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今年の春闘で主な大企業が示したベースアップ幅が前年に比べ縮小したことを受け、安倍晋三首相は参院総務委員会で春闘での大手企業の回答について、「大企業を中心に空前の利益を上げているので、もう少し期待をしていたのも事実だ」と述べたそうなのだ。アベノミクスの肝ということで経済の好循環に向け経団連など財界に繰り返し賃上げを促したが、春闘での大手企業の回答が低調だったことに不満を示した形だという。ベースアップとは給料が上がるということではなく給料の水準が上がることなのだが、企業からするとベースアップを実施する分これからずっと人件費が増えるということになるのだ。しこでベースアップよりも毎年調整ができるボーナスで給料を調整しようと企業が多いとされている。 労働者から見ると毎年変わるボーナスで調整されるより橋梁の水準となっている「ベース」がアップした方が安定そることから、昇給が同じだったとしても社員にとってはボーナスでもらうよりベースアップの方が好ましいのだ。アベノミクスでは国民の給料を上げることを大きな目標の一つに考えており、そのために安倍総理自ら企業に働きかけて賃上げをするように要請してきたのだが、成果が上がっておらず政府内に焦りが生じているというのだ。国会では社民党の又市征治幹事長への答弁で安倍首相は「3年連続のベアとなったことも事実だ」と成果も強調し、「中核企業以外の引き上げ率を高くする工夫も見られた」などと企業側の姿勢に一定の評価を示しているのだが、足元における個人消費の低迷が続いているのだ。 連合は今年の春闘で傘下の労働組合が経営側から受けた回答の集計結果を発表しており、回答があった711組合のうち定期昇給とベースアップベアの区分可能な389組合で、ベースアップは平均1478円だったという。集中回答日の時点で比べると前年の2466円を約4割下回っていることから神津里季生会長は、記者会見で春闘の成果について「昨年と異なり物価上昇がほとんどない中で、これだけの回答を引き出した」と強調したそうなのだが、引き上げ率は0.47%にとどまり連合が目標に掲げた2%程度には届いておらず、理想と現実には相当差があるということを認めるような発言をしているそうなのだ。しかもアベノミクス下で初めての景気後退に陥り内外の市場関係者から批判されかけているというのだ。 野党各党も安倍政権の経済運営を一斉に批判しており、夏の参院選に向け「アベノミクスは経済の好循環を生んでいない」と訴え攻勢を強める構えだ。民主党の蓮舫代表代行は記者会見で「政府を挙げて『景気はいい』『賃金が上がっている』と言っているが、現実を受け止めるべきだ。国民や財界との意識の違いが今回の春闘でも明らかだ」と指摘している。共産党の志位和夫委員長も会見で「アベノミクス破綻の表れ。大企業をもうけさせ、そのお金が庶民の暮らしや賃金に回るというやり方は、もう成り立たない」と強調し、「選挙戦に向けて大いに議論し、アベノミクスからの転換を求めていく」と述べ、来年4月の消費増税を前にアベノミクスは賃金・消費の主力エンジンが失速する危機に直面しているとしている。 ベースアップが昨年水準を大幅に下回り中小企業を含めた全体のベアは、0.5%未満にとどまる公算が大きくなっているのだが、世界経済の先行きが怪しくなってきたことが大きく作用しているそうなのだが、このような「労使協調」の低ベア春闘に対し海外からは厳しい目が注がれており、国際通貨基金のアジア太平洋局はリポートの中で、日本の春闘を取り上げ「日本では賃金交渉は活発とは言い難い状態」としているそうなのだ。また経団連の榊原定征会長は「5月の主要7カ国首脳会議議長国として、世界経済の成長に貢献する姿勢を安倍晋三首相が示すのは自然なこと」として、財政出動を伴った景気対策が必要との認識を示しているが、財政出動については政府の「国際金融経済分析会合」でも有識者が提言しているそうなのだ。
2016年03月31日
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今年の春闘で主な大企業が示したベースアップ幅が前年に比べ縮小したことを受け、安倍晋三首相は参院総務委員会で春闘での大手企業の回答について、「大企業を中心に空前の利益を上げているので、もう少し期待をしていたのも事実だ」と述べたそうなのだ。アベノミクスの肝ということで経済の好循環に向け経団連など財界に繰り返し賃上げを促したが、春闘での大手企業の回答が低調だったことに不満を示した形だという。ベースアップとは給料が上がるということではなく給料の水準が上がることなのだが、企業からするとベースアップを実施する分これからずっと人件費が増えるということになるのだ。しこでベースアップよりも毎年調整ができるボーナスで給料を調整しようと企業が多いとされている。 労働者から見ると毎年変わるボーナスで調整されるより橋梁の水準となっている「ベース」がアップした方が安定そることから、昇給が同じだったとしても社員にとってはボーナスでもらうよりベースアップの方が好ましいのだ。アベノミクスでは国民の給料を上げることを大きな目標の一つに考えており、そのために安倍総理自ら企業に働きかけて賃上げをするように要請してきたのだが、成果が上がっておらず政府内に焦りが生じているというのだ。国会では社民党の又市征治幹事長への答弁で安倍首相は「3年連続のベアとなったことも事実だ」と成果も強調し、「中核企業以外の引き上げ率を高くする工夫も見られた」などと企業側の姿勢に一定の評価を示しているのだが、足元における個人消費の低迷が続いているのだ。 連合は今年の春闘で傘下の労働組合が経営側から受けた回答の集計結果を発表しており、回答があった711組合のうち定期昇給とベースアップベアの区分可能な389組合で、ベースアップは平均1478円だったという。集中回答日の時点で比べると前年の2466円を約4割下回っていることから神津里季生会長は、記者会見で春闘の成果について「昨年と異なり物価上昇がほとんどない中で、これだけの回答を引き出した」と強調したそうなのだが、引き上げ率は0.47%にとどまり連合が目標に掲げた2%程度には届いておらず、理想と現実には相当差があるということを認めるような発言をしているそうなのだ。しかもアベノミクス下で初めての景気後退に陥り内外の市場関係者から批判されかけているというのだ。 野党各党も安倍政権の経済運営を一斉に批判しており、夏の参院選に向け「アベノミクスは経済の好循環を生んでいない」と訴え攻勢を強める構えだ。民主党の蓮舫代表代行は記者会見で「政府を挙げて『景気はいい』『賃金が上がっている』と言っているが、現実を受け止めるべきだ。国民や財界との意識の違いが今回の春闘でも明らかだ」と指摘している。共産党の志位和夫委員長も会見で「アベノミクス破綻の表れ。大企業をもうけさせ、そのお金が庶民の暮らしや賃金に回るというやり方は、もう成り立たない」と強調し、「選挙戦に向けて大いに議論し、アベノミクスからの転換を求めていく」と述べ、来年4月の消費増税を前にアベノミクスは賃金・消費の主力エンジンが失速する危機に直面しているとしている。 ベースアップが昨年水準を大幅に下回り中小企業を含めた全体のベアは、0.5%未満にとどまる公算が大きくなっているのだが、世界経済の先行きが怪しくなってきたことが大きく作用しているそうなのだが、このような「労使協調」の低ベア春闘に対し海外からは厳しい目が注がれており、国際通貨基金のアジア太平洋局はリポートの中で、日本の春闘を取り上げ「日本では賃金交渉は活発とは言い難い状態」としているそうなのだ。また経団連の榊原定征会長は「5月の主要7カ国首脳会議議長国として、世界経済の成長に貢献する姿勢を安倍晋三首相が示すのは自然なこと」として、財政出動を伴った景気対策が必要との認識を示しているが、財政出動については政府の「国際金融経済分析会合」でも有識者が提言しているそうなのだ。
2016年03月30日
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金の密輸事件が急増しているということなのだが、財務省関税局がまとめた昨年7月から今年の6月までの金密輸事件は177件で前年の22倍となっているそうで、脱税額も前年比8倍の約2億4千万円でともに過去最多金となっているという。背景にあるのは金を密輸して国内で転売すれば消費税分がもうかるという日本特有の事情だそうで、そこに世界的な金の高騰といった要素も積み重なって密輸のうまみは増しているというのだ。税関などによると金の価格は全世界一律で非課税なのだが、日本では国内での売買の際に消費税が課されている。消費税は「購入する側が負担する税金」という性質があるため、日本で金を貴金属店に売った場合は消費税8%分を上乗せした額で買い取ることになりこの「8%」が密輸の利益となるのだ。 外国から正規に日本に20万円以上の金を持ち込む場合は申告して消費税を支払わなければならないのだが、このため隠し入れて消費税の支払いを免れ国内で売却することで消費税分をもうけようとするのだという。関西国際空港経由の密輸も大幅増で背景には消費税が8%になり、入国時に申告せず売却すると得られる「利益」が増えたことがあるというのだ。先日関西空港税関支署が入る合同庁舎の一室で金の延べ板130枚が公開されたのだが、これは関空開港以来最多の金密輸事件の押収物だったというのだ。発端は関空の税関検査場で職員が香港から到着した男女4人のグループに目をとめた。随分重そうな荷物を手荷物受け取りのターンテーブルから複数の布袋を2人がかりで降ろしていたというのだ。 税関への申告は化粧品だったが八つの袋の中にあった段ボール箱には、金の延べ板は6億円相当と腕時計が4億6650万円相当分隠されてあったそうなのだ。申告しなかった消費税額は計約8560万円にもなり税関や大阪府警による約1年の捜査を経て計9人が関税法違反などの罪で起訴されたそうなのだ。金の密輸は当然違法で関税法の無許可輸入と消費税法の脱税にあたるのだが、税関関係者は「刑事事件化されるのは氷山の一角」というのだ。昨年の平均密輸量は約4キロで1736万円相当とされているが、脱税額としては巨額ではないためもし密輸が発覚しても罰金などの行政処分で終わることがほとんどだし、罰金相当額を支払えば密輸した金そのものは没収されずに手元に残るというのだ。 そのうえ金そのものも値上がりしているそうで、貴金属製造販売大手の田中貴金属工業がホームページで公開している参考小売価格によると、10年前には平均は1グラム1619円だった金の価格が昨年は1グラム4564円だったというのだ。貴金属製造販売大手の田中貴金属工業の広報担当者は「短期的には世界経済の変動で上下するが、5年・10年で考えるとかなり上がった」とされ、10年間で約3倍に急騰していることも背景にあるというのだ。密輸急増を受け貴金属製造販売大手の田中貴金属工業も加盟する日本金地金流通協会は、昨年末に輸入の金延べ板を買い取る際は「税関で消費税を払ったことを証明する書類を確認する」などとする文書を会員宛てに出しているそうなのだ。 ただし日本金地金流通協会の会員は200社余りで「全国で金を扱う業者がどのくらいあるのか把握できていない」という。業界の関係者は「金の所持や売買は違法じゃなく、売買現場で密輸を発見するのは難しい」としている。そこで国内に持ち込むだけで確実に現金化できるため暴力団の資金源になっているとの指摘もあり、税関関係者は「格安航空会社の増便で輸送費も抑えられるようになったことも一因」と解説し「根深い問題」と頭を抱えている。暴力団の違法輸入は組員自ら実行するより闇バイトとして募ったりすることが多いというが、警察関係者は「密輸は隠蔽して運べる量にも限度があり、安定的な収入になりにくい。ここまでして資金を捻出しなければならないほど、暴力団が経済的に厳しい状況にある」と指摘しているのだ。
2016年03月30日
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来年4月に予定される消費税率10%への引き上げの先送り論が自民党執行部から相次いでいるそうなのだが、溝手顕正参院議員会長はTV番組で安倍晋三首相が消費税の引き上げの延期を決めたうえで、夏に衆参同日選を行うことに「賛成だ」と明言している。こうした党内の空気が安倍首相の同日選をめぐる判断に影響する可能性があって、消費税率を引き上げるかどうかの判断時期について「参院選前の方がよろしいかと思う」とも語り、安倍首相が引き上げを先送りして同日選に踏み切ることに期待感を示している。安倍首相も著名な経済学者が「国際金融経済分析会合」で世界経済の「大低迷」を理由に増税延期を主張したことなどを念頭にしているといわれているのだ。 稲田朋美政調会長も甲府市での講演で、消費税率を5%から8%に引き上げたことで個人消費が落ち込んだと指摘し、「そういったことや、世界情勢の動向を見ながら消費税の問題も決めないといけない」と述べ、経済状況によって増税延期を容認する考えを表明しているし、衆参同日選も念頭に「いつ何時、衆院選があるかわからない」とも述べているそうなのだ。安倍首相が参院予算委員会で消費増税について、繰り返し答弁している消費増税の延期条件であるリーマン・ショック並みの経済危機や、大規模な自然災害の発生との関連では「今はリーマン・ショック時や大震災のような非常時とは言い難い。しかも消費喚起策といっても効果的な策はない」という指摘をしているそうなのだ。 年明け以降の世界的な市場変動や国内経済における消費低迷に対し、政府部内で景気失速への懸念が急速に強まっていることには間違いがないのだが、一部の経済官庁関係者や安倍晋三首相の周辺では、これらに対して10兆円規模の経済対策が必要との声が出てきたとされている。それでも財務省を中心に安易な財政出動は財政への信認失墜につながると反対する意見も少なくなく、安倍首相の判断が注目される政府部内では5月の伊勢志摩サミットでも世界経済動向がメーンテーマになり、財政出動の可能性をめぐって活発な議論が展開されそうだとの見通しが浮上しているという。こうした中で政府関係者の1人は「景気対策の規模は、5兆円では意味がない。10兆円ぐらいあったほうがいい」と述べているそうなのだ。 菅官房長官も来年の4月からの消費税率10%への引き上げについて、「消費税を引き上げて減収になるような場合にやるわけではない」と述べ、増税しても税収が増えないような場合には先送りする可能性を示唆しているそうなのだ。菅官房長官は消費税率引き上げについて、「基本的にはリーマン・ショックや大震災のようなものがなければ、予定通り引き上げる」として従来の考えを強調しているが、世界経済の減速により景気回復が遅れるなどで、消費増税後に税収が下がることが予想されるような場合には延期する考えを示したとみられる。安倍首相も景気の足踏み状態が続いた場合には消費税増税を先送りする方向で検討を始めており、主要国首脳会議である「伊勢志摩サミット」の前後に最終判断するとみられている。 「財政出動する位なら、消費税減税した方が経済効果高い」という声もあって、経済政策の失敗を外的要因にして責任逃れは許されないし、そもそも税制を票集めに使うことや低所得高齢者を3万円で買収するのも間違いなのだ。「保育園落ちた、日本死ね」と題した匿名のブログが政府・与党に波紋を広げており、ブログの内容に関して安倍首相に「社会が抱える問題を浮き彫りにしている」と野党が国会でただすと、安倍首相は「実際に起こっているのか確認しようがない。これ以上議論しようがない」と突き放していたし、政権幹部も「議論しようがない」などと受け流していたが、ネット上でブログに共感する声が広がると一転して待機児童への政府対応を強調して、世論の大勢が政権批判に転じないよう神経をとがらせているというのだ。
2016年03月29日
