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20年前にコンビ二店長の働き方の実態を捉えるために、「オーナー店長」と「雇用店長」を対象者に調査が行われており、その調査は「コンビニエンス・ストアの経営と労働に関する調査研究」というタイトルがつけられているというのだ。その調査の中で雇用店長はオーナー店長と異なり「長時間労働で休みもないが、仕事の満足感は高いのだ。オーナー店長は経営者だが自分たちは会社員。上司からうるさく言われるし雑用も多いしストレスは溜まっている。体調は悪いしやる気も出ない」という具合なのだ。雇用店長は相対的に年齢が若くその経験に比して重い責任が課せられていることから、「組織の一員である会社員という立場では、今と同じ働き方はできない」と思っているというのだ。 政府の言う時間という概念をなくした「柔軟な働き方」を模索するのは大いに結構なのだが、それを被雇用者の会社員を対象とするのであれば、「会社員とは何なのか」の議論が必要ではないだろうか。契約で派遣されている社員が「実際の職場では、契約以外の仕事をしなければならない」と愚痴をこぼしていることがあったが、実際の会社の仕事は「これ、あれ、それと、きっぱりと線引きできるものばかりではないのだ」という事実を忘れてはならないのだ。それは決して大きなものではないかもしれないが、会社員として選択の余地がない仕事を突きつけられたときにストレスの雨が降るといわれている。そしてそのストレスに心が悲鳴をあげて精神健康が侵されていくというのだ。 私も見ていたのだが1月1日から放映された「朝まで生テレビ!」で、政府産業競争力会議の民間議員で国家戦略特別区域諮問会議の有識者議員を務める竹中平蔵が、「同一労働・同一賃金と言うんだったら、『正社員をなくしましょう』って、やっぱり、あなた、言わなきゃいけない」と発言したのだ「正社員をなくしましょう。日本ほど正社員が優遇されている国はないのだから、やめちゃいましょうよ、と。派遣でいいでしょ」と、人材派遣会社の取締役会長でもある竹中氏は言い切ったのだ。正社員と非正規の問題は「賃金格差・機会格差」であって、雇用形態の問題じゃないにも関わらずそう発言しているのだ。つまりそう遠くない将来に正社員はごく一部のエリートたちの特権階級とするというのだ。 「そのかわり、会社に来なくてもいいし、こっちが頼んだ仕事だけしっかり結果を出せばいい柔軟な働き方をしてくださいよ。残業代出ないのだから。短い時間で片付ければいいでしょ。 それでも契約社員の立場でも、会社の社員であることは忘れないでね」という勝手なことを平然と言い切ったのだ。かなり極論かもしれないけれどもそんな働かせ方を、竹中などは目指しているのだと思ってしまうのだ。「ノー・残業法案」の賛成派たちは今回の政府案よりも「もっと対象を広げるべき」と意見するが、そんなにあせらなくてもどんどんと広がっていくのは間違いがないことだろう。なぜなら金融市場へのメッセージなのだから、雇用破壊はどんどん広がっていくことは間違いがないだろう。 どんなにハードルの高い制限があろうとも「法改正」に手を付ければ、働き方は大きく変わることになるだろう。「柔軟な働き方」や「成果と時間は比例しない」という、私たちの心のハードルを下げさせる魔法の言葉を武器にして攻撃してくるだろう。昨年の審議会では、「幹部候補」などを対象としていたことを思い出して欲しい。この案がいずれ採用されれば「年収の問題」をどうにかクリアし課長代理などにも適用される可能性も出てくるのだ。件の報告書には「対応を間違えると、業界全体の発展を疎外することにもなりかねない危険性をはらんでいる」とあるのだ。コンビニが出来てから20年が経過したそうなのだが、この「年中無休」は働く人の健康を脅かす凶器となっているのだ。
2015年01月31日
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私の愛読している業界紙にひと頃「KY(空気が読めない)」という言葉が流行ったということが載っていたのだが、それに倣って言えば最近の土木技術者には「GY(現場が読めない)」な人が増えている印象を強くしているということが言いたかったようなのだ。その記事ではこれからの設計に求められるのは、マニュアルに沿った計算だけで終わるのではなく、現場の特性を読み解き地域ごとに最適解を導き出すようなひと工夫をプラスすることだというのだ。私の事務所も含めて官民問わず多くの組織で急速に人的資源が縮小しつつあって、組織の効率性を求めてのアウトソーシングは、退職者を当てにする技術力の維持策であれば問題の先送りに過ぎず、技術や技能の継承にも多くの問題を抱えているのだ。 私の所属する建設業界では、大型ダムや地下鉄・高速道路などのプロジェクトに対応する技術力のみならず、簡単な技術力の維持もが懸念されている。マニュアルやコンピュータソフトウエアーに依存する業務が増える中で、計画・設計業務の中での課題への判断力だけでなく、現場での問題対応力の低下に対する危機感の声もよく聞いているのだ。そのために必要なのが現場を読める技術者だということなのだが、現地の地形や歴史といった様々な情報はインターネットで入手できすし、現場に入ってじっくりと現場を観察し地域の住民へヒアリングすることも不可欠なのだ。地域を調べれば昔はどのように自然と向き合ってきたのか、自然から身を守ってきたのかを知る手掛かりが必ずあるというのだ。 河川改良等を行う場合に今の技術者は、二次元の平面図や断面図の中で流下能力を確保することに思考を奪われて、とかく現場ごとの特性を見逃しがちだといわれているのだ。特に三次元の立体空間である現場をイメージできなくなっているというのだ。現地をつぶさに観察して地形やこれまでの土地利用を理解していれば、一律な設計に疑問を抱いると指摘されている。現地をつぶさに観察したことを設計に反映していれば、設計の結果も違ってくるはずで、普段は穏やかな川でも増水時にたびたびあふれてきた箇所があるように、現地にたくさんあるヒントを丁寧に拾い上げていく力こそが、現場を預かる技術者に求められているというのだ。現場から読み取った情報というのは合意形成に向けた地域との協議にも役立つとされている。 特に災害復旧の場合地元住民は、整備する行政側に対して不満や怒りをためていることが多いこともあって、現場を読んでその地域に適した対策を提案することは、地域の信頼を得る大きな助けになるというのだ。個々の技術者が自己の持つどの技術を次世代に継承するかを意識する必要もあって、その技術は決して独特のものである必要はなく簡易な技術でも、書物では伝えにくい内容こそそれに相応しいとされている。各技術者がそのような意識を持って若い技術者に伝承する組織的取り組みが必要となっている。土木の各分野でさまざまなマニュアル・示方書・基準が整備されたことによって、それに従って作業を進めれば必要最低限の性能を有する成果があげられるようになったことが事実だろう。 その反面でマニュアル類を越えて複雑化・多様化した構造物の設計や施工などに対応できない技術者が増え、技術力の空洞化が発生してしまったというのだ。これはマニュアル類の背景にある本質を理解しないまま「マニュアルに沿っていればいい」という安易な考え方に基づいている場合が多いとされている。マニュアル類がない時代の技術者は暗中模索ながら創意工夫によって技術開発を行っていたが、マニュアル類に依存するあまり創造性を失った技術者も増加しているともいわれている。マニュアル類は必ずしも完璧なものではなく、現場によっては適用することが不適当な場合もあるにもかかわらず、「マニュアル類は常に正しい」と信ずるあまり、間違った適用をしてしまうというのだ。
2015年01月30日
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イスラム国で人質になった二人に対していわゆる「自己責任論」を呼び起こしているそうで、自分の意思で危険な場所に訪問したのだから自業自得だというものだ。またそのような人を積極的に救うことや税を投入することにも批判的な意見がなされている。2004年のイラク日本人人質事件の時と同様に拘束された二人に対し、主にネット上で「自己責任論」が沸き上がっていることが新聞報道などでも数多く載せられている。簡単にいえばこの「自己責任論」というのは「人質となった二人は危ないと政府も言っている地域へ承知で行ったのだから、何をされても自分が悪い」というもので、そのうえ「身勝手な二人のために、例え身代金以外に掛かる諸々の費用であっても、税金の無駄ではないのか」という意見もあるのだ。 正直言ってこんな風潮は世も末だと思うのだが、それはこういった自己責任論には「仲間」とか「同胞」という意識が欠如しているからなのだ。「同じ日本人同胞が、海外で危険に晒されている。同じ日本人なら、彼ら助けたい、と思うはずだ」という認識に従って、イスラム国の誘拐犯らは動画の中で「君たち、日本人が同胞を救助するために政府に圧力をかけるための残された時間は、72時間だ」と言ったメッセージを発しているのだ。しかし当の日本人から返ってきた少なくない反応は、「同胞」という意識を全く欠如した自己責任論だったみたいだ。きっとこのような反応はイスラム国側も想定の範囲外だったのかもしれない。「同胞に見捨てられる日本人など人質にとっても仕方がない」と思うかもしれない。 「動機が不純だから」とか「当人が危険性を予め承知していたから」などという理由で、「国外で危険に晒されている同胞を助ける必要はない」という結論に達するならば、これはもう「近代国家」の根底が崩壊することになるという指摘がなされている。「シリアに渡航した動機が不純だから、国家は彼らを助ける必要がない」という自己責任論がまかり通るのなら、それはもう「鎖国という祖法を破って、海外に渡航する領民については、何をやっても幕府は捨て置く」という、江戸時代の日本の中世の世界観と瓜二つであるという論表もされている。実際に江戸幕府は「鎖国」を破って海外に渡航する日本人については、「抜け荷」という密貿易の事実がない限りはおおよそ黙認していたというのだ。 それと合わせて「出国」した日本人については、当地でどんな目にあおうが原則「黙殺」の態度を貫いていた。「国民国家」という意識の薄い前近代の中世の国家にあっては、反が大切ということで日本人という同胞意識は限りなく薄弱だったそうなのだ。「同じ日本人」という概念は限りなく薄いのが「国民国家」が形成される以前の中世に於ける同胞意識では、戊辰戦争で薩摩の藩兵が会津で暴行陵虐の限りを尽くすという悲劇が平気で起こるというのだ。「国民国家」以前の世界には「同じ同胞の日本人」という意識がきわめて希薄だったそうなのだ。「動機が不純だから、国家が保護する必要はない」という、今回の事件を契機にまたも沸き起こった「自己責任論」はこのような前近代の中世の世界観を彷彿とさせるというのだ。 この「自己責任論」は厄介な問題でさまざまな場面で議論を巻き起こしているのだが、問題とされるのが生活保護者への対応もあるのだ。実は旧生活保護法には「自己責任論」が含まれていたというのだ。受給要件を満たさない「欠格条項」があり貧困に至った理由によっては救済がされなかったそうなのだ。要するに大阪市長のいうような「素行不良で怠惰な者」は救わないというものだったそうなのだ。しかしこれに何をもって素行不良とするのかという問題があり、担当者によって恣意的な判断がされるのではないかといったいくつも疑義が指摘されたこともあって、結局生活保護における「欠格条項」は完全廃止され、現行生活保護法が終戦後に誕生したそうなのだ。
2015年01月29日
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来年度の予算案も決まったということで、来年度は私の所属する建設産業にとってどのような年になるかということなるのだが、それを占うべく業界紙では特集「2015年の土木界」を企画しているのだ。新たなプロジェクトや制度など土木界に多くの動きがありそうなことから、「経済活性化」・「労務・人材」・「国際化」の三つをテーマが掲げられ、来年度の動きが予測されているようなのだ。まずは都会では大型プロジェクト関連の話題が盛りだくさんだそうで、3月には首都高速中央環状品川線が開通し、首都圏3環状道路の1本目のリンクがつながるというのだ。鉄道では同じく3月に北陸新幹線が長野駅から金沢駅まで延伸するほか、東京駅と上野駅をつなぐ東北縦貫線に「上野・東京ライン」も開業するそうなのだ。 これから建設が本格化するインフラも目白押しだそうで、東京外かく環状道路の都内区間や、リニア中央新幹線の工事がいよいよ本格的にスタートするし、北海道新幹線では全線開業時期の前倒しも見据え、新函館北斗よりも北の区間でトンネル工事が盛んになっていくといわれているそうで、ますます建設従事者の必要性が増えそうだといわれている。一方で建設産業が抱える課題の解決に向けていくつかの制度も動き始め、例えば4月から始まる外国人建設就労者受入事業は、担い手不足解消の一助となるかが注目されているのだ。仙台空港や関西国際空港・大阪伊丹空港では、運営権を民間に譲渡するコンセッションの手続きが始まっており、今年の夏前後に優先交渉権者が決まる予定です。 地方でもインフラの老朽化に伴い自治体で施設の解体・撤去ニーズが高まっており、地方の建設会社には商機だとも言われている。一方で解体工事を巡る制度改正も進んでいるし、改正品確法の運用指針に基づき入札・契約制度が多様化し、長年建設業界で問題視されていた「歩切り」の根絶に拍車が掛かるというのだ。東日本大震災の復興や東京五輪の準備などの事業に人手を要することが人材不足に拍車をかけていることから、国は技能者の賃金水準引き上げと社会保険加入の対策を強化・その一方で、国や自治体などは保険未加入会社の排除にも本腰を入れ始めたというのだ。今年も来月には公共事業の設計労務単価を4パーセントも引き上げるというのだ。 また直営維持から外部委託ということでは、道路整備特別措置法による有料道路は自治体や道路公社・高速道路会社以外の民間企業による運営が認められていなかったのだ。そこで愛知県では「構造改革特別区域制度」を利用して、県道路公社が保有する8路線の有料道路へのコンセッションを民間へ委託するというのだ。そればかりか上下水道から道路にまで対象が広がる異業種がグループを組んで受注する傾向に 施設管理者が担ってきた施設管理や軽微な補修といった仕事を、民間事業者に任せて効率的な施設の維持管理を図ろうという、いわゆる官民連携の動きが活発になってきているというのだ。もっともこれが公共サービスの確保になるかはこれからのことになるだろう。 建設技能労働者の人手不足と高齢化が顕著になってきたことから、国土交通省が従来の若手優遇策等によって賃金水準の低さと、医療や年金など公的保障の未整備を克服できるかも正念場となっている。また今年から提唱している女性対象の案件も登場してはいるが、まだ採用件数が少ないことから女性の技術者を育成するため、入札で優遇する措置を導入する発注機関が増えているという。大手建設会社などの女性技術者採用が本格化し始めたのは15年位前からなのだが、それ以前の採用者も含めてやっと官職への登用が始まったというのだ。女性技術者やシニア技術者の活躍の場が広がっていることから、業界全体で働き方の多様化を受け入れる土壌づくりが迫られているそうなのだ。
