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内閣府の「高齢社会白書」の今年度版でも明らかになったのは、7割以上が「お金に心配せずに暮らしている」という現実なのだが、下流老人になりやすい人の兆候は40代からすでに表れているというため、それを知ったうえで行動すればまだ対策があるというのだ。ある雑誌の投稿記事では「今は51歳で11月の誕生日で52歳になります。20年前は30歳を過ぎたばかり、これから20年後には70代になっています。あと20年で70って思った途端、やたらと将来にリアリティが出てしまったんです。でもどう変えればいいのかが曖昧で。自分でも何が正解なのかわからないんです。生活費は月10万円程度。世の中、なんやかんやいってデフレだから、安いものはたくさんあるので十分やっていけます」という告白が載せられていた。 年金受給年齢はこれからも引き上げられそうだし「大丈夫か」という気分になり、ポジティブ思考だったバブル世代でさえ将来への不安を抱くようになってしまい、「負け組になりたくないって思うから、余計に不安になるんだよ」ということのようなのだ。もっとも「負け組」とか「勝ち組」とかいうのは周りからの評価でしかなく、周りと比べないでもっと自由に自分の価値観だけを頼りに生きていけば自分次第でどうにでもなるというのだ。誰かが喜ぶようなことを自分ががんばってやりさえすれば頑張った分だけ満足感を得ることができ、「ちゃんと報われるんだよ」ということが大切だという。派手に暮らしてるわけででもなく贅沢しているわけでもないけど、自分の価値観がわからなくなってしまった人が多いという指摘がされている。 この矛盾は「すべて相対的価値に起因している」と解釈すれば説明がつくそうで、問題なのは「自分が相対的価値観に翻弄されている」ことに気付かないことだというのだ。これまで「カネ、カネ、カネ、競争、競争、競争」の世の中に散々疑問を呈してきたことから、「周りと比べるな」とか「自分を信じろ」とことあるごとに言われてきたが、これからは「成長する社会より、成熟する社会へ」という言葉を聞いて誰もが「そうだよね」と安堵するようになるべきだというのだ。だがそのためには私たち自身が成熟しなきゃダメだということみたいだ、「周りと比べてるなんて無意味」と考え、絶対的価値観だけで生きていけるほど成熟していくことが、お金を心配せずに暮らしていけるということの近道のようなのだ。 市場経済ではおカネが絶対的な価値を持つものであったとしても、人間にとっては人それぞれに価値のあるものが存在し、その絶対的価値あるものに向かっていくことが無用な不安を払拭する。ひょっとするとその「絶対的価値」を持てないこと自体が、現代社会の問題かもということのようなのだ。家族がいればなおさらのことで自分では「生活のレベルと落としてもいい」と思っても、それを簡単には許さないということも不安を増殖させる。下流老人や老後破産という新しい言葉が生まれるのはそういう現象が社会で増えているからだし、一回でもつまずくとやり直すのが難しいことも事実で、特に一回でも病気になると働くのが厳しい今の社会構造は変えるべきだということが本当に必要なことのようなのだ。 博報堂生活総合研究所が行った調査では欲しいものは「お金」と回答した人が40.6%となり、「幸せ」の15.7%を大きく上回っているというが、下流老人に直結する家計の3大共通点は「生活費の3か月分の預金を常に確保できていない」・「月収の3割以上の借金がある」・「病気リスクが高い」人だという。生活に困窮するいわゆる「下流老人」が増えている一方で、悠々自適な日々を過ごす人たちも多いという世代に生きる私たちにとって、が、絶対的価値を持つことが不安から脱する最大の武器になることは間違いないというのだ。崖から飛び降りたときは多少のけがをしたり痛い思いをしたりするかもしれないが、それは真の自由を手に入れることであり、幸せな人生を全うすることでもあるみたいだ。
2016年07月31日
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富める者と貧しい者との間の所得格差が極限まで開き、移民の増大が既存住民の職を奪い社会を不安定にするということで、政治エリートは中低所得者層に配慮した政策を何も打ち出せていないという。どう見ても泡沫でしかなかったはずのドナルド・トランプ氏の米大統領選の共和党候補選出の裏には怒りが満ちており、世界経済の潮流となってきた新自由主義が曲がり角にきているという大きな変化ではないかとさえも言われているのだ。確かに格差は開いているというとおり米国の労働総同盟・産業別労働組合会議によると、主要企業500社の労働者に対する最高経営責任者の年収倍率は1980年に42倍だったが、2014年には373倍に拡大し想像もつかないほどの格差の広がりをみせている。 そしてその上に低賃金でも働く移民に職を脅かされると恐怖心を抱けば、トランプ米大統領選共和党候補のぶち上げる「米国とメキシコの国境に不法流入者を防ぐ強大な塀を築く」といった極端な主張にも中低所得者は「YES」と叫んでいるというのだ。福祉・公共サービスなどの縮小だけでなく公営事業の民営化に規制緩和などを柱とした新自由主義は、1979年に英国でマーガレット・サッチャー政権が誕生して以来、1981年に米国でロナルド・レーガン政権が誕生して以後には世界経済を本格的に動かし始めたとされている。新自由主義の根幹は経済を政府の介入よりも市場に任せる市場原理主義で、この中で企業は当然、よりコストが低く収益機会のある場所を求めて動くからグローバル化が進むとされている。 このようにグローバル化が進めばより多様でより安価な財とサービスを各地で購入できるようになるとされ、金融の自由化を初めとした規制緩和で世界規模の合併・買収も活発になるとなれば、地域や産業によっては今まで売れたものが売れなくなり、職場が突然なくなるといった激変が日常茶飯事になるというのだ。移民の流入は人の移動の自由化という点で同じ文脈だからやはり地域や産業に大きな変化を起こし、当然ながら全ての人が等しく恩恵を受けることはできないから、メリットを享受出来る人とそうでない人の間に明らかに差が出来るというのだ。一般労働者に対する最高経営責任者の年収年収格差42倍から373倍への拡がりは、その結果を示しているというのだ。 トランプ米大統領選共和党候補の推進派はその「置いていかれた側」の膨張に目を付けたと言われているが、大統領選の民主党予備選で有力候補であったヒラリー・クリントン米大統領選民主党候補を追いつめたバーニー・サンダース上院議員を押し上げたのも同じ層である。訴えるのは「自由貿易の制限」であり年金の維持を初めとした小さな政府志向に対しての改変であり規制の強化である。これは共和党なのかと思わせる程に置いていかれた側に的を絞って極端な政策を打ち出したことがトランプ米大統領選共和党候補の成功をしめしている。金融規制強化を唱えてているが金融規制の強化は民主党の伝統政策であり、ヒラリー・クリントン米大統領選民主党候補も同様の規制強化を訴えている。 そしてそこに見えるのは従来の新自由主義が壁に突き当たっている姿で、この変化は政治と経済の新たな潮流になるかもしれないというのだ。通商政策も同様で国内の雇用に影響を及ぼすとしてトランプ米大統領選共和党候補は環太平洋経済連携協定に反対し、ヒラリー・クリントン米大統領選民主党候補も「米国の労働者の権利を損なわないことを確実なものにする」と訴えている。大量の雇用を生むインフラ投資にも両者は積極的あるいは前向きな姿勢を示し、 中・低所得者層の不満と苛立ちは明らかに政治を変えつつあるという。大統領選で民主党の勝利となれば共和党は新自由主義をベースにした今までの政策を本格的に見直さなければならなくなるかもしれなというのだ。
2016年07月30日
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私が住む愛媛県伊方町の四国電力伊方原発の重大事故に備え、原発から30キロ圏の伊方町内に整備された七つの放射線防護対策施設のうち、四つの施設が土砂災害警戒区域にあることが分かり、そのうち一つは危険性のより高い特別警戒区域にも入っているという。細長い佐田岬半島の付け根にある四国電力伊方原発は3号機が再稼働に向けて作業中だが、大地震などで原発事故と土砂災害が重なった場合に、屋内退避先として放射線防護対策施設が使えなくなる可能性があるという。放射線防護対策施設は原発事故による放射線から身を守るために一時的に避難する施設で、東京電力福島第1原発事故を受け要介護者などすぐに逃げられない住民に利用してもらうため原発から30キロ圏のエリアで整備が進められている。 伊方町や社会福祉法人が補助金を受けて既存施設の改修や建物の新設により、計約7億3800万円をかけて7カ所に整備しているというが、一定の条件を満たせば国が整備費用を全額補助することになっているそうなのだ。全て鉄筋コンクリート造りで放射性物質を除去するフィルターなどが取り付けられており、このうち土砂災害警戒区域に建っているのは伊方町が運営する九町・瀬戸・串の3箇所の診療所と、社会福祉法人「愛寿会」の高齢者福祉施設「瀬戸あいじゅ」なのだが、串の診療所は特別警戒区域にも入っているという。九町の診療所と瀬戸の「瀬戸あいじゅ」は土石流の危険性が高く、串の診療所は急傾斜地が崩壊するリスクがあるし瀬戸診療所はその両方があるとされる。 これらの区域を指定している愛媛県によると、現在は警戒区域ではない高齢者施設「つわぶき荘」と県立三崎高校や、伊方中央公民館も今後の調査でこれらの区域内に入る可能性があるというのだ。これらの4施設の整備が決まったのはいずれも警戒区域に指定された後で、伊方町などが選び愛媛県が追認したという。伊方町の担当者は「土砂災害も考慮したが、診療所には医師がおり、ベッドがあるなど、退避先として望ましいと考えた」と説明しており、「瀬戸あいじゅ」の担当者も「入所者のために整備したが、警戒区域のことは知らなかった」と話している。愛媛県原子力安全対策課の担当者は「警戒区域にないのが望ましいが、他に適当な場所がなく、仕方がないと考えた」としている。 放射線防護対策施設の整備を進める内閣府も大地震と原発事故が重なる「複合災害」を想定しており、国の補助金で整備する場合は現行の耐震基準を満たすだけでなく、津波の浸水被害を受ける可能性が低いなどの条件を課している。しかし「土砂災害警戒区域を除いてしまうと、整備する場所がなくなる」として土砂災害についての制約は設けていないという。これらの地域は土砂災害警戒区域急傾斜地の崩壊・土石流・地滑りの恐れがある地域について、土砂災害防止法に基づき都道府県が指定するもので、特に危険度が高い地域は特別警戒区域に指定され崩落した土砂が押し寄せると予測される部分を、鉄筋コンクリート造りにするなどの規制がかかることとなっている。 国土交通省によると6月末時点で44万2976カ所あり、うち28万7830カ所が特別警戒区域だとされ、広瀬弘忠・東京女子大名誉教授は「地震時に同時発生する災害としては土砂災害が非常に多い。その警戒区域に原発事故時の避難施設を置くことは考えられない。土砂で道が塞がれ施設にたどり着けるかどうかも問題だ。斜面が多く土砂災害に弱い半島に伊方原発はあり、再稼働しないことが最大の対策ではないか」としている。原子力規制庁広報室も「一般的な規制は最低限。これらの規制は確かなデータを根拠にするもので、それ以上の安全対策は電力各社の自主努力。努力がないと本当の意味での安全は達成できない」と話しているのだが、規制を強化し原発停止を命じる可能性には言及していないそうなのだ。
2016年07月29日
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政府・与党が秋の臨時国会を9月中旬に召集し会期を12月中旬までの90日間程度とする方向で調整に入っているという。安倍晋三首相はデフレ脱却を加速するため、総合的な経済対策を取りまとめるよう石原伸晃経済再生担当相に指示したそうで、事業規模は10兆円を超える見通しだという。英国の欧州連合離脱問題などで景気の停滞懸念が強まっており、1億総活躍社会の関連施策やインフラ整備を通じて内需を下支えするという。対策は月内をめどに策定し裏付けとなる今年度の第2次補正予算案を秋の臨時国会に提出する。今年度の第2次補正予算や環太平洋戦略的経済連携協定承認案などを確実に成立させるため、十分な審議日程を確保する必要があるとしている。 政府は9月12日前後に臨時国会を召集するというが、安倍晋三首相は記者会見で与党が参院選に勝利したことを受け、「あらゆる政策を総動員しアベノミクスを一層加速してデフレからの脱出速度を最大限引き上げなければならない」と述べ、大型の経済対策を急ぐ考えを強調している。経済対策は「1億総活躍」・「インフラ整備」・「中小企業の資金繰り支援」・「防災対策」の4つを重点項目としているが、「1億関連」では若者を対象とした無利子の給付型奨学金などを検討している。「インフラ整備」関連では訪日外国人客の拡大に向けた港湾施設の拡充や、農産物輸出のための施設整備を盛り込むという。また政府が低利で貸し出す財政投融資を活用しリニア中央新幹線の大阪延伸計画を最大8年前倒しする計画としている。 臨時国会では消費税再増税を平成31年10月まで延期するための法改正も必要だが、安倍首相は「20年度の財政健全化目標は堅持する」としており、財源の不足分は余剰資金や財政投融資の活用し、公共工事に充てる建設国債の発行などで賄う方向だ。補正予算編成の指示にあたり安倍首相は「デフレからの脱出速度を最大限に上げ、しっかりとした成長の道筋をつける」と強調している。臨時国会開催後ただちに衆院に2次補正予算案を提出するが、安倍首相はその後米ニューヨークで開かれる国連総会に出席する予定だという。自民党幹部は「なるべく9月末まで、遅くても10月初旬に2次補正を成立させたい」としているが、自民党の谷垣禎一幹事長の党務復帰のめども依然不明だとされている。 少子化による労働力不足などを背景に日本経済の潜在成長率は0.5%未満まで落ち込んでいることから、市場ではデフレ脱却を確実にするにはこうした対策に加え「生産性を高めるための抜本的な構造改革が必要だ」との声が上がる。非正規労働者の待遇改善や解雇規制の緩和といった労働市場改革や、農産物の価格競争力を高めるための生産コスト削減など、既得権益層から反発が強い改革をどこまで進められるかが問われそうだ。通常秋の臨時国会は50日間程度の場合が多く90日を超えれば平成20年以来8年ぶりとなるが、政府・与党が長期国会で臨むのは2次補正の成立後に扱うTPP承認案と関連法案を11月の米大統領選前に成立させる方針だからだとされている。 TPPをめぐって米大統領選で共和党の本選候補が確定した不動産王のドナルド・トランプ氏が「脱退」を主張し、民主党候補指名が確定したヒラリー・クリントン氏も「反対」を表明していることから、政府は新大統領が決まる前に承認手続きを済ませることで、米側に「TPPは不可逆的」とアピールしたい考えだとしている。TPP承認案などは衆院TPP特別委員会で継続審議となっているが、自民党国対幹部は「秋の国会は衆参両院で40時間ずつ、計4週間程度の審議時間が必要になる」としている。これに対し民進党は「農産品重要5分野が守られていない」として審議に抵抗する構えを崩していない。自民党幹部は「今秋の法案は与野党対決型ばかりで、綱渡りの国会運営となりそうだ」と語っている。
2016年07月28日