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所有権移転がなされないまま私有地に公道が設置された「道路内民地」をめぐり、各地でトラブルが相次いでいるそうなのだ。不動産業界では「迷子ちゃん」とも呼ばれ4千筆を超える該当区域を確認した県もある一方、多くの自治体では実態把握を先送りしているのが現状だといわれている。日本土地家屋調査士会連合会によると道路内民地は主に、戦後の高度経済成長期の道路建設で生じたそうで、当時すでに所有名義人が死亡していたり住民が共同管理する土地で権利関係の整理が困難だったりしたが、なし崩し的に道路整備が先行されたとみられるという。道路を構成する敷地や支壁その他の物件については、私権を行使することができないとされていることから実害はないとされている。 この道路内民地の件では兵庫県姫路市の食品販売会社社長は憤りを感じており、登記上少なくとも45年間にわたり自社の隣を走る県道の一部が「宅地」扱いとされていることを知らないまま、計300万円以上の固定資産税を納めさせられていたというのだ。この社長が会社建物の改築に伴って土地を測量し直したところ、この県道の一部約140平方メートルが食品販売会社の所有のままだったことが判明したのだが、この土地の固定資産税として年間約8万円が徴収されていたことが分かったという。申し出により兵庫県姫路土木事務所が道路内民地だったことを確認して過去5年分の固定資産税が還付されたが、それ以前の誤徴収分は民法上の時効にあたるとして戻ってこなかったというのだ。 そのうえ兵庫県側は「契約書類は保存されていないが、周辺の開発状況などから売買が完了していると推定される」として、無償寄付の形で所有権移転に応じるよう要請したのだが、この食品販売会社社長側はこれを拒否し主張は平行線をたどっているそうなのだ。一番多いのは地区単位の意志で道路敷とし登記が未了のまま道路となったケースで、それも地区が行政機関にお願いして道路にしてもらったりしているそうなのだ。わたしの住んでいる松山市でも地区によって金銭を地権者に支払ったところ、無償提供だったところ、地代を地権者に払っていたところなど、いろんな場合があるようなのだ。いずれにしても個人の土地を勝手に道路にしたわけではないということで寄付採納として納めているというのだ。 日本土地家屋調査士会連合会でも現実的な解決策として、「寄付」を原因とした所有権移転登記を行うことだとしており、普通は行政側が準備・実行しているそうなのだ。道路内民地の総数を把握している自治体は少ないが、所有者から所有権確認の訴訟を起こされ和解金を支払った経緯がある埼玉県では、全県的な調査を実施し4276筆を確認して、その後担当者が所有者と連絡を取るなどして現在は2千筆以下にまで減少させているそうなのだ。土地の所有者や境界を調査する「地籍調査」の進捗率が全国平均の51%に対し、京都府が全国最下位の8%にとどまるなど関西では土地調査に関する意識が低調だとされていることから、相当数の道路内民地が未把握となっている可能性があるという。 私も建設業で働いているので「道路内民地」の件はよく知っているのだが、現在まで放置されてきた背景としてある自治体担当者は、「実務上の問題が起こることは少なく、『寝た子を起こす』必要はない」と打ち明けている。道路法ではすでに供用されている道路について「私権を行使できない」と定めており、所有権の有無にかかわらず道路の撤去などを求められることはないとされている。ただ道路内民地の存在が明らかになると埼玉県のように訴訟に発展する恐れも出てくるため、登記の適正化には及び腰となっているのが実情だというのだ。それでも近年は暴力団が介入して「通行料」名目で金銭を要求するケースもあるといい、識者からは早期の解決を促す声が上がっているそうなのだ。
2016年03月28日
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災害大国日本で先進国の体を成しているのは高い防災のレベルがあるからで、先進国にふさわしい物理的な安全を確保するのは社会福祉を高めるという観点から何の問題もなく、政府のいう国土強靭化に異論を挟むつもりはまったくないのだ。それでも相手が自然なのだから万全な方法はないという事を考え、それでも最善を尽くす住民の姿勢をどう担保するかが重要だとされているのだ。100年確率の災害に耐えられる堤防を造ったとしましょう。その災害は自分の一生の間にあるかないかの頻度です。「防災は行政がやってくれる」・「危ないところに防潮堤を造ってくれる」・「危ないときに避難勧告をしてくれる」といったことが、「災害過保護」の状況をつくり上げてしまうとある防災士が警告している。 災害に強い社会を構築する事例としてその防災士が推奨するのが高知県の黒潮町で、5年前の東日本大震災の新想定で、高知県の黒潮町は日本一高い津波高34.4mというシミュレーション結果が出たというのだ。黒潮町長から「うちの町は日本一の津波想定になった。町民を守る自信がない。どうしたら良いのか」と相談を受けた防災士は、「一番で良かったじゃないか」と答えたというのだ。なぜなら黒潮町はこんな想定が出ようが出まいが昔から津波で危ない町だったので、シミュレーションは単なる計算結果にすぎずたまたま一番だっただけで、34mであろうが24mであろうが全部一緒で要はめちゃくちゃ危ないということなのだ。それでも想定が1番だったらやりようがあるとかんがえたそうなのだ。 そこで日本一の津波高の町で日本一の防災を目指し、それを御旗に町民をまとめるのだと町長に助言したそうなのだ。その一環で浜辺のラッキョウやトマトにかつおなどを使って、日本一の防災食として缶詰工場を造ったらどうかと言ったら本当に実現したというのだ。町が造った缶詰工場でそれもブランドのロゴは「34m」だというのだが、津波の想定が出た直後は町から離れる人が出て人口も減少していたそうなのだが、新想定を逆手に取って産業を興したこともあって町は元気になっていったという。要は想定をどう前向きにとらえてそれに向かい合う社会をけん引していくかが大切で、黒潮町は成功している例となっているというのだ。そういう風に社会を誘導していくのが「災害社会工学」という分野だという事なのだ。 反対に東日本大震災で被害を受けた釜石市では、それまで防災教育を実践してきた学校の先生は異動してしまうと、後任の先生は防災士が防災教育に関わっていたということで、「今年は何をやってくれるのですか」という受身の姿勢だったというのだ。防災教育をやるのは防災士ではないはずなのに、復興の忙しさで防災教育への熱も冷めてきたというのだ。もっともこの防災士が釜石市の「危機管理アドバイザー」を辞める直接の原因は、復興の検証委員会のなかで住民から「長い間、釜石市の防災に関わってきたにもかかわらず、これだけの被害者を出した。防災士の活動を検証しろ」と言われたことだったというのだ。これまで手弁当で活動をしていたのにこんなことを言われるとは心外だったそうなのだ。 行政が主体の防災をやろうとしている場合人口1億人における100人は、マクロでみたときに事故の領域に当たり交通安全と同等の扱いになるというのだ。交通事故を減らすために歩道橋や横断歩道を造り様々な交通投資をしたとしても、最後に本人が不注意で飛び出せば事故は起こってしまうことから、事故の領域は各人がどれだけ意識して対応するかに掛かっていることになってくるというのだ。防災もその領域まで来ているにもかかわらず相変わらず行政の手によって安全を担保しようとしていることから、その仕組みにどうしても無理がたたっているというのだ。物理的な安全レベルを上げるのは手立てよりも、社会の在り様を強靭化していくことが必要になってきているということなのだ。
2016年03月27日
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汚染土を詰めた黒いフレコンバッグがうずたかく積まれているといった東京電力福島第1原発事故で生じた放射性物質を含む指定廃棄物の処分場建設問題で、宮城県の村井嘉浩知事は候補地となった宮城県内3市町で環境省が進めようとしている詳細調査を当面は見送るよう要請する考えを明らかにしたというのだ。詳細調査は地元の反対で実施できない状態が今でも続いており、村井知事は候補地について改めて市町村長と議論する意向だという。東京電力福島第1原発事故で発生した指定廃棄物の最終処分場建設問題で、環境省は8回目となる宮城県内の市町村長会議を仙台市で開いて、環境省は従来通り3市町で現地調査を行う方針に理解を求めたというのだ。 栗原市と大和町に加美町の3市町長がそろって候補地を返上する意向を訴えたのだが、佐藤勇栗原市長は現地調査着手が2年連続で越年することについて「これ以上我慢できず、返上する。今後現地調査は一切受け入れない」と強調したそうなのだ。浅野元大和町長も同様の考えを述べているし、猪股洋文加美町長は県内処分を断念し福島県飯舘村の仮設焼却施設で処分することを提案したそうなのだ。宮城県内の市町村長会議に参加していた環境省の井上信治副大臣は「市町村長会議で議論を重ねて決めた県内処分の方針を貫きたい」と繰り返しながら、処分場1カ所の建設が必要とする従来方針の堅持を表明したのだが、地元の反対表明には打開策があるか検討する考えを示したという。 今後について宮城県内の多くの首長からは村井嘉浩知事に、宮城県主催の市町村長会議開催を求める声が出ており、村井知事は「今回の会議を踏まえた環境省からの回答を待ち、その上で集まってもらいたい」と前向きな姿勢を見せたという。東京電力福島第1原発事故で生じた宮城県内の指定廃棄物のうち、3分の2が基準値を下回ったことが環境省の調査で明らかになっているというのだが、宮城県庁を訪れた井上信治副環境相はこれを踏まえて宮城県内の処分場計画について「指定廃棄物の量を減らし、住民の負担を減らせる」と述べたのだが、村井知事は「詳細調査を無理に押し通すことは非常に難しい」と述べ、当面の調査の見送りを要請する考えを示したそうなのだ。 環境省は宮城県内39カ所で一時保管されている指定廃棄物3404トンの濃度を再測定しているそうなのだが、その中で8000ベクレルを下回った指定廃棄物の指定解除の手続き方針を示したそうなのだ。指定が解除されれば一般ごみとともに焼却できるようになるのだが、指定廃棄物の基準に満たない汚染物質はすでに県内に約4万7000トンもあり、焼却処分に住民の理解を得るのが難しく処分が進んでいないという。井上副環境相は基準値を下回った指定廃棄物について「自治体の意向も確認し、協力して処理を進めたい」として、処理費用負担などを国が支援する考えを示したが、牧場に牛のえさとして搬出する苦肉の策を取るなど、多くの自治体が苦慮しているのが現状だとされている。 この中間貯蔵施設整備の費用は放射性物質汚染対処特措法に基づき、環境省が東京電力に請求する仕組みとなっているのだが、「国が廃炉・汚染水対策・除染・中間貯蔵施設整備・賠償・生活再建支援でより前面に立った役割を担っていく」と、国の財政措置を可能にする新たな特措法を提案しているのだ。東京電力の負担する費用が膨らみすぎては銀行の融資も危うくなることを政府は憂えているそうなのだ。一方で国会関係では「東電の面倒を見過ぎると世論がついてこない」と考えており、中間貯蔵施設については「保管に非常に長い期間がかかり、後の処理の問題も出てくるから国でやる」として、世論にも配慮しながらどこまで国が肩代わりすればいいのかを考え、エネルギー対策特別会計からの支出を提案することにしている。
2016年03月26日
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ベルギー同時テロを受け警視庁は警戒を強化しているそうなのだが、普段からテロ対処部隊が空港等には配置されているが、政府が共産党を破壊活動防止法の調査対象であるとの答弁書を閣議決定するという極めて異例の対応を行っているというのだ。夏の参院選に向け安全保障関連法廃止を目指した「国民連合政府」構想を提唱した共産党は、選挙協力を優先し構想を凍結し政権参画への意欲を強めている。今回の共産党を破壊活動防止法の調査対象とする答弁書決定は、いまだに綱領に「革命」を明記する共産党への警戒の表れだが、共産党が破壊活動防止法の対象にされていると知っている人の方が少ないが、共産党が破壊活動防止法の対象となっている背景には歴史的な経緯があるのだ。 第二次世界大戦終了後に公然活動を開始した日本共産党は、敗戦直後の国民生活の窮乏と社会不安を背景に党勢の拡大に努め10数万人の党員を擁するようになったそうなのだ。特に昭和26年の第5回全国協議会で「日本の解放と民主的変革を平和の手段によって達成しうると考えるのはまちがい」とか、「武装の準備と行動を開始しなければならない」との方針を決定し、この「51年綱領」と呼ばれるこの方針に基づき警察襲撃事件などを行ったというのだ。しかしながら昭和30年7月の第6回全国協議会で、昭和20年代後半に行った武装闘争を「誤りのうちもっとも大きなものは極左冒険主義である」として、革命情勢がないのに武装蜂起したなどと自己批判しているのだ。 このころに革命が「平和的となるか非平和的となるかは結局敵の出方による」との「敵の出方論」が登場したこともあって、政府は「暴力革命の方針」として調査を継続しているというのだ。共産党は警察署の襲撃事件等は「分裂した一方が行ったこと」と関与を否定しており、昭和33年に「51年綱領」を廃止して、昭和36年に民主主義革命から社会主義革命に至る「二段階革命」を規定した綱領を採択している。公安調査庁は破壊活動防止法に基づいて日本共産党を36年間も調査をしてきたが、この調査の結論として公安審査委員会に「暴力破壊活動をやる恐れのある団体として適用申請を1回もしていない」・「36年間、調査したが申請できなかったということが第一の事実だ」として報告している。 それでも公安調査庁が毎年公開している「内外情勢の回顧と展望」では、オウム真理教などと並んで共産党の動向を報告し、警察としても引き続き日本共産党の動向に重大な関心を払っているとされている。今年度の報告でも「資本主義を乗り越え、社会主義・共産主義の社会への前進をはかる」との綱領の記述を基に、共産党を「最終的に『社会主義・共産主義の社会』を実現する」ことを目指した「革命政党」と断じている。共産党の山下芳生書記局長は政府が日本共産党について、現在でも「破壊活動防止法に基づく調査対象団体である」とか、「『暴力革命の方針』に変更はない」などとする答弁書を閣議決定したことについての見解を問われ、「党として厳重に抗議し、撤回を求めたい」と表明したそうなのだ。 今回の政府の共産党を破壊活動防止法の調査対象であるとの答弁書を閣議決定は、鈴木貴子衆院議員の「日本共産党と『破壊活動防止法』に関する質問主意書」に対するもので、鈴木貴子衆院議員は「日本共産党へのソ連からの秘密資金援助疑惑に関する質問主意書」も同時に提出していたとされている。政府は答弁書で「お答えすることは困難である」として、「該当するとみられるようなものは見当たらない」としている。質問主意書を提出した鈴木貴子衆院議員が共産党との連携に反発して民主党に離党届を提出して除名された経緯が念頭にあるとみられている。共産党に対しては志位委員長のことを指して「16年間も1人のシェフが仕切っている共産食堂」と例え、「赤旗七味を隠し味どころか、公然と使う」とも語っている。
2016年03月25日