2015年01月28日
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イスラム過激派「イスラム国」とみられるグループが、人質にとった日本人2人の殺害を予告していた事件で、人質の一人が殺害されたことから安倍晋三首相の選択肢がうまくいっていないことから対応には綱渡りを迫られている。菅義偉官房長官は相変わらず犯行グループから「政府に何も言ってきていない」と述べている。日本政府は人質となった2人がジャーナリストの後藤健二さんと湯川遥菜さんであることを確認していたが、要求額の2億ドルは安倍首相が17日に発表した中東諸国への非軍事援助額と同じだったことから、今回の事件が安倍晋三首相の中東訪問を狙い打った事件であることとされている。菅官房長官は援助金の2億ドルは犯行グループが主張しているような軍事援助ではないと説明したが無駄だったみたいだ。 私も日曜日等の午前中は報道関係の番組をよく見たいたのだが、過去に「イスラム国」との交渉で人質の解放に成功した実績があるトルコが、犯人との交渉でカギを握る有力な国として浮上している。安倍晋三首相は就任以来トルコを2度訪問し良好な関係を築いており、エルドアン大統領との電話協議で人質解放に向けた協力をとりつけたというのだ。昨年にはトルコと「イスラム国」とのパイプが注目される事件があったそうで、イスラム国が昨年6月にイラク北部に大規模侵攻した際に、トルコ総領事館の領事ら49人を拉致し、その前日には同じ地域で32人のトルコ人のトラック運転手らも拘束しており、地元メディアによると運転手らが勤めるトルコの会社に500万~1000万ドルの身代金を要求したとされる事件があったのだ。 トルコ政府は両事件の人質解放に向けた交渉を開始し、運転手らは昨年7月に解放され領事らも9月には解放されたというのだ。交渉の経緯は不明だが人質解放の交換条件としてトルコ治安当局が拘束していた「イスラム国」の戦闘員ら180人を解放したとの指摘があるのだ。ニューヨーク・タイムズ紙によるとエルドアン大統領は、「金銭的な関係はなかった」と身代金の支払いを否定したうえで、戦闘員との交換について「そういうことはあり得る」と述べ、取引の可能性を示唆したそうなのだ。「イスラム国」に約10カ月間拘束された仏記者4人が昨年4月に解放されたケースでは、独誌「フォークス」がNATO筋の情報として「仏国防相がトルコに身代金1800万ドルを送り、トルコの情報機関がイスラム国側に渡した」と報道したそうなのだ。 オランド仏大統領は「政府は身代金を払っていない。全ては交渉、話し合いの結果だ」と身代金支払いを否定しているが、大統領も解放された記者もトルコ当局への感謝の意を示しておりトルコが解放に重要な役割を果たしたのは確実なのだ。今回もヨルダンで収監されている女性との「捕虜交換」を要求されているのだが、人質となっている後藤さんの解放条件と指定された「サジダ・リシャウィ死刑囚」の釈放は、イスラム国が以前から狙っていたとの情報があったというのだ。「条件はシンプルだ。要求は容易に、そして公正になった」という声明からは、交渉の主導権がイスラム国にあるとの優越感がにじんではいるが、これくらいの交渉なら「人命は地球より重い」ということで成立させてもらいたいものなのだ。 日本は人質事件では柔軟な対応をみせてきたとされるのだが、1997年には日本赤軍がバングラデシュ・ダッカで日本航空の旅客機を乗っ取り100人超の乗員を人質にした事件で、当時の福田赳夫首相が赤軍派の要求を受け入れ600万ドルを支払った。しかし2004年にイラクで24歳の日本人旅行者が拉致された事件では、犯行グループが自衛隊のイラクからの撤退を要求したのに対し小泉純一郎首相は「事故責任」という名のもとにこれを拒否し、この日本人青年は首を切断されて死亡している。今回の事件もどうしてこういう事態に陥ったのかというと、直接的には火薬庫のような中東に危機感も持たず、札束をバラ撒いて存在感を示しそうとした安倍晋三首相の選択肢が間違っていた結果なのだろう。
2015年01月27日
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内閣府が昨年末に発表した昨年度の国民経済統計によると、家計の貯蓄率が始めてマイナスに転じたそうで、8年前には24.3兆円あった経常収支の黒字は、昨年度には8300億円にまで減ったものの黒字は維持されたそうなのだ。家計の貯蓄率の減少には人々の消費行動パターンとして「ライフサイクル仮説」というものがあって、これは「人々は概ね現役時代に貯蓄し、引退するとその貯蓄を取り崩して生活する」と捉えるものだとされている。この「ライフサイクル仮説」に基づくとき高齢化は貯蓄取り崩し主体の比率が増加することを意味し、高齢化の進展は貯蓄率低下の一要因となるそうなのだ。そして家計・企業・政府の貯蓄・投資バランスである資金過不足を合計すると、経常収支になるという関係があるそうなのだ。 この関係から黒字が維持されて国内資金で財政赤字が賄われたのは、家計部門が資金不足となったものの、企業部門が大幅な資金余剰となったためだということがわかるというのだ。つまり毎年の所得の多くを貯蓄して使わずにいるのは家計ではなく企業だというのだ。長引くデフレに象徴される景気低迷により可処分所得が減少傾向を続ける一方、消費には歯止め効果が働き可処分所得の落ち込みと比較して小幅な減少にとどまっているそうなのだ。国民全体の可処分所得の低迷した主要な要因としては、景気低迷や企業のグローバルな競争を反映し賃金が伸び悩んだことが挙げられ、その他にも日本銀行の金融政策が家計の金利収入の低下に大きな影響を及ぼし、貯蓄率の低下圧力となったことも無視できないそうなのだ。 それでも日本が巨大な財政赤字を海外からの資金に頼らず国内でファイナンスできている理由は、家計の貯蓄で賄われているからではなくて、企業が投資に消極的であることにより生まれる毎年の貯蓄が巨大だからという。家計の貯蓄である余剰資金を、直接金融の株式市場や間接金融である銀行を通じて、企業部門が借り入れて投資を行うという経済学の教科書で説明されていた普通の経済の姿と、現在の日本経済の姿は大きく異なっているそうなのだ。 高齢化が進んだことで貯蓄率が低下傾向を辿ったことは当然だが、1990年代末頃から貯蓄率の低下速度が加速したのは、賃金が低迷したことに見られるように家計への所得の流れが細くなったということも原因なのだ。 企業が設備投資に積極的になれば余剰資金が縮小するのだが、これに応じて財政赤字を縮小できればよいが、そうでなければ国内では財政赤字がファイナンスできなくなってしまう。政府は物価上昇率を高めることで企業の設備投資が増えるのは、実質金利が低下するからだと説明しているが、名目金利が一定の状態で物価が上昇すると実質金利が低下するので、企業の実質的な利払い負担が軽くなることによって設備投資が容易になるからだ。しかし考えなくてはならないのは実質金利と投資需要の関係だけではないのだ。企業がこれまでのように毎年の所得の多くを貯蓄するのではなく投資に回すようになったときに、設備投資で増えた生産物を誰か買うのかという問題も考える必要があるというのだ。 財政赤字を削減するためには政府は支出を増やせないのは理解できるし、増加した生産の一部は設備投資に使われるが、消費が増えなくては企業部門全体として投資資金を回収できないはずなのだ。結局は家計への所得の配分が今よりも高まって、家計所得が増えて消費が拡大するということが持続的な経済の拡大のために必要になるというわけなのだ。企業は毎年大幅な資金余剰を続けているのだから、企業と家計の所得のバランスについてより家計のほうを増やせば改善が期待できるはずなのだ。分配のバランスがうまく調整されない原因はさらに究明する必要はあるが、当座の措置として政府が企業に賃上げを要請しているのは方向性としては正しいようなのだ。
2015年01月26日
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20年前にコンビ二店長の働き方の実態を捉えるために、「オーナー店長」と「雇用店長」を対象者に調査が行われている。この調査は「コンビニエンス・ストアの経営と労働に関する調査研究」というタイトルがつけられているというのだ。ちなみにこの報告書は日本労働研究機構が実施した調査結果に加え、東京都労働局が実施した調査結果を用いまとめられている。20年目の小売業界では地殻変動と呼ばれた出来事がおきたといわれており、それはセブン-イレブン・ジャパンの経常利益が、親会社のイトーヨーカ堂を抜き小売業トップになったことなのだ。言うまでもなくコンビ二の成長を後押ししたのが社会の変化で、働く女性が増え「DINKS」と呼ばれる夫婦が登場したことにあるというのだ。 食料から生活用品・公共料金の支払いまでできる「年中無休」は、時代のニーズにあった極めて魅力的な営業形態だったとされるが、コンビ二の店長は「ニューハードワーカー」と呼ばれて過酷な労働がなされていたそうなのだ。20年前の報告書の概要では店長の週平均勤務時間は65.1時間とされ、タイプ別ではオーナー店長が67.1時間、雇用店長が62.2時間で、オーナー店長の方が長いとされていた。休日ということではオーナー店長では「休日なし」が34.5%と最も多く、雇用店長は「週1日」が53.3%と過半数を占めていたのだ。この頃からスタンダードとなってきていた「週休2日」は、店長全体のわずか6.6%しかいなかった。また休日が「月1日」という人は13.1%もいたという調査結果となっていた。 以上から仮に週に1日は完全に休み6日間労働としても、1日当たり10.9時間労働となることが明らかになった。調査では「仕事全体」・「収入」・「能力発揮」・「裁量性」・「勤務時間」・「休日数」の6項目の満足感を尋ねているが、「仕事全体」は半数以上がこのような過度な勤務にかかわらず「満足」としていた。「能力発揮」と「裁量性」では特に満足度が高く、約6割の人が「満足」と回答している。「休日数」ではさすがに8割近くが不満と回答しており、「収入」では低賃金重労働のせいか6割弱が「不満」としていりし、「一日の勤務時間」は6割強が「不満」ということだった。ほとんどの調査項目で雇用店長の満足感の方が、オーナー店長より若干高い傾向にあったが大きな違いではなかったそうなのだ。 以上から収入や休日などの労働条件に関しては不満があるものの、能力発揮と判断の裁量度という点では、その当時のコンビニ店長たちが満足していることは強調されてよいというのだ。東京都労働局が実施した結果に基づき報告・考察したところでは、調査項目は「全身がだるい」「疲れる」などの身体症状10項目と、「根気が続かない」とか「やる気がでない」などの精神症状8項目で構成されている。東京都の調査は夜勤のあるサービス産業としてコンビニ・ファミリーレストランおよびホテルの3業種で働く人たちの心身の自覚症状を調査しているのだが、多くの項目で雇用店長はオーナー店長より高い不調を訴えていた。特に精神症状で不調を訴える人が著しく多かったということとなっていた。 オーナー店長は多くの項目で心身の自覚症状の不調を訴えることが低い傾向が認められたというのだ。ファミレスやホテルで働く人たちとの比較でも低い値を示しており、相対的にストレスが少ないことが明らかになったというのだ。以上のことからオーナー店長と雇用店長ではストレスの度合いが異なり、その理由は以下のことが考えられるそうなのだ。雇用店長は相対的に年齢が若くその経験に比して重い責任が課せられている可能性が高く、雇用店長はオーナー店長とは異なり社員としての付加的な業務が与えられている可能性もあるうえ、営業成績に一定のノルマが課せられていることが、精神的な自覚症状の訴えを強くしており、雇用店長に加重されている負担は精神的なものであることとされているのだ。
2015年01月25日
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福島県楢葉町にある東京電力福島復興本社が設立から2年を迎えたのだが、復興本社代表で東電副社長の石崎芳行氏は地元新聞社のインタビューに答え、「汚染水問題が落ち着けば、来年は本格的な廃炉作業が加速する年になる」と見通しを語ったそうなのだ。汚染水問題ではいまだにトラブルが続いているのだが、「4月に福島第1廃炉推進カンパニーが発足し、責任体制は明確化された。建屋周辺の地盤を凍らせる『凍土遮水壁』が完成し、地下水をくみ上げて浄化する『サブドレン』も漁業者の理解を得て稼働できれば、汚染水問題は一段落する。来年はいよいよ本格的な廃炉作業に取りかかれる」と楽観的に答えていたそうなのだ。ただし東京電力本社は立場を明確にしていないという。 東京電力福島復興本社の関係者も「廃炉の方向性や時期については言える段階ではない。エネルギー政策は国が決めるもので、われわれはプレーヤーにすぎない。現在、第1原発で必要なタンクなどを第2原発構内で組み立てている。当分は廃炉作業に寄与する拠点になることが大切だ」と答えている。最も福島原発で働く作業員の約3割が「賃金を支払う会社と、実際に作業を指示する会社が違う」と答えたとされ、「現場であなたに作業を指示している会社と、あなたに給料を支給している会社は同じですか」という質問に対しては、「違う」と回答した人が対象者2684人のうち28.3%に及んだというのだ。このことからも福島第一原発の現場では「偽装請負」が行われているに違いないようだ。 下請け会社の従業員が仕事の発注元から直接指示を受ける形で働くことは「偽装請負」と呼ばれるのだが、弁護士によると「『偽装請負』とは、形式的には請負契約を結んでいるのに、実質的にみると派遣や雇用となっている状態をいいます。請負契約の本質は、業務を請け負った人が、発注者から独立した形で、それを遂行する点にあります。発注者が直接指揮監督する場合は『請負』とはいえず、実質的には『派遣』や『雇用』です」という。また「人を雇えば、さまざまな責任が発生します。『偽装請負』は、そういった責任を回避するために行われます。雇用責任の所在があいまいになるため、労働者が劣悪な労働環境や違法な長時間労働を強いられやすくなります」と問題点を指摘している。 そのせいか東京電力は昨年に福島第1原発で負傷した作業員数が11月時点で既に前年度の人数を大幅に超えたことを明らかにしたという。福島第1原発で働く作業員が増加したことが主因とみられるというのだが、東京電力によると昨年の4~11月に福島第1原発で負傷した作業員は39人に上り、他に体調不良を訴えた作業員が1人いたそうなのだ。一昨年の負傷者数は死者1人を含め通年で23人だったのだが、つい最近も処理水貯蔵タンクの増設工事現場で鋼材が落下し、東京電力の協力企業の作業員が脊髄損傷の重傷と、別の作業員も両足首骨折の重傷を負ったというのだ。原因はタンク上部で別の作業員がレールの仮留め作業をしていたところレールが落下し、一度地面ではねた後3人にぶつかったというのだ。 原発構内のタンク増設工事では昨年の10月にはワイヤロープの束が落下し、男性作業員1人が大けがをする事故が発生しており、労働基準監督署が大阪府の協力企業を安全衛生法違反の罪で略式起訴しているのだ。また9月には鉄パイプが落下し男性作業員1人が重傷を負っているというのだ。私も建設現場で働いているが、通常建築や土木の現場でこんなには作業事故無いのだが、やはり防護服着て肉体労働だから通常とは勝手が違うのだろう。どうしても視界や足元の確保が困難になってしまうと想像できるのだ。先日にも死亡事故が起こった原発の現場には一般現場で活躍できる作業員は行きたくないことから、死亡事故の多発も作業員のレベルが低いからだというのも仕方がないことだろう。