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佐賀県による国道264号拡幅の用地買収が難航していた問題で、地元のみやき町は佐賀県に代わって地権者から土地を高く買い取る方針を決めた。取得額よりも600万円ほど安く差が県に売却するとしてみやき町議会は拡幅に必要な約400m2の土地の買収や補償の資金として約2200万円の補正予算案を可決したというのだ。道路などの用地買収で地元市町村が差額を補てんするのは異例なのだが、みやき町南部を東西に貫く国道264号はみやき町の交通の要となっているそうで、国道の北側の歩道が約70m途切れている区間があって、かつて佐賀県が拡幅して歩道を整備した際に、北側に面する商店を営む地権者との用地交渉がまとまらず、いったん用地買収を中断していたというのだ。 道路の整備に当たっては町土利用の方向と総合的な調整を図るとともに、周辺の自然環境の保全や景観の整備という観点からも計画的に整備拡充する必要があり、この区間が通学路になっていることに加え定住促進事業の一環として近隣で町営住宅を新設することから、みやき町は2014年度末に佐賀県に対して拡幅と歩道整備の再開を要望したというのだ。これを受けて佐賀県が再び地権者と交渉したものの佐賀県の提示額では合意に至らなかったという。そこでみやき町は佐賀県よりも高額で買い取ることを提案したというのだが、みやき町建設課によると買収する土地は店舗に掛かっていないので、拡幅後も営業への支障は少ないとみられることから用地買収に全力をかたむけるというのだ。 公共事業ではたくさんの土地を同じ時期に買収する必要が多いので、この正常な取引価格を求めるための評価方法としては、大量評価に適した標準地比準評価法または路線価式評価法が一般に採用されている。任意買収というのは「公共用地を当事者の合意に基づく民法上の売買契約の形式で取得すること」とされ、つまり任意買収は起業者と地権者等が平等・対等の立場に立って双方が自由な意思で、公共事業用地の権利の移転等について民法上の契約の形で行われるものなのだ。この場合補償のルールとしては「損失の補償は各人別にするものとする」という「個別主義」をとっており、公共事業に必要な土地を買収する場合の土地の補償金の算定は正常な取引価格によることが原則となっている。 今回のみやき町が負担する土地の補償金額も問題で、当初佐賀県が示した補償額は10a 当り500 万円だったというのだが、10a当り200 万円程度に下げられたというのだ。そこでその差額を佐賀県に変わってみやき町が補填することになるのだが、住民監査請求や訴訟に耐えられるのか十分検討する必要があるというのだ。また地方財政法28条の2は「地方公共団体は、法令の規定に基づき経費の負担区分が定められている事務について、他の地方公共団体に対し、当該事務の処理に要する経費の負担を転嫁し、その他地方公共団体相互の間における経費の負担区分をみだすようなことをしてはならない」と定めていることから、都道府県の行う事業の経費を市町村に負担させることが許されるのか問題だという。 地方財政法27条で定める「土木その他の建設事業でその区域内の市町村を利するもの」に該当するのかも問題であり、これ以外の場合は市町村に経費を負担させることは許されず、都道府県をして自らの望む施策を実施させようと誘導するため、市町村から都道府県への寄付金というような形の経費負担も否定されているというのだ。佐賀県東部土木事務所は約1億3000万円を投じて歩道や仮設の迂回路などを整備する事業を、2019年度までの4カ年で行う方針なのだが、「用地取得で地元市町村に交渉への参加を依頼することはあるが、佐賀県の方から出資を求めることはあり得ない。今回は、みやき町からの強い要望による特例だ」と話しているそうなのだ。
2016年07月27日
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「デザインの力で土木を身近に感じてもらいたい」という、そんな企画者の思いが詰まった土木展が東京都港区の東京ミッドタウン・ガーデン内にある会場で開催中だという。土木の専門家らが企画を手掛け新進気鋭のデザイナーやアーティストの作品約30点を展示するという土木展は、建築家の内藤廣氏が企画に協力し東京都市大学名誉総長の中村英夫氏がアドバイザーを担うっている。ディレクターを務めるのは東京都品川区にある建築設計事務所ワークヴィジョンズの西村浩代表で、西村代表は大学の土木学科を卒業した後に大学院では橋梁研究室に在籍しながら建築の単位も取得し、建築設計事務所を設立し建築家やデザイナーとして活躍しているという。 西村代表の転機は三重県鳥羽市の「鳥羽・海辺のプロムナード」だというのだが、市街地に隣接した防潮堤の拡張に伴う県の遊歩道整備で、行政と住民・地元企業の3者協力で進んだプロジェクトとして後に土木学会デザイン賞を受賞している。その成果を「生活に必要不可欠ながら、普段あまり意識されない土木を、楽しく美しくビジュアライズした。マイナスイメージが先行して批判ばかり受ける状況を打開し、人々が社会や土木のことを考えるきっかけにしていきたい」と話している。土木展の開催期間中にはトークイベントなども開催し「地域の人が何を求めているか」という発想から取り組めば、行政と住民や土木と建築といった境界は意味を失う。「つくること」と同様に「つくらないこと」が最善策になる場合もあると語っている。 これまで関心が薄かったという人はもちろん土木や建設と日ごろから関わりの深い読者にとっても、デザインという新しい切り口から業界を再発見する機会となら展示が多く、展示物には土木を身近に感じられる工夫を凝らしている。例えば展示の序盤に配置した「都市の風景」と題したセクションでは、改造工事が進む東京の渋谷駅や新宿駅などの周辺を描く作品を通じて日常の移動を支えるインフラを意識してもらうという。また子どもから大人まで楽しめる体感型の展示も目立ち、砂場遊びを通じて水のたまり方を体感する作品「土木で遊ぶ:ダイダラの砂箱」では手をかざす高さや砂山の高さをセンサーで感知し、雨が降って水がたまる様子を体感できる工夫がしてあるというのだ。 「つむ:ライト・アーチ・ボリューム」というアート作品では、空気で膨らませたビニールの部品を積み上げてアーチ橋をつくることができるそうなのだ。壁面には土木写真家の西山芳一氏が撮影した土木施設の写真などを展示し土木が扱う対象のスケールの大きさを伝えており、西村氏は展覧会の企画時に「これまで土木業界になかった展覧会をつくる」にこう宣言した。土木のデザインをテーマに開かれた過去の展覧会は「専門家による専門家のための展覧会」だったとされており、出品者だけでなく来場者も建設業の関係者が多く一般の人を呼び込めていなかったというのだ。驚くことに今回土木展に作品を提供したデザイナーやアーティストのほとんどは土木に精通していないというのだ。 作品のコンセプトを決める段階では西村氏や東京大学大学院社会基盤学専攻の教授陣などを含む企画グループの専門家が協力しているが、「建設業の関係者からは『技術的な側面が足りない』などの批判を受けることもあるというが、一般の人たちの目線に立った展示にすることで世間が土木のことを知る入り口を広げられるはずだというのだ。「土木を知らない人たちが専門家との対話を通じて抱いた印象を作品にしてもらった」と展示の意図をこう説明し、土木展のポスターなどのグラフィックを担当したデザイナーの柿木広氏は、ダムやトンネルに「ヒーロー」のイメージを重ねデザインを考えたという。土木展では開催から10日間で約5500人の来場者を集め、土木関連のイベントではあまり見かけない人々が客層を占めていたという。
2016年07月26日
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参院選勝利を受け安倍晋三首相は経済対策の策定を指示し、補正予算案を秋の臨時国会に提出するというのだ。政府が新たにまとめる経済対策の事業規模を20兆円超で調整しているというのだが、当初は10兆円超の見込みだったのを倍増させるというが、政府が過去3年間に行った経済対策での補正予算の規模は3兆〜5兆円程度だったという。株価も順調で景気が大きく悪化したわけでもないのに一気に膨らませるのはなぜかというきょうに説得力に乏しいという意見もある。追加の財政支出は国・地方の合計で3兆円超として、残りは財政投融資や民間事業を積み増してかさ上げするという。これは事業規模を膨らませ景気下支えに本腰を入れる姿勢を示す狙いがあるとみられている。 安倍首相は「アベノミクスのエンジンを最大にふかす」と強調してきたが、規模優先で旧来型の公共事業が目立っており、政府は与党と調整を進め来月上旬にも経済対策を閣議決定して裏付けとなる今年度第2次補正予算案を秋の臨時国会に提出する方針だという。与党内には一層の上積みを求める声もあって規模がさらに膨らむ可能性もあるというが、安倍首相は「世界経済の不透明感が増しており、内需を下支えする必要がある」と説明している。英国の欧州連合離脱問題が大幅な株安・円高を招いたことが背景にあるとされるが、市場は徐々に落ち着きを取り戻しているしリーマン・ショックのような危機にも発展していないうえ、参院選では「有効求人倍率が初めて全都道府県で1倍を超えた」とアベノミクスの成果を訴えている。 事業規模20兆円超の内訳は国・地方の追加の財政支出が3兆円超で、国が低利で民間事業に長期融資などを行う財政投融資が最大6兆円程度とされ、国の補助を受けて民間企業が行う事業が6兆円程度となるという。財政投融資とは別に政府系金融機関が手がける融資が5兆円程度となる見込みで、複数年度にまたがる民間事業を含めることで見かけ上の規模を大きくするということのようなのだ。追加の財政支出の財源は、使途を公共事業などに限る国債である建設国債を1兆円超発行するほか、低金利に伴う国債の利払い費の減少分などで賄う方針だとされている。また英国の欧州連合離脱に伴う金融市場の混乱を防ぐため、政府系金融機関を通じた民間企業へのドル資金融資も行うという。 安倍首相は対策の狙いを「未来の成長の種に大胆に投資する」と語り、子育て支援など1億総活躍社会実現への施策も盛り込むよう指示しているが、少子化対策が進めば国内市場の縮小を食い止める効果も期待できるというのだ。もっとも対策の多くは公共事業で訪日客拡大へ大型船用の港湾を整備するとか、農産物の輸出基地を全国に設置し財政投融資も活用してリニア中央新幹線の大阪延伸を前倒しするという。整備新幹線建設も加速する。追加の財政支出はインフラ整備が主体となり、リニア中央新幹線の大阪延伸前倒しに約3兆円、整備新幹線の建設に約8000億円を充てるというが、民間金融機関が手を出さない無駄な事業に国の資金をつぎ込んでしまう恐れがあるという。 安倍政権のこれまでの経済対策は「国土強靱化」をうたった公共事業や、商品券が発行できる自治体向け交付金が柱だったが、景気の一時的押し上げにとどまっている。今回も成長戦略に名を借りたばらまきに終わる恐れがあるし、なにより財源も乏しく政府の国債を追加発行する方針だけで、一時的な景気刺激にとどまれば借金が積み上がるだけになってしまう。消費増税も先送りし新たな借金を抱える余裕はないはずだし、財投の活用も財源不足のためだが財投は国が借りた資金を民間事業などに投じるというのだ。このほかに政府は失業給付の財源が膨らんでいることから、国が負担していた分を一時的に停止し存在間まで利用することも検討しているそうなのだ。
2016年07月25日
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出荷数量を伸ばし消費者離れに待ったをかけた今年上半期のビール業界なのだが、ビール大手5社が今月に発表した今年上半期の課税済み出荷数量の合計を見ると、ビールは9557万ケースで前年同期から0.4%増えており、ビールの増加は2年ぶりだというのだ。高級ビールの新商品が好調で3月に「ザ・プレミアム・モルツ〈香るエール〉」を売り出したサントリービールが4.7%増だし、5月に「ヱビス マイスター」を発売したサッポロビールが6.2%増やしたそうなのだ。ビール各社は現在自社の課税出荷数量を半期ごとに発表しており、毎年7月に発表する1~6月と同じく1月に発表する前年1~12月の出荷動向は、12月期決算のビールメーカーの業績を分析する有力な材料になるとされている。 業界全体と各社の出荷動向をもとにメーカー別のシェアも把握できるため、業界関係者の関心は高いといわれているが、一方で先行きを楽観できない3つの不安も浮き彫りになったそうなのだ。若者や女性らを中心に新しいビールの楽しみ方として支持を集め、近年日本で人気が高まっているとされるクラフトビールだけでなく、好調なビールの出荷にも関わらずビール業界が楽観ムード一色でないのは、足元では3つの不安要素が改めて浮き彫りになったからだという。まずはビールに割安な発泡酒と第三のビールを加えた「ビール類」全体では、需要の落ち込みが続いていることで、1~6月の5社合計の出荷数量は1億9278万ケースと前年同期から1.5%減り上期としては4年連続で減少しているんだ。 「ビール類」全体では統計を取り始めた1992年以降で過去最低を更新しており、高齢化や人口減などの影響もありアルコール全体の消費が長期低迷傾向にある中、缶チューハイやワインなど他の酒類に消費者が流れたあおりを受けた格好となっている。次に節約志向の高まりなど業界にとっては逆風といえる消費トレンドに変化の兆しが見られない点で、特に若年層では社会保険料の負担増など将来への不安が高まっており、手頃な第三のビールを手に取る消費者が増えているとされている。アサヒビールは「クリアアサヒ」の好調で第三のビールの出荷量が8.2%増加しメーカー別シェアは39.2%と、前年同期から1.1ポイント伸ばす原動力となっているしサントリーも第三のビールの出荷量を1.5%増やしている。 全体市場が低迷する中高級ビールと低価格ビール類の双方が好調で、間に位置する商品群が不振をかこう「二極化」はここ数年続いている傾向だという。低価格帯へのシフトや飲み控えが大きく進みその反動として、高級ビールを休日にちょっとだけ楽しむといった「プチ贅沢」がわずかに広がるという程度なら市場全体としては伸びを期待しにくくなるというのだ。そして3つ目がメーカーの競争環境の変化で、オリオンビールを除く大手4社のシェアを見るとアサヒのほかサントリーが前年同期から0.5ポイント上昇し16.0%になっており、サッポロが前年同期から0.4ポイント上がり11.9%となっている。その一方でキリンは32.1%と前年同期から2.0ポイント低下し4社の中で唯一シェアを落としている。 昨年は第三のビール「のどごし」ブランドで糖質やプリン体などを抑えた商品を発売し、これらが好調だったことの反動による面もあるが落ち込みは大きいというのだ。主力ビールの「一番搾り」で都道府県ごとに原料や味わいを変えた商品を売り出して人気を集めたものの、全体の落ち込みを補うには至らなかった。ビール類の市場規模の縮小が続き競争が激しくなっている分ヒット商品の有無によって、メーカーのシェアや売り上げが大きく左右される状況となっているという状況のようなのだ。書き入れ時の夏本番を迎え各社はビール販売を増やそうとイベントを独自にあるいは共同で計画しているが、暑さを味方につけてビール市場を取り巻く一連の不安を抑え新たなファンを取り込むことができるかが勝負のようなのだ。
2016年07月24日