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公的年金には原則的には65歳になった時に支給される「老齢年金」と、障害になった時に支給される「障害年金」に、死亡した時に遺族に支給される「遺族年金」の3種があり、公務員には会社員の企業年金に代わるものとして、「職域加算」という制度があったのだが昨年の10月に共済年金が厚生年金保険に統合されると同時にこの職域加算は廃止されたのだ。そのためこれから新たに受給できるのは統合前の期間である公務員になってから、昨年の9月までに算出された職域加算のみになってしまうのだ。職域加算の廃止は公務員に関するもので我々のような会社員にとっては他人事だと思うのだが、退職金の引き下げは公務員の問題だけでなく我々の問題でもあるといわれているのだ。 同じ公務員でも私と同年代でもうすぐ定年を迎えるという昨年の10月以降の期間が少ない人間は、職員加算が廃止される影響をあまり受けないで済むとされている。しかし平成27年10月以降の期間が長くなる若手公務員は職員加算が廃止される影響を受けるので、65歳になった時や障害になった時・死亡した時に、十分な保障が受けられるのかを調べておいた方が良いとされている。「国家公務員の退職給付の給付水準の見直し等のための国家公務員退職手当法等の一部を改正する法律」が成立したことにより、国家公務員の退職手当は3段階を経て平均で約400万円も引き下げられることになったのだが、この退職金の引き下げは国家公務員だけでなく地方の公務員も大幅な引き下げになっているのだ。 この法律が成立したあと総務副大臣から道府県知事や市長などに対して、地方公務員の退職手当の引き下げを要請する通知が行なわれ、都道府県や市町村などの条例が改正されているのだが、地方の公務員は国家公務員と違って手当の加算がないことから減少額が大きくなっているというのだ。このような改正が行なわれた背景としては公務員の退職手当の職域加算の合計が、民間企業の退職金と企業年金の合計より平均で約400万円も多いということが、人事院の調査によってわかったからだとされているのだ。また公務員も個人型の確定拠出年金に加入できるようにする案が検討されているので、もし法改正が実施されたならこの制度の利用を検討されているというのだ。 「公的年金」・「退職金+企業年金」・「自助努力」としての預貯金や個人年金保険に個人型の確定拠出年金などの3つを、「老後の収入の3本柱」と表現する関係者が多いのだが、このうちの公的年金の機能がかつてに比べて衰えてしまったことは、新聞や雑誌などのマスコミがよく取り上げて特番など模倣されているので多くの人が知っているだろう。しかしその陰に隠れて目立たないが退職金も衰えを見せており、それは会社員も公務員も同じだというのだ。老後の収入の3本柱の衰えも全く同じで、2本の柱が衰えているとなればもう1本の柱である自助努力で補っていくしかないというのだ。もし保障が十分でないとなればそれを補う次のような民間の保険に新たに加入したり保険金の金額を増やしたりするしかないようなのだ。 労働基準法などの法律は事業主に対して退職金制度や企業年金の実施を、まったく強制しておらず、就業規則やその一部である退職金規程や退職年金規程などに、退職金や企業年金を支払う旨を記載した場合のみ事業主の義務になるとされている。そのため福利厚生の充実していない中小企業などでは、老後の収入の3本柱のうち大きな1本である退職金や企業年金がそもそも存在していない場合もあるというのだ。実際に定年退職を迎えた時に焦らないため労働者一同は、勤めしている会社の退職金制度や企業年金が実施されているのかを、またそれらの金額はどれくらいになるかをこの機会に確認するべきだというのだが、私の場合はそのようなことはとっくに調査済なのだ。
2016年03月24日
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私の所属している建設業界でも不特定多数の利用者がもたらした行動履歴や、計測機器が取得した測定値といった大量のデータを活用する機運が高まっており、それは道路利用者が残したデータを活用した維持管理の合理化等いわゆるビッグデータの活用だというのだ。車の道路利用の履歴を道路インフラの改善に役立てる賢い投資に、国土交通省も来年度から本格的に利用を始めるというのだ。全国の高速道路上の約1600カ所に設けた通信スポットを通る際にデータをやり取りするシステムで、移動経路や時間情報に速度データなどを収集・分析して高速道路だけでなく、生活道路も走行した車を通して得られた大量のデータから危険な抜け道や急ブレーキ発生箇所などを見いだし危険箇所に対策を講じるというのだ。 ビッグデータの活用といっても生活道路を改善するという視点では、量や質の面で完璧なデータと言えない面は否めないそうなのだが、それでもデータを活用した取り組みに一定の効果は見込めそうだという。この取り組みによって国土交通省は来年度からの5年間で、事故による歩行者と自転車利用者の死者数を半減させる目標を打ち立てているそうなのだ。生活道路にも着目したのは重大事故を減らすうえで事故リスクを無視できないからで、生活道路での歩行者や自転車関連の死傷事故の発生割合は、幹線道路の約2倍に及んでいるという結果が出ているそうなのだ。交通事故総合分析センターでは全交通事故の件数が25%ほど減っているのに、生活道路での発生件数はほとんど変わっていないという分析結果をだしている。 埼玉県はカーナビのシステムから得られる自動車の運行情報を参照して、管理する延長約2800kmの道路から急ブレーキの多発する道路を抽出して、合計160カ所に急ブレーキを防ぐ路面標示をはじめとした安全対策に力を注いできたそうなのだ。その結果改修箇所における急ブレーキの発生回数は67%減少し、人身事故の発生件数は23%減ったというのだ。その埼玉県が道路の機能改善に結び付けるうえで着目したのが加速度の情報で、事故の大きな予兆である急ブレーキの発生箇所などを抜き出せば、安全対策が必要な箇所を効果的に絞り込めると考えたというのだ。そこで埼玉県はバスなどのブレーキ動作時に乗客が不快と感じる目安となる重力加速度の0.3倍以上の大きさを持つ減速度指標に設定したそうなのだ。 データは埼玉県内で発生した1カ月分の急ブレーキ箇所で、その数は現在では約5万件に及んでいるそうなのだが、データを取得してすぐに急ブレーキの多発箇所を特定できたわけでは無かったというのだ。データに与えられている位置情報は緯度と経度だったことから、そこで埼玉県は地理情報システムを活用しデータを50m四方のメッシュで区切った地図上に落とし込み、一つのメッシュ内で急ブレーキが1カ月に5回以上発生している箇所をピックアップしたというのだ。市町村道を除く県管理道路から急ブレーキが多発する160カ所を絞り込み、抽出されたポイントに対して急ブレーキの発生要因を道路管理者の視点でひも解いていき、急ブレーキを抑止するうえで早急に打てる対策を講じていったというのだ。 しかも早急に打てる対策の採用数が最も多かった対策は路面標示での注意喚起で、このほか植樹のせん定による視界確保や合流地点におけるポストコーンの設置など、維持工事でもできる対策を進めていったというのだ。160カ所で実施した対策工事に要した費用は総じて安く1カ所当たり平均約25万円で済んでいるというのだ。さらに埼玉県ではカーナビデータを生かして歩道のない通学路の安全対策を進めているばかりか、公用車にドライブレコーダーを付けて道路の危険箇所を把握する取り組みを試行しているそうなのだ。様々なデータを取得するのは急ブレーキの発生箇所や見通しの悪い箇所などを発見するためで、その知見は、道路施設の改善や職員への安全運転の指導に役立てているというのだ。
2016年03月23日
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NHKの「日曜討論」という番組を見ていたのだが、溝手顕正自民党参院議員会長は消費税率を2%引き上げて10%にする問題で、景気にマイナスになるかならないかという観点から見れば本田悦朗内閣官房参与やノーベル経済学賞を受賞しているジョセフ・スティグリッツ米コロンビア大教授が、消費増税の延期を安倍首相に進言したことに関して間違いないだろうと語っていたのだ。日本の財政をどう考えるかということになると消費税率を10%にしることは不可欠であるのだが、いまちょうどその胸突き八丁のところへ来ていることから判断をしなくてはならない時期だろうとも答えていた。それから参院選までに数カ月あることから、その前に消費増税をするかどうかの決断をされた方がいいとも語っていた。 溝手顕正自民党参院議員会長は「前回の衆議院選挙で『リーマンショック』や『東日本大震災に原発事故』並みのことがない限り、自民党は消費税10%を来年4月にやるということを約束して勝たせてもらったが、消費税を3%上げた時に個人消費が落ち込んでそれがなかなか戻らない状況だし、そういったことや世界情勢の動向を見ながら消費税の問題をしっかりと決めていかないといけない。安倍首相が消費増税先送りの判断をして、衆参同日選に持ち込むことについて私は賛成で、問題はアベノミクスで経済をしっかりつくっていくことと、公明党と相携えて福祉の問題をしっかり進めていくこと。この二つが実は大前提になると思います」と語り、増税先送りへの期待感をにじませていたのだ。 また溝手顕正自民党参院議員会長は「現行憲法は技術的なつまらない矛盾もいっぱい抱えている憲法となっている。何というか事務整理してもいいぐらいの中身がたくさんあります。それから大切な問題が9条の改正です。これはそう簡単にいく話ではないと私は思っていますし党員もほとんどそういう意見だと思っております。むしろマスコミのためにする議論だと受け止めています。私は参院選で憲法改正を争点にするところまでいかないと思うし、そういう動きが現実にあると思っていません」と語り、憲法改正を夏の参院選の争点に掲げることに否定的な考えを示した。公明党の魚住裕一郎参院会長も「そういう動きが今、現実にあると思っていないという意味では現実的ではない」と憲法改正の動きを牽制していたのだ。 それでも永田町で「衆参ダブル選」風が猛威を振るっているようで衆院の解散権を握る安倍晋三首相は真意を明かしていないが与野党とも対応を急ぎ始めているという。次期参院選で選挙権年齢の18歳以上への引き下げ適用を考慮すれば、投開票日は7月10日・17日・24日に絞られてくると言われている。安倍首相の「7月」発言は当然ともいえるそうなのだが、規定で「7月10日」に衆参ダブル選が可能だと知っている関係者は、「ダブル選を示唆か」と緊張したというのだ。しかも選挙準備は莫大な出費を伴い助走期間が長いと資金面で苦しくなる。自民党はパーティーや企業献金で集められるが低迷する野党は厳しいことから、「ダブル選」風は軍資金で劣る野党への兵糧攻めという見方まで出ているというのだ。 政治評論家の浅川博忠氏は「選挙には多額の資金がかかるダブル選風のあおりで、資金面で困窮するのは間違いないだろう」といい、共産党の志位和夫委員長も次期衆院選について「安倍政権が党略的に早期解散に打って出たとしても、返り討ちにできるよう野党協力の態勢をしっかりつくる必要がある」と述べ、早期に具体的な候補者調整の協議に入りたいとの意向を改めて強調しているというのだ。共産党の志位和夫委員長は候補者絞り込みに当たり、「地方、地方の力関係を考えなくてはいけない」と指摘し、各党の地域ごとの集票力を加味すべきだとの考えを示している。そして世論調査で次期衆院選を行うのに望ましい時期を尋ねたところ「夏の参院選と同時」が28.8%と最も多くなっているというのだ。
2016年03月22日
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政府特に財務省は「国際金融経済分析会合」で講師となったノーベル経済学賞を受賞しているスティグリッツ米コロンビア大教授が、消費増税延期を提言したことで与野党は浮足立ったそうなのだ。このことは安倍晋三首相が来年4月の消費税率10%への引き上げ見送りに傾くのではないかとの観測が広がったからだが、政府は5月に行われる主要7カ国首脳会議の「伊勢志摩サミット」に向け、世界経済情勢について有識者と意見交換する「国際金融経済分析会合」の初会合を首相官邸で開いた結果だというのだ。講師で招かれたノーベル経済学賞受賞者のジョセフ・スティグリッツ米コロンビア大教授は、日本が来年の4月の消費税率10%への引き上げを先送りすべきだとの見解を示したというのだ。 安倍晋三首相はこの会合の冒頭で「G7議長国として各国首脳と議論し、世界経済の持続的な成長に向け明確なメッセージを発出したい」と意欲を示している、分析会合には首相のほか日銀の黒田東彦総裁や石原伸晃経済再生担当相らが出席したそうなのだ。「国際金融経済分析会」は冒頭以外ほとんどが非公開で行われており、スティグリッツ氏は会合で「世界経済は来年にさらに弱体化する」と指摘し、「今のタイミングで消費税を上げるべきではない」と安倍首相に提言したそうだ。自民党内には増税再延期で解散し「衆参同日選」との見方が強まり、早くも選挙準備に入る動きも出始めたと噂されているが、消費増税については「もう決まりだろ」と自民党幹部がつぶやいているというのだ。 安倍首相は会合後にスティグリッツ氏を中心に、消費増税延期を主張する本田悦朗や浜田宏一両内閣官房参与と約45分間も懇談もしているそうなのだが、その席で「欧州は不況にかなり近い」・「中国や産油国は支出をどんどん減らし世界的な需要不足を加速」・「米国、欧州では中国減速の影響を埋めきれない」など、スティグリッツ氏が国際金融経済分析会合で示したというのだ。世界経済の認識は辛辣で世界経済の現状を「大低迷」と表現し、低迷の原因は国際競争の激化や規制緩和などにより富が一部の国や人に集中してしまい、中間層の所得水準が下がり続けて総需要が伸びづらくなったためと分析し、この問題に対処するには「金融政策だけでは不十分」とかったというのだ。 格差是正や景気刺激の手段としては「いくつかの税の引き上げ」も選択肢だと指摘し、安倍少将が今まで行ってこなかった所得税や相続税の累進課税強化で所得の再分配を進めたり、国内投資や雇用創出に積極的でない企業の法人税引き上げや金融取引税を増税し、教育、経済を下支えする投資を拡大するだけでなく、環境税の引き上げで企業に環境投資を促したりすることが一例としたそうなのだ。日本は5月の主要7カ国首脳会議の「伊勢志摩サミット」の議長国として、各国が景気刺激のための財政出動に乗り出すようリーダーシップを発揮すべきだと指摘したそうなのだ。スティグリッツ氏は各国の積極的な需要創出を呼びかけ、景気対策や消費増税延期に大義名分を与えた格好だというのだ。 しかも与党内では夏の参院選に向け要望が高まる景気対策を打ち出し、消費増税先送りを名目に解散して衆参同日選に持ち込むとのシナリオがささやかれ始めている。改選の参院議員は「衆院議員の方が地元での活動が活発で、相乗効果がある」と期待しており、中堅の衆院議員は「選挙ポスターはもう決めた」と明かし一気に選挙モードになっているというのだ。同日選挙に慎重な公明党の石田祝稔政調会長は記者会見で「分析会合と衆院解散を結びつけるのは飛躍しすぎではないか」とけん制しているし、民主党の枝野幸男幹事長は記者会見で「消費税の延期時には『次は絶対に税率を上げられる環境をつくる』と言ったのは安倍首相だ。できないなら経済運営が大失敗だったと認めることだ」と批判している。
2016年03月21日