2015年01月24日
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自然を残すことが重要視されていながら、東京都大田区の高級住宅地にあった自然林が、昨年末にマンション開発のため伐採されたというのだ。江戸時代からほぼ手つかずの「奇跡の森」を残そうと住民が立ち上がり、区も買収をめざしたが実らなかったというのだ。伐採されたのは大田区鵜の木1丁目の個人宅の敷地内の林で、環状8号線に面し田園調布に近接する好立地にかかわらず、約9千平方メートルのほとんどが樹木で覆われていたというのだ。地域住民からは地主にちなみ「天明(てんみょう)さんの森」と親しまれていたというのだ。大田区に特に多い名字の代表的なのが、「天明」・「平林」・「河原」だとされ、この名字が付く方の多くは古くから大田区に住んでいて地域の発展に尽くしてきたというのだ。 特に天明家は江戸時代には「鵜の木村(現在の大田区内))で名主役を勤めた旧家で、今回伐採された森近くの旧宅は、正面に「千鳥破風(ちどりはふ)」を持つ主屋・長屋門・枯山水庭園など、高い格式がうかがえられていたというのだ。位置的な事情からだろうが大名が近くの多摩川で川遊びをしたときには、屋敷の西側部分(主屋完成後に増築された書院造りの建物)は本陣としての利用もあったそうなのだ。本陣に供されたのはそれなりのお方を迎えるためのしつらいになっていたというのだ。天明家は屋号を「へっついさま」といったそうなのだが、この「竃(へっつい)」とは今でいうかまどのことだが、どうしてそういう屋号が付いたかというのはわからないそうなのだ。 文政年間に編纂されたとされる史書の「新編武蔵風土起稿」によれば、「鵜ノ木は荏原郡の南にあり、村名の起こりは村内鵜ノ森明神の社あるによれり と土人は云えり」とある。ここで言う鵜ノ森明神社がどこに存在したのか現在となっては定かではないが、この一帯で昔は鵜が非常に多く住み着いており、豊かな森が広がっていた事からもそこから自然発生的に呼ばれた「鵜ノ森」から地名が来たと考えられている。また鵜の木に古くからある光明寺の記録によれば、鎌倉時代の正応5年には既に「鵜ノ木」の呼称が使われていたとされている。毎年7月下旬には日本全国の「鵜の木」という名の付く町と共同開催し、当地で行われるお祭には全国各地の名産品・特産品などが集められるそうなのだ。 その名家の一つである天明家の土地を278世帯のファミリー向け大規模マンションが開発するというのだが、環八沿いの鵜の木に存在する8,423平方メートルの広大な森は古くから地域住民に愛されてきたというのだ。大田区内最大とされたトチやイチョウなど幹の直径1メートルクラスの大木をはじめ、直径10センチ以上の樹木が581本あるそうなのだ。不動産業者である東急不動産株式会社住宅事業ユニット首都圏住宅事業本部が行った説明会での話は、終始一貫、「現行法に基づき、関係各所に確認を取りながら進めているので何にも問題ない」ということから始まり、「住民説明会は住民の意見を頂戴して合意して計画する会ではないし、住民に『認めてもらう』とか『承認してもらう』ものでもない」という態度だったそうなおだ。 すぐに発言そのものは撤回されたそうなのだが、「昔からの住民がいつまでも変わらぬ住環境を望むのは暴論である」というスタンスだったそうで、「環境を破壊しているつもりはない、むしろ環境を再生している」とか、「準住居と第1種中高層住専地域であり、このような建物が建てられることをご理解いただきたい」とのことで住民との話し合いは終始平行線だったという。極論すると「適法に進めているから住民は文句言うな」・「住民説明会は設けないといけないから開催しているだけで、聞く耳は持たないよ」と聞こえたそうで、このような不毛な平行線の話し合いは大田区内全域で数多く見られ、この「天明(てんみょう)さんの森」も伐採されたことから、町会憲章等をもうけて自衛を図らないといけないという動きが出ているそうなのだ。
2015年01月23日
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厚生労働省が発表した「就労条件総合調査」によると、昨年度の労働者の年次有給休暇の取得率は48.8%で、前年から1.7ポイントの上昇にとどまっていたそうなのだ。私は退職しているので関係はないのだが、政府は「働き方改革」を立ち上げて、5年後までに有休取得率を70%に引き上げる目標を掲げているが、現状では取得が進んでいない実態が浮き彫りになったというのだ。今回厚生労働省が発表した「就労条件総合調査」は、主要産業における企業の労働時間制度や定年制等及び賃金制度等について、総合的に調査し我が国の民間企業における就労条件の現状を明らかにすることを目的としており、毎年1月1日現在の状況について調査を行なっているのだ。 全国における1日の所定労働時間は企業の平均は7時間43分で、前年の7時間44分からほとんど変化していないのだが、労働者1人当たりの所定労働時間は平均7時間44分と、前年の7時間45分とほとんど変わっていないそうなのだ。週における所定労働時間は企業平均で39時間29分となっており、労働者1人平均も39時間05分と前年より少し長くなっているそうなのだ。企業平均を企業規模別にみると1,000人以上企業では、39時間02分と減少傾向を示しているそうなのだが、300~999人の企業は39時間07分や100~299人の企業が39時間21分、30~99人の企業では39時間34分というように、減少するどころか増加傾向になっているそうなのだ。 週における所定労働時間を産業別にみると、金融業・保険業が37時間57分で最も短く、宿泊業・飲食サービス業が40時間09分で最も長くなっているそうなのだ。半数以上の企業が変形労働時間制を導入しており、労働時間を割り振ることができる変形労働時間制は、勤務にメリハリがつき残業代の削減に有効な手段となっているそうなのだ。昨年度の年間休日総数の企業平均は105.8日で、労働者1人平均は年間で112.9日となっている。企業平均年間休日総数を企業規模別にみると、従業員数が1,000人以上の企業は114.7日となっているのに比べ、300~999人の企業は112.5日で、従業員数が100~299人規模の企業になると108.0日、30~99人規模の企業だと104.4日となっているそうなのだ。 産業別にみると金融業・保険業が年間休日は120.9日で最も多く、宿泊業・飲食サービス業が93.5日と最も少なくなっているそうなおだ。昨年度に労働者1人当たりに与えられた有休日数の平均は18.5日なのだが、実際に取得したのは9.0日だったそうなのだ。厚生労働省がまとめた労働基準法改正案の骨子では、有給休暇の取得を促進するため労働者の有休の取得時期の指定を企業に義務付けることになっており、働く時間を労働者が柔軟に決められる「裁量労働制」を導入しやすくするというのだ。厚生労働者は厚生労働大臣の諮問機関である「労働政策審議会」の分科会に提示することで、今月中に意見を取りまとめて通常国会に改正法案を提出する予定となっている。 時間外労働の割増賃金率を「一律に定めている」企業割合は82.0%となっており、そのうち時間外労働の割増賃金率を「25%」とする企業割合は93.5%で、「26%以上」とする企業割合は6.5%となっているそうなのだ。時間外労働の割増賃金率を定めている企業のうち、1か月60時間を超える時間外労働に係る割増賃金率を定めている企業割合は29.3%で、そのうち時間外労働の割増賃金率を「25~49%」とする企業割合は45.7%、「50%以上」とする企業割合は54.0%となっているそうなのだ。また割増賃金の支払いに代えて有給の休暇を付与する代替休暇制度がない企業割合は73.0%となっているそうなのだ。
2015年01月22日
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昨年末に内閣府が発表した昨年度の「国民経済計算確報」では、家計貯蓄率がマイナス1.3%となったそうなのだ。比較可能な統計が出ている1955年以降では初のマイナスで、貯蓄好きと言われてきた日本人の行動が大きく変わってきているという。家計の貯蓄率がとうとうマイナスに転じてしまったわけなのだが、家計の貯蓄率とは可処分所得に対する貯蓄の割合を示した数字なのだ。簡単に言えば国民全体で手取り収入の何%を貯蓄に回しているのかを示す数字ということになり、これがマイナスになったということは日本人は収入以上に消費をしてしまっているということで、つまり貯蓄を取り崩して生活しているということを意味して、だんだん貧乏になっているということなのだ。 貯蓄率の低下は経済にどのような影響を及ぼすのかというと、経済全体で見ると国民が貯蓄した分は国内の投資に使われることになるという。投資に使われずに余った分があればそれは経常黒字になるか、政府が赤字の場合にはその穴埋めに回っていくのだ。日本政府の財政状況がすぐに改善する可能性は低いですから、貯蓄が減ると経常収支が赤字になる可能性が高くなってくる。ただし経常赤字であることが日本の経済に直接マイナスの影響を与えるわけではなく、成熟した先進国の多くは付加価値の低い製品については途上国から輸入した方が有利ですので、経常収支は赤字に向かうことが一般的だという。その状況に合わせて適切な経済運営を行えば、経常収支が赤字でも順調に経済を成長させることができるのだ。 しかし経常収支が赤字になった場合は、国全体としてより高度なマネーの運用能力が求められるのも事実で、国内の資金不足を海外からの投資に頼ることになりますから、しっかりとした金融市場を整備しておかないと優良な投資資金を集められなくなるのだ。結果として国内の設備投資が脆弱になって金利が上昇する危険性も出てくるというのだ。そのような状態にならないためには貯蓄率を上げればよいということになるのだがそう簡単にはいかないのだ。貯蓄率がマイナスと聞くと米国のように、ムダ使いをして過剰に消費しているイメージを思い浮かべるのだが、日本はそのような状態では決してないというのだ。日本で貯蓄率が低下している最大の原因は過剰消費ではなく高齢化が原因とされている。 日本の家計貯蓄率が低下してきたのは人口の高齢化によるところが大きいのだが、日本の高齢者は年金をもらっても貯蓄してしまうという神話にも似た話が定着してしまっているが全くの誤解だというのだ。高齢者はどんなに頑張っても現役時代と同じようには稼げないことから、必然的に貯蓄を取り崩して生活することになっていく。職業生活から引退した高齢者は年金に加えて貯蓄を少しずつ取り崩すことによって生活しており、貯蓄率はかなりのマイナスに推移しているそうなのだ。しかも総人口に占める65歳以上の高齢者の割合は40年前には7.1%に過ぎなかったが、現在では25.1%に達している。人口の中で貯蓄を取り崩す高齢者の割合が高まることで日本の家計貯蓄率は徐々に低下しているというのだ。 日本の貯蓄率の低下は贅沢三昧をしているというよりも、多くの人がちょっとずつ貯蓄を取り崩した結果であり、よほどの経済成長を実現しない限りこの状況を改善することは難しいというのだ。現実的には財政赤字をできるだけ減らすとともに、海外から優良な投資資金を集めるための金融市場整備などが、貯蓄率低下に対する最大の対処法といえるそうなのだ。今後物価上昇率が2%という状態が実現しても、所得が増えなければ消費はどこかで失速することになる。所得が増えない中で消費を増やすためには、家計は貯蓄率のマイナス幅をさらに拡大させなければならないが、老後生活を考えれば資産をどんどん取り崩して消費に充てるということは期待できないだろう。
2015年01月21日
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有給休暇の取得は労働者の権利だとされているのだが、日本では「有給休暇は全て消化してはいけない」という暗黙のルールが残っている企業も多いこともあって、有給取得に罪悪感を持ってしまう人が多いということが言われている。政府が今月末に召集予定の通常国会に提出する労働基準法改正案の骨子では、企業に対し従業員がいつ有給休暇を取得するか時期を指定することを義務づけ確実に取得させることが柱にするというのだ。働き過ぎを防止し仕事と生活の調和とされる「ワーク・ライフ・バランス」の実現を図る狙いがあるというのだ。有給休暇は休んでも賃金が支払われる制度で、勤続6か月以上で定められた勤務日の8割以上出勤した従業員が原則として年間10日から20日間取得できるのだ。 パート従業員でも週5日以上勤務などの要件を満たせば取得することができ、現行の法律でも企業は従業員に有給休暇を取得させなければならないと定めているのだ。しかも従業員が自らいつ休むか時期を指定して請求することが前提となっており、私の事務所もそうなのだが通常は勤続年数に応じて日数は増えていくのだ。政府が召集予定の通常国会に提出する労働基準法改正案の骨子では、企業に対し従業員がいつ有給休暇を取得するか時期を指定することを義務づけ確実に取得させることが柱にするというのだ。しかし従業員が自らいつ休むか時期を指定して請求することが前提となっていることから、従業員が請求しなければ企業は有給休暇を与えなくても違法ではなく取得率が低迷する要因になっているという。 ある会社の社長は「有給休暇ほど不思議な制度はありません。働かないのに給料がもらえることに、率直にありえないと思う。有休を最終的に決裁するのは自分でしたから、病気などの理由がない申請には『え、なんで取るの』とにらみをきかせた」ということを公表したのだが、非難が集中したというのだ。仕事が趣味というこの社長は2~3カ月休まないこともざらで、このことで下も休めずこれまで有休取得率はひとケタ台だったというのだ。この年末年始休暇の平日分についても有給休暇の取得を会社から求められたというのだが、これは「労働者の権利である有給休暇の取得時期について、使用者が自由に指定することはできません。使用者が勝手に、正月休みを有給休暇に指定することは、労働基準法に違反します」というのだ。 そもそも年末年始はオフィスや店舗自体を閉めている会社も多いのだが、そのような場合でも年末年始を有給休暇に指定することは許されるのかということなのだが、弁護士や有識者の見解では「有給休暇を取得する意味は『本来働かなければならない日に働く義務がなくなるが、それでも賃金が請求できる』というものです。したがって会社自体が正月休みで休業している時期には、労働者が有給休暇を取得する意味はありません。もともと『働く義務がない日』に有給休暇を充てようというわけですから」というのだ。つまりもともと休日であるはずの正月休みに有給休暇を取得させることは、労働者からすると「その分だけ有給休暇を減らされたのと変わらない」ということになるわけなのだ。 こうした取扱いは法律で決まっている有給休暇の日数を与えないのと実質的に同じとされ、6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金となる可能性があるというのだ。ところが今回政府が召集予定の通常国会に提出する労働基準法改正案の骨子では、企業に対し従業員がいつ有給休暇を取得するかといといった時期を指定することを義務づけるというのだ。「計画年休制度」という労働者個人の年休権行使を拘束することができるという制度をつかって、お盆周辺や年末・年始に有給休暇を強制的に取らせて、有給休暇の取得日数は増やすが実際の休みは増えないことを考えているというのだ。このことが有給取得を促進するという計画年休の制度趣旨に合致するのかはおおいに疑問といっていいだろう。