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せっけんや着替えが入った風呂敷包みを抱え昭和の面影を残す銭湯ののれんをくぐるのは至福の時なのだが、湯船で疲れた脚や肩をもみほぐすと帰りは驚くほど楽になるからたまらないのだ。松山市に住む高齢者の女性は週3回の温泉銭湯通いが何よりの楽しみだが、「でも毎日は来られないよね」と顔なじみの常連客どうしでそんな話になるというのだ。温泉銭湯の入浴料は1回400円で毎日だと月8000円を超えてしまうそうなのだが、夫を30前に亡くし、築50年の自宅で暮らしているが風呂など沸かしたことがないというのだ。30年近く独りで暮らし収入は月9万円の年金だけが頼りだというのだが、公共料金等を払うと手元に残るのは7万円余りで「独りでも何かとお金がかかる。蓄える余裕がない」と嘆いている。 またアパートに住んでいる人は長年続いた低所得者向けの家賃減免制度が廃止され、家賃は数年前までゼロだったが段階的に引き上げられ4月に規定に戻ったというのだ。ぜいたくな暮らしとは無縁で夫が亡くなってから30年以上洋服を買っていないという。「たまに下着を購入するくらい。衣類は大事に使えば持つから」と、ぎりぎりまで生活を切り詰め立場と身分をわきまえて慎ましく生きている人が本来の日本人の姿であると自負している。他人が持っているから自分も欲しいではなく、学校の道徳の教材にして「国に頼らない精神と反面教師としてお金の大切さを啓発・教育すべき」という生活をしていることから、「8%でも高いのに、10%になったら大変」と消費税増税の先送りはありがたいと語っているのだ。 総務省が発表した昨年の家計調査によると1世帯当たりの平均貯蓄残高は、前年比0.4%増の1805万円となり比較可能な年では最高となったそうなのだ。平均貯蓄残高の増加は3年連続で株価上昇などにより有価証券の保有額が伸びたという。政府は先月に行われた閣議で本年版の「高齢社会白書」を決定したというのだが、内閣府が日本を含む4カ国の60歳以上を対象に実施した意識調査結果を紹介し、50代までに行った老後の経済的な備えを尋ねたところ「特に何もしていない」と答えた割合は日本が42.7%だったのに対し、米国やドイツにスウェーデンはいずれも20%台にとどまったそうなのだ。貯蓄や資産が「足りない」と答えた割合も日本が57.0%と最多で、次いで多かった米国の24.9%と大きな差があった。 このため「高齢社会白書」は「若い時期から老後を見据えて準備を始めることが重要」と警告しているそうなのだが、政府が参院選の争点とした「アベノミクス」はデフレ脱却のため物価を上昇させることも目標の一つで、「物価がもう少し下がったら、年金暮らしの年寄りも生きやすいのに」というように目下の心配事は「老後」の生活だと松山市に住む高齢者の女性はいう。以前に近くに住む息子に「私が動けなくなったらどうする」と尋ねたことがあるそうだが、息子の答えは「どうだかな」というものだった。息子にも家族があり「子どもの世話になりたいけど、かえって気を使う。施設は嫌だし。自分が健康でないと駄目だね」と、先のことを考え爪に火をともす暮らしから抜け出せないというのだ。 「お金がある人たちは私たちのことをさっぱり考えてくれない」と思いながら投票には毎回欠かさず行くそうで、今回も「選挙で日々の生活が大きく変わったことはない。でも、これから変わるかもしれないから」と政治に希望は捨てていないそうなのだが、スーパーのチラシでセール品を探すだけでは節約が追い付かないというのだ。日本銀行は先月末に行った金融政策決定会合で最新の経済予測である「経済・物価情勢の展望」をまとめ公表するそうなのだ。春闘での賃上げが勢いを欠いたことや英国の欧州連合離脱決定後の円高を受けて物価上昇の勢いは弱まっていることもあって、消費者物価上昇率の見通しを前年度比0.5%から0%台前半に引き下げる方向で検討しているというのだ。
2016年07月23日
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震災では地震に加え豪雨や津波など二つ以上の災害が同時または連続して起こる「複合災害」の危険性が指摘されており、熊本地震の被災地でも地震後に余震だけでなく大雨やそれに伴う土砂崩れなどによって多くの被災者が翻弄されている。熊本地震で5人が犠牲になった熊本県南阿蘇村河陽の高野台団地を襲った土砂災害について、雪崩のように高速で土砂が流れ下る「岩せつなだれ」と呼ばれる現象が発生していたとする調査結果を、熊本大学の宮縁育夫准教授がまとめている。火山とその周辺では緩斜面でも起こる可能性があり、注意を呼びかけているわけなのだが、熊本県南阿蘇村河陽の高野台地区を襲った土砂崩れがあった場所は火山灰からなる土壌だったという。 地震で崩れただけでは土砂が流れないような傾斜角度が10度にも満たない緩斜面だが、宮縁准教授が現地調査したところ、土砂が水で運ばれた形跡がなかったにもかかわらず最長で600メートル近くも流れ下っていたという。さらに熊本県南阿蘇村河陽の高野台地区で18年以上前に行われた熊本県の遺跡発掘調査で、約2100年前の弥生時代の遺構が、「岩せつなだれ」によって土砂に覆われて埋没していたことから、宮縁准教授は同じ「岩せつなだれ」が小規模ながら発生したと結論付けている。地盤災害に詳しい京都大防災研究所の千木良雅弘教授によると、「岩せつなだれ」は火山灰からなる土壌の下の軽石の層が地震の強い揺れなどによって崩れ泥状になることなどで発生するというのだ。 一般に土砂が流れ下る速度は時速100キロを超え東日本大震災などでも起きたというが、宮縁准教授は「火山などでは岩せつなだれが起きる可能性に配慮し防災につなげることが重要だ」と指摘している。熊本地方を襲った地震から4ヶ月がたった現在でも復旧は進まず、梅雨の大雨が追い打ちをかけて被害が拡大しているという。地震の専門家には知られた断層が原因だが多くの住民には「寝耳に水」の震災で、改めて活断層の脅威を知らしめた熊本地震から学ぶ教訓は、自然は人間社会の時間軸とはかけ離れた時間の中で発生を繰り返しており今回も油断があったということのようなのだ。日ごろからどういった複合災害が起こりうるのか想定し備えることの大切さを教えているというのだ。 震源となった布田川・日奈久断層帯は専門家の間ではよく知られた活断層で未知の断層などではなく、またこの地域は地震による強い揺れが懸念される地域として、政府の地震調査研究推進本部が作った全国地震動予測地図でも、「今後30年間に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率」として濃い赤色で色付けされているという。今回の熊本地震で想定外だったのは断層が阿蘇山の南麓まで走っていたことが分かったことくらいだとされている。阪神大震災の時もそうだったのだが活断層型の地震はほとんどが突然起こり、熊本でも「言い伝えにもそんな話は聞いたことがない」と言われていたというのだ。しかも熊本県南阿蘇村河陽の高野台団地の住民は地元の黒川区の自治会に加入していなかったというのだ。 約15年前に住民の多数決で決めたというのだが「別荘のように土日しか住まない人や、旅行で出かける人もいたからね」と団地の代表がいうように、別荘やペンションが点在する阿蘇山周辺ならではの事情だった。41世帯が加入するこの区では野焼きや草刈り・祭りを通じて住民が定期的に顔を合わせていたし、団地の住民にも年1回資料を配布していたというのだ。しかし竹原満博区長は「団地に住む人は顔も知らず、連絡がとれない人もいた」と明かし、「知っていれば震災時に救助に生かせたかも」と悔やんでいるという。震災では住民らが助け合う「共助」の必要性が度々指摘されているが、都市部では防災面から自治会組織への加入が再燃しているし、日ごろから信頼関係を築き災害に備えることが大切だということなのだ。
2016年07月22日
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日本のサラリーマンに近頃どのようなことが起きているかというと、給料はちゃんと支払われているものの意味のない仕事をやらされているというのだ。無意味な仕事などは断りたいけどそんなことは不可能だと思っており、転職の自由はあるはずなのに会社を辞められないという。目標を達成しても一時的にはほっとするけれど喜びを感じられず、むしろ「次も失敗するわけにはいかない」という焦燥感の方が強くなってしまうというのだ。このように見えない何かに取り囲まれている感じなのだが、そればかりかそれらを守ることに必死になっている。これは社会からのモラル・ハラスメントともいえるそうで、見えない精神的暴力を受けているのと同じだという。 しかもこれは目に見える暴力よりも苦しいというのだ。 目に見える暴力ならばそこから逃げ出すとか、戦うとかあるいは諦めてしまうとか何らかの結末があるわけなのだが、目に見えない暴力に取り囲まれていると苦しみがいつまでも終わらないというのだ。暴力や抑圧を受けていることを自覚できないのでそこから逃げ出すこともせず、戦うこともしないし諦めることもない。だから原因の分からない息苦しさや生きづらさを感じてしまうというのだ。その根幹にあるものは「罪悪感」ですべての原因が「こんなこともできない自分が悪いのだ」と思ってしまうというのだ。サラリーマンたちの話を聞くと「私は恵まれている」とか、「人よりはまだマシだ」・「仕事なんてそんなもんだ」という言葉が出てくるそうなのだがこれこそが苦悩の本質だといわれている。 自発的にそう思っているからどんなに息苦しく感じて飲み込んでしまい、苦しいという事実を認識することがすごく難しいと思ってしまうというのだ。それはなぜかというと子どもの時からそういう教育を受けているからだそうで、例えば両親の姿などをみても父親がぶつぶつ文句を言いながら会社に行って働いて母親は主婦業を一生懸命やっている。そして「勉強していい学校に入って、いい会社に入って出世しろ」と子どもにプレッシャーをかける。そういう両親のもとで育ったら「家とはこういうものだ。これが正しい生き方なのだ」と思い込んでしまうというのだ。学校教育も同じで学校に行くと40人くらいの子どもがかき集められて、一つの部屋に閉じ込められてじっと座らされ、そこで意味の分からない勉強をさせられるというのだ。 学校教育というのは教わることの意味が分からないように構成されている事業が多く、例えば理科の教科書を開くと最初にニュートン力学があって、次に気体・液体・固体の話があって次に気象の話が出てきたりする。あれは物理学から見れば滅茶苦茶な構成となっていて、それぞれ前提条件が全然違うから全く別世界の話を、一緒くたにされたら誰だって理解できるはずがないというのだ。それを子どもたちは1つのセクションを2週間程度で学習していかなくてはいけない構成となっており、理解できないものを理解できないまま「こういうものなんだ」と思い込まされるというのだ。そしてこれが蓄積されていくと「理解できない私が悪い」という罪悪感が育ってしまうということになるという。 このプロセスを経ると次の三つの能力が身についてしまうのだが、「難しそうな話が分からなければそれは自分が馬鹿だからだと思う能力」と、「訳が分からないけれどもなんとなく答えてみせる能力」と、そして「大人しくじっと座り続ける能力」だというのだ。だからみんな理不尽なルールだって受け入れてしまうそうで、学校には「ピンク色の靴下はダメ」・「茶髪はダメ」とかいう意味の分からないルールがあるけれども、「なぜダメなの」と聞けば先生は「そういう決まりだから」と答える。しかも学校は外界の事情は一切関係なく物事が展開していく場所となっている。両親が働いているのに体操服を毎日洗えと強制されるとか、明日までに雑巾3枚縫ってこいと言われる。そういう内的な論理だけで成り立つ「異常な空間」となっている。 そのなかで子どもたちは長い間過ごすと外の条件は一切考えず、内部のルールだけに従うことが身に付いていくというのだ。みんな会社に入る準備が完了し自発的に隷従するようになりますし、それを他人にも強制する「監視役」としても機能するようになるというのだ。自分には意味が分からなくても「ルールだから従う」と言えば「大人になった」と言われるし、「私はそんなことおかしいと思う」と言えば、「大人になれよ」と説教を食らうわけです。日本の民主主義とは「個人の平等」ではなくて「立場の平等」となってしまっており、いかなる「立場」も等しく尊重されないといけないけど「人間」は尊重しなくていいというわけです。だから、日本人は立場を失うと尊重されなくなり、立場を失えば何をされても文句は言えないという状態になってしまというのだ。
2016年07月21日
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天皇陛下が提起された生前退位の問題は陛下の意図とは別に、非常に大きな政治問題であるともいえるとされている。「天皇陛下が生前退位の意向を漏らされた」と報じたのをきっかけにメディアは一斉にこの事実を報じているのだが、宮内庁は直ちに次長が公式に否定し後から長官も否定していたというのだ。しかし「天皇陛下が政治発言をした」と受け取られないようにするための「建前」としての否定とメディア各社は判断しているそうで、天皇陛下が摂政制度の活用でなく生前退位を漏らされたのは、推測するほかないが高齢とはいえ健康な天皇陛下がおられるなかで皇太子さまが摂政になられることは、お二人の関係があいまいになりかえって混乱されると考えておられるのではないかとされている。 生前退位は江戸時代の光格天皇以来200年以上なかったとされるが、大正天皇の時に後の昭和天皇が摂政としてすべての天皇の職務を代行していた事例はあって、摂政制度によりいまも皇太子さまが天皇陛下の仕事を全面的に引き継ぐことは、皇室典範の簡単な改正だけで可能だというのだ。日本国憲法も皇室典範に基づく摂政の制度を規定しており、皇室典範では天皇が成年に達していない場合や、「精神もしくは身体の重患または重大な事故により、国事に関する行為をみずからすることができない」時には摂政を置けると定めているのだ。天皇陛下の健康状態は重患とはいえないだろうからその部分の皇室典範の改正は必要だが、生前退位の制度を設けるよりは簡単な改正になるという。 麻生太郎副総理兼財務相は閣議後の記者会見で、天皇陛下が天皇の位を生前に皇太子さまに譲る意向を示されていることについて、「非常に負担がかかられるということならば、どう対応していくか、政府で考えないといけない」との認識を示したそうで、麻生太郎副総理兼財務相は「ご高齢ということを考えると、いろんなことをきちんと全部なさる姿勢は、われわれとしては大変ありがたい」と語った上で、「大正天皇の後半の方も、昭和天皇が実質公務をしておられたという事実がある」と、公務などを代行する「摂政」を置く可能性も示唆したという。メディア各社の報道では皇室典範を改正すれば生前退位の制度を設けられるとしているようだが、摂政制度が憲法に定められていることを踏まえると憲法に規定する必要があるいう。 天皇陛下が天皇の位を生前に皇太子さまに譲る意向を示されていることを受け、政府は「生前退位」に関する規定がない皇室典範の改正に向けた検討に入ることになるが、有識者会議を設置し諮問した上で1~2年程度かけて改正案をまとめ上げる案が有力となっている。安倍晋三首相も記者団に対し天皇陛下の生前退位について、「事柄の性格上、コメントは差し控えたい」と述べるにとどめている。菅義偉官房長官も記者会見で「政府としてコメントすることは控えたい」と語っているが、検討作業が進み皇室典範の改正案がまとまれば政府提出法案として国会に提出することが想定されている。通常の法案と同じように衆参両院の内閣委員会で審議し本会議で可決成立させるというのだ。 皇室典範の改正は昭和24年の通常国会で「宮内府」の呼称を「宮内庁」に改めた例しかなく審議時間をどれだけ確保すべきか見通せないとされ、しかも「国会で賛否を争うような事態は好ましくない」という意見が根強く、生前退位を可能にするだけでなく退位された後の「称号」も検討課題の一つとなるとされている。天皇制を振り返ると生前退位は天皇の意思のみで行われてきたわけではなく、その時々の権力者が自分に都合のよい天皇を据えるために退位を迫ったと思われる例が数多いとされている。天皇親政を打ち立てた大日本帝国憲法が生前退位の制度を設けていないのは、ひとつには天皇親政を強化するためだったとされているが、権力を持たない象徴天皇制度の下では権力の問題は考慮すべきではないだろう。 改憲論議が始まろうとするなかで生前退位を憲法に定めるかどうかという議論になれば、その他の事項の改憲論議への影響は非常に大きく、天皇陛下がご高齢であることを考えると最優先の改憲課題になるともいえなくもないからだ。結果的に天皇陛下の望まれる「生前退位」は憲法論議に大きな一石を投じると考えられており、自民党の細田博之幹事長代行は「国会として真剣に検討する必要がある。各党でよく議論し、ご意向に沿う形で実現することが望ましい」と指摘しており、民進党の岡田克也代表も「天皇陛下ご自身が報道されているようなご意向であるとすれば、真摯に受け止めて、しっかりとした対応を考えていかなければならない」と語っていることから注目されているというのだ。