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決まったことなので賛成とか反対とかを論じても仕方ないが、日本は学ばない国だと言われるのも福島県には永久に帰れない地域があるからなのだ。いったん事故が起こったら元に戻すことはできないのだから、事故は起こり得るということを前提に原発の地元の人はどうすべきなのか考えなければならないが、最後は自分の判断で自分の命を守らないといけないのだ。そんな原発関係で関西電力高浜原発3・4号機の運転差し止めを求めて滋賀県の住民が申し立てた仮処分について、大津地裁は差し止めを命じる決定をしたというのだ。裁判所の仮処分は即時効力があるため、関電は不服申し立て手続きなどで決定を覆さない限り高浜原発3・4号機を法的に運転できない状態となったのだ。 今回の決定は地震対策や避難計画を含め原子力規制委員会の新規制基準そのものの合理性が問われているのだが、関西電力高浜原発3・4号機の2基はすでに再稼働したが4号機はトラブルで運転を停止しているのだ。最大の争点は耐震設計の目安となる「基準地震動」で、住民側は「関電は過去の地震の平均値をもとに設定しているが、最大規模の揺れを基準にすべきだ」と主張しているのだ。過去10年間でも基準地震動を超える揺れが全国の原発で複数回あったことも示して予測の不確実性を訴えたところ、これに対し関西電力は「最新の知見で基準地震動を算出し安全性は担保されている」と反論し、簡易のある原子力規制委員会規制委の審査を経た点を強調していたそうなのだ。 地震の規模に関わる断層などの特徴についても関西電力は「詳細に地盤を調査している」と主張していたが、住民側は「地震発生前に地下深くの断層を把握することがそもそも可能なのか」と関西電力の地震予想そのものに疑問を投げかけていたのだ。しかも高浜3・4号機はプルトニウム・ウラン混合酸化物燃料を一部使用してプルサーマル発電を行うことになっており、MOX燃料は強い放射線を出すもののウラン燃料と違い再処理工程に回せず、現状では原子炉建屋内の使用済み核燃料プールで保管し続けるしかないのだ。住民側は燃料プールが無防備な状態で大量に保管される危険性を重視して、「大地震や津波、テロ攻撃によって損壊すれば過酷事故になる。頑丈な施設で閉じ込める必要がある」と指摘したという。 これに対して関西電力は「燃料は冠水状態で冷やし安全性を確保できる。全電源喪失を想定し給水設備なども整えている」と主張していたのだが、「合理性を欠き、適合しても安全が保証されたとはいえない」というのが住民側の主張だったという。関西電力高浜原発3・4号機の差し止める仮処分決定は昨年4月の福井地裁以来2度目なのだが、関西電力は異議を申し立て昨年の12月に福井地裁は決定を取り消している。大津地裁でも2014年11月の仮処分決定では避難計画などが定まらない中で「規制委が早急に再稼働を容認するとは考えがたく、差し迫る状況にない」と申し立てを退けたが、すでに再稼働し発送電開始の際に原子炉が緊急停止するトラブルが発生し運転を停止している今回は事情が異なるというのだ。 大津地裁の仮処分決定を受け関西電力はフル稼働中の3号機の停止作業に入る方針で、手順は通常の定期検査と同じで作業開始から約10時間で運転停止を意味する「ゼロ出力」の状態になる見込みだとされている。関西電力によると原発施設の安全性を確認し電力不足にならないよう火力発電所などのバックアップ態勢を整えたうえで停止作業をスタートさせるほうしんだというのだが、まずタービンの回転速度を落とすために蒸気量を調整し、中性子を吸収して核分裂の連鎖反応を抑えるホウ素を注入しながら、制御棒を自動挿入させて発電出力を徐々に下げていくという。停止後に核燃料棒を原子炉から取り出すかどうかは異議申し立てのことも考量しながら停止期間を見極めてから判断するとしている。
2016年03月20日
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土木技術者はインフラの構造を把握していることからその限界も知っているのだが、これまでは限界の部分に目をつむってしまい、応力等の限界を超えたら部材強度を上げたり部材を大きくしたりして限界を上げようという発想にしか至らず、それを超えたことへの対処には未熟なアプローチしかできていなかったというのだ。ハード施設一辺倒ではいけないと多くの土木技術者が何となくは気付いているのですがそれでも変われず、1000年に1度の災害を防ぐインフラを造ろうとしていたというのだ。防御の目標としてリスクをどのレベルまで物理的に排除するのかを考え、そしてそれを超える部分についてはハード施設ではなく、社会の対応力として守らなければならなくなっていているというのだ。 もちろんハード施設は今後も必要だしあるレベルまでの高さは求められるはずだが、そこまで造ることにまい進するのは土木の仕事であることには間違いがないだろう。ただし土木技術者は防御目標を達成するだけで良いのかという点では、御目標を超える部分についての対応も本来なら土木技術者の仕事の領域に加えていくべきだと考えられてきたというのだ。つまり災害がハード施設を超えるときに、国民の命を守るという政策目標にどれだけ貢献するかが求められてくるというのだ。従来のオーソドックスな技術で守ってきた災害リスク排除型のエンジニアリングから、災害に強い社会を構築するソーシャルエンジニアリングという領域へと新たに拡大していくべきだということになってくるとされている。 これから土木技術者にも必要になるのは、社会を導くだけのコミュニケーション能力や教育力だという指摘もあるのだが、沿岸部に住む大抵の人は地震があれば津波が来ることを知っているにもかかわらず、専門家は知識の普及を図るために住民に向かい合うアプローチをしていかなくてはならなくなるというのだ。例えば5年前の東日本大震災では釜石市の鵜住居小学校と釜石東中学校の多くの子どもたちが、震災の6日前に開通した釜石山田道路を通って津波から避難して助かりました。このことから「命の道」としてその重要性が再認識されたのだといわれている。この経験から震災後には復興道路として多くの道路が事業化されているのだが、ここで注目すべきなのは避難のための道路ではないというのだ。 避難道路建設等の重要性を否定するのではなく、釜石山田道路ができたから命が救われたのではなく、そこまで逃げたから道路が機能したということが重要だというのだ。つまりそういう面において社会を見る目が不十分だということなのだが、多くの避難実態等を講演会などで示して防災の重要性を訴えるのも一つの手なのだが、そもそもこのような講演会には防災意識の高い人しか来ないし、あまり社会を変えるチャンネルには有効とならないとも言われている。防災教育は重要だということに同意はしてくれるのだが、ただし現状では逃げる方法などを教える知識偏重の専門家しかいないこともあって、防災は行政がやってくれるというような「災害過保護」の状況をつくり上げてしまっているというのだ。 現在の「災害対策基本法」もその状況を後押しする内容になっているそうで、「災害対策基本法」の3~5条には国民の安全を守る責務は、「国」・「県」・「市町村」にあると書かれているというのだ。この「災害対策基本法」は伊勢湾台風を契機に作成されており、そのころは毎年災害によって数千人のオーダーで死者が出ていたそうなのだ。先進国で毎年のように数千人死ぬというのはインフラ不足であって、それを正すのはもちろん行政だったのだが、そこで日本は行政に防災の責任があると言って災害対策にまい進してきたというのだ。日本の防災が行政主体で進められ「あなたの命を守るのは行政の仕事」というのが当たり前になってしまい、このことは国民が脆弱化してきている証だというのだ。
2016年03月19日
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震災から5年を迎えて東日本大震災の被災自治体へ派遣される全国の応援職員数が減り始めたそうなのだが、先の長い復興への道で疲労を積み重ねて被災地の地元職員は、心や体を病んでいるだけでなく派遣元の自治体も支援継続が難しい事情を抱えているというのだ。マンパワーが追いつかず疲弊が疲弊を呼ぶ悪循環に陥りつつあるそうで、福島第1原発事故で町民約1万9千人の避難が続く福島県浪江町では、二本松市の仮庁舎で業務を行っているそうなのだが、現在の正職員約150人は震災前より15%減となっているというのだ。臨時職員や全国からの応援職員の手を借りて何とか補っているというが、役場の正職員不足は浪江町が人口の大幅減を見据えて採用を抑えているためだという。 その福島県浪江町では来春に放射線量が低い地域の避難解除を目指しているが、昨秋の調査でいずれ町に戻ることを希望する人は17%にとどまっている。町民の多くは放射線への不安などから避難先で新たな生活基盤を築きつつあって、国が復興予算を減らしたり人口減に伴い地方交付税が削られたりすれば、人件費が町財政の「重荷」となるのを避けたい懐事情があって役場の職員を減少させているというのだ。帰町準備のほか福島県内外に散らばる避難者の生活支援などの仕事も負担が大きく、「前例のないことの連続で、すべて手探り。疲れが取れることはない」とか、「やるべきことが多すぎて、どうしたらいいか分からない」と、多くの町性職員は打ち明けているというのだ。 東日本大震災と東京電力福島第1原発事故で被災した岩手県・宮城県・福島県の被災3県にある42市町村の正規職員のうち、震災後に採用された職員が今年度4月時点で22%に上ることが各自治体への取材で分かったというのだ。これらは若手中心の補充で経験豊富な職員が相対的に少なくなり日常業務に支障が出るほか、震災や原発事故対応の貴重なノウハウが十分に引き継がれない恐れが指摘されている。津波で多くの自治体職員が犠牲となった宮城県や岩手県だけでなく、福島県では原発事故避難の影響もあるとみられている。各市町村は研修の強化など経験の継承に向けた取り組みを始めてはいるが、激務によって被災3県の自治体ではうつ病などでの休職が増えているというのだ。 岩手県では休職者の数が震災前の16人から震災後は24人に増加しており、宮城県は震災前の146人から震災後は216人に増えているという。東京電力福島第一原発の事故があった福島県は現状さえ把握していないというのだ。津波で市庁舎が流され正職員298人のうち68人が死亡した岩手県陸前高田市では、現在の職員数は任期付き職員25人と県内外からの派遣職員88人を合わせ380人にまで増えたが必要数にまだ足りないという。これは未曽有の規模の復興事業が続き業務量は膨れ上がっているからで、陸前高田市の今年度予算は1195億円で震災前の10倍超にもなっている。昨春から派遣されている福岡市職員の浜田真寿さんは津波被害を受けた土地をかさ上げし区画を割り直す換地業務に携わる。 平日は朝から深夜まで図面と向き合い全国に散らばる地権者への聞き取りのため、土日出張も多く代休を取る暇もないというのだ。換地業務の経験が長い職員は福岡市職員の浜田さんを含め2人だけで、通常は15~20年を要する大規模事業を陸前高田市は来年度までに終える方針だというのだ。昨春から派遣されている福岡市職員の浜田さんの残る任期は1年で、「厳しいスケジュールだが、全力を尽くしたい」と気を引き締めてはいるが、災害復興への職員派遣を打ち切る自治体側も多いというのだ。これは「本市の業務に穴をあけるわけにはいかない」ということなのだが、多くの自治体で土木技師の定年退職などが重なっていることから、被災当時から土木技師を派遣してきたがもう派遣はできないというのだ。 そのなかでも北九州市は5年前の東日本大震災以降、共に「鉄の街」として栄えた縁で岩手県釜石市に職員の派遣を続けており、これまでに派遣した人数は延べ394人で震災から5年になる今も、職員10人が復興の最前線に立っているというのだ。宮崎県町村会は職員派遣を続けるため17町村のうち2自治体が1人ずつ半年間の短期派遣を繰り返す「リレー方式」をとって被災県の自治体への派遣職員を続けているが、現在でも宮城県南三陸町と岩手県大槌町に派遣を始め現在は日之影町と新富町が職員を派遣中だという。宮崎県町村会の担当者は「小規模自治体は1人派遣するだけでも大変。協力し合いながら、息の長い支援をしたい」と力を込めてはいるが派遣を打ち切る自治体は増えそうだというのだ。
2016年03月18日
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林幹雄経産相は全都道府県で原発の重要性に関する説明会を開くと表明しているのだが、東日本大震災から始まった脱原発を求める集会が首相官邸周辺で行われている。この抗議行動は原発事故後の毎週金曜夜に首相官邸前で抗議行動を続ける市民団体「首都圏反原発連合」が行っており、祖父母が福島県に住む大学生は「原発に頼らない社会をつくるために声を上げ続けたい」と話していた。また小泉純一郎元首相は都内であったドキュメンタリー映画「日本と原発 4年後」の上映会であいさつに立ち、「電力供給は足りているのに、なぜ再稼働を進めるのか。将来原発ゼロで日本経済が発展していけるよう、粘り強く脱原発運動を続けて欲しい。国民の声が政治を変える」と語ったそうなのだ。 このような反原発の抗議行動は全国で起こっているそうで、滋賀県内で脱原発に携わる市民団体には主催企画への問い合わせが増えているという。滋賀県内で脱原発を訴える市民団体代表者らでつくる「さいなら原発・びわ湖ネットワーク」は、5月に琵琶湖を5日間かけて一周するデモ行進を予定しており、問い合わせは全国から来ているという。市民約10人が滋賀県庁前で座り込みをしている「脱原発・滋賀☆アクション」は、活動風景をブログで発信し続けてきているそうなのだ。私の住んでいる愛媛県でも大津地裁が関西電力高浜原発3・4号機の運転を差し止める仮処分決定を「脱原発への弾みになる」と意気込んでおり、「仮処分決定が出た後は数十人単位で増え、参加希望者はうなぎ上りだ」というのだ。 それでも経済産業省資源エネルギー庁は国のエネルギー政策を理解してもらおうと、原発の重要性に関するシンポジウムを全都道府県で開いているという。このシンポジウムは大阪府や東京都で行われているが、原発が立地する道県でのシンポジウムの開催は福井県が初めてだったそうなのだ。福井県の西川一誠知事が関西電力高浜原発の再稼働同意に際し、原発の重要性に関する国民理解の促進を国に改めて要請したためだとされるが、経済産業省資源エネルギー庁は海外からの化石エネルギー依存度が約88%に達し、東日本大震災後に二酸化炭素など温室効果ガスが増加していると説明し、火力発電の効率化を最大限進めても「2割を少し超えるような原子力発電が必要」と訴えているそうなのだ。 大津地裁が関西電力高浜原発3・4号機の運転を差し止める仮処分決定をしたこともあって、原子力規制委員会は関電より原発運転能力は更に素人集団だと思われる四国電力の佐伯勇人社長を呼び意見交換を行ったというのだ。その会合で原子力規制委員会の審査で「新基準を満たす」と判断された、私の住む愛媛県にある伊方原発3号機の再稼働を目指す四国電力の佐伯社長は再稼働に向けて工事中であることについて、「現場には手抜かりなく点検するよう口酸っぱく言っている」と述べたそうなのだ。田中俊一委員長は再稼働したもののトラブルで緊急停止した関西電力高浜原発4号機を念頭に、「信頼回復は口だけでなく、トラブルなくきちんと運転して、実績で示す必要がある」と要請したそうなのだ。 四国電力の佐伯社長は「新基準で新しい設備が入っているが、既存の設備も大事。そこに手抜かりがあって止まるのは避けたい」と述べ、現地住民に安全性や事故時の対応について新規制基準を「世界最高水準」とする根拠や、免震機能のある緊急時対策所の不備の指摘されている伊方原発3号機の再稼働を、今年中には行うことを鮮明にしているのだ。そこで「住民も労働者も被ばくしてはいけない」を集会のメインスローガンにして、伊方原発の再稼働反対行動が3月19日の土曜日の午後1時から、私の住んでいる松山市にある「堀之内公園やすらぎ広場」で開会されるそうなので、私も「伊方原発3号機の再稼働反対」」と訴え再稼働はおかしいという世論つくりに参加しようと思っているのだ。
2016年03月17日