2015年01月20日
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大阪・京都両市内の繁華街にある道路標識に、昨年末以降に道路標識にハートや人形などをかたどったシールが張られる被害が相次いでいるそうなのだ。大阪・京都両府警は道交法違反や器物損壊などの容疑にあたる可能性があるとして捜査しており、大阪府警によると今月になって大阪市のキタやミナミなど24カ所でシールが張られているのが見つかったそうなのだ。一方通行の標識では矢印がハートを射貫いているように見えるようにしたり、進入禁止の標識では白色のバーの部分を人が抱えているように細工されていたりしたという。一方の京都府警によると昨年末に京都市左京区で道路標識にハートや人形などをかたどったシールが張られたのが見つかったのを皮切りに、市内約30カ所で同様の被害が確認されたそうなのだ。 京都市内では道路標識がかじられたように見えるもののほか、別の場所にはギターを振り上、標識を破壊するような人影があったという情報もあるそうなのだが、現時点で事故につながったとの情報はないが事故を誘発する危険性はあり、大阪・京都両府警がシールをはがすとともに捜査を続けているそうなのだ。海外では1990年代ごろからイギリスで「グラフィティ」と呼ばれるスプレーなどを使って壁に落書きをするアーティストが出現したそうで、このいたずら書きは私の住んでいる松山市でも億みられることから、街の清掃活動で消したりしているのだ。もっとも独特の世界観から注目を集め一部オークションでは、億を超える値段で取引されることもあるということから賛否両論を呼ぶもあるそうなのだ。 今回の道路標識のいたずらの関与を認めた男はフランス人の芸術家で、世界中で同じような行為を繰り返していたというのだ。TVのニュースでその関与が疑われる人物を直撃していたのだが、取材に応じたのはフランス人の芸術家であるクレ・アブラーム氏で、昨年の12月から今年の1月5日まで日本に滞在し、京都と大阪であわせて90カ所でシールを貼ってそれをインターネット上に投稿していたというのだ。この芸術家のクレ・アブラーム氏によると「警察が、もし僕に『やったのか』と聞いてきたら、『YES』と答えるよ」と話したそうで、アブラーム氏は「道路標識は権力のシンボル」だとして、「権力が定めた法を守ることに、異議を唱える作品だ」と主張しているというのだ。 これまでにもヨーロッパやアメリカで同様のことを行ってきたというのだが、さらにアブラーム氏の交際相手だと話す日本人女性に話を聞いたところ自分も手伝ったとして、「これらの作品はアブラームが作ったそうです。規律をすごく正すというのは、日本のすごくいいところでもあるし、堅いところでもあるというのは、自分では自覚しているので、罪の意識というのは、わたしはありますね」と話していたそうなのだ。「道路標識へのいたずらか、アートか」という今回起きた道路標識へのいたずらを美術大学生は、「こういうのだと、重要な部分が欠けてしまっていて、違う標識にもとらえられる。だけど、これだったら、人が飾りでついているっていう感じにとらえられるので、面白くていいかなと思います」と答えていた。 こうした公共物への行為について、美術評論家の小倉正史氏は「ストリートアートは面白がって見る人たちが多いと思いますけど、質の高いものであれば専門家がそれを評価するわけですよね。表現は非常にちゃんとしたやっぱりアーティストなんだろうけれども、やったことというのはやっぱり犯罪ですよね」と話したそうなのだ。警察は道路交通法違反の疑いがあるとみて調べを進めている。街の人は「あれは公共の物だから、あんなことしたら駄目だけど、おかしいな」とか、「面白いなと思う。元の意味がわかるなら、いいと思いますよ」・「こういった標識は、間違うと事故が起きるので、危ないと思う。面白いといえば面白いが、違うところで、見せるところがあったらいいかなと思う」などと語ったそうなのだ。
2015年01月19日
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阪神大震災から20年となるわけなのだが、阪神・淡路大地震における被害の特徴としては、都市の直下で起こった地震による災害であるということが挙げられる。今上陛下も昨日の兵庫県公館で営まれた「1・17のつどい-阪神・淡路大震災20年追悼式典」に出席されたそうなのだが、TV等でもあの時の記憶をたどる番組が数多く放映されていたのだ。その中でも20年前に「ラジオ関西」は神戸市須磨区に本社を構えていたそうで、ラジオ番組担当のアナウンサーが自宅から「ラジオ関西」へ車で到着した時、駐車場が隆起していて車を止めるのも大変なことだったそうなのだ。震災発生から約50分後の午前6時半ごろスタジオへ飛び込んだというが、窓ガラスが割れており壁は崩れて鉄骨がむき出しになっていたそうなのだ。 そのアナウンサーが語っていたのでは「最初は東海地震の余波と思いながら駆けつけたものの、ビルの倒壊などを見てこの辺が震源と確信した。ラジオから音は聞こえず会社へ行ったらスタジオまで崩れているなんて想像もできなかった」そうなのだ。それでもラジオ放送は再開されたそうで、朝の番組担当では来る途中の状況を伝えたそうなのだ。もっとも電話回線などが不通状態だったためニュース機器などからの情報が入ってこず、そんな時1本の電話がなったそうで、それはリクエスト用の電話だったというのだ。リスナーも電気などが不通のため情報をつかむことができないので、携帯ラジオなどを聴きながらリクエスト電話へかけてみて、状況を訪ねるような電話が多数かかってきたそうなのだ。 あれから20年がたって何度も大きな地震被害もあったのだが、行政も「国土強靭化」ということで施設整備だけでなく様々な対策を講じているのだ。それでもインフラ整備だけではどこまで行っても地震被害を食い止めることは不可能で、現代に生きる私たちはこれからも未知の災害に遭遇する可能性が高いとされているのだ。しかも私たちが住んでいる住宅は現行の震度階級表記と耐震設計基準は連動していない格好になっているそうで、気象庁と国土交通省それぞれが独自の判断で進んだ結果、食い違いが生じてしまっている可能性が高いというのだ。国土交通省の住宅部局は阪神大震災による建物被害の調査の結果から、耐震基準の見直しは必要ないと判断し最新の技術解説書からは震度との関連を削除している。 阪神大震災から20年といじことで全国でも避難訓練等が行われるそうなのだが、そのなかに「シェイクアウト訓練」というのがあるそうなのだ。この訓練はTVのニュースでも紹介はされていたのだが、米国カリフォルニア州で始まった防災訓練も「Shaku -out」は造語で、直訳すると「地震を吹っ飛ばせ」という意味になるそうなのだ。この「シェイクアウト訓練」というのは「事前登録・事前学習・訓練開始・ふりかえり」の4つの段階を踏まえた訓練のことで、参加の意思さえあればどこでもだれでも気軽に参加することができるそうなのだ。訓練の内容は時間になったらその場で「3つの安全行動(まず低く・頭を守り・動かない)」を実施する一斉防災訓練だそうで、その手軽さから「シェイクアウト訓練」は世界中で広がっているそうなのだ。 日本でも各地でシェイクアウト訓練がおこなわれているそうで、地震が発生した際にすぐに身を守ることができるようにするための訓練だそうなのだが、地震による人的被害は家具等の転倒や落下物等による負傷がほとんどであることから、揺れを感じたらまずは、自分の身を守ることが大切だというのが根幹だそうなのだ。「シェイクアウト訓練」でいう3つの安全行動とは、地震の揺れに伴う落下物や飛来物から、頭や身体を守る行動をとりことなのだが、「まず低く」は上からの落下物を避けられる場所で低い姿勢をとることから始めるというのだ。次に「頭を守り」は落下物や飛来物から頭を守れるよう、机の下に避難したり腕で頭を守ったりする行動をとるというのだ。最後に「動かない」ということで1分間はじっと動かないでいるそうなのだ。
2015年01月18日
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今週末には阪神大震災から20年となるわけなのだが、あらためて阪神大震災で亡くなられた6434人のご冥福をお祈りする。阪神・淡路大地震における被害の特徴としては、都市の直下で起こった地震による災害であるということが挙げられる。日本での都市型震災としては大都市を直撃した昭和19年の昭和東南海地震以来となるという。私がこの建設業界に入ったころにはまだ大正生まれの職人さんも多く残っており、個人的な体験として昭和東南海地震時の記憶を話してくれていたのだ。私も阪神・淡路大地震の出来事を風化させないために、この日記を書くことにしたのだ。ぐっすり寝ていたら突然グラグラとした揺れに飛び起きたのだが、実際は私が住んでいる松山市は震度3だったのだ。 嫁さんと何が何だかわからずにリビング・ダイニングに行ったら、安アパートに住んでいたせいか整理棚から食器が飛び出してガラス類が散乱していた。私の家はBS放送は受信できたがまだブラウン管TVで、TVをつけると関西で大きな地震が起こったことを知ったのだ。詳しい状況は分からないまま仕事へ出かけて数時間たったあとTVのニュース等で見た震災の映像は衝撃だった。その時の映像ではたくさんの人がパジャマ姿で不安そうに立ちすくんでいた記憶が強く、マンションが破損している状況も映し出されていた。私はその時は道路工事と港湾工事を担当していたのだが、道路は大きく波打っているし港の岸壁は壊れてフェリーが接岸できなかったことも印象に残っている。 当時は携帯電話が普及する前で電話での連絡が不可能な状態だったそうで、その時に私が担当していた港湾の現場に、大阪から下請けの代理人が来ていたので当時の状況をよく聞いたのだが、「余震があるから家に入るのも怖くて、寒さに震えながら外にいた」そうで、火事があちこちで起きているみたいで、空に黒煙が上がっていたが消防車は来なかったそうなのだ。あとから記録集などを見てみると、数日間は配水車に並んだりトイレの排水のために池に水を汲みに行ったりしており、電気の切れた冷蔵庫の中身で食べつないだとか、やたらヘリコプターの音が聞こえたことなどが記されていた。震災から2週間くらいたつと西宮駅まで通じた電車に乗って大阪まで行って、久しぶりに風呂に入ったことも当時の新聞に書かれていた。 私も仕事の関係で地震等の大災害が起こるたびに被災地を見に行ったのだが、阪神大震災から約5年がすぎると橋梁関係をはじめ土木構造物の耐震基準が強化され、既存構造物の耐震補強も進んできたのだ。それから新潟県中越地震が発生したのだが、計測震度で初めて震度7を観測した地震だったそうなのだ。新潟県中越地震は阪神大震災と同じ直下型地震だったとされるが、揺れの大きかった範囲が中山間地だったので、建物倒壊よりも多数の土砂災害が発生したとされている。特に斜面崩壊によって河川がせき止められる「天然ダム」が生じ集落が水没したのだ。コンクリート構造物も上越新幹線の高架橋や山岳トンネルが崩壊し、日本のどこでも起こりうる地震災害だとされたという。 そしてもうすぐ丸4年になるが東日本大震災が発生したわけで、「1000年に1度」と推定される海溝型の巨大地震による津波は東北沿岸の集落を軒並み破壊し、福島第一原子力発電所の原子炉をメルトダウンさせた。阪神大震災から20年ということで耐震基準が強化され、それに基づく耐震補強も進められている一方、異なるタイプの地震災害が頻繁に発生しており、「次の大震災」が同じタイプとは限らないのだ。行政も「国土強靭化」ということで様々な対策を講じているが、延焼の恐れが強い密集市街地の解消はなかなか進まない。現代に生きる私たちはこれからも未知の災害に遭遇する可能性が高いのだ。そのたびに「想定外」だと言い逃れないように、あらゆる可能性を検証し対策を講じておかなければならない。
2015年01月17日
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長らく低空飛行が続いていた私の所属している建設産業だったのだが、ここ数年は土木関連の公共事業が急増し市場の盛り上がりを肌で感じている。年末選挙のせいで少し遅れていたが政府は今月に来年度予算案を閣議決定したのだが、一般会計の総額が前年度比0.5%増の96兆3420億円と過去最高額を更新するなかで、公共事業関係費は横ばいの5兆9711億円だったのだ。今年度の当初予算の5兆9685億円からは微増となってはいるが、与党には大幅な増額を求める声が強かったのだが、建設労働者の人手不足や厳しい財政事情を踏まえると予算消化が難しいと言われており、これで東日本大震災発生後の公共事業費の増加傾向が一服した感が強い予算案となりそうなのだ。 公共事業の大本である国土交通省は日本を取り巻く諸課題に計画的に対応し、地域のインフラの維持管理や災害対応を担う建設業が中長期的な建設投資の姿を見通せるよう、必要な公共事業費の安定的・持続的な確保を求めていた。具体的には「国土強靱化計画」の取り組みを推進するため再度災害防止への集中投資や、防災情報の強化などハード・ソフトを総動員した防災・減災対策や戦略的なインフラ老朽化対策を進めることにしていたようなのだ。老朽化対策や経済効果の高いインフラの整備に重点配分する方針なのだが、国土交通省所管分も本年度とほぼ同額の5兆1767億円とされており、子育て世代や高齢者が豊かに暮らせる生活環境の整備を図るというのだ。 来年度は東日本大震災の集中復興期間の最終年度となる予定なのだが、復興特別会計の国土交通省の総額は16.9%増となっており、そのうち公共事業関係費は18.5%増と、どちらも今年度当初予算額を大きく上回る金額を計上している。私にはこちらの方が影響が大きいのだが公共工事の円滑な施工を確保する観点から、技術者・技能者の効率的活用を図るための適切な規模での発注を徹底させ、国庫債務負担行為を一層活用した施工時期の平準化にも努めるというのだが、来年度予算案の閣議決定を見てみると社会保障関係費や防衛関係費の伸びが目立っている。私の住んでいる四国地方には関係がないが、整備新幹線の国費は4.9%増と公共事業関係費のなかでは高い伸びを示しているそうなのだ。 来年度予算とは別に消費の喚起や地方の活性化を目的とした総額3.5兆円規模の緊急経済対策を閣議決定しており、災害復旧や復興の加速をするだけでなく、住宅エコポイント制度の再開などの施策を盛り込んでいるそうなのだ。今年度補正予算案は昨年末に策定した緊急経済対策の財源とするわけなのだが、住宅金融支援機構の金利引き下げ幅の拡大や住宅エコポイント制度の再開など住宅市場活性化策に約2100億円、自然災害で被害を受けた公共土木施設や農地・林道などの復旧に約1300億円を計上している。これで年度末にはいくらかの公共工事が発注されるわけなのだが、人不足は解消していないことから建設産業の人材確保・育成に向けた組織体制を強化してもらいたいのだ。 インフラの老朽化を例に取れば施設の新設以上に、地域や現場ごとに異なるきめ細かな対応が求められるし、手間がかかるうえ対応すべき橋梁とトンネル等の数も急増しているのだ。そこで国土交通省は地方自治体が管理する道路の大規模修繕・更新費に特化した補助制度を創設するということなのだが、昨年7月に全国にあるすべての橋梁とトンネルに定期点検が義務付けられたのに伴い、工期が複数年度にわたる大規模事業を中心に費用の半額を補助する方針のようなのだ。補助制度を創設するのは技術者や財源が不足しがちな自治体で大規模な道路の修繕・更新が思うように進んでこなかったためなのだが、橋梁の架け替えなど特に大規模な事業に適用されるケースが多くなるというのだ。