2016年07月20日
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ハーバード大学栄養学教室だった教授が「夫を早死にさせる十カ条」という皮肉を込めたチェックシートを発表したそうなのだが、そこには気楽な未亡人になりたければ夫に対して、「太らせましょう」・「強いお酒を飲ませなさい」・「夫をいつも座らせておきましょう」・「塩分の多い食べ物に慣れさせましょう」・「たばこをすすめましょう」といった、体に悪影響を及ぼすアドバイスが合計10個書かれているそうなのだ。その中にコーヒーに関する記述がって「コーヒーをせっせと飲ませましょう。心臓発作はすぐには起きませんが、チャンスを逃してはいけません」と書かれているというのだ。このことが公表されたのは50年くらい前なのだが、コーヒーはたばこや酒と同様に嗜好品の一種でカラダに悪いという認識が一般的だったのだ。 つまり「コーヒーはカフェイン」・「たばこはニコチン」・「酒はアルコール」というように、それぞれ特徴的な化学物質を含んでいるのだが、ニコチンやアルコールについてはご存じのとおり健康への弊害のほうが大きいことがさまざまな研究から明らかになっているのだ。コーヒーもそれらと一緒のものとして括られて、「カラダに悪そうな飲み物」という印象を持たれることが多かったのかもしれないのだが、研究の結果では香り高いコーヒーは体にいいことづくめだったということなのだ。以前は「カラダに悪い」と言われていたコーヒーが、最新の研究によりがん予防や生活習慣病予防・ダイエット効果など、ビジネスパーソンに嬉しいコーヒーの健康効果が報告されて「カラダにいい」という事になってきているというのだ。 コーヒーは日本人にとって手軽でコンスタントにポリフェノールを摂取することができる重要な供給源になっており、コーヒーはあらゆる食品の中で最も疫学調査が進んでいる食品の一つとなっている。疫学調査のなかでも何万人という大勢の人を集めて5年後や10年後の健康度を見るという信頼度の高い研究が「大規模前向きコホート研究」で、その研究を見渡してみるとコーヒーがリスクを下げる可能性がある疾患は多方面に及んでいるというのだ。コーヒーに含まれるポリフェノールの一種「クロロゲン酸類」にはさまざまな健康効果が期待できることが明らかになっており、ここ20年くらいの数々の研究でコーヒーにはさまざまな健康効果があることがわかってきているそうなのだ。 健康効果が期待できることについては、コーヒーという植物の成り立ちにその秘密があると考えられているそうなのだ。コーヒーは「コーヒー・ベルト」と呼ばれる南北回帰線の間にある熱帯や亜熱帯地域で栽培されていることから、このような南国にあるフルーツは虫や病気から身を守るため硬い殻に包まれていることが多いそうで、カカオやココナッツなどはその代表ですなのだが、コーヒーは花を咲かせた後甘くて柔らかい果肉の果実をつけるというのだ。その見た目からコーヒーの果実は「コーヒーチェリー」と呼ばれており、この柔らかい「コーヒーチェリー」が熱帯や亜熱帯の厳しい環境の中で生存できる秘密で、コーヒー果実に含まれるカフェインやクロロゲン酸などのコーヒーポリフェノールだというのだ。 ポリフェノール類は植物が強い紫外線や活性酸素などから身を守るために自ら生成した抗酸化物質で、これらの成分は果肉のさらに内側にあるコーヒーの種子にも豊富に含まれ、コーヒー豆を焙煎して熱湯で抽出して飲むという習慣は、まさに植物が自らを守るために身にまとっていたポリフェノールやカフェインを私たち人間が体に取り込む賢い方法だというのだ。ポリフェノールには活性酸素の害を打ち消す「抗酸化作用」があり、これが血管や肝機能などをはじめさまざまな面でいい影響を及ぼしている可能性があるそうなのだ。コーヒーを飲む量が多いほど総死亡リスクは低くなるといわれているのだが、心疾患や脳卒中のほか自殺による死亡も少なくなっていることが示されているそうなのだ。
2016年07月19日
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四国電力は再稼働に向けた準備が大詰めを迎えている私の住む愛媛県の伊方原発3号機で、1次冷却水を循環させるポンプに不具合が見つかったと発表した。部品の交換を行う予定で早ければ今月26日としていた再稼働時期は遅れる見通しとなったという。四国電力によると伊方3号機で1次冷却水を循環させるポンプ3台のうち1台で、流量が通常時よりも増加していることが判明し調整作業を行ったが改善が見られなかったというのだ。放射性物質の外部への流出はなく環境への放射能による影響はないとしているが、今後は循環させるポンプ分解点検をして原因を調査するとともに部品の交換を実施し、交換に1週間程度かかる可能性があることから再稼働の日程は改めて検討するというのだ。 漏れた1次冷却水は原子炉格納容器内のタンクに回収されていたが、午後4時半時点でも漏えいは収まっていないことから愛媛県でも「B区分異常」として発表した。従来は48時間内の発表だが再稼働に伴う作業で県民の関心が高いとして異常発生当日に公表したというが、再稼働反対運動も盛り上がっていることから今のままでは再稼働できない事態も考えられる。また四国電力は伊方原発3号機で行っていた重大事故を想定した総合訓練中、作業員2人が熱中症になり17の訓練項目のうち一部をやり直すと発表している。こちらのほうも四国電力の対応次第では今月26日としていた再稼働に影響する可能性もあるという。四国電力よると補助給水タンクに海水を補給する訓練中男性作業員2人が体調不良を訴えたというのだ。 この伝声作業員は産業医から熱中症と診断されたわけなのだが、一部の手順が確認できないままとなり原子力規制庁がやり直しを要求している。現地を視察した更田豊志原子力規制委員長代理は訓練終了後の取材に「事故が起これば実際はもっと厳しい状況だ。再訓練で改善がなければ全体の行程に影響を与える可能性もある」と述べたが、四国電力は改善案を盛り込んだ上で再訓練するが日程の見通しは立っていないという。その一方で「週明けに十分な確認ができれば、再稼働の工程に影響は出ないだろう」との見通しを示したというが、更田委員長代理によると再稼働前の総合訓練でやり直しを求めたのは初めてのじたいだという。もっとも再稼働ありきの訓練や手続きでは「原子力規制庁の存在意義なし」との意見も強い。 今月26日にも再稼働する見通しの四国電力伊方原発3号機が事故を起こした場合の避難計画について、内閣府と周辺自治体などでつくる協議会は30キロ圏内の住民の避難経路を明確化し、道幅に合わせたバスの手配や放射線防護機能を備えた避難所の増設などを盛り込み改定ししているが、これは昨年11月の原子力総合防災訓練で明らかになった課題を反映させているというのだ。住民避難などの具体的手順を示した「伊方地域の緊急時対応」は昨年に内閣府と周辺自治体などの協議でまとめられた。しかし住民が参加した昨年11月の訓練で一時集合場所に集めるバスが細い道幅に合わなかったり、道路の寸断など状況に応じた複数の避難ルートが明示されていなかったりするなど課題が浮上していた。 そればかりか愛媛県警が伊方原発3号機の再稼働を見据えて周辺の町道と県道で予定している通行規制を行うということもわかってきた。この件では再稼働に反対する団体などでつくる伊方原発再稼働阻止実行委員会や県議ら約20人が、愛媛県警本部を訪れ「集会の自由」を侵害しているなどとして規制撤廃などを申し入れたそうなのだ。愛媛県警は庁舎管理権を理由に申し入れ時の取材を認めず「多数の車両が乗り入れると路肩などの駐車スペースがなく、混乱する恐れがある」と規制理由を説明している。通行規制は再稼働の前後など集会参加者の増加が見込まれる日に実施するもので、国道197号から原発に向かう県道と町道の複数カ所で検問を行い車両の乗り入れを制限するというのだ。
2016年07月18日
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東京商工リサーチが発表した今年上半期の負債額1000万円以上の倒産件数は、前年上半期と較べて6.5%減の4273件で、負債総額は19.8%減の7937億6500万円となり、上半期ではともにバブル期の1990年以来26年ぶりの低水準となったそうなのだ。倒産件数は7年連続だし負債総額は4年連続のマイナスで、東京商工リサーチは減少の理由として「金融機関が中小企業の返済延期に柔軟に応じているほか、大手輸出企業の業績拡大が景気を底上げした」ことを挙げている。つまり金融機関が中小企業を支援しているほか原油など資源価格の低下で経営環境が改善していることなどが寄与しており、業種別の倒産件数は公共工事に支えられている建設業をはじめ10業種中9業種で減少している。 倒産件数が増加しているのは金融・保険業だけだったのだが、地区別では全国9地域すべてで前年度を下回っているそうなのだ。それでも負債総額は8.9%増の2兆358億円で、負債100億円以上の大型倒産が16件と前年度の9件から上回ったため7年ぶりに増加しているそうなのだ。ただ総額はバブル期以来の1兆円台となった前年度と同様に低い水準にとどまっている。面白いのは2000年以降に倒産した23万社のデータから意外な共通点が浮かび上がったそうで、倒産は景気動向や支援政策に個別企業の事情に左右されるのだが、倒産企業のデータを分析すると「5日」・「水曜」・「仏滅」に多いという結果となっており、気温が快適なお天気ほど倒産が多いことがわかったそうなのだ。 企業が倒産しやすい「5日」・「水曜」・「仏滅」は東京商工リサーチが企業倒産約23万件を調べた結果こうした傾向が明らかになったというのだが、調査を始めた2000年から三つのキーワードが重なった日は4回あり、件数は1日当たり134~216件で各年の1日平均である約36~52件の3倍を超える企業が倒産しているそうなのだ。日にち別で見ると「5日」が約1万4700件で最多なのだが、2番目の「10日」の約9600件を大きく上回っているそうなのだ。次いで「6日」・「7日」・「4日」と上位5位までが月初に集中しており、これは月末に手形が不渡りとなり土日をはさみ3営業日目に、銀行取引停止処分を受けた企業が多かったことが主因とみられるそうなのだが、手形取引はこの20年で急激に減少し法的手続きが増加しているという。 このため今後の倒産日は若干前倒しされる可能性もあるが決済日の「五・十日(ごとおび)」は依然として多く月初に集中する傾向は変わらないとされている。曜日では「水曜日」が約5万4000件で最多となって24%を占めており、事前相談の案件は水曜日に申請するよう促す裁判所もあるという。日柄を表す「六曜(ろくよう)」では「仏滅」が僅差で最も多かったが、次いで「赤口」が入り幸せを連想させる「大安」は3番目に多くご利益はあまりなさそうだという。最少は「友引」だったそうなのだが、やはり悪条件がこれほど重なると目に見えないパワーが蓄積されるのかも知れないようなのだ。倒産発生日が「13日の金曜日」は合計29日あったが、倒産件数が100件を上回ったのは1回だけだったそうなのだ。 気象庁の気象データの「降水量」・「降雪」・「平均気温」と倒産の平均発生件数では、降水量別では、「降水量なし」が1日平均37.9件だったそうなのだが、降水量「10mm未満」は38.3件に増加し降水量「50mm以上」は41.6件にまで跳ね上がるという。これから見る限り雨量が増えるほど倒産発生率は高まるようなのだ。降雪別では「なし」は1日平均38.2件だったが、「あり」は35.2件と減少し雪の日は倒産が少なかったという。気温別では最多倒産が「10℃以上20℃未満」の1日平均38.6件で、快適な過ごしやすい日に倒産が増える傾向にあるそうなのだ。一方気温では「5℃未満」が32.6件で「30℃以上」は36.4件だったという。倒産は雪が降るような寒い日は少ないが、快適な気温で増え雨が多いほど増える傾向がみられたという。
2016年07月17日
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埼玉県警が学校の周辺や住宅街にある幅の狭い道路に「速度違反取り締まり装置」を設置する取り組みを進めているそうで、この「速度違反取り締まり装置」は全国の高速・幹線道路に設置されているが、いわゆる「生活道路」での運用は同時に始めた岐阜県警とともに全国で初めてだというのだ。警察庁は「効果を見極めた上で、全国に紹介したい」としているが、埼玉県警交通指導課によると運用開始は今年の4月からだという。高速道路などに設置されている「速度違反取り締まり装置」はアーチに取り付けたカメラなどで上方から違反車の撮影と速度の記録を行うのが一般的だが、埼玉県警が生活道路に導入したのは高さ約1.3メートルと約2.5メートルの小型の2種類で三脚を立てるなどして設置する仕組みだという。 この「生活道路」というのは住宅地の中の道路や通学路など私たちが普段歩いたり自転車に乗ったりして利用している道路のことで、幅はだいたい5.5メートル未満で歩道と車道の区別がないとか中央ラインがないような狭い道路が多いのだ。この「生活道路」でスピードを出し過ぎたり進入禁止のところに入ってきたりする車に巻き込まれる事故がいま問題になっており、愛媛県警のまとめでは県内で昨年1年間に幅5.5メートル未満の道路で発生した人身事故は約8千件で死亡事故も数多く起きているというのだ。この「生活道路」は通学路になっているにもかかわらず急いでいるドライバーが「抜け道」にして速度を上げることもあるため、子供が事故に遭うケースも後を絶たないというのだ。 警察庁が発行している「交通白書」などを見てみると交通事故件数の推移は、幅が広い幹線道路などでの事故は、ここ10年で70万件あまりから45万件と大きく減っているのに対し、生活道路での事故はあまり減っていないというのだ。事故で亡くなる人はおよそ4000人とやはりこの10年で半数近くに減っているのだが、歩行者と自転車の人は減らず5割を占めているという。車に乗っている人はシートベルトの着用やエアバッグの普及で、ずいぶんと守られるようになってきていることから死亡事故は減少しているが、いくら歩道等を整備しても歩行者などが犠牲になる事故はなくなっていないというのだ。しかも幹線道路などでは事故が多発する地点が警察等の調査でだいたい特定できてきているというのだ。 そこで事故が多い交差点やカーブなどでは集中的に対策がとられてきており、例えば右折専用の信号機を設けるとかカーブに目立つ標識をたてるとかなのだが、その結果効果があらわれ事故が減っているそうなのだ。ところが「生活道路」は見通しの悪い交差点だらけで事故が起こる地点もばらばらで特定が難しく、通学時間帯は通行禁止にしている通学路も多いのだが警察が今年9月に全国の通学路で取締りを行ったところ、通行禁止を無視する違反が一日で4000件以上にのぼっているというのだ。このようにルールを守らないドライバーが多い実態が分かったし、さらには抜け道として利用するドライバーがいるのも事実で、このため通学路での子どもが巻き込まれる事故も多くなっているそうなのだ。 警察でも対策を考えパトロールの強化等もそれなりの効果はあるのだが、やはり最後はドライバーのモラルにかかってくるというのだ。ルールを守らないドライバーがいる以上ある程度の取り締まりも必要なのだが、生活道路でのスピード違反の取り締まりはこれまであまり行われてこなかったという。取締りにはスピードを検知してから車を誘導する場所など一定のスペースが必要なんですが、住宅地の中では、なかなかスペースを確保できないし、幹線道路についている自動速度取締り機の「オービス」も大型なので生活道路への設置は難しい。そこで試験的に運用を始めたのが小型のスピード違反取り締まり装置で、狭い道路にも速度違反取り締まり装置があることをドライバーに認識してもらうということで事故を減らそうとというのだ。