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中日本高速道路は新東名高速道路の大部分が開通した翌日から1週間の利用状況を一部について発表したのだが、浜松いなさジャンクションから豊田東ジャンクション間と並行して走る東名高速の三ケ日ジャンクションから豊田JCジャンクション間の交通量が前年同時期と比べて約4割減り、渋滞が一度も発生しなかったというのだ。国土交通省によると日本の道路渋滞による経済的な損失は年間約50億時間で、これは約280万人分の労働力に匹敵するといわれていることから、労働力人口が減る中インフラ分野で生産性を上げる施策を進める方針で、その一環として渋滞対策も進め渋滞発生の要因を解析し、特定箇所の車線を増やすなど効率良く低コストで改善できると見込んでいる。 国土交通省は来年度から車の通行に関する膨大な電子情報「ビッグデータ」を活用した渋滞対策を約50カ所で実施する方針を決めているが、対策を実施する箇所は月内に一部を公表する予定だという。高速道路では渋滞が深刻なことで有名な神奈川県大和市の東名高速大和トンネルなど、一般道ではインターチェンジへのアクセス道路が候補となっているという。国土交通省は昨年からビッグデータを使い全国の高速道路で発生した渋滞のワーストランキングを初めて公表するなど、渋滞対策へのビッグデータ活用を進めているのだが、今回は高速道路や一般道の渋滞が多い区間について、車が通過する時間や速度にブレーキを踏んだ箇所などをビッグデータで分析し渋滞が生じている原因を特定するというのだ。 それとは別だが渋滞対策として国土交通省は、高速道路各社が申請した首都圏の新たな高速道路料金について事業認可しており、路線や区間で異なっていた料金体系を4月から走行距離に応じた「距離制」に一本化するほか、起点と終点が同じならどのコースでも同一料金とするという。これにより料金が抑えられる首都圏中央連絡自動車道に車両が誘導され、東京都心の渋滞緩和につながると期待されている。現在は距離制と走行距離にかかわらず同じ料金を支払う「均一料金制」が混在しており、最近整備された首都圏中央連絡自動車道の西側区間は料金が高めで都心区間の渋滞要因となっているのだ。今回の新料金は1キロ当たり36.6円が基本となっているそうなのだ。 ソフトによる渋滞対策としてETC2.0のサービスを8月から開始しており、通常の料金収受に加えこれまでより広いエリアの交通情報を入手できるようにしている。国土交通省は将来的に道路の混雑状況に応じて料金を臨機応変に変えるシステムへの活用を検討しており、ETC2.0の載器についてマイカー向けの購入を支援すると発表している。東京都や神奈川県等の首都圏を中心にして、5都県で初めてETC2.0を購入するドライバーに対し1台当たり1万円を支援し5万台を対象とするというのだ。また高速道路3社はトラックなど業務用車両向けに次世代型自動料金収受システムであるETC2.0の車載器の購入費を補助する方針を発表しているのだが、対象は数十万台規模となる見通しだとしている。 補助額は1台当たり1万円を検討しているそうなのだが、車載器のETC2.0の価格は最低でも2万円台と従来型の6000~8000円程度に比べて割高だという。そこで高速道路3社は補助制度を通じて大口ユーザー向けに普及を図ることにしたそうなのだ。国土交通省も普及に向けETC2.0を導入しているトラック事業者などに限り通行料を最大5割軽減するための経費約256億円を今年度の度補正予算案に計上しており、この補助金は「ETC2.0車載器導入助成取扱店」で申込書に氏名や住所・車両番号などを記入して提出すれば、購入費用が割り引かれるというのだ。また国土交通省は路肩を新たな車線として活用し、交通容量を増やすなどピンポイントで対策を実施している。
2016年03月16日
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政府は東京電力福島第一原発事故の放射性物質で汚染された福島県内の森林について、除染範囲を拡大する方針を固めたそうなのだが、福島県内の里山約10か所をモデル地区として選定し結果を検証した上で対象範囲を決定するという。地元自治体や林業関係者から除染範囲の拡大を求める声を受けた措置で、環境省と農林水産省や復興庁の合同検討会で明らかにするそうなのだ。環境省の有識者会議は住宅などの生活圏から約20メートル以上離れた森林は土壌流出の危険があるとして、原則は除染をしない方針を決定し地元自治体や林業関係者の反発を招いていたのだが、福島県を回ると地域は山に囲まれていることから山林等は生活圏ということで除染に踏み切るという。 環境庁はこれまで有識者会議「環境回復検討会」で決めた、森林全体の除染が難しいという見解を示していたそうなのだが、全ての山を面的に除染することは物理的に困難との判断ったとされている。有識者会議「環境回復検討会」において、森林を持つ農家から「山は田畑とつながっている。山の除染をやらないのはおかしい」とか、「事故の被害者なのに、なぜ森林除染を諦めなければいけないのか」などと抗議が相次いでいたという。このため政府は森林を住民が立ち入る可能性のある「里山」と、それ以外の「奥山」に分類して、急斜面など土砂の流出が起きやすい場所を除き、日常的に人が立ち入る林道やキャンプ場や、キノコの栽培場・炭焼き場・散策路・休憩所・駐車場などの除染を行うことにしたというのだ。 竹林や広葉樹林は放射線量を測定しながら一部を伐採し、安心して立ち入ることができるよう整備するそうで、東京電力福島第1原子力発電所事故による森林汚染で、環境省が生活圏から20メートルの範囲と日常的に人の出入りがある場所を除き原則として除染しない方針は、福島県の農林業者らの「政府は、なぜ山の問題を放置し続けるのか」と憤りの声が続出により、森林除染が生活再建や林業復興に直結するとい訴えを聞くことになってというのだ。東日本大震災による東京電力福島第一原子力発電所の事故で巻き起こった「風評被害」では、震災1か月後から茨城県や福島県の農家の取引価格の大暴落に苦しむ農家の姿となり、たとえばイチゴは1パックが震災前の相場700円程度から20~30円になったというのだ。 東京電力福島第一原発事故の放射性物質で汚染の影響はキノコ栽培に大きな影響を与え、ナメコ農家の「加茂農産」は震災1年目にはナメコ単価の相場40~50円が5~10円に落ち込み震災2年目も、10~20円という有り様であったという。しかも「露地栽培の原木ナメコ」はいまだ出荷制限中で、加茂農産のナメコは施設内で作られており、施設のナメコの放射性物質がいくら未検出であっても「何となく不安」と思う消費者はまだまだいるというのだ。東京電力からの補償は基本的に震災前3年間のうち一番売り上げがあった年を基準にし、その同じ量を作った際の売り上げとの差額分が支払われるそうで、この補償をトマト農家の助川氏とナメコ農家の加茂氏は毎年受け取ることで経営が成り立っているというのだ。 施設ナメコの放射性物質の測定結果を実施し未検出であることを、メディアなどを通じて繰り返し告知してきた生産者なのだが、市場に検査証を送るなどした取り組みもその効果はまったくなかったという。いくら未検出であることを訴えても信じてもらえなかったそうで、施設栽培で安全であることやナメコ自体のおいしさを認めてもらえても、市場関係者から「お客さんの意見が怖いから扱えない」と言われたというのだ。ナメコ農家の加茂農産に「風評被害は完全に終わったと感じていますか」という問いに「いいえ」と首を横に振るという。現在は主に農協経由で市場出荷をしているそうなのだが、市場の取引価格は震災前の7~8割程度で経営的に苦しい状態が続いているそうなのだ。
2016年03月15日
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東京電力が福島第1原発事故で核燃料が溶け落ちる炉心溶融を判断する社内マニュアルの存在に気付かず、今年2月になってなぜか発見されたという問題で、原子力規制委員会の田中俊一委員長は定例記者会見で、「事故前からの東電の体質が表れている。深刻に反省してほしい」と述べ東京電力を厳しく批判したというのだ。このマニュアルは1999年に茨城県東海村で起きた臨界事故をきっかけに制定された「原子力災害対策特別措置法」に基づいて作成されたたそうなのだ。田中委員長はマニュアルを規制委員会でチェックしていないとでもいうように、「会社自身が社内マニュアルをきちんと作っておきながら、今の時点まで分からなかったというのは、何のために作ったのかという気がする」と指摘したというのだ。 公表された社内マニュアルには炉心損傷の割合が5%を超えれば、燃料が溶け落ちる「炉心溶融」と判定することが明記されていたそうなのだが、メルトダウンの判定基準について東京電力は事故後に「ない」と説明してきたが、柏崎刈羽原発がある新潟県の専門家会議で事故の経過を検証する過程で、今月になり実はあったことが発覚したというのだ。東京電力は事故の3日後には炉心の損傷割合を3号機が25%で、1号機が55%と国と福島県や立地する大熊町・双葉町に通報していたそうなのだ。震災当時に事故対応に当たった日本原子力産業協会の高橋明男理事長は定例記者会見で、「炉心溶融の判断があったかどうかは分からない」と原発事故のメルトダウンに対する明言を避けていたのだ。 当時の社内テレビ会議にも炉心溶融を前提に議論していた記録が残っていたそうなのだが、いずれも判定基準を超えており福島県庁で記者会見した東京電力原子力・立地本部の松本純一氏は「マニュアルに照らせば、この時点で炉心溶融と判断できた」と述べ、マニュアルに沿えば原発事故の3日後には溶融を判断できたと認めたというのだ。それが実際にメルトダウンを認めたのは2カ月後だったのだが、今回の発表に内堀雅雄福島県知事は「極めて遺憾」とのコメントを出し、避難を強いられている自治体の首長からも見過ごしの原因究明を求める声が上がっているそうなのだ。この件に関して東京電力では弁護士など第三者を交えた社内調査で原因を究明する方針だというのだ。 それでも東京電力の航法は炉心溶融の判断が遅れたことによる影響については、「すぐに判断できたとしても事故対応は変わらなかった。事故当日に避難指示も出されていることから、避難に影響が出たとは考えていない」としているのだ。民主党の枝野幸男幹事長は記者会見で東京電力が福島第1原発事故直後から核燃料が溶け落ちる炉心溶融が起きていたのに「炉心損傷」と過小評価していたことに関して、「がくぜんとしている。明確になっていれば広報の仕方も違った」と述べ批判した。枝野幸男幹事長は当時の菅内閣で官房長官を務めており、原発事故の広報では批判の矢面に立たされていたのだ。また事故後5年もの長きにわたって外部に社内マニュアルが出てこなかった点について疑問を示したという。 再稼働したばかりの関西電力高浜原発4号機で発電と送電を始めた直後に、変圧器周辺でトラブルが起きて原子炉が自動で緊急停止したことや、再稼働を準備していた時期に原子炉補助建屋の配管で放射性物質を含む水漏れが見つり、関西電力が原因を「配管の弁のボルトが緩んでいた」と発表し、同様のボルトをすべて点検し予定より1日遅れで「起動試験」を始めたことについても、原子力規制委員会の田中委員長は「社内や発電所でも事故等について調査するのが大前提だ。審査時においてトラブルがないようにすることが社会の信頼回復になると伝えていた。それを裏切るようなことで極めて遺憾だ」と、事故を起こした関西電力の管理体制を批判しているそうなのだ。
2016年03月14日
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少子化で子どもの数が減少しているにもかかわらず、生活保護費以下の収入で暮らす子育て世帯が過去20年で倍増したことが、ある大学准教授の研究で分かったというのだ。この准教授は都道府県別の「子どもの貧困率」も初めて明らかにしており、39都道府県で子育て世帯の10%以上が貧困状態になっており、子どもの貧困が全国的に深刻化していることが浮き彫りになったとしている。総務省が国民の就業実態を調べるため5年ごとに実施する「就業構造基本調査」のデータなどを分析もので、生活保護費の受給対象となる最低生活費以下の収入しかなく、かつ17歳以下の子どもがいる世帯数の20年間の推移を調べた結果、約70万世帯だった子育て中の貧困世帯数は直近では約146万世帯に倍増していたそうなのだ。 この間に子育て世帯自体は約1293万世帯から約1055万世帯まで約2割減っているため、「子どもの貧困率」は5.4%から約2.6倍の13.8%に悪化しているそうなのだ。「子どもの貧困率」については政府も厚生労働省の「国民生活基礎調査」に基づいて算出しているが、国全体の平均のみ公表しでは16.3%としている。ただ平均的な所得の半分未満で暮らす人はすべて相対的に貧困状態にあるとみなす政府の算出方法では、貧困率に大きな変化はなく基準年でも12.8%だったそうなのだ。そこで政府は子供の貧困対策に取り組む民間の活動を官民一体で支援する「子供の未来応援基金」の寄付金集めを行っているのだが、これまで5カ月間で2000万円弱しか集められず目標の「億単位」に遠く及ばないというのだ。 これは期待していた経済界の反応が鈍いためなのだが、政府は広報活動費として2億円も計上しているだけに野党から批判も出始めた。政府はようやく経団連の協力を取り付けたものの各企業がどこまで応じるかは不透明で、「経団連などの企業にお願いし、非常に前向きに議論してもらっている」と、加藤勝信1億総活躍担当相は国会の答弁で寄付金確保の見通しが立ったと強調したそうなのだ。「子供の未来応援基金」は昨年10月に政府が呼びかけた「子供の未来応援国民運動」の一環として日本財団に設置されたのだが、貧困家庭の子供に食事を安く提供する「子ども食堂」など社会全体で子供を支えるNPO活動や、地域の子供の居場所づくり事業に助成するのが目的で今年秋にも助成先を決めるとされている。 参院予算委員会で民主党の蓮舫議員は安倍晋三首相が掲げる「1億総活躍社会」の一環である子供の貧困対策をめぐる予算に無駄があるとして「仕分け」するとして、「1949万円を集めるのに税金2億円以上が広報に使われた。2億円を基金に入れれば良かった」と批判した。民主党政権時代に予算の無駄を鋭く切り捨てた「仕分けの女王」と言われていたが、加藤勝信1億総活躍担当相は「2億円には国民運動の啓発を含めている」と釈明に追われたという。あまりの低調ぶりに参院選前に実績作りを急ぐ首相官邸サイドからも叱責される始末で、政府は国民運動の発起人にも財界トップが名を連ねていることから経済界に強く期待しているが、経団連側は「政府が税金で取り組むべき問題だ」と寄付には消極的だというのだ。 政府はアベノミクスの恩恵を受ける企業の余剰金や新年度予算に狙いを定め、億単位の資金確保を目指しているそうで、「新年度には目標の億単位を達成できる」との期待感もあるが、各企業が余剰金をすんなり寄付に回してくれる保証はなく、事業の成否は見通せていないのが実情のようなのだ。また安倍政権発足以降に政府が10以上の基金を新設し、計約5800億円の国費を投入したにもかかわらず、その多くが使われずに国庫に戻されたことを指摘した蓮舫議員は、「子供の貧困対策のために予算を確保する努力をなぜしないのか」と述べ、対策費の財源を寄付に頼るべきではく、国が率先して対策を進めることが重要で生活保護費を全額国庫負担にすべきだと提言したというのだ。
2016年03月13日
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東日本大震災の被災地に工場などを新増設する動きを促進する国の補助金制度を巡り、岩手県と宮城県で事業が採択された198事業者のうち、少なくとも4分の1以上が国の補助金を辞退していたことが新聞社の調べで分かったという。岩手県と宮城県によると補助金交付の要件となる地元住民の雇用数が人手不足で確保できなくなったケースが多いそうで、復興需要の高まりなどで特定の業種や地域に労働力が集中し、被災地の産業再生の妨げとなっている実態が浮かんできているというのだ。この「津波・原子力災害被災地域雇用創出企業立地補助金」というのは、東日本大震災の津波被災地域や福島第1原発事故による避難指示の解除地域などの産業復興のために設けられているそうなのだ。 補助金の予算枠は約2000億円で復興支援の基金から交付しており、補助率は対象地域の被災の状況で異なっているが、工場などの新増設への投資額に応じて決められた人数の地元雇用者を新規に雇うことが交付の要件で、例えば1億円以上~10億円未満の投資額なら5人以上の地元雇用者を新規に雇わなければならないとされている。「津波・原子力災害被災地域雇用創出企業立地補助金」は被災地に新たな雇用を生む国の主要な産業復興施策の一つで応募企業は事業内容の審査を受け、採択されると経済産業省に補助金交付を申請し交付決定後に事業に着手するというのだ。これまで1~5次公募で水産加工や電子部品製造など512事業者が採択されているという。 ところが大手新聞社が被災各県に聞いたところ、回答した岩手県と宮城県で採択された198事業者中50事業者以上が申請前に辞退していたというのだ。また経済産業省によると補助金の対象となる被災5県の512事業者のうち、今年1月末時点で交付決定したのは169事業者にとどまり残りは辞退のほか申請を悩むところが相当数あるとされている。この補助金の申請締め切りは今年の3月末に迫っており、これから辞退はさらに増える可能性があるというのだ。補助金交付の要件はそれぞれの県内に住所がある住民を一定数雇うことなのだが、辞退の理由ではこの要件の達成が困難になったケースが多いというのだ。そのほかには資材・労務単価の高騰など経済状況の変化や、予定した用地の未取得などもあったという。 背景には大学・専門学校などの有資格新卒者の人材不足があって、大学・専門学校などでは今春の入学生は全て定員割れとなっており、さらに原発事故後は卒業生が県外に就職する傾向が続いているというのだ。2次公募で採択されたものの昨年辞退した宮城県気仙沼市の水産加工会社は新聞社の取材に、「人が集まる見込みがなく最終的に無理だと判断した。外国人研修生を雇うことはできても、なかなか規定の人数の社員を正規に雇うのは難しい」と話しているというのだ。宮城県のハローワークの求職者1人当たりの求人数を示す有効求人倍率をみると震災前は0・53倍程度であったのが、現在は1・34倍となってしまい特に気仙沼島の沿岸の人手不足が顕著となっているというのだ。 宮城県産業立地推進課によると復興事業で高給とされる建設業などに人材が集中してしまい、ピークを過ぎて元の業種に戻るとみられていたのに状況が変わっていないという。ハローワークの担当者は「公共工事が延び延びになっているのが原因。辞退者はまだ増えるだろう」と話している。東北大大学院教授の増田聡・震災復興研究センター長は、「三陸沿岸の水産加工業などは給与水準の低いところが元々多く、給与水準が高い復興事業に人を取られている。復興事業を被災地全体で一気に進めたことがこの動きを強めた原因で、大きな問題となっている。生活を早期に立て直すため仙台市に移った人も少なくなく、被災地の産業は急激な人口減少という根本的な問題を突きつけられている」と話している。 私も建設業界で働いているのだが土木建設の求人は今でも旺盛で、津波被害が深刻で広い範囲にわたったため被災地では沿岸部を中心に至る所で公共工事が続き、復興特需といわれる状況で人手が足りていないというのだ。水産加工は給与水準が低めな上に冷たい水を扱うきつい仕事で以前から人が集まりにくいとされていたのだが、復興特需は政府の集中復興期間が終わる今年度末以降徐々に終息していく見通しで、その後の雇用の受け皿役を果たすためにも、水産加工業等では従業員の待遇改善ができるような業績向上の取り組みが求められているというのだ。もっとも経済産業省では制度を今年度で終了する予定だったが、予算残額の発生が見込まれることから来年度以降も継続するというのだ。