2015年01月16日
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どうやら平成27年は、「原発再稼働元年」となりそうなのだが、鹿児島県にある九州電力川内原発1・2号機が春ごろには再稼働を果たす見通しのようなのだ。ところが審査の合格を最初に果たした九州電力川内原発1・2号機の今年度内の再稼働が困難となったことが、原子力規制委員会関係者への取材で分かったというのだ。認可手続きに必要な書類の提出が大幅に遅れているためで、今のままでは再稼働は4月以降になるという。合格のめどが立った昨年3月から1年を経過することが確実なのだが、原子力規制委員会の田中俊一委員長が昨年12月末に川内原発を視察した際、「安全対策に前向きに取り組んでいる。安全のレベルは極めて高くなっていると思う」と述べ審査に自信を見せていたのだ。 九州電力川内原発1・2号機は平成25年7月から始まった新基準の適合性審査で、大きな課題となっていた基準地震動と基準津波をいち早くクリアし、昨年3月には審査を集中的に行う「優先原発」に選ばれ合格のめどが立っていた。事実上の合格証となる「審査書」は昨年9月に確定しており、そこで「春ごろに川内原発が再稼働を果たすのは間違いなく、夏ごろには高浜原発がそれに続くことはほぼ決まっている」といった報道もなされていた。その後機器の詳細な設計図などを確認する「工事計画」と運転管理体制を確認する「保安規定変更」の認可審査に移行したが、この認可書類の作成に九電は手間取っていることから、九州電力事業者側の新規制基準適合への苦悩が浮き彫りになっているそうなのだ。 原発の審査でいち早く抜け出した川内原発が合格をほぼ手中に収めたのが昨年の3月とされているのだが、原子力規制委員会の審査員の総力を投入する「優先原発」に選ばれ、事実上の合格証となる「審査書案」をつくることを原子力規制委員会が決めたのだ。他の原発と差がついたのは地震対策だったといわれており、「乱暴な言い方をすると、エイヤっと大きくした」と九州電力幹部が審査会合の後に記者団に語ったように、川内原発で想定する最大の地震の揺れである「基準地震動」を思い切って引き上げ、原子力規制委員会規制委会の了承を取り付けたというのだ。昨年の9月には審査書が確定し11月には鹿児島県や地元の薩摩川内市が再稼働に同意するといったように。スムーズな再稼働への道筋だったのだ。 横槍を入れたのが日本火山学会だったというのだが、桜島を含む「姶良カルデラ」などの周辺火山の巨大噴火によって、川内原発の運用期間中に安全性に影響を及ぼす可能性について「十分に小さい」と原子力規制委員会は評価した。そして噴火可能性が十分に小さいことを継続的に確認するため観測を行い、噴火の兆候が観測された場合には原子炉の運転停止や燃料の搬出など必要な対処を行うという方針を、審査指針に合致したものと評価したのだ。「原発稼働期間中は巨大噴火が起きない」とする原子力規制委員会の判断に対し、火山学会は「巨大噴火の時期や規模の予知は困難」と噛みついたというのだ。折しも岐阜県と長野県にまたがる御嶽山が突如噴火したことが両者の対立に拍車をかけたというのだ。 九州電力は補正申請を目標にしていたが、2基で約4万ページに上る認可書類の膨大な量がネックとなっているもようで、昨年末までの提出目標も断念していたのだ。原子力規制庁と九州電力の約100人がほぼ毎日朝から晩まで資料を付き合わせて、非公開の会合を重ねており会議終了は午後11時を回ることもあるという。ただ認可審査の遅れが地元の情勢に微妙な変化を与えるという。4月には鹿児島県議会議員選挙が控えており、再稼働の是非が選挙で争点となってくるというのだ。地元住民らが川内原発の再稼働差し止めを求めた仮処分申請についても鹿児島地裁が近く決定を出すとみられ、原油が安くなって燃料代がという言い訳が通じなくなってきており、司法の判断が再稼働に影響する可能性も否定できないという。
2015年01月15日
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安倍政権が賃上げに向けて本格的に動き出しているようなのだが、昨年度に引き続き財界に対して異例の賃上げ要請を行うとともに、税制改正大綱には賃上げ促進税制を盛り込んだという。財界は基本的に賃上げに応じる方針だが、日本経済を取り巻く環境を総合的に考えると、大幅な賃上げは難しいとされている。政府・経済団体・労働団体の代表らが一同に会して雇用や賃金について話し合う「政労使会議」を開催したのだが、会議では一昨年と同様に合意文書がまとめられ、今年の春闘において賃上げを行うことが明記されたという。昨年の春闘ではこの「政労使会議」の合意がきっかけとなって賃上げが実施されたというのだが、今年も同様に財界は一定の賃上げを容認することになると予想されている。 安倍首相は第3次安倍内閣が発足した翌日に経団連の会合に出席し、財界に対してあらためて賃上げを要請したそうで、賃上げ受け入れ後というタイミングを考えるとより高い賃上げ率を求めたものと解釈されている。昨年は日本の1人あたりの国内総生産が大きく順位を落とし、経済協力開発機構に加盟国中19位となったことが明らかになっている。主要7カ国の中では6位となり下にはイタリアしかいないというのだ。このことは日本の購買力が確実に低下していることなのだが、世界の国内総生産に占める割合は6.5%になるという。3年前は5兆9526億ドルで世界国内総生産に占める割合は8.0%だったので大きくシェアを落としたことになっている。いくら賃金が上がってもいかに国民全体の購買力が落ちている証になっているのだ。 円ベースの名目国内総生産は基本的に横ばいなので、ランクを落としたのは円安による影響が大きいといわれており、これに伴って豊かさの指標である1人あたり国内総生産も大きく低下してしまっており、昨年は一昨年から8000ドル以上減少して3万8644ドルとなったそうなのだ。日本以外の主要国の多くはここ10年の間に名目国内総生産を自国通貨ベースで1.3倍から1.5倍程度に増やしているが日本は横ばいのままだという。自国通貨ベースでの国内総生産が伸びない中、円安が進んだことでドルベースでの国内総生産は大きく減少したというのだ。1人あたりの国内総生産が減少することは、日本人の購買力が減少しているということであり、端的に言えば日本が貧しくなったことを意味するということなのだ。 ここまで購買力が落ちてくると生活実感として貧しさが顕在化してくる可能性が高いことから、安倍政権が賃上げに向けて本格的に動き出しているのだが税制でも側面支援するという。年末にとりまとめた「税制改正大綱」では、賃上げを行った企業の法人税を軽減する「賃上げ促進税制」の緩和が盛り込まれたのだ。この「賃上げ促進税制」は企業が給与総額を一定割合増やした場合、増えた額の1割を法人税から差し引く仕組みで、減税対象となる基準は今年度の2%の給与増加だけでなく、来年度は3%の給与増加を目標とし、その翌年度以降は5%の給与増加となっている。これを見直し中小企業は3%や大企業は4%の給与増加で適用対象とするのだが、企業としては積極的に賃上げに応じる状況にはないという。 好調な米国経済や円安の影響によって製造業を中心に企業業績は好調だが、利益の多くは海外の現地生産によるものであり、国内が富の源泉にはなっていないというのだ。企業としては儲けに関係ない地域の社員よりも、儲けが出ている地域の社員を優先することになるため、いくら業績が良くても国内社員に対する大幅な賃上げにはつながらないという。また賃上げが税制面で促進されたとしても経営者がそれによって賃上げを決断する可能性は低く、税金はあくまで賃金などコストを支払った後の利益に課税されるものであって企業にとって経費ではないというのだ。いくら減税されたとしても賃上げをしてしまえば減益になってしまうため、基本的に経営者は賃上げを望まないとされている。 また地方だけには公務員人件費を巡る情勢も厳しいものがあり,人事院による「給与制度の総合的見直し」に見られるように,政府が「総人件費抑制のために,給与体系の抜本改革に取り組む」ことを閣議決定し、人事院に具体案を取りまとめるよう要請したことに同調するなど、地域の公務員給与も一方的に引き下げようと企図されているのだ。政府・自民党の意向に応えようとするものとされているが、依然として厳しい財政状況にあることや地方交付税の減額、さらには新たな行政需要への対応など多額の財源不足が生じることから,給与独自減額や早期退職募集制度の導入や住居手当の廃止などを提案しているのだ。これら政府による公務員の給与を引き下げる方針もあって、企業だけが積極的に賃上げに応じる状況にないというのだ。
2015年01月14日
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近隣にガソリンスタンドがない「ガソリンスタンド過疎地」で住民の利便性を図るため、経済産業省はガソリンを運搬するタンクローリーから自動車に直接給油する方式の導入に向けた検討に入ったそうなのだ。昨年度に全国のガソリンスタンドの休廃業・解散数が258件と、一昨年度比で3割増えたと発表しているのだが、前年度実績を上回るのは2期連続で、昨年1月末までに老朽タンクの改修を義務付ける規制が追い打ちとなったとされている。経済産業省はガソリンスタンドが3カ所以下の市町村を「GS過疎地」と定めており、資源エネルギー庁がまとめた調査によると、地域内にガソリンスタンドが3カ所以下の自治体は全国265市町村となっており、今後も地方でガソリンスタンド過疎地が増える可能性が高いとされている。 低燃費車の普及などでガソリン需要の減少が続くなか、ガソリンスタンドの経営環境は厳しく、円安によるガソリン価格の高騰で収益が悪化しているほか、経営者の高齢化も課題となっているというのだ。私の住んでいる愛媛県には市町村合併が進んでいるせいで、ガソリンスタンドがない自治体はないことになってはいるが、それでもガソリンスタンドが近隣にない場合は、自動車のほか農業機械への給油に支障が生じているのだ。東北地方の小さな村では「給油所が撤退すれば冬の灯油の配達がなくなり、住民の命にも関わる」と強調されており、その寒村にある給油所は1店のみで、そこですら村役場が販売量1リットル当たり10円の補助を付けて営業を継続している状態だというのだ。 この店が撤退すれば一番近い給油所は30キロメートル以上先になることから、住民にとって存廃は文字通り死活問題となるという。給油所の経営環境が悪化したのは少子化や低燃費車の普及に伴うガソリン需要の減少を受け、各地で激しい値下げ競争が起きていることが最大の原因とされており、ガソリンはブランドごとの品質の差があまりなく消費者の関心は価格にほぼ集中するとされるそうなのだ。このため既存の系列店は競争に勝ち抜くために利益を削って小売価格を引き下げざるをえないといわれており、給油所経営者は「事業を続けるには1リットル当たり10円程度の利ざや(小売価格と卸価格の差)が必要だが、安値競争の激しい地域では2円程度まで低下している」と漏らしているそうなのだ。 石油商業組合の専務理事は「これ以上減れば生活に不便を感じるギリギリの水準」と説明しているのだが、系列の元売りで仕入れたガソリンしか販売できない商習慣があるためだ。公正取引委員会は系列店が独立系と比べ不利な競争環境に置かれているのを「適切とはいえない」とみており、公表するガソリン販売の実態調査で系列店も他系列の安価なガソリンを、販売できるよう是正を要求する見通しだという。これに対し元売り大手幹部は「自社の製品は品質を保証している。うちのブランドを掲げたまま、勝手に他社の製品を販売されては困る」と反発しているそうなのだ。給油所経営者も「今後は車検や洗車・レンタカーなど関連業種に手を広げられるだけの資本力がある給油所しか生き残れないだろう」と指摘している また地域住民や自治体・石油元売りなどが協力して給油所を維持する動きはあるが、抜本的な解決策につながってはいないようなのだ。そこで政府内では給油所が系列外の安価なガソリンを仕入れられるよう商習慣の見直しを求める動きも出始めているが、ガソリンは引火性が強いため灯油や軽油と異なりガソリンスタンド以外での給油が原則認められていない。消防庁は「保安上の課題が多い」と規制緩和に慎重なのだが、欧米では給油装置付きで認められており経済産業省はより安全な装置や仕組みを目指す考えだという。その方法として地域の石油販売業者などがタンクローリーを定期的に巡回させ、広い駐車場などを利用して住民の車に直接給油することなどを想定しているそうなのだ。
2015年01月13日