2016年07月16日
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安倍晋三首相が消費税率10%への引き上げ再延期を決断したのを受け、年金など社会保障は参院選の大きな争点になるとみられていた。しかも各党が増税先送りをそろって容認したため制度をどう持続するかという肝心の議論は低調で、現場では「施設を利用する高齢者は今後、さらに増えるが、介護職員は足りていない。人手不足はますます顕著になるが、社会保障の財源がはっきりしていないのが不安だ」と話している。参院選直前に決まった消費税増税先送りなのだが、「景気回復で税収が増えれば財源が生まれるとか、行政の無駄を切り詰めて財源を生み出すとかいうが、いずれも雲をつかむような話。具体的な議論が進んでいない」と指摘され、介護報酬のさらなる引き下げ議論にも懸念を示しているというのだ。 公明党は保険料を10年納めれば年金を受給できるようにする無年金者対策や、低年金者に対する最大月額5000円の給付金の早期実施を掲げてはいるが、井上義久幹事長は選挙前の討論番組で「受給資格期間の短縮や低年金加算は何とか財源を手当てして先行実現すべきだ」と述べていた。民進党は公明党よりさらに踏み込んで社会保障充実策を来年4月から実施するよう求めているが、民進党は株式にシフトした年金運用の「危うさ」を追及していたが、与野党とも有権者の関心に応えていたとはとは言い難い内容だったのだ。消費増税の再延期によって政府が予定していた社会保障充実策をすべて実施することは難しくなったというが、政策の優先順位は決まっておらず自民党の討論者は触れさえもしなかった。 財源は行政改革などで工面するというが、岡田克也民進党代表が先の国会で社会保障費に赤字国債発行を提案した時には与党は厳しく批判している。選挙戦終盤になって野党が注目したのは公的年金の積立金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人で、安倍政権は年金の基本の運用資産の構成割合を国内株式と外国株式の割合をそれぞれ12%から25%に倍増させ、国債など国内債券を60%から35%に引き下げている。日本銀行の金融緩和で超低金利が続き国債では利益が出にくいためだが、中国の景気減速など世界経済の不透明感が高まり、昨年度は5兆数千億円の損失を計上することが選挙期間中に判明しているというのだが選挙の争点にもならなかったのだ。 英国の欧州連合離脱問題の影響も見込まれる今年度は、運用損失が一層膨らむ可能性があるといわれていることから、民進党の山尾志桜里政調会長は選挙演説で「株価を上げるために年金を犠牲にした」と訴えていた。岡田民進党代表も第1次安倍政権時代の参院選で自民党が大敗する一因になった年金記録問題になぞらえ、「第二の『消えた年金』ではないか」と批判を強めていたというのだが選挙では与党の圧勝に終わったのだ。塩崎恭久厚生労働相は記者会見で「短期的な変動はありうるが、長い目でみて年金受給者に必要な年金額が確保できるかどうかという観点で考えている」と述べている。社会保障の充実が望まれるのは間違いないが、財源なしでは増大し続ける国の財政赤字が増すばかりなのだ。 社会保障制度を維持するためには保険料引き上げと給付抑制に世代間の負担格差の是正は避けられないとされているが、保育や介護などの社会保障の充実が社会的安心をつくり出し経済成長につながるという議論も、やってみないと分からない面があるといわれている。政府は今年度に国の一般会計予算96兆7218億円のうち、年金や医療に介護給付費などの社会保障関係費として31兆9738億円を計上しているが、安倍晋三首相の唱える「1億総活躍社会の実現」に向けた政策を打ち出す一方で、安定財源の確保のため社会保障と税の一体改革フレームの堅持を掲げていることから、株価操作で約37兆円の収益を上げたという夢を増々追うことにしていきそうなのだ。
2016年07月15日
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パソコン等を使った仕事に関わっている限り入力間違いといった「ヒューマンエラー」と呼ばれる人為ミスを完全になくすことはできないのだが、それは事務職場でも工事等を担当している現場でも全く同じだといわれている。「うっかりミス」の撲滅は業務を完全に自動化でもしない限り難しいとされ、そうであるならば少なくとも人が間違った行動を取ったときには「間違いにすぐに気づける仕組み」を用意しておくべきだという。またはミスをするとその先のプロセスには進めないようにするシステムといった対策を事前に準備しておくべきであるというのだ。またヒューマンエラーを改善するためにはミスした人を責めるのではなく、ミスをした原因を徹底的に探り原因を改善することが防止策となるそうなのだ。 人の能力や力量・体調に性格等によって、うまくいくかどうかが決まるようなプロセスでもいけないそうで、誰がいつ実行してもミスしないプロセスへと変更することが、本当のヒューマンエラー対策になるというのだ。人がミスをしたのなら必ず「ミスをしやすい原因」があるはずで、その根本的原因を徹底的に探るひつようがあるというのだ。問題は人にあるのではなくプロセスにあるというのはヒューマンエラーの分析を独自に体系化してきたマネジメント・ダイナミクスの小倉仁志社長によれば、「ヒューマンエラーは基本的に『間違いの4段階』のどこかで起きるものだ」というのだ。その4段階とは「情報間違い」・「受け取り間違い」・「判断間違い」・「行動の間違い」だというのだ。 ヒューマンエラーに歯止めをかけようと思ったらまずはそのときの間違いが、4段階のどれに当たるのかを特定しその原因に見合った対策を検討すべきで、そうでないと的外れな対策が出てきてしまい、同じヒューマンエラーが何度も繰り返されることになるというのだ。例えば会社ではよく見かける伝票処理では、最初に受け取った顧客からの注文伝票の数字がそもそも間違っていたら、当然その後の処理は全て間違った数字のまま進んでしまう、「これが最初の情報間違いだ」というのだ。次に注文伝票を受け取った社内の担当者が伝票の数字を「見間違った」とすると、同様に顧客との電話のやり取りで「聞き間違い」をすることもある。これが受け取り間違いでその次に来るのが判断間違いいわゆる「勘違い」というやつなのだ。 例えば毎月同じ内容の伝票が回ってくるような職場では担当者がその数字を覚えてしまっていて「今月もいつもと同じだろう」と勝手に判断してしまい、頭で覚えている数字で処理を進めてしまうことがある。ところがその月に限って伝票の数字が違っていたりすると判断間違いになるというのだ。最後が冒頭の入力間違いも含まれる行動の間違いで、その多くはうっかりミスだといわれている。パソコンのテンキーを押し間違って違う数字が入力されてしまったようなケースを指すわけなのだが、数字の打ち間違いを完全に防ぐことは正直難しいとされている。しかし間違いに気づいたり間違っていたら次に進めなくしたりする工夫は何かありそうで、数字を打ったら最初の注文伝票に立ち戻って必ず照合するといったことが必要だという。 ヒューマンエラーを防ぐために「作業前チェックシート」というシートが活用されており、別に大げさなものではなくてエクセルで簡単に作成して、安っぽい紙に白黒で印刷したものがおおいそうなのだ。これはありふれたチェックシートなのだが効果は絶大だという。ささいなチェック項目ばかりでもどの作業前にも共通する事前確認事項です。どれも当たり前のことだったので頭で覚えていたのだが、その油断がきっかけになりミスが発生したことで、この「作業前チェックシート」が誕生したというのだ。どんなことにでも「そのくらい当たり前」と思うことをチェックシートにしるということはあまりかっこの良いものではないが、かっこ悪いチェックシートほど安全意識の土台になるという事で続けているのだ。
2016年07月14日
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放送作家で作詞家やタレントなど幅広く活躍した永六輔氏が死去したそうなのだが、東京都出身の83歳だったという。8年前からパーキンソン病と診断され前立腺がんであることも分かり治療でも病室などからラジオ番組に出演をしていたが、今年2月からパーソナリティーを務めるTBSラジオ「六輔七転八倒九十分」の出演を休み、番組は今年の6月で最終回を迎えていたそうなのだ。三木鶏郎氏の「冗談工房」に入りテレビ、ラジオでも活躍し、現在のバラエティ番組の原点とされるNHK「夢であいましょう」の構成を担当し、旅番組の草分けとなる日本テレビ系「遠くへ行きたい」に出演しテーマ曲も担当していたが、実は学生時代から永六輔氏は60年安保闘争の闘士だったというのだ。 早大在学中に放送作家や司会者としてデビューしているのだが、NHKのラジオ番組「日曜娯楽版」にコントを投稿したことをきっかけに、ラジオやテレビの番組を企画・構成する放送作家になったという。大学中退後はラジオやテレビの台本を書くだけでなく、作曲家の故中村八大さんらと組んで作詞活動も始めたそうで、一方でディズニー映画「わんわん物語」や「ダンボ」などに声優として出演していたそうなのだ。長女は映画エッセイストの永千絵さんで二女は元フジテレビで現在はフリーの永麻理アナという芸能一家だし、作詞家としては故水原弘さんが歌った第1回日本レコード大賞受賞曲「黒い花びら」をはじめ、故坂本九さんが歌った「上を向いて歩こう」が大ヒットしている。 それぞれの名の数字部分より名付けられた「六・八・九」コンビなのだが、空前の大ヒットとなった「上を向いて歩こう」は、日本国内でレコードが発売されたのは1961年10月で、その後は11月から翌年1月までの3か月間にわたりレコード売上第1位を独走したそうなのだ。しかもこの歌は米国のビルボード誌で1963年6月15日に週間ランキング第1位を獲得し、ビルボード誌1963年年間ランキングでは第10位を記録しているというのだ。この事実は日本人の多くをびっくりさせ、当時は英語の歌が日本でヒットするのは既に当たり前になっていたのだが、逆に日本語の歌が「米国でヒットするなんて無理、ましてや第1位になるなどありえない」と皆がそう思っていたからだというのだ。 浅田飴のテレビCMにも出演しコミカルな動きが子供にも親しまれたのだが、このCMは今思ってもよくできたCMで私の記憶に鮮明に残っているのだ。放送されたのは1970年代の初めころで今から40年も前のことだと記憶している。CM映像では「かろのうろん」という名前のうどん屋が紹介されるのだが、うどんにネギをたっぷり入れるシーンが印象的でそしてなぜこの店が「かろのうろん」なのかがナレーションで説明されるのだ。これは「角のうどん」が博多ではなまったものなのだというわけで、ここから「咳声喉に浅田飴」は「せきこえのろにあさらあめ」となるというCMなのだ。浅田飴のCMなのに映像はうどんばかり写るのだが、それでもちゃんと浅田飴のことは印象に残るという不思議なCMである。 作家としても著書・共著は多いが1994年に発表した「大往生」は200万部を超える大ベストセラーになり菊池賞を受賞している。「尺貫法」に反対して参議院議員選挙に出馬したが落選するといった政治や社会問題にも関心を示し、東日本大震災のあとには被災地に足を運んで被災者の声に耳を傾ける活動にも取り組むといった発言が話題に上ることも多かったという。「上を向いて歩こう」は60年安保闘争に敗北して帰途に就いた時の心情を書いた歌で、最初坂本九がふざけた歌い方をするので怒鳴りつけたと本人がコメントしている。60年安保闘争に敗北した自分たちをバカにしていると感じたそうで、レコードの発売が安保闘争直後であることからなおさらそういう気持ちになったというのだ。
2016年07月13日
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熊本地震では橋の被害が随所に見られニュースにもなっているが、落橋したのは4橋で地震の規模の割には少ないとされている。これまでの度重なる大地震を受け耐震補強や落橋防止の対策が進んでいることで、その効果が発揮されたことは間違いなさそうだという。しかし熊本地震による橋の被災メカニズムが明らかになっていくなかで、こうした対策の効果は必ずしも想定どおりでなかったことも分かってきたというのだ。つまり落橋こそ少なかったもののいわば「たまたま」落ちずに済んだ橋もあったと考えられるというのだ。もし熊本地震で落橋が少なかったことを「結果オーライ」で済ましてしまえば、次におこるかもしれない地震でさらに大きな被害に見舞われないとも限らないとの警告もなされている。 今後地震による被害を最小限に抑えるには狙いどおりの効果を確実に得られる対策を打つことが重要なのだが、最近では「国土強靭化」という事で、地震に加え豪雨や土砂災害などによる被害を抑制するための技術について研究がなされている。これまでも防災事業は着々と行われてきたが熊本地震でもそうだったように、全ての被害を防ぐことはできていないのだ。それでも大きな災害に遭うたびに我々土木技術者は、現場で実施してみて課題があるのも現実なのだが、大災害を教訓として新たな技術を生み出し続けているのだ。私が愛読している業界紙でも液状化対策や構造物の耐震化などに当たって、これまでにない考え方や技術を採用した実例を取り上げている。 熊本地震では都市部と中山間地の双方で多数の橋梁に被害が発生しており、地震から約3カ月が経過し被災のメカニズムが今回の地震でも明らかになりつつあるというのだ。九州自動車道の緑川パーキングエリアそばの県道跨道橋が落橋するなど、コンクリート構造物にも被害が生じているなかで、熊本地震による橋の被災メカニズムが明らかにして、対策の効果が必ずしも想定どおりでなかった点を改善していく必要があるのだ。今回の大地震でいわば「たまたま」落ちずに済んだ橋の代表として挙げられるのが、落橋防止構造や横変位拘束構造といった落橋防止対策だとされている。例えば熊本県道28号の「大切畑大橋」では上部構造が下部構造に対して1mほど橋軸直角方向に移動していたというのだ。 それを落橋防止用のPCケーブルが橋台と桁をつなぎ止め落橋を免れたとはいえ、PCケーブルは本来なら橋軸方向の相対変位を制限して落橋を防ぐ目的のもので、橋軸直角方向のずれを止めたのは偶然だったというのだ。実際「大切畑大橋」の片側の橋台ではPCケーブルを通していた横桁の孔の縁でケーブルが切断されている箇所もあったそうなのだ。それでも落橋を免れたという事実はPCケーブルを、橋軸直角方向の落橋防止対策として採り入れる価値があることを示唆している。ただしその場合にはケーブル切断などが起きないよう橋軸直角方向の変位を前提とした設計をする必要も出てくるというのだ。落橋防止対策だけでなく熊本地震の被害を機に新たに検討しなければならない事柄は山積しているそうなのだ。 国道57号と国道325号を結ぶ「阿蘇大橋」が土砂災害に伴って落橋した個所では、熊本地震による斜面崩壊で落橋した国道325号の「阿蘇大橋」を、南へ約600m離れた位置に架け替え橋長は旧橋の約3倍の600~700m程度とすることになっているという。一方で最新版の「道路橋示方書」で設計の合理化や維持管理性の向上を目的として、落橋防止対策を省略する方向性が打ち出されており、落橋防止対策は省略すべきか否か、設けるならどのような構造にすべきなのかが問われている。現場で実施してみて課題があるのも現実だが、従来は解決できなかった難題に新発想で挑んだことに、被災橋梁が土木界に突き付けた課題と正面から向き合わなければ、同様の被害は繰り返されるのだ。