2016年03月12日
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「朝起きたら、まず太陽の光を浴びる」これは体内時計のズレを修正し、体を覚醒モードに導く重要な朝の儀式だとされているという医師は、「1日は24時間周期ですが、私たちの体内時計は約24.5時間と、少し長くできています。全身には約60兆個の細胞があり、その一つ一つに「時計遺伝子」が内蔵されている。これらの時計遺伝子から成る体内時計は、主に2つに分けられる。脳にある“主時計”と臓器にある“末梢時計”で、このズレをそのままにしておくと毎日およそ0.5時間ずつ後ろにずれていく計算になりますが、朝起きて日光を浴びると、体内時計がリセットされてズレが修正される。いわば朝のスイッチが入るわけです。実は、朝食を取ることでも同じリセット効果が得られます」と言い切る。 「食事を取るといろいろな臓器にある末梢時計がせっせと働きだし体内時計のリズムを刻みはじめる」と医師は言うが、マウスを使った実験で肝臓の時計遺伝子が食事によってどう動くかを調べた結果、体内時計をリセットする効果は朝食が一番高かったという。その理由はなんと絶食した時間に関係しているそうで、「夕食をとってから朝食までの間は基本的にものを食べませんから、朝食は1日の中で最も長い絶食の後に取る食事になります。英語で朝食を表すブレックファスト(breakfast)は、断食(fast)を破る(break)という意味。まさしく絶食明けの食事なのです。そこで鍵を握るのは、細胞に糖を取り込むインスリンというホルモン。食事をすると分泌量が増えますが、長い絶食をはさんだ食事の後は特に増加します」と解説している。 このインスリンが各臓器に働きかけて時計遺伝子を始動させるそうなのだが、朝食によってインスリンが増えそれによって朝のスイッチが入り、体内時計が新たな1日を刻み始めるというメカニックのようなのだ。しかし最近では私の子供のように「朝はぎりぎりまで寝ているから、朝食なんてろくに取らない」という人も多いのだが、これでは臓器を目覚めさせる朝のスイッチが入らず「午前中はボーっとする」・「体温が十分上がらない」・「眠気が取れない」と体調もいま一つになるというのだ。「こんな状態は体内時計のズレが修正されない“時差ボケ”のようなものだ」と医師は言うのだが、「各臓器をオーケストラに例えると、それぞれが勝手なリズムを刻んでいるような状態。いわば“朝食抜き時差ぼけ”ですね」と解説している。 朝食抜きというライフサイクルには寝坊以外に前夜の夕食も大いに関係しており、仕事から帰るのが遅いと夕食時間も遅くなるし、ずっと空腹を我慢していたから「ドカ食い」・「早食い」になりやすいというのだ。翌日は朝が早いので満腹のまま就寝してしまい、これでは朝起きても胃がもたれて食欲が湧かないのも無理はないというのだ。また厄介なことに夜遅い食事は体内時計を夜型にシフトさせてしまうというのだ。医師は「例えば朝7時に朝食を取り、昼食が昼の12時、夕食が夜22時、そして24時に寝て翌朝は7時に起きるとします。すると、昼食と夕食の間の絶食時間が最も長くなり、夕食が朝食のような存在になって朝のスイッチを押し、体内時計がリセットされてしまうのですとし、この結果体内時計が夜型化していくと説明する。 朝から働くのが一般的な現代社会にあって夜型になるマイナス面は大きく、夜更かしをしても朝は早く起きなければならないのでどうしても睡眠時間が短くなるという。朝は体に鞭打って起きるためしばらくは時差ボケのような体調が続き、さらに夜遅い時間に食べる習慣だと肥満にもなりやすいという。またドイツの研究では平日と週末の睡眠時間の差が大きいほど太りやすく、この差が大きいほど実験での試験の点数が悪いことも報告されているそうなのだ。結局睡眠に関する基本は3つで、「夜の食事は早めに」・「夜の断食時間をしっかり確保」・「そして朝は太陽の光を浴びながら朝食をとる」ということで、これで時差ボケとメタボ化を予防でき仕事のパフォーマンスにも好影響が出せるというのだ。
2016年03月11日
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アベノミクスにおける成長戦略を進めるなかで人手不足が大きな懸念材料となってきているそうなのだが、マイナンバーへの対応に追われる情報サービスや、訪日旅行客や国内旅行の増加による飲食店に娯楽サービスで人手不足が急激に深刻化するなど、人手不足における業種の違いが顕著に表れているそうなのだ。有効求人倍率の上昇や失業率の低下など労働市場がひっ迫するなかでは、求職者にとっては明るい材料となる一方で企業は人件費上昇などのコストアップにつながり、今後の経済活動における足かせともなりかねないというのだ。そこで帝国データバンクは人手不足に対する企業の見解について調査を実施したところ、正社員は従業員数が多くなるにつれて人手不足の企業割合が多くなるという。 帝国データバンクは人手不足に対する企業調査によると、現在の従業員の過不足状況を正社員について、「不足」していると回答した企業は39.5%で、企業の約4割が正社員の不足を感じていたそうなのだ。一方で現在の正社員数が「適正」と判断している企業は48.1%となっており、「過剰」と判断している企業は12.4%で人手不足感は高まっているそうなのだ。従業員が「不足」していると回答した企業を業種別にみると「放送」が66.7%で最も高く、前回調査に続いてトップとなっているそうなのだ。以下は「情報サービス」や「医薬品・日用雑貨品小売」が6割台だったほか、「旅館・ホテル」に「自動車・同部品小売」などが5割台と高く、どの業種でも正職員は不足しているという調査結果だったそうなのだ。 また従業員の不足状況を従業員数別にみると、従業員数が「1000 人超」という企業では45.2%が不足している一方で、「5 人以下」の企業では30.3%となっており14.9ポイントの差があったそうなのだ。正社員は従業員数が多くなるにつれて人手不足の企業割合が多くなるという傾向がみられ、非正社員が「不足」していると回答した企業は26.2%となり前回調査に比べ1.7ポイント増加しているそうなのだ。また従業員数が「適正」と考えている企業は64.6%で3 社に2社にのぼっているそうなのだ。「過剰」と回答した企業は前回調査より0.8ポイント減少し9.2%となっており、非正社員については最も人手が不足していると感じている業種は「飲食店」が最高となり、2 位の「飲食料品小売」をと比べ、突出した人手不足となっているそうなのだ。 人手不足を感じる企業が半数以上となる業種は51業種中9業種で、人手が不足している業種は広がりをみせているという。従業員数別にみると従業員数が300人以下の企業では不足の割合が概ね 25%程度となっている一方、300人を超えると3社に1社が不足と感じているという調査結果になっているそうなのだ。非正社員においても大手企業ほど不足していると捉えている様子がうかがえるとしており、ここのところずっと続いている人手不足の影響に加えて増加する訪日外国人旅行客に対応できる従業員を、時給を上げてでも確保しようとする動きが強まっていることから、企業が3大都市でアルバイトやパートを募集する際の時給が、7ヶ月連続で過去最高を更新し続けているそうなのだ。た。 求人情報などを取り扱うリクルートジョブズが1月の首都圏・関西・東海の3つの大都市圏のパート・アルバイトの募集時平均時給を発表したのだが、それによれば中国の旧正月「春節」に備えて飲食店やホテルで従業員を確保する動きが続いたことなどにより、募集時平均時給は前年同月よりも19円増え2.0%増の978円であったという。すべての職種の時給が前年同月を上回ったのは2年7ヶ月連続のことであり、中国人を中心とする訪日外国人旅行客の増加を背景に人手不足傾向が続いているそうなのだ。株式市場の状況などにより企業の景況感が変化する可能性はあるものの、長期化する人手不足のなかでしばらくはこうした時給の増加傾向が続くのではないかとの見方が強いそうなのだ。
2016年03月10日
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国や地方公共団体などの公共機関は公共投資を長年にわたり実施し、その結果としてわが国では膨大なインフラが蓄積されており、インフラの整備主体は必ずしも公共機関に限られるものではなく、民鉄や電力会社に都市ガス会社などの民間企業もインフラ整備に関わっているとされている。それでも国の交付金を受けてインフラを整備した自治体で、整備効果の事後評価が遅れていることが会計検査院の検査で分かったというのだ。会計検査院が明らかにした報告書によると、事業終了時点で評価方法が未定の自治体も多いことが最大の理由なのだが国土交通省では公共事業の効率性及びその実施過程の透明性の一層の向上を図るため、平成10年度より公共事業の評価を実施しているそうなのだ。 私も国土交通省が行う事業の予算化の判断に資するための評価である「新規事業採択時評価」や、事業の継続または中止の判断のための評価の「再評価」などは知っているのだが、完了後の事業の効果等を確認し必要に応じて改善措置などを検討するための評価である「完了後の事後評価」についてはあまり気を留めていなかったのだ。社会資本整備総合交付金は民主党政権が2010年度に創設した自治体のインフラ整備に対する支援制度で、使途が限定される補助金と異なり整備の目的や進め方に関して高い自由度を保てるのが特徴なのだが、整備計画で掲げた目標の実現状況を事後評価して公表し、国土交通省に提出することなどが要綱で定められているというのだ。 これまで実施した事後評価の記録や資料などを整理・保存することで、将来の事業展開などに生かしていくための情報の共有化を行っていくとともに、一般の住民等に対して事業が完成するまでの取り組みについてわかりやすく解説・紹介することを目的として評価等を行っているそうなのだが、会計検査院が昨年に17都道府県の914自治体を抽出し、社会資本整備総合交付金を支給されて2010年度から14年度まで実施したインフラ整備計画2828件を検査したところ、事後評価の実施状況については2014年度までに交付期間が終わった1332件を対象に検査結果を集計したところ、実施済みは56.9%で未実施は43.1%となっており、要綱で決められている事後評価は行っていなかったというのだ。 事後評価の未実施の理由で最も多かったのは「評価方法を検討中のため」で37.5%だったというのだが、以下は「データの取得に時間を要したため」とか、「関連事業が実施中のため」・「制度の理解不足のため」と続いていたそうなのだ。インフラ整備の事後評価の方法を事業の終了後に検討しているケースも少なくない実態もあり、こうした言わば泥縄式の事後評価は社会資本整備総合交付金の制度で禁じられてはいないものの、高評価が出るように評価方法を設定することもできるため評価結果に対する信頼性を失わせる可能性があるとされている。このため土木学会においてもわかりやすいインフラ評価を行い、インフラの現状を広く一般国民に周知するべきであると考え、「インフラ国勢調査」等を行っているそうなのだ。 土木学会が行う調査であることから学術的でなければならず、その評価手法は専門的なものとなっているはずなのだが、その一方で評価結果をどのように活用するかは人々の判断に委ねられるべきだとされているのだ。会計検査院国土交通統括検査室の担当者は「自治体がインフラ整備で効果の適切な評価や透明性の確保を怠れば、一般社会に残る公共事業悪玉論を助長しかねない」と懸念を示しており、国土交通省の社会資本整備総合交付金等総合調整室では、「自治体がより適切に事業を進められるよう、必要な支援や助言を今後も行っていく」とコメントしている。このことを受けて会計検査院は所管する国土交通省に、自治体への指導を徹底するよう求めた改善命令を出したそうなのだ。
2016年03月09日