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百貨店の高島屋では1月2~3日は旗艦店の初売りがにぎわいを見せていたそうで、一部の雪による影響から全社の売上高は前年比1%減となったが、東京や大阪の旗艦店は好調な滑り出しとなったそうなのだ。高級ブランド品では紳士服の売り上げも伸びており、紳士服売り場で買い物をするのは大手企業に勤める40代以上の正社員が多く、「今年の賃上げや景気回復を期待して、彼らの財布の紐が緩んでいる」と専門家はみている。百貨店の好調は昨年1300万人を突破した訪日外国人にも支えられているそうで、各社とも東京の銀座や新宿・それに大阪など大都市圏の店舗で円安などを背景に多くの外国人旅行者が訪れ、外国人向けの販売は4社中3社で去年の実績の2倍以上となったそうなのだ。 従来から外国人に人気が高い高級ブランドの衣料品や化粧品の売れ行きがよかったほか、福袋をまとめ買いする客の姿も見られたということで、外国人の活発な消費が売り上げを下支えするかたちとなっているそうで、高島屋では訪日外国人向けの売上高は、1月2~3日で前年比2.7倍となったほか家電量販店も同様だというのだ。ビックカメラの都市部の大型店では「年始の開店前に並んだ人のうち約2割が外国人という店もあり、1年前の2倍に増えている」というようなのだ。もっとも好調な初売りに沸く百貨店や家電量販店は、消費全体の動向から見れば例外と考えた方がよさそうで、百貨店などは、大都市圏で外国人観光客や大企業正社員の「ハレ(非日常)」の需要を取り込んだという。 一方で「ケ(日常)」の消費に頼るスーパーやコンビニなどでは、初売りが好調だったとは決して言えないそうなのだ。総合スーパー各社は初売りに力を注いだが、昨年から続く消費低迷の流れに大きな変化は見られなかったというのだ。流通大手のイオンは1月1~4日の初売り期間の売上高は「落ち込みもせず伸びもせず」例年並みだとされ、セブン&アイ・ホールディングス傘下のイトーヨーカドーでも、正月三が日の販売額は例年並みだったというのだ。「ハレ(非日常)」と「ケ(日常)」に2極化する消費は福袋の売れ行きにも表れたそうで、イオンでは福袋の販売金額は例年並みだったが、実は販売個数の伸びが売り上げを支えており、ダイヤモンドの宝飾品などを入れた100万円の福袋もよく売れたというのだ。 その半面女性用肌着を5枚セットにした1000円の福袋など、低価格の福袋の販売個数が特に伸びているそうなのだ。円安や原材料高などで商品の値上げが広がり福袋については、目当ての商品やブランドに絞った「堅実消費」が目立つという。福袋はブランドの福袋などを目当てに朝から並ぶ人も多く完売した。初売りや福袋は好調だったがその後は天気が悪く客足が落ちセールが弱含みで推移したが、1月は12月ほどの勢いがなく年末にお金を使ったので節約しているようなのだ。さらに大雪や吹雪の日は客足が落ちることから、地域によってはかなり苦戦しているそうなのだ。私も今年の正月は買い物にさえ出かけなかったのだが、スーパーなどはトータルで前年並みを確保できれば良いといった状況のようなのだ。 正月の休日期間はホテル周辺の店舗では外国人客が増えているのは私が住んでいる松山市でもそのようなのだが、訪日外国人需要などが寄与した百貨店など一部の初売りの「好調」をもって、消費回復を期待するのは早計だということのようなのだ。むしろ現実の懐具合を左右する春闘の行方に不安感が漂っている。大和証券のチーフアナリストは「消費者心理は大きくは落ち込んではいないものの、円安や原材料高などの影響で加工食品などの値上げが相次いでおり、楽観できる状況にはない」とかたっており、「1月の成人式ぐらいまでは正月ムードは維持されそうだが、その後は春闘による賃上げがはっきりするまで財布のひもは固そうだ」という声が大きくなりつつあるようなのだ。
2015年01月12日
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昨年8月から国が基準額を引き下げて生活保護費を支給したのは、憲法25条で保障された生存権を脅かし違憲・違法だとして、和歌山市内に住む40~70代の受給者9人が実際に支給した和歌山市に対して支給引き下げの取り消しや、国に1人5万円の慰謝料を求める訴訟を和歌山地裁に起こしたというのだ。この訴訟の弁護団によると昨年8月の生活保護基準額引き下げのほか今年4月の引き下げについても取り消しを求めているそうで、提訴後の記者会見で弁護団は「生活保護費の引き下げは、「健康で文化的な最低限の生活を侵害する」と指摘しておりのだ。原告の男性は「クーラーだけでなく洗濯機や冷蔵庫も持っていない」と生活の苦しさを訴えている。 弁護団によると国が基準額を引き下げて生活保護費を支給したのは憲法25条で保障された生存権を脅かし違憲・違法だという提訴は、埼玉県や熊本県などでも起こっているそうで、和歌山県は10番目となっており今後全国各地で続く見通しという。それでも厚生労働省は生活保護費のうち家賃に充てる「住宅扶助」と、暖房費などの「冬季加算」の支給基準見直しに関する報告書案を社会保障審議会生活保護基準部会に示し、さらなる生活保護費の基準額の引き下げをしようとしているというのだ。減額幅などは来月中旬に決定し来年度から実施する方向で来年1月に報告書をまとめるというのだ。平成27年度から新しい支給基準を適用する方針だが具体的な引き下げ幅は財務省と今後詰めるという。 その中でも低所得世帯で実際に冬場に増加した光熱費の支出額よりも、支給している冬季加算が上回っているとして減額可能と判断したそうなのだ。冬季加算は47都道府県を気温や降雪量から6地区に分け単身世帯で11~3月に月2万4260~2380円支給しているのだが、冬季加算は地域や世帯人数で異なる計算となっている。総務省の過去5年の家計調査のデータを使って、2人以上の低所得世帯の冬場の光熱費を分析したところ、大部分の地区で冬季加算が支出増加額を上回り年額約6万円上回る地区もあるとしている。北海道などの寒冷地地域では低所得者世帯の冬の光熱費と比較し、冬季加算の方が2万円ほど高いとして減額を求める声があるというのだ。 また住宅扶助は地域と世帯人数ごとに定めた基準額を上限に家賃の実費を支給している家賃に充てる「住宅扶助」は、受給者を著しく狭い居室に囲い込む貧困ビジネス対策として床面積に応じた支給額を導入し事業撤退を促すそうなのだ、この「住宅扶助」の上限額は最も高い東京都23区や横浜市の単身者で月5万3700円となっており、報告書案は狭い物件にもかかわらず扶助額に合わせて不当に高い家賃を設定する悪質業者がいることから、床面積によって金額に差をつけるとしたそうなのだ。住宅扶助は地域や世帯ごとに基準額が決まっていることから、住宅日野高い東京都や横浜市などは基準額が最も高く、単身世帯は月5万3700円となっており、低所得者世帯の家賃よりも高いとされているのだ。 厚生労働省がまとめた今回の報告書案では、受給者への配慮についても「留意事項」として列挙しており、住宅扶助の支給基準が減額された場合生活保護受給者の暮らしに支障が生じかねないとして減額幅に上限を設けることや冬季加算の引き下げについても、けがや障害を持つ受給者については在宅生活で暖房費がかさむとして配慮を求めている。また一定期間は適用を猶予するなど激変緩和措置も明記しているという。私も生活補助の審査の方をもっと厳格に行うべきだとは持っているが、傷害の有る者や病身や親の介護で仕事に就けない者には手厚くしても良いと思っているのだ。年齢的にも働き盛りなのに仕事の意欲が全く無い者については、働き方を考えさすことも必要だとは思っているのだ。
2015年01月11日
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国土交通省は調査・設計業務の総合評価落札方式の入札で、技術提案を無くして技術者の業務成績を重視する方式を試行する方針なのだが、これは「調査・設計等分野における品質確保に関する懇談会」で明らかにしたそうなのだ。国土交通省は調査や設計などの建設コンサルタント業務の入札で、評価テーマに関する技術提案を廃止した総合評価落札方式を、来年度から本格導入する方針だという。受発注者双方にとって大きな負担となっている技術提案書の作成や審査の労力を軽減するのが狙いなのだが、代わりに管理技術者の過去の業務成績評定などの配点割合を高めるというのだ。評価が実績にかたよると新規参入を厳しくすることになってしまうという指摘もされている。 国土交通省が開催した「調査・設計等分野における品質確保に関する懇談会」の今年度第1回会合で提示していたそうなのだが、国土交通省では今年6月から一部の工種を対象に、技術提案を省いた総合評価を試行しているというのだ。その結果特に大きな問題は生じていないことから、本格実施に踏み切ることにしたそうなのだ。私も技術提案なんて双方のエネルギーを無駄に使うだけと思っているのでこの方針転換は大歓迎なのだが、技術提案などで技術力なんか量れないし誰も望んでいなかったと思っているのだ。国土交通省の地方整備局などが発注した調査・設計業務で、総合評価落札方式が約2割を占めているそうなのだが、その割合は10年前と比べると約8倍に増えているそうなのだ。 国土交通省が発表した資料では、北海道開発局と8地方整備局が発注した土木コンサルタントに測量・地質調査・建築設計・補償業務・発注者支援の6業務を対象として、調査・設計業務の低入札対策を強化することも決めたようなのだ。最近開催された「調査・設計等分野における品質確保に関する懇談会」で新たな対策案を提示したそうなのだが、国土交通省が提示した新たな対策案では低入札調査を厳しくし、結果を総合評価落札方式の技術評価点に反映するというのだ。ここでも技術提案を全面的に廃止するのか、従来方式も併用するのかなど運用方法の詳細はこれから詰めるというのだが、来年春に開く予定の次回会合で試行結果の分析を報告したうえで正式に方針を決定する考えのようなのだ。 正式に方針を決定すると来年度の早い時期に本格実施することを目指すというのだが、国土交通省によるとコンサルタント業務の成績は、担当した管理技術者の過去の成績と強い相関関係があるという。一方で入札時の技術提案の点数と業務が終わった後の成績との間には、相関関係が認められなかったそうなのだ。そこで技術提案を廃止しても業務の品質には影響ないと判断したというのだ。ただしA4判1枚にまとめる「実施方針」は残す方針だという。過去の成績の配点割合が高まることから、実績の多い一部の会社ばかりが入札に有利になるとの懸念がされているが、これまでの試行では特定の会社に落札が偏る傾向は生じていないことから問題はないとしている。 市場を公正にひらいたものとするためには新規参入をしやすくする工夫が必要で、評価が実績にかたよるどうしても実績の乏しい新規参入者の参入を厳しくすることになるのだ。設計業務も公共事業の減少により少なくなっていくとされており、大手には合理的にとらせる量を確保するための方策のように受け止めてしまうのだ。こういう施策をするのならば一方で実績はなくとも技術や提案を評価する枠を一定数作ってもらいたいものなのだ。そうしないと大手コンサル以外が実績を作るのは、業務を受注した大手との付き合いがあるところに永遠に限られ、実質上は闇下請けでの設計となってしまう恐れが強いうのだ。そこで公共事業の経済効果が広く行き渡る工夫を求めたいものなのだ。
2015年01月10日
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経団連の榊原定征会長は都内で開かれた連合の賀詞交歓会に歴代の経団連会長として初めて出席し、なんと「賃金の引き上げに向けて最大限の努力をしていきたい」とあいさつしたそうなのだが、経済界がどれだけいくら政府のご意向とはいえ賃上げに「本気度」を示せるかが注目されるのだ。麻生太郎財務相も同じ日に行われた信託協会の新年賀詞交歓会で行ったあいさつで、企業の内部留保蓄積が328兆円にまで膨らんでいることを指摘し、「まだカネをためたいなんて、ただの守銭奴にすぎない」と批判したことがTVのニュースで明らかになった。 麻生財務相はこれまでも黒字企業が積極的に設備投資や賃上げをしていないこと批判してきたそうなのだが、この「守銭奴発言」は放言・暴言だといわれているのだ。 守銭奴はカネに執着する人を指す差別用語とされており、「守銭奴」発言は企業に内部留保を賃上げや設備投資に回すよう求める中で出たものだと釈明したそうなのだ。麻生財務相は「ある程度カネを持ったら、そのカネを使って何をするかを考えるのが当たり前。今の企業は間違いなくおかしい」とか、「内部留保は昨年9月までの1年で304兆円から328兆円に増えた。毎月2兆円ずつたまった計算だ」と語ったというのだが、この発言について麻生財務相は記者会見で、「内部留保積み上げはデフレ不況と戦う中で好ましいとは思わない。利益が出れば賃上げ、配当、設備投資に回すことが望ましいということを説明する趣旨で申し上げた」と述べたそうだが、経団連の榊原定征会長は恐らく内心は頭に来ているだろう。 日本企業が空前の内部留保を蓄積しているのは事実で、麻生財務相の言いたいことは特に労働者の立場からすれば、「もっと言ってくれ」と言いたいところなのだが、経営者の使命は少しでも利益を追求して最大限の儲けを実現することにあって、つまり「当たり前のことをしているのに何故非難される必要があるのか」ということになるのだ。過去における企業の内部留保はどのように推移しているのかというと、9月末時点における日本企業の内部留保は324兆円に達しており、20年前の1994年には140兆円程度しかなくこのデフレ下で内部留保を2倍に膨れあがらせていたことになるというのだ。ただし内部留保はあくまで決算書上の数値に過ぎずこれが収益資産などに変わっていれば何の問題もないのだ。 ところが日本企業の内部留保のうちじつに半分が現預金となっているそうで、つまり日本企業は160兆円もの現金を何もしないままただ銀行に預けているということになるのだ。日本国内に目立った投資先がなければ新しい事業を創造するか、海外へ投資するというのが一般的なセオリーだとされている。ところが日本の会社は従業員や経営者のものという意識が強く、株主が経営に関与することは批判を浴びることもあるのだ。このため日本の投資家の多くは経営に対して口を挟まないし、経営者も従業員からの昇格が多く株主から経営を委託されたという感覚は乏しいとされている。日本企業の経営者はリスクを取って思い切ったことをせず、経営者としての任期をまっとうしたいがため結果として現金の貯め込みが続くことになるというのだ。 しかも変化がないことは現状の立場を維持したい多くの従業員にとって、悪い話ではないことからこれを改革しようというインセンティブも生じないというのだ。本来の「構造改革」とはこうした状況を打開することを意味していたとされるのだが、現在の日本では過度な競争を強いる政策というニュアンスにすり替わっているというのだ。こうした社会の風潮が大きく変わる兆候は今のところないため、大企業を中心に現金の蓄積がさらに進む可能性が高いとされている。こうなると安倍政権が推し進めている法人税率の引き下げはおかしくなってしまい、日本の大企業はお金の使い方を知らない守銭奴なら、その守銭奴にもっとお金を貯めるようにさせるのが法人税率の引き下げとなってしまうからなのだ。
2015年01月09日
