大きな地震があると同じような被害が起こる。大都市のビルだけでなく、地方のおびただしい建築を建て直していくのにあとどれくらいの年月を必要とするだろうか。四川省というところは行ったことがないからわからない。成都に行った人の話では大変に活気のある大都会だという。このまえ見た「長城哀歌」という中国映画で、長江のダム工事に四川省からの出稼ぎ労働者が登場する。その労働者はその前に四川省から黒龍江省まで行って働いていた。それくらい四川省は貧しい出稼ぎの地方なのであろう。そういう街が被害に遭った。死者に哀悼の意を捧げる。
2008/05/15
昨日月曜日は外語大に行って金井教授のアメリカ大統領制の講座と佐々木教授のアメリカ南部の奴隷制度の講座を聞く。この二人の授業は対照的だ。金井教授は水道から水がほとばしるようにしゃべる。佐々木教授はスクリーンに大きく写真を出し、よくイメージが湧くように小説の場面を一読むかのようにゆっくりとしゃべる。授業がおわったときに個人的に質問をしたら二人とも親切にぴったりした答を返してくれた。私がこの講座をとった目的はこうした教授たちと親密に質問できる関係を作りたかったわけで、この目的が満足されてうれしかった。今後もうんと聞きたいことを質問しようと思う。今週の週刊朝日を買ってよむ。平成皇室の特集。どうしてこんなマスコミはひっきなしに皇室、とくに雅子妃をターゲットにするのだろうか。16人がコメントしているが、いちばんピンときたのが冒頭の精神科医の斎藤環氏の話で、要するに回復には海外脱出しかないという。あとの人は周辺的なあれこれで、だいたい雅子妃をバッシングしている。私は、雅子妃はとどのつまりは、皇室に嫁いだのがまちがいだったと結論する。雅子妃は宮中祭祀にでるとぐったりとして疲労がでて病気になってしまうのだとある。つまりいくら無理しても嫌なものは嫌で、体が拒否してしまうのだと思う。こんなことをつづけていたら生殺しではないか。世間では離婚などは当たり前になっているのだから、皇室も離婚があってもおかしくない。なんで識者でそういうコメントをする人がいないのだろうか。次は、福岡政行氏の総選挙当落予想。福田首相の下でやったら完全に与野党逆転、麻生首班に代わってやったら、ほぼ互角。しかし、この予測はプラスマイナスの誤差の範囲が17,8%もあり、こんな予測は予測といえるのだろうか。とにかく早く政権交代してほしい。麻生氏などがでてきて無駄な時間をかけてほしくない。メンバーが変わらない限り日本は変わらない。もうひとつの読み応えのあるのは田原総一朗と丹羽宇一郎との対談である。丹羽氏の歯に物を着せない発言はすがすがしい。地方分権を一気にすすめて、中央官僚の間接的な地方政治支配を絶ってしまうことだ。
2008/05/13
川崎シネマズに行って「ジェイン・オースチンの読書会」を観る。重厚な19世紀のイギリス社会の描写を期待して行ったが、これはアメリカ映画で的外れ。筋だては、ジェイン・オースチンの小説好きの数人の女性が読書会をつくるが、その中に唯一の男性がまじることから、展開があるという話。平和な世の中の平凡な有閑主婦たちの生活の一面を描いたものであった。いかにもしゃれた映画だが、私は映画に何らかの吸収目的をもって見に行くので、(たとえば19世紀の英国中流社会のイメージを感じたい、など)場違いな感じであった。登場人物の一人、高校教師のブルーディに扮する女優の熱いまなざしがいかにも教師らしく真摯で、魅力的だった。私はジェイン・オースチンの「高慢と偏見」はついぞ読まなかったが、この映画では「高慢」が「自負」になっている。読んでいないので、どちらが適訳かしらないが、私はイギリス人の誇り高き「高慢」と堕すべき「偏見」はよくイギリス人の性格を物語る表現だと思っていた。シネマズ川崎というシネマ・コンプレックスのあるラゾーナ川崎は西口にできた新しい商業施設。東口の雑多猥雑だが活気がある庶民的な商店街とは好対照をなしている。私のような世代は東口の猥雑感が好きだ。かつて付近の工場から吐き出されたおびただしい労働者たちが毎夜ここで買物をし、飲み食いをし、高歌放吟し、悲喜こもごもの人生模様を送った街である。一方は若い人たちの明るくしゃれたラゾーナ。川崎自体が煙モクモクの第二産業の雄であったイメージから西地域の文化的イメージに大きく変わっている。