2016年07月12日
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東京都知事選で自民党都連が前岩手県知事の増田寛也元総務相の擁立に向け、最終的な調整に入ったことが分かったというのだ。東京都議会自民党は都連に対し増田氏への出馬要請を求めると決めており、都連は都議側の意向を尊重したとみられる。「実務型」として増田寛也元総務相が担がれているが、その実務でまったく良いところなく岩手県知事を降りたのが増田氏だということを東京都議会自民党はわかっていないらしいのだ。しかも増田氏は東京23区の区長有志5人と面会し「23区長中21人の意向だ」として出馬要請を受け、「熟慮したい。重く受け止めている。私のこれまでの実務能力が東京の役に立てるのか、それにかかっている。できれば市町村長の話も聞きたい」と引き続き出馬を検討する考えを示したという。 前岩手県知事の増田寛也元総務相といえば岩手県知事3期12年のあいだに、6,000億あまりだった岩手県の公債費を1兆2千億円強にほぼ倍増させ、さすがに四選に立候補することなく退任しているのだ。しかも総務大臣時代は三位一体改革として地方交付税を財政力の弱い自治体に優先的に配分する政策である特別枠制度を作っているのだ。これは企業などが自治体に納める法人事業税と法人住民税を地方に配分する仕組みであって、要するに東京都や大阪府に愛知県・福岡県など都市部の地方法人税を、財政基盤の弱いほかの貧乏都道府県に振り分けるという施策を作っているのだ。東京都民からすれば東京都のために使われるべきカネが私の住む愛媛県で使われている仕組みを作った人なのだ。 この人の総務大臣時代の施策のお陰で東京都と無関係なところに流れていく仕組みができてしまったわけなのだが、広く見るならば衰退を続ける日本の地方経済を支えるために、一極集中が続く東京や名古屋・大坂・福岡といった地域からその他の道県に税金を回し、日本全体の均衡ある発展を促そうという理念を持っている人物なのだ。そこで出てきたのが「地方交付税特別枠制度」で文字通り「東京一極集中」からの是正を行うために、東京都に納める地方法人税や法人住民税の一部を国がプールし、その他道県に分け与えることを実施したのが総務大臣時代の増田氏だったのだ。東京都民が納めた東京都に対する税金年間約2,000億円を、他の道県に回す政策を実施した都民にとってはA級戦犯とでもいうべき人物なのだ。 岩手県知事時代や総務大臣時代だけでなく、その後の「日本創成会議」での東京から地方へカネや人を流していこうという増田氏の主張は、東京都に税金を納め東京都に暮らす有権者にとって非常に不利で相応しくないものだと判断せざるを得ないのだ。もしも「増田さんの手腕を買って都知事にしたい」ということになって、東京都は日本のそれ以外の地方の衰退を背負っていくべきで、税金をこれらの地域に移転させるべきだと考える人は、都知事に立候補する増田氏に投票すれば良いのかなと思っているのだ。ちなみにこの「地方交付税特別枠制度」を飲んだのは当時の石原慎太郎都知事で、地方行政について関心を持っている人たちはみんなびっくりしたというのだ。 それでも東京都が何とかなってきた理由は、一極集中であるからこその高い税収と国際的な競争力の高さで比較的裕福な自治体であったからなんですが、これから問題となるのは東京オリンピックと急速に進む首都圏の高齢化・老朽化したインフラの耐震・防災対策といった老い行く東京の問題というのだ。すべての社会的な問題に対応した上で東京五輪までやるよとなると、あっという間に東京都でも赤字に転落してしまうのだ。そういう東京都民にとって増田氏がこれまで主張していることは東京都にとって望ましいかどうかは意見の分かれるところです。増田氏が都知事に立候補するにあたって最大の障害になる問題が、この総務大臣時代に行った「地方交付税特別枠制度」等の政策の類なのだ。
2016年07月11日
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汚染水垂れ流しは何も変らず関東一円に毒を撒き散らしているのを分かっていて黙っている東京電力福島第1原発で、一部で停電が発生し汚染水浄化装置などが止まったという。東京電力は原因調査を進めているが難航してしまい、完全復旧は2日以上要したそうなのだ。原子炉を冷却するための注水は続いており環境への影響はないという発表だったが、福島第1原発で電源トラブルが発生し汚染水からセシウムなどを取り除く装置「キュリオン」や、建屋周辺の地中を凍らせる「凍土遮水壁」の冷凍機の一部などが停止したと発表している。今年3月に凍土壁の運用を開始後の初めてのトラブルなのだが、これらの装置に電気を供給する電源に何らかの異常があったとみられている。 東京電力によると停電が発生したのは敷地内の一部の電気系統で、東京電力福島第1原発の監視室で高圧電源盤の異常を知らせる警報が鳴り電源盤の機能が停止してしまい、停電によりそこから電気を供給していた機器がストップしたというのだ。何らかの原因で電源盤を含む電気系統に過剰な負荷がかかり故障した可能性があるというのだが、原因解明は進んでいないという。このため汚染水からセシウムなどを取り除く装置2台のうち1台が停止したが、運転を続けているもう1台だけでも必要な汚染水処理は可能だったそうなのだ。このほか建屋周辺に造る「凍土遮水壁」の冷凍機もストップしたそうで、停電当時は冷凍機30台のうち22台が稼働中でそのうち10台が止まったという。 福島第一原発構内で停電が起き汚染水を減らすため1~4号機の建屋の周囲を「氷の壁」で囲う凍土壁を冷却する装置の一部が停止したのだが、凍土壁の冷凍機は全30台のうち当時22台が稼働中だったという。現在は8台が使えており壁の温度は維持していることから東京電力は「全体の冷凍機能に影響はない」としている。このほか原発西門付近の中性子線監視装置1台も止まったが電源を切り替えて稼働しているという。東京電力の発表では6月28日午前3時40分ごろ免震重要棟の監視室で高圧電源盤の異常を知らせる警報が鳴り、その電源盤から電気を供給していた汚染水からセシウムなどを取り除く装置である「キュリオン」などが止まっていることが確認されたという。しかもこの時でさえバックアップ電源はあったのだが、停電の原因を調査中のため使っていなかったというのだ。トラブルを受け汚染水の処理は停止した「キュリオン」とは別の装置を使って続けていたそうなのだ。他に西門付近の中性子線監視装置1台や、構内の信号機1基などが停電したが監視装置は電源を切り替えたそうなのだ。溶け落ちた核燃料がある原子炉への注水設備や周辺の放射線量を測るモニタリングポストの値に異常はなく、外部環境への影響もないと公表はしているが、敷地内の電気系統に何らかの原因で異常な負荷がかかり、停電が発生した可能性が高いとみられているが、効果がないと言われている凍土壁工事は3月の運用開始以来初のトラブルとなったそうなのだ。 その東京電力福島第1原発事故で「炉心溶融」の公表が遅れた問題について、「社会の皆様にご迷惑とご心配をおかけした。二度と起きないよう再発防止を徹底する」と謝罪している。そんな東京電力の発表なんて何一つ信用できないわけなのだが、現場の作業従事者が毎日まじめに仕事に取り組んでいれば故障や事故の原因が不明な事は無いと思うのだ。出鱈目でも意図的でも適当に言い繕いその場を通り過ぎればいいと考え、後にばれたり追及が有ったりすれ間違いでしたと詫びれば済むと本気で思っている態度が出てしまっているのだ。問題なのは「最初からどうにもならない状態」のものを「どうにかなるもの」として、無理矢理に「アンダーコントロール」と称して国民を騙している点なのだ。
2016年07月10日
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一時期「狂牛病」と言われていた「牛海綿状脳症」を引き起こすプリオンの検査は生後48カ月を超える牛を対象に実施されているが、内閣府・食品安全委員会のプリオン専門調査会は「検査を廃止しても、人への健康影響は無視できる」との評価結果案をまとめたという。これを受けて食品安全委員会は近く全頭検査廃止を厚生労働省に答申するというのだが、これで「牛海綿状脳症」対策として全国の75自治体が自主的に実施している全頭検査が、一斉に廃止されることが厚生労働省への取材で分かったというのだ。厚生労働省は来月から牛の食肉検査の対象月齢を現在の「30カ月超」から、「48カ月超」へと引き上げるのに合わせて関係自治体に全頭検査を見直すよう要請しているそうなのだ。 厚生労働省によると全頭検査をしているのは食肉処理場を持つ44都道府県と政令市など31市とされており、最後まで対応を検討していた千葉県が全頭検査の廃止を決めたという。食肉検査の対象月齢が「48カ月超」になれば国内で食肉処理される肉用牛のほとんどが検査の対象外となるわけなのだが、厚生労働省は食肉検査を実施する自治体に補助金を交付していることから。対象となる牛の月齢が引き上げられるため補助金は大幅に削減されるという。全頭検査は日本で「牛海綿状脳症」の感染牛が初めて確認されたから開始され、国は牛の食肉検査を義務付ける月齢を段階的に緩和してきたが、自治体は消費者の不安を解消するためなどとして自主的に全頭検査を続けてきたのだ。 全頭検査廃止について厚生労働省は「導入当初は牛肉に対する不安を払拭するために意義があった」と述べているが、内閣府の食品安全委員会は食肉検査の対象月齢を「48カ月超」へと引き上げても問題はないとするリスク評価を厚生労働省に答申していた。国内の「狂牛病」と言われている「牛海綿状脳症」は15年前に発生し全頭検査が始まっている。日本で確認された「牛海綿状脳症」のうち8頭目と9頭目は異常プリオンの蓄積量が迅速検査の検出限界であろうという24か月齢以下の牛であったのだが、メディアによる報道は「24か月以下の牛には異常プリオンが蓄積されない」と言い換えられているため、検出限界と病気の如何について誤解が生活者に浸透しているそうなのだ。 さらに牛がいつ感染したのか分からないことと感染後の異常プリオンの蓄積のスピードには個体差があるであろうことから、同一の検出限界のキットを使用しても感染を確認できる牛の月齢分布は正規分布になる事はあり得ないといわれている。24か月が検出限界であるというのは経験則であって統計学な根拠があるわけではなく、24か月未満で発見されることはその牛の個体差などを示しているにすぎない問題だとされている。「牛海綿状脳症」の感染牛は15年くらい前から発生しておらず、食肉処理場の検査でも7年前を最後に一頭も確認されていないといわれている。そこで「感染牛の状況から見て健康な牛の検査を廃止しても、人へのリスクが高まることはない」との見解をまとめたというのだ。 ただし足がふらつくなど運動神経障害を示す生後24カ月以上の病的な牛は、これまでとおり検査対象とするそうで、米国からも検査なしで生後30カ月以下の牛肉の輸入が認められていることから、日本側の検査廃止が輸入牛肉に与える影響はなさそうだというのだ。オーストラリアの牛は日本よりよっぽど厳重管理下で生育状況のデータを残してるそうで、私は手間や費用がかかるが食の安全のためにも続けてほしい気がしている。それに全頭検査をやめる理由がコストであるならば店頭価格が下がってもいいと思うのだ。それほど牛肉の値段が下がらないなら検査は続けてもらった方が食の安全を守るために必要かと思うのだ。もっとも我が家では国産の牛肉を買うことなどないので関係無いように思うのだ。
2016年07月09日
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東京電力福島第1原発事故に伴う除染で出た汚染土を巡り、環境省の検討会が再利用の方針を決めた際、法定の安全基準まで放射能濃度が減るのに170年かかるとの試算を非公開会合で示されながら、長期管理の可否判断を先送りしていたことが分かったというのだ。環境省は汚染土を道路の盛り土などに再利用しコンクリートで覆うことなどで放射線を遮蔽するとしているが、非公開会合では盛り土の耐用年数を70年と提示してうえで、道路の供用終了後も100年間の管理が必要としている。この「放射線影響安全性評価検討ワーキンググループの報告に関して道路管理の専門家は、「隔離もせずに計170年もの汚染度の管理などできるはずがない」と厳しく批判している。 汚染土の減容や再利用を図るため環境省が設置した「中間貯蔵除去土壌等の減容・再生利用技術開発戦略検討会」の下部組織とされる、この「放射線影響安全性評価検討ワーキンググループ」の内部資料によると会合は非公開とされており、1~5月に6回開かれ放射線の専門家ら委員8人と環境省や「日本原子力研究開発機構」の担当者ら計20人余が出席して、増え続ける汚染土の減容や再利用を図る方針を決めているそうなのだ。原子炉等規制法は原発解体で生じる金属などの「安全に再利用できる基準」を放射性セシウム1キロ当たり100ベクレル以下と定めているが、事故後成立した放射性物質汚染対処特別措置法は8000ベクレル超を指定廃棄物とし「問題なく廃棄処理できる基準」と規定しなおしたというのだ。 今年の1月に行われた会合で委員から「問題は道路などの供用後。自由に掘り返していいとなると再利用の上限は厳しい値になる」との指摘が出ていたというのだが、それを担当者が「汚染土を再利用すれば100ベクレルまで減衰するのに170年、盛り土の耐用年数は70年という指標があり、供用中と供用後で170年管理することになる」との試算を提示した。この8000ベクレルを汚染土再利用の上限値とするための「理論武装」の場としているようで、環境省は汚染土をコンクリートで覆うことなどで「放射線量はクリアランスレベルと同程度に抑えられる」として道路の盛り土や防潮堤など公共工事に再利用する計画を発案し、管理期間を巡る議論は深まらないまま汚染土の処理方針を決めたというのだ。 上部組織の戦略検討会はこの「放射線影響安全性評価検討ワーキンググループ」の報告とおり8000ベクレルを上限として、コンクリートで覆う場合は6000ベクレル以下植栽した盛り土の場合は5000ベクレル以下など用途ごとに目安を示して、汚染土の再利用を今月に了承したというのだ。環境省は年内にも福島県内の仮置き場で濃度の異なる汚染土を使って盛り土を造って放射能の線量を測る実証実験を始めるとしている。この「放射線影響安全性評価検討ワーキンググループ」の佐藤委員長は管理期間170年の試算を認めた上で、「議論はしたが何も決まっていない。今回は再利用の入り口の考え方を示したもので、170年の管理が現実的かどうかは今後検討する」としている。 環境省除染・中間貯蔵企画調整チーム長だった小野洋氏は「最後どうするかまでは詰め切れていないが、そこは環境省が責任を持つ」と述べたが移動してしまっているし、検討会の下に設置され土木学会の見解では汚染土再利用について、「土砂の利用という事で最終段階まで追跡可能な状態の確保は決して容易ではない」との見解が示されているそうなのだ。環境省が非公開会合で汚染土の再利用の方針を決めたのは、再利用の上限値を緩めなければ、住宅地などの地表面をはぎ取った汚染土はフレコンバッグなどに入れ現場の地下に埋設保管されているほか、自治体などが設置した仮置き場で集積保管されている。最大で東京ドーム18個分とされる汚染土の最終処分量を減らせないためだというのだ。