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本好きが私の本を手に入れる方法としては地元や通勤地の書店(古本屋めぐりもよくするのだが)で買う方法と、市営の図書館だけでなく私の住んでいる松山市内の地元大学の図書館で借りる方法を行っているのだが、嫁さんはもっぱらアマゾンなどのネット書店で必要な本を買っているようなのだ。リアル書店には新刊を中心に取り扱う書店と、古本を中心に扱う書店とがあるのだが、東京は全国でもっとも書店の多い地域だとされ、全国の都道府県にある書店数は1万5000軒弱の1割となる1500軒弱の書店が東京にあるそうなのだ。これは「ブックストア全ガイド」を発行する東京都内の出版社の調査で分かったそうなのだが、集計を始めた15年前の2万1654店に比べると実に約3分の2なっているそうなのだ。 特に昨年は298店減と1日1店近くが姿を消している計算になるそうで、新刊本を扱う書店が地元にない自治体数が全国で4市を含む332市町村に上り、全体の5分の1に上ることが書店情報を集計している出版社の調査で分かったというのだ。利用者が減っていることに加え本を扱うコンビニエンス店の拡大やネット通販なども影響しているとみられているが、担当者は「小規模店の売り上げの多くを占める雑誌が売れなくなったことも大きい」というのだ。しかも東京への一極集中や人口の急減によって将来的に生活基盤が失われる恐れがある「消滅可能性都市」と、新刊本を扱う書店が地元にない自治体は一致することが多いというのだ。一方で「地方の活字文化の拠点を残そう」と書店を復活させる動きも出ている。 店舗数は減り続けているものの全国書店の総売り場面積は465万平方メートルで、1店平均では363平方メートルと増加傾向を示していることから、大規模店が増えている状況も裏付けられたそうなのだ。作家で「文字・活字文化推進機構」副会長の阿刀田高氏は「町の本屋が減れば子どもたちが紙の書物に触れる機会が減り、今後さらに活字離れに拍車がかかるだろう。本屋は地元の活字文化を支える存在であり、消滅は地方文化の衰退につながる」と指摘しているそうなのだ。出版業界にくわしいフリーランス記者の長岡義幸氏によると、インターネットやスマートフォンに余暇時間を奪われ、1997年に1兆5644億円だった推定販売額は、昨年は8972億円と半分に減少しているというのだ。 大規模チェーン書店の出店で、小規模書店の淘汰が進んでいる格好なのだが、書店の売り場面積を増やす代わりにある書店を閉店するのが当然となっていることや、店員の多くをアルバイトでまかなうことから売る商品が本であるにもかかわらず「本をよく知る店員」が不在となっていることや、出版社の「取次」の言いなりになって売れ筋の商品しか売ろうとしない姿勢などなど書店自身にも問題も指摘されている。戦後から続く「出版社」から「取次」と渡って最後に「書店」という、これまでの本の流通体制は多くの矛盾を抱えているといわれ続けているそうで、その末端で薄利多売を求められる書店の数が減少の一途をたどる状況を変えることなど、本の流通革命でも起こらない限りありえない話だというのだ。 この調査では全国の自治体の17%にあたる317市町村が「書店ゼロ」になっているのだが、私の住んでいる愛媛県での二つの自治体が、新刊本を扱う書店が地元にない自治体となっているそうなのだ。どちらの自治体も有識者でつくる「日本創成会議」が「消滅可能性都市」と指摘した自治体で、書店のない332自治体の7割強が「この消滅可能性都市」だったそうなのだ。専門家は「町の書店の減少と店舗の大規模化がこのまま進めば、無医村ならぬ無書店村が増え続けるだろう」と危惧しているのだが、住民が主体的に書店の誘致に乗りだし役所がそれを応援して書店もその声に応えるというのは、雑誌が売り上げの半分を占めることもある小規模書店の経営を圧迫している現実では、ほぼ奇跡に近いものだといわれているのだ。
2015年01月08日
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昭和29年に太平洋マーシャル諸島ビキニ環礁で行われた米国の水爆実験を巡り、被ばくした「第五福竜丸」以外の船員への影響について、実験から60年余間も放射線の影響を疑われながら、自民党政権が「第五福竜丸以外に顕著な影響はなかった」として事実上放置していたのを、ようやく追跡調査に乗り出すというのだ。ビキニ環礁の水爆実験は米国が1954年3月1日〜5月14日に太平洋マーシャル諸島ビキニ環礁で行った6回の核実験で、日本船は広範囲で被災し漁獲物を廃棄するなどした事件なのだ。初回の実験時に東方約160キロの危険区域外にいた第五福竜丸が放射性降下物である「死の灰」を浴びて被ばくし、乗組員23人のうち無線長の久保山愛吉さんが半年後に死亡しているのだ。 厚生労働省は「当該海域に2回以上被災した船も含め延べ1000隻、実数550隻程度の漁船がいたと言われる」としており、1隻当たり約20人として実数で約1万人が影響を受けたとみられる、「広島・長崎に続く「第3の被ばく」として原水爆の禁止を求める署名運動が起こり、全国で3200万人が署名したというのだ。原爆等の放射能被害は55年8月に広島で「原水爆禁止世界大会」の第1回の世界大会が開かれ、翌年には長崎県で第2回の「原水爆禁止世界大会」の世界大会が開かれ、反核運動の原点となって「原爆医療法」の成立にもつながっているのだ。「原爆医療法」はその後支援範囲を広げて「被爆者援護法」となったのだが、第五福竜丸を含めてビキニ水爆実験の被災者はいまだその対象とはなっていないそうなのだ。 第五福竜丸が水揚げしたマグロからも放射線が検出されて大騒ぎになり、政府は実験のあった周辺海域から戻る船の帰港地を、東京・宮城・塩釜、神奈川・三崎・静岡・焼津・清水に指定したのだが、帰港した他の多くの船や魚からも放射線が検出されたというのだ。指定された港以外でも大阪や高知で自治体が放射線検査を行い全国で約500トンの魚が廃棄されたというのだ。ただし当時の検査は不特定多数が食べる魚が中心だったとされ、船員は検査を受けなかったと証言する人も多く被災の全体像はよく分かっていないのが実情なのだ。魚を廃棄した被災船の数も米国からの慰謝料の配分先では992隻とされる一方で、旧文部省の研究報告では856隻とされるなど確定していないのだ。 その被害を受けたとされる中の一隻である「第二幸成丸」は、初回の水爆実験が行われた54年3月1日には日本と危険区域の中間付近を航行し、3月27日と4月7日と続いた実験時には近くの海域にいたとされている。漁を終え帰国したのは4月15日で、「第五福竜丸」の被ばくは既に大きく報じられており、幸成丸も魚を廃棄処分したが乗組員は船上で釣った魚の一部を食べていたとされている。当時24人と報じられた第二幸成丸の乗組員のうち今も生きているのは3人だけというのだが、「第二幸成丸」に乗っていた室戸市の久保尚さんは、被爆60年もたって国が調査を立ち上げることに関して「当時は魚ばかり検査して人はあまり検査されなかった。何で今ごろになって」と憤っている。 やはり「第二幸成丸」の乗組員だった高知市の桑野浩さんは「自分たちは当時若くて被ばくというものが頭になかった。本来ならビキニの海域に行った漁師は福竜丸のように1年くらい強制入院させないといけないはずだった」と悔しそうに語っていたそうなのだ。国も「放射線医学総合研究所」を設立させ、「第五福竜丸」の元乗組員の健康診断を続けているというのだが、被災実態を長年調べてきた高知県の市民団体「太平洋核被災支援センター」事務局長で宿毛市の元高校教師の山下正寿さんは、「船員保険の記録をさかのぼれば追跡調査すべき対象者はすぐ分かるはず」と早期の健康調査実施を訴え、「生存者を探して聞き取り調査し、症状があればケアしてほしい」と国の調査に疑問を投げかけていた。
2015年01月07日
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安倍首相が強いこだわりをみせる賃上げは、企業収益の改善を消費や投資の拡大につなげる「経済の好循環」の実現には不可欠なのだが、そこで政府と労使の代表者による政労使会議が経済界に賃上げを要請する異例の合意文書を2年連続で決定したそうなのだ。「いくらベースアップがあったといっても、増税と物価上昇で実質賃金が目減りしている」との批判をかわすため、安倍政権は様々な手を使って賃上げの動きを中小企業などにも広げることを目指しているようなのだ。ただ円安に伴う原材料高が中小企業の経営を圧迫しており、給与アップにつながるかは見通せてはいないという。それに大企業との格差拡大を懸念する声もあり、賃上げの裾野が広がるかは未知数のままなのだ。 賃上げということでは中小企業の従業員への賃上げ波及の動きは鈍く、今回の政府と労使の代表者による政労使会議での合意文書では、中小企業にいかに賃上げを促すかが焦点となっているのだ。また日本銀行の黒田東彦総裁も東京都内で開かれた経団連審議員会で講演では、「日本経済はデフレ下の縮小均衡から、物価上昇のもとでの拡大均衡へ移行する真っただ中にある」と述べたうえで、進化論を唱えたダーウィンの「生き残るのは強い生き物ではなく、変化に対応した生き物だ」という言葉を引き合いに出し、企業が収益を使って設備投資や労働者への配分増加などを行い変化に対応していくことは、日本経済だけでなく企業自身にとってもメリットがあると訴えたという。 黒田総裁は企業の規模や業種、家計の所得などによってメリットを受ける程度にばらつきが出ることは避けがたいとした上で、10月末に決定した追加緩和については「原油価格の下落そのものに対応したのではない。物価の伸び悩みがデフレからの転換を遅らせるリスクがあったため、物価上昇率2%の早期実現の決意に揺るぎがないことを行動で示した」と説明した。大規模な金融緩和の効果で経済のパイが拡大しているものの、「メリットがグローバルに展開する企業や金融資産を保有している人に偏在していることは否定できない」と指摘し、経済の好循環を実現するためには「高い収益をあげている企業が積極的に収益を使っていくことが求められる」と何を行うかが来年の課題だと指摘した。 安倍晋三首相は政労使会議で「円安のメリットを受けた高収益の企業は、下請け企業に支払う価格についても配慮を求めたい」と中小企業への支援を訴えたという。しかし安倍首相の異例の要請に対しても、中小企業の間で高揚感は乏しく、合意文書に署名した全国中小企業団体中央会会長は「安倍首相発言を歓迎したいが、大手企業が実際に配慮してくれるかは別問題」と話しており、「大企業からの値下げ要求で納入価格はここ10年で3割下がっている。中小企業が継続的に賃上げするのは困難だ」と打ち明けていたそうなのだ。連合の古賀伸明会長は「賃金決定はあくまで個別労使が基本だ」として、政府が深く関与する「官製春闘」と言われることを警戒しているそうなのだ。 もっとも労働界には今年の政労使会議で議論になった年功序列の賃金体系の見直しに対する反発が根強く、政労使会議での合意文書では「仕事・役割・貢献度を重視することや子育て世代への配分を高める方向へ見直すことが一案」と盛り込まれたが、労働者の代表は「基本は労使で話して決めること」と強調していたという。この背景には人数の多い中高年層の組合員の反発を招きかねないことに加え、労働時間規制緩和も含め長年続いた雇用慣行の急速な見直しに対する警戒感があるというのだ。もともと今年の政労使会議では、政府が掲げる女性の活躍促進や人口減少対策に向けて制度見直しが避けられないとの判断もあったとされているのだが、雇用改革の議論は結局前進しなかったというのだ。
2015年01月06日
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政府と与党は結婚や出産だけでなく育児の費用を親や祖父母から提供してもらう際に贈与税が非課税になる新制度について、資金を使い切る前に親や祖父母が死亡すれば残額を相続税の課税対象とする方針を固めたという。新制度で非課税となるのは子や孫1人につき1000万円までとし、20~49歳の子や孫にお金をまとめて提供した場合が対象となるという。50歳になる前にお金を贈った親や祖父母が死亡すれば、残額をほかの財産とともに遺産とみなして相続税の課税対象となるし、お金を贈った親や祖父母が死亡しなくても、子や孫が50歳になった時点で提供されたお金を使い切っていなければ、残額に贈与税を課す。相続税は2015年1月に増税される予定だという。 私が親父の遺産を受けついだのはバブル時代だったのだが、その頃は相続税対策として不動産投資が流行していたのだ。そこで未亡人となったお袋が住屋の敷地を相続し私が建物を相続したのだ。賃貸物件を建てれば相続財産の評価額が減り節税につながるという思惑もあったのだが、空き室や入居者トラブルなどリスクも伴い税金を払ったほうがよかったといった人もいたそうなのだ。現在は最も確実で効果的な方法というのが「生前に家族に預貯金などの贈与を行い、相続税のかかる財産を減らすこと」だそうなのだ。贈与税は相続税よりも税率が高いのだが年間の贈与額110万円までは非課税となり、20年かけて子ども3人に限度額いっぱいまで毎年贈与していくと6600万円の財産を無税で移転することができるのだ。 「名義預金」は相続税の課税対象になる可能性が高いことということなのだが、遺品から家族名義の通帳が出てきたといったケースでは贈与が認められないこともあるというのだ。その対策として「贈与契約書を作る」・「相続人が通帳を管理する」・「贈与税を申告する」など、贈与の事実をはっきりさせておくことが大切だそうなのだ。また相続開始前3年以内の贈与も課税対象となるそうなのだ。相続税は亡くなった人が持っていた土地や建物にお金などの資産を遺産としてもらった人が支払う税金で、平成25年度の税制改正で増税が決まっている。遺産からある程度の基礎控除などを差し引いた上で、税率をかけて総額をはじき出すのだが今まではこの基礎控除が大きすぎるとされていたのだ。 今回の相続税の改正では遺産の一定金額まで税金がかからない基礎控除が縮小されることで、課税対象となる世帯は現在の1・5倍に増える見通しだとされている。今年亡くなった人全体に占める相続税の課税対象件数は4・2%だったが、来年は約6%に増える見込みだという。また相続を受ける人のうち税負担が生じる人の数も全国で約1・5倍の20万人弱に拡大する見通しだという。そこで相続税の節税ということになるのだが、昨年4月に始まり来年末までの時限措置なのだが、教育資金に関する贈与税の非課税制度が有効だというのだ。祖父母から孫や親から子といった直系の家族に教育資金を贈る場合、受け取る側1人につき最大1500万円が非課税になる制度なのだ。 贈る側は金融機関に受取人名義の口座を作って入金すると、受け取った側は教育費の領収書を金融機関にその都度提出してお金を引き出すというのだ。使い道は教育費に限られますが500万円を上限に塾や習い事といった学校以外への支払いにも使えるという。それと生命保険を活用する方法も有効だそうで、死亡保険金は「みなし相続財産」とされ相続税が課税されるのだが、ただし法定相続人1人につき500万円の非課税枠が設定されているのだ。例えば法定相続人が妻と子2人なら計1500万円まで税金がかからないことから、契約時に一括して保険料を支払う「一時払い終身保険」などを利用し、受取人を指定できるので遺言書代わりになることもあって、預金から保険に乗り換える人が増えているという。
2015年01月05日