2008/05/11
多摩大学リレー講座酒井啓子外国語大教授の話を聞く。私が去年外語大で聞いた話とほとんど変わらない。外語大のイスラム関係講座ではいろいろな専門家が出てきたが、「テロ」という言葉をつかった人はいなかった。酒井教授もイスラム地域のいろいろなところから集まってきた人たちがパレスチナやイラクの困っている人たちのための援助しているという表現であった。アメリカの著名な国際政治学者の間でも、テロというのは軍事力が弱小な勢力が軍事的に圧倒的な敵に対して用いる戦法で、どこの国でもそういう状況においては歴史的に用いてきたという認識である。暗殺という手段も卑怯な方法という認識はないようである。今日のイントロでは、イラクでは夏には60度という暑さで、戦争前はエアコンなどが豊富に発達していたが、今は電気が来ず、水の補給もなく、失業者は半分以上に達し、すでにこういう状態が5年以上つづいて、極限的な状況にあるということを述べ、そこから現地の人たちの心情を想像してほしいということをまず述べられた。論点は、イラクの人たちはフセインが倒されたら、1年以内にアメリカの力でインフラが再建され、経済が復興するだろうと期待していたが、すでに5年以上も、この先もそういう望みがなくなり、アメリカはイラク人をいじめるために来たのではないかと思い始めている。しかも石油収入は旧に復しているのに、その金が一向にイラク国民のためにまわってこず、アメリカ軍の駐留費に使われているのではないかという疑惑、かといって一方でイラクのマリキ政権はイラン寄りの人たちで構成され、そこからイランに圧倒されるのも困るというアンビバレントな状況にいる、ということであった。酒井教授は今後はイスラム化がますます進むとまで言って、それ以上は予測されなかった。アメリカはどこでも最初は歓迎されるが、アフターケアがまったくなされないので、民衆の失望をかうということである。アメリカのイラン攻撃はあるかというと、私はないと考える。これ以上の混乱を中東で作り出すのは得策でないとアメリカ自身が判断するようになるからである。イランにしてみれば、中東全体にみなぎった反米的な状況は黙っていても、熟柿が落ちるように自国に有利であるから、アメリカに攻撃の正当性をつくらせぬまま、のらりくらりとかわして、イスラエルの核に対抗するための原爆施設をつくってしまうであろう。問題はアラブとイランがどうなるかであるが、水と油はまざらないでも、アラブ系の武装勢力とイラン系の武装勢力がどう折り合いをつけるかできまるのではないかと思う。
2008/05/09
65歳以上の高齢者の医療費が全体の半分、後期高齢者医療費が全体の3分の1の10兆円である。つまり、ごく自然のなりゆきで、人間は年をとって長生きすればするほど老人性疾患というか、ガタがくる機能障害がでてくる。医学の進歩によって死なないですむようになったら、病気が出てきたという当り前なことである。20年前は高齢者は全体の7%しかいなかったから、現在のようになるとは、官僚は想定しなかったわけである。だから官僚は医療費を抑えるために、老人に早く減ってもらいたいと本音で思っている。つまり老人はネガティブなのである。だから後期高齢者にも10%の1兆円の負担をお願いし、年金からさっぴくという措置をとった。一見もっともらしいが、もっと思慮のきく自民党の政治家のいた時代なら、待ったをかけたはずである。それが2世の時代になってからダメになった。これで自民党政治はおわりである。高齢者は自民党の支持層で、自民党は高齢者や農民、中小企業、小商店主などの世俗的なおじさんおばさん層にはさじ加減を甘くして、つまりほかでコストを吸収させて、票をプールしてきたのに、そういうお得意さんの顔をつぶすことが徐々に進行し、小泉内閣時代になって一気に放り出した。