2016年07月08日
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公的年金の積立金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人が、昨年度に5兆数千億円の運用損失を出し5年ぶりに赤字となることが明らかになったという。一昨年の秋から運用割合を増やした株式の価格下落の影響が大きく出たわけなのだが、ただちに年金支給額が変動することはないとされるが英国のEU離脱で株価はさらに下落しており、厳しい運用状況が続きそうだ。年金積立金管理運用独立行政法人は3月に公表した今年度計画で、これまで決めていなかった運用実績の公表日を「7月29日」と初めて明記しているが、過去5年の公表日は7月初旬が多かったことに加え世界的な景気減速の影響で大幅な損失を出す可能性が高く、野党からは「参院選後に先送りした」と批判の声が上がっている。 年金積立金管理運用独立行政法人の運用委の議事要旨には、「7月末は遅いと受け止められるのは当然だ」などと公表日の遅さを指摘する意見があったが、年金積立金管理運用独立行政法人事務局は、法人設立からの分析も含めて公表することなどを理由に変更する考えはないとしていた。運用状況を監視する運用委員会の委員長の新井富雄・東大名誉教授は、国内と外国の株式割合をそれぞれ12%から25%に倍増させた基本運用資産の構成割合について「おおむね目標利回りを満たしており、見直す必要がない」との検証結果も公開しているのだが、一義的には高収益を目指すためだが「株価連動内閣」と言われる安倍晋三政権が主導し野党などから「株価対策だ」と批判されているのだ。 年金積立金管理運用独立行政法人は国民年金と厚生年金の保険料収入からの積立金約140兆円を運用しており、平均で年金給付額の9%を賄っている。株価の押し上げ効果を狙う首相官邸の意向などを受け、一昨年の10月に資産の構成割合を変更し24%だった株式比率を50%にまで引き上げ国債などの比率を下げている。この結果株価の影響を受けやすくなり当初は計約37兆円の収益を上げていたが、昨年度は5兆円規模の損失を出している。今後も運用には厳しい局面が予想されるのだが、今年3月末に1万6758円だった日経平均株価は英国の欧州連合離脱問題などの影響で6月末には1万5575円に下落しており、今年度の運用損失は一層膨らむ可能性があるというのだ。 年金の担当である塩崎恭久厚生労働相は「短期的な変動に伴う評価損はありうるが、長い目で見て必要な年金額を確保するという観点で運用している」と説明する。野党は株式比率を元に戻すように主張しているが政府は見直しに慎重な姿勢で、年金積立金管理運用独立行政法人の関係者は「マイナス金利の影響で、株式と債券の比率を元に戻せば目標とする利回りを確保できない恐れがある」と話しているそうなのだ。今後の年金支給額については「10年以上にわたり大幅な損失が続くといった状況がない限り影響はない」という一方で、年金積立金管理運用独立行政法人のF決算に対し野党は批判を強めている。民進党は運用実績の公表時期を参院選後に設定したことを問題視しているのだ。 民進党の岡田克也代表は「リスクの高い運用だと我々が心配した通りの状況になりつつある。将来の年金減額につながりかねない深刻な問題だ」と懸念を示し、枝野幸男幹事長は「毎年6月30日までに厚労相に報告されたら、7月の頭に公表することになっているが、なぜか今年だけ先送りしている。参院選が終わってから、大損していることは国民に伝えよう、というのが安倍政権の姿勢だ」と批判している。「政府の情報隠し」と位置付け参院選の争点の一つにする姿勢なのだが、これに対し萩生田光一官房副長官は記者会見で「現在精査中で損失額は確定していない」とし、公表日について「7月中ということは慣例的にずっと続いていて、恣意的に公表日が動くという誤解があってはならない。参院選には関係ない」と反論している。
2016年07月07日
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公共投資は資源配分機能を挙げることができるとされているが、多くの社会資本はその便益を受ける利用者に対し便益に対応する料金を課すことが困難な性質を持っている。ある個人がそれを利用しても他の人がそれを追加的に利用することによって、増加する費用が極めて小さいという性質を持ったインフラ等は、社会的には必要なものであっても民間部門によっては適切に供給されにくく資源配分上の非効率性が生じやすいことから、政府が市場に介入することが正当化されているという。公共投資は所得再分配機能も持っていて市場メカニズムが完全に機能しており、資源が効率的に利用されていても地域間の所得格差が縮小するように各地域の所得水準が収斂していくとは限らない。 そこで限界生産性の低い地方圏における投資が地域間の所得格差の是正に寄与しているというのだ。そのうえ経済活動の安定化機能を挙げることができ、これは短期的な経済の変動を安定化するために政府が公的需要を調節することを目的とした機能で、いわゆるケインズ的景気対策と呼ばれているものとされている。量的な大きさを柔軟に調整できることから公共投資がこの目的のために利用されることが多かったのだ。しかも将来世代への配慮を挙げることができる点も重要で、現在世代への便益だけでなく将来世代への便益も考慮に入れて社会資本を供給するという観点から、政府は社会資本の供給量を決定することはできるが、都道府県の今度予算では公共工事などに充てる投資的経費は減少しているのだ。 公共工事では現時点で非効率であっても長期的に効率的な国土利用が実現される場合、低開発地域等への公共投資が正当化されるとされており、実際に行われる公共投資をこれらの機能別に厳密に区分することはできないが、公共投資に関する議論を行う際にこれらの概念を理解しておくことは重要であると考えられている。もっとも多くの自治体が税収増を見込むものの財源は限られることから、46都道府県でインフラ整備などに充てる投資的経費は計7兆7406億円となっており多くの自治体で前年度を下回っているというのだ。それでも必要な事業を進めようと単独事業費を増やす自治体では、昨年の関東・東北豪雨による鬼怒川の堤防決壊などを受け、新規事業として水害対策に取り組む自治体が増えているそうなのだ。 わたしの住む四国でも徳島県は民間と協働して河川に堆積した土砂を撤去するモデル事業を展開しているそうで、津波対策に加え昨年度に目立った土砂災害対策も各自治体で本格化しているそうなのだ。定期点検に基づく長寿命化修繕計画の作成や更新や計画的な修繕工事の実施といった予防保全の取り組みが、道路だけでなく河川や港湾など各分野に広がっているというのだ。それでも東日本大震災の復旧・復興などが進んだ結果、公共投資の総額は昨年度の3.4%増から減少に転じる見込みで、消費増税の先送りなどで税収の不透明さが増したうえ補助事業費や国直轄事業負担金も多くの自治体で前年度を割り込むという。こうしたなか4.4%の増加を見せるのが単独事業費なのだ。 各自治体とも災害対策や維持管理などで自治体が独自の工夫を凝らしているそうで、当初予算の重点施策としては防災・減災対策ということで、緊急避難道路の整備や河川・海岸・港湾・砂防施設等の改修・補強などを引き続き県単独で推進することといているというのだ。台風や集中豪雨による風水害や土砂災害を未然に防止する地すべり対策や、水源林の保全整備など県民の安全・安心に直結する安全対策に努めるとともに、南海トラフ地震等の発生に備えたインフラ施設等の耐震性の検討や海岸・港湾における津波対策の推進など、災害に強い施設の構築に努めるだけでなく、急増する外国人観光客を迎えようと、空港の機能を強化したり、運営方式の見直しを検討したりする自治体が増えているそうなのだ。
2016年07月06日
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ライフプランの考え「長時間労働削減推進本部」を立ち上げて、「長時間労働への対策が進められることになりました」と宣伝している、労働条件についての指導・監督を担う厚生労働省なのだが、厚生労働省庁の職員は深夜まで残業することはザラとされている。「霞が関国家公務員労組共闘会議」によると、霞が関の中央省庁で働く国家公務員の平均残業時間は管理されている分だけだと月35.1時間となっており、最多残業時間は旧労働省の67.9時間で、次いで旧厚生省の58.1時間となっているそうなのだ。これに経済産業省が50.5時間と旧運輸省が47.8時間と続いているそうで、長時間労働を是正する厚生労働省の残業時間が全省庁でもっとも多いというわけなのだ。 塩崎恭久厚生労働大臣の主導で「厚生労働省働き方・休み方改革推進戦略」が実施されることになり、今年3月から半年間でさまざまな取り組みを官房各課と各部局筆頭課で試行的に実施し10月から厚生労働省の本省において本格実施するというのだ。その中の一つに政府は昨年から国家公務員の長時間労働を是正するため、終業時間を早め夕方の時間を有効活用する「ゆう活」を全省庁で実施しているそうなのだ。政府が国家公務員約22万人を対象に、7月から8月31日まで実施している朝型の勤務体制「ゆう活」なのだが、残業時間が長いと指摘される国家公務員の定時退庁を促すため、安倍内閣が力を入れている制度ですが、実際の現場からは不満の声が漏れているという。 ある役所の40代課長級職員は「一時間早く出勤して、早めに仕事を終え、趣味の時間にあてた。ただ朝はエアコンがまだきいていなくて暑い中では仕事の効率は正直悪い」と指摘しているが、「上司のすすめる日でないと取りにくい面がある」とか、「朝早く出勤してもエアコンが利いていなくてつらい」・「結局サービス残業が増える」など不満の声も少なくないという。また別の職員からは「早めに出勤していても、周囲が帰らないとやはり立ち上がりにくい」と職場全体がまだ時差出勤を導入する雰囲気づくりができていないという回答もあったそうなのだ。「ゆう活」は朝の出勤を通常の1~2時間早めることで、夕方早めに退庁してもらい、家庭サービスや趣味の時間に充てるなど仕事後を有意義に過ごしてもらうねらいだとされている。 総務省の統計によると国内雇用者のうち週60時間以上働いている人は8・8%と1割近くいるそうで、もともと国家公務員は国会対策等で残業が多いと指摘されており、長時間労働を削ることで家事や子育てに男性が参加しやすくする側面もあるというのだ。出勤を早めても早く帰れないのであれば労働時間はかえって増えていることになり、さらに「結局家に仕事を持ち帰ってはサービス残業と同じ」と不満も出ているそうなのだ。昨年度に内閣人事局が「ゆう活」の実施状況を調査したところ、朝型勤務を行った職員のうち定時に退庁できたのは65%で、国会の会期も9月下旬まで大幅延長された影響もあり、午後8時までに退庁できなかった職員は対象者の2割近くに達していたそうなのだ。 塩崎恭久厚生労働大臣は「引き続き国会開会中ということもあり、業務上どうしても早く退庁できない職員の方々が一定数いた」としており、安全保障関連法案の審議などの影響で国会が会期延長されたことが影響しているとの見方を示したそうなのだ。厚生労働省の職員は原則として毎日午後8時までに退庁、やむを得ない場合でも同10時までには退庁するという方針を打ち出しまして、長時間労働削減推進本部の下に「省内長時間労働削減推進チーム」が作られ、民間企業や地方公共団体にも「ゆう活」の実施を働きかけることとしているというのだ。民間企業でもフレックスタイム制を一時導入したがうまく機能せず、元に戻したという例もあるといい日本での時差出勤の難しさを感じさせているのだ。
2016年07月05日
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私は風呂に浸かるのが大好きで1日に2回は入浴するのだが、今の若者は「お風呂」離れが進み20代の4割はほとんど湯船につからないそうなのだ。その背景には風呂につかっている「時間がない」ことのほか、「風呂に入るコストがもったいない」という節約心理があるようなのだ。わたしの住む松山市は水不足で有名であることから節水を図っているのだが、松山市公営企業局によると節水機器の普及や人口減で水の使用量は減りつつあるそうなのだ。ところが水が水道管内に滞留すると水質の維持が難しくなることから、水道管の敷設は長期的な計画に基づいており急には細くできないというのだ。そこで有効利用を呼び掛けることになったわけなのだが対象として浮かんだのが20代の若者だというのだ。 神戸市の水道局が昨年9~10月に実施した調査では、「だいたい毎日湯船にお湯を張って入る」と答えた割合は30代の66.4%が最も多かったそうで、湯船にお湯を張る機会が少ない若者に入浴の楽しさを伝えようと神戸女子大家政学部の学生が協力しているそうで、昨年11月に神戸女子大家政学部で開催したワークショップでは20代は25%しか入浴しておらず、「ほとんど入らない」が43.8%で、入浴しない理由として「一人暮らしでもったいない」と「時間がない」などの意見が出たそうなのだ。「一人暮らしでもったいない」という経済面の合理的な思考なのだが、さまざまな維持管理や付随する費用を含めて考えると都市部では自分で車を保有するのは「コストパフォーマンスが悪い」という彼らなりの経済合理的な思考だというのだ。 アルバイトなどでとにかく忙しいため「時間がない」という時間的な制約せは、若者の入浴時間が近年になって短くなっていることを実際に示す統計データはなく、逆に一見すると長くなっているのではないかと思わせるデータはあるそうなのだ。NHK放送文化研究所が5年ごとに実施している「国民生活時間調査」がそれで、日本人の生活時間がどのようなことにどのくらい振り分けられているかを示す「時系列データ」が含まれているという。調査項目の中に「身のまわりの用事」があって、洗顔・トイレ・入浴・着替え・化粧・散髪等が具体例として挙げられている時間の使い方として分類されているそうなのだ。この「身のまわりの用事」に平日に費やされた時間を見ると、20代の男性は1時間04分で5年前の調査から6分増加しているというのだ。 20代の女性も1時間29分で5年前から5分増加しており、同じ世代の動向を探るため10年前の調査における10代と比較しても男性は9分増加しており、女性に至っては19分も増加しているそうなのだ。平日だけでなく土曜や日曜のデータでも傾向はおおむね同じとなっているそうで、「お風呂派」が減って「シャワー派」が増えているとすれば、普通に考えれば入浴時間は短くなるはずであるが、「国民生活時間調査」のデータとは整合しないというのだ。「身のまわりの用事」のうち「入浴」の時間は減っているものの、それ以外たとえば「化粧」や「洗顔」に費やされる時間が増えているとか、「入浴」中に行われる活動が現在は多岐にわたっているため結果として「身のまわりの用事」の時間が長くなっていることも考えられるというのだ。 たとえば相対的には「シャワー派」が増えていても、「お風呂派」が防水のゲーム機やテレビなどで長い時間楽しむとか、お風呂の中でストレッチをするなどの活動をしているケースが考えられるわけなのだが、ヨーロッパ大陸のように空気が乾燥していればシャワーで済ませるのが合理的だと言えるかもしれないし、気温と湿度の高さで消耗しがちな真夏にはシャワー派が日本でも多くなるように思われているというのだ。世代が入れ替わるに連れて日本で「湯船派」は徐々に減っていく可能性が高いということなのだが、神戸女子大家政学部では「おふろ部」と名付けた情報サイトをネット上に開設して、入浴剤や半身浴など女子大生向けの情報を発信して入浴の良さをアピールしているそうなのだ。