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多くのビジネスパーソンにとって毎日は時間との戦いなのだが、まさに寝る間も惜しんで仕事に励むことが美徳とされているのが実情なのだ。ところが徹夜の翌日に頭がボーッとして仕事にならなかったという経験を持つ人は少なくないといわれており、私も年のせいか徹夜明けの頭は確かに働かないようになってきている。オーストラリアの研究では持続覚醒時とアルコール摂取時のパフォーマンスを画面上の点を追跡するテストで比較したところ、覚醒24時間後には血中アルコール濃度0.1%のときと同程度にパフォーマンスが低下したというのだ。つまり24時間起きっぱなしでいるとビール大瓶1本程度を飲んだときの血中アルコール濃度0.1%に相当てしまい、同じくらいパフォーマンスが低下するという結果になるというのだ。 最近では脳の研究が進んできているが、睡眠中に脳の中でどんなことが起こっているのかというような詳しいことはまだ分かっていないそうなのだ。それでも記憶を整理し定着させるべく脳の神経細胞レベルで変化が起こっているのは確かで、これは単なる休息では得られない睡眠ならではの働きだとされている。睡眠研究で知られる国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所精神生理研究部の三島和夫部長は、「現代はちょっと朝型で睡眠時間が短めの人の方が有利な社会。できるだけ眠る時間を短くして、その分を仕事や余暇に充てたいと思うビジネスパーソンがますます増えている」と語っており、統計を取ってみても日本人の睡眠時間はだんだん減ってきているそうなのだ。 国民生活時間調査によると国民の平均睡眠時間は7時間14分とされ、調査を始めた55年くらい前と比べると約1時間も減少しているそうで、特に40~50代では平日は6時間台まで短くなっているそうなのだ。睡眠の目的は体と脳を休めることだがそれに加え、その日に覚えたことを整理し記憶として強化する働きもあるという。年齢とともに寝ずにがんばること自体が難しくなってくというのだが、何かを練習したり学習したりするときは夜に行いその後はしっかり睡眠を取ると効率よく記憶を定着させることができるどうなのだ。学んだことをしっかり頭に定着させるにはどうしたらいいのかというと、覚えたことを脳に定着させる方法は大きく3つあって、まずは何度も繰り返し学習することが一番だというのだ。 次に感情を伴って記憶することで、これはすごくびっくりしたりうれしかったり怖かったりしたことはイヤでも覚えているというのだ。そして最後が睡眠をうまく活用することなのだが、最近は「朝活」がはやっているが生体リズムの観点からいうと、朝の学習やスキル磨きは必ずしも効率的とはいえないそうなのだ。国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所成人精神保健研究部精神機能研究室の栗山健一室長は、朝は「睡眠慣性」といって目覚めた後もしばらくは眠気を引きずり、頭のアイドリング状態が続いており、この眠気が消えて頭がしっかり働くまでに通常なら2時間程度かかるというのだ。そこで朝一番に何か仕事をするならフルに頭脳を駆使する必要の少ない作業が適しているそうなのだ。 例えば単純な入力作業とかあまり考えずに気楽に処理できるようなメールの送信など、いわゆる「やっつけ仕事」がお勧めで、難しいことには頭がフルに働き出してから着手する方が賢明だということのようなのだ。もちろん「朝から絶好調」という人は別で、睡眠慣性には個人差があって30分程度で解消される人がいることも分かっているそうなのだ。目覚めから2時間経つと極端な睡眠不足でない限り眠気は消えて脳が好調モードに突入するそうで、難しい仕事や厄介な案件はこの時間帯にこそ取り組むとよいそうなのだ。朝食後に眠気を催すことはよくあるのだが、これは食事を取った影響というより、むしろ生体リズムとして人間の体は昼の1~3時くらいには眠くなるようにできているために起こるというのだ。 多くの野生動物はまとめて寝る習慣がなく1日の中で数回に分けて眠るのだが、人間も近代までは1日数回に分けて眠る多相性睡眠の習慣を持っていたそうなのだ。ところが150年ほど前にガス灯や電灯といった人工光が発達し、それ以降は夜にまとめて眠る習慣が確立したということなのだが、それでも午後の眠気はそれ以前の習慣と考えられているそうなのだ。また日の中で一番眠気が少なく脳が活性化されるのは夕方から夜にかけてで、特に就寝の1~2時間前は晩酌さえ控えれば最も脳の高次処理に適した時間帯だというのだ。生体リズムから言うと本当はこの時間こそが仕事や学習に向いているそうで、もちろんその後にしっかり眠ることで覚えたことも記憶として定着しやすくなるというのだ。
2016年03月08日
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アベノミクスに日銀黒田バズーカの第3弾が放たれ、「なんと金利がマイナスなんて」ということで銀行にためた貯金が目減りするなら一大事だといわれている。金利引き下げ競争が続く金融業界にも衝撃が走ったそうで、ある都市銀行員は「マイナス金利で収益は減ります。ただ日銀は本気だなと。このままでもジリ貧です。我々は仲介業。個人や企業が元気にならないと我々も良くならない」という。顕著なのが定期預金の金利引き下げで、新生銀行は店頭での500万円以上の定期預金などを引き下げており、マイナス金利下ではどこに資産を預ければいいかが問題となるようなのだ。預け先は定期預金より普通預金が良いみたいで、定期預金は預け入れる期間が長くなればなるほど利回りが高いが手間を考えれば普通預金だという。 マイナス金利政策という言葉の響きは決して大多数の国民の気持ちを楽観的にするものではないみたいで、お金を預けた人が利息を払うということは自分の預金が目減りしていくというイメージが強すぎるというのだ。住宅ローンや自動車ローンを借りている若い世代の人口が多い社会であればまだしもだが、日本のように中高年が多く借金を持っている人の比率が小さい高齢化社会では、マイナス金利と聞いて喜ぶ人はそう多くはないともいわれている。日本銀行の「マイナス金利政策」の余波で銀行の預金金利の引き下げが加速しており、みずほ銀行が普通預金金利を従来の20分の1となる年0・001%に引き下げると発表さているが、銀行の間で金利引き下げによる「預金の押し付け合い」の様相となっているそうなのだ。 優良な貸出先が見つからず預金のみが膨らむと日銀当座預金に余剰資金を眠らせることになり、これからは日本銀行に「手数料」を支払うことになるというのだ。お金の貸し手が金利を払うという「未曽有」の事態の中、各銀行は経営戦略の抜本的な見直しを迫られており、世界経済の先行き不透明感が強まる中設備投資をためらう企業は少なくないというのだ。そこで各行は預金流入の抑制に動き始める模様で、欧州中央銀行がマイナス金利の政策を採用した直後にドイツでは、「貯蓄に励んできた人がペナルティを受け、節操なくお金を使う人が報われるとはどういう経済なのか」ということで、多くの市民からマイナス金利の政策に対する激しい怒りが沸き起こったというのだ。 あまりのマイナス金利の政策批判の強さに欧州中央銀行は、慌ててホームページに「一般の人々の預金金利はマイナスに当面はならない」との説明ビデオを掲載したそうなのだが、学者や弁護士で構成され日本銀行が事務局を務める金融法委員会でも、日銀のマイナス金利政策を巡り「金融機関が個人の預金にマイナスの金利をつけて口座からお金を差し引くことは契約の解釈上できない」との見解を公表したそうなのだ。金融法委員会は金融実務上の法律問題について提言をする団体なのだが、見解では預金の利息は「預金者が支払うべきものとは解されない」とし、マイナス金利を口座から差し引くことは「預金当事者の合理的な意思解釈によればできない」と指摘したというのだ。貸し出しについても「契約に明記された場合を除いては、マイナス金利を貸し手が払うのではなく、単に借り手が払う利息がなくなると解釈するのが合理的」としたそうなのだ。日銀が導入した「マイナス金利」の影響が広まるなか黒田総裁は、銀行のATMの利用手数料について「引き上げの可能性はある」との考えを示したそうなのだ。共産党の小池晃議員が「銀行のATM手数料の負担が増える可能性がありますよね」と質問すると、黒田総裁は「引き上げの可能性として、そういうことが銀行の経営判断であり得ると思いますが、マイナス金利との関連ではございません」と答弁したそうなのだが、マイナス金利が個人向け預金に適用される可能性を否定したそうなのだ。
2016年03月07日
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北朝鮮の核実験やミサイル発射に関して安倍晋三首相は、国家安全保障会議を首相官邸で開き北朝鮮に対する日本独自の制裁措置を決定しているのだが、今回の制裁は再入国禁止の対象を核・ミサイル技術者に拡大したほか、全ての北朝鮮籍船舶の入港禁止などが柱だとされ、核実験や長距離弾道ミサイル発射を強行した北朝鮮に対し、毅然とした姿勢を示して国連安全保障理事会での制裁決議採択に向けた議論を加速させる狙いがあったというのだ。政府はこの制裁案を速やかに閣議決定し発動しているそうなのだが、菅官房長官も「北朝鮮に対し断固たる制裁措置を決定した。拉致・核・ミサイル問題解決のため国際社会とより緊密に連携する」と述べ関係国などと協調して圧力を強める考えを示しているのだ。 政府は北朝鮮の動向をにらんで必要に応じてはさらなる制裁措置も検討しているのだが、国連安全保障理事会の北朝鮮制裁委員会の下で制裁履行状況を調べている専門家の年次報告書が報告されており、北朝鮮が国際金融システムや船舶・航空機を使用した禁輸品貿易をはじめ、ヒト・カネ・モノで制裁破りを続けている実態が明らかにされているそうなのだ。北朝鮮が最初の核実験を実施し、制裁が科されてから9年以上がたつが、報告書は同国が核・弾道ミサイル計画を放棄する兆候はみられないと述べ、「現在の国連の制裁体制の有効性について重大な疑問がある」と指摘し、「本当に必要な物資はさまざまな理由を示せば、取引できる。制裁は大きな問題にはなってない」とまで言い切っていたのだ。 中朝貿易の最大拠点である中国の国境都市である遼寧省丹東市で活動する北朝鮮の貿易商は、いくら国連安保理で採択される見通しの新たな制裁決議にも「抜け穴」はあるとの見方を示唆し余裕の表情さえ浮かべているというのだ。国境の鴨緑江に架かる中朝友誼橋に近い丹東の税関検査場では、鉄鋼製品や鉱物資源などを運ぶ両国のトラックが行き来しているというのだが、ただ貿易関係者によれば北朝鮮が核実験を実施した1月以降は、丹東の税関検査場での貨物の取扱量は目に見えて減っているという。北朝鮮の貿易商も「1月以降に取引に支障が出ているのは事実だ」と認めており、貨物トラックの運転手は「中国から物資を運んでも最近は北朝鮮から空荷で戻ることが多い」と語っているというのだ。 国連安全保障理事会の北朝鮮制裁委員会がまとめた北朝鮮の制裁逃れに関する年次報告書は、日本製民生品の軍事転用や中東・アフリカへの武器輸出の実態などを明記したうえで「現在の制裁の効果に深刻な疑問が生じている」としていた。国連安全保障理事会は4回目の核実験と事実上の長距離弾道ミサイルの発射を強行した北朝鮮に対する追加制裁決議を近く採択しており、過去の制裁が効果を上げてこなかった実例を示すことでより強力で新しい制裁措置がとられているという。「北朝鮮は国際金融システムや航空・海運網を利用し、禁輸品を取引し続けている」と断定し、外交官や一部友好国との長期にわたる貿易関係を通じての制裁逃れを許さないとしている。 また北朝鮮の船舶が外国の旗や別名を掲げて海外の港に入港している実態も明かし、制裁対象の北朝鮮の海運企業「オーシャン・マリタイム・マネジメント」に属する9隻が名前を変えたりして運航を続けているということも調べているのだが、該当する船舶が昨年の3月には鳥取県の近海に停泊していたとされている。日本製の商業用レーダーシステムが北朝鮮に流れ北朝鮮海軍の艦艇に搭載されていたこともわかっており、ナミビアでは北朝鮮企業が軍需工場の建設に関与したとさえいわれている。国連安全保障理事会の北朝鮮制裁委員会はアフリカなど一部の加盟国に制裁逃れの報告を求めているが応じていない国もあって、強力な追加制裁が決まっても加盟国の積極的な関与がなければ効果が発揮できないというのだ。
2016年03月06日
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日本の官僚は政治家と付き合い過ぎだといわれており、官僚が議員会館を回ったり党本部まで出向いて説明したりということは外国ではあまり見られないという。例えば英国の官僚は政治家からの接触の証拠を残すために、政治家の問い合わせには文書でしか応じないのが原則だという。組織文化が大きく違うということなのだが、そもそも日本の行政機関は公文書をきちんと残さない傾向があるというのだ。その大きな原因は人手不足で日本の公務員は諸外国に比べ非常に少ないとされる。作った文書を重要度で分類しそれぞれ保存期間や公開範囲を決めていく膨大な作業が必要だが、日々の業務に忙殺される官僚は国会議員への対応が必要以上に多く、多忙さに拍車をかけている皮肉な現実があるといわれている。 甘利明経済再生担当相が口利き問題は政治資金規正法やあっせん利得処罰法に違反する疑いがあるとされているが、「政・官」の交渉ごとなど機微に触れる内容は、一定期間秘密にした後に開示するような法整備も検討すべきだといわれている。そうしないと官僚は重要なものほど残さないという判断をするようになってしまうというのだ。官僚の要員増が望めないなら技術で補うしかなく、文書を作ると自動的に組織内で共有され、整理や蓄積もされるような電子システムを構築する必要があるというのだ。今回の甘利明経済再生担当相の口利き問題でも、政官接触記録について内閣人事局は「議員から不当な要求があった場合にのみ記録を残す」と基本法や現内閣の申し合わせを解釈、11省庁もこれにならっている。 今回の甘利明経済再生担当相のような口利き問題は十分に想定されており、そのため国家公務員制度改革基本法第5条第3項第一号で「職員が国会議員と接触した場合における当該接触に関する記録の作成、保存その他の管理をし、及びその情報を適切に公開するために必要な措置を講ずるものとすること」と定めているのだ。国家公務員制度改革基本法は記録の保存・公開の目的として「国民の的確な理解と批判の下にある公正で民主的な行政の推進」を掲げており、第1次安倍・福田両内閣で行革担当補佐官として公務員制度改革を担当した元経産官僚の原英史氏は、「不当な働きかけがあった場合だけに限る趣旨ではない」と指摘しているがその趣旨は守られていなかったようなのだ。 国家公務員制度改革基本法だけでなく安倍内閣は政官接触の記録や公開を申し合わせているのになぜ作成されないのかということなのだが、国家公務員制度改革基本法の政官接触記録に関する規定は、安倍首相の国会答弁のとおり「政の官への圧力排除」を目的としているはずなのだ。ところが法律の条文では「必要な措置を講ずる」として、その先のルール作りは政府に委ねているというのだ。かつて国家公務員制度改革推進本部の企画官を務めた大熊利昭元衆院議員は、「駅で偶然会ったら接触と見なすのか。電話はどうか。具体的な詰めがないまま放置されてきた」と指摘しているのだ。こうした国家公務員制度改革基本法を補完するのが第2次安倍内閣発足時の閣僚懇談会での7項目からなる申し合わせなのだ。 閣僚懇談会での7項目からなる申し合わせでは、国会議員や秘書からの働きかけや要請で「対応が極めて困難なもの」は大臣に報告することになっており、国家公務員制度改革基本法と公文書管理法に基づき記録の作成・保存・公開に適切に対処すると定めている。この閣僚懇談会での7項目からなる申し合わせでは、「政治家からの接触はあまねく記録せよ」と促しているように読めるのだが、国家公務員制度改革基本法を所管している内閣人事局は「不当な要求」などを記録した場合に従うルールを確認しているに過ぎないと説明している。週刊誌報道によれば国土交通省や環境省の役人は甘利事務所と接触しているが、国土交通省の担当局長は「カネや商品券はもらっていない」と言っているがそれは当然なのだ。
2016年03月05日