小泉内閣で300議席以上取ったというものの、それは一時的な国民の錯覚による成功にすぎない。医療費増加で困っている老人は元中小企業や小商店、農民などの出身の人たちが多く、この人たちは現役時代も弱者として疎外されてきた上、年取ると、こんどは医療費を食う厄介者という扱いである。つまり一貫して弱者は行政の歩留まり外という扱いである。一部の成功者を褒めたたえて、弱者の面倒はみないというのは、アングロ・サクソン流の価値観で、日本の古代からの価値観とは違っているのに、いつの間にか朱に交われば赤くなってしまった。そういう枠組みはいよいよ破たんに近づいている。今、世間の声は1兆円くらいの金は老人から取るな、そういうのは日本の伝統にもとると言っているのである。これは父祖からの価値観だと言っているのである。老人は本当にネガティブなのか考えてもらいたい。だれでもやがて老人になる。老人が増えて医療費が増えたなら、医者、看護師、介護師の雇用が増え、医療産業、医療技術が発達し、結構なことだとなぜ発想を切り替えないのか。ただ、金の出所が財政というだけの問題ではないか。
2008/05/07
ノラ猫物語り 完去年からノラ猫とつきあっていろいろ知るところがあった。わが家の狭い庭にいろいろなノラ猫、飼い猫が訪れる。お馴染みのもいれば、たまに来るやつもいる。また新顔もいる。どうやらノラ猫たちは住むエリアがきまっていてその中を餌をもとめて巡回しているようだ。庭に餌を出しておくと、かならずそれを目当てに誰かがやってくるのである。おそらく餌のポイントがきまっていて、そこを回れば何かにありつける猫マップがあるのであろう。よく観察すると、ノラ猫とはいえ、けっこう太っていてガツガツしていない。ではそのエリアはどのくらいかというと、まあ、想像であるが、2キロ四方くらいかな、と思う。冬の寒さでノラ猫は死ぬのではないかと思っていたが、防止協会のおばさまによるとマイナス15度まで猫は耐えるそうだ。東京の冬はマイナス5度がせいぜいだから、冬を越せないノラ猫はいないという。さて、ノラ猫のブログ4まで書き終えた翌日のことである。なんと我が家の庭にアメリカン・ショートヘアの素敵なオスが現れたのである。いちおう落し物扱いで交番にとどけたら、首輪をしていなければ所有者なしとみて飼ってもいいでしょうという。それで我が家で飼うことにした。いったいどういう経緯で我が家にきたのか謎である。やせ細っていて、餌を与えるとがつがつ食べたところによると、相当期間食べていなかったらしい。密室で飼われていたらしく、土とか草とか植え込みなどが珍しくてたまらないらしく何でもくんくん嗅いでいる。そこで推理したところ、逃げだしたか、あるいは私のブログを見た人が近くまできて捨てていったのか。元飼い主はどんな人だったのだろうか。仔猫からかわいがって育てた気配があり、どうやら独身の女性ではないかと想像した。長く部屋を空ける人が、猫がマンションの密室の中で自分で餌を食べられるように仕掛けのようなものをしつらえ、それで猫はカリカリの餌を食べる。水道の蛇口から細く垂れた水をなめるように飲む。トイレもちゃんとする。その元飼い主がなんらかの事情で飼えなくなった。たまたま私のブログを見て、住所を調べて、自動車でそばまで来て、そっと置いていった・・・・。あるいはもっと推理すると、不幸な出来事があって、たとえば離婚。家を出て、かわいがっていた猫とも泣きの別れ・・・思い出すのはオードリー・ヘップバーンの「ティファニーでお茶を」のオードリーがパリの町かどで愛猫を探し求めるシーン。あれはよかったなあ・・。とまあ、これは推理のしすぎですかな。5月にきたのであるから、メイと名づけた。あっという間に定住して、今日も私のベッドで終日丸くなったり、長くなったりしている。
2008/05/06