2016年07月04日
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バングラデシュの首都ダッカで起こった人質事件について、過激派組織「イスラム国」を名乗る犯行声明が出たそうで、襲撃した武装グループは「神は偉大なり」と叫んで銃を発砲したというのだ。イスラム過激派である可能性は高いが、バングラデシュの地元組織が独自に犯行に及んだのか、過激派組織「イスラム国」の指示があったのかは不明だという。劣勢になるにつれて各国では潜伏メンバーや「イスラム国」信奉者が関与したとみられるテロが続くが、世界にテロを拡散させることで、「イスラム国」掃討作戦に協力する国に警告するとともに、健在ぶりを示して勢力回復を図る狙いがあるとみられている。過激派組織「イスラム国」は5月にラマダン中のテロを呼びかける声明をインターネット上に出していたというのだ。 バングラデシュは人口約1億5千万人の9割がイスラム教徒なのだが、イスラム過激派に反対する世俗派やヒンドゥー教徒のほか、同じイスラム教でも少数派のシーア派らの殺害事件が20件以上起きているというのだ。今回の現場となったグルシャン地区は首都ダッカきっての高級住宅街だそうで、 バングラデシュで初めて過激派組織「イスラム国」を名乗る犯行声明が出たのがこの地区だったそうなのだ。しかも昨年もバングラデシュの北部で日本人男性が殺害され、過激派組織「イスラム国」の声明が出ていたそうなのだ。このようなことからバングラデシュ政府はラマダン中のテロを防止するため先月に大規模な「過激派取り締まり作戦」を行ったが、当初から実効性には疑問の声が上がっていたそうなのだ。 地元当局によると人質事件の実行犯は8~9人だったそうで、襲撃時には「アッラー・アクバル(神は偉大なり)」と叫びながら発砲したそうなのだ。警察と銃撃戦となり警官2人が死亡し約30人が負傷していたというのだ。武装集団は外国人20人を含む35人を人質に取って立てこもっていたが、発生から約10時間後に当局が治安部隊100人以上を投入し、救出作戦に着手して激しい銃撃戦となり爆発音も響いたという。バングラデシュ軍当局者は「死亡した人質の大半はイタリア人と日本人だ」と語ったそうで、イタリア政府も事件後すぐに9人の犠牲が確認されたと明らかにしていたが、そのほかの犠牲者にはバングラデシュ人や韓国人にインド人も含まれていたということまで発表されていたそうなのだ。 バングラデシュの首都ダッカで武装集団が飲食店を襲撃し、客の外国人ら数十人を人質に立てこもり治安部隊が現場に突入し日本人男性1人を含む13人を救出した事件で、バングラデシュ軍関係者は実行犯6人を射殺し1人を拘束したが、人質20人が死亡したと明らかにしたそうなのだ。現場はダッカ国際空港に近いグルシャン地区にあって日本大使館など外国公館にも近く、襲撃が起きた日はラマダン最後の金曜日で治安当局はイスラム過激派の活動を警戒していたというのだ。日本政府関係者によると日本人男性5人に女性2人の計7人の死亡を確認したしたが、救助された男性は東京都内の建設コンサルタント会社社員で、千葉県に住む40代の男性で負傷しているが命に別条はないという。 生存者は国際協力機構の円借款プロジェクトに参加する企業の技術者ら日本人8人で食事中事件に巻き込まれたそうなのだが、「別々に逃げ、他の7人の安否は分からない」と現地の日本大使館員に話していたという。死亡が確認された7人は都内の3つの建設コンサルタント会社に勤務しそのうち2人は女性だというが、この件で菅義偉官房長官は首相官邸で記者会見し、死亡を確認した7人の内訳は男性5人と女性2人で、氏名については家族の了承を得ていないので「コメントを控える」と述べていた。安倍晋三首相は「バングラデシュの発展のために尽力してこられた皆さんであり、痛恨の極みだ」と述べていたが、バングラデシュのハシナ首相と電話会談では軍の強行突入に理解を示したそうなのだ。
2016年07月03日
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バングラデシュの首都ダッカで起こった人質事件について、過激派組織「イスラム国」を名乗る犯行声明が出たそうで、襲撃した武装グループは「神は偉大なり」と叫んで銃を発砲したというのだ。イスラム過激派である可能性は高いが、バングラデシュの地元組織が独自に犯行に及んだのか、過激派組織「イスラム国」の指示があったのかは不明だという。劣勢になるにつれて各国では潜伏メンバーや「イスラム国」信奉者が関与したとみられるテロが続くが、世界にテロを拡散させることで、「イスラム国」掃討作戦に協力する国に警告するとともに、健在ぶりを示して勢力回復を図る狙いがあるとみられている。過激派組織「イスラム国」は5月にラマダン中のテロを呼びかける声明をインターネット上に出していたというのだ。 バングラデシュは人口約1億5千万人の9割がイスラム教徒なのだが、イスラム過激派に反対する世俗派やヒンドゥー教徒のほか、同じイスラム教でも少数派のシーア派らの殺害事件が20件以上起きているというのだ。今回の現場となったグルシャン地区は首都ダッカきっての高級住宅街だそうで、 バングラデシュで初めて過激派組織「イスラム国」を名乗る犯行声明が出たのがこの地区だったそうなのだ。しかも昨年もバングラデシュの北部で日本人男性が殺害され、過激派組織「イスラム国」の声明が出ていたそうなのだ。このようなことからバングラデシュ政府はラマダン中のテロを防止するため先月に大規模な「過激派取り締まり作戦」を行ったが、当初から実効性には疑問の声が上がっていたそうなのだ。 地元当局によると人質事件の実行犯は8~9人だったそうで、襲撃時には「アッラー・アクバル(神は偉大なり)」と叫びながら発砲したそうなのだ。警察と銃撃戦となり警官2人が死亡し約30人が負傷していたというのだ。武装集団は外国人20人を含む35人を人質に取って立てこもっていたが、発生から約10時間後に当局が治安部隊100人以上を投入し、救出作戦に着手して激しい銃撃戦となり爆発音も響いたという。バングラデシュ軍当局者は「死亡した人質の大半はイタリア人と日本人だ」と語ったそうで、イタリア政府も事件後すぐに9人の犠牲が確認されたと明らかにしていたが、そのほかの犠牲者にはバングラデシュ人や韓国人にインド人も含まれていたということまで発表されていたそうなのだ。 バングラデシュの首都ダッカで武装集団が飲食店を襲撃し、客の外国人ら数十人を人質に立てこもり治安部隊が現場に突入し日本人男性1人を含む13人を救出した事件で、バングラデシュ軍関係者は実行犯6人を射殺し1人を拘束したが、人質20人が死亡したと明らかにしたそうなのだ。現場はダッカ国際空港に近いグルシャン地区にあって日本大使館など外国公館にも近く、襲撃が起きた日はラマダン最後の金曜日で治安当局はイスラム過激派の活動を警戒していたというのだ。日本政府関係者によると日本人男性5人に女性2人の計7人の死亡を確認したしたが、救助された男性は東京都内の建設コンサルタント会社社員で、千葉県に住む40代の男性で負傷しているが命に別条はないという。 生存者は国際協力機構の円借款プロジェクトに参加する企業の技術者ら日本人8人で食事中事件に巻き込まれたそうなのだが、「別々に逃げ、他の7人の安否は分からない」と現地の日本大使館員に話していたという。死亡が確認された7人は都内の3つの建設コンサルタント会社に勤務しそのうち2人は女性だというが、この件で菅義偉官房長官は首相官邸で記者会見し、死亡を確認した7人の内訳は男性5人と女性2人で、氏名については家族の了承を得ていないので「コメントを控える」と述べていた。安倍晋三首相は「バングラデシュの発展のために尽力してこられた皆さんであり、痛恨の極みだ」と述べていたが、バングラデシュのハシナ首相と電話会談では軍の強行突入に理解を示したそうなのだ。
2016年07月02日
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日本経済の低成長が続く中で働く環境は厳しくなっているのだが、正社員と非正社員の賃金や処遇の格差など、目の前にあるのになかなか解決しない問題も山積みされている。日本の正社員に長時間労働や不本意な転勤がつきものだったのは、企業の立場が強く「いやなら辞めて結構」というスタンスだったからだとされている。もちろん時間を惜しまず仕事の質を追求するという正社員の文化にはいい面もあったのだが、これからの人口減少社会では人材の奪い合いになっていくことから、企業にとっても若いうちに低めの賃金で滅私奉公させた分を中高年の好待遇で報いる、年功型賃金の維持が難しくなっているのだ。今までと違った方法で働き手の忠誠心を維持する必要があるというのだ。 そのような中で岡山県北部にある人口約10万人の津山市は静かな地方都市で、この津山市にある農協で多くの職員が未払いの残業代の支払いを求める訴訟を起こす異例の事態になっているそうなのだ。起訴を起こしたのは正職員の3分の2にあたる200人超で、求める残業代は約3億円にのぼるというのだ。訴えたのは津山市などを管轄する津山農業協同組合「JAつやま」の職員で、職場は事務職のほか農家を指導する営農センターにガソリンスタンドのサービス員などで、いずれも津山農協労働組合の組合員なのだが、追加分も合わせると221人の未払い残業代だというのだ。労働基準法違反があったときに裁判所が支払いを命じる付加金も求めると請求額全体は6億円近くなっている。 提訴は岡山地裁津山支部だが金額が大きいため岡山地裁本庁で審理することになったというのだが、訴状などによると「JAつやま」では長年サービス残業が常態化しており、執行委員長の矢野秀実氏は「4~5年前から農繁期を中心に休みがとれない状態が続いている。残業が月に100時間を超えるケースや休日がゼロの月があり、何とかしなければならないと団体交渉をしてきたが抜本的な改善がされていない。やむを得ず法的手段に訴えた」と話している。原告代理人の則武透弁護士によると昨春ごろに労組から相談を受け、8月下旬に「JAつやま」側にタイムカードや賃金台帳の開示を要求したところ2年分のデータを明らかにしたという。そこで労組は残業代を計算して支払いを求めたが応じなかったという。 訴状などによると一昨年の11月には労働基準監督署が「JAつやま」に対し、残業代を支払うよう是正勧告を出していることから「JAつやま」側は一部の支払いに応じたが、昨年の3月に代理級職員を「管理監督者」に一方的に変更したというのだ。労働機銃法の「管理監督者」には残業代を支払う必要はないがこれまでの裁判や行政通達では、「経営者に近い立場で働き方に裁量がある」とか、「十分な賃金をもらっている」などの条件が必要で、地位が高い管理職に限られている。原告の約1割が管理監督者扱いになっているが則武弁護士は「代理級職員には課長代理も含まれ、とても管理監督者とはいえない」と指摘している。しかも「JAつやま」側の主張は労組と対立しているというのだ。 岡山地裁で開かれた第1回の口頭弁論で「JAつやま」は、未払いの残業代はないとして訴えの棄却を求めたというのだ。今後の裁判では「管理監督者」の範囲やタイムカードの記録が勤務実態と合っているかだけでなく、残業命令があったかなどが争点になるとみられているが、組合側も労働基準法上未払いの額に応じ上乗せして使用者に課す付加金計約2億5千万円も求めていることから総額は計約5億5千万円に上っているというのだ。この金額は弁護団によると残業代未払いを巡る訴訟では全国的にも極めて異例の規模だそうで、岡山県北部にある人口約10万人の津山市は静かな地方都市での賃金闘争で、企業も変わらざるを得なくなっているということを認識しておくべきだろう。
2016年07月02日
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特別養護老人ホームからの請求額が昨夏以降はね上がっているそうで、脳出血で半身マヒになった母親は最も重度な要介護5で、4年待った末にやっと東京都の特別養護老人ホームで2年前から暮らしている。食費や部屋代に介護保険の自己負担分なども含め月約8万円から約17万円に倍増してそうで、両親の年金は月約28万円だが実家の借地料は月8万円近く、一人暮らしをする父親の医療費や社会保険料の負担も重いという。男性は毎月4万円の仕送りを始めたがなお足りないというのだが、負担が増えたのは介護保険制度の改正で施設の食費・居住費の補助を受けられる条件が厳しくなったため、住民票登録をしており実家の父と「世帯分離」をしているというのだ。 男性の場合これまで非課税世帯とみなされた母は補助を受けられていたが、制度改正によって世帯が別でも配偶者が住民税の課税世帯なら補助の対象外になったという。住民税が非課税の世帯も一定の預貯金があれば補足給付を受けられなくなったということなのだが、厚生労働省によると昨年8月末の補足給付の認定数は約90万件で前月末の約120万件から一気に減ったそうなのだ。制度改正の影響が大きいとみられているがこの男性は住宅ローンや教育費を抱え仕送りはギリギリだという。そこで「両親に離婚してもらうしかない」ということで両親を離婚させて再び補足給付を受けるしか手段がないと思い弁護士とも相談しているが、こんなことを真剣に考えているというのだ。 金沢市で二つの特別養護老人ホームを運営する「やすらぎ福祉会」の代表者よると、昨年夏の一連の介護保険制度見直しで計144人の入居者の3割ほどで負担が増えたという。「中間層でも生活がギリギリになる人がいる。『払える人が負担する』という制度の趣旨を超えており、負担増の線引きがこれでいいのか疑問だ」と語っている。その特別養護老人ホームの個室に入居する認知症の女性も夫と「世帯分離」をしているそうで、夫の年金収入で補助の対象外となり施設利用料は月約7万円値上がりして約14万円になるからだというのだ。合計月23万円余りの夫婦の年金だけでは足りず貯金を取り崩すようになった。「そしていくら財政が厳しいと言っても利用料がいきなり倍なんて尋常じゃない」と怒っているという。 この「世帯分離」した夫婦のケースでは20歳で上京して電線会社で長年働き、定年後に故郷の金沢に戻った夫は「アベノミクスで成長って言われても、こんな負担増が続けばいずれ暮らしが成り立たなくなる」と嘆いている。生活保護費の予算が増大した近年では国や自治体が不正受給防止対策を急いでおり、同時に生活困窮者の自立も促しているが「老老介護」に陥った家庭には窮迫した日々を乗り越えることに追われがちだ。政府は介護の在宅・施設の整備に予算を確保し、サービスの受け皿を増やすとしているそうなのだ。収入不足については年金や生活保護など複数のセーフティーネットでのカバーを想定しているが、ある介護関係者は「網の目が粗く、制度からこぼれ落ちる高齢者が多い」と指摘している。 これまでは地元の保健師らが戸別訪問などをしてきたが人員不足の上、地縁・血縁の希薄化で孤立する家庭が増えているというのだ。高齢者の貧困問題に詳しい河合克義・明治学院大教授は「個別相談はプライバシーに踏み込まなければならないこともあり、行政が責務で取り組むべきだ。専門家から橋渡しすることで、民間の民生委員らとの連携もスムーズになる」と指摘している。高齢者介護問題は早急な解決を要するがまだ時間がかかりそうで、さらに消費再増税見送りで財源確保へ制度が再変更されれば各種制度はさらに複雑化する恐れがあるというのだ。自治体の生活相談窓口では「国にはもう財源がない。生活プランを見直して欲しい」と言うように、守り続けてきた「中流」の暮らしの揺らぎが深刻となっているのだ。
2016年07月01日
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