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大昔の日本はおおよそ東に狩猟採集の文化が発達し、西に水稲耕作の文化が興隆したとみると分かりやすいとされているのだが、これは当初の稲の品種が東日本に適していなかったからともいわれている。日本最古の建築遺構は「法隆寺西院伽藍」だとされており、現在に伝わる寺院の形式としては法隆寺が最も古いもののひとつなのだ。仏教は公伝では6世紀半ば頃に大陸から伝来してきた宗教で、「日本書紀」によればまずは蘇我氏が小墾田の家に仏像を安置し向原の家を寺としたとされている。最初は邸宅の改造や草堂のようなものでしたが、仏教に反対する物部氏との合戦に勝利した蘇我馬子が、飛鳥真神原で法興寺の経営を開始したことで最初の本格的伽藍が誕生したというのだ。 少し遅れて聖徳太子が大阪の四天王寺と奈良の法隆寺を創建したといわれており、この頃の寺院の多くは一族の繁栄を祈る氏寺だったそうなのだ。飛鳥に都が置かれた飛鳥時代のこととされているが、けれども神社建築にはもっと古い形式を伝えるものがある。神社建築は昔の形式や伝統を墨守しようとする性格が強く、時代が下った新しい建物にも古式が残っているとされている。「尊さに皆おしあひぬ御遷宮」の句は松尾芭蕉が伊勢神宮式年遷宮に臨んで詠んだ句とされており、その性格をより強めているのが「式年遷宮」だというのだ。神社建築もやはり時代によって状況は異なりますが、「式年遷宮」はおおよそ元の状態と同じように神社建築を建て替える行事です。 なかでも伊勢神宮の「式年遷宮」が有名で、記憶に新しい昨年の遷宮は62回目とされているそうなのだ。島根の出雲大社も昨年に遷宮を伴う修理が行われたのだが、伊勢神宮の正殿と出雲大社本殿そして大阪の住吉大社本殿は、簡素な切妻造で庇が付かず最も古い本殿形式だと考えられている。我が国の歴史を伝える「日本書紀」や「古事記」には、この伊勢や出雲をはじめとした数々の神社の創立の説話が記されているのだ。伊勢や出雲に限らず全国にある古い神社は次第に国家によって統制されていったそうで、三代格式のうちほぼ完全な形で残っている「延喜式」によると、当時官社に列せられた神社は3861カ所もあって、地域で最も格の高い神社が「一宮」と称されるようにもなったという。 今日の神社建築は一般に本殿・幣殿・拝殿が中心とされており、神社を訪れると本殿の手前に礼拝用の建物である拝殿が建っており賽銭箱が置いてあるのだ。神社建築を鑑賞するには拝殿は参拝者が祈祷などを受ける場所になっていることが多く、拝殿の奥に御神体を収める本殿があるのだ。本殿は拝殿の奥にあってみえにくいため、一般の参拝者は拝殿を神社建築の中心的建物と考えがちであるが、本殿は流造や春日造が一般的とされており、小型の本殿では風雨から守るために覆屋をかける場合もあるとされている。拝殿と本殿をつなぐ部分に幣殿が造られることも多くこれらを一続きに建てる場合も多いのだ。建物の横に回ると拝殿の奥に幣殿や本殿を確認することができるというのだ。 中央ばかりではなく東北の奥羽地方には、奥州藤原氏と呼ばれる有力な豪族の支配地があって、その本拠が世界遺産にもなった平泉なのだ。平泉は仏都として華やかに造営され、浄土教建築が中尊寺金色堂だとされている。「五月雨の降残してや光堂」は旅する俳聖松尾芭蕉が日本中を巡り、各所で数々の名句を残している。古代以来日本では中国から輸入した建築様式を徐々に日本的なものにつくり変え和様の文化を築いてきたとされている。そのようななかで禅宗様の導入は状況を一転し、和様とは別系統の建築を誕生させたそうなのだ。この二系統が並走する意識はその後何百年も続くことになり、ときには芭蕉の目の前に、今も残る名建築があってその感性を引き出したというのだ。
2015年01月04日
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正月のTVと言ったら箱根駅伝と決めていたのだが、今年は私の応援している山梨学院大学はエースのオムワンバ選手が怪我でエントリー変えになったことから興味を失っていたため、昭和四十年代の前半に大ヒットし八百万人と言う膨大な数の観客が見た映画の「黒部の太陽」を見ることにしたのだ。私は一応土木の技術屋なのでこの映画には興味があって、少し前に内子の旧映画館の復活祭で見たいたのだが、フィルムが古く当時で言う総天然色と言いながら、白黒映画とあまり変わらないほど色あせや音も聞き取りにくいものだったので期待はずれだったのだ。それでも作品の持つ迫力は十分に味わうことが出来ましたのだが、今回はリマスター版なのか画像も鮮明だったので最後まで楽しんだのだ。 「黒部の太陽」は主演の石原裕次郎が生前「大型スクリーンでしか見せないでほしい」と言ったと言われる最も大切にしていた映画なそうで、大スクリーンで見てほしいという裕次郎の意思を受けてノーカット版の上映はされていたが、これまでDVDなども発売されていなかったということだったのだ。「黒部川第四発電所(通称くろよん)」建設において資材輸送の要となった、長野県大町市から富山県中新川郡立山町の関電大町トンネルの工事で、昭和32年5月に大町トンネル施工中に岩盤の中で岩が細かく割れ、地下水を大量に溜め込んだ軟弱な地層である破砕帯に遭遇し、この破砕帯を突破するまでに約7ヶ月もの月日がかかったことをもとにした木本 正次氏の小説を映画化したとされている。 この映画のヒットの要因は関西電力の黒部第四発電所の建設の中で、最大の難工事と言われた大町ルートのトンネル掘削で七ヶ月の艱難辛苦の末、漸く突破出来た「破砕帯」との戦いを中心に据えて映画を作る事に成功したことだとされているのだが、あまりの難工事ゆえ映画等にすることは不可能とも言われていたものを、後述するような尋常ならざる苦労と撮影事故をも乗り越え映像にすることが出来たというのだ。映画ではトンネル工事の様子を日本でトンネル工事の第一人者をもって任ずる熊谷組の豊川機械工場で、本物そっくりのトンネルセットを組み立て巨大なセットを造って撮影しているそうで、これを始めとしてこの映画への熊谷組など各社の協力は大変なものがあったそうなのだ。 当時のダム建設の困難さや状況を推し量るにはまたとない資料であることは間違いなく、映像も貴重な当時のものが使われているようだしそれはそれとして価値があるのだ。そのような興味を決して裏切るものではない映画なのだが、黒部ダムの建設には当時400億円かかったとされており、映画制作に要した費用も三億円台と記されているのだ。それでも各社の人的・物的など諸々の貢献・協力は並大抵のものではなく、金額に換算すれば十数億円に達したろうと言われている。主演の石原裕次郎は黒部第四発電所の建設工事の中で、大町トンネルの第三工区を請け負う熊谷組下請けの現場責任者として登場し、三船敏郎は建設事務所の次長の辞令を受け全五工区の内の第一から第三まで受け持つ役なのだ。 熊谷組の豊川機械工場で行われた撮影の中で、破砕帯の大出水の場面では用意された水槽の水量が大きく、想定より遅れて水の山が崩れたため巨大な濁流がトンネルセットの中で発生し、諸々の機材・丸太等と俳優・スタッフを押し流したそうなのだ。二~三人死んだかもしれないと監督が思ったと言う撮影事故が起きたのだが、その時は俳優全員が演技でなく実際逃げ出したと語られており、このため不幸中の幸いか大変迫力ある映像が撮られたというのだ。この凄まじいシーンで上映された画面でもその事が良く分かったのだが、ノウハウや技術が進んだ昨今ならCG等が使われるところだろう。今後日本ではこれに匹敵するようなダムが建設されたり、この映画に匹敵するような映画が製作されたりすることないとも言われているのだ。
2015年01月03日
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私もそうなのだがウイスキーファンは常に情報を求めているそうで、ウイスキー国内市場は日本のウイスキー市場をみると、1980年代の前半までは右肩上がりで伸びていたが、1983年をピークに縮小が続きハイボールブーム以降も全盛期にはほど遠いそうなのだ。ウイスキー国内大手2社では話題作の続く朝ドラで取り上げられることを拡販につなげようとする機運が高いといわれている。ウイスキーといえば今上天皇のご学友によると「陛下も、お酒をたしなまれるようになったのは、美智子さまとの結婚以降です。今は一通りのお酒は召し上がります」とのことだった。どんなお酒をお好みになるのかというと「妃殿下が『カティサーク』の一番安ランクのものを召し上がられておられる」というのだ。 ウイスキーは1853年6月23日にアメリカ合衆国東インド艦隊によって、最初に沖縄に伝えられたとされている。ペリー提督が琉球王国の高官である尚宏勲という人物を旗艦サスケハナ号の晩餐会に招待し、スコットランド産とアメリカ産のウイスキーを饗したと「ペルリ提督日本遠征記」に記されているのだ。武士もウイスキーを飲んだそうで。「ペルリ提督日本遠征記」にはその2週間後に浦賀沖に停泊した際、浦賀奉行所の与力であった香山栄左衛門に歓待のためにウイスキーを出したとある。18世紀初めにイングランドがスコットランドを併合すると、財源確保のためスコットランドに対し高額の酒税を課した。そこでスコットランドの農民は脱税のため、身近にあったシェリー酒の空樽に密造酒を詰めて山奥に隠したそうなのだ。 しばらくして農民たちが樽をあけると元々は透明だった密造酒が琥珀色に変わっており、味も香りも格段に良くなっていたので、現在ではシェリー樽などで熟成させた琥珀色のウイスキーが一般的になったといわれているのだ。もともと日本ではウイスキーは「ヰ」の正確な発音は「ウィ」に近いこともあって、「ウヰスキー」と書かれることが多かったというのだ。NHKドラマ「マッサン」の主人公でニッカウヰスキー創業者の竹鶴政孝氏は、ウイスキーの命は水だということで「ヰ」ではなく井戸の井を使おうと考え1952年に社名を当時の「大日本果汁」から「ニッカウ井スキー」で登記申請した。だが当時は漢字とカナを混ぜて登録できなかったため、やむなくカタカナの「ヰ」を使い「ニッカウヰスキー」となったといわれる。 NHKドラマ「マッサン」の主人公のモデルとなった竹鶴政孝氏は、まず当時の寿屋に勤め後に独立している。「飲みやすさを求めた鳥井と本場の味にこだわった竹鶴の路線対立があった。ドラマでもその相克が見せ場になるだろう」というから、今後の創業者対決の盛り上がりがさらにウイスキーブームの後押しとなりそうだ。北海道余市郡余市町に「大日本果汁株式会社」を設立し、1943年にNHKの朝の連続ドラマ小説「マッサン」のモデルになっている竹鶴政孝が社長に就任している。1952年にはニッカウヰスキーに商号変更したというのだが、NHKドラマ「マッサン」効果で国産ウイスキー販売が前年同期比18%増と好調なことから、この伸びを一過性のブームにしないための策を発表したそうだ。 それによるとニッカの復刻版ウイスキーを発売するとともに、業務用ハイボールサーバーを投入するそうなのだが、復刻版ウイスキーは竹鶴政孝氏が作った昭和31年発売の「初号ブラックニッカ」を店頭想定価格1700円で発売するというのだ。続いて39年発売の「初号ハイニッカ」を2月に1400円で発売するそうなのだ。これらは竹鶴氏が「日本の洋酒界を代表するブランドにしたい」と送りだした製品で、自ら考案した「ニッカエンブレム」を大きくレイアウトしているというのだ。ただしウイスキーは発酵・蒸留したあと貯蔵に長い期間が必要で、「竹鶴17年」なら製品になるまでに17年以上待たなくてはならないというのだ。「ドラマの影響でウイスキーブームが起きている。じゃあ、どんどん売ろうよ」とはならないそうなのだ。
2015年01月02日
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新年になると多くの人が神社やお寺へ初詣に出かけるのだが、私のうちでは昨年に嫁のお母さんが亡くなった関係で今年は初詣をしないのだ。なぜ初詣をするのかというとなのだが、初詣の意味について解説書を読んでみると、初詣とは年が改まり初めて社寺に参詣する習俗のことだというのだ。そのような習俗に込められた人々の気持ちあるいは意図・目的・理由などを尋ねてみると、昨年が良い年であった人は「今年も相変わらず良い年でありますように」と願い、昨年が悪い年であった人は「今年こそは良い年でありますように」と祈願いたします。人によってそれぞれ異なっているのが現実だというのだ。ただ誰でも共通している初詣の願いがあってそれが「新年が良い年でありますように」との願いだというのだ。 元日の朝に届く年賀状には「新年おめでとう」と書いてあり、互いに交わす挨拶も同じで実際は平成26年に年が一つプラスされて平成27年となるのだが、「平成27年おめでとう」ということは少なく「新年おめでとう」と言うのだ。このことは初詣の意味を考える上でとても重要となっているそうで、また「元日」という語にも同じ意味があるというのだ。元日とは生きとし生けるものやありとしあらゆるものが新生する時であるとされており、なかでも「年」・「月」・「日」の三つのはじめであることから、元日を「元三(がんざん)」とも言っていたというのだ。だから初詣は心身を清め晴れ着を着て改まった気持ちで出かけるものとされており、初詣のしきたりには慎重でなければならないということになるというのだ。 このような例証で良く知られているのは元日の朝を「元旦(がんたん)」とよび、その「元旦」に昇る太陽を「初日(はつひ)」と呼んでいることだというのだ。初日は1年の最初の夜明けであることからめでたいとされ、その初日の出を拝みに出かける習俗があるのだ。このことを「初日の出参り」と呼んで初日が姿をあらわす時、願い事やその年の決意などを祈る人が多くいるのだ。そのとき「初日の出参り」の人々は自然物としての太陽ではなく、実は「日の大神」を拝んでいるとされているそうなのだ。日本人はことのほか「初め」を大切にしてきたそうで、そのような考えは「初め良ければ終わり良し」などの諺にもあらわれている。新年になり初めて社寺へ参詣する初詣の意味も、「初め」を大切にしてきた日本の心のあらわれの一つだとされている。 参拝には一定の作法があって、その作法については詳しく解説されているそうなのだが、おおよその参拝順序の説明を読んでみると、まず初詣は出かけようと思った時から始まっているそうなのだ。多くの人は新年に初めて神社やお寺へ出かけてお賽銭をあげ、拝礼をして神仏に祈願をすることが初詣だと思っているようですが、それは初詣の一部分に過ぎないということだとされている。神社やお寺での一連の参拝作法を滞りなくすませて、無事に帰宅するまでが初詣だというのだ。その作法なのだが、まずが鳥居は神社の門であることから、それをくぐる時は「ごめんください」という気持ちを込めて軽くおじぎをするのが作法なのだ。やがて「手水舎(てみずや)」が見えてくると、そこのきれいな水で手や口をすすいで心身を清めるのだ。 参道を進んでいくとおのずと拝殿に至り拝殿の前には賽銭箱が置いてあるのだが、その真上に大きな鈴が吊るしてあって鈴からは長い鈴緒が垂れています。それを振ってからお賽銭をあげるのが作法だとされている。なかにはお賽銭をあげてから鈴緒を振る人もいるが、これはどちらも間違いではないそうなのだ。次に「二拝・二拍手・一拝」の作法で拝礼をする。お賽銭の額は金額に決まりはないそうで、大切なのは心を込めてお賽銭をあげることだというのだ。そして鳥居を出る時も「何卒よろしくお願いします」との気持ちを込めて、軽くおじぎをして帰宅するのが初詣のおおよその順序だそうなのだ。そして凛とした気持ちでとどこおりなく良い初詣ができたならば、最後には良い結果が得られると信じることのようなのだ。
2015年01月01日
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