勝間和代さんの「新・知的生産術」を読んだ。この人は一日に1、2冊本を読むとか、毎日自転車で30キロも走るとか、公認会計士、アナリスト、コンサルタント、をやっているとか、英語にやけに強いとかで超人的な天才かと思っていたが、内容は私が一連の知的生産の技術本で読みなれてきたことと同じである。新味はITなどの機器やインターネットの活用などを自由自在にあやつる力があることである。頭が非常にいい人であるが、天才ではなかった。エイボン女性大賞を史上最年少で得たり、世界でもっとも注目すべき女性50人に選ばれたのは、働く女性5千人が入っている無料オープンサイト「ムギ畑」の業績であろう。ただ、この人はこのことに触れたり、誇ったりしないのは見上げたものである。この人がこれほど生活感覚がよいのは、「ムギ畑」の長い間の社会貢献活動があるからで、これが一方のビジネス活動のバックボーンになっている。私の世代とちがって用語が英語であるが、これを言いかえれば、同じことを考えているのがわかる。たとえば、フレームワーク力は、枠組みづくり、全体の視点、全体知であろう。ディープスマート力というのは、経験知、経験からくるカンのことだとおもう。この人のおかげで、再び知的生産の技術のブームの兆しが見えてきた。ありがたいことである。
2008/05/05
休み中に3冊たてつづけに本を読む。1冊目は副島隆彦氏の「連鎖する大暴落」。この人は、小室直樹に師事したというが、小室直樹の再来だと思った。 アメリカのある筋の情報源をつかんでいるらしく、信ぴょう性を感じさせる本である。サブプライム問題はまだまだひろがり、金融恐慌の一歩手前で、国民を救済する大徳政令をうち、「ドルをヘリコプターで撒く」荒療治をやるという。結果は、ドルの暴落でアメリカのドル覇権は終焉するという説。アメリカの次期大統領はオバマに「決められている」と言う。この人は筆に自己規制を一切入れないので、発言が奇矯、過激と思われるが、案外あるすじでは当たり前になっていることではないかと思う。この人のセミナーを6月20日(金)夕方東中野のテラハウスで開くことにした。知研のHPをみてください。http://www.tiken.org/2冊目は吉越浩一郎氏の「残業ゼロの仕事力」。リトリンプ・インターナショナル・ジャパンの社長だった人で、友人の仙波純氏の同級生というので興味をもった。奥さんがフランス人で絶対に残業を許さなかったため、会社も残業なし経営をつらぬいて成功させたというのが面白い。残業をなくすためには、せっぱつまってやらせるための「デッドラインを決める」、のが秘訣とある。共感したのは、ワイワイガヤガヤの会社は一見活力があるように思われるが、それはうそで、会社は静かな環境でないと仕事に集中できないから、残業が増える、ということだ。私は十数年前、小川明氏の「感性革命」を手伝ってつくったことがあるが、このときは、会社というところは「整然」「一糸乱れず」「キチンとしている」という雰囲気の会社は、アイデアが出ない、活力があがらない、つまり「ぐにょぐにょ」している方がいいと言った。吉越氏は、日本の会社は互いの会話が多すぎるから、それで集中力をそいでしまっている、社員が個室で仕事すれば何倍も能率があがる、と言っている。コミュニケーションはすべてトップダウンをつらぬく、軍隊式でやるべきである、というのは、いろいろ試行錯誤をへてきた時代の流れであると思う。最後の勝間和代「効率が10倍アップする新・知的生産術」は、また明日書きます。
2008/05/03
ノラ猫というのは、やはり野生動物だ。人間になかなか慣れない。一日中、ワードローブの高い所に陣どって下りてこない。 夜中の3時か4時ころがいちばんの活動期なのか、せかせかと部屋を動き回って鳴きやまない。眠れないで困ったわけである。これから先、寒い冬、お前はどうして過ごすんだ。暖かいうちで飼ってやるんだぞ、ぬくぬくと暖かいところで丸くなっていられるんだぞ、メシの心配もいらないんだぞ、だからもっと大人しくしろ、といくら言い聞かせても、猫には通じない。ある日外出から帰ってくると、いるはずのイケメンがいない。部屋は完全に締め切ったはずなのに、忽然と消えてしまっている。どこかに脱出口があるのかと、箪笥の引き出しまで調べた。まさかこんな所入れるはずないだろ!と思いながら。