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多くのビジネスパーソンにとって毎日は時間との戦いなのだが、まさに寝る間も惜しんで仕事に励むことが美徳とされているのが実情なのだ。ところが徹夜の翌日に頭がボーッとして仕事にならなかったという経験を持つ人は少なくないといわれており、私も年のせいか徹夜明けの頭は確かに働かないようになってきている。オーストラリアの研究では持続覚醒時とアルコール摂取時のパフォーマンスを画面上の点を追跡するテストで比較したところ、覚醒24時間後には血中アルコール濃度0.1%のときと同程度にパフォーマンスが低下したというのだ。つまり24時間起きっぱなしでいるとビール大瓶1本程度を飲んだときの血中アルコール濃度0.1%に相当てしまい、同じくらいパフォーマンスが低下するという結果になるというのだ。 最近では脳の研究が進んできているが、睡眠中に脳の中でどんなことが起こっているのかというような詳しいことはまだ分かっていないそうなのだ。それでも記憶を整理し定着させるべく脳の神経細胞レベルで変化が起こっているのは確かで、これは単なる休息では得られない睡眠ならではの働きだとされている。睡眠研究で知られる国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所精神生理研究部の三島和夫部長は、「現代はちょっと朝型で睡眠時間が短めの人の方が有利な社会。できるだけ眠る時間を短くして、その分を仕事や余暇に充てたいと思うビジネスパーソンがますます増えている」と語っており、統計を取ってみても日本人の睡眠時間はだんだん減ってきているそうなのだ。 国民生活時間調査によると国民の平均睡眠時間は7時間14分とされ、調査を始めた55年くらい前と比べると約1時間も減少しているそうで、特に40~50代では平日は6時間台まで短くなっているそうなのだ。睡眠の目的は体と脳を休めることだがそれに加え、その日に覚えたことを整理し記憶として強化する働きもあるという。年齢とともに寝ずにがんばること自体が難しくなってくというのだが、何かを練習したり学習したりするときは夜に行いその後はしっかり睡眠を取ると効率よく記憶を定着させることができるどうなのだ。学んだことをしっかり頭に定着させるにはどうしたらいいのかというと、覚えたことを脳に定着させる方法は大きく3つあって、まずは何度も繰り返し学習することが一番だというのだ。 次に感情を伴って記憶することで、これはすごくびっくりしたりうれしかったり怖かったりしたことはイヤでも覚えているというのだ。そして最後が睡眠をうまく活用することなのだが、最近は「朝活」がはやっているが生体リズムの観点からいうと、朝の学習やスキル磨きは必ずしも効率的とはいえないそうなのだ。国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所成人精神保健研究部精神機能研究室の栗山健一室長は、朝は「睡眠慣性」といって目覚めた後もしばらくは眠気を引きずり、頭のアイドリング状態が続いており、この眠気が消えて頭がしっかり働くまでに通常なら2時間程度かかるというのだ。そこで朝一番に何か仕事をするならフルに頭脳を駆使する必要の少ない作業が適しているそうなのだ。 例えば単純な入力作業とかあまり考えずに気楽に処理できるようなメールの送信など、いわゆる「やっつけ仕事」がお勧めで、難しいことには頭がフルに働き出してから着手する方が賢明だということのようなのだ。もちろん「朝から絶好調」という人は別で、睡眠慣性には個人差があって30分程度で解消される人がいることも分かっているそうなのだ。目覚めから2時間経つと極端な睡眠不足でない限り眠気は消えて脳が好調モードに突入するそうで、難しい仕事や厄介な案件はこの時間帯にこそ取り組むとよいそうなのだ。朝食後に眠気を催すことはよくあるのだが、これは食事を取った影響というより、むしろ生体リズムとして人間の体は昼の1~3時くらいには眠くなるようにできているために起こるというのだ。 多くの野生動物はまとめて寝る習慣がなく1日の中で数回に分けて眠るのだが、人間も近代までは1日数回に分けて眠る多相性睡眠の習慣を持っていたそうなのだ。ところが150年ほど前にガス灯や電灯といった人工光が発達し、それ以降は夜にまとめて眠る習慣が確立したということなのだが、それでも午後の眠気はそれ以前の習慣と考えられているそうなのだ。また日の中で一番眠気が少なく脳が活性化されるのは夕方から夜にかけてで、特に就寝の1~2時間前は晩酌さえ控えれば最も脳の高次処理に適した時間帯だというのだ。生体リズムから言うと本当はこの時間こそが仕事や学習に向いているそうで、もちろんその後にしっかり眠ることで覚えたことも記憶として定着しやすくなるというのだ。
2016年03月04日
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米大統領選で民主党と共和党候補者指名争いは、予備選・党員集会が集中した最大決戦「スーパーチューズデー」を迎え、首位を走る民主党のヒラリー・クリントン前国務長官と、共和党の実業家ドナルド・トランプ氏が勝利州を伸ばし優位な戦いを展開するという結果となった。「スーパーチューズデー」とは両党がともに実施したジョージア州やアラバマ州などの10州に、民主党がコロラド州と米領サモアを加えた11州・1地域と、共和党がアラスカ州を加えた11州で実施されたのだが、ともに7州が南部州で共和党は宗教右派や民主党は黒人票の動向が焦点となったというのだ。争われる代議員は民主党が865人で共和党が595人なのだが、民主党は特別代議員を含めると11州・1地域の合計の代議員は1017人になるという。 この「スーパーチューズデー」は米大統領選の民主党と共和党の候補指名争いで、予備選・党員集会が多数の州で集中的に実施される日で、選挙戦の行方を左右する場合が多いことから「決戦の火曜日」と呼ばれている。1988年3月8日に南部諸州が国政への影響力を強めるために予備選・党員集会を同日実施したことが発端で、「スーパーチューズデー」は数々のドラマを生んできたとされている。火曜日に投票が行われるのはキリスト教の安息日である日曜日が過ぎて月曜日に馬車で遠方の投票所に移動したなごりだとされ、11月予定される大統領選の本選も火曜日に実施されるが、この「スーパーチューズデー」は両党の大統領候補指名を目指す人間には特別な意味を持つ日なっているのだ。 大統領候補選びへの影響力を持とうとする州が3つの火曜日に予備選・党員集会を集中させたのが始まりなのだが、この日には南部の諸州で予備選が開催されたため「南部集中選挙日」とか、「南部同時選挙日」と呼ばれることがあったという。南部の民主党員は南部の利益をより着実に反映する穏健な候補を指名するための方策の一つとして広域予備選挙という発想にたどり着いたというのだ。現在はこの日に行われる予備選挙等が南部の諸州のものとは限っていないのだが、なぜ投票日が火曜日なのかというと、アメリカ合衆国では建国以前から選挙で選ばれた者が政治を行ってきたとされるが、選挙は開拓時代から行われている。たがキリスト教徒であった人々は日曜日を安息日として休み家族と共に過ごしていた。 そこで安息日の翌日である月曜日を投票日とすると、広大な国土を持つアメリカでは投票所から遠くに住む人は、前日の日曜日の一日をかけて馬車などで来なければならないが、これでは安息日とはならないことから遠方の人も日曜日は休み、月曜日の一日をかけて投票所をめざし火曜日に投票を済ませてまた馬車で地元に帰るという事になっていたというのだ。こうして伝統的にアメリカでは投票日は火曜日となっているのだが、これは合衆国憲法によっても保証されているようで、有権者が大統領候補者に票を投じる一般投」は、「4年ごとに11月の第1月曜日の翌日に行われる」とされているというのだ。その後12月の第2水曜日の次の月曜日に各州で選挙人団が集会し「選挙人投票」が行われるのだ。 選挙人による投票は1回のみとされているが、どの候補者も全選挙人過半数票を獲得できなかった場合は、大統領は大統領候補高得票者3名以下の中から下院が、副大統領は副大統領候補高得票者2名から上院が選出するとされている。下院での投票は通常議決と異なり選出州ごとに議員団として投票し、各議員団は議員数に関わらず1票を有する。議会による投票で選出された者として、大統領としては過去に一人しかいないそうなのだ。予備選や党員集会が集中する今回の「スーパーチューズデー」では、米メディアによると共和党は不動産王のドナルド・トランプ氏が6州で勝利を確実にし、民主党はヒラリー・クリントン前国務長官が7州で勝利を固めており、大統領指名獲得に向け両氏がリードを広げているようなのだ。
2016年03月03日
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ここのところ落ち着きを取り戻していることから国内企業のトップも市場の混乱を冷静に受け止めているとされているが、安倍晋三首相が東京都内で講演し最近の株価急落や円高に関し「日本経済のファンダメンタルズはしっかりしており、経済の好循環は確実に生まれている。『アベノミクスが失敗した』などという言説は全く根拠がない」と述べ経済政策への批判に反論したそうなのだ。その講演で安倍首相は女性や高齢者が活躍できる労働市場改革が「安倍内閣の次の3年間の最大のチャレンジだ」と強調して、「同一労働同一賃金の導入に本腰を入れて取り組み、正規雇用と非正規雇用の壁を取り払う。少子高齢化という日本の構造問題に内閣一丸で真正面から立ち向かう」と訴えたという。 「経済最優先」に回帰して政権を運営してきた安倍晋三首相にとって誤算は世界経済の変調だといわれているが、アベノミクスが始まった当初は日本の国内総生産は順調な成長を続けているようにみえていた。アベノミクス開始時の国内総生産は約517兆円だったのが、消費税増税前には約535兆円に達していた。ところが8%の消費税率導入を境に状況が一変してしまったとされ、国民総生産が一気に約14兆円も急落してしまったのだ。その後も国内総生産は伸び悩み直近でも約530兆円にしかなっていないという。試算では仮に消費増税さえしていなければ今頃は約550兆円まで達していただろうなどと言われている。その差額は20兆円となっているがこれだけの金額が増税によって失われたというのだ。 そもそも我が国の国内総生産の6割を個人消費が占めている以上、増税による消費減退で国内総生産が下がるのはわかりきっていたことなのだが、増税の影響で失われた20兆円の国内総生産を国民一人頭で割ると約15万円となるというのだ。生産額は所得とは違うが15万円も下がったと考えれば買い物をする気が失せるのも当然だろう。しかも格安商品ばかりが売れるといったデフレ時代と同じ状況が生まれており、アベノミクスの目標である2%の物価上昇に相反する事態が起きているというのだ。もっとも今になって「経済学の常識からして、増税すれば物価が下がるのは自明の理だ」などと言いでしている優秀なはずの財務官僚たちは、そんなことすら理解できていなかったといわれているそうなのだ。 官僚たちは自分たちの歳出権を拡大するためなんとしても消費増税を可決させようと、「増税をしても国内総生産は下がらない」という机上の空論を組み立て押し切ったというのだ。収益が上がらないのに税負担だけを増やしたので企業は苦しみ賃金も上がらず、消費も当然伸び悩んでいることからアベノミクスの理想とは真逆の悪循環にはまりこんでいる。無知な財務官僚が身勝手な思惑で推し進めた増税で得られるべき所得までを失っているというのだ。そのうえ物価上昇率はゼロ近辺にとどまっているにもかかわらず、黒田日銀総裁はこれを2%に到達させる時期のめどを何度となく先送りしている。黒田総裁は「消費増税で成長が大きく損なわれることはない」と繰り返し発言してきた手前何も言えない状態となっているというのだ。 企業は内部留保に走っているという状況はバブル後の負の遺産の中で日本が90年代に経験した「借金のトラウマの深刻さ」を示すものだと、野村総合研究所主席研究員のリチャード・クー氏は指摘してきしている。本来であれば「責任をもって2%の物価上昇を達成させる」と明言している日銀の黒田東彦総裁こそが、「増税で物価が上がらないのなら、失敗を認めて減税するか景気対策をしてください」と政府に強く進言すべきだというのだ。起死回生を狙ったマイナス金利政策も消費増税のダメージが大きすぎたため、いまのところ本来の効果が出ていないということなら、消費増税が引き起こした負の連鎖から脱却するには、いますぐにでも消費税を5%に戻すのがベストなのは言うまでもないという意見も出ているそうなのだ。そのうえ昨年行った派遣労働の改悪は非正規労働者の劣悪な待遇を増長してしまい、経済的な理由で結婚子育てを不可能にしてしまい、労働政策だけではなく経済政策としても大きな失敗だったと批判されている。派遣法と同時に審議された野党提出の「同一労働同一賃金法」も与党で成立前に骨抜きにしてしまっている。例えば均等待遇実現のため施行後「1年」以内の「法制上の措置」が求められていたのを、「3年」以内に「法制上の措置を含む必要な措置」という緩い対応で良いというように修正を加えていたのだ。半年前に派遣を法改悪と「同一労働同一賃金法」を骨抜きにしたので政府もいまさら引き返せないだろう。今頃非正規労働者の待遇改善にチャレンジするなどといっても誰も信用しないだろう。
2016年03月02日
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夜勤がある介護施設の半数近くが1カ月の夜勤回数の上限を定めた協定を結んでおらず、しかも約4割が仮眠室を設置していないとする調査結果を「日本医療労働組合連合会」が公表している。「日本医療労働組合連合会」の調査では特別養護老人ホームや介護老人保健施設・グループホーム・小規模多機能型居宅介護・短期入所の施設などを対象に、143カ所から有効回答を得たというのだ。特別養老老人ホームや介護老人保健施設などの介護施設・民間企業がおもに運営している介護付き有料老人ホームは「職員常駐型」となっている。ところが「サービス付き高齢者向け住宅」は法律で規定された介護・看護職員の配置がなく、必要なサービスを組み合わせて利用する「別途契約型」となるというのだ。 この「日本医療労働組合連合会」の調査では長時間の連続業務を強いられる2交替制勤務を採用している介護施設が、全体の9割近くを占めたとする結果も示されている。夜勤協定の有無については回答した117カ所のうち、54カ所が「ない」と答え、その割合は昨年2月に発表した前回調査の結果より5.8ポイント上昇しているそうなのだ。特に労働組合のない介護施設のほとんどが協定を結んでおらず、夜勤形態について尋ねた質問では「2交替制」と答えた施設は124カ所で全体の86.7%を占めているそうなのだ。「3交替制」は12施設で「施設に泊まり緊急時に対応する当直と3交替制の混合」が3施設で、「2交替制と3交替制の混合」「当直と2交替制の混合」が共に2施設となっているそうなのだ。 2交替制を導入している施設の64.5%に相当する80カ所で、夜勤の拘束時間が16時間以上となっていることも分かったそうで、他の業界では休日にする傾向が強い夜勤明け翌日の勤務状況については、25%の施設が「夜勤明け翌日の勤務があった」と答えているというのだ。仮眠室の有無では回答のあった118カ所のうち47カ所が「ない」と答えたそうなのだが、「日本医療労働組合連合会」はグループホームや小規模多機能型居宅介護などでは「ほとんどが1人夜勤となっており、仮眠ができないという状態」とした上で、労働安全衛生の観点から「せめて職員がくつろげる仮眠室を用意する必要がある」としているが、このような待遇の悪さによって職員が定着しない実情が浮き彫りになっているというのだ。 この調査に関して「日本医療労働組合連合会」の米沢哲中央執行委員は、「夜勤の形態や回数、体制などの実態は、過去3回の調査と比べてほとんど改善されていない」と指摘し、今後の夜勤に関する規制・基準の見直しや介護職員の処遇改善などを改めて国に求める方針を示している。介護職員の待遇では神奈川県が公開する介護サービス情報によると、川崎の施設の報告では職員41人のうち経験が5年未満は32人で、3年未満は24人と経験の浅い職員が大半を占めていたという。昨年度の退職者21人に対し採用は18人で職員が定着しない実情が浮き彫りになり、離職率の高さも問題となって3年で半数以上の職員が辞め、5年でほぼすべての職員が辞めるというのが実情だというのだ。 介護職員の著しい人材劣化によってトラブルの絶えない状況に追い込まれた経営者は頭を悩ましているそうで、厚生労働省の調査では昨年度の職員による虐待の確認は300件と過去最多を記録しているとさえ言われている。専門家は過重労働によるストレスのほか「人手不足による質の低下もある」とみているそうなのだが、介護施設入所者への虐待が起きていることが問題となっているというのだ。高齢者介護施設をめぐっては暴言や虐待といった事案が後を絶たないといわれており、施設では別の職員による虐待も発覚しているという。関係者が録音した記録によると入所者が「怖いから嫌だ」などと職員におびえる声や、職員が夜中の巡回で「うるせえ」と暴言を吐く様子が確認されているというのだ。 介護職員の著しい人材劣化によってトラブルの絶えない状況に追い込まれた経営者の話では「高齢化が進み施設の数が増え、どの施設も人手不足で『来る者拒まず』という状況。採用した職員が必ずしも介護の資質を満たしているわけではない」と語り、職員による虐待が後を絶たない一因にはこうした実情もあるとみている。また「認知症で意思疎通が取りにくい人がいるのに知識や対応方法が分からないまま働かなければならない施設もある」と指摘し、職員が定着しない実情が浮き彫りになっているというのだ。このようなことにならない方法としては「家族を預けたままではなく足しげく通うなど、安心した施設づくりには市民や家族の目が必要だ」と専門家は訴えているという。
2016年03月01日
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