だが、押入れのふすまが10センチほど開いているのが目に入った。ふすまを開けてみると、書類の上に猫の踏んずけた跡。私の押し入れの上の段に手作りの書棚があり、その上に天井板がややずれているのが見えた。わかった。やっこさん、書棚の上に上がって頭で天井板を持ち上げてここから天井裏に侵入したことが判明。さっそく懐中電灯で照らしてみると、いたいた、奥の方で2つの目が光っていた。天井裏はかなり広い。どうして彼を追い出すか。最悪の場合は上がって奮闘するしかないか、と思ったが、あまりにも自分の滑稽な姿を想像していやになった。天井を行き来する音がうるさい。まったく名案がうかばないまま、とうとう2、3日が過ぎた。ある夜半、うつらうつらしていると、ドサッという音。何事と思って闇を透かしてみると、黒いものがさっと動き去っていくのがみえた。今だ!と思って押入れのふすまをしめ、書棚の上に板やらなんやらを積んで天井裏への進入口をふさいだ。退路を断たれたと悟ったユウチャンことイケメンは唸り声を発している。しめしめ、こちらの勝ちだとほくそ笑んで、眠りについた。夜が明けた。イケメン君、お早うと見に行くと、忽然として消えてしまっている。いったいどこから消えたのか。やっとトイレの窓から逃げたことが判明した。すべて努力は水の泡。それから3、4日間は失望感でぐったりだった。あの猫、不案内の場所で道路で車にでもひかれていないか、近くを探して回ったが、行方は杳として知れなかった。ところが、それから間もなく元の位置に復帰していたのを発見したのである。よく道を間違えずに帰れたもんだと感心した。まったく悪ぶれずに餌をやると寄ってくる。何事もなかったように。こうして私とイケメン君との関係は2週間ほどわが家に滞在してもらっただけで旧に復したわけである。
2008/05/02
ノラ猫物語り 3 ユウチャンを連れてきてからが大変だった。しかし、檻の中に入っている彼は観念したのか、じっと動かず、鳴き声ひとつたてない。さっそく捕獲成功と、防止協会のおばさまに電話した。「これから馴らすまでどうしたらいいですか?」「それは大変ですよ。すくなくとも1カ月、長くて3カ月、忍耐ですよ。なにはともあれ、すぐ動物病院に連れて行って避妊手術をしてもらいなさい」ニ三度行ったことのある親切で人気のあるT動物病院に問い合わせた。すると、なんとオスの避妊手術でも42000円かかるという。エーッとなった。「やはりしなくてはだめですか?」とおそるおそるおばさまに電話した。「だめです!」と一喝。「どうせあんたのところは外出自由にするんだろうけど、オス一匹ほっつき歩くと、1年に40匹の不幸な仔猫ができるんだよ。それでもいいんですか。そういう事態を未然に防止するためにうちの協会があるんだからね」そのために全国に支部があり、ノラ猫を飼い猫にする運動を進めている。ノラ猫を地域猫と呼んで共同で飼っている世田谷のグループもあるようである。しかし、そこはおばさま、「府中の会員のSさんを紹介するから、その方と相談しなさい」と教えてくれた。家内が別のルートで聞いてきたのは、府中にあるNPOの動物病院。ここなら安いと。電話をしたら8000円でOKですと。何という格差!早速持っていって1泊入院でしてもらった。ウイルスを検出したというのでカゼのワクチンも注射もしてもらった。体重を量ったら6.5キロもあった。 それからユウチャンを外に出さないように厳重に封鎖して、同居を始めたが、大変だった。高いところにあがり、ワードローブから書棚の上を転々と上り歩く。あるいはベッドの下に入り込む。脱出口はないかどうか、部屋中を歩き回る。不安なのか、餌はあまり食べない。不思議なことにトイレはちゃんとつくってやった人工砂の上でした。「ずいぶん利口な猫ね。一発ですぐ覚えたんだから」と家内はベタボメだ。しかし、夜中じゅうニャーニャー鳴かれて、眠られぬ夜がつづいて、私はすっかりまいってしまった。
2008/05/01
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